...

報告書[PDF:274KB]

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

報告書[PDF:274KB]
創政会 会派視察報告
◎実 施 年 月 日
平成27年7月28日(火)~29日(水)
◎調査場所及び調査事項
7月28日(火)
佐賀県鳥栖市 「企業誘致施策について」
7月29日(水)
佐賀県唐津市
「コスメティック産業推進事業について」
◎参 加 議 員 名
山田 昌紀、斉藤 裕樹、舘
萩原 鉄也、小沼 富夫、大山
☆佐賀県鳥栖市
①鳥栖市の概要
大樹、米谷 政久、八島 満雄
学、国島 正富
「企業誘致施策について」
鳥栖市は佐賀県の東端に位置し、北は脊振山地を隔てて福
岡平野、南は筑後川をはさんで久留米市に隣接しており、
東西8.2km、南北9.0km、面積71.㎢で、人口約
70,000人。昭和29年に鳥栖町、田代町、基里村、
麓村、旭村の2町3村が合併して発足しました。JR、国
道、高速道路の分岐点で九州陸路交通の要衝としての立地
特性を持ち、中でも日本で唯一のクローバー型をした鳥栖
ジャンクションは九州の南北を走る九州縦貫自動車道と、
九州横断自動車道が交差する、まさに「九州のクロスロー
ド」です。民間経済誌の住みよさランキング(2010年
版)では九州第1位、全国で第4位にランクイン。日本全
体の人口が減る中で、現在も人口が増加しており、活力の
ある都市として注目されています。
②視察目的
鳥栖市は広域幹線道路の利便性を活用した企業誘致に力を
入れており、それにより人口も増え続けています。伊勢原
市においてもこれから広域幹線道路が整備される中、大い
に参考とすることの出来る先進事例であることから、鳥栖
市を視察地としました。
③内容・特色
歴史的には、富山、大和、近江とともに四大配置売薬の一
つ「田代売薬」として発展。昭和29年の市制施行と同時
に工場誘致条例を制定し、積極的な企業誘致施策を展開。
九州でも有数の「内陸工業都市」
☆進出協定締結企業数・・・191社(平成27年6月現在)
(製造業73社・流通業113社・その他5社)
☆製造品出荷額・・・約3,426億円(県内第1位)伊勢原は2,200億
円
☆最先端の研究機関が集積・・・九州シンクロトロン光研究センター
産業技術総合研究所九州センター
九州のハブ機能「物流拠点都市」へ
☆保税蔵置場の数は内陸部で全国トップの25箇所(鳥栖地区)
☆流通業務団地(グリーン・ロジスティック・パーク鳥栖)の分譲
☆環境への負荷が少ない鳥栖貨物ターミナル駅の開業
☆アジアの玄関口「福岡市」等との広域連携(グランドクロス広域連携)
誘致企業等への優遇措置
☆企業立地奨励金
製造業・・・新規雇用等の条件に応じて固定資産税相当
額を3か年度交付する。
流通業・・・流通業務団地への立地企業に対し、従業者数
に応じ、固定資産税相当額を3か年度交付す
る。
☆ISO認証取得等奨励金・・・ISO9000’S、ISO14000’Sを取得する市内に
本社を有する中小企業へ奨励金を交付する。
☆環境保全等奨励金・・・流通業務団地内で緑地等を整備した場合などに奨
励金を交付する。
☆雇用奨励金・・・特定地域に事業所等を設置するものが、新規常時従業者
(操業1年以内に市内居住者を新規採用)の数に対して奨励
金を交付。
鳥栖の産業団地
① 轟木工業団地・・・市内最初の工業団地として開発され、大部分が市内唯一
の工業専用地域。主に製造業が立地。(46.2ha)
② 鳥栖商工団地・・・JR鳥栖駅に近接、鳥栖I.Cまで車で5分。団地中心
部を工業地域、その周辺は準工業地域。製造・物流。卸
売業がバランスよく立地(51.6ha)
③ 鳥栖西部工業団地・・・久留米・鳥栖テクノポリス地域における先端技術導
入を図る受け皿として造成。安価で豊富な工業用水
の供給が可能。(24.9ha)
④ 鳥栖北部丘陵新都市・・・産業系用地と住宅系用地を併せて開発。佐賀県立
九州シンクロトロン光研究センターが立地し、先
端技術産業や研究機関が立地。(51.4ha)
⑤
流通業務団地・・・
「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づく開発の
ため、流通業、倉庫業、運送業など流通関連企業のみ
立地可能。鳥栖I.Cまで約500mという立地の良さ
から、九州内に分散していた物流センターを集約し、九
州のハブ的な拠点として利用する企業も多く、早期完売
を実現。
(46.1ha)
④主な質疑項目
Q:インランドデポとは?
A:保税蔵置所、外国の品物は港から荷物が運んでこられて検査が必要だが、
これをスルーし一時的に荷物を置くことができ、好きなタイミングで荷物
を出すことができる。税金面でメリットがある。
Q:企業は九州市場向けに進出してきたのか、あるいはアジア・世界向けなの
か?
