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気候変動に対応して我々が目指すべき変化

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気候変動に対応して我々が目指すべき変化
気候変動に対応して我々が目指すべき変化
東アジア・大洋州地域
「世界開発報告2010:開発と気候変動」が指摘する
主要政策提言
力を合わせ、今すぐ、行動に変化を
© 2009 国際復興開発銀行 / 世界銀行
1818 H Street NW
Washington DC 20433
電話:202-473-1000
ウェブサイト:www.worldbank.org
電子メール:[email protected]
本小冊子は国際復興開発銀行 / 世界銀行の職員が製作したものであり、その内容は「世界開発報告 2010:開発と気候変動」および世界銀行の東アジア・大洋州地
域担当職員による資料に基づく。ここに記された所見、解釈、結論は、必ずしも世界銀行理事会や各理事が代表する政府の見解を反映するものではない。
謝辞
本小冊子は、
「世界開発報告 2010:開発と気候変動」担当局長である Marianne Fay と Rosina Bierbaum の監督、ならびに世界銀行東アジア・大洋州地域の持
続可能な開発部門、社会・環境・農村開発のセクター・マネージャーである Magda Lovei の監修の下、世界銀行開発経済担当副総裁室の Flore de Preneuf と
Florian Kitt が編集を、Roula Yazigi がデザインとレイアウトを担当した。
写真
© Chau Doan
(表紙)
、
© Flore de Preneuf / 世界銀行
(家族)
、
© Flore de Preneuf / 世界銀行
(3人の少女)
、
© Chau Doan(堰と橋)
、
© Pham Thuan Thu
(冠
水した道路)
、
© David Llorico Llorito / 世界銀行
(風力タービン)
、
© iStockphoto / Zhang Bo
(霧に煙る建物)
、
© Dang Than Lan(嵐の海)
、
© Evelyn Ng
(キリ
バスの空中写真)
、
© Thien Giao
(植林)
、
© Guo Hua
(太陽電池の原理の説明)
。
行動が求められる理由
気候変動はすべての国にとっての脅威ですが、アジアからアフリカ、ラ
テンアメリカに至るあらゆる地域において、気候変動という危機の影
響 を 最 も大 きく受 けるの は途 上 国 で す。「世 界 開 発 報 告( W D R)
2010:開発と気候変動」は、気候変動がもたらす損害の75~80%は、
こうした国々が被ることになるとの見通しを示しています。
経済成長だけでは、気候変動の脅威に迅速かつバランスよく対処する
ことはできません。ましてそれが、引き続き炭素集約型で地球温暖化に
拍車をかける形で行われるのなら尚更です。気候政策の立案は、経済
成長か気候変動かのどちらかを選ぶという選択であってはなりません。
気候変動に迅速かつ適切に対応する政策とは、開発を促進し、脆弱性
を和らげ、低炭素型成長への転換に資金を提供するものなのです。
私たちの現在の行動が将来の気候を決定づけ、
次世代の選択肢を限定してしまうのです。
本小冊子は、東アジア・大洋州地域において進められている温室効果
る発電所や新しい都市コミュニティ、貯水池は、この先何十年も稼
ガス排出源の削減
(緩和)、気象変化への適応
(適応)、差し迫った地球規
動し続けるのです。
模の問題に対処するための資金・技術協力の推進に向けた政策提言と
取り組みを取り上げています。
ƒƒ 気候変動は、大半の途上国において農業生産量の低下を招きます。
これらの国では人口増加が続いていますが、現在開発中の新技術や、
気候変動に強い品種の作物が、将来のエネルギー源や食糧源の確
「世界開発報告 2010」は、コストが膨らみ、人々が無用な苦しみを味
保につながる可能性があるのです。
わう前に、東アジア・大洋州地域をはじめとする全世界が、力を合わせ
今すぐ行動に変化を起こさなければならないと呼びかけています。
今すぐ行動を
力を合わせ行動を
先進国は、自国の炭素排出量を削減すると共に、気候変動
への適応と地球温暖化進行の抑制に向けて途上国の出資
気候変動に対処すべく技術と資金を確保するために、世界
を支援するなど、主導的役割を果たさなければなりません。
に残された時間はほんのわずかです。私たちの現在の行
動が将来の気候を決定づけ、次世代の選択肢を限定してしまうのです。
ƒƒ 先進国が大胆な排出削減目標を掲げることにより、環境汚染を解
消して、途上国に暮らす数百万人のエネルギー需要に応じられる
2
ƒƒ 実行可能な最善策と考えられる「産業革命前の気温プラス 2 度未
可能性があります。
「世界開発報告」は、米国で SUV 車 4000 万台
満の維持」には、エネルギー効率の高い実用的な低炭素技術の速や
を低燃費の乗用車に置き換えれば、現在電力の供給を受けていな
かな普及と新技術への巨額の投資を伴う、世界的なエネルギー革
