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海外地質構造等調査 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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海外地質構造等調査 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
平成16年度 事業原簿(ファクトシート)
平成17年9月6日 作成
平成17年3月現在
制度・施策名称 海外炭の安定供給確保
海外地質構造調査
事業名称
推進部署
事業概要
コード番号:P80005
石炭事業部
海外における石炭資源開発を誘導するため、発展途上国等において相手国と共
同で地質構造調査等の基礎的調査を実施する。
平成 16 年度は以下の事業を実施した。
①日本インドネシア石炭共同探査ブニアン・クンキランプロジェクト
アジア太平洋地域においては、中期的にエネルギー需要、特に石炭需要の大幅
な増加が予見されており、石炭需給の将来に亘る安定確保が重要な課題である。
このため、アジアの主要石炭資源保有国であるインドネシアにおいて、賦存が限
定される日本への石炭輸出向け高品位炭を開発するため、南スマトラ炭田の未開
発地域を対象とした石炭資源調査を行い、石炭資源量を把握するとともに、採掘
計画素案を策定する。本プロジェクトは平成13年3月に相手国エネルギー鉱物
資源省地質鉱物資源総局との間で調印した MOU に基づき調査に着手、平成16年
度は第4年度として、主として地質解析、採掘計画素案作成からなる調査を実施
する。
②日本ベトナム石炭共同探査クアンニン地域プロジェクト
同様に主要石炭資源保有国であるベトナムにおいて、賦存が限定される日本へ
の石炭輸出向け高発熱量炭を開発するため、クアンニン省クアンニン炭田の深部
地域を対象とした石炭資源調査を行い、石炭資源量を把握するとともに、採掘計
画素案を策定する。本プロジェクトは平成16年10月に相手国石炭公社との間
で調印した MOU に基づき調査に着手、平成16年度は第1年度として、主として
試錐調査、地質解析からなる調査を実施する。
事業期間:昭和57年度∼
S57∼H14 年度
事業規模
(総額実績)
予算額
9,818
執行額
8,562
1.事業の必要性
H16 年度
(実績)
208
152
1
H17 年度
(予定)
540
−
(百万円)
合 計
10,566
8,714
我が国の一次エネルギー供給において、石炭は石油に次いで約19 %を占めるとともに、その約9
9 %を海外に依存し、輸入量は年間約1 億79百万㌧(16年実績)と世界最大の石炭輸入国で
ある。石炭は他の化石燃料と同様に減耗性のある資源であることから、中長期的な視点で石炭資源
の継続的な探鉱・開発が必要である。特にアジア地域においては、経済発展に伴うエネルギー需要
が今後も年率4 %程度と高い伸び率が見込まれており、地域のエネルギー安定確保を図るために
は、当地域に豊富に賦存する石炭資源の開発・利用を進めると共に、さらに産炭国の石炭供給力の
拡大により、我が国への石炭安定供給及び適正供給を図ることが必要である。
また、最近の石炭市場は、アジア地域を中心とした需要の増加、石炭輸出や自給自足が可能であ
った産炭国での石炭輸入の増加から、現在、世界の石炭需給がタイト化しており、市場価格も急騰
している。
そのため、民間企業のみではリスクが高い開発途上国において民間企業の調査及び開発等の活動
を誘導するため、当該産炭国においてNEDO技術開発機構と相手国との共同による先行的な地質
構造調査等の基礎的調査を実施することの意義は高い。
特に、主要供給国である豪州では、積み出し港での滞船による船賃が高騰していること、また中
国では国内需要増加により、石炭の輸出が制限されていることから、これを補完すべく、本事業を
