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戦後の保険事業と保険行政の歩み

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戦後の保険事業と保険行政の歩み
戦後の保険事業と保険行政の歩み
1.生命保険事業
紙面の都合により昭和 20 年から昭和 50 年までの間の諸経緯は本号では省略することとしたが,
読者の便を考え,
省略した内容の項を冒頭に掲げておくこととした。
なお第 1 期から第 6 期までの詳細は本月報 250 号(1972.12 発行)を,第 7 期については 383 号(1984.3 発行)
を参考にしていただきたい。
〔1〕第 1 期(昭和 20−22 年)
(1)終戦処理
(2)再建の方策
〔2〕第 2 期(昭和 23−27 年)
(1)関係法令の整備
(2)契約者配当の再開
(3)保険料率の引下げ
(4)課税優遇措置の復活
〔3〕第 3 期(昭和 28−32 年〕
(1)新しい保険の発達
(2)経費の節減
(3)保険料率の引下げ
(4)調整勘定の閉鎖
〔4〕第 4 期(昭和 33−37 年〕
(1)保険料率の引下げと画一体制の是正
(2)法人税課税方式の変更
(3)団体年金保険の発売
(4)保険審議会の設置
〔5〕第 5 期(昭和 38−40 年)
(1)不動産取得の規制
(2)生命保険料の所得控除
(3)保険料率の引下げ
(4)指定時前契約に対する繰上げ支払措置
(5)相互会社組織運営の改善
(6)募集制度の合理化と継続率の改善
(7)関係法令の改正
〔6〕第 6 期(昭和 41−46 年)
(1)責任準備金の充実と経営の効率化
(2)多様化した新種保険
(3)契約者配当の生命保険会社間の格差拡大
(4)継続率の改善と外務員制度の合理化
(5)生命保険会社の資産運用
(6)生命保険をめぐる自由化の動き
(7)法人税法等の改正
(8)その他の動き
〔7〕第 7 期(昭和 47−50 年)
(1)保険審議会と国民生活審議会の答申
(2)沖縄の戦前契約の処理
(3)琉球生命の参加
(4)米国生保会社アリコ社が日本人向け営業開始
(5)アメリカンファミリー社の日本人向け営業開始
(6)ニーズに即した新種保険の開発
(7)約款改正等サービスの充実
(8)第 2 回全会社生命表の死亡率採用で保険料率下がる
(9)消滅時特別配当等契約者配当の充実
(10)1 被保険者に対する保除金付保最高限度の引上げ
(11)生命保険料の所得控除限度額の引上げ
(12)募集制度の改善
(13)募集文書図画の承認制度の廃止その他
(14)保険会社の関連会社のあり方
〔8〕第 8 期(昭和 51−53 年)
(1)保険審議会答申の対応
50 年 6 月 27 日の保険審議会答申について,行政及び業界は積極的に対応し,募集制度,商品,会社経営等全般
にわたつて改善を図つており,今日までにその大半につき実施をみている。
未実施のものについては,52 年 11 月の審議会において検討が加えられ,代替案の確認(外務員の保険料の受預
権等),検討の継続(変額保険)等の整理が行われた。また,制度としては実施ずみですでに発足しているものに
ついても引き続きその内容の充実に努めることとしている。
(なお,50 年 6 月答申の精神については,今後も引き続き行政の指針とすべきことが,54 年 6 月答申でも確認さ
れている。)
(2)保険募集チヤネルの拡大
保険募集は外務員の手によるものだという考え方から,顧客の方から申し込むという方向への販売チヤネルの拡
大が図られつつある。既に一部で実施されていたデパート等の店頭ベースでの販売に加えて,クレジットカ一ド会
社と代理店契約を結ぶことによつて行う窓口販売,銀行の定期預金の利息を保険料に充当する預金セット販売が行
われるようになつた。
(3)西武オールステート社の営業開始
50 年 12 月 9 日付で,保険業法第 1 条 1 項の規定に基づき,西武オールステート生命保険株式会社が生命保険事
業及び生命保険の再保険事業を営むことを免許した。この結果,わが国において保険業法に基づいて生命保険事業
を営む会社は 21 社となつた。なお,同社は,西武流通グループとシアーズ・オールステート・グループとの折半出
資による日米合弁会社であり,51 年 1 月 25 日より営業を開始した。販売商品は,全て無配当保険であり,専業外
務員による募集のほか西武流通グループ小売業の店舗内に販売拠点(保険ショップ)を設置し,専業営業社員によ
り店頭販売を行う販売体制に特徴がある。
(4)生命保険文化センターの設立
消費者に対し,商品選択に資するための情報提供を促進することを目的として,学識経験者を加えた第三者的機
関である「財団法人生命保険文化センタ一」が,51 年 1 月設立許可され,生命保険に関する情報提供や諸調査・研
究を行うこととなつた。
(5)商品
既契約の配当等の権利を生かしつつ新種商品に乗り移ることができる転換制度は,50 年 10 月に開発され,53 年
12 月までに 18 社が取扱いを開始し,急速に普及してきた。
また,中高年齢層の成人病に対する関心が高まつてきており,多額の費用がかかることから,これを保障する目
的の成人病特約が開発され 16 社が販売しており,一方家族の病気に対する不安も強く,これの保障として家族疾病
特約が各社で取扱われている。
さらに,女性が入院した場合等の家事労働力の喪失は甚大なものがあるとして,被保険者を女性に限つた女性保
険の開発,女性や若年層をターゲットとする生存給付金不定期保険の普及などが注目された。
そのほか,1 被保険者に対する保険金付保限度について,国民所得の向上,選択能力の向上等から,2 億円を 3
億円に引上げ,無診査契約の限度額を 1,000 万円(40 歳以上は 800 万円)としたほか,検定調査士扱契約もその実
績を見て 3,000 万円まで取扱いできることとした。
災害保障特約についても見直しがなされ,従来の総合的な保障から契約者の希望する保障が可能となるよう傷害
特約と災害入院特約などに分離され,給付金支払事由の拡大が行われた。
(6)保険計理
保険料は,国民の死亡率の低下等に伴つて戦後 6 回の引下げが行われていたが,さらに 51 年 3 月主力商品の予定
利率を,それまでの 4%から保険期間 20 年までを 5.5%,20 年超を 5.0%に引上げ,戦後 7 回目の保険料の引下げ
が行われた。同時に,従来一部商品について女子の死亡率は男子死亡率を 3∼4 才ずらして使用していだが,この際
ほとんどの商品について 4 才セット・バックが実施された。
解約返戻金についても,戦後 4 回にわたつてその改善が図られてきているが,51 年 3 月より,従来責任準備金か
ら初年度対 35 千円の解約控除を差し引いていたが,これを対 30 千円に引下げ解約返戻金を増加させた。
(7)資産運用の改善
生命保険会社の資産の拡大に伴う金融機能の増大に鑑み,より一層国民経済の発展と国民生活の向上に寄与する
とともに,社会,経済情勢の変化にも対応していくことが要請されてきたことから,53 年 8 月,財産利用弾力化の
観点に則り,①リース債券等貸付担保の種類拡大,②信用貸付基準の緩和並びに③新規に外国政府等への貸付を認
める等財産利用に係る改正を行い,生保会社の自主的運用範囲の拡大を図つた。
このほか,生保会社の住宅ローンはその組織上の制約から,いわゆる提携ロ一ンが大宗を占めていたが,非提携
ローンにも積極的に取り組むため,51 年 6 月,生保各社(20 社)と地銀各行(63 行)との共同出資による「地銀
