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平成16年度岐阜市職員杭州市派遣報告

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平成16年度岐阜市職員杭州市派遣報告
中国杭州市派遣研修報告書
商工観光部ファッション産業活性化室
主 任
杉村佳則
目次
一.初めに............................................................................................................................ 2
二.杭州市の概況 ................................................................................................................. 3
三.中国経済総論 ................................................................................................................. 4
四.杭州市人民政府の2大施策 ......................................................................................... 13
五.杭州市人民政府の機構................................................................................................. 15
六.外事弁公室の業務........................................................................................................ 17
七.経済委員会の業務........................................................................................................ 21
八.貿易局の業務 ............................................................................................................... 24
九.対外貿易経済合作局の業務 ......................................................................................... 26
十.旅游委員会の業務........................................................................................................ 30
十一.人事局の業務 ........................................................................................................... 32
十二.経済技術開発区について ......................................................................................... 35
十三.杭州市民の文化、意識および社会形態について...................................................... 37
十四.杭州市の市場 ........................................................................................................... 43
十五.岐阜アパレルの杭州市進出について ....................................................................... 48
十六.杭州市からの観光客の誘致について ....................................................................... 62
十七.中心市街地づくりについて(杭州市の街並み調査) .............................................. 75
十八.両市企業誘致について ............................................................................................. 77
十九.今後の派遣について................................................................................................. 78
二十.最後に ...................................................................................................................... 79
1
一.初めに
私は 2004 年 6 月 1 日から 2005 年 2 月 28 日までの 9 ヶ月間、岐阜市との友
好都市である中国杭州市へ派遣され、主に経済分野における行政研修とその過
程での岐阜市の産業分野における進出の調査を行った。この稿ではそれらの結
果をまとめたものを報告する。
私は旅行で中国を訪れたことは過去に何回かあったが、中国で生活するとい
うことを初めてであった。隣国であり、悠久の歴史的関係を持ち、同じような
顔をしていながら中国で最初生活をし始めた頃は文化の違いにとまどいを覚え
た。当たり前ではあるがまず言葉が違う。多少日本で学んでいったつもりでは
あったが、当初は彼らの話している言葉が全く聞き取れなかった。例えどんな
に簡単な会話でも。また、文化の違いから彼らの行動に腹を立てることもあっ
た。しかし、それらは時間とともに解決され、今では彼らとの共存がとても楽
しく感じられるようになった。
本稿ではこれら文化の違いを理解することが、中国におけるビジネスの基本
であると考え、文化の違いが伝わるように記した。また本稿では特に記載のな
い限り 1(人民)元=13(日本)円とした。ただし、賃金水準が低いため先のレ
ートで同じ物が同じ価格であっても人民の感じ方は日本人の 10 倍くらい高く感
じることに注意を払わなければならない。
2
二.杭州市の概況
杭州市は浙江省の省都で、長江デルタ地帯に位置する。人口は約 643 万人(市
区部は 393 万人)、面積は 16,596 ㎢(市区部は 3,068 ㎢)で、長江デルタ地帯
の経済の中心である。
「上に天国あり、下に蘇(州)杭(州)あり」と昔から言われ、西湖を中心
に水と緑に満ち溢れた街である。中国の中では比較的治安のいい方である。
近年は外資の誘致と観光客誘致に特に熱心に政策を実施しており、右肩上が
りの経済成長を続けている。基盤産業は工業生産で、女子服装の街としても有
名である。特産物はシルク製品と龍井茶で杭州市民の誇りとなっている。経済
が豊かになるに連れ、人民の経済的なゆとりも徐々に増えつつあり、個人消費
も飛躍的に伸びている。
杭州市の住民のほとんどは漢民族であるため一人っ子政策の適用を受け、長
寿化と少子化が一層進み近年高齢化問題が俄に取り沙汰されている。そのため
老人ホームの建設も加熱しつつある。
3
三.中国経済総論
改革開放後著しい経済成長を遂げている中国。特に 1990 年代に入り右肩上が
りに成長をし続けている。その成長率は下表(中国情報局提供)のとおりであ
る。
GDP名
年
目額
(億元)
前年比
実質成
長率
(%)
1人当た
GDP名目額 (億元)
りGDP
(元)
140,000
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
7,780
12.5
853
1986 年
9,380
7.8
956
1987 年
10,920
9.4
1,103
1988 年
13,853
11.2
1,355
1989 年
15,677
3.9
1,512
1990 年
17,400
5
1,634
1991 年
19,580
7
1,879
1992 年
23,938
12.8
2,287
1993 年
31,380
13.4
2,939
1994 年
43,800
11.8
3,923
1995 年
57,733
10.2
4,854
1996 年
67,795
9.7
5,576
1997 年
74,772
8.8
6,054
1998 年
79,553
7.8
6,307
1999 年
82,054
7.1
6,551
2000 年
89,404
8
7,086
2001 年
95,933
7.3
7,651
10000
2002 年
102,398
8
8,184
8000
2003 年
117,252
9.3
9,030
6000
GDP名
目額
(億元)
19
85
年
19
88
年
19
91
年
19
94
年
19
97
年
20
00
年
20
03
年
1985 年
前年比実質成長率 (%)
16
14
12
10
8
6
4
2
0
19
85
19 年
87
19 年
89
19 年
91
19 年
93
19 年
95
19 年
97
19 年
99
20 年
01
20 年
03
年
前年比実質成長率
(%)
1人当たりGDP (元)
4000
2000
19
85
年
19
87
年
19
89
年
19
91
年
19
93
19 年
95
年
19
97
年
19
99
年
20
01
年
20
03
年
0
この 90 年代以降の成長は開放後の第三次投資ブームとなっている。そして
2001 年 12 月 11 日の中国WTO正式加盟以降の第四次投資ブームである。ちな
4
1人当たりGDP
(元)
みに、第一次は 80 年代前半で開放直後のことである。この時はトヨタ、日産が
中国政府の要請を拒否して進出しなかったために今でも中国内での活動の足枷
となっているのは有名な話である。この時に進出した松下、東芝は現在中国市
場のキーとなっている。第二次は80 年代後半で安い労働力を狙った生産型企業
の進出が目立った。89 年の天安門事件及びそれによる国連の経済制裁により一
気に収縮した。そして 92 年に日本が世界に先駆けて経済制裁解除を行い第三次
投資ブームが始まったが、20 世紀末の為替管理強化と増値税導入により一時下
火となった。そして現在は第四次投資ブームの真只中にあり、中国経済は右肩
上がりに成長を続けていっている。
安い土地と人件費、広大な市場を兼ね合わせている中国への進出は世界から
伸びている。そんな中国への進出を目指す場合の手段、注意点、そして現状を
自ら見聞した情報によりいくつかの項目に分けてまとめた。
1.進出スタイル
いわゆる「三資企業」というものがある。合弁、合作、独資の三形態の中国
進出方法を総称して三資企業という。現在認められている方法はこの3つに限
られる。
合弁は販路、販売許可、貿易権を持った企業と共同経営することである。こ
の方法は独資で中国に進出する煩雑な手続きと新規市場開拓という手間が省け
る分、反面中国人との経営方針の食い違いによるトラブルが起きかねない。し
かしうまくやれば中国で大きくものをいうコネを作る手間が省け、強力なコネ
を利用して飛躍的に成長をするビジネスチャンスが生まれる。2004 年 12 月 11
日までは、外国企業の独資による小売りがほとんど認められていなかったので、
外資系の百貨店やスーパーはこの形態を取っている。
合作は、いわゆる「のれん分け」で資本に基づかない業務の提携である。華
僑がよく使う手である。これは簡単にいえば、情報交換、技術向上による win-win
の提携であるといえる。
独資は 100 パーセント外国企業による出資である。今までは各種規制により
中国国内企業保護のため各種規制により独資はやりにくかったが、2001 年の中
国 WTO 加盟により今後進んでいくものと思われる。この形態は、中国資本が絡
んでこないので外国企業の経営方針で進出できる。もちろん営業上中国の風習
を取り入れる必要があるが。また、失敗した時に手を引きやすいという利点が
ある。その反面では中国市場に自ら食い込んで行かなくてはならず、厳しい市
場の波に揉まれることになる。生産輸出型の企業には適しているといえる。
2.文化大革命
5
毛沢東が 1950 年代の人民公社や大躍進政策の失敗により中央指導部での権
力を失いかけていた。1966 年に林彪はその頃人民から絶大な人気のあった毛沢東
の権威を利用し、毛沢東思想に同調する紅衛兵を結成し、特に 10 代の若者が次々と
加入していった。これが文化大革命の始まりである。
この頃、鄧小平や劉少奇などの実権派は次々と批判され、失脚していった。1973 年
に林彪が死亡し、そして江青をはじめとするいわゆる四人組へと引き継がれ、1976 年
に毛沢東が死亡すると四人組が批判され、文化大革命は終了した。
文化大革命中は、学生たちが退学し次から次へと農村へ下っていった。この間、経
済は停滞というよりどんどん後退していった。この時代の学生たちは皆農村に下ってい
ったため、現在この世代の人たち(40 代半ば∼50 代半ば)に知識人が少なく、中国の
中間管理職レベルの人材難が発生している。
3.改革開放
1978 年 12 月の 11 期3中全会において鄧小平の指導のもと改革開放が始まった。
改革開放はまず農村から始まり生産請負制が推進され、農民の生産意欲向上につな
がった。1980 年代半ばからは企業経営の自主権の拡大が始まり、沿岸部都市の経済
が一気に成長し始めた。
結果としては農村から始まった改革開放も、都市部の方の経済の発達の方が遙かに
速く、貧富の差が広がっていった。指導部は「富める者から富め」という指導をし、現在
の資本主義経済の導入は緩やかな共産主義社会完成への入口であると宣言した。
この貧富の差、役人の腐敗により全国各地で暴動が起きている。
4.WTO 加盟
中国は外圧により(中国政府はそうは言っていないが)、2001 年 12 月 11 日
に正式に WTO に加盟した。加盟後5年をかけて加盟国に対する関税の逓減と対
外市場開放スケジュールを公表した。
関税は国内産業保護の目的で課税されるが、全体的に 40 パーセント∼200 パ
ーセントくらいであったものを年々下げていっている。例えば自動車は 100 パ
ーセントから 25 パーセントまで段階的に引き下げていく方向だ。もちろんこれ
により中国側は製品の競争力をつけなければならず、そのおかげで以前よりは
格段と技術が進歩してきている。
対外市場開放については、様々な開放が行われている。以下に主な内容を挙
げてみる。
2005 年には今まで銀行と保険業にしか認められなかった(といってもなかな
か認められない上に、地域が限定されているが)日本本社の支店が置けるよう
になる。今までは中国へ進出する場合は法人を設立するか否かに関わらず、中
6
国で起業する必要があった。
小売業においては、一切の外国資本の進出が認められていなかったが、深圳、
珠海等の経済特区と北京、上海等の一部の地域が加盟時に認められたほか、2005
年からは全国の省都と寧波にも開放された。杭州ではオーストラリアのスーパ
ーが現在建設中であり、アメリカのウォルマートが進出を検討している。不思
議なことはフランスのカルフールであるが、どのように政府に取り付いたか、
以前から杭州にある。世界一のウォルマートよりカルフールの方が中国での売
り上げは断然多い。また、本年中には輸入割当や許可制による輸入制限が撤廃
される。
旅行業においては、今まで外国企業は一切の旅行業に就くことができなかっ
た。例えば名鉄観光は上海に駐在員事務所を設けてはいるが、顧客に対する援
助だけでチケット類の販売、ガイド、顧客の運送などは一切できない。それが
加盟後 6 年以内に 100 パーセント外資出資の支店をおくことができるようにな
る。ちなみに中国で旅行会社の支店を作ると、国内旅行会社で 50 万元、国際旅
行会社で 100 万元の保証金を政府に納める必要がある。
5.CEPA
CEPA( Closer Economic Partnership Arrangement)とは、経済貿易緊密化
協定のことである。中国と香港との間での二国間自由貿易協定のことである。
中国と香港間では CEPA が適用されると関税が撤廃される。香港から中国へ商品
を輸出すると関税がかからず、その分だけ商業上有利となる。CEPA の適用がな
されるのは香港企業及び香港製品のみである。
日本企業が中国へ輸出する際、この規定を利用して一度香港を経由させ、そ
こで商品価値を加えることにより関税上有利にする事ができる。
6.平均賃金
中国へ進出する生産型企業のほとんどはその安い労働力を狙ったものであろ
う。杭州市統計局によると、2003 年の杭州市市区部(簫山、余杭含む)のサラ
リーマンの平均年収は 21,314 元となり、昨年比 7.92%増加した。1 元=13 円で
計算すると 277,082 円となり、日本のサラリーマンの1ヶ月分以下である。当
然高学歴、高能力者の賃金は高く設定する必要があるが、全体としては、とて
も魅力的であるといえる。
なお、元の切り上げ問題は別として、現在杭州市政府では 2008 年に 6,000 米
ドル(約 50,000 元)、2010 年に 8,000 米ドル(約 66,225 元)、2020 年には 15,000
米ドル(約 124,000 元)にすると、計画している。しかし現実問題として元の
切り上げが行われれば、より早くこの数字に近づくであろうし、またこのよう
7
に賃金が上がるということは外資の撤退を招きかねない恐れがある。物価の上
昇による消費市場の魅力は増えても、生産企業は撤退し中国経済の後退が見え
てくる。元の切り上げ及び賃金の向上は、一時的な市場の活性→外資の撤退→
経済の停滞→失業者の増大→市場の低下及び不良債権の増大という危険性があ
る。先行き不透明だが、杭州市が唱えるような賃金の上昇はあり得ないと考え
