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アメリカ合衆国におけるコンピュータ・プログラムの著作

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アメリカ合衆国におけるコンピュータ・プログラムの著作
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争1『
アメリカ合衆国におけるコンピュータ・プログラムの
著作物性について
’’1
︲I
TheCopyrightabilityofComputerprogramsintheU.S.A.
東泰正*
*
YasumasaHigashi
はじめに
は、国際社会に及ぼす影響も大きいものと思われ
コンピュータ・ソフト産業は、近年、急速な発
る^5)プラグマティズム(実用主義)を要請する社
展を遂げており、さらに、今後の重要な産業とな
会的背景から又、その透明性に優れている点から
ることが予想される。l)
も、アメリカ法へのアプローチは有効的で意味が
グラムの法的性格の重要性が増している。我国に
あると考える。6)さらに、学会としての取り組みも
活発であり7)、グローバル化する情報ネットワーク
おいてもコンピュータ・プログラムは、著作物の
の現実に対応する学説の展開に貢献している。
従って、知的財産としてのコンピュータ・プロ
一種として著作権法上の保護を受けている。2)しか
しながら、コンピュータ・プログラムは、著作権
アメリカにおける知的財産権は、特許権(patent)、
著作権(copyright)、トレード.シークレット
(tradeseciE0"によって保護されている。本稿では、
科学技術の発展に伴って出現した対象物であるた
これらの知的財産権のカテゴリーのうちの著作権
め3)、従来の法理の一貫性と現実に対する妥当性と
によるコンピュータ・プログラムの著作物性と保
のギャップにいかに整合性をもたせるかに苦慮し
護範囲について米国著作権法と判例に論拠を求め
ているのが実情と思われる。4)
ながらその法的性格について論考を試みたい。
11
法が本来想定していた保護対象の枠組みを越えて、
I
コンピュータ・プログラムの法的性格について
は、特許法、商標法による保護、不正競争防止法、
Aコンピュータ・プログラムに関するア
不法行為法、プログラム使用契約に対する独禁法
メリカ著作権法の条文
11
の関連などの論点があり、未だ法理は、構築の途
I
財産価値に関する学説、判例の研究事例は、豊富
定の改正が行われ9)、101条に「コンピュータ.プ
に、アメリカ合衆国に求めることができる。知的
ログラムとは、ある決まった結果をもたらすため
財産権を含めて、経済法がその国の経済政策の一
に、コンピュータに直接又は間接に使用される一
環をなすものであり、法適合性のスタンダードを
連の指示.命令のことである10)」と定義が末尾に
設定することは、経済状況の流動化に応じて、そ
追加された。
の制定、運用もそれに伴って変化していくもので
同時に、著作物としてのコンピュータ・プログ
ある。アメリカ合衆国のこの分野に関する法体系
ラムの排他的権利(exclusiverights)の制限
-101-
0。︲。・8?G・寺60︲■b9口rD78bIDLD
*帝京短期大学非常勤講師
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1980年にコンピュータ・プログラムに関する規
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中にあると思われる。コンピュータ技術・情報の
.‘,.ー,..‐ざ私詮興員シ?...
(limitations)を規定する117条を改正し「コンピュ
基本ソフトであるオペレーティング・システム
ータ・プログラムの複製物の所有者が、そのプロ
(operatingsystem以下OS)は、応用ソフトであ
グラムの他の複製物若しくは、翻案物を作成した
るアプリケーション・プログラム(application
り、作成する権限を与えたりすることは、次の場
program以下OA)を書くための言語であるBA
合は侵害にはならない11)」とし、次の2つの項目
SIc,PASCAL,FORTRAなどのコン
をあげている。
ピュータ言語としてコンピュータ・ハードウェア
二9e6’J,。。■。。
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(1)その新しい複製物若しくは、翻案物が、
本体に組み込まれたり、フロッピー・ディスクに
ある機械に、そのプログラムを利用するについて
よってそのコンピュータを基本的にコントロール
必要不可欠のステップとして作成され、他の方法
する。つまり、OSは、特定コンピュータのハー
では使用できない場合12)
ドウェアに合うように作られたもので、別種のハ
(2)その新しい複製物若しくは、翻案物が、
ードウェアのコンピュータには適用することがで
保存目的のみのものであって、そのプログラムを
きない。このため互換性(compatibility)の問題が
占有することが適法でなくなるに至った時は、す
生じる。
べての保存目的の複製物が破棄される場合'3)
0sの著作物性に関する判例としてApple
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続いて「本規定に従って、作成された複製物は、
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判
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が
その複製物が作成される元となった複製物と共に、
ある。AppleⅡコンピュータのOSプログラムの
そのプログラム全ての権利の、リース・販売その
うちの14個をそのまま無断でコピーし、エース100
他の移転の一部としてのみ、リース・販売その他の
に使用した被告フランクリン社に対して地裁が、
方法で移転することができる。本規定に従って、作
「OSは機械の部分を形成する本質的な要素であり
成された翻案物は、著作権者によってその権限が与
……著作物とは認められない17)」と判示した。こ
えられた場合にのみ移転できる14)」と規定している。
アメリカ著作権法は、これらの規定を設けて、
I
れに対してアツプル社は、控訴した。連邦控訴裁
判所は、OS及びオブジェクト・コード、ROM
■l●■守り●も寸日一
︲.●I︲︲1・細J1..
コンピュータ・プログラムの著作物性に関する一
のプログラムに著作物性があるとして原審を破棄
応の解決をはかったが、著作権法の意図する保護
対象としてのコンピュータ・プログラムの範囲に
し差し戻した。被告は、和解金を原告に支払って
解決した。控訴審の判決理由は、101条のプログラ
ついては、具体的事例としての個々の判例を検討
ムの定義は、OSとAPとの区別をしていないこと
することによって、著作権法の条文をどのように
18)、OSが全く「実用」的なものであることは、
解釈しているかを見ていかなければならないcし
著作物性があるか否かとは無関係であること19)、
かし、コンピュータ・プログラムの法的性格に関
OSであっても、101条のコンピュータに一連の指
する判例は、アメリカにおいてさえ10数年程度の
示.命令を与える(asetofstatementsorinstructions
蓄積であり、判例法と定義づけるほどの法理は今
tobeused……inacomputer)ので、アプリケーショ
日なお形成途中にある。15)
ン.プログラムと同様に著作物である20)、とした。
OSは、オブジェクト・コードやROMに収納
Bコンピュータ・プログラムの著作物性
に関する判例
されていて、人間がそのままでは理解できないか、
非常に困難な形体になっているのでその著作物性
については、議論21)がされているoApple判決で
1.OSの著作物性
は、オブジェクト・コードもソース・コードも共
-102-
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にコンピュータ・プログラムの言語要素(literal
証し、それに応じた保護や制限を考える必要が
elementsofcomputerprogram)として著作物性を肯
ある。
定し、これらのプログラムのコピー行為を違法と
判示している22)同様に、OSソフトを著作物と
2.データベース・システム.(databasesystem)
して判示した事例としてApplecomputer,Inc.V.
