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「みやぎの明治村 とよま」まちづくり計画 (案)

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「みやぎの明治村 とよま」まちづくり計画 (案)
「みやぎの明治村 とよま」まちづくり計画
(案)
平 成 20 年 3 月
宮 城 県 登米 市
「みやぎの明治村 とよま」まちづくり計画
序
1
2
3
目 次
章 計画の策定にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
計画の性格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
計画の期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
第 1 章「みやぎの明治村 とよま」の現況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1「みやぎの明治村 とよま」の観光の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2「みやぎの明治村 とよま」の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1) 歴史資料館の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2) 市観光施設の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3) 民間観光施設・観光産業の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4) 街なみ景観の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(5) 文化財保護制度の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(6) 人材・組織の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(7) 未活用地域資源の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
3
8
8
9
11
12
14
16
17
第 2 章「みやぎの明治村 とよま」の目指すべき姿と整備施策・・・・・・・・・・・・・・
1「みやぎの明治村 とよま」の目指すべき姿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1) 歴史の息遣いを感じるまち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2) 懐かしい味・懐かしいものに出会えるまち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3) 人々の温かな心とふれあえるまち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4) 地域の人々が生き生きと暮らせるまち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 新たな明治村整備施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)「歴史の息遣いを感じるまち」をめざして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)「懐かしい味・懐かしいものに出会えるまち」をめざして・・・・・・・・・・・・・
(3)「人々の温かな心とふれあえるまち」をめざして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)「地域の人々が生き生きと暮らせるまち」をめざして・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 情報発信の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
19
19
19
19
20
20
21
21
24
25
26
28
第 3 章「みやぎの明治村 とよま」まちづくり推進のために・・・・・・・・・・・・・・・・
1 計画推進の主体と役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1) 地域住民の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2) 観光事業者の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3) 観光関連団体の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4) 行政の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 計画推進体制の構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
30
30
30
30
30
30
31
序章 計画の策定にあたって
1.計画策定の趣旨
旧登米町は、平成 17 年 4 月 1 日に登米郡 8 町と本吉郡津山町の 9 町合併により登米
市となりました。登米市には、特色ある景勝地や行楽地、ラムサール条約に指定されて
いる伊豆沼などの観光地があり、四季を通じて多彩な祭りやイベントが開催され、年間
約 220 万人の観光客が訪れています。自然、歴史・文化資源を活用した観光は、本市を
特徴づけ、地域活性化のために欠かすことのできない重要な産業の一つとなっています。
とよま
特に登米地域は、観光に積極的な取り組みを行なっており、市内の通年観光地としては
中心的な地域となっています。
これまで旧登米町では、
『みやぎの明治村』をキャッチフレーズに町内の文化財や街
なみ景観保存整備、登米能をはじめとした伝統芸能の振興など行政と町民とが強い連携
を築きながらまちづくりを行なってきました。
これらの取組みは、観光客等の増加を図り、交流人口を増大させることによって、町
を活性化させようという目標で実施してきたものでした。
『みやぎの明治村』の推進によって事業実施以前にはわずかだった観光客も近年は年
間 20 万人を超える人々が訪れるようになっています。しかし、観光客の増加が観光産
業の振興には必ずしも結びついておらず、観光を地域産業の一つの柱とするには不十分
な状況となっています。
※
一方、高度情報化や少子・高齢化、あるいはグローバル化の進展などにより社会・経
済環境は大きく変化しています。また、人々の価値観やライフスタイルは多様化し、観
光動向でも個人の目的にあわせた旅行企画や、高齢者の旅行機会の増加などによって団
体型旅行から家族や友人を中心とした個人・グループ型旅行への移行が進んでいます。
さらに、近く三陸縦貫自動車道登米インターチェンジ(仮称)の開通が予定され、従
来の観光客誘致を大きく変える可能性を持ったインフラの整備が行なわれるなど、観光
面での環境変化は非常に大きいものがあります。
観光産業は、多様な地域資源の活用によって成り立つ産業であり、地域資源は、自然
資源や人文資源からなる観光資源、旅館や郷土料理店などの観光施設・観光事業に加え、
農業をはじめとする地場産業、さらには観光サービス、ボランティアガイドなどのホス
※
ピタリティサービスも含まれます。
地域の自然や歴史などの多様な資源を活用し観光振興を図ることは、地域に人やモノ、
情報、文化などが集まり、地域の経済活動を活性化させるとともに文化の振興にも大き
※グローバル化
資本や労働力の国境を越えた移動が活発化するとともに、貿易を通じた商品・サービスの取引や、海
外への投資が増大することによって世界における経済的な結びつきが深まること。
※ホスピタリティ
訪れる人を気持ち良くさせることや、モノやサービスが心地よさを与えること。
もともとは、英語で「おもてなし」
「歓待」「厚遇」という意味。
­1­
く寄与するものであり、ひいては地域の人々に郷土への誇りと自信をもたらすものです。
とよま
登米地域におけるまちづくりの柱となっている観光の意義を再認識し、大きな観光資
とよま
