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Bridge Report キリン堂(2660)

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Bridge Report キリン堂(2660)
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
Bridge Report
http://www.bridge-salon.jp/
キリン堂(2660)
会社名
株式会社 キリン堂
証券コード
2660
市場
東証 1 部・大証 1 部
業種
小売業(商業)
会長
寺西 忠幸
社長
寺西 豊彦
所在地
大阪市淀川区宮原 4-5-36
事業内容
関西を中心に売場面積 150~300 坪型のドラッグストアをチェーン展開。
医療コンサルティング会社を子会社化するなど調剤事業の強化を推進。
決算
2 月 15 日
HP
http://www.kirindo.co.jp/
寺西 忠幸 会長
寺西 豊彦 社長
- 株式情報 -
株価
発行済株式数(自己株式を控除)
522 円
DPS(予)
配当利回り(予)
20.00 円
3.8%
時価総額
11,331,145 株
5,914 百万円
EPS(予)
PER(予)
67.07 円
7.8 倍
ROE(実)
売買単位
1.8%
BPS(実)
100 株
PBR(実)
901.71 円
0.6 倍
*株価は 10/9 終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPS は前期末実績。
- 連結業績推移 -
決算期
(単位:百万円、円)
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
EPS
配当
2009 年 2 月(実)
106,695
1,781
2,030
500
45.86
20.00
2010 年 2 月(実)
104,964
1,232
1,527
-443
-
20.00
2011 年 2 月(実)
100,465
1,118
1,537
188
16.63
20.00
2012 年 2 月(実)
102,229
1,684
1,960
184
16.31
20.00
2013 年 2 月(予)
105,300
1,880
2,210
760
67.07
20.00
*予想は会社予想。
キリン堂の 2013 年 2 月期第 2 四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
―目次―
・今回のポイント
・会社の特色
・中期 3 ヵ年計画
・当面の業績
・取材を終えて
1
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
http://www.bridge-salon.jp/
今回のポイント
・2013 年 2 月期(連結)の業績は、経常利益で 2,210 百万円(前期比+12.7%)を見込んでいる。期初
の計画を変えていないが、上期(2Q 累計)は、経常利益で 847 百万円(前年同期比△13.1%)と減益に
なった。前年に寄与した大震災の特需が一巡したこと、花粉症関連商品の低迷による影響を受けた
ことによる。下期は、ポイントカード会員の来店頻度の向上、重点商品の接客販売、PB 商品の新規
投入などによって、業績の好転を図る計画だ。
・前期から、ドラッグストア業界トップのマツモトキヨシホールディングス(以下、マツモトキヨシ HD)と
PB(プライベートブランド)商品の開発生産で共同歩調をとり始めている。共同開発と相互供給でコス
ト削減を図り、PB 商品の収益性を高めようという考えである。少しずつ効果が出始めている。
・中期 3 ヵ年計画では、2015 年 2 月期に連結経常利益率 3%(連結経常利益 35 億円)を目指してい
る。中期 3 ヵ年計画については、上場以来、毎期ローリングしながら事業を進めている。今後は、医療
提供施設としての機能強化を図るため、調剤併設や医療モールへの出店、在宅支援の取り組みを強化す
る方針である。直近では、近鉄あやめ池住宅地での医療モールの展開に合わせた調剤薬局や、新百
合ヶ丘総合病院の新設に伴う大型調剤薬局の開局を行っており、在宅医療分野の強化も含め、今後
次第に効果を上げてこよう。また、中国事業への投資については慎重ながらも、江蘇省の常州市に
卸・小売を営む新会社を設立した。
会社の特色
関西基盤のドラッグストアチェーン、関西ではトップクラス
小商圏に立地する地域密着型のドラッグストアをチェーン展開する。当社は関西を中心に北陸や四国、関東にも店
舗展開をしている。ドラッグストアを主力に、調剤薬局にも力を入れている。2012 年 8 月 15 日現在、グループで 323
店舗(FC2 店舗)を展開する。当社はこれまで M&A を積極的に行っており、04 年にドラッグエルフを買収(05 年に吸
