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乳腺原発悪性リンパ腫に対する治療成績に関する多施設後方視的調査

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乳腺原発悪性リンパ腫に対する治療成績に関する多施設後方視的調査
乳腺原発悪性リンパ腫に対する治療成績に関する多施設後方視的調査研究
研究対象:
1996 年 1 月~2009 年 12 月の間に、国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科において乳
腺原発悪性リンパ腫と診断された方々の診療録を対象とします。
研究の概要:
乳腺原発悪性リンパ腫とは、乳腺に最初にできる、あるいは乳腺に最大の病変をもつ悪性リ
ンパ腫であり、非常にまれな疾患です。当院の報告(福原、渡辺、Eur J Haematol、2011)
では、1 年間に約 1 人の頻度で新しく乳腺原発悪性リンパ腫と診断される患者さんを経験し
ます。1 施設あたりで経験する患者さんの数が非常に少ないため、少数での報告が多く、乳
腺原発悪性リンパ腫がどのような特徴があるのか、どのような治療経過をたどるのかなど
施設間の報告に差があるのが現状です。
乳腺原発悪性リンパ腫には様々な組織型がありますが、びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫
(DLBCL)が最も多く、その他バーキットリンパ腫やマルトリンパ腫、濾胞性リンパ腫、
小リンパ球リンパ腫などがあります。
びまん性大細胞型ではリンパ節にできる通常のリンパ腫に比べて、再発しやすく、治療成績
も悪いとされています。また、再発する部位に関しても、脳などの中枢神経系、反対側の乳
腺などリンパ節以外の部位が多いとされています。逆にリンパ節にできるリンパ腫とは治
療成績、再発する部位などで大きな変わりがないという報告もあります。
初回の治療はリンパ節にできるリンパ腫に行っているリツキサン併用 CHOP 療法などの化
学療法に放射線治療を追加することが多いですが、反対側の乳房や中枢神経系への再発が
多いことから反対側の乳房への放射線治療や予防的髄注(再発予防として背中から脊椎の
隙間を通って脊髄腔内へ抗がん剤を注入する)を行うこともあります。前述のようにリンパ
節にできるリンパ腫よりも治療成績が悪いことから、乳腺が原発の場合には別個の治療法
が必要となる可能性もあります。
また、治療開始前の年齢、病期、患者さんの状態、LDH、腫瘍径などが治療成績に関係する
といわれていますが、統一された見解はありません。
このように乳腺原発悪性リンパ腫については意見がわかれる部分が多く、より多数の患者
さんでの検証が必要です。本研究により、乳腺原発悪性リンパ腫の特徴、治療経過を明らか
にし、それによってより最適な治療方針を見つけることが出来るのではないかと考えてい
ます。
研究の意義:
乳腺原発悪性リンパ腫の患者さんにおいて、どのような特徴があるのか、どのような治療が
行われているのか、治療成績はどうであるのかなどを調べます。現在行われている治療によ
る治療成績が悪かったり、特定の部位に再発が多かったりする場合には今までとは違った
新たな治療方針を検討する必要があるかもしれません。この研究は現在の乳腺原発悪性リ
ンパ腫の治療状況を把握し、今後の最適な治療方針を検討する上で意義は大きいと考えま
す。
目的:
本研究は、乳腺原発悪性リンパ腫にはどのような特徴があるのか、どのような治療が行われ
ているのか、治療成績はどうであるのかなどを調べることを目的としています。将来的には、
この研究データの結果が乳腺原発悪性リンパ腫の患者さんの診療に利用され、より効率的
な治療を進められるようになると考えています。
方法:
本研究は、日本全国のがん診療連携拠点病院を中心に、資料となるデータ(診療情報)を研
究事務局に収集する形式で行われ、当院が研究代表ならびに研究事務局を担当しています。
本研究には当院を含む全国約 30 施設が参加を予定しています。
当院では 1996 年 1 月~2009 年 12 月の間に血液腫瘍科において乳腺原発悪性リンパ腫と
診断された患者さんの診療録より、リンパ腫の特徴や治療内容、治療効果についての必要な
情報を収集します。また診断に用いられた生検組織標本を収集、見直すことで、乳腺原発悪
性リンパ腫の特徴を調べます。情報収集や標本収集、見直しの作業にあたる人員は医師をは
じめとする医療知識のある研究者です。この作業で収集した情報を通じて、乳腺原発悪性リ
ンパ腫の特徴、治療経過を検証します。
個人情報保護に関する配慮:
閲覧、収集する診療録や生検組織標本には個人情報が含まれますが、患者さん個人が特定さ
れないやり方で情報を収集します。対象となる患者さんの識別は本研究専用に別途割り振
られた研究番号を使って管理するため患者さんの氏名など個人を特定できる情報が院外に
でることはありません。患者さんなどからのご希望があれば、その方の診療録や生検組織標
本は研究に利用しないようにしますので、いつでも次の連絡先までご連絡ください。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
〒104-0045 東京都中央区築地 5-1-1
国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 福原
FAX 03-3542-3815/TEL 03-3542-2511
傑
〒485-8520 愛知県小牧市常普請 1-20
小牧市民病院 血液内科 渡辺 隆
FAX 0568-76-4145/TEL 0568-76-4131
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