...

PDF形式 :387KB

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

PDF形式 :387KB
消費者委員会
公共料金等専門調査会
第13回議事録
内閣府消費者委員会事務局
消費者委員会
公共料金等専門調査会(第13回)
議事次第
日
時:平成27年8 月11日(火)13:58~15:53
場
所:消費者委員 会大 会議室1
出席者:(委員)
古城座長、井手座長 代理、古賀委員、陶山委 員、松村委員、
矢野委員、山内委員
(消費者委員会担当 委員 )
橋本委員
(説明者)
一般財団法人
電力 中央 研究所
佐藤
主任 研究 員
(事務局)
消費者委員会
消費者庁
議
黒木 事務 局長、小野審議官、丸山 参事官
福岡審議 官、岡田消費者調査課長、石 井企画官
事:
1.開会
2.議事
電力小売自由化 にお ける諸外国の現状と 課題 について有識者ヒア リン グ
一般財団法人
3.閉会
電力 中央研究所
主任研 究員
佐藤佳邦氏
≪1.開会≫
○丸山参事官
それ では 、定刻よりもち ょっと早 いですけれども 、本日お 集まりいただきます 予定
の委員の方、おそろ いで すので、始めさせて いた だきたいと思います 。
本日は皆様、お忙しいと ころをお集まりいた だき まして、ありがとうござい ます。ただいまから、
「消費者委員会第13回公 共料金等専門調査会 」を 開催いたします。
本日は、所用に より蟹 瀬委員、白山委員 、消費 者委員会担当委員の 岩田 委員、山本委員が 御欠席
という御連絡をいた だい ております。
それでは、議事に 入り ます前に配付資料の 確認 をさせていただきま す。
今、お配りさせ ていた だいております資料 は、配付資料一覧のとお りに なっております。不足の
資料がございました ら、 お申し出いただけれ ばと 思います。
なお、本日の会 議につ きましては、公開 で行い ます。議事録につ きまし ては、後日公開す ること
といたします。
それでは、古城座 長、 議事進行のほうをよ ろし くお願いいたします 。
≪2.電力小売自由化における諸外国の現状と課題について有識者ヒアリング≫
○古城座長
それで は、本日の議題に入らせ てい ただきます。本日 の議題 は「電力小売自由 化にお
ける諸外国の現状と 課題 について有識者ヒア リン グ」です 。電力中央研究 所 の佐藤主任研究員にお
越しいただいており ます 。佐藤主任研究 員は、諸 外 国の電力自由化後の 現状 と課題などについて研
究されており、本 日は「 電力自由化における 諸外 国の現状と課題につ いて」、お話いただ きたいと
思います。その後 、諸外 国での電力小売全面 自由 化の経験から示唆さ れる 、消費者参画の機 会の確
保、及び消費者保護 のあ り方について意見交 換を 行いたいと思います 。
それでは、佐藤主 任研 究員、御説明をお願 いい たします。40分程度 でお 願いします。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
初めまし て、電力中央研究所の佐 藤で ございます。よ ろしくお
願いいたします。本日は 、このような御報 告の機 会とお時間を頂戴で きた こと、まことに感 謝申し
上げます。ありがと うご ざいます。それでは 、以 下、座ってお話させ てい ただきます。
本日、「EUの電力小売 自由化後の規制料金 とイ ギリスの家庭用需要 家保 護策」というタイ トルで
御報告申し上げます。私 は、現在の所属先 におき まして、電力自由 化等に 関連いたします法制 度面
の調査等をやってお るわ けですけれども、その中 で、我が国でも2016年4 月1日から、御案 内のと
おり電力の小売全面 自由 化がなされるわけで すけ れども、自由化の後に需 要 家を保護するためにど
ういった制度が要る のか ということを、かねてよ り 興味を持って調査し てま いった次第でありま す。
本日は、その中から 関連 するものとして、以 下、 御説明をさせていた だき たいと思います。
前半と後半にざっ くり 分かれておりまして 、前 半が「EUの電力 小売自由 化後の規制料金の現 状と
課題」とさせていた だい ております。これは 2ペ ージ以降です。
めくっていただい て3 ページをご覧くださ い。
1
EUでは、電力の 小売自 由化が既に実施され てお りまして、EU加盟 国では 、電力、そして ガスの小
売全面自由化を既に 実施 しております。ここで言 う 小売の全面自由化と いう のはどういうことかと
い い ま す と 、 既 存 の 供 給者 、 ヨ ー ロ ッ パ で は 国 営の 会 社 が や っ て い た 例 が多 い わ け で す け れ ど も 、
これによる地域独占 を撤 廃いたしました 。需要家 に対して供給者選択 、つ まり既存の事業者で もい
いし、新たに入 ってきた 新規参入者でもいい し、いずれかを自由に選 択す る権利を与えましょ うと
いうのが、ヨーロッ パ大 での方向性になって いま した。
ヨーロッパでは 、下に も出てきますけれど も、こういう指令、英 語では ディレクティブと申 して
おりますけれども 、ディ レクティブの形でEUの各 加盟国に義務づけま して 、加盟国は全面 自由化を
絶対にしなければいけな いという制度になっ てお ります。その全 面自由化 、日本では2016年4月1
日からになっており ます けれども、ヨー ロッパで はそれよりかなり先 を行 っておりまして 、例えば
ドイツではEUに命じ られ る前の1998年に全面 自由 化を実施しておりま すし、イギリスでも1999年に
家庭を含めた全面自 由化 を実施しております 。
EU大ではどうかと 申し ますと、2007年7月1日 ま でにEU加盟国は全面 自由 化を絶対に実施しなけ
ればならない。も ちろん 、EUは大小いろい ろな国 がありますので、一部の 非常に小さな国に関 して
は例外規定があった ので すが、原則として、ここ ま でには全面自由化を しな さいとなっておりま す。
ちなみに、EUでは電 力と ガス、同じ日、2007年7 月が全面自由化期限 でご ざいました。
例えばフランスは 、最 後まで全面自由化し てい なかったわけで 、2007年 7月に合わせて家庭 用も
含めた全面自由化を 実施 いたしております 。した がって、後で出て きます けれども、EUでは この全
面自由化の実施から 少な くとも8年はたって いる ことになります。
3ページの一番下 です けれども、EUの加 盟国で は、自由化した後 も、つ まり供給者選択の自 由が
与えられた後も規制 料金 が存置されている例 が多 うございます。それが4 ペ ージに示してございま
して、EU加盟国にお ける 電力小売規制料金の 現況 と書いております。
EU加盟国とノルウ ェー 、ノルウェーと いうのはEUと一緒に語られるこ とが 多いので、ここ に載せ
ておりますけれども 、合 計の29カ国のうち15カ国 、半数以上がい まだに電 力自由化後も家庭用 の規
制料金を存続させて いま す。全面自由化 と言うか ら、自由化後は 規制料金 もすぐに撤廃される のか
と い う と 、 そ う で は な くて 、 実 際 に は こ こ に 載 せて い る 国 が ま だ 規 制 料 金を 残 し て い る 。 こ れ は 、
EU指 令 に あ る 公 共 サ ー ビ ス 義 務 と か ユ ニ バ ー サ ルサ ー ビ ス 義 務 と い っ た 規 定 が 根 拠 に な っ て お り
ます。
こういった規制料 金を 存続させている国で は、多 くの需要家がこの規 制料 金に残ったままになっ
ています。この 下の表に 載せておりますけれ ども 、ベルギーはち ょっと特 殊で8%になってい ます
け れ ど も 、 ブ ル ガ リ ア 、ク ロ ア チ ア 、 キ プ ロ ス 、デ ン マ ー ク 、 フ ラ ン ス と書 い て い ま す け れ ど も 、
こういった規制料金 を残 している国では 、まだま だ多くの需要家が規 制料 金に残っていて 、新規参
入者等の自由な料金 、我 々、自由化料金 、自由料 金などと言っていま すけれども、これに移 ってい
る需要家はまだまだ 少な いということであり ます 。
規制料金を撤廃し た国 は、実は最近ふえ ていま す。例えば最近で すと、この中に書いてある エス
トニアとかギリシャ とい った国が規制料金を2013年に撤廃しました。2014年 に撤廃した国がどこか
2
あったか、まだわ かって いないですけれども 、徐 々には動いているけ れど も、まだこれだけ 残って
いるといった状況で ござ います。
一 番 下 の ポ ツ を 見 て いた だ い て 、 規 制 料 金 と いう の は 需 要 家 保 護 を 基 本的 に 目 的 と し て い ま す 。
ところが、規制 料金が残 っているために 、需要家 による供給者選択と か小 売競争の進展ぐあい に影
響するので、EUでは かな り問題となっている と認 識しております。
資料を反転させて いた だいて5ページをご 覧く ださい。規制料金をめぐ っ てEUが直面する課題と
書いてございますが 、先 ほども申したように 、多 くの加盟国、現在 では15カ国ですが、EU大 での小
売全面自由化実施期 限で あった2007年7月か ら8 年が経過した今も、規制 料 金撤廃を決断できてい
ないというのが現状 であ ります。
決断できていない と、ややネガティブな書 き方 をしてしまいました が、どうしてかというと 、背
景にはどうやら政治 的な 判断が各国ごとにあ るよ うでございまして、自由 化 を実施した2007年の後
に1次燃料価格、石油の 価格等が上がったこ とも ありまして、卸の 電気料 金が上がったので 、勢い
小売も上げざるを得 ない となったわけですが、そ う すると各国で需要家 から の反発があるというこ
ともあって、各国、 政治 的にそれをなかなか 決断 できない状況がある やに 聞いております。
規制料金による競 争へ の影響の悪循環と書 いて ございますけれども 、競 争がある程度発展・進展
したら規制料金を撤 廃し ようということにな って いるのですけれども 、① に書いていますが 、自由
化直後はまだ新規参 入の シェアが低くて、既存 の電 力会社・ガス会社のシ ェア が高いということで、
そうなると、②で 、競争 はまだ十分じゃない と判 断されるということ で、③で、規制料金は まだ維
持しましょうという こと になる。時に 、それは原 価を割り込んだよう な価 格でさえ、規制料 金がセ
ットされるとなると、結局 、①に戻って、自由化後も まだ新規参入が発展 して いないということで 、
このサイクルからな かな か抜け出せていない のか なと思います。
これは、卵が先 なのか、鳥が先なのかと いう話 ですが、ヨーロッ パの何 カ国かを見ていると 、こ
ういう状況にあるな とい う気がいたします。
また、規制料 金を撤廃 した後にも需要家保 護の 措置が求められてい ると いうのもありまして 、こ
れについても少し触 れた いと思っています。
6ページですけれ ども 、欧州委員会等 による規 制料金撤廃圧力と書 いて いますけれども 、欧州委
員会というのはヨー ロッ パ、EUにおける行政 機関 とお考えください。
EU大では、小売 規制料 金の撤廃を求める動 きが 強うございます。例えば 欧州委員会自身は、加盟
国にその規制料金の 早期 の撤廃を求めていま して 、EU法違反だと 判断でき たら、各加盟国 を欧州の
司法裁判所がござい ます けれども、こち らに提訴 するぞということも言っ ていますし、エ ッティン
ガーEU委員、これ は当時 ですけれども、エ ネルギ ー担当のEU委員の方 が、多くの加盟国が電気 料金
を政治的に利用して いる 。規制料金の存 続は誤り だというスピーチを しま して、早く規制 料金を撤
廃せよと言っていま す。ただ、加盟国とし ては、まだ競争が十分に発 展し ているとは言えない よう
な状況で、一気 に規制料 金を撤廃することも なか なか決断できないの で、この辺は痛しかゆし なの
かなと思っています 。
②に、ACER/CEERと書 い ていますが、これは欧 州大 の規制機関だったり する わけですけれども、こ
3
ういったところは規 制料 金によって小売競争 の進 展が妨げられている とし て、その撤廃を要求して
います。
あと、EUの司 法裁判所 も、これはイタ リアのガ スの小売規制料金に つい て法的な問題があっ たの
ですけれども、こ の中で 、規制料金の存続 は、EU法上、需要家保護 に必要 最低限度に限りなさ いと
いった法律の観点か らの 判断も示しておりま す。
ということで、以上、規制料金を存続する こと に対して批判が強くて、撤廃を求める動きが 強い
と申したのですが 、一方 で欧州の需要家団体 など からは、規制料 金をまだ 存続してくださいと 求め
る意見も強うござい ます 。BEUCというの は欧州大 の需要家団体ですけ れど も、規制料金の 撤廃とい
う方針自体は賛成だ けれ ども、小売市場 の競争が まだ十分でないので 、十 分に進展するまでは 規制
料金は需要家保護の ため に必要じゃないです かと いうことを述べてい て、こ こはEUでもその議論が
続いているというの が現 在の状況でございま す。
めくっていただき まし て7ページです。規制料 金存廃に関する仏・独・英の比較と書いてご ざい
ます。これは、代表的と 言うと、別にこれ 以外の 国が代表的でないと言う 気はございませんが 、フ
ランス、ドイツ 、イギリ スが規制料金の存廃 に対 して、どういう態 度をと っているのか、そ の課題
はどういったものが あるのかと、ここに並べ てお ります。
まず、フランス は2007年7月1日に全面自 由化 を実施しましたけれ ども 、現在、自由 化後も既存