収合併)、06 年にはジェイドラッグ(12 年 2 月にニッショードラッグに統合)、ニッショードラッグ(12 年 8 月に吸収合併)
を子会社化してきた。
当社は関西を基盤に成長、6,000~8,000 世帯の小商圏でドミナント(立地上の強み)を築こうと力を入れ、関西では業
界トップクラスとなっている。キリン堂と旧ニッショードラッグの店舗の違いは、キリン堂が売場面積 300 坪の郊外大
型店(スーパードラッグストアと名付けている)を主力としているのに対し、旧ニッショードラッグは売場面積 150 坪の比
較的小型な店舗を住宅地に展開している点だ。さらに旧ニッショードラッグは当社に比べ、雑貨等の売上構成比が高
く、医薬品、健康食品、化粧品という粗利率の高い部門のウエイトが相対的に低い。そのため旧ニッショードラッグに
おいても、医薬品、健康食品、化粧品部門の拡販に力を入れており、営業施策の徹底や経営資源の再配置等によ
る効率化を図るため、本年 8 月 16 日付でキリン堂へ経営統合した。
健美舎は 1973 年に設立され、健康食品の企画・開発を手がけてきた。現在は主に、当社の PB 商品となる健康食品
や化粧品等の企画・開発を手がけ、生産は外部にアウトソーシング(OEM)している。
2
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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会社別店舗数と売上高
2011.2
店舗数
売上高
構成比
店舗数
キリン堂
232
767
76.4
238
ニッショードラッグ
77
232
23.1
75
ジェイドラッグ
2
2
0.3
2
小売事業
311
1,002
99.8
315
その他
2
0.2
合計
1,004
100.0
(注)ジェイドラッグはニッショードラッグに統合。
「その他」には医療コンサルティング並びに卸売を含む。
売上高は連結ベース、構成比は連結に占める比率。
2012.2
売上高
786
227
2
1,017
5
1,022
構成比
76.9
22.3
0.3
99.5
0.5
199.5
(店、億円、%)
2012.8(2Q累計)
店舗数
売上高
構成比
246
396
77.6
77
111
21.9
323
508
99.5
2
0.5
511
100.0
寺西会長のリーダーシップで「顧客第一」への仕組み作りにシフトし、新社長へバトンタッチ
ドラッグストアの事業展開において、4 年前までは売上志向の拡大戦略をとってきた。売上拡大のための商品戦略や
売場戦略を強めすぎたため、顧客への本来のサービスという点では課題が蓄積した。さらにこの間、市場は変化し、
ドラッグストア業界は成熟色を強めていった。顧客第一の質的サービスを基本とする当社にとって、創業者である寺
西忠幸会長は売上拡大だけではこの局面を乗り切れないと判断し、以来事業の見直しに力を入れた。 その効果が
表れ、業績は回復、2012 年 5 月に長男である寺西豊彦氏(54 歳)へ社長を再びバトンタッチした。
未病、セルフメディケーションへのサービスを目指し、「楽・美・健・快」を追求
当社は創業以来、人々が「未病」、つまり病気にならないように早めにサポートすることを経営理念としてきた。一人
ひとり自らが健康に配慮して適切な対応をするというセルフメディケーションのためのサービスを心がけてきた。それ
によって、生活を楽しく美しく健康で快適に過ごせるようにと「楽・美・健・快」を事業の基本としている。
未病(病気になる前の状態でいろいろ手を打つこと)と小商圏がキーワードである。その中で、単に規模を追及した
成長志向ではない経営を目指そうとしている。それには社員の意識改革が必要であり、そのための社員教育に力を
入れている。例えば、店頭での「ありがとう、助かったわ」という感謝の言葉が、社員の意識を変え、そこから新しい社
会的価値が生まれる、と強調している。ビジネスモデル(企業価値創造の仕組み)を抜本的に変えようという試みで
ある。
M&A にも積極的
当社はこれまで M&A を積極的に行ってきたが、現状では一人当たり売上高という生産性指標でみると、やや人員
が多い。これに対し、寺西会長は人員を意図的に削減するのではなく、人を活用して拡大均衡にもっていこうとしてき
た。
一方、関西地域での競合をみると、従来は当社グループが他社を引き離してトップであったが、2010 年 10 月にアラ
イドハーツ・ホールディングス(以下、アライド)が、ココカラファイングループに入った。共同持株会社であるココカラフ
ァインに属する旧アライドとセガミメディクスを合計すると当社グループに肉薄しており、現在、関西では、当社グルー
プとココカラファインを中心としたトップ争いになっている。
市場成熟、業界再編の中で構造改革を推進
