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参考 - 経済産業省

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参考 - 経済産業省
参 考 資 料
参考資料 1
海外現地訪問調査概要
Ⅰ.欧州現地調査
1.調査目的
日本の容器包装リサイクル制度の更なる低コスト化・効率化、高付加価値化、公平性・透明性・
安定性の向上及び発生抑制・再使用の推進に向け、参考となりうる欧州諸国の容器包装リサイク
ル制度や当該制度に至った背景・根拠などの把握を目的に、欧州現地調査を行った。
1)プラスチック製容器包装の分別・リサイクルの低コスト化・効率化
2)再生プラスチックの高付加価値化
3)リサイクルシステムの公平性・透明性の向上
4)使用済み容器包装の発生抑制・再使用の促進
2.調査日程
2011 年 2 月 6 日(日)~16 日(水)
日付
2/ 6(日)
2/ 7(月)
2/ 8(火)
時間
夜 ケルン到着
9:30~12:00
14:00~17:00
9:30~12:00
14:00~17:00
2/ 9(水)
10:00~12:00
14:30~17:00
2/10(木)
9:30~12:30
14:00~17:00
9:30~12:30
9:30~12:30
パリ発
成田着
2/11(金)
2/14(月)
2/15(火)
2/16(水)
訪問先
-
①Reclay Group(Redual)
②ドイツ連邦環境省
③Titech 社
④EGN Entsorgungsgesellschaft Niederrhein mbH
(ソーティングセンター)
⑤FOST Plus
⑥European Association of Plastics Recycling and Recovery
Organizations (EPRO)
⑦IVCIE/IBCE
⑧欧州委員会環境総局
⑨Semardel ソーティングセンター
⑩フランス環境庁(ADEME)
3.調査地
ドイツ、ベルギー、フランス
4.調査者
織
朱 實
関東学院大学 法学部 教授
小 寺 洋 一
(独)産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門 主任研究員
河 田 裕 介
経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課 企画二係長
斉 藤 栄 子
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 環境・エネルギー部
奥 野 麻衣子
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 環境・エネルギー部
-参考資料1-
5.ヒアリング概要
5.1 Reclay
先方: Dr. Fritz Flanderka
Frank Sieberger
Reclay Holding
Managing Director
Reclay GmbH Bereichsleiter Recht(法務担当)
<ヒアリングの概要>
・ ドイツ(EU)では、廃棄物を処理対象から「資源」として扱おうとし始めている。
・ DSD の独占体制から競争体制になり、大規模処理業者に集約された。フリーライダーが増加、
DS 間の調整が難しい、市民啓発する主体がなくったなど新たな問題も生じているが、コスト
効率はあがったことは評価している。
・ 製品プラについては、おおよそみな推進を望んでいるが、運用主体・実施主体については、
生産者責任の問題、利害関係もからみ、議論が分かれている。
<Reclay グループの紹介>
・ 売上は1年前に 120 百万€だったものが、
現在は 140 百万€だ。
6 つの独立した企業で構成され、
従業員も 100 人(1年前)から 140 人になった。1 年間でこれだけ成長している。
・ 6企業は下記のとおり
1.Reclay: コンサルティングのみを行う会社
2.Curanus:
各業種に対し具体的な解決策(ブランチソリューション)を提案する会社。
デュアルシステム(以下 DS)は家庭系容器包装廃棄物を対象としているが、
Curanus は事業所(オフィスやレストランなど)からの廃棄物を対象としている。
容器包装を市場に流通させる事業者は、自社商品の廃棄物がどこから排出される
かに関する最終的な排出量を把握して、それについて「ブランチソリューション」
を申請すれば、DS への参加義務が免除される。たとえば、ヨーグルトメーカーは、
家庭系廃棄物は DS で対応しなければならないが、社員食堂・ホテル等から排出
される事業所系廃棄物についてはブランチソリューションとして対応できる。
メーカーとしてはこちらの方が安く済むため、そちらで対応したいという希望が
あるが、法的には厳しい基準が設けられている。Curanus はそれを提案する。
実際に処理施設を持っているわけではなく、処理業者へ依頼する。
当方:量をたくさん扱う DS の方がコスト小さいと思われるが、支払い負担は大きいと
いうことか。
先方:DS は各家庭からの回収なので、回収効率は悪い。事業所からの方が前もって分別
されているし、1 箇所あたりの回収量が多い。(廃棄物令により、事業系排出者に
は分別排出が義務付けられている。)なので、ブランチソリューションの方が半分
くらいのコストで済む。
当方:事業所からの方がコスト小さいのは英国でも同じで、英国では事業所からのみ集
-参考資料2-
めている。一方で DSD1が、残された効率の悪い家庭系のみ受け取ることについて、
DSD は納得しているのか。そこで競争が成り立つというのはどういうことか。
当方:ある容器包装がブランチソリューションを適用可能であることを証明できないと、
それは家庭系廃棄物としてカウントされてしまい、当該廃棄物は自動的に DSD に
支払うことになるという仕組みか。
先方:自動的に払うのはそのとおりだ。その計算方法は複雑だが、DS 対象となる容器包
装量は 80%、ブランチソリューションは 20%がおおよその実態。当社は、DS と
ブランチソリューションの両方をやって、全体でコスト競争力をもたせようとい
う戦略。
3.Liz: 容器包装廃棄物管理のフルサービスプロバイダー
グループ全体の営業活動をしている。例えばヨーグルトの会社は Liz と契約を結
び、廃棄物の種類に応じて Liz から Redual とクラヌスの両方に委託することにな
る。
4.Redual:
DS 運営体
市場シェアは約 9%。
5.Waste&Energy Management : リサイクル材料の取引会社
Curanus や Redual からのリサイクル材料(PP/PS や紙)を販売したり、アジア輸出
したりする。市場に近いところまで持っていく会社であり、社内では「付加価値
チェーン」と呼んでいる。
現在は、ソーティングされたバルク状態での売却がほとんどだが、事業として次
工程のフレーク・ペレットも取り扱うかは検討中。
なお、社名に「エネルギー」とあるがエネルギーリカバリーは今の事業としては
取り扱っていない。
6.RE CARBON
CO2 削減目的のコンサルティング会社
・ スタッフは 140 人。グループのマネジメント・スタッフはみな包装材に詳しい人材ばかりで
ある。多くのスタッフが元 DSD 社員。
・ グループの目的は、プロとしてのサービスを提供していくこと、企業にむけたコンサルティ
ングをしていること。この点が、他の企業と異なる特徴である。
・ 株主は 2 人の個人(50%ずつ)であり、経済的に独立している。事業の中で、特定事業者や
処理業者等多様な企業と付き合うが、その際株主が誰であるかは重要な情報である。廃棄物
処理業者から独立していることが、取引の信頼を保っている。
<1991 年 容器包装リサイクルのはじまり>
1 厳密には、他の DS 企業が該当する。こうした「ブランチソリューション」等の割合を不当に高めるフリーライ
ダー企業がいることを、独環境省で言及があった。
-参考資料3-
・ 容器包装令が成立した 1991 年は、処理すべきものが処理能力を大きく上回っている状況だっ
た。増加するごみの中で、容器包装の割合が多かったので、容器包装材メーカーに処理責任
を課すことにした(製造者責任)。当時、法律には賛否両論あった。また、DSD 一社にまかせ
ることにも賛否両論あったが、当時「競争」は全くテーマではなかった。
<DSD の設立、拡大>
・ 1990 年容器包装材メーカーにより DSD が設立された。
・ 1993 年に財務危機に陥り、いろいろな企業が資金援助した。同時に、処理業者が監査役会に
入り、経営をコントロールできるようになった。これは、DSD の委託先が監査役会に入ると
いうことであり、その点をカルテル庁が問題視した。
・ DSD の業績として、プラリサイクル処理能力の大幅アップを短期間で実現した、市民に容器
の分別排出・リサイクルに対する意識を市民に植え付けたことなどが挙げられる。
<処理業者の発展>
・ 処理業者と DSD のつながりは強い。
・ 1980 年代末期に、自治体のごみ処理を民営化しようという声が高まっており、その流れで、
容器包装の回収・処理についても、自治体から民間事業者に移行した。これにより(民間)
処理業者間の競争が出てきた。
当方:それまでの自治体処理は、焼却処理中心だったのか?
それとも、びんと缶のような有価物は自治体が分別して売っていたのか。
先方:ごみの分別はされていなかった。そのころは、家庭ごみに限らず事業所での義務さえなかっ
た。最終処分場容量がなくなるという必要にせまられ、80 年代末~90 年代初めに自治体が
分別を開始。同時にごみ焼却炉の能力向上も始まったが、当時はその能力がまだ高くなかっ
たため、リサイクルを推進しようということになった2。
当方:日本ではごみ焼却炉処理容量に余裕があり、ごみが減りすぎると逆に困るという声もある。
先方:最近、ドイツでも同じ問題が起きている。分別せずに回収して焼却炉でもやしてしまおう
という意見もあったが、その議論は終わった。循環経済廃棄物法の改正が議会で検討され
ており、廃棄物は負担物(いわゆる「お荷物」
)から「資源」へと定義が変わってきている。
次回改正は EU 廃棄物枠組み指令をドイツに適用したものではあるが、視点ががらりと変
わる大きな変化である。
資源問題の観点としては、中国やインドが経済成長した結果、新興国での資源消費量が
非常に増えた。他国に依存しないためには、廃棄物を資源に変えることが必要。会社とし
ては、これからはモノのグローバルな流れを見ていく必要がある。
<競争を確保するために、カルテル庁は何をしたか。>
2 当時は埋立処理が主流で、焼却等の前処理が法的に義務づけられたのは 2005 年以降。
-参考資料4-
・ 最初のステップは、DSD 発足時だ。1991 年、カルテル庁は DSD の独占を「容認」すると通
告。発足時から、きちんとした許可ではなく単なる「容認」でしかなかった。
・ 2001 年、カルテル庁は実質的な「競争」環境の確保に踏み出し、また DSD の契約書に競争を
盛り込ませるように変えて行った。
先ず、グリーンドット(以下 GP)マークについて。DSD は生産者義務であるデュアルシス
テムへの参加を GP マークの表示と紐づけており、これによって以前は全ての包装材に DSD
の GP マークをつけなければならず、このマークを表示した包装材についてはすべて DSD に
使用料(GP フィー)を支払うことになっていたが、カルテル庁の考えではこれはおかしく、
DSD に参加する企業と参加しない企業があってもいい、競合他社に委託することが認められ
ていなければいけないと考えた。これ(GP マークの表示イコール DSD への支払い義務とい
う状態を解消したこと)が第一の競争確保。
第二にカルテル庁は、DS が処理業者と行う委託契約は、短い契約期間とし、公募しなけれ
ばならないとした。これにより、(DS のみでなく)容器包装材の処理業者間でも競争が起こ
るようにした。
・ 2006 年、カルテル庁は下記の指示に従わないのであれば DSD の事業を終了するよう命じ、結
果 DSD は命令に従うことになった。カルテル庁の指示の内容は、①DSD の監査役会から処理
業者をはずす、②競合先を排除してはならない、③DSD のもつ廃棄物処理ファシリティ(黄
色い回収容器、選別施設等)を、競合先に解放すなわち共有すること。
・ 現在は、黄色い容器への投入された容器包装を車で集め、シェア(DSD が 40%、ISD が 20%、
Redual が 10%など)に応じて分け合い、それぞれのやり方で処理(ソーティング)していく、
というのが理論上のやり方だが、実際には地域に 1 つしかない、技術的にこの施設でなけれ
ばできないといった理由から 1 つのソーティング施設を共有していることもある。なお、回
収容器はもとから DSD の持ち物ではなく、DSD と契約していた処理業者の所有物である。
・ 移行期は、規模が大きい為に元独占企業がどうしても強い。我々はカルテル庁や環境省と話
をして、そのメリットを徐々に小さくする方向で動いている。
・ 2005 年、DSD は米国企業に売却され、私ら 2 人(Sieberger、 Flanderka)は退職した。
当方:カルテル庁は消費者を守るために DSD 独占を禁じたが、環境への影響は悪くなる可能性が
あった。カルテル庁はどのように考えたのか。
先方:環境政策と競争政策とは相反するときがある。環境政策の観点からは、独占でもかまわな
かった。両者が歩み寄って検討した結果、今のやり方になった。何年かの経験・失敗を踏
まえて実際的なやり方に落ち着いた。簡単ではない。
当方:メーカーはどういう理由で、DSD や他の DS を選ぶのか。
先方:メーカーは、どの DS と契約するかは自由なので、どこが自社にとってよい先かというこ
とになる。共通のコンテナを利用しており、排出源(家庭)のそばで回収するという方法
もほぼ同じである。他社との差異はほんの一部であり、当社は、ブランチソリューション
を売りにしている。容器包装令の第5次改正の内容は難しく企業に理解してもらうのは非
-参考資料5-
常に困難なものである。そのため、それに対応する個別コンサルティングのニーズがある。
法律の立場から大企業に説明するため、法務部門の役割が大きい。企業のほか、業界団体、
外国 DS からも相談を受ける。
弊社はオーナーがいる。処理業者の利害と関係無く生産者・産業側の立場で提案ができ
ることは、ビジネスとして重要。他のところは処理業者出資、処理業者の立場でみている
ので、その点が異なる。
当社の顧客はユニリーバ、ヘンケルなどの大企業が多く、顧客数としては尐ない。例え
