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3.「三重大ブランドの環境教育」

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3.「三重大ブランドの環境教育」
1
特集
3.「三重大ブランドの環境教育」
1.三重大ブランドの環境教育の特色
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「世界一の環境先進大学」を掲げている本学におい
国内に止まらず国際的に通用する国際環境人財を養
て、
「三重大ブランドの環境教育」は、平成19年度から
成します。三重(地域)に根ざし、世界に誇れる国際環
実施している「環境資格支援教育プログラム」および
境人財を養成することは、本学の教育理念である「三重
平成20年度から実施している「国際環境教育プログラム」
から世界へ」と合致しています。
の充実化によって、三重(地域)
から世界へ通用する環
本取り組みの評価は、社会のニーズを考慮した学内
境人財を養成することを目指しています。
「環境資格支
および学外の第三者機関からなる委員会を組織し、運
援教育プログラム」を通して、文系、理系、工学系、医学
営することで、
カリキュラムの内容および成果を客観的
系を問わず、本教育プログラムの履修者全員には、環境
に評価・実証でき、
持続可能な社会構築に寄与できる「大
内部監査員の資格を授与し、本学の環境PDCAシステ
学の社会的責任(USR)」を果たします。
ムにおいて、大学生の時期から環境側面における大学
の運営に係らせます。また、
「環境インターンシップ」を共
三重大学が目指す三重大ブランドの環境人材
通教育および専門教育において実施することで、社会
三重大学で学んだ学生は、
社会(企業・行政など)に認められる環境人材
のニーズに対応できる技能の取得や社会的責任を果た
せる環境マインドの向上につとめ、社会(企業、行政、
NPO法人など)に認められる環境人財を養成します。
三重大学から
認定される
学内環境
資格
一方、
「国際環境教育プログラム」を通して、
「アジア・
社会のニーズに対応した
資格認定までのプログラム
● 内部環境監査資格
● 環境教育プログラマー
● 環境自己評価ソフト/プログラム開発関係資格
● 各種環境インターンシップによる実践
● 環境PDCAシステム管理者
● 質の高い環境関連専門教育
● 環境マネジメント資格講座講師
● 海外大学と連携した
e-Learningプログラムの開発と実践
● 環境報告書作成実務資格 ・・・・・など
・・・・・など
パシフィック環境コンソーシアム」を構築し、国際的視野
にたった環境教育プログラムの開発および交流を行う
ことで実践外国語能力を高め、内外の豊富な環境教育
プログラムの受講によって、外国の企業や国連関連の
これらの資格を持った学生・卒業生を受け入れる企業・行政・ NPOに対し、
組織の環境管理・運営に寄与できる人材(三重大ブランドの環境人材)の輩出を目指す
三重大ブランドの環境人材
三重(地域)に根ざし、世界に誇れる環境人材/国際環境人材
国際機関での「国際環境インターンシップ」を実施し、
2.文部科学省教育GP:平成20-22年度 質の高い大学教育推進プログラム「三重大ブランドの環境人材養成プログラム」
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平成20年度文部科学省の教育GPの質の高い大学
特色として、環境資格支援教育プログラムの履修者か
教育推進プログラムに「三重大ブランドの環境人材養
らなる学生による内部監査が行われます。最後に、見直
成プログラム:事業推進責任者/朴 恵淑人文学部教
し
(Act)において、
プログラムの改善、新プログラムの提
授」が採択され、平成22年度まで積極的に推進されます。
案などを行い、継続的改善を図ります。
本取り組みの2本柱である、
「環境資格支援教育プログ
ラム」および「国際環境教育プログラム」の「PDCAサ
イクル」は、環境ISO推進室を中心に、共通教育センター、
環境資格支援教育/国際環境教育プログラムのPDCAサイクル
環境資格支援教育/国際環境教育プログラムのPDCAサ
国際交流センターとの連携によって実施されます。
まず、計画(Plan)において、環境資格支援教育プロ
グラムの開発、環境インターンシップおよび国際環境イ
ンターンシップの開発、基礎科目および専門科目におけ
三
三重大学環境ISO推進室
重 大 学 環 境 IS O 推 進 室
Plan
プログラム開発
見直し・改善
● 環境資格支援教育プログラム
Act
●プログラム改善
● 環境インターンシップ及び
三重大学
国際環境インターンシップ
●新プログラム提案