る。
また中国では富裕層が存在する。全体としては全人口の1パーセント以下で
はあるが、日本では考えられないような富裕層がいる。中国では社長の一人勝
ちであり、日本企業では社長の賃金は平社員のせいぜい 10 倍くらいであるが、
中国では 100 倍以上になったりする。彼らの金の使い方は尋常ではなく、1食
2,000 元くらい平気でかけて友人たちにごちそうする。一般人は普段一食に高く
ても 10 元くらいである。彼らは車にしても、電化製品にしても、不動産にして
も、次から次へと消費していく。
7.賃金
中国での一般労働者の賃金はとにかく低い。また、中国で管理部門や営業部
門、技術部門の職は学歴や能力によって変わってくるが、一般労働者よりはか
なり高い。ただし、企業が中国へ進出した場合一番気を付けなければならない
ことは賃金を決める時に明確な基準を設けることだ。彼らは同僚や他の職場、
近所の人たちと賃金明細を見せ合うことは日常茶飯事だ。そこで問題が生じる
と退職、さらに悪ければストライキということにもなりかねない。総じて日系
企業の待遇は悪いと思われがちである。特に日本企業は歴史的背景からも慎重
になる必要になる。
中国では、日本のような年功序列、終身雇用的な賃金制度は即しない。例え
ば工場労働者になら、期限以内に完成させ、不良品がどれだけ以内なら報奨金
を出し、期限を遅れたり、不良品が多かったりすれば罰金を取るという制度が
適している。営業職などでは、当然ノルマを与えて、ノルマをこなせば報奨金、
ノルマをこなせなければ罰金という形がいいであろう。
また、中国では本業の他に副収入を得ていたりする。副収入の方が多かった
りすることもしばしばある。副収入の得方は大きく分けて2種類ある。一つは、
副業を持つことである。昼間は会社で働き、夜は商売をするとか、内職をする
とか、能力のある人なら専門学校で講師をしたりする。もう一つは決して好ま
しいことではないが、例えば、営業職の人が買い手とつるんでマージンを山分
けすることである。例えば1万元のパソコンを 10 台売ったとする。そのうち1
パーセントを引き抜いて山分けすれば、実に 500 元もの副収入となる。残念な
ことに自社の従業員がマージンを得るかどうかは別にして今でも相手にはマー
8
ジンを渡さないと物が売れないという話も聞く。この腐敗が現在中国では大問
題となっており、中央政府も問題を重視し、特に公務員がやれば最高で死刑に
なるという刑法改正が行われた。また日本ではこのようなことはある程度の権
限を持った人しかしない(できない)が、中国では一般の人でもやってしまう
ところにも問題がある。中国で物は売れているのになかなか利益が上がってこ
ないのにはこの辺にも問題がある。もしこれを見つけたからといってすぐに問
題提起し監査に踏み切るのは得策ではない。取り敢えず帳簿や領収書をこまめ
にチェックしているふりだけをして、自粛を促すことが得策である。それでも
直らなければ見せしめによる解雇もいたしかたないことだろう。ただ相手がマ
ージンを求めてくる場合は営業上必要最低限な分は目をつぶり、日本企業が直
接手を下すわけにはいかないので、販売奨励金の形で相手方に支払う方法をと
ることも臨機応変に必要となる。
8.博覧会・展覧会・交易会
中国人は博覧会等の展示販売促進会が大好きである。全国あちこちで大小
様々な博覧会等が年中開催され、多くの人で賑わっている。杭州市も例外では
なく、国家レベルのものから地方レベルもの、民間団体、個人等が各種、各様
の博覧会等を開催している。特に毎年秋に行われる西湖博覧会は、約1ヶ月間
開催され、5日サイクルで様々な博覧会が催され、またそれとは別に文化イベ
ント等も行われる杭州市最大のお祭りである。
博覧会等には関係業者が商品を見に来る。主催者側が関係業者を集めてくれ
るのでここで商品を売り込むことは大きなビジネスチャンスを生む。また、場
合によっては入場料が必要な場合もあるが、それでも一般市民は見に来る。彼
らに商品の優位性を見せつければ、その後の市場での販売促進に結びつくこと
であろう。
(国際旅游(休閑)商品博覧会 1)
(国際旅游(休閑)商品博覧会 2)
9
(国際シルク博覧会)
(工芸美術大師作品と工芸美術精品博覧会)
(深圳高新技術成果交易会 1)
(深圳高新技術成果交易会 2)
9.偽物市場
中国には世界でも最高峰の知的所有権に関する法律がある。が、あるにも関
わらずおびただしい量の偽物商品が出回っている。杭州においても例外ではな
い。
一口に偽物といっても中国で出回っているものには大きく分けて3種類ある。
一つは例えば「CHANNEL」のように有名ブランドに似せたブランド商品、
二つはロゴまで模倣し、まるで本物のように作られた商品、三つはパソコンソ
フトや音楽CD,映画のDVDなどのいわゆる海賊版である。
現在では有名ブランドに似せた商品はかなりなりを潜めた。というのも消費
者のニーズが高まり、明らかな偽物では誰も買わないからだ。そして現在街中
で主流なのが、本物そっくりに作られた偽ブランド商品である。もちろん粗悪
な商品ではあるが、本物の 50 分の 1 以下の値段で買え、消費者には受けている。
一番たちが悪いのは3つ目の海賊版である。時代はデジタルの時代であり、C
D,DVD等のメディアに記録された情報はコピーしても劣化しない。当然本
物であろうが、コピーであろうが品質には差が出ない。これでは著作権も何も
あったものではない。ちなみに、一昨年のマイクロソフト社の中国内での売上
げが一千万元であったという。街中の人に聞いても、同じものなのに二つ買う
のは無駄遣いである、みんなで使えばいい、と悪びれた様子もなく言われる。
実際杭州市内を廻ってみたが正規版と思われる WindowsXP を見つけることが
できなかった。中国では知的所有権に関する一般的な教育が必要であろう。
最近では北京や上海などの大都市部から当局のメスが入りだした。しかしま
だこれは氷山の一角であり、当分「いたちごっこ」が続くのではないかと思わ
れる。
日本からの進出企業はこの点に悩まされている。もちろん知的所有権の無断
使用による権益を得られないだけでなく、劣悪な商品のおかげで自社ブランド
が傷つけられてしまうというもっと重要な問題があるのである。
政府の抜本的な対策を期待したい。
10
10.中国人従業員とのトラブルを避けるために
残念ながら歴史上の問題から日中関係が不安定になる時がある。主に政治的
な問題の余波を受けるわけであるが、その結果不買運動や従業員の出社拒否と
いった不利益を被ることがある。しかしながらこれについては一企業の問題で
はないので如何ともしがたい。但し、敢えて自らこの問題に触れることは得策
ではない。無意識であっても、例えば携帯電話で台湾へ掛けたら「中国」では
なく「台湾」へ掛けているという表示が出て、2つの中国を認めるような表示
をしたがために、製品の全部回収と営業許可の取り消しという辛き目にあった
携帯電話メーカーもある。
また従業員とは普段から密に接して、相手の事(究極的には相手の文化)を
常に理解するという姿勢が必要である。人前で部下を叱ったり、不明瞭な昇給
(降給)や昇進(降格)をしたりしてはならない。逆にいえば叱るなら個別に
呼んで叱るとか、賃金や昇進には信賞必罰を具体的に明記すべきである。これ
を怠ると思わぬストライキを招きかねない。
中国人にはいつかは天下を取ってやろうという気概がある。自分で有能であ
ると自覚していればまさにそうである。せっかく育てた有能な従業員に逃げら
れないためにも彼らに対する人件費を惜しんでは駄目である。それでも日本人
を派遣する(雇う)よりはかなり低い人件費で済むのだから。
また中国には中国のやり方(営業方法)があり、それらを熟知しているのは
やはり中国人である。中国人は上司に対して遠慮無く意見をぶつけてくるが、
日本式のやり方に固執し、全く意見を聞かないと会社の魅力を失い退職してし
まう。
11.カネボウの件
具体的に企業名を出してしまうが、中国で大問題となったので紹介する。
日本のカネボウ化粧品が90%出資する上海嘉娜宝化粧品有限会社(上海カネボ
ウ)では 2005 年 1 月 18 日、全国 150 店舗以上で働く 700 人の従業員が一斉に出社
拒否をした。「日本のカネボウ本社が従業員に対し、耐えられないような苛酷な要求を
突きつけてきた」とだけある女性従業員が語ったと伝えられた。詳細は明らかにされて
いないが、どうやら日本のカネボウ本社が北京に中国最大製薬会社「三九企業集団」
と共同出資で新会社を作ることへの反発、それにより上海カネボウで実績を残し人望
の厚い中国人総経理を日本本社へ配置転換(実質左遷)し、日本人総経理を置いた
こと、さらにその総経理から女性従業員が屈辱を受けた、という3点が問題であるとい
われている。
この問題はとても大きいが、中国では不用意な発言や行動からこのような事態を招き
かねないのでくれぐれも注意する必要がある。
11
なお、話は変わるが、翌 19 日に上海カネボウは中国での卸売り権のないまま商品を
卸していたということが発覚し、市場から商品が撤収された。
12.訪問販売解禁
中国人の性質なのか、マルチ防止なのか、その両方なのか長年中国では訪問
販売が禁止されていた(一部業種を除く)。しかしWTO加盟に基づく市場開放
とともに今年から訪問販売が解禁された。今までは某大手化粧品会社ですら中
国では店頭販売しか行っていなかったが、これからは訪問販売に手がけるよう
である。
ただこの方式が中国人に受け入れられるか、また、マルチが発生し禁止にな
るという問題があり、今後様子見の段階である。ただ、店を構えなくても商売
ができるようになったのは確かである。
12
四.杭州市人民政府の2大施策
1 外国企業の投資誘致
現在中国は改革開放以降目覚ましい経済の発展をし続けている。その中でも
杭州市は江南地方の経済の中心であり、中国国内でも発展のスピードがとても
速い都市である。ビジネス情報誌『フォーブス』によると杭州市は中国国内で
一番投資環境の整った都市とされている。物流では沿岸部ではないが限りなく
沿岸に近く、上海、蘇州、宁波、南京等の周辺都市部との高速道路整備が進み、
物流が行き届いている上に、近い将来上海との直行の電車(時速 200 ㎞)が完
成する予定で、今まで以上に近くなる。労働力においては、農村から都市を目
指して次々と若者が職を求めてやってくる環境にある。彼らに何故杭州に来る
のか尋ねると、中国では「上に天国あり、下に蘇杭有り」と言われるように、
中国人憧れの場としてやってくる。中国は学歴社会であり、高卒以下の人間は
ほとんど労働者として働き、給料は1年に平均で 21,314 元であり安い労働力と
して価値がある。従来の最低賃金は一ヶ月 370 元であったが、2004 年 7 月 1 日
から法改正により 423 元となったが大した金額でないことは確かである。また、
都市交通の面であるが、今や上海の道路渋滞は朝夕に限らず、日常茶飯事とな
っている。杭州では近年自動車の保有率も高くなり、朝夕は主要道路において
はさすがに渋滞が見られるが、今のところしれている。
杭州市は世界ベスト 500 企業の誘致が盛んで、日本からは松下、東芝、三菱
重工等挙げればきりがなく、大中小併せて 500 社ほどが杭州市に進出している。
2004 年 7 月には杭州市のトップリーダーである王国平人民代表大会主任が経
済・貿易・観光関係の政府、企業関係者約 150 人(同時に省政府は約 100 人)
を引き連れて東京、大阪において日本の政財界の大物等を呼び、大々的に投資
セミナーを行った。杭州市のスタンスは杭州市の企業が日本企業の誘致を呼び
かけ、また進出した企業が新たに企業を呼び寄せるという連鎖効果を狙ってい
る。距離的に近く、中国古の言葉にある「一衣帯水、友好睦隣」ということで
日・韓とくに日本との経済的結びつきを深めようとしている。2005 年 1 月には
通信事業に絡み中国を訪れた麻生太郎総務大臣以下日本の政財界関係者を招き、
大々的に杭州市への情報通信分野において討論会を行った。
2.観光客誘致
「上有天堂、下有蘇杭」と昔から言われ、それは天に極楽があるように、地
には水郷の街・蘇州と地上の楽園・杭州があることを意味する。かつてマルコ
ポーロは杭州を訪れ「世界で最も美しい街」であると絶賛した。その杭州を代
表するところといったら西湖である。中国では杭州は美しい街として知られ、
全国から多くの人たちが遊びにやってくる。週末ともなると、上海、蘇州、宁
13
波等のナンバーを付けた車が押し寄せてくる。国内では有名な観光地ではある
が、国外での知名度が今ひとつである。そこで 2 年前に旅游局を旅游委員会に
組織替えし、2004 年には 4,000 万元(ちなみに浙江省旅游局は 600 万元)の予
算を付け、女子十二楽坊をイメージキャラクターとし、大々的に観光誘致キャ
ンペーンを繰り広げている。ターゲットはやはり一に日本、二に韓国である。
前述した王国平主任による投資セミナーでは、同時に観光セミナーも行われ
た。これは東京、大阪に加え、札幌でも開催された。
なお、杭州の観光資源は西湖及びその周辺の公園、六和塔、保俶塔、雷峰塔
の3つの塔、宋時代の造りを再現した宋城、河坊街、名産品の緑茶、シルクな
どがある。また 2005 年 1 月からは団体客に限り、一部の裁判所、学校、工場な
どが条件付きながらも一般観光地として開放されている。
14
五.杭州市人民政府の機構
杭 州 市 人 民 政 府
市政府弁公庁
市政府工作部門
組織部門
市発展計画委員会
直属機構
市房産管理局
市園林文物局
(市郷鎮企業局)
(市版権局)
市農業局
市政府議事協調
市国内経済
市電力局
機構的弁事機構
合作弁公室
市郵政局
市経済体制改革
市西湖博覧会組
委員会弁公室
委員会弁公室
(市水産局)
市人民防空弁公室
市民政局
市銭江新城建
市国家税務局
員会弁公室
(市銭江新城
市愛国衛生運動
委員会弁公室
市貿易局
(市糧食局)
市質量技術監督局
市対外貿易
市薬品監督管理局
部門管理機構
市信息化弁公室
市委市政府信坊局
市外事弁公室
杭州市物価局
市文化局
市審計局
市環境保護局
市法制弁公室
市城市管理
(市地方税務局)
行政執法局
市城市管理弁公室
15
浙江省電信公
市档案局
(市档案館)
経済合作局
市財政局
市国家安全局
建設指揮部)
市僑務弁公室
市司法局
市煙草専売局
設管理委員会
市民族宗教事務局
市監察局
協調弁公室)
市老齢工作委
市林業水利局
市商工行政管理局
市公安局
市気象局
(市発展会展業
市体育局
市統計局
市科学技術局
管理単位
(市民防局)
市建設委員会
市教育局
構
市新聞出版局
市交通局
市旅游委員会
双重或垂直
市広播電視局
(広播電視集団)
市経済委員会
市政府事業機
司杭州分公司
(市国有資産管理
(市城市管理
委員会弁公室)
行
政執法支隊)
市人事局
市労働和
社会保障局
市国土資源局
市規划局
16
六.外事弁公室の業務
地方政府の責務
① 国の方針を伝える
② 地方経済の発展
1 主要職務
① 中央の外事政策、省、市の外事工作の決定を貫徹する。関係部門と研究を行
い外事政策の具体的な方針と方法を執行し、外事管理工作の規則、制度を制
定する。本市の関係部門と単位の外事政策執行情況を監督、検査する。本市
の政治性ある渉外事項の責任を負う。
② 本市各部門の外事工作と渉外活動を調整する。市級の各部門と協力し、重大
な渉外事項を処理し、本市各外事機関の業務を指導する責任を負う。
③ 本市外事工作と外国人の本市における活動状況と問題を理解、把握し、併せ
て意見を述べたり、適切な措置を執ったりする。
④ 外国からの賓客及び我が市の公務活動をする外国領事及び外国人取材記者
を接待する責任を負う。各部門、単位が外国からの賓客を接待、管理するの
を指導する。市指導者の外交を統一して計画案配する。
⑤ 全市の公務における出国および香港、マカオへの訪問を集約して管理し、国
外および香港、マカオからの来訪を審査し指示を与える。市政府審査権限以
外の出国を請け負い、外国からの来訪者を報告、批評する。公務による出国
人員のパスポート及び香港、マカオの通行証とビザの手続きを代行する。関
係部門が出国団を組織する、或いは人員が外事政策を進行するのを励行、援
助し、紀律教育をする。出国団員の国外における活動状況とその結果を探る。
⑥ 本市と外国友好都市の日常連絡や本市と友好都市、友好交流都市の往来の管
理する責任を負う。対外友好関係を結ぶ手続きをする。市所属単位が国外関
係単位と友好関係を結ぶのを審査する責任を負う。本市の民間の外交工作を
指導する。
⑦ 杭州における関係国際会議と国際性ある活動の審査、上告、管理をする責任
を負う。本市が国外へ赴いて参加する重要な国際会議及び国際性ある活動に
関する業務を請け負う。
⑧ 関係部門と共同して外国からの賓客がよりよく参観できるよう開拓、調整及
び管理をする。
⑨ 外国人に授与する「杭州市栄誉市民」の称号を審査し、またその材料を収集
し、上告、管理をする。
⑩ 関係部門と歩調をあわせ本市にいる外国人専門家、留学生、実習生、居留外
17
⑪
⑫
⑬
⑭
国人、「三資企業」の外国籍人の渉外活動を管理する。
本市幹部と渉外人員に対して国際趨勢、対外政策、外事紀律及び秘密等の方
面で教育をし、業務における育成をする責任を負う。すなわち本地区外事業
務の経験を積む。
関係部門と協力し対外宣伝と群衆性外事教育をする。関係する国際情勢およ
び対外政策と重大な国際問題の宣伝材料を提供し、対外に意見表明をする。
紀律検査、監察において、関係する外事紀律と渉外機密制度の執行情況を管
理、監督、検査し、関係部門と協力して外事紀律と渉外機密規定の重大案件
の違反を処理する。
市委員会、市人民代表大会、市政府、市政府協会及び上級外事部門協会のそ
の他の事項を請け負う。
2 各処の業務
① 人事秘書処
機関日常業務の総合調整をする。機関人事、組織宣伝、機密文書整理、機
密の収受と送付、郵便や来訪者管理、秘密保持、財務、行状記録、退職幹部
管理、後方勤務、事務合理化および保健衛生の責任を負う。各種文件材料の
審議と重要文献の起案の責任を負う。全市外事業務の情況を調査把握し、問
題を検討し、政策の意見を提出する。外事工作や外国人の重要な情況、動態
の問題を総合的に報告する責任を負う。外事工作の宣伝をする責任を負う。
全市翻訳を系列的に初中級階級の物は審議し、高級階級の物は推薦する責任
を負う。全市外事幹部業務を育成し訓練する責任を負う。市所属の関係部門
と各区、県(市)の外事工作の日常連絡の責任を負う。
② 友好都市処
世界各都市の中で我が市と共通点のある都市の情況を調査把握し、併せて
