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第Ⅱ編 準備書以降の調査結果等

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第Ⅱ編 準備書以降の調査結果等
1. 概要
足羽川ダム建設事業に係る環境影響評価は、昭和 60 年度から動植物調査等に着手し、平成 19・
20 年までの調査結果から、事業による環境影響の予測と評価並びに環境保全措置等の検討を行
った。これらの内容は、平成 21 年 3 月 30 日に準備書として公告・縦覧を行った。
本資料は、準備書公告・縦覧以降の足羽川ダム周辺の環境に関して、平成 25 年 1 月時点の状
況を整理したものである。資料の整理にあたっては、足羽川ダム工事事務所が継続して実施し
た現地調査や関係機関の統計資料を整理するとともに、準備書作成において予測評価対象の選
定等に参考とした既往文献の改訂有無を確認するものとした。
足羽川ダム建設事業環境影響評価の各項目は、図 1-1 に示す構成で確認を行った。
「動物」「植物」「生態系」の項目は、継続している現地調査の結果により、環境保全措置を
行う重要な種の生育・生息環境及び生育・生息状況、陸域の食物連鎖の上位種としたクマタカ
の行動圏や繁殖状況、及び動植物を取り巻く水環境の状況について確認を行うとともに、重要
な種の基準とした既往文献の改訂の有無について確認を行った。なお、河川域の食物連鎖の上
位種としたヤマセミは、事業による影響は小さいとし、行動圏や繁殖状況の現地調査は実施し
ていない。また平成 24 年 8 月 28 日に環境省第 4 次レッドリストが公表され、希少性の観点か
ら足羽川ダム周辺の動植物に該当する種の有無について確認を行った。
「大気環境」「水環境」「地形及び地質」の項目は、水文水質の継続調査や関係機関の気象観
測及び統計資料について確認を行うとともに、既往文献や地域の社会的状況について確認を行
った。なお、大気環境における大気質(粉じん等)
、騒音及び振動に関して、本来の自然環境の
変化より、工事実施に伴う環境への影響が大きいと考えられるため、継続した現地調査は実施
していない。
「景観」
「人と自然との活動の場」は、重要な景観や活動の場の選定等に参考とした既往文献
について確認を行った。
1
2.生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全に係る環境要素
動物、植物、生態系
の確認
2.1 動植物の典型的な生息・生育環境
・
陸域環境ベースマップ
【典型性・陸域】
2.4 動植物を取り巻く水環境
現地調査
・
河川環境ベースマップ
・
水質 ・流量
・
地下水の水位
【典型性:河川域】
2.2 動植物の生息・生育状況
【
動物】
【
植物】
・
クマタカ
・
ヤマシャクヤク
・
アジメドジョウ(計2種) ・
エゾナニワズほか
文献
現地調査
計11種
現地調査
既往調査
天然記念物、種の保存法、環境省RDB、福井県RDB
2.3 生態系
現地調査
【上位性・陸域】:クマタカ 【上位性・河川域】:ヤマセミ
3.環境の自然的構成要素の良好な状態の保持に係る環境要素
大気環境、水環境、地形及び地質
3.1 大気環境
3.2 水環境
風向・風速、降水量等
SS、pH、DO、BOD等
の確認
現地調査
既往調査、文献
3.3 地形及び地質
重要な地形・
地質
4.人と自然との豊かな触れ合いの確保に係る環境要素
景観、人と自然との触れ合いの活動の場
4.1 景観
の確認
文献
景観資源
4.2 人と自然との触れ合いの活動の場
文献
人と自然との触れ合いの活動の場
5.地域の社会的状況
5.1 人口
5.2 交通
5.3 環境保全について配慮が特
に必要な施設
5.4 環境関連法令等による
規制等
※:各項目の番号は、以降に示す章や見出し項目の番号に対応する。
図 1-1 本章の構成
2
文献
統計資料
2. 生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全に係る環境要素
動物、植物、生態系 の確認
2.1 動植物の生息・生育環境、生態系(典型性)
2.1.1 陸域環境
(1) 調査内容
陸域における動植物の生息・生育環境は、準備書で生物の生息・生育基盤となる環境のま
とまりや広がりとそこに依存する生物群集を整理し、環境類型区分を整理することを目的と
して、地形・地質、植生、林齢、歴史的変遷、陸域の生物群集などを整理して、図 2-1 に示
す陸域環境ベースマップを作成している。
対象事業実施区域周辺における準備書以降の陸域環境の状況を把握するため、表 2-1 に示
すとおり、調査手法、調査時期も合わせて陸域環境ベースマップ作成に係る現地調査を実施
した。今回作成した陸域ベースマップを基に、準備書との状況を比較することにより、準備
書以降の陸域環境の状況を確認した。
表 2-1 陸域環境ベースマップの現地調査の手法、内容及び実施状況
項目
調査すべき
情報
調査地域
・調査地点
現地調査の
内容
調査期間・
調査時期
内容
生息・生育環境の状況(植生、植物群落階層構造等)
概ね足羽川ダム集水域及びその周辺の区域
1.踏査
空中写真の判読及び現地踏査によってベースマップを作成した。
調査時期
調査年度
春季
夏季
秋季
冬季
平成 18 年度 5/1∼4,
5/15,16
平成 24 年度
(今回調査) 5/7∼10
3
現地調査
手法
1.踏査
1.踏査
(2) 陸域環境の状況(調査結果)
現地調査結果に基づく準備書以降(平成 24 年 5 月)の陸域環境ベースマップを図 2-2 に示
す。また、植生区分の分布状況について表 2-2 に示す。
準備書以降の調査の結果、落葉広葉樹林及び、スギ・ヒノキ植林において低木林から若齢
林への成長を示す変化があった。落葉広葉樹林で約 4%、スギ・ヒノキ植林で約 8%の変化であ
った。
準備書以降、陸域において環境は樹木の成長に伴う経時的な変化があったが、各植生区分
の変化は小さい。
表 2-2 植生区分の分布状況の変化
No.
凡例
落葉広葉樹林
1
(壮齢林)
2
落葉広葉樹林
(若齢林)
3
落葉広葉樹林
(低木林)
4
スギ・ヒノキ植林
(壮齢林)
5
6
①準備書時点
面積
割合
(ha)
(%)
938
②準備書以降
面積
割合
(ha)
(%)
②-①
面積
割合
(ha)
(%)
3.9
938
3.9
0
0.0
10,244 43.1
11,305
47.5
1,061
4.4
1,931
8.1
1,009
4.2
-922 -3.9
26
0.1
18
0.1
-8
0.0
スギ・ヒノキ植林
(若齢林)
6,533 27.5
8,440
35.5
1,907
8.0
スギ・ヒノキ植林
(低木林)
2,207
9.3
276
1.2
-1,931 -8.1
7 伐採跡地群落
268
1.1
231
1.0
-37 -0.1
8 荒地雑草群落
127
0.5
80
0.3
-47 -0.2
-31 -0.1
9
耕作地
(水田)
1,056
4.4
1,025
4.3
10
耕作地
(畑地)
14
0.1
16
0.1
2
0.0
11
12
13
14
集落、施設
人工裸地
自然裸地
開放水面
263
8
12
104
1.1
0.0
0.1
0.4
268
1
11
105
1.1
0.0
0.0
0.4
5
-7
-1
1
0.0
0.0
0.0
0.0
50
0.2
50
0.2
0
0.0
2
23,783
0.0
100
5
23,783
0.0
100
3
0
0.0
0.0
15 ササ草原
16 人工草地
面積総計
4
特徴
調査地域南部の越美山地植物区に位
置し、長期的に維持されてきた環境で
ある。面積は比較的狭いが、まとまっ
て分布している。
主に標高 500m 以上の山地に広く分布
し、長期的に維持されてきた環境であ
る。面積は広い。
主に標高 500m 以上の山地に広く分布
し、長期的に維持されてきた環境であ
る。面積は広い。
山地の比較的標高の低い地域に位置
しており、長期的に維持されてきた環
境である。面積は狭い。
山地の比較的標高の低い地域に位置
しており、長期的に維持されてきた環
境である。面積は広い。
山地にパッチ状に分布している。長
期的に維持されている環境ではない。
面積は広い。
山地にパッチ状に分布している。人
為的な影響により維持されてきた期間
は様々である。面積は狭い。
河川沿いにパッチ状に分布してい
る。人為的な影響により維持されてき
た期間は様々である。面積は狭い。
主に河川沿いの平地に分布してお
り、長期的に維持されてきた環境であ
る。面積は広い。
主に河川沿いの平地に分布してい
る。人為的な影響により維持される期
間は様々である。面積は狭い。
―
―
―
―
主に高標高部に位置しており、長期
的に維持されてきた環境である。面積
は狭い。
―
―
(空白:ページ調整)
5
植生区分
凡例
図 2-1
陸域環境ベースマップ
(準備書:平成 18 年 5 月)
6
植生区分
凡例
図 2-2
陸域環境ベースマップ
(準備書以降:平成 24 年 5 月)
7
(3) 生態系(典型性・陸域)の状況
陸域の生態系(典型性)は、準備書において動植物の生息・生育環境及びそこに生息・生育
する生物群集により表現される典型性を、
「落葉広葉樹林(壮齢林)」、
「落葉広葉樹林(壮齢林以
外)」、「スギ・ヒノキ植林」、「耕作地(水田)」の4つに分類し、図 2-3 及び表 2-4 のとおり事
業による環境影響を予測評価している。
準備書以降の調査では、陸域環境ベースマップにより、準備書同様に 4 区分の改変区域の変
化について確認した。結果を図 2-4 及び表 2-3 に示す。
「落葉広葉樹林(壮齢林)」では、準備書以降も準備書時点の 938ha と全く同じであったが、
「落葉広葉樹林(壮齢林以外)」では準備書時点の 12,175ha から 12,314ha と 139ha(約 0.5%)
増加した。また「スギ・ヒノキ植林」では準備書時点の 8,766ha から 8,734ha と 32ha(約 0.1%)
減少し、「耕作地(水田)」では準備書時点の 1,056ha から 1,025ha と 31ha(約 0.1%)減少し
た。以上より、準備書以降において、環境類型区分としてみると、
「落葉広葉樹林(壮齢林以外)」
が増加し、「スギ・ヒノキ植林」、「耕作地(水田)」が減少していた。
また準備書以降の改変区域の変化をみると、
「落葉広葉樹林(壮齢林)」、
「落葉広葉樹林(壮齢
林以外)」、「スギ・ヒノキ植林」は変化なく、「耕作地(水田)」は 4ha(0.5%)減少していた。
表 2-3 陸域の典型的な生息・生育環境の改変の程度
①準備書時点
(平成 18 年 5 月)
生息・生育環境
落葉広葉樹林
(壮齢林)
落葉広葉樹林
(壮齢林以外)
スギ・ヒノキ植林
耕作地
(水田)
全体
(ha)
②準備書以降
(平成 24 年 5 月)
改変区 改変率
域(ha) (%)
全体
(ha)
改変区 改変率
域(ha) (%)
②-①
改変区
域の変
化(ha)
改変率
の変化
(%)
938
0
0.0
938
0
0.0
0
0.0
12,175
19
0.2
12,314
19
0.2
0
0.0
8,766
78
0.9
8,734
78
0.9
0
0.0
1,056
44
4.2
1,025
48
4.7
-4
0.5
注)1.全体とは調査範囲内の面積を示す。
2.改変区域とは、ダム堤体、ダム洪水調節地、施工設備、建設発生土処理場、原石山、付替道路及び工
事用道路等により改変される陸域の典型的な生息・生育環境の面積を算出した。
8
表 2-4
項目
準備書における生態系(典型性:陸域)の予測結果の概要
予測結果の概要
地 典 陸 落葉広葉
域 型 域 樹林(壮齢
を 性
林)
特
落葉広葉
徴
樹林(壮齢
づ
林以外)
け
る
生
態
系
「落葉広葉樹林(壮齢林)」は、対象事業の実施により改変される範囲は
ないことから、現況が変化することはなく残存すると考えられる。
「落葉広葉樹林(壮齢林以外)」は、対象事業の実施により、ダム洪水調
節地、建設発生土処理場、付替県道及び付替町道等の出現する範囲が、
当該環境に生息・生育する生物群集の生息・生育環境として適さなくな
ると考えられる。しかし、改変される面積は 19ha(0.2%)と小さく、大部
分が広くまとまりをもって残存する。消失する環境の周辺には、消失す
る環境と同様の落葉広葉樹林(壮齢林以外)が広く存在し、ダム洪水調節
地の左右岸に分布する大きなまとまりはほとんど分割されない。さらに、
残存する区域においては、樹林の階層構造や植生の分布状況に変化は生
じない。このように、「落葉広葉樹林(壮齢林以外)」は大部分が残存し、
樹林の階層構造や植生の分布状況に変化は生じないことから、そこに生
息・生育する生物群集の構成にも大きな変化はないと考えられる。
スギ・ヒノ 「スギ・ヒノキ植林」は、対象事業の実施により、ダム堤体、ダム洪水
調節地、建設発生土処理場、付替県道及び付替町道等の出現する範囲が、
キ植林
当該環境に生息・生育する生物群集の生息・生育環境として適さなくな
ると考えられる。しかし、改変される面積は 78ha(0.9%)と小さく、大部
分が広くまとまりをもって残存する。消失する環境の周辺には、消失す
る環境と同様のスギ・ヒノキ植林が広く存在し、ダム洪水調節地の左右
岸に分布する大きなまとまりはほとんど分割されない。さらに、残存す
る区域においては、樹林の階層構造や植生の分布状況に変化は生じない。
このように、
「スギ・ヒノキ植林」は大部分が残存し、樹林の階層構造や
植生の分布状況に変化は生じないことから、そこに生息・生育する生物
群集の構成にも大きな変化はないと考えられる。
「耕作地(水田)」は、対象事業の実施により、ダム洪水調節地、建設
耕作地(水
発生土処理場等の出現する範囲が、当該環境に生息・生育する生物群集
田)
の生息・生育環境として適さなくなると考えられる。しかし、改変され
る面積は 44ha(4.2%)と小さく、大部分が広くまとまりをもって残存する。
消失する環境の周辺には、消失する環境と同様の耕作地(水田)が広く存
在する。さらに、残存する区域においては、植生の分布状況に変化は生
じない。このように、
「耕作地(水田)」は大部分が残存し、植生の分布状
況に変化は生じないことから、そこに生息・生育する生物群集の構成に
も大きな変化はないと考えられる。
陸域生態系への影響を、地域に代表的な生物群集及びその生息・生育環境の保全
が地域の生態系の保全の指標になるという観点から予測した。
その結果「落葉広葉樹(壮齢林)(典型性)」、「落葉広葉樹(壮齢林以外)(典型性)」、
「スギ・ヒノキ植林(典型性)」、
「耕作地(水田)(典型性)」は維持されると考えられ、
また哺乳類の移動は維持されると考えられることから、地域の生態系は維持される
と考えられる。
9
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
図 2-3 陸域環境類型区分(準備書:平成 18 年 5 月)
10
図 2-4 陸域環境類型区分(準備書以降:平成 24 年 5 月)
11
2.1.2 河川環境
(1) 調査内容
河川域における動植物の生息・生育環境は、準備書で生物の生息・生育基盤となる環境の
まとまりや広がりとそこに依存する生物群集を整理し、環境類型区分を整理することを目的
として、河床勾配、河川幅、河川形態、河床構成材料、河川植生、河川横断工作物の設置の
状況、歴史的変遷、河川域の生物群集などを整理して、図 2-5 に示す河川域環境ベースマッ
プを作成している。
対象事業実施区域周辺における準備書以降の河川環境の状況を把握するため、表 2-5 に示
すとおり、調査手法も合わせて河川環境ベースマップ作成に係る現地調査を実施した。
今回作成した最新の河川環境ベースマップを基に、準備書との状況を比較することにより、
準備書以降の河川環境の状況を確認した。
表 2-5 河川環境ベースマップの現地調査の手法、内容及び実施状況
項目
調査すべき
情報
調査地域
・調査地点
現地調査の
内容
調査期間・
調査時期
内容
生息・生育環境の状況(河川植生、護岸の状況、河川横断工作物、河川形態等)
足羽川ダム集水域内の河川、ダム下流の部子川及び流入河川、下流の天神橋までの足
羽川並びに導水施設下流の河川に加え、導水施設周辺の区域
1.踏査
踏査により、河川植生、護岸の状況、河川横断工作物、河川形態等を把握した。
2.コドラート法
河川植生の区分ごとにコドラートを設置し、コドラート内に生育する構成種の被
度・群度を記録した。
調査時期
現地調査
調査年度
手法
春季
夏季
秋季
冬季
平成 14 年度
11/11∼30 12/12
1.踏査
10/16∼29
1.踏査
平成 18 年度
11/7∼11
2.コドラート法
平成 24 年度
1.踏査
5/7∼11
(今回調査)
12
(2) 河川環境の状況(調査結果)
現地調査結果に基づく準備書以降(平成 24 年 5 月)の河川域環境ベースマップを図 2-6 に
示す。また、準備書において、水位変動による植生の影響予測が実施された代表 6 箇所(福
島、朝谷、白粟、稲荷、上小畑、宮谷)の詳細な河川環境ベースマップ(拡大図)を図 2-7
に示す。
準備書の河川環境ベースマップの環境類型区分(「山間部の里山を流れる河川」、
「渓流的な
河川」及び「源流的な河川」)を比較すると、表 2-6 に示すとおり区分延長に変化はなかった。
次に、準備書(平成 18 年 10,11 月)から準備書以降(平成 24 年 5 月)の河床型、自然植
生区分の面積比較を表 2-7∼表 2-10 に示す。
準備書以降の調査の結果、足羽川の天神橋より上流では、草本群落が 7.4%、自然裸地が
-8.0%、早瀬が 6.4%、淵が-3.6%の変化であった。
「山間部の里山を流れる河川」に着目す
ると草本群落が 9.9%、自然裸地が-11.1%、早瀬が 9.4%、淵が-5.3%の変化であった。
「渓
流的な河川」では、草本群落が 4.7%、自然裸地が-5.4%、早瀬が 3.6%、淵が-1.5%の変化
であった。また「源流的な河川」では、草本群落が 3.3%、自然裸地が-1.9%、早瀬が 1.2%、
淵が-1.4%の変化であった。
特に「山間部の里山を流れる河川」では、自然裸地が減少して草本群落が増加している。
この要因は、平成 16 年 7 月の福井豪雨以降、大きな出水の記録がないことから、河川の撹乱
が少なかったことにより、植生遷移が進行したためと考えられる。
また「山間部の里山を流れる河川」では、他の環境類型区分と比較して準備書と比べて淵
が減少し、早瀬が増加したことから、自然裸地部分が削られて河床が低くなり、浅くなった
ことが考えられる。この要因は自然的要因も考えられるが、河道内の掘削や護岸の整備等の
河川工事(主に天神橋から下新橋周辺の間)が行われたことも考えられる。
このほか、河川横断工作物は図 2-6 に示す水海川上流の「源流的な河川」に、平成 19 年度
に治山ダム(福井県)が新たに設置されていた。
表 2-6 河川域の典型的な生息・生育環境の変化
生息・生育環境
源流的な河川
渓流的な河川
山間部の里山を流れる河川
流路長(km)
準備書時点
準備書以降
(平成 18 年 10,11 月) (平成 24 年 5 月)
54.8
38.6
39.1
13
54.8
38.6
39.1
変化の割合
(%)
0.0%
0.0%
0.0%
表 2-7 河床型及び河川植生区分の分布状況の変化(全体)
No.
凡例
①準備書時点
面積
割合
(ha)
(%)
②準備書以降
面積
割合
(ha)
(%)
②-①
面積
割合
(ha)
(%)
1 淵
66.6
14.6
50.2
11.0
-16.4
-3.6
2 平瀬
54.2
11.9
56.5
12.3
2.3
0.5
3 早瀬
25.8
5.7
55.2
12.1
29.4
6.4
4 自然裸地
70.8
15.5
34.6
7.6
-36.2
-8.0
5 草本群落
76.5
16.8
110.5
24.1
34.0
7.4
6 木本群落
113.5
24.9
113.1
24.7
-0.4
-0.2
7 その他
面積総計
48.8 10.7
456.2 100.0
37.9
8.3
458.0 100.0
-10.9
1.8
-2.4
0.0
特徴
主に「山間部の里山を流れる河
川」の河床型の中で占める面積が広
く、長期的に維持されてきた環境で
ある。面積は広い。
主に「山間部の里山を流れる河
川」の河床型の中で占める面積が広
く、長期的に維持されてきた環境で
ある。面積は広い。
主に「渓流的な河川」「源流的な
河川」の河床型の中で占める面積が
広く、長期的に維持されてきた環境
である。面積は広い。
河川敷にパッチ状に分布してい
る。長期的に維持されている環境で
はない。面積は狭い。
河川沿いにパッチ状に分布して
いる。人為的な影響や河川の撹乱に
より維持されてきた期間は様々で
ある。面積は広い。
主に「渓流的な河川」「源流的な
河川」に位置しており、長期的に維
持されてきた環境である。面積は広
い。
―
注)1.面積の集対象は、足羽川天神橋より上流の河川域である。
2.「山間部の里山を流れる河川」とは足羽川中流部・水海川下流部、
「渓流的な河川」とは足羽川上流部、水
海川上流部、部子川、割谷川、赤谷川下流部、
「源流的な河川」とは足羽川源流部及び部子川、水海川、割
谷川、赤谷川の各源流部である。
3.その他の中には、人工構造物、人工裸地などが含まれている。
14
表 2-8 各環境類型区分における河床型及び河川植生区分の分布状況の変化
(山間部の里山を流れる河川)
No.
1
2
3
4
5
6
7
凡例
淵
平瀬
早瀬
自然裸地
草本群落
木本群落
その他
面積総計
①準備書時点
②準備書以降
②-①
面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%)
56.1
22.2
42.6
16.8
-13.5
-5.3
40.5
16.0
43.9
17.4
3.4
1.4
7.2
2.8
31.0
12.3
23.8
9.4
49.7
19.6
21.6
8.5
-28.1
-11.1
38.6
15.3
63.7
25.2
25.1
9.9
25.2
10.0
23.9
9.4
-1.3
-0.5
35.8
14.1
26.3
10.4
-9.5
-3.7
253.1
100.0
253.0
100.0
-0.1
0.0
注)1.「山間部の里山を流れる河川」とは足羽川中流部・水海川下流部である。
表 2-9 各環境類型区分における河床型及び河川植生区分の分布状況の変化
(渓流的な河川)
No.
1
2
3
4
5
6
7
凡例
淵
平瀬
早瀬
自然裸地
草本群落
木本群落
その他
面積総計
①準備書時点
②準備書以降
②-①
面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%)
8.4
6.8
6.6
5.3
-1.8
-1.5
10.8
8.7
9.4
7.5
-1.4
-1.2
11.2
9.0
15.8
12.6
4.6
3.6
17.6
14.2
11.0
8.8
-6.6
-5.4
24.0
19.4
30.1
24.1
6.1
4.7
45.1
36.4
46.0
36.8
0.9
0.4
6.9
5.6
6.2
5.0
-0.7
-0.6
124.0
100.0
125.1
100.0
1.1
0.0
注)1.「渓流的な河川」とは足羽川上流部、水海川上流部、部子川、割谷川、赤谷川下流部である。
表 2-10 各環境類型区分における河床型及び河川植生区分の分布状況の変化
(源流的な河川)
No.
1
2
3
4
5
6
7
凡例
淵
平瀬
早瀬
自然裸地
草本群落
木本群落
その他
面積総計
①準備書時点
②準備書以降
②-①
面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%)
2.1
2.7
1.0
1.3
-1.1
-1.4
2.9
3.7
3.2
4.0
0.3
0.3
7.4
9.4
8.4
10.5
1.0
1.2
3.5
4.4
2.0
2.5
-1.5
-1.9
13.9
17.6
16.7
20.9
2.8
3.3
43.2
54.6
43.2
54.1
0.0
-0.5
6.1
7.7
5.4
6.8
-0.7
-1.0
79.1
100.0
79.9
100.0
0.8
0.0
注)1.「源流的な河川」とは足羽川源流部及び部子川、水海川、割谷川、赤谷川の各源流部である。
15
福島
朝谷
上小畑
白粟
宮谷
稲荷
河川横断工作物
拡大図作成地点
図 2-5
河川環境ベースマップ
(準備書:平成 18 年 10,11 月)
16
福島
朝谷
上小畑
白粟
稲荷
宮谷
治山ダム
(県 H19 年度)
河川横断工作物
拡大図作成地点
図 2-6
河川環境ベースマップ
(準備書以降:平成 24 年 5 月)
17
18
図 2-7 (1) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書)
(福島地点:足羽川)
1-3(2006)
1-3(2012)
1-1(2012)
1-1(2006)
自然裸地の減少
草本群落の増加
1-4
1-3
1-1
自然裸地、その他
の減少
淵の増加
1-5
19
1-4(2006)
1-4(2012)
1-5(2006)
1-5(2012)
1-2
1-2(2006)
1-2(2012)
図 2-7(2) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書以降)(福島地点:足羽川)
20
図 2-7(3) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書)(朝谷地点:足羽川)
自然裸地、その他の減少
草本群落の増加
1-1(2006)
1-1
1-2(2006)
1-2(2012)
1-2
1-3
1-1(2012)
21
1-3(2006)
1-3(2012)
1-4(2006)
1-4
1-4(2012)
自然裸地、その他の減少
草本群落の増加
図 2-7(4) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書以降)(朝谷地点:足羽川)
22
図 2-7(5) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書)(白粟地点:足羽川)
1-1(2006)
1-1(2012)
23
自然裸地の減少
草本群落の増加
1-1
図 2-7(6) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書以降)(白粟地点:足羽川)
24
図 2-7(7) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書)(稲荷地点:足羽川)
自然裸地の減少
草本群落の増加
1-1(2006)
1-1(2012)
25
1-1
図 2-7(8) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書以降)(稲荷地点:足羽川)
26
図 2-7(9) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書)(上小畑地点:部子川流域)
1-2
1-1
1-3(2006)
1-1(2012)
1-2(2006)
1-2(2012)
平瀬の減少
早瀬の増加
1-3
27
1-1(2006)
1-3(2012)
1-4
1-5
1-4(2006)
1-4(2012)
1-5(2006)
図 2-7(10) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書以降)
(上小畑地点:部子川流域)
1-5(2012)
28
図 2-7(11) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書)
(宮谷地点:水海川)
1-1
29
1-2
1-1(2006)
1-1(2012)
1-2(2006)
1-2(2012)
1-3(2006)
1-3(2012)
自然裸地の減少
草本群落の増加
1-4(2006)
1-4(2012)
1-3
図 2-7(12) 河川環境ベースマップ調査拡大図(準備書以降)
(宮谷地点:水海川)
1-4
(3) 生態系(典型性・河川域)の状況
河川域の生態系(典型性)は、準備書において動植物の生息・生育環境及びそこに生息・生育する生
物群集により表現される典型性を、
「源流的な河川」
、
「渓流的な河川」
、
「山間部の里山を流れる河川」
の3つに分類し、表 2-11 及び表 2-12 のとおり事業による環境影響を予測評価している。
準備書以降の調査では、
「源流的な河川」
、
「渓流的な河川」
、
「山間部の里山を流れる河川」の流路長
には変化はなく、直接改変される流路長にも変化はなかった。
なお準備書では、ダム・導水施設の供用に伴い、ダム・分水堰下流河川の流況が変化することにより、
河道内の冠水頻度が変化し、河川植生が変化することが想定されているため、ダム・分水堰下流河川の
流況の変化による冠水頻度の変化の把握と、それに伴う生育環境及び生育種の予測に関する直接改変以
外の予測を行っているが、本資料では流況確認までとして河床変動、冠水頻度は調査していない。
表 2-11 河川域の典型的な生息・生育環境の変化
流路長(km)
①準備書時点
(平成 18 年 10,11 月)
生息・生育環境
全体
(km)
源流的な河川
渓流的な河川
山間部の里山を流れる河川
54.8
38.6
39.1
直接
改変
(km)
1.5
7.6
0.0
改変率
(%)
2.7
19.8
0.0
②−①
②準備書以降
(平成 24 年 5 月)
全体
(km)
54.8
38.6
39.1
直接
改変
(km)
1.5
7.6
0.0
改変率
(%)
2.7
19.8
0.0
直接改
変の流
路長の
変化
0.0km
0.0km
0.0km
改変率
の変化
0.0%
0.0%
0.0%
注)1.全体とは調査範囲内の流路長を示す。
2. 対象事業により改変される流路長は、ダム堤体、ダム洪水調節地、施工設備、建設発生土処理場により改変される河
川域の典型的な生息・生育環境の流路を算出した。
30
表 2-12 (1) 準備書における生態系(典型性:河川域)の予測結果の概要
項目
予測結果の概要
地 典 河 源
「源流的な河川」は足羽川、部子川、水海川、割谷川及び赤谷川の支川を含む最上流部に
域 型 川 流 位置しており、ダム洪水調節地や建設発生土処理場等の出現により、約 1.5km の区間が改変
を 性 域 的 される。しかし改変される区間は源流的な河川の最下流部に限られ、大半は対象事業実施区
特
な 域よりも上流に残存し、かつ残存する区間の新たな分断は生じないと考えられる。
徴
また、導水施設周辺の区域では、地下水の水位の低下により、地表面を流れる表流水の流
河
づ
量が減少する可能性があるが、環境保全措置として「高透水ゾーンの透水性を低下させる工
川
け
法の採用」を実施することで、地下水の水位の低下量が低減され、表流水の流量の減少の程
る
度が低減されると考えられる。また、導水施設周辺の区域以外にも同様の環境が分布してい
生
ることから、魚類等の生息環境の変化は小さいと考えられる。
態
以上のことから「源流的な河川及びそこに生息・生育する生物群集により表現される典型
系
性」は維持されると考えられる。
「渓流的な河川」は足羽川及び水海川上流部並びに部子川、割谷川及び赤谷川の下流部に
渓
流 位置しており、ダム堤体、ダム洪水調節地、建設発生土処理場等の出現により、約 7.6km の
的 区間が改変される。部子川においてはダム堤体及びダム洪水調節地をはさんでその上流部及
な び下流部に分かれるが、現状においても、砂防堰堤や床止め等の横断工作物により分断され
ていることから、新たな生息環境の分断は生じないと考えられる。
河
「渓流的な河川」の一部は、ダム堤体及び分水堰の下流に位置することから、下流側の区
川
間については直接改変以外の影響に伴う生息・生育環境の変化が想定される。
流況の変化については、水際のツルヨシ等に対する冠水頻度は現況と大きく変わらないた
め、生育環境が概ね維持されると考えられる。
土砂供給の変化については、ダム下流の部子川では規模の大きい出水時に礫が掃流されて
粗粒化又は露岩化したり、出水後、河床勾配が緩い場所で一時的に細粒材料が堆積したりす
ることで、一部の種の生息環境や産卵環境として適さなくなる可能性があるが、上記の区間
以外にも渓流的な河川は広く分布していることから、魚類群集及び底生動物群集は維持され
ると考えられる。なお、分水堰下流の河川では河床構成材料に大きな変化は生じないと考え
られる。
水質の変化では、土砂による水の濁り、水温、BOD、pH の変化が想定される。工事の実施
に伴う水質の変化については、試験湛水以外の期間には、SS 及び pH の変化は小さいと予測さ
れる。試験湛水の期間には、一時的な SS の上昇が収束したあとには生息環境が回復するもの
と考えられる。また、試験湛水時の春季から初夏に水温の変化がみられるため、魚類等の産
卵等の時期がずれる可能性が考えられるが、水温の変化は試験湛水時の 1 回に限られること
から、長期的には魚類等の生息環境は維持されると考えられる。試験湛水による BOD の変化
は小さいと予測される。供用開始後の土砂による水の濁りについては、ダム下流の部子川で
影響が想定されるが、パターン 1 洪水時には一時的な SS の上昇が収束したあとには生息・生
育環境が回復するものと考えられる。パターン 2 洪水では濁水耐性が低い種については一時
的に SS が上昇することで、生息に影響が生じる可能性が考えられるが、ダム下流の部子川以
外にも渓流的な河川は広く分布している。また、SS 濃度が環境基準値を超過する日数はダム
建設前と比較して大きな変化がない。これらのことから、魚類、底生動物、付着藻類等の生
息・生育環境は維持されると考えられる。
以上のことから「渓流的な河川及びそこに生息・生育する生物群集により表現される典型
性」は維持されると予測される。
31
環境保全措置
工事の 土地又は
実施 工作物の
存在及び
供用
−
−
−
−
表 2-12(2) 準備書における生態系(典型性:河川域)の予測結果の概要
項目
予測結果の概要
地 典 河 山
「山間部の里山を流れる河川」は足羽川の中流部及び水海川の下流部に位置しており、
域 型 川 間 対象事業実施区域より下流に位置するため、直接改変される区間はなく、連続性について
を 性 域 部 も現況が変化することはなく、残存すると考えられる。
特
「山間部の里山を流れる河川」の一部はダム堤体及び分水堰の下流に位置することか
の
徴
ら、下流側の区間については直接改変以外の影響に伴う生息・生育環境の変化が想定され
里
づ
る。
山
け
流況の変化については、水際のツルヨシや自然裸地等に対する冠水頻度は現況と大きく
を 変わらないため、生育環境が概ね維持されると考えられる。
る
流
生
土砂供給の変化については、ダム下流の足羽川では、規模の大きい出水の後に、部子川
れ との合流点付近に細粒土砂が堆積するが、一時的なものであり、これより下流の河川では
態
る 河床構成材料に大きな変化は生じないことから、魚類群集及び底生動物群集は維持される
系
河 と考えられる。なお、分水堰下流の河川では河床構成材料に大きな変化は生じないと考え
川 られる。
水質の変化では、土砂による水の濁り、水温、BOD、pH の変化が想定される。工事の実
施に伴う水質の変化については、試験湛水以外の期間には、SS 及び pH の変化は小さいと
予測される。試験湛水の期間には、一時的な SS の上昇が収束したあとには生息環境が回
復するものと考えられる。試験湛水期間が中間の年、試験湛水期間が長い年には春季に水
温の低下がみられるため、魚類等の産卵等の時期がずれる可能性が考えられるが、水温の
変化は試験湛水時の 1 回に限られることから、長期的には魚類等の生息環境は維持される
と考えられる。試験湛水による BOD の変化は小さいと予測される。供用開始後の土砂によ
る水の濁りについては、ダム下流の足羽川で影響が想定されるが、パターン 1 洪水やパタ
ーン 2 洪水を経ても、魚類等の生息・生育環境の変化は小さい、または一時的な SS の上
昇が収束したあとには生息・生育環境が回復するものと考えられる。また、SS 濃度が環境
基準値を超過する日数はダム建設前と比較して大きな変化がない。これらのことから、魚
類、底生動物、付着藻類等の生息・生育環境は維持されると考えられる。なお、一部の濁
水耐性が低い種については一時的に SS が上昇することで、生息に影響が生じる可能性が
考えられるが、ダム下流の足羽川以外にも山間部の里山を流れる河川は分布していること
から生息環境は維持されると考えられる。
以上のことから「山間部の里山を流れる河川及びそこに生息・生育する生物群集により
表現される典型性」は維持されると予測される。
以上に示したように、河川域生態系への影響を、地域に代表的な生物群集及びその生息・生
育環境の保全が地域の生態系の保全の指標になるという観点から予測した。