ばランドベルは、コンピューターシステムを使って、たくさん(1,000 社くらい)の顧客に
対してサービスを提供するビジネスモデル。当社は 400 社程度に対してきめ細かに対応す
る。
<最近の問題:ただ乗り事業者の問題>
・ DS9 社全社の状況を把握しなければ、ただ乗り事業者を突き止められないため、独占時より
も問題はより複雑になった。実際、競争状態になってから、ただ乗り事業者は増えた。
・ そこで、前回の法律改正で、チェック機能が追加された。これまで DS への参加は自由であり、
メーカー自身が容器包装廃棄物の回収を実施しても、
DS に参加しても、どちらでもよかった。
以前は、メーカー自身で実施することを選び、実は何もしていないという事業者もあった。
しかし今回の改正で、9 社のうちどれか一つのシステムに参加することが義務づけられた。
・ また、
「量完全証明制度」という報告義務も加わり、状況は大きく改善した。民間同士の契約
と、公への報告義務の両面から対策をしたということだ。これはメカニズムとして重要であ
る。
<最近の問題:包装材の定義>
・ さきほど、ブランチソリューションは 20%と説明したが、法が改定される前は 40%あった。
家庭から排出される容器包装廃棄物が全体の 60%しかないというのはおかしく、これでは DS
による回収が成立しないということで、適正比率とする為に立法者が乗り出した。
・ ガラス瓶は容器だが、霧吹き機能をつけるとそれは容器か製品か、自分で再使用してフタを
しめることは容器に該当するか、このように、容器包装に関する定義はもともとあいまいで
製品と区別しづらいものだが、法律上は区別する必要がある。メーカーとしては容器でなく
製品としてしまえば、ライセンスフィーを払わなくてすむ。独占時は、DSD が容器を定義し
てきたが、現在は 9 社の DS で容器に関する統一的な見解ができていない。メーカーは自社の
都合のよい解釈をしてくれる DS に加盟する傾向がある(例:CD ケース。DSD では容器と判
定するが、当社は容器とみなさない、等)。そのため、カウントすべき容器の相当量が容器包
装としてカウントされていない。この問題は次期改正の焦点になろう。
・ 容器か製品かの定義の問題に加え、容器の用途についての問題もある。すなわち家庭で使う
容器包装材ではなく輸送用容器包装材の定義についてである。輸送用容器包装材は DS に加盟
する義務がなかったため、本来は家庭用であるにもかかわらず、輸送用とあえて解釈して義
務を逃れる例もあったため、対象範囲を拡大した。立法の立場からすれば、定義をはっきり
-参考資料6-
させる必要があるが、なるべく明確ではない分類(線引きをすると悪用されるため、むしろ
基本を示すなど)をし、かつ運用が複雑にならないよう配慮している。
<最近の問題:公募制度(コスト削減のプレッシャー)>
・ DSD による独占のときはコスト削減意識が低かったが、公募制度となり競合が出てきたこと
により、コスト低減へのモチベーションが働いた。例えば回収頻度を尐なくする(週 1 回→2
週に 1 回の回収へ)、ガラスコンテナ(持ち込みシステム)の置く場所を減らす(400m おき
→600m おき)
、など、サービス内容も見直された(質が低下した)。
・ DS に競争がでてから、処理業者も淘汰され集約されるようになってきた。
<最近の問題:分別排出を促す市民啓発の不在>
・ また、DSD の独占があった頃は、消費者に対するキャンペーン活動(テレビのスポット・パ
ンフ作成、教育イベント)は全て DSD が実施していたが、今は啓発活動をしても、自社のみ
にメリットがあるわけでないことから、今は全く行われていない。(とはいえ、市民の分別意
識は十分高い。ただし、団地のような集合住宅ではあまり高くない。
)
<最近の問題:原材料価格の上昇>
・ 原材料の価格が高くなっている。すべての産業にとってコスト高の影響があるが、我々にとっ
ては後押しとなっている。
<競争の状況(業界構造)>
・ 独占企業は規模が大きいのでメリットがある。
・ 競争の状況を見ると、DS9 社のうち 4 社は大手、5 社は中小である。一般に、独占状態から政
策的に移行させると、4-5 社の複数の企業で競争するようになるといわれている。小さいとこ
ろはトラックでなくリヤカーで取りにくるようなところだ。現在の下位の中小企業 5 社が大
きくなって、対等に競争するのは難しいだろう。
・ 問題は処理量の割合(シェア)である。たとえ中小であっても 10%くらいのシェアがなけれ
ば下流(次工程)の選別→リサイクルのチェーンが機能しないだろう。そこで量の割当をす
る機関が必要とあり、クリアリングハウス(共同民間組織:有限会社 Gemeinsame Stelle「共
有する場所」
)が設置された。
<クリアリングシステム>
・ 黄色コンテナの中身の容器包装の量的な振り分けを取り決めるのは、クリアリングハウスで
あるが、法律ではあまり明確に規定されていない。問題点は3つあり、①クリアリングハウ
スが公機関ではなく民間組織であること、②クリアリングハウスが有限会社という組織であ
ること、③DS の 9 社がクリアリングハウスの株主であり、株主の合意で振り分けを決めるこ
と。公の機関であれば、法律にのっとった手続きで意志決定がなされるが、現状では 9 社の
株主の決議で決定することとなっている。規模が違いすぎることもあり、全社が合意するこ
-参考資料7-
とはまれであり、いつももめて収集がつかない状況である。
当方:法的に、クリアリングシステムは1つ(唯一)という解釈か(または「どれか 1 つの」と
いう意味なのか)
。また、1 つであるべきか?
先方:1つでうまくいくなら、それで OK だが、いつも論争ばかりなので、別のクリアリングハ
ウスを作ったほうがよいのでは、という話も出ている。四半期毎に長時間に及ぶ会議をやっ
ており、常に弁護士も同席するという状況で、不幸な組織になっている。1つか唯一かど
う解釈するか。なお談合防止の為、カルテル庁が必ず監視している。
当方:9 社体制となり、全体のリサイクルコストは下がったのか。9 社は儲かっているのか、9 社
以上に増える可能性のある(参入したい)魅力的な市場なのか。
先方:2 点目については時期によって異なる。DSD が売却され、競争が始まったのは 2005 年だが、
今ある DSD 以外の 8 社はすべてそれから 2 年以内にできたもの。中小 DS5 社の出資は処
理業者であるが、処理業者は自社の処理装置で処理する容器包装を確保するために、自分
の DS がほしいと考えており、操業している州で DS 運営許可を取ろうという話を常々して
いたので、これに参入した。
現在、新しい DS を作る動きはない。初期投資が非常に大きいからだ。価格に関しても、
各社が参入した 2005 年当時には大きなマージンがあったが、今はなくなり、魅力のある市
場ではない。プラスチックがよい例である。生産者に義務づけられていたライセンス料金
が 2005 年当時は 1250€/トンだったが、現在は同じサービスに対して 700€/トンに下落して
いる。よってここ 2 年ほどは自由意志で市場に参入するほどの魅力はない。また、新法に
基づき DS 運営者としての許可を受けるためには手続が大変であり、DSD から多くのスペ
シャリストをごっそり引き抜かないと対応できないほどである(Reclay も同じことをした)
。
増えるどころか、逆に、やめるところが出てくる可能性の方が大きい。例えばマクドナル
ドのみが顧客のベオリア(仏)やルモンディス(ドイツ最大の処理業者)が所有する
EKOPUNKT(現在のシェアはドイツ全土で 1%しかない)がやめる可能性がある。DS は将
来6~7 社に減る可能性がある。
1 点目のコストの質問については、サービスの質が落ちた部分もあるが、コストは大幅
に下がた。コスト削減メリットは大きく、「競争原理導入の効果」といえるだろう。
<第 5 次改正容器包装令の問題点>
・ 以上は古い法律(09 年の第 5 次改正前)にもとづく問題点を述べてきた。すなわち DS が 9
社制となり、競争が導入されたたあと、立法者は大幅な法改正をする必要性があることを認
めたのである。当時の法改正は DSD の新しい株主の圧力だという噂もあるが、政治的な憶測
である。
・ 現行法(第 5 次改正後)の柱は、既に述べてきたことも多いが以下の通り。
-ただ乗り対策(システム参加の義務化)は大事な点。
-自主回収か DS 参加かの任意選択ではなく、ブランチソリューションを適用する規定の明確
-参考資料8-
化。
(ただし販売場所での回収という第 6 条規定に関しては政治的妥協の産物であり、非常
に難解な条文。明確な規定になっておらず、運用上はいろんな解釈ができてうまくいって
いない。ブランチソリューションに関していえば一文で 17 行もある。
)
-クリアリングハウスの設置。これに関する問題は先ほど述べた。
-量完全証明制度の新規創設。
・ 次の改正へ向けた検討が既に今年下半期に始まり、この点は大きな焦点となる。
・ 本制度の弱点は、公的機関への提出ではなく、ドイツ商工会議所(産業界の組織)への提出
であり、効果がない点。また、受け取るだけになっており、データが活用されていない。ク
リアリングハウスのデータと突合せるという考え方はあったが、実際にはされていない。シ
ステムソフトを使えば容易なはずだが、商工会議所いわく「それは法の執行業務になるので、
商工会議所が突合せを実施することはできない(データの印刷物を提供はできるが)」。(紙
ベースで突き合わせようとした州があったが、9 社のうち1社との契約の突合せなのでたいへ
んだったようだ。
)商工会議所に提出されている 2 万データセットがまったく活用されていな
い。
・ 我々は「悪魔はディテールに潜んでいる」という言い方をする。制度としてはよいのだが、
実際に使えるものになっているかどうかが問題。
・ 改正は当初半年くらいでできると思われていたが、実際には 2 年かかった。法の元来のアイ
デア・考え方はシンプルであっても、議会を通していくにつれ、長く、複雑になっていった。
・ 第 5 次改正法は 2009 年 1 月 1 日に発効したばかりだが、2011 年でもう次の改定を考えている。
内容が複雑で立法側でも扱いにくいようだ。
<市場シェアの現状(黄色コンテナについて)>
顧客 30,000 社/シェア 42%
DSD
ランドベル
10,000 社/
5%弱
DS インターゼロ(独大手処理業者 Alba 社所有)
2 社/
Reclay
450 社/
20%
9%(大手顧客が中心)
ベルランドデュアル(仏処理業者ジーダ出身、かつて自己処理をやっていた)
去年のシェア 2%だったのが今年 14%になった。
新規顧客として 1 社、大手スーパーチェーン EDEKA を獲得した為。
EKOPUNKT われわれが最初つくったのがこれで、その後売却した経緯がある。
20%のシェアを DSD から購入し、自分たちのソーティング設備で処理したが、
その手法がカルテル庁に認められず、分割・規模の縮小を余儀なくされた。
ガラスも数%あったものが、今は取り扱いゼロとなっている。
VfW
モリモトクロスという会社が設立(プライベートエクイティ所有)
プライベートオーナーの興味はよいサービスにある(顧客志向)
。
これに対し処理業者が設立した DS は処理施設志向で量の確保が優先。
シェア 5%未満(今は約 3.5%)
-参考資料9-
シェア 5%
Zentek
輸送容器包装材の処理業者が設立。顧客の特徴としては輸送用・家庭用両方
の製品を有しており輸送用の割合を多く見なしたい傾向をもつ。
Veolia
シェア 1%未満。マック 1 社が顧客。
・ 競争の観点からは、ALDI 等の大手スーパーチェーンを顧客とするインターゼロが一番問題視
されている。尐ない顧客で影響力が大きいからだ。ベルランドデュアルのケースも同様。製
造業であれば本来市場に顧客が(例えば)3 万あるところを、チェーン展開する小売業の場合
は 10 に狭めていることになる。リテーラーが市場をコントロールする重要なプレーヤーと
なっており、政治的な判断で、流通業に関する法的規制をするのかどうか(責任対象を製造
業だけにするのか、流通業も含めるのか)が大きな論点となっている。
・ 処理業者によって設立された企業は、量確保が優先で、顧客志向が低いようだ。
<評価>
・ 競争は(自由意志でなく)カルテル庁の指示から始まったこともあり、大きな痛みをともなっ
たと考えている。
・ 処理業者が淘汰され、大手に集約化されるというデメリットが生じた。現在は、ルモンディ
ス、アルバ、ベオリア、ジーダなどの上位企業 5 社のうち 2 社がフランス企業だ。
・ また、コスト削減のため、住民サービスが下がった。市民啓発活動もされなくなった。
・ また、9 社になることで全体の管理コストは上昇した。(フリーライダー対策など)役所にとっ
ても監視業務が増えており、処理業者にとっても手間が増加。
・ しかし、競争の導入によって、コストは大幅に下がり、企業は多様な DS(処理サービス提供
者)が選べるようになった。
・ また、創造性が高まった。合法的な範囲で多様なサービス(コンサルなど)が可能となった
「創造性」に加え、企業にとってはただ乗りができる可能性が増えたという「負の面での創造
性」もある。
<循環経済・廃棄物法律の改定について>
・ 現在、新しい循環経済法案が議会にかけられている最中である。この法改正(EU 法の国内化)
には重要な政策テーマが 1 つある。
・ 重要なテーマとは、
「マテリアルコンテナ:Wertstofftonne」の導入である。これは、今までは
包装材のみを集めていたところを材料別とし、おもちゃ等の全てのプラスチックに拡大して
家庭(排出源)の近くで回収するというものである。これについては、大枠の政治的コンセ
ンサスはとれているが、細かいところで詰まっていない。例えば、新しいシステムを政治的
にどこが担当し、だれが運用するのかという点だ。容器包装については、製造者責任(連邦
レベル)で推進してきているが、一般ごみ(含む製品プラ)は自治体責任であり、法律上まっ
たく扱いが異なる。とはいえ、法的な扱いが異なるからという理由で、2 つの違う容器に分別
排出することを市民に強制することもできない。
-参考資料10-
・ 黄色のコンテナの処理責任は、今後も民間なのか、将来的には自治体なのか?この決着によっ
て、廃棄物処理業界にとっての力関係が全く変わってくるため、処理する権利をめぐって現
在はげしいやりとりがなされている。現政権で導入するのであれば、今年の夏には審議を始
めないと間に合わないと考えている。
当方:EU 指令の改正を待たないのか?