トップマネジメントは、いかにお客様と向き合いサービス向上に努めるか、ということに力を入れており、そのための
3
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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構造改革に取り組んでいる。さらにここ数年、顧客第一主義を徹底するため、主体性・当事者意識をもった従業員を
育てる社内教育を行っている。
構造改革では、店舗内の無駄な作業種類や量を削減し、その時間を顧客への接客や説明に対応できるように作業
改善を行うため、売場改装を進めている。この店舗作業改善をバックアップするのが新物流センターと、前期から導
入が始まった需要予測型の自動発注システムだ。自動発注システムも 1 個売れたら 1 個発注するのではなく、予想
販売数量を一括で発注することで補充頻度が下がるため、作業効率の改善が期待される。
現在、当社は小商圏に合った店作りで、顧客に繰り返し来店してもらえるような仕組み作りを徹底しようとしている。
売上も大事だが、それ以上にビジネスの仕組みを顧客に向け、付加価値を高めるようにした。それが進展をみせ、
売上、利益の落ち込みにも歯止めがかかり、前 2012 年 2 月期の連結業績は大きく上向いた。
地域コミュニティの中核として存在感を高める
当社グループの展開地域は、大阪と兵庫を中心に関西圏に拡がっている。販売管理費の配賦の仕方にもよるが、
粗利率の高い商品部門の売上構成ウエイトを高めることで、営業利益段階での利益貢献が大きくなると考えてよい。
また、大阪府高槻市に新しく物流センターを開設し、2011 年 1 月より本格稼動を始めている。従来の物流センターは
配送センター的な役割だけで、十分な在庫管理機能を持っていなかったが、新センターは店舗の棚ごとの納品を可
能にし、返品や回収にも対応できる。これによって、小商圏での店舗効率が大きく高まることになる。
商品部門別売上構成比と粗利率(連結 - 小売事業)
(億円、%)
2012年2月期(2Q累計)
売上高 構成比 粗利率
医薬品
99
19.5
35.6
健康食品
23
4.5
38.2
化粧品
130
25.4
27.2
育児用品
17
3.4
13.2
雑貨等
207
40.5
19.4
調剤売上高
32
6.4
34.4
その他
1
0.3
合計
512
100.0
26.3
(注)粗利率は売上総利益率
2013年2月期(2Q累計)
売上高 構成比 粗利率
95
18.9
35.7
22
4.5
36.5
131
25.9
27.4
14
2.8
13.2
205
40.4
19.1
36
7.2
33.0
1
0.3
508
100.0
22.0
中期 3 ヵ年計画
カウンセリングを強みとしつつ、地域医療との連携強化を図る
寺西社長は、最近の経営環境について、今は店を作っただけでは売上は十分に伸びない、と認識している。人を育
て、人との関係性の中で事業の深掘りをしていく。商品とともに、現場のスタッフが主体的に活動するサービスを提
供していく。これが実現できないと、規模に負けてしまう、と考えている。実際、ヘルス&ビューティは単なる規模では
なく、顧客に対するカウンセリングが活きる売場である、という。
中期 3 ヵ年計画は毎年ローリングしていくが、基本方針に変化はない。顧客第一主義の店作り、収益性の改善、中長
期の成長に向けた取り組みである。とりわけ、カウンセリング販売の仕組み作り、PB 商品の開発、調剤関連の売上
拡大に力を入れていく。
4
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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前 2012 年 2 月期(連結)の売上高経常利益率は 1.9%であったが、3 年後の 2015 年 2 月期には 3.0%を目指してい
る。2015 年 2 月期(連結)で、売上高 1,165 億円、経常利益 35 億円、当期純利益 12 億円が目標である。出店も自社
出店で年間 10 店舗以上を目指してしる。
トップマネジメントは、今後の経営方針として次のような基本観を持っている。ドラッグストアの M&A を行ってきたが、
人員は減らさずに新しい事業で吸収することを考えてきた。これからもそうである。調剤薬局を手がけつつ、在宅介
護ビジネスに入っていくには薬剤師をもっと鍛える必要がある。基本は 6,000 世帯くらいの小商圏に調剤薬局を併設
したドラッグストアを展開し、顧客に繰り返し来店していただけるような仕組みをつくり固定客化を図っていく。
一方で、子会社のソシオンヘルスケアマネージメント(以下、ソシオン)を活用する。ソシオンは在宅医療に特化したコ
ンサルを本業としている。国の方針は医療費抑制の観点から療養病床を減らそうとしている。病気の治療は病院で
行うが、療養は自宅で行ってもらい、それをサポートする仕組みを作っていくという方向である。リハビリのデイケアも