い途上国住民 16 億人に電力を供給した場合の炭素排出量をほぼ
命が必要です。一度排出された温室効果ガスは、数十年または数百
相殺できると指摘しています。
年にわたって大気中に残留し、熱を滞留させ、極めて長い期間にわ
ƒƒ 先進国が確固たる行動をとることで、拡大可能な環境保全技術の
たり気候パターンに影響を及ぼします。現在私たちが建設してい
革新と需要が刺激されると同時に、十分な規模と安定性を備えた
炭素市場誕生が促進されるでしょう。途上国は新技術を導入する
ことにより、低炭素化型の成長軌道に沿い、同時にエネルギー・
将来に向けた計画
サービスのアクセスを拡大することができるでしょう。
ƒƒ 社会福祉プログラムを通じて最も脆弱な人々を保護し、国際的な
リスクシェア計画を策定し、知識・技術・情報の交換を促進するた
めに、国の内外の支援が決定的に重要です。
行動に変化を
政策担当者は過去の気候を基に対応を考えるのではなく、
将来の気候変動の様々な可能性を考慮しながら、多面的
な革新を促していかなければなりません。
ƒƒ 数十年後には世界のエネルギー・システムが一新され、全世界の
炭素排出量が 50 ~ 80%削減されていなければなりません。また
ベトナムではすでに、海面上昇や洪水、灌漑水路の変更といった問題への対応が、写
真の堰などのインフラ建設費用に組み込まれています。
インフラは、極端な気候の変化に耐え得るものでなくてはなりま
国際的な調査である「気候変動への適応に関する経済学」の中
せん。さらに、農業生産性と水管理は、すでに脅かされている生態
間結果によると、2010 年から 2050 年までに途上国の気候変
系にさらなる脅威を与えることなく、新たに 30 億人を養える水
動適応に要する費用は、現在の開発援助額とほぼ同規模の年間
準に引き上げられていなければなりません。
約 750 億~ 1000 億ドルに達する見込みです。最も高いのは
ƒƒ 長期的かつ大規模な総合管理と柔軟な計画のみが、生物多様性を
保護し陸域炭素貯蔵量を維持しつつ、天然資源への需要増大に応
東アジア・大洋州地域で、ラテンアメリカ・カリブ海地域とサブサハラ・
アフリカがこれに続いています。
えることができるのです。
ƒƒ 気候変動への適応は、気温、降雨量、生物種のパターン変化に関す
る新しい情報に基づいて行わなければなりません。
「気候変動への適応に関する経済学」は、複数年にわたって複
数の国を対象に実施される調査で、その目的は、途上国の意思
ƒƒ 気候変動への適応と緩和に向けられている現在の資金規模は、
決定者が気候変動のもたらすリスクをよりよく理解・評価する
2030 年までの年間必要額の 5%未満にすぎません。不足分を確
ことによって、経済の不透明性や競争ニーズ、限られた資源と
保するには、大きな努力が必要になるでしょう。
いった問題に対処しながらも、費用の算出、優先順位の決定
ƒƒ 最重要課題は、変化の下に結束し、気候変動に迅速かつ適切に対応
をより効果的に進め、適応戦略を自国の開発計画と予算に組み
する経済成長を実現する機会をつかむよう、人々や組織の理解を
込めるようにすることです。この調査はオランダ、スイス、英
得ることです。
国の各政府の資金を受けて行われ、特に貧困層の脆弱性につい
て理解することに重点を置き、ベトナムやサモアなど7か国に
ついて、掘り下げた評価を行っています。詳細はhttp://www.
worldbank.org/eacc.をご覧ください。
3
気候変動:経済成長と生活への脅威
約 20 億人が暮らす東アジア・大洋州地域は、長い間貧困と戦ってきま
した。1 日 1.25 ドル未満で暮らす人々の割合は 1990 年から 2005
年までの間に 70%減少しました。その大部分は中国で達成されたも
ので、中国では目覚しい経済成長によって 4 億 7500 万人が貧困から
脱却しました。
しかし、こうした発展は環境破壊という高い代償の下に達成されまし
た。東アジア・大洋州地域では、エネルギー消費量と二酸化炭素排出量
が同時期(1990~ 2005年)に倍増しました。同地域の 1人当たり平
均炭素排出量は依然として少ないものの、エネルギー消費量の多い中
国と土地利用変化や森林伐採が進むインドネシアは、今や温室効果ガ
ス排出量が世界でも最大レベルにあります。
2008年、台風がハノイ市内の道路を川に変えてしまいました。翌年、
フィリピンでは壊滅
的な洪水が起こりました。
東アジア・大洋州地域の最重要課題は、経済成長策と温室効果ガス排
出削減策のバランスをとることにより、危険性の低い軌道に乗ること
大洋州地域全体の森林伐採は、中国の大規模な森林再生事業により部
です。
分的に相殺されています。
「世界開発報告 2010」は、同地域で実施されている大胆な気候変動
対策の例を紹介しています。変化の機は熟しているのです。
脆弱な沿岸住民。 この地域の半数以上の国は太平洋の島嶼国です。
多くの人が海岸沿いの土地や低海抜の島に住んでおり、たとえば中国
次のような深刻な気候変動要因と脆弱性を抱える東アジア・ では1億3000万人以上、ベトナムでは約4000万人、太平洋島嶼国で
大洋州地域では、気候変動問題への革新的な取り組みが優先課
は約200万人がこうした土地で暮らしています。海面上昇にデルタ地
