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本発明は、生物触媒において植物から得られる酵素の使用を提供する。

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本発明は、生物触媒において植物から得られる酵素の使用を提供する。
JP 2005-503163 A 2005.2.3
(57) 【 要 約 】
本発明は、生物触媒において植物から得られる酵素の使用を提供する。酸素基のレギオ−
及び立体選択的な不活性有機化合物への選択的導入は、なお有機化学に対する大きな未解
決 の 挑 戦 で あ る ( フ ェ イ バ ー 、 2000 年 ) 。 我 々 は 、 キ ク 科 ( Asteraceae ) は 、 例 え ば セ ス
キテルペンオレフィンを商業的に興味のある生成物に高いレギオ−及び立体特異性で転化
することができる。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質を転化し及び転化生成物を生成するための方法であって、セスキテルペンを含む種(
species) す な わ ち 生 命 体 か ら 由 来 の 酵 素 に 前 記 基 質 を 付 す こ と を 含 む 方 法 。
【請求項2】
基質を転化し及び転化生成物を生成するための請求項1に記載の方法であって、セスキテ
ルペンを含む植物から由来の酵素に前記基質を付すことを含む方法。
【請求項3】
基質を転化し及び転化生成物を生成するための請求項2に記載の方法であって、セスキテ
ルペンラクトンを含む植物から由来の酵素に前記基質を付すことを含む方法。
10
【請求項4】
前記種が柑橘類を含まない、請求項1∼3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
基質を転化し及び転化生成物を生成するための請求項1∼4のいずれか一項にに記載の方
法 で あ っ て 、 キ ク 科 ( Asteraceae) か ら 由 来 の 酵 素 に 前 記 基 質 を 付 す こ と を 含 む 方 法 。
【請求項6】
前 記 キ ク 科 が キ ク ヂ シ ャ 属 ( Cichorium) を 含 む 、 請 求 項 5 に 記 載 の 方 法 。
【請求項7】
前 記 キ ク 科 が マ キ ノ ゲ ヤ シ 属 ( Lactuca spp.) を 含 む 、 請 求 項 5 に 記 載 の 方 法 。
【請求項8】
20
前記転化生成物が、アルコール、アルデヒド/ケトン又はカルボン酸を含む、請求項1∼
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基質がテルペンを含む、請求項1∼8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記テルペンがセスキテルペンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記テルペンがバレンセンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記転化生成物がヌートカトンを含む、請求項1∼11のいずれか一項に記載の方法。
30
【請求項13】
前 記 酵 素 が シ ト ク ロ ム P-450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 含 む 、 請 求 項 1 ∼ 1 2 の い ず れ か 一 項
に記載の方法。
【請求項14】
前 記 酵 素 が セ ス キ テ ル ペ ン C12− ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む 、 請 求 項 1 3 に 記 載 の 方 法 。
【請求項15】
前記酵素がゲルマクレンAヒドロキシラーゼを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前 記 酵 素 が セ ス キ テ ル ペ ノ イ ド C2ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む 、 請 求 項 1 3 に 記 載 の 方 法 。
【請求項17】
40
前 記 酵 素 が (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド C2ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む 、 請 求 項 1 3 に 記 載 の 方 法 。
【請求項18】
前記酵素がデヒドロゲナーゼを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記酵素が、セスキテルペンアルコール又はアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項20】
前記酵素が前記種の抽出物から得られる、請求項1∼19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記酵素が前記種の細胞培養中に存在する、請求項1∼19のいずれか一項に記載の方法
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。
【請求項22】
前記酵素が前記種の器官培養中に存在する、請求項1∼19のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項23】
前記器官培養が毛状根培養を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記酵素が組み換え酵素を含む、請求項1∼23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記酵素が遺伝子導入植物から得られる、請求項24に記載の方法。
10
【請求項26】
前記酵素が微生物から得られる、請求項1∼24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
フレーバー、芳香、医薬又は殺生物化合物の生成のための請求項1∼26のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法によって得られうるフレーバー、芳香、医薬又は殺生物化合物。
【請求項29】
セスキテルペンを含む種すなわち生命体から由来の単離された又は精製された酵素。
【請求項30】
20
セスキテルペンを含む植物から由来の請求項29に記載の酵素。
【請求項31】
セスキテルペンラクトンを含む植物から由来の請求項30に記載の酵素。
【請求項32】
前記種が柑橘類を含まない、請求項29∼31のいずれか一項に記載の酵素。
【請求項33】
キ ク 科 ( Asteraceae) か ら 由 来 の 請 求 項 3 2 に 記 載 の 酵 素 。
【請求項34】
前 記 キ ク 科 が キ ク ヂ シ ャ 属 ( Cichorium) を 含 む 、 請 求 項 3 3 に 記 載 の 酵 素 。
【請求項35】
30
前 記 キ ク 科 が マ キ ノ ゲ ヤ シ 属 ( Lactuca spp.) を 含 む 、 請 求 項 3 3 に 記 載 の 酵 素 。
【請求項36】
請求項29∼35のいずれか一項に記載の酵素をコードする単離された及び/又は組み換
え核酸。
【請求項37】
請求項36に記載の核酸を含む宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それ程価値のない基質からフレーバー、芳香、医薬又は生物制御剤を生産する
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ために植物酵素を使用する、生物的転化の分野に関連する。より詳細には、本発明は植物
酵素の使用によるテルペノイド化合物の生産のための工程に関連する。
【背景技術】
【0002】
現代の化学は、最小限の廃棄物を伴う効率的且つクリーンな反応をさせるために触媒の使
用に強く依存している。特に、生物触媒(酵素、細胞)は、また工業において非常に増加
し て い る 。 生 物 触 媒 の 最 も 重 要 な 特 性 は 下 記 の 通 り で あ る ( フ ェ バ ー 、 2000年 ) :
1.それらは非常に効率的である;
2.それらは環境的に受け入れ可能である;
3.それらは穏やかな条件で作用する;
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4.それらは選択的である。
【0003】
現在まで、工業的及び実験用用途のために生物触媒を使用する生物的転化で使用される酵
素の大多数は、微生物源から得られる。酵素の少しの種類は、植物源から得られる(フェ
バ ー 、 2000年 ) 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 植 物 は 独 特 な 種 々 の 化 学 品 を 生 産 す る 故 に 、 植 物
界 は 化 学 者 及 び 生 物 工 学 者 に と っ て 重 要 な 源 で あ る ( フ ラ ン セ ン 及 び ウ ォ ル ト ン 、 1999年
) 。 こ の た め の 理 論 的 根 拠 は 単 純 で あ る :植 物 が そ れ ら の 捕 食 動 物 か ら 逃 げ る こ と が で き
る方法はなく、従ってそれらは化学的方法によってそれら自身を防衛しなければならない
。 植 物 は 、 最 も 素 晴 ら し い 化 学 的 構 造 を 有 す る 化 合 物 を 作 る :抗 腫 瘍 薬 タ キ ソ ー ル ( 商 標
) ( セ イ ヨ ウ イ チ イ : Taxus brevifolia由 来 ) 、 昆 虫 摂 食 阻 害 剤 ア ザ ジ ラ ク チ ン ( azadir
10
achtin) ( イ ン ド の イ ン ド セ ン ダ ン Azadirachta indica由 来 ) 及 び 鎮 痛 性 モ ル ヒ ネ ( ケ シ
: Papaver somniferum由 来 ) 。 科 学 が 植 物 細 胞 及 び 酵 素 が 応 々 に し て 有 す る 不 利 点 に 拘 わ
らずそれらの用途に興味をもった且つ今なおもっていのは、主に、これらのような化合物
の 甚 だ し い 重 要 性 の 故 で あ る ( ウ ォ ル ト ン 及 び ブ ラ ウ ン 、 1999年 ) 。 二 次 代 謝 産 物 ( フ レ
ーバー、芳香、医薬又は生物活性(殺虫性、抗微生物性、忌避性、誘引性など、など)化
合物として作用する非常に多くの成分を包含する)のはるかに最重要なグループは、テル
ペノイドである。テルペノイドはイソプレノイドに属する。定義によって、イソプレノイ
ド は 所 謂 イ ソ プ レ ン ( C5) ユ ニ ッ ト か ら 構 成 さ れ る 。 こ れ は 、 5に よ っ て 通 常 割 る こ と が
で き る イ ソ プ レ ノ イ ド 中 に 存 在 す る C-原 子 の 数 ( C5、 C10、 C15、 C20、 C25、 C30及 び C40)
に お い て 認 識 さ れ う る が 、 不 規 則 な イ ソ プ レ ノ イ ド ( 例 え ば 、 C13、 C16) 及 び ポ リ テ ル ペ
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ン ( Cn) が ま た 報 告 さ れ て い る 。
【0004】
テ ル ペ ノ イ ド は 、 a.o.モ ノ テ ル ペ ン 、 セ ス キ テ ル ペ ン 、 ジ テ ル ペ ン 、 ト リ テ ル ペ ン 、 テ ト
ラテルペン及びポリテルペン(ゴム)などから成る。モノ−及びセスキテルペン、イソプ
レ ノ イ ド 属 の C10及 び C15側 鎖 は 、 食 品 及 び 化 粧 品 中 の フ レ ー バ ー 及 び 芳 香 化 合 物 と し て 経
済的に興味深く及び抗発癌性効果及び抗菌性特性を有し得る。モノ−及びセスキテルペン
は、例えば植物間、植物及び昆虫/ハダニ間、並びに植物及び微生物間の相互作用及びシ
グナリングにおいて生態学的重要であるとしてまた示されている。
【0005】
セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン は 、 セ ス キ テ ル ペ ン の 重 要 な サ ブ グ ル ー プ で あ り 、 及 び 4000を 超
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える種々の構造が同定されている。豊富な情報が、これらのタイプの化合物の構造的観点
及 び 生 物 活 性 に つ い て 利 用 可 能 で あ る ( 例 え ば 、 ピ ッ ク マ ン 、 1986年 ; ハ ル ボ ル ン ら 、 19
99年 ; シ ー グ ラ ー 、 1995年 ) 。
【0006】
セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン は 、 植 物 の 乾 燥 重 量 の 5%ま で を 構 成 し て も よ く 且 つ ( 約 450種 の
中 の ) キ ク 科 ( Asteraceae) ( 全 植 物 科 の 最 大 ) の メ ン バ ー に お い て 主 に 生 じ 、 し か し 他
の 高 等 植 物 科 例 え ば セ リ 科 ( Apiaceae) ( 12種 ) 及 び 下 等 植 物 例 え ば ゼ ニ ゴ ケ 類 ( liverw
orts) ( 例 え ば ヤ ス デ ゴ ケ 属 ( Frullania) ) に お い て ま た 生 じ る ( ハ ル ボ ル ン ら 、 1999
年)。セスキテルペンラクトンは植物全体にわたって生じうるが、葉、花部分及び主根に
最も一般に関連付けられる。
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【0007】
キ ク 科 ( Asteraceae) は 、 1317の 属 及 び 21000の 種 を 含 む 。 そ れ ら は 、 通 常 主 根 を 有 す る
、ときどき塊茎を有する、主に草本性植物、ときどき潅木又は木である。キク科の多くは
、 ( 揮 発 性 ) 油 を 生 成 す る 器 官 例 え ば 導 管 又 は ト リ コ ー ム ( trichomes) を 含 み 、 そ れ ら
の 幾 つ か は ラ テ ッ ク ス を 含 む 。 キ ク 科 ( Asteraceae) は 、 多 く の 経 済 的 及 び 装 飾 的 植 物 例
え ば ヒ マ ワ リ ( (Helicznthus annuus; 種 子 お よ び ヒ マ ワ リ 油 の 生 成 用 ) 、 キ ク イ モ ( Jer
usalem Artichoke) (Helianthus tuberosus); そ れ の 塊 茎 は 食 べ ら れ 、 及 び そ れ は フ ル ク
タ ン 生 産 の た め に ま た 使 用 さ れ る ) 及 び ク ソ ニ ン ジ ン ( Artemisia annua) ( 有 効 な 抗 マ
ラ リ ア の ア ル テ ミ シ ニ ン の 生 産 用 )を 含 む 。 サ ル シ フ ィ ( Salsify) ( Tragopogon porrifo
lius) 及 び フ タ ナ ミ ソ ウ ( Scorzonera) ( Scorzonera hispanica) の 根 、 グ ロ ー ブ ・ ア ー
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テ ィ チ ョ ー ク ( Globe Artichoke) シ ナ ラ ・ ヒ ス パ ニ カ ( Cynara scolymus) の 若 い 頭 状 花
、 及 び レ タ ス ( Lactuca sativa) 、 エ ン ダ イ ブ ( Endive) 、 チ コ ラ ム ・ エ ン デ ィ バ ( Cich
orium endiva) 及 び 赤 チ コ リ ー ( Radicchio) 並 び に ブ リ ュ ッ セ ル ・ エ ン ダ イ ブ ( Brussel
s Endive) ( Cichorium intybus) の 葉 が 、 食 用 と し て ま た 使 用 さ れ る 。 加 え て 、 多 く の
観 賞 用 の キ ク 科 ( Asteraceae) 例 え ば テ ン ジ ク ボ タ ン 属 ( Dahlia) 、 ド ロ ニ カ ム 属 ( Doro
nicum) 、 ダ ン ゴ ギ ク 属 ( Helenium) 、 マ ン ジ ュ ギ ク 属 ( Tagetes) 、 ヒ マ ワ リ 属 ( Helian
thus) 、 シ オ ン 属 ( Aster) 、 ヤ グ ル マ ギ ク 属 ( Centaurea) 、 ガ ー ベ ラ 属 ( Gerbera) な
どがある。
【0008】
キ ク 科 ( Asteraceae) の 仲 間 ( tribes) に お け る セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の 生 成 は 、 分 類
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学 的 に 興 味 深 い 。 そ れ ら は 、 ヘ リ ア ン テ ア エ 属 ( Heliantheae) に お い て 共 通 で あ り 、 ア
ン テ ミ デ ア エ 属 ( Anthemideae) 、 チ コ リ エ ア エ 属 ( Cichorieae) 、 シ ナ レ ア エ 属 ( Cynar
eae) 、 セ ネ シ オ ネ ア エ 属 ( Senecioneae) 、 イ ヌ レ ア エ 属 ( Inuleae) 及 び ベ ル ノ ニ エ ア
エ 属 ( Vernonieae) に 頻 繁 に 生 じ 、 ま れ に の み オ イ パ ト リ ア エ ア 属 ( Eupatoriaea) に 生
じ 及 び ア ス テ ラ エ 属 ( Astereae) 、 ム チ シ エ ア エ 属 ( Mutisieae Mutisieae) 、 タ ゲ テ ア
エ 属 ( Tageteae) 及 び ア ル コ テ ア エ − カ レ ン デ ュ ラ エ 属 ( Arcoteae-Calenduleae) に 生 じ
な い ( シ ー グ ラ ー 、 1995年 ) 。 セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン を 含 む と 示 さ れ て い る 農 作 物 類 は
、 例 え ば 朝 鮮 ア ザ ミ ( Artichoke) 、 レ タ ス ( Lettuce) 、 エ ン ダ イ ブ ( Endive) 、 赤 チ コ
リ ー ( Radicchio) 、 ブ リ ュ セ ル ・ エ ン ダ イ ブ ( Brussels Endive) 、 ヒ マ ワ リ ( Sunflowe
r) 、 き く い も ( Jerusalem Artichoke) 、 ア ル テ ミ シ ア ・ ア ニ ュ ア ( Artemisia annua)
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、 マ ヒ カ リ ア ・ レ キ ュ テ ィ タ ( Mahicaria recutita) で あ る 。 セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン を
含 む 幾 つ か の 野 生 の ( 又 は 観 賞 用 の ) キ ク 科 ( Asteraceae) は 、 ラ ク ツ カ ・ ヴ ィ ロ ー サ (
Lactuca virosa) 、 ノ コ ギ リ ソ ウ 属 ( Achillea) 、 ブ タ グ サ 属 ( Ambrosia) 、 サ ン ト リ ソ
ウ ( Cnicus benedictus) 、 ヨ モ ギ 属 ( Artemisia) 、 オ ナ モ ミ 属 ( Xanthium) 、 イ ヴ ァ ・
ア キ シ ラ リ ス ( Iva axillaris) 、 パ ル テ ニ ウ ム 属 ( Parthenium) 、 ダ ン ゴ ギ ク 属 ( Helen
ium) 、 ヒ メ ノ キ シ ス ・ オ ド ラ ー タ ( Hymenoxys odorata) 、 シ ョ ウ ジ ョ ウ ハ グ マ 属 ( Vern
onia) 、 ヴ ァ ニ ロ ス モ プ シ ス 属 ( Vanillosmopsis) 、 エ レ マ ン ザ ス 属 ( Eremanthus) 、 モ
ク ィ ニ ア 属 ( Moquinea) 、 パ ル テ ニ ウ ム 属 ( Parthenium) 、 ウ サ ギ ギ ク 属 ( Arnica) 、 ア
ト ラ ク テ ィ ロ デ ィ ス ・ マ ク ロ セ フ ァ ラ ( Atractylodis macrocephala) 、 オ イ パ ト リ ウ ム
・ カ ン ナ ビ ウ ム ( Eupatorium cannabium) 、 ア キ レ ア ・ ミ レ フ ォ リ ウ ム ( Achillea mille
30
folium) 、 タ ナ セ タ ム ( ク リ サ ン セ マ ム ) ・ ブ ル ガ レ ( Tanacetum (Chrysanthemum) vulg
are) 、 イ ニ ュ ラ ・ へ レ ニ ウ ム ( Inula helenium) 及 び 外 来 種 タ ン ポ ポ ( Taraxacum offic
inale) で あ る ( シ ー グ ラ ー 、 1995年 ; フ ァ ン ゲ ン デ レ ン ら 、 1996年 ) 。
【0009】
大 量 の セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン を 含 む キ ク 科 ( Asteraceae) の 1つ の 例 は 、 チ コ リ ー ( Chi
cory) で あ る 。 チ コ リ ー の 根 は 、 こ れ ら の セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の 故 に 非 常 に 苦 い 。
【0010】
チコリーは、地中海及び東アジアから世界中に広がっている、青い花を咲かせるキク科植
物 ( composite plant) で あ る 。 17世 紀 以 来 、 そ れ は 、 ロ ー ス ト さ れ そ し て ホ ッ ト 媒 コ ー
ヒ ー 様 媒 飲 料 に お い て 使 用 さ れ た と こ ろ の そ の 苦 い 根 の た め に 栽 培 さ れ て い る (var. sati
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vum)。 そ の 根 の 使 用 は 、 コ ー ヒ ー ア ラ ビ カ ( Coffea arabica) か ら の 真 の コ ー ヒ ー に よ っ
て 置 き 換 え ら れ た 一 方 、 暗 所 に お い て 成 長 す る チ コ リ ー (var. foliosum)の 芽 が 、 19世 紀
中 頃 に 野 菜 (ベ ル ギ ー エ ン ダ イ ブ ; Belgian endive)と し て 有 名 に な っ た 。 最 近 、 そ れ は ベ
ル ギ ー 、 北 フ ラ ン ス 及 び オ ラ ン ダ に お い て 普 通 の 作 物 で あ る ( ウ ィ ー ダ ら 、 1991年 ; ヴ ォ
ー ゲ ル ら 、 1996年 )。 成 長 の 最 初 の 年 の 間 、 植 物 は 、 深 い 主 根 を 発 達 し 且 つ 短 い 茎 上 に 葉
のロゼットを形成する。引き続く寒い露出の期間、植物は花の分裂組織を発達する。商業
的 生 産 は 、 根 の 成 熟 、 引 き 続 き 花 の 芽 誘 導 (冷 蔵 )及 び そ の 後 、 暗 中 ( 発 育 促 進 ) に お い て
、加速されたしかし制御された花の軸及び周囲の基礎の葉の発達の適切な段階の達成に続
く 植 物 を 収 穫 す る こ と を 含 む 。 発 育 促 進 の 最 終 産 物 が 、 シ コ ン ( chicon) (黄 緑 色 の 領 域
で 輪 に さ れ た 葉 の 小 さ い 頭 )で あ る 。 こ の ベ ル ギ ー エ ン ダ イ ブ は 、 セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト
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ン 起 源 の そ の わ ず か な 苦 味 で 知 ら れ て い る ( ピ レ ッ ク 、 1985年 ; セ ト ら 、 1988年 ; フ ァ ン
ビ ー ク ら 、 1990年 ; プ ラ イ ス ら 、 1990年 ) 。 チ コ リ ー の 主 な セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン は 、
グ ア イ ア ノ ラ イ ド ( guaianolides) で あ る が 、 少 量 の オ イ デ ス マ ノ ラ イ ド ( eudesmanolid
es) 及 び ゲ ル マ ク ラ ノ ラ イ ド ( germacranolides) が ま た 存 在 す る 。 チ コ リ ー の 苦 味 は 、
グ ア イ ア ノ ラ イ ド ( guaianolides) 、 ラ ク ツ シ ン ( lactucin) 、 8 − デ オ キ シ ラ ク ツ シ ン
( 8-deoxylactucin) 及 び ラ ク ツ コ ピ コ リ ン ( lactucopicrin) の 存 在 に 特 に 関 連 付 け ら れ
ている。
【0011】
多くの情報が、セスキテルペンラクトンの構造的観点及び生化学的活性について利用可能
であるが、それらの生合成に関してほとんど知られていない。天然に生じるセスキテルペ
10
ンラクトンの圧倒的に最大のグループは、ゲルマクラノライドのグループであり、及び多
数のセスキテルペンラクトンはこのグループから発展すると思われる。ゲルマクラノライ
ド の 最 も 簡 単 な メ ン バ ー 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド ( (+)-Costunolide) は 、 す べ て の ゲ ル マ
クラノライド由来ラクトンの共通の中間体であるとして一般に受け入れられている(ゲイ
ス マ ン 、 1973年 ; ヘ ル ツ 、 1977年 : フ ィ ッ シ ャ ー ら 、 1979年 : シ ー マ ン 、 1982年 ; ソ ン ら
、 1995年 )。
【0012】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド は 、 ポ ー ル ら ( 1960年 ) 及 び ソ マ セ カ ル ら ( 1960年 ) に よ っ て コ ス タ
ス ( costus) 根 ( Saussurea lappa Clarke) か ら 最 初 に 単 離 さ れ 、 及 び そ れ 以 来 様 々 な 植
物 中 に 他 の セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン と と も に 見 つ か っ て い る ( フ ィ ッ シ ャ ー ら 、 1979年 )
20
。 そ れ ら の 中 で 、 レ タ ス ( Lactuca sativa) は 、 チ コ リ ー と 密 接 に 関 係 が あ り 且 つ 苦 味 呈
味 化 合 物 ラ ク ツ シ ン 及 び ラ ク ツ コ ピ ク リ ン を ま た 含 む 種 で あ る ( タ カ ス ギ ら 、 1985年 ; プ
ラ イ ス ら 、 1990年 )。
【0013】
最 近 、 我 々 は チ コ リ ー 中 の セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の セ ス キ テ ル ペ ノ イ ド 骨 格 が 、 FPPを (
+)-ゲ ル マ ク レ ン A ( (+)-germacrene A) に 環 化 す る (+)-ゲ ル マ ク レ ン A シ ン タ ー ゼ に よ
っ て 形 成 さ れ る こ と を 実 証 し て い る (デ ク ラ カ ー ら 、 1998年 ; ボ ウ ミ ー ス タ ー ら 、 1999
年 b)。 こ の (+)-ゲ ル マ ク レ ン A は 、 グ ア イ ア ン ( guaiane) 又 は オ イ デ ス マ ン ( eudesmane
)骨格へさらに転化されず、このことは、分子の官能化がその環化に先行することを示す
。 サ ン ト ニ ン の 生 合 成 に 関 す る 研 究 ( バ ー ト ン ら 、 1968年 ) は 、 ラ ク ト ン 形 成 が セ ス キ テ
30
ル ペ ノ イ ド 環 シ ス テ ム の 何 ら か の 他 に 酸 化 に 先 行 す る こ と を 示 唆 し ( コ ー デ ル 、 1976年 )
、 及 び 様 々 な 著 者 が (+)-ゲ ル マ ク レ ン A (8)か ら (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド に 向 け て の 生 合 成 経
緯 路 を 提 案 し て い る ( (ゲ イ ス マ ン 、 1973年 ; ヘ ル ツ 、 1977年 ; シ ー マ ン 、 1982年 ; フ ィ
ッ シ ャ ー 、 1990年 ; ソ ン ら 、 1995年 )。 こ の 仮 説 の 経 路 で は 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A が 、 ゲ
ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-オ ー ル ( germacra-1(10),4,11(13)-trien-12-ol
) に 水 酸 化 さ れ 、 後 者 は ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-ア ー ル ( germacra-1(1
0),4,11(13)-trien-12-al) を 介 し て 、 ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 ( ger
macra-1(10),4,11(13)-trien-12-oic acid) に さ ら に 酸 化 さ れ る 。 ゲ ル マ ク レ ン 酸 は 、 C6
-位 置 で 水 酸 化 さ れ 及 び 引 き 続 く 水 の 損 失 が ラ ク ト ン 環 ( 例 え ば (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド に 存
