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事務事業編・公共施設の運用編

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事務事業編・公共施設の運用編
浦安市環境配慮指針
−
−
市の事務事業編
−
市の公共施設の運用編
平成 19 年 3 月
浦
安
市
−
目
次
はじめに .............................................................................................................................1
1.指針の基本的事項..................................................................................................3
1.1「環境配慮指針−市の事務事業編・市の公共施設の運用編−」
策定の背景......... 3
1.2 目的・位置づけ................................................................................................................ 3
1.3 対象範囲 ............................................................................................................................. 4
1.4 基本方針 ............................................................................................................................. 5
2.地球温暖化対策実行計画をふまえた推進体制・進行管理
2.1 地球温暖化対策実行計画と市の環境配慮指針の関係 ...................................... 6
2.2 地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステムの現状と課題...... 7
2.3 市の環境配慮指針の推進体制・進行管理 .......................................................... 10
(1)研修の強化.............................................................................................................. 10
(2)実行部門の推進体制の強化............................................................................ 11
(3)地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステムに
環境配慮指針を付加した推進方策・進行管理方策..... 11
3.本市における省エネのソフト対策事例..................................................... 16
4.配慮事項................................................................................................................ 19
Ⅰ. 事務事業編....................................................................................................................... 19
(1)省エネルギー......................................................................................................... 19
(2)自然エネルギーの利用...................................................................................... 20
(3)省資源・リサイクル .......................................................................................... 21
(4)グリーン購入......................................................................................................... 22
(5)その他(適正処理) .......................................................................................... 22
Ⅱ. 市の公共施設の運用編................................................................................................ 23
(1)省エネルギー......................................................................................................... 23
A. ちょっとした工夫でできる省エネ ........................................................ 25
B. 市と市民の協働で取り組む省エネ......................................................... 27
C. 設備を知り、うまく調整して省エネ(チューニング)............. 28
(2)周辺環境保全(地域生態系保全・周辺環境配慮)............................ 32
(3)適正使用・適正処理 .......................................................................................... 33
(4)その他(環境保全体制の整備など)......................................................... 33
参考資料 ......................................................................................................................... 34
はじめに
<環境配慮指針策定の背景>
今日の環境問題において、後世に良好な地球環境を継承するためには、地球温暖化を
防止することが、今日を生きる私たちに課された大きな責務となっています。
地球温暖化防止を国際的な協調により推進することを目指した京都議定書が平成 17
年(2005 年)2月に発効し、各国で取り組みが進められていますが、この議定書に
は、アメリカが批准していないことや、中国等の発展途上国が枠組みとして入っていな
いなどの問題も抱えています。
また、日本においても、平成 20 年(2008 年)から平成 24 年(2012 年)まで
に温室効果ガスを平成 2 年(1990 年)比で6%削減する国際的な義務を負っていま
すが、平成 17 年度(2005 年度)速報値では 90 年比で8.1%も増加しており、目標
達成のためには平成 17 年度(2005 年度)比で 14.1%削減しなければならない状況
となっています。
市においても一事業者としてのエネルギー消費量は増加傾向にあり、第 1 次浦安市
地球温暖化対策実行計画で掲げた市公共施設からの温室効果ガス排出量を平成 11 年
度(1999 年度)比で平成 17 年度(2005 年度)までに 3.5%削減するという目標
を達成することは出来ず、逆に 13.6%増加という結果となりました。このような結果
を踏まえて、市では新たな目標と実現するための取り組みの方向を定めた第 2 次地球
温暖化対策実行計画を平成 17 年度(2005 年度)に策定しました。