題です。
帯の地盤沈下が加わって、この地域全体の沿岸部が脅かされています。
エネルギー需要の増大。 経済成長の進行に伴い、エネルギー需要は増
水の利用可能性、 洪水、 疾病。 気候変動によって、 中国西部では
大し続けると見られます。東アジア・大洋州地域では、大半の国々がエ
2 億 7000 万人の水利用可能性が脅かされると予想されています。今
ネルギー、運輸、都市システム、農業生産の分野で大幅な拡大を必要と
後、極端な気候事象(洪水や干ばつ)が増えると考えられており、自
しています。現在の高炭素技術型成長を続ければ、温室効果ガスの排
然環境が危険にさらされると見られています。
出を増やし、さらなる気候変動を招くことになります。
過去 20 年間、中国では短期的な熱波の発生頻度が高まり、フィリピンで
土地利用変化と森林伐採。 この地域における最大の温室効果ガス排
は地すべりや洪水を引き起こす豪雨が増え、太平洋諸島ではより激しい
出原因は土地利用変化(34%)で、電気などの動力、工業、農業がそれ
サイクロンの襲来や海面上昇の問題が深刻化しました(IFRC、2006
に続きます。インドネシアでは、二酸化炭素排出規模は不明確で毎年
年)。すでに政策担当者は、天候関連の緊急事態への対処に多くの開発
変動する傾向があるものの、伐採、森林火災、泥炭地破壊が排出原因の
予算を充てることを余儀なくされています。気温上昇は、病害虫や疾病
80%以上を占めると考えられています(WRI、2007 年)。東アジア・ の分布範囲にも変化をもたらすでしょう。
4
人口増加、都市化、そして急激な工業化による環境劣化により土地・水・ 物純生産量は 2100 年までに、最も控えめな気候変動予測でも 4 ~
森林資源への圧力が強まるにつれ、これらの資源は変動・極端化しや
10%以上、一部の主要穀倉地帯では最高 40%減少すると予測されて
すくなり、管理が難しくなるだろうと見られています。たとえば、メコ
います(気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、2007 年)。
ン川流域では雨季の降雨量が極端に増える一方で、乾季が 2 か月以上
長くなる可能性があります(Snidvonds など、2003 年)。
東南アジア沖では、サンゴ礁の十分な管理に約 130 億ドルの費用が
かかっています。すでに工業汚染や沿岸開発、過剰漁獲、農薬・栄養塩
経済的影響。 最も危機的なセクターの 1 つである農業は、この地域の
類の流出により脅威にさらされているサンゴ礁は、海水温上昇によっ
GDP の約 13%を占め、中には農業が GDP の 3 分の 1 を占めている国
てサンゴ白化を起こしやすくなっています。沿岸地域、漁業、海洋資源
もあります。この地域では、人口の約 60%が農村地域で暮らし、土地の
は著しく脆弱化しており、食糧と生計の確保に重大な影響を与えてい
約 50%が農地として使われていますが、深刻な干ばつ、洪水、土地劣化
ます。
による生産性の低下が予想されています。今後数十年間に、アジアでは
気候変動によって穀物生産量が大幅に減少すると考えられています。穀
危機的状況にある東アジア・大洋州地域
気候関連の脅威(特に洪水と暴風雨)に対して世界で最も脆弱とされる12 か国のうちの多くが、東アジア・大洋州地域に位置します(下表のハイライト
表示)。この地域ではすでに環境破壊により数多くの犠牲者が出ており、被害を食い止めるための投資・政策措置を早急に講じなければ、犠牲者はさら
に増えるでしょう。
干ばつ
洪水
暴風雨
海面上昇
マラウイ
バングラデシュ
フィリピン
すべての低海抜島嶼国
エチオピア
中国
バングラデシュ
ベトナム
ジンバブエ
インド
マダガスカル
エジプト
インド
カンボジア
ベトナム
チュニジア
モザンビーク
モザンビーク
モルドバ
インドネシア
ニジェール
ラオス
モンゴル
モーリタニア
モーリタニア
パキスタン
ハイチ
中国
エリトリア
スリランカ
サモア
メキシコ
スーダン
タイ
トンガ
ミャンマー
チャド
ベトナム
中国
バングラデシュ
ケニア
ベナン
ホンジュラス
セネガル
イラン
ルワンダ
フィジー
リビア
注:分類は絶対的効果(例:影響を受ける人の総数)と相対的効果(例:影響を受ける数のGDP比)の両方に基づく。
出典:世界銀行、持続可能な開発ネットワーク、環境局、2008年。
5
気候変動に迅速かつ適切に対応する成長の推進
今後数年にわたる個人・企業によるエネルギー需要増大に対処しなが
ら、エネルギー安全保障の強化、経済成長の持続、そして温室効果ガ
スの削減に取り組むことは、東アジア・大洋州地域の政策担当者にとっ
て難しい課題です。近年、主に中国の重工業によるエネルギー消費量
が急増していますが、多くの国が開発と環境の両面で有効な措置を講
じています。
エネルギー効率改善策は、エネルギー供給側(石炭・石油・ガスの燃焼
や、発電、電力送配電など)と需要側(建物や運送・製造業でのエネル
ギー利用)の両方で、エネルギー節約について最大の可能性がありま
す。排出削減源として次に大きなものは、低排出やゼロ排出の発電源
(特に再生可能エネルギー)に由来するものとなる可能性があります。