生保住宅ロ一ン㈱」が設立された。
(8)募集制度の改善
①
募集制度改善の一層の推進と実効を期すため,募集体制等に関する各社の自主的な改善計画とこれに伴う諸施
策を提出させ,これを定期的にフォローしながらその実効を確保することを目的に“募集体制整備改善計画”を 51
年度を初年度とした 3 年計画で当局に提出することとなつた。
具体的には,新規登録数,業務廃止数及び期末外務員数の 3 か年の計画推移を計上するほか,外務員のうちで「基
幹職員」という一定の層を設定し,新規登録者の基幹職員への育成率目標及び外務員中に占める割合(逐年その比
率を向上させること。)を提示する。
また,新契約の継続率についても,
払込方法別に保険金額ベース及び件数ベースの継続率向上計画も求めている。
さらに,新人及び旧人に対する教育訓練施策並びにこれら整備改善のための投資予定額も合わせて計上すること
となつている。
②
外務員の入社前 3 日間説明会の実施(49 年 7 月)及び登録前 5 日間研修会の実施(50 年 4 月)により登録前教
育の充実化を図つてきたが,これをさらに徹底させるために 52 年 4 月から外務員の試験後登録制度が実施された。
これに伴い,入社第 1 月目の研修プログラムに試験前 8 日間研修が組み込まれる事になつた。
〔9〕第 9 期(昭和 54−56 年)
(1)保険審議会答申
保険審議会は 54 年 6 月 14 日今後の生命保険事業のあり方について答申を行った。
同審議会は 50 年 6 月に保険行政及び保険会社の活動について総合的かつ抜本的な検討を行い,答申したが,その
後の保険事業をめぐる環境の変化,即ち,①安定成長期への移行,国際化の進展等経済的変化,②人口の高齢化,
価値観の多様化等社会的変化,③保険の高度普及による成熟化の兆し,④保険事業に対する国民の期待,関心の高
まりに伴う社会的責任の増大等から経営環境はかつてなく厳しくなっており,同審議会は,今後の生命保険事業の
あり方について,新たな視点から検討を行う必要があるとして,53 年 11 月以来審議を行ってきたものである。
答申は効率化の促進に最も重点をおき,次いで公共性・社会性の発揮,資産運用の改善について指摘しており,
その内容は次のとおりである。
(1)効率化を促進するにはまず経営の合理化を図ることが重要であるとして,特に募集制度の合理化,経費の節
減・合理化,良質契約の確保の 3 点を指摘している。次いで,激しい企業間戦争の中にあっては経営の特色化,重
点化を図ることが重要であるとしたうえ,商品の認可基準,販売チャネル等の面における行政規制の弾力化を求め
ている。また,経営の特色化を推進するにあたっての留意事項として経営の健全性の確保,過当競争の排除等を挙
げ,この関連として責任基準金については純保行政の継続,募集秩序の維持の面から保険料の割引,割戻,不当乗
換の排除をそれぞれ指摘している。
さらに,経営の効率化を推進するための手段として業務提携について述べ,最後に合併について言及している。
合併が答申の中でとりあげられたのは初めてであるが,慎重な対応が求められている。まず,商品種類,外野組織,
管理保全システム等における各社間の相違から円滑に合併を進めることは容易ではなく,また銀行の合併における
店舗増のメリットも存在しないとしているが,一方,効率化の推進に取り組まない会社については,契約者利益の
保護のため合併を行うことも止むを得ないとしている。
(2)公共性・社会性の発揮については,まず,情報提供の充実についてとりあげ,生命保険制度に関する情報と
して特に告知業務,解約返戻金等のいわゆる不利益情報について前向きの対応を求め,さらに,生命保険事業経営
に関する情報(ディスクロージャー)について,その必要性は一般企業以上に強いものがあるとして,業界におい
て開示すべき内容の最低基準を明確にすることを求めている。
次にモラルリスク対策については,契約の際の選択の強化,外務員教育の徹底,他社加入状況の契約者からの通
告制度の検討等を指摘している。
(3)資産運用の改善については,運用効率の向上及び公共性に配慮するという従来からの基本的な考え方を再確
認のうえ,わが国の経済,社会の構造変化を資金需要の観点から分析し,運用の改善を図るべき点を企業貸付,個
人貸付,公共債投資,不動産投資,海外投融資及び関連業務の拡大についてそれぞれ指摘している。
(2)商品
保険商品は,高度成長時代において保障の大型化,定期化傾向とともに多様化が進んだが,安定成長時代に入り
これらの傾向も一段落し,商品体系の一巡化もあって,多様化は鎮静する方向にある。
代って最近は,高齢化社会の進展に伴い,老後対策ニーズの高まりに呼応した商品の開発が活発となっている。
商品の具体的なものとしては,被保険者の老後生活の安定を図ることを目的とした個人年金保険の創設が相次い
でいるほか,生涯にわたり保障が続く終身保険や,これに契約したあと数回の祝金等の支払が組み合った生存給付
金終身保険等の創設が目立っている。
(3)保険計理
56 年 4 月に,戦後第 8 回目の生命保険料の引下げが,主力商品を中心に同月以降の新規契約から実施された。こ
の保険料引下げの特徴は,保険料を構成する予定死亡率,予定事業費率,予定利率のすべてについて見直されたこ
とである。すなわち,予定死亡率については男女別の死亡率を採用した第 3 回全会社表(47 年∼51 年経験値)に改
め,予定事業費率については保険金比例の部分を引き下げ,予定利率についても,保険期間が 10 年以下の契約の予
定利率を引き上げることによって,保険料の引下げを行った。その結果,保険種類,加入年齢,性別により異なる
が,保険料は平均で 7%程度の引下げとなった。
また,これに前後して,半数の生命保険会社が,既契約を含め解約返戻金の増額を行った。
さらに,56 年 10 月に疾病関係特約の保険料の見直し(実質引下げ)が,同月以降の契約から実施された。これ
は,疾病関係特約の創設以降数年経過しているために予定発生率が実態にそぐわなくなったことや,手術給付対象
項目の統一が強く求められていたことなどから,全社統一的に見直したものである。その結果,一般に若年齢者で
は利率の引下げに,高年齢者では利率の引上げとなっている。
(4)募集制度の改善
54 年 3 月に 51 年度を初年度とした第一次募集体制整備改善 3 か年計画が終了したが,その実績において一応の
改善をみたものの必ずしも所期の目標を十分に達成できるものでなかった。
このため引き続いて 54 年度を初年度と
した第二次募集体制整備改善 3 か年計画を策定させて現在に至っている。第二次募集体制整備改善計画では第一次
募集体制整備改善計画における諸項目に加えて募集代理店関係及び解約・失効率の指標を計画項目として策定させ
ている。
また,54 年 6 月の保険審議会答申において,商品多様化への対応及び経営の効率化・特色化を推進するうえで代
理店等新しい販売チャネルの活用を検討すべしとの方向が打ち出された。この方針に沿って,行政,業界双方で鋭
意検討が行われ,56 年 3 月銀行局保険部長名で「生命保険募集代理店制度基本要綱」についての事務連絡が発せら
れた。この結果生保業界において 56 年 4 月 1 日以降新設される募集代理店のうち特に構成員の多い法人募集代理店
については,専業外務員中心体制を阻害することのない保険種類及び保険金額に限定した保険商品を取り扱わせる
こととなった。また,新設の募集代理店については専業外務員と同等水準の教育・管理を行うとともに,既設の募
集代理店についても基本要綱に準拠して教育・管理等に十分な配慮を行うこととなった。