必要であり、在宅支援を行うための「かかりつけ薬局」も必要である。こうした分野で、当社が得意とするところをビジ
ネスにしていく。
ドラッグストアでは、セルフサービスを強化しつつ、未病に対してはカウンセリングに力を入れていく。未病とは、病気
ではないけれどもすっきりと健康でもない状態をいう。ここに的確なカウンセリングをして、顧客の信頼を得ていこうと
考えている。顧客に繰り返し来店していただけるような販促にも力を入れていく。そのためには、店舗作業の改革を
行う構造改革が必要であり、人材への専門教育が必須である。
ドラッグストアという物販から顧客サービスを行うだけではなく、ドクターの視点から病院の困っていることもサポート
する。同時に、未病で悩んでいる顧客にサービスを提供するという観点から事業を再構築しようとしている。
小商圏のコミュニティがターゲット
当社のトップマネジメントは日本の小売業は抜本的に変わる必要があり、ドラッグストア業界も今までの延長線では
経営が続かない、と考えている。小商圏のコミュニティに店舗が根付き、顧客に繰り返し来店していただけるような仕
組みを一段と強化する必要がある、と強く意識している。6,000 世帯の人々に安心した生活を提供しようというのが基
本である。小商圏でのドミナントを形成し、高齢化に対応して地域医療にも適応したサービスの仕組み作りを進めよ
うとしている。厚生労働省の発表によると、がん患者(年152 万人)に対し、認知症などの精神疾患患者は 325 万人に
上るとされる。今後、在宅介護がますます必要になってくるだろう。関西でのドミナントを進め、子会社であるソシオン
と協働で、医療モール併設型調剤薬局の開設や在宅介護支援を推進し、地域医療に貢献できる企業グループを目
指そうとしている。
連結経常利益 35 億円、店舗数 355 店舗を目指す
期初に発表した中期 3 ヵ年計画(連結)では、前期の経常利益 19 億円に対して、今期 22 億円、2 年目 29 億円、3 年
目 35 億円を目標としている。そのための施策の基本は、既存の事業で収益を上げていくことである。新たな布石とし
ては、ソシオンとの協働による医療モール併設型調剤薬局や大型調剤薬局の開設、在宅介護支援などが注目され
る。
中期 3 ヵ年計画(連結)では、新規自社出店を 1 年目 11 店舗、2 年目 12 店舗、3 年目 17 店舗を予定し、3 年後には
355 店舗となる見通しである。この間、全社的に販管費を削減し、さらに粗利率の向上による経常利益の拡大に結び
付けようとしている。
当社グループは毎年 3 ヵ年の中期計画をローリングしてきた。09 年度の時には 2015 年で売上高 2,000 億円、店舗
数 500 店舗、売上高経常利益率 3%という大きな計画を打ち出していたが、2010 年度にはこうした中期計画を一旦取
5
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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り下げた。
従来の売上拡大志向の事業展開ではなく、効率を高めるための内部固めに入ったのである。出店すれば売れると
いう考えではなく、地域で信頼される店舗作りにシフトする必要があった。チラシで安さを訴求するのではなく、接客
の時間をいかに作っていくかに仕組みを変えようとしている。
調剤薬局の処方せん取扱い店舗は、323 店舗中 54 店舗である。既存店舗は調剤スペースを有しているので、クリニ
ックの開業状況を見ながら、処方せん取扱い店舗数を増やしていく方針である。中期 3 ヵ年計画(連結)では、調剤売
上高を現在の 68 億円から 100 億円にすることを目標としている。
また、当社グループの PB 商品のウエイトは現在商品売上高(小売事業)の 8.9%であるが、これを 10%にまでもって
いきたいと会社側では考えている。健康食品、化粧品、雑貨などでマーケティングを強化していく。
中期3ヵ年計画(連結)
(百万円、店)
2012年2月期
2013年2月期(予) 2014年2月期(予) 2015年2月期(予)
売上高
102,229
105,300
110,720
116,576
経常利益
1,960
2,210
2,950
3,529
当期純利益
184
760
908
1,206
自社出店
8
11
12
17
退店
4
グループ全店
315
326
338
355
(注)M&Aは含まず。退店は未定。 (期初発表現在)
マツモトキヨシ HD と連携、PB 商品を強化
当社は前期から、ドラッグストア業界最大手のマツモトキヨシ HD と PB 商品の開発で連携を図っている。資本提携や
業務提携という強いものではない。当社の強みである健康食品をはじめ、PB 商品の企画で顧客志向のものを量産
できれば、コストを下げることができ、収益性は高まる。ここを狙っている。まずは互いにメリットのあるビジネスで一