1
<環境配慮指針の位置づけ>
環境配慮指針は、市・市民・事業者・滞在者等(以下「各主体」)が日常生活や事業活
動の中で環境に配慮すべき事項や、これらを活用して各主体の積極的かつ連携した取り組
みを促進するための効果的な仕組みをまとめたものです。また、各主体の省エネルギーを
推進するためのハード、ソフト面での取り組みや、新エネルギー設備導入などに関する各
主体の方針・方策を示すクリーンエネルギービジョンとともに環境アクションプランに含
まれます。
環境アクションプランは、「もったいないプロジェクト」を推進する上で、浦安市環境
基本計画の実行計画的な推進方策に位置づけられるとともに、第2次浦安市地球温暖化対
策実行計画に掲げる市公共施設からの温室効果ガス削減目標の達成を目指し、各主体の環
境保全行動を促進するものです。
市では、ワンガリ・マータイ氏が世界に発信している「もったいない」という言葉
の「ものの本来の価値を無駄にすることなく、生かしていこう」とする精神をコンセ
プトに、市の率先行動をはじめとする地域全体の環境保全の取り組みを、「もったい
ないプロジェクト」として平成 18 年度(2006 年度)から展開しています。この
プロジェクトでは、特に近年の環境問題における主要課題である地球温暖化対策と廃
棄物の削減・資源化を推進することにより、持続的発展が可能な社会の形成を地域全
体で目ざしています。
2
1.指針の基本的事項
1.1 「環境配慮指針−市の事務事業編・市の公共施設の運用編−」策定の背景
市では、地球温暖化対策実行計画、環境マネジメントシステムに基づく環境配慮行動
を、市職員自らが積極的に行ってきました。しかしながら、市の事務事業に伴う温室効
果ガス排出量は、施設の稼働率や稼働時間が増加したとはいえ、結果的に、目標より大
幅に増加してしまいました。
地球温暖化防止は待ったなしであり、地域においてその責任を有する公共団体である
市が省エネ等の効果を上げることにより、地域全体を牽引することが重要です。
市は、現在、ハード面における省エネを推進するための方策を検討しています。これ
とともに、職員のソフト面での取り組みの実効性向上と、公共施設を利用する市民のご
理解・ご協力を得た上での、環境配慮行動が重要となっています。
1.2 目的・位置づけ
事務事業編・公共施設の運用編は、市の事務事業、及び市が行う全ての公共施設の運
用において、地球温暖化防止・資源循環に係る職員等の積極的な配慮を促し、環境負荷
の低減に寄与するとともに、市の率先的な配慮実践を通じて市民・事業者の意識向上を
図ることを目的としています。
また、事務事業編・公共施設の運用編は、既に市が導入している環境マネジメントの
枠組みや地球温暖化対策実行計画の仕組みづくりを基礎としつつ、従来の実行計画では
包含されていなかった、よりきめ細かな省エネ対策や市民等との協働による対策、さら
に実効性を高めるための推進体制・進行管理方策を強化したものと位置づけます。
なお、現段階のメニューや仕組みは、これまでの取り組みを強化する上で初期段階に
活用するもので、今後、省エネルギーに関する法律などの変更や、技術の変化、実行後
に生ずる課題などを踏まえて、メニューや仕組みをさらに適正化していくこととします。
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1.3 対象範囲
(1)対象となる環境分野
市では、事務事業における環境配慮については、これまで地球温暖化対策実行計画に
おいて、①省エネルギー対策、②省資源・リサイクル対策、③環境に配慮した製品購入
(グリーン購入)の推進、④公共工事における環境負荷の低減、⑤新エネルギーの導入
等を対象としてきました。
また、国では、公共施設における環境配慮については、国土交通省の「官庁施設の環
境保全性に関する基準」等で、①省エネルギー・省資源、②自然エネルギーの利用、③
エコマテリアル、④周辺環境保全、⑤長寿命化、⑥適正使用・適正処理などの分野で、
環境に配慮するべき指針を示し、この指針に基づき環境配慮を進めています。
浦安市の事務事業編及び公共施設の運用編では、以上をふまえ、特に、地球温暖化防
止、廃棄物の削減・資源化などの分野に主眼を置き、省エネルギー、自然エネルギーの
利用、省資源・リサイクル、グリーン購入、周辺環境保全(地域生態系保全・周辺環境
配慮)、適正使用・適正処理の分野を対象とすることとします。
なお、公共施設の計画・施工については、市の配慮指針(公共施設の計画・施工編)
に配慮項目と仕組みを盛り込みます。
(2)対象となる主体・施設
本指針の対象となる主体は、市の事務事業に関わる全ての職員であり、また、特に公
共施設の運用に係る部分では、市の施設管理を担う担当者が重要な役割を担います。対
象となる施設は、現在、地球温暖化対策実行計画で対象としている施設及び今後新築さ
れる全ての公共施設とします。
(3)対象となる行為
全ての事務事業、及び公共施設の運用に係る行為が対象となります。
4
1.4 基本方針
市では、これまでの地球温暖化対策実行計画の推進における主な課題として以下のよ
うなものが挙げられています。
●研修が不足していた。
(回数及び具体的手法や先進事例などの情報が不足していた)
●効果的なメニューや手法などの具体的な情報が不足していた。
●取り組みメニューが総花的であることから、メニューの取り組みに実効性が欠けてい
た。
●各課・各施設におけるエネルギー使用量は把握しつつも、そのデータの分析と問題点
の抽出、次の取り組みへの反映が十分でなかった。
●各施設においては、事業所としての省エネに対する主体的な捉え方が十分でなく、そ
れとともに省エネのための運用が全体的に十分でなかった。
●公共施設の利用者である市民に省エネ等に対する理解を求め、協働で取り組むような
仕組みが十分でなかった。
そこで、本指針では、上記の課題をふまえ、以下の 5 点を基本方針として掲げます。
方針1:研修・教育の強化(意義と手法を理解することが重要)
方針2:エネルギー管理と削減努力を主体的に推進するための施設主体の PDCA サイ
クルの構築(施設を管理する部署は、環境への配慮の観点では施設を一事業所
として捉える)
方針3:市民との協働による環境負荷低減の仕組みづくり
方針4:取り組みメニューの重点化
方針5:情報の共有化(市職員及び市民・事業者)
なお、本指針は、当面、地球温暖化対策実行計画と環境マネジメントシステムの枠組
みを使って PDCA サイクルで運用していきますが、将来的には、環境マネジメントシ
ステムに代えて、本指針を活用した独自のシステムにより推進していくことを視野に入
れていきます。
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2.地球温暖化対策実行計画をふまえた推進体制・進行管理
2.1 地球温暖化対策実行計画の内容と市の環境配慮指針の関係
第 2 次地球温暖化対策実行計画では、以下のような目標を掲げています。
〔第2次地球温暖化対策実行計画から抜粋〕
前計画(目標年度:平成 17 年度)では、3.5%の削減を目標として取り組んできましたが、
市役所の日曜開庁をはじめとする公共施設の開館日数・開館時間の増加・施設の稼働率の向上
などを主な要因として、平成 17 年度実績で 13.6%の増加となっています。また、自動車燃
料消費は目標以上に削減することができましたが、さらなる削減が期待できます。
これらの結果を踏まえて、本計画では、今後 5 年間で市職員が独自に取組むことが可能な
一般事務からの温室効果ガス排出削減量として、電気・都市ガスのエネルギー消費を各々6.0%
削減することを目指します。また、天然ガス自動車への転換や自転車利用の促進により、自動
車燃料の消費をさらに 2.0%削減することを目指します。
これらの削減目標を達成することにより、一般事務全体では、平成 22 年度までに平成 16
年度比で 6.0%の削減を目指します。
また、第 2 次地球温暖化対策実行計画では、以下のような取り組みを掲げています。
〔第2次地球温暖化対策実行計画から抜粋〕
本計画の目標達成に向け以下に示す 5 つの項目に対して取組みを進めていきます。
①省エネルギー対策
②省資源・リサイクル対策
③環境に配慮した製品購入(グリーン購入)の推進
④公共工事における環境負荷の低減
⑤新エネルギーの導入等
また、目標達成のためのさらなる取組みとして、下記の 3 つの施策を推進していきます。
Ⅰ.もったいないプロジェクトの推進
Ⅱ.省エネルギー診断
Ⅲ.クリーンエネルギービジョンの策定・活用
6
前記の取り組みの方向のうち「Ⅲ.クリーンエネルギービジョンの策定・活用」では、
