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はじめに 2013年1月16日に北アフリカのアルジェリア南東部、イナメナス

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はじめに 2013年1月16日に北アフリカのアルジェリア南東部、イナメナス
Endo Mitsugi
はじめに
2013 年 1 月 16 日に北アフリカのアルジェリア南東部、イナメナス近郊の天然ガス精製プ
ラントにおいて発生した、イスラーム系武装勢力による人質拘束・襲撃事件は、計 37 名に
上る犠牲をも伴う結果となり、国際社会に大きな衝撃を与えた。化学プラントの建造に実
績のある日揮関係者 10 名がこの事件の犠牲者になったことから、日本社会が受けた衝撃も
きわめて甚大なものとなったことはいまだに記憶に新しい。こうした事件に示されるよう
に、必ずしも十分な秩序や治安が提供されていないアフリカの地に、日本企業が資源開発
を含む活動で進出を余儀なくされている背景があり、今後も類似の事件に日本人が巻き込
まれる可能性を排除できない。したがって、今回の事件に関する十分な検証を行なうこと
に加え、アフリカにおける武力紛争や「テロ活動」にもかかわっているイスラーム主義勢
力の動向に関する一定の分析を試みることは、引き続き重要な作業となろう。
しかも、この事件が発生した前日にアルジェリアの南で国境を接するマリの北部におい
(AD)に対するフランス軍の攻撃
て、イスラーム主義勢力である「アンサール・ディーン」
が開始されていた。ADは、2012年 1 月に武装蜂起し、4 月には北部の「独立」を宣言した遊
牧民トゥアレグ人組織である「アザワド解放国民運動」
(MNLA)と一時共闘したものの、6
月以降 MNLA を放逐し、北部の支配を確立したイスラーム主義勢力である。一方、アルジ
ェリアにおいて今回の事件を起こし、その後にチャド軍との交戦中に自爆したと報告され
ている襲撃事件の首謀者と目される人物が犯行声明で述べたように、このフランス軍によ
る攻撃がアルジェリアの事件の引き金となるなど、イスラーム主義勢力間の関連が示唆さ
れ、2 つの事件の間の連動を指摘するコメントも当初はなされた。
このように、この地域にかかわる治安をめぐる諸問題の背景には、サハラ砂漠を挟むア
フリカの一地域としての「サヘル・アフリカ」の不安定化(1)の流れがある。そして、さら
にその背景には、
「アラブの春」のうねりのなかで生じたリビアのカダフィ政権崩壊の余波
としての大量の移民の帰還、大量の武器弾薬の流入、そしてイスラーム主義勢力の活動拠
点の拡大といった、近年のマグレブ地域の政治体制変動があった。
こうしたかたちで、不安定なイメージの強いアフリカ大陸における紛争の問題をめぐっ
て、本稿では、はじめに 1990 年代以降の紛争の特徴とそれらへの対応の経緯を確認したう
えで、近年新たに現象化してきたとも言える紛争の様態と紛争主体の変容の問題を提起す
国際問題 No. 621(2013 年 5 月)● 17
アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
る。そして、今後紛争への新たな対応が迫られていく可能性について検討を加えたのち、
趨勢的には減少しつつあることが指摘されてきた紛争および、それからの脱却にかかわる
課題を提起することを目的とする。
1 冷戦後アフリカにおける紛争からの脱却への視座
(1) アフリカにおける紛争の理解
日本におけるアフリカを中心とした紛争研究と、その後の政策的対応に長く関与し牽引
してきた武内進一は、その早期の論考において冷戦後におけるアフリカの紛争の特徴を手
際よく整理している(2)。その問題意識は、紛争を理解するという観点からすれば、
「これま
でアプリオリに紛争に関わる主体とされてきたもの― 例えば、民族、市民、国際社会
(3)
―を相対化する必要がある」
ことであり、例えば「民族紛争」といった常套句を用いて、
アフリカの紛争を固定的に解釈する一般的な陥穽に陥ることを慎重に回避しようとする視
点であった。そして、1990 年代の紛争を、
「ポスト冷戦」という時間の枠組みのなかに押し
込めて議論するのではなく、アフリカにおける植民地期以前、植民地期、独立期という時
間の流れのなかに位置付けようとする試みでもあった。
武内の中心的な主張の一つは、1990 年代以降の紛争のなかでは「大衆化」という現象が
顕著であるということである。
「大衆化」と言う場合、ここでは民間人が被害者であるばか
りでなく、加害者として紛争に関与している現象である。つまり、暴力を行使する主体が
民兵であったり、職のないままに滞留する「ルンペンの若者」であったりすることを指す。
むろん、こうした紛争への参加者を動員するうえでは、
「部族」
、エスニシティーといったア
イデンティティーにおける差異を基準とした動員が行なわれるわけだが、先にも指摘した