その結果、河川域の 3 つの生息・生育環境及びそこに生息・生育する生物群集により表現さ
れる典型性は維持されると考えられたことから、地域の生態系は維持されると考えられる。
なお、ダム洪水調節地内は、試験湛水に伴い一時的に湛水域が形成され、試験湛水終了後に
は陸域・河川域が出現する。これらの環境は試験湛水による影響が生じた後、出水時に繰り返
される冠水により、ダム建設前と比べて変化することが想定される。
「ダム洪水調節地内の陸域」は、試験湛水によって標高の低い場所に生育している植生が枯
死するが、供用後、平常時には水を貯留しないため、植生が回復していくと考えられる。
既往知見より、スギ植林、コナラ群落、ケヤキ群落は 30 日程度の冠水であれば枯死しない
と考えられることから、標高が高く、試験湛水による冠水日数が 30 日未満の場所ではこれら
の植生が生残するものと考えられる。
試験湛水によって植生が枯死した場所では、草地や先駆的樹木からなる樹林を経て、長期的
には河川に依存しないコナラ群落やケヤキ群落等に遷移すると考えられる。既往知見より、コ
ナラ群落やケヤキ群落は 30 日程度の冠水に耐えられることから、出水による貯水で数時間か
ら数日冠水した場合にも、生育可能であると考えられる。なお、足羽川ダム周辺ではスギ植林
も広く確認されているが、スギは人為的に植林等の整備を行わない限り、先駆的樹木からなる
樹林の後には生育しないと考えられる。
また、「ダム洪水調節地内の河川域」は供用後、平常時には水を貯留しないため、河川の状
態となる。
(続く)
32
環境保全措置
工事の 土地又は
実施 工作物の
存在及び
供用
−
−
−
−
表 2-12(3) 準備書における生態系(典型性:河川域)の予測結果の概要
項目
地域 典 河
を特 型 川
徴づ 性 域
ける
生態
系
予測結果の概要
(続き)
ダム洪水調節地内の部子川では、規模の大きい出水時の貯留により、流下する礫や砂、シル
トといった材料の多くが一時的にダム洪水調節地内に堆積する。その後、堆積した河床構成材
料のうち粒径の小さい砂やシルトは出水後の放流時に掃流されるほか、後に発生する中小規模
の出水によっても掃流されるという現象が繰り返し生じる。ダム洪水調節地内で確認された魚
類のうち、上流域や支流域にも生息環境が広がっているアブラハヤ、タカハヤ、ウグイ、アジ
メドジョウ、イワナ、ヤマメ及びカジカについては、試験湛水や供用後の出水における湛水時
に上流域や支流域に退避していた個体が、平常時には戻り、ダム洪水調節地内の一部に成立し
ている生息環境や産卵環境を利用する可能性が考えられる。底生動物については、試験湛水や
供用後の出水における湛水時に生息状況が変化すると考えられるが、平常時には、移動能力の
ある水生昆虫を中心にダム洪水調節地内の一部に成立している生息環境に生息する可能性が
考えられる。
ダム洪水調節地内の河川の河岸には、ツルヨシ群落や自然裸地が分布している。ツルヨシ群
落は試験湛水により枯死するものの、試験湛水直後に速やかに回復し、河川沿いで長期的に生
育が維持されると考えられる。
また、河岸の一部で細粒分の堆積が起こった場合には、タチヤナギ、ヤマミゾソバ、キツリ
フネ、ツリフネソウや、イグサ科、ホシクサ科等が生育し、河川沿いの細粒分の堆積した場所
で長期的に生育が維持されると考えられる。
33
環境保全措置
工事の 土地又は
実施 工作物の
存在及び
供用
−
−
2.2 動植物の生息・生育状況
2.2.1 動物
(1) 準備書以降の調査内容
動物の生息状況は、準備書では現地調査の結果、哺乳類が 16 科 32 種、鳥類が 43 科 151 種、爬虫類
が 6 科 14 種、両生類が 6 科 15 種、魚類が 10 科 30 種、昆虫類が 293 科 2,901 種、底生動物が 111 科
323 種、その他の動物(クモ類)が 35 科 251 種、その他の動物(陸産貝類)が 20 科 67 種確認されて
いる。
準備書では、表 2-13 に示す基準とした文献等により学術上又は希少性の観点から、動物の重要な種
を選定し、生息状況の予測・評価を実施している。
準備書以降の調査では、準備書において事業による影響を受ける可能性があると予測され、環境保
全措置を行うとした鳥類のクマタカ及び魚類のアジメドジョウの 2 種を対象として、表 2-14 及び表
2-15 のとおり準備書以降も継続して現地調査を実施した。
準備書以降の調査において、当該種以外にも確認された種を整理し、新たな予測・評価が必要とな
る重要な種の有無を確認した。
表 2-13 準備書における動物の重要な種の基準に係る文献
a:文化財保護法に基づき指定された天然記念物及び特別天然記念物、福井県文化財保護条例、福井市文化財
保護条例、池田町文化財保護条例に基づき指定された天然記念物
b:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づき定められた国内希少野生動植物種及び緊
急指定種
c: 「鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直しについて( 環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8886)」
(平成 18 年 12 月)
「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物Ⅰ及び植物Ⅱのレッドリストの見直しについて(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8648)」
(平成 19 年 10 月)
d:「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井県レッドデータブック(動物編)−(福井県 平成 14 年 3 月)」
e:その他専門家により指摘された重要な種(コテングコウモリ)
34
表 2-14 鳥類の重要な種の現地調査の手法、内容及び実施状況
項目
調査すべき
情報
調査地域
・調査地点
現地調査の
内容
調査期間・
調査時期
内容
鳥類の重要な種(クマタカ)
概ね足羽川ダム集水域及びその周辺の区域
1.定点観察
調査地域にあらかじめ設定した調査地点において、双眼鏡や直視型望遠鏡を用いて観察を行い、ク
マタカの生息状況を確認した。調査地点はクマタカを効率よく発見、観察できる地点に設置した。
2.踏査等(クマタカ)
調査地域を踏査し、クマタカの営巣木の位置や繁殖状況を確認した。調査は、早朝及び昼間に行った。
調査
調査時期
現地調査
年度
手法
春季
夏季
秋季
冬季
平成
4/21∼4/25
6/23∼6/27
9/1∼9/5
2/16∼2/20
1.定点観察
20 年度 5/5∼5/9
6/30∼7/4
10/6∼10/10
3/2∼3/6
2.踏査等
5/12∼5/16
7/7∼7/11
10/15,16
3/9∼3/13
5/19∼5/23
7/28∼8/1
10/27∼10/31
11/10∼11/14
平成
4/20∼4/24
6/1∼6/5
10/19∼10/23
12/7∼12/11
1.定点観察
21 年度 4/27∼5/1
8/10∼8/14
11/9∼11/13
2/1∼2/5
2.踏査等
8/24∼8/28
2/8∼2/12
2/8∼2/12
平成
4/26∼4/30
6/7∼6/11
10/18∼10/22
11/8∼11/12
1.定点観察
22 年度
8/9∼8/13
2/14∼2/18
2.踏査等
2/21∼2/25
平成
4/11∼4/15
6/20∼6/24
10/3∼10/7
2/13∼2/17
1.定点観察
23 年度
8/22∼8/26
2/20∼2/24
2.踏査等
平成
24 年度
4/16∼4/20
6/11∼6/15
8/20∼8/24
8/27∼8/31
10/1∼10/5
10/8∼10/12
−
1.定点観察
2.踏査等
表 2-15 魚類の重要な種の現地調査の手法、内容及び実施状況
項目
内容
調査すべき情 魚類の重要な種(アジメドジョウ)
報
調査地域・調査 足羽川、部子川及び支川合流部付近
地点
現地調査の内 生息状況及び生息環境調査
容
エレクトロフィッシャー(電撃捕漁器)による捕獲により確認を行った。調査は昼間に行った。
調査期間・調査
調査
調査時期
現地調査手法
時期
年度
春季
夏季
秋季
冬季
平成
8/16∼20
捕獲(エレクトロフィッシャー(電
−
−
−
22 年度
8/23,24
撃捕漁器))
35
(2) クマタカの生息状況
クマタカの定点観察及び踏査の調査結果は、図 2-8 に示す。また確認状況を表 2-16 に、準備書での予
測結果の概要を表 2-17 に示す。
準備書以降、事業の影響を受ける可能性があると予測されたクマタカの生息を目視により、計 2,526
地点で確認した。また、クマタカの出現状況、個体識別、繁殖関連行動等により 10 つがい(A つがい、
A2 つがい、B つがい、B2 つがい、C つがい、D つがい、E つがい、F つがい、G つがい、H つがい)の生息
を確認し、その分布状況に変化はなかった。
表 2-16 クマタカの確認状況
期間
確認時期
確認場所
【全体の確認場所】
落葉広葉樹林(壮齢林、若齢林、低木林)、
スギ・ヒノキ植林(壮齢林、若齢林、低木林)、
伐採跡地群落、荒地雑草群落、耕作地(水田、
畑地)、集落及び施設、人工裸地、自然裸地、
開放水面、ササ草原、人工草地
【狩りに関する行動の確認場所】
落葉広葉樹林(若齢林、低木林)、スギ・ヒ
ノキ植林(壮齢林、若齢林、低木林)、伐採跡
地群落、荒地雑草群落、耕作地(水田、畑地)、
集落及び施設、開放水面
平成 7 年 1 月∼3 月
平成 7 年 4 月、6 月、平成 8 年 2 月、
3月
平成 8 年 5 月∼12 月、平成 9 年 1 月、
3月
平成 9 年 4 月∼6 月、9 月∼12 月、平
成 10 年 1 月、3 月
平成 10 年 4 月、5 月、7 月∼12 月、
平成 11 年 1 月、3 月
平成 11 年 4 月∼12 月、平成 12 年 1
月∼3 月
平成 12 年 4 月∼8 月、11 月、12 月、
平成 13 年 1 月∼3 月
準
備
平成 13 年 4 月∼8 月、10 月∼12 月、
書
平成 14 年 1 月∼2 月
平成 14 年 4 月∼7 月、9 月∼12 月、
平成 15 年 1 月∼2 月
平成 15 年 4 月∼7 月、10 月∼12 月、
平成 16 年 1 月∼2 月
平成 16 年 6 月∼12 月、平成 17 年 1
月∼3 月
平成 17 年 5 月∼9 月、11 月、平成 18
年 1 月∼3 月
平成 18 年 4 月∼12 月、平成 19 年 1
月∼3 月
平成 19 年 4 月∼7 月、9 月、11 月、
平成 20 年 2 月、3 月
平成 20 年 4 月、5 月、7 月、9 月∼11 【全体の確認場所】
月、平成 21 年 2 月、3 月
落葉広葉樹林(若齢林、低木林)、スギ・ヒ
平成 21 年 4 月∼6 月、8 月、10 月∼ ノキ植林(壮齢林、若齢林、低木林)、伐採跡
準
地群落、耕作地(水田、畑地)、集落及び施設、
12 月、平成 22 年 2 月
備
平成 22 年 4 月、6 月、8 月、10 月、 開放水面、人工草地
書
以
【狩りに関する行動の確認場所】
11 月、平成 23 年 2 月
降
落葉広葉樹林(若齢林、低木林)、スギ・ヒ
平成 23 年 4 月、6 月、8 月、10 月、
ノキ植林(若齢林、低木林)、伐採跡地群落、
平成 24 年 2 月、
耕作地(水田)、集落及び施設
平成 24 年 4 月、6 月、8 月、10 月
注)1.確認地点が多いことから、確認状況は、確認時期ごとにまとめて記載した。
2.確認場所は、確認場所全体、狩りに関連する行動の確認場所に区分して示した。
3.確認場所に示した植生区分は、確認位置を植生図と重ね合わせて抽出したものである。
36
確認状況
目視により 105 地点で確認。
目視により 124 地点で確認。
目視により 255 地点で確認。
目視により 279 地点で確認。
目視により 173 地点で確認。
目視により 434 地点で確認。
目視により 1008 地点で確認。
目視により 1339 地点で確認。
目視により 1077 地点で確認。
目視により 935 地点で確認。
目視により 745 地点で確認。
目視により 868 地点で確認。
目視により 1449 地点で確認。
目視により 580 地点で確認。
目視により 847 地点で確認。
目視により 551 地点で確認。
目視により 447 地点で確認。
目視により 312 地点で確認
目視により 369 地点で確認。
表 2-17 準備書における動物の重要な種の予測結果の概要(クマタカ)
項目
動 鳥 クマタカ
物 類
予測結果の概要
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された落葉広葉樹林及びスギ・
ヒノキ植林の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さな
くなると考えられる。また、直接改変以外の影響(建設機械の稼働等)により、工
事区域及びその近傍は本種の生息環境として適さなくなる可能性があると考えら
れる。しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布す
ることから、本種の生息は維持されると考えられる。つがい別にみると、予測地
域に生息するクマタカ 10 つがいのうち、B2 つがいについては、コアエリアが改
変区域から離れていることから、対象事業による影響は想定されない。A2 つがい、
C つがい、E つがい及び H つがいについては、コアエリア内の生息環境の一部が改
変されるものの、行動圏の内部構造の改変の程度は小さく、狩り場環境及び営巣
環境は広く残される。また、営巣地が改変区域から離れていることから、工事の
実施に伴う生息環境の変化は小さく、つがいは生息し繁殖活動は維持されると考
えられる。A つがい、B つがい、D つがい、F つがい及び G つがいについては、コ
アエリア内の生息環境の一部が改変されるものの、行動圏の内部構造の改変の程
度は小さく、狩り場環境及び営巣環境は広く残されることから、長期的にはつが
いは生息し、繁殖活動は維持されると考えられる。しかし、工事の一部が繁殖テ
リトリー内でも実施されること、営巣地から改変区域までの距離が比較的近いこ
とから、建設機械の稼働に伴う騒音等の発生、作業員の出入り、工事用車両の運
行による生息環境の変化によって、繁殖成功率が低下する可能性があると考えら
れる。なお、クマタカの予測の詳細については、
「6.1.9 生態系」の上位性に示し
た。
注)1.表中の予測結果の概要の中の「 」数字は、準備書の項目番号を示す。
37
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
○
−
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-8 (1) クマタカの確認位置/ペア別
(準備書:平成6 年1 月∼平成20 年10 月)
38
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-8(2) クマタカの確認位置/ペア別
(準備書以降:平成 20 年 11 月∼平成 24
年 10 月)
39
(3) アジメドジョウの生息状況
アジメドジョウの調査結果は、表 2-18、表 2-19 及び図 2-9 に示す。また、準備書での予測結果の
概要を表 2-20 に示す。
準備書以降、事業の影響を受ける可能性があると予測されたアジメドジョウの生息を捕獲により、
足羽川、部子川などの計 16 地点で、123 個体を確認した。
準備書以降の調査の結果、上味見川合流点(No.27)のほか、芦見川合流点(No.22)
、部子川合流
点(No.30)などの地点で多くの個体を確認したほか、準備書の調査と隣接した 5 地点でも、平成 22
年 8 月に計 22 個体の生息を確認した。アジメドジョウを確認した地点は、足羽川や部子川と支川と
の合流点や伏流水の確認地点周辺である。なお伏流水確認地点については、事前に河川地形(護岸の
隙間、中州、河岸の巨石の下など)から河川内に顕著な水温差が存在する箇所とした。
表 2-18 アジメドジョウの確認状況
期間
確認時期
確認状況
準備書
昭和 60 年 9 月
部子川の 1 地点で、捕獲により 1 個体を確認。確認された環境は瀬であった。
平成 3 年 9 月
部子川、水海川の 3 地点で、タモ網により 5 個体を確認。
平成 8 年 5 月
平成 8 年 9 月
平成 11 年 5 月
足羽川、部子川の 3 地点で、タモ網により 3 個体を確認。
足羽川の 1 地点で、投網、タモ網により 2 個体を確認。
足羽川、部子川の 5 地点で、タモ網、サデ網により 5 個体を確認。確認された環境は早瀬、平瀬、淵で、
河床は礫であった。
平成 11 年 9 月
足羽川、部子川の 8 地点で、タモ網、サデ網により 5 個体を確認。確認された環境は、早瀬、平瀬、淵
で、河床は礫であった。
平成11 年10 月
足羽川、部子川、水海川の 9 地点で、タモ網、サデ網により 21 個体を確認。確認された環境は、早瀬、
平瀬、淵で、河床は礫であった。
平成 13 年 5 月
足羽川の 1 地点でタモ網により 4 個体を確認。確認された環境は、平瀬、淵で、河床は細礫、中礫であ
った。
平成 13 年 8 月
足羽川、割谷川の 3 地点で、タモ網により 26 個体を確認。確認された環境は、早瀬、平瀬、淵で、河床
は細礫、粗礫、中礫、小石、中石であった。
平成13 年10 月
割谷川の 1 地点で、タモ網により 3 個体を確認。確認された環境は早瀬で、河床は粗礫、小石であった。
平成 17 年 8 月
足羽川の 2 地点で、タモ網により 4 個体を確認。確認された環境は瀬で、河床は礫、石であった。
平成 18 年 5 月
足羽川、部子川、割谷川の 4 地点でタモ網、潜水目視により 5 個体を確認。確認された環境は早瀬、淵、
河床は砂、細礫、中礫、粗礫、小石であった。
平成 18 年 8 月
足羽川、部子川、割谷川の 4 地点で、タモ網、潜水目視により 56 個体を確認。確認された環境は、早瀬、
平瀬、淵で、河床は砂、細礫、中礫、粗礫であった。
平成18 年10 月
足羽川、部子川の 2 地点で、タモ網により 3 個体を確認。確認された環境は、早瀬、平瀬、淵であり、
河床は、粗礫、中礫、小石であった。
平成 19 年 7 月
足羽川、割谷川の 2 地点で、タモ網により 14 個体を確認。確認された環境は、早瀬、平瀬、淵で、河床
は粗礫、中石であった。
平成 19 年 8 月
部子川の 1 地点で、タモ網により 2 個体を確認。確認された環境は早瀬で、河床は中礫、中石であった。
準備書
以降
平成19 年10 月
平成 22 年 8 月
割谷川の 1 地点で、タモ網により 3 個体を確認。確認された環境は淵で、河床は小石、中石であった。
足羽川、部子川の 16 地点で、エレクトロフィッシャー(電撃捕漁器)により 123 個体を確認。確認され
た環境は早瀬、平瀬、淵、河床は砂泥、小礫、中礫、大礫、巨礫であった。
注)1.確認地点が多いことから、確認状況は確認時期ごとにまとめて記載した。
2.確認地点は確認時期ごとにまとめており、他の時期と同一の地点も含んでいる。
3.アジメドジョウの好む生息環境の詳細を把握するため、タモ網の調査が難しい水深の深い約 1∼2m の淵や、大礫・巨礫(粒
径約 7cm 以上)の河床の箇所を対象とし、電撃捕漁器(エレクトロフィッシャー)による調査を実施した。使用にあたっ
ては、河川水辺の国勢調査 基本調査マニュアル(平成 18 年 3 月)に基づき留意した。
40
表 2-19 アジメドジョウの地点別確認個体数
地点
河川名
No.
1
19
20
21
22
2
23
24
3
25
26 足羽川
27
28
29
30
4
5
6
7
8
9
10
31
11 部子川
12
13
14
水海川
15
16
17 割谷川
18
準備書
S60
9月
H3
9月
H8
5月
9月
5月
H11
9月
10月
1
5月
H13
8月
10月
H17
8月
5月
H18
8月
10月
7月
H19
8月
10月
1
1
1
準備書
以降
H22
8月
3
3
6
3
15
0
0
4
5
1
3
46
3
0
13
1
2
1
2
2
2
4
1
17
2
23
8
1
1
3
2
1
9
4
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
1
22
2
2
2
3
1
10
2
3
13
3
7
表 2-20 準備書における動物の重要な種の予測結果の概要(アジメドジョウ)
項目
動 魚 アジメドジョウ
物 類
予測結果の概要
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された渓流的な河川の一部が改
変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
また、直接改変以外の影響(ダム・分水堰下流河川の土砂供給の変化、ダム下流
河川の水の濁り)により、渓流的な河川及び山間部の里山を流れる河川の一部は
本種の生息環境として適さなくなる可能性があると考えられる。なお、直接改変
以外の影響(水質の変化)による生息環境の変化は小さいと考えられる。
41
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
−
○
1
20
21
22
2
23
19
25
3
24
26
27
10
28
11
11
29
12
30
13
31
14
14
44
15
55
6
6
16
16
17
17
77
18
18
88
99
準備書時点で確認され、平成
22 年度に再確認された地点
:
準備書時点で確認さ
れ、平成
22 年度に再確認された地点
平成 22 年度の調査で新たに確認された地点
:
準備書時点で確認さ
れ、平成 22 年度に調査を行わなかった地点
平成 22
:
平成
22年度の調査で確認されなかった地点
年度の調査で新たに確認された地点
準備書時点で確認され、平成
22れなかった地点
年度に調査を行わなかった地点
:
平成
22 年度の調査で確認さ
図 2-9 アジメドジョウ確認地点
42
(4) 鳥類(猛禽類)・魚類の他の重要な種の生息状況
鳥類のクマタカ及び魚類のアジメドジョウを対象とした準備書以降の調査において、確認された調査
対象種以外の重要な種を表 2-21 に、準備書以降、鳥類のクマタカ調査時に確認された希少猛禽類及びヤ
マセミの確認状況を表 2-22 に示す。
鳥類は、クマタカを除く重要な種 48 種のうち、イヌワシ、オオタカ、サシバ等の猛禽類やヤマセミ
などで 27 種を確認した。また、準備書の現地調査において確認されていなかった鳥類のミゾゴイ、オオ
ヒシクイ、チュウヒの 3 種を確認した。
魚類は、アジメドジョウを除く重要な種 8 種のうち、3 種を確認した。この調査では新たな予測・評
価が必要となる重要な種はなかった。
準備書以降の調査において、クマタカ以外の希少猛禽類としてミサゴ、ハチクマ、オオタカ、ツミ、
ハイタカ、ノスリ、サシバ、イヌワシ、ハヤブサ、チョウゲンボウの 10 種が確認されており、サシバに
ついては新たに 4 箇所の営巣地が確認されたが、その他 9 種の営巣地は確認されていない。
このほか、準備書以降の調査において、ミゾゴイ、オオヒシクイ、チュウヒの 3 種が確認されている。
なお、ミゾゴイは環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類、福井県レッドデータブックで県域絶滅危惧Ⅰ類
に選定されている。またオオヒシクイは天然記念物であり、環境省レッドリストで準絶滅危惧、福井県
レッドデータブックで県域絶滅危惧Ⅰ類に選定されている。チュウヒは環境省レッドリストで絶滅危惧
ⅠB 類、福井県レッドデータブックで県域絶滅危惧Ⅱ類に選定されている。
準備書において予測対象とした種は、重要な種のうち現地調査で確認された種とされている。しかし、
鳥類のマガン、オジロワシ、ウズラ及びイワヒバリは、本来調査地域外に生息する種が一時的に飛来し
た可能性が高いと考えられることから、準備書では予測の対象としていない。
準備書以降の調査で確認されたミゾゴイ、オオヒシクイ、チュウヒは、準備書以降の期間において各
1 回のみの確認(ミゾゴイ:平成 24 年 8 月、オオヒシクイ:平成 20 年 10 月、チュウヒ:平成 22 年 10
月)であり、特にオオヒシクイ、チュウヒは、本来調査地域外に生息する種であり、一時的に飛来した
可能性が高いと考えられることから、マガン、オジロワシ、ウズラ及びイワヒバリと同様に、事業によ
る影響は極めて小さいと考えられる。またミゾゴイについては薄暗い林に生息する種であるが、足羽川
ダム周辺では初めての確認であり、本種の繁殖期(4∼7 月)を外れた時期の確認であることから、渡り
の時期に一時的に飛来した可能性が高いと考えられる。
<ミゾゴイ・オオヒシクイ・チュウヒの種の特性と生息状況>
○ミゾゴイ
・薄暗い森林に生息し、夜行性である。粗末な皿型の巣を樹上に造る。
・谷や沢筋、山ぎわの湖沼のふちなどで、サワガニ、ミミズ、魚類などを採餌する。
・福井県では観察例が少ないが、主に 4 ∼5 月に鳴き声が聞かれており、繁殖も確認されている。
○オオヒシクイ
・主に、開けた水田地帯で見られるが、河川や池沼も好む。
・ヒシクイの亜種で、日本にはユーラシア大陸北部より冬鳥として渡来する。
・福井県では、石川県加賀市片野の鴨池をねぐらとし、九頭竜川の下流域周辺の抽水植物群落や水田を餌場と
する個体群が渡来する。
○チュウヒ
注)1.「福井県の絶滅のおそれのある野生動物−福井県レッドデータブック(動物編)−(福井県,2002 年 3 月)」より引用
・北海道、本州中部以北の限られた地域の広いヨシ原で繁殖するが、多くは冬鳥として本州以南に渡来する。
・福井県では渡りの時期と冬期に渡来する。北潟湖、九頭竜川下流部、福井新港などで記録されている。
43
表 2-21 (1) 調査対象とした動物の重要な種(1/5)
確認状況
分
No.
類
1
2
3
哺
乳
類
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
鳥
類
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
新1
38
39
科名
種名
選定理由
直接改変以外の影
響要因
準備書
文献 事業者
以降の a
b
c
d
e
水質 流況 地下水
調査 の調査
調査
トガリネズミ科
カワネズミ
●
注目
○
ヒナコウモリ科
モモジロコウモリ
●
注目
○
ヒナコウモリ
●
Ⅱ類
ユビナガコウモリ
●
準絶
コテングコウモリ
●
○
○
テングコウモリ
●
Ⅱ類
→ − Ⅱ類
リス科
モモンガ
●
準絶
ヤマネ科
ヤマネ
●
天然
準絶
→ − 準絶
ウシ科
カモシカ
●
●
特天
サギ科
サンカノゴイ
●
IB 類
Ⅰ類
ミゾゴイ※
●
IB 類 →Ⅱ類 Ⅰ類
ササゴイ
●
●
●
準絶
○
チュウダイサギ(亜種)
●
●
準絶
○
チュウサギ
●
●
準絶
準絶
○
カモ科
マガン
●
天然
準絶
Ⅱ類
オオヒシクイ(亜種) ※
●
天然
準絶
Ⅰ類
コハクチョウ
●
準絶
オシドリ
●
●
●
不足
準絶
トモエガモ
●
●
Ⅱ類
Ⅱ類
ヨシガモ
●
準絶
カワアイサ
●
●
●
注目
○
タカ科
ミサゴ
●
●
準絶
Ⅰ類
○
ハチクマ
●
●
準絶
Ⅱ類
オジロワシ
●
天然
○
IB 類 →Ⅱ類 Ⅰ類
オオタカ
●
●
●
○
準絶
Ⅰ類
ツミ
●
●
●
準絶
ハイタカ
●
●
●
準絶
Ⅱ類
ノスリ
●
●
●
Ⅱ類
サシバ
●
●
●
Ⅱ類
準絶
クマタカ
●
●
●
○
IB 類
Ⅰ類
イヌワシ
●
●
天然
○
IB 類
Ⅰ類
チュウヒ※
●
●
IB 類
Ⅱ類
ハヤブサ科
ハヤブサ
●
●
○
Ⅱ類
Ⅱ類
チョウゲンボウ
●
●
準絶
キジ科
ウズラ
●
準絶 →Ⅱ類 注目
クイナ科
ヒクイナ
●
Ⅱ類 →準絶 Ⅰ類
タマシギ科
タマシギ
●
−
→Ⅱ類 Ⅱ類
チドリ科
コチドリ
●
●
●
準絶
○
○
イカルチドリ
●
●
Ⅱ類
○
○
ケリ
●
●
→不足
○
シギ科
イソシギ
●
●
●
準絶
○
○
ヤマシギ
●
準絶
○
○
備考)1. 種名欄の
は、準備書で予測の対象としていない種を示す。
2. 種名欄の
は、環境省第 4 次レッドリスト(平成 24 年 8 月 28 日公表)で新たに追加された種を示す。
3. 確認状況欄の※印は、準備書以降の事業者の調査(クマタカのモニタリング)で新たに確認されたものを示す。
(ミゾゴイ:H24.8 割谷川上流 飛翔、オオヒシクイ:H20.10 足羽川上流(土合皿尾)飛翔、チュウヒ:H22.10 大小屋山
飛翔を目視)
44
表 2-21(2) 調査対象とした動物の重要な種(2/5)
確認状況
分
類
No.
40
科名
フクロウ科
d
アオバズク
●
Ⅱ類
43
ヨタカ科
ヨタカ
●
●
●
44
カワセミ科
ヤマセミ
●
●
●
●
アカショウビン
●
●
46
ブッポウソウ科
ブッポウソウ
●
●
47
キツツキ科
オオアカゲラ
●
●
48
ヤイロチョウ科
ヤイロチョウ
49
サンショウクイ科 サンショウクイ
●
50
モズ科
チゴモズ
●
51
イワヒバリ科
イワヒバリ
●
●
Ⅱ類 →準絶
○
Ⅱ類
準絶
○
IB 類
Ⅰ類
Ⅱ類
Ⅱ類
IA 類
Ⅱ類
Ⅱ類
カヤクグリ
●
●
注目
53
ウグイス科
セッカ
●
●
準絶
54
ヒタキ科
コサメビタキ
●
●
●
準絶
55
カササギヒタキ科 サンコウチョウ
●
●
●
準絶
56
キバシリ科
キバシリ
57
ホオジロ科
ノジコ
●
●
●
58
ムクドリ科
コムクドリ
●
●
●
59
イシガメ科
イシガメ
●
●
60
スッポン科
スッポン
●
61
ヘビ科
タカチホヘビ
●
●
注目
シロマダラ
●
●
注目
ヒバカリ
62
流況 地下水
準絶
●
●
水質
Ⅱ類
準絶
IB 類
●
e
準絶
42
●
○
注目
準絶
Ⅱ類
注目
○
不足 →準絶
不足
●
●
サンショウウオ科 クロサンショウウオ
●
●
準絶
注目
注目
○
○
注目
ヒダサンショウウオ
●
●
準絶
○
○
66
イモリ科
イモリ
●
●
準絶
○
○
67
ヒキガエル科
ナガレヒキガエル
●
●
準絶
○
○
○
65
トノサマガエル
●
●
-
68
ヤツメウナギ科
スナヤツメ
●
●
Ⅱ類
Ⅱ類
69
ウナギ科
ウナギ
●
不足
準絶
70
コイ科
ヤリタナゴ
71
ドジョウ科
アジメドジョウ
●
●
●
Ⅱ類
Ⅱ類
○
72
アカザ科
アカザ
●
●
●
Ⅱ類
Ⅱ類
○
73
サケ科
イワナ(ニッコウイワナ)
●
●
不足
Ⅱ類
○
ヤマメ
●
●
準絶
Ⅱ類
○
Ⅱ類
Ⅱ類
○
準絶
準絶
○
新 2 アカガエル科
74
昆
虫
類
c
準絶
64
魚
類
b
●
63
両
生
類
a
オオコノハズク
52
爬
虫
類
コノハズク
準備書
文献 事業者
以降の
調査 の調査
調査
●
●
41
45
鳥
類
種名
直接改変以外の影
響要因
選定理由
●
75
メダカ科
メダカ
●
●
76
カジカ科
カジカ
●
●
77
イトトンボ科
モートンイトトンボ
78
カワトンボ科
アオハダトンボ
●
79
ムカシトンボ科
ムカシトンボ
●
→準絶
○
準絶
●
●
●
準絶
−
●
→準絶
準絶
注目
45
○
○
表 2-21(3) 調査対象とした動物の重要な種(3/5)
確認状況
分
No.
類
昆
虫
類
科名
種名
準備書
文献 事業者
以降の
調査 の調査
調査
●
80 エゾトンボ科
エゾトンボ
81 トンボ科
マイコアカネ
82 クロカワゲラ科
ユキクロカワゲラ
●
83 バッタ科
a
b
c
d
注目
●
注目
カワラバッタ
●
オオアシナガサシガメ
●
新 4 ガガンボモドキ科
ホシガガンボモドキ
84 ナガレトビケラ科
オオナガレトビケラ
85 セセリチョウ科
86 タテハチョウ科
87
オオムラサキ
●
●
88 アゲハチョウ科
ギフチョウ
●
●
→準絶
●
-
→不足
●
準絶
スジグロチャバネセセリ
●
準絶
ウラギンスジヒョウモン
●
準絶
オナガミズアオ
スキバホウジャク
●
新 7 ヒトリガ科
シロホソバ
●
新8
ヤネホソバ
新 9 ドクガ科
スゲドクガ
新 10 ヤガ科
キシタアツバ
●
福井市
準絶
準絶
準絶
Ⅱ類
Ⅱ類
●
-
→準絶
●
-
→Ⅱ類
-
→準絶
●
-
→準絶
●
-
→準絶
●
-
→準絶
●
アヤヘリガガンボ
90
キバラガガンボ
●
注目
91
ヒメハスオビガガンボ
●
注目
92 アミカ科
オオバヒメアミカ
●
注目
93 カ科
トワダオオカ
●
注目
94 クサアブ科
ネグロクサアブ
●
95 ハナアブ科
スズキナガハナアブ
新 11 オサムシ科
チョウセンゴモクムシ
●
ハクサンホソヒメクロオサムシ
●
96
注目
不足
●
注目
-
→Ⅱ類
●
注目
アイヌハンミョウ
●
ゲンゴロウ
●
新 13
ケシゲンゴロウ
●
-
→準絶
新 14 ミズスマシ科
ミズスマシ
●
-
→Ⅱ類
新 15 ガムシ科
ガムシ
●
-
→準絶
新 16
シジミガムシ
●
-
→ⅠB 類
新 12 ハンミョウ科
97 ゲンゴロウ科
98 クワガタムシ科
マグソクワガタ
99 コガネムシ科
オオチャイロハナムグリ
●
●
100 ヒメドロムシ科
アヤスジミゾドロムシ
●
101
ケスジドロムシ
102 カミキリムシ科
ヨツボシカミキリ
103
アサカミキリ
-
○
→準絶
準絶 →Ⅱ類
準絶
注目
準絶
準絶
●
Ⅱ類 →ⅠB 類
●
準絶 →Ⅱ類
●
Ⅱ類 →ⅠB 類
●
○
Ⅱ類
104 ヒゲナガゾウムシ科 ナガフトヒゲナガゾウムシ
●
注目
105 カギバラバチ科
ザウターカギバラバチ
●
Ⅱ類
106 シリアゲコバチ科
オキナワシリアゲコバチ
●
107 セイボウ科
ミヤマツヤセイボウ
●
オオセイボウ
●
新 17
流況 地下水
→Ⅱ類
89 ガガンボ科
●
水質
準絶
●
-
新 6 スズメガ科
e
注目
●
新 3 サシガメ科
新 5 ヤママユガ科
直接改変以外の影
響要因
選定理由
●
Ⅱ類
不足
●
-
46
Ⅰ類
→不足
表 2-21(4) 調査対象とした動物の重要な種(4/5)
確認状況
分
No.
類
科名
準備書
文献 事業者
以降の
調査 の調査
調査
●
108 アリ科
ケブカツヤオオアリ
109
ツノアカヤマアリ
●
新 18
トゲアリ
●
新 19 スズメバチ科
キオビホオナガスズメバチ
●
新 20
ヤマトアシナガバチ
●
新 21
モンスズメバチ
●
チャイロスズメバチ
●
スギハラベッコウ
●
ガロアギングチ
ニトベギングチ
新 24
新 25 ドロバチモドキ科
a
b
c
d
-
→不足 Ⅱ類
-
→不足 Ⅰ類
●
-
→Ⅱ類
●
-
→不足
●
-
→不足
-
→不足
-
→不足
●
-
→不足
●
不足
フクイジガバチモドキ
●
-
→不足
ヤマトスナハキバチ
●
-
→不足
112 アナバチ科
フジジガバチ
●
-
→準絶 準絶
113
フクイアナバチ
●
●
準絶
クロマルハナバチ
●
●
-
→準絶
イカズチキマダラハナバチ
●
マイマイツツハナバチ
●
-
→不足
115 タニシ科
マルタニシ
●
116
オオタニシ
●
110
昆 新 22 ベッコウバチ科
虫
新 23 ギングチバチ科
類
111
新 26 ミツバチ科
114
新 27 ハキリバチ科
新 28 モノアラガイ科
底
生
動
物
種名
直接改変以外の影
響要因
選定理由
コシダカヒメモノアラガイ
準絶
準絶
●
準絶
→Ⅱ類 準絶
●
-
●
準絶
○
→不足
モノアラガイ
●
●
不足
119 イシガイ科
マツカサガイ
●
準絶
Ⅱ類
120
カタハガイ
●
Ⅱ類
Ⅱ類
121 シジミ科
マシジミ
122 マメシジミ科
フクイマメシジミ
●
●
123 グロシフォニ科
スクナビル
124 ムカシトンボ科
ムカシトンボ
125 トワダカワゲラ科
ミネトワダカワゲラ
126 クロカワゲラ科
ユキクロカワゲラ
新 29 アミカ科
129
新 30 ゲンゴロウ科
130 ミズスマシ科
オオナガレトビケラ
カニアミカ
オオバヒメアミカ
キボシケシゲンゴロウ
コオナガミズスマシ
ク 131 カネコトタテグモ科 カネコトタテグモ
モ
キノボリトタテグモ
類 132 トタテグモ科
●
●
○
○
準絶
ヒラマキミズマイマイ
128 ナガレトビケラ科
流況 地下水
Ⅱ類
118 ヒラマキガイ科
127 ヒロムネカワゲラ科 ミヤマノギカワゲラ
水質
Ⅱ類
117
●
●
●
e
準絶
○
準絶 →Ⅱ類
Ⅱ類
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
不足
●
準絶
●
準絶
注目
○
○
注目
注目
○
注目
準絶
-
→Ⅱ類
注目
47
-
→不足
-
→Ⅱ類
注目
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
表 2-21(5) 調査対象とした動物の重要な種(5/5)
確認状況
分
No.