特に、ESCO 事業など市の施設のハード面での省エネ対策を重視した対策や、今回の
環境配慮指針におけるメニューの検討などを行いました。また、
「Ⅱ.省エネルギー診断」
の結果は、特に ESCO 事業の検討に活かしました。
本指針は、上記の①∼⑤の5項目に示された具体的な取り組みメニューを中心に、ク
リーンエネルギービジョンで検討された環境配慮メニューや効果的な仕組み、1.4 の基
本方針などをふまえ、特に、市の事務事業編・公共施設の運用編の環境配慮事項のメニ
ューと活用の仕組みを作成し、地球温暖化対策実行計画と環境マネジメントシステムの
枠組みの中で推進するものです。
2.2 地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステムの現状と課題
地球温暖化対策実行計画は環境マネジメントシステムの枠組みで推進されています
(次ページ図参照)。
しかし、現状では、平成 17 年度(2005 年度)に環境マネジメントシステムの認
証を更新して以来、内部監査がなされておらず、また、環境管理委員会も開催していな
い状況です。
また、実行面では、実行部門長が各実行部門の責任者として、温室効果ガス排出量削
減に向けた取り組みを推進することとなっており、環境管理推進員はその取り組み状況
を調査し、報告することとなっています。そして、環境管理事務局は、その調査結果及
び取り組み状況をまとめ、排出量の算定を行うとともに、地球温暖化対策に係る教育を
行うこととしています。
しかしながら、各部門における環境配慮の意識や取り組みは浸透しつつあるものの、
特に温室効果ガス削減の面では、実行部門長が推進するという面や、部門における職員
全体で現状を分析し、課題を抽出し、削減のための効果的な取り組みの実行を、部門を
構成するメンバー全体で推進する体制が十分に機能しているとは言えない状況です。特
に、環境管理推進員は、調査報告をすることが主な役割となってしまっている傾向が見
られます。
7
〔第2次地球温暖化対策実行計画から抜粋〕
実施・運用
地球温暖化対策実行計画の推進にあたっては、市が制定している「環境マネジメントシステ
ム実行組織設置要綱」及び「委員会設置要綱」に基づき、下図に示す体制で行います。
総括責任者
内 部 監査員( 組織 内の 審査 員 )
環境管理責任者(環境部長)
事務局
実行部門長(所属長)
実行部門長(所属長)
環境管理推進員
環境管理推進員
環境管理委員会
実行部門長(所属長)
環境管理推進員
さらに、是正・見直しの流れ(下図参照)においては、6ヶ月毎に環境管理委員会を
招集することになっていますが、平成 17 年度に環境マネジメントシステムの認証を更
新してから、これまで実際に召集したことはない状況です。また、各実行部門への是正
のための指導も十分とは言えません。
以上の現状と課題から、内部監査や研修の必要性と合わせて、意識を高めながら具体
的に取り組みを促進するための新しい仕組みの必要性が大きいと考えられます。
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〔第2次地球温暖化対策実行計画から抜粋〕
点検・是正・見直し
各実行部門の環境管理推進員は、本計画で定めた目標に対する達成状況を把握するために、当
該課及び施設のエネルギー消費量等の「活動量」及び排出量削減に向けた取組みの「取組み率」
に関して、3 ヶ月毎に調査を行い、当該期間の結果を最終月の翌々月末までに実行部門長に報告
します。実行部門長は、その結果をただちに環境管理事務局に報告します。環境管理事務局は、
温室効果ガス排出量の算定を行い、3 ヶ月毎に環境管理責任者に報告します。
総括責任者
見直し
付 議 ・審 議 結 果
環境管理責任者
報 告 (3ヶ月 毎 )
排出量
取組率
是正
環境管理事務局
環境管理委員会
調 査 票 と りま と め
排出量算定
調 査 票 提 出 (3ヶ 月 毎 )
調査票配布
取組率
取組率
活動量
活動量
実行部門長
実行部門長
実行部門長
推進員
(調 査 票 を 記 入 )
推進員
(調 査 票 を 記 入 )
推進員
(調 査 票 を 記 入 )
環境管理責任者は、エネルギー消費量の削減及び取組み率の改善を検討するため、6 ヶ月毎に
環境管理委員会を召集します。また、審議結果を受けて、必要に応じ、各実行部局に是正のため
の指導を行います。環境管理委員会は、取組み状況が思わしくない場合には、その原因を明らか
にした上で取組み率が高まる工夫等を検討します。また、目標の達成度が低い場合には、要因分
析を行った上で、新たな効果的な対策を検討します。本計画の対象期間中、施設の改廃や止むを
得ないエネルギー消費の増加等の不可避な要因によって目標達成が困難となることも考えられ
ます。その際は、目標値そのものの見直しを検討します。
9
2.3 市の環境配慮指針の推進体制・進行管理
2.2 で示したように、地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステムは、その
推進体制・進行管理の方策において様々な課題を抱えていることから、市の環境配慮指
針の実効性ある運用を図るため、以下の(1)∼(3)の手法、メニュー、仕組みを付
加することとしました。
(1)
研修の強化
市の地球温暖化対策実行計画では、既に、環境マネジメントシステムにおいて定める
「環境管理要領」に従い、職員が教育・研修を受ける仕組みが構築されています。しか
し、これらは、環境マネジメントシステムの事務手続き的な側面の教育に主眼が置かれ
ており、実際に施設管理の現場で省エネ等に役立つ実践的な教育・研修が必要とされて
います。
そこで、本指針では、地球温暖化対策実行計画や環境マネジメントシステムに位置づ
けられている職員研修の中で、以下のような教育・研修を盛り込んで実施していきます。
1)省エネルギーを促進する NPO や団体等との連携による省エネ等講座開催
省エネルギーを促進する活動を行っている NPO や団体、(財)省エネルギーセンタ
ー等が実施している専門家派遣による省エネ行動促進のための研修を実施します。施設
における具体的な省エネルギー手法や徹底のための工夫等について専門家の講義を受
けることにより、実際の職場での取り組み促進につなげます。
2)市内企業とのタイアップによる省エネ等講座の開催
市内には、既に、省エネルギー対策を始めとする環境保全対策に熱心に取り組んでい
る企業がみられます。そこで、これらの企業の環境・エネルギー関連担当者による講座
を開催します。企業によっては、社員からなるチームでの活発なアイディア提案・取り
組みが実施されている例等もあり、市の職員の取り組みの参考としていきます。
10
(2)
実行部門の推進体制の強化
環境管理推進員は、調査報告だけでなく、各部門における実質的なリーダーとして、
データの把握・問題の分析・課題の抽出、そして各部門における取り組みの推進役とし
ての役割を担うこととします。
(3)地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステムに環境配慮指針を
付加した推進方策・進行管理方策
これまでの地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステムの枠組みに、環境配
慮指針の推進方策・進行管理方策を付加していきます。具体的には、以下の STEP1∼
STEP4 の流れで進めていきます。
STEP1
研修への参加
年に数回実施
STEP2
STEP3
STEP4
エネルギー使
分析及び次期に
情報の公開・
用量の把握・分
強化すべき取り
共有
析、課題の抽出
組みの抽出
3 ヶ月毎に実施
なお、環境配慮指針の配慮事項メニューは、
「Ⅰ.市の事務事業編」と「Ⅱ.市の公共施
設の運用編」の二種類に分かれるため、各実行部門では、各ステップに記載された内容
に基づき、該当する方の配慮事項メニューを活用することとします。
以下に、STEP1∼STEP4 の具体的な推進方策・進行管理方策を示します。
11
STEP1 研修への参加
実行部門長と環境管理推進員は事務局が実施する研修に参加します。
STEP2 エネルギー使用量の把握・分析、課題の抽出
各部門は実行部門長を責任者、環境管理推進員をリーダーとして、チームとして環境
配慮行動を推進します。特に、施設を管理する実行部門は、エネルギー管理を責任を持
って行うべき事業所としての自覚を持ち、主体的に取り組みます。
全実行部門は、エネルギー使用量の把握・分析を行い、課題の抽出をチーム全体で行
います。
①エネルギー使用量の把握
事務局が各部門で下記のデータを取得できるように措置をし、環境管理推進員は下記
のようなデータを把握します。
<データの把握手法の例>
A.