の 事 業 者 、 具 体 的 に は EDFと い う 会 社 で す け れ ど も、 こ ち ら が 規 制 料 金 プ ラン を ま だ 持 っ て い ま し
て、新規参入者と規 制料 金プランが競争して いる 状況にあります。
ドイツは△と書い てい ますが、基本的 に規制料 金それ自体は撤廃い たし ましたけれども 、デフォ
ルト料金と呼ばれる もの を採用しております 。こ れは何かと申します と、かなり狭い地域ごと です
けれども、これ はドイツ 語の訳なので堅苦し い言 葉になっております が、基本供給事業者とい うも
のを各配電地域ごと に指 名いたしまして、需要家 か ら求められた場合は デフ ォルト料金という料金
プランでの供給を義 務づ けるとしています 。ただ 、デフォルト料金 の高低 、水準自体は非規 制とな
っていまして、純 粋な意 味での規制料金では ござ いません。そうい う意味 で、先ほどの4ペ ージの
表では、ドイツ は規制料 金を撤廃した国に分 類さ れていると思うので すが 、デフォルト料 金制とい
うのは残ってござい ます 。
イギリスは1998か ら99年あたりにかけて全 面自 由化を実施したわけ です けれども、小売の規制料
金は2002年に撤廃い たし ました。そのか わり、全 て の事業者に対しまし て家 庭用需要家からの申込
応諾義務を課してい まし て、需要家が誰からも電 気 の供給を受けられな いよ うな状況にはならない
ようにしようという 制度 になっています。
フ ラ ン ス 、 ド イ ツ 、 イギ リ ス は 、 ざ っ く り と こう い う た て つ け に な っ てお る わ け で す け れ ど も 、
規制料金を存続とか 撤廃 したときの課題は何 かと いうことで、以 下、御紹 介 させていただきたいと
思います。
8 ペ ー ジ は フ ラ ン ス につ い て 書 い て ご ざ い ま すが 、 ペ ー ジ を ま た い で 申し 訳 な い で す け れ ど も 、
8ページと9ページ がセ ットになっておりま す。
今、フランスの家庭用需 要家は選択肢がざっ くり 言うと3つございま す。まず、①ですけれども、
4
既存事業者、EDF社の規制 料金プランで、これを90% の需要家が現在選択 して おります。2つ 目、既
存事業者(EDF)は自由 料 金、規制のかか っていない 料金プランも出して いる のですけれども 、これ
を選択している需要 家は ほとんどおりません。9 ペ ージのグラフで言う と見 えないレベルでござい
ます。最後がいわ ゆる新 規参入者の自由料金 、規 制のかかっていない 料金 でありまして、こ れを選
んでいる需要家が10%ぐ らいと言われていま す。
ちなみにここには 書い ていないのですけれ ども 、新規参入者の 自由料金 と書いていますが 、ここ
で言う新規参入者と いう のは、主にガスの既存事 業 者が電気とガスを一 括で 売りますよと入ってき
たガス会社だと言わ れて おります。
9ページのグラフ をご 覧いただければ、この新 規 参入者のシェアが徐 々に ふえてきてはいるもの
の、まだ10%程 度にとど まっているというの が見 てとれるかと思いま す。8年間で10%という こと
で、8ページの2 ポツで すが、現在も 、多くの需 要家が①の規制料金 にと どまっているという のが
フランスの特徴と言 えま す。その原因で すけれど も、規制料金の 水準が非 常に低いということ が指
摘 さ れ て お り ま し て 、 フラ ン ス の エ ネ ル ギ ー 規 制委 員 会 と い う の が あ る ので す け れ ど も 、 EDFの 家
庭用電気料金の改定 案は、原価割れになってい るの ではないか。つまり、EDF自身が赤字で供給して
いるのではないかと いう ことです。
そうなると、新 規の事 業者からすると、既存の 事業者が赤字のよう な形 で売っている以上 、参入
はなかなか難しいと いう ことになって、規制料金 の 存在が新規参入者の 参入 障壁となっているので
はないかという評価 があ ります。これが現在 のフ ランスから見てとれ るこ とになります。
続いて10ページ、 ドイ ツをご覧ください。
ドイツは、先 ほど申し ましたように規制料 金自 体は撤廃したのです が、デフォルト料金とい う誰
でも供給を受けられ る料 金は存置しているの です けれども、現在 、基本供 給 事業者がデフォルト料
金に残っているのは34% になっています。これも 次のページで申し訳ない ですけれども、11ページ
に書いてございます。青で 示しているのは、基本供給 事業者とされるもの のデ フォルト料金で、2013
年断面で見ると34% まで 下がっているという こと になりました。
次、ページが前 後して 申し訳ないのですが 、② の基本供給事業者の 自由 化料金(契約変更 )と書
いていますけれども 、こ れはグラフで言うと 赤の ところ。これは何 かとい いますと、もとも との地
域にあった事業者か ら供 給を受けているのだ けれ ども、デフォル ト料金で はない自由な料金 、非規
制の料金に契約を切 り替 えた人の割合が45% とい うことになっていま す。
最後がその他事業 者、ざっくり言うと新規 参入 者ですけれども 、これの 自由化料金で供給を 受け
る人が21%。グラ フで見 ていただくと、最 初は少 なかったのですけれ ども 、最近徐々にふえ てきて
いるというのが見て とれ るかなと思っていま す。
10ページの2ポツ です けれども、需要家 による、自由化料金への 切り替 えが、比較的進ん でいる
と書いていますが 、その 理由はいろいろ考え られ るわけです。ド イツの規 制当局の出している レポ
ートからのグラフを 張り つけていますけれど も、①のデフォルト料金とい うのが、ほかの 料金より
もやや高目に設定さ れて いまして、この 差をどう 見るかという面はあ ると 思いますけれども 、少な
くとも一番高い水準 にな っているので、ここから ② とか③への切り替えが比 較的進んでいると言え
5
るのかなと考えてご ざい ます。
以 上 が ド イ ツ が ど う なっ て い る か と い う 点 で 、次 に イ ギ リ ス は 規 制 料 金を 撤 廃 し て お り ま し て 、
全ての小売事業者が 自由 化料金で供給してお りま す。最終保障サービスに 相 当するような規制料金
も実は存在していま せん 。
ただ、課題とし て、過 去数年、家庭用の 電気及 びガス料金の相次ぐ 値上 げが家計への負担と なっ
ているような状況が ござ いまして、特に 低所得者層への影響が深刻だ と言 われております 。この点
については、後ほど後半 で述べさせていただ きま す。
イギリスは規制料 金は 撤廃したわけですけ れど も、何もしてい ないかと いうことはなくて 、需要
家を保護するために 幾つ かの公的な規制が入 って いて、これも後 で出てき ますけれども、値上げに
際しての事前の通知 義務 とか、低所得者層に対す る 特別の手当てといっ たも のがイギリスでは準備
されている状況にあ りま す。
で は 、 13ペ ー ジ 。 イ ギリ ス は 規 制 料 金 を 撤 廃 した と 申 し ま し た け れ ど も、 ど う し た か と い う と 、
2002年、規制料金 撤廃に 際して、規制当局 は、以 下を初めとする指標 を見 まして、こういっ た指標
を総合的に判断して 、規 制料金を撤廃しても いい でしょうという決断 を下 しました。需要 家側の指
標とか、供給者変 更に関 する指標とか、市 場シェ アとか価格・非価 格面で どういったオファー が出
ているか。参入障 壁はあ るのか。かなり経 済学的 な分析だと思うので すが 、こういった指標 を総合
的に勘案しまして、競争 が働いていると言え るの で、規制料金は 撤廃して いいのではないかと いう
決断を2002年に下し てお ります。
14ページですけれ ども 、イギリスは規制 料金を 撤廃したら、何も してい ないわけではなくて 、値
上げに対しての事前 通知 義務ということで 、過去 には料金値上げを実 施し ますという公表 、プレス
リ リ ー ス の 直 後 、 具 体 的に は 1 週 間 後 と か に い きな り 値 上 げ し た と い う 事例 が あ っ た よ う で す が 、
2011年3月から新た な規 制が入りまして 、値上げ を実施する場合には 、少 なくとも30日前まで には
通知しなさいといっ たこ とを義務づけたりし てい ます。実際、こ れ以降、イギリスの各事業者 、大
きな会社が6つあり ます けれども、おおむね40日 はあけているようで ござ います。
あと、低所得者 に対す る特別な手当があり まし て、2008年以降 、料金高 騰の影響を緩和する ため
の対策が、政治的・社会 的に要請されて実施 され た例がございます 。ただ 、これは実際やっ てみる
と、理論的な問題と か実 務上の課題が出てき たと いうことで、後ほど 御紹 介します。
英・仏・独からちょっと抜けていただきま して、15ページは、ヨーロッ パで供給者変更率が どう
かを紹介します。ここで言う供給者変更率と いう のは、過去1年間 に家庭 のどれだけが供給者 、電
力会社を変更したか を見 ています。この 数値をど う見るかはあるので すが 、ポルトガルの2013年が
特異に高いというの があ りますけれども 、高いと ころで10%程度で 、低い ところはほとんどな いと
いった状況がありま す。一般的にこの数字を 高い と見るか、低いと 見るか ですが、決して十 分では
ないといった評価が あり まして、それを解消する た めにヨーロッパでは いろ いろ議論されていると
いうことです。
16ページは、供給者選 択行動に影響を与え る要 因と書いていますけ れど も、例えば規制 料金の在
り方が問題になりま して 、先ほど申しまし たけれ ども、3ポツ目で すけれ ども、フランスは 規制料
6
金というもの自体が 非常 に低廉でございます ので 、家庭用需要家 からする と、わざわざ自 由料金で
ある新規参入者に切 り替 えるインセンティブ が全 くないということで、な か なか切り替えが進まな
いといった状況がご ざい ます。他方でド イツは、デ フォルト料金が自由 化料 金よりも高くなってい
るので、まだ切り替 える インセンティブがあ ると いうことです。
あと、規制料 金へ復帰 できるかどうかとい うのもありまして、フランス は現在は認められて いま
せん。つまり 、一度、既 存 事業者の規制料金か ら自 由料金に出てしまう と復 帰できないということ
で、なかなかリ スクが高 くて、それがで きないと いったことも供給者 選択 行動に影響を与えて いる
のではないかと思わ れま す。
17ページ、ちょ っと細 かく書いていますけ れど も、あと、実 質的な選択 肢があるかどうかと いう
のが家庭用需要家の 行動 に影響しています 。客観 的な供給者の数が多 い、つまりいろいろな新 規参
入者がいっぱいいる とい うことよりも、実質的に 変 更に足る選択肢があ ると 需要家が認識している
かどうかが重要と書 いています。向こうで の数字 を見ると、大手4 社のシ ェアが高い。つま り、あ
る程度信頼できそう だと 需要家が思う会社 。小さ い会社だから信用が ない と私は申しませんが 、小
さな会社がいっぱい ある よりは、ある程度大きな 会 社がたくさんいるほ ど変 更率が高い傾向がある
ようでございまして 、そ の点は需要家の認識 に対 して影響を与えるの かな と思います。
次、料金の節約 可能性 と書いてございます けれ ども、一定の節約 余地。ここで節約余地とい うの
は、供給者を切り替えた 場合に、どれくら い電気 料金が安くなるかで すけ れども、これがな いとな
かなか供給者変更し てい ただけないというこ とで 、一般的には家 庭用だと 5から10%ぐらい 、年間
で削減できないと、なか な か変わっていただけ ない のではないかとヨー ロッ パ等では言われており
ます。実際、料金メニュ ー間の料金差とスイ ッチ ングの率を並べてみ ると 、これが有意に関 係があ
るといったことがヨ ーロ ッパでは知られてご ざい ます。
ある程度節約余地 があ っても、なかなか供給者 変 更していただけない とい うのは何かと言います
と、逆に言うと手 続面等 でスイッチング・コスト が存在することが強 く示 唆されておりまして 、例
えばイギリスなどで は、今はちょっと違いま すけ れども、昔は供給 者、電 力会社を切り替えよ うと
思うと、1カ月 は少なく ともかかったと言わ れて いまして、それ ではなか なか需要家は反応し てく
れないということで 、そ の辺のスイッチング・コ ストを低減させるこ とが 大事だと強く認識さ れて
います。
最後ですけれども 、需 要家の自由化・競 争への 意識がまだ高くないとい うことがあります 。需要
家自身が自由化や競 争の メリットを認識して いな い場合、変更の意向もな か なか高くないというこ
とが言われています 。節 約する、切り替えれば安 くなるという余地が あっ ても、需要家がそ れを知
らないと、なかなか その競争は進展しないと いう ことが知られており ます 。
日本の話になって しま いますけれども 、日本で も昨年、経済産 業省さん のほうで需要家のア ンケ
ート調査をされたよ うで 、電気の小売自 由化に関 しての認知度がはか られ ておりまして、7割程度
が何となくは電力の 小売 自由化について知っ てい ると御回答されてい るよ うです。ただ 、内容を詳
しく知っているとか 、内 容を知っている方の 割合 はまだまだ低いよう でご ざいまして、日 本でもこ
ういった層の認知度 を高 めていくことが重要 なの かなと思っています 。
7
18ページですけれ ども 、欧州における課題 解決 に向けた動きと書い てお ります。