定の成果を上げることが先決で、そこがうまくいけば次の展開にも拡がってこよう。
マツモトキヨシ HD とは PB 商品の相互供給、共同開発を行うことで合意している。店舗の立地が両社でさほど競合せ
ず、PB 商品のバッティングも少ない。そこでまず既存の PB 商品をやりとりして、その後に共同開発に入る考えである。
PB 商品を共同で開発し、生産効果を出し、コストを下げて、顧客に提供しようとしている。300 店舗規模(当社グルー
プ)と、1,200 店舗規模(マツモトキヨシ HD)ではボリュームが違うからである。
マツモトキヨシ HD との連携は単純な規模の追求ではない
社会が少子高齢化に向かう中で、小売業はより地域密着型であることが求められる。地域密着型における各々の良
さを追求していくことになる。成長というコンセプトではなく、改革の推進である。単なるボリュームの追求ではなく、新
しい商品開発に力を入れていく。そこで互いの強みを活かすことができれば意義は大きいと考えている。
中国での店舗展開は慎重ながら、一歩前進
現在の中国において外資系企業が医薬品販売許可を取得するのは困難である。よって、中国でのドラッグストア展
開は慎重を期す必要があることから、まずは、2012 年 1 月に設立した子会社「麒麟堂美健国際貿易(上海)有限公
司」を通じて、日用雑貨の輸出入に力を入れてきた。さらに、中国でのドラッグストア展開には、問屋機能が発達して
6
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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いないので、商品の調達に工夫も必要である。
こうした中で、本年 9 月、江蘇省常州市に現地法人「忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司」(資本金1億円)を設立した。常
州市は、上海から車で 2 時間、新幹線で 40 分のところにある。常州市(人口 360 万人)に拠点を作って、江蘇省(人口
7,900 万人)を軸にドラックストアの店舗展開を進めていく方針である。市のバックアップもあり、年内には 1 号店を出
店する予定だ。
中国では、15 元(約 187 円)ストアが伸びている。日本でいえば、100 円ショップの価格帯イメージである。中国のドラッ
グストアには、日本製品に加え、この手の商品も入れていく。まだ、医薬品の販売はできないが、化粧品、ベビー用
品、日用品の中で、比較的粗利の高いものをミックスして、ドラッグストアとして攻めていく方針である。まずは単店ベ
ースで黒字化を目指し、その上で多店舗化を進める。いずれ中国国内だけでなく、ここでのノウハウを培って、他の
アジア地域へも展開していきたいと考えている。
在宅支援で独自展開、ソシオンとの協業を活かす
2010 年 8 月、ソシオンヘルスケアマネージメント(以下、ソシオン)を子会社化した。6,000~8,000 世帯の小商圏に店
舗を出すことによって地域密着型のドラッグストアチェーンを成立させると同時に、ソシオンと共に、両社のノウハウ
を最大限に活かし、医療モールや在宅支援で地域コミュニティの中核になろうとしている。ソシオンは医療機関や介
護施設との結びつきが強く、さまざまなコンサルティング事業を手がけてきた。ソシオンは、在宅医療サポートを手が
けおり、関東で 400 人、関西で 1,800 人をサポートしている。
新たな医療モールで先行
2011 年 10 月、奈良県あやめ池に医療モール「メディカルコートあやめ池」がオープンした。「メディカルコートあやめ
池」は、近鉄グループの駅前環境創造プロジェクト「近鉄あやめ池住宅地」の中枢を担う、医療・健康・福祉ゾーンの
一画に誕生した医療モールである。医療モールには 5 つの診療所が開業し、当社は調剤薬局「北あやめ池店」を開
局した。本年 9 月、近鉄あやめ池遊園地跡地に有料老人ホームが完成しており、当社は医療機関と連携し、在宅医
療サービスの提供を開始している。このほか現在、複数の医療モール案件を有しており、今後も医療モール併設型
調剤薬局をオープンする予定だ。
また、本年 8 月に開院した新百合ヶ丘総合病院の門前に、大型調剤薬局と調剤併設型ドラッグストアの 2 店舗を開局
した。新百合ヶ丘総合病院は、377 床の入院施設をもつ地域医療の基幹病院である。当社も地域医療に貢献すべく、
当社初の 24 時間調剤を行うなど、新たな取り組みを行っている。
医療モール案件、大型病院門前の大型薬局案件、いずれも当社の子会社となったソシオンがオルガナイズしている
ものである。
差別化になる医療ネットワーク作り
こうした医療モールを手がけたいという企業は多いが、ドクターとの結びつきが強くないと中身の充実した施設(モー
ル)とはならない。ソシオンはこの分野で独自のノウハウを有しており、強みを発揮している。こうしたモールができれ