在する)の形成を導くと考えられる。
40
【0014】
不運にも、ゲルマクレンは周知のように不安定な化合物であり、陽子誘発された環化及び
熱 誘 発 さ れ た ( 例 え ば 蒸 気 蒸 留 、 GC分 析 )コ ー プ 転 位 を 受 け (タ ケ ダ 、 1974年 ; ボ ー ル マ ン
ら 、 1983年 ; レ イ チ ャ ー ド ら 、 1988年 ; テ イ ッ セ イ レ 、 1994年 ; デ ク ラ カ ー ら 、 1998年
)。 ベ ロ ニ ア ・ グ ラ ブ ラ ( Vernonia glabra) か ら 非 常 な 困 難 を 伴 い 単 離 さ れ 且 つ そ の 環 化
生 成 物 コ ス タ ー ル ( costal) か ら 分 離 す る こ と が で き な い と こ ろ の ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,1
1(13)-ト リ エ ン -12-ア ー ル ( ボ ー ル マ ン ら 、 1983年 ) は 別 に し て 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A と
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド と の 間 の 中 間 体 は こ れ ま で 単 離 さ れ て い な い 。 恐 ら く こ の 不 安 定 性 の
結 果 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の 仮 説 の 生 合 成 経 路 は 、 コ ー プ 転 位 生 成 物 (-)-エ レ マ -1,3,11(
13)ト リ エ ン -12-オ ー ル ( (-)-elema-1,3,11(13)-trien-12-ol) 及 び (-)-エ レ マ -1,3,11(1
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(7)
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3)ト リ エ ン -12-ア ー ル ( (-)-elema-1,3,11(13)trien-12-al) 並 び に 陽 子 誘 発 さ れ た 環 化
生 成 物 コ ス ト ー ル ( costol) 、 コ ス タ ー ル ( costal) 及 び 木 香 酸 ( costic acid) の コ ス
タ ス ( costus) 根 か ら の 単 離 に 単 に 基 づ い て い る ( バ ウ デ カ ル 及 び ケ ラ ー 、 1965年 ; バ ウ
デ カ ル ら 、 1967年 ; マ ウ ラ ー 及 び グ リ ー ダ ー 、 1977年 )。
【0015】
セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の 生 合 成 の 次 の 段 階 は 、 シ ト ク ロ ム P450酵 素 に よ っ て 触 媒 さ れ る
( デ ク ラ カ ー ら 、 2001年 ) 。 シ ト ク ロ ム P450酵 素 (Mr = ± 50,000)は 、 酸 化 反 応 を 主
に 触 媒 す る が 、 還 元 も ま た 触 媒 す る 。 ほ と ん ど の 脊 椎 動 物 ゲ ノ ム は 、 シ ト ク ロ ム P450の 30
よ り も 多 い 異 な る 構 造 的 ゲ ノ ム を 含 み ( マ シ ュ ー 及 び ヴ ァ ン ホ ル デ 、 1996年 ) 、 こ れ を 大
きく且つ多様なタンパク質ファミリーにする。これらのタンパク質は、酸素及び一酸化炭
10
素の両方に結合することができる点でミトコンドリアのシトクロムオキシダーゼと類似す
る 。 し か し な が ら 、 シ ト ク ロ ム P450は 、 そ れ ら が 、 そ れ ら が 還 元 さ れ た 状 態 に あ る 及 び 一
酸 化 炭 素 と 複 合 化 し て い る 場 合 、 450nmの 光 を 強 く 吸 収 す る 。 450nmの 光 は 、 ヘ ム か ら の 一
酸化炭素を置換し、それ故に一酸化炭素結合は光可逆である。この理由のために、シトク
ロ ム P450酵 素 は 一 酸 化 炭 素 に よ る 光 可 逆 的 阻 害 を 示 す ( ド ナ ル ド ソ ン 及 び ル ス タ ー 、 1991
年 ) 。 植 物 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ シ ス テ ム は 、 小 胞 体 ( endoplasmic reticu
lum) 又 は 前 液 胞 ( prevacuole) に 関 連 づ け ら れ て お り 、 及 び そ の 結 果 細 胞 の 軽 い ( light
)細胞膜(ミクロソームの)画分に位置している。
【0016】
シ ト ク ロ ム P450酵 素 は 、 多 く の 種 々 の 化 合 物 の 水 酸 化 に 関 係 し て い る 。 既 知 の シ ト ク ロ ム
20
P450活 性 の 2 つ の 分 類 が あ る : そ れ ら は 生 合 成 経 路 に 関 係 し 且 つ そ れ ら は 生 体 異 物 ( xeno
biotics) の 解 毒 に 関 係 す る ( ド ナ ル ド ソ ン 及 び ル ス タ ー 、 1991年 ; ミ ハ リ ア ク ら 、 1993
年 ; シ ュ ラ ー 、 1996年 ) 。 こ れ ら の 反 応 は 、 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 生 合 成 の 水 酸 化 、 並 び に
水 酸 化 さ れ た 脂 肪 酸 及 び 脂 肪 酸 エ ポ キ シ ド の 合 成 を 含 む 。 さ ら に 、 シ ト ク ロ ム P450は 、 薬
物例えばフェノバルビタール及び環境的発ガン物質例えばベンゾピレン(タバコの煙の成
分)を含む、無数の生体異物に影響する。外来物質の水酸化は、それらの溶解性を通常増
加し、及びそれらの解毒化、又は代謝及び排泄の1ステップである。
【0017】
シ ト ク ロ ム P450シ ス テ ム は 、 エ ポ キ シ 化 、 過 酸 化 、 脱 硫 化 、 脱 ア ル キ ル 化 、 脱 ア ミ ノ 化 及
び脱ハロゲン化を含む、広く種々の追加的反応に関与する。これらの反応は、肝臓中で特
30
に 活 発 で あ り 、 そ こ で は 多 く の シ ト ク ロ ム P450が 生 体 異 物 誘 発 性 で あ る : す な わ ち 、 そ れ
らの合成はこれらの酵素によって代謝されるところの基質によって刺激される(マシュー
及 び ヴ ァ ン ホ ル デ 、 1996年 ) 。 誘 発 剤 は 、 薬 物 例 え ば フ ェ ノ バ ル ビ タ ー ル 及 び 他 の バ ル ビ
ツレートを含む。
【0018】
酵 素 の 活 性 部 位 を 構 成 す る ア ミ ノ 酸 残 基 は 、 所 与 の P450の 特 異 性 を 決 定 す る 。 そ れ ら は 、
種 々 の シ ト ク ロ ム P450の 間 で 広 く 変 わ り 得 る ; し か し な が ら 。 こ れ ら の す べ て の 酵 素 の 活
性 部 位 の 主 な コ ン ポ ー ネ ン ト は 、 ヘ ム 部 分 ( heme moiety) で あ る 。 ヘ ム 部 分 の 鉄 イ オ ン
は 、 触 媒 反 応 の 部 位 で あ り 及 び 一 酸 化 炭 素 と の 組 み 合 わ せ で 強 い 450nm吸 収 ピ ー ク の 原 因
で も あ る ( http://www.tcm.phy.cam.ac.uk/‾mds2l/report/node34.html) 。 シ ト ク ロ ム P4
40
50酵 素 の 基 質 特 異 性 は 、 生 命 体 中 の そ れ ら の 機 能 :動 物 中 の 代 謝 物 質 の 生 合 成 又 は 生 体 異
物の破壊に依存する。生体異物の破壊を行う酵素は、低い特異性を持ち、それ故に少数の
酵素が大きな多様性の生体異物に対して生命体を保護し得る。植物中の生体異物の解毒が
どのように遂行されるかはまだ明らかではない。植物又は動物中の代謝物質の生合成の経
路に関係する酵素は、非常に高い基質特異性を一般に有する(ドナルドソン及びルスター
、 1991年 ; ミ ハ リ ア ク ら 、 1993年 ; シ ュ ラ ー 、 1996年 ) 。
【0019】
多くの種々の酵素が、複雑な植物代謝物質の生合成経路に関与する。酵素は、とりわけ、
立体及び場所選択的な水酸化、酸化(エポキシ化)、還元、グリコシル化、エステル化及
び環化を触媒する。特に、水酸化及び酸化に関与する酵素は化学に大きな可能性を持ち、
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なぜならば、対応する化学的転化は毒性の反応物及びハロゲン化溶媒の使用を伴い、それ
は 安 全 性 及 び 環 境 的 理 由 の た め に 望 ま し く な い か ら で あ る ( マ ー チ 、 2001年 ) 。 例 え ば 、
アリル水酸化が、塩化メチレン中で二酸化セレンを使用して通常実行される(ジェルッシ
、 1970年 ) 。 炭 素 − 炭 素 二 重 結 合 に 隣 接 す る カ ル ボ ニ ル 基 の 直 接 的 導 入 は 、 毒 性 の 三 酸 化
ク ロ ム ( マ ー チ 、 2001年 ) 又 は 高 価 且 つ 非 常 に 毒 性 の 四 酸 化 ル テ ニ ウ ム ( 例 え ば 、 ペ テ ィ
ッ ト 及 び フ ル ス ト ス 、 1995年 ) の 使 用 を 要 求 す る 。 さ ら に 、 水 酸 化 及 び 酸 化 酵 素 は 、 化 学
試薬よりもはるかに大きな場所及び立体選択性を通常有する。少数の例が下記に与えられ
る。
【0020】
芳香及びフレーバー産業において部分的にそれらの重要性の故に、テルペノイドの水酸化
10
及 び 更 な る 生 物 的 転 化 が 、 精 油 を 生 産 す る 種 の 及 び 他 の 植 物 例 え ば タ バ コ ( Nicotiana ta
bacum) の 細 胞 培 養 を 使 用 し て 、 特 に よ く 研 究 さ れ て い る ( ス ガ 及 び ヒ ラ タ 、 1990年 ) 。
立体特異性は、例えばβ−テルピネオール及びその酢酸エステルのC4位で生じる水酸化
からトランス異性体のみの形成によって及びα−テルピンアセテートの環内の二重結合の
水酸化の結果としてトランスジオールの優勢な形成によって示された(図4)。
【0021】
ジ ギ ト キ シ ン は 、 キ ツ ネ ノ テ ブ ク ロ 属 ( Digitalis) 由 来 の 強 心 配 糖 体 で あ る 。 11-位 上 で
のそのβ−水酸化は、より効果のあるジゴキシンをもたらす。これは、精製され、バイオ
リ ア ク タ ー 中 で ケ ジ ギ タ リ ス ( Digitalis lanata) か ら 再 構 成 さ れ そ し て 固 定 化 さ れ た ジ
ギ ト キ シ ン 12β -ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ ( シ ト ク ロ ム P450酵 素 コ ン プ レ ッ ク ス ) に よ っ て 達
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成 さ れ て い る ( ピ ー タ ー セ ン 及 び ザ イ ツ 、 1988年 ; ピ ー タ ー セ ン ら 、 1987年 ) 。
【0022】
セスキテルペンアルコール及びケトンは、多くの理由のために化合物の興味あるグループ
である。例えばセスキテルペンアルコールは、微生物に対する抵抗に関与することを示さ
れ て い る :ナ ス 科 ( Solanaceae) は 、 例 え ば 病 原 性 の 真 菌 に 感 染 す る と セ ス キ テ ル ペ ン ア
ル コ ー ル フ ィ ト ア レ キ シ ン を 生 産 し 、 及 び イ ン ビ ト ロ ( in vitro) ア ッ セ イ に お い て 、
これらのセスキテルペンアルコールが強い抗真菌活性を有することを示している。さらに
多くのセスキテルペンアルコールは、フレーバー及び芳香産業において重要であり、例え
ば 、 サ ン タ ロ ー ル ( santalol) 、 典 型 的 に 非 常 に 高 価 な ビ ャ ク ダ ン 精 油 ( sandalwood ess
ential oil) 及 び ク シ モ ー ル ( khusimol) 及 び パ チ ュ ロ ー ル ( patchoulol) な ど 。 さ ら に
30
セ ス キ テ ル ペ ン ケ ト ン 、 ヌ ー ト カ ト ン ( nootkatone) は 、 商 業 上 重 要 な 化 合 物 で あ る 。 そ
の優れた官能特性及び特にそのその典型的なグレープフルーツ風味の故に、ヌートカトン
は、香水及びフレーバー産業において広く使用されている成分である。ヌートカトンは胃
障害を阻害することも示され、このことは、それがいくつかの胃腸薬物の構成成分である
こ と を 説 明 す る ( ヤ マ ハ ラ ら 、 1990年 ) 。 ヌ ー ト カ ト ン は 、 化 学 合 成 ( ハ ン タ ー 及 び ブ ロ
グ デ ン 、 1965年 ; ウ ィ ル ソ ン 及 び シ ョ ー 、 1978年 ; カ ナ ダ 特 許 No.901601; エ ム . ペ サ ロ
ら 、 1968年 ; バ ー チ 、 1974年 ; 米 国 特 許 5847226) を 使 用 し 、 バ レ ン セ ン ( valencene) 又
は他の基質から得られうるけれども、天然のヌートカトンの大きい需要がある。現在その
ような品質は、ヌートカトンを含む天然産物、特にグレープフルーツの抽出によってのみ
得 ら れ 得 り 、 そ の 方 法 は ほ と ん ど 経 済 的 で は な い 。 酵 素 リ グ ニ ン ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ ( lign
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in peroxidase) ( 木 材 腐 朽 担 子 菌 ( Phanerochaete chrysosporium) か ら の ) 及 び ラ ク ト
ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ ( lactoperoxidase) で 、 (+)-バ レ ン セ ン ( (+)-valencene) を あ る 条 件
下でヌートカトンに転化することは可能である。このような方法で、転化は非常に低く且
つ最もおそらくはこれら2つの酵素によって形成される一重項酸素による(ウィラーシャ
ウ セ ン ン ( Willershausen) 及 び グ ラ フ ( Graf) 、 1991年 )。 い く つ か の 微 生 物 、 バ ク テ リ
ア 及 び 菌 類 は 、 (+)-バ レ ン セ ン を ヌ ー ト カ ト ン に 転 化 す る そ れ ら の 能 力 に つ い て ま た ス ク
リ ー ニ ン グ さ れ た が 、 あ ま り 成 功 し て い な い ( バ ル フ ォ ー ル ト ( Balfoort) 、 1994年 ) 。
オランダの土及び感染した地元のビールからのエンテロバクター属の2つのバクテリアが
、 (+)-バ レ ン セ ン 上 の 集 積 培 養 に よ っ て 分 離 さ れ た 。 こ れ ら の バ ク テ リ ア は 、 (+)-バ レ ン
セ ン を ヌ ー ト カ ト ン に ( 12%収 率 ) 及 び 多 く の 他 の バ レ ン セ ン 誘 導 体 に 転 化 し た ( ダ フ リ
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カ ル 及 び ア ル ブ ロ シ ェ イ ト 、 1973年 )。 さ ら に 、 微 生 物 を 使 用 し て バ レ ン セ ン の ヌ ー ト カ
トンへの生物的転化のための他の方法が研究されているが、これらの方法はすべて、商業
的 に 実 行 で き な い こ と が 証 明 さ れ て い る ( ダ フ リ カ ル ら 、 1973年 ; ド ラ ヴ ェ ル ト ( Drawer
t) ら 、 1984年 ) 。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本 発 明 は 、 高 い 場 所 及 び エ ナ ン チ オ 選 択 性 を 有 す る 酸 化 酵 素 、 特 に シ ト ク ロ ム P450関 連 酵
素を使用し、価値の低い基質からのフレーバー、芳香、医薬又は生物制御剤の製造のため
の生物的転化の分野に関連する。より詳細には、本発明は、植物酵素の使用による生活性
テルペノイド化合物の生産のための工程に関連する。
10
【0024】
本発明は、(セスキテルペンラクトンを含む)生命体、特に植物から由来の酵素の生体触
媒における使用を提供する。有機化合物の場所及び立体選択的酸化はまだ、有機化学への
大 部 分 未 決 着 の 挑 戦 で あ る ( フ ェ バ ー 、 2000年 ) 。 我 々 は 、 セ ス キ テ ル ペ ン を 含 む 生 命 体
例 え ば キ ク 科 ( Asteraceae) の 酸 化 酵 素 は 、 例 え ば セ ス キ テ ル ペ ン オ レ フ ィ ン を 商 業 的 に
興味深い生産物に転化することができるか否かを研究した。我々は、驚くほど広い用途を
有 す る 有 益 な 酵 素 を 見 つ け た 。 セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン を 含 む キ ク 科 ( Asteraceae) 及 び
また他の科からの植物は、それらの生合成に要求される酵素をまた含み、従ってこれらの
酵素の好ましい源として使用され得る。好ましい実施態様では、本発明はヌートカトン合
成に有用である酵素を提供する。ヌートカトンは、グレープフルーツ及び他の柑橘類の果
20
実 ( citrus fruits) に 主 に 見 つ け ら れ る 化 合 物 で あ る 。 し か し な が ら 、 驚 く べ き こ と に
、我々は、柑橘類に由来するものではなくて、代わりに他のセスキテルペンを含む種から
の酵素を用いてヌートカトン合成が生じ得るという証拠をここに提供する。例えば、チコ
リ ー 植 物 又 は イ ヌ リ ン チ コ リ ー ( inuline chicory) の 成 長 後 に 残 る 大 量 の チ コ リ ー 主 根
、 又 は 他 の キ ク 科 ( Asteraceae) 例 え ば 容 易 且 つ 豊 富 に 成 長 し 得 る レ タ ス 、 ヒ マ ワ リ 、 ア
ー テ ィ チ ョ ー ク ( artichoke) 、 赤 チ コ リ ー ( radicchio) な ど か ら の 非 柑 橘 類 由 来 の 酵 素
の大きな入手可能性を考慮して、我々は本明細書に例えばフレーバー、芳香、医薬又は殺
生 物 剤 産 業 の た め に 有 益 な 酵 素 を 提 供 す る 。 キ ク 科 ( Asteraceae) に 加 え て 、 ゼ ニ ゴ ケ 類
( liverworts) (苔 綱 ( Hepaticae) )は 、 こ れ ら の 酸 化 酵 素 の た め の 安 価 且 つ 広 く 利 用 可
能な源の他の良い例であり、及びゼニゴケ類の幾つかの科は、セスキテルペンラクトンを
30
含むことが報告されている。より高等な植物から単離されたセスキテルペンラクトンは、
H-7位 が α 配 向 で あ る α − メ チ レ ン − γ − ラ ク ト ン 基 を 原 則 的 に 例 外 な く 含 む 。 ゼ ニ ゴ ケ
類はエナンチオマー系のセスキテルペンラクトンを生産する。それにもかかわらず、これ
らの生命体からの酸化酵素は、より高等な植物からの酵素と類似の反応を実行することが
でき且つより高等な植物酵素への価値ある追加である。詳細には、本発明は、セスキテル
ペンラクトンを生成する植物から得られる酵素に基質を付すことを含む、基質を転化し及
び立体及び場所選択的転化生成物を生成する方法を提供し、特にここで前記転化生成物は
アルコール、アルデヒド/ケトン又はカルボン酸を含む。また、転化生成物は、商業的酵
素例えばアルコールデヒドロゲナーゼ又は微生物の生物的転化システムを使用してさらに
修 飾 さ れ う る 。 有 益 な キ ク 科 ( Asteraceae) 及 び ゼ ニ ゴ ケ 類 は 容 易 に 育 て ら れ 得 る こ と を
40
考慮すると、本発明は生物的転化のための酵素又は他の生物触媒(細胞、外植片、組織、
毛 状 根 又 は 細 胞 培 養 ) の 非 高 価 な 源 を 提 供 す る 。 特 に 有 益 な 作 物 は 、 キ ク ヂ シ ャ 属 ( Cich
orium) 、 マ キ ノ ゲ ヤ シ 属 ( Lactuca spp.) の よ う な レ タ ス 、 ヒ マ ワ リ 属 ( Helianthus)
などを含むが、これらに制限されていない。本明細書中に提供されるような方法は、有益
な立体及び場所選択的転化生成物例えば線状又は分岐状テルペン−アルコール、アルデヒ
ド/ケトン又はカルボン酸中のテルペンの転化を可能にし、特に前記基質はセスキテルペ
ン を 含 む 。 詳 細 に は 、 前 記 酵 素 が シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 例 え ば (+)-ゲ ル マ ク
レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ ( (+)-germacrene A hydroxylase) 又 は セ ス キ テ ル ペ ノ ラ イ ド C
2 ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ ( sesquiterpenolide C2 hydroxylase) を 含 む と こ ろ の 方 法 が 提 供 さ
れ る 。 こ れ ら の 酵 素 は 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A 及 び チ コ リ ー セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン 生 合 成
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におけるセスキテルペンラクトン中間体の水酸化を触媒する。酵素は生化学的経路に属す
るが、それらは高い基質特異性を有しない。化合物が、ゲルマクレンAのように、イソプ
ロペニル置換体を又は、ゲルマクレンBのように、イソプロピリデン置換基を又は、バレ
ンセンのように、アリルC2位置を含むとき、セスキテルペンの水酸化が生じる。これら
ヒドロキシラーゼによって行なわれる転化は、非常に低い特異性で通常生じる微生物的水
酸化と比較して大きい長所を有する高い場所及び立体選択性で生じる。発明の詳細な説明
で は 、 実 施 例 は 、 商 業 上 重 要 な フ レ ー バ ー /芳 香 化 合 物 ヌ ー ト カ ト ン へ の バ レ ン セ ン の 転
化 に つ い て 与 え ら れ る 。 基 質 、 (+)-バ レ ン セ ン は 、 い く つ か の 生 成 物 に 転 化 さ れ る ; そ れ
ら の う ち の 2 つ は 、 バ レ ン セ ン ア ル コ ー ル ( valencene alcohol) (2.61%)及 び ヌ ー ト カ ト
ン (24.4%)で あ る 。 ヌ ー ト カ ト ン は 、 ソ フ ト 飲 料 及 び 香 水 の 構 成 成 分 と し て 使 用 さ れ る 。
10
さ ら に 、 基 質 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル ( amorpha-4,11-dien-12-ol)が 抗 マ ラ リ
ア 性 ア ル テ ミ シ ニ ン ( artemisinin) 又 は そ れ ら の 前 駆 体 に 転 化 さ れ る と こ ろ の 方 法 が 提
供される。水酸化された他の基質は、ゲルマクレンA((人々が予期するように)転化の
最 高 の 割 合 を 有 す る 基 質 ) 及 び β -セ リ ネ ン ( β -selinene) を 含 む 。 そ れ ら の 対 応 す る ア
ル コ ー ル に 転 化 さ れ る 代 替 の 基 質 は 、 ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ レ ン ( alloisolongifolene) (
β -selineneと 比 較 し て 1.49%で )で あ る 。 ア モ ル フ ァ ジ エ ン ( Amorphadiene) は 2 つ の 生
成 物 に 、 74.0 及 び 18.7%で 転 化 さ れ る ; 第 1 は 、 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル (
アルテミシンの前駆体)であり及び後者の同定は未知である。他の基質の転化の相対割合
は 、 以 下 で あ る こ と が 分 か っ た 。 (-)-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン ( (-)-α -trans-bergamo
tene) (13.5%)、 (-)-β -エ レ メ ン (56.2%)、 ゲ ル マ ク レ ン A (110%, お そ ら く そ れ よ り も 高
20
い )、 ゲ ル マ ク レ ン B ( 3.13%及 び 8.60%、 シ ス − ト ラ ン ス 異 性 体 )、 (+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン
( (+)-γ -gurjunene) (54.9%)、 (+)-レ デ ン ( (+)-ledene) (7.20%)、 及 び ネ オ イ ン タ ー メ
デ オ ー ル ( neointermedeol) (6.92%)。 前 記 酵 素 が 前 記 キ ク 科 ( Asteraceae) の 抽 出 物 か
ら得られる(抽出物は当業者に知られた方法に従い容易に製造される)とき、それは特に
有 用 で あ る 。 酵 素 調 製 物 と し て キ ク 科 ( Asteraceae) か ら の フ リ ー ラ テ ッ ク ス ( free lat
ex) を 使 用 す る こ と が 本 明 細 書 で ま た 検 討 さ れ る 。 発 明 の 詳 細 な 説 明 で は 、 チ コ リ ー 根 か
ら得られる酵素での実施例が与えられる。チコリーの根は非常に苦いので、それらはチコ
リ ー 栽 培 の 廃 棄 物 と 見 な さ れ る 。 チ コ リ ー 根 の 約 100,000ト ン が 、 オ ラ ン ダ で 毎 年 生 産 さ
れるが、それらの苦味の故にそれらをウシの餌として使用することさえ可能でない。それ
故に、それらは本発明に記載された酵素の巨大且つ安価な源を提供する。工業的プロセス
30
の た め に 、 本 発 明 は 、 P450酵 素 を 含 む 酵 素 抽 出 物 を 作 成 す る 方 法 を 提 供 す る 。 こ れ ら は 、
PVPPを 含 む 実 施 例 1 に 従 う 抽 出 バ ッ フ ァ ー 中 で チ コ リ ー 根 を ホ モ ジ ナ イ ズ す る こ と に よ っ
て 調 製 さ れ う る 。 そ の 後 、 生 じ た ス ラ リ ー は ろ 過 さ れ 且 つ 遠 心 分 離 さ れ る 。 低 速 ( 20,000
x g) に 引 き 続 き 高 速 ( 150,000 x g) 遠 心 分 離 は 、 高 度 に 濃 縮 さ れ た ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ
ッ ト を も た ら す が 、 非 常 に 低 速 度 ( 例 え ば 、 2,000 x g) の 遠 心 分 離 後 に 得 ら れ た 上 清 も
また活性であり、それは本手順を工業的プロセスに適合し易くする。ペレット又は上清は
、 適 切 な 基 質 及 び NADPH若 し く は NADPH-再 生 シ ス テ ム が 添 加 さ れ う る 又 は 酵 素 が そ れ ら の
効率性及び寿命が増加するように実施例5に従い固定化されても良いところの適切なアッ
セイバッファー中に再懸濁されうる。補助因子再利用は、経済的実行可能性をさらに増加
する。適切な温度でのインキュベーション後に、アルコール生成物は、製造規模のカラム
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クロマトグラフィーを使用して基質から容易に抽出され且つ分離されうる。適切な基質は
、実施例に記載された位置に等価な位置で水酸化後に興味深い生成物を生じることができ
る 任 意 の セ ス キ テ ル ペ ン 炭 化 水 素 で あ り 得 る 。 例 え ば バ レ ン セ ン 、 ア モ ル フ ァ ジ エ ン 、 ()-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン 、 γ -グ ル ジ ュ ネ ン 、 レ デ ン 、 ゲ ル マ ク レ ン A 、 ゲ ル マ ク レ
ンB、しかしこれらに制限されない。これらの基質から酵素的に形成された、対応するア
ルコールは、チコリーアルコール及びアルデヒドデヒドロゲナーゼ又は商業的に入手可能
な デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ を 使 用 し 、 対 応 す る ア ル デ ヒ ド /ケ ト ン 又 は 酸 ( こ れ ら が よ り 価 値 の
あ る 場 合 ) に さ ら に 酸 化 さ れ う る 。 し か し な が ら 、 前 記 酵 素 が 前 記 キ ク 科 ( Asteraceae)
から得られる組織又は細胞培養例えば毛状根培養中に存在するところの別の可能な方法が
提供される。チコリーの毛状根及び細胞培養は、標準のプロトコルを使用して得ることが
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で き る ( 毛 状 根 培 養 ( hairy root cultures) : ソ ン ら 、 1995年 ; 細 胞 培 養 ( cell cultur