ように民族間の対立がアプリオリに紛争につながるという単純化は排除されるべく配慮さ
れている。こうした紛争には民間軍事会社の関与(紛争の「外注化」)も特徴となっていた。
このほか、国境管理が不十分となる結果、内戦が越境する、あるいは、小型武器の流通に
伴う廉価で高性能の武器の流入(により助長される紛争の「大衆化」や子供兵の問題)、さらに
は人間のなせる所業とは思えない残虐行為などの問題群が指摘された。
そして、こうした特徴を有するアフリカにおける紛争が発生する論理を、後にルワンダ
における大虐殺の包括的な研究(4)の中心的な仮説となる、独立後のアフリカ国家の変容と
崩壊過程として位置付ける試みが行なわれる。ここで、
(
「ポストコロニアル家産制国家」とし
て概念化される)国家は、国家権力を掌握した政治エリートの蓄財の場であるという物質的
側面を突出したかたちで有しており、ここにおいて獲得された資源の配分機能のもとで発
達するパトロン・クライエント関係(親分 ― 子分関係)がかかわってくる。そして、このパ
トロン・クライエント関係は、そこに組み込まれる場合には暴力から一定の庇護のもとに
おかれることになる一方で、この関係の外に向けては、暴力行使の主体を構成する可能性
をもつことになる。ただし、パトロン・クライエント関係を形成する基盤は、必ずしもエ
スニシティーではなく、地縁や宗教といった他のアイデンティティーがかかわる可能性を
排除しない。しかも、この関係の紐帯は決して安定したものではなく、パトロン側の資源
国際問題 No. 621(2013 年 5 月)● 18
アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
配分能力などの条件変化によっては分裂もありうる、つまり再編可能性を有することを特
徴としている。この関係が、冷戦後大きく動揺する過程で紛争が生起してきたというのが、
武内の見立てであった。
「アフリカ諸国におけるパトロン・クライエント関係は、1980 年代までの一党制・軍政などの
集権的政治体制期においては政治支配者を頂点とする国家ヒエラルキーを形成していたが、80
年代の経済危機と経済自由化政策の導入を契機として分裂化の方向へと動きだした。そして、
90 年代の政治的民主化過程では、ネットワークの分裂の促進とともにその再編がなされたので
ある。すなわち、ネットワークの分裂と再編、そしてそのトップに座る政治エリート間の権力
(5)
。
闘争の激化が、90 年代における紛争の多発と『大衆化』現象をもたらした要因と考えられる」
こうした再編過程のなかで、国軍の「私物化」
、民兵の組織化、暴力の私物化としての軍
事部門の「外注化」が現象化し、アフリカにおける紛争のかたちを形成してきたとしている。
さらに、武内はアフリカにおける紛争が各地で頻発している現象を考慮するためには、
上記の権力闘争と動員のメカニズムという論理だけでなく、社会経済的な構造を加味する
必要も同時に指摘する。特にルワンダでは、1980 年以降の農村経済の急速な悪化、つまり
土地不足と都市における労働需要不足によって、若年層が農村において絶望的な状況に追
い込まれ、緊張が増幅されていく過程の意味を問うたのである。
(2) 国際社会の対応と紛争の「収束」? そして国家建設モデル アフリカにおいて多発した紛争への国際社会の対応に関しても、武内による整理が有用
である(6)。ルワンダ、シエラレオネ、コンゴ民主共和国などの多くの紛争が 1990 年代に生起
したことは、あらためて多言を要しないが、2000 年を迎える頃から、国際連合平和維持活
動(PKO)の展開なども一定の功を奏するかたちで、趨勢的には紛争が収束する傾向がみら
れたことは確かである。ルワンダやコンゴ民主共和国では内戦が武力により決着し、リベ
リア、シエラレオネなどの多くの紛争においてはさまざまな仲介を経て和平合意が締結さ
れ、暫定政権の樹立、選挙の実施といった一連の手続きを経るかたちで、表面的には紛争
が収まったようにみえる状況が生まれた。しかし、こうした趨勢のなかにあっても、スー
ダンのダルフール紛争や、2012 年 11 月には 21 年ぶりに新政権が樹立されたソマリアでも、
きわめて不安定な状況が続いている。紛争が収束したようにみえる場合にも、武内の言う
ところの「戦争と平和の間」という曖昧な状況にとどまっており、紛争が「解決」された
とは解釈できず、その位相の変化として捉えざるをえない状況にある(7)。
国際社会は、一方ではルワンダでのジェノサイドをひとつの転換点としてアフリカの紛
争への道義的関心から関与を強め、他方、2001 年 9 月 11 日のアメリカ本土における同時多
発テロ事件を大きな契機として、政策的にはより現実主義的に、「脆弱国家」(fragile state)
と認識される国家への対応を実施する必要に迫られることになった。
「脆弱国家」は、
「国の
ガバナンスや制度が弱く適切な政策を実施する能力の低い国家」であると同時に、
「その国