ば、調剤薬局が必要になり、日用生活必需品を取り扱うドラッグストアが担う役割も大きい。ソシオンと共に、在宅医
療のネットワークを強化する。地域住民、患者とドクター、介護施設、調剤薬局を結び付けて、かかりつけの新しい仕
組みを作ろうとしている。
こうした試みが上手くいくと、当社の差別化戦略としては重大な意味をもってこよう。ソシオンは医療機関や患者の目
線でサービスを提供することを考える。薬局、薬剤師とドクターを結び付けるのはもちろんだが、施設在宅も考える。
施設とドクターを結びつけ、多面的な展開でサービスの質と効率を高め、ビジネスとして成立させることを考えている。
7
ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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ビジネスとして成り立たなければ、在宅医療といっても掛け声だけになってしまう。京都での介護付有料老人ホーム
では、認知症の入居者への対応も考慮する。つまりその方々の物販に対するニーズに応えるということだ。在宅患
者、施設サービス、ホームドクター、基幹病院、薬局薬剤師がうまく連携できるシステム作りが求められ、ソシオンは
これを担っていく。このシステム化ができると当社にとって、明確な差別化戦略となる。
介護事業はリハビリ型
ソシオンは、在宅支援に力を入れている。一般に病院の医師が在宅医療を行うには、今の仕組みのままでは大きな
負担がかかると考えるからである。そこで、新しい仕組みを作って、在宅支援サービスを本格的に普及させようと計
画し、推進している。
例えば、介護への参入では、機能訓練に軸足を置いた事業にも取り組もうとしている。病院では緊急を要する急性
期治療に重点が置かれており、何らかの機能回復を必要とする人は、デイサービスのサポートを求めるが、その役
割を担う施設は少ない。
そこで、本年 9 月、機能訓練特化型デイサービスを行う高齢者向け運動施設(アルバシニアフィットネス代々木上原)
を東京の渋谷に開設した。このビジネスモデルが成り立つかどうかを需要の多い東京で実験して、それが上手くいけ
ばキリン堂の本拠地である関西で展開するという方向である。
当面の業績
2 年前に業績は底入れ
過去の業績をみると、2008 年 2 月期の経常利益 2,530 百万円をピークに、売上は伸び悩み、経常利益はダウントレ
ンドにあった。2 年前から構造改革に取り組み、売上志向ではなく、サービス向上にシフトしてきたが、収益面では必
ずしもプラスに働かなかった。しかし、2011 年 2 月期は、減収ながら経常利益は横ばいをキープし、業績は底入れす
る局面に入った。
前 2012 年 2 月期の連結営業利益は大きく好転
前 2012 年 2 月期(連結)は、売上高 102,229 百万円(前年度比+1.8%)、営業利益 1,684 百万円(同+50.5%)、経常
利益 1,960 百万円(同+27.5%)、当期純利益 184 百万円(同△2.0%)となった。営業利益が大幅に改善したのは、粗
利率の向上が寄与したからである。春先の花粉症関連商品の販売増や、震災の影響による生活必需品の需要増に
加え、調剤部門や健康食品部門が好調であった。また、2010 年 8 月に子会化したソシオンも粗利率改善に寄与し
た。
経常利益に比べて、当期純利益が少ない要因は、資産除去債務費用△590 百万円を含めて、特別損失が△755 百
万円ほど発生したことによる。資産除去債務は会計ルールの変更に伴い、店舗などの資産を除去する時に要する費
用を見積もるもので、一時的に大きく発生する。
2013 年 2 月期(2Q 累計)は減益となる
2013 年 2 月期(2Q 累計)は、売上高 51,126 百万円(前年同期比△0.8%)、営業利益 668 百万円(同△14.8%)、経常利
益 847 百万円(同△13.1%)、四半期純利益 531 百万円(前年同期 31 百万円)となった。営業利益、経常利益、四半期
純利益で計画は達成したが、前年同期比では減収減益となった。前年同期は大震災の特需(一時的な需要増)があ
ったこと、今期は花粉が少なかったことにより花粉症関連商品が減少したことが響いた。
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ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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上期は、ドラッグストアで 7 店舗(大阪 2 店舗、兵庫 2 店舗、滋賀 1 店舗、神奈川 2 店舗)、調剤薬局では兵庫の大賀
薬局 3 店舗を譲り受けた。一方、2 店舗閉鎖したので、店舗数は 8 月 15 日現在で 7 店店舗増の 323 店舗(うち、処方