(5)資産運用の改善
生命保険会社の資産運用環境の変化に伴い,時流に即応した弾力的運用をより一層促進するために,55 年 8 月,
①既に認めている日本住宅公団以外の公社,公団及び事業団への貸付,②直轄住宅金融会社への貸付,並びに③有
価証券の貸付等財産利用に係る貸付対象の拡大及び新設を認める改正を行った。
また,55 年 12 月に「外国為替及び外国貿易管理法」の一部が改正され対外資本取引が原則自由化されたことに
伴い,①外国にある金融機関に対する預金,②外国の抵当証券の所有,③外国不動産の所有及び④本邦に支店を有
する外国銀行への貸付等財産利用に係る海外投資の対象拡大及び貸付対象の新設を認める等の措置が採られ,生命
保険会社における資産運用の多様化,国際化に対応することとした。
(6)ソニー・プルデンシャル社の営業開始
ソニー・プルデンシャル生命保険株式会社に対し,56 年 2 月 13 日付で,保険業法第 1 条第 1 項の規定に基づき
生命保険事業を営むことを免許した。
この結果,わが国において生命保険事業を営む会社は,保険業法に基づくものが 22 社となり,このほか,外国保
険事業者に関する法律に基づき,日本人向けの営業を行っている会社が 2 社あるので,これを含めると合計 24 社と
なった。
なお,同社はソニー㈱と米国プルデンシャル生命保険会社との折半出資による日米合併会社であり,56 年 4 月 2
日から営業を開始した。販売商品はすべて無配当商品であり,定期保険及び終身保険を主体に,男子専業外務員(大
卒相当)だけで販売を行っている。
(7)コンバインド社の日本人向け営業開始
米国の生命保険会社であるコンバインド・インシェアランス・カンパニー・オブ・アメリカに対し,56 年 12 月
21 日付で,外国保険事業者に関する法律第 3 条第 1 項の規定に基づき,わが国において生命保険事業を営むことを
免許した。
この結果,外国保険事業者に関する法律に基づき支店形態で日本人向けの営業免許を得ている会社が 3 社となっ
た。
なお,同社は 57 年 4 月 19 日から営業を開始しており,販売商品として当初,交通事故傷害給付金付定期保険の
み取扱っていたが,58 年 9 月からは交通傷害給付金付災害割増定期保険の販売も行っている。これらの商品は保険
料の支払方法が半年払いのみであるところに特色がある。販売方法は男子専属外務員による訪問販売方式を採つて
いる。
(8)国民生活審議会の約款適正化報告
契約事項を定めた約款については,従来より,とかく「内容がよくわからない。」「売り手も十分に説明しない。」
などによるトラブルが絶えなかったが,今回(昭和 56 年 11 月 13 日),この約款適正化に関する報告「消費者取引
に用いられる約款の適正化について」が,国民生活審議会消費者生活部会より報告された。本報告は,特に消費者
との間でトラブルの多い生命保険を含む 7 業種の約款について,その適正化を指摘しているが,生命保険について
は,①保険料払込の督促と失効の予告通知の徹底 ②自動振替貸付制度の適用の確認 ③保険料払込方法の明文化
④告知義務違反によるトラブルの防止措置 ⑤自覚のない責任開始前発病による入院給付金等支払の明文化 ⑥保
険金等の支払場所にかかる規定の変更 ⑦契約内容登録制度の規定化 ⑧解約払戻金についての情報提供 ⑨読み
やすい約款作成への努力,の 9 項目が指摘されており,報告の趣旨に沿った積極的な検討が行われた。
〔10〕第 10 期(昭和 57−58 年)
(1)アイ・エヌ・エイ社の営業開始
アイ・エヌ・エイ生命保険株式会社に対し,57 年 2 月 16 日付で,保険業法第 1 条第 1 項の規定に基づき生命保
険事業を営むことを免許した。
この結果,わが国において生命保険事業を営む会社は,保険業法に基づくものが 23 社となり,このほか,外国保
険事業者に関する法律に基づき,日本人向けの営業免許を得ている会社が 3 社あるので,これを含めると合計 26
社となった。
なお,同社は米国のライフ・インシュアランス・オブ・ノース・アメリカが全額出資し設立された会社であり,
57 年 4 月 2 日から営業を開始した。販売商品はすべて無配当商品であり,終身保険及び定期保険を主体に,専業外
務員及び損保代理店によって販売を行っている。
(2)日米サービス貿易摩擦における保険問題
56 年後半から外国は,包括的な日本市場開放の要請の一環としてサービス業の自由化を要求してきたが,この中
で保険に関しては,外国保険会社のわが国における事業免許及び商品許可について審査期間が不必要に長く,また
手続も複雑である等の問題提起があった。
これに対し,わが国は 57 年 5 月の市場開放対策第 2 弾において対日進出会社に対する内国民待遇の堅持,情報提
供窓口の設置及びガットでのサービス貿易に関する国際ルール作りへの積極的貢献の方針を表明したほか,日米貿
易小委員会等を通じ,わが国の保険業に対する考え方について外国保険会社の取扱いの実情に則して十分な説明を
行うように努めた。
この結果,57 年 8 月及び 12 月の日米間の会合において,米国側から保険の分野でのわが国の方針を評価する旨
のコメントが行われるに至った。
(3)国民生活審議会の約款適正化報告の対応
昭和 56 年 11 月 13 日に国民生活審議会消費者生活部会から「消費者取引に用いられる約款の適性化について」が
警告されたが,生命保険については,9 項目(第 9 期(昭和 54−56 年)参照)が指摘された。
当局としては,「報告」の趣旨に沿った適切な対応が図られるよう業界を指導したところであるが,これを受け
て業界では,指摘事項中③,⑥,⑦の 3 項目については,58 年 4 月約款の改正を行い,他の 6 項目については,実
務面等で対応することとした。
(4)募集制度の改善
第 1 次募集体制整備改善 3 か年計画が比較的順調な成果を収めたのに対し,第 2 次計画では必ずしも満足のいく
結果とはならなかった。このため引き続いて 57 年度を初年度とする第 3 次募集体制整備改善 3 か年計画をスタート
させ現在に至っている。第 3 次計画では第 1 次,第 2 次と異なり各社の事業計画とのリンクを求めたことが大きな
特徴となっている。また,従来の諸項目に加えて 13 月日専業外務員在籍率の指標を計画項目として策定させている。
(5)保険計理
58 年 4 月,災害割増特約及び傷害特約に係る予定発生率(予定災害死亡率,予定傷害率)の見直しが行われた結
果,保険料の引下げ及び男女別料率の採用が行われた。これを災害保険金 100 万円,年払保険料でみると,災害割
増特約では,660 円から男子 550 円,女子 440 円となり,それぞれ 18.2%,33.3%の引下げ率となり,傷害特約で
は,880 円から男子 770 円,女子 660 円とそれぞれ 12.5%,25.0%の引下げ率となっている。
(6)資産運用の改善
生命保険会社をとりまく資産運用環境の変化に伴い,時流に即応した弾力的運用をより一層促進するため,次の
とおり財産利用に係る対象範囲の拡大等を図り,生命保険会社の資産運用の多様化,効率化に対応することとした。
①
信用協同組合連合会に対する預金
②
外国のコマーシャルペーパーの所有
③
抵当証券(国内)の所有
④
入居保証金を担保とする貸付
⑤
譲渡性預金を担保とする貸付
⑥
国債運用対象の特定金銭信託等
(7)関連会社規制の弾力化
関連会社通達が発出された昭和 50 年 9 月以降の経済金融情勢の変化に伴い,保険事業の効率性の推進,顧客ニー
