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Carrier Glass

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Carrier Glass
ウエアラブルデバイスに必須のフレキシブル基板の搬送方法を開発
―常温接合に加え、高温加熱後でも常温ではく離が可能に-
プレスリリース 2014年9月26日(金)15:30
東京大学 工学系研究科
須賀唯知(教授)・藤野真久(助教)・竹内魁(学部学生)
ランテクニカルサービス株式会社
松本好家(代表取締役)
実験協力
東京大学 工学系研究科
染谷隆夫(教授)・小泉真里(学術支援専門職員)
Suga Laboratory
概要



どのような成果を出したのか:接着剤を使わず、高分子フィルムと
ガラスを常温で接着し、さらに、高分子フィルムとガラスを、高温で
の熱処理後に、常温ではく離する新しい技術を開発しました。
新規性(何が新しいのか):接着には、従来の接着剤は必要なく、
また、はく離には、はく離の際に必要だったレーザー照射などの高
温プロセスが必要なくなりました。
社会的意義/将来の展望:この技術により、フレキシブルデバイス
の製造工程に画期的変化がもたらされ、従来できなかったフレキ
シブルデバイスの高集積化・高機能化が低コストで実現できると期
待されます。
Suga Laboratory
技術内容

プレスリリース:2012年5月10日



接着剤なしでフィルム・ガラスを接合する常温接合手法:接着剤なしで高分
子フィルム同士、あるいは高分子フィルムとガラスを接合する新しい表面活
性化常温接合の手法を開発した。
当時の提案技術は、界面にSi(シリコン)の薄膜を中間層として形成し、さら
にFe(鉄)のナノ密着層を介在させることで、強固な接合を形成するもので
あった。
今回(2014年9月26日)の提案技術


その際のSi中間層の厚さ(5nm〜20nm)やFeナノ密着層の厚さ(数nm以下)、
イオン照射条件などを最適化することにより、強固な常温接合を実現しつつ
も、容易に剥離可能な接合技術を実現した。
その接合は接着剤を使わないため、400℃30分の高温熱処理を必要とする
ようなTFT(薄膜半導体)形成プロセスにも適用かのうである。
Suga Laboratory
従来技術の課題

フレキシブル有機ELディスプレイの製造における問題点
1)搬送ガラス基板に液体ポリイミド(ワニス)をコーティング。
2)その後300℃から500℃の温度で、数時間かけて焼成し、ポリイミドフィルムを
作成。
3)ポリイミドは水分を透過し易いフィルムであるため、その上にさらに多層の
無機・有機薄膜を作成し、水分を遮断する機能を付加する工程も必要。
4)最終的に、搬送ガラス基板からこのフィルムを剥がすために、搬送ガラス基
板裏面からレーザー照射。
 これらの工程は、フィルム基板焼成のための過大な設備投資、高コストの多
層無機・有機薄膜形成プロセスを必要とし、レーザーによる損傷・歩留まり
低下の問題もあり、フレキシブル有機ELディスプレイ普及の最大の障害と
なっている。
Suga Laboratory
期待される適用分野

問題設定



フレキシブル基板は厚さ50ミクロン程度の超薄膜ガラスやポリイミドフィルム
であり、単独では、搬送したり、デバイスを形成したりできないため、厚さ 0.5
㎜から1.1㎜のガラスを搬送基板とする必要がある。
搬送ガラス基板にフレキシブル基板を貼り付け、TFT製造工程、有機EL層製
造工程、封止工程を経た後、はく離することができれば、コスト・信頼性から
みて最も理想的な工程となる。しかし実際には、そのような接合・剥離が可
能な接合方法がない。
ソリューション


提案技術:常温接合、およびはく離技術によって、ガスバリア性の高いフィル
ムや超薄膜ガラス基板を搬送ガラス基板に直接接合し、有機ELデバイス形
成プロセス後、はく離することにより、フレキシブル基板搬送の問題と水分
の侵入の問題を一気に解決することができる。
具体的には、封止用基板の接合と搬送用基板の接合を同時に行い、搬送
用基板のみを選択的に剥離することも可能である。
Suga Laboratory
DB2-Processの提案
DB2-Process®:Direct Bonding & Debonding
All under Vacuum condition
Ion Beam
Sputtering
Bonding
Cut
Unload
Ultra Thin Glass
Polyimide Film
Carrier Glass
常温接合を技術用いた超薄
型ガラス+ポリイミドフィルム
のキャリアガラスへの接合
Suga Laboratory
Ion Beam
Sputtering
SAB
intermediate
layer
Ultra Thin Glass (~50 μm)
Polyimide Film (~50 μm)
Carrier Glass (0.5mm~)
DB2-Process®
Production Process
 加熱工程(~500℃)
 ウェット工程
 真空工程(~10-6Pa)
Debond Process
ディスプレイモジュールとし
て完成後に、搬送用のキャ
リアガラスを剥離します。
Debonding
Ultra Thin Glass DE-BOND
Carrier Glass
Ultra Thin Glass
Debonding
Polyimide Film
Ultra Thin Glass
Ultra Thin Glass
Polyimide Film
Carrier Glass
ポリイミドフィルムを貼ったままでディスプレイ
モジュールとして完成することも可能です。
ポリイミドフィルムを貼ったま
までディスプレイモジュールと
して完成することも可能です。
Debonding
DE-BOND
Debonding
Debonding
Ultra Thin GlassDE-BOND
Ultra Thin Glass
DEbonding
Suga Laboratory
表面活性化接合(SAB:Surface Activated Bonding)
常温・低温プロセスであることによる省エネ化
ドライプロセスであることによる省資源化
試料