源となっている文化財や街なみ景観等の保存や整備のあり方をはじめとして、登米地域
の持つ可能性や地域資源、特性を最大限に生かし、合併した登米市の総合力を発揮する
ことで観光産業のステップアップを図るとともに、これまで築いてきた市民と行政との
連携を更に強固なものとし、市民との協働によるまちづくりの推進体制を確立すること
を目的に本計画を策定するものです。
2.計画の性格
とよま
本計画は、上位計画である登米市総合計画を受け、登米地域の特性を生かした施策の
展開を図るための基本計画であり、市民、観光事業者、観光関連団体、経済団体、行政
が協働のもと、魅力的なまちづくりを推進するための指針となるものです。
登米市総合計画
「夢・大地 みんなが愛する水の里」
地域政策の確立
①地域ごとのまちづくりの推進
「みやぎの明治村 とよま」まちづくり計画の策定
3.計画の期間
本計画の期間は、2008(平成 20)年度から 2015(平成 27)年度までの 7 年間としま
す。
­2­
第1章「みやぎの明治村 とよま」の現況
1.「みやぎの明治村
とよま」の観光の動向
旧登米町では、昭和 60 年代から町内に残された
歴史的建造物や街なみ景観の保存、整備に着手し観
光客の誘致に取り組んできました。
【資料 1:みやぎの明治村整備事業実施状況】の
とおり、昭和 61 年度から平成 16 年度までの 19 年
間に 13 億 3 千万円余りの事業を実施し現在に至っ
ています。その間の観光客入り込み数の推移を見る
と、
【資料 2:観光客入り込み数の推移】のとおり、
事業に着手して間もない昭和 63 年には 9 千人でし
たが、事業着手から 8 年経過した平成 5 年には、19
万 4 千人余りとなり、平成 18 年には 28 万 6 千人余
りと年々増加しています。
とよま
なお、平成 18 年に実施された観光動向調査による登米地域の観光の特徴は、【資料
3:宮城県観光動向調査から見えるみやぎの明治村】に記載しました。
【資料 1:みやぎの明治村整備事業実施状況(街なみ景観整備事業分を除く)】
単位:千円
No
実施年度
1
昭和 61 年度
登米町まち並保存整備計画書策定
昭和 61 年度
旧登米警察庁舎整備事業(警察資料館整備)
~平成元年度
(明治 22 年建造
3
昭和 62 年度
前小路地区
4
昭和 62 年度
2
事
業
名
県指定有形文化財)
門改修及び塀新築工事
事業費
3,000
86,071
3,514
玄昌石の館・壹番館整備事業
(警察資料館脇 地場産品展示即売所等)
9,388
昭和 62 年度
旧登米高等尋常小学校校舎復元保存事業
~平成元年度
(明治 21 年建造
6
昭和 63 年度
前小路地区
門改修及び塀新築工事
4,965
7
昭和 63 年度
前小路地区
門・塀復元保存工事
8,988
5
8
昭和 63 年度
~平成元年度
国指定有形文化財)
懐古館増改築工事
­3­
239,642
41,982
9
昭和 63 年度
教育資料館整備事業
~平成 2 年度
(旧登米高等尋常小学校校舎)
平成元年度
10
~平成4年度
平成元年度
11
~平成 2 年度
平成元年度
12
~平成 2 年度
平成元年
13
14
(春蘭亭整備)
48,409
旧水沢県庁整備事業(水沢県庁記念館整備)
町道前小路線整備事業
119,201
31,560
教育資料館防災事業
~平成 3 年度
平成 7 年度
15,000
(旧登米高等尋常小学校)
登米町伝統芸能伝承館 (森舞台整備)
平成9年
15
武家屋敷整備事業
69,815
~平成11年度
16
平成11年度
17
平成 15 年度
18
平成 16 年度
219,064
寺池城址公園整備事業
90,526
観光物産センター「遠山之里」整備事業
325,458
登録文化財街なみ景観整備事業
(宮城県魅力ある地域づくり事業補助金 A タイプ)
4,318
登録文化財街なみ景観整備事業
(宮城県魅力ある地域づくり事業補助金 A タイプ)
合
計
12,181
1,333,082
【資料 2:観光客入り込み数の推移】
単位:人
区分
昭和 63 年
平成 5 年
9,000
194,100
平成 10 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年
観 光 客
入込み数
198,800
231,711
240,268
275,426
286,861
資料:昭和 63 年から平成 16 年は宮城県観光統計概要
平成 17 年・18 年は合併によりデータがないため歴史資料館の延べ入館者数(平成 16 年までのデー
タと同じ資料)
とよま
平成 18 年登米地域観光客宿泊者数
1,259人
資料:地域内旅館からの聞き取り調査及び森林公園宿泊者数を計上
­4­
【資料 3:宮城県観光動向調査から見えるみやぎの明治村】
□ 誘客範囲
誘客範囲
人数 構成比 %
仙台市
30
11.5
誘客範囲をみると、最も多いのが「仙台市
仙台市以外の宮城県
97
37.0
以外の宮城県」の 37.0%、ついで「仙台市」 青森県
7
2.7
秋田県
5
1.9
と「東京圏」がそれぞれ 11.5%となっていま
岩手県
22
8.4
す。その後に「北関東」が 9.5%、「岩手県」 山形県
5
1.9
福島県
19
7.3
が 8.4%、
「福島県」が 7.3%、
「中部」が 6.5%
東京圏
30
11.5
となっており、誘客範囲が、東北地方から関 北関東
25
9.5
中部
17
6.5
東周辺となっている状況がうかがえます。
無回答
5
1.9
合計
262
100.0
□ 年齢
年齢をみると、「60 歳代」が 24.8%と最も多く、ついで
「50 歳代」が 21.8%、
「40 歳代」が 21.0%、
「70 歳代」と
「30 歳代」がそれぞれ 11.1%となっており、
「20 歳代」と
「20 歳未満」は合わせても 8.4%で県内の他の観光地と比
べて 60 歳代、70 歳代の割合が高い状況となっています。
年齢
構成比 %
20歳未満
0.8
20歳代
7.6
30歳代
11.1
40歳代
21.0
50歳代
21.8
60歳代
24.8
70歳代
11.1
80歳以上
1.9
無回答
0.0
合計 N=262
100.0
□ 同行人数
同行人数をみると、
「11 人~30 人」が 30.2%と最
も多く、ついで「2 人」の 18.3%、
「4~5 人」の 11.8%、
「3 人」の 11.5%、
「51 人以上」が 8.4%、
「31~50
人」が 7.3%となっており、県内の他の観光地と比べ
て 11 人以上の同行人数の割合が非常に高くなってい
ます。
­5­
区分
人数
構成比 %
1人
14
5.3
2人
48
18.3
3人
30
11.5
4~5人
31
11.8
6~10人
19
7.3
11~30人
79
30.2
31~50人
19
7.3
51人以上
22
8.4
無回答
0
0.0
合計
262
100.0
□ 主な交通手段(複数回答)
主 な 交 通 手 段 を み る と 、「 自 家 用 車 」 が
47.0%と最も多く、ついで「貸切バス」が
41.2%となっており、この 2 つで 88%を超え
ています。貸切バスの割合が他の観光地に比べ
て非常に高くなっています。
交通手段
自家用車
新幹線
貸切バス
鉄道(在来線)
レンタカー
飛行機
路線バス
タクシー
バイク
船舶
その他
無回答
合計
□ 旅行の形態
旅行の形態をみると、「宿泊」が 51.9%と「日帰
り」が 47.3%となっており、宿泊する人が半数を超
とよま
えています。登米地域の宿泊者は1千人程度の状況
形態
日帰り
宿泊
無回答
合計
人数 構成比 %
123
47.0
10
3.8
108
41.2
12
4.6
10
3.8
0
0.0
2
0.8
0
0.0
5
1.9
0
0.0
4
1.5
0
0.0
262
100.0
人数
構成比 %
124
47.3
136
51.9
2
0.8
262
100.0
であること及び『立ち寄り先の地名』から他市町村の宿泊施設利用者が多いものと考え
られます。
□ 来訪回数
来訪回数をみると、
「初めて」が 56.5%と最も多く、
ついで「4 回以上」が 22.5%、「2 回目」が 11.5%、
「3 回目」が 8.8%となっています。調査対象の県内
の観光地の中で「初めて」の割合が最も高くなってお
り、比較的最近、観光客が訪れるようになったためと
回数
初めて
2回目
3回目
4回以上
無回答
合計
人数 構成比 %
148
56.5
30
11.5
23
8.8
59
22.5
2
0.8
262
100.0
考えられます。