類
科名
種名
133 ゴマオカタニシ科
ゴマオカタニシ
134 ヤマタニシ科
トウカイヤマトガイ
135 イツマデガイ科
ヤママメタニシ
文献
調査
●
136 ホソアシヒダナメクジ科 イボイボナメクジ
137 オカモノアラガイ科
ナガオカモノアラガイ
138 キバサナギガイ科
ナガナタネガイ
139
ヤマトキバサナギガイ
140 キセルガイモドキ科
クリイロキセルガイモドキ
新 31 キセルガイ科
オオギセル
141
シリオレトノサマギセル
142
キョウトギセル
新 32
エルベリギセル
143 オオコウラナメクジ科 オオコウラナメクジ
陸
産
貝
類
144
ヤマコウラナメクジ
145 ベッコウマイマイ科
オオヒラベッコウ
146
ミドリベッコウ
147
ヒラベッコウガイ
148
ハクサンベッコウ
−
ハクサンベッコウ属
149
レンズガイ
150
ヒメハリマキビ
151
スジキビ
152
オオウエキビ
153
タカキビ
154
ヒメカサキビ
155 ニッポンマイマイ科
エチゼンビロウドマイマイ
156
ケハダビロウドマイマイ
157
トウカイビロウドマイマイ
158
ヒメビロウドマイマイ
159
160
ココロマイマイ
コシタカコベソマイマイ
161
ヤマタカマイマイ
162 オナジマイマイ科
準備書
事業者
以降の
の調査
調査
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
b
c
●
d
e
水質 流況
準絶
Ⅱ類
Ⅱ類 →Ⅰ類 Ⅱ類
準絶
Ⅱ類
地域
Ⅱ類
Ⅱ類
準絶
-
準絶
→準絶
準絶
Ⅱ類
●
●
●
●
●
●
●
●
-
Ⅰ類
→不足
準絶
準絶
準絶
Ⅱ類
不足
不足
Ⅱ類
不足
不足
(不足)
Ⅱ類
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
カンムリケマイマイ
●
●
●
●
●
163
オオミケマイマイ
●
●
164
コケラマイマイ
●
165
ハクサンマイマイ
●
166
コガネマイマイ
●
●
ミヤマヒダリマキマイマイ
●
●
167
a
準絶
●
●
直接改変以外の影
響要因
選定理由
準絶
準絶
不足
準絶
準絶
不足
Ⅱ類
準絶
準絶
不足
Ⅱ類
Ⅱ類
準絶
Ⅱ類
準絶
Ⅱ類
Ⅱ類
Ⅱ類
準絶
Ⅱ類
Ⅱ類
準絶
Ⅱ類
注)1.分類体系
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、底生動物、クモ類:原則として「河川水辺の国勢調査のための生物リス
ト [ 平 成 20 年 度 版 ]( 水 情 報 国 土 デ ー タ 管 理 セ ン タ ー 河 川 環 境 デ ー タ ベ ー ス ( 河 川 水 辺 の 国 勢 調
査)http://www3.river.go.jp/system/seibutsuList.htm#) 」2)に従った。
陸産貝類:原則として「日本産野生生物目録−本邦産野生動植物の種の現状−(無脊椎動物Ⅲ)(環境庁 平成 10 年 12 月)」
3)
に従った。
2.選定理由
a:文化財保護法に基づき指定された天然記念物及び特別天然記念物、福井県文化財保護条例、福井市文化財保護条例、池
田町文化財保護条例に基づき指定された天然記念物
特天:国指定特別天然記念物
天然:国指定天然記念物
48
地下
水
福井市:福井市文化財保護条例による天然記念物
b:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づき定められた国内希少野生動植物種及び緊急指定種
○:国内希少野生動植物種
c:「鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直しについて(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8886)」及び「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物Ⅰ及び
植物Ⅱのレッドリストの見直しについて(環境省 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8648)」掲載種、な
お赤字については、「第4次レッドリストの公表について(お知らせ)」(平成 24 年 8 月 28 日)(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15619)の掲載種
IA 類:絶滅危惧 IA 類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)
IB 類:絶滅危惧 IB 類(IA 類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)
Ⅱ類:絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い
将来「絶滅危惧Ⅰ類」のランクに移行することが確実と考えられるもの。
準絶:準絶滅危惧(存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」
として上位ランクに移行する要素を有するもの)
不足:情報不足(評価するだけの情報が不足している種)
地域:絶滅のおそれのある地域個体群(地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの)
d:「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井県レッドデータブック(動物編)−(福井県 平成 14 年 3 月)」6)掲載種
Ⅰ類:県域絶滅危惧Ⅰ類(絶滅の危機に瀕している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野
生での存続が困難なもの)
Ⅱ類:県域絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、
近い将来「県域絶滅危惧Ⅰ類」のランクに移行することが確実と考えられるもの。
準絶:県域準絶滅危惧(存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危
惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの)
注目:要注目(評価するだけの情報が不足している種。地域的に孤立しており、地域レベルでの絶滅のおそれが高い個
体群)
なお、「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井県レッドデータブック(動物編)−(福井県 平成 14 年 3 月)」6)
ではクモ類を対象としていない。
e:その他専門家により指摘された重要な種
○:その他専門家により指摘された重要な種
コテングコウモリ:専門家の指摘により、足羽川ダム周辺では貴重な種であることから重要な種として取り扱う。
3.評価書における予測対象種からの除外理由(167 種→100 種)
・文献調査で生息情報があるが、現地調査で生息が確認されなかった種は予測地域内に生息していないと判断し、予測
の対象としなかった。
ただし、両生類のクロサンショウウオ、陸産貝類のヤマコウラメクジ及びコシタカコベマイマイについては、専門家
の意見により予測地域内の生息の可能性が高いとし、予測の対象とした。
・鳥類のミゾゴイ、マガン、オオヒシクイ(亜種)、オジロワシ、チュウヒ、ウズラ及びイワヒバリ、昆虫類のマイコア
カネ及びゲンゴロウについては本来調査地域外に生息する種が一時的に飛来した可能性が高いと考えられることから、
予測の対象としなかった。
・現地で確認された際に詳細な確認地点等についての情報がなく、その後十分な調査を実施したものの確認されなかっ
た鳥類のコハクチョウ、トモエガモ、タマシギ、イワヒバリ(本来調査地域外に生息する種が一時的に飛来した可能
性が高い種としてもあげられている)及びノジコ、昆虫類のモートンイトトンボ、ウラギンスジヒョウモン、キバラ
ガガンボ及びヨツボシカミキリ、陸産貝類のヤマトキバサナギガイ、オオヒラベッコウ、ヒメカサキビ及びエチゼン
ビロウドマイマイについては、予測地域内を主要な生息地としていないと判断し、予測の対象としなかった。
・ハクサンベッコウ属(Nipponochlamys sp.)に属する種のうち、環境省第 4 次レッドリストにおいて Nipponochlamys
sp.はヨナグニベッコウ(新称)(与那国島に生息)とされている。なお、ハクサンベッコウ属(Nipponochlamys sp.)
には、ハクサンベッコウも含まれていることから、準備書ではハクサンベッコウのランクを( )で表示している。
49
表 2-22(1) 重要な鳥類の確認状況(重要な猛禽類及びヤマセミ)
種名
ミサゴ
ハチクマ
オオタカ
ツミ
準備書
確認
主な確認状況
地点数
75
採餌行動が 7 回、餌運びが 2
回確認されたが、それ以外は
ほとんど上空飛翔個体の確
認で、主に 4 月から 11 月に
確認された。
536
確認時期は 4 月から 10 月で
あり、特に春季及び秋季の渡
り期の確認が多い。現地調査
で営巣地は確認されていな
いが、平成 14 年 7 月及び平
成 19 年 6 月に餌運びが確認
されている。
675
ほぼ通年確認されており、現
地調査で営巣地は確認され
ていないが、平成 8 年 8 月、
平成 13 年 8 月、平成 19 年 7
月に巣外育雛期(7∼8 月)の
幼鳥確認が、平成 13 年 5 月、
平成 14 年 7 月、平成 18 年 4
月、6 月に繁殖期(2∼8 月)
の餌運びが、平成 13 年 8 月
に餌 or 巣材運びが確認され
ている。
174
ほぼ通年確認されており、現
地調査で幼鳥や営巣地は確
認されていないが、平成 16
年 6 月、7 月、平成 17 年 5 月、
6 月、平成 18 年 5 月、6 月に、
繁殖期(4∼7 月)の餌運びが
確認されている。
ハイタカ
629
ノスリ
49
主に越冬期を中心に、ほぼ通
年確認されている。現地調査
では巣外育雛期の幼鳥確認
や営巣地は確認されていな
いが、平成 13 年 5 月,6 月、
平成 14 年 7 月、平成 15 年 7
月、平成 19 年 5 月に繁殖期
(5∼7 月)の餌運びが確認さ
れている。
主に越冬期を中心に、繁殖期
後期に当たる6,7 月を除きほ
ぼ通年確認されているが、幼
鳥や営巣地は確認されてお
らず、繁殖に関わる行動も確
認されていない。
繁殖の
可能性
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
準備書以降
確認
主な確認状況
地点数
45
採餌行動が 7 回確認され
たが、それ以外はほとん
ど上空飛翔個体の確認
で、主に 4 月から 10 月に
確認された。
69
確認時期は 4 月から10 月
であり、特に春季及び秋
季の渡り期の確認が多
い。現地調査で営巣地は
確認されていないが、繁
殖期(5∼8 月)の時期に
飛翔が確認されている。
131
ほぼ通年確認されてお
り、現地調査で営巣地は
確認されていないが、平
成 21 年 8 月、平成 22 年 8
月、平成 24 年 8 月に巣外
育雛期(7∼8 月)の幼鳥
確認が、平成 21 年 6 月に
繁殖期(2∼8 月)の餌運
びが確認されている。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
384
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
264
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
90
50
繁殖の
可能性
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
ほぼ通年確認されてお
り、現地調査で幼鳥や営
巣地は確認されていない
が、平成 20 年 5 月、7 月、
平成 21 年 4 月、6 月、平
成 22 年 4 月、6 月、平成
23 年 6 月に、繁殖期(4
∼7 月)の餌運びが確認さ
れている。
主に越冬期を中心に、ほ
ぼ通年確認されている。
現地調査で営巣地は確認
されていないが、本種の
繁殖期(3∼8 月)に飛翔
が確認されている。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
主に越冬期を中心に
10,11,12,2,3,4,6 月に確
認されている。幼鳥や営
巣地は確認されておら
ず、繁殖に関わる行動も
確認されていない。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
表 2-22(2) 重要な鳥類の確認状況(重要な猛禽類及びヤマセミ)
種名
サシバ
準備書
確認
主な確認状況
地点数
234
確認時期は 4 月から 11 月で
あり、主に春季から夏季に確
認されている。営巣地が 1 地
区確認されているほか、平成
17 年 7 月、平成 18 年 7 月、
平成 19 年 7 月に巣外育雛期
の幼鳥が確認されている。
繁殖の
可能性
調査地域
で繁殖し
ている可
能性があ
る。
クマタカ
9371
年間を通じて生息が確認さ 調査地域
れており、現地調査では 10 で繁殖し
つがいの生息が確認されて ている。
いる。
イヌワシ
136
ハヤブサ
27
チョウゲン
ボウ
1
通年確認されており、現地調
査で営巣地は確認されてい
ないが、平成 14 年 7 月、平
成 15 年 7 月に餌運びが、平
成 13 年 12 月、平成 14 年 2
月に幼鳥が確認されている。
ほぼ通年確認されており、現
地調査で幼鳥や営巣地は確
認されていないが、平成 8 年
7 月に餌運びが確認されてい
る。
平成17 年3 月に飛翔個体が1
回確認されたのみであり、渡
り途中の通過個体が確認さ
れたものと考えられる。
ヤマセミ
529
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
準備書以降
確認
主な確認状況
地点数
580
確認時期は 4 月から10 月
であり、主に春季から夏
季に確認されている。営
巣地が 4 地区確認されて
いるほか、平成 20 年 7 月
に巣外育雛期(7 月)の幼
鳥が確認されている。準
備書以降に新たな巣が 4
巣確認された。
2526 年間を通じて生息が確認
されており、現地調査で
は10つがいの生息が確認
されている。準備書以降
に新たな巣が 3 巣確認さ
れた。
31
通年確認されているが、
営巣地や繁殖に関する行
動は確認されていない。
ほとんど上空飛翔個体の
確認であった。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
24
年間を通じて生息が確認さ 調査地域
れており、現地調査では 6 つ で繁殖し
がいの生息が確認されてい ている。
る。
100
注)1.データ期間
準備書:平成 6 年 1 月∼平成 20 年 3 月
準備書以降:平成 20 年 4 月∼平成 24 年 10 月
51
4
ほぼ通年確認されてお
り、現地調査で幼鳥や営
巣地は確認されていない
が、平成 20 年 5 月に餌運
びが確認されている。
平成 21 年 5 月,10 月に各
1 個体、平成 24 年 10 月に
2 個体、いずれも飛翔個体
が確認されたのみであ
り、一時的に飛来した個
体が確認されたものと考
えられる。
年間を通じて生息が確認
されており、平成 21 年 8
月に繁殖期(3∼8 月)の
幼鳥が、平成 24 年 4 月に
営巣地が 1 箇所確認され
ている。
繁殖の
可能性
調査地域
で繁殖し
ている。
調査地域
で繁殖し
ている。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
調査地域
で繁殖し
ている可
能性は低
い。
調査地域
で繁殖し
ている。
2.2.2 植物
(1) 準備書以降の調査内容
植物の生育状況は、準備書では現地調査の結果、種子植物・シダ植物が 152 科 1,333 種、付着藻類が 8
綱 194 種、その他の植物(蘚苔類)が 65 科 262 種、その他の植物(大型菌類)が 64 科 354 種確認されて
いる。
準備書では、表 2-23 に示す基準とした文献等により学術上又は希少性の観点から、植物の重要な種を選
定し、生育状況の予測・評価を実施している。
準備書以降の調査では、準備書において事業による影響を受ける可能性があると予測され、環境保全措
置等を行うとした種子植物・シダ植物の重要な種 10 種(ウスバサイシン、ヤマシャクヤク、イワウメヅル、
エゾナニワズ、ミゾハコベ、ミズマツバ、ミヤマタゴボウ、アブノメ、エビモ、アシウテンナンショウ)と蘇苔
類の重要な種1種(イチョウウキゴケ)を対象として、表 2-24 及び表 2-25 のとおり準備書以降も継続し
て現地調査を実施した。
表 2-23 準備書における植物の重要な種の基準に係る文献
a:文化財保護法に基づき指定された天然記念物及び特別天然記念物、福井県文化財保護条例、福井市文化財
保護条例、池田町文化財保護条例に基づき指定された天然記念物
b:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づき定められた国内希少野生動植物種及び緊
急指定種
c:「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物Ⅰ及び植物Ⅱのレッドリストの見直しについて(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8648)」
(平成 19 年 10 月)
d:「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井県レッドデータブック(植物編)−(福井県 平成 16 年 3 月)」
e:その他専門家により指摘された重要な種(カラハナソウ、オオイタドリ、オオバボダイジュ、エゾナニワ
ズ、オオバアサガラ、フトボナギナタコウジュ、フクイカサスゲ)
52
表 2-24 種子植物・シダ植物の重要な種の現地調査の手法、内容及び実施状況
項目
内容
調査すべき 種子植物・シダ植物の重要な種(準備書において環境保全措置及び事後調査が必要とされたウスバサ
情報
イシン、ヤマシャクヤク、イワウメヅル、エゾナニワズ、ミゾハコベ、ミズマツバ、ミヤマタゴボウ、
アブノメ、エビモ、アシウテンナンショウの10 種)
調査地域・
対象事業実施区域
調査地点
※調査の結果、生育が確認されなかった4 種(ヤマシャクヤク、ミヤマタゴボウ、アシウテンナン
ショウ、エビモ)のうち、対象事業実施区域以外で確認の記録がある3 種(ヤマシャクヤク、ア
シウテンナンショウ、エビモ)については、調査地域を拡大し、対象事業実施区域周辺の区域並
びに下流の天神橋までの足羽川、魚見川、水海川、上味見川を対象とした。
現地調査の 1.踏査
内容
調査地域を踏査し、目視観察により重要な種の生育状況を確認した。
調査期間・
調査
調査時期
現地調査手法
調査時期
年度
早春季
春季
夏季
秋季
冬季
平成
7/6∼8
重要な種調査
4/22∼24
−
9/14,10/13
−
21 年度
8/17∼19
1.踏査
平成
7/9
重要な種調査
4/27∼28
−
10/12
−
22 年度
8/19∼20
1.踏査
平成
7/11
重要な種調査
4/25∼26
5/17
−
−
23 年度
8/29∼30
1.踏査
平成
5/7∼9
8/16∼17
重要な種調査
4/24∼25
−
−
24 年度
6/28∼29
8/27
1.踏査
表 2-25 蘚苔類の重要な種の現地調査の手法、内容及び実施状況
項目
調査すべき
情報
調査地域・調
査地点
現地調査の
内容
調査期間・
調査時期
内容
蘚苔類の重要な種(準備書において環境保全措置及び事後調査が必要とされたイチョウウキゴケ 1
種)
対象事業実施区域
1.踏査
調査地域内を踏査し、目視観察により重要な種の生育状況を確認した。
調査
調査時期
年度
春季
夏季
秋季
冬季
平成
−
8/17∼19
−
−
21 年度
平成
−
8/19∼20
−
−
22 年度
平成
−
8/29∼30
−
−
23 年度
平成
8/16∼17
6/28∼29
−
−
24 年度
8/27
53
現地調査手法
重要な種調査
1.踏査
重要な種調査
1.踏査
重要な種調査
1.踏査
重要な種調査
1.踏査
(2) 植物の重要な種 11 種の生育状況
準備書以降の植物の重要な種 11 種(ウスバサイシン、ヤマシャクヤク、イワウメヅル、エゾナニワズ、
ミゾハコベ、ミズマツバ、ミヤマタゴボウ、アブノメ、エビモ、アシウテンナンショウ、イチョウウキ
ゴケ)の観察位置を、図 2-10∼図 2-20 に示す。また植物の重要な種 11 種の変化要因について表 2-26
に、準備書での予測結果の概要を表 2-27 に、植物の重要な種の生育個体数を表 2-28∼表 2-38 に示す。
準備書以降に準備書時点の確認地点数が減少した種は、
ヤマシャクヤク、
イワウメヅル、
エゾナニワズ、
ミゾハコベ、ミヤマタゴボウ、エビモ、アシウテンナンショウ、イチョウキゴケの 8 種であった。さら
に、この 8 種のうち、ヤマシャクヤク、ミヤマタゴボウ、アシウテンナンショウ、エビモの 4 種の準備
書作成においての確認地点は、準備書以降(平成 21 年∼平成 24 年)までの 4 年間、全く確認されてい
ない。
準備書以降に個体の消失や減少がみられた要因としては、準備書での確認が 1 株のみであったため、個
体の寿命と考えられるもの、出水等による流出や崩落等の自然的要因、また水田転用や草刈り等による
人的要因が考えられる。
このように減少する一方で、
対象事業実施区域以外の地域でアシウテンナンショウが 1 地点でのみ再確
認された。
準備書以降、個体が消失した種もあるが、陸域典型性(植生区分)に大きな変化はなく、生育環境が残
存していることから、準備書において確認された個体の生息環境は維持されていると考えられる。
なお、準備書以降の調査では表 2-39 に示すとおり、新たな予測・評価が必要となる重要な種はなかっ
た。
54
表 2-26 (1) 植物の重要な種の生育確認地点数及び生育確認個体数の変化(移植・表土撒きだし対象)
項目
準備書時点
地点数 個体数
1
7
準備書以降
地点数
個体数
0
0
主な変化要因
植 種 ヤマシャクヤク
生育箇所の崩落により消失した。
物 子 イワウメヅル
地点数では出水、河川改修、草刈りなどにより減少し
7
7
5
32
植
たが、個体数は増加した。
物 エゾナニワズ
出水により減少した地点もあるが、個体数は大幅に増
6
65
8
約 450
・
加した。
シ ミゾハコベ
準備書時点の確認地点では出水により消失したが、新
1
3
4
約 1200
ダ
規に 4 地点で確認され、個体数も大幅に増加した。
植 ミズマツバ
1
17
1
11
地点数、個体数ともにほとんど変化していない。
物 ミヤマタゴボウ
1
1
0
0
生育箇所の崩落により消失した。
アブノメ
1
500
1
1
地点数に変化はないが、出水により大幅に減少した。
エビモ
1
300
0
0
出水により消失した。
蘚
苔 イチョウウキゴケ
12
5
約 250 水田の休耕、転用などで地点数は減少した。
類
注)1.準備書の調査期間は昭和 63 年 8 月∼平成 19 年 11 月、準備書以降の調査は平成 21 年 4 月∼平成 24 年 8 月である。
2.表中の地点数は、対象事業実施区域内での地点数である。
3.イチョウウキゴケについては、準備書時点では生育確認のみで、生育個体数については記録していない。
4.準備書との確認株数の違いについては以下のとおりである。
a)イワウメヅルは準備書で 9 地点となっている。これは準備書記載地点のうち 3 地点が同一地点と判明したためであ
る。
b)ミズマツバは準備書で 4 地点となっている。これは隣接環境に生育する 4 地点を同地点として扱ったためである。
c)アブノメは準備書で 2 地点となっている。これは準備書時点で消失か明らかであった地点を除外したためである。
表 2-26(2) 植物の重要な種の生育確認地点数及び生育確認個体数の変化(監視調査対象)
項目
植 種子
物 植物
ウスバサイシン
準備書時点
地点数 個体数
3
170
準備書以降
地点数
個体数
3
約 170
主な変化要因
地点数、個体数ともに変化はない。
準備書時点でも1個体のみの確認であった
アシウテンナンショウ
1
1
0
0
ことから、生育個体の寿命で消失した。
注)1.準備書の調査期間は昭和 63 年 8 月∼平成 18 年 10 月、準備書以降の調査は平成 21 年 4 月∼平成 24 年 8 月である。
2.表中の地点数は、対象事業実施区域内での地点数である。
3.イワウメヅルについては、準備書で監視調査対象としていた 2 地点が、移植・表土播きだし対象の 1 地点と同地点
であることが判明したため、監視調査対象は存在しない、
。
55
表 2-27 準備書における植物の重要な種の予測結果の概要
項目
予測結果の概要
植 種 ウスバサイシン
物 子
植
物
・ ヤマシャクヤク
シ
ダ
植 イワウメヅル
物
直接改変による生育地点及び生育個体の消失は想定されない。一方、直接改変
以外の影響(改変区域付近及び土地又は工作物付近の環境の変化)に伴う生育環
境の変化により、本種の生育地点及び生育個体の多くが消失する可能性があると
考えられる。
直接改変により、本種の生育地点及び生育個体の多くが改変される。なお、直
接改変以外の影響(改変区域付近及び土地又は工作物付近の環境の変化)は想定
されない。
直接改変により本種の生育地点及び生育個体の多くが改変される。また、直接
改変以外の影響(改変区域付近及び土地又は工作物付近の環境の変化)に伴う生
育環境の変化により、本種の生育地点及び生育個体の多くが消失する可能性があ
ると考えられる。
エゾナニワズ
直接改変により、本種の生育地点及び生育個体の全てが改変される。
ミゾハコベ
直接改変により、本種の生育地点及び生育個体の全てが改変される。
ミズマツバ
直接改変により、本種の生育地点及び生育個体の多くが改変される。一方、直
接改変以外の影響(ダム・分水堰下流河川の流況の変化)による生育環境の変化は
小さいと考えられる。
ミヤマタゴボウ
直接改変により、本種の生育地点及び生育個体の全てが改変される。
アブノメ
直接改変により、本種の生育地点及び生育個体の多くが改変される。
エビモ
直接改変により、本種の生育地点及び生育個体の多くが改変される。一方、直
接改変以外の影響(水の濁り、ダム下流河川の水の濁り)による生育環境の変化は
小さいと考えられる
アシウテンナン
直接改変による生育地点及び生育個体の消失は想定されない。一方、直接改変
ショウ
以外の影響(改変区域付近及び土地又は工作物付近の環境の変化)に伴う生育環
境の変化により生育地点及び生育個体の全てが消失する可能性があると考えら
れる。
蘚 イチョウウキゴケ
直接改変により、本種の生育地点の多くが改変される。
苔
類
56
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-10 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(ヤマシャクヤク)
表 2-28 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(ヤマシャクヤク)
地点No S63
H1
H3
H4
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H15
H16
H17
1
2
1
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
57
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
7
0
0
0
0
自然の環境変化
要因
崩落
備考
0
0
0
0
その他の要因
個体の寿命
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-11 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(イワウメヅル)
表 2-29 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(イワウメヅル)
地点No S63
H1
H3
H4
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H15
H16
H17
H18
1
H19
1
2
1
H20
H21
H22
H23
H24
10
10
10
10
1
1
1
1
3
1
5
5
5
5
4
1
1
1
13
15
5
6
1
1
7
1
8
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
58
要因
備考
0
0
0
0
自然の環境変化
出水
0
0
0
0
人為的な環境変化
河川改修
0
0
0
0
人為的な環境変化
草刈り
1
1
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-12 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(エゾナニワズ)
表 2-30 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(エゾナニワズ)
地点No S63 H1
H3
H4
1
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20
5
2
3
3
4
1
1
5
6
50
5
H21
H22
H23
H24
13
約80
約80
約80
6
6
6
5
0
0
0
0
2
2
3
4
200以上 200以上 200以上 200以上
37
39
54
7
13
65
約100
約100
8
1
1
9
1
1
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
59
要因
自然の環境変化
備考
出水
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-13 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(ミゾハコベ)
表 2-31 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(ミゾハコベ)
地点No S63 H1
H3
H4
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20
H21
H22
H23
H24
0
0
0
0
2
約20
約100
約160
約160
3
2
約300
1
3
4
1100以上 100以上
1000以上 1000以上 1000以上
5
37
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
60
23
7
要因
自然の環境変化
備考
福井豪雨による出水
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-14 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(ミズマツバ)
表 2-32 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(ミズマツバ)
地点No S63 H1
H3
H4
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20
1
17
2
H21
H22
H23
H24
4
約120
約150
11
26
約90
0
要因
その他の要因
備考
生態特性
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
注3)準備書ではH19の株数が4地点(計17株)として整理されているが、その後の調査では近接して生育しているため、地点わけが困難となったことから、1地点として整理している。
61
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-15 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(ミヤマタゴボウ)
表 2-33 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(ミヤマタゴボウ)
地点No S63
H1
H3
H4
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
1
1
0
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
62
0
0
0
要因
要因不明
備考
崩落の可能性
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-16 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(アブノメ)
表 2-34 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(アブノメ)
地点No S63
H1
H3
H4
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
1
500
3
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
63
1
1
1
要因
自然の環境変化
備考
福井豪雨による出水
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-17 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(エビモ)
表 2-35 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(エビモ)
地点No S63
H1
H3
H4
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
1
300
要因
備考
0
0
0
0
自然の環境変化
福井豪雨による出水
福井豪雨による出水
2
不明
0
0
0
0
自然の環境変化
3
不明
0
0
0
0
自然の環境変化
4
不明
0
0
0
0
自然の環境変化
5
不明
0
0
0
0
自然の環境変化
福井豪雨による出水
田尻地区で確認
福井豪雨による出水
小宇坂地区で確認
福井豪雨による出水
0
0
0
0
自然の環境変化
福井豪雨による出水
0
0
0
0
自然の環境変化
福井豪雨による出水
田尻地区で確認
6
7
不明
1
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
64
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-18 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認地点(イチョウウキゴケ)
表 2-36 重要な種(移植・撒きだし対象)の生育確認個体数(イチョウウキゴケ)
地点No S63
H21
H22
H23
H24
1
H1
H3
H4
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20
不明
0
約100
約10
0
要因
備考
2
不明
0
0
0
0
人為的な環境変化 水田の休耕
3
不明
0
約50
0
0
人為的な環境変化 水田の転用
4
不明
0
0
0
0
人為的な環境変化 水田の休耕・転用
5
不明
約40
0
約50
約150
6
不明
7
0
0
0
その他の要因
7
不明
10
0
0
0
人為的な環境変化 水田の転用
8
不明
500以上 約450
2
21
9
不明
50以上
20
0
20
10
不明
約20
約30
約30
約50
11
不明
5
10
約20
約10
12
不明
25
75
0
0
その他の要因
200以上
0
人為的な環境変化 水田の休耕
13
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
注3)生態特性とは、様々な環境条件が整わない等の理由により、出現しない時期があることを示す。
注4)表中の「不明」は、生育記録はあるが、株数の記録がないことを示す。
65
生態特性
人為的な環境変化 水田の転用
生態特性
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-19 重要な種(監視調査対象)の生育確認地点(ウスバサイシン)
表 2-37 重要な種(監視調査対象)の生育確認個体数(ウスバサイシン)
地点No S63
H1
H3
H4
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
1
20
23
34
34
37
41
41
37
2
50
約40
3
100
約100 49 約100約100
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
66
要因
備考
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-20 重要な種(監視調査対象)の生育確認地点(アシウテンナンショウ)
表 2-38 重要な種(監視調査対象)の生育確認個体数(アシウテンナンショウ)
地点No S63
H1
H3
H4
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
1
1
2
1
3
0
1
注1)表中の数字は株数を示す。
注2)表中には植物調査が実施された年度のみを整理した。
67
0
0
要因
備考
0
その他の要因
個体の寿命
その他の要因
個体の寿命
0
0
0
0
0
0
20
25
表 2-39(1) 調査対象とした植物の重要な種(1/3)
確認状況
分
No.
類
1
科名
ヒカゲノカズラ科 ヒメスギラン
文献
調査
準備書
事業者
以降の
の調査
調査
a
B
c
●
d
スギラン
●
3
コバノイシカグマ科 フジシダ
●
Ⅰ類
4
オシダ科
ヌカイタチシダモドキ
●
注目
5
メシダ科
デバコワラビ
●
準絶 →Ⅱ類
シマイヌワラビ
●
IB 類 →IA 類 Ⅰ類
ホテイシダ
●
注目
ミヤマノキシノブ
●
サンショウモ
●
●
準絶 →Ⅱ類 Ⅱ類
10 アカウキクサ科
オオアカウキクサ
●
●
Ⅱ類→ⅠB 類 Ⅰ類
11 ヒノキ科
ミヤマビャクシン
●
12 クワ科
カラハナソウ
●
●
13 タデ科
オオイタドリ
●
●
14
ノダイオウ
●
●
準絶 →Ⅱ類 Ⅱ類
15 キンポウゲ科
アズマイチゲ
●
Ⅰ類
16
トウゴクサバノオ
●
17
ミスミソウ
●
18 ドクダミ科
ハンゲショウ
●
19 ウマノスズクサ科 フタバアオイ
7
ウラボシ科
8
9
サンショウモ科
Ⅱ類
Ⅰ類
注目
Ⅰ類
準絶
○
○
Ⅱ類
●
準絶
Ⅱ類
Ⅱ類
●
●
20
ウスバサイシン
●
●
21 ボタン科
ヤマシャクヤク
●
●
22 オトギリソウ科
トモエソウ
23
ヒメオトギリ
●
Ⅱ類
24 アブラナ科
ミズタガラシ
●
注目
25
ユリワサビ
26 ベンケイソウ科
チチッパベンケイ
●
Ⅱ類
27 ユキノシタ科
コガネネコノメソウ
●
注目
28
タコノアシ
29
ヤシャビシャク
30 バラ科
クサボケ
31
ミチノクナシ
●
32 ミカン科
フユザンショウ
●
33 モチノキ科
ツルツゲ
●
34 ニシキギ科
イワウメヅル
●
35
ニシキギ
●
備考) 1. 種名欄の
e
Ⅱ類
2
6
種
子
植
物
・
シ
ダ
植
物
種名
直接改変以外の
影響要因
選定理由
注目
●
注目
準絶
●
Ⅱ類
Ⅱ類
●
Ⅰ類
●
●
準絶
Ⅰ類
準絶
Ⅱ類
●
Ⅱ類
●
IA 類 →IB 類
準絶
●
注目
●
Ⅱ類
準絶
は、準備書で予測の対象としていない種を示す。
68
水質
流況 地下水
表 2-39(2) 調査対象とした植物の重要な種(2/3)
確認状況
分
No.
類
科名
種名
準備書
事業者
以降の
の調査
調査
36 ツゲ科
ツゲ
●
37 シナノキ科
オオバボダイジュ
●
●
38 ジンチョウゲ科
エゾナニワズ
●
●
39
カラスシキミ
●
40 ミゾハコベ科
ミゾハコベ
●
●
●
41 ミソハギ科
ミズマツバ
●
●
●
42 アカバナ科
ウシタキソウ
●
43 イチヤクソウ科
ウメガサソウ
44 サクラソウ科
ミヤマタゴボウ
●
45
ハイハマボッス
●
46 エゴノキ科
オオバアサガラ
●
47 リンドウ科
リンドウ
●
48 キョウチクトウ科 チョウジソウ
種
子
植
物
・
シ
ダ
植
物
文献
調査
直接改変以外の
影響要因
選定理由
a
b
c
d
e
注目
○
●
準絶
○
注目
注目
Ⅱ類
Ⅱ類
準絶
●
注目
●
Ⅱ類
準絶
Ⅰ類
●
○
注目
●
●
●
●
準絶
Ⅰ類
49 ガガイモ科
ツルガシワ
50
コカモメヅル
●
51 アカネ科
ハナムグラ
●
52 ヒルガオ科
マメダオシ
●
53 シソ科
フトボナギナタコウジュ
●
54
キセワタ
●
55 ゴマノハグサ科
アブノメ
●
●
56
オオヒナノウスツボ
●
●
57 タヌキモ科
イヌタヌキモ
58 オオバコ科
トウオオバコ
●
●
注目
59 レンプクソウ科
レンプクソウ
●
●
Ⅱ類
60 マツムシソウ科
ナベナ
●
●
Ⅱ類
61 キキョウ科
シデシャジン
●
62 キク科
カガノアザミ
●
●
Ⅱ類
63
アキノハハコグサ
●
●
Ⅱ類 →ⅠB 類 Ⅰ類
64
コオニタビラコ
●
●
Ⅱ類
65
メタカラコウ
●
66 トチカガミ科
ヤナギスブタ
67
クロモ
●
68 ヒルムシロ科
エビモ
●
69
センニンモ
70
ササバモ
71 イバラモ科
ホッスモ
●
72 ユリ科
ミノコバイモ
●
73
キバナノアマナ
●
Ⅰ類
74
ノカンゾウ
●
Ⅱ類
Ⅱ類
準絶
Ⅱ類
IA 類
●
○
Ⅱ類
●
Ⅰ類
Ⅱ類
注目
●
準絶
注目
注目
●
準絶
Ⅱ類
●
注目
●
Ⅱ類
●
準絶
●
Ⅱ類
Ⅱ類
69
Ⅰ類
水質
流況 地下水
表 2-39(3) 調査対象とした植物の重要な種(3/3)
分
類
No.