3ヶ月毎の各部門の電気・ガス・水道・燃料使用量等の入力
・今後、電気・ガス・水道使用量は、事務局で一括して把握して管理すること
も検討する。
B.
各部門の過去 3 年のエネルギー使用量等を把握
・事務局が各実行部門が見られるような措置を行う。
・エネルギー種別・経月のデータ含む。
C
.施設を管理している実行部門は同種類の施設におけるエネルギー使用量の原
単位での比較等を把握
・事務局が各実行部門が見られるようにする。
・データの把握・管理は、各実行部門単位を基本とするが、今後は施設単位で
の把握・管理を行う方向で検討を進める。
②重点取り組み状況の把握と分析
①の 3 ヶ月と同時期に行った重点取り組みメニュー(重点取り組みメニューは後述
の「④各実行部門における重点取り組みメニューの抽出」で説明します)の実施度合い
の把握や自己評価などを行い、反省点などを考えます。
12
③課題の抽出
環境管理推進員を中心として各実行部門がチームになり、課題の抽出を行います。課
題の抽出にあたっては、①を踏まえるとともに、以下のようなデータ・資料をできるだ
け収集して参考にします。抽出した課題などは、別途、事務局が各実行部門に配信する
様式に記入することとします。データは様式に添付可能とします。
A. 施設を管理している実行部門
(全体的なデータ)
・施設の特性が分かる資料(用途・施設規模・1年の光熱水費・エネルギー使
用量・エネルギー使用量の種別内訳)
・経年・経月の施設の稼働率(部屋別・全体)
・環境負荷低減のための基本的な方針の実態
・利用者への環境負荷低減への協力の呼びかけ状況
(空調関係)
・経年の冷暖房の切り替え時期
・冷暖房の運転時間・設定温度
・室毎の冷暖房の運転実態
・フィルタなどの清掃の実態
・室毎の温度(実測できる場合)
・利用者の要望の状況
・空調の吹き出し口や運転設定の状況
・中間期の自然換気の活用状況
・夏期・中間期の外気冷房の活用状況
・ブラインド等の適正な利用
(照明関係)
・照明の点灯時間・場所(自動制御の場合、設定された点灯時間・場所等)
・使用している蛍光灯・電球の把握
・室毎の照明の使用状況
・室毎の照明の照度(実測できる場合)
(節水関係)
・節水コマの設置状況
・擬音装置の設置状況
13
B. 全実行部門
施設を管理している実行部門は、下記の(全体的なデータ)以外は、上記A
の項目と重複するため、除外する。
(全体的なデータ)
・経年・経月のエネルギー使用の利用実態
・実行部門で所有する公用車の利用状況など
(空調関係)ただし、実行部門で温度設定や運転操作ができる場合
・冷暖房の運転時間・設定温度
・室毎の冷暖房の運転実態
・室毎の温度(実測できる場合)
・空調の吹き出し口や運転設定の状況
・中間期の自然換気の活用状況
・ブラインド等の適正な利用
(照明関係)
・室毎の照明の使用状況
④各実行部門における重点取り組みメニューの抽出
環境管理推進員を中心として各実行部門がチームになり、抽出した課題の中で主要と
考える課題の解決に向けて、重点取り組みメニューを選び、別途定める様式に記入して、
事務局に提出します。
なお、施設を管理していない実行部門と施設を管理する実行部門では、重点取り組み
メニューの選び方は下記のように分かれます。
A. 施設を管理している実行部門
①配慮事項(事務事業編)のメニューから3項目を選択
②配慮事項(公共施設の運用編)のメニューから3項目から5項目を選択(必
ず、「市民との協働のメニュー」から1項目以上含むこと)
B. 施設を管理している実行部門以外
配慮事項(事務事業編・公共施設の運用編)のメニューから3項目を選択
14
STEP3 分析及び次期に強化すべき取り組みの抽出(事務局)
提出されたデータを基に、事務局で総エネルギー使用量・各実行部門の取り組み状況
の分析を行い、個別の実行部門で改善を要す事項があるときは、実行部門にヒアリング
を行うなどして必要に応じて指導します。
また、事務局で市全体として統一的に実施する取り組みメニューも作成し、各施設で
の取り組みを推進します。
STEP4
情報の公開・共有
下記のデータを市ホームページ、公共施設の掲示板、市のイントラネットなどで公開
し、情報を共有します。
<掲載データの例>
○各実行部門のデータ
・エネルギー使用量
・重点取り組みメニューの実行度合い
・自己評価
・次期の重点取り組みメニュー
○全体のデータ
・全施設のエネルギー使用量・CO2 排出量の推移
・総括
・全体的に強化・キャンペーン的に行う事項
以降、このサイクルを継続していきます。
15
3.本市における省エネのソフト対策事例
建物の中において、快適な環境を保ちながら、環境への負荷を出来る限り低減するた
めには、「良好な環境を保持しつつ、無駄を削減する」という視点が重要です。
市の環境配慮指針では、各施設、各職員がそのような視点を持って取り組むことがポイ
ントの一つとなるため、実際にこのような視点で実行した事例を紹介します。
事例:室温 20℃設定の考え方と運用
−その検討から実施した本庁舎の空調運転の短縮
◆室温 20℃設定...かけ声をかけれど実態では様々な問題が....