● 基礎教育【環境科目】
● 専門教育【環境科目】
る環境関連科目の開発などが行われます。次に、充実、
かつ積極的に実行(Do)
し、
さらに、評価(Check)にお
いて、
プログラムの評価、参加学生からのアンケートによ
る満足度調査、内部評価および産官学民の第三者評
価による成果および課題を探ります。特に、三重大学の
10 ●Environmental Management Report 2009
環境インターン
シップ先
(企業・行政・NPO)
Do
● 環境資格支援教育プログラムの実施
プログラム実施
国際環境インターンシップ先
(海外企業・海外行政・NGO)
国際機関(国連関連)
海外協力大学
プログラム評価
Check
● プログラム評価
● 環境インターンシップ及び
● 参加学生からのアンケート
国際環境インターンシップの実施
● 産学官民/協定大学の評価
● 基礎教育【環境科目】の実施
● 専門教育【環境科目】の実施
3.三重大ブランドの環境教育
3.環境資格支援教育プログラム
「環境資格支援教育プログラム」は、主に共通教育
育の環境資格支援プログラム登録科目の1科目
(2単位)
主題G(環境問題と人間社会)関連の科目と各学部の
の合計8単位となります。PBLセミナーは、主題の内容
専門科目のうち、
他学部生に開講している科目となります。
にかかわらず、各主題のPBLセミナーで学んだ問題解決
必修科目
(2単位)および選択必修科目
(1-2単位)、選
の方法論は、環境資格支援教育プログラムの遂行にお
択科目
(8単位)の合計11-12単位を取得することとなり
いて有効な手段となります。
ます。必修科目
(2単位)
は、共通教育主題Gに属する「環
境資格支援ガイダンス」、選択必修科目(1-2単位)
は、
11-12単位の取得者には、学長による「環境資格支
援教育プログラム修了証明書」が授与されます。
共通教育主題Gに属する環境インターンシップ(2単位)、
国際環境インターンシップ(2単位)、学部が開講するイ
ンターンシップ(インターンシップ扱いの工場見学なども
該当)
(1-2単位)
となります。環境ISO推進室が認める
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内外の行政・企業・団体・国連関連機関でのインターン
シップが環境インターンシップとして認められます。選択
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科目(8単位)
は、共通教育主題Gの通常科目・総合科
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目のうち、1科目
(2単位)、
または環境法入門(共通教育
主題A;2単位)のどちらかを取ることとなります。また、共
通教育全主題(A-G)のPBLセミナー
(4単位)、専門教
4.国際環境教育プログラム(アジア・パシフィック環境コンソーシアム)
)
三重(地域)に根ざし、世界に誇れる環境人財養成
シフィック環境コンソーシアム」を開催し、組織・運営に
において、国際的視野にたった環境教育は必要不可欠
関する具体的な枠組みを構築することが決まっています。
となります。本学はこれまでに、中国の江蘇大学、
タイの
チェンマイ大学と共に3大学ジョイントセミナー&シンポジ
ウムを開催し、3大学の教員の研究交流だけでなく、学
部生および大学院生の研究成果の発表および国際交
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アジア地域を対象とした
国際的な環境教育
世界を対象とした
国際的な環境教育
流を深めてきました。一方、大学の世界化が進められて
いることから、
「アジア・パシフィック環境コンソーシアム」
認識共同体
を構築し、
より優れた環境教育プログラムの開発および
環 境コンソ ーシアム
国際交流、国際環境インターンシップを行うために、平
ア ジ ア・太 平 洋 大 学
成20年度には、
韓国の5大学(梨花女子大学、
東国大学、
世宗大学、中央大学、啓明大学)、中国の2大学(江蘇
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地域に根ざし、世界に誇れる
環境人材養成の環境教育
大学、南開大学)、
モンゴルの1大学(ECO-ASIA大学)、
タイの2大学(チェンマイ大学、
タマサート大学)、
インドネ
シアの1大学(ボゴール農科大学)、
オーストラリアの2大
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学(タスマニア大学、
シドニー大学)、
日本の10大学(三
国連関連機関での「国際環境インターンシップ」の
重大学、宮城教育大学、筑波大学、千葉大学、千葉商