□ 来訪理由(複数回答)
理由
自然の美しさややすらぎを求めて
温泉や郷土料理を楽しむため
と最も多く、ついで「訪れたい名所・旧 距離が手ごろであるため
以前にも訪れたことがあるため
跡があるため」が 26.3%、
「訪れたい観 訪れたい名所・旧跡があるため
光施設(遊園地や記念館等)があるため」 費用が手ごろであるため
利用したい宿泊施設があるため
が 16.4%となっています。
訪れたい観光施設(遊園地や記
念館等)があるため
交通の便がよいため
業務や商用などのため
その他
特に理由(動機)はない
無回答
合計
来訪理由をみると、
「その他」
が 27.5%
­6­
人数
23
23
31
24
69
5
8
構成比 %
8.8
8.8
11.8
9.2
26.3
1.9
3.1
43
4
10
72
26
7
262
16.4
1.5
3.8
27.5
9.9
2.7
100.0
□ 来訪の際の情報入手経路(複数回答)
情報
友人・知人の話し合い
「旅行業者の案内」が 25.6%で最も 家族や親戚の話し合い
多く、ついで「特にない」が 19.1%、 職場内での話し合い
旅行案内ガイドブック
「家族や親戚の話し合い」が 14.5%、 新聞・雑誌(週刊誌)等の記事
「友人・知人の話し合い」が 13.0%、 テレビ・ラジオ
旅行・歴史などの本
「その他」が 8.0%、
「旅行案内ガイ インターネット
パンフや新聞の折り込み広告
ドブック」が 6.5%となっています。
旅行業者の案内
調査対象の県内の観光地の中で「旅 観光案内所の案内
その他
行業者の案内」の割合が最も高くな 特にない
っており、
『同行人数』の結果と併せ 無回答
合計
ると旅行業者の企画する団体旅行の
来訪の際の情報入手経路をみると、
人数
34
38
3
17
6
9
5
8
9
67
8
21
50
12
262
構成比 %
13.0
14.5
1.2
6.5
2.3
3.4
1.9
3.1
3.4
25.6
3.1
8.0
19.1
4.6
100.0
割合が相当高いと考えられます。
□ 立ち寄り先の地名(複数回答)
地名
仙台
最も多いのが「南三陸」が 63 人、 松島
「その他の県内」が 33 人、
「牡鹿」 二口・秋保
定義・作並
が 30 人、
「気仙沼・室根」が 26 人、 蔵王連峰
「花巻温泉郷・遠野」が 25 人、
「仙 阿武隈
鳴子・鬼首
台」が 23 人、
「松島」が 22 人、
「鳴 栗駒山
気仙沼・室根山
子・鬼首」が 10 人、以下 10 人未
南三陸
牡鹿
満となっています。
その他の県内
『旅行の形態』の宿泊する人の割 湯本・いわき
合が半数を超えていることから、 磐梯・吾妻
飯坂
「南三陸」を中心に宿泊する観光 赤湯・米沢
山形・上山
客が多いと考えられます。
天童・山寺
立ち寄り先を多い順にみると、
­7­
人数
23
22
6
3
2
1
10
7
26
63
30
33
6
7
2
1
3
9
合計
地名
人数
出羽三山
1
瀬見・赤倉
2
平泉
4
花巻温泉郷・遠野
25
陸中海岸
2
田沢湖・角館
2
秋田・男鹿半島
2
十和田・八幡平
3
青森・津軽
1
下北半島
2
北関東
2
日本海側
3
その他の県外
2
秋田
4
山形
4
福島
1
なし(当該地のみ)
57
無回答
14
262
2. 「みやぎの明治村
とよま」の現状と課題
(1) 歴史資料館の現状と課題
経 過
とよま
歴史資料館は、登米市登米地域に設置されている施設で、
【資料 4:歴史資料館一
覧】のとおりであり、国指定重要文化財の旧登米高等尋常小学校校舎(教育資料館)
を核として、教育・観光施設として多くの見学客を集めています。
旧登米高等尋常小学校校舎は明治 21 年に完成し、新校舎が建設された昭和 54 年ま
で児童の学び舎として使用されてきました。その後、高校や中学校の校舎を改築する
際に仮校舎として一時利用された後、昭和 62 年からの大規模な改修工事を経て、平
成元年に大正時代の再現教室や教科書等を展示した「教育資料館」として開館しまし
た。昭和 56 年 6 月に国指定重要文化財に指定されています。
旧登米警察署庁舎は明治 22 年に完成、昭和 61 年に保存改修を行い翌年から白バイ
やパトカー、制服等を展示した「警察資料館」として利用されています。昭和 63 年
8 月に県指定有形文化財に指定されました。
明治初期に水沢県が置かれた際の庁舎として明治 5 年に完成した旧水沢県庁舎は、
保存改修の後、平成 3 年から「水沢県庁記念館」として公開されています。昭和 51
年 5 月に登米町指定文化財に指定され、登米市指定文化財として引き継がれています。
とよま
とよま
昭和 36 年から公開されている「登米懐古館」には、登米伊達氏に縁のある武具や
刀剣のほか、貴重な書画、骨董品が展示保存されています。
また、本格的な能舞台を備えた「伝統芸能伝承館」は平成 8 年に開館し、能装束や
能面をはじめ登米能に関する資料を展示しています。
【資料 4:歴史資料館一覧】
名
称
位
置
教育資料館
登米市登米町寺池桜小路6番地
警察資料館
登米市登米町寺池中町3番地
水沢県庁記念館
登米市登米町寺池桜小路1番地の5
伝統芸能伝承館
登米市登米町寺池上町42番地
登米懐古館
登米市登米町寺池桜小路103番地の9
現 状
歴史資料館の運営について、平成 17 年度までは委託方式で実施していましたが、
平成 18 年度から指定管理者制度を取り入れ、現在、株式会社とよま振興公社が指定
­8­
管理者となり、昔なつかしい学校給食体験等の新たな企画を実施し集客に努めていま
す。
課 題
教育資料館、警察資料館、水沢県庁記念館は明治期の建造物を保存改修し、それぞ
れ関係資料を展示していますが、開館以来その展示内容にはほとんど変化が無く、資
料館としての情報提供が乏しい状況です。
各館は、改修後の年数経過により補修箇所も多数発生しているため、展示企画の検
討と併せて適切な修繕を実施する必要があります。
また、各施設の出入口や通路等は車椅子利用者等の障害者が利用しにくいため、バリ
アフリーを意識した整備が必要です。
特に登米懐古館は築 46 年を経過しており、施設の老朽化とあわせて狭隘な展示ス
ペースのため、所有する資料の一割程度しか展示することができなく、多くの資料が
紹介されないまま収蔵庫に収納されています。
また、登米懐古館は高台にあり、敷地内に駐車場もないため見学者の利便性が極め
て低い状態にあります。
さらに、古文書や刀剣など歴史資料として特に重要な資料が展示、保管されています
が、空調設備が整備されておらず、カビや錆などの発生により貴重な文化財の汚損や
滅失が危惧されるため、展示保存に優れ見学者が入館しやすい新しい展示施設の整備
を検討する必要があります。
(2) 市観光施設の現状と課題
経
過
藩政時代の町割りや歴史的建造物を活用した「みやぎの明治村構想」に基づき、旧
登米町が、昭和 61 年から計画的に明治時代の建造物や武家屋敷の保存整備を行って
きました。
現
状
とよま
計画的に明治時代の建造物や武家屋敷の保存整備を行ってきた結果、登米地域には、
現在、教育資料館や警察資料館を初め多くの市観光施設が整備されています。施設の
とよま
整備に伴い「みやぎの明治村」としての魅力が向上し、登米地域を訪れる観光客も増
加しており、市観光施設への入館者数も年々増えており、平成 18 年の主要施設の入
館者数は、286,861 人となっています。
市観光施設は、観光客の誘客や街なみ景観に大きな役割を果たしており「みやぎの
明治村」観光の中核施設となっています。
­9­
とよま
また、登米地域の観光のインフォメーション機能や物産販売機能等を有している観
光物産センター「遠山之里」と観光客の無料休憩所となっている武家屋敷「春蘭亭」
は、現在、第3セクターである株式会社とよま振興公社が指定管理者となって運営さ
れています。
【資料 5:主な市観光施設入館者数】
単位:人
施設名
平成 14 年
平成 15 年
平成 16 年
平成 17 年
平成 18 年
教育資料館
58,016
67,629
68,487
63,868
68,031
警察資料館
37,096
42,890
45,198
55,969
57,761
水沢県庁記念館
34,877
40,622
42,899
51,832
54,152
伝統芸能伝承館
34,376
39,825
41,471
52,185
53,438
懐古館
34,750
40,745
42,213
51,572
53,479
199,115
231,711
240,268
275,426
286,861
計
(実人数)