再生可能エネルギーへの投資を国際的な排出権取引で支援すれば、温室効果ガス排出の
削減の一助となるでしょう。
しかし、まだ高度な研究や技術移転を必要とする炭素回収・貯留など
の新技術がなければ、世界を持続可能な低炭素軌道に乗せることはで
再生可能エネルギーへの投資
きないでしょう。
ƒƒ フィリピンでは、ノースウインド社がイロコスノルテ州で運営する
東アジア・大洋州地域では、多くの国がクリーンエネルギー利
33メガワットの風力発電所が、同州のエネルギー需要の半分をカ
用への道を歩み始めています。
バーしています。プロトタイプ炭素基金を通じた世界銀行の支援に
より、ノースウインド社は炭素クレジット販売で得た資金でさらなる
エネルギー強度の低下
発電が可能となりました。フィリピンでは、大規模なグリッド接続太
陽光発電設備も利用されています。
ƒƒ 2005 ~ 2010 年にエネルギー強度を 20%低下させるという中
ƒƒ インドネシアでは、成長を妨げずに二酸化炭素排出量を減らす方法
国政府の目標が達成されれば、2010 年までに二酸化炭素排出量
を研究中です。インドネシアはフィリピンと並んで、地熱発電で大き
が年間 15 億トン削減されることになります。これは世界で最も積
な潜在性を秘めています。
極的な排出削減目標であり、欧州連合が京都議定書の下で誓約し
た 3 億トン削減の 5 倍に相当します。
ƒƒ 世界銀行は中国のエネルギー効率化サービス市場の開発を支援し
ており(囲み参照)、主要なエネルギー集約型産業セクターへの一
層の投資に対応できるよう、金融機関のキャパシティ・ビルディング
を図っています。
ƒƒ 輸入エネルギーに大きく依存しているタイは、エネルギーをより安
定的に確保する手段として、再生可能エネルギーに注目しており、
全国の再生可能エネルギー消費量を現在の 1%から2022 年まで
に20%まで増やすことをめざしています。
ƒƒ 中国は、2008 年に約 12 ギガワットだった風力発電量(全世界の風
力発電量は約 120 ギガワット)を、2020 年までに30 ギガワット
に増やすという目標を掲げています。しかし、経済が成長し、重工業
の発展や家庭での消費量増加がエネルギー利用に拍車をかける
中、化石燃料に代わるエネルギーを見つけることが大きな課題です。
6
森林保護
気候変動に迅速かつ適切に対応する都市の建設
ƒƒ インドネシアには 1 億ヘクタール近い熱帯林(世界第 3 位の規模) ƒƒ 今後 20 年間に、東アジア地域では他地域より急速に都市部が拡大
がありますが、これらの森林では急速に伐採が進んでいます。
すると予想されています。そのため、エネルギーや資源の大量かつ
インドネシア政府は「森林減少・劣化に起因する温室効果ガスの
不適切な使用を助長するような成長を防ぐため、都市計画者には迅
排出抑制(REDD)」の市場潜在力の開発に積極的に取り組んで
速な行動が求められています。世界銀行が最近始めた「Eco² 都市~
います。
エコロジカルで経済的な都市」は、経済と環境保護の両面において
ƒƒ インドネシア森林気候連合の概算によれば、REDD 市場が成果を
上げた場合、インドネシアは炭素クレジットで年間 5 億~ 20 億
有効な都市の開発戦略策定に向けた各国の取り組みを支援してい
ます。
ドルの収入を得られる可能性があります。同国では、西部のアチェ
ƒƒ 中国の 2015 年の建築物ストックの半分は過去 15 年間に建てら
州から東部のパプア州まで、進行段階は異なりますが、20 以上の
れたものになると見られ、建築物エネルギー効率基準が引き上げ
実証プロジェクトが実施されています。これらのプロジェクトは
られる可能性があります。これらの建築物のエネルギー効率を高
合 計 で、500 万 ~ 2200 万 ヘ ク タ ー ル の 森 林 を 保 護 し、年 間
めれば、建築費用は 10%増えるものの、エネルギー費を 50%
6000 万トン以上の二酸化炭素排出を防ぐと見られています。こ
以上抑制することができます。
の数字はスウェーデン、ニュージーランド、またはイスラエルの
年間温室効果ガス排出量にほぼ匹敵します。
ƒƒ 中国北部にある人口 300 万の都市、日照では、太陽光エネルギー
を活用する超高層ビルが建てられ、99%の世帯が太陽熱ヒーター
ƒƒ このように広大な森林を保護することは、生物多様性・流域保護
を利用しています。日照市には合計 50 万平方メートル以上の太
陽熱温水パネルが設置されており、そのおかげでエネルギー使用
などの環境改善事業にも相乗効果を及ぼします。
量は 3 分の 1 近く減り、二酸化炭素排出量は半減しました。
中国のエネルギー効率化への投資
など)への投資は、コストを節約しながら二酸化炭素排出を減らす
機会をもたらします。しかしこうした投資は、不確定な将来に対し
て前払金が求められるため、資産ベースのエネルギー供給取引より
高リスクと判断されます。
中国では、世界銀行の支援による融資保証と過去10年間にわたる
キャパシティ・ビルディングに支えられたエネルギー・サービス企
業(ESCO)が数年前から活動しており、企業の大幅なエネルギー
節約の実現に貢献しています。ESCOの市場は1997年の3社から