es) : デ ュ ボ ア ( Dubois) ら 、 1988年 )。 培 養 は 、 好 ま し く は 200-1000 mg/1で 、 セ ス キ テ
ル ペ ン 例 え ば バ レ ン セ ン 、 ア モ ル フ ァ ジ エ ン 、 (-)-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン 、 γ -グ ル
ジュネン、レデン、ゲルマクレンA、ゲルマクレンB(しかしそれらに制限されない)と
と も に 提 供 さ れ る 。 セ ス キ テ ル ペ ン の 存 在 下 で 1週 間 成 長 後 、 反 応 生 成 物 は 、 培 養 培 地 及
び 毛 状 根 /細 胞 か ら 抽 出 さ れ る 。 そ れ は 、 組 み 換 え 酵 素 ( 例 え ば 本 発 明 に 従 い 酵 素 を コ ー
ドする核酸を備えられた遺伝子導入植物又は微生物から得られる)を利用することも可能
で あ る 。 本 発 明 に よ れ ば 、 シ ト ク ロ ム P450 cDNAは 、 チ コ リ ー 主 根 ( こ れ ら 酵 素 の 活 性 が
最 も 高 い 器 官 ) の cDNAラ イ ブ ラ リ ー の ラ ン ダ ム 配 列 を 使 用 し て 得 ら れ う る 。 ま た 、 シ ト ク
ロ ム P450酵 素 の 配 列 相 同 が 、 PCRフ ラ グ メ ン ト を 生 成 す る た め に 使 用 さ れ う る デ ィ ジ ェ ネ
10
レ ー ト プ ラ イ マ ー ( degenerate primer) を 設 計 す る た め に 使 用 さ れ る 場 合 、 PCRア プ ロ ー
チ が 実 現 可 能 で あ る 。 こ れ ら の フ ラ グ メ ン ト は 全 長 cDNAを 得 る た め に cDNAラ イ ブ ラ リ ー を
ス ク リ ー ニ ン グ す る た め に 使 用 さ れ る 。 こ れ ら cDNAは 、 大 腸 菌 、 酵 母 菌 又 は 大 規 模 な 工 業
的 発 酵 に 適 応 さ れ 且 つ P450の 発 現 の た め に 適 切 な 他 の 微 生 物 中 で 発 現 さ れ う る 。 そ の よ う
な発酵過程では、遺伝子導入微生物が、所望のセスキテルペン炭化水素基質例えばバレン
セ ン 、 ア モ ル フ ァ ジ エ ン 、 (-)-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン 、 γ -グ ル ジ ュ ネ ン 、 レ デ ン 、
ゲルマクレンA、ゲルマクレンB(しかしそれらに制限されない)を与えられる。生成さ
れたアルコール生成物は、連続的に又はバッチで抽出されうる。これら微生物は、所望の
セスキテルペン炭化水素基質のシンターゼ例えばバレンセンシンターゼ(それは、生成物
の 価 格 を さ ら に 低 減 す る ) 、 及 び ケ ト ン /ア ル デ ヒ ド ( 例 え ば ヌ ー ト カ ト ン 生 成 の 場 合 )
20
又は酸(必要である場合)を生産するためのアルコール及び/又はアルデヒドデヒドロゲ
ナーゼをまた備えられ得る。
【0025】
本発明は、本発明に従う方法によって得られうる転化生成物をまた提供する。詳細には、
興 味 あ る 生 成 物 は 、 (E)-ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ タ -2,12-ジ エ ン -14-オ ー ル ( (E)-transbergam
ota-2,12-diene-14-ol) ( 白 檀 材 ( sandalwood) 様 芳 香 特 性 を 備 え た 対 応 す る ア ル デ ヒ ド
の直接の前駆体)及び多くの新規な転化生成物例えばアロイソロンギフォレンアルコール
( alloisolongifolene alcohol) 、 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル ( amorpha-4,11-d
iene-12-ol) 、 ゲ ル マ ク レ ン B ア ル コ ー ル 、 5,11(13)-グ ア イ ア ジ エ ン -12-オ ー ル 及 び レ
デンアルコールである(全てのアルコールは以前に報告されていない)。本発明では、こ
30
れ ら ア ル コ ー ル 又 は そ れ ら の 対 応 す る ア ル デ ヒ ド /ケ ト ン 及 び カ ル ボ ン 酸 の 同 定 を 確 認 し
且つフレーバー及び芳香化合物、医薬物又は殺生物剤のようなそれらの特性を調査するた
めに、これらアルコールのより多い量が生産されうる。
【0026】
また、本発明は、基質を転化し及び前記基質を酵素に付した後に転化生成物を生成するこ
と が 可 能 な 、 キ ク 科 ( Asteraceae) か ら 由 来 の 単 離 さ れ た 若 し く は 組 み 換 え 酵 素 又 は 酵 素
抽出物、及び生物的触媒における、例えばフレーバー又は芳香化合物、医薬物又は殺生物
剤の生成における本発明に従うそのような酵素又は抽出物の使用を提供する。従って、本
発明は例えば、生物的転化のために、セスキテルペンラクトンを生成する植物から単離さ
れた前記酸化酵素をコードする遺伝子を発現する微生物の使用を提供する。また、前記微
40
生物内で前記基質の形成を誘発する遺伝子と組み合わせてセスキテルペンラクトンを生成
する植物から単離された前記酸化酵素をコードする遺伝子を発現する微生物の使用及び従
って前記酸化された生物的転化生成物の形成が本明細書で提供される。また、本発明は、
植物内で前記基質の形成を誘発する遺伝子例えば植物内で前記テルペンの形成を誘発する
テルペンシンターゼ遺伝子を発現する、セスキテルペンラクトンを生成する遺伝子導入植
物例えばチコリーの使用及び従って前記酸化された生物的転化生成物の形成又は植物内で
バレンセンの形成を誘発するバレンセンシンターゼの発現、及び従ってヌートカトンの形
成 、 又 は 植 物 内 で ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン の 形 成 を 誘 発 す る ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン シ ン
タ ー ゼ の 発 現 及 び 従 っ て ア ル テ ミ シ ニ ン 又 は そ の 前 駆 体 の 形 成 、 又 は 植 物 内 で α -ト ラ ン
ス -ベ ル ガ モ テ ン の 形 成 を 誘 発 す る α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン シ ン タ ー ゼ の 発 現 及 び 従 っ
50
(12)
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て (E)-ト ラ ン ス ベ ル ガ モ タ -2,12-ジ エ ン -14-オ ー ル の 形 成 を 提 供 す る 。
【0027】
【表1−1】
10
20
30
40
【0028】
【表1−2】
50
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20
30
40
【0029】
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【表1−3】
10
【0030】
【表2】
20
(15)
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10
20
【0031】
【表3】
30
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10
20
【0032】
【表4】
30
【0033】
【表5】
40
(17)
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10
【0034】
【表6】
20
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【0035】
【表7】
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(19)
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10
20
30
【実施例1】
【0036】
チコリー根から単離された酵素を使用するセスキテルペンの生物的転化
ゲルマクレンAに加えて他の基質を水酸化するチコリー根に存在するゲルマクレンAヒド
ロ キ シ ラ ー ゼ の 能 力 が 、 調 査 さ れ た 。 晩 夏 に 収 穫 さ れ た 栽 培 チ コ リ ー ( Cichorium intybu
s L. , cv Focus) の 新 鮮 な 根 が 、 オ ラ ン ダ 国 の フ ェ ー ネ ン ダ ー ル ( Veenendaa) の 栽 培 者
か ら 得 ら れ た 。 チ コ リ ー 根 は 小 さ な 片 に 切 ら れ 、 液 体 窒 素 中 で 凍 結 さ れ 、 そ し て -80℃ で
保存された。
【0037】
40
物質及び方法
(+)-ゲ ル マ ク レ ン A が 、 コ ス タ ス ( costus) 根 か ら 単 離 さ れ た ( デ ク ラ カ ー ら 、 2001年
b) 。 ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ レ ン 、 (-)-α -グ ル ジ ュ ネ ン 、 (+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン 、 及 び (+)レ デ ン が 、 フ ル カ ( Fluka) 社 か ら 購 入 さ れ た 。 ICNバ イ オ メ デ ィ カ ル 社 は 、 (-)-α -キ ュ
ベ ベ ン を 提 供 し た 。 化 合 物 、 (-)-リ モ ネ ン 及 び (+)-リ モ ネ ン が メ ル ク 社 及 び ヤ ン セ ン ( Ja
nssen) 社 か ら そ れ ぞ れ 購 入 さ れ た 。 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン は 、 B. J. M. Jansen博 士 に
よ っ て 合 成 さ れ た ( ボ ウ ミ ー ス タ ー ら 、 1999年 a) 。 ゲ ル マ ク ロ ン ( Germacrone) は 、 ゲ
ラ ニ ウ ム マ ク ロ リ ザ ム ( Geranium macrorrhizum) の 天 然 油 か ら 単 離 さ れ 、 ゲ ル マ ク レ
ン B は 、 D. P. Piet博 士 に よ っ て 合 成 さ れ た ( ピ エ ッ ト ら 、 1995年 ) 。
【0038】
50
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(-)-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン ( (-)-α -trans-Bergamotene) 及 び (-)-β -エ レ メ ン は 、 W
. A. Konig教 授 ( ハ ン ブ ル ク 大 学 ) か ら の ギ フ ト で あ る 。 ネ オ イ ン タ ー メ デ オ ー ル は 、 R.
P. W. Kesselmans博 士 に よ っ て 合 成 さ れ た ( ケ ッ セ ル マ ン ス 、 1992年 ) 。 (+)-β -セ リ ネ
ン は 、 セ ロ リ 油 か ら 単 離 さ れ 且 つ T. A. van Beek博 士 か ら の ギ フ ト で あ る 。 基 質 は 、 エ タ
ノ ー ル 中 に 10 mM濃 度 で 溶 解 さ れ た 。
【0039】
ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ レ ン ア ル コ ー ル は 、 ウ ム ブ ラ イ ト 及 び シ ャ ー プ レ ス (1977年 )の プ ロ ト
コ ル に 従 い 、 そ の 対 応 す る ア ル デ ヒ ド を 経 て SeO2 に よ っ て ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ レ ン か ら 調
製 さ れ た 。 30 mL CH2 Cl2 中 77 mg SeO2 及 び 68 mgサ リ チ ル 酸 の 溶 液 に 、 100 mgの ア ロ イ ソ
ロンギフォレンが添加された。室温での撹拌は、反応混合物を黄色に変え、そして赤色固
10
体 が 最 初 の 数 時 間 で 沈 殿 し た 。 反 応 は TLCと 共 に GC-MSに よ っ て 監 視 さ れ 、 そ し て 2.5日 後
に 60mL脱 塩 水 の 添 加 に よ っ て 止 め ら れ た 。 反 応 混 合 物 は 45mLエ ー テ ル で 抽 出 さ れ 、 そ し て
引 き 続 き 有 機 相 は 30mL塩 水 ( brine) で 洗 わ れ た 。 赤 色 沈 殿 物 は 、 抽 出 の 間 、 水 相 中 に 残
っ た 。 乾 燥 及 び 蒸 発 後 に 、 有 機 相 は 214 mgの 粗 固 形 物 を 生 じ 、 こ れ は ペ ン タ ン - CH2 Cl2 (3
: 1)で の シ リ カ に 対 す る フ ラ ッ シ ュ ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 後 に 、 31gの ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ
1
レ ン ア ル デ ヒ ド ( 強 い に お い 化 合 物 ; 杉 木 様 ) を 生 じ た 。 H NMR (200 MHz, C6 D6 ) δ 0.7
1 (s, 3H, Me) δ 0.90 (s, 3H, Me), δ 0.93-2.04 (m, 13H), δ 5.42 (s,1H, CH2 =C), δ
5.73 (s, 1H, CH2 =C), δ 9.35 (s, 1H, CH=O)。
1 3
C NMR (50 MHz, C6 D6 ) δ 15.0 (q), δ
19. 6 (q), δ 20. 5 (t), δ 22. 2 (t), δ 32.3 (t), δ 36.3 (t), δ 38.7 (t), δ 45.1
(t), δ 46.1 (s), δ 47.1 (s), δ 47.7 (s), δ 50.8 (d), δ 133.5 (t), δ 157.0 (s),
δ 193.9 (d)。 EIMS (70 eV) m/z : 218[ M]
+
20
(41), 203 (48), 189 (32), 185 (30), 17
5 (42), 161 (68), 147 (53), 145 (37), 133 (35), 119 (46), 107 (42), 105 (80), 95
(33), 93 (46), 91 (100), 81 (37), 79 (65), 77 (64), 55 (43), 53 (34), 41 (74),
39 (45)。 ア ル デ ヒ ド の 15ミ リ グ ラ ム が 、 0.5mLエ ー テ ル 中 の 1.8mg LiAlH4 の 溶 液 に 添 加 さ
れ た 。 灰 色 懸 濁 液 は 、 室 温 で 17.5時 間 、 そ し て ひ と さ じ の Na2 SO4 ・ 1OH2 0の 注 意 深 い 添 加
後 に さ ら に 0.5時 間 撹 拌 さ れ た 。 脱 塩 水 の 1.5ミ リ リ ッ ト ル が 混 合 物 に 加 え ら れ 、 そ れ は 引
き 続 き 1 mLの エ ー テ ル で 3回 抽 出 さ れ た 。 エ ー テ ル は 、 シ リ カ 及 び ス パ チ ュ ラ 大 の MgS04 を
充填され、ガラスウールで栓をされたパスツールピペットに通された。溶媒は蒸発され、
1
17mgの ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ レ ン ア ル コ ー ル を 生 じ た 。 H NMR (200 MHz, C6 D6 ) δ 0.77 (s
, 3H, Me), δ 0.91 (s, 3H, Me), 0.96-1.63 (m, 13H), δ 3.96 (m, 2H), δ 4.95 (d, 1H
, J=1.3 Hz) δ 5.30 (dd, 1H, J= 3.26 Hz, 1.55 Hz)。
1 3
30
CNMR (50 MHz, C6 D6 ) δ 15.1
(q), δ 19.7 (q), δ 20.7 (t), δ 22.3 (t), δ 32.4 (t), δ 37.5 (t), δ 38.7 (t), δ 4
4.0 (t), δ 46.1 (s), δ 47.8 (s), δ 48.2 (s), δ 51.6 (d), δ 63.4 (t), δ 107.9 (t)
, δ 155.9 (s)。 EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
(5), 189 (35), 187 (36), 163 (30), 1
61 (56), 160 (37), 159 (30), 147 (36), 145 (38), 133 (32), 131 (37), 119 (44), 1
07 (61), 105 (91), 95 (94), 93 (57), 91 (100), 81 (53), 79 (60), 77 (52), 67 (39
), 55 (45), 41 (62)。
【0040】
ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル は 、 100 mgア ル テ ミ シ ニ ン 酸 ( artemisinic acid) か
ら 調 製 さ れ た 。 酸 が 6 mLの 乾 燥 エ ー テ ル に 溶 解 さ れ 、 そ し て ジ ア ゾ メ タ ン 添 加 及 び 1時 間
40
混 合 に よ っ て エ ス テ ル 化 さ れ た 。 反 応 混 合 物 の GC-MS分 析 は 、 メ チ ル エ ス テ ル 及 び 別 の 化
合 物 (3: 1)( 恐 ら く シ ク ロ プ ロ ピ ル 基 に 接 続 さ れ な か っ た メ チ ル エ ス テ ル ) を 示 し た 。 エ
ー テ ル の 除 去 後 、 混 合 物 の 8.6 mgが 、 20 mLの エ ー テ ル − THF(1:1)に 溶 解 さ れ 、 そ し て 乾
燥 し た 窒 素 の フ ロ ー 下 で -60℃ で 2時 間 冷 却 さ れ た 。 混 合 物 は 、 過 剰 の LiAlH4 と 共 に 1時 間
、 -30℃ で 引 き 続 き 撹 拌 さ れ 、 そ の 後 反 応 が Na2 S04 -1OH2 0の 添 加 に よ っ て 止 め ら れ た 。 温
度 は 室 温 に 上 げ ら れ 、 そ し て 反 応 混 合 物 は さ ら に 0.5時 間 撹 拌 さ れ た 。 MgS04 で 一 晩 乾 燥 後
、混合物はブフナー漏斗を通して濾過され、そして溶媒が除かれた。所望のアルコールは
、 溶 離 液 と し て 石 油 エ ー テ ル − 酢 酸 エ チ ル (3: 1)の 混 合 物 を 使 用 し て 、 シ リ カ ゲ ル ・ プ レ
ート上で行われたプレパラティブ薄層クロマトグラフィーによって分離され且つ精製され
た (Rf 0.7)。 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル は 、 4-ア モ ル フ ェ ン -12-オ ー ル と の 混 合
50
(21)
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1
物 (9: 1)と し て 14%の 全 収 率 で 得 ら れ た 。 H NMR (400 MHz, CDCl3 ) : δ 0.87 (d, 3H, M
e1 5 , J= 6.0 Hz), δ 1.50 (br s, 3H, Me1 4 ), δ 1.0-2. 2 (m, 11H), δ 2.47 (m, 1H, H6
), δ 4.10 (s, 2H, H1 2 ), δ 4.83 (br s, 1H, H1 3 ), δ 5.04 (br s, 1H, H1 3 ), δ 5.18 (
br s, 1H, H4 )。 EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
(6), 202 (35), 189 (66), 187 (34), 14
5 (40), 132 (52), 131 (36), 121 (100), 119 (81), 105 (51), 93 (74), 91 (70), 81
(47), 79 (77), 77 (50), 55 (41), 41 (47)。
【0041】
チ コ リ ー 根 か ら の (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ の 抽 出 。
(+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む シ ト ク ロ ム P450酵 素 を 含 む 粗 酵 素 抽 出 物 を 調
製 す る た め に ( デ ク ラ カ ー ら 、 2001年 a ) 、 チ コ リ ー 根 の 25グ ラ ム の 深 冷 凍 (-80℃ )キ
10
ュ ー ブ が 、 2.5グ ラ ム PVPP及 び 40ml抽 出 バ ッ フ ァ ー と と も に ソ ル バ ー ル ( Sorvall) ミ キ サ
ーによって混合された。この全体の工程の間、植物材料はできるだけ氷の上で維持された
。 数 秒 間 の 混 合 の 5回 の 後 、 ス ラ リ ー は 更 な る 10mlの 抽 出 バ ッ フ ァ ー と と も に チ ー ズ ク ロ
ス に 移 さ れ た 。 チ ー ズ ク ロ ス は 圧 搾 さ れ 、 そ し て 濾 液 は 20,000g且 つ 4℃ で 20分 間 遠 心 分 離
(シ グ マ 2K15)さ れ た 。 上 清 は 、 ガ ラ ス ウ ー ル で 充 填 さ れ た 漏 斗 上 に 注 が れ た 。 濾 液 は 、 8
mlの 遠 心 分 離 機 チ ュ ー ブ に 分 け ら れ 、 そ し て 引 き 続 き 150,000g且 つ 4℃ で 90分 間 、 遠 心 分
離 ( Centrikon T-2070、 Kontron Instruments) さ れ た 。 生 じ た ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ ト (
約 6個 ) は 、 ア ル ゴ ン 下 、 -80℃ で 保 存 さ れ た 。
【0042】
イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 前 に 、 10ペ レ ッ ト が 、 25 mMト リ ス (pH 7.5)、 2 mM DTT、 1 mMア ス コ
20
ル ビ ン 酸 、 5 μ M FAD、 5 μ M FMN及 び 10 %(v/v)グ リ セ ロ ー ル か ら 成 る ア ッ セ イ バ ッ フ ァ
ー 30 mL中 で ゆ す ら れ た 。 酵 素 懸 濁 液 は 1 mLに 分 け ら れ 、 そ し て 1 mM NADPH、 5 mMグ ル コ
ー ス -6-ホ ス フ ェ ー ト 及 び 1.2 IU グ ル コ ー ス -6-ホ ス フ ェ ー ト デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ (す べ て シ
グ マ か ら )か ら 成 る NADPH再 生 シ ス テ ム の 1 mM の 存 在 下 で 5 μ L基 質 溶 液 と と も に イ ン キ ュ
ベ ー シ ョ ン さ れ た 。 各 ア ッ セ イ 中 の 基 質 の 初 期 濃 度 は 、 45 μ Mで あ り 、 全 て は 2 回 行 わ れ
た 。 ブ ラ ン ク ア ッ セ イ に は 、 NADPH再 生 シ ス テ ム が 添 加 さ れ ず 、 従 っ て シ ト ク ロ ム P450酵
素 ((+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む )は 活 性 で は な か っ た 。 60分 間 後 に 、 イ ン
キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 冷 凍 装 置 に そ れ ら を -20 ℃ で 保 存 す る こ と に よ っ て 止 め ら れ た 。
【0043】
酵 素 ア ッ セ イ は 、 5μ Mシ ス -ネ ロ リ ド ー ル ( cis-nerolidol) ( フ ル カ 社 ) の 添 加 後 に 、 ペ
30
ン タ ン 中 1 mL 20%(v/v)エ ー テ ル で 2回 抽 出 さ れ た 。 有 機 相 は 、 0.4グ ラ ム の シ リ カ 及 び 少
量 の 無 水 MgS04 を 含 む 、 ガ ラ ス ウ ー ル 栓 を さ れ た ( ジ メ チ ル ク ロ ロ シ ラ ン 処 理 さ れ た 、 ク
ロ ム パ ッ ク ( Chrompack) ) パ ス ツ ー ル ピ ペ ッ ト を 通 し て ろ 過 さ れ た 。 ピ ペ ッ ト は 1.5 mL
エ ー テ ル で す す が れ 、 そ し て 抽 出 物 は 窒 素 の 流 れ の 下 、 お よ そ 50 μ Lま で 濃 縮 さ れ た 。 濃
縮 さ れ た 抽 出 物 は 、 デ ク ラ カ ー ら ( 2001年 a ) に よ っ て 記 載 さ れ て い る よ う に GC-MSに
よって分析された。
【0044】
基 質 の 酵 素 的 水 酸 化 が (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ に よ っ て 触 媒 さ れ た か ど う か
を 調 査 す る た め に 、 様 々 な 基 質 (50μ M)の 標 準 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン が 、 酵 素 活 性 に 対 す る
セ ス キ テ ル ペ ン オ レ フ ィ ン の 何 ら か の 在 り う る 一 般 の 否 定 的 効 果 を 排 除 す る た め に 50 μ M
40
(+)-ゲ ル マ ク レ ン A 又 は 50 μ M(-)-(α )-キ ュ ベ ベ ン の 存 在 下 で 実 行 さ れ た 。 該 対 照 イ ン
キ ュ ベ ー シ ョ ン に 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A 又 は (-)-(α )-キ ュ ベ ベ ン の い ず れ か の エ タ ノ ー
ル 溶 液 の 代 わ り に 、 5 μ Lエ タ ノ ー ル が 添 加 さ れ た 。
【0045】
結果(試験された基質の転化)
ほ と ん ど の 試 験 さ れ た 基 質 は 水 酸 化 さ れ ( 表 1 参 照 ) 、 及 び そ れ ら の 分 子 量 は 16原 子 質 量
単 位 ( amu) で 対 応 し て 上 げ ら れ た 。 イ ソ プ ロ ペ ニ ル 又 は イ ソ プ ロ ピ リ デ ン 側 鎖 を 含 ま な
い 、 (-)-(α )-キ ュ ベ ベ ン 及 び (-)-(α )-グ ル ジ ュ ネ ン は 転 化 さ れ な か っ た ( 図 6 ) 。 ま た
、 ゲ ル マ ク ロ ン は 基 質 と し て 受 け 入 ら れ な か っ た 。 (+)-リ モ ネ ン 及 び (-)-リ モ ネ ン の あ る
転化が生じたが、そのような少量では、それはさらに調査されなかった。
50
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【0046】
表 1 で は 、 NADPH、 及 び (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ
トの存在下で、セスキテルペンアルコールに転化されたセスキテルペンが記載される。様
々 な 反 応 の 転 化 割 合 は 、 100 %に 設 定 さ れ 且 つ 内 部 標 準 ( 各 ア ッ セ イ に お い て 2.5 nmol シ
ス − ネ ロ リ ド ー ル ) の 6.3倍 の β − コ ス ト ー ル ピ ー ク サ イ ズ に 対 応 す る と こ ろ の β − セ リ
ネ ン の 水 酸 化 に 相 対 的 に 示 さ れ る 。 添 加 さ れ た 50 nmolの β -セ リ ネ ン の お よ そ 30 %が 、 水
酸化された。予想されたセスキテルペンアルコールの参照サンプル又は質量スペクトルが
利用可能ではなかった故に、すべての形成された水酸化生成物が識別できなかった訳では
なかった。
【0047】
10
ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン ( Amorpha-4,11-diene)
ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 2 つ の ア ル コ ー ル を 生 じ た 。 主 な 生 成
物 は 、 イ ソ プ ロ ペ ニ ル 側 鎖 の 水 酸 化 の 結 果 生 じ る ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル と し
て同定された。早期に溶出するアルコールの構造は未知である:しかしながら、橋頭原子
で 生 じ な い ア リ ル 型 水 酸 化 を 仮 定 す る と 、 そ れ は ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -2-オ ー ル 又 は
ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -14-オ ー ル の い ず れ か で あ る 。 EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
(1
2), 189 (77), 162 (46), 147 (38), 121 (45), 119 (60), 107 (58), 105 (68), 95 (41
), 93 (75), 91 (72), 81 (100), 79 (70), 77 (48), 55 (52), 43 (49), 41 (52)。
【0048】
(-)-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン ( (-)-α -trans-Bergarmotene)
20