(68,280) (77,364) (84,308) (78,498) (85,335)
【資料 6:観光物産センター「遠山之里」レジ件数の推移】
単位:件
平成 13 年
平成 14 年
50,301
平成 15 年
56,489
平成 16 年
67,912
平成 17 年
80,144
76,348
参考:市内博物館・資料館等入館者数
施
設
名
登米市歴史博物館
石ノ森章太郎ふるさと記念館
不老仙館
課
平成 18 年
83,599
単位:人
平成 16 年度
平成 17 年度
平成 18 年度
7,212
7,088
8,776
23,182
28,254
33,733
1,126
997
824
題
市観光施設は、「みやぎの明治村」観光の中核施設となっていますが、施設が点在
しているため有機的な結びつきが必要となっています。
また、施設の老朽化や未利用施設もあり、観光資源を有効活用する上でも、施設の
­ 10 ­
改修や有効活用が求められています。
観光物産センターオープンの後に閉鎖している旧壱番館を含む警察資料館周辺や
駒繋ぎの広場周辺及び県道築館登米線の道路拡幅により発生する現登米児童館敷地
の今後の利活用について検討を行う必要があります。
(3) 民間観光施設・観光産業の現状と課題
経過・現状
とよま
登米地域には、市観光施設のほかに歴史的な資源や建造物を生かした資料館等の民
間観光施設が整備されており、「みやぎの明治村」観光で一定の役割を果たしていま
す。
とよま
また、宿泊施設は 4 施設ありますが登米地域の観光は日帰り客が多い通過型観光と
なっており、観光客の利用は限られている現状です。
とよま
観光では、「食」や「買い物」が観光資源の一つですが、登米地域には、
「はっと」
や「うなぎ」等の郷土料理の店舗はありますが、市の物産センターを除いて観光客を
対象とした民間の土産物店等はあまり多くなく、
観光産業が充実しているとはいえな
い状況です。
○主な民間観光施設
施
設
名
蔵の資料館
アンティーク資料館
平成18年度入館者数
備 考
10,000人
1,000人
大野家民俗資料館
200人
町家ミュージアム
―
拡張整備中で休館
芳賀氏邸
―
平成 19 年 5 月開館
加藤家住宅主屋
―
平成 19 年 7 月
国登録有形文化財に登録
資料:各施設からの聞き取り調査
課
題
観光を振興するためには、「観光施設」、
「食」
、
「買い物」等総合的な魅力の向上が
必要であり、官民連携した取り組みが重要です。
とよま
登米地域の観光は、市の観光施設など行政の占める割合が大きく、観光の総合的な
魅力を向上させるためには、街なみにふさわしい土産物店や郷土料理店の開設等民間
の主体的な取り組みを引き出すことが課題となっています。また、宿泊施設は、地域
の特色ある施設を目指すとともにPRを行い、地域への波及効果も大きい宿泊者の増
­ 11 ­
加に結び付ける必要があります。
(4) 街なみ景観の現状と課題
経
過
昭和 60 年に北上川流域の過疎4町(登米町、東和町、中田町、津山町)が連携し
て、過疎からの脱却をめざしてミニ独立国「みやぎ北上連邦」を建国し、競争と協調
を基本に、4 町の個性を活かした「みやぎ北上連邦活性化計画」を策定しました。
この中で、藩政時代の町割、歴史的建造物や伝統芸能が残る旧登米町は「みやぎの
明治村」づくりを推進することとなりました。
この計画により、明治時代の建造物や武家屋敷の保存整備等に着手し、街なみ整備
を推進してきました。
旧登米町では、住民等を中心とした「登米町まち並み整備懇談会」を設置して「み
やぎの明治村構想」を策定し、この構想に基づき、
「登米町まち並み保存整備計画」
による門・塀の改修整備や、補助・起債事業等を活用した武家屋敷や明治期の建造物
の保存修復・公開を行いました。あわせて、「登米町地域住宅計画推進事業(HOPE 計
画)
」によりいえづくり基準と財政支援を制度化し、これにより街なみに合った商店
の建替えや武家屋敷通りでの屋敷門・土塀の整備など、住民のまちづくりへの参加が
進められてきていました。
現
状
旧登米町で実施していた「登米町地域住宅計画推進事業(HOPE 計画)」等における
住環境及び歴史的な街なみ形成の整備については、合併協議会の調整方針に沿って現
行のとおり登米市に引継がれ、現在、
「登米市登米町街なみ景観整備事業補助金交付
要綱」により、基準に適合する個人所有の建築物等の新・増・改築及び修繕等への財
とよま
政的支援(対象事業費の 1/3 助成、補助額 100 万円限度)を実施しており、現状の登米
地域の観光資源から見ても、街なみ景観の保存は必要不可欠なものとなっています。
【現行の推進条例等】
○登米町街なみ景観整備審査会条例
○登米町街なみ景観整備要綱
○登米町街なみ景観整備要綱実施細目
第 14 編
その他 暫定施行
○登米町街なみ景観形成基準
○登米市登米町街なみ景観整備事業補助金交付要綱(登米市告示第 200 号平成 17
年 8 月 5 日)
­ 12 ­
【街なみ景観整備事業年度別補助金交付状況】
単位:千円
年
交付金額(千円)
交付件数
交
付 内 訳
平成5年度
857
1
個人 0 件、法人 1 件
平成6年度
3,121
4
個人 3 件、法人 1 件
平成7年度
2,000
2
個人 2 件、法人 0 件
平成8年度
1,000
1
個人 1 件、法人 0 件
平成9年度
634
1
個人 1 件、法人 0 件
平成 11 年度
806
1
個人 1 件、法人 0 件
平成 12 年度
2,208
3
個人 1 件、法人 2 件
平成 13 年度
4,574
7
個人 6 件、法人 1 件
平成 14 年度
1,000
1
個人 1 件、法人 0 件
平成 15 年度
4,704
9
個人 7 件、法人 2 件
平成 16 年度
2,697
4
個人 4 件、法人 0 件
平成 17 年度
0
0
平成 18 年度
2,819
3
26,420
37
合
課
度
計
個人 2 件、法人 1 件
題
歴史的な街なみとしての「通り」の形成については、上記補助事業の推進体制では
所有者の個人負担に頼るところが大きく、その結果、一部に景観上、重要な建造物等
が保全できずに取り壊されるなどの事例もみられるなど、小路・通りとしての連たん
性に欠け、視覚的な整備については未成熟な部分が存在します。街なみ景観を構成す
る重要な建造物等には所有者が居住していない物件が多く、景観保全の重要性等につ
いて理解・協力を得られる対応が必要となっています。
また、現在の補助金の交付対象区域は旧登米町全域となっており、最重点に景観を
保全しなければならない区域や景観を保全すべき区域、その他の区域等の地区区分が
なされていないことから補助金交付の費用対効果や市内の他地域との均衡上、検討を
要する課題となっています。
【街なみ景観整備に係る補助金についての現状認識のための実例】
平成 15 年度及び 16 年度で実施した「登録文化財街なみ景観整備事業」に取り組んだき
っかけは、登米町内でも江戸時代の佇まいが多く残され、観光の拠点ともなっている前小
路地区「春蘭亭」隣接地の門及び塀の所有者が維持・管理の行いやすいものに改築を計画し
­ 13 ­
ているとの情報が、施工を相談されている人から寄せられたことからであった。
平成 5 年度から町単独事業の街並み景観事業を実施し、個人又は事業者が景観に配慮し
た建築等を行ったときに、一件 1/3 以内で補助金の交付上限を 100 万円とした補助制度を
実施していた。しかし、所有者の門・塀を現存させるために修繕に係る経費を見積もった
ところ、多額の費用を必要とすることや、高齢者の独居世帯であることなどの諸事情から、
所有者から現行制度を活用した改築には理解が得られなかった。
登米町として対応を検討した結果、前小路地区は観光や景観のメインとなっている場所
で、登米のまちづくりに必要不可欠なものであり、当該工作物を保存する必要があるとの
結論となり、既存制度の枠を超えても景観を維持するとの方針で対応することにした。
平成 15 年 7 月の臨時議会に文化財保護条例の一部改正を提案し、登録文化財制度を導入
し、その後、所有者に登録文化財制度への理解を得て、当該門・塀を登録文化財として登
録の上、町が事業主体となって改修事業を実施したものである。
(所有者の負担を一件 1/3
以内で 100 万円を上限とした。
)なお、この事業を実施するにあたり、宮城県迫振興事務所
とも連携を取り、県の補助事業の採択を得て事業展開を行ったものである。
(5) 文化財保護制度の現状と課題
経 過
登米市が合併する前から旧 9 町で文化財保護条例を制定しており、それぞれの町で