A:流通業務団地(平成 18 年分譲)はアジアの物流施設として考えていたが、
分譲当時の景気の影響もあり九州の事業所の集約場所として鳥栖を選んで
頂いた。
Q:鳥栖西部第二工業用地について
A:インターから7km離れている、集合住宅が隣接している。分譲面積など
の条件が企業のニーズに合わないのか、問い合わせは多いがいまだ売れて
いない。
Q:人口減少への対策について
A:企業誘致に力を入れてきたことで雇用がついてきたことは実感している。
実際に住みたいと思える住宅施策は必要だと考えている。
Q:産業系の土地利用の将来について、鳥栖市の将来について。
A:産業用地について整備できる場所はない。課題は多いが隣接市のインター
チェンジ周辺の開発を進めていきたい。
Q:流通系の企業の雇用について
A:個別配達を行っているような流通業で多くの雇用がある
Q:早くから産業政策を進めてきたことについて。
A:地の利があった。初代市長の判断が大きい。
Q:新たな産業用地につて
A:新産業集積エリアを平成 30 年に分譲予定、農地であったが農工法を適用
した。
⑥ 所感
○6つの工業団地のうち、1つが市単独で他の5つを県主導で誘致するなど、
佐賀県のバックアップ体制が充実していると感した。
○交通の要所としてのメリットは、さらに良い施策を生んでいることに感心し
た。環境が企業を呼び、雇用を拡大し、次々と市の施策が評価を得ているこ
とに感服した。
○企業誘致には歴代首長の取り組みとその実行力にも、その促進した理由があ
るようにも感じた。
○企業誘致に活路を見いだすのであれば、まちづくり戦略の中に、さらなる積
極的な取り組みがなされなければならない。特に企業誘致活動においては、
県との連絡を密にして、企業訪問等の積極策が求められる。
○本市として、現在進める新産業用地創出に向けた事業手法を改めて検証し、
行政のめざす強い姿勢を関係地権者や周辺住民に示すことが、何より事業推
進にとって重要であることが確認できた。
鳥栖市役所にて
☆佐賀県唐津市「コスメティック産業推進事業について」
①唐津市の概要・・・唐津市は、佐賀県の西北部に位置し、東部は福岡県、佐
賀市、西部は伊万里湾を経て長崎県と、南は多久、武雄、
伊万里の各市のそれぞれに接し、北部は玄界灘に面した
沿岸地域で、人口は約 128,000 人、面積は487.54
㎢であります。美しく変化に富んだ自然と大陸との交流
の歴史を背景に、農林水産業をはじめとする産業や伝統
的な地域文化が育ち、優れた観光地としても発展してき
ました。
②視察目的・・・
「しごと・雇用を持続的に生み出す環境の創出」を目的に、国
でも前例のない、化粧品産業の集積プロジェクトが唐津市をは
じめ佐賀県で始まりました。コスメの本場フランスと連携し、
化粧品原料の開発による農林水産業の活性化、グローバル展開
支援などを推進、国際的クラスターの創造をめざしています。
6次産業化のヒントを得て、伊勢原にも活かせるのではないか
と考え、唐津市を視察地としました。
③内容・特色・・・個別企業で見れば参入・退出がありつつも、地域の雇用数
は確保されるような環境をつくるという「しごと・雇用を持
続的に生み出す環境の創出」を目的に掲げている。
市外企業の企業進出、地場企業の既存事業拡大、地場生産者
等の新規参入⇒仕事が生まれる、拡がる⇒地域雇用増・市民
所得増をねらう。
目指す姿①(しごとが生まれる)
・複数のコスメ工場が唐津に進出し、雇用を生んでいる。
・唐津の工場がアジア向けEU化粧品の製造を受託し、雇用を増やしている。
・唐津からアジアへの輸出プラットホームが稼働し、コスメ製品が唐津から輸
出され、輸出関連の雇用を増やしている。
目指す姿②(しごとが拡がる)
・地元農林水産業者がコスメ原料用の作物を生産し、所得を向上させている。
・地元企業がコスメ産業に新規参入し、売上を拡大させている。
・地元旅館業者が特色ある美容サービスを展開し、集客を増やしている。
・コスメに関連するサービス業が発達し、唐津を訪れる人が増えている。
・工場とともに化粧品原料倉庫も唐津に進出し、雇用を生んでいる。
どのようにして(概論)
☆二つの特徴が出発点
1:当地が備える特殊機能(検査分析×輸出入)
2:フランス・コスメティックバレーとのつながり
☆基本モデル①フランス→日本→アジア
フランスの化粧品を唐津で作り、成長著しいアジアへ展開する。
⇒これを基盤に、企業が継続して利益を上げられる環境を構築
・唐津にくれば売上が伸びる/コストが下がる。
・アジア市場展開をにらんだ国内拠点。
・東日本大震災の経緯を踏まえたリスク対応拠点。