先方:いや、これは既に改正された EU 枠組み法の国内法への移行の一環である。
当方:EU 指令でもその方向への改正だと思ったが。
先方:EU 指令ではそこまで規定しておらず、単に素材別の回収をしなければならないというだけ
だが、ベースは同じ。国内法化として、より拡大した分別回収を行うもの。ただし、現時
点で回収を民間が行うのか自治体が行うのかについては、特に規定されていない。
「マテリ
アルコンテナ」の導入は一方では新しい市場の開拓にもつながり、他方では自治体にとっ
て新しい責任にもなる。これは本当に民営化すべき部分なのだろうか。我々のような民間
事業者であれば、市場に参入しビジネスをやるかどうかは自由であり、いつでも撤退でき
る。Reclay はこの役割は自治体がやるべきと考えている。でないと廃棄物管理の大手企業
はさらに大きくなり、市場の独占につながるからだ。
当方:また独占が始まってしまうということか。非常に興味深い。
日本でも同じ議論が出ている。容器包装リサイクル制度は複雑であり、製品か容器包装か
市民には区別がつけられない。
先方:それは自然なこと。市民にとっては同じプラスチックだ。廃棄物処理は公的機関の役割で
あるというのは、ドイツとオーストリアの一部を除けば当たり前のこと。
個人的な意見としては、技術的な観点から小型電子機器も含めて一括でやるべきと考え
る。
以上
-参考資料11-
5.2 ドイツ環境省
先方:Thomas Schmid-Unterseh:Head of Division
‗Ressource Productivity in
WAⅡ6
Waste Management;Recovery of Recycle‘
容器包装令の部局の担当者
<ヒアリングの概要>
・ ドイツの容器リサイクル施策は、コストの問題がやや残るものの、成功したと考えている。
そのコストも競争により削減された。
・ 軽量容器のリサイクルは意味がないという意見があるが、リサイクル技術開発に貢献してき
た。また、
(リサイクル費用はリサイクルされる容器を製造するメーカーが支払うべき=リサ
イクルされない容器のメーカーがリサイクル費用を負担するのはおかしいという前提にた
ち、
)負担を免除された軽量容器メーカーに減量インセンティブが働かないという理由から、
反対だ。
・ 製品プラリサイクル導入にむけて準備中。EPR の関係では製品責任を拡大するつもり。いろ
いろな関係者はそれぞれ思惑を持っている。
・ ドイツでは、容器包装令が 1991 年に発効しいろいろな経験がある。日本でも長い経験がある
と考えるが、本日の経験談を適宜活かしてほしい。
・ 容器包装材の処理について、家庭で回収する容器包装材とリターナブル飲料容器の 2 つのポ
イントに分けて話したい。
5.2.1.家庭近くで回収する容器包装材について
・ ドイツの容器包装令の導入はサクセスストーリーである。
・ エコロジーの観点からは、リサイクル増、処理設備能力拡大、廃棄物抑制意識高揚などの大
きな貢献があった。実際に、1991 年以降、GDP が 50%増えている中、容器包装は同じ量を維
持している。
・ 一方、包装材廃棄物の発生抑制は難しく、また、リサイクル率のさらなる向上も限界に近い。
これについてのデータ(英語版)差し上げる。
<コスト>
・ コストについて答えることは難しい。ドイツも当初高かったのは確かであり、これまでの改
正も、コストに関する改正が多かった。批判的な人たちが言ったほど高くはないと考えてい
るが、現在のコスト効率に満足しているわけではない。
・ また、コスト批判する人は、一部のプラ容器しかリサイクルしない国や自治体負担が多い国
と、独とを比較しており、その指摘が妥当とはいえないことがある。
<フリーライダー問題、DS 間の競争>
-参考資料12-
・ 競争については 2 つの観点がある。一つは、フリーライダーの問題である。もう一つは、DS
間の競争であり、これによってコストは下がっている。
・ メーカー、販売業者すべてに、DS への参加を義務付ける必要がある。
・ フリーライダー問題は、制度開始当時からあり、98 年、08 年(第 5 回)の改正で対策を講じ
てきている。08 年の改正前までは、販売した店で回収する場合には DS への加盟が免除され
るという規定であったが、管轄官庁がチェックできなかったため、回収の実態がないのに DS
に加盟しないフリーライダーが多かった。それを 08 年の改正により、加盟を義務付け、加盟
しない場合には自分で回収を証明しなければならないようにした。VE(全量証明)を義務付
けたのである。この改正でフリーライダー問題についてはかなり改善したが、DS 各社の競争
についてはまだまだ改善が必要。
・ DS は、DSD の独占状態だったものが現在 9 社になり、コストが半分になった。
・ 9 社間の競争の中で、DS を使わず、悪用しようとする動きがある。回収リサイクルコストの
中でもっと大きいのが回収コストであるが、9 社の取扱量に応じてシェアしている黄色いコン
テナからの回収コストを適正に支払わないケースがある。たとえば、大手スーパーチェーン
と契約において、10 万トンの容器包装のうち 2 万トンと輸送パッケージとして扱い、残りの
8 万トンについてのみ契約をすることで、DS へのライセンス料を尐なく支払うというものだ。
・ これについては、輸送用の容器包装の明確な定義をつくることで回避できると考えているが、
こうしたフリーライダー問題は、フリーライダーが得をして、他社がそれを負担することと
なるので、みなが悪用するとシステムが壊れる。このことを、みな理解すべきだ。
・ 環境省は枠組みを提示し、経済的な問題は DS 各社で解決してほしいと考えている。
<エコロジーの観点からの動き>
・ 軽量容器は黄色い容器で DS が、紙は DS と自治体が協力して、ガラスは DS が、それぞれ回
収する。消費者は分別をきちんとやってくれているが、残留ごみ(一般ごみ)に軽量容器が
混ざっていることもまだまだある。
・ 軽量容器(特にフィルム類、小さいもの)のリサイクルは、エコロジーの観点から意味がな
いという声もある。しかし、対象を限定すると対象外の(軽量)容器についてはメーカーに
対して「使用していいようだ」
「払わなくていいようだ」というメッセージを与えることとな
るため、対象外(軽量)に移行し廃棄物全体の量が増えてしまう。よって、軽量容器を対象
外とすることは考えていない。
・ また、かつて、ソーティングプラント段階で除外されリサイクルできなかったコーヒーミル
ク容器は、現在では技術の向上によりリサイクルされている。軽量容器を対象とするかどう
かは、正しい・正しくないではなく、政治的判断もあって現在の制度になった。
・ また、ソーティング技術が進展したことにより、家庭からの分別排出の必要はないのではと
いう意見もある。これについてはいろんなスタディを実施しており、分別排出をしないと回
収量(投入量)が増えるものの、ソーティング後の「品質」が下がることが確認されている。
「品質」とはリサイクル可能な材料がとれないこと、二次資源として使えるものがとれない
-参考資料13-
という 2 つの意味で言っている。このため、分別回収は引き続き進めていくべきと考えてい
る。
<製品プラへの対象拡大>
・ 次の法改正で、黄色コンテナで回収する対象を拡大していこうと考えている。軽量容器用コ
ンテナ(黄色コンテナ)を「材料回収コンテナ」に換え、プラおもちゃ、自転車のハンドル
(金属)など、材料として使えるもの(製品プラ、製品金属)も回収していこうと考えてい
る。
・ 1980 年代にごみを減らすべきと考えた際、重量比 30%、容積比 50%だった容器のみを対象と
したが、
「なぜ容器包装だけ回収するのか、他に使用できるものをなぜ対象としないのか」と
の市民からの指摘はずっとあった。新しい「材料回収コンテナ」に何を入れるべきかの調査
を行っている。すべてのプラスチック、金属、プラ複合材、プラ・紙混合剤を対象(コーヒー
ポットも含む)としているが、バッテリー、繊維、ゴムは、ソーティング設備を痛めるなど
の理由から不可である。また、材料コンテナとする場合に、システムのうち何を変えていく
べきかを検討中である。たとえば、回収主体は DS なのか自治体なのか、また、回収したのち
だれが引き取るか、などである。
5.2.2.リターブナル容器について
・ 2003 年、リターナブル容器が減ってワンウェイ容器が増えていたため、強制デポジット制度
を始めた。導入の目的の 3 つのうち 2 つを達成した。すなわち、回収率を高めてリサイクル
を可能とすること、ポイ捨てを回避することは達成した。しかし、リターナブル率の回復は
うまくいかなかった。デポジット容器は、DS に排出すればよいワンウェイ容器に比較し、販
売店にもどすため手間がリターナブル容器と同じなので、リターナブル容器に使うだろうと
考えたが、うまくいかなかったのである。リターナブル率は一部の容器でしか回復しなかっ
た。
・ ビールに関しては、リターナルびんが約 80%にまで回復している3。一方、ミネラルウォーター、
清涼飲料水について、リターナブル率は低い。大きなスーパーチェーンが、リターナブルを
やめてしまい、デポジットに切り替えてしまったせいもある(ミネラルウォーターはディス
カウントスーパーの目玉商品の一つ)
。
・ これは、政治や法律で規制するものではなく市場に任せる問題であるし、ドイツ国内だけで
法律をかけることはできないため、仕方がないと考えている。プラスチックボトル4のエコバ
ランス(LCA)も、
(リターナブルよりはよくないが)以前よりはよくなっており、立法の立場
でできるのはこれが限界と考えている。
・ ワンウェイとリターナブルがすぐに見分けられる表示システムを導入しようと考えている。
現在、50%の消費者が見分けられておらず、80%の消費者が「すぐわかるならリターナブル
を買う」というアンケート結果がある。ただし、その結果を私は信じていない。アンケート
3缶ビールは、輸入ビールくらいで僅尐である。
-参考資料14-
で聞かれればそう回答するだろうが、消費者は値段で動くことはわかっている。ディスカウ
ントストアで半額のワンウェイが販売されていたら、消費者は迷わずそれを購入するだろう。
ワンウェイ・リターナブルの表示を義務づけすることは効果があると思う。ただし、ドイツ
語表記の義務付けとなると、EU が認めないかもしれない。
・ 表示システムについては、商品によってマークがついていたりいなかったりと添付が一貫し
てない点、消費者がデポジットの意味を正確に理解していない点が問題である。デポジット
はあくまで使い捨てであるにも関わらず、リターナブル容器(リユース)との違いがわかっ
ていないことが多いようだ。なお、リターナブルマークは義務付けられていない。
5.2.3.<質疑応答>
当方:マテリアルコンテナにおいて、EPR の考え方はどうなるか。また DfE はどうなるか?