への効果的な支援の在り方が検討対象となる国家」として位置付けられ、国家建設の対象
としてそのガバナンスや制度構築への支援が実施されることになった(8)。
しかし、こうした外部関与型の、一定の自由主義的な理念に基づく国家建設に関しては、
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アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
さまざまなジレンマが指摘されてきた(9)。この点に関して、佐藤章は「あるべき国家のあり
方に関する何らかのイメージのもとに推進される国家建設の取り組みが自己完結的である
ことはまれであり、被介入側の現実との相互作用のなかで常に変質していく傾向を持つ」
のであり、
「国家建設という理念的な方向付けにとらわれずに紛争と国家の問題を考える」
必要性があることを指摘し、紛争と国家の関係をどのように捉えるかに関する研究上の一
つの留意点を提起している(10)。同時に、これまで必ずしも十分な近代国家運営の経験をもっ
てこなかったアフリカ諸国において、民主主義的な体制を有し、かつ十分なガバナンスを
行なうことのできる国家を新たに外部者が関与するかたちで建設するプロジェクトにかか
るコストはきわめて莫大となるという大きな課題がある。さらに、以下でも述べるように
紛争と紛争主体の変容に一部対応する代替的なアプローチの可能性も模索され始めており、
紛争からの脱却をめぐる可能性とその政策的方向性は、多様化しつつある。
2 アフリカにおける紛争と紛争主体の性格変容にみる新潮流
その近著において、独立後のアフリカにおける戦争(warfare)の紛争(反乱)主体(rebel)
の変容を包括的に検討したアメリカのアフリカ政治研究者である W ・レノは、時系列に沿
うかたちで次の 5 つの反乱勢力(rebels)の類型を提示している(11)。植民地からの独立の際に
活動した反植民地反乱勢力(anti-colonial rebels)、白人統治が長期化した南部アフリカに 1970
年代にみられた多数支配反乱勢力(majority rule rebels)、ウガンダの現大統領ムセヴェニが率
いた国家改革運動(National Reform Movement)に代表される 1980 年代にみられた改革反乱勢
力(reform rebels)、リベリアのテイラー率いたリベリア国民愛国戦線(National Patriotic Front of
、そしてより近年(2000 年代)に
Liberia)にみられる 1990 年代の軍閥反乱勢力(warlord rebels)
確認されるようになった限定的反乱勢力(parochial rebels)である。特に、アフリカにおける
紛争において新しい主体として興味深いのは、最後に挙げられている限定的反乱勢力であ
り、その事例として挙げられているのが、ケニアにおける選挙後暴動においてその活動が
観察され、ケニア最大の民族であるキクユの若者を中心に 1990 年代から活動してきたムン
ギキ(Mungiki)、ナイジェリアの産油地域であるナイジャー・デルタ地域において活動する
自警団組織などである。
レノの基本的、かつ中心的な主張は、こうした反乱勢力の戦略や戦術は、これらの勢力
が活動している国家における政治的な権威(political authority)のあり方を反映しているとい
うものである。そして、欧米先進諸国が進めてきた平和構築や国家建設といったプロジェク
トが意図するように、
(治安部門を含む)より持続的で制度化された政治的権威を実現するこ
(ungoverned
とによって、旧来の権威を解体し、反乱勢力が台頭しうる「無(非)統治の空間」
space)を減じ、パトロネージのネットワークに支えられる社会空間、さらには政治家と提携
するギャンググループを一掃し、代わりに市民活動や経済活動を活性化させ、民主化や市
場経済化を進めることができる可能性を示唆している。その意味では、国家建設型のモデ
ルに一定の有効性を見出しているという評価はできよう。ただし、これまでアフリカにお
いては十分観察されてこなかった、イデオロギーをまとった反乱勢力の台頭に留意する必
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アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
要性があることも合わせて示唆しており、こうした要素を含む紛争の今後の可能性を含め、
結論としてはさらなる慎重な観察の必要性を提起している(12)。
こうした反乱勢力の戦略や戦術は、これらの勢力が活動している国家における政治的な
権威のあり方を反映しているというレノの中心的な主張に一定の疑問符をつけながら、近
年みられる紛争の様態の変容に関する興味深い分析を行なっているS ・ストラウスは、アフ
リカにおける紛争主体とともに、紛争の変容のあり方の特徴に分析を加えている(13)。ストラ