ヨーロッパで供給 者変 更がなかなか進まな いこ とに対して、どういった こ とがされているかとい
うと、1つですけれども、先ほど述べた規制料 金を 撤廃するということ が挙 げられています。ただ、
これはEUレベルでは 圧力 とか唱道活動がある わけ ですけれども、各国の政 府 はなかなかこれを決断
できていない状況に あり ます。
次に、スイッチ ング・コストの低減と書い てい ますけれども、こ れは供 給者を変えたくても 容易
に変えられない状況 があ るときに、もうちょっと 容 易に変えられるよう にし てあげようということ
で 、 例 え ば 供 給 者 や 料 金プ ラ ン に 関 す る 情 報 提 供の 改 善 。 例 え ば 価 格 を 比較 す る サ イ ト に 対 し て 、
認証する。日本 でもいろ いろな製品の価格の 比較サイトがあると思い ます けれども、それ が本当に
信用できるのか 、いろい ろ言われている点で すが 、規制当局がそ れに対し てオーソライズする とい
った例もあったりし ます 。
次に、イギリ スの例で 料金プランの数の制 限と 単純化を書いていま すけ れども、イギリ スでは家
庭 用 電 気 料 金 プ ラ ン が 、例 え ば ネ ッ ト の 価 格 比 較サ イ ト で 400ぐ ら い あ っ た時 期 が あ っ た と 言 わ れ
ていまして、400個も料 金 プランがあると、普通 の家 庭用需要家はとても じゃ ないけれども、比較で
きない状況がありま した 。実際、私も イギリスの 電気料金・ガス料 金価格 比較サイトで適当に 郵便
番号を打って入れて みた のですけれども 、いっぱ い出てきて、結 局何がい いのかわからないと いう
ことがありました。
なので、イギリスでは、各事業者が提供でき るプ ランの数を、メーターの種 別ごとですけれども 、
4つまでに絞りなさ いと いうかなり大胆な規 制を 入れまして、事業者自体 は これにかなり強く反対
し て い た よ う で す が 、 とに か く 数 が 多 い と 家 庭 用需 要 家 は 比 べ ら れ な い では な い か と い う こ と で 、
料金プランは4つま でに しなさいという単純 化を 図っています。
あと、全プラン を基本 料金と従量料金の二 部料 金制とすると書いて いま すけれども、昔 、イギリ
スでは、途中で料金の 単価 が変化するような、例 えば 月に何kWhまでだった ら何 円で、そこを過ぎる
と何円になります 。日本 と違って逓減料金が 多か ったみたいですが 、そう いった制度をとって いた
のですけれども、そうす ると需要家ごと、または プランごとの比較が 難し いということで、そうい
ったものはやめて基本料金と従量料金のわかりやすいメニューにしなさいという公的な規制が入
っております。
ただ、こうい ったもの が実際の競争促進に つな がるかというのは不 明で ございまして、この規制
が入ったのはつい最 近で すけれども、イ ギリスで これがうまくいくの かと いうのは、成り 行きは注
目していきたいなと 思っ てございます。
以上がEUでの主に 規制 料金面から見た 、家庭用 小売全面自由化の現 状と いう内容でしたが 、19ペ
ージ以降では、ちょっと 絞 ってイギリスの家庭 用需 要家保護策の現状と 課題 というものを御紹介し
たいと思います。
イギリスと言いな がら 、いきなりEUの 話になる のですけれども 、EUのエ ネルギー貧困問題の 拡大
とありますけれども 、自 由化後、電力・ガス料金 の支払いに困難を生 じる 需要家の存在が問題 にな
りました。これをEUでは エネルギー貧困(energy poverty)とかエネルギー 貧困層(energy poor)
8
の問題としてクロー ズア ップされていまして 、EUでは「エネルギー 貧困は 、共同体内で大き な問題
となりつつある」と いっ たことが言われてお りま す。
その下に掲げたよ うな 国が、「エネ ルギー貧困 」にわざわざ公的な定 義を 掲げていろいろな対策
を打っています。一番下 、赤字で書いたイギリス も、平均的な冷暖 房費の 支払後の所得が、貧困線
未 満 の 世 帯 と い っ た 定 義を 置 い て 、 こ う い っ た とこ ろ に 対 策 を し な け れ ばな ら な い と し て い ま す。
21ページですけれ ども 、エネルギー貧 困層に対 する援助等を目的と して 、EU加盟国のう ち24カ国
が電気料金に対する 社会 福祉料金と言ってい ます けれども、割引料金 を置 いています。
以下、イギリス を御紹 介するわけですけれ ども 、何で取り上げた かとい うと、イギリスで はエネ
ルギー貧困問題に取 り組 んできた長い歴史が あっ て、特に自由化 後、料金 水 準が高騰したというこ
とで、これは1 次燃料価 格が上がったのが一 番大 きな理由ですが 、料金水 準が上がったという こと
で、政治的・社会的 にも 重要なイシューにな った ということがござい ます 。
イギリスの燃料貧 困問 題と22ページに書い てい ますけれども、イギリス では電力・ガス 等の料金
の支払いが困難な「燃 料 貧困」(fuel poverty)世 帯の存在が深刻な問 題に なっております。この
「燃料貧困」の定 義は途 中で変わったりして いる のですけれども、現在の 定義は、平均的な 冷暖房
費を支払った後の所 得が 貧困線未満の世帯と され ております。
その数ですけれど も、下の左のほうにグラ フを つけていますが 、イング ランドだけで二百数 十万
件が、この定義 だと燃料 貧困に入るというこ とで 、それなりの数 がこの問 題に苦しんでおると いう
ことが言えるかと思 いま す。
めくっていただい て23ページですけれども 、で はなぜそういうこと が起 きるのかというと 、3つ
理由が言われていて 、こ れは当たり前といえ ば当 たり前ですけれども 、ま ず単純に①世帯の所 得水
準の低さがあります 。② ですけれども、省エネ性 能の低い住宅とか家 電を 使っているというこ とが
あります。3番目 、電力・ガス料金水準が上がっ たということがあっ て、こういった状態を解 消す
るために、全面 自由化後 の社会福祉料金の導 入を 求める声が、イ ギリスで は2006~2007年ぐら いか
らあって、実際入っ たと いうことがあります 。
以降3枚は、これの簡単 な説明になっていま すけ れども、24ページ、絶対的 な所得水準の低さが 、
燃料貧困の主要因と され ておりますし、25ページ に行っていただきま して 、住宅の省エネ 性能が低
いと、燃料貧困の 原因の 一つになる。この ほか、旧式の家電とかボイ ラー を使っていることも 、こ
れの原因になると言 われ ていまして、イギリスの 住 宅は日本の住宅に比 べて 断熱もかなり悪いとい
うことで、暖房 代が結構 かかってしまう状況 があ るので、これも かなりき いているとされてご ざい
ます。
3つ目ですけれど も、電気・ガス料金の高騰と いうのがありまして 、2004年ごろ以降、家庭 用の
最 終 需 要 家 が 支 払 う 料 金が 上 が っ て お り ま し て 、 2011年 断 面 で 電 気 ・ ガ ス 合 わ せ て 大 体 1,260ポ ン
ドということで 、結構こ れが家庭の負担にな って いるということが指 摘さ れています。こ ういった
ものが合わさりまし て、燃 料貧困がイギリスで は社 会的な問題になって いる ということであります。
めくっていただい て27ページですけれども 、そ の燃料貧困の対策と して 、かなりいろい ろなこと
をやって、例えば 住宅向 けの断熱の補助をし まし ょうとか、ライト バルブ(電球)の取り かえの補
9
助を入れましょうと いっ たものもやっていた ので すけれども、その一環で 料 金の軽減制度が入りま
した。2008年から2011年 ですけれども、社会福 祉 料金(Social Tariffs)と いうのが導入されまし
た。このときは 規制当局Ofgemがガイドライン をつ くって、6大電 力・ガス会社(Big 6 )に低所得
者とか高齢者向けの 特別 な社会福祉料金の提 供を 要求した。これ は、各社 の 料金メニューの中で最
も低廉なものをちゃ んと 出しなさいと要求し た。ただ、これは2011年まで の3年間の時限的な 措置
ということで、2011年に 終わっています。
これは下に書いて いま すが、規制当局 が要求は したのですけれども 、あ くまで事業者の自主 的取
り組みという位置づ けで ございました。事実上は 義務づけに近かった ので すけれども、政 治的にな
かなかあらがえなか った ということがあって 、事 業者のほうでこれを実施 しました。
2011年から、それ にか わって、このWarm Home Discountというのが実 施さ れていまして、これは
法律でやったのです けれ ども、電気料金の 定額割 引を6大電力・ガ ス会社 に義務づけまして 、対象
は年金生活者の一部 とな っていますけれども、こ れ に対して年間120から140ポンドを電気料金から
割り引くという制度 であ ります。
社会福祉料金のと きに 問題となっていたの が、実 際にどういった家庭 の需 要家が補助を必要とし
ているかわからない とい うことがあったので すけ れども、このWarm Home Discountという制度では、
イ ギ リ ス の 年 金 を 担 当 して い る 労 働 年 金 省 の 年 金デ ー タ と 事 業 者 の デ ー タを 照 合 す る 作 業 を し て 、
もしそれで確認がと れた ら自動的に付与され ると いうことで、需要家が一 々申請しなくてもいい制
度になっているとい うこ とであります。
その他、事業者が 自主 的に判断する割引も ある と聞いております。
こ の2008年か らのSocial Tariffs 、社会 福祉 料 金と か、2011年 から 今も やっ てい るWarm Home
Discountという制度 があ ったわけですけれど も、こういった料金軽減 制度 について、現地 の文献と
か実務担当者にイン タビ ューすると、なかなか一 筋 縄にはいかないとい うこ とがわかっておりま す。
例えば、保護の 対象の 特定が困難。細か くは時 間もあって読みませ んが 、事業者にとって 、誰が
燃料貧困層かを特定 する のは、単純に需 要の量だけではわからないし 、か といって所得のデー タを
事業者は持っていな いと いうことがあって 、その 照合はなかなか難し いと いうのがあります。その
点、Warm Home Discountと いうのは、年金のデ ータを 自動的にとることに なっ たわけですけれども 、
それはデータ保護上 の問 題もあって、なかな か難 しいことがある。
あと、燃料貧 困対策と して非効率と書いて いま すけれども、例 えば住宅 の省エネ対策に補助 する
と、その効果は 永続する わけですけれども 、こう いった料金を割り引 く制 度はあくまで一時的 な効
果しかなくて、その 意味 では非効率ではない かと いうことが言われて いま す。
3つ目、需要家の認 知 度の低さと書いてい ます けれども、これはSocial Tariffs、社会福祉料金
と言われていたので すが 、需要家が社会 福祉料金 の存在をそもそも知 らな いので、そんな補助があ
ったのですかという こと になっていて、意味 がな かったということも あり ました。
あと、これは大事です けれども、費用負担。電 力会社・ガス会社に割引 を求めると、費用が需要
家 負 担 に な っ て 、 結 局 燃料 貧 困 を 悪 化 さ せ る 可 能性 さ え あ る と い う こ と が言 わ れ て い ま す 。 あ と 、
費用を電気・ガス 料金を 通じて回収すると 、政府 の財源、税金で手 当てす る場合に比べて逆進 性の
10
問題が起こるのでは ない か。税金だと 、低所得者 層はそもそも払って いな い可能性があるので 、そ
れよりは逆進性の問 題が 起きるのではないか とい う指摘もあります 。ただ 、イギリスもなかなか財
政が厳しいようで、財政 逼 迫時には政府財源か らの 拠出はほとんど無理 とい ったことが言われてお
ります。
あと、競争・自由化と の関係と書いていま すけ れども、社会福祉 料金の 義務づけは自由化と 相い
れない制度だと向こ うで も言っていて、私はそこ は若干異論があるの です けれども、こう いったこ
とが言われています。次の ポツですけれども、全 面自 由化自体の評価の問 題に もなると思っていて、
競争の利益が、本当に需 要家に等しく行き渡 った のか疑問という問題 が出 てくるということは 、自
由化自体がうまくい って いないということで 、一 部の人だけが受益し ては だめで、これは 個人的な
思いですけれども 、特に 貧しい人たちにこそ 、自 由化とか、そうい う利益が行き渡ってほしいと思
うのですが、そ れが行き 渡っていないという こと なので、そこを 改善する 必要があるのではな いか
と、個人的には思い まし た。
時間もそろそろ限 られ ておりますので 、まとめ のほうに入りたいと 思い ます。29ページ ですけれ
ども、これはあく まで規 制料金の断面から見 たも のですけれども、EUの経 験からは、規制料 金の存
在により、新規参 入が阻 害されて、競争が 歪曲さ れるおそれが示唆さ れる 。これは、EU大 での議論
を見ていると、かな り一 般的な理解になって いるのではないかなと思 いま す。
ただし、需要家保護 への 配慮は必要であって、慎重 なバランスが求めら れる かなと思っています。
規制料金があるから なか なか競争が進まない のだ といっても、現 状、ポテ ン シャルな新規参入者の
数が十分ではない状 況で 、いきなり規制 料金を撤 廃するとなると 、規制な き独占という言葉が あり