の著作物性
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アメリカ合衆国著作権法は、編集著作物
社が「パイナップル(Pineapple)」というコンピュ
(compilation)について次のように定義してい
ータを製造・販売したことに対して、Apple社が
Apple社のOSと類似するOSがパイナップルに
る
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使用されているとして予備的差止請求を提訴した
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事件である。
で、その選択・整理・配列によって(areselected.
タ(data)を収集・編成することによってできた著
ジナリティのある著作物が形成されているもの
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フトの開発、特にOSの開発には、莫大な時間と
workofauthorship)」と規定し、さらに、「"編集著
コストがかかっているため、競合者が先行者のソ
作物”には、集合著作物を含む(Theterm
フトを簡単にしかも低コストでできる電子的デッ
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ド・コピー(exactcopy)により販売できるとなれ
る。そして、「"集合著作物”とは、定期刊行物
ば、先行者が開発に投じたコストの回収は困難と
(periodicalissue)、選集(anthology)、百科事典
なり、社会的不公平であるとしている。又、コン
(encyclopedia)などの著作物(work)であって、そ
ピュータ市場の公正な競争と発展を阻害すること
れ自体が独立している著作物(constitutingseparate
になるプログラムの無制限のコピーは著作権法に
andindependentworkinthemselves)である多数の寄
抵触する26)と判示している27)
△︲△190▽。■。
スクに収納されていても「固定(nxation)」24)して
いる25)と判示し、被告の主張を退け、さらに、ソ
104凸.q
coordinated,orarranged)、全体として著作者のオリ
B■→f争
判決理由は、OSがROMやフロッピー・ディ
与著作物(anumberofcontributions)を一つの集合
上述のように、判例は、OSソフトを著作権法
物に編成したもの(areassembledintoacollective
whole)」と定義し、この編集著作物の保護を103条
認めている。OSがより効率的なものを追究して
で規定してる。29)
コンピュータによる検索が可能なデータベー
一つの型に収束していくであろう。つまり、標準
ス・システムは、今日の日常生活において、銀行
化や互換性の必要から一種の規格の統一化に向か
のオンライン、新聞記事データ、航空券予約シス
うのである。統一化に向かえばより普及度に貢献
テム、在庫管理システムなど不可欠の知的ツー
するが、一方プログラムの表現上の自由度は制約
ルである。データベースに関する判例としては、
的になってくることになる。この点が、従来の文
芸・絵画・音楽などが多様なオリジナリティの追
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判決。30)がある。原告も被告も判例集の法律資料の
求という拡散傾向のものであることと逆の性質を
データベース・サービスを行っているのであるが、
技術というものは持っている。従ってOSの著作
物性については、技術的な自由度の幅と互換性.
標準化・統一化という制約の程度とを具体的に検.
West社は、出版する判例集の巻数やページ数の引
用に標準となる星印をつけて利用者の便をはかっ
た。被告がこの原告の判例の「配列」に対して箸
-103-
I
いく特性をもっている点を考慮すると最終的には
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による著作物として、それぞれの理由付により、
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作権を侵害していると主張して争った事例である。
C・コンピュータ・プログラムの保護範囲
裁判所は、原告の主張を認めデータベースの著作
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に関する判例
物性を認める判決を下した。理由は、「West社の
データベース.システムは、それを作成するのに、
1.Whelan判決一SSO
選択(selection)、配列(arrangement)に多大の能
アメリカ合衆国著作権法は、言語著作物
昏凸■
力と労力が費やされており、他のソースのコピー
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「視聴覚著作物(audiovisualworks)を除く、言
として、情報収集のために多大の時間・能力・コ
語(words)、数字(numbers)又は、その他言語的
ストを費やしたという労力説32)を採用している。
(otherverbal)や数学的記号や印証(numerical
先行者の多大の労力とコストに対して、後発者が、
symbolsorindicia)で表現された(expressed)著作
先行者の産物に、いわゆるただ乗り(freeride)す
物であって、書籍(books)、定期刊行物(〆riodicals)
る不公平に対する経済性を重視する考え方である。
原稿(manuscripts)、レコード(phonorecords)、フイ
労力説に対して、データの取捨選択と分類・配
ルム(film)、テープ(tapes)、ディスク(disks)、カ
列という点に着目して、その創意工夫というオリ
ード(cards)など収録している媒体の性質には関
ジナリティを判断基準とする配列構成説33)がある。
係がない。(regardlessofthenatureofthematerial
この説は、本来、著作権が要件としている「オリ
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」
ジナリティ」を論拠とするものであるが、著作権
コンピュータ・プログラムの保護範囲を問題と
●
●
法が対象とする従来の文芸・音楽・演劇・絵画・
した事件は、プログラムの著作物性を論点とした
図面・彫刻・映画・録音物といったもののオリジ
「第一世代」に対して「第二世代」の事件と呼ばれ
ナリティ(独創性)要件を、データベースの編集
ている。36)第二世代の初めての判決として、Whelan
という、どちらかというとある種の単純作業によ
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判
る生成物にどこまで適用できるのか、という問題
例37)がある。
を残した。
歯科医用ラボラトリーの経営管理プログラムの
データの収集(collection)、編成配列(assembling)