(-)-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 (E)-ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ タ -2,12
-ジ エ ン -14-オ ー ル ( (E)-trans-bergamota-2, 12-dien-14-ol) を 生 じ た 。 EIMS (70 eV)
m/z : 220 [M]
+
(<1), 145 (10), 132 (28), 131 (10), 121 (11), 120 (14), 119 (75),
107 (29), 105 (22), 95 (10), 94 (15), 93 (100), 81 (14), 79 (33), 77 (31), 68 (
17), 67 (11), 55 (29), 53 (11), 43 (36), 41 (28), 39 (14)。 一 晩 MnO2 と 一 緒 の イ ン
キ ュ ベ ー シ ョ ン の ペ ン タ ン − エ ー テ ル 抽 出 物 の 振 と う は 、 (E)-ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ タ -2,12
-ジ エ ン -14-ア ー ル ( (E)-trans-bergamota-2, 12-dien-14-al) ( コ ス タ ス ( costus) 根
油 に 存 在 す る ( マ ウ ラ ー 及 び グ リ ー ダ ー 、 1977年 ) ) と 同 じ リ テ ン シ ョ ン タ イ ム 及 び 質 量
スペクトルを有する化合物を生じた。
【0049】
30
(+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン ( (+)-γ -Gurjunene)
(+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 未 知 の セ ス キ テ ル ペ ン ア ル コ ー ル を 生 じ
た 。 EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
(35), 189 (36), 187 (37), 161 (39), 147 (31), 14
6 (35), 145 (55), 133 (33), 131 (64), 121 (41), 119 (54), 117 (31), 105 (81), 95
(41), 93 (58), 91 (100), 81 (92), 79 (71), 77 (54), 67 (38), 55 (49), 41 (59)。
一 匙 の MnO2 と 一 緒 に 一 晩 の 酵 素 ア ッ セ イ の ペ ン タ ン − エ ー テ ル 抽 出 物 の 撹 拌 は 、 ア ル デ ヒ
+
ド 又 は ケ ト ン ([M ]218)へ の 完 全 な 転 化 を 与 え た 。 こ の 試 薬 が α ,β -不 飽 和 ア ル コ ー ル に
特 異 的 で あ り ( マ ー チ 、 1992年 )且 つ 唯 一 の 他 の 利 用 可 能 な ア リ ル 位 置 は 第 三 級 炭 素 で あ
る 故 に 、 生 化 学 的 水 酸 化 は 、 (+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン の イ ソ プ ロ ペ ニ ル 側 鎖 で 起 き た は ず で
あ り 、 (1S,4S,7R,lOR),5,11(13)-グ ア イ ア ジ エ ン -12-オ ー ル を 生 じ る 。
40
【0050】
(+)-ゲ ル マ ク レ ン A ( (+)-Germacrene A)
前 の 結 果 に 従 い 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A は ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11-ト リ エ ン -12-オ ー ル に 転
化 さ れ る が 、 ゲ ル マ ク ラ -1(10),4, 11-ト リ エ ン -12-ア ー ル 及 び ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11ト リ エ ン -12-酸 へ の 幾 分 予 期 し な か っ た そ の 後 の 酸 化 ( 生 成 さ れ た ゲ ル マ ク レ ン ア ル コ ー
ル の お よ そ 15%) が ま た 明 ら か に 検 出 さ れ た 。 こ れ は 、 ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ ト が 活 性 な デ
ヒドロゲナーゼを完全には不含でないことを示した。明らかに、生成されたゲルマクレン
アルコールの量は、これら後の反応を可能にするのに十分である。その上、デヒドロゲナ
+
ー ゼ は 、 使 用 さ れ た 7.5の pH且 つ 存 在 す る か も し れ な い NADP を 減 少 す る NADPH-再 生 シ ス テ
ム の 存 在 に も か か わ ら ず 活 性 で あ る 。 β -セ リ ネ ン 及 び β -エ レ メ ン と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー
50
(23)
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ションでは、わずかの量だけのアルデヒド及び/又は酸が測定された。この理由のために
、 β -セ リ ネ ン の 転 化 が 100%に 設 定 さ れ 、 及 び (+)-ゲ ル マ ク レ ン A の そ れ で は な い 。
【0051】
ゲ ル マ ク レ ン B ( Germacrene B)
ゲ ル マ ク レ ン B の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の GC-MS分 析 は 、 ほ と ん ど 同 一 の 質 量 ス ペ ク ト ル 及
び リ テ ン シ ョ ン タ イ ム を 有 す る 2つ の 生 成 物 を 生 じ た 。 コ ベ ー ツ イ ン デ ッ ク ス ( Kovats'in
dex) 1694、 EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
( < 1), 202 (15), 187 (24), 159 (20), 14
7 (20), 145 (24), 134 (22), 133 (26), 131 (22), 123 (19), 121 (75), 120 (27), 11
9 (100), 109 (34), 108 (15), 107 (48), 106 (22), 105 (66), 95 (38), 94 (20), 93
(65), 92 (17), 91 (73), 81 (50), 79 (52), 77 (44), 71 (17), 69 (28), 68 (15), 67
10
(48), 65 (17), 57 (19), 55 (94), 53 (34), 43 (46), 41 (73), 39 (32). Kovats' in
dex 1700, EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
( < 1), 202 (15), 189 (15), 187 (21), 159
(20), 147 (22), 145 (23), 137 (17), 134 (21), 133 (28), 131 (26), 123 (22), 122
(15), 121 (100), 120 (28), 119 (91), 117 (15), 109 (36), 108 (18), 107 (52), 106
(23), 105 (77), 95 (45), 94 (24), 93 (86), 92 (21), 91 (80), 81 (61), 79 (66),
77 (53), 71 (21), 69 (32), 68 (18), 67 (55), 65 (21), 57 (32), 55 (69), 53 (43),
43 (62), 41 (91), 39 (42)。 お そ ら く ゲ ル マ ク レ ン B の イ ソ プ ロ ペ ニ ル 側 鎖 中 の 両 メ チ
ル基は水酸化されて、殆ど同一の生成物を生じる。何らかの他の位置での水酸化はありそ
う も な く 、 な ぜ な ら ば そ れ ら は 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A に つ い て も 恐 ら く 観 察 さ れ た で あ ろ
う か ら で あ る 。 生 成 物 は そ れ ら の コ ー プ 転 位 生 成 物 と し て 測 定 さ れ 、 250 ℃ か ら 150 ℃ ま
20
での注入ポート温度低下は、オン−カラムコープ転位により弱く広げられたピークを生じ
た。
【0052】
(+)-レ デ ン ( (+)-Ledene)
(+)-レ デ ン の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 未 知 の セ ス キ テ ル ペ ン ア ル コ ー ル を 生 じ た 。 EIMS (
70 eV) m/z : 220 [M]
+
(12), 187 (25), 159 (42), 151 (29), 147 (32), 145 (32), 13
3 (26), 131 (25), 121 (31), 119 (62), 107 (86), 105 (100), 95 (40), 93 (74), 91
(82), 81 (53), 79 (54), 77 (39), 55 (38), 43 (33), 41 (47)。
【0053】
ネ オ イ ン タ ー メ デ オ ー ル ( Neointermedeol)
30
ネ オ イ ン タ ー メ デ オ ー ル は 、 β -セ リ ネ ン の よ う に イ ソ プ ロ ペ ニ ル 側 鎖 中 に お い て お そ ら
く 水 酸 化 さ れ 、 4β -H-オ イ デ ス マ -11(13)-エ ン ,4,12-ジ オ ー ル ( 4β -H-eudesm-11(13)-en
e,4,12-diol) を 生 じ る 。 EIMS (70 eV) m/z : 238 [M]
+
( < 1), 223 (46), 135 (76), 9
3 (47), 81 (39), 79 (47), 71 (47), 55 (39), 43 (100), 41 (40)。
【0054】
競合的阻害実験
実 験 中 で 使 用 さ れ た ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ ト は 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 専
ら含んでいるのではなくて、チコリー根中に存在する他の膜結合した酵素をもまた含む。
そ れ 故 に 、 表 1 に 記 載 さ れ た 転 化 の い く つ か は 同 様 に 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ
ーゼよりも他の酸化酵素によって触媒されるかも知れない。これを調査するために、種々
40
の 基 質 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン が 、 50μ M (+)-ゲ ル マ ク レ ン A の 存 在 下 で 行 わ れ た 。 イ ン キ
ュベーションはまた、酵素活性に対する任意のセスキテルペンオレフィンの添加の影響(
表 2 を 参 照 ) を 試 験 す る た め に 、 水 酸 化 さ れ な い セ ス キ テ ル ペ ン ( 図 6 ) 、 50μ M (-)-α
-キ ュ ベ ベ ン を 代 わ り に 用 い て 実 行 さ れ た 。
【0055】
表 2 に 示 さ れ た 結 果 は 、 全 て の 酵 素 的 水 酸 化 が 、 β -セ リ ネ ン 及 び ネ オ イ ン タ ー メ デ オ ー
ル ( そ れ ら の 水 酸 化 は 60 及 び 68%だ け 夫 々 阻 害 さ れ た ) を 除 い て 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A
の 添 加 に よ っ て 90%で 阻 害 さ れ た こ と を 示 す 。 β -コ ス ト ー ル 形 成 の 比 較 的 小 さ い 阻 害 は 、
そ れ が (+)-ゲ ル マ ク レ ン A と ほ ぼ 同 様 に 水 酸 化 さ れ る と い う 観 察 と 一 致 す る ; β -セ リ ネ
ン と ネ オ イ ン タ ー メ デ オ ー ル と の 間 の 構 造 的 相 関 は 、 4β -H-オ イ デ ス マ -11(13)-エ ン -4,1
50
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2-ジ オ ー ル ( 4β -H-eudesm-11(13)-ene-4,12-diol) の 形 成 に 対 す る (+)-ゲ ル マ ク レ ン A
の 小 さ い 影 響 を た ぶ ん ま た 説 明 す る 。 さ ら に 驚 く こ と に 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A は 、 レ デ ン
アルコールのようにイソプロペニル又はイソプロピリデン側鎖が関係していないところの
セスキテルペンアルコールの形成をまた阻害する。
【0056】
セスキテルペンの水酸化は、アロイソロンギフォレンアルコール(既に通常のアッセイ条
件 下 で 少 量 の み 形 成 さ れ る 生 成 物 ) の 形 成 を 除 い て 、 (-)-α -キ ュ ベ ベ ン の 添 加 に よ っ て
劇的には影響を受けない。
【0057】
有機溶剤の酵素活性に対する影響
10
本実施例に記載されている実験が開始される前に、どの有機溶媒が基質を溶解するために
最 良 に 使 用 さ れ る こ と が で き る か を 試 験 し た 。 10 mM γ -グ ル ジ ュ ネ ン の 保 存 液 が 、 ヘ キ
サ ン 、 ペ ン タ ン 、 イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 エ タ ノ ー ル 及 び DMSO中 で 調 製 さ れ 、 及 び こ れ ら の 溶
液 の 5μ Lが イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 混 合 物 に 添 加 さ れ た 。 表 3 の 結 果 に 基 づ き 、 エ タ ノ ー ル は
、 一 般 に 用 い ら れ て い る ペ ン タ ン の 代 わ り に ( 例 え ば 、 カ ー プ ら 、 1990年 )、 全 て の 実 験
において基質のための溶媒として選択された。
【0058】
結論
チ コ リ ー 根 か ら の ミ ク ロ ソ ー ム の 酵 素 調 製 物 は 、 NADPHの 存 在 下 で チ コ リ ー 中 に 存 在 し な
いセスキテルペンオレフィンを水酸化できる(表1)。これらの水酸化のほとんどがイソ
20
プロペニル又はイソプロピリデン側鎖で生じ、ある場合には以前に記載されていないセス
キ テ ル ペ ン ア ル コ ー ル 例 え ば ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル 及 び ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ
レンアルコールを生じる。形成されたセスキテルペンアルコールの新規性はある場合に、
そ れ ら の 同 定 を 阻 害 し 及 び ゲ ル マ ク レ ン B 、 (+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン 及 び ネ オ イ ン タ ー メ デ
オ ー ル の 水 酸 化 生 成 物 の 構 造 割 当 は 暫 定 的 で あ り 又 は (+)-レ デ ン に つ い て の 様 に 全 く 不 可
1
能 で あ る 。 残 念 な こ と に 、 こ れ ら の 化 合 物 は 、 H NMRに よ る 構 造 解 明 の た め に そ れ ら を 単
離 す る た め に 十 分 な 量 で ま だ 生 産 さ れ な か っ た 。 ネ オ イ ン タ ー メ デ オ ー ル が β -セ リ ネ ン
よ り も 15倍 低 効 率 的 に 水 酸 化 さ れ る と い う 観 察 及 び ゲ ル マ ク レ ン B が 水 酸 化 さ れ る の に 対
してゲルマクロンが水酸化されるという観察によると、水酸化のための基質は如何なる極
性 基 を 好 ま し く は 含 ま な い 。 リ モ ネ ン (比 較 的 小 さ な モ ノ テ ル ペ ン )の 水 酸 化 が ほ と ん ど 生
30
じ な か っ た の で 、 基 質 の サ イ ズ が ま た 重 要 で あ る 。 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン の 場 合 、 2つ
の区別のつくセスキテルペンアルコール生成物が形成された。
【0059】
イソプロペニル側鎖で生じ且つイソプロピリデン側鎖ではより小さい効率性で生じた水酸
化 は 、 チ コ リ ー 根 の ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ ト 中 に 存 在 す る (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ
ー ゼ に よ っ て 触 媒 さ れ る 。 従 っ て 、 こ れ ら の 水 酸 化 は 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A に よ っ て 競 合
的 に 阻 害 さ れ う る ( 表 2 ) 。 植 物 二 次 代 謝 の シ ト ク ロ ム P450酵 素 に よ る 様 々 な 非 天 然 の 基
質の水酸化は、植物二次代謝の酵素が狭い基質特異性を有するという通常の確信と矛盾す
る (ド ナ ル ド ソ ン 及 び ル ス タ ー 、 1991年 ; ハ ル キ エ ー ル 、 1996年 ; シ ュ ラ ー 、 1996年 ; ミ
ハ リ ア ク ら 、 1993年 ; カ ー プ ら 、 1990年 )。
40
【0060】
未 知 の レ デ ン ア ル コ ー ル 及 び 未 知 の ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン ア ル コ ー ル (KI 1720)の 形 成
は、イソプロペニル/イソプロピリデン側鎖中で生じ得ないにもかからわず、これらの反
応 は (+)-ゲ ル マ ク レ ン A に よ っ て ま た 阻 害 さ れ る 。 理 解 す る こ と は 困 難 で あ る が 、 そ れ は
こ れ ら の 反 応 に お け る (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ の 関 与 を 同 様 に 示 唆 す る 。 と
り わ け 、 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル 及 び 未 知 の ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン ア ル コ ー
ル の 形 成 の (+)-ゲ ル マ ク レ ン A に よ る 競 合 的 阻 害 の 割 合 は 、 同 じ で あ る 。
【0061】
イ ソ プ ロ ペ ニ ル 側 鎖 に お け る ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン の 水 酸 化 は 、 同 様 に 面 白 い 。 そ れ は
、 ク ソ ニ ン ジ ン ( Artemisia annua) 中 の 抗 マ ラ リ ア 薬 ア ル テ ミ シ ニ ン の 形 成 に お け る 重
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要なステップであると仮定されたが、この植物についてまだ報告されていない(ボウミー
ス タ ー ら 、 1999年 a) 。
【0062】
一般に、フレーバー及び芳香産業のための新材料の生産は、微生物によるテルペンの水酸
化についての研究の強力な推進力であった。ある場合には成功であったけれども、これら
の微生物的転化は、エポキシド及びジオールを含む、多種の生成物をしばしば生じ(ラマ
レ 及 び フ ル ス ト ス 、 1990年 ; ド ラ ウ ツ 及 び ワ ル ド マ ン 、 1995年 ; フ ェ バ ー 、 2000年 ) 及 び
酸化が二重結合でしばしば生じる。対照的に、チコリーのミクロソームペレットにより触
媒された水酸化は、1つ、時には2つの生成物を生じかつより場所特異的に起きる。実例
と な る の は 、 (+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン の 場 合 で あ る : 植 物 病 原 菌 炭 疽 病 ( Glomerella cingu
10
lata) と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 (lS,4S,7R,lOR)-5-グ ア イ エ ン -11,13-ジ オ ー ル 及
び (lS,4S,7R,lOS)-5-グ ア イ エ ン -10,11,13-ト リ オ ー ル を 生 じ ( ミ ヤ ザ ワ ら 、 1998年 ) 、
一 方 チ コ リ ー の ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ ト と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 (1S,4S,7R,lOR)-5
,11(13)-グ ア イ ア ジ エ ン -12-オ ー ル を 生 じ た ( 図 7 ) 。
【実施例2】
【0063】
ゲルマクレン酸のセスキテルペンラクトンへの転化に関与する酵素の識別及び特徴付け
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド は 、 ゲ ル マ ク ラ ノ ラ イ ド の 最 も 基 本 的 な 構 造 で あ り 、 す べ て の ゲ ル マ
ク レ ン -由 来 セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン 、 と り わ け チ コ リ ー の グ ア イ ア ノ ラ イ ド 、 オ イ デ ス
マ ノ ラ イ ド 及 び ゲ ル マ ク ラ ノ ラ イ ド の 親 化 合 物 で あ る と 考 え ら れ る 。 こ の 化 合 物 は 、 FPP
20
か ら (+)-ゲ ル マ ク レ ン A 、 ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-オ ー ル 及 び ゲ ル マ ク
ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (4)を 経 由 し て 形 成 さ れ る こ と は 非 常 に あ り そ う で あ
る ( 図 2 ) (デ ク ラ カ ー ら 、 1998年 、 2001年 a )。 こ の ゲ ル マ ク ラ ン 酸 4は 、 シ ト ク ロ ム P
450酵 素 に よ っ て C6 位 置 で 水 酸 化 さ れ 、 そ の 後 で ラ ク ト ン 化 が (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)を 生
じ る と 考 え ら れ る ( 図 8 ) 。 ゲ ル マ ク レ ン 酸 は 、 新 鮮 な コ ス タ ス ( costus) 根 か ら 単 離 さ
れ ( デ ク ラ カ ー ら 、 2001年 b) 、 そ れ は セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の ラ ク ト ン 環 の 形 成 中
の こ の 最 後 の ス テ ッ プ を 調 査 す る こ と を 可 能 に す る ( ゲ イ ス マ ン 、 1973年 ; フ ィ ッ シ ャ ー
ら 、 1979年 ; フ ィ ッ シ ャ ー 、 1990年 )。
【0064】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド は 、 セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の 生 合 成 中 の 分 岐 ポ イ ン ト で あ る と 考 え
30
られ、そこからグアイアノライド、オイデスマノライド及びゲルマクラノライド形成の経
路 が 分 か れ る 。 グ ア イ ア ノ ラ イ ド 又 は オ イ デ ス マ ノ ラ イ ド の い ず れ か へ の (+)-コ ス ツ ノ ラ
イ ド の 環 化 が 、 夫 々 C4 -C5 エ ポ キ シ 化 又 は C1 -C1
0
エポキシ化によって仲介されることが
様 々 な 著 者 に よ っ て 仮 定 さ れ て い る ( ブ ラ ウ ン ら 、 1975年 ; フ ィ ッ シ ャ ー 、 1990年 ; テ イ
ッ セ イ レ 、 1994年 ; ピ エ ッ ト ら 、 1995年 ) 。 代 わ り に 、 グ ア イ ア ノ ラ イ ド の 形 成 の た め の
ゲ ル マ ク レ ノ ラ イ ド の C3 -水 酸 化 の 必 要 性 が 提 案 さ れ て い る ( ピ エ ッ ト ら 、 1996年 ) 。
【0065】
材料及び方法
栽 培 さ れ た チ コ リ ー ( Cichorium intybus L., cv Focus) の 新 鮮 な 根 は 晩 夏 に 収 穫 さ れ 、
且 つ オ ラ ン ダ 国 、 フ ェ ー ネ ン ダ ー ル の 栽 培 者 (J. de Mik)か ら 得 ら れ た 。 チ コ リ ー 根 は 、
40
小 さ な 部 分 に 切 ら れ 、 液 体 窒 素 中 で 凍 結 さ れ 、 そ し て -80℃ で 保 存 さ れ た 。 ゲ ル マ ク ラ -1(
10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (4)、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)及 び デ ヒ ド ロ コ ス タ ス ラ ク ト
ン ( dehydrocostus lactone) ( 図 9 、 図 1 8 )が 、 コ ス タ ス 根 か ら 単 離 さ れ た ( デ ク ラ
カ ー ら 、 2001年 b) 。 α -及 び γ -木 香 酸 ( costic acid) の 混 合 物 の 合 成 は 、 デ ク ラ カ ー
ら ( 2001年 b) に よ っ て 記 載 さ れ て い る が 、 エ レ マ -1,3,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (9)の 合
成 は 、 デ ク ラ カ ー ら ( 2001年 a ) 中 に 記 載 さ れ て い る 。 ロ イ コ ジ ン (22)の サ ン プ ル は 、
M. Ando教 授 (新 潟 大 学 、 日 本 ;ア ン ド ウ ら 、 1994年 )及 び Shi Yong Ryu博 士 (韓 国 化 学 研 究
所 ( Korea Research Institute of Chemical Technology) 、 ユ サ ン ( Yusung) 、 テ ジ ョ
ン ( Teejon) 、 韓 国 )、 (さ ら に 、 こ の 人 は そ の C1 1 -エ ピ マ ー ア チ リ ン ( achillin) (ホ
ー ら 、 1998年 )を 提 供 し た )の 両 者 に よ っ て 親 切 に 提 供 さ れ た 。 11,13-ジ ヒ ド ロ -デ ヒ ド ロ
50
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コ ス タ ス ラ ク ト ン (モ ッ コ ウ ラ ク ト ン )は Y. Asakawa教 授 ( 徳 島 文 理 大 学 、 日 本 ) の 贈 り 物
だ っ た 。 パ ル テ ノ ラ イ ド ( parthenolide) (17)は シ グ マ 社 か ら 、 シ ス -ネ ロ リ ド ー ル は フ
ル カ 社 か ら 購 入 さ れ た 。 エ ー テ ル (ジ エ チ ル エ ー テ ル )及 び ペ ン タ ン は 、 使 用 の 前 に 再 蒸 留
された。
【0066】
11(S),13-ジ ヒ ド ロ -コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)の GC標 準 は 、 1.5 mL酢 酸 エ チ ル 中 に 溶 解 さ れ 且 つ
0 ℃ で 1.5 mg の NaBH4 と 共 に 撹 拌 さ れ た ( 様 々 な セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の C1 1 -C1 3 の 環
外 二 重 結 合 の 還 元 の た め に 記 載 さ れ た 処 理 ) と こ ろ の 2 mg の (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド か ら 調
製 さ れ た ( ア サ カ ワ ら 、 1980年 ; ア サ カ ワ ら 、 1982年 ; セ ト ら 、 1988年 ) 。 45分 後 に 、 反
応 は 、 1% HAc及 び 2 mlの 追 加 の 酢 酸 エ チ ル の 添 加 に よ っ て 中 止 さ れ た 。 有 機 相 は 、 0.45 g
10
の シ リ カ 及 び 少 量 の 無 水 MgS04 を 含 み ガ ラ ス ウ ー ル で 塞 が れ た パ ス ツ ー ル ピ ペ ッ ト に よ っ
て ろ 過 さ れ た 。 濾 液 の GC-MS分 析 は 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の 半 分 が ll(S),13-ジ ヒ ド ロ -コ
ス ツ ノ ラ イ ド に 転 化 さ れ た こ と を 示 し 、 一 方 そ の C1 1 エ ピ マ ー の 痕 跡 は 検 出 さ れ な か っ た