文化財の指定がなされてきました。
9 町の指定文化財は合併と同時に登米市に引き継がれ、有形文化財 83 件、無形文化
財1件、民俗文化財 33 件、記念物 95 件の計 212 件が市指定文化財に指定されていま
す。
とよま
登米地域では建造物 6 件を含む有形文化財 19 件、無形文化財 1 件、民俗文化財 2
件、記念物 4 件の計 26 件が市指定文化財となっています。
とよま
また、国指定重要文化財が 1 件(旧登米高等尋常小学校校舎)、県指定文化財が4件
と め
とよま
(旧登米警察署庁舎、覚乗寺高台院霊屋、日根牛の大栗、登米の能楽)となっていま
す。
さらに、平成 19 年7月 31 日には登米町日根牛地区にある加藤家住宅主屋が、国の
登録有形文化財として登録されました。
現 状
とよま
とよま
登米地域には有形文化財のシンボルである旧登米高等尋常小学校校舎(教育資料
館)を中心に建造物の文化財が点在し、特に登米町寺池地区の桜小路、中町、三日町
の通りには武家屋敷や明治時代の建物が数多く残されています。
武家屋敷や門のうち 3 箇所は市指定文化財となっていますが、その他の建造物は未
­ 14 ­
指定のままです。
武家屋敷の中には、所有者が他の都市に住んでいるなど住人が不在となっているもの
があり、また、武家屋敷内の一部の建物を貸借しているものもあります。
貴重な文化財として今後も保存していくべき物件が多数ありますが、具体的な調査
は進んでいません。
とよま
とよま
一方、民俗文化財について、県指定文化財である「登米の能楽」は、登米謡曲会が
保持団体として守ってきました。毎年 9 月に行われる薪能には、遠方からも多数の見
学者が訪れ幽玄の世界を堪能しています。
市指定文化財である「とよま囃子」は、とよま秋まつりの際に山車屋台で囃される
もので、城下町の祭囃子らしい優雅な落ち着いた曲調が多く7曲が伝承されています。
とよま秋祭りが近づく旧盆を過ぎたころから、各町内会では山車の作成と同時にお囃
子の練習に取り組んでいます。
この「とよま囃子」は、各町内会で保存伝承されていますが、代表となる保持団体
はとよま囃子保存会です。
「岡谷地南部神楽」は、岡谷地南部神楽保存会が市指定文化財の保持団体として保
存伝承してきました。伝統芸能を受け継ぎながら地域コミュニティの中核を担ってい
る団体でもあります。
課 題
とよま
登米市の中でも武家屋敷や明治期の建造物が残る登米地域は、有形文化財が貴重な
観光資源となっています。
しかし、個人所有の武家屋敷は所有者が不在であったり高齢化などの影響から建物の
維持管理が難しい状況となっています。
また、建造物等の有形文化財については一定の年数で修理が必要ですが、所有者個
人が全ての修理経費を賄うには厳しいものがあり、維持管理が適正になされない大き
な要因でもあります。
登米市では文化財の保護と活用を進めるため、市指定文化財の修理保存に対する補
助制度を設け、所有者の負担軽減を図っていますが、指定文化財以外の歴史的な建築
物等については対象となる仕組みはありません。
現段階では指定対象とはならない建築物等であっても、街並み景観保全の視点から
保存活用の必要があるものについては、市登録有形文化財などの新たな保護制度を創
設し文化財補助制度の対象にできるよう連携が必要です。
民俗文化財の伝承は、保存団体会員の高齢化や地域の少子化の影響で伝承者が少な
くなり、伝承技術の維持が難しくなってきました。
伝承の担い手となる保存団体の育成と、多くの市民の参加を得られる方法を検討する
必要があります。
­ 15 ­
(6) 人材・組織の現状と課題
経
過
「みやぎの明治村構想」に基づき各施設が整備されたことにより、徐々に観光客が増
加しました。これを契機に町内の受入態勢の整備が急務となり登米町観光物産協会が
設立され、また、玄昌石などの加工製造事業を行っていた株式会社とよま振興公社を
観光事業へと経営の転換を図り観光の担い手と位置付けしました。
しゃふ
その中で、来訪する観光客を案内する「ママさんガイド」や「俥夫組合」が組織さ
れるとともに新たなイベントとして「新緑薪能」や「とよまお茶会」
「カッパマラソ
ン」などが創出されました。
また、住民の自発的組織として「とよま環境美化奉仕団」が組織され、観光施設や
観光ルートの清掃活動などが行われるようになりました。
これらの動きに呼応し、商工会でも「賑わいづくり委員会」を組織し、町内各商店
で小学生の絵画作品を展示する「とよま絵のまち巡り」の実施など商店街の活性化の
取り組みもはじまりました。森林組合、農産加工クラブや三業組合では新商品の開発
に取り組み、「椎茸そば」や「城下漬」、
「油麩丼」を開発しました。
さらに従前からの組織として、「花を愛する会」による「花いっぱい運動」の展開
や町内一大イベントである「とよま秋まつり」を支える「町内会」があります。
古くは、商人の財力に支えられとり行われてきた秋祭りは、鉄道への輸送手段の変
化による商人の経済力の衰えにより町内会などの地縁を中心とした共同体に引き渡
されました。伝統を受け継いできた商人の多かった町内会5ヶ町(金谷丁、中町、九
日町、三日町、荒町)からスタートし、盛衰はあったものの、現在は 10 を超える町
内会が山車を繰り出し賑わいづくりの担い手となっています。
現
状
現在、多くのイベントや観光サービスが、地域の人々や各々の組織の主体的な取り
組みによって実施されています。しかし、
「みやぎの明治村構想」から 20 年以上が経
過し、各組織も会員の高齢化の進行や組織率の低下が進み、これまで実施してきた
「新
緑薪能」は休止を余儀無くされるなど、まちづくりを担ってきた団体の運営は非常に
厳しい状況に直面しています。
このような状況の中、愛好者団体の主催による「レトロフェスタ(往年の名車の展
示会)」などの新しい形のイベントが開催されたり、退職教員を先生に迎え「授業体
験」での学校給食やハーモニカ、オルガン伴奏の唱歌合唱などが株式会社とよま振興
公社で商品化されるなど、民間組織を中心とした新たな取り組みがはじまっています。
­ 16 ­
課
題
高齢化や人口の減少によって、伝統ある「とよま秋まつり」等の実践組織であり、
まちづくりの最前線の自治組織である町内会や「みやぎの明治村」のまちづくりを支
えている多くの組織は大変厳しい状況の中で活動しています。
とよま
多くのイベントや観光サービス、新たなまちづくり事業に登米地域を越えて、それ
ぞれの事業への参加希望者を募集するなどの人的な資源の受入れや、民間からの事業
資金等の経済的な支援システムの構築が必要となっています。
今、行政の枠組みから発生した形ではなく、住民のそれぞれの思いの中から新しい
イベントが生まれてきています。関わる人々の思いを大切にし、市の施策を押し付け
ることなく、やろうとする住民が負担と思わないでできる範囲を見極めることが重要
です。また、それぞれの組織の活動を有機的に繋げていく作業も非常に重要となって
います。
(7) 未活用地域資源の現状と課題
① スレート屋根の建物の保存
とよま
登米地域では明治末期から玄昌石の生産が行なわれ、スレート瓦として多くの建物の
屋根に使用され、黒いスレート屋根の町並みが形成されていました。
スレート瓦は、東京駅や旧法務省庁舎などの著名な建造物の屋根にも使用されていま
す。しかし、平成 6 年に玄昌石の生産が打ち切られ年々スレート屋根の建物も減少して
います。
かつて地域の風景となっていたスレート屋根の建物は、明治期以降の建造物として文
化財としての価値も含め、保存について検討を行う必要があります。また、スレート葺
きの技術の継承も課題となっています。
代表的なスレート屋根の建造物:芳賀邸(H19.4 所有者が修復保存)、鈴木邸(前小路)、
菊地邸(前小路)、玄昌石の館
芳賀邸
菊地邸
­ 17 ­
② その他の地域資源の活用
とよま
登米地域には、覚乗寺高台院霊屋や登米伊達家旧御廟、北上川の景観などの未活用、
低利用の地域資源があります。これらの地域資源についても、今後、観光への利活用に
ついて調査・検討する必要があります。
­ 18 ­
第2章 「みやぎの明治村 とよま」の目指すべき姿と整備施策
1.「みやぎの明治村
とよま」の目指すべき姿
とよま
登米地域のいわゆる「みやぎの明治村」は、過疎化と高齢化の進行する小さな地域で
す。その小さな地域に遠方から多くの人々が観光を目的に訪れています。これは、地域
の人々のこれまでの熱心なまちづくりへの取り組みの成果であるとともに、歴史的な建
造物が建築当時の場所そのままに時の経過を経ても現存し、現在の生活の中にとけ込ん
