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Fed Watching
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米国
2007年11月中旬から12月に成長ペースがさらに鈍化(ベージュブック)
発表日:2008年1月17日(木)
~融資基準の厳格化が広範囲に拡大~
第一生命経済研究所 経済調査部
桂畑 誠治(かつらはた せいじ)
拡大ペースがさらに
鈍化
ベージュブックの総括部分では「12の地区連銀管轄地域からの報告によると
11月中旬から12月の経済活動は緩やかに拡大したが、前回調査期間から拡大ペ
ースは鈍化している」とさらに経済活動が減速したことが報告された。「7つ
の地区ではわずかに成長した。2つの地区がまちまち、3つの地区が鈍化し
た」(今回はアトランタ連銀が取りまとめ)。
ベージュブックでは、景気の拡大ペースがさらに鈍化したことが示された。
小売売上高の減速、住宅市場の悪化持続に加えて、FRBが注視している融資
基準の厳格化など景気を下振れさせるリスク要因が強まっており、大幅利下げ
等の対策が必要なことが示唆された。
小売売上高は前年比
で伸び鈍化、自動車
販売は減少した
ベージュブックの詳細をみると、個人消費関連では「ホリデーシーズンの小
売売上高は総じて期待はずれだった」と一部企業を除き売上高計画を下回った
ことから、弱い報告となった。全米小売業協会の報告によると11、12月合計の
売上高は2006年の前年比+4.6%から2007年には同+3.0%に鈍化した。先行き
については「2008年の小売業の見通しは慎重だった」と小売業者は先行き警戒
を強めていることが報告された。
また、自動車に関しては「大部分の地区で2007年の自動車販売は前年の水準
を下回った」と自動車需要が弱いことが指摘された。
一方、観光については「観光活動は全般的に好調だった」とドル安による観
光客の増加によって観光活動は好調さを維持していることが示された。
住宅需要の下げ止ま
りの兆しがみられな
いもと、商業不動産
には減速感
住宅部門については「大部分の住宅市場の状況は年間を通じてかなり弱いま
まだった。大部分の地区で住宅販売の低迷が続き、在庫は歴史的にも高い水準
まで増加した」と住宅市場に底打ちの兆しは全くみられない。地域間で差があ
る住宅価格は「まちまちだった」と指摘された。先行きについて調査対象者は
「住宅市場は2008年前半弱いままだろう」と年前半の低迷、年後半の下げ止ま
りを予想している。
一方、商業不動産部門に関しては、「商業用不動産市場はいくつかの地区で
鈍化したと報告されるなどまちまちだった」と商業不動産部門の減速感が強ま
っていることが報告された。先行きに関して大部分の調査対象者は「2008年の
間に商業開発ペースが鈍化する」と今後も商業不動産部門の鈍化を予想してい
る。
リファイナンスはま
ちまち
信用活動は「大部分の地区で 11 月中旬から 12 月に企業・消費者向け貸し
出しが鈍化した」と貸し出しが抑制されたことが報告された。「全ての地区
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信
ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。
また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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でリファイナンス活動はまちまちだが、住宅モーゲージローンは減少を続け
ている」と住宅ローン申請件数が比較的高い水準を維持しているが、融資基
準の厳格化の影響によって住宅モーゲージローンの減少が続いている状況に
変化はないことが指摘された。ただし、リファイナンス活動はまちまちとさ
れ、家計が金利低下を背景に借り換えによる返済負担の軽減やキャッシュア
ウトによる資金調達を行っていることが報告された。
融資基準の厳格化は
広範囲に
融資基準については「大部分の地区で多くの分野の融資基準が厳格化され
た」としており、金融機関の業績悪化や資金調達コストの上昇によって融資
基準の厳格化が続いていることが示された。また、「いくつかの地区でロー
ンの質の悪化や延滞率の上昇が報告された」と住宅価格下落の影響を受けて
いる人等の信用の質が悪化していることが示された。金融機関も消費者ロー
ンなどの引き当てを増やしており、消費者ローンなど住宅ローン以外の信用
も悪化度合いを強めている。
労働需給は逼迫した
まま
雇用については「労働市場は住宅関連産業で減少が続いているが全般的に比
較的逼迫したままである。特に、熟練労働者が不足している」と12月の失業率
が急上昇した動きと違和感のある報告となった。12月の失業率は悪天候の影響
で上昇したため、このような乖離が生じたと考えられる。
投入コストの上昇に
加え、輸送コストも
増加
インフレ関連では「ほとんどの地区で食品、石油化学、鉄、エネルギー関連
の投入コストの上昇が続いている」。さらに、「いくつかの地区では多くの製
品の輸送コストが増加している」とエネルギー・原材料価格の上昇によるイン
フレ圧力の強まり、企業のコスト増加が報告された。
雇用コストでは「雇用コストの増加は全般的に穏やかだった」とこの面から
のインフレ圧力は強くないことが示された。
企業活動では非金融
サービスが好調、製
造業はまちまち
企業活動では「大部分の地区でヘルスケア、介護、法律、保険などを含むい
つかの非金融サービスで需要が増加した」と景気変動の影響を受け難い部門の
需要拡大が示された。さらに景気動向に先行する人材派遣サービスは「まちま
ち。ダラス、フィラデルフィアの人材派遣会社への需要は弱まったが、ニュー
ヨーク、リッチモンドでは比較的需要が強かった」と底堅く推移している。
非金融サービス業のなかでも「輸送サービスは住宅部門からの需要低下によ
って全般的に弱まった」と輸送サービスだけは住宅建設減少の影響を受け活動
が弱まっている。
製造業では「製造業活動はまちまちだった。大部分の地区で建設・住宅関連
財の生産は弱いままであった」とISM製造業景気調査、生産統計などの内容
と同様の結果。各種統計では自動車産業もこれに加わる。
以上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信
ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。
また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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