﹃。7。。卜心Ⅱび。︲竺卜4Ⅱ抄■8q0Gも■96■,qQD0。。q8LPC︲や。pDDUQ口0〃︲︲0.0や0︲:’4qJoI1;。△・”◇jbe8。●,
砂◇︲P︲タゲ、。︲からq■設い.’弱0小配恥が叩1,町y02他抑弘叩oかいl409h8;ロ。■叩..Qげい6.”︲9.a0bD■■■■巳■や■■■■■■■■画一■Bpb■、DB・9t■●一t■■■■■■■■■PI■119●里■■■■■■■■■■■■■■▽■■P■■■二F■1F■■”4■■■■■■■■■一■fB0■■■■■■▽■■9,J二日DD09・▲■■U■U■。■■1日もI。◆1P。。14.0面I0UB9D伊968■;。!:00■■■廿口■12,・;︲写。回・
でない以上オリジナリティも満たされている31)」
ソース・コード・プログラムを異なるコンピュー
作業は、データが膨大であればあるほど、その労
タ用のプログラムの作成のための基本として使用
力に対しての理解が容易であるが、その結果生ま
したことに対する著作権侵害訴訟である6被告が
れた産物であるデータベースは、その使用目的が
制作したプログラムの各コードは逐一そのまま類
同じであれば必然的に類似の産物とならざるを得
似している、いわゆる奴隷的コピー(slavishcopy)
ないであろう。後発者は、自らのオリジナリティ
ではないが、原告のプログラムとファイル構造
が稀弱であると懸念する場合は、先行者におとら
(structure)道筋順序(sequence)及び全体の組織
ない労力とコストを費やしたという事実行為をす
(organization)の点において被告の制作したプロ
ることによって先行者からの著作権侵害の訴えに
グラムは類似していると判示し、被告は原告の著
備えなければならないことになる34)又、後発者は
作権を侵害しているとした。
先行者と同程度の「労力」を費やせばよいのか、
このWhelan判決は、著作権の範囲は、プログラ
半分程度でもよいのかという判断基準のあいまい
ムのリテラル(literal)な要素のみをカバーすると
さの問題を残すことになる。
いう被告の主張を否定し、逐語的な(literal)コ
ピーのみならず、さらに踏みこんだ構造・道筋順
-104-
1
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ミ職基“蕊":錨“:..I.:叡一‘.………:ル、……;…』.;、“』:;i………“,:慰撫“&…許
■C,、ロも0
。‘・砂.F,“労.
11
序・組織というノン・リテラル(non-literal)にま
(literal)コピーから逐語的でない(non-literal)な
求めて、ロータス社がロータス1−2−3につい
構造等にも著作権が及ぶという判例の傾向は、そ
て、又、アップル社がマツキントッシュについて
の後、ユーザー・インターフェイスに関するスク
それぞれ訴訟をおこしている。
で保護範囲を拡大することになった。以後の判例
もこの傾向に従っている。39)
2.ユーザー・インターフェイス
Whelan判決によってコンピュータ・プログラム
リーン・ディスプレイ(表示)そのものの著作物
性に及んでいる。
111。Ⅱ9lbR■00﹄r勺・■■■■口6冬
の著作権保護の範囲は、プログラムの逐語的な
インターフェイスに慣れてしまうと他のものには
移りたがらない傾向を持つというユーザーの習性
にある。従ってポピュラーになって多数のユーザ
ーを得ているインターフェイスに著作物性を認め
させることは、競合者に対して非常に有利な立場
に立つことになる。プログラム販売者の立場から
プログラムのユーザー・インターフェイス保護を
Lotus判決43)は、ロータス1−2−3のユーザ
ー・インターフェイスのうちのメニュー.コマン
判例としては、BroderbundSoftware,Inc.V.Union
ド構造については、著作物性を肯定した。44)ロータ
World,Inc、40)判決がある。この事件は、被告
スは、100万部以上売れているのでスクリーン.デ
Union社が、グリーテイング・カードやポスター
ィスプレイの著作物性が、一部とはいえ認められ
のデザインのプログラムのIBM版を作るために
たことの影響は大きい。
章表現及びアイコン・ウインドウズなどの個別的
図画表示やそのイメージ自体に関しては、従来の
いた部分はそのまま使用したというものである。
判決はスクリーン・デイプレイを著作物であると
認め、被告は著作権を侵害したと判示した。
ここで裁判所は、類似性が実質的なものである
かどうかを判定するために、外的テスト(extrinsic
著作権法上の概念に従った言語著作物(literary
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来の基準に沿って判定できる。スクリーン.ディ
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Corp.判決47)がある。このケースにおいて、原告
は、プログラムのマニュアルとコードについては、
連
邦
著
作
権
局
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登
録
を
受理され、メイン・メニューも編集著作物
(compilation)として登録を認められた。メイン.
メニューは、コマンド用語のうちの2文字が大文
字でより明るくディスプレイされるという特徴が
-105-
a。,0口◆6巳・●・890口■9?︲①o0DU①−078,0。0●■9■0■09■6■4gIv?Ifbp“879、■■且﹄■凸8口■■FIG■00■I■、●D・■。!?d■■■▽●▼■■■■’●■■〃・H1Hv■■0■■■■■、ロ9.00■国■Hg。D■0■I0U0Ug■■BDI01▲6。。
ユーザー・インターフェイスに関しては、他に
。。■■■F−4i。△■■■U08..,.56ⅡJ1も。$690Ⅱ9。■DB■D06U4apGIU
スクリーン・ディスプレイそのもの自体の著作
物性については、保護範囲が議論されている。42),
ンターフェイスの問題は、ユーザーがある特定の
0︽■・gBG&口且■■■■■U■■■■。■■日④r
る
。
。■●
準となる。
■“﹄$
程にオリジナリティが認められるか否かが判断基
ディアが類似しているかどうかを判定するテスト
●。↑一Ⅱ日
スプレイのなかで絵画・図形的イメージの収集.
配列及びコマンド・命令の収集・配列については、
その収集・分類・選択・配列という一連の作業過
test)と内的(intrinsictest)を実施している。41)外
的テストとは、専門家による両プログラムの詳細
な解析を行ないその結果を鑑定証拠として、アイ
であり、内的テストは、普通の標準的な人間
(ordinaryreasonablepe応on)に、全体としてのコン
セプトと感覚(totalconceptandfeel)が類似してい
るかどうかを判定させるテストである。この両
テストの実施により類似性があると判定してい
11︲−,︲,.︲
スクリーン・ディスプレイに使用されている文
ていたが、途中で契約を解除して作業を中止し、
改良版を作成した。しかし、途中までコピーして
0口■0。、07
原告Broderbund社から前渡し金を受けてコピーし
.