でいるまちの佇まいが訪れる人々に懐かしさと温かさを与えてくれるからではないで
しょうか。
訪れる人々の心を捉えるまち、また訪れたくなるまちとなるためには、この地域に暮
らす人々それぞれが生きがいをもって生活し、地域に息づいている文化財などの有形・
無形の資源を愛し、生活の中に深く根付いた本物を守り続け、さらに磨き上げることで、
より一層、まちの魅力を高めることが必要です。
さらに、訪れる人々と地域の人々との心の交流がなされれば、心にのこる旅の場所と
とよま
して登米地域から登米市一円への観光客の広がりも期待できます。
小さくてもキラリと光る地域づくりを目指し、以下の 4 項目を定めます。
(1) 歴史の息遣いを感じるまち
とよま
登米地域には先人が築いてきた江戸時代から明治・大正・昭和に至る歴史的な建造物
や伝統芸能などが数多く遺されています。これらは、江戸時代の城下町や北上川を利用
した舟運で賑わった当時の歴史を物語るものであり、多くの観光客が訪れる動機となっ
ているとともに、この地域に暮す人々が大切に守り続けてきたものです。これらは、次
代を担う子どもたちにも伝えていくべきものであり、現在の暮らしに至る地域の歴史や
とよま
文化を学ぶために、登米地域は大きな役割を果たすことができます。
これからもこの貴重な資源を守る取り組みを継続していくことが必要であり、さらに
現在活用されていない資源や活用が十分に図られていない資源を掘り起こしていくこ
とも重要です。
とよま
登米地域を訪れた人々が『歴史の息遣いを感じるまち』を目指します。
..
(2) 懐かしい味・懐かしいものに出会えるまち
観光客にとって、訪れた地域の食材を使った食事や郷土料理を食すことは、旅行の大
きな楽しみとなります。
..
また、自分が子供のころに触れあったものや音色などに出会ったときに強い郷愁を感じ
ます。
とよま
登米地域にこのような体験ができる仕組みを構築することによって、訪れた人々の旅
­ 19 ­
行の満足感はより大きなものとなります。
..
とよま
登米地域を訪れた人々が『懐かしい味・懐かしいものに出会えるまち』を目指します。
(3) 人々の温かな心とふれあえるまち
観光客にとって訪れた地域の人々とのふれあいは、強い印象を与えます。地域の人々
の「おもてなし」の心が伝われば、忘れ得ない思い出深い旅となります。
地域の人々の「おもてなし」の心は、訪れる方々を温かくお迎えしようとする気持ち
を醸成するとともに、自ら地域の歴史や文化などを学習し訪れる方々と様々なコミュニ
ケーションを図っていける地域の人々を育てていくことが必要です。また、観光客と地
域の人々がふれあう体験型観光を創出するなど、地域に暮らす人々の「おもてなし」の
心とふれあえる機会を増やしていくことが重要です。
とよま
登米地域を訪れた人々が『人々の温かな心とふれあえるまち』を目指します。
(4) 地域の人々が生き生きと暮らせるまち
魅力ある地域は、そこに暮らす人々が、生きがいをもって生活できることが必要です。
地域に住んでいる人々が楽しく、生き生きと暮らしていけるまち、また、様々な活動を
提案したり、参加できるまちになることによって、地域のマンパワーは大きくなり、地
域の人々の主体的なまちづくりも可能になります。
とよま
登米地域の人々が希望と誇りを持って『生き生きと暮らせるまち』を目指します。
­ 20 ­
2. 新たな明治村整備施策
(1)『歴史の息遣いを感じるまち』をめざして
① 景観整備の推進
ア.登米町街なみ景観整備事業の見直し
とよま
登米地域では平成 5 年度から街なみ景観整備事業を実施し、合併後も引き続き推進し
ています。
とよま
現在、街なみ景観整備事業の補助対象区域は登米地域全域となっていますが、歴史的
な建造物が残る観光拠点施設間を結ぶルートの景観整備に重点を置き、観光事業の振興
に大きな効果を発揮させるため、下記のとおり新たに最重点地区・重点地区を設定し補
助金の効果的な活用を図るとともに、最重点地区については、早急な整備を図ることを
目指し、整備手法等の検討を行います。
地区設定
地区の定義
最重点地区
最重点に景観を保全、整備する区域
重点地区
景観を保全、整備する区域
その他の地区
景観の保全を推奨する区域
イ.景観法による良好な景観形成
我が国で初めて景観についての総合的な法律である「景観法」(平成16 年6月制定)
の基本理念において、良好な景観は観光、その他の地域間の交流促進に大きな役割を担
うものであるとされていることから、地域の活性化に資するよう地方公共団体、住民に
より、その形成に向けて一体的な取り組みがなされなければならないと規定しています。
このように良好な景観形成は、地域の魅力が増進、創出されるものであることから、
美しい景観づくりが大いに期待されています。
※
登米市においては、平成20年4月に景観行政団体に移行し、市民の意見を聞きながら
市民に対して目指すべきまちの将来像とそれを実現するための区域と方針を示す景観
計画を策定(平成22年を目途に)することにしています。
登米町街なみ景観整備事業の最重点地区・重点地区を、景観法に基づく重点地区とし
て位置づけ、登米市の先行モデルケースとして地域の特性に応じた景観まちづくりを推
進します。
※景観行政団体
景観法により定義される景観行政を司る行政機構。政令指定都市又は中核市にあってはそれぞれの地
域を管轄する地方自治体が、その他の地域においては都道府県がその役割を負う。ただし、都道府県
知事と協議し、同意を得た市町村の区域に当たっては、それらの市町村が景観行政団体となる。
­ 21 ­
② 歴史資料館の展示企画更新と施設改修の推進
ア.施設整備の目的
歴史資料館のうち教育資料館、警察資料館、水沢県庁記念館は、それぞれが古い建造
物を改修し資料館として活用されてから 20 年近く経過しました。この間、展示物につ
いてはほとんどが開館当時のままであり、資料館として魅力あるものにするためには展
示企画の更新が必要です。
展示資料の入れ替えをはじめ見学者が様々な体験ができる企画を提供するとともに、
障害者も利用しやすい施設整備を行います。
イ.施設整備の概要
歴史資料館は指定管理者制度を取り入れ、民間の能力を活用し効果的、効率的な運営
を進めています。
各資料館の展示企画の更新にあたっては指定管理者の企画力を活かし、見学者が見や
すい資料展示とわかりやすい施設案内表示を行います。
また、現在指定管理者が行っている「昔の給食体験」をはじめ、見学者の原体験を
とよま
呼び起こす、登米でしか出会うことのできない企画を提供します。
歴史資料館の各施設は国等の指定文化財となっているため大幅な改修はできません
が、車イス利用等の障害者が見学しやすいように進入路の整備を行います。
教育資料館
警察資料館
水沢県庁記念館
­ 22 ­
③ 新懐古館整備の推進
ア.施設整備の目的
歴史資料館の一つである登米懐古館は老朽化が進み、また、展示スペースが狭いため
多くの貴重な資料が紹介されることなく収蔵庫に保管されています。さらに収蔵庫も狭
隘で温度や湿度の調整機能がないため、資料を保管する施設としては能力に大きな問題
があります。
とよま
葛西氏や、登米伊達家の城下町にふさわしい数々の歴史資料等を広く展示紹介し、登
米市の歴史研究や観光の拠点として充実させるため「新懐古館(仮称)」の施設整備を
進めます。
イ.施設整備の概要
新懐古館は、駐車スペースを確保できる新たな場所への設置を検討し、教育資料館を
はじめとする歴史資料館やとよま観光物産センター(遠山之里)へ訪れる観光客の見学
ルートの中核施設となるよう整備を進めます。
新懐古館は単に資料展示のみではなく、地域の歴史や人々の営みを知ることのできる
歴史学習資料館としての役割をもたせ、葛西・登米伊達文化の紹介、古文書や歴史書に
特化した図書学習等の機能を備えるなど市民も興味をもって利用できる施設とします。
・施設内容
鉄骨造二階建
常設(特別)展示室・企画展示室・図書学習室(研修体験室)・収蔵
庫・燻蒸室・会議室・事務室
・収蔵資料数
388 点
④ 文化財の保存活用の推進
ア.推進の目的
とよま
貴重な有形文化財が登米のシンボルであり、観光客等の重要な集客資源となっていま
す。
特に武家屋敷や古い商家・土蔵などが地域に点在していますが、歴史的価値がすべて判
明しているものではありません。
今後、文化財の保存活用を図るため、街なみ景観整備地区などの古い建造物の調査を
進めます。
また、民俗文化財の保存伝承のため、団体が行う伝承活動や伝承者育成を支援します。
イ.推進の概要
・ 歴史的建造物調査
・ 指定文化財、登録文化財等見込み調査
・ 民俗文化財保存伝承活動の支援
­ 23 ­
..