ウスは、紛争に関するデータを分析したうえで、その様態が明らかに変化していると言う。
なかでも、ルワンダでのジェノサイドに代表される、1990 年代により顕著にみられた大量
殺戮を特徴とする政治暴力の発生が減少傾向にあることと、これまで研究上十分に分析対
象となってこなかった他の形式の政治暴力が顕在化しているという点を主張している。敷
衍しておこう。例えば、第 1 図はストラウスがウプサラ大学の紛争データとオスロの国際平
和研究所(PRIO)のデータをもとに作成したものであり、1990 年代前半から半ばにかけて
の時期に比べて 2000 年以降はおおむね半減していることを示すものとなっている。その一
方で、紛争形態の変容という観点からは、選挙関連の暴力の増大(14)と、土地や水をめぐる
きわめてローカルなレベルでの紛争が多発する傾向がみられることを挙げている(15)。
さらにストラウスは、その議論のなかで、特に長期化している紛争において特徴的な反
乱勢力を、
「カウンター・システム」的な反乱勢力として提示している。例として挙げられ
ている勢力は、はじめに挙げたアルジェリアの事件の背景にある勢力でもあるアルジェリ
ア南部、マリ北部での活動が知られている「イスラーム・マグレブのアル・カーイダ」
(AQIM)
、あるいは、ソマリアのイスラーム主義勢力シャバーブ(Al-Shabaab)、ウガンダ北
部を中心に活動する「神の抵抗軍」
(LRA)などである。これらの勢力のリーダーが目指し
ているのは、既存のシステムとしての民主主義を基盤とした「ゲームのルール」に対抗し、
第 1 図 サハラ以南アフリカにおける紛争形態の変容(1960―2008年)
20
18
16
国家間戦争
内戦
国際化内戦
14
12
紛
争 10
件
数
8
6
4
2
0
1960 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000 02 04 06 08(年)
(出所)
Scott Straus, “Wars Do End! Challenging Patterns of Political Violence in Sub-Saharan Africa,” African Affairs, Vol.
111, No. 443, 2012.
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アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
これを根本的に変革することである。つまり、これらの勢力が目指す政治環境は、国際的
に求められる民主主義的な状況ではないために、選挙を通じて自らの主張を通すことはで
きないという共通項をもっていることが特徴となっているのである。こうした反乱勢力が
活動している地域は、1990 年代以降はアフリカにおいては紛争が減少する傾向がみられて
いるにもかかわらず、紛争の継続しているコンゴ民主共和国東部、スーダン、ソマリア、
マリやニジェールの北部の「サヘル・アフリカ」であり、こうした反乱勢力の特徴が紛争
の長期化にも影響を及ぼしていると考えられる。
また、この「カウンター・システム」的な反乱勢力は、その活動空間(国家の周縁部)や
少数の戦闘員から構成されるという組織的特徴、さらには越境型のネットワークといった
諸点においてレノの分類における限定的反乱勢力と類似している面を有しているものの、
一定のイデオロギー性をも胚胎していることから、レノが今後注意喚起の必要を示唆して
いた類型の勢力とみることが可能である。同じ論文のなかで、ストラウスは、移動型反乱
勢力(mobile insurgent groups)という表現も用いているが(16)、越境を繰り返しながら、複数の
国の治安部隊と交戦したり、民間人への攻撃や誘拐を行なう活動を特徴としている。越境
という観点からは、AQIM はアルジェリア、マリ、ニジェール、モーリタニアのサヘル地域
を移動するほか、シャバーブもソマリアに限らず、ウガンダやケニアでも爆弾テロを行な
っている。また、LRA も、もともと拠点としていた北部ウガンダから、南スーダン、コン
ゴ民主共和国、中央アフリカを出入りしながらその活動を継続している。こうした「カウ
ンター・システム」的な反乱勢力は、その活動が比較的小規模であると同時に、強いイデ
オロギーを有するために、その活動を完全に封じ込めたり、交渉による問題解決が困難な
傾向になるわけである。そのため、1990 年代に生起したような大規模な紛争は起こりにく
い状況にはなったとはいえ、こうした小規模で、局所的な暴力と犯罪性を帯びた紛争は、
今後も継続的に発生する可能性が排除できない。こうした紛争と紛争主体の変質に、果た
して国家建設といった対応がどの程度有効となりうるのかを含め、新たな政策対応を模索
しなければならない段階に入っているとも考えられる。
3 国家建設へのオルタナティブ―ハイブリッド・ガバナンスの可能性?