。
【0067】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ 活 性 の 酵 素 単 離 及 び ア ッ セ イ
チコリー根の細胞不含抽出物は、ゲルマクレンAヒドロキシラーゼの単離のために記載さ
れ た ( 実 施 例 1 ) の と 同 じ 方 法 で 凍 結 材 料 か ら 調 製 さ れ た が 、 し か し MgCl2 は (+)-ゲ ル マ
ク レ ン を 伴 う 故 に 抽 出 バ ッ フ ァ ー に 添 加 さ れ な か っ た 。 シ ン タ ー ゼ 活 性 は 、 (+)-コ ス ツ ノ
ラ イ ド シ ン タ ー ゼ 活 性 の 検 出 に と っ て 必 須 出 は な か っ た 。 調 製 さ れ た 20,000gの 上 清 は 、 2
20
5 mMト リ ス (pH 7.5)、 1 mMア ス コ ル ビ ン 酸 、 5 μ M FAD、 5 μ M FMN及 び 10%(v/v)の グ リ セ
ロ ー ル か ら 成 る ア ッ セ イ バ ッ フ ァ ー へ の 、 Econo-Pac 10 DGカ ラ ム ( バ イ オ ラ ド 製 ) で 脱
塩 さ れ た 。 DTTは ア ッ セ イ バ ッ フ ァ ー か ら 省 略 さ れ た 。 な ぜ な ら ば 、 DTT中 に 存 在 す る SH基
が 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の C1 1 -Cl
3
環外二重結合に「ミカエル型付加」を行うかもしれな
い か ら で あ る ( ク プ チ ャ ン ら 、 1970年 ) 。 脱 塩 さ れ た 上 清 の 1ml分 取 は 、 第 三 級 ブ チ ル メ
チ ル エ ー テ ル 中 の ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)の 15 mM 溶 液 の 3 μ L及 び 1 mM NADPH再 生 シ ス テ ム (
そ れ は 、 1 mM NADPH、 5 mM グ ル コ ー ス -6-リ ン 酸 及 び 1.2 IU グ ル コ ー ス -6-リ ン 酸 デ ヒ
ドロゲナーゼ(全てシグマ社から)から成る)と一緒にインキュベーションされた。イン
キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 沸 騰 さ れ た 脱 塩 上 清 で 且 つ NADPH非 存 在 下 で ま た 行 わ れ た 。 実 験 は 、
エ レ マ -1,3,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 ( 図 2 、 図 9 ) 、 及 び ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)の 基 質 類 似
30
物 と し て 役 立 つ か も し れ な い α -及 び γ -木 香 酸 (14)の 混 合 物 を 用 い て 繰 り 返 さ れ た 。 30℃
で の イ ン キ ュ ー べ ー シ ョ ン の 1時 間 後 、 反 応 は 冷 凍 庫 中 で 保 存 さ れ た 。
【0068】
イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 内 部 標 準 と し て 役 立 つ エ タ ノ ー ル 中 の 0.2 mMシ ス − ネ ロ リ ド ー ル
溶 液 の 添 加 後 、 ペ ン タ ン 中 の 20%(v/v)エ ー テ ル の 1 mLで 3回 抽 出 さ れ た 。 有 機 相 は 、 ガ ラ
スウールで塞がれた(ジメチルクロロシラン処理されたガラスウール;クロマパック)パ
ス ツ ー ル ピ ペ ッ ト ( 0.45 g の シ リ カ 及 び 少 量 の 無 水 MgS04 を 含 む ) に よ っ て ろ 過 さ れ た
。 カ ラ ム は 1.5mlの エ ー テ ル で 洗 わ れ 且 つ 抽 出 物 は 、 窒 素 の 流 れ の 下 で お よ そ 50 μ Lに 注
意 深 く 濃 縮 さ れ た 。 2μ Lの サ ン プ ル は 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)の コ ー プ 転 位 を 引 き 起 こ
す べ く 320℃ の 注 入 ポ ー ト 温 度 を 使 用 し GC-MSに よ っ て 分 析 さ れ た 。 質 量 ス ペ ク ト ル は 、 35
40
か ら 300ま で の 原 子 質 量 単 位 を 走 査 し て 、 70eVで 記 録 さ れ た ; GCオ ー ブ ン 温 度 が 、 前 に 記
載 さ れ た よ う に プ ロ グ ラ ム さ れ た ( デ ク ラ カ ー ら 、 1998年 ) 。
【0069】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ 活 性 の 特 徴 付 け
ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)か ら の (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)の 形 成 が シ ト ク ロ ム P450酵 素 に よ っ て
触 媒 さ れ る か ど う か を 決 定 す る た め に 、 こ の 反 応 に 対 す る 様 々 な 確 立 さ れ た シ ト ク ロ ム P4
50阻 害 剤 ( シ ト ク ロ ム C 、 メ チ ラ ポ ン 、 ク ロ ト リ マ ゾ ー ル 、 ミ コ ナ ゾ ー ル 及 び ア ミ ノ ベ ン
ゾ ト リ ア ゾ ー ル ) の 影 響 な ら び に CO又 は ア ル ゴ ン 環 境 の 影 響 が 試 験 さ れ た 。 補 因 子 依 存 が
ま た 調 査 さ れ た 、 す な わ ち NADPHの 代 わ り に NAD(P)
+
又 は NADHが 添 加 さ れ た 。 実 験 は 、 20,
000g上 清 及 び 内 部 標 準 と し て 0.2 mMシ ス -ネ ロ リ ド ー ル の 5μ lを 使 用 し て 、 実 施 例 1 の ゲ
50
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ルマクレンAヒドロキシラーゼのために記載されているようのと同様の方法で実行された
。 CO阻 害 の 青 い 光 の 反 転 は 、 90% N2 (ブ ラ ン ク )を 加 え た 10% 02 及 び 90% COを 加 え た 10% 0
2
のガス混合で調査された。
【0070】
酸素の取り込みは、
1 8
02 (99% 純 粋 ; ア イ コ ン サ ー ビ シ ー ズ 、 マ ウ ン ト マ ー ロ ン 、 ニ ュ ー
ヨ ー ク 州 、 ア メ リ カ 合 衆 国 )で 調 査 さ れ た 。 (穴 を 付 け ら れ た )隔 膜 で キ ャ ッ プ さ れ た 4.5-m
Lバ イ ア ル 中 に 置 か れ た イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 混 合 物 の 1 mlは 、 ま ず 空 気 を 除 去 す る た め に
窒素で、次に
1 8
02 を 吹 き 込 ま れ た 。 形 成 さ れ た 化 合 物 の 質 量 ス ペ ク ト ル は 、 空 気 で の 標 準
酵素アッセイ中に形成されたそれらと比較された。
【0071】
10
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の 次 の 転 化 の 調 査
ゲルマクレン酸のために記載されたインキュベーションは、この化合物の更なる酵素的転
化 が ゲ ル マ ク レ ン 酸 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の 間 に 生 じ る か ど う か を 試 験 す る た め に 、 (+)コ ス ツ ノ ラ イ ド ( 30μ M) で ま た 行 わ れ た 。 パ ル テ ノ ラ イ ド ( 20 μ M) ( 図 9 、 図 1 7 )
は、それがグアノライドの形成の中間体であるかもしれない故に、同様にインキュベーシ
ョ ン さ れ た 。 デ ヒ ド ロ コ ス タ ス ラ ク ト ン ( 20 μ M) (18)は 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の C1 1 -C1
3
環 外 二 重 結 合 で 生 じ た 還 元 の た め の モ デ ル 化 合 物 と し て イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン さ れ た 。 (+
)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の 転 化 に 対 す る 、 確 立 し た シ ト ク ロ ム P450阻 害 剤 及 び COの 影 響 は 、 様 々
なピリジンヌクレオチド補因子及びアルゴン環境の影響として研究された。
【0072】
20
ゲルマクレン酸のセスキテルペンラクトンへの転化
NADPH再 生 シ ス テ ム の 存 在 下 、 ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (4)と 一 緒 で
の 20,000g チ コ リ ー 根 上 清 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン か ら の ペ ン タ ン − エ ー テ ル 抽 出 物 の GC-M
S分 析 は 、 NADPHな し で の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 中 又 は 煮 沸 し た 上 清 と 一 緒 で の イ ン キ ュ ベ ー
シ ョ ン 中 ( 図 1 0 A 及 び B ) に 検 出 さ れ な か っ た 3 つ の 生 成 物 を 示 し た 。 主 な ピ ー ク は (+
)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の 標 準 品 と と も に 溶 出 さ れ 、 そ れ は 320 ℃ の 注 入 ポ ー ト 温 度 で そ の コ ー
プ 転 位 生 成 物 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (10)と し て 検 出 さ れ る ( 図 3 C ) 。 基 質
ゲ ル マ ク レ ン 酸 は 、 そ の コ ー プ 転 位 生 成 物 す な わ ち エ レ メ ン 酸 (9)及 び ジ ア ス テ レ オ マ ー
エ レ メ ン 酸 と し て ま た 測 定 さ れ た ( デ ク ラ カ ー ら 、 2001年 b) 。
【0073】
30
該 2 つ の 他 の 生 成 物 は 、 サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン に コ ー プ 転 位 さ れ る ll(S),13-ジ ヒ ド ロ
コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)、 及 び ロ イ コ ジ ン (22)と し て 同 定 さ れ た ( 図 1 1 ) 。 11(S),13-ジ ヒ
ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド 及 び ロ イ コ ジ ン の 両 方 は (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド か ら 酵 素 的 に 形 成 さ れ 、
従 っ て そ れ ら は 20,000gの 上 清 及 び NADPHと 一 緒 で の (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の イ ン キ ュ ベ ー シ
ョン中にまた現われた。更に多くの生成物さえゲルマクレン酸のインキュベーションの間
に形成されることを排除することはできない。なぜならばより高級な酸化されたセスキテ
ルペンラクトンがガスクロマトグラフィーによる検知のために十分揮発性ではないようだ
か ら で あ る 。 そ の 上 、 チ コ リ ー 抽 出 物 中 の 脂 肪 酸 の 存 在 ( サ ン ナ イ ら 、 1982年 ) は GC分 析
を複雑にする。なぜならば、それらは、より小さい生成物ピークが「消える」かもしれな
い 大 き な ピ ー ク (● )を 生 じ る か ら で あ る 。
40
【0074】
基 質 類 似 物 質 α -及 び γ -木 香 酸 (14)及 び エ レ マ -1,3,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (9)の 検 出 可
能な転化はなかった。
【0075】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ の 特 徴 付 け
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ の 特 徴 付 け の た め に 、 種 々 の 濃 度 の (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド に
対 す る GCの 応 答 が 好 ま し く は 線 形 で あ る べ き で あ る 。 な お 、 320℃ の 使 用 さ れ た 注 入 ポ ー
ト 温 度 で 、 コ ス ツ ノ ラ イ ド の GC痕 跡 ( 図 1 0 C ) は 、 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (1
9)の シ ャ ー プ な ピ ー ク を 示 さ な い が 、 α -及 び β -シ ク ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド の よ う な コ ス ツ ノ
ラ イ ド 関 連 生 成 物 の 小 さ な ピ ー ク を 含 む テ ー リ ン グ ピ ー ク を 示 す 。 明 ら か に 、 (+)-コ ス ツ
50
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ノ ラ イ ド は 、 例 え ば ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)よ り も コ ー プ 転 位 に よ り 耐 性 で あ る 。 文 献 で は 、
ラ ク ト ン 環 が ゲ ル マ ク レ ン の 熱 安 定 性 に 対 し て 強 い 影 響 を 有 し 且 つ (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の
コ ー プ 転 位 は 可 逆 で あ る こ と が ま た 判 っ て い る ( ジ ャ イ ン 、 1970年 ; ミ ン ナ ー ア ル ド 、 19
97年 ) 。 そ れ 故 に GCカ ラ ム 上 で 、 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (19)は 、 (+)-コ ス ツ ノ
ラ イ ド へ の 可 逆 反 応 を あ る 程 度 起 こ す か も し れ な い ( グ リ ー コ 及 び ニ シ ザ ワ 、 1977年 ) 。
それにもかかわらず、注入ポート温度を低下させることにより注入ポート中のコープ転位
を 避 け る こ と は 、 カ ラ ム を 通 じ る そ の 移 動 の 間 に (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の コ ー プ 転 位 を 生 じ
、 そ し て 明 ら か な (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド ピ ー ク の 代 わ り に 、 広 い こ ぶ ( 実 施 例 1 の ゲ ル マ ク
レンアルデヒドに示されるものと類似する)を生じた。デヒドロサウスシュレアラクトン
GCピ ー ク の 貧 弱 な 質 に も か か わ ら ず 、 そ れ は 5μ Mか ら 50μ Mの 範 囲 で 、 注 入 さ れ た (+)-コ
10
ス ツ ノ ラ イ ド 濃 度 に 線 形 で あ る 。 シ ス -ネ ロ リ ド ー ル に 関 連 す る 応 答 因 子 は 0.15で あ り 、
及 び 5μ Mよ り 下 の 濃 度 は 測 定 可 能 で な く 、 こ の こ と は イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 中 の 0.25μ Mよ
り 下 の (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド 濃 度 す な わ ち 0.25 nmolは 検 出 さ れ な い こ と を 意 味 す る 。
【0076】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ の 特 徴 付 け の た め の よ り 大 き な 問 題 は 、 ほ と ん ど 確 か に コ
スツノライドの後の転化生成物のすべてが検知されるのではないことである。従って、該
所 与 の 酵 素 活 性 は 、 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (19)、 サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (21)
及 び ロ イ コ ジ ン (22)の ピ ー ク の 合 計 で あ り 、 且 つ 従 っ て コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ 活 性 の
絶 対 値 よ り も よ り 多 く 表 示 す る 。 エ レ メ ン 酸 ピ ー ク (基 質 ピ ー ク )の 定 量 的 測 定 は オ プ シ ョ
ン で は な か っ た 。 な ぜ な ら ば 、 そ れ は 、 濃 度 に 線 形 で は な く 、 及 び よ り 一 般 的 に は 、 GC上
20
の酸ピークが低い品質であるためである。
【0077】
表 4 は 、 コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ が 酸 素 及 び NADPHに 依 存 す る 一 方 、 NADHは 還 元 剤 と し
て は る か に 効 果 が 低 い こ と を 示 す 。 こ れ は 、 シ ト ク ロ ム P450酵 素 の 関 与 を 示 唆 し 、 そ れ は
様 々 な 確 立 さ れ て い る シ ト ク ロ ム P450阻 害 剤 の 効 果 に よ っ て 確 認 さ れ た ( ウ ェ ス ト 、 1980
年 ; ミ ハ リ ア ク ら 、 1993年 ) 。 シ ト ク ロ ム C (100μ M)の 存 在 下 、 ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)の 酵
素 的 生 成 物 は 測 定 さ れ な か っ た ; ミ コ ナ ゾ ー ル (100 μ M)は 71%で 、 ア ミ ノ ベ ン ゾ ト リ ア ゾ
ー ル (100 μ M)は 44%で 、 メ チ ラ ポ ン (1 mM)は 78%で 及 び ク ロ ト リ マ ゾ ー ル (100 μ M)は 97%
で測定可能な生成物の量を減少した。
【0078】
30
シ ト ク ロ ム P450酵 素 の 関 与 の た め の 最 強 の 証 拠 は 、 COに よ る 酵 素 活 性 の 青 い 光 の 可 逆 的 な
阻 害 で あ る ( ウ ェ ス ト 、 1980年 ; ミ ハ リ ア ク ら 、 1993年 )。 図 12に 記 載 さ れ た 結 果 は 、 青
い 光 に よ っ て あ る 程 度 ま で 可 逆 で あ り 得 る (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド 、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス
ツ ノ ラ イ ド 及 び ロ イ コ ジ ン の 生 成 さ れ た 合 計 に 対 す る COの 阻 害 効 果 を 示 す 。
【0079】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の そ の 後 の 転 化 の 特 徴 付 け
NADPHの 存 在 下 、 チ コ リ ー 根 上 清 の 20,000g上 清 と 一 緒 で の (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の イ ン キ ュ
ベ ー シ ョ ン は 、 ll(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)及 び ロ イ コ ジ ン (22)を 生 じ た 。
他 の 生 成 物 は イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の GC-MS分 析 で 検 知 さ れ な か っ た 。 し か し 、 生 成 物 ピ ー
ク 生 成 物 の 強 度 と デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン の ピ ー ク 高 さ の 減 少 と の 比 較 は 、 GC上
40
で 検 知 さ れ な い 他 の 生 成 物 の 形 成 を 強 く 示 唆 し た 。 コ ス ツ ノ ラ イ ド の l1(S),13-環 外 二 重
結 合 の 還 元 を 触 媒 す る 酵 素 活 性 は 、 デ ヒ ド ロ コ ス タ ス ラ ク ト ン (18)で 同 じ こ と を す る こ と
が で き な か っ た 。 パ ル テ ノ ラ イ ド (17)の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は ロ イ コ ジ ン (22)を 与 え な か
ったが、パルテノライドの、他の測定不可能なセスキテルペンラクトンへの転化は排除さ
れ 得 な い 。 パ ル テ ノ ラ イ ド そ れ 自 身 は 、 GC分 析 で 多 く の ピ ー ク へ と 分 解 し 、 従 っ て 定 量 的
測定は、インキュベーション後に存在するパルテノライドの量について行われなかった。
【0080】
酵 素 の ど の タ イ プ が 、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)及 び ロ イ コ ジ ン (22)の 形 成
に触媒作用を及ぼすかを試験するために、ピリジンヌクレオチド補因子が変化された(表
5 ) 。 両 方 の 化 合 物 の 形 成 は NADPHに 依 存 す る が 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド リ ダ ク タ ー ゼ 活 性
50
(29)
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の一部は、何らかの補因子の非存在下で保持される。
【0081】
表 4 は 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド か ら の ロ イ コ ジ ン の 形 成 が 酸 素 に 依 存 す る 一 方 、 11,13-ジ ヒ
ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド の 形 成 は 依 存 し な い こ と を 示 す 。 ロ イ コ ジ ン の 形 成 は COに よ っ て 強 く
阻 害 さ れ 、 そ れ は シ ト ク ロ ム P450酵 素 の 関 与 を 示 唆 す る る 。 そ の 結 果 、 そ れ は 、 ア ミ ノ ベ
ン ゾ ト リ ア ゾ ー ル 以 外 の 試 験 さ れ た シ ト ク ロ ム P450阻 害 剤 の す べ て に よ っ て ま た 阻 害 さ れ
る。
【0082】
酸 素 -18の 取 り 込 み
酸 素 -18存 在 下 で の ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、
1 8
0の 1 原 子 の (+)-コ ス
10
ツ ノ ラ イ ド (5)へ の 取 り 込 み を 与 え た 。 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (19)の 質 量 ス ペ
ク ト ル に お け る 分 子 イ オ ン ピ ー ク は 、 232か ら の 原 子 質 量 単 位 ( amu) か ら 234へ と 上 昇 さ
れ た ( 図 13) 。 同 様 の 変 化 が 、 サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (21)の 質 量 ス ペ ク ト ル 、 す な わ ち
11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)の コ ー プ 転 位 生 成 物 中 で 観 察 さ れ た 。 そ の イ オ ン
+
ピ ー ク は 234か ら 236原 子 質 量 単 位 へ と シ フ ト さ れ 、 一 方 [M-Me] ピ ー ク は 219か ら 222原 子
質 量 単 位 へ と シ フ ト さ れ た 。 酸 素 -18(99%)で の 酵 素 ア ッ セ イ の バ ブ リ ン グ は 、 酵 素 活 性 に
対して何らの測定可能な否定的効果を有していなかった。
【0083】
ロイコジンの質量スペクトルは、
1 8
Oの 2つ の 原 子 の 取 り 込 み を 示 し 且 つ イ オ ン ピ ー ク の 質
量 は 246か ら 250原 子 質 量 単 位 へ と 4ユ ニ ッ ト だ け 明 白 に 上 昇 さ れ た ( 図 1 4 ) 。 残 念 な こ
20
と に 、 こ の 酵 素 ア ッ セ イ に お い て 、 ロ イ コ ジ ン の GCピ ー ク は リ ノ ー ル 酸 の テ ー リ ン グ ピ ー
クと重なり(図10A)、それは特に低い質量範囲においてロイコジンの質量スペクトル
を汚す。
【0084】
結論
本 結 果 は 、 チ コ リ ー は ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (4)を (+)-コ ス ツ ノ ラ
イ ド (5)に 転 化 す る 酵 素 を 含 み 、 セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン に 存 在 す る ラ ク ト ン 環 を 生 じ る
こ と を 示 す 。 こ の 工 程 は 、 FPPか ら 、 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A 、 ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)ト リ エ ン -12-オ ー ル 及 び ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (4)を 経 由 し て ゲ ル
マクレン由来のセスキテルペンラクトンへの仮定された経路の最終証拠である(ゲイスマ
30
ン 、 1973年 ; フ ィ ッ シ ャ ー ら 、 1979年 ; フ ィ ッ シ ャ ー 、 1990年 ) 。
【0085】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ は 、 NADPH 及 び 02 に 依 存 す る シ ト ク ロ ム P450酵 素 で あ り 、
及 び 従 っ て 様 々 な 確 立 さ れ た シ ト ク ロ ム P450阻 害 剤 に よ っ て 阻 害 さ れ る ( ウ ェ ス ト 、 1980
年 ; ミ ハ リ ア ク ら 、 1993年 ) 。 酵 素 活 性 の 青 い 光 の 可 逆 的 CO阻 害 は 、 同 様 に 実 証 さ れ え た
。 し か し な が ら 、 結 果 は 、 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の そ の 後 の 酵 素 的 転 化 に よ っ て 多 少 妨 害 さ
れ た 。 酸 素 -18の 存 在 下 で の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、
1 8
0の 1 原 子 の (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド へ
の 取 り 込 み ( シ ト ク ロ ム P-450酵 素 の 他 の 典 型 的 な 特 徴 ) を 示 し た ( ウ ェ ス ト 、 1980年 ;
ミ ハ リ ア ク ら 、 1993年 ) 。 そ れ は 、 ゲ ル マ ク レ ン 酸 が C6 -位 置 で 最 初 に 水 酸 化 さ れ る と こ
ろ の 機 構 を ま た 確 認 し ( フ ィ ッ シ ャ ー ら 、 1979年 ) 、 そ の 後 こ の 水 酸 基 は お そ ら く 酵 素 介
40
在 さ れ て 、 C1 2 で カ ル ボ キ シ ル 基 を 攻 撃 す る 。 生 じ た ラ ク ト ン 化 の 間 、 酸 素 同 位 体 が ラ ク
トン環に組み入れられることが起こりうる(図15)。
【0086】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ は 、 基 質 類 似 体 α -木 香 酸 ( 図 2 、 1 4 ) 又 は 予 期 さ れ て
い な い エ レ マ -1,3,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 (9)を 転 化 す る こ と が で き な い 。 な ぜ な ら ば 、 C
6
-位 置 は 、 ア リ ル で な い か ら で あ る 。 し か し な が ら 、 そ の C6 -位 置 が ア リ ル で あ る と こ ろ
の γ -木 香 酸 (13)も 転 化 さ れ ず 、 従 っ て 明 ら か に シ ク ロ デ カ ジ エ ン 環 シ ス テ ム の 立 体 構 成