400社を超えるまでに拡大し、2007年のエネルギー契約額は10
億ドルに達しました。投資によって2007年に達成されたエネルギー
中国における新規建築は、
エネルギー効率基準を引き上げる機会をもたらします。
節約量は、標準石炭換算で合計約5300万トンに達し、結果的に約
3800万トンの二酸化炭素排出が削減されました。
エネルギー効率化対策(建築物の断熱・暖房方法の改善、あるいは
エネルギー集約型産業で使われるモーターやボイラーの効率性向上
7
気候変動に対する脆弱性の軽減
今 後 気 候 変 動 が も た ら す リ ス ク に つ い て は ま だ 不 確 実 で す が、
気候の変動や極端な事象の増加による影響は、東アジア・大洋州全域で
すでに現れています。異なるシナリオへの対応策を今とることで、大災
害の犠牲を最小限に抑え、気候変動により強いコミュニティを作るこ
とができます。
現行のリスク管理対策の中には、使用する種子の多様化や、暑さ・干
ばつに強い品種の利用促進といった単純なものもあるかもしれません。
対応策の多くは、いかなる気候シナリオにも有効なものでしょう。その
ための資金は、新たに設けられる特別適応融資を通じて、また、すでに
実行されている開発向けの融資に気候変動適応を取り込むことによっ
て調達することができます。
極端な気候事象に対処するための準備は不可欠です。
東アジア・大洋州地域の各国は、自国民や開発への取り組みを気候変
灌漑事業の管理責任を農業従事者のグループに移転し、地表水灌漑の
動の影響から保護するため適応策への投資を始めています。
費用回収を改善し、現代的な水監視技術を導入することにより、農民
の暮らしを向上させながら水消費量を減らすことができます。中国華
極端な気候事象への備え。 バンコクやマニラ、ホーチミン市などの沿
北平原の海河流域の事例は、こうした進歩の好例といえます。しかし、
岸都市は、今後ますます極端な気候事象の影響を受けやすくなるで
農業投資をより弾力的なものにするためには、追加的な措置をとる必
しょう。海面上昇や地盤沈下など、その影響は非常に深刻なものになる
要があります。
「 灌漑農業における適応の主流化」プロジェクト
(地球環
可能性があります。南・東南アジアの河川のピーク時における流量は
境ファシリティ特別気候変動基金から 500 万ドルを拠出)は、将来の
気候変動によって増大すると予想されており、下流の都市部を守るた
気候変動による華北平原への影響を組み込もうとしています。現在、華
めには上流で大規模な対策をとる必要があります。現地の自治体は、リ
北平原では中国の小麦生産量の半分が生産されていますが、将来、こ
スク軽減策やリスク対応計画を推進しています。
の地域では河川流量と地下水涵養量が減少する一方で、気温上昇によ
り灌漑用水の需要が増えると予想されています。
リスクを完全に排除することは不可能です。このため、極端な事象に対
処するための備えは欠かせません。警報システムや対応計画を整備す
情報への投資。 気候変動は膨大な不確実性をもたらすため、意思決
ることで、人命を守り、回避可能な損害を防ぐことができます。また、こ
定者は
「将来は予測可能」という世界観を改めて、将来の幅広い可能性
うした備えや緊急通信にコミュニティを参加させることで、コミュニ
を考慮した戦略を検討する必要があります。安全第一の策を
(多くの場
ティ住民の暮らしを守ることができます。
合、低コストで)とること、転換可能で融通の利く選択肢を選ぶこと、広
範囲に影響を及ぼす可能性のある変化に備えること、そして投資を定
気候変動リスク管理を開発計画に統合。 気候変動と人口増加が農業に
期的に見直す
(および是正する)ことが、不可欠な管理慣行となりつつ
ストレスを加えている中で、有効な水管理は主要資源の保護に役立ちます。 あります。
8
世界銀行が行うバンコク首都圏気候変動研究のような調査は、洪水がも
らに広い意味では、壊滅的な気候影響と災害後の基本的サービスの復
たらす影響のシナリオを評価検討し政策提言をまとめるのに役立ちます。
旧とのための資金調達計画を、政府が策定する必要があります。
リスクの共有。 リスク管理では、責任の階層化が必要になります。モン
代替策の検討。 海岸防護壁、河川堤防、河川流量を調節するダムなど
ゴルでは、周期的に多数の家畜を失うことになる厳冬期から春にかけて
の「ハード」面の適応策は、そのすべてが生物多様性に脅威となります。
の雪害(ゾド)によって生じる経済的リスクを、牧畜業者、政府、保険会
気候変動適応目標は、物理的・技術的な介入によってではなく、生態系
社が管理する仕組みが作られました。この仕組みでは、事業経営や家
を有効に管理することで達成できる場合がよくあります。たとえば沿
族の生活に影響を及ぼさない程度の小規模な損害に対しては、牧畜業
岸の生態系は、暴風雨襲来時に緩衝地帯として防護壁より有効になり
者自身が責任を負います。損害の規模がそれより大きい場合は、モンゴ
得る上、社会的利益ももたらします。ベトナムでは、メコンデルタ河口
ルの保険会社が提供する営利の牧畜保険でカバーされます。牧畜業者
域のマングローブ再生林が、暴風雨襲来時に海岸線を保護する役割を