(1) 国家建設への批判的な視座
M ・ウェーバー的な国家像、すなわち暴力の独占により暴力を抑止する国家、あるいは
西洋の自由民主主義のもとで運営される国家像への回帰を、アフリカにおける紛争解決の
前提として想定する「国家収斂」説(“state convergence” thesis)と呼ぶ視座への批判が、近年
展開されている。例えば地理学者 T ・ハグマンと社会人類学者 M ・ V ・ヘーネによる議論は
その一例である(17)。ハグマンらは、国家建設の目標とされる国民(主権)国家像を「超えた」
新たな政治的権威の実現の可能性を模索する議論を展開している。この論点は、言い換え
れば、ガバナンスが弱く、十分な秩序を実現できていない国家を「脆弱国家」として位置
づけ、対処の必要な問題としてよりも、アフリカの国家における機会、あるいは国家のひ
とつの変容過程として、より積極的にアフリカの紛争状況を捉えようとする視座である。
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アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
そして、それぞれの状況に即した新たな政体(代替的/暫定的行政、あるいはその制度)が形
成されつつあることを肯定的に捉えようとする視座とみることもできる。これは、近代ヨ
ーロッパにおける国家形成を組織犯罪として論じた C ・ティリーの議論(18)を援用した考え
方でもあり、すなわち政府が正当な暴力の行使主体となるまでには、暴力行為を行なう他
の主体との間にさほど多くの違いがない歴史過程をたどってきたことを想定したものであ
る。国内的な統治能力を有する制度としての政府は不在でも、秩序を実現するうえで社会
のもつ回復力(resilience)を十分に評価し、そこで生起する現実を積極的に今後のアフリカ
における国家形成のあり方に反映させていく必要性を認める視座、と読み替えることも可
能であろう。
例えば、筆者も、20 年以上中央政府を喪失してきたソマリアの事例を検討するなかで、
(20)
以下の諸点を指摘した(19)。経済活動にかかわる「ビジネスマン」
が、
(輸出入を含む)流通
部門、通信分野、送金、建設、運輸、私的な港湾や空港の管理運営、ホテル経営、商業的
農業、軽工業、食品加工(コカコーラ工場)、国際援助機関との契約(特に食糧援助)などの
分野に広くかかわり、その一部は明らかに通常は政府が担う領域にまで食い込むかたちと
なっていること(21)。従来は、一部の違法な流通(ドラッグや武器)を除けば、陸上における
安全な輸送路、取引が行なわれる安全な市場、紛争や略奪から保護される投資環境、クラ
ン(氏族)横断的な活動環境がビジネス実施のうえで求められたため、1990 年代半ば以降都
市部において次々に出現したイスラーム法廷が治安機能を担うかたちになったこと。特に
2004 年 5 月に首都モガディシオに 5 つ形成されたイスラーム法廷の間では、さまざまなイス
ラーム主義の指導者から構成される法廷協議会(Joint Courts)が設立され、63 名の宗教指導
者、クランの長老、
「ビジネスマン」などからなる諮問委員会(Consultative Group)の監督の
もとで活動を行なうことになり、イスラーム主義の指導者(法廷管理)、クランの長老(全体
「ビジネスマン」
(資金提供)の三者連合のかたちで、政府に代替する秩序提供がなさ
監督)
、
れる形態をとったこと(22)、などである。その意味では、
「無(非)統治の空間」は一定の秩
序を提供する国家以外の主体によって提供されている状況がありうるということでもある。
そして、短期的な時間の枠組みのなかでソマリアにおける一元的な「政府」の樹立という
かたちでの国家建設を行なうことは、紛争にかかわる諸主体にとり決して望まれる方向性
ではない可能性を指摘した(23)。
(2) ハイブリッド・ガバナンスの可能性とその隘路
上記の問題関心を共有しながら、国家建設の対案としてのハイブリッド・ガバナンス
(Hybrid Governance)をめぐる議論が近年注目を集めてきた(24)。そこでの議論は、政策的には
「脆弱国家」として位置付けるような、国家の認識のあり方と対応のあり方に大きな変更を
迫ろうとするものである。つまり、上記のソマリアの事例でも観察されたように、これま
で「脆弱国家」と規定されるような状況を、
「フォーマルな」国家(あるいは政府)のみなら
ず「インフォーマルな」伝統的秩序やその他の勢力をも組み入れて秩序を実現しようとす
るきわめて競合的な状況として認識し、そこでは国家は安全、秩序、厚生を提供する主体
として決して特権的な位置にはないことを確認する。そのうえで、それぞれの社会におい
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アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
て一定の権威、正当性、能力を備えた「インフォーマルな」組織や制度との間で分担し、
国家の統治領域にかかわる政治秩序をウェーバー的な国家のあり方とは異なるかたちで実
現しようとする発想であると考えられる。そして、こうしたハイブリッドな環境のなかか
ら、新たな国家が出現するという捉え方をしており、対象地域の状況を考慮した慎重な政
策対応のもとで、新たな国家の出現やその形成を支援できるという見方が示されている(25)。
社会人類学者のK ・ミーガーは、こうしたハイブリッド・ガバナンスをめぐる議論に関し
て、最近の論文のなかでアフリカにおける問題を整理し、その課題を提起している(26)。ミー