先方:製品責任を拡大していくつもりである。非常に多くの製品が対象になるため、複雑になり
そうである。ただし、例えばおもちゃを売るメーカーは、おもちゃを包装して販売し、す
でに GP 登録の対象であるため、対象企業が極端に増えるわけではない。
当方:分別収集の費用負担はだれか。
先方:もし自治体が収集することとなっても、費用負担は DS(=DS に支払うメーカー)となる
だろう。しかしその支払いのメカニズムなど細かいことは決まっていない。自治体が収集
する場合には、効率よく回収してもらわないと困る。
違うコンセプトも考えられる。廃家電では、自治体が回収したものをメーカーが受け取
りというシステムで、
(責任を)シェアしており、同じように実施するという考え方だ。5
当方:現在の法改正の議論において資源戦略、温暖化政策の論点はあるか。
先方:内閣で討議しているのは、循環経済法である。循環経済法により、資源効率、温暖化につ
いての効果もあるが、あくまで副次的効果として出てくるものである。
当方:収集選別された資源(例:PET ボトル等)の海外輸出について対策は?
先方:まず流出していることを環境省が把握するかどうかだが、われわれは執行していないので、
すべてを知っているわけではない。
①海外での処理費が安いために輸出する場合、②国内よりも高く売れる場合の問題があ
る。①については社会的にも問題となる話であり、法制定当初の 90 年代初めに存在した問
題であったが、現在ない。厳しい基準を設けて海外の処理方法もチェックしている。
②の流出については正規な手続きを経て輸出されるのであれば経済原則の話であり、輸
出を止めることはできない。PET フレークの国内企業から、対策を講じてほしいという声
はあるが、正規の手続きを経た経済原理での輸出はとめることはできない。
当方:発生抑制の施策は?
4 インタビューでは「プラスチック」だったが、PET を指すと思われる。
5 ドイツの家電リサイクルは、Shared Responsibility の考え方にたち、回収責任(実施も費用負担も)を自治体が
行い、リサイクルをメーカーが責任をもって実施している。
-参考資料15-
先方:減量したいと考えている。EU でも、5つのレベル(優先順位)をつけている。発生抑制に
ついては製品責任をベースにするのがもっとも効果的と考えている。しかし容器包装をこ
れ以上減らすのは難しい。減量余地があるのは、携帯電話などであろうが、それに政府が
手を打つのは難しい。
当方:容器以外の製品プラを対象とすることにより、マテリアルリサイクル、エネルギーリカバ
リーのどっちが増えるのか。リカバリーが増えれば温暖化対策にもなると考えるが、そう
した議論はあるのか。
先方:材料コンテナについて、ドイツ人はみないいと考えているが、それぞれ違ったことを考え
ている。DS は事業チャンスが拡大すると期待、環境省はマテリアルリサイクルが増えると
期待、自治体は自分たちの仕事が増えると期待している。特に期待が大きいのは、大規模
の焼却場と長期契約を結んでいる特定の自治体である。そのような自治体は焼却炉の能力
を使用することを義務づけられているため、材料コンテナが導入されれば、ペナルティを
払う必要がなくなるからだ(自治体責任での回収が増えれば、焼却場に回せる分も増える
ため)
。
われわれとしてはマテリアルリサイクルをできるだけ進めたいと考えている。バージン
材からプラを製造するよりも尐ないエネルギーでプラを製造できるのは、リサイクルの利
点だからだ。同時に、マテのリサイクル率を高くして、残り(マテリアルリサイクルに適
さない汚れたプラなど)はエネルギーまたはケミカルでよいと考えている。マテのリサイ
クル率の目標をいくつに設定するべきか決定するのは難しい。マテリアルリサイクルを推
進するインセンティブとなる率にするべきであるが、高すぎると意味のないこともやらせ
ることになる。ソーティング技術開発を尐し頑張れば実施可能な率とすることが適当では
ないか。
当方:ドイツの一般家庭におけるごみの分別排出は? 日本(10 種類以上の分別区分)に比較し
てどうか。また、住民はそのルールをしっかり守っているのか。
先方:それほど細分化されていない。紙とガラス以外のプラ容器はすべて黄色コンテナであり、
他、電気・電子製品、電池、バイオごみくらいか。
当方:再生プラの用途は?
先方:
(当方作成の)質問状で紹介されている品目6に近いものであるが、他には防音材、公園ベ
ンチ。今は再生プラの用途も進化して自動車部品にもよく使用されている。PET ボトルに
ついても、これまで繊維用途が主体だったものが、現在は PET ボトルも作られている。今
PET ボトルの 50%は再生の PET で作られている7。
6 パレット(pallet)、コンクリートパネル、OA フロアー材、標識杭、境界杭、擬木(imitation trunks)、ケーブルト
ラフ、光ケーブル保護管、土木ブロック、車止め、マンホール蓋、フラワーポット、プランター、ごみ袋など
7 インタビュー通訳では、市中ボトルの 50%が再生材利用しているとも、ボトル素材の 50%まで再生材を混入で
きるともとれる表現。
-参考資料16-
当方:自動車部品とは?
先方:バンパー、インパネ、シートなど。
当方:軽量プラについて、フィーを徴収するが、回収・リサイクルしないという選択はないのか。
先方:仏のやり方は中道を行っていると思う。しかし、技術的向上が見込めないだろう。
当方:拡大生産者責任の問題とからむと考えるか?
先方:最終的に費用を負担するのは消費者であり、
「フィーを払うのにそれをリサイクルしていな
いのか」という消費者の声がでてくるだろう。
以上
-参考資料17-
5.3 ティーテック本社
先方:Jurgen Hhuskens Business Development Manager/Authorized Officer
(TOM L.ENG
Sales Director あいさつのみ)
<ヒアリングの概要>
・ 当社の光学選別機により、材料、形状、色を認識することができる。アウトプットのプラス
チック純度は 99.8%(PE、PP の純度ではなく、プラ成分が 99.8%ということ)。
・ アウトプットは、日本の光学選別機導入施設からのものとほぼ同レベルであるが、旺盛な需
要により、売却価格が高い(PP において約 7 倍)
。
・ 混合物の中に有価物が 3 割以上入っていれば、ペイすると考えている。ロシアなど分別収集
が全くしていない国では、
(法律が整わなくても)大きなビジネスチャンスがある。
・ 焼却よりも分別収集・選別(ソーティング)が優れる。焼却かリサイクルかの比較ポイント
は、ゴミ組成、熱量、エネルギー価格、ごみ焼却場以外の選択股(セメント工場など)の存
在の4つ。
・ 製品プラは、自治体との直接契約ができるようになるかもしれず、その場合は、ティーテッ
クには福音。
(選別機はいきわたっているのでさらなる需要は見込めないが、直接契約により
契約期間が延びると期待。
)
<会社概要>
・ TOMRA100%子会社
・ 両者とも世界のリーディングカンパニー
先方:
1989年
(私は)
当時最大の処理業者トリニケンスで働いていた。
同社は従業員が 6,000 人いて、
180 あるソーティングセンター・リサイクルセンターの責任者だった。
2002 年 ティーテックの最大ユーザーである RDW が、トリニケンスを買収した。
2005年
RDW からティーテックに転職した。それから、ビジネス開発(旧ソ連、ギリシャ、カ
ナダ、南米等新しい市場の開発)を行っている。これらの国々では、分別回収はされて
おらず、一括回収したものから、リサイクル出来るものを取り出す形である。
当方:分別のニーズは現地の法規制によると思うが、分別実施が拡大するような法規制が広がる
傾向にあるのか。
先方:廃棄物の法律で規定する国もあれば、経済的にペイするため資源を取り出している国もあ
る。ケースバイケースである。
当方:途上国では、インフォーマルセクターが分別しているとは聞くが、機械を入れてまでプラ
を選別するコストメリットあるのか、関心がある。
先方:途上国でこそ、投資の効果がある。ドイツ人はごみに対し市民一人当たり 300€(最低でも
150€)支払っている。例えば、ルーマニアでは、ごみに重量比 10%の PET が混ざっており、
-参考資料18-
ごみ処分場が PET の海のようになっている。中国、日本、ドイツでは PET を取り合ってい
るに、信じられない状況だ。たとえば、首都ブカレストに 50 万トン/年のソーティングセ
ンターを導入すると、5 万トンの PET を取り出すことができ、トンあたり 350€で売れれば
(ドイツより低質だが)、17.5 百万€の売上になり、さらに他の素材(HDPE、金属、紙、び
んなど)の売上もある。ドイツ製プラント導入コスト 20 百万€を、1 年で回収でき、採算
がとれる。ロシアでも同じようなビジネスモデルで機能する。
当方:PET の需要国は中国に限られるのか。
先方:幸いなことに、いまは違う。70-75%は中国だが、残りは EU 域内トルコ、ブルガリア、イ
タリア、ドイツでも使用している。ロシアでも地域差あるもののが、中国以上に高額で売
れるところもある。
当方:PP、PE、ポリオレフィンも同じ傾向か。
先方:そうだ。東ヨーロッパとロシアではプラスチックが欠乏しており、需要が大きい。紙、金
属、エネルギーは充分にあるが、廃プラの需要は大きい。
<ティーテックの概要にもどる>
・ 1996 年設立。オスロの上場株式会社 TOMRA(1972 年設立)の子会社の一つ。
・ ティーテックは分別するのが仕事(廃棄物の分別に限らない)で3つの事業部門からなる。
ティーテックの機械販売の営業担当者は全世界で 350 人いる。
リサイクル分別:一号機をトリニケンス社が購入。世界で 2000 ライン以上の設備がある。
マイニング:金や金属の採鉱・採掘
オーデンベルグ:食品分別。えび、魚などから分別。野菜を形状や色で分別。
・ 人力から機械(光学選別機)へ代わることで、省力化、分別能力の向上(見た目(色等)で
はわからないプラの種類も光学選別機であれば分別可能)、分別速度向上(たとえばプラス
チックフィルムでは、人だと 40-45kg/hのところが機械では 1~2 トン/h)が図れる。
・ リサイクル用途市場のメインはドイツ。容器包装令が導入された結果生まれた市場であり、
家庭での分別は 5 種類だが、産業系も含めた回収区分は 27 種類ある。ドイツ人はあまり真面
目に分別しないので、ガラスであっても回収したまますぐには再利用できない。その点が我々
にとっての光学選別機で参入するビジネスチャンスとなった。
当方:プラスチックの種類だけでなく、色、形や大きさもできるのか。
先方:できる。近赤外線のみでなく、可視光も利用している。1mのコンベアで 1 秒間に、64 万
回測定をしており、これはカメラで高精度測定しているのと同じ。
当方:食べ物を分ける場合には、色や形状をみるのか。
先方:そうだ。たとえば、ピクルスにするキューリを選別するために、形や黄色、花の有無など
ではじく。
当方:近赤外線によるプラ選別とは違う役割を担うということか。
先方:スキャナーに、たとえば 3 つの仕様がある。
-参考資料19-
1番目は、近赤外線のみの仕様
材質・形状を認識、
2番目は、近赤外線と可視光線
材質・形状・色も認識。
3番目は、上記+マグネット(コンベアライン)
金属も認識
他、エックス線、紫外線、中赤外線、マイクロ波、レーザーなどの技術も開発し使用し
ている。
<ロシアの事例を紹介>
