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ロジテックのリモート

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ロジテックのリモート
特集:顧客中心型経営を実現するCRM戦略
特集記事
3
先進事例にみるフィールドサービスシステムの活用と
定着化への取組み
【 お客様 】
・ 依頼
(修理/点検/設置)
・ 問合せ
(使用方法/契約情報)
コンタクトセンタ
一次対応
・ 指示受け
・ 作業計画
・ 現場作業
・ 経過通知
・ 報告書登録・
出力
・ノウハウ検索
小林 夏代
統合コンタクトセンタ
システム
・ 一次受付
・ 問合せ入力/回答
・ 修理依頼受付
・ 拠点へ通知
・ 作業進捗確認
保守員
原材料の高騰,熾烈な価格競争,製品における長
期使用化は,製品販売での収益性を圧迫しており,
売るまでの勝負から,売ってからの顧客対応力での競
争優位性とサービスでの収益性が求められています。
更に消費者の安全・品質への意識は高まり,消費生
活用製品安全法の改正をはじめとした法的義務付けな
ど,企業における顧客サービス力の更なる高度化が必
然となっています。当社のフィールドサービスCRMソリ
ューションでは,アフターサービス業務の一環した取組
みにより,従来のチャネルの壁を越えて最終顧客や納
入機器を的確に長期的に捉え,現場負担をトコトン減
らしながら顧客対応の上質化を目指し,的確な事前点
検・予防保守,気付きの情報提供により事故の未然
防止につながる「攻めのメンテ」を提供する仕組みを
お客様に提供しています。
ィールドサービスシステムに求められていること
1 フ〜事例に見る高度化サー
ビスシステムの実現〜
今日,顧客中心型経営で,サービス事業への期待が高ま
っているにも関わらず,アフタサービス領域のIT 化は遅れて
います。
長年,現場の技術と経験で支えてきた業務を「生かし」
,
組織的な顧客対応と一貫したサービスを可能とするシステム
が今まさに必要とされています。
② 確かな情報と気付きの情報で応対の質を上げる
「統合顧客情報」はコンタクトのあったお客様,機器の的
確な特定を行い,また,故障の要因特定や部品手配を行う
うえで有効な情報となります。対象機器の品質対策や契約
の有無といった情報は,取るべきアクションの「気付き」を
与え,迅速かつ効率的な対応につながります。このように,
各業務シーンで必要な情報が,どのタイミングで必要なのか
ということをシステムに組み込むことは,応対の質の向上に
大きな影響を持つものと考えています
(図 1)
。
③ 現場で使えるフロントシステムの仕組み
保守契約に基づく定期点検を点検計画から月間予定とし
て自動生成したり,月間予定表からほかの作業・活動・ス
キルなどを一目でわかるようにしながら,保守員のアサイメン
トを簡単なオペレーションで行えるようにする仕組みは,確
実な点検・作業や予防対策を行うだけでなく,多量な作業
① 最終顧客を的確に捉える
を扱うサービスセンターの負担を削減することが可能です。
継続的な顧客との関係維持とサポートを行うためには,
現場の保守員は携帯電話を使って顧客の情
最新の顧客
・保有機器
・関連情報
報を確認しながら作業を行ったり,QRコード
修理受付
保守員 アサイン
保守員準備 報告
受注
把握
出荷
を使った使用部品・作業登録やステータス更
契約
統合顧客
新をすることで,迅速・簡単・確実に報告す
情報
修理
ることを支援します。これは同時に他部門から
顧客からの
顧客特定
現 象
保守員
Input
催促や
機器特定
スケジュール
追加情報
の現場状況の見える化にもつながります。そ
れぞれの現場でITを使うことによるメリットを
・保証期間
現象と
・現状の保守員
・作業ガイド有無
・最新の顧客コンタクト
情報システム
・次回訪問予定
・
契約有無
対象の
予定
・
作業事例有無
・
請求先
が与える情報
・他納入機器
感じる仕組み作りは,その後の情報活用に重
・対策有無
マッチング
・対応スキル
・前回作業内容
・特別な報告先
要なポイントです。
「気付き」
の内容
発生時対策がある?