ズヘの的確な対応を図るため,資産運用,顧客サービス面を中心に見直しを行い,次のような弾力化措置を講じた。
①
公共債投資会社の新設
②
信用保証会社の業務範囲の拡大(従来の住宅ローンに係る保証業務に加え,一般消費者ローンに係る保証業
務を追加)
③リース(ファイナンス・リース)会社の新設
〔11〕第 11 期(昭和 59 年以降)
(1)保険審議会の答申
保険審議会は,60 年 5 月 30 日「新しい時代に対応するための生命保険事業のあり方」について答申を行った。
日本の生命保険事業は,戦後順調に成長してきたが,①金融の自由化・国際化の進展②高齢化社会への移行③高
度情報社会の到来など,生命保険事業を巡る経済社会環境の変化には,著しいものがある。
このような大きな変化に対して,生命保険事業がいかに対応していくべきかについて,5 項目に分けて提言して
いる。
その内容は,次のとおりである。
①
多様性・自在性ニーズヘの対応
金融の自由化,高齢化の進展などに伴い国民の生命保険商品に対するニーズは多様化しており,また,ライフス
テージに適合するよう保障内容を自在に調整するニーズも増大している。このため契約締結時の多様性としては,
商品種類,保険料率設定について,高料高配・低料低配商品及び無配当保険等の新商品の開発・既存商品の再検討
について積極的な対応を図るべきである。また,契約締結後の自在性としては,中途増額制度の充実として,将来
健康状態に関係なく無選択で保険金を増額できる権利を保証する無選択増額権特約の活用及びボーナス時等に一時
払により無診査で保険金を増額できる一時払増額制度,さらに転換制度の多方向化(スクランブル化),保険金,
配当金の受取方法の多様化を図るべきである。
②
自由化,国際化への対応
イ
○
資産運用の効率化を図るために,適時適切な規制の見直しを行うとともに,制度的観点をも含めた長期的視
野に立った研究,為替リスク等への対応方法の検討を行う必要がある。また,関連会社による周辺業務について,
積極的,弾力的に対応すべきである。
ロ
○
経営効率を反映した保険料率・配当については,保険料をめぐる競争を通じて,契約者へ還元していくこと
の重要性が,今後,一層高まっていくと考えられ一層積極的に対応していくべきである。また,従来の特別配当
について水準の見直しと支払時期の早期化を図るべきである。
ハ
○
変額保険については,過去,47 年,50 年の答申で指摘されているものの,未だ実施されていない。しかしな
がら変額保険へのニーズは高まっていることから,その実施に当たっては今回答申において示した具体的な考え
方に基づき各社の経営責任において判断すべきである。
③
年金ニーズヘの対応
個人年金については,終身年金等保険数理によってのみ設計可能な年金商品について,開発・改善に努めるべき
である。具体的商品として,生存保障性を強めた年金,個人変額年金及び連生年金がある。
④
医療・福祉ニーズへの対応
イ
○
医療ニーズヘの対応
現行の医療保険の入院給付については,足切り制導入等の改善を検討する必要がある。また,高齢者のニーズ
を勘案し,医療保険の保険期間を現行 80 歳から終身とすることが望ましい。さらに,傷害・疾病保険に関する生
命保険と損害保険事業間の分野調整について,高齢化の進展に伴うニーズの多様化に応じた分野調整の弾力的運
用を検討すべきである。
ロ
○
健康・福祉ニーズへの対応
高齢化社会においては,高齢者への健康,介護,住宅等のサービスの提供が重要な課題となるとして,年金・
医療保険の仕組みの応用により,現物給付とのリンクを含めた積極的な対応を図るべきである。
⑤
情報化・システム化への対応
生命保険事業の情報システム化は,省力化,顧客サービス等の向上が図られているが,当面の課題として,情報
提供サービスについて,現行契約一件ごとの管理から,
契約者単位の管理への統合による総合的な生活コンサルティ
ングサービスに前向きに取り組むべきである。さらに,将来はカード等による生活情報全体をカバーした総合的な
サービスの開発に積極的に取り組むべきである。
契約者サービスの向上を図るためには,コンピュータ投資の規模の経済性,重複投資のロス等を考慮すると極力
システムの共同化の可能性を求めていくべきである。
他方,生命保険会社の保有する個人情報の保護のあり方について,適切なガイドラインを策定するための専門的
な検討を図るべきである。
(2)商品
最近の商品の傾向としては,高齢化社会の進展に伴う老後対策ニーズにマッチした終身保険や年金支払を基本と
するものが多くなってきている。特に終身保険については,従来の定期付養老保険のように死亡保障が一定の年齢
で切れることなく,終身保障があるほか,一定期間経過後のキャッシュ・バリューを所要資金に利用し,あるいは
それを原資とする年金に切り換えて,生存保障性を高めるなどの自在性にも対応できるため,新しい主力商品とな
りつつある。また,老人福祉分野における生保商品として,一定の条件により要介護状態となったときに被保険者
とその家族の生活の安定を図ることを目的として,介護等に係る費用を保障する老人介護保険等が開発されている
ほか,公的医療保険制度の改正による一部自己負担を補完する保険も開発されている。
なお,保険料の払込方法の多様化のニーズに応えるため,頭金制度の導入により平準払込保険料の低廉化や,ボー
ナス払制度の導入により収入サイクルに合わせた払込方法も開発されている。
(3)保険計理
60 年 4 月に,戦後第 9 回目の生命保険料の引下げが,主力商品を中心に同月以降の新規契約から実施された。こ
の保険料引下げの特徴は,保険料を構成する予定死亡率,予定事業費率,予定利率のすべてについて見直されたこ
とである。すなわち,予定死亡率については,第 4 回全会社表(54∼55 年経験値)に改め,予定事業費率について
は保険金比例の部分を引き下げ,予定利率についても保険期間毎に 10 年以下 6.0%から 6.25%に,10 年超 20 年以
下 5.5%から 6.0%に,20 年超 5.0%から 5.50%にそれぞれ引き上げることによって,保険料の引下げを行った。
その結果,保険種類,加入年齢,性別により異なるが,保険料は平均で約 10%の引下げとなった。
また,解約返戻金控除率が引き下げられ,この結果,解約返戻金が増額することとなった。
(4)募集制度の改善
60 年 3 月に 57 年度を初年度とする第 3 次募集体制整備改善計画が終了した。第 3 次計画においては,第 1 次,
第 2 次の反省をもとに,各社の事業計画とのリンクを求めたこと,目標値としての基本指標値の設定等,指導を強
化したことにより相応の成果は得たものの,所期の目標を達成しているとは言い難い状況にあつた。
そのため,引き続き 60 年度を初年度とする第 4 次募集体制整備改善計画をスタートさせた。
第 4 計画においては,第 3 次計画の基本的枠組みである,各社の事業計画とのリンク,目標値としての基本指標
値の設定等についてはそのまま踏襲することとしたが,計画の目標達成については,更に指導強化を図ることとし
た。
(5)資産運用の改善
最近における生命保険会社をとりまく資産運用環境の変化にかんがみ,生命保険会社の財産利用方法書の改正を
行い,資産運用規制について緩和措置を講じ,運用の多様化,効率化を図ることとした。
(主要改正概要)
①
運用対象の拡大
イ
労働金庫,同連合会,信用金庫連合会及び信用協同組合連合会に対する預金
ロ
投資事業組合への出資
ハ
信用保証会社の保証等による消費者ローン
ニ
株式等を対象とする特定金銭信託 等
②
貸付に係る担保種類の拡大
イ
動産(機械装置,コンピュータ機器等)