国の呼びかけでは、
「暖房時の室温は 20℃に」とされていますが、この室温 20℃に
ついて統一的な定義がなかったことから、実際の運用では様々な課題が生じていました。
例えば、空調の温度設定が出来る第2庁舎や第3庁舎では 20℃で設定すると、元々、
断熱性能が良くない建物であることと、上から下に吹き出す構造から、執務を行う空間
まで暖かい空気が循環しにくく、執務を行う空間では、20℃を下回り、寒い日などは、
特に体感温度が下がるなどの問題もみられました。
一方、本庁舎の空調系統は a.地下
b.1 階∼2 階
c.3階∼6階に分かれています。
外気と室内の温度差を感知することにより、自動で調整できるようになっているはずな
のですが、実際は自動では制御できず、機械室の方が、各階のポイントで 2 時間毎に
温度を測定し、午後、暑くなったなと思ったら暖房を止めているという状況でした。
12 時 30 分くらいに暖房を止めていましたが、平成 19 年(2007 年)1 月 18 日
の温度測定値を見ると、午後にはほとんどの場所で 20℃を大きく超える値を示してい
ました。午後 4 時 30 分時点では、5階の南側事務室では、27.7℃にまで上がってい
ました。これでは適正な温度を超えて「暑い」と逆に不快に感じるレベルにまでなって
しまいます。
16
このように、まず問題として浮かび上がってきたのが、以下の3点でした。
①室温 20℃設定の定義を明確にする必要があること
②室温の把握をする必要があること
③室内における適正な温度を保つようにするために、空調の適正な運転を行うことによ
り、無駄を削減する必要があること。
◆室温 20℃設定と空調の運転に関する方針づくり、徹底の呼びかけへ
上記のような課題を踏まえ、下記の方針をつくり、職員に周知するとともに、本庁舎
の運用の改善について契約管財課と協議をし、改善措置をとることとなりました。
室温 20℃設定
①室温 20℃設定の考え方
・ ここで言う室温の考え方は、職員が執務を行ったり、市民が訪れる空間レベル(以
下「人の活動スペースレベル」という)における温度とする。
・ 暖房の設定温度が人の活動スペースレベルで設定できる施設については、20℃
以下の設定を基本とする。
・ 暖房の設定温度を 20℃にしても、人の活動スペースレベルでは設定温度より低
い温度になる空調と室内環境である場合は、人の活動スペースレベルで 20℃程
度になるように設定する。
②室温(人の活動スペースレベル)20℃設定を徹底するための基本的な手法
・ 施設の各課、各室などに温度計を設置したり、施設を管理する者が室内温度を
適宜測定し、記録するものとする。
・ 温度計の室温が 20℃を超えた場合は設定温度を下げるか、空調の機械を停止す
るなどして、各室温が 20℃を超えないように調整する。
・ 各施設では、別添の「チーム・マイナス6%
暖房時の室温は 20℃に設定しよ
う」のロゴ(どれを選択しても結構です)をヘッダーに使って、市が「チーム・
マイナス6%に参加していること」
「地球温暖化防止のために室温 20℃設定を
していること」
「室温設定にご協力を」などを主旨として、市民に周知するため
のポスターなどを作成し、掲示を行う。
17
◆さらに本庁舎の運用改善へ
本庁舎における運用改善策として以下の改善策を図りました。
本庁舎の運転の改善
・暖房の本庁舎3階から6階の吹き出しについては、12時30分前後に停止していま
したが、午前11時に停止することとしました。
18
4.配慮事項
事務事業編と公共施設の運用編には一部重複している項目があります。
Ⅰ. 事務事業編
(1)
省エネルギー
1)照明
○ 昼休み、残業時間及び休日出勤時の照明は、必要最小限とする。
○ 午後 5 時 15 分以降は、廊下照明の消灯を徹底する。
○ 断続的に使用する会議室や、給湯室、トイレ、更衣室等では、使用するときだけ点
灯し、使用後は消灯する。
○ 十分な光量が得られる場合は自然光を活用する。
○ 昼休み及び長時間席をはずすときには電気スタンドの電源を切る。
2)OA 機器(パソコン、プリンタ、コピー機、ファクス等)
○ 昼休み及び時間外勤務時は、業務に支障のない範囲で、OA 機器の電源を切る。
○ 外出等で、長時間席をはずすときは、パソコンの電源を切る。
○ 最終退庁者は、OA 機器の電源が切ってあるかを確認する。
○ 電子メールで済ませられる用件であればファックスの利用は控える。
3)冷暖房
○ 温度設定が可能な場合は、冷房 28℃以上、暖房 20℃以下とする。
○ 窓の開閉、ブラインドやカーテンの利用により日射を調整し、冷暖房への負荷を低
減する。
○ 家庭用エアコンを使用する場合は、2週間に1度はフィルターを掃除し、オフシー
ズンはプラグを抜く。
○ クールビズ、ウォームビズをキャンペーン的に実施する。
○ 施設・系統毎に冷暖房運転の許可時間・期間を定め、それ以外の時間は、原則運転
時間を停止する。
19
4)自動車
○ 公用車を購入またはリースする際は、積極的に低公害車(CNG 車、ハイブリッド
車等)や低燃費車の導入を検討する。
○ 低公害車や低燃費車を優先的に利用する。
○ 駐停車時のアイドリングストップを徹底する。
○ 急発進・急加速・空ぶかしをしない。
○ 経済速度(一般道は 40km/h、高速道は 80km/h)に留意した上で、法定速度を
遵守する。
○ 余分な荷物は積まない。
○ 自動車の走行距離を記録・管理し、自動車の使用をできるだけ控える。
○ 公用車の集中管理により、効率的な運用を図る。
○ 公共交通機関の利用を促進する。
○ 業務で外出するときは、集中管理しているリサイクル自転車を活用して、自動車の
使用を控える。
○ 近距離移動時は徒歩または自転車を利用する。
○ 通勤時ノーカーデーを設ける。
5)その他
○ 家庭用冷蔵庫は季節に合わせて庫内温度を設定する。
○ テレビは使用しない時は主電源を切り、長期間使用しないときはプラグを抜く。
○ 出来るだけエレベータの利用は控え、3階以内は階段の利用を徹底する。
○ 給湯は、季節や目的に合わせた適正な温度で利用する。
○ 適宜、公共施設の省エネルギー診断を行う。
(2)
自然エネルギーの利用
○ 公立小中学校や公共施設への太陽光発電の導入を検討する。
○ 市内道路の街灯への風力発電や太陽光発電の導入を検討する。
20
(3)
省資源・リサイクル
1)用紙類の使用
○ 両面コピー、両面印刷を徹底する。
○ 電子メディア等の利用によるペーパーレス化をすすめる。
○ 内部資料では、使用済み用紙の裏紙使用を徹底する。
○ ミスコピー防止のために、コピー機使用後はリセットをする。
○ 会議用資料や事務手続きの簡素化を図る。
○ 各種文書や報告書の大きさ等の規格化の統一を図る。
○ 使用済み封筒の再利用をする。
○ 不要となった紙は、ホチキス、クリップ等をはずし、分別回収する。
○ シュレッダーの使用は秘密文書の廃棄のみとする。
○ 庁内の連絡は、OA 掲示板や電子メールを活用する。
○ 印刷物を発注する際には、古紙配合率が高い紙を指定する。
2)水の利用
○ 水漏れ点検の徹底を図る。
○ 必要に応じて水栓に節水コマを取り付けたり、水道水圧を低くする。
○ トイレの洗浄水を必要最低水量に調整する。
○ 女性用トイレに流水音発生器を設置する。
○ 公用車の洗車は、必要最低限の回数とし、出来る限りバケツ等を利用する。可能で
あれば、中水を利用する。
○ 厨房や清掃に利用する水についても使用量の削減を促す。
3)リデュース
○ 使い捨て製品(紙コップ、容器入り弁当等)の使用や購入を抑える。
○ 包装・梱包を簡素化する。
4)リユース
○ 詰め替え可能な製品の利用や備品の修理等により、製品等の長期使用を進める。
○ 包装・梱包(段ボールなど)を再使用する。
○ リターナブル容器(ビール瓶、一升瓶等)に入った製品を優先的に購入、使用する。
5)リサイクル
○ コピー機、プリンタのトナーカートリッジの回収とリサイクルを進める。
21
○ コピー機、パソコン等 OA 機器は、リサイクルしやすい素材を使用しているものを
採用する。
○ 生ごみを堆肥化(コンポスト化)することを検討する。
○ 分別回収ボックスなどを利用して、ごみの分別を徹底する。
(4)
グリーン購入
○ 毎年度「グリーン購入調達方針」を策定し、グリーン購入を推進し、環境に配慮し
た物品を購入する。
○ 電気を使用する什機器を購入する際、省エネルギー型にする。
○ コピー用紙は古紙配合率 100%の製品を購入する。
○ 購入する文具類、機器類、制服・作業服等は可能な限り再生材料からつくられたも
のにする。
○ 再生材料でないものからできた物品を購入する場合、リサイクルが可能なものにす
る。
○ HFC を使用した噴霧器は出来る限り購入しない。
○ 家庭用冷蔵庫等を購入する場合、出来る限り HFC の代替物質を使用した製品を選
択する。
(5)
その他(適正処理)
○ 家庭用エアコン、家庭用冷蔵庫、エアコンの付いた自動車を廃棄する際は、冷媒に
HFC が封入されているかを確かめた上で、封入された製品については適切な回
収・破壊を行う業者に委託する。
22
Ⅱ.