( geometry) が 反 応 に 必 要 で あ る 。
【0087】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)は 、 NADPH、 及 び チ コ リ ー 根 の 20,000g上 清 で の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ
50
(30)
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ン 中 に あ り 、 そ の 後 11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20) 及 び ロ イ コ ジ ン (22)に 転 化
さ れ る ( 図 1 6 ) 。 11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド の 形 成 は 酸 素 に 依 存 し て い な い が
、 NADPHの 存 在 下 で 強 く 促 進 さ れ 、 一 方 15%の 小 さ な 酵 素 活 性 が そ の 非 存 在 下 で 保 持 さ れ る
。 C1 1 -C1 3 の 環 外 二 重 結 合 の 還 元 は 、 エ ノ エ ー ト ( enoate) リ ダ ク タ ー ゼ ( ク ロ ス ト リ デ
ィ ウ ム ( Clostridium) か ら 単 離 さ れ 、 還 元 剤 の 存 在 下 、 嫌 気 性 条 件 下 で α 、 β -不 飽 和 カ
ルボン酸のオレフィン結合の還元を触媒する鉄−硫黄フラボプロテインのグループ)によ
り 触 媒 さ れ る 反 応 の 型 に 類 似 す る ( ホ ー ラ ン ド 、 1992年 ) 。 コ ス ツ ノ ラ イ ド 中 の C1 1 -C1
3
環 外 二 重 結 合 の 還 元 が 立 体 選 択 的 に 生 じ 、 そ し て ll(S),13-立 体 異 性 体 の み を 与 え る 。 C1
1
で の 立 体 化 学 は 、 チ コ リ ー 中 に 存 在 す る 11(S),13-ジ ヒ ド ロ セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の そ
れ と 同 一 で あ る ( セ ト ら 、 1988年 ; フ ァ ン ビ ー ク ら 、 1990年 ) 。 チ コ リ ー と は 対 照 的 に 、
10
あ る 他 の 植 物 は 、 ロ イ コ ジ ン の ll(R)-エ ピ マ ー で あ る ア チ リ ン の よ う な な C1 1 -エ ピ マ ー を
含 み ( マ ル チ ネ ス ら 、 1988年 ; ホ ー ら 、 1998年 )、 こ れ ら の C1 1 -エ ピ マ ー を 合 成 す る エ ナ
ンチオ選択的な酵素がこれらの他の種に存在すべきであることを示す。デヒドロコスタス
ラ ク ト ン (18)の C1 1 -C1 3 の 環 外 二 重 結 合 は 還 元 さ れ な か っ た 故 に 、 上 記 酵 素 は 少 な く と も
幾分の基質特異性を示す。
【0088】
ロ イ コ ジ ン (22)の 形 成 は 、 グ ア イ ア ノ ラ イ ド が (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド か ら 起 こ る こ と を 証 明
す る 。 そ れ ら の 形 成 は 、 1よ り 多 い 酵 素 に 関 係 し て い る 様 で あ る 。 ロ イ コ ジ ン が 、 ll(S),1
3-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)か ら 起 こ る か ど う か は 調 査 さ れ な か っ た 。 パ ル テ ノ ラ イ ド
(17)は ロ イ コ ジ ン 生 合 成 に 関 係 し な い が 、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ パ ル テ ノ ラ イ ド は 関 係 す る
20
こ と を 排 除 で き な い 。 様 々 な 著 者 が 、 4,5-エ ポ キ シ ド 又 は C3 -水 酸 化 の い ず れ か が グ ア イ
ア ン フ レ ー ム ワ ー ク へ と 進 む (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の 環 化 を 指 示 す る の に 必 要 で あ る こ と を
示 唆 し て い る (ブ ラ ウ ン ら 、 1975年 ; フ ィ ッ シ ャ ー 、 1990年 ; テ イ ッ セ イ レ 、 1994年 ; ピ
エ ッ ト ら 、 1995年 ; ピ エ ッ ト ら 、 1996年 )。
【0089】
(+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド か ら の ロ イ コ ジ ン の 形 成 は 、 確 立 さ れ た シ ト ク ロ ム P450阻 害 剤 又 は CO
の 添 加 に よ っ て 阻 害 さ れ え た 一 方 、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)の 形 成 は 阻 害
さ れ え な か っ た 。 そ の 上 、 酸 素 -18で の 実 験 は 、 ケ ト 基 の 酸 素 原 子 が 分 子 の 酸 素 か ら ま た
由 来 す る こ と を 実 証 し 、 そ れ は ロ イ コ ジ ン 生 合 成 に お け る シ ト ク ロ ム P450酵 素 の 関 与 を 少
な く と も 示 唆 す る ( ウ ェ ス ト 、 1980年 ; ミ ハ リ ア ク ら 、 1993年 ) 。
30
【0090】
ロ イ コ ジ ン は 11(S),13-ジ ヒ ド ロ -8-デ オ キ シ ラ ク ツ シ ン ( チ コ リ ー の マ イ ナ ー な セ ス キ テ
ル ペ ン ラ ク ト ン ) の 前 駆 体 と し て 見 な さ れ う る ( フ ァ ン ビ ー ク ら 、 1990年 ) 。 恐 ら く 、 こ
のセスキテルペンラクトンは実行されたインキュベーション中にまた形成されるが、それ
は そ の 極 性 /よ り 劣 っ た 揮 発 性 に よ り GC-MS測 定 で 検 知 さ れ な い 。 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド 及 び
恐 ら く 11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)は 、 チ コ リ ー の 他 の 苦 味 セ ス キ テ ル ペ ン ラ
クトンの生合成に関係しそうである。酵素的反応混合物中のこれらの化合物を検知し且つ
分 析 す る こ と は 、 誘 導 体 化 及 び / 又 は HPLCの よ う な 他 の ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 的 技 術 の 使 用
を要するであろう。
【実施例3】
40
【0091】
チコリー根から単離された酵素を使用するバレンセンのヌートカトンへの生物的転化
C2 位 置 で セ ス キ テ ル ペ ノ イ ド 骨 格 を 水 酸 化 す る シ ト ク ロ ム P450及 び 実 施 例 2 で 実 証 さ れ る
ようにケトンを形成するためにこの水酸基をさらに酸化し得るデヒドロゲナーゼ活性の存
在の故に、我々はヌートカトンが形成されるかどうかを研究するためにセスキテルペンバ
レンセンの酸化を調査することを決定した。
【0092】
参照化合物の合成
β -ヌ ー ト カ ト ー ル は 、 5 mLの 乾 燥 エ ー テ ル ( ジ エ チ ル エ ー テ ル ) 中 、 20 mg の LiAlH4 で
の 190 mgの ヌ ー ト カ ト ン ( フ ル カ 社 ) の 還 元 に よ っ て 調 製 さ れ た ( シ ョ ー ジ ら 、 1984年 )
50
(31)
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。 灰 色 の 懸 濁 液 を 一 晩 の 間 撹 拌 し た 後 、 反 応 は Na2 SO4 ・ 1O H2 Oの 注 意 深 い 添 加 に よ っ て 中
止 さ れ た 。 混 合 物 は さ ら に 30分 間 撹 拌 さ れ 、 そ し て MgSO4 の 添 加 に よ っ て 乾 か さ れ た 。 固
形 物 は 濾 別 さ れ そ し て エ ー テ ル は 蒸 留 水 で 洗 浄 さ れ た 。 溶 媒 の 乾 燥 及 び 蒸 発 後 に 、 β -ヌ
ー ト カ ト ー ル の 他 に 4 %の α -ヌ ー ト カ ト ー ル を 含 む 140 mgの 粗 油 が 得 ら れ た 。 EIMS (70 e
V) m/z : 220 [M]
+
(33), 177 (77), 161 (40), 145 (52), 131 (77), 119 (100), 109 (
41), 107 (50), 105 (59), 95 (46), 93 (60), 91 (43), 81 (45), 79 (80), 77 (64), 6
9 (47), 67 (52), 55 (58), 43 (55), 41 (94), 39 (54)。 エ ー テ ル − ペ ン タ ン (2:1)で シ
リ カ 上 で の こ の 粗 油 か ら の 50 mgの フ ラ ッ シ ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー の 後 に 、 α -ヌ ー ト カ ト ー
1
ル の 如 何 な る 痕 跡 も な い 画 分 が 貯 め ら れ 、 3.6 mgの β -ヌ ー ト カ ト ー ル を 生 じ た 。 H NMR
(200 MHz, C6 D6 ) δ 0.83 (d, 3H, J = 3 Hz), δ 0.95 (s, 3H), δ 0.96-1.47 (m, 7H),
10
δ 1.75 (m, 3H), δ 1.93 (dt, 1H, J= 12.7 及 び 2.7 Hz), δ 2.07 (m, 1H), δ 2.20-2.3
3 (m, 2H), δ 4.19-4.26 (m, 1H), δ 4.88 (br s, 2H), 5.44 (br d, 1H)。
1 3
C NMR (100
MHz, DEPT, CDCl3 ) δ 15.7 (q), δ 18.4 (q), δ 21.1 (q), δ 32.8 (t), δ 33.4 (t),
δ 37.8 (t), δ 38.5 (s), δ 39.8 (d), δ 41.3 (d), δ 45.1 (t), δ 68.1 (d), δ 109.2
(t), δ 125.9 (d), δ 144.9 (s), δ 150.2 (s)。 EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
(56), 17
7 (100), 145 (31), 135 (51), 131 (43), 123 (38), 121 (91), 119 (81), 109 (42), 1
07 (66), 105 (62), 95 (49), 93 (69), 91 (87), 81 (39), 79 (60), 77 (56), 69 (45)
, 67 (51) 55 (62), 53 (42), 43 (52), 41 (100), 39 (55)。
【0093】
ト ラ ン ス ,ト ラ ン ス -フ ァ ル ネ サ ー ル 及 び シ ス ,ト ラ ン ス -フ ァ ル ネ サ ー ル の 混 合 物 は 、 ペ ン
20
タ ン 中 に ト ラ ン ス ,ト ラ ン ス -フ ァ ル ネ ソ ー ル ( シ グ マ 社 ) を 溶 解 し 、 そ し て MnO2 と 共 に 撹
拌 す る こ と に よ っ て 調 製 さ れ た 。 フ ァ ル ネ サ ー ル は 、 酸 化 銀 で シ ス ,ト ラ ン ス -及 び ト ラ ン
ス ,ト ラ ン ス -フ ァ ル ネ 酸 の 混 合 物 へ と 酸 化 さ れ た (カ リ エ ジ 及 び シ ュ イ 、 1947年 )。
【0094】
ミクロソームペレットでのインキュベーション
(+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ 活 性 を 含 む ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ ト 及 び 酵 素 懸 濁 液 が
、実施例1で記載されたように深冷凍されたチコリーキューブから調製された。酵素懸濁
液 は 1 mL に 分 割 さ れ 、 そ し て 1mM NADPH、 5 mM グ ル コ ー ス -6-リ ン 酸 及 び 1.2 IU グ ル コ
ー ス -6-ホ ス フ ェ ー ト デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ か ら 成 る 1mM NADPH再 生 シ ス テ ム の 存 在 下 、 50 μ M
(+)-バ レ ン セ ン と 一 緒 に イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン さ れ た 。 各 ア ッ セ イ 中 の 基 質 の 初 期 濃 度 は 4
30
5 μ Mで あ り 且 つ 全 て の 実 験 は 2回 行 わ れ た 。 ブ ラ ン ク ア ッ セ イ に 対 し て 、 NADPH再 生 シ ス
テ ム は 添 加 さ れ な か っ た 。 そ れ 故 に 、 ( (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む )シ
ト ク ロ ム P450酵 素 は 活 性 で な か っ た 。 60分 後 、 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は そ れ ら を 冷 凍 庫 中 -2
0℃ で 保 存 す る こ と に よ っ て 中 止 さ れ た 。 酵 素 ア ッ セ イ が 、 実 施 例 1に 記 載 さ れ る よ う に 分
析された。
【0095】
結果
(+)チ コ リ ー 根 お よ び NADPHか ら の ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ ッ ト と 一 緒 の (+)-バ レ ン セ ン の イ ン キ
ュ ベ ー シ ョ ン は 、 R. Naf博 士 ( フ ィ ル メ ニ ッ ヒ SA、 ジ ュ ネ ー ブ 、 ス イ ス ) に よ っ て 親 切 に
提供された質量スペクトルとその質量スペクトルとの比較によって同定されたところの予
40
想 さ れ た バ レ ン セ ン -12-オ ー ル ([+]-2-[2R]-2-[1,2,3,4,6,7,8,8a-オ ク タ ヒ ド ロ -8α ,8a
β -ジ メ チ ル -2α -ナ フ タ レ ニ ル ]-2-プ ロ ペ ン -l-オ ー ル )( valencene-12-ol([+]-2-[2R]-2
-[1,2,3,4,6,7,8,8a-octahydro-8α ,8aβ -dimethyl-2α -napthalenyl]-2-propen-l-ol))
の 痕 跡 の み を 生 じ た ( 図 1 7 ) 。 EIMS (70 eV) m/z : 220 [M]
+
(22), 189 (52), 187 (4
1), 161 (80), 145 (54), 131 (49), 21 (41), 119 (58), 117 (39), 107 (55), 105 (84
), 95 (44), 93 (73), 91 (100), 81 (47), 79 (84), 77 (51), 67 (39), 55 (48), 41 (
63)。 主 な 生 成 物 は 、 ヌ ー ト カ ト ン で あ り ( 表 7 ) 、 一 方 殆 ど の 実 験 に お い て 、 対 応 す る
β -ヌ ー ト カ ト ー ル が バ レ ン セ ン -12-オ ー ル よ り も 少 な い 量 で 検 出 さ れ た ( 図 1 7 で 記 載
されたクロマトグラムは例外である!)。
【0096】
50
(32)
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こ の β -ヌ ー ト カ ト ー ル は 、 ヌ ー ト カ ト ン の 形 成 に お け る 中 間 体 で あ る と 予 想 さ れ た 。 こ
の 理 由 の た め に 、 100 μ M β -ヌ ー ト カ ト ー ル の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン が 、 デ ク ラ カ ー ら
+
( 2001年 ) に よ る NADP -依 存 性 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ に よ る (-)-エ レ マ -1,3,11(13)-12-オ ー
ル 及 び ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-オ ー ル の 転 化 の た め に 記 載 さ れ る よ う に
、 NAD(P)
+
及 び チ コ リ ー 根 の 150,000g 上 清 と 一 緒 に pH 10で 行 わ れ た 。 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ
+
+
ン 中 に 、 添 加 さ れ た β -ヌ ー ト カ ト ー ル は 、 1 mM NADP 又 は 1 mM NAD の い ず れ か の 存 在 下
で ヌ ー ト カ ト ン に 60 %よ り 多 く 転 化 さ れ た 。 こ れ ら の 補 因 子 の 非 存 在 下 で 、 転 化 は 25%だ
け で あ っ た 。 一 方 、 煮 沸 し た 酵 素 抽 出 物 は 、 β -ヌ ー ト カ ト ー ル の 転 化 を 与 え な か っ た 。 p
H 7.5で 、 酵 素 活 性 は わ ず か に よ り 低 か っ た 。 一 方 、 150,000gペ レ ッ ト は 予 想 さ れ た 通 り
に 、 対 応 す る 上 清 よ り も 3倍 少 な い デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 活 性 を 生 じ た 。 α -及 び β -ヌ ー ト カ
10
ト ー ル の 混 合 物 と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 β -ヌ ー ト カ ト ー ル の み が 転 化 さ れ た こ
をを示した(図18)。
【0097】
チコリー根中に存在するデヒドロゲナーゼの基質特異性についてのさらにいくらかの情報
を 得 る た め に 、 150,000gの 上 清 と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン が 、 NAD
+
+
又 は NADP の い ず れ
か の 存 在 下 で 基 質 と し て 100 μ Mト ラ ン ス ,ト ラ ン ス -フ ァ ル ネ ソ ー ル ( 図 1 9 ) と 一 緒 に
ま た 実 行 さ れ た 。 ト ラ ン ス ,ト ラ ン ス − フ ァ ル ネ ソ ー ル は 、 ト ラ ン ス ,ト ラ ン ス − 及 び シ ス
,ト ラ ン ス -フ ァ ル ネ サ ー ル の 混 合 物 へ と 60%ま で 転 化 さ れ 、 及 び フ ァ ル ネ ソ 酸 の 少 量 も 観
察された。
【0098】
20
様 々 な pH値 が 、 ト リ ス 、 グ リ シ ン 及 び CAPSバ ッ フ ァ ー を 用 い て 7.5 と 11.0と の 間 で 試 験
さ れ た ; フ ァ ル ネ ソ ー ル の フ ァ ル ネ サ ー ル へ の 最 高 の 転 化 は pH 10で 観 察 さ れ 、 pH 7.0で
最 大 酵 素 活 性 の 30%に 減 少 し た 。
【0099】
結論
チ コ リ ー 酵 素 抽 出 物 は 、 (+)-バ レ ン セ ン の β -ヌ ー ト カ ト ー ル を 経 由 す る ヌ ー ト カ ト ン へ
の 転 化 を 効 率 よ く 触 媒 し た ( 図 1 7 及 び 1 8 ) 。 恐 ら く 、 こ れ ら の 反 応 は 、 (+)-コ ス ツ ノ
ライドからのロイコジンの生合成に関係するのと同じ酵素によって触媒される(図20;
実 施 例 2 ) 。 ロ イ コ ジ ン と の そ の 構 造 的 類 似 に 基 づ い て 、 同 じ こ と が (+)-レ デ ン に 生 じ て
いるかもしれない(実施例2、表1参照)が、この化合物は水酸化のみされ、ケトンに転
30
化されなかった。
【0100】
チ コ リ ー の 酵 素 に よ っ て 触 媒 さ れ る ヌ ー ト カ ト ン の 形 成 は β -ヌ ー ト カ ト ー ル を 経 由 し て
+
進 み 、 後 者 は NAD(P) -依 存 性 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ に よ っ て ヌ ー ト カ ト ン に 引 き 続 き 酸 化 さ れ
る。これらのデヒドロゲナーゼは操作的に可溶の酵素であるが、ちょうどゲルマクレンア
ルコールデヒドロゲナーゼのように、明らかにミクロソームペレット中部分的に終わる。
ヌ ー ト カ ト ン の 形 成 に 関 係 す る デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ は 、 α -ヌ ー ト カ ト ー ル よ り も β -ヌ ー ト
カトールに対して強い選好性を有し、これは、ロイコジンのアルコール前駆体の酸化に植
物 中 で お そ ら く 責 任 を 有 す る 特 異 的 な 酵 素 の 関 与 を 示 し う る 。 一 般 に 、 チ コ リ ー の 150,00
0g上 清 に 存 在 す る デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ は 、 高 い 基 質 特 異 性 で 作 用 す る よ う に は 見 え な い 。 ゲ
40
ル マ ク レ ン ア ル コ ー ル 及 び エ レ メ ン ア ル コ ー ル /ア ル デ ヒ ド の 転 化 に 加 え て ( 実 施 例 1 )
、 そ れ ら は ト ラ ン ス ,ト ラ ン ス -フ ァ ル ネ ソ ー ル を フ ァ ル ネ サ ー ル 及 び フ ァ ル ネ ソ 酸 に 転 化
+
で き る 。 フ ァ ル ネ ソ ー ル の フ ァ ル ネ サ ー ル へ の NAD(P) -依 存 的 酸 化 ( フ ァ ル ネ サ ー ル の 観
察された異性化を含む)は、他の粗植物抽出物用についてもまた報告された(チャイェッ
ト 、 1973年 ら ; オ ー バ ー ト ン 及 び ロ バ ー ツ 、 1974年 ) 。 イ ン ビ ボ ( in vivo) で 、 単 離
されたデヒドロゲナーゼ活性がセスキテルペンラクトン生合成に専ら関係するか又は異な
る機能を(さらに)有するかどうかは、不確かである。
【0101】
ヌートカトンはフレーバー及び芳香並びに食品産業において広く使用されるグレープフル
ーツのはっきり分るフレーバーを有する多く求められている芳香性物質である。ヌートカ
50
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ト ン は 、 抗 潰 瘍 薬 剤 の 重 要 な 要 素 で あ る こ と を ま た 示 さ れ た ( ヤ マ ハ ラ ら 、 1990年 )。 こ
の 理 由 の た め に 、 そ れ ほ ど 価 値 が な い (+)-バ レ ン セ ン の 転 化 の 可 能 性 が 集 中 的 に 研 究 さ れ
たが、化学的方法又はは微生物的方法のいずれかによって得られた収率は満足でない又は
あ ま り に も 困 難 す ぎ た ( ダ フ リ カ ル 及 び ア ル ブ ロ シ ェ イ ト 、 1973年 ; ケ ン ス ト ら 、 1975年
; ラ マ レ 及 び フ ル ス ト ス 、 1990年 ) 。 驚 く べ き こ と に 、 バ レ ン セ ン 及 び ヌ ー ト カ ト ン の 源
で あ る グ レ ー プ フ ル ー ツ に お い て 、 生 化 学 経 路 が (+)-バ レ ン セ ン の β -ヌ ー ト カ ト ー ル を
経由したヌートカトンの転化のために存在することの何らかの直接的な証拠はまだない(
デ ル リ オ ら 、 1992年 ) 。
【0102】
一般に、フレーバー及び芳香のための新材料の生産は、微生物によるテルペンの水酸化に
10
ついての研究における強力な推進力だった。ある場合には成功であるけれども、これらの
微生物学的転化は、エポキシド及びジオールを含む、幅広い種類の製品をしばしば生じ(
ラ マ レ 及 び フ ル ス ト ス 、 1990年 ; ド ラ ウ ツ 及 び ワ ル ド マ ン 、 1995年 ; フ ェ バ ー 、 2000年 )
及び酸化が、二重結合でしばしば生じる。これは、チコリー酵素抽出物によって触媒され
るようなバレンセンのヌートカトンへの高度に特異的な酸化に対して強い対照である。
【実施例4】
【0103】
チコリーデヒドロゲナーゼを使用するセスキテルペンアルコールの更なる酸化
カルボン酸は、重要なフレーバー及び芳香である。例えば、様々な鎖長の脂肪酸は、チー
ズ の フ レ ー バ ー に 非 常 に 特 徴 的 で あ り ( ウ ェ ス ト 、 1996年 )、 一 方 高 級 脂 肪 酸 は 、 ピ ー ナ
20
ッ ツ の 味 及 び 匂 い に 寄 与 す る ( ハ シ ム ら 、 1993年 ) 。 分 岐 鎖 脂 肪 酸 は 、 マ ト ン 及 び 羊 チ ー
ズ 中 の 重 要 な フ レ ー バ ー ・ ノ ー ト ( notes) で あ る ( ハ イ ン ス マ ン 、 2000年 ; ハ イ ン ス マ
ンら、提出された)。ゲルマクレンアルコールのゲルマクレン酸への転化を引き起こすチ
コリーデヒドロゲナーゼは、やや低い基質特異性を有する。それ故に、我々は、これらの
デヒドロゲナーゼが、テルペンアルコール及びアルデヒドの他の種類ならびに線状及び分
岐した脂肪族アルコール及びアルデヒドを酸化することができるかどうか調査した。
【0104】
デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ を 含 む チ コ リ ー 酵 素 調 製 物 又 は 抽 出 物 は 、 デ ク ラ カ ー ら 、 ( 2001年 a
) に 従 い 作 成 さ れ る 。 ア ル コ ー ル 又 は ア ル デ ヒ ド 例 え ば ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー
+
ル 又 は 対 応 す る ア ル デ ヒ ド と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 pH 10で の NADP の 存 在 下 、 高
30
収 率 で 対 応 す る カ ル ボ ン 酸 の 形 成 を 導 く 。 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン -12-オ ー ル の 場 合 、 ア
ル テ ミ シ ニ ン 酸 ( artemisinic acid) 及 び ジ ヒ ド ロ ア ル テ ミ シ ニ ン 酸 ( dihydroartemisin
ic acid) の 混 合 物 が 生 成 さ れ る 。 明 ら か に 、 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ は ア モ ル フ ァ ジ エ ン を ア
ルテミシニン酸に酸化することができるだけでなく、コスツノライド後の経路においてイ
ソプロペニル基中の二重結合の還元の責任を有するリダクターゼ(実施例2)がアルテミ
シニン酸をジヒドロアルテミシニン酸に還元することができる。ジヒドロアルテミシニン
酸のアルテミシニンへの転化が非酵素的に進行すると考えられるので、チコリーは、アル
テミシニンのために適切な製造生命体、又は他の有機生命体中でアルテミシニンを生成す
るために使用されうる遺伝子の源でありうる。
【0105】
40
同じ方法で、オクタノール又はオクタナール及び4−メチルオクタノール又は4−メチル
オクタナールは、対応するオクタン酸及び4−メチルオクタン酸に夫々酸化される。4−
メチルオクタン酸はキラルである故に、我々は、生成物の立体化学的組成を確認し、それ
は 優 先 に R -エ ナ ン チ オ マ ー を 含 む よ う に 思 わ れ る 。
【実施例5】
【0106】
チコリー根から単離された酵素を使用する、セスキテルペンの大規模生物的転化
固定化酵素の調製
栽 培 さ れ た チ コ リ ー の 新 鮮 な 根 が 、 実 施 例 1 に 記 載 さ れ る よ う に 処 理 さ れ 、 且 つ 150,000g
ペ レ ッ ト が 次 の 実 験 の た め に 使 用 さ れ る 。 2グ ラ ム の ペ レ ッ ト が 、 25 mMト リ ス pH 7.5、 10
50
(34)
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%グ リ セ ロ ー ル 、 1 mMア ス コ ル ビ ン 酸 及 び 2 mM DTTを 含 む 脱 塩 水 の 50ml中 に 懸 濁 さ れ る 。
こ れ に 対 し て 、 グ ル コ ー ス -6-ホ ス フ ェ ー ト デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 、 ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 、 又 は 好
ま し く は ホ ル メ ー ト デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ ( シ ー ル バ ッ ハ ら 、 1996年 ) の よ う な 10 U の NADPH
-再 生 酵 素 及 び DEAE-セ フ ァ ロ ー ス 、 ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド 又 は 好 ま し く は ア キ ュ レ ル ビ ー ズ
( Accurel( 商 標 ) beads) の よ う な 固 形 支 持 物 の 100 gが 添 加 さ れ た 。 混 合 物 は 4 ℃ で 一