ロ
指名債権(代金債券,定期預金等)
③
その他
イ
一般貸付基準に準ずる貸付枠の新設
ロ
その他非居住者等に対する貸付基準の緩和等
ハ 為替リスクの観点から,外貨建資産の保有残高は総資産の 25%以内とする規定の新設及び外国証券の保有
残高規制現行総資産の 10%以内を総資産の 25%以内へ拡大緩和することとした。
(6)有価証券運用の多様化
機関投資家としての生命保険会社の有価証券運用の多様化等を図るため,次のとおり運用を認めた。
①
債権先物市場への参加
②
株式信用取引市場への参加
(7)関連会社規制の弾力化
保険事業の効率性の推進,顧客ニーズヘの的確な対応を図るため新たに,次のような弾力化措置を講じた。
①
抵当証券会社の新設
②
投資顧問会社の新設
③
カード会社の新設
(8)不動産取得事前承認申請基準の改定
最近における不動産取得状況及び事務の合理化,簡素化の観点をも踏まえ次のとおり基準の改定を行った。
1 件 20 億円以上(土地については 10 億円以上)の物件取得の事前承認→1 件 20 億円(土地 10 億円)以上の物件
の取得については,事前届出,但し 1 件 50 億円以上の物件については事前承認
(9)オマハ社の営業開始
我が国において,外国人のみを対象に営業を行っていた米国の生保会社であるオマハ社が,60 年 10 月日本人向
け営業の認可を得,60 年 11 月業務を開始した。
この結果,外国保険事業者に関する法律に基づき支店形態で日本人向けの営業をしている会社が 4 社となった。
なお,同社の属するオマハ保険グループは,個人健康保険の分野では全米第 1 位であり,日本における営業も医
療保険を主体として展開している。
2.損害保険事業
紙面の都合により昭和 20 年から昭和 46 年までの間の諸経緯は本号では省略することとしたが,
読者の便を考え,
省略した内容の項を冒頭に掲げておくこととした。
なお詳細については,本月報 332 号(1979.12 発行)を参考にしていただきたい。
〔1〕第 1 期(昭和 20−22 年)
(1)終戦処理
(2)事業の麻痺
(3)再建の方策
〔2〕第 2 期(昭和 23−27 年)
(1)事業の立直り
(2)関係法規の制定
(3)事業への批判
〔3〕第 3 期(昭和 28−31 年)
(1)業績の安定
(2)業界批判に対する態度
〔4〕第 4 期(昭和 32−37 年)
(1)事業の動向
(2)保険行政の推移
〔5〕第 5 期(昭和 38−42 年)
(1)事業の動向
(2)保険行政の推移
〔6〕第 6 期(昭和 43−46 年)
(1)事業の動向
(2)保険行政の推移
〔7〕第 7 期(昭和 47−50 年)
(1)事業の動向
昭和 30 年代の高度成長を背景としたモータリゼーションの伸展により,自動車保険,自賠責保険の損害保険全体
の中に占める割合は,急速に増大したが,47 年度から 50 年度にかけては,自動車の需要の鈍化等もあつて 55%,
52%,49%,50%とむしろ低下する傾向を示した。しかし損害保険市場全体をみると,収入保険料ベースでみて 46
年度に比して 50 年度には約 1.8 倍となつており,むしろ住宅総合保険,店舗総合保険,長期保険,住宅火災保険な
ど火災保険分野の充実とあいまつて,自動車保険,自賠責保険を中心としたいわゆる大衆保険の分野が安定的な損
害保険市場として確固たる地位を占めるに至つたものということができよう。また,傷害保険,賠償責任保険等の
新種保険についても,全体的割合は未だ低いものの,保険に対するニーズの多様化を反映して着実な伸びを示した。
地方企業保険の分野においても,石油タンクからの油流出事故問題に端を発した油濁賠償責任保険,長い年月か
けて裁判で争われている薬禍責任問題に対応する生産物賠償責任保険など巨額の危険に対応する保険が社会的にも
要請されるようになつた。
このように損害保険に対する社会的ニーズは著しく高まり,それとともに損害保険会社の社会的責任は一段と強
くなつた。
これに対して保険事業の損益関係は,47 年度こそヘビークレームの不発生等により 271 億円の事業利益を計上し
えたが,中心となる自動車関係の不調の継続,事業費率の増大傾向などから 48 年度は事業損益において前年比 200
億円のマイナスとなり,49 年度には当期純利益ベース 9.9%の減益と 34 年度以来 15 年ぶりの減益決算となった。
50 年度は支払保険金の増加率が 3 期連続して保険料の増収率を上回つたこと等から事業損益は大幅に悪化したが,
財産利用の多様化等により当期利益は若干の微増となつた。
(2)保険行政の推移
(イ)わが国の経済が従来の輸出優先,産業投資主導型の経済から生活優先,社会投資主導の経済へ転換したこと,
一般的なコンシユーマリズムの高まり等の保険事業をとりまく状況に大きな変化がみられるとともに,損害保険に
おいても自動車保険を中心にして大衆化が進んだ等の著しい変化がみとめられることから,今後の保険事業,保険
行政について,総合的かつ抜本的に見直すため,48 年 7 月に保険審議会の委員改選が行われ,審議が開始された。
その後約 2 年間にわたつて検討が重ねられた結果,50 年 6 月に消費者のニーズへの対応を強調した「今後の保険事
業のあり方について」と題する答申がまとめられた。損害保険関係では,①社会的ニーズへの的確な対応(特に住
宅火災保険の改善,交通事故被害者保護の強化),巨大化し多様化する産業災害その他各種災害への対応等)②適
正な競争と自主的企業努力を通ずる経営効率化の推進③社会的要請に沿つた普及率の向上と保険金額の適正な水準
の確保(特に,被害者保護のための十分な賠償資力の保障という観点から任意自動車対人賠償保険の普及拡大が重
要)等が提言されている。
(ロ)企業保険を中心に発展してきた損害保険について,大衆化が進み国民生活との結びつきが強くなつてきている
こと及びそれらの状況の変化により,保険会社の社会的責任は一層強いものとなつてきていることが明確にされた
のである。
この答申については,答申文中に特に 1 項目をもうけて答申指摘事項の実施の確保がうたわれているが,答申指
摘事項については 50 年中に早くも,生産物,生産施設等に係る損害賠償責任を担保する油濁賠償責任保険及び企業
包括賠償責任保険が発売され,また,住宅火災の実損てん補商品をして価額協定保険が発売された。
(ハ)保険料率については,引き続き弾力化の方向で範囲料率制の導入,範囲の拡大の措置等がとられたほか,適正
な料率水準の維持についても,例えば火災保険では,47 年の住宅・工場物件の引下げに続いて 48 年に一般物件,
49 年に倉庫物件の引下げが実施され,又,自動車保険,傷害保険等他の保険種目についても同様に引下げ等料率の
適正化が図られた。
(ニ)自賠責保険については,44 年の保険金額改定後 4 年も経過しているので,各方面から大幅引上げの要望が出
てきたのに対して,自動車事故率の低下を主因として自賠責保険収支に相当の余裕が見込まれたことなどから,48
年 11 月に自賠責審議会の答申を得て保険料は原則として据え置いたままで保険金限度額を引き上げる(死亡・後遺
障害の場合:500 万円→1,000 万円,傷害の場合:50 万円→80 万円)こととされた。
このような大幅な引上げが行われたものの,ほぼ時を同じくして起きた石油ショックに端を発する物価・賃金等
の急激な上昇により,再び限度額の引上げを要請する声が強まつてきたことから,50 年 6 月に自賠責審議会の答申
を得て,限度額が引上げられた。引上げの幅は前回引上げ後の物価上昇率等を勘案して,死亡の場合は 1,500 万円,