75
サトイモ科
76
種
子
植
物
・
シ
ダ
植
物
付
着
藻
類
蘚
苔
類
大
型
菌
類
確認状況
科名
(付着藻類は
綱名)
種名
文献
調査
準備書
事業者
以降の
の調査
調査
ショウブ
●
●
アシウテンナンショウ
●
●
ミクリ
直接改変以外の
影響要因
選定理由
a
b
c
d
注目
ミクリ科
●
●
78
カヤツリグサ科 フクイカサスゲ
●
●
79
タカネマスクサ
●
80
エビネ
●
●
準絶
Ⅱ類
81
ナツエビネ
●
●
Ⅱ類
Ⅱ類
82
サルメンエビネ
●
●
Ⅱ類
Ⅰ類
83
イチヨウラン
●
Ⅰ類
84
コイチヨウラン
●
準絶
85
オニノヤガラ
●
準絶
86
ノビネチドリ
●
87
ホクリクムヨウラン
●
88
ジンバイソウ
●
89
キソチドリ
●
90
オオバナオオヤマサギソウ
●
91
コバノトンボソウ
92
藍藻綱
アシツキ
●
●
93
紅藻綱
カワモヅク
●
準絶
準絶
○
注目
準絶
●
Ⅱ類
注目
注目
IA 類
準絶
注目
●
Ⅱ類
準絶
●
準絶
注目
94
チャイロカワモヅク
95
アオカワモヅク
●
準絶
準絶
96
ベニマダラ
●
●
準絶
準絶
●
●
97
黄金色藻綱
ミズオ
98
輪藻綱
シャジクモ
99
ホウオウゴケ科 ジョウレンホウオウゴケ
100 カワゴケ科
カワゴケ
101 クサリゴケ科
カビゴケ
102 ウキゴケ科
イチョウウキゴケ
103 キシメジ科
マツタケ
注目
●
●
Ⅱ類
Ⅱ類
●
●
●
●
水質 流況 地下水
注目
●
77
ラン科
e
●
●
準絶
Ⅱ類
準絶
準絶
準絶
●
注)1.分類体系
種子植物・シダ植物: 原則として「河川水辺の国勢調査のための生物リスト[平成 20 年度版](水情報国土データ管理セン
ター 河川環境データベース(河川水辺の国勢調査) http://www3.river.go.jp/
system/seibutsuList.htm# )」に従った。
上記に記載のないシマイヌワラビ、ツルガシワ、フクイカサスゲ、イチヨウラン、コイチヨウラン、ホクリクムヨウラン、
オオバナオオヤマサギソウについては「植物目録 1987(環境庁 昭和 63 年 3 月)」に、デバコワラビ、キクタニギク、
ミノコバイモについては「改訂増補 福井県植物誌(渡辺定路 平成 15 年 7 月)」に従った。
付着藻類:原則として「河川水辺の国勢調査のための生物リスト[平成 20 年度版](水情報国土データ管理センター 河川
環境データベース(河川水辺の国勢調査) http://www3.river.go.jp/sy stem/
seibutsuList.htm# )」及び「日本淡水藻図鑑(廣瀬弘幸、山岸高旺編集 昭和 52 年 10 月)」に従った。
蘚苔類:原則として「日本の野生植物 コケ(岩月善之助 平成 13 年 2 月)」に従った。
大型菌類:原則として「日本のきのこ(山と渓谷社 昭和 63 年 11 月)」に従った。
2.選定理由
a:文化財保護法に基づき指定された天然記念物及び特別天然記念物、福井県文化財保護条例、福井市文化財保護条例、池
田町文化財保護条例に基づき指定された天然記念物
b:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づき定められた国内希少野生動植物種及び緊急指定種
70
c:「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物Ⅰ及び植物Ⅱのレッドリストの見直しについて(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8648)」6)掲載種、なお赤字については、「第4次レッドリストの公表
について(お知らせ)」(平成 24 年 8 月 28 日)
(環境省 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15619)での掲載種
Ⅰ類:絶滅危惧Ⅰ類(絶滅の危機に瀕している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生で
の存続が困難なもの)
IA 類:絶滅危惧 IA 類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)
IB 類:絶滅危惧 IB 類(IA 類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)
Ⅱ類:絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い
将来「絶滅危惧Ⅰ類」のランクに移行することが確実と考えられるもの)
準絶:準絶滅危惧(存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」
として上位ランクに移行する要素を有するもの)
d:「福井県の絶滅のおそれのある野生植物−福井県レッドデータブック(植物編)−(福井県 平成 16 年 3 月)」7)掲載種
Ⅰ類:県域絶滅危惧Ⅰ類(絶滅の危機に瀕している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野
生での存続が困難なもの)
Ⅱ類:県域絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、
近い将来「県域絶滅危惧Ⅰ類」のランクに移行することが確実と考えられるもの)
準絶:県域準絶滅危惧(存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危
惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの)
注目:要注目(評価するだけの情報が不足している種。地域的に孤立しており、地域レベルでの絶滅のおそれが高い個
体群)
なお、「福井県の絶滅のおそれのある野生植物−福井県レッドデータブック(植物編)−(福井県 平成 16 年 3 月)」で
は蘚苔類及び大型菌類を対象としていない。
e:その他専門家により指摘された重要な種
○:その他専門家により指摘された重要な種
カラハナソウ:専門家の指摘により、北海道、本州(中部地方以北)に分布するが、福井県内における産地が少ない種
であることから、重要な種として取り扱う。
オオイタドリ:専門家の指摘により、北海道、本州(中部地方以北)に分布するが、福井県内における産地が少ない種
であることから、重要な種として取り扱う。
オオバボダイジュ:専門家の指摘により、北海道、本州(東北地方・北陸地方・関東地方北部)に分布するが、福井県内
における産地が少ない種であることから、重要な種として取り扱う。
エゾナニワズ:専門家の指摘により、福井県が日本における分布の南西限にあたり、県内で確認された個体数や産地が
少ない種であることから、重要な種として取り扱う。
オオバアサガラ:専門家の指摘により、旧美山町が日本海側における分布の北東限である種であることから、重要な種
として取り扱う。
フトボナギナタコウジュ:専門家の指摘により、本州(関東地方西部以西)、九州に分布するが、福井県内における産地
が少ない種であることから、重要な種として取り扱う。
フクイカサスゲ:専門家の指摘により、旧美山町が日本海側における分布の北東限である種であることから、重要な種
として取り扱う。
3.評価書における予測対象種からの除外理由(103 種→41 種)
・文献調査で生育情報があるが、現地調査で生育が確認されなかった種は予測地域内に生育していないと判断し、予測
の対象としなかった。
・種子植物・シダ植物のハナムグラは、平成 4 年度の現地調査時に確認されたが、詳細な確認位置等の記録がなかった。
平成 9 年度、15 年度∼20 年度に再度調査を実施したが生育が確認されなかったため、現時点において調査地域におけ
る生育の可能性は低いと判断し、予測の対象としなかった。
・平成 12 年に「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物―レッドデータブック―植物Ⅰ(維管束植物)(環境庁 平成
12 年 7 月)」8)が発行され、新たに重要な種となったが、それ以前の調査による確認である種子植物・シダ植物のサン
ショウモ及びオオアカウキクサについては、平成 15 年度∼20 年度に再度調査を実施したが生育が確認されなかったた
め、現時点において調査地域における生育の可能性は低いと判断し、予測の対象としなかった。
・平成 16 年に
「福井県の絶滅のおそれのある野生植物−福井県レッドデータブック(植物編)−(福井県 平成 16 年 3 月)」
7)が発行され、新たに重要な種となったが、それ以前の調査による確認である種子植物・シダ植物のユリワサビ、ク
サボケ、ニシキギ、オオヒナノウスツボ、トウオオバコ、レンプクソウ、コオニタビラコ、センニンモ及びホクリク
ムヨウランについては、平成 17 年度∼20 年度に再度調査を実施したが生育が確認されなかったため、現時点において
調査地域における生育の可能性は低いと判断し、予測の対象としなかった。
・平成 19 年に「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物Ⅰ及びⅡのレッドリストの見直しについて(環境省 平
成 19 年 8 月)」が公表され、新たに重要な種となったが、それ以前の調査による確認である種子植物・シダ植物のミ
チノクナシについては、平成 20 年度に再度調査を実施したが生育が確認されなかったため、現時点において調査地域
における生育の可能性は低いと判断し、予測の対象としなかった。
図2-1 図2-2図2-3図2-4図2-5図2-6図2-7図2-8図2-9図2-10図2-11図2-12図2-13図2-14図2-15図2-16図2-17図2-18図2-19図2-20
表2-1 表2-2表2-3表2-4表2-5表2-6表2-7表2-8表2-9表2-10表2-11表2-12表2-13表2-14表2-15表2-16表2-17表2-18表2-19表2-20表2-21表2-22表2-23表2-24表2-25表2-26表2-27表2-28表2-29表2-30表2-31表2-32表2-33表2-34表2-35表2-36表2-37表2-38表2-39
71
2.2.3 動物及び植物の重要な種の基準に係る文献
(1) 準備書以降における動物及び植物の重要な種の基準に係る文献について
足羽川ダム周辺の動物は、準備書における現地調査の結果、哺乳類が 16 科 32 種、鳥類が 43 科 151 種、
爬虫類が 6 科 14 種、両生類が 6 科 15 種、魚類が 10 科 30 種、昆虫類が 293 科 2,901 種、底生動物が 111
科 323 種、その他の動物(クモ類)が 35 科 251 種、その他の動物(陸産貝類)が 20 科 67 種確認されて
いる。また足羽川ダム周辺の植物は、準備書における現地調査の結果、種子植物・シダ植物が 152 科 1,333
種、付着藻類が 8 綱 194 種、その他の植物(蘚苔類)が 65 科 262 種、その他の植物(大型菌類)が 64
科 354 種確認されている。
準備書では、これらの確認された動植物のうち、学術上又は希少性の観点から、事業の影響を予測・評
価する必要があるとして動植物の重要な種を選定している。この選定の基準とした既往文献を表 2-40 に
示す。
準備書以降において、
文化財保護法や県市町条例に基づく天然記念物等及び絶滅のおそれのある野生動
植物の種の保存に関する法律に基づく国内希少野生動植物種の改正等はあったが、足羽川ダム周辺の動
植物に該当する種はない。また、準備書以降、福井県レッドデータブックの改訂はない。
環境省レッドリストについては、魚類(汽水・湛水魚類)を除き、
「環境省第4次レッドリスト」が平
成 24 年 8 月 28 日に公表された。
72
表 2-40 動物及び植物の重要な種の基準に係る文献
指定状況及び規制基準の内容
準備書
準備書以降
a:文化財保護法(昭和 25 年法律第 214 号)に基
づき指定された天然記念物及び特別天然記念
物、福井県文化財保護条例(昭和 34 年福井県
条例第 39 号)
、福井市文化財保護条例(昭和
44 年福井市条例第 24 号)
、池田町文化財保護
条例(昭和 48 年池田町条例第 12 号)に基づき
指定された天然記念物
b:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に
関する法律(平成 4 年法律第 75 号)に基づき
定められた国内希少野生動植物種及び緊急指
定種(H20.7 時点で 81 種)
c:「鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物
のレッドリストの見直しについて(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?se
rial=8886)」
(平成 18 年 12 月)
「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、
植物Ⅰ及び植物Ⅱのレッドリストの見直し
について(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?ser
ial=8648)」
(平成 19 年 10 月)
(H19.10 時点で 3,155 種)
d:「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井
県レッドデータブック(動物編)−(福井県 平
成 14 年 3 月)」
「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井
県レッドデータブック(植物編)−(福井県 平
成 16 年 3 月)」
a:文化財保護法(昭和 25 年法律第 214 号)に基
づき指定された天然記念物及び特別天然記念
物(H23.5 改正)
、福井県文化財保護条例(昭
和 34 年福井県条例第 39 号)
、福井市文化財保
護条例(昭和 44 年福井市条例第 24 号)
、池田
町文化財保護条例(昭和 48 年池田町条例第 12
号)に基づき指定された天然記念物
b:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に
関する法律(平成 4 年法律第 75 号)に基づき
定められた国内希少野生動植物種及び緊急指
定種(H24.4 現在 90 種)
c: 「第4次レッドリストの公表について(お知
らせ)
」
(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial
=15619)
(平成 24 年 8 月)
「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、
植物Ⅰ及び植物Ⅱのレッドリストの見直し
について(環境省
http://www.env.go.jp/press/press.php?ser
ial=8648)」
(平成 19 年 10 月)
(H24.12 現在 3,574 種)
d:「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井
県レッドデータブック(動物編)−(福井県 平
成 14 年 3 月)」
「福井県の絶滅のおそれのある野生動物―福井
県レッドデータブック(植物編)−(福井県 平
成 16 年 3 月)」
足羽川ダム
との関連
足羽川ダム周
辺の動植物に
該当種はな
い。
足羽川ダム周
辺の動植物に
該当種はな
い。
足羽川ダム
周辺の動物
に該当種は
ある。植物
に該当種は
ない。
改訂なし
注)足羽川ダム周辺の動植物とは、準備書における文献調査及び現地調査の結果、確認された種である。
73
新たな
予測・
評価
無
無
有
表 2-42 鳥類の重要な種の確認状況
No.
1
種名
ケリ
確認方法
目視
確認年度
平成 12 年度∼16 年
度,18 年度∼19 年度
備考
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
表 2-43 両生類の重要な種の確認状況
No.
1
種名
トノサマガエル
確認方法
目視、捕獲
確認年度
平成 8 年度,10 年度,12
年度,19 年度
備考
表 2-44 昆虫類の重要な種の確認状況
No.
1
種名
オオアシナガサシガメ
確認方法
採集
確認年度
平成 10 年度,12 年度
2
ホシガガンボモドキ
採集
平成 10 年度,12 年度
3
4
オナガミズアオ
スキバホウジャク
採集
採集
平成 10 年度,12 年度
平成 12 年度
5
ヤネホゾバ
−
平成元年度
6
スゲドクガ
採集
平成 10 年度
7
キシタアツバ
採集
平成 10 年度,17 年度
8
9
10
アイヌハンミョウ
ケシゲンゴロウ
ミズスマシ
採集
採集
−
平成 10 年度,12 年度
平成 18 年度
平成 17 年度
11
ガムシ
採集
平成 8 年度,12 年度
12
シジミガムシ
採集
13
オオセイボウ
採集
平成10 年度,12 年度,13
年度,17 年度
平成 12 年度
14
トゲアリ
採集
15
キオビホオナガスズメバチ
採集
16
ヤマトアシナガバチ
採集
17
クロマルハナバチ
採集
平成 8 年度,10 年度,13
年度,18 年度
平成 12 年度
平成 8 年度,12 年度,13
年度,17 年度
平成元年度,12 年度
75
備考
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
詳細な確認地点及び確認個体数
等についての情報はない。
表 2-45 底生動物の重要な種の確認状況
No.
1
2
3
種名
コシダカヒメモノアラガイ
カニアミカ
キボシゲンゴロウ
確認方法
採集
採集
採集
確認年度
平成 18 年度
昭和 60 年度
平成 13 年度
備考
表 2-46 陸産貝類の重要な種の確認状況
No.
1
2
オオギセル
種名
確認方法
採集
確認年度
平成 11 年度,17 年度
エルベリギセル
採集
平成 11 年度
76
備考
詳細な確認地点についての情報
はない。
詳細な確認地点についての情報
はない。
2) 予測手法
影響要因は準備書と同様に「工事の実施」と「土地又は工作物の存在及び供用」に分け、それぞ
れについて「直接改変」と「直接改変以外」に分けた。また、調査の結果、注目すべき生息地は確認
されなかったことから、注目すべき生息地は予測対象としなかった。
①直接改変
生息地の消失又は改変に係る影響予測は、対象事業実施区域及びその周辺の区域で確認された種を
対象とした。
②直接改変以外
「工事の実施」における改変区域付近及び「土地又は工作物の存在及び供用」における土地又は工
作物付近の環境の変化による生息環境の変化に係る影響予測は、樹林環境が林縁環境に変化する影響
について予測し、対象事業実施区域及びその周辺で確認された、行動域が小さい両生類、昆虫類及び
陸産貝類のうち、樹林環境に生息する種を対象とした。
「工事の実施」における建設機械の稼働等に伴う生息環境の変化に係る影響予測は、人の出入りや
車両の通行、騒音の発生等による生息環境の撹乱に伴う生物の生息状況の変化について予測を行った。
影響が想定される種として、視覚的あるいは聴覚的な生態特性から鳥類を対象とした。
「土地又は工作物の存在及び供用」におけるダム・分水堰下流河川の流況の変化による生息環境の
変化に係る影響予測は、冠水頻度の変化に伴う河川植生の変化による影響について予測し、生活史の
全て又は一部を河川植生や河岸裸地に依存して生息する、昆虫類を対象とした。
「土地又は工作物の存在及び供用」におけるダム・分水堰下流河川の土砂供給の変化による生息環
境の変化に係る影響予測は、ダム・導水施設の供用に伴う河床構成材料の変化による影響について予
測し、ダム・分水堰下流河川を主な生息環境としている鳥類、両生類及び底生動物のうち、河床構成
材料が生息環境の主要な要素となっていると考えられる種を対象とした。
「工事の実施」における水質の変化及び「土地又は工作物の存在及び供用」におけるダム下流河川
の水の濁りによる生息環境の変化に係る影響予測は、工事区域周辺の水域及びダム下流河川を主な生
息環境としている鳥類、両生類、昆虫類及び底生動物のうち、生活史の全て又は一部を水域に依存し
て生息する種を対象とした。
「工事の実施」及び「土地又は工作物の存在及び供用」における地下水の水位の変化による生息環
境の変化に係る影響予測は、導水施設周辺の区域における地下水の水位の変化に伴う沢の表流水の変
化による影響について予測し、両生類、底生動物及び陸産貝類のうち、沢を主な生息環境とする種を
対象とした。
なお、鳥類のケリ、昆虫類のオオアシナガサシガメ、ホシガガンボモドキ、スキバホウジャク、ヤ
ネホソバ、スゲドクガ、キシタアツバ、ミズスマシ、オオセイボウ、キオビホオナガスズメバチ、ヤ
マトアシナガバチ、クロマルハナバチについては、現地調査で確認された際に詳細な確認地点等につ
いての情報がないが、その後、これらの種を対象とした調査を実施されておらず、予測地域内に生息
している可能性があるため、文献による生態情報から主な生息環境を推定し、予測を行った。
予測地域外のみの確認である陸産貝類のエルベリギセルについては、確認された調査ルートは調査
地域外に位置しているが、確認された調査ルートの環境であるスギ植林の林縁∼林床の環境は、調査
地域内もみられるため、調査地域内での生息の可能性が考えられる。このため、文献による生態情報
77
と現地調査での確認状況から主な生息環境を推定し、予測を行った。
なお、現地調査では確認されていないことから、今回、事業影響の予測評価を行わないが、準備書
作成時の文献調査で確認された種として、表 2-47 に示す昆虫類 8 種があった。
表 2-47 予測対象から除いた動物の重要な種
予測の対象から除いた理由
【文献のみの確認種】
十分な調査をしたにもかかわらず、現地調査で確
種名
【文献のみの確認種】
昆虫類
シロホソバ(不足)
チョウセンゴモクムシ(Ⅱ類)
モンスズメバチ(不足)
スギハラベッコウ(不足)
ガロアギングチ(不足)
フクイジガバチモドキ(不足)
ヤマトスナハキバチ(不足)
マイマイツツハナバチ(不足)
認されなかったことから、予測地域内を主要な生
息地としていないと判断し、予測の対象種から除
外した。
備考)表中の( )は環境省「第4次レッドリストの公表について(お知らせ)」(平成 24 年 8 月 28 日)
(環境省 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15619)での掲載ランクを示す。
78
(計 8 種)
3) 予測結果の概要
新たな動物の重要な種の予測結果の概要を表 2-48 に示す。
予測結果としては、各種の直接的・間接的に改変される生息地の環境は主要な生息環境として適さ
なくさると考えられるが、これらの周辺には同等の主要な生息環境が広く分布することから、各種の
生息は維持される。
この結果に対し、環境省レッドリスト改訂に伴う新たに配慮が必要となる重要な種については、評
価書に記載した動物と同様に、工事前、工事中及びダム建設後には、専門家の指導及び助言を得なが
ら、森林伐採に対する配慮、植栽する樹種の検討、森林伐採試験、ダム洪水調節地内の植生の早期回
復の促進、湿地環境の整備後の監視、動物の生息状況の監視を行うことによって、動物に係る環境影
響が事業者の実行可能な範囲内でできる限り回避又は低減されると考えている。
表 2-48(1) 環境省レッドリスト改訂に伴う新たな動物の重要な種の予測結果の概要
項目
予測結果の概要
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
動 鳥 ケリ
物 類
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された耕作地(畑地)及び耕作地
(水田)の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなる
と考えられる。山間部の里山を流れる河川については直接改変による変化は想定さ
れない。
また、直接改変以外の影響(建設機械の稼働等)により、工事区域及びその近傍は
本種の生息環境として適さなくなる可能性があると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
なお、直接改変以外の影響(ダム・分水堰下流河川の流況の変化)による生息環境
の変化は小さいと考えられる。
両 トノサマガエル
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定された耕作地(水田)の一部が改変
生
され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
類
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
昆 オオアシナガサ
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された落葉広葉樹林、ヤナギ林の
虫 シガメ
一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えら
類
れる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された落葉広葉樹林、ヤナギ林の
ホシガガンボモ
一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えら
ドキ
れる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定されたハンノキ等の食餌植物が生
オナガミズアオ
育するミヤマカワラハンノキ群落、オニグルミ群落、ヤナギ林、先駆的落葉広葉樹林の一部が
改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
79
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
表 2-48(2) 環境省レッドリスト改訂に伴う新たな動物の重要な種の予測結果の概要
項目
予測結果の概要
動 昆 スキバホウジャ
物 虫 ク
類
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定されたオトコエシ等の食餌植物が
生育する草地の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さな
くなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された地衣類、苔類が生育する樹
ヤネホゾバ
林地(落葉広葉樹林、ヤナギ林、アカマツ群落、スギ植林)の一部が改変され、こ
れらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定されたスゲ類、ヨシ等の食餌植物
スゲドクガ
が生育する河川沿いの草地の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境
として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定されたヤブマオ等の食餌植物が生
キシタアツバ
育する草地の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなく
なると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された渓流的な河川の一部が改変
アイヌハンミョ
され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
ウ
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
なお、直接改変以外の影響(ダム・分水堰下流河川の流況の変化)による生息環境
の変化は小さいと考えられる。
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定された耕作地(水田)の一部が改変
ケシゲンゴロウ
され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定された耕作地(水田)の一部が改変
ミズスマシ
され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定された耕作地(水田)の一部が改変
ガムシ
され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定された耕作地(水田)の一部が改変
シジミガムシ
され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定された寄主であるスズバチが生息
オオセイボウ
する落葉広葉樹林、ヤナギ林、先駆的落葉広葉樹林、草地の一部が改変され、これ
らの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、
本種の主要な生息環境と推定されたうろのある立木が存在する
トゲアリ
落葉広葉樹林の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さな
くなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布すること
から、本種の生息は維持されると考えられる。
80
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
表 2-48(3)
項目
環境省レッドリスト改訂に伴う新たな動物の重要な種の予測結果の概要
予測結果の概要
動 昆 キオビホオナガ
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された自然性の豊かな樹林地
物 虫 スズメバチ
(森林落葉広葉樹林、ヤナギ林)の一部が改変され、これらの改変区域は本種の
類
生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された営巣できる草木が生育す
ヤマトアシナガ
る落葉広葉樹林、ヤナギ林、先駆的落葉広葉樹林、草地の一部が改変され、これ
バチ
らの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された落葉広葉樹林、ヤナギ林、
クロマルハナバ
先駆的落葉広葉樹林、草地の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環
チ
境として適さなくなると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
底 コシダカヒメモ
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された耕作地(水田)の一部が改
生 ノアラガイ
変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
動
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
物
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
なお、直接改変以外の影響(ダム・分水堰下流河川の土砂供給の変化、水質の
変化、ダム下流河川の水の濁り)による生息環境の変化は小さいと考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された源流的な河川、渓流的な
カニアミカ
河川、沢の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなく
なると考えられる。
また、直接改変以外の影響(ダム・分水堰下流河川の土砂供給の変化、ダム下
流河川の水の濁り)により、渓流的な河川の一部は本種の生息環境として適さな
くなる可能性があると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
なお、直接改変以外の影響(水質の変化、地下水の水位の変化)による生息環境
の変化は小さいと考えられる。
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された渓流的な河川の一部が改
キボシケシゲン
変され、これらの改変区域は本種の生息環境として適さなくなると考えられる。
ゴロウ
また、直接改変以外の影響(ダム・分水堰下流河川の土砂供給の変化、ダム下
流河川の水の濁り)により、渓流的な河川及び山間部の里山を流れる河川の一部
は本種の生息環境として適さなくなる可能性があると考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
なお、直接改変以外の影響(水質の変化)による生息環境の変化は小さいと考え
られる。
陸 オオギセル
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された落葉広葉樹林、ヤナギ林、
産
先駆的落葉広葉樹林、スギ植林の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生
貝
息環境として適さなくなると考えられる。
類
また、直接改変以外の影響(改変区域付近及び土地又は工作物付近の環境の変
化)により、改変区域付近は本種の生息環境として適さなくなる可能性があると
考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
81
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
表 2-48(4)
環境省レッドリスト改訂に伴う新たな動物の重要な種の予測結果の概要
項目
予測結果の概要
動 陸 エルベリギセル
物 産
貝
類
直接改変により、本種の主要な生息環境と推定された落葉広葉樹林、ヤナギ林、
先駆的落葉広葉樹林、スギ植林の一部が改変され、これらの改変区域は本種の生
息環境として適さなくなると考えられる。
また、直接改変以外の影響(改変区域付近及び土地又は工作物付近の環境の変
化)により、改変区域付近は本種の生息環境として適さなくなる可能性があると
考えられる。
しかし、これらの周辺には、本種の主要な生息環境が広く連続して分布するこ
とから、本種の生息は維持されると考えられる。
82
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
−
−
2.3 生態系(上位性)
2.3.1 陸域の食物連鎖の上位種(クマタカ)
(1) 準備書以降の調査内容
足羽川ダム周辺の地域を特徴づける生態系の上位性(陸域)の注目種として、準備書において図 2-21
のイメージのように「森林環境への依存度が高く、年間を通して調査地域につがいが生息していること、
哺乳類、鳥類及び爬虫類等の多様な動物を食物としていること」から、クマタカを選定した。
準備書では動物の重要な種の生息状況の確認において、足羽川ダム周辺に 10 つがい(A つがい、A2 つ
がい、B つがい、B2 つがい、C つがい、D つがい、E つがい、 F つがい、G つがい、H つがい) が生息す
ることを確認した。これらのクマタカの 10 つがいの行動圏及び内部構造の状況を把握し、繁殖状況を把
握するため表 2-49 に示すとおり現地調査を実施している。また準備書での生態系上位性(陸域)の予測
結果の概要を表 2-50 に示す。
クマタカの行動圏及び内部構造の状況、並びに繁殖状況を把握するため、準備書以降において継続して
現地調査を実施し、10 つがいの行動圏及び内部構造の状況の確認を行うとともに周年の生活基盤となる
範囲(コアエリア)に直接改変を含む 9 つがい(B2 つがいを除く)の繁殖状況の確認を行った。
クマタカ
雑食の中型哺乳類
ヘビ類
カエル類
雑食の中型鳥類
トカゲ類
雑食の小型鳥類
動物食の昆虫類
植物食の昆虫類
植物食の鳥類
樹林(スギ・ヒノキ植林、落葉広葉樹林等)
注) 太線の枠はクマタカの主な餌生物を示す。
図 2-21 クマタカを上位種とした食物連鎖のイメージ
83
項目
調査すべき
情報
調査地域
・調査地点
現地調査の
内容
調
査
期
間
・
調
査
時
期
準
備
書
表 2-49(1) 生態系上位性(陸域)の現地調査の手法、内容及び実施状況
内容
クマタカの生態、分布及び生息の状況並びに生息環境の状況(行動圏の内部構造を含む)
概ね足羽川ダム集水域及びその周辺の区域
1.定点観察
調査地域にあらかじめ設定した調査地点において、双眼鏡や直視型望遠鏡を用いて観察を行い、ク
マタカの生息状況を確認した。調査地点はクマタカを効率よく発見、観察できる地点に設置した。
2.踏査等(クマタカ)
調査地域を踏査し、クマタカの営巣木の位置や繁殖状況を確認した。調査は、早朝及び昼間に行った。
調査
調査時期
現地調査
年度
手法
春季
夏季
秋季
冬季
平成
−
−
−
1/27,28
1.定点観察
6 年度
2/8∼10
2.踏査等
2/22∼24
3/9∼11
3/22∼24
平成
4/19∼21
6/20∼22
9/27∼30
1/30∼2/2
1.定点観察
7 年度
2/22∼24
2.踏査等
3/8∼10
3/21∼23
平成
5/8∼10
6/18∼21
9/28,29
12/10∼12
1.定点観察
8 年度
7/16∼19
10/8∼10
12/14
2.踏査等
8/27∼29
11/11,21
1/16
11/26∼28
2/11
2/13∼22
3/8,28
平成
4/10∼14
6/2
9/2∼4
12/9∼12
1.定点観察
9 年度
4/16∼20
6/17,18
10/29∼31
12/24∼26
2.踏査等
4/26∼30
6/24
11/26∼28
1/28∼30
5/14∼18
8/23∼25
2/4∼6
3/5∼7
3/29
平成
4/24
6/8,9
9/24∼30
12/16∼18
1.定点観察
10 年度 4/28∼30
6/19
10/7∼9
1/6∼8
2.踏査等
5/4,5
7/23∼25
10/18
3/3∼5
5/11∼16
7/28∼31
11/16∼18
8/7∼9
11/25∼27
平成
4/14∼16
6/23∼25
9/25
12/6∼9
1.定点観察
11 年度 4/21∼23
7/1∼3
10/24,25
12/17∼19
2.踏査等
4/28∼30
7/11∼13
11/22∼24
1/5∼10
5/11,12
7/28∼30
1/12∼14
8/25∼26
2/7,8
3/9,10
4/18∼21
6/20∼22
11/14∼17
12/2∼9
1.定点観察
平成
5/2∼10