実施に向けて、ユネスコ・スクール、国連気候変動枠組
科大学、
獨協大学、
明治大学、
名古屋大学、
和歌山大学、
条約、国連生物多様性条約に本学の全学部・研究科
岡山県立大学)の23大学との意見交換を行いました。
の登録申請を行いました。平成20年度に登録に向けた
平成21年10月23日に本学において、第1回「アジア・パ
全審査を終え、平成21年10月の登録認定を待つ状況
Environmental Management Report 2009● 11
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3.三重大ブランドの環境教育
です。国連関連機関での全学部・研究会の登録は、本
学が日本初の事例となります。本学は、平成21年9月5
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日に、ユネスコ・スクール支援大学間ネットワーク(ASP
UnivNet)に東海・中部地域初の加盟校となりました。
今後、ユネスコ・スクールとして、持続発展教育(ESD)
の推進が大いに期待されます。
平成21年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催
予定の国連気候変動枠組条約第15回締約国会議
(COP15)において、学生4-5名の国際環境インターン
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シップの実施が予定されています。平成22年10月には、
愛知・名古屋にて国連生物多様性条約第10回締約国
会議(COP10)が開催されることから、本学の教職員や
実践英語特別授業
(H21.5.28)
学生は本会議を含め、全会議日程に参加できます。特に、
COP10において、
グローバルユース会議に本学の学生
が参加できるようになることはもちろんのこと、ポストグロ
ーバルユース会議の開催に向けて準備を進めています。
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国際環境教育プログラムの推進において、実践外国
語能力の向上が重要視されることから、
「実践英語特別
授業」
を毎週木曜日の午後6時から8時まで行っています。
環境は、文系、理工学系、医学系を網羅する広範囲にま
たがっていることから、
どの学部の学生も参加できるよう
なテーマで行っています。平成21年8月には、名古屋で
開催された「アジアユース会議」および韓国大田で開
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催された「UNEP-TUNZAユース会議」に、本学から3名
が参加し、国際的視野に立った環境会議を体験しまし
アジアユース会議
(H21.8.5)
※国際環境教育プログラムにおいて、平成20年度から現在までの継続的推進
により、平成21年度の施行の一部が含まれています。
たが、今後、地域の若手のリーダーとしてだけでなく、世
界のリーダーとしての役割が期待されます。
5.三重大ブランドの環境教育の成果および課題(全学生の43%がチャレンジ)
大学教育において、環境関連の資格取得可能な科
つでも顕在化できる強みが特色です。特に、学部間をま
目は多数ありますが、系統的に資格取得のできる環境
たがる相互受講、単位を認める科目の設置によって、文
教育プログラムを組んでいる大学はそれほど多くありませ
系や理工系を問わず環境資格を獲得できる機会が増え
ん。三重大ブランドの環境教育は、地域に根ざし、世界
たことは、大きな成果となります。平成20年度環境資格
に誇れる環境マインドの高い環境人財を養成することに
支援教育プログラム関連科目への受講生数が2,
690名、
よって、大学の社会的責任(USR)
を果たすことにありま
単位取得者が1,
961名であることから、全学部生数(6,
す。環境関連資格が、卒業後の進路において有利であ
200名)の約43.4%(受講生の割合)および31.6%(単
ることは認識されていますが、在学中の学生の認知度は
位取得者の割合)
を占めることからも、三重大ブランドの
必ずしも高くないことが指摘されています。三重大ブラン
環境教育が大勢の学生に大きなインセンティブ(動機
ドの環境教育は、環境資格支援教育プログラム並びに
づけ)
を与え、積極的な受講を促したことが分かります。
国際環境教育の実施において、共通教育および専門
現在、環境資格支援教育プログラム修了証明書の
教育との連携によって継続的な環境教育の実施が可
能となることから、学生にとって、潜在している機会をい
12 ●Environmental Management Report 2009
授与対象者は全学を通して24名となります。