も保険会社も等しく大損害を受けるほど壊滅的な家畜の大量死が発生
果たしているほか、生物多様性の向上、漁獲量の増大、炭素隔離にも役
した場合は、政府を通じた社会保険プログラムが損害を補填します。さ
立っています。
キリバスの気候変動適応
す。市 街 地 の あ るタラワ島 の 幅 は平 均 4 5 0 メ ー ト ル し か な い た
め、海面上昇に応じて市街地を後退させることは困難です。世
界銀行が2000年に行った研究の結果、いくつかの環礁は
2050年までにほとんど消滅しかねないことがわかりました。
そのため、キリバス政府は世界銀行や地球環境ファシリティ
(GEF)、オーストラリア、ニュージーランド、日本、欧州連合、ア
ジア開発銀行など複数のドナーから支援を受けながら、この問題に
取り組むための適応プログラムに着手しました。
「キリバス適応プログラム」の第1段階では、国民意識を高めると共
キリバスの国土の大部分は海抜3メートル未満です。
に、政府、コミュニティのレベルで適応政策を支援しました。また現
キリバ ス 共 和 国 は 世 界 で 最 も 隔 絶 さ れ た 国 の1つ で あり、太 平
在実施中の第2段階では、政府の気候リスク評価能力を向上させ、気
洋 の 中 央 部 に 数 千 キ ロ メ ート ル に わ た って 広 が る 3 3 の 環 礁
候リスクに対する認識と対応を国の経済・運営計画に組み込み、海岸
が そ の 国 土 で す。ほ と ん ど の 環 礁 は 低 海 抜 な 上 、繰 り 返しや っ
の回復や水・地下水資源の持続可能性向上をめざす費用効果の高い適
てくる 暴 風 雨 の 襲 来 と干 ば つ の 被 害 を 受 け や す い 状 況 にありま
応策(マングローブ植林など)を試行しています。
9
気候変動対策に必要な資金調達の拡大
今アジア・大洋州地域の国々は、成長を維持し貧困を削減する一方
とに重点が置かれるようになっています。世界銀行の新しい炭素パート
で、二酸化炭素排出を抑制し、避けられない気候変動の影響に対処し、 ナーシップ基金は、こうした重点の移行を支援することを目的としてい
新技術を導入するために必要な資金を、どうすれば十分に調達でき
ます。たとえばインドネシアのエネルギー・鉱物資源省は、新興の地
るでしょうか。
熱エネルギー・セクターの存続可能性を高めることによって同国の持
続可能エネルギー開発目標を達成するため、カーボンファイナンスの
緩和と適応には、毎年世界中で巨額の投資が必要となります。先進国は、 統合を図っています。またベトナムでは、政府が、民間開発業者が多
世界の気温を適正範囲内に収めるための有効なメカニズムを率先して
数の小規模水力発電所に対して商業貸付・投資を行うプログラムを運
作り上げなければなりません。途上国は、これまで気候変動対策にほと
営するにあたり、炭素パートナーシップ基金が支援を提供しています。
んど資金を拠出してきませんでしたが、これらの国の貢献拡大は将来
の低炭素開発に不可欠です。気候変動に迅速かつ適切に対応する開発
は、現地レベルでの環境汚染抑制という恩恵をもたらします。
しかし、現在の気候変動対策資金の水準は、予測可能なニーズをはる
かに下回っています
(下図参照)
。気候変動対策資金の不足額をさらに
膨らむ不足額 : 気温上昇を 2 度にとどめるのに必
要な気候変動対策コストの年間増分コスト見積額
と現在の資金との比較
実質(2005 年基準)、単位:10 億ドル
200
深刻にしているのは、資金の確保・分配が極めて非効率的な方法で行
われていることです。
「世界開発報告」によれば、炭素の
(課税方式また
緩和:
1390億∼1750億ドル
175
はキャップ・アンド・トレード方式のいずれかを問わず)価格づけは、将
来的に、カーボンファイナンス資金の創出と、緩和コストが最も少なく
150
適応ニーズが最も大きい分野へのカーボンファイナンス資金の投入の
両面において最適な方法です。しかし、近い将来には、カーボン・オフ
セットを目的としたクリーン開発メカニズム
(CDM)などの実績ベース
のメカニズムが、途上国において緩和のための市場ベースの主要な資
金調達手段であり続け、高所得国から直接提供される資金の補填に欠
かせない役割を果たすでしょう。
域内では、気候変動対策資金を調達するための様々なアプローチが試
みられています。
カーボンファイナンスの拡大。 炭素排出削減クレジット取引による投
資を用いて成功裡に終わったプロジェクトは数千に上りますが、これ
らの投資も今のところ大幅な排出削減にはつながっていません。プロ
ジェクト型アプローチの限界を認めざるを得なくなったこと、そして京
都議定書の約束期間が 2012 年末に終了することを受け、最近では
政府による大規模な政策改革と長期的な排出削減可能性を持つ投資
10
125
100
適応:
280億∼1000億ドル
75
50
25
適応と緩和
のための資金
90億ドル
0
2008–2012
2030
出典:
「世界開発報告 2010」概観、p23。
注:緩和・適応対策コストは途上国についてのみ。棒グ
ラフは、気温上昇を 2 度にとどめるための適応・緩和策
の増分コスト見積の範囲を示す。ここで示す増分コストに