7/20
11/20∼24
12/12∼15
2.踏査等
12 年度
5/13∼16
7/24∼27
11/26,27
1/4∼7
5/18
8/1∼4
1/10∼17
8/7∼10
1/22,23,31
8/21∼24
2/18∼20
3/12,13
3/23∼30
84
調査時期
調
査
期
間
・
調
査
時
期
準
備
書
準
備
書
以
降
表 2-49(2) 生態系上位性(陸域)の現地調査の手法、内容及び実施状況
調査時期
調査年度
春季
夏季
秋季
冬季
平成
4/8∼13
6/20∼23
10/15∼19
12/1
13 年度
4/16∼20
6/25∼29
10/21∼26
12/10∼14
4/26∼29
7/2∼8,14
11/12∼15
12/16∼20
5/4∼7
7/27∼31
11/30
12/23∼26
5/22∼25
8/19
1/19∼22
5/28∼31
8/23,24
1/27∼30
8/27∼30
2/16∼21
2/25∼28
平成
4/19∼22
6/22∼24
10/8∼12
12/17∼20
14 年度
4/27∼30
6/26∼30
10/15∼19
1/20∼31
5/1∼5
7/3∼12
11/7∼10
2/2
5/10∼14
7/23∼26
2/17∼20
5/28∼31
7/28∼31
平成
4/27∼30
7/14∼18
10/14∼17
12/2∼5
15 年度
5/6∼16
7/21∼23
10/19∼24
12/8∼12
7/26∼31
10/27∼31
12/15∼19
11/2,9,15
1/26∼29
11/18
2/2∼6
2/9∼13
2/18∼20,25
−
6/28∼30
9/13∼17
12/20∼24
平成
7/1∼2
10/25∼29
1/10∼14
16 年度
8/23∼27
11/15∼19
2/7∼11
3/7∼11
平成
5/23∼27
6/13∼17
9/5∼8
11/14∼18
17 年度
7/18∼22
9/12∼16
12/12∼14
8/8∼12
9/26∼30
1/16∼18
10/11∼13
1/23∼27
10/17,18
2/13∼17
3/6∼10
3/20∼24
平成
4/17∼21
6/12∼16
9/25∼29
12/11∼15
18 年度
5/8∼12
7/3∼7
10/16∼18
1/15∼19
8/14∼18
11/13∼17
2/12∼17
3/12∼16
平成
5/7∼11
7/2∼6
9/3∼7
2/11∼16
19 年度
11/12∼16
3/10∼14
平成
4/21∼4/25
6/23∼6/27
9/1∼9/5
2/16∼2/20
20 年度
5/5∼5/9
6/30∼7/4
10/6∼10/10
3/2∼3/6
5/12∼5/16
7/7∼7/11
10/15,16
3/9∼3/13
5/19∼5/23
7/28∼8/1
10/27∼10/31
11/10∼11/14
平成
4/20∼4/24
6/1∼6/5
10/19∼10/23
12/7∼12/11
21 年度
4/27∼5/1
8/10∼8/14
11/9∼11/13
2/1∼2/5
8/24∼8/28
2/8∼2/12
平成
4/26∼4/30
6/7∼6/11
10/18∼10/22
11/8∼11/12
22 年度
8/9∼8/13
2/14∼2/18
2/21∼2/25
平成
4/11∼4/15
6/20∼6/24
10/3∼10/7
2/13∼2/17
23 年度
8/22∼8/26
2/20∼2/24
4/16∼4/20
6/11∼6/15
10/1∼10/5
平成
8/20∼8/24
10/8∼10/12
24 年度
8/27∼8/31
現地調査
手法
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
1.定点観察
2.踏査等
注)1.準備書以降の調査では、準備書でⅠ期工事、Ⅱ期工事のいずれの工事についても工事の実施に伴う生息環境の変化が小
さいと予測された 4 ペア(A2 ペア、C ペア、E ペア、H ペア)については、繁殖成否の有無のみを確認することを目的して
実施した。
2. 準備書以降の調査では、準備書でⅠ期工事、Ⅱ期工事のいずれの工事についても工事の実施に伴う生息環境の変化がな
いと予測された B2 ペアは調査の対象としていない。
85
表 2-50 準備書における生態系上位性(陸域)の予測結果の概要
項目
地 上 陸域
域 位
を 性
特
徴
づ
け
る
生
態
系
予測結果の概要
クマタカ
上位性(陸域)の視点から注目される種であるクマタカ 10 つがいのう
ち、B2 つがいについては、コアエリアが改変区域から離れていることか
ら、対象事業による影響は想定されない。
A2 つがい、C つがい、E つがい及び H つがいについては、コアエリア
内の生息環境の一部が改変されるものの、行動圏の内部構造の改変の程
度は小さく、狩り場環境及び営巣環境は広く残される。また、営巣地が
改変区域から離れていることから、工事の実施に伴う生息環境の変化は
小さく、つがいは生息し繁殖活動は維持されると考えられる。
A つがい、B つがい、D つがい、F つがい及び G つがいについては、コ
アエリア内の生息環境の一部が改変されるものの、行動圏の内部構造の
改変の程度は小さく、狩り場環境及び営巣環境は広く残されることから、
長期的にはつがいは生息し、繁殖活動は維持されると考えられる。しか
し、工事の一部が繁殖テリトリー内でも実施されること、営巣地から改
変区域までの距離が比較的近いことから、建設機械の稼働に伴う騒音等
の発生、作業員の出入り、工事用車両の運行による生息環境の変化によ
って、繁殖成功率が低下する可能性があると考えられる。
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
○
−
注)
表中の「
コアエリア」
とは全行動圏の中で、相対的に利用率の高い範囲(
周年の生活基盤となる範囲)
であり、1 年間を通じ
てよく利用する範囲、「
繁殖テリトリー」
とは繁殖期に設定・
防衛されるテリトリー(
ペア形成・
産卵・
育雛のために必要な範囲
であり、繁殖期に確立されるテリトリー)
、「
幼鳥の行動範囲」
とは巣立ち後の幼鳥が独立できるまでの生活場所を示す。
86
(2) クマタカの行動圏及び内部構造の状況
準備書以降の調査において、クマタカの分布位置は準備書と同様に、ダム洪水調節地の周辺に A つが
い、A2 つがい、B つがい、B2 つがい、C つがい及び D つがいが、導水施設予定地周辺に E つがい、F つが
い、G つがい、及び H つがいが分布していることを確認した。
準備書以降、繁殖期に設定・防衛されるテリトリーである繁殖テリトリーは A つがいで変化があり、
巣立ち後の幼鳥が独立できるまでの生活場所である幼鳥の行動範囲は、新たな営巣場所が確認された A
つがい、A2 つがい、C つがい及び H つがいで変化があった。なお、幼鳥の行動範囲が変化した 4 つがい
については、いずれも直接改変区域と重ならないことを確認した。
各つがいの営巣場所及び内部構造は、表 2-51、表 2-52 及び図 2-22 に示す。なお各つがいの内部構造
の変化の有無については以下のとおりである。
・A つがいは、平成 22 年に新たな巣(営巣木Ⅲ)が確認され、内部構造のうち、全行動圏の中で相
対的に利用率の高い範囲(周年の生活基盤となる範囲)であり、1 年間を通じてよく利用する範囲
であるコアエリアには変化はなかったが、繁殖テリトリーと幼鳥の行動範囲については変化した。
・A2 つがいは、平成 22 年に新たな巣(営巣木Ⅲ)が確認され、内部構造のうちコアエリア、繁殖
テリトリーに変化はなかったが、幼鳥の行動範囲が変化した。
・B つがいは、営巣場所や内部構造に変化はなかった。
・C つがいは、平成 21 年に新たな巣(営巣木Ⅱ)が確認され、内部構造のうちコアエリア、繁殖テ
リトリーに変化はなかったが、幼鳥の行動範囲が変化した。
・D つがいは、内部構造の変化はなかった。
・E つがいは、内部構造の変化はなかった。
・F つがいは、内部構造の変化はなかった。
・G つがいは、内部構造の変化はなかった。
・H つがいは、平成 22 年に新たな巣(営巣木Ⅱ)が確認され、内部構造のうちコアエリア、繁殖テ
リトリーに変化はなかったが、幼鳥の行動範囲が変化した。
準備書時点で確認していた A つがいの営巣木Ⅰ、Ⅱ近傍において、間伐のための作業道造成(平成 21
年 4 月∼6 月)や間伐作業(平成 21 年 8 月∼9 月)を確認した。
87
重要な種の保護の観点から図面を掲載していません。
図 2-22 クマタカの営巣場所及
び内部構造の変化
注)
図中の「
コアエリア」
とは全行動圏の中で、相対的に利用率の高い範囲(
周年の生活基盤となる範囲)
であり、1 年間を通じて、
よく利用する範囲、「
繁殖テリトリー」
とは繁殖期に設定・
防衛されるテリトリー(
ペア形成・
産卵・
育雛のために必要な範囲で
あり、繁殖期に確立されるテリトリー)
、「
幼鳥の行動範囲」
とは巣立ち後の幼鳥が独立できるまでの生活場所を示す。
88
表 2-51 クマタカの行動圏の内部構造のサイズ
つがい名
A つがい
コア
エリア
(ha)
準備書
繁殖テリ
トリー
(ha)
723
275
幼鳥の
行動範囲
(ha)
105
(営巣木Ⅰ)
コア
エリア
(ha)
723
内部構造
準備書以降
繁殖テリ
幼鳥の
トリー
行動範囲
(ha)
(ha)
331
139
(営巣木Ⅱ)
コア
エリア
0.0
(営巣木Ⅱ)
変化率(%)
繁殖テリ
トリー
幼鳥の
行動範囲
20.4
32.4
0.0
(営巣木Ⅰ)
55
A2 つがい
809
314
(営巣木Ⅰ)
132
809
314
60.0
88
0.0
(営巣木Ⅲ)
88
286
B つがい
667
63
273
(営巣木Ⅱ)
(営巣木Ⅲ)
88
286
(営巣木Ⅰ)
(営巣木Ⅰ・Ⅱ)
667
75
919
384
C つがい
853
389
D つがい
710
443
77
67
(営巣木Ⅰ)
(営巣木Ⅰ)
(営巣木Ⅰ・Ⅱ)
63
273
(営巣木Ⅱ)
(営巣木Ⅲ)
(営巣木Ⅲ)
B2 つがい
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
52.2
0.0
0.0
0.0
75
(営巣木Ⅲ)
919
384
853
389
77
102
(営巣木Ⅱ)
85
85
(営巣木Ⅰ)
(営巣木Ⅰ)
68
-33.4
(営巣木Ⅱ)
(営巣木Ⅱ)
710
443
(営巣木Ⅱ)
68
(営巣木Ⅱ)
E つがい
856
439
156
148
856
439
156
148
0.0
0.0
0.0
F つがい
634
327
(営巣木Ⅰ)
634
327
(営巣木Ⅰ)
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
-20.0
142
(営巣木Ⅱ)
G つがい
679
437
H つがい
720
374
一般的な
サイズ
700∼
800
300
117
155
(営巣木Ⅰ)
巣から概ね
500m∼1km
の範囲(正円
ではない)
142
(営巣木Ⅱ)
679
437
720
374
700∼
800
300
117
124
(営巣木Ⅱ)
巣から概ね
500m∼1km
の範囲(正円
ではない)
−
−
−
注)
1. 利用する営巣木によって繁殖テリトリーや幼鳥の行動範囲が異なるつがいについては、複数の繁殖テリトリーや幼鳥の行動範囲
を推定し、括弧内に該当する営巣木を示した。
2)
2. 行動圏の一般的なサイズについては、クマタカ・
その保護管理の考え方(
クマタカ生態研究グループ 平成12年4月)
を参考にし
た。
3.表中の「
コアエリア」
とは全行動圏の中で、相対的に利用率の高い範囲(
周年の生活基盤となる範囲)
であり、1 年間を通じて、よく利
用する範囲、「
繁殖テリトリー」
とは繁殖期に設定・
防衛されるテリトリー(
ペア形成・
産卵・
育雛のために必要な範囲であり、繁殖期に
確立されるテリトリー)
、「
幼鳥の行動範囲」
とは巣立ち後の幼鳥が独立できるまでの生活場所を示す。
89
表 2-52 クマタカの行動圏の内部構造の改変区域の割合
改変区域の割合(%)
準備書以降
コア
繁殖テリ
幼鳥の
エリア
トリー
行動範囲
コア
エリア
変化率(%)
繁殖テリ
トリー
幼鳥の
行動範囲
0.0
0.0
-0.8
-2.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
9.7
3.5
0.0
0.0
コア
エリア
準備書
繁殖テリ
トリー
幼鳥の
行動範囲
A つがい
7.1
4.7
2.4
7.1
3.9
A2 つがい
0.01
0.0
0.0
0.01
9.7
3.5
つがい名
B つがい
7.5
13.8
17.5
7.5
13.8
24.5
17.5
0.0
24.5
0.0
0.0
0.0
B2 つがい
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
C つがい
0.01
0.01
0.0
0.01
0.01
0.0
0.0
0.0
0.0
D つがい
6.6
6.1
6.6
6.1
0.0
0.0
E つがい
0.6
1.1
0.6
1.1
0.0
0.0
F つがい
0.5
0.5
0.5
0.5
0.0
0.0
G つがい
0.04
0.1
0.0
0.04
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
H つがい
0.01
0.0
0.0
0.01
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
2.8
1.6
0.0
1.1
0.02
2.8
1.6
0.0
1.1
0.02
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
注)
1..表中の「
コアエリア」
とは全行動圏の中で、相対的に利用率の高い範囲(
周年の生活基盤となる範囲)
であり、1 年間を通じて、よく
利用する範囲、「
繁殖テリトリー」
とは繁殖期に設定・
防衛されるテリトリー(
ペア形成・
産卵・
育雛のために必要な範囲であり、繁殖期
に確立されるテリトリー)
、「
幼鳥の行動範囲」
とは巣立ち後の幼鳥が独立できるまでの生活場所を示す。
90
(3) クマタカの繁殖状況
クマタカのつがい別の繁殖成功率の変化を表 2-53 に示す。
準備書以降の平成 21 年∼平成 24 年の 4 繁殖シーズンで、調査対象とした 9 つがいのうち、計 7 回の巣
立ちを確認した。なお、各つがいの繁殖状況は以下のとおりである。
・A つがいは、平成 22 年、平成 24 年に幼鳥の巣立ちを確認した。
・A2 つがいは、幼鳥の巣立ちは確認されなかった。
・B つがいは、平成 22 年に幼鳥の巣立ちを確認した。
・C つがいは、平成 21 年に幼鳥の巣立ちを確認した。
・D つがいは、平成 21 年に幼鳥の巣立ちを確認した。
・E つがいは、平成 22 年に幼鳥の巣立ちを確認した。
・F つがいは、幼鳥の巣立ちは確認されなかった。
・G つがいは、幼鳥の巣立ちは確認されなかった。
・H つがいは、平成 22 年に幼鳥の巣立ちを確認した。
平成 23 年繁殖シーズンは、9 つがいすべてで幼鳥の巣立ちは確認されなかった。
この要因として、準備書の結果も含めて考慮すると、隔年繁殖の傾向から繁殖率が低下するシーズンに
重なったこと、また平成 22 年 12 月から平成 23 年 2 月における平成 23 年北陸豪雪が重なったことなどが
考えられる。
表 2-53 クマタカのつがい別の繁殖成功率の変化
つがい名
繁殖シーズン
A
1年目
平成7年
×
2年目
平成8年
×
3年目
平成9年
4年目
平成10年
巣立ち
5年目
平成11年
巣立ち
6年目
平成12年
×
7年目
平成13年
×
8年目
平成14年
巣立ち
9年目
平成15年
×
10年目
平成16年
巣立ち
11年目
平成17年
×
12年目
平成18年
巣内育雛
13年目
平成19年
×
14年目
平成20年
巣立ち
15年目
平成21年
×
16年目
平成22年
巣立ち
17年目
平成23年
×
18年目
平成24年
巣立ち
準備書時点 繁殖ペア/ 調査ペア
5/ 13
まで
繁殖成功率(%)
38%
繁殖ペア/ 調査ペア
2/ 4
準備書以降
繁殖成功率(%)
50%
繁殖ペア/ 調査ペア
7/ 17
全調査期間
繁殖成功率(%)
41%
A2
B
×
×
×
×
巣立ち 巣内育雛
×
交尾・造巣
×
交尾
×
×
巣立ち 巣立ち
×
×
巣立ち 巣立ち
×
交尾
×
巣立ち
造巣
×
×
造巣
3/ 7
2/ 11
43%
18%
0/ 4
1/ 4
0%
25%
3/ 11
3/ 15
27%
20%
B2
C
巣立ち
×
交尾
×
×
巣立ち
交尾
×
×
交尾
巣立ち
交尾
巣立ち
×
×
巣内育雛
1/ 5
2/ 7
20%
29%
1/ 4
25%
1/ 5
3/ 11
20%
27%
D
×
×
交尾
巣立ち
交尾
交尾
巣立ち
×
巣立ち
交尾
巣立ち
×
造巣
×
3/ 10
30%
1/ 4
25%
4/ 14
29%
E
F
G
×
×
×
×
巣立ち
×
×
巣立ち
巣立ち
交尾
巣立ち
×
巣立ち
×
巣立ち
×
巣立ち
×
巣立ち 巣立ち
×
交尾 巣内育雛
×
巣立ち 巣立ち
×
×
交尾
×
巣立ち 巣立ち 巣立ち
×
造巣
交尾
巣立ち
×
交尾
交尾・造巣
×
×
造巣
造巣
×
5/ 12
5/ 10
4/ 11
42%
50%
36%
1/ 4
0/ 4
0/ 4
25%
0%
0%
6/ 16
5/ 14
4/ 15
38%
36%
27%
H
×
交尾
×
×
交尾
×
巣立ち
造巣
巣立ち
交尾
巣立ち
×
抱卵
2/ 9
22%
1/ 4
25%
3/ 13
23%
繁殖成功
繁殖ペア/
繁殖
調査ペア 成功率(%)
0%
0/ 1
0/ 3
0%
0/ 2
0%
2/ 5
40%
1/ 5
20%
3/ 7
43%
1/ 7
14%
5/ 8
63%
1/ 8
13%
3/ 9
33%
2/ 10
20%
5/ 10
50%
1/ 10
10%
8/ 10
80%
2/ 9
22%
4/ 9
44%
0/ 9
0%
1/ 9
11%
32/ 95
34%
34%
7/ 36
19%
19%
39/ 131
30%
30%
注)
1. 表中の凡例は以下のとおりである。
繁殖状況の確認段階:
「
交尾」
、「
造巣」
、「
抱卵」
、「
巣内育雛」
、「
巣立ち」
の5項目とした。「
造巣」
は、巣内での造巣行動や痕跡が確認された場合
とし、ディスプレイ行動の可能性のある、「
巣材採取」
、「
巣材運び」
は含めていない。
-:
調査対象外のつがいや繁殖状況を目的とした調査で無いため繁殖状況が不明なつがいを示す。
×:
上記の「
繁殖状況の確認段階」
の行動が確認されず、巣立ち後の幼鳥も確認されなかったことから、繁殖失敗と判断したつがいを示す。
繁殖ペア:
繁殖に成功したペアを示す。
2. −:
準備書以降は赤色の罫線より下行。準備書以降:
15年目∼18年目(
平成 21年繁殖シーズン∼平成 24年繁殖シーズン)
。
91
平成 24 年繁殖シーズンは、繁殖成功が 1 ペア(A つがい)
、巣内育雛までが 1 ペア(C つがい)
、抱卵ま
でが 1 ペア(H つがい)
、造巣までが 3 ペア(B つがい、E つがい、F つがい)
、繁殖状況の確認段階は不明
であるが繁殖に失敗したペアが 3 ペア(A2 つがい、D つがい、G つがい)であった。
平成 24 年繁殖シーズンにおけるクマタカ各つがいの繁殖に関する主な指標行動の確認状況は、
以下のと
おりである。
・A つがいは、2 月に餌運び、防衛行動を、4 月に監視止まり、防衛行動を、6 月に餌運び、監視止まり
を、8 月及び 10 月に巣立ち後の幼鳥を確認し、繁殖成功を確認した。
・A2 つがいは、2 月にディスプレイ、監視止まり、2 羽での止まりを、10 月に防衛行動を確認したが、8
月、10 月の巣外育雛期には巣立ち後の幼鳥は確認されなかった。
・B つがいは、2 月には繁殖に関する行動は確認されず、4 月にディスプレイ、監視止まり、防衛行動を、
6 月にも防衛行動を確認したが、8 月、10 月の巣外育雛期には巣立ち後の幼鳥は確認されなかった。
・C つがいは、2 月には繁殖に関する行動は確認されなかったが、8 月に巣Ⅱ直下でクマタカの雛の羽(し
(死体の一部)を確認し、巣内育雛期までの繁殖活動と繁殖に失敗したことを確認した。
・D つがいは、2 月には繁殖に関する行動は確認されず、4 月、6 月にディスプレイ、2 羽での止まりを、
8 月、10 月にもディスプレイを確認したが、8 月、10 月の巣外育雛期には巣立ちの幼鳥は確認されな
かった。
・E つがいは、2 月にディスプレイ、監視止まり、造巣、防衛行動を、8 月、10 月にもディスプレイを確
認したが、8 月、10 月の巣外育雛期には巣立ち後の幼鳥は確認されなかった。
・F つがいは、2 月にディスプレイ、巣材採取、巣材運び、監視止まり、2 羽での止まりを確認したが、
8 月、10 月の巣外育雛期には巣立ち後の幼鳥は確認されなかった。
・G つがいは、2 月、8 月、10 月にディスプレイ、防衛行動を確認したが、8 月、10 月の巣外育雛期には
巣立ち後の幼鳥は確認されなかった。
・H つがいは、2 月には繁殖に関する行動は確認されず、8 月、10 月の巣外育雛期には巣立ち後の幼鳥は
確認されなかった。なお、巣Ⅱ直下でクマタカの羽、卵殻、餌動物の羽などを確認し、抱卵段階まで
の繁殖活動と繁殖に失敗したことを確認した。
92
2.3.2 河川域の食物連鎖の上位種(ヤマセミ)
(1) 準備書以降の調査内容
足羽川ダム周辺の地域を特徴づける生態系の上位性(河川域)の注目種として、準備書において図 2-23
のイメージのように「主に魚類を餌としており、対象事業実施区域及びその周辺の区域のような河川環
境に依存する種であり、周辺につがいが生息していること」からヤマセミを選定している。
準備書では動物の重要な種の生息状況の確認において、
足羽川ダム周辺に 6 つがいが生息することを確
認し、ヤマセミは、主な生息地の改変による事業による影響は小さく、また、各つがいは工事中及び土
地又は工作物の存在・供用後も生息し、繁殖活動は維持されると予測・評価している。
このため、準備書以降、ヤマセミ 6 つがいの行動圏、行動圏内の狩り場や繁殖状況を把握するための調
査は実施していない。
なお準備書の調査内容については表 2-54 に示すとおりである。また準備書での生態系上位性(河川域)
の予測結果の概要を表 2-55 に示す。
準備書以降においては、鳥類(主としてクマタカ)の重要な種の生息状況の調査により、ヤマセミの生
息状況のみを確認した。
ヤマセミ
魚類
カエル類
カニ類
水生昆虫類
陸上昆虫類
流下・堆積有機物
付着藻類
植物
図 2-23 ヤマセミを上位種とした食物連鎖のイメージ
93
表 2-54 生態系上位性(河川域)の現地調査の手法、内容及び実施状況
項目
内容
調 査 す べ ヤマセミの生態、分布及び生息の状況並びに生息環境の状況
き
情報
調査地域・ 足羽川ダム集水域内の河川、ダム下流の部子川及び流入河川、下流の天神橋までの足羽川、
導水施設下流の河川並びに周辺の区域
調査地点
1.定位記録法
調査地域内の河川が全て観察できるように設定した調査地点において、双眼鏡や直視型
現 地 調 査 望遠鏡を用いて観察を行い、ヤマセミの生息状況を確認した。また、ヤマセミの出現状況
等に応じて、適宜、移動して観察した。調査は、早朝及び昼間に行った。
の
2.営巣地分布調査
内容
調査地域及びその周辺を踏査し、営巣地や営巣環境の分布を確認した。調査は、早朝及
び昼間に行った。
調査
調査時期
現地調査
年度
手法
春季
夏季
秋季
冬季
調査期間・
平成 18 年度
−
−
11/20∼24
−
1.定位記録法
調査時期
平成 19 年度 4/24∼27
6/25∼29
−
−
1.定位記録法
5/28∼6/1
7/23∼27
2.営巣地分布調査
注)準備書以降は、表中の現地調査以外にクマタカを対象とした調査において生息のみを確認している。
表 2-55 準備書における生態系上位性(河川域)の予測結果の概要
項目
地 上 河
域 位 川
を 性 域
特
徴
づ
け
る
生
態
系
予測結果の概要
環境保全措置
工
土地又
事
は工作
の
物の存
実
在及び
施
供用
上位性(河川域)の視点から注目される種であるヤマセミ 6 つがいのうち、YA
ヤ
つがい、YB
つがい及び YC つがいについては、行動圏内での改変はない。また、
マ
ダム・分水堰下流河川の土砂供給の変化、水質の変化及びダム下流河川の水の濁
セ
ミ りによる餌生物の生息環境の変化や狩り場環境の変化は小さいと考えられる。以
上のことから、工事中及び土地又は工作物の存在・供用後もつがいは生息し繁殖
活動は維持されると考えられる。
YD つがいについては、行動圏、行動圏内の狩り場及び営巣環境の一部が改変さ
れるが、行動圏内及びその周辺において狩り場環境及び営巣環境が残存する。建
設機械の稼働等による生息環境の変化については、営巣地が改変区域から離れて
おり、工事の実施に伴う繁殖活動への影響は小さいと考えられる。また、工事の
実施に伴う水質の変化による餌生物の生息環境の変化や狩り場環境の変化は小さ
いと考えられる。また、ダム・分水堰下流河川の土砂供給の変化及びダム下流河
川の水の濁りにより、餌生物の生息環境や狩り場環境が変化する可能性が考えら
れるものの、影響が想定されない、または影響が小さい部子川合流点より上流の
足羽川やダム洪水調節地より上流にも本種の狩り場環境は分布する。以上のこと
から、工事中及び土地又は工作物の存在・供用後もつがいは生息し繁殖活動は維
持されると考えられる。
YE つがい及び YF つがいについては、行動圏、行動圏内の狩り場環境及び営巣環
境の改変の程度は小さく、行動圏内及びその周辺の狩り場環境及び営巣環境の多
くが残存する。また、営巣地は改変区域から離れており、工事の実施に伴う生息
環境の変化は小さいと考えられる。さらに、ダム・分水堰下流河川の土砂供給の
変化、水質の変化及びダム下流河川の水の濁りによる餌生物の生息環境の変化及
び狩り場環境の変化は小さいと考えられる。以上のことから、工事中及び土地又
は工作物の存在・供用後もつがいは生息し繁殖活動は維持されると考えられる。
したがって、上位性(河川域)からみた地域を特徴づける生態系は維持される
と考えられる。
94
−
−
(2) ヤマセミの生息状況
ヤマセミの生息状況は、表 2-56、図 2-24 及び図 2-25 に示す。
準備書以降においては、平成 20 年∼平成 24 年の 5 年間で計 100 回、ほぼ年間を通じて生息を確認した。
平成 21 年 8 月には幼鳥を、足羽川ダムの部子川上流部及び割谷川で確認した。また、平成 24 年 4 月には
林道脇の法面で新たな営巣地を確認し、足羽川ダム周辺で繁殖していることを確認した。なお、平成 24
年 8 月に確認した新たな営巣地は、最も近い改変区域(付替道路脇)から距離約 100m 離れており、改変区
域との重複はないことを確認した。
前掲「河川環境ベースマップ」の調査結果より、ヤマセミの狩り場の環境については局所的には準備書
作成時と瀬・淵の位置が変化している箇所が確認されたものの、新たに河川横断工作物が設置された箇所
も少なく、河川環境に大きな変化はなく、準備書以降もヤマセミの生息状況に変化はないものと考えられ
る。
表 2-56 ヤマセミの確認状況
期間
準
備
書
準
備
書
以
降
確認時期
平成元年 4 月、5 月、10 月
平成 4 年 5 月
平成 6 年 12 月
平成 7 年 5 月、7 月
平成 10 年 1 月
平成 10 年 5 月、平成 11 年 1 月、3 月
平成 11 年 4 月、7 月、12 月、平成 12 年 1 月
平成 12 年 4 月、5 月、8 月、11 月、12 月、平成 13
年 2 月、3 月
平成 14 年度
平成 15 年 5 月∼6 月
平成 17 年 5 月∼7 月、9 月、11∼12 月、平成 18 年
1 月∼3 月
平成 18 年 4 月∼8 月、10 月∼12 月、平成 19 年 1
月、3 月
平成 19 年 4 月∼7 月、11 月、平成 20 年 2 月、3 月
平成20 年4 月、5 月、7 月、9 月∼11 月、平成21 年
2 月、3 月
平成21 年4 月、6 月、8 月、10 月、11 月、平成22 年
2月
平成22 年4 月、6 月、8 月、10 月、平成23 年2 月
平成23 年4 月、6 月、8 月、10 月、平成24 年2 月
確認場所
【確認場所全体】
源流的な河川、渓流的な河川、山
間部の里山を流れる河川
【狩りに関する行動の確認場所】
源流的な河川、渓流的な河川、山
間部の里山を流れる河川
確認状況
目視により 3 地点で確認。
目視により 5 地点で確認。
目視により 1 地点で確認。
目視により 4 地点で確認。
目視により 1 地点で確認。
目視により 4 地点で確認。
目視により 17 地点で確認。
目視により 24 地点で確認。
目視により 16 地点で確認。
目視により 34 地点で確認。
目視により 45 地点で確認。
目視により 198 地点で確認。
【確認場所全体】
源流的な河川、渓流的な河川、山
間部の里山を流れる河川
【狩りに関する行動の確認場所】
源流的な河川、渓流的な河川、山
間部の里山を流れる河川
平成24 年4 月、6 月、8 月、10 月
注)1.確認地点が多いことから、確認状況は確認時期ごとにまとめて記載した。
95
目視により 177 地点で確認。
目視により 19 地点で確認。
目視により 28 地点で確認。
目視により 19 地点で確認。
目視により 23 地点で確認。
目視により 11 地点で確認。
図 2-24
ヤマセミのつがい別の行動圏及び巣
の位置(準備書時点)
96
H21.8 幼鳥確認
H24.4 巣確認
H21.8 幼鳥確認
図 2-25
ヤマセミの確認地点(準備書以降:
平成 20 年 4 月∼平成 24 年 10 月)
97
2.4 動植物を取り巻く水環境
(1) 準備書における予測項目と予測手法
動植物の重要な種及び生態系の生息・生育環境の事業による直接改変以外の影響は、準備書において
「水質」
「流況」
「地下水の水位」の水環境の変化から、表 2-57 に示す予測の手法により類似の事例や既
存の知見を参考に予測・評価している。準備書で予測対象とした動物の重要な種は、前掲の表 2-21、植
物の重要な種は、前掲の表 2-39 に示す。
準備書以降の動植物を取り巻く水環境については、土地又は工作物の存在及び供用におけるダム下流
河川の水の濁りによる、アジメドジョウの生息生育の予測の前提となった洪水時の水の濁りに対する生
息等を確認した。
なお、準備書における「水質」
「流況」
「地下水の水位」においては、後述の 3.2 水環境で、準備書以
降の環境を確認している。
また、準備書における直接改変以外による動植物の生息・生育環境の変化の予測・評価は、他に「改
変区域付近の樹林環境から林縁環境への変化」
「建設機械の稼働等」
「下流河川への土砂供給の変化」が
あるが、本来の自然環境の変化より、工事実施に伴う環境への影響が大きいと考えられるため、継続し
た調査は実施していない。
表 2-57 (1) 予測の手法(動物)
予測項目
影響要因
ダム・分水堰下 土地又は 直接改
流河川の流況の 工作物の 変以外
変化に係る動物 存在及び
の重要な種の予 供用
測の手法
水質の変化及び 工事の実 直接改
ダム下流河川の 施
変以外
水の濁りに係る
動物の重要な種
の予測の手法
土地又は 直接改
工作物の 変以外
存在及び
供用
地下水の水位の 工事の実 直接改
変化に係る動物 施
変以外
の重要な種の予
測の手法
土地又は 直接改
工作物の 変以外
存在及び
供用
項目
ダム・分水堰下
流河川の流況
の変化による
生息環境の変
化
水質の変化に
よる生息環境
の変化
ダム下流河川
の水の濁りに
よる生息環境
の変化
地下水の水位
の変化による
生息環境の変
化
予測の基本的な手法
予測地域
予測対象時期等
「6.1.9 生態系」で予測 調査地域のう 導水施設(Ⅱ期)の供用開
した流況の変化による河 ち足羽川ダム堤 始後、流況の変化に係る環境
川植生の予測結果をもと 体及び分水堰よ 影響を的確に把握できる時
に、生息環境の変化につい り下流の河川の 期とした。
て予測した。
区間とした。
「6.1.4 水質」で予測し 調査地域のう 非出水時については、ダ
た結果をもとに、生息環境 ち工事区域周辺 ムの堤体の工事等に伴う濁
の変化について予測した。の水域及び足羽 水の発生が最大となる時期、
なお、予測は「6.1.4 水質」川ダム堤体より 出水時については、ダム堤体
の環境保全措置を実施し 下流の区間とし の工事等による裸地の出現
た場合の水質を前提に行 た。
が最大となる時期とし、さら
った。
に試験湛水の時期を加えた。
導水施設(Ⅱ期)の供用開
始後、水の濁りに係る環境影
響を的確に把握できる時期
とした。
「6.1.5 地下水の水質 調査地域のう 工事の実施による地下水
及び水位」で予測した結果 ち導水施設周辺 の水位に係る環境影響が最
をもとに、生息環境の変化 の区域とした。 大となる時期とした。
について予測した。なお、
導水施設(Ⅱ期)の供用開
予測は「6.1.5 地下水の水
始後、地下水の水位の変化に
質及び水位」の環境保全措
係る環境影響を的確に把握
置を実施した場合の水位
できる時期とした。
を前提に行った。
注)1.表中の予測の基本的な手法の中の「 」数字は、準備書の項目番号を示す。
98
表 2-57(2) 予測の手法(植物)
予測項目
影響要因
ダム・分水堰下 土地又は 直接改
流河川の流況の 工作物の 変以外
変化に係る植物 存在及び
の重要な種の予 供用
測の手法
項目
ダム・分水堰下
流河川の流況
の変化による
生育環境の変
化
水の濁り及びダ 工事の実 直接改 水の濁りによ
ム下流河川の水 施
変以外 る生育環境の
の濁りに係る植
変化
物の重要な種の
予測の手法
土地又は 直接改
工作物の 変以外
存在及び
供用
地下水の水位の 工事の実 直接改
変化に係る植物 施
変以外
の重要な種の予
測の手法
土地又は 直接改
工作物の 変以外
存在及び
供用
ダム下流河川
の水の濁りに
よる生育環境
の変化
地下水の水位
の変化による
生育環境の変
化
予測の基本的な手法
予測地域
予測対象時期等
「6.1.9 生態系」で予測 調査地域のう 導水施設(Ⅱ期)の供用開
した流況の変化とそれに ち、足羽川ダム 始後、流況の変化に係る環境
伴う河川植生等の変化に 堤体及び分水堰 影響を的確に把握できる時
関する結果をもとに、重要 より下流の河川 期とした。
な種の生育環境の変化及 の区間とした。
び重要な種への影響を予
測した。
「6.1.4 水質」で予測し 調査地域のう 非出水時については、ダ
た結果をもとに、生育環境 ち工事区域周辺 ムの堤体の工事等に伴う等
の変化について予測した。の水域及び足羽 に伴う濁水の発生が最大と
なお、予測は「6.1.4 水質」川ダム堤体より なる時期、出水時について
の環境保全措置を実施し 下流の区間とし は、ダム堤体の工事等による
た場合の水質を前提に行 た。
裸地の出現が最大となる時
った。
期とし、さらに試験湛水の時
期を加えた。
導水施設(Ⅱ期)の供用開
始後、水の濁りに係る環境影
響を的確に把握できる時期
とした。
「6.1.5 地下水の水質 調査地域のう 工事の実施による地下水
及び水位」で予測した結果 ち導水施設周辺 の水位に係る環境影響が最
をもとに、生育環境の変化 の区域とした。 大となる時期とした。
について予測した。なお、
導水施設(Ⅱ期)の供用開
予測は「6.1.5 地下水の水
始後、地下水の水位の変化に
質及び水位」の環境保全措
係る環境影響を的確に把握
置を実施した場合の地下
できる時期とした。
水の水位を前提に行った。
注)1.表中の予測の基本的な手法の中の「 」数字は、準備書の項目番号を示す。
99
(2) 高濃度濁水に耐するアジメドジョウの環境保全措置等に関する調査
1) 洪水後の生息状況調査(昭和 60 年 9 月)
準備書以降に確認された洪水時の SS の状況を表 2-58 に、準備書以降の調査で確認された PPT とア
ジメドジョウを含め重要な魚類の確認地点を表 2-59 に示す。
準備書によると、部子川より下流の足羽川では、洪水時調査において、天神橋地点で最大 4,600mg/L
(H16∼H18)、下新橋地点で最大 2,100mg/L(H17∼H18)
、蔵作地点で最大 3,700mg/L(H6∼H8、H10、
H13∼H14、H17∼H18)
、小畑地点で最大値 4,900mg/L(H6∼8、H10、H13∼14、H16∼19)であった。
準備書以降については、小畑地点で計 5 回の洪水時の調査が実施されており、観測された SS の最大
値は 837mg/L(H20∼H22)であり、部子川より下流の足羽川では、高水時調査において、天神橋地点で
最大 807mg/L(H21)、下新橋地点で最大 811mg/L(H21)
、蔵作地点で最大 822mg/L(H21)
、横越地点で
最大 986mg/L(H21)であった。
また、準備書以降の調査においても、洪水後に小畑地点で 4 個体(全域計 16 地点で 123 個体)のア
ジメドジョウの生息が確認されたほか、アカザ、ヤマメ、カジカなどの重要な種の生息が確認されて
いる。
100
表 2-58 準備書以降における洪水時の水質調査における SS の状況
場所
年月日(継続時間)
SS 濃度(mg/L)
山間部の里山を流 天神橋
れる河川
平成 21 年 6 月 22 日∼23 日(8 時間)
170∼515
平成 22 年 2 月 26 日∼27 日(15.5 時間)
198∼807
下新橋
平成 21 年 6 月 22 日∼23 日(7 時間)
124∼446
平成 22 年 2 月 26 日∼27 日(15 時間)
206∼811
平成 21 年 6 月 22 日∼23 日(7.5 時間)
102∼431
平成 22 年 2 月 26 日∼27 日(13 時間)
246∼986
平成 21 年 6 月 22 日∼23 日(7 時間)
170∼515
平成 22 年 2 月 26 日∼27 日(14 時間)
198∼807
蔵作
横越
渓流的な河川
小畑
平成 20 年 6 月 29 日(-)
金見谷
篭掛
607
平成 21 年 6 月 22 日∼23 日(5 時間)
36∼147
平成 22 年 2 月 26 日∼27 日(14 時間)
218∼837
平成 22 年 7 月 3 日∼4 日(4 時間)
114∼239
平成 22 年 7 月 12 日(5.5 時間)
74∼575
平成 21 年 6 月 22 日∼23 日(7 時間)
170∼515
平成 22 年 2 月 26 日∼27 日(14 時間)