・ 理想的には、ドイツでのごみ処理費用(現在、年間 1 人あたり 300€(最低でも 150€))が、
効率向上により、排出するごみが有価で売れるようになり、住民がごみ処理費用を負担する
のではなく、お金をもらえるくらいになるとよい。
・ ロシアはその方向にむかっている。ロシアでのターゲットは、1 トンあたりの処理コストは
15€以下、ごみの 75%以上をリサイクル。現在 3 つのプロジェクトが動いている。
・ ロシアの現状は、国内にごみ焼却場はモスクワの 4 箇所のみという状況で、まったく手付か
ずの状態。ロシアの全国民(1 億 5 千万人)が、分別するようになれば、年間 10 百万トンの
リサイクル材料(HEPE や PET など)を得ることができる。代替燃料もとれ、温暖化対策に
もなる。雇用対策にもなるはずだ。
・ (世界的に)プラスチックの需要は高まっている。金属や紙の需要も同様である。15 年前は
価値のなかった LDPE が、今は 400-500€/トンで売却できる。世界中のだれも、埋立がよい
とは思っていない。焼却も高コスト(75-80€/トン)であり、また(焼却してしまうと)材
料としてリサイクルできない。高く売れるものは分別して売却し、残りはセメント工場等で
燃料として使用し、それでも残るのであれば(20%程度)は焼却、埋立という、理論的なス
テップで進めるのがよい。
・ 75 年~80 年のドイツでは、紙・ガラスの回収のみだった。そのころ、分別装置の初期のもの
がすでにあった。一括回収されたものを、ハンマーミル、ふるい、風力選別などで有価物(金
属、プラス、紙)取り出すものである。埋立場をセーブすることも目的だった。
・ その後、容器リサイクルをはじめ、ガラス、プラスチック、紙、有機ごみ、粗大ごみ、廃家
電などいろいろな法律ができた。処理業者のビジネス機会も増えた。
当方:プラのみのソーティングセンターでもペイするか。
先方:プラのみの場合では採算はとれないが、ドイツでは DS による援助金があるから成立して
いる。
当方:金属、ガラス等も一緒にソーティングすることで経済的に成立することになるか。たとえ
ば産業からのプラスチックを加える場合も。
先方:機能する。経済性はごみの組成と処理規模に関わる。基本的には有価物の割合が 30%
以上だったら、採算があうと考えている。ただし、量が集まることが前提(例えば年間 5
千トンしか集まらないのでは採算が取れない)。
-参考資料20-
ドイツの法律成立時は、分別できる技術がなかった。法律施行によって技術開発が進み、
よかったと考えている。現在は、さらに技術が進展し、法律を見直してもよいと考えるが、
EU、ドイツ政府が、政治的にそこまでしなくてもいいと考えているかもしれない。
<分別対象物>
・ ドイツの黄色コンテナで回収されているものには、一般ごみが 25-30%混入している。ロシア
では分別排出されていないが、黄色コンテナと同じくらいのレベル。黄色コンテナに排出さ
れる 30kg/人・年(独のごみ全体の4%)のうちプラの含有率は 15%のみであり、ロシアの一
般ごみ全体 200kg/人・年のうちプラの含有率は 15%8。
・ このような状況なので、ドイツで分別した容器包装廃棄物はソーティングしないとリサイク
ルできない。
・ なお、中国のごみは組成が悪い(生ごみが多い)ので、対応は難しい。キプロスもそう。
当方:焼却コストが高いというのは、国の補助がないからか。
先方:フィルターが高い、エネルギー回収率が低い、施設費も高いなどの理由から、技術的にコ
ストが高くつく。このため、国の援助がなければやっていけない。発電しても得られたエ
ネルギーの 30%は自己消費するので、外部へは発電の 7 割しか売れない。焼却は、国に拠
らず 75-80€/トンかかる。最終的な残渣は焼却せざると得ないが、PET などリサイクルでき
るものを燃やすべきでない。
<ロシアでのビジネス>
・ ロシアでのソーティングプラントのフィージビリティスタディを行っている。
・ 処理コスト5€/トンで売り込んでいる。適切な分別の程度を確認するための FS を示すが、RDF
をたくさんしすぎないほうが、コストも CO2 も小さいということがわかる。
・ なお、中国での廃棄物は水分量が多いため、ソーティングを行っても全く意味がない。
<人力対機械の能力・コスト比較等>
・ ソーティングセンターのラインで通過するフィルムは 1 時間あたり 8~10 トン。人力では 50kg
が限界。ソーティングの機械を稼働させるためには 1 年あたり 36 万€かかる。人力と機械と
を比較した場合、途上国での一人あたり月給を 400€と仮定したとしても、機械の方が数百万€
安くなる。
先方:ケルン市民は一人あたり年間 300€支払い、焼却場は年間 40 万トンのごみを受けている。
これで十分に焼却施設の採算がとれているので、処理容量の余裕分を、安く(40€/トン)
引き受けている。市民が高い税金を払っているのに、余裕分を安く引き受けるのはおかし
い。
8 グラフには、キプロスのデータも掲載されているが、島なのでモデル的な調査が行われておりその結果である。
-参考資料21-
当方:熱回収について、焼却施設を所有するのはだれか、市が民間(焼却)事業者に委託してい
るのか。
先方:焼却施設は自治体か PPP(Public Private Partnership)で持っている。民間事業者はほとん
どいない。独はごみ焼却施設が多すぎる。
製紙工場、ガラス、金属工場などは、近年のエネルギー価格高騰により、発電所を所有
するようになっている。自前の発電所で、ごみを燃やす。安い燃料で調達する。
通常 16 セント/kwh が、自前だと 8 セント/ kwh ですむ。
ごみ(有価物を取り去ったあとのごみ)を引き取る料金が 40€/トンである。なお 40€は、
安定的に調達するために、ディスカウントして引き取っている価格であり、実際にはもっと
高く引き取ることもでき、その場合発電原価は 4 セント/ kwh ですむ。
こうしたニーズに対応し、独は年間 250 万トンのごみを輸入している。
先方:焼却かリサイクルかについて比較する際のポイントは4つ。
①ごみの組成(生ごみ割合等)
、②熱量(プラスチックの熱量は 12,000KJ と高いので、プ
ラスチックの尐ない方が、焼却に向いている)
、③エネルギー価格(CO2 排出量取引を含む。
コスト上のメリット・デメリットを検討)、④ごみ焼却場以外の選択股の有無(セメント工
場等)
。これらについて検討すれば、日本の選択肢は決まる。
当方:ドイツの温暖化対策施策(コジェネ法、買取法など)の影響は?
先方:電力の価格に関しては悪い影響を与えたと考えている。新しい技術導入に対しては初期投
資がどうしても必要となる。たとえば、1kwh あたり原子力は 3 セント、火力発電は 4-5 セ
ント、ところが太陽光発電は 49 セント(10 倍の値段)で買い取ってもらえる。風力、太
陽光発電の推進のためにされた施策で、意図的に値段を吊り上げている結果だ。
当方:ごみ発電の促進になったかを確認したかった。
先方:エネルギーが高くなったので、結果としてごみ発電が進んだ。なお、ごみ発電には補助金
は出ていない。ごみの焼却場は、処理されていないものを埋立禁止する法律によって進め
られてきたものである。
当方:ソーティングされた後、再商品化工程にわたる時点の PP や PE の純度はいかほどか。
先方:ソーティングされた後、リサイクラーに渡る前に工程がある。ソーティング後の純度は
96~97%9といわれており、その後、汚れやラベルをとり除き、ペレットの状態で 99.8%と
なる。なお、この洗浄工程で、残渣(生ごみ等)を取り除かれるために、重量は約 70%と
なってしまう。生ごみや紙おむつ等の異物が 20-25%入っている。プラスチックではある
が、
容器包装材でないもの 10%以上(ポリエチレンの歯ブラシ、プラスチックの料理用ボー
ルなど)もある。
9 汚れ等で 70%になるとのことであるので、この 96-97%は、プラスチック部分についての数字と考えられる。
-参考資料22-
なお、99.8%というのはプラスチック成分の純度であり、PE や PP としての純度は 90%
弱ではない。そのペレットで製造するのは、植木鉢や水ホース等であるので、PE や PP と
しての高い純度は求められておらず、90%弱の純度で十分だ。
当方:ドイツの市民の分別の状況はどうか。よくなっているのか。
先方:独の分別の状況(質)は悪くなっていると感じている。大都市の方が状態は悪い。
当方:製品プラへの拡大は、貴社にとっていい話か。
先方:ティーテックの光学選別機の売上への影響ということでは、ドイツにはすでにほぼ 100%
入っているので、あまり関係ない。
しかし、製品プラを加えることによって、自治体が回収主体となる可能性がある。それ
によって、
「ごみ処理業者と DS」でなく「ごみ処理業者と自治体」とが直接契約できると
すると、それはいい話だ。現状のように、2-3年間の契約期間では投資しづらいが、自治
体となら 10 年契約も可能だ。
当方:ソーティングセンターの人口カバー率は。
先方:黄色コンテナ対象のソーティングセンターが 120 箇所。全国の人口を単純に割り算すれば、
1 箇所あたり、150-200 万人か。
以上
-参考資料23-
5.4 EGN ソーティングセンター
5.4.1.施設概要
・ 軽量容器(LVP)選別施設能力: 40,000 トン/年10
・ プラスチック処理能力: 5,000 トン/年11
→年間約 5,000 トンの家庭系(DS)および事業系硬質プラ PE(HDPE)/PP を処理。12
・ ブリケットプレス(RPF 製造)能力: 30,000 トン/年13
・ 容器包装廃棄物の他に古紙、廃電気電子機器も取り扱っている。
フロー図
軽量容器
LVP
(プラ、紙パック、缶)
(資源化対象外)
トロンメル
径35mm
トロンメル
径240mm
35mm以下の
ガラス片、土砂等
240mm以下の
軽量容器ごみ (例)シャンプーボトル、PETボトル
風力選別
紙・プラフィルム類
磁力選別
鉄類
バリスティックセパレーター
(振動選別)
RPF化
(紙との混合)
軽量物
(紙・プラ)
RPF化(プラのみ)
重量物
Titech
Titech
Titech
Titech
PE
PP
紙パック
PET
粗破砕
破砕
(12mm)
産業系容器包装
廃棄物
紙
アルミ缶・
アルミ付テトラパック
渦電流選別
※Titechマシン:
・光学、
・可視光、
・近赤外線センサー
の組み合わせ
大きめのPPフィルム
手選
水洗
その他プラ(PVC以外)
残渣
(リサイクル不適物)
Titech
・有機物
・PVC
・紙
脱水
(遠心分離)
フレコン詰め
2011/02/08
ドイツEGN社ソーティングセンター
10 AIDA ( ノ ル ト ラ イ ン ・ ウ ェ ス ト フ ァ ー レ ン 州 廃 棄 物 情 報 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム )
(http://www.abfall-nrw.de/aida/einzel.php?vflframe=1&vfl_id=2680)
11 AIDA ( ノ ル ト ラ イ ン ・ ウ ェ ス ト フ ァ ー レ ン 州 廃 棄 物 情 報 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム )
(http://www.abfall-nrw.de/aida/einzel.php?vflframe=1&vfl_id=6071)