ガーが同論文で検討しようとしている国家以外(non-state)の治安の提供者として想定され
るのは、武装した勢力である。そこでは、ハイブリッド・ガバナンスのあり方がより効率
的であり望ましいとしても、それが「誰」にとって望ましいのかという重要な問いかけが
なされる(27)。ミーガーは、正当性とパワーという 2 つの観点から、コンゴ民主共和国東部の
民兵組織の一つであるコンゴ民主連合・解放運動(RCD-ML)とナイジェリア東部で活動す
る自警団組織バカシ・ボーイズ(Bakassi Boys)を比較検討している。
結論だけを取り上げれば、RCD-MLについては、さまざまな資源を背景とした規制上の権
(28)
威(regulatory authority)
としてのパワーを有してはいるものの、その活動領域の住民にとっ
ての正当性(local/popular legitimacy)を実現していないという評価がなされる。他方、バカ
シ・ボーイズに関しては、活動領域における正当性は一定程度実現したものの、警察権力
をめぐる政治ゲームに翻弄されるかたちで、十分なパワーを獲得できるには至らなかった
という対照的な評価がなされる。いずれの事例でも、ハイブリッド・ガバナンスの担い手
として期待される国家以外の武装勢力が、正当性、あるいはパワーの欠如の結果として十
分な治安を提供することには成功していないことが示される(29)。この議論は、前述のティリ
ーが検討した近代初期と、現代アフリカがおかれている国家形成の条件が大きく異なって
いることに(30)、あらためて注意喚起する意味合いを有しており、アフリカにおける紛争が
果たして今後のアフリカにおける国家形成につながるものであるかという疑問を呈してい
る。
こうした分析を踏まえて、ミーガーは次の留意点を示している。ハイブリッド・ガバナ
ンスを提起する研究者は、現代的な国家建設、あるいは国家形成の文脈における「インフ
ォーマルな」制度の重要性を主張してきた。しかし、RCD-ML とバカシ・ボーイズの 2 つの
事例分析が示すのは、治安等を提供する新たな「インフォーマルな」制度が「誰」の利益
のために機能するのかは、
「インフォーマルな」制度や、国家以外の勢力がその活動に対す
る国家からの「フォーマルな」承認を獲得するメカニズムと、その過程で生起するパワー
と説明責任のあり方によって決定付けられるという点である(31)。その意味では、ハイブリッ
ド・ガバナンスにかかわる「インフォーマルな」制度や組織によってでも、社会的に正当
性を有した制度を実現できる可能性がある一方で、別の文脈では政治的に利用され、政治
秩序の実現をむしろ妨げる危険性を孕むことに 2 つの事例は警鐘を鳴らしていると言うこと
ができる。
実際、国家と国家以外の勢力の(ハイブリッドな)提携が、より効果的で社会的な正当性
国際問題 No. 621(2013 年 5 月)● 24
アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
を有した秩序実現につながらず、国家の統治機構のなかに暴力的で正当性をもたない勢力
を埋め込む結果をもたらした事例も指摘されている(32)。そのために、ミーガーは「脆弱国家」
という文脈において、
「インフォーマル」な制度に政府が担うべき統治の一部を「外注」す
ることの妥当性について、あらためて検討する必要性を指摘している。さらに、ハイブリ
ッド・ガバナンスという統治の類型自体が、そもそも「弱い国家」として特徴付けられて
きたアフリカの国家においては、ごく一般的に観察され、アフリカ研究者に「痛ましいほ
(distressingly familiar)統治のモデルを、別のかたちで示したにすぎない
どよく知られてきた」
のではないかというコメントもつけられている(33)。
こうした点を踏まえれば、
「規制上の権威」とも従来から考えられ、秩序の実現にかかわ
り、治安という公共財を提供する可能性のある国家以外のさまざまな勢力をどのように政
策的に取り扱うかには、必ずしも明確な答えがないことになる。そして、治安を提供する
国家以外の勢力が、近年の研究のなかで、限定的反乱勢力や、あるいは「カウンター・シ
ステム」的勢力とも呼びうる紛争主体であるのか否かの分析・評価も含め、こうした勢力
の性格と従来からさまざまな問題を抱えているアフリカにおける国家との関係性を十分に
見極めながら対応を図る必要性が、今後より高まるということになろう。
むすびにかえて
本稿では、冷戦後の紛争からその性格を変化させつつある近年のアフリカにおける紛争
の様態と紛争主体への認識変化とともに、これまでの政策対応のあり方を検討しながら、
紛争からの脱却の可能性と課題を検討してきた。このなかで、外部関与型で高コストの
「あるべき国家」をつくる国家建設から、その対案として外部コストの削減の可能性も含ん
だハイブリッド・ガバナンスの可能性を模索する動きが出てきていることを指摘した。こ
うした動きは、理念型としてのウェーバー型の国家からティリー型の国家形成モデルへの
政策上の転換という面を有しているものの、現代アフリカの文脈においては、紛争という
かたちで生起している現象をティリー型の国家形成モデルのもとで捉えるには、必ずしも
十分な妥当性をもちえない可能性をも示唆した。
したがって、アフリカにおける紛争は趨勢的にはその数を減らしてきたものの、依然と
して地域的な偏りや、紛争主体や紛争の性格の変容を含みながら、特に小規模の紛争が継
続しており、残念ながらその収束に十分な道が付いているとは考えにくいのが現状である。
ストラウスも、本稿で取り上げた論文のなかで、選挙関連の暴力や土地や水をめぐるきわ