国外都市と友好都市或いは友好交流都市関係を結ぶ相談をし、その業務を請
け負う責任を負う。指導者と関係部門に情報を提供するため友好都市チャン
ネルを通して、関係部門と単位が国外友好都市と交流合作をするための橋渡
しをし、指導者が国外友好関係の市所属単位と友好交流と合作活動を展開し、
積極的にチャンネルを利用して国外先進技術と知力を引き込む。我が市の国
外友好都市政府の日常連絡業務の責任を負い、市指導者が団を率いて友好都
市を訪問する際の組織と準備の責任を負い、併せて関係方面と適切に処置を
する責任を負う。外国友好都市指導者が率いる団を接待し、派遣される協商
団や関係重要人物の連絡窓口の責任を負う。国外友好都市と大型活動を画策、
組織、実施する責任を負う。友好都市間の各種交流の連絡協商、確定項目交
流、交流計画の制定および組織、実施の責任を負う。市所属県(市)の国外
18
友好都市あるいは友好交流関係都市間との交流合作活動の管理と協調の責
任を負う。友好都市の友好組織、友好人士及び産業、金融界人士の調査研究、
交流記録と重要人物のカードを築き上げ、市指導者に対して関係資料、情況、
意見を提出する責任を負う。
③ 総合礼賓処
市所属の各関係部門と単位、各県(市)の外賓接待工作の管理、協調、指
導と服務の責任を負う。来杭重要外賓の接待工作の責任を負う。友好都市、
友好協商系統を除く臨時来杭による訪問、面会等の外賓接待工作の責任を負
う。我が国に常駐する臨時来訪団、外国記者の我が市参観、上告、管理業務
の責任を負う。関係部門と本市重点渉外参観単位の管理と業務指導の責任を
負う。関係部門と協力し我が市の外国人専門家、留学生、実習生、「三資」
企業の外国籍人員の管理を適切に行う。関係部門と協力して渉外事件進行調
査をする。外国駐在大使館、領事館の公務と連絡、接待、領事館人員の来訪
の責任を負う。
④ 出国管理処
上級機関が公務出国の各政策、規定を貫徹執行する。本市の公務派遣出国
工作を統一的に管理し、市の管理しない出国任務を審議し、我が市副省級指
導者および省幹部の出国手続きをする責任を負う。市政府権限内の公務出国
任務の関係手続きをする。部門をまたぎ、地区をまたいでの公務出国組織団
の確認審議等の事項の責任を負う。香港、マカオへ行き、学んだり、教えた
り、合作研究したり、長期駐香港企業の人員の報告手続き及び上記人員の配
偶者が香港、マカオへ行くことの手続きをする。職権範囲内の外国人来訪の
招待電報を審査及び請負をし、在外留学人材と中国人専門家の中国への長期
間(2∼5年)の多次ビザの電信をする責任を負う。全市の関係招待工作進
行指導と協調の責任を負う。審査、関係する渉外公証書の領事認証を審査し
代理処理をする責任を負う。本市の公務出国人のパスポートの申請、保管、
使用及び外国ビザ申請の責任を負う。全市パスポート、ビザ専門員の業務の
育成、訓練の責任を負う。関係部門と協力し、公務出国、香港、マカオ管理
工作の中の電報、パスポート使用、外国ビザにおける重大な誤記、規則違反
を明らかにし処置する。
⑤ 杭州国際交流服務中心
授権により全市公務パスポート、ビザの手続きを代行する。各部門、各企
業単位が国外考察交流するための橋渡し、交流項目の連絡、行程と国外接待
の手配をする。市政府の関係部門が各種交流活動をするのを手助けする。市
政府の関係部門が専門課題の研究討論会開くのに力を合わせる。杭州市経済、
貿易、文化、体育、科学技術、都市建設、環境保護、金融等の方面の対外交
19
流のために情報提供し、対外交流のルートを切り開き、国外への連絡、接待
の責任を負う。
⑥ 市友好協会弁公室
杭州市人民が世界各国各地区の人民との間の相互理解と友好を促進し、友
好交流活動と合作を展開する。世界平和を保ち、積極的に対外民間交流を展
開し、国外民間と組織し、友好団体及び人士との友好合作関係を発展させる。
各区、県(市)と単位が国外の都市、町及び単位とが友好交流関係と各種形
式の友好合作をするために情報を提供し、橋渡しをし、指導援助する。各種
外国来訪団を接待し、各種代表団の対外訪問活動を組織し参加する。
3
外事弁公室と岐阜市との関わり
外事弁公室は諸外国との窓口的な役割と居留外国人の管理が主な責務である。
外国企業および外国人は杭州市内で経済活動においては全て外事弁公室(ある
いは外事経済貿易局)の管理下に置かれる。外事弁公室は外国企業の誘致(投資)
を強力に推し進めており、昨年7月の王国平主任による投資誘致活動以降はそ
れまでの 469 企業から既に 500 社以上の投資企業に増加している。
主要業務の⑩にあるとおり、外事弁公室は外資企業の外国籍人士を管理して
いるわけであり、岐阜市の企業(に関わらないが)が杭州市へ進出を図る場合、
いずれ早い時点で外事弁公室に話が伝わるわけであり、それならば友好関係を
生かして予め相談を持ちかける方が得策であると考えられる。
また経済以外の交流においては様々な交流があるが、特に青少年との交流を深
めていくべきである。将来を担っていくのは青少年たちであり、彼らが若い時
に交流をし、例えばホームステイなどをして友好を深めれば、彼らの時代にな
った時にその時の強い友好関係が生かされ、お互いの経済、観光、文化の面で
発展していくことであろう。
20
七.経済委員会の業務
全市工業経済と協調経済運行の市政府組織部門
1 主要職務
① 全市工業経済の運行態勢の監視と分析、工業経済の日常運行を調節する。短
期工業経済運行調整目標、政策を提出し、実施する。組織が工業経済運行に
おいて重大な問題にぶつかったら解決し、市政府に意見を提出する。
② 国家、省の産業政策を貫徹し、地方性ある産業政策と専門的な産業政策を制
定、実施し、執行情況を監督、検査する。産業構成の調整を指導し、重点業
種、重点産品の調整案を研究する。研究が確定したら、組織は大型企業集団
と重点骨幹企業に育てる。
③ 組織に工業方面の総合的な経済法規、規則の草案と政策の起案を受委託、審
議を経た後実施する。経済情報を収集、整理、分析、発布する。
④ 全市郷鎮企業の業務を系統的に管理する。
⑤ 全市の省エネルギー化と電力行政管理の責任を負う。全市エネルギー、原材
料等重大建設項目の関係する部分の管理をあずかる。重要物資の緊急的な調
整と総合的な運輸の協調を図る。
⑥ 競争性ある業種の投資構造を研究、企画し、定期的に投資項目を公布する。
国家、省、市の関係政策の技術的変更項目を報ずる責任を負う。全市重大技
術改革項目の組織を指導する。政府割当金以外の工業企業投資と商業性ある
銀行貸付の方向を指導し、市発展計画委員会とのつり合いを取る。工業企業
に国外貸付および投資の利用を提供する。研究して工業企業に国際市場の開
拓を提起し、市場の多元的な戦略の政策意見を提起し、工業企業の国際化経
営を指導し、生産企業の国外加工を指導し、業務を整備する。全市工業企業
の反ダンピング、反助成計画を調査する責任を負う。組織が協調して、外国
貿易における貨物運送と工業の重要展覧会活動をする。
⑦ 関係部門と共同で市場経済の秩序の整理と規範づくりをし、関係政策を提起
する。全市工業流通体制の改革を研究、指導し、市場体系を発展させ、完全
なものにする。市発展計画委員会を関係国家経済と人民生活の大口の重点工
業品と原材料の輸出入計画の編成を経済運行状況進行計画に基づいて調整
し、市発展計画委員会へ報告する。全市シルク工業を協調する。
⑧ 広く各種経済成分の工業企業を指導し、工業企業の行為を規範に合わせる。
研究して全市国有工業企業改革の方針、政策を提起し、企業改革の中で重大
な問題を協調して解決し、国有工業企業の戦略的改組の実施を指導し、現代
的企業制度の建設を推進する。国有工業企業の管理し、欠損を挽回し、企業
21
の負担を軽くし、関係部門と協力して再就職へと導く。工業企業への直接的
な融資をあずかる。中小企業の改革と発展を指導する。企業内部の法律顧問
を組織し管理する。企業管理人の教育を指導する。
⑨ 工業企業技術進歩の方針、政策を研究し、技術創作、技術引き込み、重大装
備の国産化と重大技術装備の開発を指導する。研究して全市工業企業に高新
技術改造伝統産業の政策措置の運用を提起し、全市工業企業高新技術発展お
よび高新技術改造を運用して伝統産業の企画を制定する。
⑩ 市安全衛生監督管理局、市工業行業管理弁公室を管理する。
⑪ 市政府の指導によるその他の事項を請け負う。
2 各処の業務(主な処)
① 弁公室
委指導者を補佐して機関の日常政務を処理する。健全な機関を建立し、各
規則、制度を制定する。委機関秘書として重要会議、政務情報、文書保存、
機密、陳情、資産、接待、行政後方勤務等の責任を負う。直属単位の財務と
国有資産管理を指導する。委機関と委所属各部署の内部監査の責任を負う。
② 対外経済処
全市工業企業が利用する外国商業投資技術改造項目の審議、審査、管理の
責任を負い、工業企業が利用する外資工作を指導する。工業企業の対外経済
貿易発展企画を制定し、輸出企業を教育し、企業と協力して外事貿易の問題
を解決する。企業の国際化経営、海外投資、国外加工、設備業務を指導する。
企業の対外合作と交流を指導する。関係部門と重要工業品と原材料の輸出入
計画と管理をする。紡織品の受動的割り当ての報告の責任を負う。全市工業
企業の反ダンピング、反補てんの調査をする責任を負う。市シルク指導小組
と協力して弁公室の日常業務を担当する。
③ 技術進歩と装備処
研究して全市企業技術進歩、技術引き込みと重大装備の国産化の方針と政
策を提起する。企業技術の新規創出と高新技術産業化を進める。全市重点技
術新規創出と、重大技術の引き込み、消化吸収、重大技術装備の開発、新産
品開発等の項目の実施を指導し、調整する。企業技術の新規創出と産学の研
究連携を指導、推進する。企業の対外技術合作と交流を組織、調整する。区
外高新技術企業の認定と工業区の管理をする。
④ 紡績服装処(市女装発展指導小組弁公室)
22
国家、省の紡織、シルク、服装業種の方針、政策、法規を貫徹し、研究して
本市紡織、シルク、服装業の発展計画と経済技術政策を制定し、産業政策の
実施状況を監督、検査する。業種内企業技術改造と技術引き込みの審議し、
必要項目実施の監督、検査、調整の責任を負う。業種内企業の重点技術新規
創作と重大設備の開発、新製品開発項目の第一審査の責任を負う。業界統計、
分析および業界経済技術指標と市場情報を発布する責任を負う。紡織、シル
ク、服装業発展の重大問題を研究し、意見を提起する。紡織、シルク、服装
業の体制改革に参与する。紡織、シルクの輸出割り当て決定前の企業報告の
責任を負う。業種内企業の対外経済技術合作と交流活動に参与する。紡織、
シルク、服装業界の協会、学会等社会媒介組織を指導し連携を取る。杭州市
シルク管理領導小組弁公室、杭州市女装発展領導小組弁公室の日常業務を請
け負う。委指導者の指導するその他の項目を請け負う。
3
経済委員会と岐阜市との関わり
経済委員会は杭州市の工業企業の発展と管理をしている。
岐阜市の工業企業が杭州へ進出する場合、対外経済処が窓口となり、またそ
この管理を受けることになる。現在の友好関係をさらに発展し、その関係をう
まく利用することが順調な進出を果たす要となる。
23
八.貿易局の業務
1 主要職務
① 国家、省の商業貿易に関する方針、政策と法律を貫徹執行する。受委託して
全市商業貿易業務の法規を起草し、審議を経て実施する。
② 研究して商品流通構成を実施し、外食産業の発展計画を制定する。全市商業
貿易業務を管理する。商業貿易業務の質を監督する。外食産業の等級を審査、
推薦をする。区、県(市)商業貿易業務を指導する。業界、協会等関係社会
組織と連携を取り、また指導をする。
③ 関係部門と国家計画による民生の重要商品の市場調査をし、副食品市場の万
一の危機に備えての基金を使用し、「食料籠」等重要商品の備蓄と供給をす
る。全市商業貿易経済の統計をとり、分析し情報を発布する。
④ 研究して「食料籠」等主要商品で以て、重点的な食品安全の政策措置を制定
し、家畜を殺す業者の管理と殺す行為を監督管理する責任を負う。酒類、化
学危険物の専門的営業を管理する責任を負う。関係部門と協力して、偽物や
劣悪商品の販売行為を攻撃、規制し、消費者と経営者の合法的な権益を保護
する。
⑤ 競売、抵当、貸借、中古品、廃金属回収、民用爆破機材、廃棄自動車回収、
中古機動車等特殊業務の営業許可を審査し、監督管理する。広告業の発展を
指導する。電子サービス業、家庭サービス業、チェーン店、物流、各種商品
と技術の展覧、販売促進活動等新型の業態とサービス方式を管理し指導する。
⑥ 全市流通市場体制と商業貿易サービス企業の改革を研究、指導し、模範的な
流通秩序と市場規則の関係政策を提案する。伝統的商業貿易サービスを改造
し、業態の発展を研究する。
⑦ 商業貿易業務の重大な科学技術開発、技術引き込みと外資、外事経済、外国
貿易及び経済技術提携を指導する。商業貿易サービス業の情報化建設を推進
する。
⑧ 商品市場体系を総合企画し、全市商業貿易サービス業のネットの建設を指導
する。商品市場を培い、発展させ、全市商業特色街区建設を指導する。全社
会貿易サービスの重大活動を、組織し、協調し、指導する。
24
⑨ 各級各種商業貿易人材の教育計画を制定し、商業貿易サービス業の技術等級
水準を制定し、商業貿易サービス業の専門的な就任・就業資格を訓練し、審
議する。
⑩ 市政府によるその他の事項を請け負う。
2 弁公室の業務
局内機関の日常業務の正常運行を総合的に調整する。重要会議の組織と重要
事項の議案、提案の監督する責任を負う。重要文献の草稿の責任を負う。文
書秘密、極秘事項、秘密保持、文書保存、陳情、接待、安全衛生等の業務に
おいて責任を負う。業務の総合的管理の責任を負う。機関の財産管理の責任
を負う。杭州商業経済学会と連携する責任を負う。
25
九.対外貿易経済合作局の業務
≪杭州市対外貿易経済合作局職能配置内設機構と人員編成規定の通知≫により、
杭州市対外貿易経済合作局は対外国貿易、外商投資及び経済合作の市政府組成
分門である。
1 主要職務
① 国家、省の対外貿易、経済合作と外商投資の方針、政策、法律を貫徹執行し、
本市の具体的な措置と実施方法により、関係する地方性法規の草案を受委託
し、審議を経て実施する。
② 全市の対外経済貿易業務を指導し、対外経済貿易の発展戦略を研究し、対外
経済貿易業務の中長期計画と年度計画を組織編成する。対外経済貿易業の統
計を取る責任を負う。
③ 全市輸出入商品と加工貿易を指導管理し、輸出入の物流を調整する。授権範
囲内において、各種対外経済貿易企業を審査し、関係部門と国内企業の対外
経営権を審議する。輸出貨物の生産地と国外経済貿易の「窓口」の建設を調
整、指導する。授権範囲内において商品輸出入割り当ての管理をする責任を
負う。
④ 全市機電産品の輸出入目録及び入札募集を管理する。機電産品の輸出生産体
系の建設を指導する。外国経済貿易企業の技術改造と高新技術産品の輸出を
指導する。
⑤ 全市外資利用業務を指導、管理し、外資利用の政策措置と管理方法を制定す
る。対外商業誘致を一定の系統で管理し、組織する。外商投資項目の規定の
制定及びその変更、外商投資企業の批准証書の発行を審査する責任を負う。
外商投資企業の関係渉外事項を系統的に管理する。外商投資企業が執行する
関係法規及び契約履行状況を監督、検査する。国外経済機構と外商、香港、
マカオ、台湾商で本市駐在常設代表機構を審査、管理する。
⑥ 全市対外経済技術合作業務を管理し、対外労務合作を審査、管理し、国外企
業、経済援助投資合作及び受け入れ及び双方向援助項目等対外経済合作業務
の責任を負う。
26
⑦ 本市国内外での挙行或いは参加する対外経済貿易展示販売会、交易会、論壇
を系統的に管理する。関係する対外経済貿易の調査研究、情報交流、対外宣
伝業務の責任を負う。
⑧ 関係部門と外国貿易発展基金の使用を管理、審議する。中小企業国際市場開
拓資金項目の審査、上申をする責任を負う。外国経済貿易企業の輸出に係る
税還付の指導と審議をする。対外経済貿易企業の経営規模と現代企業制度改
革を指導する。
⑨ 全市対外貿易出国団組の審査と外国商業の杭州での経済貿易活動を招請す
る責任を負う。国外の杭州へ来る経済貿易代表団組を接待する責任を負う。
⑩ 外国経済貿易業の関係する教育、審査、WTO 規則の研究、情報提供をする責
任を負う。各種国際貿易方式、電子商務等の研究を押し広める。
⑪ 出入国検査検疫局、税関、銀行、保険、国税、外貨管理等の部門と外国経済
貿易業務の関係事項において連携を取る。貿易促進会、外商投資企業協会を
指導する。
⑫ 市政府によるその他の事項を請け負う。
2 各処の業務(主な処)
① 弁公室
機関の日常政務を処理する。重要会議の組織と会議決定事項の監督をする。
関係重要文書の草案をする。対外経済貿易出国団組及び外商の杭州へ来ての
経済貿易活動の招聘を審議する。公文書管理、秘書事務、事務自動化、情報
発信、対外宣伝、政務情報、ネットワーク構築、機密、秘密保持、文書保存、
陳情、接待等の事務をする責任を負う。機関の行政後方勤務及び事務所建物
の管理をする責任を負う。
② 対外貿易発展処
全市対外貿易の発展戦略と政策措置を制定し実施する。全市輸出入状況を
監督し、総量平衡、構成等巨視的な意見を提出する。「大貿易」と「市場多
元化」戦略の企画及び段階制ある重点市場開拓の計画を制定実施する。「質
を以て勝利」と「科学技術貿易興業」戦略を組織し、実行する。対外貿易経
営権を審査、上申し、審議批准証書を発行し、企業名称変更の手続きをする。
27
輸出商品の対外広告宣伝業務を管理、指導する。対外貿易懇談会、展覧販売
会、交易会等の参加を指導、組織する。全市貿易の対外開放を指導する。外
国経済貿易科学技術発展と技術進歩を管理する。技術及び高新技術産品の輸
出入の市場開拓と管理の責任を負う。高新技術の引き込みと市内輸出産品の
構成調整を促進する。対外経済貿易企業の改革を指導する。
③ 対外貿易管理処(機電産品輸出入処)
対外貿易業務を指導し、全市輸出入産品を巨視的に管理する。二国間の貿
易関係の事務を貫徹し、国別政策を貫徹する。外国貿易企業の加工貿易と輸
入商品の審査、上申をする責任を負う。輸出商品の割り当て許可証の入札募
集をし、輸出商品の商標管理をする責任を負う。審査して、輸出商品許可証
を上申する。全市輸出入の物流を調整する。機電産品輸出入の中長期発展計
画と年度指導計画を制定し、執行する。機電産品輸出生産企業の技術改造を
指導する。大型プラント輸出項目を管理する。機電産品輸出発展期基金を組
織する。機電産品輸出入目録を管理、調整する。機電産品輸出入割当金額を
管理する。外国貿易の統計を取る責任を負う。外国貿易企業と自営輸出入企