12 EGN ウェブサイト(http://www.entsorgung-niederrhein.de/egn-profil/anlagen/anlagen/kunststoffaufbereitung/)
13 AIDA ( ノ ル ト ラ イ ン ・ ウ ェ ス ト フ ァ ー レ ン 州 廃 棄 物 情 報 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム )
(http://www.abfall-nrw.de/aida/einzel.php?vflframe=1&vfl_id=4614)
-参考資料24-
(1)ストックヤード
(2)搬入物
(3)ベルトコンベアへの投入
(4)破袋後
(5)トロンメル
(6)手選別で除外された PP フィルム
(7)複数の光学選別機を結ぶ
(8)複数の光学選別機
-参考資料25-
ベルトコンベア
(9)光学選別機へ
(10)手選別工程
(11)排出ヤード
(12)圧縮済みのプラ(フィルム類)
(13)選別後の紙
(14)圧縮済みのテトラパック(手前)
・アルミ(後方)
(15)圧縮されたテトラパック
(16)アルミ
-参考資料26-
(17)粉砕されずに出荷される PP
(18)粉砕済、洗浄前の PP
(19)フレコンパック
(20)固形燃料(RPF)
5.4.2.フロー図に記載されないその他情報(個別コメント)
・ DSD は、110~120€/トン14をかけて、ソーティングを実施している。
・ ドイツの法律が定めているという理由で、PET、PP などに分けているが、この分離方法は、
経済的にペイしない。ドイツでは DS によりお金を補助されて、このようなやり方をしている。
・ DSD が、ソーティング後の品質スペックを定めている。例えば、HDPE アウトプットには、
シリコンシール剤の入っていた容器を混入してはいけない(日曜大工でネジを埋めるときに
用いるシリコンシール剤のことであり、それは、円筒形で細長くて先にノズルがついている
形状の HDPE 容器に入っているため、形状によって取り除くことができる)
、塩ビが混ざって
はいけないなど。その基準をクリアするように、ソーティングを行っている。処理業者を公
募で選定する際の条件として、このスペックが提示される。このスペックは、リサイクルし
やすいように、需要に応じて決められており、9 社すべてで同じ基準。
・ ソーティングセンターへ搬入される容器包装は大型のトレーラーで運ばれるが、各家庭の黄
色コンテナから大型のトレーラーで集める訳ではなく、各家庭の黄色コンテナからの廃棄物
を収集するポイント(集積所)があり、そこから大型トレーラーに廃棄物が搬入され、ソー
ティングセンターへ運ばれる。
14 日本に比較すれば十分安価での実施だが、ティーテックの案内者は「非常に高いお金を投じて」とコメントさ
れていた。
-参考資料27-
5.4.3.アウトプットに関する情報
・ 最終的には十種類
鉄、アルミニウム、テトラパック(飲料用の紙パック)
、紙、シートフィルム、15混合プラス
チック16(プラスチックが主成分の燃料用ペレットになる)、燃料(紙の混入もある、固形燃料)
、
PET、PE、PP
・ プラスチックは、粉砕の後、ビッグバックとよばれる袋(950kg~1.2 トン)
(日本でいうフレ
コンバックのようなもの)に入れられる。
・ よい品質ではない紙:40-60€/トン。
・ テトラパック:無償で紙工場に引き取られる。
・ アルミ(アルミ蒸着パックやアルミシート、ところどころアルミ缶が混じる状態):50-80€
/トン17
・ PP:粉砕・洗浄前のものはプラスチック(PP)含有率が 70%。残りの 30%は汚れ分や異物で
あるが、そのような粉砕・洗浄前の状態でも 120€/トンで売却できる。
・ 破砕、洗浄、比重分離(水槽)を経て、汚れ、ラベルや使用できない異物、金属分が分離さ
れる(この工程で重量が 7 割になる)。粉砕・洗浄した PP フレーク18は 550~550€/トンで売
れる。なお、洗浄した PP フレークだけでリサイクル製品を製造することはできず、バージン
材に混ぜたうえで製品を作ることとなる。
・ テレビやコンピュータの筐体プラスチックも回収されている。容器包装とのソーティングラ
インとは別のラインを設けているが、今は動いていない。これらの粉砕物は、ABS や PS の混
ざったものであるが、やはり数百€/トンで売却できる。
・ 中国はフレークではなく、バルク(粉砕前の状態(ベールと同様に圧縮しているが、針金で
結束されているのみで梱包はされていないもの)
)の状態でほしがる。PET ボトルもバルクで
引き取るし、筐体もそのまま粉砕しない状態で買い取る。
・ PS は、壁に埋め込む配電ボックスなどになる。表面はバージン材で、中は再生材を用いるも
のが多い。
・ 再生プラスチックの需要はとても大きく、買い手は多い。PET は、PET ボトルや繊維に、PS
は電気産業に、PP はパイプに、フィルムシートは新しいフィルム・バックにそれぞれ使われ
る。日本で高く売れないなら、ヨーロッパに持ってきたらいい。関税の問題があるだろうが。
・ 当ソーティングセンターの PP の洗浄設備があるため、他のソーティングセンターで選別され
た PP も搬入される。
15 フロー図では、最終的に紙類がないので、要確認。(紙は売却価格情報もあるので分けられているはず)
16 PS は量が尐ないので、混合プラスチックに入る。
17 日本では、未洗浄アルミ缶相場 10 万円/トン、アルミ相場 25 万円/トンであるため、50-80€ /トンはかな
り低い価格であり、低質なアルミであることがわかる。
http://www.naritore.co.jp/cgi-bin/naritore/siteup.cgi?category=1&page=1
http://www.jalc-g.co.jp/pc/free02.html#arumi
18 ティーテック本社でのヒアリングによれば、この時点でのプラスチック純度は 99.8%。
-参考資料28-
<EGN 会社概要>
社名:EGN Entsorgungsgesellschaft Niederrhein mbH
100%クレーフェルト市営持株会社 SWK STADTWERKE KREFELD AG の子会社
2009 年決算概要19:
売上
183 百万€
営業利益
6 百万€
純利益
6 百万€
資産
191 百万€
資本金
116 百万€
総資産
256 百万€
投資
人員
10 百万€
679 名(2009 年 12 月末現在、常勤職員数換算)
施設設備20:
拠点数:
14
施設数:
44
車両台数:
420
回収容器数:
12,700
廃棄物・資源合計取扱量21: 1,310 千トン(2009 年実績)
再生プラスチック販売量22: 年間約 15,000 トン
(主な取扱品目は 50%から 98%の各種品質フィルム、
HDPE、PP、PS、ABS 等の硬質プラ)
以上
19
EGN パ ン フ レ ッ ト ‖ 5 Jahre EGN – fortschrittlich nachhaltig und konsequent flexibel.‖
(http://www.entsorgung-niederrhein.de/fileadmin/Shared/01_EGN-PROFIL/01_Unternehmensprofil/Festschrift_Internet.
pdf)
20 EGN ウェブサイト(http://www.entsorgung-niederrhein.de/egn-profil/unternehmensprofil/kennzahlen/)
21 前掲脚注19
22 EGN ウェブサイト(http://www.entsorgung-niederrhein.de/leistungen/wertstoffe/kunststoffe/)
-参考資料29-
5.5 FostPlus
先方:Jahan Goossens Director Business & Marketing
<ヒアリングの概要>
・ ベルギーでは、コストと環境の観点から非常に優れたシステムを運用している。
・ 自治体がガイドラインに沿って、回収していることが、成功のポイント。回収ガイドライン
でやり方を統一することで、広報もしやすく、回収率も品質もよい。
・ 自治体における回収コストを把握しており、自治体独自の方法でコストが高くついた場合は、
追加分が自治体の負担になる。
・ 上市 300kg 以下のメーカーは加盟義務なく、300 トン以上のメーカーは予防計画策定義務があ
る。
・ 「材料間連帯」という考え方にたち、リサイクルしない(軽量)容器メーカーから徴収した
お金をリサイクルに回している。
・ 同機関は、加盟企業のリサイクル義務を最小コストで果たすというミッションを明確にもっ
ている。
(このため、製品プラについてまったく考えていない)
5.5.1.概要
<概要説明>
・ 非営利団体。
・ 1994 年に、容器包装廃棄物を管理するために設立された。
・ 家庭からの容器ごみについて、政府から認可されている、唯一の団体。
・ 産業からの容器ごみについて、同様の団体に VAL-I-PAC がある。
・ 5,407 社が加盟し、市場シェアは 92%となっている。残り 8%はフリーライダーである。フ
リーライダー企業が生産する容器も、Fost Plus で回収処理しており、それについては加盟
する企業からのフィーでまかなっていることになる。フリーライダー企業を特定し、加盟
するよう強制する権力は Fost Plus にはなく、啓発活動によって企業が Fost Plus に加盟する
インセンティブを高めるしか方策はない。そのため委員会として結成した政府機関23があ
り、そこがフリーライダー対策と企業の監督をしている。
・ ここの従業員は 50 人程度だが、事業を通じ直接、間接に 2500 人程度の雇用を創出してい
る。
<事業>
・ 枠組みは EU 指令による(94 年、04 年)。ベルギー国内法で、州間合意(97 年、09 年)に落
とし込まれた。
・ ベルギーにおける、産業と家庭とのリサイクル目標率は同じ数値(2009 年の全素材でともに
80%)であるが、リカバリー目標率は尐々違う。2009 年の全素材でのリカバリー目標率は、
23 ICVIE のことと思われる。
-参考資料30-
産業系 85%、家庭系 90%である。
・ 自治体によって回収後されたあと、プラ容器、缶や紙パック(PMD)はソーティングセン
ター経由でリサイクル業者にまわり、紙やガラスびんは直接リサイクル業者にまわる。
・ Fost Plus では、以下の 3 種の契約を締結。
1)廃棄物を排出する企業との契約 排出量に応じ、フィーを支払う。
2)地方自治体との契約
自治体が、家庭ごみ処理の責任と権限をもち、
回収と選別をする役割を担っている。
3)リサイクル業者との契約 売却収益は Fost Plus の収益
・ 地方自治体との契約する理由は、もともと(回収・処理が)自治体の責任だったためだが、
現在では違う意味合いもある。すなわち、ガイドラインに則ってもらうための意味がある。
・ 回収は、広域行政体が自身で実施する場合と、広域行政体が民間事業者に委託する場合が
ある。いずれの場合も、Fost Plus が作成した回収する際のスペック書(ガイドライン)に
則ることで、国内での均一化・調和を図っている。
当方:日本では自治体により分別収集方法が異なるが、ベルギーで統一が可能な理由は?