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↑
ぅ
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農
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4 ■
I
ありユーザーは、この2文字をキーボードするこ
究してその技術を習得できることになる。その結
とによってコマンドを実行できるようになってい
果、広く社会に技術発展をもたらすことになるか
る。判決は、このようなメイン・メニューは、著
作権法上の「表現」に該当するとし、コンピュー
らである。
タ・プログラム用語の縞集物に該当すると判示し、
作物51)とされている。従って、プログラム開発者
被告は著作権を侵害しているとした。48)
には、.著作権が与えられ排他的独占権が認められ
6Q■UOU
’
01
ここで、Whelan判決、Broderbund判決及び
Digital判決の3判例のプログラムとインターフェ
イスの関係について要約すると、Whelan判決は、
原告のプログラムと被告のプログラムとの類似性
を判断する一要素として、スクリーン・ディスプ
1
■4■■己0■■rU■E■■■■■9■、凸■■。o﹃●■▽凸■凸■■■■■■■■■口■■P■p■Hf
g七◇。■︲。◇
レイを扱っている。一方、Broderbund判決は、プ
ログラムとは別にスクリーン・ディスプレイ自体
を著作権の対象としてとらえその著作物性を認め
ている。Digital判決は、スクリーン・ディスプレ
イには著作権は及ばないとしながらもプログラム
とは切りはなして、別の言語による著作物
(literaryworks)としてとらえ、従来の視聴覚著作
物の概念で処理している。
コンピュータ・プログラムは、著作権法上の著
ることになる。そして、プログラムを解析して、
この技術を習得する行為であるREが著作権に抵
触するか否かについての明文の規定はない^52)現行
法上、REに関する規定がない以上、解釈論によ
って可否の問題を、そして許容されるとすればそ
の範囲を解決しなければならない。53)
REに関する判例として、マイクロソフト社対
秀和トレーディング社判決54)がある。この判例は、
OSの著作物性を認める判断をしているが、被告
が行なったその過程におけるREについても扱っ
ている。
マイクロソフト社は、NEC(日本電気)のパ
ソコンPC-8001用のベーシック.インタープリ
ターのプログラムを開発した。被告はそのROM
申69も616〃凸■ザ990二■且U9Ua■■rBBⅡ▼j16.04も6fg■。。
D.リバース・エンジニアリング
から16進数法にオブジェクト.コードを変換しな
おし、さらに逆アセンブルし、ラベルおよびコメ
リバース・エンジニアリング(ReverseEngineering
iレー
1
︲,むざ96■■座り0凸U■??99■969日
で99904。︲FjIfIDlJ言BグーGlq.■卜OIt9Gp0
I
以下RE)とは、既存の完成した他社の工業製品
の技術を分析、調査、研究するという逆の
(reverse)過程をたどることによって、その技術を
習得すること49)で、産業界では一般に行なわれて
いる。リバース・エンジニアリングの問題は、新
しい科学技術的要素の出現を著作権の枠組みでと
らえようとする試みである。
特許法は、最初の技術先行者に一定の手続に従
って特許権という独占権を付与する代償として、
その発明技術を公開することによって社会の技術
進歩の促進をはかっている。特許法は「試験・研
究」のための実施行為は、特許法に抵触しない50)
としている。従って競合者も含めてだれでもが自
由に特許対象となっている技術を調査・解析・研
ントをつけた。これを製本して販売した。裁判所
はこの行為全体を複製権の侵害になると判示した。
つまり、OS、REともに侵害しているとしたわ
けである。被告は逆アセンブル行為とその結果の
ソース・リストを販売するRE行為は、原告のO
Sを研究した成果の公表であり、独立した創作行
為であると主張した。裁判所の判断は、OSの16
進数法への変換は複製行為に相当するのは明白で
あるとし、被告が逆コンパイルしたプログラム.
バージョンも原告のそれと比較して55)複製物であ
ると判示し、被告の独自の創作及びフェア.ユー
スの主張を退けている。
REの多様な解析行為について(1)プログラム
のテスト.ラン、(2)マニュアル調査、(3)テス
ト・プログラムの利用、(4)回線トレースによる
-106f
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;:‘諭礎蝋織1錠ル、";…↓….、.…………鶏ぷ“か‘……“・帆…‘,.、.,…み,:::急』:.…、
‘Uザ凸1勺,、
"‘’9,.1氏・《函準さ、&ず.、ぃ
1
−
通信プロトコルの調査、(5)記憶媒体のダンプ、
(6)プログラムのメモリーダンプ、(7)逆アセン
ブル、逆コンパイル、ソース.コードの調査56)等
為が許容されるとする見解がある。著作権法32条
の「引用」要件である目的の正当性、目的達成の
ための必要な範囲であること、公正慣行に反しな
の行為がある。これらのRE行為によって取得し
いこと、権利者の実質的利益が損なわれないこ
た競合者の技術的アイディアや情報で著作権法上
との4点を基準にしてREを適法とする考えで
保護対象にならない57)ものとして、解法、インタ
ある65)。一方、逆アセンブリー、逆コンピレーシ
ーフェイス情報、通信プロトコルなどは、REと
ョンというRE行為が、互換プログラムの作成等
の商業目的に活用されたり、科学技術研究のため
に行なったのであるがその結果が商業的に利用
されたり転用された場合は、著作権侵害とする
区別してフォワード・プログラミング(forward
programming)として著作権上の制限を受けないと
する考え58)があり妥当と思われる。59)
見解66)があるoREをリバース.アナリシスとフ
E・フェア・ユース
ォワード・プログラミングに分けて前者までは許
容されるが後者は不可とする考え方と共通すると
アメリカ合衆国著作権法107条は、フェア・ユー
ころがある。REに肯定的な見解67)として他に、
ス(fairuse)を規定し、著作権者(copyrightowner) 民法上の「権利の濫用」に該当するからREを著
の独占的権利(exclusiverights)に制限をしている。 作権法違反と主張することは許容されないとする
このフェア・ユースの法理に基づく制限は判断指
見
解
6
8
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が
あ
る
。
針(guideline)とされ著作権侵害訴訟(copyright
infringementaction)における抗弁(defense)とし
