...

息子のスペイン留学(悠人の父より) 悠人がサッカーを始めたのが幼稚園

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

息子のスペイン留学(悠人の父より) 悠人がサッカーを始めたのが幼稚園
息子のスペイン留学(悠人の父より)
悠人がサッカーを始めたのが幼稚園の時でした。
私自身がずっと野球をやって来たため、「息子には野球をさせたい」という思いが強か
ったのですが、私の思いとは裏腹に悠人はサッカーの魅力にはまっていき、いつしか私
自身もその虜になってしましました。
小学校低学年から国内のサッカーには目もくれず、夜中にやっている海外での試合ばか
り見るようになり、「すげぇ、すげぇ」と自分がそのフィールドにいるかのように憧れ
の眼差しをしていました。
悠人が小学校5年の時、「スペイン留学館」の事を何かの本の広告で見ました。
その内容などを問い合わせ、悠人に「行ってみるか?」と問い合わせた所、「マジっ!
行く!!」と何も考えていない即決の返事が返って来ました。
親としてみれば、小学校の子供を一人で海外へ行かせるなんて、思っても居ませんでし
たが、今後の悠人のサッカー人生において、プラスになるだろうという気持ちで決心し
ました。
当然、私共の両親に話をし、猛反対されましたが最終的に理解をしてもらい1ヵ月間の
アトレティコ・サマースクールへ参加をさせました。
スペインから帰国後、まず感じたことは目が輝いていた事。「俺はやって来た」と言わ
んばかりの自信と現地での様々な体験が息子をこんなに成長させるのかと、すぐに実感
しました。
小学校6年、今まで共に練習に励んできた仲間と全国制覇を目指し、サッカー漬けの
毎日。自分の足りない部分を懸命に補うため練習に励んで来ました。そして、来年再び
チャレンジする為に。
そんな中、「スペイン留学館」の原田様よりバルセロナの C.E.ジュピテルで挑戦して
みないかというお話が舞い込んで来ました。
家内から会社に電話が入り、興奮した様子でしたが、その時点で自分たちの意思は
「悠人を行かせる」と決心していました。後は悠人次第。本人が決めれば良いと思って
いました。
来年、再度チャレンジさせようと考えていたのに、こんな話が来るとは思ってもいませ
んでした。
「1週間時間をあげるから、自分なりに考えてみな。どちらでも良いぞ」
悠人が本気で考えたのかどうかという事は、正直わかりません。ただ言える事は1週間
の猶予を与えたのに、次の日に「俺行く!大丈夫、何とかなる!」と言って「いつから
行けるの?」と問いただして来ました。「運動会や修学旅行もあるから小学校を卒業し
てからが良いのではないか?ただ、向こうの学校の始業式は9月からだよ。」
「俺行く!9月から行く!」何も考えていない決断。親ながら「こいつ馬鹿だな」と実
感した反面、頼もしい答えに後押ししてあげなくてはとの思いに変わりました。
渋谷で堀田様と初めてお会いし、本人の意思を確認。ほぼ合意となりました。
9月5日いよいよスペインに旅立つ日。成田空港でお世話になったコーチに連絡を入
れアドバイスを貰った様でした。
悠人、家内と共に飛行機に乗りバルセロナへ向かいました。空港へ着くと堀田様、ホー
ムスティ先のルイスさんが出迎えてもらい、ルイスさんの車でホテルまで向かいました。
本来はこのホテルを3人で1泊する予定でしたが、ルイスさんより「悠人、うち来れば」
という問いに対し「う∼ん、じゃぁ行く!」と言ってあっさりルイスさんの家に荷物を
持って行ってしまいました。
家内と「あいつは大丈夫だ」と相変わらずの何も考えていない行動が、こんな時に大人
をも凌ぐ凄さを感じました。
翌日から市役所、クラブ、学校などの手続きを堀田様、ルイスさんと行い、言葉の解
らない状況の中、悠人の挑戦は始まりました。
クラブでもコーチの指導など、おそらく理解していない中、チームメイトに溶け込もう
と必死になっている姿を見て、ただ見ているだけしかなかった。
滞在中の練習試合では後半から出場したものの、パスが回ってこない状況。「これが世
界の洗礼か」30分間の中で自分をどれだけアピール出来るかが肝心であるのに、ボー
ルタッチした回数も数少なく、その中で悠人なりのアピールは出来ていたと思う。日本
との違いは良いプレーをすれば観客が湧き、ダメなプレーをすればブーイングが球場全
体で起こる事。こんな環境の中で好きなサッカーができる事、本当に素晴らしいと感じ
ました。
滞在最終日、ジュピテルの練習終了後、家内が悠人へ手紙を渡しました。バルセロナ
へ来て本人なりに重い荷を背負っていたのだと思う。ずっと強気できた悠人の目から大
粒の涙がこぼれ落ちました。さすがに私自身も目頭が熱くなり、辛い一瞬でした。それ
を見てルイスさんの奥様が悠人を抱き込み、
「大丈夫。任せて」と言って、別れました。
同じクラブの泰我君、宰君に「悠人を頼みますと」握手を交わし、球場を後にしました。
ここスペインでは、本当に回りの人たちが皆暖かい人ばかりで安心しました。自分た
ちの目でバルセロナの色々な部分を見て、経験し納得した上で「大丈夫だ。悠人がんば
れ!」とエールを送りたいと思います。
自分達の子供が夢に向かって一生懸命やっている姿に対し、筋道を立てる事や後押しし
てやる事が親の務めだと思っております。
今回のスペインへの話についても、筋道を立てただけで、最終的に決めたのは本人です。
夢が叶うか、叶わないかは解りませんが、この経験が本人の長い人生において絶対プラ
スになると思っています。子供と離れ離れになる辛さはありますが、昔の様に連絡が取
れない状況下では無いため、あまり心配はしておりません。
次に帰国する際にどれだけ人間として成長しているか、逆に楽しみです。
これから反抗期等に入っていく中、ホストファミリーであるルイスさんにはご迷惑をか
けると思いますが、自分の子供の様に育ててくれている事も解り、第二の育ての親とし
て全権を託すしかありません。
早かれ遅かれ子供は親元から離れていきます。うちの子供は少しだけ他の子供よりその
時期が早かっただけ。ただそれだけの事です。
悠人が夢を叶えられる事を心から願っております!
Fly UP