業の輸出入を審議し、評価し、関係外国貿易知識を培う責任を負う。関係部
門と外国経済貿易企業の例年定期検査をする。外国貿易の訴えに対して、各
種貿易紛糾を調整する責任を負う。商務検査、税関、銀行、保険、国税、外
国為替管理等との橋渡しをし、調整する責任を負う。
④ 招商管理処
研究して外国商業投資の発展戦略、商業誘致方法と投資導入を引き込み、
本市利用の外国企業の投資政策を立案する。外招商業務と招商ネット建設を
統一的に管理、指導し、招商計画を編成し、関係招商活動を組織する。招商
資料を収集し、適宜外資の政策を利用して情報提供する責任を負う。
⑤ 外商投資促進処
外資政策の立案に参与し、外商投資の中長期計画、年度計画を制定、実施
する。外資の審議、管理をする責任を負う。外商投資項目の追跡、調整をす
る責任を負う。外資項目の契約、規約を審査し、外商投資企業の批准証書を
発行する。外資利用項目の許可証により、割当額を審議する責任を負う。
⑥ 外商投資管理処
外商投資企業の巨視的管理の責任を負う。外商投資企業の関係法規および
契約を検査し、規定どおりにできているか状況を把握し、発生した問題を解
28
決する。外商投資企業の訴えを管理する責任を負う。外商投資企業の契約、
規定の変更及び取り消しを審査する。外商投資企業の国内外における分支機
関を審議、上申する。外商投資企業が国産設備を買うことの関係事項を審査
する責任を負う。組織して、外商投資企業の例年連合検査をする。外商投資
企業の参加する貿易展覧会、座談会等を指導する。本市外商投資企業の輸出
入審査、評価をし、関係業務の教育をする責任を負う。外商投資の統計を取
る責任を負う。市外商投資企業協会を指導する。
⑦ 対外経済合作処
対外経済合作の地方性政策、中長期計画及び年度計画を制定、執行する。対
外請負工程、労務合作、項目設計情報、対外経済援助、国外投資企業と受入
国際援助等対外経済合作業務を一定の系統にて管理する。企業の対外経済技
術合作の経営権を審査、上申する。対外経済援助項目の実施を監督、検査す
る。国外機構の情報を総合し、交流し、外経項目の統計分析を請け負う。
3
対外経済貿易合作局と岐阜市との関わり
対外経済貿易合作局は外資企業を管理し、また営業権や営業範囲の割り当て
許認可を審議する機関である。
岐阜市の企業が進出する場合、ここで批准を受けないことには何も始まらな
い。こことの繋がりを強くすることが今後の両市企業誘致の大きなポイントと
なる。
なお、この部局は以前大変大きな権限を持っており、悪い言い方をすれば機
嫌次第で外国企業の進出、営業の可否が決まっていた。しかしながら、WTO
加盟により徐々に権限は縮小され、また、国策から外資企業を誘致する業務の
割合が増えてきている。
29
十.旅游委員会の業務
1 主要職務
① 国家、省、市の旅游業関係の方針、政策、法律を貫徹執行する。旅游行政管
理と地方性法規、政策の研究を受委託し、審議を経て実施し、法により関係
法規と政策の貫徹執行を監督検査する。
② 現代化国際風景旅游都市建設発展戦略を研究し、旅游商貿系統の関係業務を
総合的に調整し、都市旅游環境と基盤整備を整備し、旅游交通、ショッピン
グ、食事、ホテル、文化娯楽等各種資源の整合を取り、優位に配置し、企画
指導する。全市旅游情報化建設及び都市旅游総合サービスの効能を強化する
責任を負う。
③ 本市旅游業発展の中長期計画と年度計画を編成し、実施と検査をする責任を
負う。全市重点旅游区域、重大旅游項目の計画、開発、建設、及び旅游資源
保護を指導、整備する。会議を準備し招集をかけ、西湖風景名勝区建設項目
の審査と旅游項目建設案を審議する。西湖風景名勝区、旅游度假区、自然保
護区及び三江両湖一山一河を指導し、重点建設項目の企画を編成し、提案、
審議、批准をする。
④ 研究して国際国内旅游市場開発戦略を制定し、全市旅游印象を宣伝し、重大
招致活動を調整し、市旅游形象推広委員会の日常業務を処理する。全市旅游
誘致促進方案を編成し、資金使用法案を推奨する責任を負う。我が市各種の
旅游宣伝資料を編成、指導する。全市旅游イベント活動に協力的に参与する。
全市重大旅游博覧会及び外来大型旅游推進活動の調整の責任を負う。重要旅
游産品の開発を指導する。旅游業の対外交流と合作の責任を負う。国内外旅
游市場の動態と情報を収集し研究する責任を負う。
⑤ 全市旅游業の管理と標準的な普及の責任を負う。政策措置を研究、制定し、
旅游業の構成の調整を加速する。専門的な旅游経営業務の審議する責任を負
う。ホテルの星ランクを評議する責めを負う。国内旅行社を審査指示する責
任を負う。旅游環境の改善を整備し、景区旅游経営活動の規範を管理し、景
区の等級を評定する。旅游商品の科学的研究と開発を指導する責任を負う。
「中国優秀旅游都市」等の創建と業界の精神文明建設を指導する責任を負う。
旅行業協会を指導する。特殊旅游項目の許可審議をする責任を負う。旅游の
安全管理、緊急救援、保険を調整、監督、指導する。
30
⑥ 全市旅游管理資源の全面調査と旅游業界の統計を取る責任を負う。各種旅游
発展資金を統一して計画的に案配する。旅游業の社会投資と外資引き込みに
参与する。
⑦ 旅游市場の秩序とサービスの質を監督、検査し、旅游投資を受理し、法に基
づき旅游消費者と旅游経営者の合法的な権益を擁護する責任を負う。旅游案
内サービスの責任を負う。
⑧ 旅游業の人的資源の計画と管理を指導する。旅游人材を培う計画を制定し、
専門技術レベルを上げる責任を負う。旅游業界従業員の執行資格の審査とレ
ベル証明書の交付の責任を負う。
⑨ 市政府の指導によるその他の事項を請け負う。
2
旅游委員会と岐阜市との関わり
昨年の 8 月に岐阜市長が杭州訪問した際の王国平主任との会談及び経済交流
会の席上で両市の観光宣伝をすることが確認された。これは、細江市長と王国
平主任との間で交わされた備忘録の中にも謳われている。その後、杭州市は西
湖博覧会の開幕式で細江市長の祝辞と共に岐阜をイメージするDVDを大スク
リーンに放映した。また、岐阜市は私が岐阜新聞に2回寄稿することにより、
杭州市の観光アピールをした。
今後は友好関係をより一層深め、旅游委員会と協力して岐阜市への観光客誘
致を探っていく必要があろう。
31
十一.人事局の業務
人材の人事管理を主管し、人事制度改革の市政府組織部門を推進する。
1 主要職務
① 党と国家の関係する人事業務の方針、政策及び法律を貫徹執行し、全市人事
業務の巨視的な計画、総合管理、監督指導、服務調整の責任を負う。機関、
事業部門の人事制度改革の方案を研究し、人事行政管理の地方性法規の草案、
審議を経て、実施する。行政管理体制改革、機構改革及び人事制度改革に参
与する。
② 研究して全市国家機関と事業部門の職員の総合企画、構成調整、賃金分配の
巨視的政策を制定する。全市国家機関と事業部門の人員計画を編成する。直
属機関と部分事業部門の職員、離退職員の賃金の統一的な放出を審議する責
任を負う。
③ 全市国家公務員を総合的に管理し、国家公務員の各項目管理の政策規定を研
究、実施し、各区、県(市)及び市級機関が実施する国家公務員制度を指導
する。
④ 全市専門技術者を総合管理し、研究して隊伍建設の発展計画と政策措置を制
定する。市専門技術職称制度改革と専門技術職務就任資格評価の総合管理の
責任を負う。専門技術職職業資格制度を推進し、業務執行資格登録の検査、
監督の責任を負う。学術と技術の模範者の訓練と選抜及び政府の特殊手当を
与え、突出して貢献した専門家を推薦、選抜、管理する責任を負う。帰国し
て杭州に定住する専門家や留学生を総合的に管理する責任を負う。企業の博
士後期課程修了者の管理をする責任を負う。
⑤ 全市事業部門の人事制度改革を指導し、研究して事業部門の専門技術者、職
員及びアルバイトの管理政策を制定し、実施する。
⑥ 全市人材資源企画、開発業務、人材流動と人材市場管理の政策を制定する責
任を負う。模範人材市場を発展させる。全市人材仲介サービス機構を総合的
に管理する。全市教師類でない大中専門課程卒業生就業政策を制定し、就業
管理指導する責任を負う。研究して人材引き込みと関係人員調達政策を制定
し、市区に人材を引き込み、また関係人材を調達する手続きをする責任を負
32
う。完全なる人事争議仲裁制度を建立する。
⑦ 全市機関、事業部門の賃金福利業務を総合的に管理する。研究して機関、事
業ごとの補助金水準と管理方法を制定する。完全なる機関、事業部門職員の
福利制度を構築する。事業部門の分配制度改革を指導する。全市機関、事業
部門の退職者の待遇政策の制定と検査を執行する責任を負い、全市事業部門
の退職者の管理をする責任を負う。全市機関、事業部門の職員の養老、失業
等社会保障制度に参与する。
⑧ 政府奨励表彰を総合的に管理し、研究して政府奨励制度を制定する。市政府
の名義でもって奨励表彰制度を遂行し、市級系統の奨励表彰を審議する責任
を負う。市級機関、事業部門の目標責任制の審査に参与する。市政府人事任
免(指導者職務を除く)を請け負う。
⑨ 全市軍官の転職受け入れをし、配置政策を制定し、配置及び訓練計画を制定
し実行する責任を負う。軍幹部の転職を管理する責任を負う。
⑩ 総合的に国家公務員教育を管理する。専門技術者と管理者の継続的管理の責
任を負う。市政府が委託する市行政学院を管理する。
⑪ 統一して全市有能な外国人を引き込む業務を管理し、外国人専門家との協調
を管理する。全市出国訓練を一定の管理系統に集約する。
⑫ 市委、市政府によるその他の事項を請け負う。
2 各処の業務(主な処)
① 公務員管理処
全市国家公務員を総合的に管理する責任を負い、国家公務員制度を完全な
ものにし、全市国家公務員職位分類、登録、審査、職階の昇降、任免、職場
巡視、職場競争、交流、回避、紀律、奨励、懲戒、告訴、辞職等の実施手順
を制定し、実施する。市級機関公務員の転任の責任を負う。
総合的に全市奨励、表彰を管理し、市政府の名義を以て、奨励表彰制度を
進行する責任を負い、国家機関、事業部門の全国及び省級あるいは市級の労
働模範、先進団体、先進職務者の推薦、評価をし、市級系統の奨励表彰を審
議する責任を負う。
市政府人事任免(指導者職務を含まず)事項を請け負う。
33
② 外国専家局
全市有能な外国人引き込み業務をとういつして管理し、全市外国人専門家
を管理する。
全市出国教育を一定の系統で管理する。
中央、省分配の専門項目の経費を管理し、地方財政に専門項目の経費引き
込みを申請、管理する責任を負う。
知力の引き込み項目及び外国派遣教育項目を申請し、指導する。
国際人材交流と合作の関係業務の責任を負う。
市国際人材協会の日常業務を指導する。
34
十二.経済技術開発区について
杭州には国家級の経済技術開発区がある。開発区の中は大きく分けて3種類
あり、一つは大学、一つは総合工業区、そしてもう一つが輸出加工区である。
開発区内には大学が産・学・官の提携を進めるために多く設立されている。
総合工業区は中国内外の企業が工場を建設している。ここでは区外に工場を設
立するより、税金の面、土地代の面での優遇がなされている。一番特徴的なも
のが輸出加工区である。ここは「中国であって中国でない」と言われていると
ころで、開発区内で加工したものを外国へ輸出する場合に限り、輸出税、関税、
増値税が免除される。もちろん中国国内の市場に産品を流すなら、輸出の手続
きが必要となる。簡単に言えば、広大な土地を利用して、安価で土地と労力を
貸し、企業所得税、個人所得税、固定資産税等の税金収入と雇用確保、また従
業員の消費による市内市場活性化のために存在するといえる。中国の経済成長
の重要な柱となっている。
また、開発区に進出する場合の主な手続きが管理委員会で一度に済ませられ
るところが簡便である。一般地域だと労働局へ行ったり、消防局へ行ったり、
衛生局へ行ったり、対外貿易経済合作局、経済委員会などへ行って、複雑な手
続きを踏まなければならない。
土地と人件費が格段に安いということで、例えば松下などは総合工業区で家
電を生産し、国内販売をしている。2005 年から 100%外資企業にも中国国内で
の小売りが開放されたが、これまでは国内で生産しないと国内販売は非常に難
しく、国内販売をしたい多くの外資企業はこの総合工業区にて産品を製造して
いる。
輸出加工区は免税であり、区外すなわち国内流通をさせないために区は金網
で囲まれており、入口で人と物、特に出入りの材料や産品のチェックが厳しく
行われている。産品は区内で輸出の手続きが行われ、包装後シールが貼られて
上海港などへ運ばれる。東芝のノートパソコンなどがここで生産されている。
なお、区内から港へ運ばれる間に産品が消えて、中国国内で販売されることが
ありうる。当然国内産業保護目的である関税の脱税であり、貿易法違反である
がために厳重に罰せられる。
ただしこの外資企業の優遇措置も WTO 加盟により、内外格差の是正を目的に
近年(2006 年とも言われている)奨励類業種を除いて廃止される可能性がある。
その場合でも、現在その恩恵を享受している企業は、そのまま暫定的に優遇措
置を受けられると思われる。
また、一般の地区でも企業所得税率は 33%であるが、外資企業で投資額が大
きかったり、環境配慮型であったりすると、地方政府の独断で減税の恩恵を受
けることがある。
35
以下に経済技術開発区の優遇政策を一覧にまとめてみた。
輸出加工区
総合工業園区
一般
外国から部品の輸入
関税・増値税は免税
関税・増値税は課税
関税・増値税は課税
国内から部品の輸入
輸出税は還付
産品の国外輸出
輸出税は免税
輸出税は課税
輸出税は課税
産品の国内輸出
関税・増値税は課税
増値税は課税
増値税は課税
企業所得税(法人税)
2 免除 3 減のち 15%
2 免除 3 減のち 15%
33%
土地使用料
安い
安い
高い
設置手続き
簡便
簡便
煩雑
輸出入枠
管理しない
管理する
管理する
ライセンス
管理しない
管理する
管理する
税金
*輸出型(製品の 70%以上が輸出)の場合さらなる企業所得税の減免措置あり
36
十三.杭州市民の文化、意識および社会形態について
中国は古くから歴史、文化の面で非常に強い繋がりがある。その最も典型的
な物と言えば文字であろう。中国も日本も文字に漢字を採用している。姿、形
もよく似ている。とはいうものの、やはり中国と日本では人間の考え方、社会、
生活に大きな違いがある。経済においても、交流においてもまず相手を知るこ
とが大事である。日本では普通のことでも、中国では礼儀を失することであれ
ば、何気ない仕草でもトラブルのもとになる。以下に私が9ヶ月間の生活を通
して見聞きしたこと、感じたことを記していきたい。そしてそれらが中国進出
のキーポイントとなろう。
1
学歴社会
中国は学歴社会である。大学卒以上の者と高卒以下の者では基本的にその後
の道が変わってくる。もっとも中国の大学生は日本の一般の大学生とは違いか
なりに勉強をするので高卒以下の者と比べても学があるのは確かである。
一般的に大学卒業者は公務員になるか、あるいは民間企業の営業部門か技術
者になることが多く、その後幹部へと進んでいく。それに対して高卒以下の者
はレストランやショップ等の服務員、現場の労働者となることが多い。
大卒者は特に自己主張が強く、自己の能力を会社に売る意識が強く、就職の
際に好条件を求め、また、常に会社に
対して自己の能力および実績を売り続
け、その価値分の賃金を請求する。割
に合わないと思うとあっさり転職して
しまうところがある。
一方、高卒以下の者は自分の立場を
割り切って(諦めて)、低賃金で馬車馬
のように働く。彼らに他の職に就く気
はないかと尋ねると、
「私には文化(学)
がないから無理」という返事が返ってくる。彼らは毎日 12 時間前後の労働で、
サービス業だと月の休暇は2日、月給 1,000 元強で働く。
日本から中国への進出企業は数多くあるが、管理職、営業職(幹部候補)を
雇う場合は、大卒者以上の者を雇い、能力と実績に応じて評価する必要がある。
営業職は相手のある仕事であり、相手に見下されないためにも、人件費を削っ
て、低く評価したり、安い高卒以下の者を雇ったりするのは得策ではない。中
国の賃金水準からすれば、大卒者を雇っても、日本人を雇うよりはるかに安い。
工場やサービス部門の労働者は高卒以下の者を雇うのが一般的であるが、週
休制や労働節、国慶節、春節の3大休暇をきちんと与えると、喜んで働く。な
37
お、彼らは安い賃金ではあるが、住むところを用意してあげる必要がある。と
にかくある程度の待遇は用意した方がいい。小さな事でも例えば勤務中の食事
も用意してあげるとよい。弁当がまずいというだけで暴動が起きたという例も
ある。
2
外地人に対する差別
中国では、以前の外国人専用通貨や観光地における外国人料金(両方とも現
在は撤廃)、外国人への規制の厳しさという外国人差別がある。中国での業務進
行では外国人に対する差別が激しく(特に報道関係者)、コネがなければ水も来
ないという有様であった。現在でもこのような情況はかなり緩和されているも
のの少なからずはある。
それよりも激しいのは外地人に対する差別である。外地人というのは、例え
ば戸籍は杭州になく、田舎から職を求めてやってきた杭州在住の人たちである。
彼らの殆どは学歴が無く、上記のような厳しい労働条件の下で働いている。働
くにも外来務工証、身分証、流動人口婚姻証明の3つを揃え、労働部門で「杭
州市外来人員就業登記証」の申請をする必要がある。ところがこの3つの証明
書をそろえるのを怠り、申請ができずに違法な求職活動を行い、詐欺や労働問
題等のトラブルの原因となっている。
また彼らは低い賃金基準を甘受し、社会保障は徐々に整備されつつあるがま
だまだ発展途上なので、保健・医療に対する認識が薄い。医者にかからず、気
付いた時には手遅れというケースが多い。ある病院では、入院の部屋代が払え
ず、病院の廊下で寝ている人がいた。それでもこの人はまだ幸せな方で、貧乏
な人は重病にかかっても医療費が払えずに、じっと死を待つだけだという。本
当に気の毒である。
ところで、仮に都会まで出てきても職が見つからなかったらどうなるか。と
りあえず金がつきるまで何をするでもなく駅にたたずむしかないであろう。杭
州駅に行くと少なからずそのような人たちが見受けられる。上海駅では溢れん
ばかりに見受けられる。
3
貧富の差
政治は共産主義国家であるが、経済は資本主義を導入し、そのおかげで近年
飛躍的な成長を遂げている。とはいっても、都市的に豊かになっているのは上
海、北京を初めとする沿岸の都市部だけで、内陸地は貧しい。内陸地でも都市
部ではなく農村の人たちは更に貧しい。
国民を腹一杯食べさせてこそ共産主義の成果であるがため、農作物は極めて