市の公共施設の運用編
事務事業編と公共施設の運用編には一部重複している項目があります。
(1)省エネルギー
<管理運営に関する考え方>
公共施設を管理運営する際、これまでは設備の機能が十分果たされることを重視して
おり、省エネルギーを図るためのシステムを構築してきませんでした。今後の管理運営
においては、温暖化対策、経費削減など「もったいない」プロジェクトの観点も加味し
た取り組みを進める必要があります。管理運営の基本的な考え方について、比較的身近
な例として室内温度の管理を参考に、市の今後の取り組み例を示します。
●現状把握:省エネ診断を全公共施設に対して行うことで、現状の把握に努めます。
○温度状態における課題
・ 実際に執務している職員や、訪れる市民が感じる高さで、適正温度となってない。
・ 室内の温度分布がばらばらになっている。
○室温管理、機器運転における課題
・ 温度計測を実施してない施設がある。
将来的には業務の効率化を推進する段階で、自動的に省エネルギーになるシステムを選
・ 施設により冷暖房機器の運転制御を行うための室温測定場所が異なる。
択することが理想と言えますが、当面の取り組みは、上記のように職員の行動によるもの
・ 自動で運転制御できない空調機器がある。
と考えられます。まだ、技術的手法、体制、予算など検討すべき内容はあるものの、施設
・ 冷暖房機器を適正に運転・管理していない施設がある。
・ 適切な温度に設定していない施設がある。
を利用する側で行える取り組みについては積極的に実施します。
○気流状態等の課題
・ 温度センサーが、吹き出し口近く、部屋の高い(あるいは低い)位置、窓の近くなど
室内の特異な場所に設置されている場合、室内環境を正確に反映しない。
・ 上記を風量、温度で補正しようとすると更に空気バランスを損ねる
●対策方向性
・ 公共施設での省エネルギー診断の実施
・ 夏期、冬期の温度設定条件の広報
・ 温度計測場所の設定(執務している職員や、訪れる市民の高さ、室内複数場所での温
度計測)
・ 温度計測を実施していない施設での測定実施と記録
・ 設定温度、計測した温度に伴う冷暖房機の運転、停止の励行および記録
●確認事項
・ 温度管理に伴う業務量の把握
・ 自動化に関する手法の検討
23
<省エネルギー配慮事項メニューの体系>
省エネルギーに関する具体的な配慮事項メニューは、以下の3つに分類して示します。
A. ちょっとした工夫でできる省エネ
B. 市と市民の協働で取り組む省エネ
C. 設備を知り、うまく調整して省エネ(チューニング)
24
A. ちょっとした工夫でできる省エネ
1)空調設備の設定・運転
○ 適正な室温設定とする
ここでの適正な室温とは、職員が執務を行ったり、市民が訪れる空間レベル(以下「人
の活動スペースレベル」という)における温度とする。本メニューは、いずれの施設に
おいても基本的に実施すべきメニューとする(各部門で特に重点的に取り組むメニュー
として選択することも可能である)
。
・ 暖房の設定温度が人の活動スペースレベルで設定できる施設については、冷房時
28℃以上、暖房時 20℃以下の設定を基本とする。
・ 暖房の設定温度を 20℃にしても、人の活動スペースレベルでは設定温度より低い温
度になる空調と室内環境である場合は、人の活動スペースレベルで 20℃程度になる
ように設定する。冷房の設定温度を 28℃にしても、人の活動スペースレベルでは設
定温度より低い温度になる空調と室内環境である場合は、人の活動スペースレベル
で 28℃程度になるように設定する。
・ 施設の各課、各室などに温度計を設置したり、施設を管理する者が室内温度を適宜
測定し、記録する。
・ 暖房時、温度計の室温が 20℃を超えた場合は設定温度を下げるか、空調の機械を停
止するなどして、各室温が 20℃を超えないように調整する。冷房時、温度計の室温
が 28℃より低い温度となっている場合は設定温度を上げるか、空調の機械を停止す
るなどして、各室温が 28℃より低くならないように調整する。
・ 各施設では、冷暖房時、市が「チーム・マイナス6%に参加していること」
「地球温
暖化防止のために室温 20℃(28℃)設定をしていること」「室温設定にご協力を」
などを主旨として、市民に周知するためのポスターなどを作成し、掲示を行う。
25
○ 冷暖房時間の調整が可能な場合は、その使用時間を短縮する。(運転開始は始業時
以降に、運転停止は終業 30 分前にする等)
○ 機器の運転開始時間を現状より遅くして立ち上がり時間を短縮する
○ 冷暖房の期間を短くする。
○ 残業時の運転を短縮または取りやめる。
○ 冷暖自動切換えユニットは冷暖どちらかに設定する。
○ 冷暖温度設定の差を大きくする。
○ クールビズ、ウォームビズをキャンペーン的に実施する。
○ 在室者の状況に合わせて間欠運転または停止する。
○ 中間期は扉・窓を開放し自然換気をする。
○ ブラインド類の適切な運用を図る。
○ 空調を、必要な場所・時間に限定して使用する。
○ 変電室のパッケージエアコンの自動運転を停止する。
○ エントランスホールの冷暖房を停止し、送風機による外気冷房にする。(特に夏期
の朝方や中間期)
○ 家庭用エアコンを使用する場合は、2週間に1度はフィルターを掃除し、オフシー
ズンはプラグを抜く。
2)熱の有効かつ効率的利用
○ 空冷コンデンサーへの水噴霧を行う。
○ 蒸気バルブの保温を行う。
○ V ベルト駆動の空調機、換気フアンなどに省エネ V ベルトを採用する。
3)照明エネルギーの最小化
○ 照明の点灯箇所や電球管本数を削減する。
○ 照明を定期的に測定して、過剰な照度にならないようにする。
○ 照明器具を定期的に清掃する。
○ 高効率照明器具(Hf 型照明器具など)を採用する。
○ 洗面所などの白熱ランプをコンパクト形蛍光灯に取替える。
○ センサ付き照明、タイマーによる自動制御付き照明などを採用する。