めてローカルなレベルでの紛争が増大する傾向は示しながら、なぜこうした紛争形態が増
加傾向にあるのかについては引き続き今後の研究課題であるとしており、その原因ととも
に、今後の政策対応にはさらなる検討の余地を残していると指摘する(34)。なお、本稿では、
十分に検討する紙幅はなかったが、国連 PKO やアフリカにおける安全保障枠組みの構築
(African Security Architecture)を目指すアフリカ連合(African Union)を中心とした地域機構の
役割をも加味しながら(35)、個別の紛争へのより有効な対応の可能性についての検討も引き続
き求められることにもなろう。
国際問題 No. 621(2013 年 5 月)● 25
アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
( 1 ) 近年の「サヘル・アフリカ」の不安定化の概要については、以下の特集を参照のこと。
「特集
不安定化する『サヘル・アフリカ』
」
『アジ研ワールド・トレンド』2012年10 月号(第 205号)
。
( 2 ) 武内進一「アフリカの紛争―その今日的特質について」、武内進一編『現代アフリカの紛争
―歴史と主体』
、日本貿易振興会アジア経済研究所、2000年、3―52ページ。
( 3 ) 武内進一、前掲論文、6 ページ。
( 4 ) 武内進一『現代アフリカの紛争と国家―ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイ
ド』
、明石書店、2009年。
( 5 ) 武内「アフリカの紛争」
、26ページ。
( 6 ) 武内進一「アフリカの紛争と国際社会」
、武内進一編『戦争と平和の間―紛争勃発後のアフリ
カと国際社会』
、日本貿易振興機構アジア経済研究所、2008年、3―56ページ。
( 7 ) 武内「アフリカの紛争と国際社会」
、4 ページ。
、有斐閣、
( 8 ) 稲田十一「
『脆弱国家』という課題」
、稲田十一編『開発と平和―脆弱国家支援論』
2009年、1―18ページ。
( 9 ) Roland Paris and Timothy D. Sisk, eds., The Dilemmas of Statebuilding: Confronting the Contradiction of
Postwar Peace Operations, London: Routledge, 2008; Anna K. Jarstad and Timothy D. Sisk, eds., From War to
Democracy: Dilemmas of Peacebuilding, Cambridge: Cambridge University Press, 2008.
(10) 佐藤章「紛争と国家の研究に向けて」
、佐藤章編『紛争と国家形成―アフリカ・中東からの視
角』
、日本貿易振興機構アジア経済研究所、2012年、11―12 ページ。
(11) William Reno, Warfare in Independent Africa, Cambridge: Cambridge University Press, 2011. なお、次の論
文集でも 1990 年代までのアフリカにおける武装勢力の整理が行なわれている。Christopher S.
Clapham, ed., African Guerrillas, Bloomington: Indiana University Press, 1998.
(12) Reno, op. cit., pp. 242–255.
(13) Scott Straus, “Wars Do End! Challenging Patterns of Political Violence in Sub-Saharan Africa,” African
Affairs, Vol. 111, No. 443, 2012, pp. 179–201.
(14) 例えば関連する出版物として、Khabele Matlosa, Gilbert M. Khadiagala and Victor Shale, eds., When
Elephants Fight: Preventing and Resolving Election-Related Conflicts in Africa, Johannesburg: Electoral Institute
for Sustainable Democracy in Africa, 2010; Doriana A. Bekoe, ed., Voting in Fear: Electoral Violence in SubSaharan Africa, Washington, D.C.: United States Institute of Peace, 2012.
(15) アフリカの遊牧社会における牛の強奪をめぐる紛争も研究対象となってきている。例えば、A.
Mulugeta and T. Hagmann, “Governing Violence in the Pastoralist Space: Karrayu and State Notions of Cattle
Raiding in the Ethiopian Awash Valley,” Afrika Focus, Vol. 21, No. 2, 2008, pp. 71–87. 邦文でもこの領域の
(昭和堂、
問題に関しては、佐川徹『暴力と歓待の民族誌―東アフリカ牧畜社会の戦争と平和』
2011年)が充実した検討を加えている。
(16) Straus, op. cit., p. 190.