安く市場に出回っている。そこから換算して農民の収入がどれほどになるか。
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私のよく行くスーパーの店員の話では、杭州では月に 2,000 元稼げるが、故
郷の農村では 300 元も稼げない、と言っていた。それほど農村の生活は厳しい
上に、政府が汚職で儲けているという現実がある。農民の暮らしが向上しない
のに、政府は汚職で肥えていくことがよほど気に入らないのだろう。近年は各
地で農民の暴動が起きている。共産党政府もさすがに公務員の汚職には最高で
死刑を含めた重罰を科すと定めた。
一方富裕層は潤沢なお金を持っている。ほとんどは会社の社長で、開放後の
成功者たちである。中国は日本と違い、社長の一人勝ちである。日本のように
社長、専務、常務、部長、課長・・・という順に賃金が並んでいるわけではな
い。利益は社長が吸収していくという形だ。
富裕層は高級車に乗り、頻繁に友人たちに食事を振る舞い成功者としての気
分に浸っている。
4
自己主張
中国人は自己主張が強い。杭州においてもご多分に漏れず、政府内でも部下
が上司にもの申すことは日常茶飯事である。
自己主張は随所に見られる。例えばレストランで料理がまずい時ははっきり
まずいと言う。店員に聞こえるようにいうどころか、コックを呼びつけて作り
直すように求めることもある。日本文化では考えにくい。
5
曖昧さが無い
国際社会では日本人の好む曖昧さは許されない。中国においてもそれは変わ
らない。要るのか要らないのか、やるのかやらないのかをはっきりしないと、
相手は判断に困り、混乱を招くことになる。
企業が取り引きする際、
「3時頃までに来てください」というと、日本人の感
覚では3時までに訪問することになるが、中国人の感覚では調査にすると、
「3
時半か4時でもいいのでは」という感じになるようだ。3時頃までの頃が余分
な言葉でトラブルを招きかねない。これが納期の話になるととてもやっかいで
ある。
宴席で主賓となった際「何を飲まれますか」と尋ねられたら、ビールなりワ
インなりとはっきり言って、
「何でもいい」という表現は控えた方がいい。相手
を困らせるだけである。
6
面子を重んじる
人間各々面子があるが、この国ほど国民全体が面子にこだわっている国は無
いと感じられるくらい中国人は面子にこだわる。面子を潰されることが最高の
39
屈辱なのである。
中国人従業員を雇って、人のいる前でその従業員を叱るとその人の面子を潰
すことになる。場合によってはその人は退職してしまうこともある。それだけ
ならまだしも、他の従業員もこんな会社にはいられないと言って次々と退職し
てしまう恐れがある。従業員の扱いにも細心の注意が必要だ。
7
医療、福祉
先にも述べたが、経済発展の推進を進める中で医療、福祉の分野での立ち後
れが感じられる。日本のように国民皆保険などというものは存在しない。日本
の健康保険に似たものが公務員にはある。民間企業ではあるところとないとこ
ろがある。あっても日本ほど充実はしていない。富裕層は民間の生命保険に入
る。しかし一般以下のものはどうなるか。風邪を引いた程度なら、仮に医者に
かかってもたかがしれている。重病にかかったら、一族からお金を借りまくる。
中国の病院では診察にしろ、検査にしろ、投薬にしろ、それぞれまず先にお金
を払わないと診てくれない。お金が切れたらそこまでである。たとえ重病で入
院中でも追い出される。
福祉に関しては、最近老人ホームの建設を進めているが、これも金次第。生
活保護、障害者施策、高齢福祉といったものはなく、残念ながら障害を持って
しまったら程度にもよるが物乞いになるしか術がないのが現実である。
8
交通
道路事情は中国へ行ったことのある人ならご存じの通りである。割り込み、
逆走、信号無視は当たり前の世界である。これだけでも渋滞の原因になるのに、
近年多少豊かになってきたため個人で自家用車を所有する者が出てきた。おか
げで、中心市街地は慢性的な渋滞に見舞われている。夜間バスで5分もかから
ないところが朝のラッシュ時には 20 分以上もかかる。
一部の自家用車保有者を除いた多くの市民の足は自転車とバスである。中国
といえば自転車というくらい自転車は多く、また最近はモーターの付いた自転
車(日本の電気自転車のような物)が多く出回っている。公共バスは路線が市
内を網の目のように張り巡らされており、しかも中心部では複数の路線が重な
っており、なおかつ1路線ごとに1時間に5,6本あり、とても便利である。
1回定額で2元ほどである。トロリーバスも走っているが、街路樹に引っかか
る、景観が悪い、迂回ができないなどの理由で衰退していっている。近年よう
やく環境保護を考えるようになり、電車の重要性を理解してきている。そこで
杭州では現在政府が地下鉄建設を検討している。地盤調査により地質的に緩い
ので、なかなか建設までは進んでいないが、2010 年頃までに1号線と2号線を
40
開通させたい模様である。
タクシーも便利である。初乗り4㎞が 10 元でその後 500mごとに1元かかる。
値段が安いので利用率が高い。ただし、夕方5時頃はタクシー運転手の交代の
時間で、退勤するタクシーにはなかなか乗せてもらえない。この時間帯は一番
利用率が高くなるのに何とも不可解である。
他都市への長距離移動は長距離バスと電車がある。バスは全国的に高速道路
の建設が進んでおり、便利になってきている。電車は現在上海まで2時間あま
りかかるが、現在新たな電化工事が始まり、6分ごとの発車、90 分で両市を結
ぶ電車が 2006 年に完成予定である。さらには 2009 年には 2010 年の上海万博
会場−上海南駅−嘉興駅−杭州東駅を結ぶリニアモーターカーを完成させる予
定である。このリニアは全長 169.725 ㎞で上海南駅と杭州東駅を 27.5 分で結ぶ
という速さである。ちなみに見積もり費用は 300 億元で、上海市と浙江省で負
担する。
9
娯楽
杭州での娯楽といえば、老若男女トランプが好きである。街のあちこちで、
特に西湖周辺ではみんなトランプを楽しんでいる。また、トランプをやってい
る人たちを取り囲んで見ている人たちも多い。中国将棋や麻雀を楽しむ人も多
い。
若者の間ではカラオケ(日本のカラオケボックス)やディスコが人気である。
カラオケは一時間 50 元ほどかかるが、大人数で割れば大した金額ではない。デ
ィスコは大きく分けて3種類ほどあり、一流ホテルに入り込んでいる豪華なと
ころは外国人や富裕層対象で、一般の人の手には届かない。一つは入場料は無
料だがドリンクが高めに設定されている店。そしてもう一つは入場料が 10 元ほ
どで、ドリンクも適正価格な店。一般の人ではここを利用する人が一番多い。
41
最近ゴルフ場が建設され、ゴルフを楽しむ人が出てきたがまだ庶民が気軽に楽
しむ娯楽とはなっていない。
都会、田舎に関わらず人気なのがテレビである。中国では元来政治教育の意
味合いから田舎の方でもテレビは普及しており、テレビ局の数も多い。最近は
政治的な番組は少なくなり、ニュース、アニメ、ドラマ、バラエティーの番組
がほとんどである。日本のスラムダンクや名探偵コナン、宮崎駿作のアニメが
大人気である。
10 接待
中国文化は食にあり。中国人は食事好きである。会見の後、会議の後、打ち
合わせの後必ずといっていいほど宴席が用意される。当然主催者側の接待であ
る。企業は何かにつけて契約の場では食事を用意する。ここを忘れるとうまく
いかなくなることがある。
接待の場での乾杯は飲み干さなければならない。下戸であろうと容赦はされ
ない。酒は度量というわけではないが、そこで度量を計るところもあり、また
飲み干さないと失礼にあたる。ただし女性の場合は「随意」と言えば、飲み干
さなくても許される。もしどうしても飲めないのなら、予め断ってお茶を飲む
べきである。最初に一口でも飲んだら、その後は容赦されない。ちなみに食事
中や、食後に契約の話をしたり、調印したりすることがある。酒の席の上での
話だからというのは一切通用しないので注意が必要である。
接待を受けるとお返しということを日本人は考えるが、特に気にしなくてい
い。あとでわざわざ礼品を届けるとそれは逆に失礼にあたる。次に何かの機会
を設けて宴席を開くことでお返しすればいいと思われる。
11 政治問題
政治問題としては、戦争問題、台湾問題、尖閣諸島問題が3本柱である。こ
れらの問題は絶対にこちらから触れてはならない。
これらが大きくは日本政府の対応、小さくても一企業の一担当者の発言でも、
大きくこじれることがある。日本製品の不買運動や日本企業の従業員の一斉出
社拒否の起こる種となる。
私個人経験ではあるが、
「日本人は南京で何をした?日本ではどう教育してい
る?」と尋ねられたことが数回ある。
42
十四.杭州市の市場
1 百貨店
杭州市内には下表の百貨店がある。休日ともなればもの凄い人出である。銀
泰百貨は延安路にあり、化粧品、服装、雑貨、電化製品と様々な物があり、比
較的高級な物から中級品まであり、さらにカラオケボックスや若者向けの珈琲
店等もあり若者に絶大な人気を誇っている。
杭州大厦はビジネスビルと百貨店が共存しており、銀泰百貨に比べると高級感があ
る。ここの地下にはスーパーがあり、日本製品が多く並べられている。ここは若者から
中高年層に人気がある。
杭州解百は A 棟、B 棟とあり、A棟は古く、中も暗い感じがして人出はそう多くない。
B棟は新しく、中も明るく結構な人出である。銀泰百貨、杭州大厦と併せてこの3つの
百貨店が杭州市民に人気のある百貨店である。
杭州連卡佛は世界の超高級ブランドのみ出店しており、価格も極めて高く、まだま
だ市民には受け入れられていないようである。
利星百貨店は以前あったが、2004 年 9 月 9 日をもって閉店した。場所は西湖
に近く、近い将来営業開始予定のハイアットホテル(現在は営業開始)が近く
にあり、周りはレストラン等が並ぶ一等商業地であった。高級品を取り揃える
百貨店はまだまだ大衆の手の届く範囲ではないなという一面を見た気がする。
杭州市内の百貨店
名称
銀泰百貨
備考
比較的若者に人気
杭州百貨
杭州大厦
高級ブランド多い
杭州連卡佛
プラダ、グッチ等の高級ブランド店
解百新世紀商厦
大衆向け
元華商城
西湖時代广場
(銀泰百貨正面入口)
アウトレット店
(杭州連卡佛)
43
(解百新世紀商厦)
2
スーパー
日本のイトーヨーカドー、ジャスコクラスのスーパーとなると現在はフラン
ス系のカルフールと台湾系の好友多等がある。昨年までは杭州でも 100 パーセ
ント外資の小売りが禁止されていたので今のところ少ない。
今年より外資の独資による小売りが解禁となり、現在オーストラリアのスー
パーが建設中であり、またアメリカのウォルマートが進出を計画している。
杭州のスーパーの商品を見ると、食料品や雑貨は品揃えが豊富で安い。日本
のスーパーに比べてやや陳列スペースに余裕があるようにみえる。出入り口は
盗難防止装置及び警備員により厳しくチェックされており、カバンは持ち込め
ず入口のカウンターかコインロッカーに預ける。出る時は警備員に領収書を見
せなければならないので、買い物後に領収書をもらわなかったり捨てたりした
ら大変なことになる。営業状況は人出も多く健全に見える。ただ、某メーカー
はあるスーパーに商品を卸していたが、支払い情況が悪いので、取引をやめて
しまった。
またこれらに比べて少し小さいが、杭州大厦や銀泰百貨等の百貨店の地下に
小さなスーパーがあったりする。ここでは中国特産物や食料品、雑貨が売って
いる。値段も少し高めで、マイルドセブンは街中で 9 元だがここでは 15 元した
りする。家庭用品や食料品を求めるならスーパーや一般商店へ行った方が質に
差がない上に安いので、顧客は少ない。しかし、日本の調味料やカップ麺、お
菓子が売っているので(日本で買うよりかなり高いが)、現地在住の日本人がた
まに利用したりしている。
街中にはあちこちに小さなスーパーがある。とはいっても、規模でいえば岐
阜にある三心を少し小さめにしたものだろうか。狭い分品揃えも悪く、商品を
ぎゅうぎゅうに積み上げてあるので、買い物はしにくい。しかし日常生活で必
要なものは、ブランドにさえこだわらなければ大概揃っているので、便利では
ある。
杭州市内の主なスーパー
名称
備考
家楽福超市(カルフール)
フランス系
麦徳龍超市(METRO)
ドイツ系
易初蓮花超市(Lotus)
タイ系
欧尚超市(Auchan)
フランス系
楽購超市(HyperMart)
物美文一店
44
好又多超市
台湾系
百安居(B&Q)杭州
イギリス系ホームセンター
WATSONS
ドラッグストアー
杭州大厦地下1Fスーパー
輸入品が多い。日本製のお菓子が充実
(カルフール)
3
個人商店
杭州市内に個人商店は多い。大通りではないが、その次に人通りの多いとこ
ろに服装店、雑貨店、食料品店、食堂、美容院等が建ち並んでいる。商品は粗
悪ではあるが、ブラウス1着 10 元、ラーメン1杯4元というように価格が極端
に安く、庶民の日常の買い物の場となっている。
ところで杭州の人は洗髪するためだけによく美容室へ行く。20 分くらいしっ
かり洗髪してもらった後、耳掃除、手・腕のマッサージ、背中・肩・首のマッ
サージと合計1時間以上かけてしてくれる。ちなみに料金は 10∼15 元くらいと
お値打ちである。
4
専門店街
① 武林路女装街
女装の街杭州を代表する市場である。道の両脇には女子服装店がズラリと
並び、ところどころ喫茶店(茶館、珈琲館)があり、映画館やレストランも
配備された通りである。店舗は 600 店くらいある。
近年、ここを観光地化し、地元客以外にも多くの外国人が訪れるように西
湖からこちらの方に自然と足がむくような街づくりをしていきたいと計画し
ており、西湖との接点である南部を歴史文化街として築き始めている。
ここらの店に並ぶ商品は低級な物から中級程度の商品がほとんどである。
2002 年に政府が「女装の都を建設」をスローガンに掲げ、ここでは管理委員
会が設けられ、広告活動をしたり、安全活動をしたりしている。一般的には
45
仕入れをして売るが、国内有名ブランドは自分で製造し自分で店を構えて売
っている。
ちなみに出店料は 4000 元/㎡/年である。
(武林女装街のある店舗内)
(武林女装街の略図)
② 四季青批発市場
中国語の批発とは卸売りのことを意味する。卸売市場ではあるが小売りも
できる。杭州市最大の服装卸売市場で、中国2番目(1番は広州にある)の
大きさである。扱っている商品の質は圧倒的に低級品が多く、1,000 種類以上
のブランドがある。朝4時∼7時くらいが商売のピークで、全国各地の小売
店が買い付けに来る。服装関係が主であるが、服装の他にも建築資材、自動
車部品、電機部品、農産物等も扱っている。年商は表向き 55 億元である。基
本的には小売商と年間契約を結び出荷価格を決める方式が多い。一日平均 10
万人が訪れる。
建物は古く、造りも継ぎ接ぎ状態で、空いたところ空いたところに新しい
店が入ってくるので、商品カテゴリーによる店舗配置が滅茶苦茶な状態であ
る。政府の指示により目下大改装計画中で、市場の整理を模索中である。
日本の企業もここで大量に安く仕入れ(T シャツ1枚 10 元くらい)、日本
へ輸出している(日本の市場に並ぶと 1,000 円くらいになるらしい)。中には
外国ブランドも進出している。もっとも今のところ中国で生産した商品ばか
りであるが。
参考に岐阜のアパレルが進出することについて尋ねたら、現在のところは
圧倒的に低級品が多く相応しくないが、将来的には高級ブランドも扱ってい
きたいという希望もあり歓迎された。
46
(四季青服装集団)
(四季青批発市場内)
③ 電子市場
コンピュータ本体や部品、CD、VCD、DVDを専門的に扱った市場で
ある。
ちなみにここでDVDを買うと1枚5∼10 元(買う枚数や交渉により変わ
る)ほどである。どう考えても海賊版であろう。WindowsXP は 20 元も出せ
ばおつりがくる。
④ 呉山夜市
友好飯店近くにある夜店で夜の7時から 10 時まで営業している。扱ってい
る商品は小物や雑貨から、高級ブランド時計やバッグまで様々である。ここ
は地元の人よりもどちらかとういうと観光客向けである。はっきり言って偽
物市場なので政府関係当局は存在すら認めないが、旅游委員会のホームペー
ジに載っており、しかも婉曲的に偽物があるということを謳っているところ
が何とも不思議である。
⑤ その他
その他にも、シルクを専門的に扱った杭州中国シルク城や現代風をイメー
ジした信叉坊商業歩行街などがある。
47
十五.岐阜アパレルの杭州市進出について
1.中国アパレル業界の現状
中国のアパレル製品はその安さから世界に向けて大きく輸出している。近年
は質の向上もありその輸出量も年々飛躍的に伸びてきている。2003 年の中国ア
パレル業界の総生産量は 98 億 4,300 万件、年間輸出総額は 804 億 8,400 万米ド
ルに達した。
中国は WTO 加盟による外国輸出を年々増しているが、特に 2005 年 1 月 1 日
からアメリカへ輸出(アメリカ側の輸入枠撤廃)することが可能となり、いよ
いよ世界へ向けてアパレル製品の市場占有を始めようと目論んでいる。彼らは
3年後には世界のアパレルシェアの 30%は中国製品になるだろうと予測してい
る。このような流れの中、中国政府は諸外国に配慮してかアパレル製品に輸出
税を課税した。
2.杭州人のアパレルに対する意識
杭州市民がアパレル商品に関して購買動機、購買店舗、服装にかける可処分
所得、服装選択の重視店等を調査した。調査方法としては、杭州市一のメイン
ストリート(商業区域)である延安路にて無作為抽出のもとアンケート用紙に
記入してもらう方法を採った。
以下にアンケート調査結果(回答総数 66)を記す。
① アンケート調査項目および各項目有効回答数
アンケート
性別:
男
27
女
39
職業:
年齢:
1 服装に対する見解を教えてください。(複数回答可)
流行に左右されない
21
自分の好きなものなら価格は厭わない
22
自分の服装に対して他人の目がきになる
10
価格が安いかだけを考える
3
他人の服装(着こなし)が気になる
10
他人と同じ服装はしたくない
21
ブランド品が好きである
17
流行品が好きである
8
2 衣服を買う時、買う店はどのように選びますか。(複数回答可)
数店舗回って比較する
36
自分の気に入るまで衣服を探す
49
いつも同じ店で買う
10
バーゲンセールの時だけ買う
4
通信販売を利用する
3
家族や友達が買ってきたものを着る
6
48
まず雑誌をみてから買いに行く
2
店員に勧められた物を買う
1