傷害の場合は 100 万円に引き上げられ,保険料は今後の保険収支見込から再び据置きのまますることとされた。
また,自賠責保険については,48 年の限度額引上げの答申においても指摘しているように,任意保険を含めた自
動車損害賠償保障制度のあり方について,
長期的視野から検討を加えていくことが今後の課題として残されている。
(ホ)地震保険についても,41 年にこの制度が発足し,47 年 5 月には 1 件当たりの保険金限度額の引上げ(建物:
90 万円→150 万円,家財:60 万円→120 万円)等の改正が行われたが,その後 48 年 9 月 1 日が関東大震災の 50 年
目にあたること,
49 年 12 月に川崎市周辺に直下型地震の起きるおそれがあることが大きく報道されたこと等から,
社会的な関心が急速に高まつてきたため,保険審議会においてもこの問題がとりあげられ,事情の許す限り改善を
図つていくことが望ましいとされ,50 年 4 月に地震保険制度が改正され,限度額が建物 240 万円,家財 150 万円と
なつた。また,従来住宅総合保険,長期総合保険等にしか付帯しえなかつたものを,普通火災保険にも付帯できる
こととし,1 回の地震等による総支払保険金限度額の引上げ(4,000 億円→8,000 億円)等も同時に行われた。
(ヘ)従来の代理店制度は,火災保険中心で行われてきたが,その後モータリゼ一ションの進展と相まつて自動車保
険が著しく伸長したこと,また,経済社会の進展による危険の多様化による傷害保険等の新種保険も著しい普及を
見せてきたので,契約者保護の観点から代理店の指導強化が急務となり,48 年 4 月いわゆるノンマリン代理店制度
が発足した。
〔8〕第 8 期(昭和 51−54 年)
(1)事業の動向
石油危機に起因する経済変動の調整を経て,わが国経済は安定成長に移行した。
このような経済情勢を反映して,損害保険会社の保険料の増収率は,漸次低下してきているものの 51 年度以降も
引き続き 2 桁台で推移した。
損害保険会社の元受収入保険料は,50 年度 2 兆 1,741 億円,54 年度 3 兆 5,133 億円とこの間 61.6%の増加とな
つている。これを保険種類別にみると,海上保険 24.7%,運送保険 53.0%など企業分野の伸びは鈍化したが,自動
車保険 86.8%,
傷害保険 209.5%など大衆分野の伸びが顕著で,損害保険市場の大衆化が一段と進展するとともに,
損害保険事業の安定化に寄与した。なお,危険に対する補償と貯蓄機能を兼ね備えた長期性の総合保険(長期総合
保険,積立ファミリー交通傷害保険等)が好調な伸びを示した。
保険事業の損益は,51 年度,52 年度においては保険料の増収率は鈍化したが,責任準備金の積増負担減等から事
業収益は改善され当期利益は若干の増益となつた。53 年度は,ヘビークレームの発生件数の減少等により損害率の
改善をみて当期利益は 18.7%と大幅な増益を示した。54 年度は,支払保険金の漸増傾向に加え,契約者準備金(支
払備金)の充実を図った結果,事業収益では悪化をみたが,金利水準が比較的高位で推移したことから資産運用収
益が順調に拡大し当期利益では,17.0%の増益計上となつた。
(2)保険行政の推移
(イ)昭和 50 年 6 月の保険審議会答申の趣旨を踏まえて,その後損保会社が前向きに対処した実績が,51 年 2 月,
51 年 10 月,52 年 11 月に開催された保険審議会に報告され,高く評価された。即ち,社会的ニーズに対応する商品
の開発として,住宅火災保険分野では,実損てん補方式が導入され,価額協定保険の発売や改定,満期戻総合保険
の発売,その他長期総合保険への中途増額制度の導入や総合保険の風水雪害保険金の改善等が行われた。さらに,
その後も火災保険では住宅火災保険,住宅総合保険,店舗総合保険,普通火災保険,長期総合保険等の担保内容の
改善,傷害保険では普通傷害保険等の担保内容の改善及び自動車運転者損害賠償責任危険担保特約の新設,賠償責
任保険では労働災害総合保険の新設等,各保険分野で新商品の導入,商品内容の改善が行われた。自動車保険の分
野では,51 年 1 月,一般の自動車保険に被害者直接請求制度,一事故保険金無制限制度及び自損事故担保制度の導
入を図り,また,無保険車傷害担保及び搭乗者傷害の担保範囲の拡大を盛り込んだ自家用自動車保険の発売等を行
つた。
さらに,53 年 11 月には,対人賠償保険の負担軽減及び支払基準の改定を考慮した料率の調整,自損事故保険金
額の引上げ,対物賠償・車両保険への年齢条件別料率制度の導入及び最低免責額の引上げ等商品内容の改善が図ら
れたほか,保険金の適正な支払を確保するための対策として,人身事故及び車両対車両事故の場合の交通事故証明
書提出の原則節義務づけ等が行われた。
また,社会的賠償観念の昂揚,賠償額の上昇に伴い専門的職業人の業務に関連する賠償責任保険が開発された。
(ロ)自賠責保険については,50 年の保険金限度額改定以後 3 年を経過し,賠償水準及び賃金・物価水準の動向等
を勘案すれば保険金額を引き上げることが適当であるとの自賠責保険審議会答申を得て,
昭和 53 年 7 月 1 日以降次
のように最高保険金額の引上げが実施された。
死亡・後遺障害の場合 1,500 万円から 2,000 万円へ
傷害の場合
100 万円から 120 万円へ
同時に仮渡金についても死亡の場合 100 万円から 160 万円へ,傷害の場合 3 万円,15 万円,25 万円から 5 万円,
20 万円,40 万円へとそれぞれ引き上げられた。
また,保険料率は保険収支の現状にかんがみ据え置くことが原則とされたが,この結果車種別の収支において著
しく均衡を失することとなる車種等については所要の調整が行われた。
(ハ)保険料率については,引き続き料率の適正化,弾力化が図られており,51 年火災保険の住宅,一般物件の引
下げ,同自動車保険の車両,対物賠償の引上げ,搭乗者傷害等の引下げ,52 年火災保険の倉庫物件の引下げ,53
年自動車保険の車両,対物賠償の引上げ,対人賠償,搭乗者傷害等の引下げ,54 年火災保険の住宅,一般,工場物
件の引下げ,同傷害保険の普通傷害の引上げ,交通事故傷害の引下げ等料率の適正化が行われた。また,従来一定
料率であつた競走馬保険,ガラス保険等を範囲料率,新設商品である弁護士賠償責任保険,特約販売店保証保険等
を範囲料率にするなど料率の弾力化も併せて実施された。
(ニ)地震保険については,52 年 7 月,申込方法を改定し,この保険を任意に付帯できる普通火災保険等の契約に
あたつて,付帯についての明確な意思確認を行うよう措置した。また,53 年 4 月から,付保金額の増加に対処する
ため 1 回の地震等による保険金支払総額の限度を 8 千億円から 1 兆 2 千億円に引き上げるなど制度の改善が図られ
た。
(ホ)募集制度の改善については,代理店教育の充実及び販売方法の多様化を図るため,登録前テストの導入(53
年 4 月),育成期間の短縮(52 年 10 月)などの代理店制度の改善のほか,更新契約の電話による契約申込みの受
付も実施した。
〔9〕第 9 期(昭和 55−57 年)
(1)事業の動向
わが国経済は安定成長期に入り,個人消費の堅調な回復の兆しはみられるものの,民間設備投資,住宅投資の伸
び悩みに加え,57 年に入つてからは,貿易摩擦等の要囲から輸出入が大きく落ち込むなど,総じて景気は停滞気味
に推移しており,その影響等を受けて損害保険会社の保険料増収率は 55 年度 5.9%,56 年度 3.5%,57 年度 6.3%