て最も多く主張されている。60〉
著作権侵害にならない」61)としている。我が国の
法理の適用は、Synercom判決69)の「プログラムの
改良は、すでに使用可能になっている多くの機能
を他のプログラムから抜き出して、一つのパッケ
ージとすることによって実現される」と判示70)し
REの許容範囲を広く認めようとする傾向が見ら
れる。
著作権法も62)このフェア.ユースの概念を準用63)
アメリカ合衆国著作権法906条は、半導体チップ
して自由利用の規定が設けられている。さらに107 (semiconductorchip)の集積回路の配置(mask
条は、「特定の場合に著作物の使用がフェア・ユー
works)に対する排他的独占権の制限規定を設け、
スとなるか否かは次の要素を考慮すべきである。
(1)使用が商業的かどうか又は、非営利目的の教
育的なものであるかどうかの別を含んだ使用の目
的及び性格、(2)著作物の性質、(3)著作物全体
との関連において、使用された分量及び実質性、
(4)著作物の潜在的マーケットへの影響又は使用
によって及ぼすであろう価値への影響64ノ」を考慮
すべきであると規定している。
このフェア・ユースの要件を参考にして、プロ
グラムの逆アセンブルや逆コンパイル等のRE行
マスクのコンセプトや技術を教育(teaching)、解
析
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評
価
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認
め
ている。71)マスク.ワークについてREが、フェ
ア・ユースとして認められていることからプログ
ラムのREにもフェア・ユースを許容することの
補強的根拠と考えることができる。一方、反対解
釈として、半導体チップのREについてのみ906条
がフェア.ユースを許容している72jということは、
チップ以外のもの、例えばプログラムのRE行為
をフェア・ユースとじて認めない趣旨と解する73)
-107-
1..1
0 夕
107条は、「…批評、解説、ニュース報道、授業
(教室での使用のための多量のコピーを含む)、研
究又は調査を目的とする著作物の公正使用は……
アメリカ合衆国におけるREのフェア・ユース
■凸■
|測鳴一︽・肺測:︲や.。︽!
.、.。←-尾,...もも.p&..・晶号.fら"堂・『。
、。
の範囲を狭くして74)、キヤツチアツプを容易にし
こともできる。
DDG申6
フェア・ユースの法理が多年の判例の積み重ね
ようとするのは当然である。
MichaelLehmann教授は、創造性(creativity)を
ア・ユースが特許法の枠からはずれて、日米とも
に半導体チップのREをフェア・ユースとして立
縦軸に対象物のタイプ(typeofobject)を横軸にと
りリーガル.ハイブリッド(legalhybrids法的混血)
法的に明確にしているように、著作権法自体の中
としての新テクノロジーの位置づけをしている。75)
に特許法69条1項のような規定を設けることによ
コンピュータ・プログラムが著作権法の範囲に
って、チップ以外の新テクノロジーに関しても明
とり込まれてその法的性格について学説判例が櫛
確化することが望ましいと考える。
築されつつある。本来、著作権法の目的とすると
ころは、著作物等に関する権利を「文化的所産の
300?、fqooG.●dc9oJaDb今、B■ワ0。■白日■Hg皇■■■B■■■■■8口■ⅡB■○日■00■口。。■・り
︲︲︲b︲卜中T︲l4Pr,いい9。b■一︲rl︲PILい、︲一園mwu〆矧、肌︼﹃d9Dfq卜f︲.・1“︲4P!Iや︲4,〃.,
ふ.・咽思い.。が。1−返○呼荊。い棚側脱。齢鮒唱峨“厚。必’叩一助洲抱肥隅Ⅲ帖回叩削Ⅱ皿Ⅱ服卿側設卯仙r恥r0別lba.F・・・■I駅■恥。﹂Brl印0;◇→0口いか一慨011酢IIIi・0’D60a1。b鼻1,○0。”、ロロ服■11◇1..。’。.■○gBUD.■I凶11いIIG唾守■●I1−Qg●日日■■■609日100l11j01I■●IlIHb0.01.畳”8:。!・・・cc少・・・11・’4口.△
による産物であることは前述した。チップのフェ
むすび
公正な利用」のため権利の保護を図り、もって
コンピュータ・プログラムという新しいテクノ
「文化の発展に寄与する」こと76)であり、技術保護
ロジーによる産物が新たに出現し、我々の身近な
の法律ではなかった。しかも、著作権法が保護と
ものとして広く、場合によってはグローバルな規
模で、社会生活に不可欠に存在している。今後は、
するのは、「表現」であって「アイディア」ではな
いという前提で法理が構築されている。従ってプ
さらにその重要性と汎用性は、ますます大きくな
ログラムのREが著作権法上抵触するということ
るであろう。コンピュータ・プログラムという新
になるとプログラムのアイディアまでも対象とす
テクノロジー(newtechnologies)が、従来の古典
ることになり、法理の整合性が保てなくなってし
的特許権分野(classicalpatentfield)と古典的著作
権分野(classicalcopyrightfield)にまたがる性格の
まうこととなる。Lehmann教授の図表が示すよう
に特許権と著作権にまたがる状態で新テクノロジ
ものであることから必然的に新たな法解釈や従来
ーが存在する以上両者の接点に関しては、当然問
の法理との整合性が求められる。人のために社会
題が生じ、個々の判例の蓄積と産業界の慣習の形
があり、社会のために法が必要である以上、新テ
クノロジーに関しても、新技術を広く社会のもの
成を待たなければならない。特許権の期間が17年
であるのに対して、著作権では、著作者の生存期
とし共通の技術基盤を確立することにより、さら
間プラス死後50年という長い期間である。この期
なる技術の発展がもたらされ社会の貢献に寄与す
間一つをとっても、法の運用・適用を考慮しなけ
る法理でなければならない。一方、労力、能力、
ればならないであろう。
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コストを費やして開発した先行者の新テクノロジ
本稿では、コンピュータ・プログラムの著作物
ーに独占的排他権(exclusivenght)を認めて技術
性(copyrightability)について、アメリカ合衆国の
を保護することによって経済的にも報われるとい
判例・学説に触れながら考察した。プログラムの
うインテンシブを先行者に約束することも又、公
カテゴリーのうちのいくつかを扱ったにすぎない
平な社会という要請に応えることになる。
が、結論として
どちらの要請に重きを置くかによってコンピュ
(1)個々のコンピュータ.プログラムについ
ータ・プログラムの著作物性の範囲が決まってく
ての特徴・特質を正しく認識した上で、具体的に
ることになる。国家としての政策面においても、