ますけれども、そういっ たものに需要家がさ らさ れるおそれがあって 、そ ういった人たちへの 配慮
というのは必要では ない かなと思っておりま す。
あと、すみませ ん、こ れは日本の言葉が出 てし まいました。経過 措置と 日本で言われている規制
料金の終了後も、弱者保 護 というものがイシュ ーに なる可能性があると いう のが日本についても言
えるのではないかと 思っ ています。例えば 、現在 の日本の電気料金の 規制 料金というのは、3段階
料金制となっておりまし て、一般的に言 いますと 月120kWhまでは比較 的安 い逓減料金、120から300
ぐらいが第2段階の 料金 、それ以上がや や高い第 3段階料金となって いる のですけれども 、第1段
階の120kWh/月とい うの はナショナルミニマ ムと 言われておりまして、生 活 に必要最低限なものと
いうことで、若干低 目の 料金になっていると いう ことであります。
ただ、電気料金 の規制 料金を撤廃したとき に、今、ナショナルミ ニマム である第1段階の料 金で
暮らしている人たち の保 護というのを一切考 えな くていいのかという と、私 は何かイシューになっ
てもいいのかなと 、これ は個人的な思いです けれ ども、そのように 考えて おります。ただ 、最後に
書いておりますけれ ども 、経済学者の先 生の論考などを読んでおりま すと 、公共料金を通 じた福祉
実現には課題も多い と言 われておりまして 、注意 が必要。実際 、イギリス での社会福祉料金の 議論
の実例を見ていると 、な かなかうまくいかな くて 一筋縄ではいかない のか なと思っていまして 、そ
の辺のバランスも求 めら れるのかなと考えて いる ところであります。
以下は参考として おり ますので、ここでは 取り 上げないでおきたい と思 います。
11
ちょうど時間だと 思い ますので、以上にさ せて いただきます。
○古城座長
ありが とう ございました。
御説明いただいた 内容 について、御質問、御意見 のある方は御発言を お願 いいたします。どうぞ。
○古賀委員
御丁寧 な説 明、ありがとうござ いま した。
自由化によるメリ ット というものが、規制料金 が ずっと存置すること とど う関係するかという点
が、まだ少し理 解できな いのですけれども 、日本 における自由化後の 経過 措置を外すタイミン グと
の関係で、消費者庁や消 費 者委員会がどのよう な役 割を担うべきかとい う点 についてお聞きしたい
と思います。その 前提と して、まず第1に 、諸外 国の例を拝見いたし ます と、規制料金撤廃 により
電力政策がうまくい って いるのかというと、どう も そうではなさそうだ と感 じましたので教えてく
ださい。
例えばフランスの 例で 御説明いただいたス ライ ドの8と9では、フラン ス が原価割れをしながら
規制料金にとどまっ て既 存事業者の供給を受 けて いるのは、既存の事業者 が 税制上や補助金等の優
遇措置を受けている から なのでしょうか 。それか ら、フランスの 場合は原 発による電気をEU各 国に
売っていたりします けれ ども、輸出によ る収益で 補填しているのでそ うい うことができていて 、そ
れがEU全体の中で非 常に 不公正だと考えられ てい るのでしょうかとい うの が第1点の質問です 。
それから、2 つ目とし て、自由化によ って競争 がうまく機能しない うち に撤廃できないとい うの
は、小売の自由化 の問題 が議論され始める前 から 、私たちも消費者 団体と して、自由化の競 争の市
場が十分にできるま で経 過措置を残して、その移 行時期については 、例え ば「消費者参加が 可能な
形で経産省とも協議 する ような場を持ってほ しい」という要請等を出して いたのですけれども 、他
国ではそのような判 断を 行っている機関は実 際に あるのでしょうか。
それから、3つ 目とし て、競争の促進の ためにEU指令のようなものが なく 、かつ、いただ いた資
料の中にあった 、米国の ペンシルバニアなど のよ うに価格凍結制度な どを とらないとすると 、日本
で競争を促進するた めに はどのような政策が 実際 に必要だとお考えで しょ うか。例えばスライド18
について、もう少し 御説 明いただけるとあり がた く思います。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
ありがと うご ざいます。
1点目のフランス の規 制料金プランについ てで すけれども、フランスの 規 制料金は既存事業者の
EDFですので、原子力を ベ ースに組んでいるこ とは 事実であります。ただ、そ こで言っている原価割
れというのは、恐らく補 助 金とか税制上の優遇 措置 をとっても原価割れ にな っているのではないか
というのが、今 のフラン スの一部政府機関の 見解 でございまして 、十分に回収できない水準に ある
ということが言われ てい ます。ただ、それとは全 く別の話として、別の枠 組みで補助金とか税 制上
の優遇措置があるか ら安 いのではないかとい う議 論があるのは認識し てお ります。ただ 、ここでは
それとはちょっと別 の文 脈の話かなと思いま す。
2つ目の御質問 、全て記録できなかったの です けれども、EU加盟 国では 、規制料金を撤廃 すると
きにどういったプロ セス でやったのかという こと だと思うのですが、イギ リ スの例を見てみます と、
例えば需要家団体が公的にそこに意見表明するといったことが制度的に担保されていたかという
と、そこまでで はなかっ たのかなと思ってい ます 。もちろんプロ セスの中 でいろいろなステー クホ
12
ルダーが意見を出す とい うことはありまして 、例 えば経済学者もそう です し、逆に事業者 もそうで
す。その中で 、イギリス では2002年当時は別 の名 前だったと思いますけれ ども、今で言うコ ンシュ
ー マ ー ・ フ ォ ー カ ス み たい な 団 体 が 恐 ら く 意 見 書を 出 し て い た の で は な いか と 認 識 し て お り ま す。
他国に関しては 、私は そこまで詳しくない ので 、もうちょっと 勉強させ ていただきたいと思 って
います。
3つ目ですけれど も、18ページ。すみま せん、も う一度御質問の要点 をお 願いできますでしょ う
か。
○古賀委員
EUの場 合は 、競争促進のた めのEU指 令がかなり大きな力を持 っていても、各 国におい
ては、なおかつ 規制料金にとどまっていると いうご説明があったと思 うの ですが、日本の 場合に基
本的に競争を促進す るた めには、どういった 政策 が必要であるとお考 えに なられますか。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
日本で競 争を 促進する施策、いろいろ な やり方があると思うの
ですけれども、卸 電力市 場の活性化とか、いろい ろ大きな話はあると 思い ますけれども、需 要家周
りで言いますと、例えば スイッチング。私が今の 電力会社に満足して いな いので、こっちに 行きた
いというときに 、そこに 必要以上にというの は主 観が入ってしまいま すけ れども、必要以 上に時間
がかかってしまう制 度と か、実際のプラク ティス 、慣行があると 、これは 全然できませんので 、そ
ういったものを変え たい と思えば、バリアなく変 更 できるようなことを 実質 的に担保することが第
1に必要かと思いま す。
第2に、ちょ っとイギ リスの話に関連しま すけ れども、需要家 が事業者 間の料金プランとか をち
ゃんと比較できるよ うな プラットフォームが ない となかなか難しい 。かつ 、そのプラットフォーム
が実際、信頼に足るよう な ものがないと供給者 変更 というのはなかなか でき ないのかなと思いま す。
もちろん、そうい ったプ ラットフォームをつ くる こと自体、運営に もお金 がかかりますので 、その
辺のバランスは必要 だと 思いますけれども、逆に そ ういうものがないと 競争 というのはなかなか進
んでいかないのかな と思 っています。もち ろん、それだけではないの です が、今、ぱっと 私の口か
ら述べられるのはその程 度になります。
○古城座長
井手委 員、 どうぞ。
○井手座長代理
フ ラン スの規制料金の8ペ ージ 、9ページです けれども 、これを見ますと原価割
れであるということ です が、原価割れで あるのに、この規制料金を見直 さな いで放置していること
自体、フランス の国自体 が新規参入というか 、競 争を促進しようとい う意 図が余りないのかな とい
う印象です。それ に対し て、10ページのド イツと いうのは、デフォ ルト料 金は、供給者の切 り替え
とかに全く関心のな いお 客さんとか、ラス ト・リ ゾート的なものがデ フォ ルト料金なので、なるべ
く自由料金のほうに 移っ てもらうという政策 の下 に料金を高めに設定 して いる。そういう意味では 、
競争促進の意図がわ かる と思うのですけれど も、そ の点をどういうふう に見ればよろしいのでしょ
うか。
もう一点は、フ ランス で規制料金で、こ れは原 価割れということで した。しかし、新規 参入者が
10%のシェアをと って いるのは、料金は 高いけ れども、グリーン 料金と か、何か特別な料 金を選
択している人がいる のだ ろうと思います。また、需要家が自由料金を 選択 してしまうと、今 のフラ
13
ンスでは後で規制料 金に 戻れない。相当の覚悟を 持 って自由料金を選択 して いると思うのですけれ
ども、その自由料金 を選 択する大きな動機と いう のは何なのでしょう か。
その2点です。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
まず 、2つ目 のほうからですけれ ども 、この10%の人 たちがど
ういった人たちで 、どう いったモーティブで 動い ていくのか、なか なかデ ータがなくて、私 どもも
把握できていないの が現 状です。ただ 、先生が今 おっしゃいましたよ うに 、フランスにもグ リーン
のようなメニューを 出し ている事業者があり まし て、そういうところにあ る 程度移っているのかな
と は 考 え て お り ま す 。 ただ 、 そ う い っ た 事 業 者 が何 % ぐ ら い の シ ェ ア を とっ て い る か と い う の は 、
まだわかっていない 状況 でございます。大変 申し訳ないです。
ただ、この10% のうち 、これも正確には 教えて くれないのですけれ ども 、恐らく半数より は多い
ぐ ら い 。 フ ラ ン ス に は EDFの ほ か に GDFと い う ガ ス の大 き な 会 社 が あ り ま す が、 そ の GDFが 電 力 に 参
入してきて、ガスと電気、セットで売りますよ とい う形で営業をかけて、GDFに半分ぐらい移ってい
るのではないかと言 われ ていまして、こ れもちょ っと正確な数字がわ から ないのですが、そういう
人たちが一番大きな スイ ッチャーなのかなと 考え ています。
逆に言うと、こ こに載 せていませんが、ガス市 場も自由化していま して 、ガスの新規参入 の割合
も 10% よ り は か な り 大 きい 割 合 で ふ え て い る の です が 、 そ れ の か な り 大 きな 分 は 、 EDF社 が 電 気 と
ガスをセットで買い ませ んかという感じで入 って いると言われていま して 、その意味では 、ここで
の参入はピュアな新 規参 入というよりは 、電気・ガ スの相互参入みたい な形 になっているのかなと
認識しております。ただ 、それ以上の詳し いデー タが手に入っていま せん で、今後調べてい きたい
と考えています。そ れが 第2点目に対するお 答え になります。
第1点目ですけれ ども、基本的にフランスと ドイ ツの競争に対する考 え方 を御説明いただいたと
思いますが、私も そのと おりだと思っていま して 、フランスという のは、これは個人的な考え です
けれども、決してやり たく て自由化をやったわ けじ ゃないというのが、多 分彼 らの頭の中にあって、
EUに 言 わ れ て 仕 方 な く やっ て い る と い う 側 面 を どう し て も 引 き ず っ て い ると こ ろ が あ る 。 な の で 、
そういうやや低目の 料金 でまだ続けているの かな と。これは、あくまで推 測ですけれども、そうい
うところが見えてい ると ころであります 。すみま せん、ここから どういっ たことが言えるのか とい
う御質問だったと思 いま すが、私、そこまで はま だ答えがない状況で す。
○井手座長代理
今 の 質問 に 関 し て で す け れ ど も、 原 価 割 れ で あ る と 規 制委 員 会 が 判 断 し て い て 、
その規制料金を見直 せと いう命令とかはない ので しょうか。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
それは 、電気 料金自体はなってい なか ったと思いますが 、ガス
で似たようなことに なっ て、たしか裁判に なって いた。事業者の側 が、こ れだと原価割れなの でや
っていけませんとい うこ とで、ガス会社が訴 訟し ているという例はあ りま す。
ただ、フラン スのエネ ルギー規制委員会と 書い ていますけれども 、規制 料金は最終の認可権 限は
なくて、あくま でオピニ オンを出すしかでき なく て、最終決定は 当時はエ ネルギー担当大臣が やっ
ていて、政府の決 定だっ た。その政府の決 定に対 して、このエネル ギー規 制委員会が政府案だ と原
価割れですねという 意見 を出していたので 、彼らは決定権限はなかっ た。ちょっと誤解を与え るよ
14
うな書き方でしたが 、そ れがフランスの制度 のた てつけになっていま す。
○古城座長
松村委 員、 どうぞ。
○松村委員