と 3 期連続 1 桁台の低水準で推移している。
元受収入保険料でみると,54 年度 3 兆 5,133 億円から 57 年度 4 兆 3,531 億円と,この間 23.9%の増加にとどま
つている。これを保険種類別にみると,従来からの主力商品である自動車保険は 13.7%増,火災保険は 13.4%増と
低迷しているが,傷害保険は 148.7%増と顕著な伸びを示しており,そのシェアは 54 年度 8.1%から 57 年度 16.2%
と大きく上昇している。損害保険の進展は「積立ファミリー交通傷害保険」の好調な販売に支えられたものである
が,引続きこのような長期で貯蓄性を兼ね備えた保険のウェイトが大きくなつてきており,57 年度における積立型
保険の元受収入保険料のシェアは 22.6%に達している。
損益面では,55 年度は責任準備金の積増負担軽減等の要因により,当期利益が 27.8%の大幅増となつたが,56
年度,57 年度は収入保険料の伸び悩みに加えて資産運用収益も低調な伸びで,一方,支払保険金は自動車保険をは
じめとして風水災等のヘビークレームの多発等から急増しており,当期利益は 56 年度△0.8%,57 年度△6.9%と 2
期連続減益となつている。
わが国の経済は今後とも低成長安定型の道をたどることが予想され,損害保険会社においても加入保険料の伸び
悩み,利益配当金収入の低増収等が経営安定に大きな影響を及ばすこととなると思われる。一方,リスクの巨大化,
集積化に対する担保力の増強がさらに必要とされるため,損害保険会社は従来にも増して経営の効率化を推進する
ことが望まれている。
(2)保険行政の推移
(イ)53 年 6 月に発生した宮城県沖地震を契機として地震保険制度の改善の要望が高まり,54 年 6 月の「地震保険
制度の見直し」に関する保険審議会答申を受けて,「地震保険に関する法律」が改正され,55 年 7 月から実施され
た。
制度の概要は,次のとおりである。
①
てん補範囲を拡大し,従来の全損のみに次のものを加えた。
A
建物が半損の場合,地震保険金額の半額を支払う。
B
家財が全損に至らない場合で,収容建物が半損以上の損壊の場合,地震保険金額の 10%を一律給付する。
②
保険金の限度は,付保割合を主契約の保険金額の 30∼50%(改正前 30%)の範囲内とし,金額限度を建物
1,000 万円(同 240 万円),家財 500 万円(同 150 万円)とした。
③
契約引受方法は,すべての家計火災保険に原則自動付帯一本とした(改正前三本建)。
④
保険料率は,等地区分について従来の 3 等地を 5 等地とし,全部で 20 区分(改正前 6 区分)とした。
⑤
警戒宣言が発せられたときは,従前の条件での満期更改を除き,契約の締結ができないこととした。
(ロ)56 年 6 月「今後の損害保険のあり方」に関する保険審議会の答申が出された。
答申は,価格面,商品面及び販売面において,画一的な業務運営がなされている現在の損保業界の実態に焦点を
あて,いかにしてより多くの利益を消費者に還元するかとの立場から,①保険料率の適正化・弾力化,②商品内容
の改善・多様化,③販売面における改善・多様化,④企業間格差の現状と今後の方向,⑤損害保険事業の国際化,
⑥公共性・社会性の発揮,⑦資産運用の改善,⑧行政の弾力化,についで検討を行つている。
具体的には,価格面については,競争原理が機能するような条件整備が行われるまでの間においては,料率水準
が適正であるかについて検証を厳格に行い,料率調整を迅速に行うことが重要であるとされている。また,商品面
及び販売面では,各社の独自他の発揮が望まれ,それがひいては競争条件の整備に資するとの観点から,種々の提
言が行われている。
この答申は,中長期的展望にたつた提言を行つているためその実現には相当の時間を要する事項が多いが,
既に,
保険料率の適正化をはじめ,実現可能なものから順次実施されている。
(ハ)損害保険料率については,引き続き料率の適正化が図られてきていたが,56 年 6 月の保険審議会において,
「より一層厳格な料率検証を行い,適時適切な料率調整を実施することが重要である。」との指摘を受けた。
この答申を受けて,56 年度は 6 月に火災保険料率の全面的な引下げ,ファミリー交通傷害保険料率の引下げ,8
月に自動車保険料率の引下げ等が行われ,57 年度は 4 月に国内貨物海上保険,国内運送保険の各保険料の引下げ等
が行われた。
(ニ)損害保険商品の開発・改善
56 年 6 月の保険審議会答申においては,社会的二一ズの把握とそれへの的確な対応という 50 年 6 月の答申の線
を踏襲し,①消費者ニーズを的確に把握し,適切に対応すること及び②主要保険種目はともかく,それ以外の保険
種目においては,各社の独自性を発揮することが望まれるとされている。
このような保険審議会の答申の趣旨を踏まえて,損保会社が前向きに対処した結果,55 年度においては,傷害保
険の分野では,自転車総合保険,PTA 団体傷害保険等が発売され,また,55 年 12 月に保険料分割払制度が普通傷害
保険等に,56 年 5 月に契約者貸付制度が積立フアミリー交通傷害保険に導入された。
56 年 6 月には,火災保険の全面的な見直しが 35 年以来 20 年ぶりに行われ,担保内容の改善が図られた。また,
56 年度に開発された商品としては,個人包括賠償責任保険,獣医師賠償責任保険,ホールインワン保険,学生総合
保険等がある。
57 年度においては,火災保険分野では,雪害危険担保特約が発売され,新種保険分野では,テニス保険,家族傷
害保険,金融機関包括補償保険等が発売された。
更に 57 年 9 月には 26 番目の新事業免許として費用・利益保険が認可された。
このほか,自動車保険の分野では,55 年 10 月に,自動車と自動車との間の事故のみを担保する安価な車両保険
「自動車相互間衝突危険『車両損害』担保特約(相手自動車確認条件付)」が新設された。さらに,56 年 8 月には,
自家用自動車保険の対象車種の拡大,無保険車傷害保険の担保範囲の拡大等の制度改正が行われた。
(ホ)代理店制度の改定
損害保険をめぐる情勢は近年著しく変化している。
このような変化に対応して,契約者により充実した保険商品,
サービスを提供しうるよう,特に大衆保険分野における代理店の資質の向上を図り,もつて損害保険に対する消費
者の信頼を高めるとともに,損害保険思想の高揚と損害保険の普及の促進に資するため,ノンマリン代理店制度(昭
和 48 年 4 月実施)の全面的改正が昭和 55 年 10 月行われた。
新制度の特色は,次のとおり。①ノンマリン代理店の範ちゆうを拡げ,火災保険,自動車保険または傷害保険を
取り扱う一般代理店(種別代理店)と,それ以外の特殊代理店(無種別代理店)に大別し,特殊代理店についても
講習内容の充実,テスト制度の導入などによりそのレベルアップを図ることになつた。②大衆保険を主体に取り扱
う代理店の最高位の種別として特級(一般)代理店,最高位の個人資格として特級(一般)資格を創設し,大衆保
険主体代理店の専門化及び企業化意欲の向上と専業プロ代理店の相対的優遇を図ることとした。
③種別認定要件は,
従来,資格取得者状況,業務自立状況,法令等遵守状況,挙績状況の 4 要件であつたが,顧客対応状況,管理体制
状況,自己契約比率及び特定契約比率状況の 3 要件を追加し,代理店機能の高度化を図ることとした。
〔10〕第 10 期(昭和 58 年以降)
(1)事業の動向
わが国経済の動向をみると,民間設備投資やアメリカ経済の回復に伴い,
輸出入がおおむね堅調に推移するなど,