3.三重大ブランドの環境教育
平成21年度は、平成20年度の成果を踏まえ、共通教
育における環境インターンシップの受け入れ先において、
10の企業(シャープ株式会社、中部電力株式会社など)、
行政(三重県など)、団体(商工会議所など)、NPO法
人(三重県地球温暖化防止活動推進センターなど)な
どに広げました。国際環境インターンシップの受け入れ
先において、韓国の16の企業(三星、現代、LGなど)や
団体、NPO法人(韓国環境教育推進連合など)、国連
今後の課題として、専門科目において学部を超えて
履修可能な環境関連科目の拡大を図ると共に、内外評
価システムの有効な運営、産官学民一体の環境インタ
ーンシップおよび国際環境インターンシップの充実化、
アジア・パシフィック環境コンソーシアムの円滑な運営
への取り組みが必要となります。アジア・パシフィックの
諸大学との円滑なコミュニケーションの手法として、
すで
に多地点接続装置によるTV会議システム(ポリコム)
を
関連機関(ユネスコ、国連気候変動枠組条約、国連生
物多様性条約など)に広げています。
設置し、遠隔操作による授業を行っています。
技術開発職
環境マネジメント
専門職
環境技術職
環境行政職
地域活動NPO
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学外環境人材認定
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国際環境インターンシップ
専門教育
「環境スペシャリストインターンシップ」
海外日本法人企業等
海外企業等
三重県・企業・環境NPO
質の高い専門教育
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地 域 に 根 ざし 、世 界 に 誇 れ る
環境人材/国際環境人材
研究職
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専門教育
専門教育
Science EnglishⅠ
・Ⅱ
専門教育
学内環境資格認定
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EMS運用(環境内部監査)
環境ISO学生委員会活動
基礎専門教育
共通教育「環境インターンシップ」
アジア・太平洋大学
環境コンソーシアム
3大学ジョイントセミナー
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究
三重県・企業・環境NPO
共通教育
(環境資格関連授業群)
内部監査資格
共通教育
環境資格支援教育
環境NPO活動参加
ボランティア活動参加
第三者評価活動
(行政・企業・環境NPOとの
相互・総合評価連携)
英語による
国際教育科目授業群
実践外国語教育
TOEIC・中国語・韓国語等
環境資格支援ガイダンス
学内連携・社会連携
外国語教育科目
共通教育
国際環境教育
I nt erview
●環境ISO学生委員会の活動を体験して良かったことは何ですか。
企業が実施する環境に関する社会貢献活動や環境関連の業務に積極的に取り組もうと
する姿勢を身につけることができたこと、
そして、多くの人々と接する機会を持てたことです。学
生のうちから、企業や地域、他大学で環境問題に取り組まれている方々と接することで多種多
様な考え方に触れることができ、幅広い視野で物事を捉えることができるようになりました。そし
てそれが自分の考えの形成の大きな糧になったと思います。
山本 理恵子さん
シャープ株式会社
環境安全部 環境企画推進部
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環境ISO学生委員会卒業生インタビュー
平成19年3月卒業
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●環境ISO学生委員会の活動について意見をください。
私が在籍していた当時は何もかもが手探りで、先行する他大学の見よう見まねで活動を始
めました。環境ISO学生委員会の皆さんはその種を着実に育て、発足当時と比べると、3R活
動や地域との連携など、学生による活動が見違えるほど充実していることに驚嘆しました。
学生の皆さんにとっても、大学のシステムを作り上げていくことができる場で、企画から実行、
改善まで主体的に取り組めることは成長のチャンスであり、卒業後にどのような道に進むにして
も大きなプラスになると思います。
これからも活動の幅を拡げて、
がんばっていただきたいと思います。
Environmental Management Report 2009● 13
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