現象と一致している?
サービス受け権利あり?
受付担当者
効 果
p!
効率 U
目で「有/無」がわか
るので,無駄な画面
操作が不要。
近々の訪問予定?
次回点検は?
同一設置先には?
ディスパッチャー
スキル/スケジュー
ル変更可能か?
前回作業に申し送
り事項がないか?
同時の対応が望ま
しいほかの機器は
ないか?
実施する作業に事例
やガイドがあるか?
保守員
!
!
!
p!
p!
CS Up
CS Up
CS Up
効率 U
効率 U
「発生時」品質
予定している点検
同一機種は,合
事 例 やガイドの
・申し送り事項への対
対策の確実な
作 業も同 時に実
せて対応。お客
「有無」が一目で
応を忘れない。
対応。
施し,訪問回数を
様の「またか」
を
わかり参照できる。 ・最新状況を踏まえた
削減。
防止。
対応。
図 1 取るべきアクションの「気付き」を与える仕組み
8
訪問時の対応は
適切か?
「東芝ソリューション テクニカルニュース」2008年秋季号 Vol.15
④ 継続的なアフター業務改革のためのデータ
提供
単なる業務の機械化だけではサービス事業
への期待にこたえる仕組みとは言えません。継
続的なアフターサービス業務の改革を支える
KPIデータを収集する仕組みとして捉え,業務
設置機器
サービス部門(拠点)
・ 製品品質情報管理
・ 市場対策依頼
業務
保守員
ディスパッチ
サービス
リクエスト
サービス
リクエスト
・ KPIマネジメント
・ 経営意思決定
スキル管理
お客様
作業報告
作業実績管理
納入機器情報
契約
サービスリクエスト
コール情報
対策指示
請求
障害対応
設置指示
レポート
点検予定
リモート
品質
受注
時間
部品
経費
作業
予定/実績
サービス
リクエスト
・リモートメンテナンス
機器稼動情報収集/分析
異常値監視
予防保守
経営トップ
FS-SQUARETM
・サービスマン割当・通知・指示
・ 活動管理
ma-SQUARETM
(修理/点検/販促/設置/見
積他)
・ 解決策登録
・ 部品/在庫管理
営業部門/販社
・クレーム管理
(VOC管理)
・ 契約管理
(見積・定期点検)
・ 受注→設置依頼
・ 請求管理
サービス
・ 保守契約→点検依頼
リクエスト
・ 提案
(新製品/リプレース
/増設)
・ 状況把握/フォローアップ
品質管理部門
システム/仕組み
【 関連部門 】
技術スタッフ
問合せ
履歴
サービスモバイル
(オンラインアクセス,QR読取) ・ 作業依頼受付
正確な顧客と設置機器の把握が必要ですが,代理店販売
を中心とする企業においては,出荷時にエンドユーザを把握
できない課題があります。この場合,出荷後の保守契約や
サービス情報などの接点情報から取得した顧客や機器情報
を利用し,流通顧客
(代理店など)
と識別して顧客情報を統
合
(名寄せ)
し,最終顧客を軸として情報を一元的に捉えら
れるようにすることが必要です。更に新たなコンタクト機会を
作り,最新情報を得て,顧客情報の鮮度を向上させる取組
みも,長期サポートを行ううえで重要になってきます。このよ
うにして得た「統合顧客情報」は,例えば品質対策
(リコー
ル)
時に漏れなく対象顧客を抽出することを可能とするなど,
フィールドサービスの重要な顧客情報基盤となります。
【 フィールドサービス提供部門 】
CT-SQUARE
解決策管理
パーツ手配
オーダー
定期保守/
点検管理
保守契約・作業
見積
技術/開発部門
・ 技術支援
・ 不具合傾向分析
・ 製品/マニュアル改善
パーツセンタ
(物流・倉庫)
・ 在庫管理
・ 物流管理
品質/市場対策
リペアセンタ
リモートメンテ
ナンスシステム
品質情報
リモート
監視
統合顧客
情報参照
CDi-SQUARETM
販売実績
出荷
契約
統合顧客
DB
・ 部品修理
・ 部品調達
・ 品質管理
お客様情報統合
ターゲットリスト
売上
求償
在庫
図 2 当社ソリューションがサポートする保守サービス業務の全体像
の現状値の詳細把握
(計画/予定/実績など)
,改革のポイ