3 あなたの家庭の1ヶ月の総収入はどのくらいですか。
0∼500元
0
501∼1000元
6
1001∼2000元
14
2001∼3000元
14
3001∼4000元
8
4001∼5000元
6
5001∼6000元
9
6001元∼
8
4 1ヶ月に衣服にかける費用はどのくらいですか。
0∼100元
12
101∼500元
23
501∼1000元
13
1001∼1500元
6
1501∼2000元
3
2001∼2500元
2
2501∼3000元
2
3001元∼
2
5 下記の衣服に関して、1着にどうくらいの費用をかけますか。
(スーツ)
0∼100元
0
101∼500元
16
501∼1000元
14
1001∼1500元
7
1501∼2000元
11
2001∼2500元
3
2501∼3000元
3
3001元∼
2
0∼20元
0
21∼50元
7
51∼100元
16
101∼200元
17
201∼500元
16
501∼700元
4
701∼1000元
3
1001元∼
2
0∼20元
0
21∼50元
7
51∼100元
13
101∼200元
25
201∼500元
18
501∼700元
2
701∼1000元
2
1001元∼
2
0∼20元
0
21∼50元
3
51∼100元
9
101∼200元
18
201∼500元
14
501∼700元
4
701∼1000元
3
1001元∼
1
0∼100元
0
101∼500元
11
501∼1000元
18
1001∼1500元
8
1501∼2000元
4
2001∼2500元
8
2501∼3000元
4
3001元∼
3
45
3∼5回
11
6∼9回
0
(ブラウス・シャツ)
(ズボン)
(スカート)
(コート)
6 1ヶ月に何回衣服を買いに行きますか。
0回
7
10回∼
0
1∼2回
49
7 主にどのような店へ衣服を買いに行きますか。(2つまで)
百貨店
45
その他
15
スーパー
9
専門市場
12
個人商店
33
8 衣服を選ぶ時、以下のどれを重視しますか。(2つまで)
デザイン 32
価格 21
品質 38
その他
ブランド 20
流行 11
服装専門雑誌 13
友人の紹介 25
3
9 普段どのような媒体で服装の情報を得ますか。
テレビの CM
7
その他
8
流行雑誌 22
(
)
10 服装類を買うことについて何か意見があれば書いてください。
② アンケート調査結果(%表示をし小数点第 2 位以下は四捨五入)
男女比
男 40.9%
女 59.1%
1
服装に対する見解
1 服装に対する見解
31.8%
流行に左右されない
33.3%
自分の好きなものなら価格は厭わない
15.2%
自分の服装に対して他人の目が気になる
価格が安いかだけを 考える
4.5%
15.2%
自分の服装(着こなし)が気になる
31.8%
他人と同じ服装はしたくない
25.8%
ブ ラ ン ド品が好きである
流行品が好きである
12.1%
自分が服装を選ぶ際、どのようなことに注意するかを尋ねてみた。価格を考
慮せず自分の好きなものを選ぶ、流行に左右されない、他人と同じ服装はした
くないという3点が 30%を超えた。現代では杭州でも服装を個性で選ぶ時代に
なってきたことが窺える。
逆に価格が安いかだけを考える(4.5%)、流行品が好きである(12.1%)は低
50
い値の結果が出た。安ければ何でもいい、流行に流されるといった風潮が感じ
られない結果となった。
2
服装購買店の選択
2 服装購買店の選択
54.5%
数店舗回って比較する
74.2%
自分の気に入る まで衣服を 探す
15.2%
いつも同じ店で買う
6.1%
バーゲン セールの時だけ買う
通信販売を 利用する
4.5%
9.1%
家族や友達が買ってきたものを 着る
まず雑誌を みてから買いに行く
店員に勧められた物を 買う
3.0%
1.5%
衣服を買う店を選ぶ際は、とにかく自分の気に入る物が見つかるまで衣服を
探し、そこで買うといった傾向が顕著に表れた。中国人にある傾向だが、店員
に勧められたからといってすぐ買ったり、雑誌を見たり通信販売をしたりなど
の現物を手に取らずに購買を決める方法はほとんど採らないという結果が出た。
杭州市の服装の大きな市場は延安路と隣の武林路に集中しており、この2つ
の通りをブラブラと歩きまわって気に入った衣服を探すという傾向が窺える。
3
家庭の1ヶ月の総収入
3 家庭の1ヶ月の総収入
0∼500元, 0.0%
5001∼6000元,
13.8%
4001∼5000元,
9.2%
501∼1000元,
9.2%
1001∼2000元,
21.5%
3001∼4000元,
12.3%
2001∼3000元,
21.5%
0∼500元
501∼1000元
1001∼2000元
2001∼3000元
3001∼4000元
4001∼5000元
5001∼6000元
杭州市のサラリーマンの平均月収(ボーナスを含む)は約 1,776 元であり、
51
家庭の総収入としてはやはり、1,001∼4,000 元のあたりで過半数を占めている。
杭州市は都市部であり、さすがに1ヶ月 500 元以下の収入という家庭は見ら
れなかった。6,001 元以上の比較的富裕層も 12.1%と見受けられる。ごく僅か
ではあるがこれらの中には月に 10 万元以上稼ぐ家庭もある。
4
衣服に対する1ヶ月の可処分所得
3で家庭の総収入を尋ねたが、収入が多くても衣服にお金をかけない、ある
いは収入が少なくても衣服にお金をかける人もいる。実際その中で衣服にかけ
られる金額がどのくらいあるかがアパレル進出の鍵となる。以下のグラフがそ
れである。
4 衣服に対する1ヶ月の可処分所得
2001∼2500元,2501∼3000元,
3.2%
3.2%
3001元∼, 3.2%
1501∼2000元,
4.8%
1001∼1500元,
9.5%
501∼1000元,
20.6%
0∼100元, 19.0%
101∼500元,
36.5%
0∼100元
101∼500元
501∼1000元
1001∼1500元
1501∼2000元
2001∼2500元
2501∼3000元
3001元∼
101∼1,000 元の範囲内で衣服を購入するという人が 54.5%と過半数を超える
結果が出た。続いて 0∼100 元(18.2%)、1,001∼1,500 元(9.1%)と続き、こ
れらの範囲内で 81.8%という結果が出た。杭州市民の1ヶ月の衣服の購買額は
0∼1,500 元の間であるといえる。1ヶ月に 2,000 元以上使える人は僅か 9%し
かいない。
岐阜アパレルが杭州に進出する際の価格勝負としては、上記の結果が非常に
参考となる。
上記は衣服全体の1ヶ月の可処分所得を示したが、以下には具体的にスーツ、
ブラウス・シャツ、ズボン、スカート、コートの5品目について実際にどのく
らいの価格の商品を購入するかを調査した結果を示す。ただし、それらは毎月
購入するわけではないので物によっては1着あたりの金額が1ヶ月の可処分所
得を上回っている場合もある。
52
5 衣服1着にかける費用
(スーツ)
(スーツ)
2501∼3000元,
5.4%
3001元∼, 3.6%
0∼100元, 0.0%
2001∼2500元,
5.4%
101∼500元,
28.6%
1501∼2000元,
19.6%
1001∼1500元,
12.5%
0∼100元
101∼500元
501∼1000元
1001∼1500元
1501∼2000元
2001∼2500元
2501∼3000元
3001元∼
501∼1000元,
25.0%
スーツに関しては基本的には 1,000 元以内の商品を購入する人が 53.6%と過
半数を占めた。1,501∼2,000 元の商品を購入する人も 20%近く表れた。
スーツを着用する人は政府関係者なり、民間でもある程度の位の人間であり、
しかも利用頻度が低いので(普段は着用しない)比較的費用がかけられるのと
消費が少ない分単価が高いのではないかと思われる。
(ブラウス・シャツ)
701∼1000元,
4.7%
(ブラウス・シャツ)
1001元∼, 1.6%
0∼20元, 0.0%
501∼700元,
6.3%
21∼50元, 10.9%
201∼500元,
25.0%
51∼100元,
25.0%
101∼200元,
26.6%
53
0∼20元
21∼50元
51∼100元
101∼200元
201∼500元
501∼700元
701∼1000元
1001元∼
ブラウス・シャツにかけられる費用は 51∼500 元の範囲で 76.6%という結果
出た。良くも悪くも一般的にはこのくらいの金額が妥当であると考えられる。
ブラウス・シャツ1着にかけられる費用が 700 元以上の人は 12.6%である。
この 700 元以上というのは日本円で概ね 10,000 円以上の商品という意味である。
(ズボン)
701∼1000元,
3.1%
(ズボン)
1001元∼, 3.1%
0∼20元, 0.0%
21∼50元, 4.6%
501∼700元,
3.1%
51∼100元,
20.0%
201∼500元,
27.7%
0∼20元
21∼50元
51∼100元
101∼200元
201∼500元
501∼700元
701∼1000元
1001元∼
101∼200元,
38.5%
ズボンにかけられる費用は 51∼500 元の範囲で 86.2%という結果出た。ズボ
ンを売るならこの範囲内の金額に抑えることがポイントである。
(スカート)
701∼1000元,
5.8%
(スカート)
1001元∼, 1.9%
0∼20元, 0.0%
21∼50元, 5.8%
501∼700元,
7.7%
51∼100元,
17.3%
201∼500元,
26.9%
0∼20元
21∼50元
51∼100元
101∼200元
201∼500元
501∼700元
701∼1000元
1001元∼
101∼200元,
34.6%
商品カテゴリーが違うので一概には言えないが、ズボンに比べて比較的高い
商品を求める傾向が表れた。ただ杭州ではスカートを穿く女性が日本に比べて
54
遙かに少ない。そのスカートを穿く少ない人たちは比較的富裕層にあると考え
られる。
ミニスカートに関しては、ミニスカート専門店があるにはあるが街中で穿い
ている人はほとんど皆無に等しい。
(コート)
(コート)
3001元∼, 5.4%
0∼100元, 0.0%
2501∼3000元,
7.1%
2001∼2500元,
14.3%
101∼500元,
19.6%
1501∼2000元,
7.1%
1001∼1500元,
14.3%
501∼1000元,
32.1%
0∼100元
101∼500元
501∼1000元
1001∼1500元
1501∼2000元
2001∼2500元
2501∼3000元
3001元∼
杭州は南方にあるが、冬は岐阜市より寒い。よってコートの需要は結構ある。
費用は半数以上の人が 1,000 元以内に抑えているが、一度買えば 10 年着るとい
うことでいい物を買って長く着るという発想もあり 4 分の 1 強の人がコートに
2,000 元以上を費やしている。
6
1ヶ月の衣服購買回数
55
(衣服購買回数)
10回∼, 9.8%
0回, 0.0%
6∼9回, 19.5%
1∼2回, 26.8%
0回
1∼2回
3∼5回
6∼9回
10回∼
3∼5回, 43.9%
1ヶ月の衣服の購買回数は 3∼5 回が一番多く全体の 43.9%を占め、週に 1 回
衣服を買いに出かけるという傾向が表れた。
7
購買店
衣服を購買する際どのような店で購入するのかを調査した。
7 購買店
68.2%
百貨店
スーパー
専門市場(卸売市場)
13.6%
18.2%
50.0%
個人商店
その他
22.7%
百貨店の集まっている延安路で調査したことが影響したのか百貨店を利用す
る人が 68.2%とダントツに多かった。続いて個人商店が多い。個人商店は武林
路に並ぶ女装街や市内各地にある店舗での購入者が多い。
百貨店は価格は高いが物が良く、また、百貨店には日本と違い高級品ばかり
でなく中級品も取り揃えているところから人気がある。中国人に尋ねると「百
貨店」は信用できる、ということもある。
個人商店は価格の安いところから、結構な値のするところまであるが店ごと
に特徴があり、またそのような店が並んでいるところから選択に幅があるので
人気がある。
日本と違いスーパーに人気の無いのは、価格は低いがそれにしても物が悪す
56
ぎる、商品の品揃えが悪い、商品管理が悪いといった理由が挙げられる。
8
衣服選択時の注意点
8 衣服選択時の重視点
48.5%
デザイ ン
31.8%
価格
30.3%
ブラ ンド
16.7%
流行
57.6%
品質
その他
4.5%
品質を重視する人が多く、続いてデザインを重視する人が多い。
品質とデザインが良くてもあとは価格次第ということで、費用対効果を重視
する傾向が窺える。
流行に左右される傾向は少ない。
9
服装情報を得る媒体
9 服選情報を得る媒体
31.8%
テレビ のCM
30.3%
流行雑誌
16.7%
服装専門雑誌
57.6%
友人の紹介
その他
4.5%
服装情報を得る媒体としては、友人の紹介というのが 57.6%と最も高かった。
次いでテレビのCM、流行雑誌と続く。服装専門の雑誌を見て購買する人は
16.7%と低かった。
選択肢には無かったので特に選ばれることはなかったが、話を聞くとあちこ
ちの店をブラブラ見て歩くという傾向が特に強い。
10 服装購買に関する意見
服装購買に関する意見を以下に示す。
57
・ 衣服を買う際にデザインが最も重要であるが、当然それが体に合うか生地
はいいのかということが大切である。
・ まずはデザインと生地を重視し、次いで価格を重視する。
・ まず品質を見て、次いでデザインが新しいかを見る。そして価格が一般的
であれば受け入れられる。
・ 自分の好きなデザインの商品がたくさんあるといい。
・ デザイン、生地、色彩、技術を重視し、簡素でけばけばしくない物を好む。
・ 婦人服を買うのに百貨店等の大型店ばかりが必ずしもいいとは限らず、小
型のショップでも独自性があったりして自分に合った服が見つかったり
する。
・ デザインは新しい物、生地は質の高い物、加工は技術の高い物、ブランド
力のある物が欲しい
・ ブランド品は高すぎて手が出ない。
11 まとめ
服装を選択する際の重要事項は個性あるデザイン、優れた品質を重視し、そ
の中で価格に見合った物を選ぶ傾向が窺える。また、服装を買う店としては百
貨店や個人商店に人気がある。
岐阜アパレルが杭州で服を売る場合は、個性あるデザインで上質の物を提供
し、それに見合った価格を付けることに注意すべきである。ここで注意したい
のはこの場合の価格はあくまで中国人の価値観による価格である。上記のアン
ケート結果を参考にしたい。
売り場としてはやはり人の集まる延安路か武林路に店を構えるか、百貨店に
出展するのがいいと思われる。
3.岐阜アパレルの杭州進出方法
岐阜アパレルが如何なる目的で杭州へ進出するかによって方法が異なってく
る。大きく分けて次の5つが考えられる。①杭州で生産し中国国外で売る。②
杭州で生産し中国国内で売る。③杭州の企業と合弁で生産販売を行う。④日本
で生産し中国で売る。
①杭州で生産し中国国外で売る。
これは完全なる加工貿易である。あらゆる経費を加味すれば経済技術開発区
(輸出加工区)において生産する方法が一番よい。現在の進出方法はこれが一
番多く、一般的である。
58
②杭州で生産し中国国内で売る。
この方法だと、輸出入における通関権はいらない(もっとも素材を輸入する
場合は別の意味で必要だが)。また販売割り当てもなく、販売取得権も容易に取
りやすく比較的簡単に市場に産品を出せる。市場に出す方法は直売方式と卸方
式がある。
一般的に中国では SPA 方式が主流であり、生産したものは直接自分で売る方
法が一般的である。その場合はデパートかスーパーにコーナーを構えるか、店
舗を構えることになる。岐阜アパレルの品質・価格からするとスーパーでは適
当ではない。百貨店か武林路あたりに店を構えるのが適当である。先にも紹介
したように武林路では現在観光地化を図っており、今後楽しみな場所ではある。
バイヤーを通じて産品を卸す場合、一般的なのは四季青批発市場に流す方法
が一般的である。ただし先にも紹介したようにここの取り扱い産品は低級品が
多く岐阜アパレルが相応しいかどうかは疑問である。その他の方法としては杭
州大厦等の直販以外も扱っている百貨店に売り込む方法がある。
③杭州の企業と合弁で生産販売を行う。
複雑な手続きを排除するにはこれが一番手っ取り早い。ただしこの方法には
2つの大きな問題がある。一つは相手探しで、もう一つは合弁による日中間の
摩擦である。
相手探しでは、ここで一つの企業を紹介したい。万事利服装集団である。中
国の4大服装メーカーの一つであり、国内販売、海外貿易から旅行業まで手広
くやっている。合弁形態を取れば、彼らの貿易に関する権利、販売網を利用す
ることができとても便利である。彼らは資金、工場、販路は持っているが、技
術と生産管理に問題があるという。日本の優秀な技術と管理方法を学びたいと
いうのが本音である。技術・管理の提供の代償として中国の広大な市場を手に
入れられる。この合弁をもし進めるならこれらを天秤に掛けることになろう。
合弁における日中間の摩擦問題が過去によく発生している。経営の実権をど
ちらが握るかの問題である。以前ほどではないが中国国内でケンカして中国人
に勝つのは容易ではない。中国に進出するなら 100 パーセント独資でやれとい
う人も多いくらいである。ただし、何のノウハウも市場もない状態での独資は
難しいので、結局は合弁形態を取ることになる。合弁するなら 51 対 49 の出資
割合でもいいので、相手より多く出資することをお勧めする。
④日本で生産し中国で売る。
現状では実はこれが一番難しい。
この場合は自分で売るか、バイヤーに売るかの2つである。
59
自分で売る場合は、通関権と販売権を確保する必要がある。2005 年から外資
100 パーセントでの小売りが可能とはなったが、手続き上これらを取得すること
はとても煩雑である。また取得しても店舗を構えなければならない。
バイヤーに売る場合は、まずバイヤー探しをしなければならない。中国製品
を海外へ輸出するバイヤーは山ほどいるが、海外の衣料品を中国に輸入するバ
イヤーは非常に少ない。それは、手続きが非常に煩雑であるということと、価
格において市場競争ができないことにある。例えば、オンワード樫山などは上
海で積極的に販売を展開しているが、実際自社(現地法人)において販売をし
ている。