晩 撹 拌 さ れ 、 そ の 後 固 定 化 さ れ た 酵 素 が ろ 過 さ れ 、 25 mMト リ ス pH 7.5、 10% グ リ セ ロ ー
ル 及 び 1 mMア ス コ ル ビ ン 酸 を 含 む 脱 塩 水 で 洗 浄 さ れ 、 そ し て 使 用 す る ま で 4 ℃ で 保 存 さ れ
る 。 あ る い は 、 チ コ リ ー 酵 素 及 び 補 因 子 再 利 用 酵 素 の 混 合 物 が 、 4℃ で 一 晩 の 間 、 疎 水 性
膜(平らな膜又は中空繊維ユニット)に接触され、その後膜は洗浄され、そして(固定化
酵素を含む)膜は、使用まで4 ℃で保存される。
10
【0107】
セスキテルペンとの固定化酵素の反応
上 記 固 定 化 酵 素 は バ イ オ リ ア ク タ ー 中 に 置 か れ 、 且 つ 室 温 で 、 25 mMト リ ス pH 7.5、 10 %
グ リ セ ロ ー ル 及 び 1 mMア ス コ ル ビ ン 酸 を 含 む 脱 塩 水 の 500 ml中 で 懸 濁 さ れ る 。 こ の 混 合 物
に 対 し て 、 NADPHが 、 補 因 子 の 再 利 用 の た め に 適 切 な 量 の 補 基 質 と と も に 、 0.3 mMま で 加
え ら れ る 。 典 型 的 に は 、 1.5 mM の グ ル コ ー ス -6-ホ ス フ ェ ー ト が 、 NADPHの 再 利 用 の た め
に グ ル コ ー ス -6-ホ ス フ ェ ー ト デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 使 用 す る 場 合 、 補 基 質 と し て 加 え ら れ る
一 方 、 100 mMの ギ 酸 / ギ 酸 ナ ト リ ウ ム pH 7.5が 、 ホ ル メ ー ト デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ が 選 択 の 酵
素 で あ る 場 合 、 加 え ら れ る 。 そ の 後 、 セ ス キ テ ル ペ ン 基 質 ( エ タ ノ ー ル 中 100 mM) が 、 連
続 的 な 穏 や か な 撹 拌 下 で 、 0.1ml/minの 速 度 で バ イ オ リ ア ク タ ー に ポ ン プ で 送 り 込 ま れ る
20
。同時に、酸素は、泡なしの通気を可能にする薄い壁のシリコンチューブを使用して、バ
イ オ リ ア ク タ ー 内 に ポ ン プ で 送 り 込 ま れ る ( リ ソ ム 、 1997年 ) 。 ( 気 泡 の よ う な ) 気 液 界
面がモノオキシゲナーゼの不活性化を頻繁に引き起こすことが知られている故に、このシ
ス テ ム が 選 ば れ る 。 ポ ン プ 送 り 込 み は 、 基 質 溶 液 の 50 ml( 5 mmol、 約 1 g の セ ス キ テ ル
ペン)が添加された時に中止され、そして反応混合物は室温で、生成物の濃度がもはや増
加 し な い ま で ( オ フ ・ ラ イ ン GCに よ っ て モ ニ タ ー さ れ る ) 撹 拌 さ れ る 。 そ の 時 に 、 固 定 化
酵素はろ別され、そして製品は、ペンタンでの水性媒体の抽出によって得られ、引き続き
シ リ カ で の ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( 石 油 エ ー テ ル /酢 酸 エ チ ル 混 合 物 が 溶 剤 と し て 使 用 さ れ
る ) が 行 わ れ る 。 こ の よ う な 方 法 で 、 純 粋 な 水 酸 化 さ れ た セ ス キ テ ル ペ ン の 0.5gが 得 ら れ
うる。しかし、使用される基質に依存して、より高い収率が可能である。ヌートカトンも
30
ま た こ の よ う な 方 法 で 、 バ レ ン セ ン を 基 質 と し て 使 用 し 、 約 50%又 は そ れ よ り 高 い 収 率 で
得られうる。固定化酵素は、バッファーで洗浄され、そして何度も再使用されうる。環境
よりも高い温度での酵素反応は可能であるが、酵素調製物の減少したライフタイムを導く
。
【0108】
ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ の 場 合 、 こ の 酵 素 が チ コ リ ー 酵 素 か ら 切 り 離 し て 固 定 化 さ れ 及 び 2-コ ン パ
ー ト メ ン ト バ イ オ リ ア ク タ ー が 使 用 さ れ る 場 合 、 よ り 有 利 な 結 果 が 得 ら れ る 。 2つ の コ ン
パ ー ト メ ン ト は 、 使 用 さ れ る NADP(H)補 因 子 が 浸 透 で き る 高 度 に 多 孔 性 の 膜 に よ っ て 分 離
さ れ る 。 1つ の コ ン パ ー ト メ ン ト は 、 固 定 化 ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 及 び 、 そ れ を 通 し て 水 素 ガ ス
が送り込まれるところの薄い壁のシリコンチューブを含む。他のコンパートメントは、固
40
定化チコリー酵素及び、それを通して酸素ガスが送り込まれるところの薄い壁のシリコン
チューブを含む。このような方法で、両方の酵素はそれらの基質及び補因子へのアクセス
を有し、一方ヒドロゲナーゼは酸素による不活性化を被ることはない。
【0109】
あ る い は 、 固 体 の ビ ー ズ 上 で 共 に 固 定 化 さ れ た ( co-immobilised) 酵 素 は 、 生 成 物 が 通 過
できるが、一方補因子及び酵素がリアクターの内部に残っているような疎水性膜を出口に
備え付けられているところの仕込まれたバッチバイオリアクター内で使用されうる。この
目的のために、両方の酵素調製物が膜上に固定化されているところの膜リアクターが、最
も有利である。このシステムを使用し、酵素は、それらが永い期間の間安定している故に
、連続的に使用され、数百グラムの水酸化されたセスキテルペン又はヌートカトンの容易
50
(35)
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な調製を可能にする。
【実施例6】
【0110】
( セ ス キ ) テ ル ペ ン の 生 物 的 転 化 の た め の チ コ リ ー 及 び 他 の キ ク 科 ( Asteraceae) 細 胞 及
び毛状根培養の応用
脱分化した細胞又はカルス、毛状根、シュート及び他の組織の培養は、広範囲の基質の生
物 的 転 化 の た め に 広 範 囲 に 使 用 さ れ て い る 。 例 え ば 、 ブ ド ウ ( grape) の 細 胞 懸 濁 培 養 は
、シトラールをネロール、ゲラニオール及び酢酸ゲラニルに転化することができた。また
、 キ ク 科 ( Asteraceae) は 、 こ の 方 法 に 適 切 で あ る 。 チ コ リ ー の 毛 状 根 及 び 細 胞 培 養 は 、
標 準 の プ ロ ト コ ル を 使 用 し て 得 ら れ る (毛 状 根 培 養 ( hairy root cultures) :ソ ン ら 、 199
10
5年 ; 細 胞 培 養 ( cell cultures) : デ ュ ボ ア ら ( Dubois) 、 1988年 )。 培 養 は 、 セ ス キ テ
ル ペ ン 例 え ば バ レ ン セ ン 、 α -グ ル ジ ュ ネ ン 、 ア モ ル フ ァ -4,11-ジ エ ン 及 び α -ト ラ ン ス ベ
ル ガ モ テ ン を 200 mg/lで 供 給 さ れ る 。 セ ス キ テ ル ペ ン の 存 在 下 成 長 の 1週 間 後 に 、 反 応 生
成 物 は 、 ペ ン タ ン /エ ー テ ル を 使 用 し て 培 養 培 地 及 び 毛 状 根 /細 胞 か ら 抽 出 さ れ る 。 反 応 生
成 物 は 、 GC-MSを 使 用 し て 特 徴 づ け ら れ る 。 バ レ ン セ ン と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、
ヌ ー ト カ ト ン へ の 効 率 的 な 転 化 を 生 じ る 。 α -グ ル ジ ュ ネ ン 、 ア モ ル フ ァ ジ エ ン 及 び α -ト
ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン と 一 緒 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 高 い 場 所 選 択 性 で 対 応 す る ア ル コ
ールへの効率的な転換を生じる:水酸化が、イソプロペニル基にのみ生じる。
【実施例7】
【0111】
20
グ レ ー プ フ ル ー ツ 、 ザ ボ ン ( pomelo) 、 オ レ ン ジ 及 び カ マ エ シ パ リ ス ヌ ー ト カ テ ン シ ス
( Chamaecyparis nootkatensis) か ら の バ レ ン セ ン シ ン タ ー ゼ の 単 離 及 び 特 徴 付 け
最 近 、 我 々 は 、 チ コ リ ー 中 の セ ス キ テ ル ペ ン ラ ク ト ン の セ ス キ テ ル ペ ノ イ ド 骨 格 が 、 FPP
を (+)-ゲ ル マ ク レ ン A に 環 化 す る (+)-ゲ ル マ ク レ ン A シ ン タ ー ゼ に よ り 形 成 さ れ る こ と を
実 証 し て い る ( デ ク ラ カ ー ら 、 1998年 ; ボ ウ ミ ー ス タ ー ら 、 1999年 b) 。 こ れ ら の 所 謂
テ ル ペ ン シ ン タ ー ゼ は 、 す べ て の テ ル ペ ノ イ ド 生 合 成 経 路 に お け る 第 1の 関 与 す る ス テ ッ
プを触媒する。テルペンシンターゼは、至る所に存在する基質ゲラニルジフォスフェート
を(モノテルペンへ)、ファルネシルジフォスフェートを(セスキテルペンへ)、ゲラニ
ルゲラニルジフォスフェートを(ジテルペンへ)又はスクアレンエポキシドを(トリテル
ペ ン へ ) す べ て 転 化 す る 酵 素 の 大 き な グ ル ー プ で あ る ( ボ ー ル マ ン ら 、 1998年 ) 。 セ ス キ
30
テ ル ペ ン は 、 例 外 的 な 大 き な 構 造 の 多 様 性 を 示 し 、 且 つ 7000を 超 え る 異 な る 化 合 物 が 記 載
されている。他のテルペンシンターゼ(モノ−、ジ−及びトリテルペンに導く)のように
、セスキテルペンシンターゼは、かなりの程度の配列類似性を示し、このことはそれらが
大抵の場合において、セスキテルペンシンターゼとして認識されることを可能にし、かつ
、 ラ イ ブ ラ リ ー を ス ク リ ー ニ ン グ す る た め に 使 用 さ れ う る 又 は 全 長 cDNAを 得 る た め に RACE
-PCRを 使 用 し て 延 張 さ れ う る フ ラ グ メ ン ト を 生 成 す る た め に P C R 中 で 使 用 さ れ る べ き 変
性 さ れ た プ ラ イ マ ー ( degenerated primers) の 設 計 を 可 能 に す る ( ボ ー ル マ ン ら 、 1998
年 ) 。 特 に 、 特 化 し た 組 織 又 は 豊 富 な ラ イ ブ ラ リ ー ( enriched libraries) で は 、 ま た ラ
ンダムシーケンスがこれらの(セスキ)テルペンシンターゼを得るために使用されてもよ
い ( ボ ー ル マ ン ら 、 1998年 ) 。
40
【0112】
セ ス キ テ ル ペ ン シ ン タ ー ゼ 間 に 存 在 す る 配 列 相 同 性 ( 例 え ば 、 ボ ウ ミ ー ス タ ー ら 、 1999年
bを 参 照 ) に 基 づ く 変 性 さ れ た プ ラ イ マ ー を 用 い る PCRを 使 用 し て 又 は ジ ェ ン バ ン ク ( Genb
ank) (AF411120)に 発 行 さ れ て い る よ う に 、 グ レ ー プ フ ル ー ツ か ら 単 離 さ れ た 推 定 の セ ス
キテルペンシンターゼの配列情報を使用して、バレンセンシンターゼ遺伝子はグレープフ
ルーツ、オレンジ、ザボン及びカマエシパリス ヌートカテンシスから単離される。
【0113】
a) mRNA の 単 離 。 総 RNAは 、 ピ ュ ア ス ク リ プ ト ( purescript) RNA単 離 キ ッ ト ( Biozym社
)を使用して、グレープフルーツ、オレンジ、ザボン及びカマエシパリス ヌートカテン
シ ス か ら 単 離 さ れ る 。 DNase I( デ オ キ シ リ ボ ヌ ク レ ア ー ゼ I、 RNaseフ リ ー ) が RNA単 離 体
50
(36)
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か ら DNAを 除 去 す る た め に 使 用 さ れ る 。 DNase Iは フ ェ ノ ー ル / ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 で 除 か れ
、 そ の 後 RNAが 沈 殿 さ れ た ( NaAcで の エ タ ノ ー ル 沈 殿 ) 。 ポ リ (A)+ RNAは 、 1 mg 常 磁 性 ビ
ー ズ ( Dynal A. S.) に 結 合 さ れ た 2 μ g poly-d(T)25V オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド を 使 用 し 、 総
RNAの 20μ gか ら 抽 出 さ れ る 。 該 ポ リ (A)+ RNAは 、 20 μ 1 H2 0中 に 再 懸 濁 さ れ る 。
【0114】
b) cDNA合 成 。 逆 転 写 反 応 は 、 10 μ 1 ポ リ (A)+ 混 合 物 、 0.3 μ g オ リ ゴ (dT)2 5 V, 各 1 mM
の dATP、 dTTP、 dCTP及 び dGTP、 50 mM Tris-HCl pH 8.3、 80 mM KC1、 10 mM MgCl2 を 含 む
50 μ l 反 応 液 で 実 行 さ れ 、 且 つ 12 U AMV逆 転 写 酵 素 ( Pharmacia社 ) で 触 媒 さ れ る 。 42
℃ で 2時 間 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 後 、 反 応 は 中 止 さ れ 、 そ し て cDNAは Wizard PCR Preps DN
A 精 製 シ ス テ ム ( Promega社 ) で 精 製 さ れ る 。 cDNAは 、 50 μ l H2 O中 に 再 懸 濁 さ れ る 。
10
【0115】
c) PCR-ベ ー ス の プ ロ ー ブ 生 成
テ ル ペ ノ イ ド シ ン タ ー ゼ の 配 列 の 比 較 に 基 づ き 、 2つ の 変 性 さ れ た プ ラ イ マ ー は 、 2つ の 保
存 さ れ た 領 域 : セ ン ス プ ラ イ マ ー : 5'-GAY GAR AAY GGI AAR TTY AAR GA-3'; ア ン チ セ ン
ス プ ラ イ マ ー : 5'-CC RTA IGC RTC RAA IGT RTC RTC-3' ( ウ ォ ー ル ア ー ト ら 、 2001年 )
( ユ ー ロ ゲ ン テ ッ ク ( Eurogentec) 社 ( ス ラ ン 、 ベ ル ギ ー ) か ら の プ ラ イ マ ー ) の た め に
設 計 さ れ た ( ボ ウ ミ ー ス タ ー ら 、 1999年 b; ウ ォ ー ル ア ー ト ら 、 2001年 ) 。
【0116】
PCRは 、 2つ の プ ラ イ マ ー ( 0.2 mM dNTP, 1 U Super Taq ポ リ メ ラ ー ゼ /lx PCR バ ッ フ ァ
ー ( HT バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー 社 、 ケ ン ブ リ ッ ジ 、 英 国 ) 及 び 10 μ l cDNA) の 夫 々 の 0.5
20
μ Mを 含 む 50 μ lの 総 容 量 中 で 実 行 さ れ る 。 反 応 混 合 物 は 、 94℃ で 1分 間 の 変 性 、 42℃ で 1.
5分 間 の ア ニ ー リ ン グ 及 び 72℃ で 1分 間 の 延 長 化 の 40サ イ ク ル で 、 サ ー モ サ イ ク ラ ー ( ther
mocycler) ( Robocycler、 Stratagene社 ) 中 で イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン さ れ る 。 ア ガ ロ ー ス ゲ
ル 電 気 泳 動 は 、 BLAST比 較 が セ ス キ テ ル ペ ン シ ン タ ー ゼ と の 相 同 性 を 有 す る こ と を 示 す 550
bpの 単 一 の 特 異 的 PCR生 成 物 を を 明 ら か に し た 。 PCR生 成 物 は 、 Wizard PCR Preps DNA 精
製 シ ス テ ム ( Promega社 ) を 使 用 し て 精 製 さ れ 、 そ し て pGEMT シ ス テ ム を 使 用 し て サ ブ ク
ロ ー ニ ン グ さ れ た 。 大 腸 菌 JM101が 、 こ の 構 築 物 で 形 質 転 換 さ れ る 。 全 長 cDNAが 、 RACE-PC
Rを 使 用 し て 得 ら れ る 。
【0117】
機 能 的 発 現 の た め に 、 cDNAク ロ ー ン が 発 現 ベ ク タ ー pET l1d ( Stratagene社 ) へ と フ レ ー
30
ム で サ ブ ク ロ ー ニ ン グ さ れ る 。 該 構 築 物 及 び 挿 入 物 の な い pET l1d( ネ ガ テ ィ ブ コ ン ト ロ
ー ル と し て ) は 、 E. coli BL 21 (DE3) (Stratagene社 )に 形 質 転 換 さ れ 、 そ し て 37 ℃ で
ア ン ピ シ リ ン を 加 え ら れ た LB寒 天 プ レ ー ト 上 で 一 晩 成 長 さ れ る 。 ア ン ピ シ リ ン (100 μ g/m
l)及 び 0.25 mM イ ソ プ ロ ピ ル -1-チ オ -β -D-ガ ラ ク ト ピ ラ ノ シ ド ( IPTG) を 加 え ら れ た 50
ml LB培 地 の 培 養 物 は 、 A6
0 0
= 0.5ま で こ れ ら の 培 地 で 一 晩 オ キ ュ レ ー ト さ れ ( occulated
) 、 そ し て 、 27 ℃ で 3 時 間 の 間 成 長 さ れ る 。 細 胞 は 、 2000 gで 8分 間 の 遠 心 分 離 に よ っ て
収 穫 さ れ 、 15 mM Mopso (pH 7.0)、 10% (v/v) グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM MgC12 、 1 mM ア ス コ
ル ビ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 及 び 2 mM DTTを 含 む バ ッ フ ァ ー ( バ ッ フ ァ A ) の 1.2 ml中 に 再 懸 濁
さ れ る 。 再 懸 濁 さ れ た 細 胞 は 、 4分 間 氷 上 で 超 音 波 処 理 さ れ ( 5秒 オ ン 、 30秒 オ フ ) 、 4 ℃
で 5分 間 遠 心 分 離 さ れ ( 14,000 rpm) 、 そ し て 上 清 が ア ッ セ イ の た め に 使 用 さ れ る 。
40
【0118】
3
生 成 物 同 一 性 の 決 定 の た め に 、 20 μ M [ H]-FDPが 、 0.1%の ト ゥ イ ー ン -20を 含 む バ ッ フ ァ
ー Aで 1:1に 希 釈 さ れ た 酵 素 調 製 物 の 0.5 mLに 添 加 さ れ る 。 1mLの 再 蒸 留 さ れ た ペ ン タ ン ・
オ ー バ ー レ イ の 添 加 後 、 チ ュ ー ブ は 注 意 深 く 混 合 さ れ 、 そ し て 30 ℃ で 1時 間 イ ン キ ュ ベ ー
ションされる。アッセイに引き続き、チューブは混合され、有機相は取出され、そして無
水 MgS04 で オ ー バ ー レ イ さ れ た 酸 化 ア ル ミ ニ ウ ム の 短 い カ ラ ム を 通 さ れ る 。 該 ア ッ セ イ は
、 1 mLの ペ ン タ ン : ジ エ チ ル エ ー テ ル (80: 20)で 再 抽 出 さ れ 、 そ れ は 酸 化 ア ル ミ ニ ウ ム カ
ラ ム を 通 さ れ 、 そ し て カ ラ ム は 1.5 mLの ペ ン タ ン : ジ エ チ ル エ ー テ ル ( 80:20) で 洗 浄 さ
れ る 。 抽 出 物 は 、 ラ ジ オ -GLC及 び GC-MSを 使 用 し て 分 析 さ れ る ( ボ ウ ミ ー ス タ ー ら 、 1999
3
年 a、 b) 。 ラ ジ オ -GLC分 析 は 、 cDNAが 、 [ H]-FDPか ら 放 射 性 同 位 体 で ラ ベ ル 付 け さ れ た 1
50
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つのセスキテルペンの形成を触媒する機能的に活性なタンパク質を形成したことを示す。
ネガティブコントロール(挿入物のないベクター)は、放射線活性を生じなかった。サン
プ ル は 、 HP5-MSカ ラ ム (30 m x 0.25 mm 直 径 、 0.25 μ m df)及 び HP 5972A質 量 選 択 的 検 出
器 ( Mass Selective Detector) ( ヒ ュ ー レ ッ ト ・ パ ッ カ ー ド 社 ) を 備 え た HP 5890シ リ ー
ズ IIガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ を 使 用 し て 、 GC-MSに よ っ て ま た 分 析 さ れ る 。 オ ー ブ ン は 、 70 ℃
の 初 期 温 度 で 1分 間 、 5 ℃ / 分 の 傾 斜 で 210 ℃ ま で 、 及 び 最 終 時 間 5分 間 で プ ロ グ ラ ム さ れ
る 。 注 入 ポ ー ト ( ス プ リ ッ ト レ ス モ ー ド ) 、 イ ン タ ー フ ェ ー ス 及 び MSソ ー ス 温 度 は 、 そ れ
ぞ れ 150、 290及 び 180℃ で あ り 、 He入 口 圧 力 は 、 1.0 mL/ 分 の 一 定 の カ ラ ム ・ フ ロ ー を 達
成 す る た め に 、 電 子 圧 力 制 御 に よ っ て 制 御 さ れ る 。 イ オ ン 化 ポ テ ン シ ャ ル は 70eVに セ ッ ト
さ れ 、 走 査 は 30か ら 250の 原 子 質 量 単 位 ( amu) で 実 行 さ れ る 。 ネ ガ テ ィ ブ コ ン ト ロ ー ル は
10
セスキテルペンを生産しないが、発現生産物でのアッセイにおいてバレンセンが主な生成
物である。後者の同一性は、真正の標準の分析及び真正標準との質量スペクトルの比較に
よって確認される。
【実施例8】
【0119】
チコリーからのセスキテルペンヒドロキシラーゼ及びデヒドロゲナーゼをコードする遺伝
子の単離
2つ の 作 戦 が チ コ リ ー か ら セ ス キ テ ル ペ ン ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ 及 び デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ を 単 離
す る た め に 使 用 さ れ る 。 1つ は 、 一 方 で P450遺 伝 子 と 他 方 で デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ と の 間 の 配
列相同の存在に基づく。他の方法は、生合成遺伝子の単離用の強力なツールであることを
20
示 さ れ て い る ( ア ハ ロ ニ ら 、 2000年 )C.intybus根 cDNラ イ ブ ラ リ ー の ラ ン ダ ム 配 列 を 使 用
する。
【0120】
a) mRNA の 単 離 。 総 RNAは 、 ピ ュ ア ス ク リ プ ト ( purescript) RNA単 離 キ ッ ト ( Biozym社
) を 使 用 し て 、 チ コ リ ー ・ チ コ ン ズ ( chicory chicons) か ら 単 離 さ れ る 。 DNase I( デ オ
キ シ リ ボ ヌ ク レ ア ー ゼ I、 RNaseフ リ ー ) が RNA単 離 体 か ら DNAを 除 去 す る た め に 使 用 さ れ る
。 DNase Iが フ ェ ノ ー ル / ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 で 除 か れ 、 そ の 後 RNAが 沈 殿 さ れ る ( NaAcで の
エ タ ノ ー ル 沈 殿 ) 。 ポ リ (A)+ RNAは 、 1 mg 常 磁 性 ビ ー ズ ( Dynal A. S.) に 結 合 さ れ た 2
μ g poly-d(T)25V オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド を 使 用 し 、 総 RNAの 20 μ gか ら 抽 出 さ れ る 。 ポ リ (A
)+ RNAは 、 20 μ 1 H2 0中 に 再 懸 濁 さ れ る 。
30
【0121】
b) cDNA合 成 。 逆 転 写 反 応 は 、 10 μ 1 ポ リ (A)+ 混 合 物 、 0.3 μ g オ リ ゴ (dT)2 5 V, 各 1
mM の dATP、 dTTP、 dCTP及 び dGTP、 50 mM Tris-HCl pH 8.3、 80 mM KC1、 10 mM MgCl2 を 含
む 5 0 μ l 反 応 液 で 実 行 さ れ 、 且 つ 12 U AMV逆 転 写 酵 素 ( Pharmacia社 ) で 触 媒 さ れ る 。 4
2 ℃ で 2時 間 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 後 、 反 応 は 中 止 さ れ 、 そ し て Wizard PCR Preps DNA 精
製 シ ス テ ム ( Promega社 ) で 精 製 さ れ る 。 cDNAは 、 50 μ l H2 O中 に 再 懸 濁 さ れ る 。
【0122】
c) PCR-ベ ー ス の プ ロ ー ブ 生 成 。
シ ト ク ロ ム P450及 び デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 酵 素 の 配 列 の 比 較 に 基 づ き 、 変 性 さ れ た プ ラ イ マ ー
は 、 保 存 さ れ た 領 域 例 え ば ER目 標 シ グ ナ ル ( ER targeting signal) ( ヘ ム 結 合 性 ド メ イ
40
ン 、 helix I 及 び PERF-motifの 中 央 領 域 ) の た め に 設 計 さ れ る 。 PCRは 、 2つ の プ ラ イ マ
ー ( 0.2 mM dNTP, 1 U Super Taq ポ リ メ ラ ー ゼ /lx PCR バ ッ フ ァ ー ( HT バ イ オ テ ク ノ ロ
ジ ー 社 、 ケ ン ブ リ ッ ジ 、 英 国 )及 び 10 μ l cDNAの 夫 々 の 0.5 μ Mを 含 む 50 μ lの 総 容 量 中
で 実 行 さ れ る 。 反 応 混 合 物 は 、 94℃ で 1分 間 の 変 性 、 42℃ で 1.5分 間 の ア ニ ー リ ン グ 及 び 72
℃ で 1分 間 の 延 長 化 の 40サ イ ク ル で 、 サ ー モ サ イ ク ラ ー ( Robocycler、 Stratagene社 ) 中
で イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン さ れ る 。 ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 は 、 単 一 の 特 異 的 PCR生 成 物 を 明
らかにした。
【0123】
d) cDNA ラ イ ブ ラ リ ー 構 築 及 び ス ク リ ー ニ ン グ 。
cDNAラ イ ブ ラ リ ー は 、 UniZap XRカ ス タ ム cDNAラ イ ブ ラ リ ー サ ー ビ ス ( Stratagene社 ) を
50
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使 用 し て 構 築 さ れ る 。 ラ イ ブ ラ リ ー ス ク リ ー ニ ン グ の た め に 、 PCR増 幅 さ れ た プ ロ ー ブ の 2
00 ngが ゲ ル 精 製 さ れ 、 製 造 者 ( Ready-To-Go DNA labelling beads (-dCTP)、 フ ァ ル マ シ
ア 社 ) の 推 奨 に 従 い [α -
3 2
P] dCTPで ラ ン ダ ム に ラ ベ ル 化 さ れ 、 そ し て E. coli XLl-Blue
MRF' (Stratagene社 )上 に 配 置 さ れ た cDNAラ イ ブ ラ リ ー の 10
4
プラークのレプリカフィル
タ ー を ス ク リ ー ニ ン グ す る た め に 使 用 さ れ た 。 プ ラ ー ク リ フ テ ィ ン グ ( plaque lifting)
及びハイブリダイゼーションは、標準プロトコルに従い行なわれる。ポジティブクローン
は 、 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン の 第 2及 び 第 3ラ ウ ン ド を 使 用 し て 単 離 さ れ る 。 Uni-Zap ベ ク
タ ー か ら の pBluescript phagemidの イ ン ビ ボ ( in vivo) 切 除 は 、 製 造 者 の 指 示 書 ( Str
atagene社 ) に 従 い 行 わ れ る 。
【0124】
10
さ ら に 、 cDNAラ イ ブ ラ リ ー か ら の 1500ク ロ ー ン が 、 ラ ン ダ ム に 配 列 決 定 さ れ 、 及 び BLAST
を 使 用 し て 、 デ ー タ ベ ー ス 中 の 配 列 と 比 較 さ れ る 。 有 望 な P450及 び デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 様 の