まず 、古賀 委員が質問されたの は、自由化されて、ま だ数カ 月というならともか くと
して、これだけ 時間がた っているのに、もし本当 に規制料金が原価割 れだ ったとすれば事業者 はや
っていけないのでは ない か。もしそれが 真実だと すれば、どうや って継続 的に事業を維持して いる
のか、というこ とを聞き たかったのだと思い ます 。補助金まで含 めても赤 字だと言うことでし たか
ら。もし、それにつ いて 御存じのことがあれ ば、 教えて下さい。
2点目。御意見に対して 若 干奇異に思っている ので すが、日本の3段階料金 の 第1段階の料金が、
弱者保護のために必 要で はないかという個人 的な 見解を述べられたと 思う のですが、その説明はス
ライド23の説明と 、私の 頭の中ではうまく一 致し ない。3段階料金 は日本 の話で、こっちは 海外の
話ですけれども、日本で も、例えば貧しい人にと っては、省エネ改修は難 しい。貧しい人は、省エ
ネ 対 応 の 家 電 に 買 い 換 える の が 相 対 的 に 難 し い とい う こ と は 、 あ っ て も 不思 議 で は な い で す よ ね 。
そういう人たちは、 相対 的に電気の使用量が増え てしまいますね。
3段階料金の1段 階目 でおさまっている人 たち はどういう人かとい うと、典型的には家族の人数
が少ない、例えば 単身赴 任している人という たぐ い。もちろん 、貧しい方 でひとり暮らしで年 金生
活という人も一定の 割合は入っているとは思 いま すが、弱者をうまく捉え て いるとは私には到底思
えない。もし第 1段階の 料金を低くすること が、こういう弱者保護と いう 観点で重要だという こと
であれば、弱者 の割合が他の料金に比べて著 しく 高いというデータを もし お持ちであれば 、教えて
いただければ多くの 人の 参考になると思いま す。
3点目は、諸 外国では 日本の燃料費調整制 度の ようなものはないで しょ うかという質問です 。先
ほどの御説明だと 、卸料 金が高騰したという こと があり、相対的に 規制料 金が安くなった。卸料金
が高くなるというス トー リーは、競争が働かなく て 吊り上げたというこ とが あるかもしれないけれ
ど も 、 言 及 さ れ た の は 化石 燃 料 な ど の 値 段 が 上 がっ て 、 卸 料 金 が 高 騰 し てい る と い う こ と だ っ た 。
この説明が正しいと する と、日本の場合 には燃料 費調整制度がありま すか ら、石油価格と か天然ガ
ス価格が上がった、ある いは円安になったと いう影響は、規制料金であっ たとしても、ある いはこ
れから残る経過措置 料金 についても一定期間 を経 ると上がる。
そうすると、ヨーロッ パではそういう問題 があ るかもしれないけれ ども 、日本でそうい う問題は
相対的に起きにくい と考 えてもよいのか。それで はちょっと短絡的な のか 。フランスだと 原子力の
比率があれだけ高い です から、余り関係な いかも しれないですが、フラン スだけじゃなくて 、他の
国にも規制料金が残って いるわけですね。他の国 についてはどんな感 じな のでしょうか。
最後に、これは 質問で はなくコメントです。井 手先生も御指摘にな った とおり、フランス の制度
は異様な制度で、規制料 金から一旦抜け出し たら 、もう一回規制料 金には 戻れないのですね 。これ
は人為的にスイッチ ング・コストを高くし ている のです。しかもス イッチ ング・コストを筋 が悪い
やり方で高くしてい る。既存事業者から出る スイ ッチング・コストは高く しているけれども 、その
後 の ス イ ッ チ ン グ ・ コ スト に は 影 響 し て い な い とい う 意 味 で 、 お よ そ 最 悪の 制 度 を つ く っ て い る 。
そんな制度をまとも な人 がつくるはずがない ので 、これは意図的 に、競争 は 迷惑であるということ
15
を表明したというこ とだ ろうと思うのです。
日本はさすがに 、誰が 、どう設計をした って、そんな愚かな制度を つく るはずがないので 、その
点 は 、 フ ラ ン ス で 問 題 が起 こ っ て い る か ら 日 本 で起 こ る と い う た ぐ い の こと は な い か と 思 い ま す。
以上です。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
ありがと うご ざいます。全部 、私の範 囲 で答えられるかという
ことですけれどもね 。
燃 料 費 調 整 条 項 で す けれ ど も 、 こ れ も 興 味 を 持っ て 調 べ た い と 思 っ て いる の で す が 、 英 語 文 献 、
ドイツ語文献ぐらいしか 私、読めないと いうとこ ろがあって、特 に東欧諸 国は全然わからない ので
すけれども、一部 の国、例えばイタリアでは 、規 制料金に燃調が入っ てい るのがはっきりわか って
おりますし、フラ ンスで も、ある程度の調 整はで きていると聞いてい ます 。ただ、フラン スは電源
構成がちょっと特殊 かも しれませんが、そ れで各 国、全て回収でき ている かというと、そう でもな
いようなことがあっ て、この辺は私どもの調 査能 力の限界もあって 、この 程度しかお答えでき ませ
ん。申し訳ないです。
あと、最初のフ ランス ですけれども、こ んな赤 字のものがずっと続 くは ずがないというのは、私
もそう思っていて 、こん な制度は本来的に 、純粋 に民有民営の会社で あれ ば成り立たない。恐らく
政府がちゃんと株式 を持 って、恐らくフ ランス人 も実質国営だと認識 して いると思いますし 、そう
いった会社でないと 続か ない制度なのかなと は思 っております。
すみません、全部にお 答えできていません が、最後のフランスが自 由料 金から1回抜けたら 戻れ
な い と い う こ と は 、 ヨ ーロ ッ パ の 各 国 の 制 度 を 見て い て も 国 に よ っ て 結 構違 っ て い て 、 松 村 先 生 、
おっしゃるように 、これ がないと非常に安心 して 切り替えができない とい うのがあります 。フラン
スでも、最初は戻 れる制 度だったのが戻れな い制 度になって、結構 ぶれて いるのですけれども 、制
度が頻繁に変更され ると いうことは、需要家の選 択 行動にここがかなり きい ているのかなと考えて
います。もちろん 、日本 ではそういう制度に なら ないと思うのですけ れど も、ヨーロッパで はこう
いうところが問題だ と意 識されているのは事 実で あります。
あとの質問、私 もメモ を全部できなかった ので すけれども、まだ 必要が あれば、もう一度 お伺い
いたします。
○古城座長
古賀委 員。
○古賀委員
ありが とう ございます。
消費者が自由化に 期待 することというのは 、ス イッチングの自由も 含め て、いろいろ選 択できる
プ ラ ン が で き る こ と だ と思 う の で す け れ ど も 、 残さ れ た 課 題 と し て 弱 者 保護 と い う 観 点 か ら 、 今 、
松村先生がおっしゃ った のと逆に、まとめ の中で 、3段階料金的な ものを 残すことについて 、私た
ち消費者団体として は、第 1段階料金というの が非 常にナショナルミニ マム 的な側面を持ってい て、
少量使用の消費者に とっ てメリットがあると 考え ていますので、この3段 階 料金を残すべきではな
いかと考えています 。少 なくとも料金の中に そう いう制度を残してい く必 要性を感じていて 、これ
はこの後も議論があ ると 思うのですけれども、そ の 点についてお答えが なか ったようですのでお願
いします。
16
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
すみませ ん、 その点でした。
3段階料金は、これは 個人的な考えですけ れど も、私は松村先生 、おっ しゃったように、純粋に
弱者保護対策として 見る のだったら、か なり効率 が悪いと思っていま す。需要家が省エネを頑 張っ
た が ゆ え に 120kWh/月 未 満 に な っ て い る 人 は か な りい る は ず で 、 そ う い っ た人 に 対 し て 、 頑 張 っ た
のだから助けてあげ ると いうことはあるかも しれ ませんが、弱者 保護とし て見ると、本来 的に弱者
でない人たちも助け てし まうと大変問題があ る。
イギリスの社会福 祉料 金の割引制度に関す る議 論を見ていると 、結局、本 当に助けを必要として
いる需要家と、社会福 祉料 金の対象になっている需 要家が一致している かと いうと、結構ばらばら。
それは両方の意味が あっ て、まず、過小包摂、つまり 本当に必要としてい る人 に行き渡っていない。
対象がそれより少な くな るリスク、これ は補助か ら漏れてしまう人が 出て くるので、問題 なのです
けれども、この過 小包摂のリスクと、もう 一つ、過大包摂と言って 、本当 は補助が必要ない人 たち
に対しても、その 補助が 行き渡ってしまう 。これ はこれで意味のない 補助 になってしまう、社会的
に無駄なものだとい うこ とがあって、これを 一致 させることが非常に 難し い。
こういうことを言 う人 たちは、だから料金軽減 で 社会福祉をやること はだ めだと言うのですけれ
ども、その結論 をとるか は置いておいて 、私は日 本の3段階料金の第 1段 階に社会福祉料金的 な意
味を持たせるという のは 、昭和49年だった か、議 論が始まったと思う ので すけれども、その 当時は
そ う 言 わ れ て い た か も しれ な い け れ ど も 、 費 用 対効 果 を 見 る と ち ょ っ と 悪い の か な 。 そ う す る と 、
3段階以外で何かう まい 方策があれば、それを 考え るほうがいいかなと 思っ ています。すみません、
先ほど回答を忘れま したので、古賀委員に対 する 答えとあわせて述べ させ ていただきました。
○古城座長
陶山さ ん。
○陶山委員
一 般 的 に 消費 者 と し て は 、 自 由 化 され れ ば 料 金 は 安 く な る だろ う と 期 待 し て い ま す 。
だけれども、ヨー ロッパ の実例を見た場合に 、な かなかそうなってい ませ んよと。その中の 一つの
理由として、非 常に複雑 な料金プランがあり ます ということの御説明 をい ただいたのですが 、既に
日本においてもセッ ト料 金という形で聞こえ てき ていまして、本当に自由 化 の競争原理がそこに働
いていくのだろうか とい うことが非常に見え にく いと思います。
そこで、今日の御説明 の中では、料金 を比較す るサイトを公的な機 関が オーソライズしてい くよ
うな措置が必要では ない かという御意見をお 聞き したわけですけれど も、も う少し具体的にプラン
をお持ちでしたら、 教え ていただきたいとい うこ とと。
それから、も う一つ、今 日は御説明の中に特 に集 中して情報提供の中には 入っていませんでした
が、日本の消費者が期 待し ているところでは、3.11以降、自由化されると 電源 構成を選択できる、
電源を選びたいとい う消 費者の意向が非常に ある わけですけれども 、それ について、ヨー ロッパに
おける再生可能エネ ルギ ーの伸張と、自 由化の中 で、制度として どう関連 づけられていったか とい
うことを少し御紹介 いた だけたらと思います 。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
どうもあ りが とうございます。
最初のセット割と いう ものは、あくま で報道ベ ースですけれども 、日本 でも入ってくると思 いま
すし、いろいろな 新規参 入者さんが当初は入 って こられると思ってい ます 。そういったとき に、料
17
金の比較サイトとい うの は私はいっぱい出て くる と思うのですが、国のか か わり方というのは何段
階かあると思ってい て、ダイレクトなものは 、例 えば規制機関自体が 料金 比較サイトを運営す るや
り方もあるとは思い ます 。一部のアメリ カの州で は、それに近い ものをや っているところがあ ると
思いますが、さす がに日 本でそこまでやるのかと いうと、電気・エネルギ ーを離れて政府と市 場の
かかわり方が国によ って 大分違うと思うので、必 ず しもそんな直接的な こと をしなくてもいいだろ
う。
日本の市場が健全 だか らと言うつもりはあ りま せんが、特にヨーロッパ だ と最近まで社会主義だ
った国もありますか ら、そういった国での国 のか かわり方と、日 本のよう な国での国と市場と して
のかかわり方は全く違っ ている。そうい う意味で は、ダイレクト に国が運 営することはちょっ とな
い の か な と 思 っ て い る ので す が 、 例 え ば 業 界 団 体の 側 で 統 一 の プ ラ ッ ト フォ ー ム を つ く る と き に 、
国がそれを何らかの 形で、公的じゃなくてイン フォ ーマルな形でアドバ イス するといった形もある
と思います。それ は、私 は確定的な応えは持 ち合 わせていないのです けれ ども、海外でこう なって
いるから、それをそ のま まぽんととってくる とい うのは、ちょっと違 うの かなと思っています 。
だからといって 、野放 図にしていいとは思 って いませんで、例 えば本当 に客観的なアンケー トを
装っているけれども 、実 は一部の事業者がお 金を 出してつくっているよう なサイト。日本 でも一部
の公益事業でも過去 あっ たように思うのです けれ ども、そういっ たものに 対して、政府な いしは消
費者官庁が何もしな くて いいかというと 、それも ちょっと違うのかな と思 っていまして、その点は
できれば消費者庁さ んと か公取委のほうで議 論し ていただければと思 って います。