以上のとおり主に4つの方法があるが、私見としてはまず杭州で自ら商品を
売り、岐阜アパレルの商品価値を知ってもらうことである。そして質の良さを
アピールし、ブランドを周知させることが先決であると考える。そこで市場の
評価を得られれば、中国でのビジネスが広がっていくことと思われる。
なお、中国で商標登録する時は必ず漢字で登録しなければならない。英語を
併記しても差し支えない。オリベスクに適当な漢字を当てはめる必要がある。
4.岐阜アパレルは売れるか
はっきり言って現在の所得情況で、例えば1着 1,000 元でブラウスを売ろう
とすれば無理がある。先にも述べたが中国では平均収入が低いため、感覚とし
ては同じ価格でも日本人の 10 倍であると考えなくてはならない。1,000 元のブ
ラウスは 13 万円で買う感覚となる。また、一般層もお金を貯めては、携帯電話、
MP3、デジタルカメラ等の電化製品にお金を使おうとする。ただ開放後、中国
には信じられないほどの富裕層が発生していることは先にも述べた。もし日本
での価格で中国で売るなら、彼らを対象に取り敢えずは商売をせざるを得ない。
ここでは商品の良さを市場及び顧客にうったえていく必要がある。また、中国
で安く生産し、安く売るなら一般人も対象となりうる。それでも現在の一般層
にはなかなか手は出ないだろうが、
「安かろう、悪かろう」の考えが徐々に中国
人にも受け入れられつつあり、いいものを長く着るということを教えていくこ
とも大切である。中国ではいい評判が生まれると、すぐ伝染するのでうまく宣
伝効果を上げるとよい。その逆もまた然りなので注意が必要である。
将来元の切り上げ、実質的変動相場制の導入や人民の所得が上がってこれば、
当然市場の対象となってくる。それまでに岐阜ブランドを市場に定着させるこ
とが大事である。
中国では日本同様にネット販売が大人気である。ネットで商品を販売するこ
とも手である。ただし支払いの面でのリスクが大きいが。
60
価格の面でのギャップが大きいが、昨年の女装展や西湖博覧会で岐阜の婦人
服を展示したら質やデザインに大変興味を持たれた。また、紙で作った服には
かなりの興味をもたれた。いかにして価格の問題をクリアするかが中国進出の
鍵であるといえよう。
(昨年行われた女子服装展覧会の様子)
中国人はファッションショーが好きである。政府主催のものももちろんある
が、学校や企業単位でのファッションショーも少なくない。また、そのファッ
ションショーには多くの観客が集まり、大盛況である。場合によっては有料で
あったりするのだが。
お金はかかるが、ファッションショーを開催することも大きな宣伝効果とな
りうる。そしてそこで抽選で服が当たるとなればそれこそ大賑わいであろう。
(服装職業高級中学卒業展)
(武林路女装街ファッションショー)
(ある企業のファッションショー)
5.岐阜婦人子供服工業組合と杭派女装協会の備忘録締結
2004 年 11 月 24 日に岐阜婦人子供服工業組合(松原一廣理事長)と杭派女装
協会(吴文宏会長)との間で友好交流合作の備忘録締結がなされた。内容は両
市の婦人服産業を更に発展させていくためにお互いに協力し会うための礎とす
るものである。
この締結を礎に両業界の交流が深まり、中国進出→発展が一層推進されるこ
とを期待したい。
61
十六.杭州市からの観光客の誘致について
2004 年 9 月 15 日よりそれまでの北京市、上海市、広東省に戸籍のある住民
から浙江省、江蘇省、山東省、遼寧省、天津市に戸籍のある住民に観光ビザの
発給がなされるようになった。これにより飛躍的に日本の観光地としての市場
が拡がった。以下に杭州市から岐阜市へ観光客を誘致する可能性を探る。
1
ビザの解禁
従前は招聘状、身元保証人がなければまず日本へ行くことができなかった。
しかし 2004 年 9 月 15 日の観光ビザ解禁により、制度的に日本への観光が可能
となった。ただし、日本に来てからそのまま消え、不法滞在となる中国人が多
いことからもその条件は厳しく設定されている。
まず団体旅行であることで、日本滞在中は必ず団体行動を取らねばならず、
一切の離団は認められない。また、旅行会社は団員全員が帰国しないと罰則が
科せられるので保証金を預かることとなる。従前の訪問でも 7 万元前後の保証
金を預かることもあったが、今回はほぼ全員に対して 5 万元∼20 万元の保証金
を預かることとなった。これは旅行会社や個人によって金額は変動し、旅行会
社が定める物で一律ではない。もちろん無事帰国した暁には全額返還される。
さらに、観光目的の中国人が日本で行方不明となった場合航空会社にも罰金が
科せられるので、航空会社も航空券の販売に慎重になる。
杭州市内の旅行社で日本への観光旅行を扱えるのは以下の 14 社だけである。
社名
浙江海外旅游公司
浙江省中国国際旅行社
杭州招商国際旅游公司
浙江海内外商務旅行社
浙江省中青国際旅游有限公司
浙江中山国際旅行社有限責任公司
浙江省中国旅行社
浙江開元海外旅游有限公司
浙江省金橋国際旅行社有限公司
杭州海外旅游公司
浙江海峡旅行社有限公司
浙江婦女国際旅行社有限公司
杭州市中国旅行社
浙江新世新康輝国際旅行社有限公司
62
ところでそのビザであるが、申請してもなかなか下りない。下手をすると出
発前日まで下りるのか下りないのかが分からないこともしばしばあるという。
それでも下りればまだいいが、下りなければその人は当然行けない。中国では
この場合旅行はキャンセルとなるが、旅行代金は全額返還となる(ビザ申請に
関わる部分は除く)。なお、ビザを申請しても下りない人は1割くらいいるらし
い。旅行会社はその場合航空券やホテルのキャンセル料を被らなくてはならな
い。場合によってはそのおかげで日本での観光地での団体割引が効かなくなる
ことにもなりうる。旅行会社はその辺のリスクを料金に上乗せするので自ずと
日本への観光旅行代が高くなる。この辺りは日本側にも事情はあるだろうが、
日本政府が改善すべき点であるといえる。
2
杭州人の国外旅行先
希望かどうかは別として、実績からすると杭州の人が行く海外の実に 95 パー
セント以上が香港、マカオである。ただ、これらは実際中国であるので省いて
考えていきたい。ちなみに台湾へ観光で行くことはできない。
まず何といっても人気なのが東南アジア。ビザなしで行ける上に、3,000 元程
度で1週間の国外旅行が楽しめる。中国人の所得水準や手続きの煩雑さを考え
ると当然の結果である。韓国も同様の理由で人気があるが、全体的な印象では、
国外旅行に行きたいという動機で行くだけであって、特に韓国に魅力を感じて
いるとは思えない。
ヨーロッパは大人気である。日本でも人気であるが、西洋の文化を味わいた
いという気持ちは強いようだ。また、中国人は遠いところへ行きたいという本
能的な願望もある。しかも、中国はEU諸国と相互観光ビザ(シェンゲンビザ)
発行協定を結んでおり、EU諸国のうち1カ国からビザを取得しさえすれば、
他の EU諸国へ行けるという便利さがある。料金も国際線の航空券は高いが、
現地での滞在費が安いので、場合によっては日本へ行くより安く済むという魅
力がある。
アメリカは現在観光での訪問はできない。商務団が訪問するにしてもその審
査が厳しく、特に同時多発テロ以降はさらに厳しさが増している。しかし、そ
のアメリカも近い将来観光ビザ発給へ向けて開放する方向である。
さて、日本への観光であるが、昔は猫も杓子も日本へ行きたがった(もちろ
ん観光ビザはないので交流や研修の名目で)が、近年は少し下火になってきて
いる。
以前は日本の電化製品や化粧品に興味を持ち、それを買い求めることが大き
な目的の一つであったが、今では中国国内で買い求めることができるのでその
魅力は薄れてしまった。
63
しかしながら、隣国であり歴史的に深い繋がりがあり、日本文化に興味を持
っている人もたくさんあり、市場としての魅力は十分にある。
3
日本の人気どころ
中国人がまず誰でも知っている地名は東京、大阪、北海道、沖縄、富士山く
らいの物である。続いて京都、奈良、横浜、名古屋、広島あたりとなる。あと
は全くといっていいほど知名度はない。よって、彼らが日本へ観光する場合の
ツアーはどうしてもここらへ行くこととなる。
中国人が日本に興味を持つのは、何といっても一番に和服である。これは他
のどの国に行ってもない文化でとても興味を持っている。人によっては今でも
日本人は普段から和服を着ていると思いこんでいる人もいるくらいである(テ
レビの影響による)。例えば中国の観光地にはチャイナドレスや少数民族の衣装
を着せての写真を撮るというサービスがある。私個人としてはあまりこの種の
サービスに興味はないが、そういうサービスが存在し続けるということは中国
人に受け入れられやすいサービスということなのだろう。日本でも和服の着せ
替え撮影のサービスをすると喜ばれると思われる。
次に興味を持つのが新幹線である。せっかく日本へ行ったなら是非新幹線に
乗りたいという願望がある。とにかく速い物、最先端の技術いう物が好きなの
である。しかも中国で新幹線はとても有名である。
富士山にも興味がある。中国人が日本で知っている山といえば、富士山くら
いのものである。中国のあちこちで見かける日本を印象付けたは、和服と富士
山である。富士山を見るのは何故か箱根が多い。風景的にも地理的にも都合が
いいということらしい。富士山は静岡県の物という自負がある静岡県は通過の
辛き目に遇っている。
温泉は私の聞き取り調査によれば、南方の人には興味を持たれている。しか
し北方の人は気温も低く、空気も乾燥しているためそもそも風呂に入るという
習慣があまりない。よって、温泉に興味を持つ人は少ないと、北京と瀋陽の旅
行会社の人にあっさり言われた。
中国と歴史的に繋がりのあるお寺には興味がある。ただし神社は靖国神社の
問題もあり人によっては嫌悪を感じるので避けた方がよい。
日本食にも興味があるが、日本食には生ものが多い。生ものを食べる習慣が
ない中国では、生ものは嫌い、という人も多い。旅の楽しみの一つに食事があ
るが、行くところ行くところ生ものばかりでは興ざめしてしまう。意外とカレ
ーライスやラーメンに人気があるので、昼食はそのような物にするのも手であ
る。夕食は刺身のオンパレードではなく、焼き物、煮物、揚げ物を取り合わせ
ないと人によっては食べるものがなくなってしまう。また、畳に座って食べる
64
という習慣が無く、畳に座って食事をするというのはある意味拷問である。日
本側はテーブル席や掘り炬燵式のテーブルを整備する必要がある。
日本の風景については自然の場合は、富士山を除けば余り興味はあまりない
みたいである。正確に言えば、日本の風景に興味がないわけではないが、彼ら
は中国の方が景色がいいと思っているし、実際スケールでは中国の方が遙かに
大きい。また、杭州の人たちは西湖が世界で一番きれいであると思っている人
が少なくない。
中国人は世界文化遺産を見るのが好きである。世界文化遺産巡りで白川郷へ
行くツアーが存在する。岐阜市の鵜飼が世界文化遺産に認定されれば、強力な
目玉となる。
4
杭州の国際線
杭州では昨年3月に国際線が開通した。日本航空と全日空が成田空港と関西
空港を往復している。残念ながら今のところセントレアの便はない。昨年5月
の搭乗率は両社とも 30 パーセントほどであった。その後杭州線の宣伝効果、日
本企業進出の増加、浙江省民の日本への観光ビザ解禁に伴い昨年 10 月の段階で
全日空が 60 パーセント、日本航空が 40 パーセントほどの搭乗率となった。現
実問題としては、杭州線は杭州に用事のない人には無意味な上に、上海線と比
べてかなり割高だ。上海線は閑散期だと日本発で往復 4 万円前後なのが杭州線
だと 10 万円以上になる。中国発券でもその格差は 1,000 元以上となり、杭州市
民の日本へのツアーが上海から出ていたりする。
ちなみに両社とも現在のところは主に日本人客をターゲットにしており、日
本人に対しての売り込みをしている。両社とも月に1∼2回イベントを開催し
たり、サークルを作ったりして杭州市在住の日本人の取り込みに忙しい。
5
岐阜市へ観光客の誘致
岐阜市へ観光客を誘致するにはまず岐阜市のインフラを整備する必要がある。
また中国における岐阜市の知名度はほとんどないので、人民に認知させる必要
がある。そこらの基本整備をして観光セミナーの開催等をすれば、観光客の誘
致が一層はかどることとなる。
① インフラの整備
岐阜市には、豊かな自然と鵜飼という観光名物がある。先にも述べたが豊
かな自然だけでは客は呼べない。日本各地に豊かな自然はある上に、中国の
自然の壮大さには適わない。また、鵜飼は名物になり得るが、世界文化遺産
の認定を受ければ、名実ともに備わった強力な観光資源となりうる。
65
さて、ここで岐阜市のインフラの整備ではまず交通アクセスである。杭州
から観光客を呼ぶ場合、国際線の関係でどうしても東京と大阪が玄関となり
拠点となる。もしセントレアに杭州からの国際線が飛べば、交通アクセス的
にとても有利な状況となる。
また岐阜市の観光資源を歴史的に支える必要がある。当然岐阜城−織田信
長というラインがあるが、中国で織田信長の認知度はかなり低い。織田信長
のみにこだわらず、中国の歴史と関わる観光資源を見いだし、それをうった
えていくことが得策である。
最後に、中国語の道路表示や観光地における中国語の説明文を作ることで
ある。もっとも世界各国の言語を表示するわけにはいかないが、中国人を観
光客としてのターゲットとするならば中国語表示は必要であろう。旅游委員
会からも強く提案されている。
② 観光セミナー
杭州市に滞在中、いくつかの観光セミナーを見てきた。しかしどれも挨拶
に始まり、DVD で観光 PR を放映し、観光パンフレットを配る程度の物でイ
ンパクトに欠けていると感じられた。対象もほとんどが旅行会社と政府関係
者を集めてのものだった。
まず中国との歴的な関係をうったえること、日本特有の文化を見せること、
多くの人に認知させることの3点が重要であると考える。
観光セミナーをやるなら、例えばセミナー会場を提灯や和傘で埋め尽くし
(これでもかというくらい極端に)、和服を着て岐阜市の魅力を伝える、DVD
で放映するだけでなく、実際に鵜飼をやってみせる(真似事でいい)、岐阜
の特産品を配る等のことをする必要があると考える。
また、セミナー対象者は政府や旅行会社のみでなく広く人民を対象にする
必要がある。まず岐阜を認知させて、住民の方から岐阜へ行きたいという欲
求により、団体旅行が成立するからである。現状では後に示すツアーしか存
在しないのもやむを得ない。
例えば、昨年9月に日本航空は「日中国交回復記念西湖ウォーキング」と
いうものを開催した。これは政府やテレビ局と共同で開催し、平日にもかか
わらず、日本側から 150 人、中国側から 350 人の参加者があった。この時日
本航空は自前で T シャツを用意し、無料で配布した。みんなが日本航空と書
かれた T シャツを着て西湖を歩き、またそれをテレビ局が放映するというこ
とで、多大な宣伝効果があったと思われる。岐阜市もこの大会に乗っかって、
岐阜をイメージする小物を配り(荷物になってはいけない)、岐阜市からも
何人か参加し昼食時には何か岐阜をイメージさせる出し物をすれば、かなり
66
の宣伝効果になると考えられる。小物としては完走時に岐阜の絵はがきを配
るとかいろいろある。この大会では中国側が中国人を集めてくれるので人集
めの手間が省ける利点がある。
③ コースづくり
中国人が日本で興味のあるところを観光コースに入れながら、岐阜市にも
来てもらうコースを考えなくてはいけない。具体的なコース案を作成し、杭
州市内の旅行会社に売り込んでいく必要があろう。
④ 杭州市の観光客誘致活動から学ぶ
(1)奨励金
杭州市旅游委員会は市内国際旅行会社に対して、一定基準の以上の訪問
客を誘致すれば、それ相応に奨励金を出している。中国的経営方式にアメ
とムチがあることは先にも述べたが、これをうまく利用している。
(2)イメージキャラクターの利用
杭州市は女子十二楽坊をイメージキャラクターとしている。昨年 7 月以
降は東京や大阪地区のテレビコマーシャルにも出ている。日本では大人気
の彼女たちであるが、中国では日本ほどは人気がない。明らかに日本人を
ターゲットとしていることが分かる。ちなみに彼女たちは王国平主任の日
本への投資観光誘致活動にも参加している。
(3)日本の旅行会社と手を組む
杭州市は日本の某大手旅行会社と契約を結んだ。契約内容は、研修・視
察の目的で杭州市政府は大手旅行会社の視察団(十数回に分けて、総勢 300
人以上)を受け入れる。杭州市内における一切の費用は旅游委員会の負担
である。しかも宿泊は5ツ星の五洲ホテルである。その代価として、その
某大手旅行社は今年、昨年の倍以上の観光客を連れてくることを約束した。
(4)航空会社と手を組む
杭州市は日本の航空会社と共同でいろいろ企画をしている。企画を遂行
する上での日本人にはやりにくい許可の取得や中国人の人集めを中国側が
やる。航空会社は日本でのツアーを企画したり、日頃から付き合いを深め
ている現地滞在日本人を集めたりしている。これにより、相互利益を上げ
ている。
2006 国際レジャー博覧会に出展する
2006 年に杭州市は国際レジャー博覧会を開催する。これは半年の期間が
あるし、規模が大きいので費用的な問題があるが、岐阜市は出展することに
⑤
67
よって観光客誘致に向けて多大な効果が得られると思われる。
(参考)中国→日本ツアー(日本語訳)の紹介及び注意事項
まばゆい彩りの東海 豪華日本本州6日間
東京・横浜・箱根・京都・大阪
出発:2004 年 10 月 31 日、11 月毎週日曜日
7,800 元/人
杭州市中国旅行社
日程特色
超人気の組み合わせ・ゴージャス感
最も熱い日本の景勝地を巡る/横浜八景島楽園
日本最大のアウトレットショップ/世界遺産金閣寺/新幹線
日程表
日程
ホテル
食事(朝昼夕)
杭州/大阪
第1日
11:30 萧国際空港出発ロビー 3 号門集合、13:55 全日空(NH952)
16:50 関西国際空港到着後入国手続き、バスにて大阪市内へ
江阪東急ホテ
ル或いは同等
×
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
クラス
夕食:日本料理
大阪/京都/豊橋
第2日
大阪城−心斎橋−展示館−道頓堀−新幹線1区間乗車体験−
豊橋日航ホテ
京都世界遺産金閣寺−平安神宮−西陣織和服館
ル或いは同等
昼食:和風ラーメン
クラス
夕食:日本料理
豊橋/名古屋/箱根/富士地区
豊橋-名古屋-箱根-大湧谷-蘆湖畔-平和公園(富士山眺望)−
河口湖或いは
第3日