通して主要石炭供給国であるインドネシア及びベトナムでの石炭供給ポテンシャルを確認するこ
とは重要。
2
2.事業の目標、指標、達成時期、情勢変化への対応
①目 標
石炭の賦存が期待される有望地域における石炭の有無、拡がり等を確認することにより、炭質、
石炭賦存量、石炭層の地質構造を解明し、石炭資源開発の可能性等(具体的には石炭層を物理的及
び環境制約において採掘できるかという可能性)を把握する。
②指 標
・ 把握した石炭の賦存地域、炭質、埋蔵量。
・ 調査結果を基に開発に移行した件数。
・ 調査結果を基にした近隣地域での開発件数。(情報外部性に基づく開発可能性)
・ ブニアン・クンキランプロジェクトでは、日本向け高品質(発熱量 6,000∼7,000Kcal/Kg、灰
分 10%以下、
硫黄分 1.0%以下)の石炭埋蔵量をブニアン地区 6,000 万トン、クンキラン地区 17,000
万トン程度確認し、露天掘り炭鉱開発の基礎的採掘計画を策定し、開発可能性を調査する。
・ クアンニン地域プロジェクトでは日本向け高発熱量(発熱量 6,000∼7,800Kcal/Kg)の石炭埋
蔵量を、ケーチャム、ケータム、ハーラム及びマオケー地区において 1 億トン程度確認する。
③達成時期
平成20年度(国の政策達成時期)に成果を評価し、事業の継続の可否を決定する。
④情勢変化への対応
市場タイト化により、石炭資源量の安定確保のニーズが高まる反面、環境に配慮した石炭開発が
求められている。また、現状では炭量確認、採掘計画素案策定を含む石炭資源のポテンシャル評価
に留まっているが、資源有効利用の観点から、オプションとして、山元火力発電所、石炭ガス化、
ブリケット、低品位炭の場合UBC(Upgraded Brown Coal:脱水による改質技術)プロセスなど
の適合性評価まで、調査範囲を広げる様、相手国からの要望もある。このため、当該地区に賦存す
る石炭の特性を活かせる様、CCT(Clean Coal Technology:石炭をきれいに効率をあげて使う技術)
適合性調査も視野にいれた対応が必要。
3.評価に関する事項
① 評価時期
毎年度
:プロジェクト毎
平成19年度:事業全体
② 評価方法
平成15年度∼18年度:内部評価(成果報告会時等を捉えたユーザーアンケートを実施し、プロ
ジェクト毎に評価を行う。)
平成19年度:外部評価(プロジェクト毎の炭鉱開発状況、生産状況等の調査を実施し、有識者及
びユーザーに対するヒアリング等の外部性を反映させた事業全体の評
価を行う。
)
[添付資料]
(1) 平成16年度概算要求に係る事前評価書(経済産業省策定)
(2) 平成16年度交付要綱 (略)
(3) 平成16年度実施方針 (略)
(4) 平成16年度事業評価書
3
(略)
平成16年度 事業評価書
作成日
制度・施策名称
事業名称
担当推進部
海外炭の安定供給確保
海外地質構造調査
石炭事業部
平成17年9月6日
コード番号:P80005
0.事業概要
海外における石炭資源開発を誘導するため、発展途上国等において相手国と共同で地質構
造調査等の基礎的調査を実施した。
平成 16 年度は以下の調査を実施した。
①日本インドネシア石炭共同探査ブニアン・クンキランプロジェクト
アジア太平洋地域においては、中期的にエネルギー需要、特に石炭需要の大幅な増加が予見
されており、石炭需給の将来に亘る安定確保が重要な課題である。このため、アジアの主要
石炭資源保有国であるインドネシアにおいて、賦存が限定される日本への石炭輸出向け高品
位炭を開発するため、南スマトラ炭田の未開発地域を対象とした石炭資源調査を行い、石炭
資源量を把握するとともに、採掘計画素案を策定する。
本プロジェクトは、平成14年3月に相手国エネルギー鉱物資源省地質鉱物資源総局との間
で調印した MOU に基づき、運営委員会を開催し、本年度調査計画を確認した上で、主として