○ 日射調整フィルムを採用する。(窓の多い施設で全体に導入すると効果的)
○ 不必要と思われる高照度の室等の照明器具を消灯するなど照度の適正化を図る。
○ 施設部位に応じた点灯方式の採用等により、照明エネルギーの最小化を図る。
○ 断続的に使用する会議室や、給湯室、トイレ、更衣室等では、使用するときだけ点
灯し、使用後は消灯する。
26
○ 昼休み、残業時間及び休日出勤時の照明は、必要最小限とする。
○ 午後 5 時 15 分以降は、廊下照明の消灯を徹底する。
4)給水・給湯設備の効率化
○ 節水コマを洗面所のバルブなどに取り付けて節水する。
○ 給湯時間・範囲を制限する。
○ 給湯温度の設定温度を下げる。
5)換気設備の効率化
○ 可能な個所は換気を中止する。
○ 間欠運転を行う。
6)その他
○ 節電タイプの自動販売機を採用する。
B. 市と市民の協働で取り組む省エネ
○ 施設を利用する市民等に、ちらし・パンフレット等で公共施設における省エネ取り
組みを周知する。
○ 市民等が施設利用時に工夫できる省エネ対策、理解・協力を依頼すべき省エネ対策
についての簡易セミナーを開催する。
○ 市民と施設管理者との協働によって省エネを積極的に進めている施設を公表・表彰
する仕組みを構築する。
27
C. 設備を知り、うまく調整して省エネ(チューニング)
近年、施設管理する際求められることは、「建物のチューニング」であると言われて
います。A で例示した温度管理も、チューニング項目の一部といえます。
建物は竣工時、試運転調整がおこなわれ施主に引き渡されますが、このときの調整は
設計条件によるピーク負荷を想定し設定されています。多くの建物では竣工時の調整の
ままで運転されていることが多いようです。
建物のもつ特性は個々の利用方法などにより違い、これらの特性は竣工後、運用管理さ
れ使い込まれているうちに徐々に明らかになるものです。また、民間の施設では、テナ
ントなどの要求事項も年々変化し、実際の使用人員、OA 機器による室内発熱など現実
のビルの特性を把握することで、無駄のない調整・運転が見えてきます。このように、
建物の特性を把握し、これに合わせて自分たちが使いやすいように設備機器・システム
を調整することが必要です。
(財)省エネルギーセンターでは、省エネを主体とした自前調整「省エネチューニン
グ」が建物の運用・管理に求められているとしています。市の施設においても OA 化や
市のサービスの変化、増改築やレイアウトの変更など竣工時と現在の状況では、大きく
異なっているものと考えられます。既存の建物、施設においてチューニングの重要性を
再認識し、建物の運用実情を最も把握している施設管理者が主体となり、建物毎の省エ
ネルギー実行組織を作るとともに、省エネルギー運転の実現を目指すことが重要です。
そこで、ここでは、チューニングに関する配慮事項メニューを示します。ただし、チ
ューニングを行うには、ある程度の専門的知識と、個々の機器の運用状況・今後の運用
の方向などを考慮する必要があることから、具体的な取り組み方法に関する研修会を開
催したり、専門家の助言を得ることも検討していきます。
なお、下記のチューニングに関する配慮メニューは、主に省エネルギーセンター資料
を参考としています。
28
1)空調負荷の低減
○ 冷房期には温水運転を停止、暖房期には冷水運転を停止する。
○ 除湿・再熱運転停止し、冷房時除湿制御を取止める。
○ 外気ダンパーの調整を絞り、在室者に合わせ外気量を削減する。
○ 外気ダンパーの調整を開き、外気冷房を行う。
○ 起動時の外気導入制御を行う。
○ 外気エンタルピが室内条件を下回る場合、全熱交換器の運転を停止(手動制御)する。
○ ポンプ、ファンのインバータ採用により流量を調整する。
○ ナイトパージ(外気系統の夜間運転)を行う。
○ 空気分布の適正化を図る。
○ 温水ボイラーの配管のヘッダー、バルブ、フランジ等の保温をして、エネルギーの
損失を減らす。
○ 空調機の回転数を下げて運転し、電力使用量を削減する。
○ 還気ファンの回転数を下げて運転し、電力使用量を削減する。
○ 給排気ファンの回転数を下げて運転し、電力使用量を削減する。
2)熱源機器の効率化
○ 燃焼機器の空気比を 1.2∼1.3 に調整する。
○ 設定値の変更/機種・容量が違う場合のローテーションの見なおし等、ビルの負荷
特性に合わせた台数制御の再調整をする。
○ ビルの負荷特性に合わせた手動によるこまめな調整、手動運転を行う。
○ 冷水出口温度は中間期に設定温度を上げる。
○ 温水出口温度設定は冬期に設定温度を下げる。
3)搬送動力の節約
○ 冷温水量の変更、可能な範囲での大温度差化をする。
○ ビルの負荷特性に合わせた台数制御の再調整をする。
○ 中間期に冷却水量を絞る。
○ 空調機の送風量を削減する。
○ VAV 方式の場合の送風温度の変更:最低送風量の設定の変更、送風温度設定を下
げる。
○ 消耗品交換時に省エネベルトを採用する。
○ 施設部位に応じた運転制御方式により、搬送エネルギーの最小化を図る。
29
4)給水設備の効率化
○ 雑用水の一部としての雨水又は排水処理水の利用により、節水する。
○ 使用済みの水の再利用に努める。
○ 雨水貯留タンクの設置などにより、雨水の利用に努める。
○ 節水型トイレを採用する。
5)電気設備の効率化
○ 水銀灯安定器ランプの高効率化を図る。
○ 誘導灯の高輝度化を図る。
○ 照明器具にインバータ安定器を採用する。Hf タイプ蛍光灯と併用でより効果的に
なる。
○ 昼光や人感センサーによる自動点滅化を図る。
○ 電力負荷により変圧器容量を見直し統廃合する。
6)建物関係その他
○ 建物の正圧、負圧の管理をしてエアーバランスの適正化を図る。
○ エレベーターの適正運転管理を行う。
○ 自動販売機の夜間停止及び照明消灯など運転の適正管理を図る。
7)機器の保守管理
○ 外部業者により行われる定期保守点検の実施内容を把握する。