次、電源構成 に対する 国民のかかわり方と いう ことで、ちょっ と私の能 力を超える話ですけ れど
も、ヨーロッパに おいて は、自由化が行わ れたの が2000年代半ばとか 後半 ですけれども、そ れに大
体同じくして地球温 暖化 対策ということで再 生エ ネルギーが導入され た時 期であります。地球温暖
化対策のコストもか かっ ていて、御案内 のとおり 、例えばドイツなどで はそ れが結構大きいのでは
な い か と 、 日 本 で の 報 道等 も あ り ま す 。 そ れ は 、も ち ろ ん ド イ ツ 国 民 自 身が 選 ん だ こ と で す の で 、
我々がとやかく言う こと ではないと思いますが。
ただ、再エネ のコスト が例えば弱者に与え る影 響を議論している人 たち もいて、例えば イギリス
では、なかなかお もしろ いなと思ったのは 、この 弱者対策を叫ぶ人と いう のは、どちらかと いえば
再生可能エネルギー の補 助に批判的な人が多 くて 、なぜですかと いうと、そ のコストを弱者にも寄
せるのはいかがなも のか 。逆に言えば 、そういっ た コストは税金でつけ てく ださいということを言
っていて、電気料金 でつ けられるとたまらな いと いうことをおっしゃ った りしている。
日 本 で は 、 再 生 可 能 エネ ル ギ ー の 賦 課 金 と い うの は kWhで 乗 せ て 回 収 す るこ と に な っ て い ま す け
れども、再生可 能エネル ギーの賦課金の分配 上の 影響というのも 、どこか の段階で実は議論し ない
といけなくなるのか なと は思っているところ であ ります。ただ 、具体的な こうすればいいとか 、方
向性というのは、ま だ私 も答えはありません 。申 し訳ないです。
○古城座長
山内委 員、 どうぞ。
○山内委員
さっき の電 気料金の比較サイト とい うのは、エネチェンジと い うのが既にできてい て、
皆さん、スマホ で調べる と簡単に比較できる よう になっています 。電気通 信のときにも同じこ とが
18
言われて、経産省 はそう いう場合、情報が ないの で、情報を提供す る役割 の人が出てくる。少なく
とも電気通信のとき は、そ んなに成功しなかっ た。複 雑過ぎるということ もあ るのかもわからない。
電気と電気通信を比 べる と、電気のほうが 消費量 の把握がしやすいか もし れない。ただ 、時間的な
問題があるので 、それを どう入れるかという 難し さもあるので何とも 言え ないけれども、少なくと
も電気通信の場合に は余 り成功しなかったと いう か、普及しなか ったので 、これから電気でどうな
るのかなというのが 個人 的な意見です。
質問というか 、御意見 を伺いたいのですけ れど も、日本の今の 制度だと 経過措置を入れるの だけ
れども、経過措 置を入れ るインカンバントの 事業 者も、経過措置 以外の料 金も設定できること にな
っていますね。それ で、 フランスの場合はた しか できないはずです。 でき ましたか。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
すみませ ん、私の説明がまずうご ざい ました。フランス は、8
ページ、制度上はで きて 、出しているのです けれ ども、選んでいる人 がほ とんどいない。
○山内委員
フ ラ ン ス は置 い て お い て 、 例 え ば 日本 で 経 過 措 置 を や っ て 、3 段 階 も 残 し た と し て 、
ただ3段階目の料金 の人 たちは、ある意 味事業者 にとっては物すごく おい しいお客なので 、クリー
ムスキミングがそこ に来 るという形がありま すね。
そうすると、そ れがか なり進んでいくと 、原価 費用的に言うと、今の3 段階みたいな形とは必ず
しも限らないので 、1段 階を本当に維持でき るの かという議論が出て きま すね。そうすると 、今の
経過措置だと、3段階目 を逆に取られるのだ った ら、通常の3段 階料金と は違う料金メニュー を既
存事業者が設定する こと が出てくるかなと思 って いて。そうすると 、さっ き御指摘のように 、何人
かの方が言われたよ うに 、1段階目はど うなのだ という話になると思 いま す。諸外国の自 由化の例
を見るときに、料金体系 がどうなっているか とい うのがすごく重要だ と思 っていて、その 辺の情報
がもう少しあると我 々も参考になるのかなと 思い ます。
それから、もう 一つ、今、ちょっと出た のです けれども、組み合 わせの 料金メニューがいろ いろ
出てきていて、電 気通信 と、特にモバイル 系と電 気料金を組み合わせ ると か、あるいはポイ ントを
含むというやつ。この間 、どこかの雑誌に 東京電 力の組み合わせがた くさ ん。それで、私 の記憶で
は、たしかドイ ツはデュ アルフュエルでやる とき も、電気料金と ガス料金 を必ず明示しなきゃ いけ
ないというルールに なっ ていると思うのです 。こ れはヒアリングなの で、制度は確認していな いの
だけれども、たしかそう なっているはずで 。なぜ かというと、何人 かの方 がおっしゃったかも しれ
ないけれども、電気料金 と ガス料金が幾らだっ たか 明示できなくなって しま うというのが一つの理
由です。
私もいろいろなと ころ で話すときによく言 うの ですけれども、専門家の 方 がいらっしゃるのでち
ょっと確認したいの です けれども、自動 車の中古 車の値段を表示する のは 、たしか総額表 示は禁止
されている。総 額表示と いうのは、本体 と整備と 税金が幾らというも のを 全部合わせて幾らと いう
のを出してもいいの だけ れども、その内訳 をちゃ んと出さなきゃいけ ない 。景表法だったか 、記憶
しているのです 。電気料 金で通信料金と電気 料金 を組み合わせで幾ら です というときも、恐らくそ
ういうことがあるの かな と思うのです。
今、auのスマー トバリ ューというのは、確実に モバイルの料金を割 り引 いている。それは 明記さ
19
れているわけです 。ドコ モ光とかSB光という 新し いカップリングの料 金を 出しましたけれども 、あ
れも光は卸を受けて売っ ているので、割り 引いて いるのはモバイルの ほう ですね。そうする と、こ
の電気とモバイルと いう のは外国では余りな い例 だけれども、イギリスに 1 つぐらいあるという情
報はあるけれども 、外国 では余りやっていな いけ れども、そうい うことは どういうふうに考え られ
るかなと御意見を伺 いた い。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
どうもあ りが とうございます。なかな か 大きな話だと思うので
すけれども、断片的 な情 報の御紹介になって しま って申し訳ございま せん 。
山内先生からあり まし たように、海外 を見てい ると、通信と電 気のセッ ト販売というのはそ んな
にメジャーではない と認 識しています。
○山内委員
1つだ けし かない。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
あるには ある と思いますが、決して多 くはないと思います 。た
だ、諸外国を見 ていると デュアルフュエルは 多く て、例えばイギ リスなど の料金メニューを見 てい
ると、基本的にデ ュアル フュエルが、ばん と全面 に出てきていて、手元に データがないのです けれ
ども、消費者のか なりの 割合がデュアルフュ エル に変わっていると聞 いています。一部には 、電気
はこっちから、ガス はこ っちからという需要 家が いるようですけれど も、 かなり少ない。
例えばイギリスの 6大 電力会社が料金を値 上げ しますとか、最近は値下 げ 局面があって値下げし
ますと発表するとき も、電気で幾ら、ガス で幾ら ではなくて、デュ アルフュエルで何%上がり ます
というセット料金で 販売 しているので、実 質的に 需要家の認識はそう なの かな。ただ、もちろん電
気とガスの検針は別 にや りますので、電 気代幾ら 、ガス代幾らという表 示は されるわけですけれど
も、実質的には一緒にな っていると思ってい ます。
ただ、さらにや やこし いのは、イギリス はおも しろい制度になって いて 、デュアルフュエルが幾
ら割引とあるのです けれ ども、そのデュ アルフュ エル割引というのは 、事 業者内では同じ額に しな
さいとなっていて 、このメニューだとデュア ルフュエル割引幾ら、このプ ランだとできないよ うに
なっていて、割引 のやり 方も事業者から需要 家に わかりやすい形で提 供し なさい。つまり 、日本の
通信の一部では、割引の 制度がこれにはつく けれ ども、これにはつ かない 。結局、どうな のかがわ
かりにくい。私は少 なく ともわからない人な ので すけれどもね。
そういうことがな いよ うに、このメニ ューはこ の割引がつくけれど も、このメニューにはつ かな
いということがない よう に、割引も選択 、できる かできないかという のを 丸、ペケをつけれ ば、す
ぐに計算できるよう にし なさいという指導をして いる。そこまでの介入を 日 本がしないといけない
のか、若干疑問が ありま すけれども、とり あえず わかりやすくしたほ うが いいというのは、どこの
国も一緒なのかなと 思っ ています。
あと、すみません、ほ かの国が総額表示か とい うあたりは、全く存 じて いません。
○古城座長
矢野委 員、 どうぞ。
○矢野委員
御説明 、ど うもありがとうござ いま した。
お話を伺っていて 、そ もそも自由化の目的 が何 だったのかというの は、EU自体と日本の場合とあ
る程度共通性はある と思 うのですけれども 、改め て基本に戻るという とこ ろで、EUの場合 は自由化
20
の目的が何であった のか 。そして 、その目的をか な えるためにどういう 手だ てを講じればよかった
のかというところを 少し かいつまんでお話い ただ ければお願いしたい と思 います。
スライド16から18にか けて、供給者の 選択行動 が余りうまくいって いな いということで 、その一
つの要因としては 、情報 が十分行き渡ってい ない ところがありますし 、そ れから需要家がメリ ット
を認識していないと いう ことも書かれていま す。とすれば、我が国 におい て、今後の課題と するに
は、そういった情 報の問 題、それから、よりメリ ットを感じるための 手だ てで、もし何かサ ゼスチ
ョンいただくことが あれ ばお願いしたいと思 いま す。
3 点 目 に な り ま す け れど も 、 30ペ ー ジ 目 の 需 要家 保 護 の と こ ろ で 参 考 の資 料 が 出 て お り ま す が 、
需要家保護をどうい う視 点から考えるかとい う場 合に、1つには 、この消 費 者委員会に置かれてい
る公共料金等専門調 査会 においては、消費者の権 利 という視点から需要 家保 護の幾つかの面を見て
いかなければいけな いの ではないかと思いま すが 、ここで述べら れている のは、違う側面 から需要
家保護の幾つかの保 護策 が出ているので、ここは ち ょっと補足で御説明 いた だきたいなと思ってお
ります。
以上です。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
ありがと うご ざいます。また かなり大 きな質問を頂戴して 、困
惑しているのですが 。
1点目ですけれど も、EUと日本の自由化の違 いと いうことですけれど も、かなり共通する部分 は
多いと思います。1点、EUの電力が目指す自由 化の 、日本にない特徴 を挙げ るとすると、EUは クロ
アチアが入って28カ 国に 分かれている。た だ、EUのそもそもの1950年 代か らの目的は、ヨー ロッパ
大での市場を統合す ると いうのが一つの目的 だっ たので、電力・ガス市場 が国ごと、ともす れば地
域 ご と に 分 か れ て い た もの を 徐 々 に 、 ま ず は 国 、そ れ か ら 地 域 、 そ し て EU大 に 統 合 し て い く の だ 。
域内市場の統一とい う言 い方を彼らはします けれ ども、これとリンク して いるところがある。
例えば小売の話と はち ょっと違いますけれ ども、送電線をつないでEU大で 電力の取引ができるよ
うにしましょうとい った 動きもかなり力を置 いて いて、もちろん日本にも そ ういう側面はあるわけ
ですけれども、どちらか と いうとEUは域内市場 を1 つにしましょうとい う側 面が結構きいているの
かなと思っています。そ う いうことがいろいろ な個 別の政策に影響が出 てく ると思うのですけれど
も、その点が1つの 違い かなと思っています 。
2つ目ですけれど も、需要家の認識が大事 と私 は思っていて、イギリス はそんなことはない です
けれども、ほか の国にも そもそも自由化した こと を知らない人がまだ まだ いる。メリット を感じる
も何も、そもそ も自由化 の事実自体を知らな い人 が結構いるようでし て、まずはそういうとこ ろか
らクリアしないとい けな いと思います。実 際、そ の制度があったとき に、具体的にどういう手 続を
とればいいかがわか らな い人たちもいるので 、そ ういった点が問題に なっ ている。
日本では、恐ら く新規 参入者さんが最初 、来年 4月に向けて、か なり広 告を打たれると私 、個人
的 に は 思 っ て い ま す し 、あ と は テ レ ビ CMで 認 知 度が 高 ま る と 思 っ て い ま すし 、 恐 ら く 経 産 省 さ ん 、
エネ庁さんのほうで もか なり広報されると思 いま すし、既存事業者さんの ほ うからも広報されると
思います。そう いう意味 で、自由化した のだとい う認識自体も結構高 くな るのかなと思ってい るの
21
ですが、先ほど に戻りま すけれども、昨 年の小売 自由化に関する国民 意識 調査の結果概要が経 産省