個々の事例について法的保護の範囲を他の知的財
アメリカ合衆国のような先行者は保護を強めよう
産権法全体を視野に入れて検討すること。
と保守主義の傾向を持ち、一方、後発国は、保護
-108-
(2)アメリカ法の最新動向をキャッチ.アシ
.口
ーー。F●つ
●
・・I,“・ィ・も'ず争帖d八・、,◆も.やa、4,.,.夢4..4も
なった。
5)アメリカ合衆国のソフトウェアが世界市場に
ル作りのイニシアチブを発揮すること。
占める割合は、70%に及ぶとCommissionofthe
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円滑化という公益のために、可能なかぎり著作権
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上の排他的権利を制限し、見かえりとして、著作
権者には、適切なロイヤリティ請求権を認める立
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法化を企てること。
(4)社会的公平性が阻害されるような事態に
対しては、独占禁止法を弾力的に運用すること。
を政策提言としたい。
述べている。
6)この点、我が国における判例は、十分な先例
が少ないのが実情である。著作権法にもとづく
コンピュータ.プログラムの保護に関する判例
としては、1985年7月成立の改正著作権法の下
の「マイクロソフト社対秀和トレーディング社
終りに、ご教導いただいた本学の生活科学科情
報コース主任教授池ノ上直隆先生に深謝致します。
事件(東京地裁昭和62年)の判決が最初のもの
である。
改正以前の判例としては、ビデオゲーム・プ
〔
註
〕
ログラムに関するものがほとんどであり、次の
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事例がある。
Apr.12,1993,P.24は、1992年の世界市場にお
a)スペース・インベーダPARTⅡ判例(東
けるPersonalComputerの売上げは、570億ドル
京地裁1982年)は、オブジェクト.プログラム
以上と推定している。又、KathyRebello,
をROMへコピーすることは、元になっている
SpindlefsAppleBus,Wk.,0ct3,1994,P、88−89
ソース・プログラムの著作権に抵触する。(判例
によると、1994年第2四半期におけるMicrosoft
時報1060号P、18参照)
社のWindowsのソフト・コンパーチブルの売上
b)パックマン判例(東京地裁1984年)は、
げは、10.5億ドルで、Macintosh社のアプリケー
ビデオゲームは、映画としての著作物性を有し
ている。(判例時報1129号P.120参照)
c)デイグダク判例(東京地裁1985年)は、
ピデオケームの画像は、プログラムと同様に著
ションは、2億7600万ドルとなっている。
2)昭和60年の改正著作権法第2条10の2、及び
第10条
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作物性を有する。(判例タイムス561号P.169
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9
4
参照)
ColumbiaLawReview2308,2336(1994)で、
d)ドラゴンクエストⅡ判例(東京地裁1987
年)は、ビデオゲームの視覚表示は、著作権の
「ソフトウェアは、著作権法で法的に保護するに
は、あまりにも科学技術的(technical)である」
と述べている。
保護対象となるから、その複製出版物は、著作
権に抵触する。(判例時報1222号P、134)
4)立法政策面においても、文部省所管の著作権
法による保護か、「プログラム権法(案)」を新
規立法して通産省所管にするかの議論があった
が、昭和60年著作権法の一部改正によることと
他に、ビデオゲーム以外で、著作権上の類似
物性が争点となった初めての事例であるプログ
ラム仮処分判決(東京地裁1986年)は、著作権
法10条3項の「解法」に相当するとした上で、
-109-
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(3)プログラムの互換性、標準化、規格化、
■、■F■0■■■■日日一■■■Ⅱ01■GD9P勺90▲q▽■■●0■Bg0凸850■■■upBrr0■■■r0■■00ワ6画。■巳■0■ロー■■■■■90凸U0■■U1−p:C0U0■■■Ⅱ▼、凸。6−0BFI0rや,!■FD■91△■■■■■一。’006■I0r口01Ⅱ09.凸■■Ⅱ卜91
プすることにより、国際的調和を図り、コンピュ
ータ先進国としての我が国の立場を認識してルー
o4.号■,凸
b 申 P ■ ● q ■ ケ
:ふ蕊塞錘蕊塞基懇卜逢畿却.,…….‐、.、……・…
1111
p90B宮口q︲■申凸■■OdpF●一■けり凸君DJ・■
&I!いい.恐い70卜伊跳い1厘?お仁■ぜ●●﹃賃争いI︲’0F余・。。
「処理の流れ」は保護されない旨判示している。
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7)1994年4月22日23日に開催されたColumbia
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University,SchoolofLawにおけるシンポジウム
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usedinnoothermanner,or
将来にわたる知的財産権法のトレンドを示唆し
13)(2)thatsuchnewcopyoradaptationisfor
ている。同シンポジウムの内容は、Columbia
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LawReviewVol.94,No.8,P.P.2307∼2677に
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8)1936年の不法行為法(TortRestatement)によ
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る定義では、トレードシークレット(tradesecret)
provisionsofthissectionmaybeleased,sold,or
とは、「秘密性を保有している情報で、それを知
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らない競業者(competitor)に対して、優越した
suchcopieswerepi℃pared,onlyaspartofthelease.