地表解析、採掘計画素案立案からなる調査を実施してきた。
16年度事業は、最終年度であり、これまでの調査で確認された地表下 300m までの合計
33,050 万トンの石炭資源を対象に、採掘計画素案を立案した。結果として、年産 200 万トン
の露天掘り炭鉱を開発した場合、生産コストが FOB$30.53/tと、粗利率 64%と高収益にな
ることが確認でき、平成17年3月末に終了した。
②日本ベトナム石炭共同探査クアンニン地域プロジェクト
同様に主要石炭資源保有国であるベトナムにおいて、賦存が限定される日本への石炭輸出
向け高発熱量炭を開発するため、クアンニン省クアンニン炭田の深部地域を対象とした石炭
資源調査を行い、石炭資源量を把握するとともに、採掘計画素案を策定する。
本プロジェクトは平成16年10月に相手国石炭公社との間で調印した MOU に基づき調査
に着手、平成16年度は第1年度として、ケーチャム地区において、主として試錐調査、地
質解析からなる調査を実施した。
16年度事業は、ケーチャム地区において、開発対象となる合計 14 炭層の賦存を確認した。
1.必要性(社会・経済的意義、目的の妥当性)
4
我が国の一次エネルギー供給において、石炭は石油に次いで約19 %を占めるとともに、その
約99 %を海外に依存し、輸入量は年間約1 億79百万㌧(16年実績)と世界最大の石
炭輸入国である。石炭は他の化石燃料と同様に減耗性のある資源であることから、中長期的
な視点で石炭資源の継続的な探鉱・開発が必要である。特にアジア地域においては、経済発
展に伴うエネルギー需要が今後も年率4 %程度と高い伸び率が見込まれており、地域のエネ
ルギー安定確保を図るためには、当地域に豊富に賦存する石炭資源の開発・利用を進めると
共に、さらに産炭国の石炭供給力の拡大により、我が国への石炭安定供給及び適正供給を図
ることが必要である。
また、最近の石炭市場は、アジア地域を中心とした需要の増加、石炭輸出や自給自足が可
能であった産炭国での石炭輸入の増加から、現在、世界の石炭需給がタイト化しており、市
場価格も急騰している。
そのため、民間企業のみではリスクが高い開発途上国において民間企業の調査及び開発等
の活動を誘導するため、当該産炭国においてNEDO技術開発機構と相手国との共同による
先行的な地質構造調査等の基礎的調査を実施する必要がある。
特に、主要供給国である豪州では、積み出し港での滞船による船賃が高騰していること、
また中国では国内需要増加により、石炭の輸出が制限されていることから、これを補完すべ
く、本事業を通して主要石炭供給国であるインドネシア及びベトナムでの石炭供給ポテンシ
ャルを確認することは重要。
5
2.効率性(事業計画、実施体制、費用対効果)
① 手段の適正性
民間ベースで進出することが難しい国々において、相手国政府と共同で先行的な地質調査を実
施し、石炭資源量等を把握して炭鉱開発への誘導を図っているが、開発途上国等では民間企業ベ
ースでの地質調査の実施の困難性が高いことから、日本国政府が主導し、地質調査を実施するこ
とは適当である。また、民間企業のみではリスクの高い国において先行的な国ベースでの地質構
造調査の結果得られた情報によって、調査地域の隣接等地域において石炭資源開発の可能性を高
め、価値を上昇させる等の情報外部性が認められることからも、日本国政府が係わるべきである。
調査計画は、前年度調査結果を踏まえた上で、地質学的に必要最低限の情報収集を目指して立
案されており、ローリングプラン方式(結果をリバイスしながら計画していく方式)のため、効
率的な調査方法となっている。また、試錐工事費用を削減するために地震探査も取り入れており、
少ない費用で最大限の調査結果を得るよう努力している。
調査体制としては、隣接区域で現在操業している国営会社とNEDOが共同で実施することに
より、当該地域の調査経験を活かせ、地域住民との用地補償交渉など調査に付随するロジスティ