せん取扱店舗は 54 店舗)となった。
商品部門別では、化粧品のライトカウンセリングが効果を上げ、調剤の 1 店当たり処方箋枚数も、1,296 枚(同+72
枚)と増えている。小売事業の粗利率は、採算の良い医薬品のウエイトがダウンしたのでやや低下したが、人件費、
物流費、家賃の引き下げによる施設費の削減等により、販管費が前年同期に比べ削減されたこともあり、かなりカバ
ーした。
2013 年 2 月期(連結)も増益を目指す
2013 年 2 月期(連結)の新規出店は 11 店舗(上期 7 店実施、下期 4 店舗)を予定している。業績は売上高 105,300 百
万円(前期比+3.0%)、営業利益 1,880 百万円(同+11.6%)、経常利益 2,210 百万円(同+12.7%)、当期純利益 760
百万円(同+311.3%)の見通しだ。特別損失を 700 百万円ほど見込んでいるが、うち減損を 600 百万円と保守的に見
積もっている。
特別損失は前期で一巡へ
2010 年 2 月期(連結)は、会計ルールの変更に伴う、たな卸評価損の発生により当期純利益ベースで赤字となった。
2011 年 2 月期(連結)は店舗の減損のほか、退職給付改定損などが発生した。前 2012 年 2 月期(連結)は、店舗の
資産除却債務が発生した。これらによって、表面の税引き利益は低く抑えられているが、キャッシュフローベースで
は必ずしもマイナスとはなっていない。2013 年 2 月期(連結)も減損など一定の特別損失を見込んでいるが、前期ま
でで大きな影響は一巡しており、当期からはかなり正常に戻ってこよう。
財務体質の改善に注力
前 2012 年 2 月期(連結)は営業キャッシュ・フロー3,013 百万円に対して、投資キャッシュ・フロー1,007 百万円となり、
フリーキャッシュフローが増え、現預金は 1,030 百万円増となった。
前述の医療モール併設型調剤薬局「北あやめ池店」の開発は、ソシオンがオルガナイズしているが、当社が投じた
資金は調剤薬局の開局資金だけである。つまり医療モールの開発で、当社に大きな投資負担が発生することはほと
んどない。今後の事業展開は、営業キャッシュ・フローの範囲内に納めることを基本にしており、余裕資金が発生す
れば、できるだけ借入金の返済に回していく計画である。
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バランスシート
流動資産
現預金
売上債権
たな卸資産
固定資産
有形固定資産
無形固定資産
投資その他
総資産
負債
買入債務
短期有利子負債
長期有利子負債
純資産
自己資本比率
2011.2
20,448
4,353
1,711
11,769
20,454
7,548
3,165
9,740
40,902
30,527
13,501
5,417
7,902
10,374
25.1
2012.2
21,405
5,505
1,943
11,582
20,258
8,037
2,857
9,363
41,664
31,337
13,194
5,133
7,504
10,326
24.5
(百万円)
2012.8
23,171
7,211
1,989
11,724
20,399
8,293
2,611
9,494
43,571
32,812
14,238
5,570
7,649
10,758
24.4
今期の重点施策は 5 点
寺西社長によると、小売事業の経営統合、既存店の活性化、調剤売上高の拡大などで、連結経常利益の目標を達
成するという方針に変わりはない。2013 年 2 月期の重点施策は次の 5 点である。
(1)小売事業部門の経営統合~キリン堂へ一本化
2012 年 2 月 16 日付で、ジェイドラッグをニッショードラッグに統合した後、同年 8 月 16 日付で、ニッショードラッグを
キリン堂に吸収合併した。2006 年 12 月にニッショードラッグの M&A 実施後、今回の経営の実質的統合まで 5 年か
かっているが、その理由は、社員の価値観を 1 つにし、就業規則やその他規程などを統一するのに十分時間をかけ
たことと、経営統合に伴う税務面での対応でもデメリットが生じないようにしたためである。今後はこの経営統合を通
し、キリン堂ブランドの浸透や人材活用の弾力化等により、一層の営業推進を図る方針である。
(2)ライトカウンセリング販売
既存店の活性化に向けた構造改革の推進では、セルフサービス売場の徹底により、健康と美容の相談ができるライ
トカウンセリング販売体制づくりに力を入れている。売場の改装は、過去 2 年で 150 店の実施実績であるが、当期は
84 店を計画しており、うち上期で 42 店の改装を実施した。2011 年 1 月に本格稼働した新物流センターの活用、需要
予測を自動発注システムの導入(前期 115 店導入済み)などによって、顧客に合ったセルフサービスで時間の余裕を
作り、その時間をカウンセリング販売に当てるという考えである。カウンセリングに力を入れるという当社の方針は着