☆基本モデル②地元生産業者等を対象とした新規参入機会の創出
・地元生産者によるコスメ原料素材の供給。
・地場産業の既存事業拡大、新規参入
どのようにして(推進主体)
・平成25年11月、構想の推進主体となる会員制団体JCC(ジャパン・コ
スメティックセンター)を設立。
・[設立時]正会員4社 ⇒ [平成 27 年 7 月]正会員119社
・業種別内訳
化粧品・美容関連→45社
素材関連→20社
その他→54社
どのようにして取組①(国際取引の拡大)
☆【フランス→日本】パート
STEP1 コスメティックバレーとの関係性強化
・先方事務局の攻略(大使ルート、フランス商工会議所ルート等)
・取引を作り出して信頼を強化
STEP2 合同商談会の開催
STEP3 個別商談への進展
STEP4 受託製造の実現、実績の蓄積 STEP5 その他EU圏へも展開
☆【日本→アジア】パート
・アジア側のパートナーの探索、提携
・輸出試行によるプラットホームの検証
・試行蓄積によるプラットホームの確立、本格運用
どのようにして取組②(企業誘致)
☆集積は集積を呼ぶ・・・国内企業の誘致活動も展開
・工場、倉庫が老朽化している企業
・売上が順調に拡大しており、工場新設が必要な企業
・アジア展開の国内拠点として
・南海トラフ地震等に備えたリスク分散拠点として
どのようにして取組③(地元生産者等の参入)
☆地元生産者によるコスメ原料の供給に向けて
○市場に受け入れられるコスメ原料素材の探索
・地産素材のリストアップと有用性調査
26 年度総務省事業により成分抽出用機器を整備
・化粧品原料メーカーや原料商社を訪問し、市場の反応を調査
27 年度唐津市地産コスメ原料素材調査研究委託
○コスメ企業を招聘し、契約栽培・契約農園の可能性も探索
○生産者自身による試行錯誤を支援
唐津コスメ原料素材栽培補助金
○素材の目利きと販売のプロを巻き込む仕組みの構築
☆地場産業の新規参入へ向けて
○特に食品加工業分野において素材や技術を探索
○コスメ×観光の事業アイデアも検討
どのようにして取組④(集積地の機能強化)
☆集積地としての機能(魅力)強化
○教育・人材供給機能
○コスメ業界への理解が深い研究機能(大学等)
○化粧品業界の痒いところに手が届くサービスを提供
(地場大学と連携した安全性試験機能など)
○特区による障壁の撤廃
④主な質疑項目
Q:作物の生産性はどのようになっているのか?
A:希少価値のあるものを大学に持っていってサンプルを作っている。
椿の需要が見込まれている、生産量を増やすことができそう。
玉ねぎの皮が利用できる。今まで捨てていた部分を利用できる。
Q:旅館業の美容サービスは始まっているのか?
A:リラクゼーションに化粧品を使うサービスをすすめていきたい。
Q:市全体を誘致先に考えているのか?
A:松原に誘致場所を整備している。まずは今ある場所を使って誘致を進めて
いるがそこに固執しているわけではない。
Q:工業団地の電気代補助金制度があるがコスメにも適用されるのか?
A: 原発の動向によって変わってくる可能性もあるが県と連携して制度を利用
していく。
Q:若い世代の就職は増えてきているのか?
A:増えていない。コスメティック産業を受け皿としたい。
Q:この取組の市民の認知度は?
A: 説明はしているが、大きな結果が出ていないのが現状。
Q:JCC の会費の区分は?
A: 資本金で6段階に分けている。
Q:若い女性をターゲットにしているのか?
A:男女問わず働く場所を作ろう、所得を増やそう、という取り組み。
Q:市長の考えは?
A:地域振興は最大の課題であり、化粧品に可能性があると判断。
⑤所感
○地方創生補助金の海外企業投資なども視野に入れた使い方を検討している。
○産学官での共同の利点を持ち、化粧品メーカーがメーカー自身で農園を持つ
ことやいろいろなことをJCC内で試行錯誤している。
○雇用拡大、所得向上をもたらす構想として的を得た良策といえる。
○多くの若者の雇用を生み、地域活性化につながると感じた。
○地元農林水産業者や地元企業の参入を促し、地域雇用と市民所得を増やす取
組を行政が一歩踏み込んで展開していることにその特長がみえる。
○大きな目的としてはその原料となる農林水産物の生産や、美容サービス等の
提供による新たな観光事業による誘客などもあり、市民の収入増や雇用増を
めざしているところにある。
○既存企業や他産業との連携に向けた唐津市の取り組みは、自治体の財政負担
も最小で多くの地元企業の振興にも期待出来る稀有な事例として今後の進捗
状況を真摯に検証していきたい。
唐津市にて説明の様子
市議会議事堂前にて
Fly UP