地位を保つことができる情報」としている。又、
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1979年のドレード・シークレット法では、「活用
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すると経済的な価値を生み出すことができる情
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報で、他者には、一般的には知られていない情
15)コンピュータ・プログラムに関するアメリカ
報」と定義している。つまり、同業者に対する
合衆国の法令・判例を研究したものは多数にの
企業ノウハウや機密はこれに該当する。トレー
ぼる。例えば、ロバート・ゴーマン、シャンC
ド・シークレットによる法的保護の概念は、不
ギンズバーグ「米国著作権法詳解(1990年版)
法行為法(tort)から派生したものであり、特許
上下、信山社、ソフトウェア等の権利保護に関
権や著作権と比べると知的財産権としての認知
する調査研究委員会「米国判例におけるソフト
は比較的弱いとされている。
ウェアの保護の動向(1991年)ソフトウェア情
9)アメリカ政府は、CONTU(National
報センター、フランクHフォスター、ロバート
CommissiononNewTechnologicalUsesof
Lシュック共著、安形雄三訳「入門アメリカ知
CopyrightedWorks',著作権のある著作物の新技
的財産権」(1991年)日本評論社、DSカジー
術による使用に関する国家委員会)を設置し、
ラ、椙山敬士共著「(日本アメリカ)コンピュ
譲会に最終報告書を1978年に提出、1980年にコ
ータ著作権法」(1989年)日本評論社他多数
ンピュータ・プログラムの著作権について、101
がある。
条に追加が、117条に改正がなされた。
16)714F、2d.1241,1253,3rdCir・1983
10)"Acomputerprogram"isasetofstatementsor
尚
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V.FranklinintheDevelopmentofCompatible
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17)Ibidat545
acomputerprogramtomakeorauthorizethe
18)Ibidat1252
makingofanothercopyoradaptationofthat
19)Ibidatl251-52
computerprogramprovided;
20)Ibidat1251
。'
|!
-110-
●b‐。,0.0,..8.-‘'v2.討手一,0...,.-・ざ・・・・..。‘ベ‘・
十 己 し
|
21)オブジェクト・コード(objectcode)の著作物
性を否定している見解としてStern教授の
32)労力説をとる判例として、電話帳(yellowpage)
を争った事例としてLeonV.Pacific1℃lephone&
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T℃legraphCo.,91F.2d,484,9thCir・1937、
Didthel980ActDoAnythingfbrObjectCode?”3
広告付電話帳について
Computer/L.J.P.11980がある。一方、肯定す
NorthwesternBellTelCo.,V・BedcoofMinn.,Inc.
る見解として"CopyrightProtectionofComputer
501F.Supp.299D.Minn.1980,
ProgramObjectCode"96Harv.L.Rev・1723.1983
会社情報紙に関してNationalBusinessLists,Inc.
がある。
V.Dun&BradstreetInc.552F・Supp.89,N.D、
22)Ibidat1240
111.1982などがある。
23)725F.2d521(9th.Cir・1984)この判例に
33)配列構成説をとる判例として、新聞索引に関
ついては、土井輝生「コンピュータ・プログラ
する事例としてNewYorkTimesCo.,V・Roxbury
ム判例研究(X)jAIPP128巻8号(1983年)
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がある。
競馬新聞に関してTrianglePublicationsInc.,V.
24)アメリカは、1988年にベルヌ条約加盟のため
の法律改正(BerneConventionImplementationAct
SportsEye,Inc.415F・Supp.682E.D.Pa.1976が
ある。
of1988)を行ない、1989年に同条約に加盟した。
34)後発者は、先行者の著作権侵害訴訟の反証と
(ベルヌ条約は、「固定」の有無に関係なく著作物
して「クリーン・ルーム(cleanroom)方式」又
性を扱っているが、アメリカ著作権法102条(a)
は「アイソレーション・ブース(isolationbooth)
は、「著作物が有形の表現媒体(anytangible
方式」という手段がとられることになり、技術
mediumofexpi℃ssion)に固定される(fixedin)
的必要性によるのではなく、独自に労力とコス
こと」が著作権の成立要件としている。従って、
トを費やして、開発努力をしたことを立証する
固定されていない著作物は、アメリカでは著作
ためだけの異常な手段を強いることになる。
権法によっては保護されないことになる。(但し
35)U.S.C.A.101
commonlaw上の保護の可能性はある。)
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37)609F.Supp.1307E.D.Pa・1985.797F,2d.
26)Ibidat783
1222,3rd,Cir.1986
27)OSソフトに関してOSの著作物性を肯定す
る判例として他に、HubcoDataProductsCorp.V.
38)頭文字からSSOと称される
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ManagementAssistanceInc.,219U.S.P.Q.450(D.
Electronics,Inc・.8USPQ2d1520.1524S.D.
Ida.1983)がある。
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28)U.S.C.A.§101尚、我が国の著作権法は、
CoT>..12USPQ2d1991,1993,N.D.ai.1987;
2条1項10号の3でデータベースの定義をし、
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12条の2で著作物として規定している。
Inc.,886F.2d.1173,11759thCir.1989ILotus
29)U.S、C,A・§103
DevelopmentCorp.V.PaperbackSoftware
30)799F、2d1219(8thCiv.1986)
International,740F.Supp.37,54D.Mass.1990
31)Ibid1219
などがある。
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-Ill-
.ず..i・...、.、......ャ1噸い”?『郡、、f呼号.厚,承?了マ寺一、・・------,--,.--‐−……亨...』ざ男・今.._.
_ β h
毎もり.pmDO妙Hg巴一日Ⅱザヴ0076倍v8
1ワゥ◆◆■q・cq1991g■。▽DT0C
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40)231U・S.P.Q・(BNA)700(N、D・Col.1986)
の「引用」を許容している点を論拠に、(1)目
41)Ibidat1136
的の正当性、(2)目的達成に必要な範囲に限定、
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(3)公正な慣行に合致すること、(4)著作権者
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の著作権法上得られる実質的利益が損なわれな
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いこと、の4点をREへの準用基準として肯定
FreeAccesstotheUlilitarian”l4Columbia−VLA
している。
J.L&Aits283.(1990);根岸前掲P、17−18
叶芳和・高石義一「先端産業の知的所有権」
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P,93−109東洋経済新報社平成2年におい
InternationalU.S.Dis.Mass.CivilAction,No.87
て、プログラムのREは必然的に複製を伴うか
−0076−K;740F・Supp、37,Dis・Mass,
ら、それを商業目的、つまり、経済利益を得る
1990;根岸前掲P.18
目的で転用する場合は、技術研究のために行な
44)Ibidat67−68
われたとしてもプログラム著作権の侵害となる
45)U.S、C、A.101
としている。
46)Ibid
54)東京地裁1987年1月30日判決、判例時報1219
47)2USPQ2d1385,N.D.Ga1987
号P、48EdwardG.Dumey氏による本判決の
48)根岸前掲P、236
英訳"CopyingthatIsNotExactCopyingand
49)阿部浩二・北川善太郎・斉藤博「リバース・
CopyrightinOperatingSystemsSoftware"、17
●
O
エンジニアリングに関するベルリン・シンポジ
Patents&Licensing(1bkyo)No.5,at11,Oct
ウムーリバース・エンジニアリングの法的枠組
1987がある。
み法的モデルの提唱」AIPP,1990年、Vol.