ック面でも負担を軽減している。また、同国営会社が、当該地区の将来の石炭開発実施者となる
ことからも、実施体制としては、最適である。
② 成果とコストとの関係に関する分析
本事業により、これまで中国、インドネシア等で10件のプロジェクトを実施し、約 88 億
トン(約 47 兆円相当:@$50/t, 107 円/$で換算)の資源量を確認している。うち1プロジェ
クトが開発済みで、年約 120 万トン(約 64 億円相当)を生産しており、さらに、4プロジェ
クトが開発中であり、今後の当該産炭国の供給力の向上により我が国の石炭輸入量の確保に
貢献することになる。
これまでの10件への投入金額は、89 億円であり、公開できる 528 倍の資産価値を確認し
たことになる。
ブニアン・クンキランプロジェクトにおいて、被覆深度 300mm までの石炭資源量 33,050 万
トンを確認したので、約 17.6 兆円相当(@$50/t, 107 円/$で換算)の石炭資源を確認したこ
とになる。また、高収益炭鉱開発が見込まれることから、2007年より生産開始する(生
産 200 万トン)こととなり、費用対効果がさらに高まると想定される。
(参考: ∼13 年度 企業化基礎調査の成果 10 プロジェクト操業へ移行、
生産量 494 万トン)
3.有効性(目標達成度、社会・経済への貢献度)
ブニアン・クンキランプロジェクトは、平成13年度から開始され、継続して実施されて
きた。16年度事業は繰越されて実施され、ブニアン・クンキラン両地区において地表下 300
mまでで合計約 33,050 万トンの石炭資源を確認した。これは当初目標数値を上まわる資源量
である。
また、日本への石炭供給量の約 73%を豪州および中国が占めている現状では、第3国であ
るインドネシア及びベトナムで石炭資源量を把握するということは、供給源の分散化に資す
ることとなり、さらに石炭価格上昇のセーブにも資することになり、世界最大の石炭輸入国
の日本にとって、安定供給確保に十分資するものと判断できる。
4.優先度(事業に含まれる各テーマの中で、早い時期に、多く優先的に実施するか)
特記事項なし
5.その他の観点(公平性等事業の性格に応じ追加)
特記事項なし
6
6.総合評価
①総括
石炭安定供給を支援する当該事業は、我が国のみならず、相手国にとっても石炭資源ポ
テンシャルを確認する上で意義がある。
さらに、ブニアン・クンキランプロジェクトは、最終年度の16年度事業において、ブ
ニアン・クンキラン両地区において合計 33,050 万トンの石炭資源は確認できた。これを対象
とした年産 200 万トンの露天掘炭鉱を開発した場合、高収益(荒利率 64%)となることが判
明した。民間企業の進出を促すため、総合報告会を 6 月 16 日に実施済。
クアンニン地域プロジェクトは、初年度のため、地質解析するに必要な十分な情報収集
まで至っておらず、地質調査等を継続実施の予定。
②今後の展開
ブニアン・クンキランプロジェクトは、これまで実施してきた地質総合解析、策定した採
掘計画素案を含む成果について、総合報告会を、開発参加を希望する民間企業および有識者
に対し、17 年 6 月 16 日に NEDO で開催すると同時に、今後の事業化に向けた、意見交換も行
う。
同プロジェクトは、近年の石炭供給ニーズの高まりから、2007年からの出炭(年産2
00万トン)に向けて、継続した開発着手が決定、現在、開発許認可待ちの状態。
政府内での認可手続きが完了しだい、ブキットマサッム国営石炭会社開発開始予定。
また、石炭供給不安も高まりつつあるため、当該事業は、その他の有望産炭国においても
実施予定である。新規調査プロジェクトについては、前述での意見交換をフィードバックし、
相手国との調整を進めて行く予定。
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