の 審 議 会 に 出 て い る わ けで す が 、 聞 い た こ と が ある が 、 内 容 は 知 ら な い とか 、 聞 い た こ と が あ り 、
内容は何となく知っ てい る人というがほとん どでして、内容を知 っている とか、内容を詳 しく知っ
ていると答える人は 全体 で言うと10%未満に すぎ ない。
もちろん、全く 知らな いという人もまだい るわ けで、それを減ら すこと も重要ですけれども 、こ
の何となく知ってい ると いうところから、よく知 っ ているところをいか にふ やすのかということが
一番肝になる。そういう 意味では、具体 的にどう すればいいかという のは なかなか難しいわけ です
けれども、丁寧に説明して いくしかないのかな とい うことと。まずは、1回誰 かにやってもらって 、
その人たちのクチコ ミと かに期待するのもあ り。ク チコミは結構ばかに でき ないと思っているので
すけれども、そういう もの に期待するのがまず 1つ かなと思っています。国と か事業者がそれ以上、
どうかかわるのかと いう のは、私からは今の とこ ろ具体的なアイデア はな いです。
最後のスライドの30ペ ージですけれども、これ は 公共サービス義務と ユニ バーサルサービス義務
がEU法上、定めら れてい て、例えば公共サ ービス 義務は、加盟国は 、供給 セキュリティ確保等 に関
する各種の措置を 、事業 者に課すことができ る。ユニバーサルサービ スは 、妥当な価格で電 気の供
給を受ける家庭用需要家の権利を保障しなくてはならないという抽象的なことが書いてあるので
すが、これ自体が 何を意 味するかというのは 、2003年の段階から、これだけ じゃ何もわからない と
言われていて、逆 にこの 2つの違いは何なの か、はっきりしないと言 われ ていて、これ自体 に固定
的な意味があるわけ では ないです。
ただ、各加盟国 は、こ ういうことがあるか ら、自由化したからとい って 何もしてはいけない わけ
ではなくて、例え ば最低 限の弱者保護をしま しょ うとか、供給者が 破綻し たときに、退出し たとき
に、破綻していたところ か ら今まで供給を受け てい た需要家をどう保護 するのかという各国の指示
ができるという、法 律上 の根拠のようなもの で、 ここに特に大きな意 味は ないと考えています 。
消費者委員会様の ほう では、選択の権 利の観点を重視されていると いう ことでしたけれども 、私
はその点はとても大 事だ と思っていまして 、仮に 電気料金が自由化の 結果 、下がるか上がる か、全
くわからないわけで すけ れども、仮に上 がったと しても、例えば 需要家が 主体的に供給者を選 ぶと
いうこと自体は 、これは 権利として十分立派 なも のだと私は思います ので 、逆にそれが阻 害される
ような事業慣行があ れば 、これは改善を 求めてい く必要があると思っ てい ます。具体的に 何がある
か、これもちょっと 申し 上げにくいですが、 その 点は全く同意いたし ます 。
○古城座長
陶山委 員。
○陶山委員
すみま せん、もう一度料金プラン とか セット料金の問題に 関連 して御質問させていた
だきますけれども 、検針 をしているので 、利用と 料金の関係は見えそ うだ というお話がありま した
ので、お伺いした いので す。そもそも自由 化した 中で、経済的に効 率化さ れて、電気料金自 体とし
ては、第1エネル ギーの 高騰とかはちょっと 置い ておいて、その影 響を外 したところで、こ こは効
率化されて安くなる ほう に動いていったのか どう かということ。
それから、も う一つは 、需要家自身が自由化 や競 争のメリットを認識 して いないと書かれている
の で す が 、 こ れ は そ も そも 需 要 家 に と っ て の 利 益が ど の 程 度 、 自 由 化 で でき て い っ た の だ ろ う か 。
22
あるいは、消費 者として 日本の消費者基本法 の立 場から言えば、この利益 の増進をしていける 見通
しといいますか 、どの辺 を押さえていけばい いの だろうか、単純 には御説 明いただけないのか もし
れませんが、佐藤さ んの ところでお考えのこ とが あれば教えていただ きた いと思います。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
ありがと うご ざいます。大変難しい質 問 をいただいたと思って
います。
主にヨーロッパを 見て いるもので、ア メリカと 北米は余り詳しくな いの ですが、ヨーロ ッパで自
由化した英・独・仏を見ていると、1次エ ネルギ ーの高騰は除いてと いう お話でしたけれども 、一
般論として、例 えば競争 によって効率化され た場 合に、その効率 化の便益 をどこにつけるかと いう
と、複数あって 、第1は 需要家に還元すると いう ことがあります。ただ、必ずしもそのパスに 行く
とは限らなくて 、内部留 保して将来の投資に 回す というのもあります し、株主に還元するとい うも
のもあります。そ れは、ひとえに各企業の戦 略に よりますし、また 競争の 状況にもよります 。競争
というのは、小 売市場の 競争状況によります し、株主に対して配当す ると きにもある種の競争 があ
るわけですけれども 、こ の状況に依存するの で一 概に言えません。
英・独・仏を見ても、個社を分析した例が ある のですけれども、本当に 会社による、また国によ
るとしか申し上げら れな い状況であります 。ただ 、1つ言えるのは 、消費 者に必ず行き渡ると は限
りませんで、その 点、い かに各事業者間の競 争を ちゃんと担保するか とい うのが、より重要 になっ
てくるのかなと思っ てお ります。それ以 上は答え にくいところもある ので すが、日本では そのあた
りは恐らく経産省さ んの ほうでいろいろ議論 され るのかなと思ってい ると ころです。
とりあえず。よろ しい でしょうか。
○古城座長
井手委 員、 どうぞ。
○井手座長代理
ま とめ のところにあります けれ ども、規制料金があるこ と で新規参入が阻害され
る。これは言い過 ぎで、規制料金が適正に設 定さ れることが本来望ま しい わけで、規制料金 が高く
設定されれば、当 然新規 参入者が入ってくる でし ょうし、ひょっと したら 、その適正な水準 に設定
されれば、非効 率な新規 参入者が出てこない 可能 性があるというので 、規 制料金のあり方をき ちん
と考えるということが必 要だろう。
だから、新規参 入者を 促進するために、昔、NTTの場合でもそうです けれ ども、NTTの電話料 金を
2割、新規参入 者より高 く設定するという行 政的 な介入があったので 、競 争が歪められたとい うこ
とが言えるかもしれ ませ んけれども、そういう規 制 料金の料金設定の水 準を きちんと定めるという
ことが必要だという ことで、規制料金が あること 自体が新規参入を阻 害す るというのは、ちょっと
言い過ぎではないか 。
それから、もう 一つは 、弱者保護は私は 基本的 に余り必要ないとい うか 、本来、今まで もやって
きていませんし 、イギリ スの場合は国営でや って きたということで、ずっ とそういう弱者保護 的な
こ と が 行 わ れ た か も し れま せ ん け れ ど も 、 日 本 は最 終 保 障 と い う ぐ ら い の程 度 に と ど め る べ き で 、
弱 者 保 護 と い う の は 地 方自 治 体 が や っ て い る 水 道と か NHKで み ら れ 、 ま た 、例 外 的 に JRは 結 構 あ り
ますけれども、基本的に は事業者がやるべき こと ではなくて、国 とか地方 自治体が弱者保護を やる
べきこと。諸外 国でやっ ているからやるべき だと いう議論は、私 は基本的 に余り賛成ではない とい
23
うこと。その点、感 想で す。
○古城座長
今の点 につ いて、ちょっと お聞きし たいのですが、フランス の料金規制がまずい もの
であったと。そ れでEU当 局から撤退を求めら れて いるというときは 、これ はよくわかったので すけ
れども、井手さん が指摘 されているように 、料金 水準が適正だったら 問題 はないわけですね 。そう
すると、撤廃じゃ なくて 、もうちょっと上 げろと か、もうちょっと うまい 料金規制をしろとい う議
論が出てくると思う ので すが、それはヨーロ ッパ ではどうなっている ので しょうか。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
ありがと うご ざいます。
フランスの制度が まず いのは、もう議論 の必要 がないと思っていま す。ほかも、EU委員会 からす
ると、うまい料 金をつく れということは言え れば いいと思うのですけ れど も、以下は想像 も入って
いますけれども、加盟国 で「わかりました、規制 料金を見直します」と言 ったところで、結局仕上
がりの規制料金とい うの は、各国内のしが らみと かがあって、結局 、競争 制限的な料金規制に なっ
てしまうというのが 現実 としてあると思いま す。
そうすると、EU委員会 としては、規制料 金の存 在自体が、井手先 生がも し例えば東欧に行っ て規
制料金を組まれれば 、何 の問題もないと思う ので すけれども、現 地の人た ちがそのとおりつく るわ
けではなくて、仕上がり の料金としてなかな かそ うならないので 、EU委員 会としては規制料金 を早
く撤廃しましょうと いう ことを言わざるを得 ない のかなと、私は そういう ふうに見ています。若干
想像も入っています けれ ども、そういうふう に考 えています。
○古城座長
松村委 員。
○松村委員
そうい う意 見もあり得ると思い ます。EU委員会もそう思っ てい てもしようがないと思
います。現実にそ うじゃ ないというのはよく わかったのですが、仮 に補助 金とか、そういう たぐい
のものは一切投入し ない で、独立採算が貫 かれて いて、それで各国 が料金 を規制するなら、その料
金が低過ぎて競争阻 害に なるというのは原理 的に おかしいですね 。だから 、本来は無理やり補助金
を投入して、無 理やり低 くして歪めているこ とが ないかどうかだけを 見れ ばよいのであって 、規制
そのものに目くじら を立 てるのは変ではない か。だから、競争を歪めてい るのは補助金と考え る方
が、はるかに筋がい いと 思います。
EU当局が各国の補 助金 まで見ることは 、とても 難しいから、そ うなって しまうということは わか
ります。原理的に 考えて 、もし補助金がな かった とするならば、そ れでも 競争を歪めていると言う
のだとすれば、言っ てい るほうがおかしい。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
多分 、規制料 金と補助金はセット なの で、例えば東欧 などで規
制料金が低過ぎると いう のは、明らかに それとセ ットですので、片方だけ 見るのはおかしいと いう
のは先生がおっしゃ ると おりなのかなと思い ます 。また、補助 金の出どこ ろというのは、税 金を突
っ込んでいるのか 、ほか の部門から移してい るの かという細かな点が あっ て、そこは十把 一からげ
には言えないかなと 思っ ています。ありがと うご ざいます。
○古城座長
どうぞ 。
○古賀委員
すみま せん、細かいことで恐 縮です が、スライド6で 、今の 話とちょっと関連す るの
ですが、EUの司法裁判所 が イタリアのガス小売 規制 料金をめぐる事件判 決と いうのがあるのですけ
24
れども、実はイタ リア在 住の方にお聞きした ら、電気料金がここ二 、三年 でものすごく上がっ てし
まって、普通の家 庭でも月2万円ぐらい、夏場な どは3万円ぐらいか かっ てしまう。イタリ ア全体
の物価からしても 、もの すごく高くなってい ると いう話を最近聞いた ので す。イタリアの 方は原発
をやめることに同意 した 国民の合意として納 得さ れているということ でし たが、ガスの規制もかか
わっていると思いま す。このとき、イタ リアのガ ス小売規制料金の判 決と いうのはどういった 内容
だったのか。EUはど うい う立場でやっている のか 、ちょっと教えてく ださ い。
○ 電 力 中 央 研 究 所 佐 藤 主任 研 究 員
す み ま せ ん 、こ の 判 決 に 関 し て は 一 応読 ん だ の で す け れ ど も 、
かなり知識が落ちて いま すので、この場での 回答 を控えさせてくださ い。 申し訳ないです。
イタリアは、今 、規制 料金を撤廃した国に 分類 しているのですけれ ども 、していないと分 類する
人もいて、イタリ アの規 制料金はどういうも のか というと、私、イタリア 語を解せないので 、それ
を解説したものしか 見て いないのですけれど も、卸 電気市場の料金に小 売料 金をかなり連動させる
ような制度をとって いる ようで、卸が上がったら 一 気に上昇するという 制度 になっているのかな と、
今、伺っていて思い まし た。ここもわかれば詳し く調べてみたいと思 いま す。
○古城座長
質問じ ゃな いのですが、ち ょっと伺 いたいのですけれど も、ドイツではデフォル ト料
金がある。それか ら、フ ランスでは規制料金 があ るというのですけれ ども 、これは現在の規 制料金
と同じように、基本料金 とかいろいろあって 、そ れぞれについて料金 が定 められているのでし ょう
か。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
○古城座長
ドイツの デフ ォルト料金について 。
ドイツ のデ フォルト料金とフラ ンス の規制料金の定め方 なの ですけれどもね。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