198∼807
平成 21 年 6 月 22 日∼23 日(7 時間)
170∼515
平成 22 年 2 月 26 日∼27 日(14 時間)
198∼807
注)表中の( )内の-は、継続時間が不明であることを示す。
表 2-59 準備書以降に生息が確認された魚類の重要な種
環境類型区分
山間部の里山を流れる河川
渓流的な河川
種名
アジメドジョウ
確認年度
平成 22 年度 天神橋、一乗谷、宇坂大谷、芦見
川、小宇坂、蔵作、上味見川、横越等
平成 22 年度 一乗谷、宇坂大谷
平成 22 年度 上味見川、横越
平成 22 年度 宇坂大谷、芦見川、小宇坂
平成 22 年度 小畑、金見谷、篭掛
平成 22 年度 篭掛
平成 22 年度 小畑、篭掛
アカザ
ヤマメ
カジカ
アジメドジョウ
ヤマメ
カジカ
101
H8
H3
H5 H6 H7
9月
5月 9月
3
1
注1)H5∼7,9,10,12,14∼16は魚類調査を実施していない。
S60
アジメドジョウ
9月
確認個体数
アジメドジョウ
確認個体数
H16
H17
8月
5月
1
注)H16,20,21は魚類調査を実施していない。
H18
8月
3
H9
10月
2
H10
5月
1
7月
H11
H12
9月 10月
1
1
H19
8月
2
H13
H14 H15 H16
8月 10月
H20
10月
図 2-26 小畑地点の洪水時調査結果
102
5月
H21
H22
8月
4
2) 濁水耐性調査(平成 22 年 9 月)
濁水耐性調査前に、実験条件を把握するため、水温、濁水に対する予備試験を実施し、水温は 26℃
以下が好ましいこと、洪水(S34.8)後の濁水放流の予測最大値(7,142mg/L、貯留時間 40 時間)程度で
ある SS 濃度 8,000mg/L でも 48 時間生残率が 100%であることを把握した。
この予備試験の結果から、「濁水耐性調査」では福井豪雨(H16.7)の濁水放流の予測最大値
(20,100mg/L、貯留時間 41 時間)を考慮して、SS 濃度を SS0∼24,000mg/L の範囲に 5 試験区(SS0、
8,000、16,000、20,000、24,000mg/L)設定した。
「濁水耐性調査」は、各試験区で 30 個体を用い、試験開始から 0、1、3、6、12、24、36 及び 48
時間後に各試験水槽のアジメドジョウの状態を観察し記録した。
また「濁水耐性調査」では、アジメドジョウが濁水に暴露された後も生存し回復することを確認す
るため、試験終了時に各試験区から供試個体の半数にあたる 15 個体を抽出して清水中で 7 日間の延
長飼育を実施した。飼育開始から 7 日経過後、各試験区のアジメドジョウを取り上げ、鰓等を観察し、
濁質付着の有無等を確認した。
試験水槽の外観
アジメドジョウ収容カゴ内部の様子
ブロアー
アジメドジョウ収容カゴ
試験水
試験水槽
調温水
循環ポンプ
調温用水槽
試験水槽の概略
図 2-27 アジメドジョウ濁水耐性実験実施状況及び概略
103
調温ユニット
各試験区における試験水の粒度分布と、準備書に記載されたダムサイト建設予定地付近(小畑地点)
の高水時の粒度分布を図 2-28 に示す。試験水の濁質粒度分布は、ダムサイト建設予定地付近(小畑
地点)の洪水時の粒度分布とほぼ同様であり、各試験区とも試験条件として問題がなかった。
注)
1.濁水耐性調査は洪水時における現地の状況を再現するため、
足羽川ダム堤体建設予定地付近で採取した土砂を使用。
2.洪水時調査の平均値については、H10,13,14のデータ(計13サンプル)は分析手法が異なるため、H6-H8のデータ(計
15サンプル)を用いた。
図 2-28 既往洪水時調査及び濁水耐性試験における粒度組成の比較
104
アジメドジョウの生残状況を表 2-60 に、各試験区における供試魚の鰓の状況を図 2-29 に示す。
試験の結果、SS0(対照区)∼20,000mg/L 区では斃死個体は確認されず、24,000mg/L 区のみで斃死
個体が確認された。24,000mg/L 区においては、試験開始から 24 時間経過時及び 36 時間経過時にそれ
ぞれ 1 個体ずつの斃死が確認され、48 時間経過時の生残率は約 93%であった。
濁水耐性試験終了後の生残個体について、外観及び鰓を実体顕微鏡下で観察したところ、SS0mg/L
区では異常は認められなかったが、濁質を含む試験区の生残個体では、鰓等に濁質の付着が観察され
た。さらに SS24,000mg/L 区で試験中に斃死した 2 個体では、鰓は左右とも濁質によって閉塞してい
たことから、これらは濁質の影響によって斃死したものと考えられる。
濁水への長時間暴露による長期的な影響を把握するため、濁水耐性試験後、7 日間の延長飼育を実
施した。延長飼育終了時における供試魚の鰓の状況を図 2-29 に示す。
本試験終了後 7 日間実施した延長飼育期間中、異常な行動を示す個体や斃死は観察されず、給餌し
た飼育餌料は残さず摂餌していた。
延長飼育終了時に各試験区から供試魚を取り上げて鰓等を観察したところ、各試験区とも濁質の付
着した個体は観察されず、延長飼育期間中に濁質が付着した状態から回復したことを確認した。
表 2-60 濁水耐性調査におけるアジメドジョウの時間別生残率
試験区
SS8,000mg/L
SS0mg/L
SS16,000mg/L
SS8,000mg/L
SS20,000mg/L
SS24,000mg/L
項目
生残個体数
生残率(%)
生残個体数
生残率(%)
生残個体数
生残率(%)
生残個体数
生残率(%)
0時間
30
100
30
100
30
100
30
100
1時間
30
100
30
100
30
100
30
100
3時間
30
100
30
100
30
100
30
100
105
経過時間
6時間
12時間
24時間
36時間
48時間
30
30
30
30
30
100
100
100
100
100
30
30
30
30
30
100
100
100
100
100
30
30
30
30
30
30
30
30
30
100
100
100
100
100
30
30
29
28
28
100
100
96.7
93.3
93.3
48 時間経過後
調査終了 7 日経過後
SS0mg/L 区生残個体の鰓
SS0mg/L 区生残個体の鰓
SS8,000mg/L 区生残個体の鰓
SS8,000mg/L 区生残個体の鰓
SS16,000mg/L 区生残個体の鰓
SS16,000mg/L 区生残個体の鰓
−
SS20,000mg/L 区生残個体の鰓
SS20,000mg/L 区生残個体の鰓
24 時間経過後斃死個体
36 時間経過後斃死個体
S24,000mg/L 区生残個体の鰓
SS24,000mg/L 区生残個体の鰓
図 2-29 濁水耐性試験における供試魚の鰓の状況
106
3) 伏流水の分布状況調査(平成 22 年 7∼8 月)
準備書では、アジメドジョウの生息に対する環境保全措置及び事後調査を、表 2-61 及び表 2-62 と
している。
表 2-61 準備書における土地又は工作物の存在及び供用における環境保全措置(アジメドジョウ)
項 目
環境影響
動 アジメドジョウ
物
の
重
要
な
種
直接改変以外の
影響(ダム下流河川
の水の濁り) によ
り、ダム下流の部子
川及び足羽川が本
種の生息環境とし
て適さなくなる。
環境保全措置の
方針
濁水からの避
難場所を整備す
ることで事業の
影響を低減す
る。
環境保全措置の
効果
出水後の濁水の発生時
出水後の濁水の発
に、本種が避難できるよう、 生による本種の生息
ダム下流河川の伏流水のあ 環境の改変を低減す
る河岸等に、濁水からのシ る効 果 が期 待 でき
ェルターを整備する。
る。
環境保全措置
表 2-62 準備書における事後調査の内容(アジメドジョウ)
項
目
アジメドジョウ
手法等
1.行うこととした理由
環境保全措置の効果に係る知見が不十分であり、環境保全措置の内容を詳細なもの
にする必要があり、また環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある。
2.手法
(1)環境保全措置の内容を詳細にするための調査
動
物
動
物
の
重
要
な
種
調査時期は、供用開始前とし、調査地域は出水後に濁水の発生が想定されるダム下
流河川とする。
調査方法は伏流水の分布状況並びに現地におけるアジメドジョウの生息状況及び
生息環境の確認による。
(2)環境保全措置実施後に環境の状況を把握するための調査
調査時期は供用開始後とし、調査地域はシェルターの設置箇所周辺とする。
調査方法は、現地におけるアジメドジョウの生息状況の確認及び生息環境の確認に
よる。
3.環境影響の程度が著しいことが明らかとなった場合の対応の方針
アジメドジョウの生息状況や生息環境に応じ、専門家の指導及び助言を得ながら対
応する。
107
アジメドジョウの生息にとって、伏流水の存在は非常に重要なものであると考えられる。また伏流
水箇所は越冬及び産卵場所として重要な条件とされているが、洪水時などの避難場所としても利用さ
れている可能性が考えられる。
これらのことから、アジメドジョウの生息調査前に足羽川、部子川における伏流水等の分布状況の
把握を実施した。なお、伏流水が確認されなかったものの、足羽川漁協への聞き取り調査時にアジメ
ドジョウの生息情報が得られ、堰による伏流の可能性が考えられる小宇坂堰堤直下(St.8)や、 水温
や水質等が異なる水塊が流入するため、伏流水同様の環境を呈し、構造時の避難場所ととしても利用
される可能性がある支川合流点についてもアジメドジョウ調査を実施した。
これらの調査により確認された伏流水等の確認状況を表2-63 に、
アジメドジョウ調査位置を図2-30
に示す。
これらアジメドジョウ調査位置のうち、伏流水箇所では護岸タイプ 1 箇所では生息が確認されなか
ったが、残る計 7 箇所で 29 個体の生息が確認された。また、支川合流箇所では 2 箇所を除く計 9 箇
所で 94 個体のアジメドジョウの生息が確認された。
伏流水箇所においてアジメドジョウが最も多く確認されたのは、巨岩タイプの伏流箇所であり、次
いで中州タイプ、堰タイプ、護岸タイプの順であった。
また、支川流入箇所においてアジメドジョウが最も多く確認されたのは、上味見川であり、次いで
芦見川、足羽川の順であった。
今後、アジメドジョウの濁水影響に対する環境保全措置として、退避用シェルターの設置を行うこ
ととしているが、準備書以降、高濃度濁水の出水が確認されておらず、出水後のアジメドジョウの生
息状況については今後も調査を継続する。
また環境保全措置として設置する退避用シェルターの具体化のため、伏流水パターン別に出水後の
アジメドジョウの生息状況を把握し、シェルター整備による保全措置の確実性の向上に努める。
108
表 2-63 伏流水等の確認状況
伏流水
伏流箇所の状況
タイプ
護岸タイプ
(石積護岸
や護岸の魚
巣ブロック
からの伏
流)
St.1
St.7
中州タイプ
(中洲(水
面より上
部)から伏
流)
St.2
St.5
巨岩タイプ
(大石の下
からの伏
流)
St.3
St.4
堰タイプ
(堰直下に
伏流してい
る可能性が
ある)
St.8
109
St.6
大谷川
荒谷川
小滝川
芦見川
St.1
一乗谷川
羽生川
St.8
St.3
St.2
St.4
上味見川
St.5
St.6
赤谷川
St.7
足羽川
金見谷川
篭掛川
河川横断工作物
図 2-30
伏流水確認地点
伏流水等におけるアジメドジョウ
調査地点
(準備書以降:平成 22 年 7 月∼8 月)
支川合流点
110
現地調査においてアジメドジョウの生息が確認された伏流箇所の生息状況を表 2-64 に、現地調査の
結果の判明したアジメドジョウの主な生息環境条件を表 2-65 に示す。
伏流水箇所においてアジメドジョウの生息が確認された物理環境条件をみると、水深約 20∼40cm、
底層流速約 0.2∼0.4m/s、水温約 22∼24℃、河床材料は大礫を中心として小中礫や巨礫が混じり、浮
石は約 10∼20%程度であった。
支川合流点においてアジメドジョウの生息が確認された物理環境条件をみると、水深約 10∼40cm、
底層流速約 0.2∼0.6m/s、水温約 17∼30℃、河床材料は大礫を中心として小中礫や巨礫が混じり、浮
石は約 10∼30%程度であった。
特にアジメドジョウが最も多く確認された上味見川周辺の物理環境条件をみると、水深 18∼48cm
(平均 31cm)、底層流速 0.07∼0.88m/s(平均 0.33m/s)、水温 22.∼25.7℃(平均 23.8℃)
、河床材料
は大礫を中心とした小中礫や巨礫であり、浮石は平均 25%程度であった。
表 2-64(1) 伏流水等(本川伏流箇所)の物理環境及びアジメドジョウの生息状況
伏流タ
イプ
護岸
(St.1)
中州
(St.2)
巨岩
(St.3)
巨岩
(St.4)
中州
(St.5)
巨岩
(St.6)
護岸
(St.7)
堰
(St.8)
護岸
河床材料(%)
調査
箇所
数
水深
(cm)
底層
流速
(m/s)
水温
(℃)
砂泥
小中
礫
大礫
巨礫
8
(28)
(0.22)
(25.3)
(1)
(46)
(35)
(18)
(4)
19
19
(-20)
27
(-14)
23
(-3)
33
(+1)
33
(0)
19
(-12)
39
(-11)
19
(-11)
24
(-13)
29
(-6)
28
(-8)
0.39
(-0.06)
0.59
(+0.37)
0.31
(+0.07)
0.08
(-0.28)
0.35
(+0.22)
0.22
(-0.13)
0.41
(+0.19)
0.22
(-0.09)
0.26
(-0.13)
0.36
(+0.16)
0.33
(+0.05)
25.2
(-0.1)
27.6
(0)
26.8
(+0.3)
21.7
(-2.7)
19.4
(0)
22.1
(+0.3)
23.3
(-0.1)
22.1
(-0.8)
23.8
(-0.9)
22.8
(-2.3)
23.0
(-1.1)
0
(-4)
0
(-4)
0
(0)
0
(-2)
0
(-3)
0
(-7)
27
(+19)
0
(-5)
0
(-3)
0
(-2)
4
(0)
23
(+2)
40
(-15)
43
(-8)
30
(+7)
18
(-29)
70
(+36)
33
(+7)
70
(+32)
26
(+4)
29
(-23)
33
(-4)
43
(-8)
60
(+33)
43
(+12)
65
(+12)
56
(+30)
25
(-8)
13
(-24)
25
(-9)
52
(-2)
52
(+24)
43
(+6)
33
(+9)
0
(-15)
13
(-5)
5
(-16)
26
(+2)
5
(-21)
27
(-2)
5
(-18)
22
(+1)
19
(+1)
19
(-3)
30
(+9)
10
(+3)
5
(-1)
13
(-7)
24
(+7)
15
(0)
7
(-8)
15
(+4)
23
(+4)
16
(+7)
16
(+3)
12
11
5
12
19
13
27
中州
24
巨岩
35
合計
99
浮石
割合
(%)
アジメドジョウ
箇
個
生息
所
体
密度
数
数
(/m2)
0
0
0
3
5
0.26
1
1
0.08
3
3
0.27
2
3
0.60
5
9
0.75
2
4
0.21
3
4
0.31
2
4
0.15
5
8
0.33
9
13
0.37
19
29
0.19
注) 1.( )内の数値は、アジメドジョウが確認されなかった周辺地点の平均値との差を示す。
注) 2. 河床材料の粒径は以下のとおりである。
砂泥(<1mm)、小中礫(2∼60mm)
、大礫(70∼240mm)
、巨礫(>250mm)
注) 3. 護岸タイプの St.1 ではアジメドジョウの生息が確認されなかったため、調査箇所の平均値を( )で示した。
111
表 2-64(2) 伏流水等(支川合流)の物理環境及びアジメドジョウの生息状況
流入支川
調査
箇所
数
小滝川
10
一乗谷川
12
大谷川
25
荒谷川
15
芦見川
22
羽生川
上味見川
18
13
赤谷川
足羽川
12
24
金見谷川
14
篭掛川
16
合計
182
河床材料(%)
底層
流速
(m/s)
水温
(℃)
砂泥
小中
礫
10
0.25
(-6)
(+0.07)
34
0.22
(+3)
(-0.10)
23
0.41
(-13) (-0.22)
34
0.63
(+6) (+0.08)
29
0.26
(-1)
(+0.09)
(35)
(0.25)
31
0.37
(-5)
(+0.21)
(33)
(0.40)
25
0.38
(+14) (+0.17)
39
0.25
(+15) (-0.27)
42
0.24
(+10) (-0.34)
29
0.35
(+3)
(-0.06)
30.3
(+1.0)
28.1
(+0.2)
26.7
(-2.1)
25.4
(-1.0)
26.0
(-3.6)
(26.2)
24.1
(+1.7)
(23.1)
22.1
(+0.7)
19.8
(-0.2)
17.4
(-0.2)
24.5
(+0.5)
5
(-6)
0
(-8)
0
(-4)
0
(-4)
0
(-10)
(6)
0
(0)
(0)
0
(-9)
0
(0)
0
(0)
2
(-3)
35
60
0
10
(-3)
(+22) (-14)
(+2)
30
35
35
25
(+1)
(+2)
(+5) (+11)
24
54
22
10
(-17)
(+13) (+6)
(+2)
26
30
43
27
(+4)
(-4)
(+3)
(+3)
35
41
24
23
(-22)
(+13) (+19) (+16)
(41)
(32)
(21)
(12)
29
64
7
25
(-6)
(+14) (-8)
(+5)
(44)
(38)
(18)
(25)
41
40
19
18
(-4)
(+11) (+2)
(+7)
0
55
45
8
(-27) (-11)
(+37) (-2)
55
40
5
30
(+17) (-11)
(-6)
(+14)
32
49
19
20
(-6)
(+10) (+1)
(+7)
水深
(cm)
大礫
巨礫
浮石
割合
(%)
アジメドジョウ
箇
個
生息
所
体
密度
数
数 (/m2)
2
3
0.30
2
3
0.25
5
6
0.24
3
3
0.20
9
15
0.68
0
11
0
46
0
3.54
0
8
0
13
0
0.54
2
2
0.14
2
3
0.19
45
94
0.52
注) 1.( )内の数値は、アジメドジョウが確認されなかった周辺地点の平均値との差を示す。
注) 2. 河床材料の粒径は以下のとおりである。
砂泥(<1mm)、小中礫(2∼60mm)
、大礫(70∼240mm)
、巨礫(>250mm)
注) 3. 羽生川、赤谷川合流点ではアジメドジョウの生息が確認されなかったため、調査箇所の平均値を( )で示した。
112
表 2-65 現地調査結果を基に推定したアジメドジョウの生息環境条件
生息
環境
環境類型区分
河床材料
本川伏 早瀬、平瀬、淵 大礫 4 割、小中
流箇所 に生息し、ワン 礫 3 割、巨礫 2
ドには生息しな 割程度の底質に
い。特に早瀬に 多い。
多い。
浮石環境が 10∼
20%程度ある環
境を好む。
支川合 早瀬、平瀬に生 大礫 5 割、小中
流点
息し、淵、ワン 礫 3 割、巨礫 2
ドには生息しな 割程度の底質に
い。
多い。
浮石環境が 10∼
30%程度ある環
境を好む。
生息環境条件
底層流速
底 層 流 速
0~0.80m/s の 範
囲に生息。特に、
0.2m/s ∼ 0.5m/s
(平均 0.33m/s)
程度の範囲に多
い。
底 層 流 速
0.02~0.88m/s の
範囲に生息。特
に、底層流速
0.2m/s ∼ 0.5m/s
(平均 0.35m/s)
程度の範囲に多
い。
まとめ
早瀬や平瀬に生
息することから、
底 層 流 速
0.2~0.5m/s の範
囲に多い。
主な生息環境は
早瀬、平瀬であ
る。
伏流している場
合には淵にも生
息するが、ワン
ドには生息しな
い。
大礫を中心とし
た礫質の河床に
生息し、砂泥底
には生息しな
い。
浮石環境が 10∼
30%程度ある環
境を好む。
水深
15∼65cm の水
深に生息。特に
15∼40cm 程度
(平均 28cm)の
水深に多い。
水温
夏季(8 月)水温
で 19.2∼27.6℃
(平均 23℃)に
生息。
9cm ∼ 52cm の
水深に生息。特
に 20∼40cm 程
度(平均 29cm)
の水深に多い。
夏季(8 月)水温
で 17.1∼31.2℃
(平均 24.5℃)
に生息。
水深 15∼40cm
程度(平均約
30cm) のやや浅
い水深に多い。
生息環境の水温
幅は広く、夏季
(8 月)水温で
17 ∼ 31 ℃ に 生
息。
調査範囲内は全
て生息可能な水
温である。
注) 1. 河床材料の粒径は以下のとおりである。
砂泥(<1mm)、小中礫(2∼60mm)
、大礫(70∼240mm)
、巨礫(>250mm)
113
3. 環境の自然的構成要素の良好な状態の保持に係る環境要素
大気環境、水環境、地形及び地質 の確認
3.1 大気環境
足羽川ダム周辺の気象の状況を表 3-1 及び図 3-1 に示す。
準備書以降の足羽川ダム周辺における風向・風速、気温、湿度、降水量、日射量、雲量は、準備書と
大きく変化していないことを確認した。準備書以降の各項目の平均値は以下のとおりである。
・ 持越地点の平均風速は、準備書 1.06m/s に対し準備書以降 0.99m/s と 0.07m/s(6.6%)減少。
最多出現風向は準備書と準備書以降は南西と変化がない。
・ 小畑地点の平均風速は、準備書 0.88m/s に対し準備書以降 0.86m/s と 0.02m/s(2.3%)減少。
最多出現風向は準備書と準備書以降は南東と変化がない。
・ 持越地点の平均気温は、準備書の 12.2℃に対し準備書以降 12.3℃と 0.1℃(0.8%)増加。
・ 持越地点の平均湿度は、準備書の 88.8%に対し準備書以降 89.5%と 0.7%(0.8%)増加。
・ 大本地点の降水量は、準備書 2,479 ㎜に対し準備書以降 2,493 ㎜と 14 ㎜(0.6%)減少。
・ 稲荷地点の降水量は、準備書 2,471 ㎜に対し準備書以降 2,377 ㎜と 94 ㎜(3.8%)減少。
・ 美山地点の降水量は、準備書 2,365 ㎜に対し準備書以降 2,492 ㎜と 127 ㎜(5.4%)増加。
・ 持越地点の日射量は、準備書 10.1MJ/㎡/日に対し準備書以降 11.0MJ/㎡/日と 0.9MJ/㎡/日
(8.9%)増加。
・ 福井地方気象台の年平均雲量は、準備書 7.6 に対し準備書以降 7.6 と変化がない。
表 3-1 気象の状況
項目
風向
(最多出現風向)
風速 (平均風速)
気温 (平均気温)
湿度 (平均湿度)
降水量
(年降水量)
日射量 (日平均)
雲量 (年平均)
調査地点
①準備書
持越
南西
小畑
南東
持越
1.06m/s
小畑
0.88m/s
持越
12.2℃
持越
88.8%
大本
2,479 ㎜
稲荷
2,471 ㎜
美山
2,365 ㎜
持越
10.1MJ/m2/日
福井地方気象台
7.6
(福井市豊島)
②準備書以降
増減
南西
南東
0.99m/s
0.86m/s
12.3℃
89.5%
2,493 ㎜
2,377 ㎜
2,492 ㎜
11.0MJ/m2/日
-0.07m/s
-0.02m/s
0.1℃
0.7%
-14 ㎜
-94 ㎜
127 ㎜
0.9MJ/m2/日
変化率
(%)
-6.6%
-2.3%
0.8%
0.8%
0.6%
-3.8%
5.4%
8.9%
7.6
0.0
0.0%
備考)1.使用したデータの期間は、次のとおり。
[風向・風速]①準備書・・・持越:H5∼19、小畑:H15∼19 ②準備書以降・・・持越・小畑:H20∼22
[気温、湿度、降水量、日射量、雲量]①準備書:H5∼19 ②準備書以降・・・H20∼22
114
雲量(福井)
10
準備書以降
雲量
8
6
4
2
0
小畑気象観測所
北北西 20
北西
10
西北西
西
H5 H6 H7 H8 H9H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22
北
①準備書期
間(H18- 19)
北北東
北東
福井地方気象台
東北東 平均風速:0.88m/s
0
東
西南西
東南東
南西
南南西
南
②更新期間
(H21- 22)
平均風速:0.86m/s
南東
南南東
<calm>
①準備書期間:26.68%
②更新期間:13.80%
美山地域気象観測所
持越気象観測所
北北西 20
15
北西
10
西北西
5
西
0
北
北北東
北東
①準備書期
間(H18- 19)
小畑
東北東 平均風速:1.06m/s
東
西南西
大本
②更新期間
(H21- 22)
持越
東南東 平均風速:0.99m/s
南東
<calm>
南南東
南西
南南西
南
日射量(持越)
①準備書期間:24.24%
②更新期間:17.86%
稲荷
準備書以降
10
8
6
4
2
0
H5 H6 H7 H8 H9H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22
降水量(大本)
年間降水量(㎜)
日射量(MJ/㎡/日)
12
3,200
2,800
2,400
2,000
1,600
1,200
800
400
0
降水量(稲荷)
降水量(美山)
準備書以降
H5 H6 H7 H8 H9 H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22
図 3-1 気象の調査地点と状況
115
3.2 水環境
(1) 水質の状況
準備書以降の足羽川ダム周辺の水環境(SS,pH,水温,COD,クロロフィル a ,T-N,T-P,BOD,DO)は、準
備書と同様の全 18 地点の観測値の整理を行った。準備書での植物の重要な種に対する予測結果の概
要を表 3-2 に、水質の平均値を表 3-3 に、全調査地点の位置を図 3-2 に、各地点の水質を表 3-4(1)
∼(9)に示す。
準備書以降の各地点の水質は、準備書と大きく変化していないことを確認した。また、国土交通省
災害統計及び福井県砂防防災課資料により、大きな出水や災害がないことを確認した。
その内容は以下のとおりである。
・ SS(水の濁り)
は、
準備書の年平均値4.04mg/L に対し準備書以降が年平均2.76mg/L と1.28mg/L
の減少。準備書以降の年平均値は、工事影響がみられる羽生川を除く、全ての地点で準備書
の標準偏差(2σ)の範囲内にある。
・ pH は、準備書の年平均値 7.73 に対し準備書以降の年平均値が 7.82 と 0.09 の増加。準備書及
び準備書以降の標準偏差(2σ)も小さく、準備書以降の年平均値は、おおむね準備書の標準
偏差(2σ)の範囲内にある。
・ 水温は、準備書の年平均値 12.32℃に対し準備書以降の年平均値が 12.36℃と 0.04℃の増加。
準備書以降の年平均値は、全ての地点で準備書の標準偏差(2σ)の範囲内にある。
・ COD は、準備書の年平均値 1.23mg/L に対し準備書以降の年平均値 1.07mg/L と 0.16mg/L
(13.0%)減少。準備書及び準備書以降の標準偏差(2σ)は小さく、準備書以降は、おおむ
ね準備書の標準偏差(2σ)の範囲内にある。
・ クロロフィル a は、準備書の年平均値 0.83mg/L に対し準備書以降の年平均値 0.87mg/L と
0.04mg/L(4.8%)増加。
。準備書及び準備書以降の標準偏差(2σ)は小さく、準備書以降は、
おおむね準備書の標準偏差(2σ)の範囲内にある。
・ T-N は、準備書の年平均値 0.445mg/L に対し準備書以降の年平均値 0.466mg/L と 0.021mg/L
(4.7%)増加。準備書以降の年平均値は、全ての地点で準備書の標準偏差(2σ)の範囲内
にある。
・ T-P は、準備書の年平均値 0.019mg/L に対し準備書以降の年平均値 0.016mg/L と 0.003mg/L
(15.8%)減少。準備書以降の年平均値は、全ての地点で準備書の標準偏差(2σ)の範囲内
にある。
・ BOD は、準備書の年平均値 0.52mg/L に対し準備書以降の年平均値が 0.52mg/L と変化はない。
準備書及び準備書以降の標準偏差(2σ)は小さく、準備書以降は、おおむね準備書の標準偏
差(2σ)の範囲内にある。
・ DO は、準備書の年平均値 10.08mg/L に対し準備書以降の年平均値 10.52mg/L と 0.44mg/L
(4.4%)増加。準備書及び準備書以降の標準偏差(2σ)は小さく、準備書以降は、おおむ
ね準備書の標準偏差(2σ)の範囲内にある。
いずれの項目とも、準備書以降の年平均値は、おおむね準備書の標準偏差(2σ)の範囲内にあり、
大きな変化はみられない。
116
なお SS(水の濁り)については、採水時の前日の降雨や工事影響などにより増加し、環境基準の
25mg/L を超過する観測日は、準備書期間(H5∼19)においては 8 地点で 21 回、準備書以降(H20∼H22)
は 1 地点で 1 回超過する観測日がみられている。このことから、準備書以降の SS の平均値(全地点)
は、準備書期間と比べて大きく減少している。
表 3-2 準備書における水質の予測結果の概要
項目
予測結果の概要
工事の実施(試験湛水以外の期間)において、非出水時にはダム建設中の
SS はダム建設前と同程度になるものの、出水時には工事の実施に伴う建設発
生土処理場等の各工事区域の裸地からの濁水が発生し、ダム及び分水堰下流
河川の SS が増加すると予測される。
工事の実施(試験湛水の期間)において、足羽川ダム洪水調節地地点では、
3 流況平均値及び SS25mg/L を超過する日数が増加すると予測される。ダム下
流河川の天神橋地点では、3 流況平均値及び SS25mg/L を超過する日数は同程
土砂による
度と予測される。貯水位低下放流時の末期に、堆積した濁質が再浮上し SS が
水の濁り
一時的に増加すると予測される。
土地又は工作物の存在及び供用において、足羽川ダム洪水調節地地点では、
ダム建設前と比べ、SS25mg/L を超過する日数は同程度であるが、洪水調節を
行うような規模の出水では、後期放流末期に堆積した濁質が再浮上し、SS が
一時的に増加すると予測される。ダム下流河川の天神橋地点でも、ダム建設
前と比べ、SS25mg/L を超過する日数は同程度であるが、洪水調節を行うよう
な規模の出水では SS が一時的に増加すると予測される。
工事の実施(試験湛水以外の期間)において、各分水堰及び導水トンネル
水素イオン
の濁水は、濁水処理施設で中和処理され河川に放流されることから、ダム建
濃度
設前と比べて pH の変化は小さいと予測される。
工事の実施(試験湛水の期間)において、足羽川ダム洪水調節地地点では、
試験湛水時の水温はダム建設前の水温と比べ3月∼5月に放流水の水温が低下
水温
し、6 月に水温が上昇すると予測される。
ダム下流河川の天神橋地点では、試験湛水時の水温はダム建設前と同程度
と予測される。
工事の実施(試験湛水の期間)において、足羽川ダム洪水調節地地点では、
試験湛水時の T-N、T-P 及び COD の変化は小さいと予測される。
富栄養化
ダム下流河川においても、ダム建設前と比べて BOD の変化は小さいと予測
される。また、参考とした足羽川の BOD の環境基準値(河川 A 類型:2mg/L 以
下)を下回っている。
工事の実施(試験湛水の期間)において、足羽川ダム洪水調節地地点では、
ダム建設前と比べて DO の変化は小さいと予測される。また、ダム洪水調節地
地点の DO 鉛直分布より、底層での貧酸素化は見られないことから、影響は小
溶存酸素量 さいと予測される。
ダム下流河川においても、ダム建設前と比べて DO の変化は小さいと予測さ
れる。また、参考とした足羽川の DO の環境基準値(河川 A 類型:7.5mg/L 以上)
を上回っている。
117
環境保全措置
土地又は工
工事の実
作物の存在
施
及び供用
○
−
○
−
−
○
表 3-3 水質の状況
項目
SS
pH
水温
COD
T-N
T-P
クロロフィル a
BOD
DO
単位
mg/L
℃
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
環境基準
25 以下
6.5∼8.5
2.0 以下
8 以上
平均値(全地点)
増減
①準備書
②準備書以降
4.04
2.76 -1.28
7.73
7.82
0.09
12.32
12.36
0.04
1.23
1.07 -0.16
0.445
0.466 0.021
0.019
0.016 -0.003
0.83
0.87
0.04
0.52
0.52
0.00
10.08
10.52
0.44
備考) 1.各項目の平均値(全地点)は、各地点の期間平均値を、全地点で平均した値を示す。
2.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
118
変化率
(%)
-31.7%
1.2%
0.3%
-13.0%
4.7%
-15.8%
4.8%
0.0%
4.4%
2 下新橋
8 芦見川
1 天神橋
9 羽生川
天神橋
下新橋
10上味見
11 小畑
3 蔵作
4 横越
小畑
12 金見谷
13 東青
5 持越
15水海川末端
W-1
14 篭掛
W-3
17 魚見川
16 水海川
6 稲荷
W-4
18志津原2
W-5
7 志津原 1
水質調査地点
流量調査地点
地下水の水位調査
図 3-2
水質・流量・地下水の水位の調査
地点
119
表 3-4 (1) 水質の状況(地点別)
【SS】
調査地点
平均値(E )
1 天神橋
6.12
2 下新橋
4.44
3 蔵作
3.26
4 横越
3.23
5 持越
3.84
6 稲荷
3.01
7 志津原1
5.78
8 芦見川
1.53
9 羽生川
3.55
10 上味見川
2.00
11 小畑
3.03
12 金見谷
11.98
13 東青
2.37
14 篭掛
2.53
15 水海川末端
5.77
16 水海川
5.82
17 魚見川
2.39
18 志津原2
2.05
全地点平均
4.04
①準備書
②準備書以降
E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
-6.69 ∼ 18.93
4.03 -1.47 ∼
9.53
-2.86 ∼ 11.74
3.21 2.69 ∼
3.73
-0.07 ∼
6.59
2.31 1.12 ∼
3.50
0.67 ∼
5.79
1.98 1.22 ∼
2.74
1.64 ∼
6.04
2.58 2.21 ∼
2.95
0.91 ∼
5.11
1.94 0.91 ∼
2.97
-4.89 ∼ 16.45
1.72 0.67 ∼
2.77
0.69 ∼
2.37
1.83 1.17 ∼
2.49
-0.64 ∼
7.74
9.62 -15.20 ∼ 34.44
0.20 ∼
3.80
1.47 1.21 ∼
1.73
-0.26 ∼
6.32
1.76 1.30 ∼
2.22
-5.95 ∼ 29.91
4.76 3.57 ∼
5.95
0.68 ∼
4.06
1.24 0.79 ∼
1.69
0.89 ∼
4.17
1.69 0.53 ∼
2.85
-2.05 ∼ 13.59
3.06 2.19 ∼
3.93
-3.25 ∼ 14.89
2.34 0.81 ∼
3.87
1.22 ∼
3.56
2.43 1.86 ∼
3.00
0.47 ∼
3.63
1.73 1.37 ∼
2.09
2.76
-
増減
変化率(%)
-2.09
-1.23
-0.95
-1.25
-1.26
-1.07
-4.06
0.30
6.07
-0.53
-1.27
-7.22
-1.13
-0.84
-2.71
-3.48
0.04
-0.32
-1.28
-34.2
-27.7
-29.1
-38.7
-32.8
-35.5
-70.2
19.6
171.0
-26.5
-41.9
-60.3
-47.7
-33.2
-47.0
-59.8
1.7
-15.6
-31.7
備考)1.平均値(全 18 地点)は、各地点の期間平均値を全地点で平均した値を示す。
2.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
表 3-4(2) 水質の状況(地点別)
【pH】
①準備書
②準備書以降
平均値(E ) E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
1 天神橋
7.67 7.46 ∼
7.88
7.90 7.79 ∼
8.01
2 下新橋
7.81 7.64 ∼
7.98
7.84 7.81 ∼
7.87
3 蔵作
7.74 7.57 ∼
7.91
7.86 7.85 ∼
7.87
4 横越
7.82 7.58 ∼
8.06
8.13 8.05 ∼
8.21
5 持越
7.93 7.63 ∼
8.23
7.88 7.79 ∼
7.97
6 稲荷
7.72 7.52 ∼
7.92
7.76 7.73 ∼
7.79
7 志津原1
7.71 7.58 ∼
7.84
7.80 7.74 ∼
7.86
8 芦見川
7.66 7.62 ∼
7.70
7.78 7.77 ∼
7.79
9 羽生川
7.67 7.65 ∼
7.69
7.77 7.74 ∼
7.80
10 上味見川
7.79 7.57 ∼
8.01
7.90 7.78 ∼
8.02
11 小畑
7.74 7.59 ∼
7.89
7.83 7.80 ∼
7.86
12 金見谷
7.83 7.73 ∼
7.93
7.96 7.93 ∼
7.99
13 東青
7.62 7.51 ∼
7.73
7.73 7.70 ∼
7.76
14 篭掛
7.67 7.58 ∼
7.76
7.75 7.71 ∼
7.79
15 水海川末端
7.89 7.78 ∼
8.00
7.94 7.86 ∼
8.02
16 水海川
7.83 7.72 ∼
7.94
7.88 7.81 ∼
7.95
17 魚見川
7.35 7.19 ∼
7.51
7.35 7.32 ∼
7.38
18 志津原2
7.63 7.56 ∼
7.70
7.73 7.68 ∼
7.78
全地点平均
7.73
7.82
調査地点
増減
変化率(%)
0.23
0.03
0.12
0.31
-0.05
0.04
0.09
0.12
0.10
0.11
0.09
0.13
0.11
0.08
0.05
0.05
0.00
0.10
0.09
備考)1.平均値(全 18 地点)は、各地点の期間平均値を全地点で平均した値を示す。
2.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
120
3.0
0.4
1.6
4.0
-0.6
0.5
1.2
1.6
1.3
1.4
1.2
1.7
1.4
1.0
0.6
0.6
0.0
1.3
1.2