(2) 『懐かしい味・懐かしいものに出会えるまち』をめざして
① 体験型観光の推進
ア.推進の目的
観光客のニーズは、「見る観光」から「体験する観光」に変化しており、これまで観
光として扱われなかった観光資源を旅先に求めるというように変化しています。これら
の観光客の多様なニーズに対応するため、観光客と地域の人々がふれあう体験型メニュ
ーを開発し体験型観光を推進します。
イ.推進の概要
現在給食体験や人力車の運行などの体験を行っていますが、新しい体験型メニューに
ついても、登米の歴史・文化、自然、食等の地域資源を活用したものとし「みやぎの明
治村」らしいメニューを観光施設の管理運営をしている指定管理者や関係団体と連携を
図り創出します。
また、みやぎの明治村の周辺部には豊かな森林や農地があります。森林の持つ「癒し」
※
効果等を活用し、こころと身体の健康に活かす「森林セラピー」や滞在しながら農作業
体験等を行なう「グリーン・ツーリズム」などの取り組みがなされています。今後、森
林セラピーやグリーン・ツーリズムとみやぎの明治村の体験型観光が連携することによ
って相乗効果が得られるよう、関係団体と協議を行っていきます。
□体験メニュー例
・はっと作り体験
・玄昌石絵付け体験
・とよま凧づくり体験
・わら細工、竹細工体験
・森林セラピーロード散策
・宿泊農業体験 等
②空き店舗等活用の推進
ア.推進の目的
とよま
登米地域の商店街にも空き店舗が点在しています。これらの空き店舗等を活用して観
光客に魅力ある店舗や施設等を整備し、商店街に観光客が訪れるように誘導することに
より観光事業による商店街の活性化等、波及効果が期待できます。
イ.推進の概要
市では、空き店舗へ出店の際の改築工事などに対し助成事業を実施しており、また、
市のホームページでは空き店舗情報を掲載し、出店希望者へ情報提供を行っています。
これらの制度の一層の浸透を図り、空き店舗等活用のため施設提供者や出店希望者を
※森林セラピー 「森林療法」
。森林の地形や自然を利用した医療、リハビリテーション、カウンセリングなど、また、
森林浴、森林レクリエーションを通じた健康回復・維持・増進活動。
­ 24 ­
募り、次の例のような事業展開につなげます。
□空き店舗等活用の例
・週末店主事業、空き店舗型フリーマーケット
・まちの音楽室
・農産物直売施設
・工房兼店舗の誘致(職人の住むまちづくり)
※例示した事業がすべて助成対象になるものではありません。助成には条件があることから個別
に事業内容の確認が必要です。
(3) 『人々の温かな心とふれあえるまち』をめざして
① 警察資料館周辺整備の推進
ア.施設整備の目的
「みやぎの明治村」の観光施設は、町内に点在しており各施設を有機的に結びつける
ことが必要となっています。特に警察資料館は、教育資料館や水沢県庁記念館から離れ
ており、観光客の回遊を促進し商店街へ観光客を誘導するためにも、警察資料館周辺の
魅力の向上が必要です。そのため、遠山之里オープン後、閉鎖されている旧壱番館等を
観光施設として有効活用し、観光客の利便性の向上を図るため整備を行います。
イ.施設整備の概要
整備施設では、観光客がくつろげるような休憩スペースを設けるとともに「みやぎの
明治村」や市内の観光情報の提供を行う。また、訪れた観光客に軽食やお土産品等の販
売を行うとともに各種展示等ができる多目的なフリースペースを設置します。
旧壱番館は、老朽化しているため、既存建物を解体し新築により整備を行います。ま
た、施設整備にあたっては、隣接している玄昌石の館の展示内容の改修も併せて行いま
す。
② ホスピタリティー(おもてなしの心)の醸成
ア.実施目的
「みやぎの明治村」を訪れた方々を温かくお迎えし、「来てよかった、もう一度行っ
てみたい。」と感じてもらえる地域を創造するため、研修等の各種事業を展開し観光客
受け入れ側の人づくりを推進します。
イ.実施の概要
・観光ガイドの育成と研修事業の充実
観光ガイドの講習会を開催する。ガイドの手引書を充実させ、単に施設の案内に
とどまらない、様々なエピソードの紹介も取り入れた観光ガイドの研修とする。
また、新たな観光ガイドを募集し教育体制を充実させる。
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・観光資源の調査と説明資料の作成
・市民を対象とした観光等に係る研修会の開催
(4) 『地域の人々が生き生きと暮らせるまち』をめざして
① 地域の人々の主体的なまちづくりを推進するための協働事業等の充実
地域の人々が主体的なまちづくりを行なうためには、市民と行政がまちづくりに関す
る共通の目標を持ち、その実現に向って個々の持っている能力を最大限活用し、互いの
信頼関係の下、協力してまちづくりに取り組むことが必要です。そのため、市では、
「登
米市協働のまちづくり指針」を策定し市民との協働をめざして様々な取り組みを行なっ
とよま
ていくこととしています。地域の主体的なまちづくりを推進するため、登米地域でまち
づくりの最前線の自治組織である町内会や「みやぎの明治村」のまちづくりを支えてい
る様々な組織との連携や協議の体制づくりを進めます。
体験型観光:昔の給食体験
体験型観光:大正の再現教室
­ 26 ­
《整備施策のイメージ図》
教育資料館
寺池城址公園
新懐古館
・新たな場所への整備
懐古館
歴史研究や観光の拠点
遠山之里
蔵の資料館
歴史資料館等
・展示物の更新
・様々な体験企画
水沢県庁記念館
新懐古館の整備
春蘭亭
魅力ある資料館の整備
アンティーク資料館
前小路(武家屋敷通り)
・街なみ景観の整備の推進
三日町九日町商店街
・街なみ景観の整備の推進
・空き店舗等の利活用促進
観光客の回遊の促進
警察資料館
周辺整備
町家ミュージアム
観光客の回遊ルート
警察資料館
観光客に魅力のある商店
街の形成
警察資料館周辺整備
・資料館周辺の魅力向上整備
観光客の回遊促進と
商店街への誘導
各種整備施策の実施
効果
1-①景観整備の推進
②歴史資料館展示企画更新等
③新懐古館整備の推進
④文化財の保存活用の推進
観光客の回遊ルートの構築
2-①体験型観光の推進
②空き店舗等活用の推進
・徒歩による回遊を促進
⇒商店街への誘導
3-①警察資料館周辺整備の推進
②ホスピタリティの醸成
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観光資源を活用した
地域の活性化
3.情報発信の推進
(1) 情報発信の目的
高度情報化社会の進展により、インターネットや携帯電話に代表される様々なコミュ
ニケーション手段が発達し、年齢を問わず広く一般化しています。また、映画やテレビ
ドラマ、テレビコマーシャルなどのあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、実