たしかフ ラン スの規制料金は、ちょっ と 不正確かもしれませ ん。
間違っていれば、後日、メール等で事務局を 通し て御回答しますが 、月額 の基本料金と従量料 金に
なっていたように思 いま す。すみません 、ドイツ は今は把握しており ませ ん。申し訳ないで す。た
だ、補足しますと 、ドイ ツのデフォルト料金 はあ くまで非規制ですの で、どういったものを出 すか
というのは事業者に 委ね られているという点 は御 留意ください。
○古城座長
いかが でし ょうか。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
すみませ ん、ちょっと補足、よ ろしいでしょうか。フラ ンスの
規制料金に90%もた まっ ているという点なの です けれども、日本の今度で き るみなし小売電気事業
者さんが出される規 制料 金は、本当にベー シック なものだと理解して いま す。ただ、フ ランスの規
制料金の中には、細かな 時間帯別料金という のも 規制の中に入ってい まし て、そうすると 、そうい
ったものも規制に含 まれ てしまうので、本来、そ れ は自由料金で日本で やる ことになると思うので
すが、それも規 制料金に 含まれているので 、フラ ンスではなかなか動 かな いという側面もある と思
っています。
○古城座長
いかが でし ょうか。井手委員。
○井手座長代理
18ペー ジにスイッチング・コス トの低減という問題 があ ります。本来 、供給者や
料金プランに関する 情報 提供の改善、こ れはアメ リカでもそうですけ れど も、ホームペー ジを通じ
てスイッチングを容 易に できるようにするこ とが 、一番望ましい と思うの ですけれども、イギリス
25
で問題になったのは 、電 気とガスについて訪 問販 売をする。多分 、日本で もウェブ上で変更す ると
いうよりも、訪 問販売と いうものが主力にな ると 思うのですけれども 、そ ういったイギリスの 事例
がみられます。
それから、イギ リスの 場合、今日のテー マでは ないのですけれども 、自 由料金でいわゆる1 年固
定とか固定料金と、変動 料金という燃料の高 騰に 合わせて変動すると いう料金体系があります。そ
れから、固定料金につい て途中で離脱するとペ ナル ティーを課すといっ た料 金体系が結構ありま す。
この料金体系については複雑すぎて消費者が非常に混乱するというので規制当局が料金メニュー
を4つに絞れという ことが行われました。それか ら、訪問販売につ いても 、ウェブ上でなる べく変
更できるように改善すべ きというのが、イ ギリス では見られているの です けれども、その点 、何か
情報があれば追加的 に教 えていただきたい。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
ありがと うご ざいます。
英 国 は 、 当 初 、 電 気 ・ガ ス の 訪 問 販 売 が 結 構 多か っ た よ う に 聞 い て い ます 。 た だ 、 そ の 過 程 で 、
訪問販売の代理人と いい ますか、担当の 人たちが 詐欺まがいではない です けれども、サイ ンの偽造
は論外だと思います が、結構しつこく勧誘す ると いうのが結構問題に なり まして、当初 、イギリス
では電力・ガス会社の訪問 販売員の資格を民間 団体 でつくって、訪問に行くと きにはドアステップ・
セリング (doorstep selling) と言いますけれ ども 、協会発行の身分証を必 ず見せなさいとか、例
えば1回不正をした 人は 、二度とほかの 会社の代 理人としても働けま せん という制度を、6大電力
会社等で結構お金を かけ てつくったと聞いて いま す。
ただ、現在、イギリス の6大電力会社は、ドア ステップ・セリング、訪 問販売をやっており ませ
んで、恐らく営 業コスト が高かったというこ とだ と思いますけれども 、基 本的には電気とイン ター
ネットに注力されて いる ようです。ただ 、そこで 問題になってくるの は、インターネットだと 割引
がきくのですけれど も、例えば高齢の方でイ ンタ ーネットに余りなれ てい ない人たちは、その恩恵
にあずかれないとい う負 の側面も出ていまし て、そ ういう側面もちょっ と留 意しないといけないと
思います。
あと、メニュー ですけ れども、基本的に は先生 おっしゃったように 、1 年固定、何年固定 とか変
動とか、いろいろ なもの があって、ふえ過 ぎてわ からないということにな って、事業者ごと に4つ
のプランに絞りなさ いと いうことになって 、現実 、何が残っている かとい うと、主に変動 、いつで
も電気料金の単価は 動き ますよというものと 。例 えば、何年固定と いう言 い方はせずに、イ ギリス
だと例えば2017年何 月ま で固定という、今から何 カ月じゃなくて 、いつま でという形で出して いる
例が多いのですが 、そう いう変動料金と。あと、インターネットの割 引メ ニューみたいな、この辺
が主力で、あと もう一個 つけていたり。4つと言 いながら3つにして いる 会社もあるのですけ れど
も、こういうものに収斂 してきているという のが 現実です。
ただ、規制がそ ういう ふうに動いているわ けで すけれども、それ に対し て、そうすると事 業者の
創意工夫というもの に対 してはネガティブじ ゃな いかと批判する人も いる ようで、そのあたりの評
価はまだ定まってい ない というのが現状であ りま す。
○古城座長
陶山委 員、 どうぞ。
26
○陶山委員
今、井手先 生のお話でちょっと 思い 出したのですが、自由化 の最初の段階で、プリペ
イドとかデポジット をす ることによって安く しま すよという会社 、新規参 入者があって、そこが途
中で倒産するという 事例 もあったというのを 読ん だことがあるのです が、要 はそれによって需要家
が被害を受ける 。先払い をする、あるい は預託を することによって安 く買 えますという制度が あっ
た。そこは教訓化 すれば いいと思うのですが 、も し詳しく関連して情 報を お持ちでしたら、教えて
いただければと思い ます 。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
○陶山委員
プリペイ ドと いうのは、どこの。
私もよ く記 憶していないのです が、 イギリスかどこか。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
英国には 、御 存じの方も多いと思 うの ですけれども、プリペイ
ド式のメーターがあ りま す。ただ、こ れが安くな っていたというのは 初耳 ですけれども、一 般的に
いわゆる信用のない お客 さんに対して、不払いリ ス クがあるからあらか じめ 早く払っておいてくれ
という趣旨でつけら れた ものと理解していま す。当初、イギリスで 問題になったのは、そう いう人
たちの単価が高かっ た。要するに、不払い リスク があるから、デポ ジット は積んでもらってい るの
だ け れ ど も 、 単 価 が 高 かっ た と い う こ と が 問 題 にな っ て 、 イ ギ リ ス の 規 制当 局 は 、 自 由 化 す る と 、
そういった人たちこそ最初に自由化の恩恵を受けてくれるのではないかという期待があったよう
です。
けれども、蓋を あけて みると、そういう 人たち の単価は高くて、またイ ンターネットがまだ 黎明
期だったと思います けれ ども、スイッチ ングもな かなかしてくれない とい うことで、そう いう人た
ちに自由化のベネフ ィッ トがなかなか行かな かっ たということが問題にな っていました。
規制の話ばかりで 申し訳ないですけれども 、イ ギリスで一般のメー ター の価格、料金単価 と、プ
リペイドメントメー ター 、いわゆる割高 の料金プ ランの単価、こ れは差額 をつけること自体は オー
ケーです。ただし、コスト の差を反映したもの とし て、その差はちゃんと説明 できないとだめです 。
差額はいいけれども 、あ る意味暴利をむさぼ るよ うな差額をつけては だめ ですよ。コスト の差だけ
の値段しか認めませ んよ という規制が入って いて、そういった意味での 規制 料金ではないですけれ
ども、料金に対 する規制 はイギリスでもまだ若干 残っているという現 状が ございます。プ リペイド
メントメーターにつ いて は、そういうことを 申し 上げておきます。
○古城座長
はい。
○陶山委員
それは 、供 給側のリスクを低減 させ るためにプリペイド とい うことですね。私が読ん
だ資料、ちょっと不確 かな のですが、プリペイド する ことによって安く販 売す る会社があらわれて、
販売し終わらないう ちに、需要家のほうが全部 利用 しないうちに倒産し てし まったケースがあった
ということを読みま した 。
○古城座長
古賀委 員。
○古賀委員
井手委 員が おっしゃったスイッ チン グ・コストの低 減のとこ ろですけれども 、ウェブ
でやるのは、若い 人とか 、今の世代にはパ ソコン はやりやすいし、コスト もかからないと思い ます
けれども、実際に 高齢者 とか、いわゆる紙 のサー ビスになれた、毎 月の請 求書が欲しい人たち のた
めに、スイッチ ング・コ ス トの価格を紙でした 場合 とウェブでした場合 に差 をつけないような工夫
27
というのは、海外 でされ ているのでしょうか 。日 本では、高齢者な どへの 情報提供という意味 で特
にそういうことを導 入し ていく必要があると 思い ます。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
日本です べき かどうか、わか りません けれども、基本 的に海外
で見ていると、ネ ットの ほうを安くする。それは 、紙代がかからな いので 、事業者としても コスト
が安いので、そっ ちに動 いてほしいからネッ トを 引くという動きにあ る。なので、ネットを 使った
料金と紙の請求書の 料金 を同じにすべきじゃ ない かというのは、私は海外 で 余り聞いたことがない
ように認識しており ます 。もしかすると調 査不足 かもしれません。ただ、普通に考えて、紙 の分が
安くなるのだから、安く し てほしいねというの が普 通の感覚かなと私は 思っ ているのですけれども
ね。
○古城座長
どうぞ 。
○山内委員
だんだ ん話 が細かくなる。細かい話 を聞きますけれども 、ホ ワイトラベルのケー スで
料金はどういうふう に考 えるのかと思って 。事業 者の名前を全く出さ ずに 、別の事業者の 名前で電
気を供給するわけだ けれ ども、イギリスのケース で 規制機関の料金規制でど うなっているのかとい
うのが1つの細かい 質問 で。
もう一つは、さっき訪 問販売のケースがあ りま したけれども、イギリス で6大になったとき にBG
のセントリカが物す ごく 強かったじゃないで すか 。それは 、訪問販売とか に 関係しているのかどう
かを御存じかどうかとい うのが2つ目です。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
ホワイト ラベ ルというのは、電力会社 が 例えばスーパーマーケ
ットとか、ほか のディー ラーの名前で売るこ とを 指しておっしゃって いる と思いますし、イギリス
でもそういう言い方 をし ますけれども、この点は イギリスでも議論に なっ て、ホワイトラ ベルもプ
ランに含めるという こと なので、例えばあ る会社 が、本体では料金 プラン が4つ、ホワイト ラベル
で他社ブランドの名 前で 4つというのはだめ よということに結局なり まし た。そこも議論があった
のですけれども 、最終的 にはプランの数を制 限す ることが競争に資す ると いうのが、イギ リスの規
制機関の考え方だっ たよ うです。
訪問販売とBGの関 係は わからないのですけ れど も、訪問販売はBG、プリ テ ィッシュガス会社がか
ける場合もありまし たし 、逆に既存の電 力会社が 売った例もあると思 うの で、必ずしも片 面的な話
ではない。ただ 、イギリ スの家庭用需要家が 電力 会社を切り替えた場 合の 切り替え先は、団 体ブリ
ティッシュガスでご ざい まして、そうい う意味で は、ブリティッ シュガス が訪問販売を相当か けた
のだろうなというの は想 像がつくわけですけ れど も、必ずしもそこだ けで はないと思います。
○山内委員
ガスの 場合 は保安があるので 、必ず 顧客と接点を持って いる 。ケーブルテレ ビもそう
だけれども、顧客 接点を 持っているのですね 。その点で、電気はす ごく売 り込みやすいという こと
がある。多分 、日本でも そういうところがこ れか ら売り込むのではな いか 。傍聴者に関係者 の人が
いますけれども、と 思っ ているのですけれど も、 それについてどう思 うか という質問です。
○電力中央研究所佐 藤主 任研究員
○古城座長
私にはわ から ないとしか。
いかが でし ょうか。
そろそろ時間が来 まし たので、これで終了 して も構いませんね。あ りが とうございました。
28
消費者庁のほうか ら何 かございますか。
○消費者庁福岡審議 官
特にございません。
≪3.閉会≫
○古城座長
それで は、本日の議論は以上と いた します。
佐 藤 研 究 員 に お か れ まし て は 、 お 忙 し い 中 、 御出 席 い た だ き ま し て 、 あり が と う ご ざ い ま し た。
事務局から連絡事 項な どはございますか。
○丸山参事官
本日 は御 熱心な議論をどうも あり がとうございました 。
今後の専門調査会 等の 日程につきましては 、確 定次第、御連絡させ てい ただきます。
○古城座長
それで は、本日はこれにて閉会 とさ せていただきます。
お忙しいところを お集 まりいただきまして 、あ りがとうございまし た。
29
Fly UP