配列が見つけられ且つさらにヘテロロガス発現によって特徴づけられる。
【0125】
大 腸 菌 及 び 酵 母 中 の 単 離 さ れ た 遺 伝 子 の 発 現 。 機 能 的 発 現 の た め に 、 cDNAク ロ ー ン が 適 切
な発現ベクター内にサブクローニングされ、そして適切な発現宿主に形質転換された。誘
導 さ れ た 細 胞 は 、 2000 gで 8分 間 の 遠 心 分 離 に よ り 収 穫 さ れ 、 1 mlア ッ セ イ バ ッ フ ァ ー 中
に 再 懸 濁 さ れ る 。 再 懸 濁 さ れ た 細 胞 は 、 4分 間 氷 上 で 超 音 波 処 理 さ れ ( 5秒 オ ン 、 30秒 オ フ
) 、 4 ℃ で 5分 間 遠 心 分 離 (14.000 rpm)さ れ 、 そ し て 上 清 が ア ッ セ イ の た め に 使 用 さ れ る
か又は無傷の細胞として使用される。両方のシステムで、ゲルマクレンA、バレンセン及
20
び ヌ ー ト カ ト ー ル が 、 基 質 と し て 使 用 さ れ る 。 ア ッ セ イ の エ ー テ ル 抽 出 物 は 、 GC-MSを 使
用して分析される(実施例7参照)。ネガティブコントロールは、ゲルマクレンAアルコ
ール、ヌートカトール、又はヌートカトンを生成せず、一方両方の遺伝子の発現生成物で
のアッセイにおいて、ゲルマクレンAのゲルマクレンAアルコールへの、バレンセンのヌ
ートカトールへの及びヌートカトールのヌートカトンへの転化が、夫々生じた。
【実施例9】
【0126】
ヌートカトン又はアルテミシニンを生産するチコリーを得るためのバレンセン又はアモル
ファジエンシンターゼ遺伝子を有するチコリーの形質転換
チコリー形質転換。チコリーが、バレンセン又はアモルファジエンシンターゼを有する構
30
築 物 で 、 国 際 出 願 PCT/EP00/02130号 ( ボ ウ ミ ー ス タ ー ら 、 1999年 b) に 記 載 さ れ て い る よ
うに形質転換される。再生後に、遺伝子導入植物は、酵素抽出物中のセスキテルペンシン
ターゼ活性を検査することによって、導入された遺伝子の活性についてスクリーニングさ
れ る 。 こ の 点 に 関 し て 、 100mgの 組 織 ( 液 体 窒 素 中 で 細 か く さ れ た ) が 、 2mlの エ ッ ペ ン ド
ルフバイアル中で、さらに組織をホモジナイズするためにプラスチックプローブを使用し
て 、 50 mM Mopso (pH 6.8)、 20% (容 量 /容 量 ) グ リ セ ロ ー ル 、 50 mMア ス コ ル ビ ン 酸 ナ ト
リ ウ ム 、 50 mM NaHSO3 、 1% PVP-40、 10 mM MgCl2 及 び 5 mM DTTを 含 む 抽 出 バ ッ フ ァ ー の 1
.0 ml中 で 抽 出 さ れ る 。 抽 出 後 に 、 サ ン プ ル は 4℃ 、 20,000gで 20分 間 遠 心 分 離 さ れ る 。 上
清 の 0.5 mLが 、 6 mM オ ル ト バ ナ ジ ン 酸 ナ ト リ ウ ム ( フ ォ ス ホ ヒ ド ロ ラ ー ゼ 活 性 の 阻 害 剤
) を ま た 含 む バ ッ フ ァ ー A ( 実 施 例 7 ) で 2倍 に 希 釈 さ れ る 。 20μ M
3
H-FPP及 び 1 mLの 再
40
蒸 留 さ れ た ペ ン タ ン ・ オ ー バ ー レ イ の 添 加 後 、 チ ュ ー ブ は 注 意 深 く 混 合 さ れ 、 そ し て 30℃
で 1時 間 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン さ れ る 。 ア ッ セ イ は 抽 出 さ れ 、 実 施 例 7 に 記 載 さ れ た よ う に
、 ラ ジ オ -GC及 び GC-MSを 使 用 し て 、 且 つ 分 析 さ れ る 。
【0127】
野 生 体 及 び GUC-構 築 物 コ ン ト ロ ー ル は 全 て 、 同 様 の セ ス キ テ ル ペ ン シ ン タ ー ゼ 活 性 を 示 し
、それは内因性のゲルマクレンAシンターゼ活性の存在による。形質転換体は変更された
セスキテルペン・プロフィールをそれぞれ示し、ゲルマクレンAに加えて、夫々異なる量
のバレンセン及びアモルファジエンを伴う。いくつかの形質転換体について、イン ビト
ロ ( in vitro) で 生 成 さ れ た セ ス キ テ ル ペ ン の 90 %が バ レ ン セ ン で あ る 。
【0128】
50
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GC-MSを 使 用 し て 分 析 さ れ た 遺 伝 子 導 入 植 物 の 抽 出 物 は 、 一 方 で バ レ ン セ ン 、 ヌ ー ト カ ト
ール及びヌートカトンの存在を、及び他方でアルテミシニン酸、ジヒドロアルテミシニン
酸及びアルテミシニンの存在を夫々示した。
【実施例10】
【0129】
ヌートカトンの生産のための微生物中のバレンセンシンターゼ、セスキテルペンラクトン
C2ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ 及 び 対 応 す る デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ の 発 現
サ ッ カ ロ マ イ セ ス ・ セ レ ヴ ィ シ エ ( Saccharomyces cerevisiae) 及 び ピ キ ア ・ パ ス ト ル ス
( Pichia pastors) が 、 製 造 者 の 指 示 書 に 従 い サ ッ カ ロ マ イ セ ス ・ セ レ ヴ ィ シ エ EasyComp
( 商 標 ) 形 質 転 換 キ ッ ト ( S. cerevisae EasyComp transformation kit) ( イ ン ビ ト ロ ゲ
10
ン社)を使用し、下記を有する構築物で形質転換される。
1. バ レ ン セ ン ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ 及 び 一 般 の 、 商 業 的 な 又 は チ コ リ ー の デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ
2. バ レ ン セ ン シ ン タ ー ゼ 及 び バ レ ン セ ン ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ
3. バ レ ン セ ン シ ン タ ー ゼ 、 バ レ ン セ ン ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ 及 び 一 般 の 、 商 業 的 な 又 は チ コ
リーのデヒドロゲナーゼ
遺伝子導入細胞はリアクター内で成長され、そして細胞の生産物は抽出後に分析される。
【0130】
構 築 物 2及 び 3を 有 す る 遺 伝 子 導 入 酵 母 細 胞 は ヌ ー ト カ ト ン を 生 産 し 、 酵 母 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー
ゼ が 、 ( 2で ) 生 産 さ れ る ヌ ー ト カ ト ー ル を 酸 化 す る こ と を 示 す 。 構 築 物 1を 有 す る 酵 母 細
胞は、バレンセンを供給するとヌートカトンを生産する。
20
【実施例11】
【0131】
場所及び立体特異的セスキテルペンアルコールの生成のための微生物中のセスキテルペン
シンターゼ及びセスキテルペンヒドロキシラーゼの発現
サ ッ カ ロ マ イ セ ス ・ セ レ ヴ ィ シ エ ( Saccharomyces cerevisiae) 及 び ピ キ ア ・ パ ス ト ル ス
( Pichia pastors) が 、 製 造 者 の 指 示 書 に 従 い サ ッ カ ロ マ イ セ ス ・ セ レ ヴ ィ シ エ EasyComp
( 商 標 ) 形 質 転 換 キ ッ ト ( S. cerevisae EasyComp transformation kit) ( イ ン ビ ト ロ ゲ
ン社)を使用し、セスキテルペンシンターゼ(例えばこれには制限されないがアモルファ
ジ エ ン シ ン タ ー ゼ 、 (-)-α -ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ テ ン シ ン タ ー ゼ 、 ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ レ ン
シ ン タ ー ゼ 、 γ -グ ル ジ ュ ネ ン シ ン タ ー ゼ 及 び セ ス キ テ ル ペ ン ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ cDNA( 実
30
施例8で記載された様に得られる)を有する構築物で形質転換される。
【0132】
遺伝子導入細胞はリアクター内で成長され、そして細胞の生産物は抽出後に分析される。
【0133】
遺 伝 子 導 入 酵 母 細 胞 は 、 ア モ ル フ ァ ジ エ ン -12-オ ー ル 、 (E)-ト ラ ン ス -ベ ル ガ モ タ -2,12ジ エ ン -14-オ ー ル ; ア ロ イ ソ ロ ン ギ フ ォ レ ン ア ル コ ー ル ; 及 び 5,11(13)-グ ア イ ア ジ エ ン 12-オ ー ル を 夫 々 生 産 す る 構 築 物 を 有 す る 。
【0134】
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【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】チコリーの苦味原理。グアイアノライド ラクツシン、8−デオキシラクツシン
、及びラクツコピコリンが、主要な化合物である。チコリーのマイナーなセスキテルペン
ラ ク ト ン は 、 グ ア イ ア ノ ラ イ ド 11(S),13-ジ ヒ ド ロ ラ ク ツ シ ン ( 11(S),13-dihydrolactu
cin) ( a)、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ -8-デ オ キ シ ラ ク ツ シ ン ( 11(S),13-dihydro-8-deoxylactu
10
cin) (b)、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ ラ ク ツ コ ピ ク リ ン ( 11(S),13-dihydrolactucopicrin) (c)
、 オ イ デ ス マ ノ ラ イ ド ソ ン チ ュ サ イ ド ( sonchuside C) (d)及 び キ ン コ リ オ ラ イ ド A ( c
ichoriolide A) (e)、 並 び に ゲ ル マ ク ラ ノ ラ イ ド ソ ン チ ュ サ イ ド A ( sonchuside A) (f
)及 び キ ン コ リ オ サ イ ド C ( cichorioside C) (g)。
【 図 2 】 (+)-ゲ ル マ ク レ ン A (1)か ら ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-オ ー ル (2)
、 ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-ア ー ル (3)及 び ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)ト リ エ ン -12-酸 (4)を 経 て (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)へ の 提 案 さ れ た 生 合 成 経 路 。 点 線 の 右 側
で は 、 こ れ ら の 不 安 定 な ゲ ル マ ク レ ン か ら 形 成 さ れ 得 る 化 合 物 が 示 さ れ る :熱 誘 発 さ れ た
コ ー プ 転 位 生 成 物 (-)-β -エ レ メ ン ( (-)-β -elemene) (6)、 (-)-エ レ マ -1,3,11(13)-ト リ
エ ン -12-オ ー ル ( (-)-elema-1,3,11(13)-trien-12-ol) (7)、 (-)-エ レ マ -1,3,11(13)ト リ
20
エ ン -12-ア ー ル ( (-)-elema-1,3,11(13)-trien-12-al) (8)、 エ レ マ -1,3,11(13)ト リ エ ン
-12-酸 ( elema-1,3,11(13)-trien-12-oic acid) (9)、 及 び デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク
ト ン ( dehydrosaussurea lactone) (10); 及 び 酸 誘 発 さ れ た 環 化 生 成 物 、 セ リ ネ ン ( seli
nene) (11)(γ -セ リ ネ ン ( γ -selinene) は 通 常 、 セ リ ナ -4,11-ジ エ ン ( selina-4,11-die
ne) と 呼 ば れ る )、 コ ス ト ー ル (12)、 コ ス タ ー ル (13)、 及 び 木 香 酸 (14)。 下 線 を 引 か れ た
数 字 を 有 す る 化 合 物 は 全 て 、 コ ス タ ス ( costus) 根 に お い て 同 定 さ れ て い る ; (+)-ゲ ル マ
ク レ ン A (1)及 び ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-ア ー ル (3)は 、 他 の 植 物 か ら 単
離 さ れ た 。 水 酸 化 後 に 、 炭 素 原 子 12と 13の 番 号 付 け が 逆 で あ る こ と に 注 意 さ れ た い 。
【 図 3 】 シ ト ク ロ ム P450コ ン プ レ ッ ク ス ( メ イ ジ ェ ル 、 1993年 か ら 抜 き 出 さ れ た ) の 概 要
図 。 O2 の 代 わ り に 、 シ ト ク ロ ム P450が 、 そ の 触 媒 作 用 を 阻 害 す る COを 結 合 す る こ と も で き
30
る。
【図4】α−及びβ−テルピネオール及びそれらの酢酸エステルの化学構造。
【図5】ジギトキシン及びジゴキシンの化学構造。
【 図 6 】 チ コ リ ー 根 か ら の (+)-ゲ ル マ ク レ ン A ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ を 含 む ミ ク ロ ソ ー ム ペ レ
ッ ト に よ っ て 転 化 さ れ な か っ た 基 質 す な わ ち (-)-(α )-キ ュ ベ ベ ン ( (-)-(α )-cubebene)
、 (-)-(α )-グ ル ジ ュ ネ ン ( (-)-(α )-gurjunene) 及 び ゲ ル マ ク ロ ン ( germacrone) ; 又
は 殆 ど 転 化 さ れ た な か っ た 基 質 す な わ ち リ モ ネ ン ( limonen) 。
【 図 7 】 植 物 病 原 菌 生 成 物 で の (+)-γ -グ ル ジ ュ ネ ン の 生 物 的 転 化 は 、 (lS,4S,7R,lOR)-5グ ア イ エ ン -11,13-ジ オ ー ル ( (lS,4S,7R,lOR)-5-guaien-11,13-diol) 及 び (1S,4S,7R,10S
)-5-グ ア イ エ ン -10,11,13-ト リ オ ー ル ( (1S,4S,7R,10S)-5-guaien-10,11,13-triol) を 生
40
成 し た ; チ コ リ ー の ミ ク ロ ソ ー マ ル ペ レ ッ ト と 一 緒 で の γ -グ ル ジ ュ ネ ン の イ ン キ ュ ベ ー
シ ョ ン は 、 (1S,4S,7R,lOR)-5,11(13)グ ア イ ア ジ エ ン -12-オ ー ル ( (1S,4S,7R,lOR)-5,11(1
3)-guaiadiene-12-ol) を 与 え た 。
【 図 8 】 前 提 と さ れ た シ ト ク ロ ム P450は 、 水 酸 化 及 び 引 き 続 き ラ ク ト ン 化 を 経 て 、 ゲ ル マ
ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 ( germacra-1(10),4,11(13)-trine-12-oic acid) (
4)を (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)へ の 転 化 を 触 媒 し た 。
【 図 9 】 チ コ リ ー 上 清 及 び NADPHと 一 緒 に ま た イ ン キ ュ べ ー シ ョ ン さ れ た 様 々 な 基 質 : α 及 び γ -木 香 酸 ( costic acid) (15)、 エ レ マ -1,3,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 ( elema-1,3,11
(13)-trine-12-oic acid) (16)、 パ ル テ ノ ラ イ ド ( parthenolide) (17)及 び デ ヒ ド ロ コ ス
タ ス ラ ク ト ン ( dehydrocostus lactone) (18)の 混 合 物 。
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【 図 1 0 】 A NADPH及 び ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,11(13)-ト リ エ ン -12-酸 ( germacra-1(10),
4,11(13)-trien-12-oic acid) (4)と 一 緒 で の チ コ リ ー 根 か ら の 20,000 gの 上 清 の イ ン キ
ュ ベ ー シ ョ ン で 形 成 さ れ た 生 成 物 の GC-MS分 析 は 、 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン ( deh
ydrosaussurea lactone) (dHSausL [7])、 サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン ( saussurea lactone
) (SausL [9])及 び ロ イ コ ジ ン ( leukodin) (Leuk [10])の ピ ー ク を 示 し た 。
B こ れ ら の 生 成 物 は 、 NADPHの 不 存 在 下 で 観 察 さ れ な い 。 ゲ ル マ ク レ ン -1(10),4,11(13)
ト リ エ ン -12-酸 ( germacrene-1(10),4,11(13)-trien-12-oic acid) (1)が 、 エ レ マ -1,3,1
1(13)ト リ エ ン -12-酸 ( elema-1,3,11(13)-trien-12-oic acid) (EAc)に 加 え て そ の ジ ア ス
*
テ レ オ マ ー (EAc )と し て 観 察 さ れ る ; 内 部 標 準 ( i.s.) は 、 1 nmolの シ ス − ネ ロ リ ド ー ル
( cis-nerolidol) で あ る 。 巨 大 な 前 面 ピ ー ク ( ● ) は 、 脂 肪 酸 ( パ ル ミ チ ン 酸 及 び リ ノ
10
ール酸)である。
C エ タ ノ ー ル 中 0.5 mMコ ス ツ ノ ラ イ ド (2)の 標 準 物 質 は 、 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク
ト ン (dHSausL [7])の テ ー リ ン グ ピ ー ク を 生 じ る 。
【 図 1 1 】 NADPH及 び 酸 素 の 存 在 下 、 チ コ リ ー 20,000g上 清 に よ っ て ゲ ル マ ク ラ -1(10),4,1
1(13)-ト リ エ ン -12-酸 (4)か ら 形 成 さ れ た 生 成 物 。 ロ イ コ ジ ン (22)は 、 真 の GC-ピ ー ク と し
て 検 出 さ れ 、 一 方 コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)及 び 11,13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド ( 11,13-dihydro
costunolide) (20)が 、 そ れ ら の コ ー プ 転 位 生 成 物 デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン ( deh
ydrosaussurrea lactone) (19)及 び サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン ( saussurea lactone) (21)
として夫々検出された。
【 図 1 2 】 コ ス ツ ノ ラ イ ド シ ン タ ー ゼ の 青 い 光 の 可 逆 的 な CO阻 害 の デ モ ン ス ト レ ー シ ョ ン
20
。 90% N2 + 及 び 10 O2 の 存 在 下 に お け る 酵 素 活 性 ( N2) が 100%と 設 定 さ れ 、 そ し て こ の 活
性 は 、 夫 々 0.58、 0.27、 及 び 0.15× 内 部 標 準 ( 1μ M) の デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン
(コスツノライド)、サウスシュレアラクトン(ジヒドロコスツノライド)及びロイコジ
ン の ピ ー ク に 対 応 す る 。 90% CO+ 10% O2 の 存 在 下 に お け る 阻 害 は 、 青 色 の 光 ( 450nm) で
の 照 射 に よ っ て わ ず か に 戻 さ れ た 。 す べ て の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 FAD及 び FMNの 不 存 在
下において行われた。
【 図 1 3 】 標 準 ア ッ セ イ 条 件 下 ( A) 、
1 8
02 の 存 在 下 (B)に お い て ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)か ら
生 成 さ れ た (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド か ら 由 来 の 、 又 は (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド の 標 準 物 質 由 来 ( C
) の デ ヒ ド ロ サ ウ ス シ ュ レ ア ラ ク ト ン (19)の 質 量 ス ペ ク ト ル 。
【 図 1 4 】 標 準 条 件 下 ( A) 、 又 は
1 8
02 の 存 在 下 (B)、 酵 素 ア ッ セ イ に お け る ゲ ル マ ク レ ン
30
酸 (4)か ら 生 成 さ れ た ロ イ コ ジ ン (22)の 質 量 ス ペ ク ト ル 。 パ ネ ル Cは 、 ロ イ コ ジ ン 標 準 物 質
の 質 量 ス ペ ク ト ル を 示 す ( C) 。
【図15】
1 8
Oの 1 つ の 原 子 の 取 り 込 み を 生 じ た 、 ゲ ル マ ク レ ン 酸 (4)か ら (+)-コ ス ツ ノ ラ
イドの酵素触媒された形成の機構。
【 図 1 6 】 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド (5)は 、 NADPH及 び O2 の 存 在 下 、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ
ノ ラ イ ド (20)及 び ロ イ コ ジ ン ( 22) に 酵 素 的 に 転 化 さ れ る 。
1 8
O2 の 存 在 下 で ゲ ル マ ク レ ン
酸のインキュベーションは、アスタリスクを付された位置で取り込みを与える。ロイコジ
ン ( 22) が 20を 介 し て 形 成 さ れ る か ど う か は 不 明 で あ る 。 (+)-コ ス ツ ノ ラ イ ド 及 び 11(S),
13-ジ ヒ ド ロ コ ス ツ ノ ラ イ ド (20)の 両 方 は 、 チ コ リ ー 中 に 存 在 す る 他 の セ ス キ テ ル ペ ン ラ
ク ト ン の お そ ら く 前 駆 体 で あ る ; 一 方 、 ロ イ コ ジ ン ( 22) は 、 11(S),13-ジ ヒ ド ロ -8-デ オ
40
キ シ ラ ク ツ シ ン ( 11(S),13-dihydro-8-deoxylactusin) ( チ コ リ ー の マ イ ナ ー な セ ス キ テ
ルペンラクトン)から離れた唯一の水酸化である。
【 図 1 7 】 NADPHの 存 在 下 ( A) 又 は 不 存 在 下 ( B) で (+)-バ レ ン セ ン ( Val) と 一 緒 に イ ン
キ ュ ベ ー シ ョ ン さ れ た チ コ リ ー 根 の ミ ク ロ ソ ー ム 調 製 に よ っ て 形 成 さ れ た 生 成 物 の GC− MS
分 析 。 NADPHの 存 在 下 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 ヌ ー ト カ ト ン ( Nkatone) 、 β -ヌ ー ト カ
ト ー ル ( Nkatol) 及 び バ レ ン セ ン -12-オ ー ル ( ValOH) を 生 じ る 。 △ を 付 さ れ た ピ ー ク は
、 β -ヌ ー ト カ ト ー ル ( [M]
+
202) の GC誘 発 さ れ た 脱 水 生 成 物 で あ る 。 ア ス タ リ ス ク を 付
さ れ た ピ ー ク は 、 基 質 と し て 使 用 さ れ た (+)-バ レ ン セ ン の 商 業 的 サ ン プ ル 中 に 存 在 す る セ
スキテルペン不純物(パネルB中のγを付された)の酵素的転化からおそらく生じたセス
キテルペンアルコールである。
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【 図 1 8 】 (+)-バ レ ン セ ン の ヌ ー ト カ ト ン へ の 転 化 は 、 β -ヌ ー ト カ ト ー ル を 経 て 、 し か
し α -ヌ ー ト カ ト ー ル を 経 ず に 進 む 。
+
【 図 1 9 】 NADPH の 存 在 下 チ コ リ ー 根 の 150,000g 上 清 に よ る 、 ト ラ ン ス ,ト ラ ン ス -フ ァ
ル ネ ソ ー ル ( trans,trans-farnesol) の フ ァ ル ネ サ ー ル ( farnesal) 及 び 及 び フ ァ ル ネ ソ
酸 ( farnesoic acid) へ の 転 化 。
【図20】チコリーセスキテルペンラクトン生合成におけるロイコジンの形成とチコリー
酵 素 調 製 に よ る (+)-バ レ ン セ ン の ヌ ー ト カ ト ン へ の 転 化 と の 間 の 類 似 性 。
【図1】
【図2】
(48)
【図3】
【図5】
【図6】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図18】
【図19】
【図20】
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【国際公開パンフレット】
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【国際調査報告】
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フロントページの続き
7
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
C12N
5/10
C12N
9/02
C12N
9/02
C12P
7/02
ZNA C12P
7/02
C12P
7/24
C12P
7/24
C12P
7/26
C12P
7/26
C12P
7/40
C12P
7/40
C12N
5/00
A
//(C12N
9/02
C12N
9/02
C12R
1:91
C12R
1:91
)
(81)指定国 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,
BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,
ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,
FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,N
O,NZ,OM,PH,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 デ クラケル, ヤン−ウィレム
ドイツ国, 07743 イェナ, ルサーストラッセ 95
(72)発明者 シュリンク, マーロース
オランダ国, 6717 ケービー エデ, ジェイ.ティー.トーロプラーン 67
(72)発明者 ビノ, ラオウル, ジョン
オランダ国, 6703 シーエヌ ワゲニンゲン, フェールウェヒ 51エー
(72)発明者 デ グロート, アエデ
オランダ国, 6703 イーエックス ワゲニンゲン, エデルマンラーン 2
(72)発明者 フランゼン, マウリス, チャールズ, レネ
オランダ国, 6703 ジェーエー ワゲニンゲン, ヴァン リドス デ ジェウドラーン 3
Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 BA08 CA04 CA09 DA01 DA06 DA12 EA04 GA17
4B050 CC03 DD09 DD13 GG10 KK03 LL05
4B064 AC12 AC13 AC14 AC25 AC35 AC36 AC38 AD20 AE45 CA11
CA19 CA21 CA35 CB12 CB13 CC24 CD04 CE08 CE10 DA01
DA12 DA16
4B065 AA26X AA72X AA88Y AA89X AB01 AC14 BA02 CA28 CA41 CA44
CA47 CA50 CA51
4C084 AA17 NA14 ZC022
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