実に浸透しつつある。キリン堂の近くに同業他社が進出してくると食品などの売上げには影響が出る場合もあるが、
当社の強みは効果を上げている。
(3)来店回数の増加による顧客の固定化
顧客をいかに引き付けるか。このカスタマー・リテンション(顧客の保持)に向け CRM を利用した固定客作りに力を入
れている。リピート客の来店回数を増やすように DM やクーポンなどを活用するほか、チラシの内容や配布エリアを
見直しながら新規顧客の獲得も目指している。 上期が減益の原因は、来店客数が足りなく、売上高が未達となった
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ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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ためである。客単価は上昇(1 顧客当たりの買上げ点数、1点当たりの単価も上昇)しており、ポイントカード会員も着
実に増えている。とすると、既存顧客を中心に来店頻度をいかに上げていくかが課題である。
そのために、①EDLP 商品の見直しと売価強化を行い、②重点商品の接客販売に力を入れ、③PB 商品の新規投入
と値入率の改善を図っていく。例えば、上期マイナス幅の大きかった育児用品部門のベビー用おむつに手を打つ。
PB 商品では、プレミアム PB に力を入れる、という具合である。顧客の囲い込みという点ではヘルス&ビューティに重
点を置いていく。また、CRM を活用して、効率的な値引きで顧客を引き付けていく考えである。
(4)PB 商品の販売強化による粗利率の向上
前 2012 年 2 月期(小売事業)は PB 商品の粗利率が 39.4%と 1.7%ほど改善している。PB 商品は小売事業売上高
の 8.9%を占めているが、これを一段と上げていく。キリン堂とマツモトキヨシ HD との PB 商品の相互供品についても、
マツモトキヨシ HD から 80 アイテム導入、キリン堂から 21 アイテム(健康食品中心)供給というように次第に交流が広
がっている。
5)大型調剤薬局の開設
処方せん取扱い店舗 54 店舗のうち、ドラッグストアとの併設は 34 店で、20 店は独立店舗である。既存のドラッグスト
アに調剤薬局を出す余地はかなりあるので、状況を見ながら判断していく。また、ソシオンとの連携で、神奈川県川
崎市の新百合ヶ丘に大型調剤薬局と調剤併設型ドラッグストアの 2 店舗を出店した。新百合ヶ丘総合病院は、日本
でも先端の病院経営システムが確立されている模様。この他にも、上期に大賀薬局から 3 店の調剤薬局を譲り受け
ている。在宅支援への取り組みでは、訪問服薬指導を行う薬局が既に 10 店になっている。この中期 3 ヵ年計画では
調剤薬局の連結売上高 100 億円を目指しており、今期は前期比+8.4%の 74 億円を計画している。
安定配当志向・・・配当額重視
当社は、配当性向よりも配当額を重視して安定配当を行う方針である。多少業績が変動しても、配当額は安定して
確保したいという考えである。過去を見ると、配当額は少しずつ増えてきており、直近 3 ヵ年は 1 株当たり年間 20 円
の配当を実施、今期も年間 20 円を予定している。これで株主に還元していく方向にある。
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ブリッジレポート(2660) 2012 年 10 月9日
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取材を終えて
来店客数の増加が図れるか
この上期は減益となったが、下期でどこまで取り戻せるか。目先は来店客数の改善策が功を奏するかに注目したい。
店舗運営の構造改革、ソシオンの子会社化による地域医療への貢献(医療モールの展開、在宅介護支援など)、マ
ツモトキヨシ HD との PB 商品の相互供給など、攻めの動きが本格化している。これらが事業の拡がりをもたらし、業
績に結びついてくれば、中期 3 ヵ年計画の達成についても期待がもてる。課題はマネジメント人材の強化である。トッ
プマネジメントが陣頭指揮をとり、人材育成に力を入れているが、ここでの登用と強化が一段と求められよう。PBR が
1 を下回っているが、医療との連携による差別化戦略が功を奏し、中期 3 ヵ年計画が順調にいけば、ROE は 10%を
超えてくるので、当社の企業価値もかなり見直されてこよう。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び
見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源か
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