先方:ベルギーでも自治体に自由度はある。ガイドラインは義務ではなく、自治体が評価した
ら、採用するという形である。
PMD(PET と HDPE ボトル等のプラ容器、缶、紙パック)など、新しい分別が始まっ
た場合、ガイドラインが必要である。紙・ガラスなど、自治体がすでに分別回収を実施
していたケースでは、既存の分別方法を調和(統一)させていった。例えば、紙・ダン
ボールの回収頻度を高めるなどの変更をしたり、ガラスびん回収コンテナ「バブル」の
ネットワークを増やして改良するなどをした。ガラスびんについては現在も 10%の人口
地域で戸別回収を実施しているが、コストが半分で済む「バブル」による拠点回収を推
奨している。
大事なことは、押し付けないことである。自治体独自の方法でコストが高くついた場
合は、追加分が自治体の負担になるので、ガイドラインを参考にするインセンティブが
ある。
契約と法律の中間のような仕組みとなっている。Fost Plus が州間委員会に認可される
際に提出する書類によって規定される。認可機関は 5 年間。
当方:全自治体に資金を供出しているのか
先方:すべての自治体である。
当方:広域行政体で、ソーティングセンターを共有し、共同で委託するのか。
先方:広域行政体の大きさがいろいろ。人口 1000 万人に対し 40 の行政体がある。広域行政体
の人口は、5 万人から 100 万人までまちまち。また、ソーティングセンターは全国で 10
-参考資料31-
数あり、行政体の数と一致していない。ソーティングセンターの処理能力の差もあるが、
広域行政体に対応しているわけではない。
財政的には、
「回収・仕分け費用」―「材料売却益」=「ライセンスフィー」となる。
5.5.2.詳細説明
<上流部分>
・ 容器メーカーとの契約。契約期間は無期限であるが、毎年契約を破棄する権利がある。
・ 容器メーカーは、排出量(上市量)を申告する必要がある。大企業は詳細に算出する必要
があるが、中小企業は簡素化された算出方法でかまわない。申告する量に応じ、フィーを
支払い、GP をつける権利を持つ(GP 添付は義務ではない)。
・ ベルギーの特徴:排出量が 300 キロ以下24の容器のメーカーの加盟義務はない。逆に 300
トン以上の大企業は、3 年に1回、予防対策計画を提出しなければならない(この義務は
IVCIE マターであり Fost Plus は寄与していない)。
・ GP の料金は材料ごとに定められており、コストと(選別された資源の)売上収入で毎年変
動する。
・ 例えば、2001 年頃から 2008 年頃まで、回収コスト効率が同じ水準であったが、資源の売
却額が予想以上に年々上昇したために、剰余金が発生し年々準備金が増えていた。そのた
め、08~09 年は剰余金を切り崩して GP の料金に還元することができた。これにより、2002
年に 1 トンあたり平均 120.5€だった料金が、2009 年には 70.9€にまで下がった。
・ しかし、08 年以降は経済危機のために準備金が急減したため、GP の料金を 2010 年から値
上げし、2005 年レベルに戻そうとしている。銀行と取引をするために、一定の準備金(最
低積立金額)が必要なのである。
(準備金急減の直接的理由として、容器メーカー売上減尐、
資源売却価格の低下が考えられる。
)
・ 現在、資源の販売価格が復活しつつあるので、また落ち着くだろう。
・ 材料別料金と Fost Plus への申込量のグラフについてだが、ガラスは、重量ベースでは全体
の半分を占め圧倒的に大きいが、支払う金額ではさほど大きくない。逆に、その他のリカ
バリー可能製品(=リサイクルされない非回収製品)は、量が多くはない(ガラスの 3 分
の 1)が、金額が大きい。我々に財政的に寄与する製品である。
・ 「材料間連帯」という考え方を適用しており、全ての材料について目標値を達成させるこ
とが Fost Plus の責務であると考えている。実際の事業では、リサイクル可能なパッケージ
のみ収集してリサイクルしている。
当方:リサイクルしてもらっていないのに、寄与金払うことへの抵抗はないのか。
24
300kg 以下というのは、不定期にしか容器を使わないなど、かなり小さい規模が該当。
-参考資料32-
先方:自社が排出した容器がリサイクルされているということは、企業イメージとして非常によ
いものがある。(フィルム系の軽量容器(以下「軽量容器」)も)リサイクルしたほうがい
いと思っている企業もあるが、独のように軽量容器までリサイクルすると、コストがとて
も高くつくことは認識している。
メーカーによる材料転換の取り組みはあるが、機能的に対応できないものもあるの
で限られる。
高いフィーを支払って軽量容器を使用し続けるか、安いフィーの材料へ転換するのかは
企業の選択である。また容器包装のボリューム削減(減量)は企業も意識している。
当方:ドイツでは全部リサイクルすることで技術開発が進んだが、ベルギーでは既存の技術範囲
でのシステムと理解していいか。
先方:新しい技術があれば、適用しないわけではない。実際、技術動向を常にウォッチしている。
ソーティング技術の導入により、PMD の仕分け自動化がすすんだ。しかし、プラ容器に
ついては、軽量容器まで一括回収すると様々なプラが混じるため複雑になると考える。環
境の付加価値は何かを考えてしまう。コストアップと環境とのバランスである。
<回収・分別>
・ 自治体と契約する。回収する材料の種類、品質保証のスペックが決められている。
・ 自治体が入札にかけて民間業者を委託するケースもある。自治体自身が回収するケースも
ある。これについては、これの価格が同等であるかを気にしている。
・ Fost Plus の資金は、回収・仕分け費用、普及啓発費用(広報)、優遇策費用に当てられる。
・ 優遇策費用というのは、質を向上させるインセンティブとするものであり、契約条項に入っ
ている。不純物の混入を 20%まで認めているが、自治体がこれを守るとボーナスを支払い、
オーバーするとペナルティを徴収する仕組みであるが、混入率の平均は 15%であり、概ね
良好である(=ボーナス分を費用に盛り込む必要がある)。
・ ごみの質の分析は Fost Plus が実施している。Fost Plus に品質チームがあり、そこが監視し
ている。回収業者が自身でチェックしたり、ソーティングセンターが受け入れ時にチェッ
ク(=受け入れ拒否)したりする。ごみ回収の袋は透明で中が見える。
・
(ガイドラインで規定される)分別の大まかな状況は以下のとおり
ガラス
紙 月1回
→
→
色つき・無色で分別回収
包装材と新聞紙等と一緒に回収
PMC(青い袋で月 2 回回収)→ ソーティングセンターで、金属(缶)
(鉄、アルミニ
ウム)
、テトラパック(飲料用の紙パック)
、PE ボトル、無色 PET、
緑 PET、青 PET に分けられる。
・ PE についてボトルのみ回収するのは、消費者に対してわかりやすいからである。他の PE
容器は不純物が混ざっているので収集しない。
-参考資料33-
・ 私個人の相場観だが、PMC の回収は月 1 回でもいいと考えているくらい25。
・ 材料転換(材料間移動)について、過去 PVC で製造されていたプラボトルが他の素材に置
き換わった例がある。
・ 企業が新しい容器を市場へ出す際には、Fost Plus と話し合う。例えば、リサイクルされない
色を選択しないようにいう。リサイクル材として需要がある色(無色、青や緑)を、相談
の際に明示的に企業に伝える。PET ボトルは青や緑よりも無色の方がリサイクル材として
高く売れる。
・ ガラス(リユース、ワンウェイ)とプラスチック容器の比較について。LCA 的に材料間の
優务は難しいと考えている。消費者はびんを持ち運びするのが面倒なので、飲料容器では
びんよりもプラスチック(ソフトドリンク・水)がすごく多くなっており、またリユース
びんよりワンウェイガラスの傾向が高まっている。一方、ホテル・レストランはリユース
びんを大量に使っている。
なお、ワンウェイガラス瓶は、ワイン・ジャムなどで飲料容器は尐ない。
ソーティングセンターへ搬入される PMC の中味は以下のとおり(重量比)
プラボトル 42.7%
金属(缶) 29.0%
紙パック
10.8%
その他
15.4%
袋
2.2%
<リサイクル業者との契約>
・ ソーティングセンターで選別された材料は Fost Plus がリサイクル事業者等へ売却している。
1 年~3 年の契約期間だが、期間内に契約内容(市場価格に応じた変動)はかわる。
・ 素材に関して外部のエキスパート PLAREBEL がおり、Fost Plus にアドバイスしてくれる。
15 年前に販売事務は Fost Plus ではなく PLAREBEL にあった。今、PLAREBEL は専門家と
いう役割に特化してきた。
<PET等の中国への輸出について>
当方:再生材料の売り先は、どこか? 国内か、域内か、中国か?
先方:材料による。紙やガラスは、しばしばベルギー国内企業である。後加工を国内で実施しそ
の後アジアへ輸出されている可能性はある。プラスチックに関しては、リサイクル企業が
国内にない26ため、オランダ、ドイツ、イタリアなどに輸出される。
先方:企業の負担するコストを小さくすることも Fost Plus の役目であるので、高く売れる先を探
25 家庭に置いても容器が臭わないからと推測される。
26 事前文献調査によれば、Fost Plus が契約するリサイクラーは、PET9社のうち国内は1社、HDPE6 社のうち国
内はゼロ。
-参考資料34-
す。ベルギーは国の規模が小さいのでオランダ等の近いところに再生材が流れても問題と
は考えない。リサイクル業者は入札で決めるので、国内に限定できない。距離的に近いと
ころ(オランダなど)が高い価格を入れる傾向にあり、遠い国は安い価格を入れる傾向に
ある。よって距離的に近い国には有利ではある。最低品質・サービスを指定してそれを価
格入札しているが、総合評価的なのか価格のみなのか、詳しいことはしらない。いずれに
せよ、最低限のスペックを満たせば問題はない。
自治体がソーティングセンターを選択する際も、同様に、品質を定め、価格入札する。
ただし、公的機関(自治体)による入札なので、Fost Plus によるリサイクル業者選定より
尐し厳しいかもしれない。品質レベルが異なるので、よい業者を選ぶというのは難しい。
当方:GP のラベルがなくても回るのではないか。
先方:絶対必要というわけではない。企業にとって、「リサイクルを実施している保証」のシンボ
ルとして重要視しているかもしれない。
当方:マテリアルコンテナ(容器以外のプラスチックの回収)はどう思うか。
先方:現場的に必ずよいかどうかはわからない。これは、重要な点だが、マテリアルコンテナは、
我々のミッション「容器メーカーのリサイクル責任を果たすこと」に該当しない。
当方:ソーティングセンターで分別された後のどのような商品となるか。
先方:PET ボトルは今はボトル to ボトルが多い。SPA(商品名)の PET ボトルでは、50%の再生
混入率であり、再生材利用の PET 容器はどんどん増えている。このほか、繊維、建設など
多様な用途がある。PE は、建設資材のチューブや導管に利用されている。選択回収してい
るので品質レベルは高く、混合プラならここまでできないだろう。
売却価格は、PE で 198€であった。経済危機で 100€まで落ち込んだが、下がってもこの
程度である。
当方:フランスよりマテリアルリサイクル率が高い理由は何と考えるか。
先方:シナリオ(ガイドライン)によって統一されたシステムが優れている点、また、広報活動
を徹底しているために、回収率が高く品質もよい点であろう。
当方:10 のソーティングセンターのうち、8 が民間事業者で、2 が公的施設である。光学
選別機・磁石・風力・電流での選別設備の導入(自動化)が進んでいる。民間事業者は大
きな企業グループに属するものが多い、基本は廃棄物処理業者系である。
以上
-参考資料35-
5.6 EPRO(European Association of Plastic Recycling and Recovery Organizations)
先方:Francis Huysman
Johan Sneyers
epro Co-chairman(VAL-I-PAC operational Director)
VAL-I-PAC C.E.O
<ヒアリングの概要>
(ただし、訪問先は産業廃棄物プラ容器の生産者責任組織である、バリパックであった
ので、そちらの話も多くお伺いした)
・ 産業容器プラについて、家庭容器プラとあわせたリサイクル目標値を設定している国と別々
に設定している国、また、家庭容器プラと同じ責任組織としているか別にしているかな、国
によって扱いがまちまちである。
・ 排出から回収、選別、リサイクル、商品化、販売などのフローの中で、どこに資金を投入す
るのがよいか、どこを支援するのがよいかなどを考えることが重要。ベルギーでは、上流(工
場等の排出者)に補助金を支払うのがよいと考えている。一方で、EU 全体で、下流のマーケッ
ト拡大支援「リサイクル製品賞」取り組みもしている。
<EPRO について>
・ EU 内 15 カ国のプラスチック関連団体の協会27。
・ 一番の目的は情報交換。各さまざまな組織・団体の効率をあげること。
・ 各加盟組織がチャレンジングなことをするための情報交換を行っている。チャレンジングな
こととは、以降に述べる「PET ボトルプラットフォーム」「リサイクル製品賞(アワード)」
などである。
・ リサイクルのフォローアップ、生分解可能容器の導入、中国への輸出などグローバルな問題
も取り扱っている。
・ EPRO の他にも、さまざまな連合(PRO ヨーロッパ(GP の団体)、プラスチックメーカー協
会等)がある。
<PET ボトルプラットフォーム>
・ 今、何がチャンジングか。例えば、内部層を特別なものにして、リサイクル材の容器を作る
ことを考えている。これが、EU 全体のリサイクルチェーン(リサイクラー、ボトル生産者等)
にどのようなインパクトが与えるかを調べている。
・ EPRO の目的の一つに、チャレンジのための「情報交換の場」があるが、これがそれに該当す
る。
<リサイクル製品賞(アワード)>
・ 再生プラスチックの使用を推奨するため、表彰制度をつくった。リサイクル製品を同じ価格