日本最大のアウトレットショップ御殿場FACTORY OUTLET -ホテル内温泉
石和温泉
昼食:日本料理
夕食:日本温泉火鍋料理
富士地区/横浜/東京
第4日
富士山-横浜-八景島海洋動感楽園(入場料含む)-山下公園−
新宿ワシントン
中華街−レインボーブリッジ−新宿電気街−歌舞伎町
ホテル或いは同
等クラス
昼食:日本料理
夕食:焼き肉、鉄板焼き
68
東京
皇居外苑二重橋−浅草雷門観音寺−仲見世商店街−銀座−
新宿ワシントン
おもちゃ博物館-台場海浜公園-トヨタ自動車展示館-フジテレビ広場ホテル或いは同
第5日
銀河鉄道 999 宇宙戦艦ヤマト号(東京湾遊覧レインボーブリッジ眺望)−
○
○
○
×
×
等クラス
東京タワー−東京ディズニーランド(自費 8,000 円、車+ガイド+入場料)−
昼食:バイキング
東京/杭州
第6日
朝食後成田空港、10:05 全日空(NH929)、12:25 杭州到着
楽しい旅の終了
費用に含まれる物:食事、観光、4ツ星ホテル(温泉は2人1部屋)、国外交通費、中国語ガイド、添乗員
国際線航空券および空港使用税、旅行社責任保険
費用に含まれない物:ビザ代 300 元/人(ビザが下りなくても必要)、パスポート代、個人消費
プレゼント:A.銀河鉄道 999 宇宙戦艦ヤマト号、新幹線乗車体験 1 区間 500 人民元相当
自費:東京ディズニーランド
上記は杭州からの代表的なツアーである。とにかく滅多にないチャンス、行
けるだけ行こうというツアーで、日程的に無理はあるものの中国人の人気のあ
るところを全て網羅したツアーである。
日本7日豪華団
18.800HK$/人
中国旅行熱線
日程表
日程
ホテル
広州−大阪−東京
東京プリンスホテル
第1日
指定時間までに各自国際空港ロビー集合。
或いは同等クラス
添乗員と共に出国手続きをし、日本一の都市東京へ。
東京[都庁−皇居−銀座−秋葉原]
東京プリンスホテル
第2日
東京都庁−皇居前広場−銀座でショッピング−秋葉原
或いは同等クラス
夕食:都内レストラン
浅草−東京ディズニーランド
東京で最初の開発平民区−浅草、7世紀建造雷門観音寺−
東京プリンスホテル
第3日
仲見世商店街、手工芸記念品、食品買い物−
投資 1,500 億円の東京ディズニーランド、入場料含む、
園内の各種アトラクション、昼食各自−夕食:都内レストラン
69
或いは同等クラス
東京−箱根−富士山
第4日
朝食後富士五湖を経由し箱根、富士山眺望、絶景、春:花満開、
新宿ワシントンホ
秋:紅葉、冬雪景色、人生最高の快楽−景色を堪能後大湧谷、
テル或いは同等ク
硫黄温泉、温泉卵(長寿効果)、富士山5合目−夜露天風呂−
ラス
夕食:日本料理
富士山−名古屋−京都
バスにて名古屋−名古屋城−新幹線−京都−嵐山−
京都ホテル或い
第5日
金閣寺、外壁は全て金箔、人を惑わせる清水寺、
は同等クラス
木造の境内からは京都市内及び近郊を見渡せる
京都−神戸−大阪
バスにて神戸−神戸港−神戸大橋−中華街−95 年震災遺跡、
大阪東洋ホテル
当地住民の奮闘精神−大阪城、16 世紀末の大将豊臣秀吉建造−
第6日
或いは同等クラ
日本最大規模のショッピング街心斎橋
ス
夕食:日本料理
夕食後、眠らない街大阪を自由散策
大阪−広州
第7日
朝食後、関西国際空港−出国手続き後、搭乗−広州
これも広州から出ている日本の人気どころ全て網羅した代表的なツアーだ。
飛行機がビジネスクラスなので少し高めに設定されている。費用は香港ドルで
しか支払えないので、必然と対象者は限られてくる。そのため、大阪の夜の自
由行動があるところが特徴的である。
日本本州精華6日間
7,980 元/人
天津中贸国际旅行社
●日程特色
京都は 8 世紀に日本の都となり、19 世紀半ばまで続いた。この約 1200 年の間、京都は日本の政治、経済、文
化の中心として栄えた。このためここにはとても多くの建築文化財である寺社等があり、その中でも清水寺、二
条城等 17 の歴史的な遺跡が世界文化遺産として認定されている。大阪市には大阪城があり、5 階建ての天守
閣を中心として、6 万㎡もの庭園が広がり、春になると桜が満開になり、ここで花見をする人がひっきりなしにや
って来る。大阪の北門である梅田には多くの地下街、地上の飲食店、流行商品専門店がずらりと並んでいる。
日程表
70
食事(朝・
日程
ホテル
昼・夕)
北京/東京
第1日
北京首都国際空港 14:50 搭乗(MU507)−成田空港
成田
×
×
○
東京
○
○
○
箱根
○
○
○
京都
○
○
○
関空ホテル
○
○
○
○
×
16:50 関西国際空港到着後入国手続き、バスにて大阪市内へ
朝食後−ディズニーランド(自費)−台場−トヨタ自動車会館−
第2日
ワシントン広場−モーター博物館−東京湾遊覧船−
レンボーブリッジ、フジテレビ眺望
東京/富士箱根
第3日
浅草、雷門、観音寺−仲見世商店街−皇居、二重橋−国会議事堂−
銀座でショッピング−新宿歌舞伎町−富士山温泉
富士箱根−京都
第4日
和平公園−富士山 5 合目(自費)−大湧谷−新幹線(自費)−京都
京都/大阪
第5日
西陣織会館−平安神宮−大阪城−心斎橋−道頓堀−
関西国際空港
東京/杭州
第6日
関西国際空港、16:15(MU060)、19:45 北京首都国際空港到着
楽しい旅の終了
費用に含まれる物:食事、観光、5ツ星ホテル(温泉は別)、中国語ガイド、添乗員
国際線航空券、保険
費用に含まれない物:ガイドのチップ 40 元/人/日、空港使用税、個人消費
これは、浙江省と共に日本への観光ビザが解禁された天津の旅行会社のツア
ーである。基本路線を踏襲している。
以下に日本へ行くツアーの参加者への注意事項(休閑空間、日本語訳)を掲
載する。受け入れ側としての参考としたい。
●日本旅行手続き須知
ビザの取得及び旅行の正常な進行のために、以下の資料を提出してください。
1. 既にパスポートをお持ちのお客様は20日前までに全ての資料を提出
してください。パスポートをお持ちでないお客様は40日前にパスポート
の申請手続きをしてください。
2. 有効期間が半年以上ある5年の私人パスポートには、最後の頁に本人
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のサインが必要となります。
3. 6ヶ月以内に撮影した帽子を被っていないカラー写真を2枚用意して
ください。写真の裏には名前を書いてください。
4. 本人身分証およびに全家族の戸籍をB5紙にコピーして用意してくだ
さい。
5. 赴日旅游報名表に記入してください。(弊社で用意します)
6. 書類を送付する前に前金3000元を支払ってください。
7. ビザを取得されたお客様は必ず旅行団に随行すれば返還される保証金
5万元か資産を抵当に入れた証明の原本を納めてください。併せて弊社と
「資産抵当保証書」に署名してください。お客様がお帰りになられた後、
(中 国への入国スタンプがある)パスポートを確認して、保証金或いは
資産証明を返還致します。
*個人資産とは:家屋の財産権、個人所有の自動車、有価証券、個人預金等
●訪日旅行注意事項
(一)出発前の準備
1. 必ずパスポート、身分証、航空券、予備のお金を持ってくること。
2. その他必需品:雨傘、防水靴、カメラ、フィルム、電池、サングラス、
日焼け止めクリーム、水着、2寸の証明写真4枚、パスポートのコピ
ー(万一紛失した時にあると便利)
3. 携帯する外貨:1人につき約2000米ドルまで
4. 荷物:1人につき1つまで機内持ち込める。規格は(長さ56㎝、幅
36㎝、高さ23㎝)以内とする。重さは20㎏以内である。
5. 各団員は酔い止め薬を自分で用意し、必要な時に備える。
6. 各ホテルでの日常生活用品の準備状況は同じではないので、各自歯ブ
ラシ、ハミガキ、シャンプー、スリッパ等は準備した方がよい。
(二)食事、宿泊、行楽、遊覧時の注意事項
1. 必ず時間を守り、団の旅程に影響を与えないこと。
2. パスポートと現金は常に身につけるか、あるいはホテルの金庫に入れ
ておく。お金は分散して持ち、買い物の時には大量のお金を人に見せ
ないようにする。
3. 空港、駅、観光地等人の集まるところでは物をなくしたり盗まれたり
しないように注意する。
4. 観光バスに乗る時は、バスの会社、色、ナンバーに注意し、駐車後に
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自分のバスが探せないことがないようにすること。車内はきれいに使
用すること。
5. 電車、JR、新幹線等公共交通機関に乗る時は、会話の声に注意し、
小さい声で話をすること。日本の全ての交通は左側通行である。
6. 大型観光地では自由行動となる時は、必ず集合時間、集合場所をきち
んと覚えておき、たとえ数分でも団を離れる時は引率者か団友に声を
かけること。
7. 夜間、或いは自由時間に外出する時は、必ず連れ立って出歩き(最低
5人)、単独行動は控えること。ホテルを出て街を出歩く時は、ホテル
の名刺を持ち、道に迷った時に利用する。
8. ホテルやレストランの水道水は安全に飲める。
9. ホテルのロビーに到着したら部屋割りを待ち、ルームキーは大切に保
持する。荷物は一般的に自分で部屋まで運ぶ。部屋は2人一部屋、3
人一部屋、4人一部屋で、外出する時には鍵は互いに引き継いだり、
フロントに預けたりするなどして、同室者同士上手に利用する。
10.ホテル内あるいは部屋の外の廊下で大声で騒いだり、だらしのない格
好をしたりしないこと。チェックアウト時には電話代、飲み物代をフ
ロントで精算すること。
11.国外のホテルの利用時には不必要なトラブルを避けるために、ホテル
内のいかなる物をも持ち出さないこと。もし記念に何か欲しければ購
入すること。
12.冷蔵庫内の飲み物を使用しないのなら、固定された位置から取り出さ
ないように注意すること。多くのホテルでは飲料利用自動検知器を使
用しており、一度飲み物を引き抜いたら、たとえ元に戻してもお金が
計上される。また日本のホテルには有料テレビ番組があり、間違いで
も一度確認ボタンを押すと、ホテルは自動的に料金を計上するので、
むやみにリモコンの赤や黄色のボタンを押さないこと。
13.日本の温泉旅館で温泉にはいる時は、必ずまずシャワーを浴びてから
浴槽に入ること。浴槽内で体をこすることは日本ではきわめて失礼な
ことである。
14.ホテルで温泉設備等使用方法がよく分からない時は、ガイドか引率者
に随時尋ねること。
(三)買い物須知
1. 観光することが主ではあるが、もし欲しい物があれば、旅程に影響を
及ぼすので、買うかどうかすぐ決断すること。
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2.
電気機器を買う時は電圧に注意すること。日本国内では110ボルト
で電気機器を使用し、一般的には免税店に売っている220ボルト電
圧電気機器は110ボルトの電圧に変換して使う。
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十七.中心市街地づくりについて(杭州市の街並み調査)
杭州市(市区)の一番の目玉は西湖である。人は西湖に集まるというところ
から西湖を基点にして街づくりが行われている。
まず最大の観光地である西湖の周辺は公園、塔、博物館、レストラン、茶館
などの観光資源である。そしてその周りをホテル、レストラン、喫茶店、茶館、
バー、ディスコなどで取り囲んでいる。
西湖の南側と東側は基本的に山である。よって、街づくりは西側から北方に
向かって造られている。西湖の西側には延安路という大きな道路が南北に走っ
ており、これが杭州一の繁華街である。百貨店、スーパー、ショッピングセン
ター、ホテル等が並んでおり、平日の昼間でも大勢の人で賑わっている。延安
路の南端には河坊街があり、宋の時代の造りを再現した街並みで夜は人出が多
い。延安路の北方の先にあるのが市政府である。
延安路と交わって東西へ延びる道がいくつかある。それらの東側はすぐに西
湖に突き当たる。西側はホテル、レストラン等が続いて、ビジネス街となりそ
の後郊外となっていく。慶春路は銀行が多く建ち並ぶ金融街である。
延安路と西湖の間に武林路がある。ここは女子服装街で先にも紹介したとお
りである。
また、それらを囲うようにして住宅街があり、その間には小さな商店が混じ
る。北方には工場も多い。そして更に西へ延びると経済技術開発区となる。
以上のように杭州市では西湖が一番の観光の目玉であり、自然とそこに人が
集まるため、西湖周辺にレストランや買い物市場を置き、順次ビジネスの場、
生活の場、工場へと拡がっていっている。またバス路線が網の目のように張り
巡らされており、しかも本数が多いので交通は便利である。近年自家用車が増
え続け、駐車場不足もあり中心市街地は慢性的な渋滞に見舞われている。
まだ将来のことであろうが、今後更に自家用車所有率が高まってくると、郊
外の駐車場を完備した大型スーパーへと人が流れ出すというまさに今日本で起
きている中心市街地の空洞化という現象が起こる要素がある。現にそのように
スーパーが郊外にできつつある。
さて岐阜市に置き換えてみると、鵜飼、金華山という観光資源、柳ヶ瀬商店
街、岐阜駅周辺と賑わう所があるが、大きな問題点が二つある。自動車社会に
対応した駐車場完備やバス路線の充実といった交通面での問題と、それらの間
には距離があり、それらを繋ぐ魅力的な要素がないことである。延安路の北部
の杭州大厦、銀泰百貨等の百貨店からショッピング街を廻って南下していき、
その先にレストランや茶館があって、最後に西湖に臨むという流れに見習うべ
き点があると思われる。例えば、岐阜駅前の問屋街に中華街を作り柳ヶ瀬まで
足を伸ばさせる、柳ヶ瀬から岐阜公園周辺までの移動手段として今ある柳バス
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を更に台数を増やしてフル回転させるという基本的な整備をし、線でつながる
中心市街地を作る。その後、それぞれに味付けをして魅力ある活気溢れた街づ
くりを進めていく必要があろう。
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十八.両市企業誘致について
杭州市は企業誘致に積極的である。前述したとおり世界ベスト 500 企業の誘
致に盛んである。世界ベスト 500 企業に関わらず、中小企業といえども進出は
大歓迎という情況である。杭州はフォーブスによると中国の中で一番投資環境
が整っている都市とされ、広大な土地と安い労働力を提供している。昨夏の電
力不足により市内各地で順番に停電し、一時投資の陰りが見えたが、王国平主
任が日本からの投資企業に対しては 100 パーセント電力の供給を保証すると宣
言した。現在杭州市に 500 社近くの日本企業が進出している。
中国側の政府、企業に日本への投資について尋ねてみたが、日本に限らず外
国へ進出する力のある企業はあるということである。しかし、現況では日本へ
の進出は規制が厳しく、また、日本での事業は人件費等経費かかりすぎるため
現実的ではないという回答を得た。岐阜市へ杭州の企業を誘致するにはソフト
面、ハード面の整備が不可欠である。
今すぐに杭州から企業を誘致するということは現実的ではないが、岐阜市の
都市ビジョンを確定し、そのためにどのような企業を誘致すべきかを検討し、
浮き上がった企業を調査し、適正であれば具体的に誘致する方法が得策である
と考える。その場合、一担当者に任せても相手にしてもらえないので、市長を
初めとする市幹部、経済界、自治会との住民が協力して、もしそれが杭州市内
の企業なら友好都市の強みを生かした誘致をするとよい。
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十九.今後の派遣について
来年度でファッション産業活性化室における岐阜市・杭州市の人事交流は一
区切りが付く。その上で、私は将来に向けてその後街づくりあるいは青少年の
活動にシフトしていくことを提案する。岐阜市を魅力的な街にし、経済を活発
にし、観光客誘致をするためには杭州の街づくりが大いに参考になると考える。
もともと中国7大古都であるが、西湖くらいしか観光名物のない杭州が、経済
的に発展し、また観光客をより多く引き込む事ができているのも魅力的な街づ
くりから始まっているといえる。そこで両市の交流の中でヒントを得、岐阜市
をより魅力的な街づくりにする事が大切である。そして魅力的な街をつくって
から次の一歩へ進めることに意義があると考える。その意味で街づくりへのシ
フトを提案する。
また、青少年の交流を活発にすることも大切である。今の青少年たちが将来
の岐阜市・杭州市を担っていくわけであり、今から交流を盛んに行い、彼らが
お互いに多くの友人たちを作り、将来彼らは両市を行き来し、両市の交流は活
発化され、両市が活性化されることであろう。その意味でも青少年交流の基盤
を作るためにも、青少年へシフトしていくことを提案する。
但し一つ問題がある。私はファッション産業活性化室員として派遣された。
だが当然のことではあるが、ファッション関係のみでならず少なからず観光、
環境、教育、農業等にも関わってきた。あくまで私は行政研修の立場で派遣さ
れているので何の不満もないし、むしろ勉強になってよかったと思う。今後は
私以上に様々なセクションからの交流が求められ、また岐阜市の各部門からの
要求を受ける立場になろう。そうした場合日本側も中国側も身動きが取りやす
いように、人事室付けでの派遣にしてはいかがだろうか。
そして人事交流を経た後、杭州市に岐阜市事務所を設立して、あらゆる面で
の交流、サポートができる体制を整えることを最後に提案する。
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二十.最後に
9ヶ月間の杭州市での研修で得た一番大きな物は、多くの友人たちである。
「ホテルにボールペン 1 本忘れたら、空港まで届けてくれる」という言葉があ
るように、中国では友人に対する情がとても熱い。ひとたび友人の枠内に入る
ととても暖かく付き合ってくれる。逆に言えば、まず友人にならないと事が進
まないことも現実である。私は今後この友人たちを大切にしていき、またこち
らからも友人たちに熱い情を持って接していき、岐阜市・杭州市の友好の架け
橋となっていきたい。
もっとも私一人が杭州市と友好を深めていっても仕方がないので、官民問わ
ず様々な分野で多くの人々が杭州を訪れ、交流を広めていくことがとても大切
である。
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