関連する緩和対策資金の調達ニーズはさらに大きく、
2030 年までに年間 2650 億∼ 5650 億ドルとなる。
あらゆる資金源の活用。 インドネシアは代替エネルギー以外にも、エ
ネルギー強度の引き上げからREDDイニシアティブを通じた森林伐採
世界銀行のポートフォリオ
抑制による炭素クレジットの創出まで、幅広い緩和策を検討しています。
世界銀行は2008年度、東アジア・大洋州地域の気候変動に対応
そのため同国は、適正な環境を創り出すためのこうした取り組みに対処
するためのプロジェクトやプログラムに約5億ドルを配分しました。
するための資金調達に努力しています。インドネシアは、2005年から
そのうち最も大きな割合を占めたのは、エネルギー効率と再生可
2008年に化石燃料への補助金を削減することにより、エネルギー価
能エネルギーのための中国のプロジェクトでした。また、東アジ
格を合理化しました。また、森林伐採の抑制・監視プログラムの改善や、
ア・大洋州地域向けのカーボンファイナンス承認額の大半は中国
環境汚染防止設備の輸入・設置を奨励するための税制優遇措置を講じて
向けであり、これにインドネシア、フィリピン、マレーシア、タイが
います。財務省と国家開発計画省は、気候変動を国の開発プロセスに組
続いています。カーボンファイナンスは全体として、電力・工業セ
み込む国家計画を打ち出し、予算も優先的にまわすことにしています。さ
クターのエネルギー効率向上、工業セクターの温室効果ガス排出
らに財務省は、気候変動を考慮した投資の奨励、低炭素エネルギー利用
削減、廃棄物処理、森林再生に重点を置いています。
への移行、林業セクターの財政的インセンティブの改善に向けた財政・金
融政策を検討しています。
世界銀行はアジア開発銀行など地域開発銀行と共同で気候投資基
金を運営しており、ドナーの拠出誓約額は61億ドル以上に上り
環境の相乗効果の創出。 気候変動を考慮したプロジェクトは多くの場
ます。この中には、最近創設された52億ドルのクリーン・テク
合、環境・経済・社会面のいくつかの目標に対応しています。こうしたプ
ノロジー基金(エネルギー効率、発電、輸送に関する大規模緩和
ロジェクトの例としては、工業用冷却装置に使われるオゾン層破壊物質
プロジェクトへの投資を支援するための低利融資を提供)と、戦
を減らしながらエネルギー効率を向上させる、都市の大気汚染を減らす
略気候基金(活動規模の拡大や「気候変動への耐性力強化のため
ことで地球規模と現地レベルの両方の環境問題に対処する、湾岸地域の
のパイロット・プログラム」などの新しい開発アプローチに特化
マングローブ林再生により緩和と適応の両方の目標を同時に追求するな
した財源を提供)が含まれます。
どの取り組みが挙げられます。このようなプロジェクトは、持続可能な世
界の自然システムの相関性を反映したものであり、幅広い財源の確保に
役立つ可能性があります。
戦略的な対応。 東アジア・大洋州地域は自然災害の影響を非常に受け
他 の 財 源 との 結 合 。 カ ーボ ン ファイナン スを 他 の 財 源 と 結 合
やすいため、災害発生時の迅速かつ戦略的な対応が欠かせません。洪水
することは 、低 炭 素 技 術 の 導 入 促 進 に 欠 か せ ま せ ん 。i)G E F が
や津波、地震の被害を受けた国の政府は、国際開発パートナーと協力して
政 策 活 動 に 出 資してリスクをカバーする、ii)クリーン・テ クノロ
損害の規模を把握し、破壊されたものを「以前よりも良いものに再建す
ジー 基 金 の 低 利 融 資 が 既 存 の貸 出や 直 接 投 資と 結 び つ き実 際 の
る」ための長期的な復興計画を進めます。世界銀行が調整役となり24の
資 金 提 供 につな が る、iii)炭 素 クレジットが プ ロジェクト の 長 期
国と国際機関が参加するパートナーシップ「防災グローバル・ファシリティ
的 な 財 政 実 行 可 能 性 を 持 続 さ せる 収 入 源 を 創 出 する 、な ど はそ (GFDRR)」は、長期的なリスク軽減を支援すると共に、対象国(最近で
の 例 で す。これらの 手 段 を 組み合 わせ れば、気候 変 動 を 考慮した
はサモア、トンガ、インドネシア、フィリピンなど)の持続可能な復興・再
ソリューションに向け市場を変容する強い力になります。
建計画を支援するための資源を速やかに供給します。
11
気候変動に迅速かつ適切に対応する技術への投資とその普及
温室効果ガス排出は、排出量の多い国に向けた既存の緩和技術の導入
加速により、地球全体で大幅に減らすことができます。しかし、世界の
気候を安定させるためには、技術の飛躍的な進歩、技術移転、そしてキャ
パシティ・ビルディングが必要になります。
気候変動に迅速かつ適切に対応する革新的取り組みは、その大半が高
所得国に集中していますが、途上国も重要な貢献を果たし始めています。
2007年のエネルギー効率向上と再生可能エネルギーへの新規投資額
に途上国が占める割合は23%(260億ドル)
と、2004年の13%を上
回っています。こうした投資の82%は、
ブラジル、中国、インドの3か国に
