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剣道を通じた国際交流

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剣道を通じた国際交流
人間科学部心理学科
HP24‐0003E
今岡 帆乃美
剣道を通じた国際交流
1
はじめに
私は専修大学の国際交流奨励制度を利用し夏季休暇中にオーストラリアの西部にあるパ
ースという町へ行きました。きっかけは学生のうちに海外に行きたい、それも旅行ではなく
自分の人生の中でためになるような経験をしたいという思いが浮かんだことからでした。
しかし経済的にも海外に行くという余裕がなく、語学のためだけに初めての海外に行く気
にはなれませんでした。
しかしある日、高校の部活動に稽古しに行った時、OB の先生がいらっしゃいました。そ
こでふと、毎年先生がパースへ剣道をしに行っているというお話をなさっていたことを思
い出しました。その時、私の中に海外の剣道は日本と何か違うのだろうかという疑問が浮か
び、海外で剣道をしたいと思い始めました。すぐに先生にお話を伺ったところ、先生はすぐ
快く同行することを許可してくださり、さらに金銭面やプランなどの段取りを周りやパー
スの友人とかけ合ってくださいました。そこに加えて、専修大学の国際交流奨励制度を利用
することにより、初めての海外で、剣道通じた国際交流を目的にパースへ向かうことができ
たのです。
2
稽古スケジュール
8月9日
出発・移動
8 月 10 日 到着
パース桜剣道クラブで子供たちと稽古(後に一般の稽古)
パース桜剣道クラブの子供たちと稽古
同道場にて一般稽古
8 月 11 日 聖文館で稽古
8 月 12 日 カーティン大学にて豪心会稽古
8 月 13 日 稽古無し
8 月 14 日 レイマン宅の道場にて稽古
マードック大学にて豪心会稽古
レイマン宅にて稽古
マードック大学稽古
3
言語について
やはり一番苦労したのはこういった言葉の壁でした。ですが、何のためにここに来たのか
を考えてみれば、いくら下手くそな英語でも、たくさん会話をして交流をして、日本から来
た学生として誇りを持って剣道することが今の自分にできることなのではないかと考え直
し、一生懸命コミュニケーションを図りました。
すると、しばらく話していると向こうの方々も理解しやすい簡単な英語を使ってくれた
り、逆に日本語を教えて欲しいと言われ、語学の面でも交流もすることができ、楽しく英語
を勉強することができました。
分かりやすい英語を身振り手振りで伝えてくれました
4
剣道について
パースの剣道関係の方々は、全員、今回同伴させてくださった先生のことを心から慕い、
尊敬していました。そして剣道に対する取り組む姿勢や、先生方など周りへの配慮は日本人
よりも上のように感じました。それに比べて私は言葉も堪能でなく新しい環境に緊張して
動けずにいて、
「もっと思ったことが伝えられればいいのに。
」と勉強不足な自分自身が情け
なかったです。逆に自分がその時一番自信を持って取り組めることは剣道くらいしか無か
ったので、一生懸命稽古に励みました。
パースの人達の剣道は、皆さん男女問わずパワフルで、力強い剣道をする人が多い印象が
見受けられました。向上心が高く、先生方からのアドバイスを熱心に聞いている様子や、取
り組み方が日本よりも一生懸命なのではないかと感じました。稽古ができる場所や、防具の
数などがとても限られているので、一回の稽古にかける集中力もひしひしと伝わってきま
した。子供や、大人でも初心者の方がたくさんいて、オーストラリアに剣道が広がりつつあ
るのだなと感じました。
たくさんの人が稽古に参加していました
左にいる男性のように初心者の方は稽古の様子を熱心に見学していました
大学の体育館を使って稽古を行いました
日本同様に子供達からご高齢の方まで広い年齢層にわたって稽古していました
5
現地について
オーストラリアには様々な国籍の人達が住んでおり、基本は英語ですが様々な訛りのよ
うな変化が見受けられました。また、剣道関係の方々のお家にお茶に招待していただいたの
ですが、自分の出身の国の風習を家にも取り入れているという場面も見受けられました。
当時、現地は冬でしたが少し肌寒いくらいで気温の変化はそれほどなく、雨季でよくぱら
ぱらと雨が降り、スコールに見舞われたこともありました。しかし日本よりは乾燥している
ので、過ごしやすく剣道もしやすい気候でだと感じました。
また、お店が閉まるのが早く、夜中はほとんどの店が閉まっており、24 時間営業という
店はほぼ見られませんでした。話によると、パースの人達のお仕事は、朝早く始まり夕方に
終わるそうです。理由は、家族とゆっくり過ごせるようにするためだそうで、剣道をする人
達も仕事終わりすぐに稽古をして、あとはゆっくりと家族との時間を過ごすといいます。残
業や 24 時間勤務といった日本とはこういった点においても大きく違っていると感じまし
た。
6
まとめ
今回の旅では先生方や先生の友人などたくさんの大人の方々が同伴してくださり、現地
の剣道関係の方々は移動で代わる代わる車を出してくださって、たくさん観光や、おいしい
ご飯のお店に連れて行ってくださいました。現地には「豪心会」という大きな剣道の会があ
るのですが、そのトップであるブライアンが最後に「このコインを見て、少しでも我々やパ
ースのことを思い出してください。
」と、特注の記念貨をわたしてくれました。
先生についてきて、言葉も堪能ではないし、おどおどとして剣道しかできない私達を快く
受け入れてくださり、パースの良いところをたくさん教えてくださって、また是非来てほし
いと最後に声をかけてくださって、初めての海外でこんなに素晴らしい経験ができて本当
に幸せだと感じ、涙が止まりませんでした。
特注の記念貨
7
今後
今回の旅には先生に剣道を教わってきた者は私含め 6 名いました(うち大学生 4 名)。実は
先生も自身の恩師によってパースとの交流が始まったようです。そのため、先生はこれから
もこうしたパースとのつながりを続けていくつもりでもあるし、私たちのような教え子達
にも受け継いで、積極的に交流を深めていきたいとおっしゃいました。
私自身も、もっと英会話を学習して、再びパースに行き、もっとたくさんの方々と剣道を
して、さらに交流を深めたいと思いました。今回はそういった今後にもつながっていくであ
ろう交流のきっかけとなる旅になりました。
左:キングスパークから観た都心の夜景
右:宿泊したアパートの前の池に住む黒鳥の親子
左:ビーチには人が泳いでいました
右:ガバシャム動物園ではコアラを見て、カンガルーとワラビーに触れました
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