表 3-4(3) 水質の状況(地点別)
【水温】
調査地点
平均値(E )
1 天神橋
13.80
2 下新橋
13.31
3 蔵作
12.17
4 横越
11.62
5 持越
13.27
6 稲荷
12.48
7 志津原1
11.40
8 芦見川
13.01
9 羽生川
13.57
10 上味見川
12.63
11 小畑
12.21
12 金見谷
11.24
13 東青
11.12
14 篭掛
10.54
15 水海川末端
13.01
16 水海川
10.95
17 魚見川
14.00
18 志津原2
11.43
全地点平均
12.32
①準備書
②準備書以降
E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
12.20 ∼ 15.40
14.07 13.18 ∼ 14.96
11.68 ∼ 14.94
12.71 12.21 ∼ 13.21
7.54 ∼ 16.80
12.51 12.15 ∼ 12.87
4.19 ∼ 19.05
13.22 12.25 ∼ 14.19
10.46 ∼ 16.08
12.35 11.71 ∼ 12.99
6.88 ∼ 18.08
12.15 11.60 ∼ 12.70
4.96 ∼ 17.84
11.65 11.43 ∼ 11.87
9.05 ∼ 16.97
12.39 11.75 ∼ 13.03
9.44 ∼ 17.70
13.43 12.63 ∼ 14.23
8.15 ∼ 17.11
13.06 12.33 ∼ 13.79
10.01 ∼ 14.41
12.14 10.65 ∼ 13.63
8.67 ∼ 13.81
11.75 10.78 ∼ 12.72
5.81 ∼ 16.43
11.44 10.89 ∼ 11.99
6.16 ∼ 14.92
10.98 10.25 ∼ 11.71
9.49 ∼ 16.53
12.29 11.20 ∼ 13.38
5.43 ∼ 16.47
11.99 11.35 ∼ 12.63
7.65 ∼ 20.35
12.41 11.85 ∼ 12.97
4.14 ∼ 18.72
11.88 11.69 ∼ 12.07
12.36
-
増減
変化率(%)
0.27
-0.60
0.34
1.60
-0.92
-0.33
0.25
-0.62
-0.14
0.43
-0.07
0.51
0.32
0.44
-0.72
1.04
-1.59
0.45
0.04
2.0
-4.5
2.8
13.8
-6.9
-2.6
2.2
-4.8
-1.0
3.4
-0.6
4.5
2.9
4.2
-5.5
9.5
-11.4
3.9
0.3
備考)1.平均値(全 18 地点)は、各地点の期間平均値を全地点で平均した値を示す。
2.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
表 3-4(4) 水質の状況(地点別)
【COD】
①準備書
②準備書以降
平均値(E ) E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
1 天神橋
1.30 0.97 ∼
1.63
1.24 1.12 ∼
1.36
2 下新橋
1.47 1.14 ∼
1.80
1.30 1.04 ∼
1.56
3 蔵作
1.30 0.99 ∼
1.61
1.17 1.02 ∼
1.32
4 横越
1.17 0.76 ∼
1.58
1.13 1.00 ∼
1.26
5 持越
1.44 1.09 ∼
1.79
1.28 1.01 ∼
1.55
6 稲荷
1.24 0.96 ∼
1.52
∼
7 志津原1
1.50 0.04 ∼
2.96
∼
8 芦見川
∼
∼
9 羽生川
∼
∼
10 上味見川
1.31 1.03 ∼
1.59
∼
11 小畑
1.15 0.82 ∼
1.48
0.91 0.67 ∼
1.15
12 金見谷
1.65 0.92 ∼
2.38
1.45 1.35 ∼
1.55
13 東青
0.90 0.61 ∼
1.19
0.74 0.46 ∼
1.02
14 篭掛
0.86 0.52 ∼
1.20
0.67 0.50 ∼
0.84
15 水海川末端
1.25 0.93 ∼
1.57
1.06 0.81 ∼
1.31
16 水海川
1.04 0.75 ∼
1.33
0.86 0.65 ∼
1.07
17 魚見川
1.44 0.79 ∼
2.09
∼
18 志津原2
∼
∼
全地点平均
1.23
1.07
調査地点
増減
-0.06
-0.17
-0.13
-0.04
-0.16
-0.24
-0.20
-0.16
-0.19
-0.19
-0.18
-0.16
変化率(%)
-4.6
-11.6
-10.0
-3.4
-11.1
-20.9
-12.1
-17.8
-22.1
-15.2
-17.3
-13.0
備考) 1.表中の「平均値」
「標準偏差」の欄の「−」は、欠測または未測定を示す。
2.平均値(芦見川、羽生川、志津原 2 を除く全地点 15 地点)は、各地点の期間平均値を全地
点で平均した値を示す。
3.使用するデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
121
表 3-4(5) 水質の状況(地点別)
【クロロフィル a】
①準備書
②準備書以降
平均値(E ) E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
1 天神橋
∼
∼
2 下新橋
1.83 0.76 ∼
2.90
∼
3 蔵作
1.34 0.87 ∼
1.81
∼
4 横越
1.74 1.50 ∼
1.98
∼
5 持越
1.42 0.49 ∼
2.35
∼
6 稲荷
1.17 0.98 ∼
1.36
∼
7 志津原1
1.01 -0.10 ∼
2.12
∼
8 芦見川
∼
∼
9 羽生川
∼
∼
10 上味見川
1.33 0.53 ∼
2.13
∼
11 小畑
1.15 0.64 ∼
1.66
0.98 0.72 ∼
1.24
12 金見谷
1.09 0.49 ∼
1.69
1.28 1.09 ∼
1.47
13 東青
0.63 0.37 ∼
0.89
0.64 0.36 ∼
0.92
14 篭掛
0.72 0.48 ∼
0.96
0.67 0.37 ∼
0.97
15 水海川末端
1.84 -0.15 ∼
3.83
∼
16 水海川
0.87 0.34 ∼
1.40
0.82 0.26 ∼
1.38
17 魚見川
∼
∼
18 志津原2
0.52 0.11 ∼
0.93
0.83 0.75 ∼
0.91
全地点平均
0.83
0.87
調査地点
増減
-0.17
0.19
0.01
-0.05
-0.05
0.31
0.04
変化率(%)
-14.8
17.4
1.6
-6.9
-5.7
59.6
4.8
備考) 1.表中の「平均値」
「標準偏差」の欄の「−」は、欠測または未測定を示す。
2.平均値(天神橋、芦見川、羽生川、魚見川を除く全地点 14 地点)は、各地点の期間平均値
を全地点で平均した値を示す。
3.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
表 3-4(6) 水質の状況(地点別)
【T-N】
調査地点
平均値(E )
1 天神橋
2 下新橋
0.515
3 蔵作
0.440
4 横越
0.461
5 持越
0.398
6 稲荷
0.363
7 志津原1
0.382
8 芦見川
9 羽生川
10 上味見川
0.495
11 小畑
0.448
12 金見谷
0.568
13 東青
0.384
14 篭掛
0.479
15 水海川末端
0.429
16 水海川
0.437
17 魚見川
0.377
18 志津原2
0.393
全地点平均
0.445
①準備書
②準備書以降
E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
∼
∼
0.403 ∼ 0.627
0.494 0.455 ∼ 0.533
0.338 ∼ 0.542
0.466 0.443 ∼ 0.489
0.382 ∼ 0.540
0.453 0.401 ∼ 0.505
0.275 ∼ 0.521
0.428 0.413 ∼ 0.443
0.284 ∼ 0.442
∼
0.229 ∼ 0.535
0.382 0.346 ∼ 0.418
∼
∼
∼
∼
0.383 ∼ 0.607
∼
0.339 ∼ 0.557
0.496 0.472 ∼ 0.520
0.529 ∼ 0.607
0.553 0.504 ∼ 0.602
0.291 ∼ 0.477
0.419 0.397 ∼ 0.441
0.348 ∼ 0.610
0.538 0.505 ∼ 0.571
0.300 ∼ 0.558
0.472 0.441 ∼ 0.503
0.269 ∼ 0.605
0.491 0.462 ∼ 0.520
0.213 ∼ 0.541
∼
0.278 ∼ 0.508
0.394 0.367 ∼ 0.421
0.466
-
増減
-0.021
0.026
-0.008
0.030
0.000
0.048
-0.015
0.035
0.059
0.043
0.054
0.001
0.021
変化率(%)
-4.1
5.9
-1.7
7.5
0.0
10.7
-2.6
9.1
12.3
10.0
12.4
0.3
4.7
備考) 1.表中の「平均値」
「標準偏差」の欄の「−」は、欠測または未測定を示す。
2.平均値(天神橋、芦見川、羽生川を除く全地点 15 地点)は、各地点の期間平均値を全地点
で平均した値を示す。
3.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
122
表 3-4(7) 水質の状況(地点別)
【T-P】
調査地点
平均値(E )
1 天神橋
2 下新橋
0.024
3 蔵作
0.019
4 横越
0.018
5 持越
0.020
6 稲荷
0.015
7 志津原1
0.014
8 芦見川
9 羽生川
10 上味見川
0.023
11 小畑
0.022
12 金見谷
0.032
13 東青
0.019
14 篭掛
0.015
15 水海川末端
0.022
16 水海川
0.015
17 魚見川
0.021
18 志津原2
0.013
全地点平均
0.019
①準備書
②準備書以降
E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
∼
∼
0.013 ∼ 0.035
0.017 0.013 ∼ 0.021
0.013 ∼ 0.025
0.016 0.011 ∼ 0.021
0.012 ∼ 0.024
0.016 0.013 ∼ 0.019
0.014 ∼ 0.026
0.017 0.014 ∼ 0.020
0.009 ∼ 0.021
∼
0.006 ∼ 0.022
0.011 0.008 ∼ 0.014
∼
∼
∼
∼
0.016 ∼ 0.030
∼
0.018 ∼ 0.026
0.019 0.017 ∼ 0.021
0.020 ∼ 0.044
0.024 0.020 ∼ 0.028
0.014 ∼ 0.024
0.016 0.015 ∼ 0.017
0.010 ∼ 0.020
0.013 0.011 ∼ 0.015
0.012 ∼ 0.032
0.017 0.014 ∼ 0.020
0.009 ∼ 0.021
0.012 0.010 ∼ 0.014
0.010 ∼ 0.032
∼
0.006 ∼ 0.020
0.011 0.009 ∼ 0.013
0.016
-
増減
変化率(%)
-0.007
-0.003
-0.002
-0.003
-0.003
-0.003
-0.008
-0.003
-0.002
-0.005
-0.003
-0.002
-0.003
-29.2
-15.8
-11.1
-15.0
-21.4
-13.6
-25.0
-15.8
-13.3
-22.7
-20.0
-15.4
-15.8
備考) 1.表中の「平均値」
「標準偏差」の欄の「−」は、欠測または未測定を示す。
2.平均値(天神橋、芦見川、羽生川を除く全地点 15 地点)は、各地点の期間平均値を全地点
で平均した値を示す。
3.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
表 3-4(8) 水質の状況(地点別)
【BOD】
①準備書
②準備書以降
平均値(E ) E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
1 天神橋
0.70 0.37 ∼
1.03
0.62 0.56 ∼
0.68
2 下新橋
0.51 0.47 ∼
0.55
0.54 0.50 ∼
0.58
3 蔵作
0.52 0.43 ∼
0.61
0.52 0.49 ∼
0.55
4 横越
0.50 0.49 ∼
0.51
0.53 0.50 ∼
0.56
5 持越
0.56 0.43 ∼
0.69
0.53 0.49 ∼
0.57
6 稲荷
0.50 0.50 ∼
0.50
0.50 0.49 ∼
0.51
7 志津原1
0.52 0.44 ∼
0.60
0.50 0.50 ∼
0.50
8 芦見川
0.50 0.50 ∼
0.50
0.51 0.47 ∼
0.55
9 羽生川
0.51 0.48 ∼
0.54
0.53 0.47 ∼
0.59
10 上味見川
0.51 0.47 ∼
0.55
0.52 0.49 ∼
0.55
11 小畑
0.51 0.48 ∼
0.54
0.51 0.47 ∼
0.55
12 金見谷
0.51 0.48 ∼
0.54
0.51 0.49 ∼
0.53
13 東青
0.50 0.50 ∼
0.50
0.50 0.50 ∼
0.50
14 篭掛
0.50 0.50 ∼
0.50
0.50 0.50 ∼
0.50
15 水海川末端
0.52 0.48 ∼
0.56
0.51 0.46 ∼
0.56
16 水海川
0.51 0.48 ∼
0.54
0.51 0.49 ∼
0.53
17 魚見川
0.52 0.49 ∼
0.55
0.53 0.47 ∼
0.59
18 志津原2
0.50 0.50 ∼
0.50
0.50 0.50 ∼
0.50
全地点平均
0.52
0.52
調査地点
増減
変化率(%)
-0.08
0.03
0.00
0.03
-0.03
0.00
-0.02
0.01
0.02
0.01
0.00
0.00
0.00
0.00
-0.01
0.00
0.01
0.00
0.00
備考)1.平均値(全 18 地点)は、各地点の期間平均値を全地点で平均した値を示す。
2.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
123
-11.4
5.9
0.0
6.0
-5.4
0.0
-3.8
2.0
3.9
2.0
0.0
0.0
0.0
0.0
-1.9
0.0
1.9
0.0
0.0
表 3-4(9) 水質の状況(地点別)
【DO】
①準備書
②準備書以降
平均値(E ) E ±2σ (標準偏差) 平均値(E ) E ±2σ (標準偏差)
1 天神橋
10.10 9.64 ∼ 10.56
10.25 9.48 ∼ 11.02
2 下新橋
10.06 9.67 ∼ 10.45
10.54 10.00 ∼ 11.08
3 蔵作
10.25 9.04 ∼ 11.46
10.52 10.10 ∼ 10.94
4 横越
10.32 8.52 ∼ 12.12
10.81 10.39 ∼ 11.23
5 持越
10.14 9.73 ∼ 10.55
10.65 10.31 ∼ 10.99
6 稲荷
10.23 8.64 ∼ 11.82
10.69 10.24 ∼ 11.14
7 志津原1
10.10 9.48 ∼ 10.72
10.61 10.13 ∼ 11.09
8 芦見川
9.96 8.52 ∼ 11.40
10.54 10.19 ∼ 10.89
9 羽生川
9.76 8.53 ∼ 10.99
10.41 10.06 ∼ 10.76
10 上味見川
10.10 9.14 ∼ 11.06
10.49 9.94 ∼ 11.04
11 小畑
10.10 9.71 ∼ 10.49
10.47 10.21 ∼ 10.73
12 金見谷
10.12 9.28 ∼ 10.96
10.46 9.78 ∼ 11.14
13 東青
10.08 9.51 ∼ 10.65
10.45 10.22 ∼ 10.68
14 篭掛
10.14 9.53 ∼ 10.75
10.51 10.03 ∼ 10.99
15 水海川末端
10.01 9.10 ∼ 10.92
10.59 10.28 ∼ 10.90
16 水海川
10.05 9.51 ∼ 10.59
10.31 9.83 ∼ 10.79
17 魚見川
9.89 8.02 ∼ 11.76
10.46 10.06 ∼ 10.86
18 志津原2
10.02 8.54 ∼ 11.50
10.51 10.09 ∼ 10.93
全地点平均
10.08
10.52
調査地点
増減
変化率(%)
0.15
0.48
0.27
0.49
0.51
0.46
0.51
0.58
0.65
0.39
0.37
0.34
0.37
0.37
0.58
0.26
0.57
0.49
0.44
備考) 1.平均値(全 18 地点)は、各地点の期間平均値を全地点で平均した値を示す。
2.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼19 ②準備書以降:H20∼22
124
1.5
4.8
2.6
4.7
5.0
4.5
5.0
5.8
6.7
3.9
3.7
3.4
3.7
3.6
5.8
2.6
5.8
4.9
4.4
(2) 流量の状況
準備書以降の足羽川ダム周辺の流量は、準備書の 4 地点のうち、上宇坂地点を除く 3 地点の観測値
の整理を行った。なお、準備書以降において上宇坂地点の流量観測は実施していないため対象外とし
た。各地点の月別平均流量と年平均流量を表 3-5、その経月変化を図 3-3 に示す。
準備書以降の各地点の流量の月ごとの変動傾向は、
準備書と大きく変化していないことを確認した。
その内容は以下のとおりである。
・ 天神橋地点の年平均流量は、準備書の 22.00m3/秒に対し準備書以降が 21.34m3/秒と 0.66m3/秒
(3.0%)の減少
・ 下新橋地点の年平均流量は、準備書の 22.12m3/秒に対し準備書以降が 23.37m3/秒と 1.25m3/秒
(5.7%)の増加
・ 小畑地点の流量は、準備書の2.70m3/秒に対し準備書以降が2.75m3/秒と0.05m3/秒(1.9%)の増加
表 3-5 月平均流量の経月変化
(単位:m3/秒)
地点
期間
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月 年平均
①
28.06 28.99 43.12
22.71 12.91 9.84 28.90 14.21 15.64 11.32 18.07 28.46 22.00
②
30.51 30.88 40.18
18.15 8.39 8.97 20.31
6.10 11.83
9.82 16.19 31.86 21.34
天神橋
増減
2.45
1.89 -2.94
-4.56 -4.52 -0.87 -8.59 -8.11 -3.81 -1.50 -1.88 3.40 -0.66
変化率 8.7%
6.5% -6.8% -20.1% -35.0% -8.8% -29.7% -57.1% -24.4% -13.3% -10.4% 11.9% -3.0%
①
27.48 27.63 39.75
30.31 18.79 14.08 21.86 13.13 13.98 11.81 19.61 27.08 22.12
②
30.79 33.52 42.69
24.12 15.99 17.27 27.00 13.76 13.91 10.98 19.53 32.16 23.37
下新橋
増減
3.31
5.89
2.94
-6.19 -2.80 3.19
5.14
0.63 -0.07 -0.83 -0.08 5.08 1.25
変化率 12.0% 21.3%
7.4% -20.4% -14.9% 22.7% 23.5%
4.8% -0.5% -7.0% -0.4% 18.8% 5.7%
①
3.09
3.23
4.51
3.60 3.21 1.63
2.91
2.93
1.55
1.16
1.56 2.87 2.70
②
3.12
3.99
5.38
3.53 2.00 1.76
2.90
1.72
1.68
1.39
2.08 3.30 2.75
小畑
増減
0.03
0.76
0.87
-0.07 -1.21 0.13 -0.01 -1.21
0.13
0.23
0.52 0.43 0.05
変化率 1.0% 23.5% 19.3%
-1.9% -37.7% 8.0% -0.3% -41.3%
8.4% 19.8% 33.3% 15.0% 1.9%
備考)1.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H5∼18(但し小畑は H15∼18)
②準備書以降:H19∼22
2.上宇坂地点は、準備書以降において観測していない。
天神橋
①H5- 18
下新橋
①H5- 18
②H19- 22
②H19- 22
小畑
①H15- 18
②H19- 22
10月
12月
50
30
3
流量(m /秒)
40
20
10
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
図 3-3 月平均流量の経月変化
125
9月
11月
(3) 地下水の水位の状況
準備書以降の足羽川ダム周辺の地下水の水位は、準備書の 5 地点のうち、W-2(水海 1)地点を除く
4 地点の観測値の整理を行った。なお、準備書以降において W-2(水海)地点については自噴している
ことから、地下水の水位観測は実施していないため対象外とした。各地点の地下水の水位を表 3-6、
その経年変化を図 3-4 に示す。
準備書以降の各地点の地下水の水位は、準備書と大きく変化していないことを確認した。その内容
は以下のとおりである。
・ W-1(金見谷)地点の地下水の水位は、準備書の 340.21m に対し準備書以降が 340.26m と 0.05m
(0.01%)の増加
・ W-3(水海 2)地点の地下水の水位は、準備書の 296.89m に対し準備書以降が 296.91m と 0.02m
(0.01%)の増加
・ W-4(志津原)地点の地下水の水位は、準備書の 449.58m に対し準備書以降が 447.90m と 1.68m
(0.37%)の減少
・ W-5(割谷)地点の地下水の水位は、準備書の 324.88m に対し準備書以降が 325.11m と 0.23m
(0.07%)の増加
準備書以降の平成 W-4(志津原)地点の地下水は、平成 22 年 3 月 3 日から 8 月 11 日まで水位低下
が見られ、平成 22 年 8 月 12 日の雨量により平年的な水位に戻っている。美山地域気象観測所の雨量
は例年より 4 月∼7 月で多雨月、8 月で少雨月となっており、水位低下の原因は局地的な降雨の違いに
よるものが要因の一つと考えられるが、明確な要因は不明である。
地点
W1
W3
W4
W5
表 3-6 地下水の水位の状況
増減
平均値(E.L m)
(m)
①準備書
②準備書以降
340.21
340.26
0.05
296.89
296.91
0.02
449.58
447.90
-1.68
324.88
325.11
0.23
変化率
(%)
0.01%
0.01%
-0.37%
0.07%
備考)1.使用したデータの期間は次のとおり。
①準備書:H18.8.28∼H20.10.31 ②準備書以降:H20.11.1∼H23.12.31
126
H18.8.1
127
図 3-4(1) 地下水の水位の経年変化
H23.8.1
W- 4
準備書以降
一時的に水位低下が見られるが、
8 月のまとまった降雨後に例年の
水位に回復している。
450
130
440
120
420
410
400
100
390
90
380
80
370
360
70
350
60
340
330
50
320
40
310
30
300
290
20
280
10
270
0
日降水量(mm)
W- 3
H23.10.1
H23.12.1
W- 1(連続観測)
H23.2.1
H23.4.1
H23.6.1
H22.12.1
H22.8.1
H22.10.1
H21.12.1
H22.2.1
H22.4.1
H22.6.1
W- 1(月1回観測)
H21.10.1
H21.6.1
H21.8.1
490
H21.2.1
H21.4.1
日雨量(美山観測所)
H20.8.1
H20.10.1
H20.12.1
H20.2.1
H20.4.1
H20.6.1
460
H19.12.1
470
H19.10.1
480
H19.6.1
H19.8.1
H19.2.1
H19.4.1
H18.10.1
H18.12.1
水位標高 (E.L m)
500
W- 5
160
150
140
430
110
40
420
20
410
0
H22.8.1
430
H22.7.1
60
H22.6.1
440
H22.5.1
80
H22.4.1
450
H22.3.1
100
H22.2.1
460
図 3-4(2) 地下水の水位の経年変化(前図より W4(志津原地先)地点の H22.1∼9 を拡大)
128
日降水量(mm)
W- 4
120
H22.1.1
水位標高 (E.L m)
日雨量(美山観測所)
470
3.3 地形及び地質
足羽川ダム周辺の地形及び地質を、図 3-5 及び図 3-6 に示す。
準備書では、学術上又は希少性の観点から既往文献を参考に、重要な地形、地質として計 16 箇所を確
認した。この確認された地形及び地質の中から、事業の影響を予測・評価する必要がある重要な地質と
して「池田町皿尾の皿尾層とその植物化石群」「池田町志津原の化石産地」「池田町皿尾の化石産地」
の3箇所を選定した。参考とした既往文献は表 3-7 に示す。
準備書以降において、既往文献に改訂がないことを確認した。
表 3-7 重要な地形及び地質の選定に係る文献
準備書
準備書以降
足羽川ダムとの関連
文化財保護法に基づき指定された天
然記念物
福井県文化財保護条例、
福井市文化財
保護条例及び、
池田町文化財保護条例
に基づき指定された天然記念物
世界の文化遺産及び自然遺産の保護
に関する条約に基づき指定された世
界遺産
自然環境保全法に基づき指定された
自然環境保全地域(地形に係る指定基
準に該当するもの)
福井県自然環境保全条例に基づき指
定された特異な地形
自然環境保全調査報告書(環境庁 昭
和 51 年)に基づき指定された、すぐれ
た又は特異な地形
福井県のすぐれた自然 地形・地質編
(福井県県民生活部自然保護課 平成
11 年 3 月)に掲載されている特異な地
形
「日本の地形レッドデータブック
第 1 集−危機にある地形−(小泉武
栄・青木賢人編 平成 12 年 12 月)」
又は「日本の地形レッドデータブック
第 2 集−保存すべき地形−(小泉武
栄・青木賢人編 平成 14 年 3 月)」に
掲載されている地形
文化財保護法に基づき指定された天
然記念物(H23.5 改正)
福井県文化財保護条例、
福井市文化財
保護条例及び、
池田町文化財保護条例
に基づき指定された天然記念物
世界の文化遺産及び自然遺産の保護
に関する条約に基づき指定された世
界遺産
自然環境保全法に基づき指定された
自然環境保全地域(地形に係る指定基
準に該当するもの)(H23.8 改正)
福井県自然環境保全条例に基づき指
定された特異な地形
自然環境保全調査報告書(環境庁 昭
和 51 年)に基づき指定された、すぐれ
た又は特異な地形
福井県のすぐれた自然 地形・地質編
(福井県県民生活部自然保護課 平成
11 年 3 月)に掲載されている特異な地
形
「日本の地形レッドデータブック
第 1 集−危機にある地形−(小泉武
栄・青木賢人編 平成 12 年 12 月)」
又は「日本の地形レッドデータブック
第 2 集−保存すべき地形−(小泉武
栄・青木賢人編 平成 14 年 3 月)」に
掲載されている地形
足羽川ダム周辺に該当する地
形・地質はない。
改訂なし
129
新たな予
測・評価
無
改訂なし
足羽川ダム周辺に該当する地
形・地質はない。
改訂なし
改訂なし
改訂なし
改訂なし
無
重要な地形に係る新たな情報はない。
図 3-5 重要な地形
130
重要な地質に係る新たな情報はない。
:予測対象
131
図 3-6 重要な地質
4. 人と自然との豊かな触れ合いの確保に係る環境要素
景観、人と自然との触れ合いの活動の場 の確認
4.1 景観
足羽川ダム周辺の景観資源及び主要な眺望景観を、図 4-1 に示す。準備書において既往文献を参考に、
足羽山及び部子山、銀杏峯の山岳景観が景観資源及び主要な眺望景観となることを確認した。参考とし
た既往文献は表 4-1 に示す。
準備書以降において、既往文献に改訂がないことを確認した。
表 4-1 景観資源及び主要な眺望景観の選定に係る文献
準備書
準備書以降
第 3 回自然環境保全基礎調査 日本
の自然景観 北陸版
(環境庁 平成元
年 9 月)
第 3 回自然環境保全基礎調査 日本
の自然景観 東海版
(環境庁 平成元
年 9 月)
みどりのデータ・バンク総括報告書す
ぐれた景観分布図 1984(福井県、昭和
60 年 9 月)
福井県みどりのデータバンク(福井県
安全環境部自然保護課)
第 3 回自然環境保全基礎調査 日本
の自然景観 北陸版
(環境庁 平成元
年 9 月)
第 3 回自然環境保全基礎調査 日本
の自然景観 東海版
(環境庁 平成元
年 9 月)
みどりのデータ・バンク総括報告書す
ぐれた景観分布図 1984(福井県、昭和
60 年 9 月)
福井県みどりのデータバンク(福井県
安全環境部自然保護課)
足羽川ダムとの関連
新たな予
測・評価
改訂なし
改訂なし
改訂なし
改訂なし
4.2 人と自然との触れ合いの活動の場
足羽川ダム周辺の人と自然の触れ合いの活動を、図 4-1 に示す。
準備書において既往文献を参考に計 11 箇所を確認し、事業の影響を予測・評価する必要があるとして
「中部北陸自然歩道」
「龍双ヶ滝」
「志津原キャンプ場」
「ふれあい遊歩道」
「アドベンチャーボート」の
5つの場を選定した。参考とした既往文献は表 4-2 に示す。
準備書以降において、既往文献に改訂がないことを確認した。
表 4-2 人と自然との触れ合いの活動の場の選定に係る文献
準備書
準備書以降
長距離自然歩道について(福井県福祉
環境部自然保護課)
(http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/
shizen/trail/trail.html)
全国旅そうだん(全国地域観光情報セ
ンターhttp://i.nihon-kankou.or.jp
/i/index.html)
ふくいドットコム(社団法人福井県観
光連盟 http://www.fuku-e.com/toia
wase/list.html)
池田町観光案内所(福井県池田町
http://www.town.ikeda.fukui.jp/)
長距離自然歩道について(福井県福祉
環境部自然保護課)
(http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/
shizen/trail/trail.html)
全国旅そうだん(全国地域観光情報セ
ンターhttp://i.nihon-kankou.or.jp
/i/index.html)
ふくいドットコム(社団法人福井県観
光連盟 http://www.fuku-e.com/toia
wase/list.html)
池田町観光案内所(福井県池田町
http://www.town.ikeda.fukui.jp/)
132
足羽川ダムとの関連
改訂なし
改訂なし
改訂なし
改訂なし
新たな予
測・評価
新たな地点等はない。
<景観資源>
部子山、銀杏峯の山岳景観
部子山
:主要な眺望景観の調査地点
:予測対象
図 4-1
景観資源の分布及び主要な人と自然
との触れ合い活動の場
133
5. 地域の社会的状況
5.1 人口
福井市及び池田町の人口を図 5-1 に示す。
準備書以降において福井県統計資料により人口が減少していることを確認した。
・ 福井市の人口は、準備書 269,144 人(平成 17 年)に対し準備書以降 266,540 人(平成 23 年)
と 2,604 人(1.0%)減少。
・ 池田町の人口は、準備書 3,405 人(平成 17 年)に対し準備書以降 2,989 人(平成 23 年)と
416 人(12.2%)の減少。
人口の推移
池田町
福井市
300,000
250,000
269,144
268,955
268,507
268,173
267,398
266,796
266,540
3,405
3,331
3,272
3,187
3,121
3,046
2,989
H19
H20
H21
H22
H23
人口(人)
200,000
150,000
100,000
50,000
0
H17
H18
出典)福井県月例統計指標
図 5-1 人口の推移
5.2 交通
足羽川ダム周辺の交通の状況を表 5-1 及び図 5-2 に示す
準備書以降において道路交通センサスにより足羽川ダム周辺の野尻、千代田、水海、月ヶ瀬のいずれ
の地点も平日12時間交通量の減少を確認した。
また新たな路線整備及び路線拡幅がないことも確認した。
表 5-1 足羽川ダム周辺の交通の状況
地点名
平日12時間交通量
(台/12h)
路線名
①H17
野尻地点
千代谷地点
水海地点
月ヶ瀬地点
一般国道476号沿道
主要地方道松ヶ谷宝慶寺大野線沿道
一般県道熊河池田線沿道
一般国道417号沿道
合計
1,999
418
566
682
3,665
②H22
1,902
230
537
572
3,241
増減
-97
-188
-29
-110
-424
車線数
変化率(%)
-4.9
-45.0
-5.1
-16.1
-11.6
出典)平成 17 年度、平成 22 年度道路交通センサス調査(国土交通省道路局)
備考)1.平成 17 年及び平成 22 年の対象地点の 24 時間観測は行われていない。
2.平成 22 年の休日交通量は、現時点で未公表(平日交通量のみの比較とした)
134
H17
H22
2
1
2
2
-
2
1
2
2
-
交通量(台/平日12h)
千代谷地点
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
418
230
H17 H22
2,500
水海地点
1,500
2,500
1,000
交通量(台/平日12h)
2,000
1,999 1,902
500
0
H17 H22
2,000
1,500
1,000
500
0
566
537
H17 H22
月ヶ瀬地点
交通量(台/平日12h)
交通量(台/平日12h)
野尻地点
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
682
572
H17 H22
:調査地点(交通量:道路交通センサス)
図 5-2
交通量の調査地点及び交通量
135
5.3 環境保全について配慮が特に必要な施設
足羽川ダム周辺の保育所・学校等、病院及び診療所、社会福祉施設を図 5-3 に示す。
準備書以降において、新たな施設の立地がないことを確認した。
図 5-3 足羽川ダム周辺にお
ける環境保全についての配慮
が特に必要な施設
136
5.4 環境関連法令等による規制等
足羽川ダム周辺の環境関連法令等による規制等を表 5-2 に示す。
準備書以降において規制等に改定の有無を確認するとともに、改定があった場合には、足羽川ダム周
辺の予測・評価との関連を確認した。
準備書以降においては、新たな予測・評価が必要となる規制等の改定はなかったことを確認した。
表 5-2(1) 環境関係法令等による規制等の状況一覧(1/4)
指定状況及び規制基準の内容
法律等
大気汚染
環
境
基
本
法
に
基
づ
く
環
境
基
準
騒音
水質汚濁
地下水の水質汚濁
土壌の汚染
ダイオキシン類対策特別措
置法に基づく環境基準
大気汚染防止法
大
気
汚
染
に
係
る
規
制
自動車から排出さ
れる窒素酸化物及
び粒子状物質の特
定地域における総
量の削減等に関す
る特別措置法
福井県公害防止条
例
準備書
準備書以降
大気の汚染に係る環境基準
大気の汚染に係る環境基準
二酸化窒素に係る環境基準
二酸化窒素に係る環境基準
ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準 ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基
準
微小粒子状物質に係る環境基準
[H21.9.9告示]
騒音に係る環境基準の地域の類型に指定 騒音に係る環境基準の地域の類型に指
されている地域はない。
定されている地域はない。
人の健康の保護に関する環境基準
人の健康の保護に関する環境基準
(カドミウム基準値改訂:H23.10.28告示)
(1,1-ジクロロエチレン基準値改訂,1,4-ジオキサン基
準値新たに追加:H21.11.30告示)
生活環境の保全に関する環境基準の水域 生活環境の保全に関する環境基準の水
類型は、足羽川上流が河川A 類型に指定さ 域類型は、足羽川上流が河川A類型に指定
れている。
されている。
地下水の水質汚濁に係る環境基準
地下水の水質汚濁に係る環境基準
(カドミウム基準値改訂:H23.10.28告示)
(現行のシス-1,2-ジクロロエチレンが1,2-ジクロロエチレ
ンに替わり基準値が改訂:H21.11.30告示)
(塩化ビニルモノマー・1,4-ジオキサン・1,1-ジクロロエチ
レン基準値新たに追加:H21.11.30告示)
土壌の汚染に係る環境基準
土壌の汚染に係る環境基準
(カドミウム基準値改訂:H22.6.16告示)
ダイオキシン類による大気の汚染、水質の ダイオキシン類による大気の汚染、水質の
汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌 汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌
の汚染に係る環境基準
の汚染に係る環境基準(土壌に関する測定
方法の改訂:H21告示)
いおう酸化物の排出規制において、福井 いおう酸化物の排出規制において、福井
市のK値は7.0、池田町のK値は17.5とさ 市のK値は7.0、
池田町のK値は17.5とさ
れている。
れている。
ばいじん及び有害物質に係わる全国一律の ばいじん及び有害物質に係わる全国一律
排出基準
の排出基準
大気汚染防止法第3条第3 項の規定に基 大気汚染防止法第3条第3項の規定に基
づき特別排出基準を定める地域、同法第 5 づき特別排出基準を定める地域、同法第5
条の2 に基づく指定ばい煙の総量規制指定 条の2に基づく指定ばい煙の総量規制指定