集中しています(国連環境計画(UNEP)、2008年)。2005年、中国は
再生可能エネルギー特許取得で全体の第7位となり、
また、温室効果ガス
高品質を要件とすることで、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの取引を促進するこ
とができます。世界銀行の再生可能エネルギー開発プログラムは、中国農村部の約40万
世帯への太陽光システムの販売を支援しました。
削減源として有望な「地熱」
と
「セメント」に関連した発明では日本に次い
で第2位でした
(経済協力開発機構
(OECD)
、2008年)
。
開発プログラムは、中国の太陽光発電システム製造業者が高い基準を
「世界開発報告 2010」は、研究開発(R&D)への投資拡大を提言
満たすことによって消費者の信頼を向上させ、製品の国際競争力を強
し、革新と起業を促進することのできる政策を特定しています。
化できるよう支援しました。現在、中国は世界最大の太陽光パネル輸
出国です。
研究機関: 途上国にある研究機関は、途上国政府が気候変動の影響
に対しより効果的に準備できるよう支援しています。たとえばインド
ネシアとタイでは、東南アジアのマラリア感染に影響を与える環境特
魅力的な投資環境: 外国直接投資にとって魅力的な投資環境を整える
性(降雨パターンや植生状 況など)を監視するため、NASA の人 工
ことが、技術移転と技術受け入れ能力を加速させるために極めて重要
衛星が利用されています。
です。しかし、知的所有権の保護が徹底されていないために技術移転
が阻止される可能性があります。
受け入れ能力強化:途上国の技術受け入れ能力を強化することによって、
意思決定者が課題を把握し、適切な技術を採用できるようにすることも
規制: 企業は規制によって、新技 術を開発するニッチ市 場を獲 得し、
重要です。シンガポールにある世界銀行の「アーバン・ハブ」は、持続可
各国が競争力を獲得することが可能になります。中国では、2004 年
能な都市に関するトレーニングを提供しています。
「気候変動に屈しない
にいくつかの都市でガソリン燃料のオートバイが禁止された上に、技
都市」に関する別のプログラムは、気候変動適応計画に基づいて現地政
術の進歩、急速な都市化、ガソリン価格上昇、購買力上昇といった要
府にトレーニングを提供しています。
因が加わったことで、1998 年にわずか 4 万台だった電動自転車市場
が、2008 年には 2100 万台にまで拡大しました。電動自転車は環
12
品質要件: 再生可能エネルギー源を、伝統的な燃料に代わる、信頼性
境に優しい上、今ではバスも含めた他のモーター付き輸送手段より割
が高く手頃な料金の選択肢として推奨するには、品質要件を満たすこ
安な輸送手段です。また中国は、こうした低炭素の乗り物を先進国に
とが不可欠です。1999 年に世界銀行が出資した再生可能エネルギー
輸出しています。
世界開発報告 2010:
開発と気候変動
報告書は次のサイトで購入できます。また、無料でダウンロードできます。
http://www.worldbank.org/wdr2010
関連ブログ:
ƒ 気候変動時の開発:
http://blogs.worldbank.org/climatechange/
ƒ 立ち上がる東アジア・大洋州地域:
http://blogs.worldbank.org/eastasiapacific/
関連リンク:
ƒ 気候変動に関する世界銀行の活動:
http://www.worldbank.org/climatechange
ƒ 中国の環境保護促進:
http://www.worldbank.org/china/results
ƒ 東アジア・大洋州地域の環境:
http://www.worldbank.org/eapenvironment
ƒ アジア地域の持続可能な代替エネルギーに関するプログラム:
http://www.worldbank.org/astae
ご注文先:世界銀行出版局 www.worldbank.org/publications、電話でのご注文:+1-703-661-1580 または 800-645-7247、
ファックスでのご注文:+1-703-661-1501、郵便でのご注文:P.O. Box 960, Herndon, VA 20172-0960, USA お問い合わせ先(電子メール): [email protected]
「地球環境を守るために、多くの人々が行動を起こしています。力を合わせて行動することで、初
めて成果を上げることができると私は信じています。私たち子供こそが次の世代であり、私たち自身
の自然環境を大事にしなければならない。子供でも一緒になって手伝うことができるはずです」
—Adrian Lau Tsun Yin
中国、8歳
Giselle Lau Ching Yue、中国、9歳
http://www.worldbank.org/wdr2010
http://blogs.worldbank.org/climatechange
www.worldbank.org/japan/jp(東京事務所)
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