景気は回復基調を示しているものの,損害保険会社の正味収入保険料増収率は 58 年度 6.9%,59 年度 6.4%と 55
年度以来 5 年連続 1 桁成長にとどまつている。
損害保険会社の元受収入保険料は 58 年度 4 兆 8,128 億円,59 年度 5 兆 3,292 億円で,この間 10.7%の増加とな
つている。これを保険種別にみると,大きなウェイトを占める自動車保険は 9.2%増,火災保険は 7.3%増と低迷し
ているが,傷害保険は積立ファミリー交通傷害保険が好調で 25.5%増と順調な伸びを示している。
保険事業の損益は,58 年度においては,国債,外国証券等の有価証券投資を伸ばしたことによつて運用資産利回
りが上昇したこと,積立型商品が好調で運用資産の伸びが大きかつたことなどから,当期利益は 2 期連続(56 年度
0.8%減,57 年度 6.9%減)の減益から脱却し,5.6%増の増益となつている。59 年度は満期返戻金の大幅な増加か
ら運用資産が伸び悩んでいるものの,高利回りの外国証券等の有価証券投資を積極的に伸ばしたことによつて運用
資産利回りが上昇したことから当期利益は 9.8%増と前年度を上回る増益となつている。
(2)保険行政の推移
(イ)昭和 59 年 10 月 22 日,大蔵大臣は自賠責保険審議会に対し,「自動車損害賠償責任保険の保険金額および保
険料率を改定することならびに自動車損害賠償責任共済の共済掛金率の変更に関することその他当面する諸問題に
ついて,意見を求める」との諮問を行い,8 回にわたる慎重な審議の結果,59 年 12 月 19 日に自賠責保険の保険金
額及び保険料率の改定等について,自賠責審議会から答申が出された。
①
保険金額
死亡・後遺症害 1 級の保険金額は,前回改定時(53 年)以降の賃金・物価の動向等を勘案し,2,000 万円から 2,500
万円に引き上げられた。ただし,後遺障害の認定対策が強く要請されている事情を勘案し,14 級は現行の 75 万円
に据え置くこととされ,2 級から 13 級の引上げ率は,順次逓減するものとされた。
傷害の保険金額については,医療費支払の適正化が強く要請されていること等を勘案して,120 万円に据え置か
れた。
②
保険料率
保険金額を前記のとおり改定し,60 契約年度からの収支を改善するために,保険料は全車種平均で約 29%引き上
げられた。
③
A
自賠責保険制度の改善
医療費支払の適正化
医療費支払の適正化を図るため,従来から,過剰・濃厚診療等についてのチェック等の対策を実施しているが,
今後は,日本医師会の協力を得つつ,医療費統計等を参考に,自賠責保険についての診療報酬基準案を作成し,こ
れをもつて医療費支払の適正化を図ることとなつた。
診療報酬基準案が全国的に浸透,定着化し,医療費の算定基準として制度化されることが期待されているが,そ
のためには,可能な限り早期に診療報酬基準案を作成する必要がある。現在,日本損害保険協会の付属機関である
損害保険医療研修センターと自動車保険料率算定会が中心となつて,診療報酬基準案の早期作成に向け,鋭意作業
に取り組んでいる。
B
後遺障害の認定
近時,いわゆるムチ打ち症を中心に軽度の神経系統の後遺障害が急増し,自賠責保険の収支悪化の大きな要因と
なつている。ムチ打ち症などの軽度の神経障害は,自覚症状のみで,他覚的所見が得がたいため,その認定が医学
的にも非常に困難な問題となつており,なんらかの有効的な認定方法を開発することが要請されている。そこで,
医療機器により神経系統に障害があるかどうかを認定する方法の研究を推進することとなつた。
C
審議会の定期的開催
従来,審議会は必要に応じ開催されてきたが,自賠責保険のより適正な運営を図るため,毎年審議会を開催し,
収支状況,答申指摘事項の実施状況,自賠責保険の当面する諸問題を事務局から報告し,これらについてが審議さ
れることとなつた。
(ロ)第 87 回自動車損害賠償責任保険審議会(61.1.24)の審議状況
①
自賠責保険の収支状況
59 年度検証において,支払限度額及び保険料率引き上げ後の 60 契約年度損害率を 107.0%と見込んだのに対し,
60 年度検証では,損害率が 107.8%と前回見込みと同様な結果となつており,料率水準の適正さが認められた。
②
第 86 回自賠責保険審議会答申指摘事項の実施状況
医療費支払の適正化,後遺障害認定対策等について,自算会,損保協会等の実施状況を報告し,引き続き答申に
沿つて実施努力がなされるよう要請された。
特に診療報酬基準案の作成については,関係者の努力が強く期待された。
(なお,今審議会においては,臨時委員として日本医師会のメンバ一を加え,審議内容の充実を図つた。)
(ハ)損害保険料率については,引続き料率の適正化,弾力化が図られており,58 年度は火災保険倉庫物件の料率
引下げ,自動車保険(対人賠償・塔傷)の料率引上げ及び無事故割引率の拡大,機械・組立保険の料率引下げ等が
行われ,59 年度は傷害保険のうち普通傷害保険,海外旅行傷害保険,家族傷害保険の料率引下げ,つり保険の料率
引上げ,建設工事保険の料率引下げ等が行われた。60 年度に入つては傷害保険のうち国内航空傷害保険,海上保険
のうち国内貨物海上保険の料率引下げ,自賠責保険の料率引上げ等が行われた。また,単身者総合保険,新婚保険
等の新商品について範囲料率等弾力的な仕組みを引続き取り入れるとともに,料率改定時には,家賃信用保険を範
囲料率から自由料率に,身元信用保険を一定料率から範囲料率に改定するなど,より一層弾力的な仕組みを取り入
れた。
(ニ)新商品の開発
昭和 56 年の保険審議会答申および最近の金融自由化,国際化の趣旨に則り,58 年 13 商品,59 年 14 商品と,近
年活発に新商品を開発している。なかでも各社の創意による独自商品が大宗を占めている点に特徴がある。新商品
開発状況は下表のとおり。
(ホ)最近における積立型保険の比重の高まり,損害保険取引の国際化の進展等情勢の変化にかえりみ,財産利用の
多様化を促進するとともに経営の自主性を一層尊重し,経営の効率化に資する見地から次のとおり財産利用に係る
対象範囲の拡大等を図ることとした。
①
特定金銭信託の運用対象の拡大
②
信用貸付の対象先の拡大
③
信用保証会社の保証する貸付
④
動産・不動産信託受益権の取得
⑤
担保貸付及び保証貸付の適用範囲の拡大等
(ヘ)損害保険商品販売の多様化
57 年 1 月から障害保険及び賠償責任保険について通信販売による保険契約募集を認可したが,その後順次対象保
険種目の拡大を図って現在に至っている。
一方,直販形態による店頭販売については,58 年 4 月から実施している。
事
開発年
商
業 所
向 新 保
品
名
険
家
開発年
商
計
向
新
保
品
険
名
58
博覧会総合保険
氷塊等落下物拡張担保特約
新労災総合補償保険
主催旅行保険
金融機関包括補償保険
企業等一般資金貸付保険
58
雪害危険担保特約
海外駐在員総合保険
保険ギフト券
国内旅行総合保険
スキー・スケ一卜総合保険
パッケージ・ポリシー
野球チーム保険
59
塾総合保険
暴噴制御費用保険
ロボット総合保険
積立店舗休業保険
ソーラーシステム保証責任保険
助産婦賠償責任保険
店舗賠償責任保険
クリーンルーム設備保険
59
健康生活積立傷害保険
定額払積立家庭保険
積立動産総合保険
積立女性保険
積立マンション・団地総合保険
積立団地保険
60
単身者総合保険
新婚保険
マンション修繕費用積立保険
積立ファミリ一交通傷害保険(新型)
医療費用保険
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