55)例えば、アドレス0004についてJPL003Bは
35、No.3P、16以下において、コンピュー
jpwamchk;checkcold
タ・プログラムそのものの解析行為までを「リ
STARTORWARMSTARTと記
バース・アナリシス(ReverseAnalysis)」と称し、
されているが、これは3B番地にジャンプする
このアナリシス(分析)の結果を別のプログラ
ことをWAMCHKのラベルのところへジャン
ム開発に応用する作業過程、フォワード・プロ
プすることを意味し、英語の略語をラベル化し
グラミング(ForwardPrograming)と区分して議
それを英文で説明しているのであって、両者は
論している。
内容として同じであることを指摘している。
50)特許法69条1項は、「特許権の効力は、試験又
56)根岸前掲P、124−25、山路克郎「リバ
は研究のためにする特許発明の実施には、及ば
ース・エンジニアリングに関するベルリン・シ
ない」としている。
ンポジウム(I)−リバース・エンジニアリン
51)著作権法2条1項10号の2,同法10条1項9号
グに関する技術面からの考察」AIPP.1989
52)しかしながら、著作権法47条の2は、REを
Vol.34No.11p、19参照
許容している趣旨に推定することができる。
57)保護範囲を決定する原理として、「アイディア」
53)三木茂「リバーヌ・エンジニアリングに関す
と「表現」の二分法(idea-expressiondichotomy)
るベルリン・シンポジウムⅡ一リバース・エン
がある。「著作権法によって保護されるのはアイ
ジニアリング」AIPPI(1990)Vol.35,No.
ディアの表現であって、アイディアそのもので
l,P、24−26において、著作権法32条が著作物
はない」とする考え方である。
-112-
.。.『
申
58)根岸前掲p.135
67)植松宏嘉「プログラム著作権Q&A」
59)学説としてREが許されないとするW.Patry.
P、192−3金融財政事情研究会平成元年
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-401の見解がある。
中山前掲P、127−32
68)根岸前掲p.131
60)フェア・ユースの法理(principle)は、長年の
69)SynercomTechnology,Inc.V.University
裁判所の判決の積み重ねによって確立され1976
ComputingCo.,462F.Supp・1003N.D.Tex.
年の著作権法で成文化された。
1978
61)U、S.C.A.107Limitationonexclusive
70)Ibid他に論文として、ComputerSoftware
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T℃chnology(1898)P、8−11参照
71)我が国においても「半導体集積回路の配置に
62)著作権法第33∼47条にわたって、教科書への
関する法律」の12条2項においてREを明記し、
掲載、学校教育放送、教育機関における複製、
用いられている技術を解析して、その技術を抽
試験問題としての複製、点字による複製、非営
出することが認められている。
利目的での上演・演奏(聴衆・観衆から鑑賞料
をとらない場合)は、公正使用としている。
72)条文の見出しにおいても107条は、"Limitation
onexclusiverights:Fairuse"とし、906条は、
63)中山前掲p.131
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64)“…Indeterminingwhethertheusemade
firstsale"の表現をしている。
ofaworkinanyparticularcaseisafairusethe
factorstobeconsideredshallinclude
73)W・Patry,"TheFairUsePrivilegein
CopyrightLaw”at339−402において、906条
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(3)theamountandsubstantialityofthe
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65)三木前掲P、24−26
スとして限定的に認められるとしている。
74)OSソフトのように開発が進んで最も効率的
な究極のソフトに収敵した時点では、自由に使
用できるパブリック・ドメイン(publicdomain
権利消滅状態)と解して、必ずしも著作権の保
護期間を待つ必要はないと考える。
75)MichaelLahmann"TRIPs.theBerne
Convention,andLegalHybrids"ColumbiaL.Rev.
Vol94.No.8.26331994
66)叶芳和高石義一「先端産業の知的所有権」
P,93−109東洋経済社しかし、純粋科学研究
のためや、バグ(bug.欠陥)発見のために行
なう場合は適法としている。
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76)著作権法1条
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(7)JulianVelasco,"TheCopyrightability
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ofNonliteralElementsofComputerPrograms
【主要引用文献】
Colun.L.R.Vol94.No.1.242.1994
(1)根岸哲「コンピュータ知的財産権」東京布
(8)MarkI.Koffsky"PatentPreemptionof
井出版、1993年
ComputerSoftwareContractsRestrictingReverse
Engineering;TheLastStand?”Colum.L・R8
コンピュータ・著作権法」日本評論社1989年
Vol.95.No.51160,1995
(3)デイピツド.A・ワインステイン山本隆
司訳「アメリカ著作権法」商事法務研究会
【参考文献】
平成2年
(1)「著作権の基礎知識コンピュータ.プログ
ラム」金井重彦ぎようせい平成4年
(4)村上政博「アメリカ経済法」弘文堂平成
(2)「プログラマーのための最新著作権法入門」
5年
藤原宏高.平出晋一技術評論社平成3年
(5)PamelaSamuelson,RandallDavis,
(3)ソフトウェア等の権利保護に関する調査研
ConcerningtheLegalProtectionofComputer
究会「米国におけるソフトウエア保護の動向
Programs"Symposium;TowardaThird
主要8判例の検討」ソフトウェア情報センター
IntellectualPropertyParadigm,ColumbiaL.Rev.
平成3年
Vol.94No.8,23081994
同「米国判例におけるソフトウェアの保護の
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(2)D.S・カージヤラ、椙山敬士「日本アメリカ
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動向」平成3年
(6)J.H.Reichman"LegalHybridsBetween
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(4)日経産業新聞「コンピュータウオーズ」
日本経済新聞社昭和62年
Vol.94,No,8,2432,1994
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