際のロケをスムーズに進めるための非営利公的機関としてフィルムコミッションがあ
ります。都道府県や市町村などの自治体、商工会議所や観光協会などの公的機関がフィ
ルムコミッション事業を行なっています。
このような中で「みやぎの明治村」の代表的な観光情報のみならず、地域の隠れた歴
史遺産や豊かな農林資源などを積極的に発信し、観光客を中心とした交流人口のより一
層の拡大を図る必要があります。
(2) 情報発信の方法
① 魅力あるホームページによる情報の提供
市、観光物産協会、商工会、民間施設などを中心に総合的な観光案内や相互に連携
した情報表示など「みやぎの明治村」の統一的なイメージ戦略を構築します。
② 携帯電話、カーナビを活用した迅速な情報の提供
※
※
モバイル情報、二次元コード(QRコード)などを活用した個別情報の提供やカー
ナビを活用した地図情報の提供や複合情報サービスの構築を検討します。
※
③ フリーペーパーを活用した地域情報の提供
商店主、地域住民、行政、大学の連携による「みやぎの明治村」ならではの地域情
報紙の発刊を推進します。
④ フィルムコミッションの活用
フィルムコミッションは、ロケーション場所に関する情報の他、宿泊、食事、機
材、レンタカー、許可申請についてなど、地域で撮影する際に必要な情報の提供を
無償で行ないます。
宮城県では、「せんだい・宮城フィルムコミッション」が設立されており、構成団
体は、仙台市、宮城県、松島町、仙台商工会議所、㈳宮城県観光連盟となっていま
す。情報提供の範囲の中には宮城県全域が含まれており登米市もこの中に入ってい
ます。市では現在も情報提供等を行ないロケーションの誘致に努めており、今後も
※モバイル
移動性・携帯性・機動性などがあることを意味する表現。小型・軽量化、高性能化された情報通信機器
やコンピューターなどの情報端末を形容する言葉として使われる。
※二次元コード 横方向にしか情報を持たない一次元コード(バーコード)に対し、水平方向と垂直方向に情報を持つ
表示方式のコードのこと。バーコードに比べ、より多くの情報をコード化でき、また印字面積を小さく
できる。現在、日本には 14 種類の二次元コードがあるが、QRコードが最も普及していて、携帯電話
機が読み取りに対応しているため、一般の目に触れることも多い。
※フリーペーパー 身近な生活情報などを掲載し、限定した地域の家庭などに無料で配布する新聞。経費は広告収入で
まかなわれる。
­ 28 ­
「せんだい・宮城フィルムコミッション」との連携に努め、積極的に誘致活動を推
進します。
【せんだい・宮城フィルムコミッション 業務概念図】
※
業務概念図はせんだい・宮城フィルムコミッション H.P より
(3) 実施主体
① インターネットを活用したホームページは、市、県、観光物産協会、商工会など
観光関係機関
② 携帯電話を活用した新たな情報サービスは、商工業者、通信事業者を中心とした
民間企業
③ 平成 19 年度事業として、宮城県登米地方振興事務所が実施している「もぅす企画
発行編集会議」
のフリーペーパー発刊事業については、
引き続き継続発刊を目指し、
地元関係者、行政、
大学、
地域住民とその方策について検討が必要となっています。
④ 「せんだい・宮城フィルムコミッション」を通じた誘致活動を推進するとともに、
今後の登米市におけるフィルムコミッションの活用や組織のあり方等について検
討を行います。
­ 29 ­
第 3 回「とよま明治村」まちづくり計画策定委員会
H20.2.8
資料 4
第3章 「みやぎの明治村 とよま」まちづくり推進のために
1. 計画推進の主体と役割
本計画を着実に推進していくためには、その主体となる市民、観光事業者、観光関係
団体、行政がそれぞれの役割に応じて、自主的、積極的な取り組みを進めるとともに、
相互に協力・連携を図りながら協働で「みやぎの明治村」まちづくり施策を展開する必
要があります。本章では、地域住民、観光事業者、観光関連団体、行政のそれぞれの役
割を示します。
(1) 地域住民の役割
とよま
地域住民は、長年にわたり登米のまちとともに歩み、まちの歴史や財産を築きあげて
きました。今後も地域の自然・歴史・文化への理解を深めるとともに地域の魅力を再発
見し、地域に対する愛着と誇りを持って地域づくりに参加することが求められています。
また、観光客に対しては、観光客を温かく迎える親切なおもてなしの心を持ち、観光
客との積極的な交流に努めることが期待されています。
(2) 観光事業者の役割
観光事業者は、「みやぎの明治村」の観光産業の担い手として新たな魅力づくりに
取り組むとともに、交通・宿泊・飲食・土産等、観光事業者相互の連携を密にし、観光
地としてのイメージアップに努めます。
また、「みやぎの明治村」の観光の最前線で観光客と接するという認識を持ち、おも
てなしの心を持って接客できる人材の育成や観光客の多様なニーズに対応した質の高
いサービスの提供に努めます。
(3) 観光関連団体の役割
登米市観光物産協会をはじめとする観光関連団体は、観光を推進する中核的存在とし
ての役割を発揮するため、組織体制の充実・強化に努めます。
また、地域住民、観光事業者、行政との調整・連携を図り効果的な観光客誘致の展開
やホスピタリティの向上に努めます。
(4) 行政の役割
行政は地域住民、観光事業者、観光関連団体との協働のもと、各部局の連携を十分図
りながら、登米市総合計画や本計画に基づく総合的な「みやぎの明治村」まちづくり施
策を推進するとともに、各主体が自主的に取り組む事業への支援に努めます。さらに、
社会経済環境の変化に適切に対応するため、国・県及び周辺市町村等との連携を図り、
­ 30 ­
情報の収集・分析及び提供に努めます。
2. 計画推進体制の構築
「みやぎの明治村」のまちづくりや計画の推進を協働で実施するとともに意見集約等
を行なうため、地域住民、観光事業者、観光関連団体、行政などを構成メンバーとした
「仮称:みやぎの明治村まちづくり推進協議会」を設立します。
また、市役所内に「みやぎの明治村」の総合的な整備施策の検討や計画推進にあたっ
ての連絡調整等を行うため、商工観光課、都市計画課、生涯学習課、企画振興課、登米
総合支所で構成する「仮称:みやぎの明治村まちづくり連絡調整会議」を設置します。
□「仮称:みやぎの明治村まちづくり推進協議会」主な構成メンバー案
・町内会連合会
・関係町内会
・とよま振興公社ほか観光事業者
・登米市観光物産協会
・みやぎ北上商工会
・街なみ景観整備審査会
・観光関連ボランティア団体等
・宮城県登米地方振興事務所
・市役所(商工観光課、都市計画課、生涯学習課、企画振興課、登米総合支所等
の関係課)
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