ント発見・抽出,更なる業務改革の実施というPDCAサイク
ルを循環させることがシステムの重要な役割となっています。
現場に根付く活用と定着化への取組み
前述ようなシステム導入を行っても現場に活用されなければ
成功への一歩を踏み出すことはできません。以下に当社ソリュ
ーションの導入事例より,
業務の取組みについてご紹介します。
オリンパスメディカルエンジニアリング様では,
「ユーザの
増加によるオンコールの増加やそれに伴うオンサイト修理,
予防点検の増加により解決状況や手配品準備の把握が難し
くなったこと」
,
「製品の多様化,高機能化により問題解決
手段に対するサポートシステムの必要性が増したこと」を背
景に,システムの導入を決定されました。活用のポイントは,
ベースを「教育」で徹底していることです。開発段階から計
画を立て,戦略,思想,目的が充分理解されるように,利
用者との意識合わせを漏れなく行い,利用者自らが講師,
マニュアル作成を行い,更に,ケーススタディ方式で実業務
での状況判断とシステム利用シーンを具体化して実践してい
ます。また,階層別の研修を継続的に行うことにより,それ
ぞれの立場・視点での利用方法を知り,機能活用につなげ
ます。もう一つのポイントは,効率化を追及したシステム機
能提供とハイパフォーマ経験知のコラボレーションです。重
要問題に発展し得る修理受付情報の件数,未解決時間,
お客様の状態,製品の重要度などをハイパフォーマの対応
を観察,分析して,警戒範囲をパラメーター設定し,対応
の働きかけを通知
(気付き)
しています。
「システムで類似受
付検索や解決策・診断必要情報提供機能を実現すると同
時に,確認情報への導線を訓練することで,初期診断の質
が向上しました。また,作業指示に『誰が』
『何をしなけれ
ばいけないか』
『判断基準は何か』が示され,組織対応能
力の全体底上げによる重要問題化防止が実現できていま
す。
」とサポート室企画システムグループリーダー福永様はお
っしゃっています。
IHIロジテック様は,無停止運転の確保を目的とし,リモ
ート監視システムによる異常・稼動監視と,点検・保守契
約管理業務を連携して「停止させない事前処置」
「停止時も
短時間回復」を実現しています。また稼働状況から中期保
全計画をお客様に提案して,改修工事につなげ,アフター
サービス情報を次のビジネスへ活用しています。当初はサー
ビスのみに利用していたものを初期建設作業にも同システム
を活用し,
更に「全社共通の価値ある財産として活用すべき」
と営業部門にも展開し,システム稼動から8 年をかけて,な
おも成長し続けています。
「利用者の中には,インプットする
ということに抵抗のある方もいたが,同じ作業情報を流用デ
ータとして,後は変更点だけを入力してもらえればほかの手
作り資料の作成から開放され,この地道な運用に得を見出
すことができる。そのために全員で使い勝手を何度も検討し,
情報システム部が現場に根気良く付き合い,慣れるまで使
い続けたことが成功の秘訣」と情報システム部 辻田様はお
っしゃいます。
当社が提供するフィールドサービス
CRMソリューション
このようにフィールドサービス業務とひとくくりに言っても,
企業毎に取り扱う製品特性や長年築いてきた現場の業務や
こだわりがそれぞれに存在します。当社のフィールドサービ
スCRMソリューションは,様々な情報源から発生するサー
ビスリクエスト
(要求)
を一元的に捉え,一貫してサポートす
る仕組みをシステム機能はもちろんのこと,多くの事例から
お客様の業務業態にカスタムフィットさせて提供できることを
強みとしています
(図 2)
。
Profile
小林 夏代 Kobayashi Natsuyo
業務ソリューション事業部
クロスインダストリーソリューション部
CRMソリューション担当 参事
CRMソリューションのプリセールスとコンサルティングに従事。
「東芝ソリューション テクニカルニュース」2008年秋季号 Vol.15
9
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