(17) Tobias Hagmann and Markus V. Hoehne, “Failures of the State Failure Debate: Evidence From the Somali
Territories,” Journal of International Development, Vol. 21, No. 1(2009)
, pp. 42–57.
(18) Charles Tilly, “War Making and State Making as Organized Crime,” in P. Evans, D. Reuschemeyer, and T.
Skocpol, eds., Bringing the State Back In, Cambridge: Cambridge University Press, 1985, pp. 169–186.
、佐藤章編、前
(19) 遠藤貢「機能する『崩壊国家』と国家形成の問題系―ソマリアを事例として」
掲書、173―209ページ。
(20) ここでの「ビジネスマン」は、レノの分類における軍閥反乱勢力(warlord rebels)に類した性格
を有する勢力と考えられる。
(21) Ken Menkhaus, “Local Security Systems in Somali East Africa,” in Louise Andersen, Bjørn Møller and Finn
Stepputat, eds., Fragile States and Insecure People?: Violence, Security, and Statehood in the Twenty-First
国際問題 No. 621(2013 年 5 月)● 26
アフリカにおける武力紛争からの脱却への課題
Century, New York: Palgrave Macmillan, 2007, pp. 67–98.
(22) Andre Le Sage, Stateless Justice in Somalia: Formal and Informal Rule of Law Initiatives, Geneva: Centre for
Humanitarian Dialogue, 2005.
(23) 遠藤、前掲論文、201 ページ。
(24) 例えば、Volker Boege, Anne Brown, Kevin Clements, and Anna Nolan, “On Hybrid Political Orders and
Emerging States: State Formation in the Context of ‘Fragility,’” Berghof Handbook Dialogue, No. 8, Berlin:
Berghof Reserch Center, 2008(http://www.berghof-handbook.net/documents/publications/dialogue8_
failingstates_complete.pdf?LANG=eid=269)
. こうした一連の議論において用いられる他の概念として、
「政府なき統治」
(governance without government)
、あるいは「仲介国家」
(mediated states)などがあ
る。
(25) Ibid., p. 10.また、イギリス国際開発庁(DFID)は、こうしたハイブリッド・ガバナンスの可能性
にかかわる研究に助成をしている(http://www.dfid.gov.uk/r4d/Project/60873/Default.aspx)
。
(26) Kate Meagher, “The Strength of Weak States? Non-State Security Forces and Hybrid Governance in Africa,”
Development and Change, Vol. 43, No. 5(2012)
, pp. 1073–1101.
(27) Ibid., p. 1080.
(28) この概念は、政府機能が後退するなかで、実質的に「管轄地」を統治する能力を有する勢力を指
す概念として、以下の論文で用いられたものである。Janet Roitman, “New sovereigns? Regulatory
authority in the Chad Basin,” in T. M. Callaghy, et al., eds., Intervention and Transnationalism in Africa: GlobalLocal Networks of Power, Cambridge: Cambridge University Press, 2001, pp. 240–264.
(29) 実は、秩序や治安を実現するという課題をめぐっては、ここで問題化されている国家以外の勢力
の正当性とパワーの問題は、国家そのものの正当性とパワーの問題とも密接に関連している。国
家建設における国家レベルの正当性とパワー、あるいは能力に関する論考として、以下を参照。
武内進一「紛争影響国における国家建設:『能力の罠』と『正当性の罠』」『国際問題』第 616 号
(2012年 11月)
、19―31 ページ。
(30) 国境が固定化されている点、グローバル化の進展、行政能力の崩壊、外部への財政依存、強制さ
れた地方分権などの条件が加わっているために、近代初頭におけるヨーロッパでの国家形成とは
異なる文脈にあることを考慮する必要性が指摘されてきた。この問題に関する優れた論考として、
Anna Leander, “Wars and the Un-Making of States: Taking Tilly Seriously in the Contemporary World,” in S.
Guzzini and D. Jung, eds., Copenhagen Peace Research: Conceptual Innovation and Contemporary Security
Analysis, London: Routledge, 2004, pp. 69–80.
(31) Meagher, op. cit., p. 1096.
(32) Ibid., p. 1097.
(33) Ibid.
(34) Straus, op. cit., p. 201.
(35) Hany Besada, ed., Crafting an African Secirity Architecture: Addressing Regional Peace and Conflict in the
21st Century, Farnham: Ashgate, 2010; Ulf Engel and João Gomes Porto, eds., Africa’s New Peace and Security
Architecture: Promoting Norms, Institutionalizing Solutions, Ashgate, 2010.
えんどう・みつぎ 東京大学教授
[email protected]
国際問題 No. 621(2013 年 5 月)● 27
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