AFMによる表面粗さデータ
ポリイミドフィルム
XENOMAX@東洋紡
厚さ38µm、
 表面粗さRa〜1nm


無アルカリガラス
厚さ500µm、径2inch
 表面粗さ:Ra〜0.4 nm

今回のポリイミドフィルム
Ra〜1nm
Suga Laboratory
一般のポリイミドフィルム
Ra〜6nm
Suga Laboratory
接合プロセス
ガラス基板
Si中間層のみ
ポリイミド基板
Si中間層形成(5〜20nm)
Siターゲット
Ar イオンビーム照射
(1.2kV/40mA;;真空〜2x10-2Pa)
加圧〜2.5 MPa
真空〜10-6Pa
Si中間層
+Feナノ密着層
Fe ナノ密着層形成
(1nm以下)
Ar イオンビーム照射
(1.3kV/40mA; 真空〜7x10-2Pa)
加圧〜2.5 MPa
真空〜10-6Pa
接合装置
ライン式イオンビーム源
Suga Laboratory
イオンビーム照射
Suga Laboratory
フィルムーガラス接合

Si中間層を介在させた表面活性化接合
(Surface Activated Bonding: SAB)
ポリイミドフィルム
ガラス基板
Suga Laboratory
Suga Laboratory
フィルム基板の剥離
Suga Laboratory
フィルム基板のガラス搬送基板からの剥離
Suga Laboratory
接合強度の評価
ピール試験
Glass
TFT 工程等で予想される加熱時間とパネル完成後の
ガラスとフィルムの接合強度の関係
1.6
1.4
ピール強度[N/cm]
1.2
1
Si中間層のみ
+Feナノ密着層
0.8
工程で要求される温度・時間に応じて、
接合強度と剥離強度を制御できる、
熱を必要としない剥離技術。
0.6
0.4
Si中間層
0.2
0
0
Suga Laboratory
10
20
30
40
400℃加熱処理時間[min]
50
60
東京大学での配布資料に説
明文を付加しております。
DB2 process
初期の剥離強度を調整することにより、最終の剥離強度を制御できます。
(*剥がすために加熱する必要はありません。)
ここでの加熱は製品製造プロ
セス上の加熱であり、剥離の
ための条件ではありません。
Bonding Process
Heat Process
RT~500℃
or
or
No Peel
No Peel
Peel Process
Peel
Without Heat
* This page is not included in the distributed material at the University of Tokyo.
October 21, 2014
1
剥離のメカニズム(参考)
Si中間層
PI
加熱処理無し
C, N, Si
Si中間層+Feナノ密着層
Glass
C, Si
1 N/cm
C, N, Si
C, N, Si
1.5 N/cm
400℃10 min
C, Si
Si
C, N, Si
C, N, Si
C, N, Si
C, Si
C, N, Si
C, Si
1 N/cm
1.4 N/cm
400℃30 min
C, N, Si
C, Si
1.5 N/cm
0.3 N/cm
400℃60 min
C, N
C, Si
< 0.05 N/cm
0.6 N/cm
Microsystem Integration and Packaging Laboratory
Suga Laboratory
ガラス搬送基板上のフィルム基板への
有機トランジスタの形成(染谷研究室提供)
W:チャネル幅: 500 µm
L:チャネル長: 43 µm
W
L
S
D
semiconductor
dielectric
G
Sソース, Dドレイン : Au 50nm
Semiconductor: DNTT 30nm
Dielectric
: Palyrene 140nm
Gゲート
: Au
30nm
Polyimide
NA-Glass
常温接合
基板材料Substrate : Polyimide 38µm / NA-Glass 500µm
有機半導体材料:ジナフトチエノチオフェン( DNTT)
誘電体層:パリレン(Palyrene)
Suga Laboratory
フィルム基板のガラス搬送基板からの剥離
Suga Laboratory
剥離前後の有機トランジスタ特性
(染谷研究室測定)
0.001
10-4
VDS = -10 V ドレイン電圧
10
-6
10-7
10-8
10-9
-10
10
10-12
10-11
10-14
10-13
-10
0
-5
ゲート電圧 VGS(V)
- 剥離前
- 剥離後
リーク電流
IDS(A)
10
IGS(A)
ドレインーソース電流
-5
剥離の前後で特性の変化はほとんどなく、剥離の影響は見られない。
展望



フレキシブル有機ELディスプレイなどの製造プロセス
への適用は数年以内と予想する。
本技術を使ったポリマーエレクトロ二クス・デバイスの
3次元積層により、フレキシブルな特性を損なわない
高集積化・高機能化が実現できる。
国内メーカの奮起を期待したい。
Suga Laboratory
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