地域及び同法第15条の2に基づく燃料使用 地域及び同法第15 条の2 に基づく燃料使
基準に係る指定地域に指定されている地域 用基準に係る指定地域に指定されている
はない。
地域はない。
同法第4条第1項の規定に基づき条例で 同法第4条第1項の規定に基づき条例で
定める地域に指定されていない。
定める地域に指定されていない。
自動車から排出される窒素酸化物及び粒 自動車から排出される窒素酸化物及び
子状物質の特定地域における総量の削減等 粒子状物質の特定地域における総量の削
に関する特別措置法第6条第1項に基づく 減等に関する特別措置法第6条第1項に基
窒素酸化物対策地域及び第8条1項に基づ づく窒素酸化物対策地域及び第8条1項に
く粒子状物質対策地域に指定されている地 基づく粒子状物質対策地域に指定されて
域はない。
いる地域はない。
条例第2条及び条例施行規則第4条に基 条例第2条及び条例施行規則第4条に基
づき、廃棄物焼却炉、酸による反応施設等 づき、廃棄物焼却炉、酸による反応施設等
有害物質を使用又は排出する施設をばい煙 有害物質を使用又は排出する施設をばい
に係る特定施設として規定し、施設の設置 煙に係る特定施設として規定し、施設の設
者に届出義務を課している。
置者に届出義務を課している。
また、条例第8 条及び条例施行規則第6 また、条例第8 条及び条例施行規則第6
条に基づき、金属の精製又は鋳造の用に供 条に基づき、金属の精製又は鋳造の用に供
する溶解炉についてはばいじん、廃棄物焼 する溶解炉についてはばいじん、廃棄物焼
却炉についてはカドミウム等の有害物質 4 却炉についてはカドミウム等の有害物質4
項目、その他の有害物質使用施設について 項目、その他の有害物質使用施設について
はカドミウム等有害物質5 項目のうち関係 はカドミウム等有害物質5項目のうち関係
する項目について規制基準を定めている。 する項目について規制基準を定めている。
備考)赤字:改訂が確認された箇所
137
足羽川ダムとの関連
微小粒子状物質(PM2.5)は、現時点で
環境アセスの予測手法が確立されてい
ない。
健康項目は、足羽川ダム建設事業の
環境アセスの予測対象としていない。
地下水の水質汚濁は、足羽川ダム建設
事業の環境アセスの予測対象としてい
ない。
土壌汚染は、足羽川ダム建設事業の
環境アセスの予測対象としていない。
土壌の測定方法に関する記述の追加で
あり、基準値は改訂されていない。
新たな予
測・評価
無
無
無
無
無
表 5-2(2) 環境関係法令等による規制等の状況一覧(2/4)
指定状況及び規制基準の内容
法律等
騒
音
に
係
る
規
制
振
動
に
係
る
規
制
悪
臭
に
係
る
規
制
水
質
汚
濁
に
係
る
規
制
準備書
準備書以降
足羽川ダムとの関連
・特定工場等において発生する騒音の規制基準 ・特定工場等において発生する騒音の規制基準
騒音規制法第4条第1項の規定により指定 騒音規制法第4条第1項の規定により指定
されている地域はない。
されている地域はない。
・特定建設作業に伴って発生する騒音の規制・特定建設作業に伴って発生する騒音の規制
に関する基準
に関する基準
騒音規制法
特定建設作業に伴って発生する騒音の規 特定建設作業に伴って発生する騒音の規
制に関する基準別表第 1 号の規定により指 制に関する基準別表第 1 号の規定により指
定されている地域はない。
定されている地域はない。
・自動車騒音の要請限度
・自動車騒音の要請限度
騒音規制法第17条第1項の規定により指 騒音規制法第17条第1項の規定により指
定されている地域はない。
定されている地域はない。
福井県公害防止条例 その他の区域に指定されている。
その他の区域に指定されている。
福井市公害防止条例 指定されている区域はない。
指定されている区域はない。
一部が第1種区域及び第2種区域に指定され 一部が第1種区域及び第2種区域に指定され
池田町騒音防止条例
ている。
ている。
・特定工場等において発生する振動の規制基準 ・特定工場等において発生する振動の規制基準
振動規制法第4条第1項の規定により指定 振動規制法第4条第1項の規定により指定
されている地域はない。
されている地域はない。
・特定建設作業の規制に関する基準
・特定建設作業の規制に関する基準
振動規制法施行規則別表第1 付表第1 号 振動規制法施行規則別表第1 付表第1 号
振動規制法
の規定により指定されている地域はない。 の規定により指定されている地域はない。
・道路交通振動の要請限度
・道路交通振動の要請限度
振動規制法施行規則別表第2 備考1 の規 振動規制法施行規則別表第2 備考1 の規
定及び同表備考 2 の規定により指定されて 定及び同表備考 2 の規定により指定されて
いる地域はない。
いる地域はない。
・特定工場に係る振動の規制基準
・特定工場に係る振動の規制基準
指定されている区域はない。
指定されている区域はない。
福井市公害防止条例
・特定建設作業に係る振動の規制基準
・特定建設作業に係る振動の規制基準
指定されている区域はない。
指定されている区域はない。
・事業場から排出される特定悪臭物質濃度の・事業場から排出される特定悪臭物質濃度の
規制基準
規制基準
悪臭防止法
第 4 条の規定に基づく地域の指定により 第 4 条の規定に基づく地域の指定により
指定されている地域はない。
指定されている地域はない。
牛、豚または鶏の飼養場、けいふんの乾燥ま 牛、豚または鶏の飼養場、けいふんの乾燥ま
たは焼却を行う工場等の悪臭に係る特定施 たは焼却を行う工場等の悪臭に係る特定施
設を定め、当該特定施設の設置に際し、施 設を定め、当該特定施設の設置に際し、施
設の構造、使用法等を市町長に届け出るこ 設の構造、使用法等を市町長に届け出るこ
福井県公害防止条例
とを義務づけている。
とを義務づけている。
また、
悪臭防止法の規制地域以外の地域にお また、
悪臭防止法の規制地域以外の地域にお
いては、当該特定施設を有する事業場の敷 いては、当該特定施設を有する事業場の敷
地境界線での規制基準を定めている。
地境界線での規制基準を定めている。
排水基準(有害物質による排出水の汚染状 排水基準(有害物質による排出水の汚染状 健康項目は足羽川ダム建設事業の
環境アセスの予測対象としていない
態)
態)
水質汚濁防止法
排水基準(その他の排出水の汚染状態)
排水基準(その他の排出水の汚染状態)
(1,1-ジクロロエチレンの許容限度改訂:H23.11.28
環境省告示)
水質汚濁防止法第3 九頭竜川等の公共用水域には、九頭竜川・ 九頭竜川等の公共用水域には、九頭竜川・
条第3項に基づく排 越前加賀海岸地先海域・九頭竜川地先海域 越前加賀海岸地先海域・九頭竜川地先海域
水基準を定める条例 に係る上乗せ排水基準が適用される。
に係る上乗せ排水基準が適用される。
汚水及び廃液に係る特定施設及び規制基 汚水及び廃液に係る特定施設及び規制基
福井県公害防止条例 準、地下浸透禁止物質、地下水採取に関す 準、地下浸透禁止物質、地下水採取に関す
る規制等を定めている。
る規制等を定めている。
汚水に係る規制基準が水質汚濁防止法に 汚水に係る規制基準が水質汚濁防止法に
基づく排水基準に準拠して定められてい 基づく排水基準に準拠して定められてい
福井市公害防止条例 る。福井市公害防止条例では、1日当たりの る。福井市公害防止条例では、1日当たりの
平均的な排出水の量が 30m3 以上の特定工場 平均的な排出水の量が 30m3 以上の特定工場
に適用される。
に適用される。
備考)赤字:改訂が確認された箇所
138
新たな予
測・評価
無
表 5-2(3) 環境関係法令等による規制等の状況一覧(3/4)
指定状況及び規制基準の内容
法律等
るダ
規イ
制オ
キ
シ
ン
類
に
係
土
壌
の
汚
染
に
係
る
規
制
準備書
準備書以降
足羽川ダムとの関連
新たな予
測・評価
ダイオキシン類に係る大気基準適用施設 ダイオキシン類に係る大気基準適用施設
及び大気排出基準、
水質基準対象施設及び水 及び大気排出基準、
水質基準対象施設及び水
ダイオキシン類対策 質排出基準が定められている。
質排出基準が定められている。
特別措置法
土壌汚染対策法に基づく指定区域に指定 土壌汚染対策法に基づく指定区域に指定
されている区域はない。
されている区域はない。
池田町では、10,000m3を超える残土処分地 池田町では、10,000m3を超える残土処分地
を設置しようとする場合に承認手続きを必 を設置しようとする場合に承認手続きを必
要とする。
要とする。
池田町残土処分地等
国等の行政機関が事業を行う時は、
承認等 国等の行政機関が事業を行う時は、
承認等
適正設置要領
の手続きを必要としないが、
要領に定めるガ の手続きを必要としないが、
要領に定めるガ
イドラインに沿って残土処分地の設置及び イドラインに沿って残土処分地の設置及び
管理を行うこととしている。
管理を行うこととしている。
環境基本法に基づく公害防 公害防止計画の策定を指示された地域は 公害防止計画の策定を指示された地域は
止計画
ない。
ない。
条例等に基づく環境保全計 環境の保全に関する基本的な施策を定め 環境の保全に関する基本的な施策を定め
画等
ている。
ている。
池田町全域が水源保護地域として指定さ 池田町全域が水源保護地域として指定さ
池田町の水を清く守る条例
れている。
れている。
国
定
公
園
に
指
定
さ
れ
て
い
る
地
域
は
な
い
国定公園に指定されている地域はない
自
然
公
園
法
自
然
福
井
県
立
自
然
公
園
条
県立自然公園に指定されている地域はな
県立自然公園に指定されている地域は
公
園 例
い。
ない。
自然環境保全地域等に指定されている地 自然環境保全地域等に指定されている地
自然環境保全法
域はない。
域はない。
池田町の一部が楢俣自然環境保全地域に 池田町の一部が楢俣自然環境保全地域に
福井県自然環境保全条例
指定されている。
指定されている。
世界の文化遺産及び自然遺 世界遺産一覧表に記載されている自然遺 世界遺産一覧表に記載されている自然遺
産の区域はない。
産の区域はない。
産の保護に関する条約
緑地保全地域及び特別緑地保全地区に指 緑地保全地域及び特別緑地保全地区に指
都市緑地法
定されている区域はない。
定されている区域はない。
絶滅のおそれのある野生動 生息地等保護区に指定されている区域は 生息地等保護区に指定されている区域は
植物の種の保存に関する法 ない。
ない。
律
冠山が鳥獣保護区に、
尾緩が休猟区に設定 冠山が鳥獣保護区に設定されている。
尾緩の休猟区の設定が解除されて
鳥獣の保護及び狩猟の適正
されている。
[H23年度福井県鳥獣保護区等位置図]
いるが、足羽川ダム建設事業の環境
化に関する法律
アセスの予測対象としていない
特に水鳥の生息地として国 特に水鳥の生息地として国際的に重要な 特に水鳥の生息地として国際的に重要な
際的に重要な湿地に関する 湿地に関する条約に基づく登録簿に掲載さ 湿地に関する条約に基づく登録簿に掲載さ
条約
れた湿地の指定はない。
れた湿地の指定はない。
文化財保護法で指定されているものはな 文化財保護法で指定されているものは
名 文化財保護法
い。
ない。
勝
、 福井県文化財保護
福井県文化財保護条例で指定されている
福井県文化財保護条例で指定されてい
天
然 条例
ものはない。
るものはない。
記
念 市町文化財保護条
龍双ヶ滝、
おう穴群が池田町指定名勝に指 龍双ヶ滝、おう穴群が池田町指定名勝に
物
例
定されている。
指定されている。
風致地区に指定されている区域はない。
都市計画法に基づく風致地 風致地区に指定されている区域はない。
区
土壌汚染対策法
備考)赤字:改訂が確認された箇所
139
無
表 5-2(4) 環境関係法令等による規制等の状況一覧(4/4)
指定状況及び規制基準の内容
法律等
森林法
砂防法
そ
の
他
の
法
律
に
よ
る
区
域
等
の
指
定
鉱業法
温泉法
準備書
準備書以降
足羽川ダムとの関連
一部が水源かん養保安林、土砂流出防備 一部が水源かん養保安林、土砂流出防備
保安林等に指定されている。
保安林等に指定されている。
一部が砂防指定地に指定されている。
一部が砂防指定地に指定されている。(指 一部が砂防指定地域に指定されて
定区域の変更あり)
いるが、足羽川ダム建設事業の環境
[福井土木事務所管内図(H22.12)]
アセスの予測対象としていない。
[丹南土木事務所管内図(H23.1)]
鉱区禁止地域に指定されている地域は 鉱区禁止地域に指定されている地域はな
ない。
い。
温泉地として、志津原、伊自良がある。 温泉地として、志津原、伊自良がある。
一部が急傾斜地崩壊危険区域に指定さ 一部が急傾斜地崩壊危険区域に指定され 一部が急傾斜地崩壊危険区域に指
急傾斜地の崩壊に
れている。
ている。(指定区域の変更あり)
定されているが、足羽川ダム建設
よる災害の防止に
[福井土木事務所管内図(H22.12)]
事業の環境アセスの予測対象とし
関する法律
[丹南土木事務所管内図(H23.1)]
ていない。
地すべり防止区域に指定されている区 地すべり防止区域に指定されている区域
地すべり等防止法
域はない。
はない。
景観計画区域に指定されている区域は 景観計画区域に指定されている区域はな
景観法
ない。
い。
備考)赤字:改訂が確認された箇所
140
新たな予
測・評価
無
無
6. 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境について(総括)
表 6- 1(1) 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境
大気質
項目
粉じん等
調査
風向・風速調査
予測手法
準備書の予測結果
足羽川ダム周辺の環境
降下ばいじんの拡散計算により予測。
工 事 に よ る 降 下 ば い じ ん 量 は 、 0.05 ∼ <足羽川ダム周辺の風向・風速>
(予測箇所:松ヶ谷集落、水海集落、志津原・ 0.48t/km2/月であり、全ての地点において、評
準備書
項目
地点 準備書
増減
変化率(%)
以降
土合皿尾集落)
価の参考値とした 10t/ km2/月以下。
最多出現
持越
南西
南西
−
−
風向
小畑
南東
南東
−
−
風速
持越 1.06m/s 0.99m/s -0.07m/s
-6.6%
(平均風速) 小畑 0.88m/s 0.86m/s -0.02m/s
-2.3%
出典)足羽川ダム工事事務所観測値
[準備書]持越:H5∼H19、小畑:H15∼19
[準備書以降]持越・小畑:H20∼22
141
騒音
振動
騒音
振動
騒音レベル調査、 建設機械:騒音の伝搬計算により予測。
地表面調査、交通 (予測箇所:松ヶ谷集落、水海集落、水海集
量調査等の道路沿 落、志津原・土合皿尾集落、志津原・土合皿
道の状況調査
尾集落)
工事用車両:道路交通騒音の予測モデルによ
り予測。
(予測箇所:松ヶ谷集落、松ヶ谷集落、水海
集落)
<環境関連法令>
・微小粒子状物質(PM2.5)に係る環境基準[H21.9.9]が告示されてい
るが、現時点で予測手法が確立されていない。
建設機械:LA5又は LAmax は61∼80dB。(全地点で規 <足羽川ダム周辺の平日 12 時間交通量>
制基準値以下。)
(台/平日 12h)
準備書
変化率
LAeq,1h は61∼76dB。(3地点で池田町騒
地点
路線名
準備書
増減
以降
(%)
音防止条例の基準値を超過)
1,999 1,902 -97 -4.9%
工事用車両:昼間の時間帯は 62∼67dB。(全地 野尻 一般国道 476 号
千代谷 主要地方道松ヶ谷宝慶寺大野線
418
230 -188 -45.0%
点で環境基準及び要請限度以下)
566
537 -29 -5.1%
1 時間値は 49∼71dB。
(1 地点で早 水海 一般県道熊河池田線
682
572 -110 -16.1%
朝の 1 時間値が池田町騒音防止条 月ヶ瀬 一般国道 417 号
合計
3,665
3,241
-424 -11.6%
例の基準値を超過するが、現況で
既に超過しており工事用車両によ
る影響はない。
)
振動レベル調査、 建設機械:振動の伝搬計算により予測。
建設機械:30 未満∼59dB。(全地点で規制基準
地盤調査
(予測箇所:松ヶ谷集落、水海集落、志津原・
値以下)
土合皿尾集落)
工事用車両:31∼35dB。
(全地点で要請限度以下)
工事用車両:ダムマニュアル予測式により予
測
(予測箇所:松ヶ谷集落、松ヶ谷集落、水海
集落)
出典)道路交通センサス調査(準備書:H17 準備書以降:H22)
<足羽川ダム周辺の人口>
(人)
地域
福井市
池田町
準備書
269,144
3,405
準備書以降
266,540
2,989
増減
-2,604
-416
変化率(%)
-1.0%
-12.2%
出典)福井県月例統計指標
[準備書]H17
[準備書以降]H23
<足羽川ダム周辺の環境保全について配慮が特に必要な施設>
・準備書以降において、保育所・学校等、病院及び診療所、社会福祉
施設等の新たな施設の増減はない。
表6- 1(2) 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境
水質
項目
濁り(SS)
調査
水文・水質調査
水温
水文・水質調査
(試験湛水時)
富栄養化
水文・水質調査
(試験湛水時)
142
溶存酸素量 水文・水質調査
(DO)( 試験湛
水時)
水素イオン濃 水文・水質調査
度
予測手法
準備書の予測結果
足羽川ダム周辺の環境
貯水池水質予測モデル及び河川水質予測モ ・工事中(試験湛水以外の期間)
:出水時に裸地 <足羽川ダム周辺の水質>
平均値(全地点)
デルにより予測
からの SS が高くなる。
環境
項目
単位
準備書 増減 変化率(%)
・工事中(試験湛水の期間)
:試験湛水末期に、
基準
準備書
以降
一時的にダム放流水の SS が高くなる。
SS
mg/L 25 以下
4.04
2.76 -1.28
-31.7%
・ダム建設後:洪水時の後期放流末期に、一時
pH
6.5∼8.5
7.73
7.82
0.09
1.2%
的にダム放流水の SS が高くなる。
水温
℃
12.32
12.36 0.04
0.3%
COD
mg/L
1.23
1.07 -0.16
-13.0%
クロロフィル a mg/L
0.83
0.87 0.04
4.8%
貯水池水質予測モデル及び河川水質予測モ ・春季頃、放流水の水温が低下する。
T-N
mg/L
0.445
0.466 0.021
4.7%
デルにより予測
・6 月頃には放流水の水温が上昇する。
T-P
mg/L
0.019
0.016-0.003
-15.8%
BOD
mg/L 2.0 以下
0.52
0.52 0.00
0.0%
DO
mg/L 8 以上
10.08
10.52 0.44
4.4%
注)全地点とは、天神橋、下新橋、蔵作、横越、持越、稲荷、志津原 1、芦見川、
羽生川、上味見川、小畑、金見谷、東青、篭掛、水海川末端、水海川、魚見
川、志津原 2 の 18 地点である。
出典)足羽川ダム工事事務所観測値
貯水池水質予測モデル及び河川水質予測モ ・ダム洪水調節地内では富栄養には該当しない。
[準備書]H5∼H19 [準備書以降]H20∼22
デルにより予測
・下流河川では BOD の環境基準値(2mg/L)を下
<足羽川ダム周辺の流量>
回り、ダム建設前からの変化は小さい。
年平均(m3/秒)
増減
地点
変化率(%)
(m3/秒)
準備書
準備書以降
天神橋
22.00
21.34
-0.66
-3.0%
下新橋
22.12
23.37
1.25
5.7%
小畑
2.70
2.75
0.05
1.9%
貯水池水質予測モデル及び河川水質予測モ 環境基準値(7.5mg/L)を下回り、ダム建設前から 出典)足羽川ダム工事事務所観測値
デルにより予測
の変化は小さい。
[準備書]H5∼H18(小畑は H15∼18) [準備書以降]H19∼22
河川水質予測モデルにより予測
<足羽川ダム周辺の気象>
調査
変化率
項目
準備書
準備書以降
増減
地点
(%)
気温(年平均)
持越
12.2℃
12.3℃
0.1℃
0.8%
湿度(年平均)
持越
88.8%
89.5%
0.7%
0.8%
大本
2,479 ㎜
2,493 ㎜
-14 ㎜
0.6%
中和処理することで環境基準値(6.5∼8.5)の 降水量
稲荷
2,471 ㎜
2,377 ㎜
-94 ㎜ -3.8%
範囲内に収まり、ダム建設前からの変化は小さ (年降水量)
美山
2,365 ㎜
2,492 ㎜
127 ㎜
5.4%
い。
日射量(日平均) 持越
10.1MJ/m2/日 11.0MJ/m2/日0.9MJ/m2/日
8.9%
雲量(年平均) 豊島
7.6
7.6
0.0
0.0%
出典)足羽川ダム工事事務所観測値、気象庁観測値
[準備書]H5∼H19 [準備書以降]H20∼22
表6- 1(3) 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境
項目
調査
予測手法
準備書の予測結果
足羽川ダム周辺の環境
地下水の 地下水の水位 地下水の水位、水 高橋の方法(Kt 法)により、地下水の水位が 導水トンネルの両側数百 m までの範囲で地下水 <足羽川ダム周辺の地下水の水位>
平均値(E.L m)
水質及び
文気象、地形・地 低下する範囲を予測。
の水位が低下、並びに表流水の流量が減少する。
地点
準備書
準備書以降
水位
質、類似の施工事
W1(金見谷)
340.21
340.26
例、地下水の利
W3(水海)
296.89
296.91
用、表流水の利
W4(志津原)
449.58
447.90
用、土地利用
W5(割谷)
324.88
325.11
増減
(m)
変化率
(%)
0.05
0.02
-1.68
0.23
0.01%
0.01%
-0.37%
0.07%
注)準備書以降、W-2(水海)地点は自噴していることから、地下水の水位観測
は実施していない。
出典)足羽川ダム工事事務所観測値
[準備書]:H18.8.28∼H20.10.31[準備書以降]:H20.11.1∼H23.12.31
地形及び 重要な地形及 文献調査、聴取
地質
び地質
重要な地質の確認視点と事業計画との重ね 重要な地質は、事業が行われる場所から離れて 準備書以降において、以下の既往文献の改訂及び足羽川周辺に該当す
合わせにより、影響の程度を予測。
おり、事業により改変されない。
る新たな地形・地質はない。
143
・文化財保護法に基づき指定された天然記念物
・福井県文化財保護条例、福井市文化財保護条例及び、池田町文化財保護条例
に基づき指定された天然記念物
・世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約に基づき指定された世界遺
産
・自然環境保全法に基づき指定された自然環境保全地域(地形に係る指定基準に
該当するもの)
・福井県自然環境保全条例に基づき指定された特異な地形
・自然環境保全調査報告書(環境庁 昭和 51 年)に基づき指定された、すぐれた
又は特異な地形
動物
動物の重要な 現地調査
種及び注目す
べき生息地
・それぞれの種の特性に応じ、現地調査結果 ・予測対象とした重要な種 100 種のうち、クマ <クマタカの生息状況>
準備書
準備書以降
等から推定した生息環境と改変区域との重 タカについては、工事中は一部のついがいの繁
種名
調査方法
地点数 つがい数 地点数 つがい数
ね合わせにより、影響の程度を予測。
殖成功率が低下する可能性がある。
9,371
10
2,526
10
目視
・ダム堤体及び分水堰から下流の河川におけ ・アジメドジョウについては、水の濁りによる クマタカ
注)調査対象範囲は、足羽川ダム集水域及びその周辺の区域である。
る水質、土砂供給及び流況の変化に伴う生息 生息環境の変化の影響が大きい。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
環境の変化に基づき、影響の程度を予測。 ・その他の 98 種については、事業による影響は
[準備書]H7∼H19 [準備書以降]H20∼24
・導水施設周辺においては、地下水の水位の 小さい。
<アジメドジョウの生息状況>
変化による沢水などの流量の変化に伴う生
準備書
準備書以降
種名
調査方法
息環境の変化に基づき、影響の程度を予測。
地点数 個体数 地点数 個体数
準備書はタモ網、サデ網、
潜水目視、
準備書以降は電撃捕獲器
(エレクトロフィッシャー)
注)調査対象範囲は、対象事業実施区域及びその周辺の区域、下流の天神橋ま
での足羽川、導水施設周辺の区域及び下流の河川、足羽川及び各支川の上
流の区域である。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
[準備書]S60∼H19 [準備書以降]H22.8
アジメ
ドジョウ
18
162
16
123
表6- 1(4) 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境
項目
調査
(動物) (動物の重要
な種及び注目
すべき生息
地)
植物
植物の重要な 現地調査
種及び群落
予測手法
準備書の予測結果
足羽川ダム周辺の環境
<鳥類及び魚類の他の重要な種の生息状況>
・クマタカ以外に 29 種の鳥類の重要な種を確認し、準備書で含まれて
いないミゾゴイ、オオヒシクイ、チュウヒの 3 種を新たに確認した。
・アジメドジョウ以外に 3 種の魚類の重要な種を確認した。
・それぞれの種の確認地点と改変区域との重 ・予測対象とした重要な種 41 種のうち、9 種(ヤ <現地調査>
保全
準備書
準備書以降
ね合わせにより、影響の程度を予測。
マシャクヤク、イワウメヅル、エゾナニワズ、
種名
措置
地点数
個体数 地点数
個体数
・ダム堤体及び分水堰から下流の河川におけ ミゾハコベ、ミズマツバ、ミヤマタゴボウ、ア
ヤマシャクヤク
1
7
0
0
る水質及び流況の変化に伴う生育環境の変 ブノメ、エビモ、イチョウウキゴケ)は生育地
イワウメヅル
7
7
5
32
化に基づき、影響の程度を予測。
点及び生育個体の多くが消失する。
エゾナニワズ
6
65
8
約 450
・導水施設周辺においては、地下水の水位の ・3 種(ウスバサイシン、アシウテンナンショ
1
3
4
約 1,200
移植・ ミゾハコベ
変化による沢水などの流量の変化に伴う生 ウ、イワウメヅル)は、改変区域付近の環境の
撒きだ ミズマツバ
1
17
1
11
育環境の変化に基づき、影響の程度を予測。 変化により生育地点及び生育個体の多くが消失
し
ミヤマタゴボウ
1
1
0
0
アブノメ
1
500
1
1
する可能性がある。
エビモ
1
300
0
0
・その他の 30 種については、事業による影響は
イチョウウキゴケ
12
5
約 250
小さい。
監視 ウスバサイシン
調査 アシウテンナンショウ
3
1
170
1
3
0
約 170
0
144
注)1.調査対象範囲は、事業実施区域及びその周辺の区域(事業実施区域から約
500m)である。
注)2.イチョウウキゴケについては、準備書時点では生育確認のみで、生育個体
数については記録していない。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
[準備書]S63∼H20 [準備書以降]H21∼H24
生態系
地域を特徴づ 現地調査
ける生態系
上位性(陸域)
注目種であるクマタカについて、生息環境の つがいの行動圏内の改変の程度は小さいこと等 <クマタカの繁殖成功率>
準備書
状況等と改変区域との重ね合わせにより、影 から、長期的につがいは生息し、繁殖活動は維
クマタカ
響の程度を予測。
持されるが、一部のつがいについては、工事の
つがい名 繁殖年/ 成功率
調査年
一部が繁殖テリトリー内でも実施されること、
Aつがい
5/13
38%
営巣地から改変区域までの距離が比較的近いこ
A2つがい
3/7
43%
とから、工事中は繁殖成功率が低下する可能性
Bつがい
2/11
18%
がある。
B2つがい
1/5
20%
Cつがい
2/7
29%
Dつがい
3/10
30%
Eつがい
5/12
42%
Fつがい
5/10
50%
Gつがい
4/11
36%
Hつがい
2/9
22%
合計
32/95
33.7%
準備書以降
繁殖年/調 成功率
査年
2/4
50%
0/4
0%
1/4
25%
1/4
25%
1/4
25%
1/4
25%
0/4
0%
0/4
0%
1/4
25%
7/36
19.4%
注)1.調査対象範囲は、足羽川ダム集水域及びその周辺の区域である。
注)2.B2 つがいは、準備書以降、調査対象としていない。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
[準備書]H7∼H20 [準備書以降]H21∼24
表6- 1(5) 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境
項目
(生態系) (地域を特徴
づける生態系
上位性
(陸域))
調査
予測手法
準備書の予測結果
足羽川ダム周辺の環境
<クマタカの行動圏の内部構造>
行動圏の内部構造サイズ(ha)
クマタカ
準備書
準備書以降
つがい名
①
②
③
①
②
③
Aつがい
723
275
105(Ⅰ)
723
331(Ⅱ) 139(Ⅱ)
55(Ⅰ)
A2つがい
809
314
809
314
88(Ⅲ)
132(Ⅱ)
88(Ⅰ)
88(Ⅰ)
)
Bつがい
667 286(Ⅰ,Ⅱ
667 286(Ⅰ,Ⅱ)
63(Ⅱ)
273(Ⅲ) 63(Ⅱ)
273(Ⅲ)
75(Ⅲ)
75(Ⅲ)
B2つがい
Cつがい
919
853
384
389
Dつがい
710
443
Eつがい
Fつがい
856
439
634
327
Gつがい
Hつがい
679
720
437
374
77
67(Ⅰ)
85(Ⅰ)
68(Ⅱ)
156
148(Ⅰ)
142(Ⅱ)
117
155(Ⅰ)
919
853
384
389
710
443
856
439
634
327
679
720
437
374
77
102(Ⅱ)
85(Ⅰ)
68(Ⅱ)
156
148(Ⅰ)
142(Ⅱ)
117
124(Ⅱ)
145
注)1.調査対象範囲は、足羽川ダム集水域及びその周辺の区域である。
注)2.B2 つがいは、準備書以降、調査対象としていない。
注)3.表中の①はコアエリア、②は繁殖テリトリー、③は幼鳥の行動範囲を示す。
注)4.表中の( )内の数字は、各ペアの営巣木番号である。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
[準備書]H7∼H20 [準備書以降]H21∼24
地域を特徴づ 現地調査
ける生態系
上位性(河川
域)
・注目種であるヤマセミについて、生息環境 つがいの行動圏内の改変の程度及び生息環境の <ヤマセミの生息状況>
準備書
準備書以降
の状況等と改変区域との重ね合わせにより、 変化は小さく、行動圏内の狩り場環境が広く残
種名
調査方法
地点数 つがい数 地点数 つがい数
影響の程度を予測。
存すること等から、つがいは生息し繁殖活動は
ヤマセミ
529
6
100
目視
・ダム堤体及び分水堰下流の河川における水 維持される。よって、上位性(河川域)からみ
注)1.調査対象範囲は、足羽川ダム集水域内の河川、ダム下流の部子川及び流
質及び土砂供給の変化に伴う生息環境の変 た地域を特徴づける生態系は維持される。
入河川、下流の天神橋までの足羽川、導水施設下流の河川並びに周辺の区
化に基づき、影響の程度を予測。
域である。
注)2.つがい数については、準備書以降、確認していない。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
(準備書以降は、クマタカ調査時による)
[準備書]H1.4∼H20.3 [準備書以降]H20.4∼H24.10
表6- 1(6) 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境
項目
調査
(生態系) 地域を特徴づ 現地調査
ける生態系
典型性(陸域)
146
予測手法
準備書の予測結果
足羽川ダム周辺の環境
動植物の典型的な生息・生育環境である「落 「落葉広葉樹林(壮齢林以外)
」
、
「スギ・ヒノキ <陸域環境ベースマップ>
面積(ha)
葉広葉樹林(壮齢林)
」
、
「落葉広葉樹林(壮 植林」及び「耕作地(水田)がわずかに消失す
増減
植生区分
齢林以外)
」
、
「スギ・ヒノキ植林」
、
「耕作地 るが、大部分は広くまとまりを持って残存する。
(ha)
準備書 準備書
以降
(水田)
」と改変区域との重ね合わせにより、よって、典型性(陸域)からみた地域を特徴づ
落葉広葉樹林(壮齢林)
938
938
0
影響の程度を予測。
ける生態系は維持される。
落葉広葉樹林(若齢林)
10,244 11,305 1,061
落葉広葉樹林(低木林)
1,931
1,009
-922
スギ・ヒノキ植林(壮齢林)
26
18
-8
スギ・ヒノキ植林(若齢林) 6,533
8,440 1,907
スギ・ヒノキ植林(低木林) 2,207
276 -1,931
伐採跡地群落
268
231
-37
荒地雑草群落
127
80
-47
耕作地(水田)
1,056
1,025
-31
耕作地(畑地)
14
16
2
集落、施設
263
268
5
人工裸地
8
1
-7
自然裸地
12
11
-1
開放水面
104
105
1
ササ草原
50
50
0
人工草地
2
5
3
合計
23,783 23,783
0
変化率
(%)
0.0%
4.4%
-3.9%
0.0%
8.0%
-8.1%
-0.1%
-0.2%
-0.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
注)変化率は、合計面積に占める割合の増減を示す。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
[準備書]:H18.5 [準備書以降]:H24.5
地域を特徴づ 現地調査
ける生態系
典型性
(河川域)
・動植物の典型的な生息・生育環境である「山 新たな生息環境の分断は生じないこと、魚類等
間部の里山を流れる河川」
、
「渓流的な河川」
、の生物群集の生息・生育環境は維持されること、
「源流的な河川」と改変区域との重ね合わせ 試験湛水時には、一時的に生息・生育環境が変
により、影響の程度を予測。
化するものの、その後には生息・生育環境は回
・ダム堤体及び分水堰から下流の河川におけ 復すること等により、典型性(河川域)からみ
る水質、土砂供給及び流況の変化に伴う生 た地域を特徴づける生態系は維持される。
息・生育環境の変化に基づき、影響の程度を
予測。
・導水施設周辺においては、地下水の水位の
変化による沢水などの流量の変化に伴う生
息・生育環境の変化に基づき、影響の程度を
予測。
・ダム洪水調節地内においては、一時的な冠
水の影響及び河床材料の変化を把握し、生
息・生育する可能性のある生物群集を予測。
<河川域の環境類型区分>
環境類型区分
源流的な河川
渓流的な河川
山間部の里山を流れる河川
流路長(km)
増減
準備書 (km)
以降
54.8
54.8
0
38.6
38.6
0
39.1
39.1
0
準備書
変化率
(%)
0.0%
0.0%
0.0%
注)「山間部の里山を流れる河川」とは足羽川中流部・水海川下流部、
「渓流的な
河川」とは足羽川上流部、水海川上流部、部子川、割谷川、赤谷川下流部、
「源
流的な河川」とは足羽川源流部、部子川、水海川、割谷川、赤谷川の各源流
部である。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
[準備書]:H14.11-12、H18.10-11、[準備書以降]:H24.5
表6- 1(7) 足羽川ダム周辺における各環境影響評価項目の環境
項目
(生態系) (地域を特徴
づける生態系
典型性
(河川域))
調査
予測手法
準備書の予測結果
足羽川ダム周辺の環境
<河川環境ベースマップ>
面積(ha)
河床型・
準備書
河川植生区分 準備書
以降
淵
66.6
50.2
平瀬
54.2
56.5
早瀬
25.8
55.2
自然裸地
70.8
34.6
草本群落
76.5
110.5
木本群落
113.5
113.1
その他
48.8
37.9
合計
456.2
458.0
増減
(ha)
変化率
(%)
-16.4
2.3
29.4
-36.2
34.0
-0.4
-10.9
1.8
-3.6%
0.5%
6.4%
-8.0%
7.4%
-0.2%
-2.4%
0.0%
注)1.変化率は、合計面積に占める割合の増減を示す。
注)2.その他の中には、人工構造物、人工裸地などが含まれている。
出典)足羽川ダム工事事務所の現地調査による
[準備書]:H14.11-12、H18.10-11、[準備書以降]:H24.5
景観
147
主要な眺望点 文献調査、
及び景観資源 現地調査、
並びに主要な 聴取
眺望景観
・景観資源の変化は改変区域の重ね合わせに ・景観資源:景観資源の主要な構成要素は変化 準備書以降において、以下の既往文献に改訂はない。
より、影響の程度を予測。
しない。
・第 3 回自然環境保全基礎調査 日本の自然景観 北陸版(環境庁 平成元年
・主要な眺望景観の変化は、フォトモンター ・主要な眺望景観:ダム堤体及びダム洪水調節
9 月)
ジュの作成により、影響の程度を予測。
地が点状に、付替町道が線状に認識される。 ・第 3 回自然環境保全基礎調査 日本の自然景観 東海版(環境庁 平成元年
(景観資源:部子山、銀杏峯の山岳景観)
9 月)
(主要な眺望景観:足羽山及び部子山、
・みどりのデータ・バンク総括報告書すぐれた景観分布図 1984(福井県、昭和
銀杏峯の山岳景観)
60 年 9 月)
・福井県みどりのデータバンク(福井県安全環境部自然保護課)
人と自然 主要な人と自 文献調査、
との触れ 然との触れ合 現地調査、
合いの活 い活動の場 聴取
動の場
主要な人と自然との触れ合いの活動の場に 変化はない又は主な人と自然との触れ合いの活 準備書以降において、以下の既往文献に改訂はない。
ついては、改変区域との重ね合わせ等によ 動は維持される。
・長距離自然歩道について(福井県福祉環境部自然保護課)
り、影響の程度を予測。
・全国旅そうだん(全国地域観光情報センター)
(予測地点:中部北陸自然歩道、龍双ヶ滝、
・ふくいドットコム(社団法人福井県観光連盟)
志津原キャンプ場、ふれあい遊歩道、アドベ
・池田町観光案内所(福井県池田町)
ンチャーボート)
廃棄物等 建設工事に伴 調査なし
う副産物
工事の計画により廃棄物等の発生及び処分 ・建設発生土、コンクリート塊、アスファルト・ ・準備書以降において、事業内容に変更がない。
等の状況を把握。
コンクリート塊、伐採木:全て再利用するた
め、環境への負荷が生じない。
・脱水ケーキ:最終処分を行う必要があり、環
境への負荷が生ずる。
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