○ 照明やインバータ装置など、設備機器の劣化判定基準を決め、エネルギー効率の低
下予測、消耗品類の取り替え時期などの判定を適切に行う。
8)適正な運転管理が可能なシステムの構築
○ 計測・記録、保守、点検について項目を決め、管理値・標準値などを設定する
○ 省エネ活動組織の体制を確立し、電力、燃料等について過去の実績をもとに用途別
に使用量を設定する中期目標も設定する
○ 毎月の電力量と電力原単位、燃料の使用量と原単位などを一覧表にしてグラフ化し、
目標と対比して差異の原因を追求して改善を図る。
○ 電動機の空転防止、空調基準温度の遵守等全員参加により省エネに関する改善提案
制度を実施する。
○ 活動の成果はグラフ化して掲示し、ミーティング等により職員の意識の高揚を図る。
○ 主要負荷設備ごとに、記録電力量計等を設置して電力使用量を把握する。
○ 主要負荷ごとに電力を計測して日負荷曲線を求め、省エネルギー対策の資料とする。
30
○ 計測器を設置し、用途別のエネルギー使用状況を把握する。
○ 空調設備、照明設備などの主要設備毎に計測機器を設置して電力使用量を把握する。
○ 日常の保守・点検記録の、マニュアルを作成する。
○ 各室内に温湿度計を設置して、過剰な温湿度にならないように管理する。
○ PDCA の管理を実施する。
○ 信頼性が高く、適正な運転管理が可能な管理システムの構築により、消費されるエ
ネルギーの最小化を図る。
31
(2)周辺環境保全(地域生態系保全・周辺環境配慮)
1)公害防止
○ 大気汚染や水質汚濁の少ないプロセス、機器を採用する。
○ ばい煙処理設備、排水処理設備等を適切に設置・管理する。
○ 大気汚染や水質汚濁などについて法令の基準より厳しい自主管理基準を設定する。
○ 低騒音型機器、防音・防振設備等を適切に設置・管理している。
○ 有害物質の種類、使用量、保管量、使用方法、使用場所、保管場所等を経時的に把
握し、記録・管理する。
○ 有害性のおそれのある物質の環境への排出量の計測、測定等を行う。
○ 有害性のおそれのある物質の表示を徹底する。
○ MSDS(化学物質安全性データシート)を使用する。
○ 有害物質の輸送、保管に際し、事故時の汚染防止のための準備や訓練をする。
○ 塩素系有機溶剤の削減、代替物質への転換に取り組む。
○ 近隣住民などからの公害苦情には、誠意を持って即時対応する。
2)緑化や美化の推進
○ 敷地内、壁面、屋上などの緑化を行う。
○ 道路沿いの緑化や生垣化に努め、緑のつながりを増やす。
○ 敷地内や事業所外でのビオトープ創出、海岸の自然の保全などに積極的に取り組む。
○ 市や地域で実施している美化活動に積極的に参加する。
32
(3)
適正使用・適正処理
1)廃棄物処理
○ 施設運用時の廃棄物の適切な処理に配慮する。
2)バイオマスの利用
○ 施設において発生する食品ゴミの適正な利用、再資源化の促進を図っていく。
(4)
その他(環境保全体制の整備など)
○ 事業に関連した最新の法規制等の変化に対応する手順・体制を整える。
○ 環境活動を担当する者、または組織を明確化する。
○ 環境活動に必要な作業手順や運用基準を定める。
○ 委託契約等に際して環境配慮の条項を加える。
○ 従業員に環境問題の認識を深めるための環境教育を実施する。
33
参考資料
市の環境配慮指針では、地球温暖化対策実行計画の目標達成にも資するよう、特に省
エネルギーの推進に重点を置いています。
ここでは、省エネルギーに市職員が取り組むための意義や、望ましい建物単位でのエ
ネルギー管理などについての概要を、(財)省エネルギーセンター発行の「ビルの省エ
ネルギーガイドブック」から抜粋してご説明します。
(1)
省エネルギーの意義
地球環境保全
への貢献
エネルギー節減は温室効果ガスの発生抑制につながります。
組織のメリット
(1)運営コストの節減:エネルギーコストが低減し、経費削減に直接
寄与します。
(2)建物のイメージの向上:経費比率の小さいビルはその機能価値が
高く評価されます。
法の遵守
「エネルギー使用の合理化」に関する法律(第 4 条)では「エネル
ギーを使用する者は、基本方針の定めるところに留意して、エネル
ギーの使用の合理化に努めなければならない」とあり、すべてのエ
ネルギー使用者に努力を求めています。
34
(2)
日本の部門別二酸化炭素排出量の推移
出典:2005 年度(平成 17 年度)の温室効果ガス排出量速報値について
<民生業務部門のエネルギー消費推移>
産業部門が概ね横ばいで推移する一方、民生・運輸部門は大幅に増加しています。
35
(3)
省エネルギー活動フロー
36
(4)
エネルギー管理体制
取り組み体制の確立とPDCAサイクルの実施
37
(5)
エネルギー管理体制
(財)省エネルギーセンターでは、平成 9 年度(1997 年度)から 17 年度(2005
年度)にわたって実施した「ビルの省エネルギー診断サービス」で得られたデータ及び、
平成 13 年度に第 2 種エネルギー管理指定工場相当のビルを対象に実施した「省エネ
ルギー実態調査」のアンケートの回答データをまとめ、ビルの用途別に「エネルギー消
費原単位」をグラフ化している。以下にその結果を示す。
○
ビル用途別原単位平均
○
ビル用途別消費先比率(庁舎)
38
(6)
省エネルギーの着眼点
39
(7)
省エネルギー提言項目
40
(8)
「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の体系
41
浦安市環境配慮指針
−市の事務事業編−
−市の公共施設の運用編−
浦安市環境部環境保全課
〒279-8501 千葉県浦安市猫実一丁目 1 番 1 号
Tel 047-351-1111(代表)
市のホームページ http://www.city.urayasu.chiba.jp
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