で販売していきたいと考えている。
27 ベルギーでは VAL-I-PAC、PLAREBEL、ドイツでは DKR、RIGK、フランスでは valorplast が加盟。
-参考資料36-
・ EPRO による企画であるが、さきほどのプラ生産者団体が中心に運営している。
<ワーキンググループのメンバーリスト>
・ まずなにか行動を起こすためには、それぞれの団体(主体)が何を話そうとしているかの言
語を共通にすることから始めなければならない。
・ 統計データについても定義がばらばらであるために、結局分析できないことが多い。共通定
義をしっかりして、何を話そうとしているかを明確にする必要がある。
・ 「EU におけるプラスチック、リサイクル」の資料集を毎年だしている。
<リサイクリング>
・ EU におけるプラスチックの意義
・ 材料ごとの容器包装リサイクルを見るとプラが一番低い。
<プラ容器包装の消費排出状況>
・ 消費者から排出されるプラの 63%が容器包装であるため、容器包装プラのリサイクルは重要。
・ 国によって、プラスチック消費の仕方が大きく違う。下図でわかるように EU の西側諸国で
消費が多いのに対し、中欧・東欧の消費量は尐ない。これは経済レベルの差に起因するもの
であろう。
(アイルランドのプラ容器包装の排出が多いが、その理由はよくわからない。)
・ GDP とごみ消費量はおおよそ関連するが、国による習慣・消費形態等(たとえば、PET ボト
ル入りのミネラルウォーターを飲むか、水道水を飲むか)も影響している。
<各国のプラ容器包装のリカバリー率>
・ 10 くらいの国で、よいプラスチック回収システムができ、材料リサイクルも進展し、付加価
値化に成功している。これらの国は、EU の北欧や中欧に多く、地中海諸国や東欧の成績が悪
い。
・ これらの国では、プラの回収システムを構築しており、プラの焼却を禁止しているという側
面もある。
・ フィードストックリサイクル(高炉還元剤化)については、ドイツ・オーストリアで実施さ
れている程度で量はわずかである28。フィードストックリサイクルは技術的に可能であるが、
メカニカルよりコストが高く、また、中国に売却するよりもコストが高くつくために、進ん
でいない。
<家庭容器包装廃棄物処理>
・ 家庭容器包装廃棄物は、工場からの産業系容器包装(流通・工場内移送)廃棄物処理とは違
うシステムが必要。
28 オーストリアでは、家庭からの容器プラではなく、産業からの容器プラについてのみ、フィードストックリサ
イクルを実施していると見られる。
-参考資料37-
・ 家庭容器包装廃棄物回収システムはコストが高くつくため、Fost Plus のような組織が必要とな
るが、産業系容器包装は組織がなくてもうまくいくものもある。
<産業系容器包装廃棄物の取り扱いの国による多様性>
・ 容器包装廃棄物について、産業系と家庭系の共通の目標を設定し、同じ組織で対応する国(英
国等)と、別々の目標を設け別組織をもつ国(フランス、ドイツ、ベルギー等)がある。
・ 一つの組織で両方を扱う国もある。
・ EU 指令は一つだが、それへの対策は国によってさまざま。つまり、国内法に移行する解釈が
違っている。
・ 例えば、リサイクル目標と組織は、1 つがいいのか、2 つがいいのかについて、下記のような
メリット・デメリットがある。
目標が一つ(平均目標)の場合
:リサイクル率に達成しやすい。
家庭系で達成しなくても、産業系の取り組みで目標達成が可能。
(イタリアはリサイクル率目標が一つであり、生産者責任組織も家庭系と産業
系で同一である)
目標が二つ(別目標)の場合
:廃棄物の流れが別で、それぞれを推進しやすい。
家庭系と産業系でライセンスフィーが違い、価値が異なる。
(ベルギーでは、家庭用フィーは産業用の 10 倍のライセンスフィー)
・ また、2 つの組織をもつことは、違うマーケットに対し違うシステムを発展することができ、
それぞれの戦略を持てる。
<産業系容器包装のライセンスフィー>
・ ライセンスフィーについては、産業系が家庭系と、同じ、低い、ゼロの3種類であり、家庭
系より高い国はない。イタリアでは、産業用の GP 費用が家庭用に使われている。
・ 産業用 GP がない国は、産業系の運用システムがないということであり、フォローするシステ
ムもない29。
<産業系容器包装廃棄物の構成>
・ 産業系からの容器包装の 3 分の 2 を LDPE が占め、ついで HDPE である。
<リサイクル率について>
・ 産業系容器包装廃棄物の排出量は、家庭系容器包装廃棄物の排出量のおおむね半分程度と
29
スイスは産業用システムがない。フランスは情報なかったのだと思う。
-参考資料38-
なっている。それぞれのグラフの黄色、緑色部分が、マテリアルリサイクルの量を示す。ち
なみに、ドイツは(複数の DS の)競争体制にあるため、統計を得るのが難しく、グラフに掲
載していない。
・ ここに記載しているデータは 2004 年と、古いが、現在も傾向はかわらない。
<産業廃棄物のマーケットの独立性>
・ 産業廃棄物では、マーケット介入の程度が大きく違う。
・ マーケットにまったく介入せず、市場にまかせているもの、影響を与えるもの((回収・仕分
けを定めていない)
、影響のあるもの30、コントロールしているものと、様々である。
<どこのデータを収集して統計とすべきか>
・ 容器包装の最終的な所有者(容器を解く者、排出者)、処理業者、商社、再商品化(&処理)
事業者などの流れの中のどこで統計データ回収するのかについて、図の B(処理業者の出口)
か C(再商品化・処理事業者の入り口)すなわち、ソーティングの前後のいずれかがいいと思っ
ている。
・ 自由市場を基本とすると、中国へ輸出されるものが多いために、B のデータを取得するのがよ
いと考えている。
・ VAL-I-PAC は市場推移について非常に詳しいデータを持っている。それによって、リサイク
ルの余地がどこにあるか(どの国がまだ低いか)を把握する。自由市場を基本としている国
では、ほとんどが中国に輸出されている。たとえば UK の例。国内では微増で、中国が拡大し、
全体で増加。
・ PET ボトルはほとんどの場合、EU 域内でリサイクルされている。EU 内での PET リサイクル
への要求が非常に大きく、リサイクル率は高い。機械化によって産業化されている。
<どこで、財政的支援をするべきか>
・ リサイクルを促進するために、どの工程にお金を入れるべきかを検討しなければならない。
VAL-I-PAC では、川上での選別が効果的と考えており、排出者のインセンティブを高めるた
めに、上流(排出者)に投入すべきと考えている。
<産業系システムのための、ベストプラクティスの示唆>
・ フレキシブルでなくてはならない
・ 既存市場を活用する
・ 競争を促進させる仕組みとする
・ よい統計、監査システムをもつ
・ 仕組みをコントロールする合意形成をとる
30 経済的インセンティブ、収集・リサイクル業者の認可等を通じた影響(資料より)
-参考資料39-
・ 必要な場所に優遇措置を投入する
・ コスト効率を上げる
・ 他の国の事例を調査して参考にする
当方:英国システムをどう思うか。
先方:英国のシステムはメリットたくさんあるが、デメリットもたくさんある。
あるところまでリサイクル率が高まると PRN の価値がとても低くなり、リサイクルのイ
ンセンティブにならない。また、PRN の価値が年々変わるので、地域のリサイクル事業者
が長期展望持った投資ができない。
英国がうまくいったのは島国で(港から)輸出しやすいという理由がある。一方で、リ
サイクルされていない分にまで PRN が支払われているという不正行為事例もあった。
自由なよいシステムであるが、マイナス効果も出ている。産業界は GP 料金が安く抑え
られて満足しているが、このシステムがプラスチックのリサイクルに効果あるかは別問題
である。
また、回収・選別・リサイクル市場が高度化し、性能(効率)が高くなり、成熟市場に
ある。回収・選別・リサイクル市場が高度化し、廃棄物鉱脈(どこからよい排出があるか)
の情報が入るようになった。産業系の容器包装は、きれいな状態で均一なものが大量に発
生する。一方、家庭系の廃棄物はとてもレベルが低い。
当方:家庭用と産業用で一つの目標とするのは EU での動向か
先方:EU による国の義務が、家庭用と産業用とあわせたもので設定されているからである。産業
系と家庭系とで違うターゲットと競っているベルギーでは、埋立はよくないと考えているた
め、埋立に高い税金をかけ、リサイクルを促進している。これはよい方法と思う。
当方:産業系プラスチックリサイクル業者は、容器以外を取り扱っているか?
先方:回収でいうと、ほとんどが容器のみ扱っている。また、リサイクル業者は素材によって特
化しており、たとえば LDPE と PET とでは、装置も異なり、扱う企業がまったく別である。
職種が違うかのように違う。同じ LDPE であれば、製造ラインから排出されるもの(容器
以外のもの)も、容器と一緒に処理できるかもしれない。
当方:EPRO では、家庭用は汚いので、効率のよい産業用メインで行く流れと考えていいか?
先方:政府や EU レベルでは、状況を再評価・見直しすることになるだろう。プラスチックリサ
イクルの 22.5%は加盟国にとって難しい目標だった。フランスは 22.5%を切ったし、足り
ない国はもっと増えてくるだろう。東欧で最近 EU に加盟した国では、達成期限の猶予が
与えられているところもある。ベルギーは家庭で 31%、産業は 60%で、プラスチック全体
で 40%の数字をだしている。
<アワード「Best Recycle Product Awards」>
-参考資料40-
・ リサイクルチェーンのどこにやる気を持たせるかを考えた際に、排出時点を推進する取組が
多いが、EPRO としては川下へのインセンティブをもっと高めるべきと考え、これはヨーロッ
パ全体でやるために、2 年前にイニシアティブをはじめた。リサイクルはカスケードで利用さ
れるだけでなく、付加価値の高い製品にも活用されていることを消費者にアピールしていき
たい。アメリカとも協力してやっている。なお、これについては、家庭から排出物も産業か
らの排出物も対象としているが、詳細の基準については、審査を行う機関に尋ねてほしい。
当方:リサイクル商品が市場に増えると、プラスチック業界であるプラスチックヨーロッパとの
摩擦は生じないのか。
先方:再生樹脂が増えても、プラスチック業界は文句言わない。それぞれ、違う視点からリサイ
クルしたいと思っている。
ただし、ある種のプラについては、プラスチックヨーロッパが競合相手であり、彼らは
リサイクルせず、高効率に熱回収をした上で燃やすほうがいいと言っている。
リサイクルに関する地域における経済バランスが大事になってくる。再生可能エネル
ギー、バイオ素材の利用、木材の利用などプラスチック以外の業界も絡んでくる。再生可
能エネルギーの目標達成など政治的なテーマになるだろう。
以上
-参考資料41-
5.7 容器包装州間委員会(IVCIE)
先方 Mr. Marc Adams, Directeur f.f. (ディレクター)
Ms. Caroline Auriel,
Chef de Service Prevention, Controle externe en Aval et Recherche
(リサイクル業者の監査等の責任者)
Mr. Quentin Mathot,
Chef de Service Declarations, Agrements et Controle interne
Ing. Linda Vanden Broecke,
Chef de service f.f. Affaires Generales et Controle externe en Amont
<ヒアリングの概要>
・ ベルギーは、3つの州、3つの言語と複雑な成り立ちをもつ国である。
・ 国と州とで権限が明確化されており、環境は基本的に州の権限である。
・ Fost Plus は 5 年に 1 度、IVCIE から認可を受けるが、その際に条件となる「申請シナリオ
(FostPlus のいうガイドラインのこと)」について、両者が協議する。自由度を高めたい州側
(IVCIE)と FostPlus とで 6 ヶ月にわたって、ハードネゴをすることになる。
・ IVCIE は、リサイクルが適正に実施されているかを現地監査も実施。
・ コスト収益性で、ベルギーシステムは非常に優れている。
5.7.1.先方プレゼンテーション
・ ベルギーは複雑な連邦国家である。法体系としては①連邦国レベルの法律と②州の法律があ
り、この州法に基づき認定組織ができており、ベルギーはヨーロッパで最もよい成果を上げ
ている。
・ ベルギーには、3 つの州(フラマン州、ワロン州、ブリュッセル独立州)があり、さらに 3 つ
のコミュニティ(オランダ語共同体、フランス語共同体、ドイツ語共同体(尐ない))があり、
それぞれが独立した権限を持って、ひとつの連邦政府を成している。
・ 連邦組織の権限は、外交、防衛、安全保障、税務、ベルギー国内市場にある。州・コミュニ
ティの権限は、文化、教育、経済、環境(廃棄物、水、土壌等)にある。すなわち環境は連
邦政府の権限でない。
・ EU の容器包装指令は 94 年に制定されたが、これには 2 つの大条項が含まれている。①リサ
イクル、及びリカバリーの目標、②EU で容器包装を上市するための必須要求事項(essential
requirement)。ベルギーにおいては、前者①は州の権限であり、後者②は連邦組織の権限とな
る。
・ まず連邦法について。②の上市基準については、1998 年 12 月 21 日の製品規格に関する連邦
法がある。これは EU 容器包装指令を国内法に移行したものであり、CEN 規格(欧州標準化
委員会が定める製品規格)の一部を国内規格に移行したものでもある。また、環境税が 2 つ
ある。1) 飲料容器税:リユース可能なものはワンウェイに比べて低い税率とするもの。2) 環
-参考資料42-
境に有害な製品(スーパーのショッピングバッグ等)への課税である。
・ 次に、州間法(Cooperation agreement)について。これは州の権限であるが、全国的に適用さ
れる法律である。1996 年に施行、2009 年に改正(2008 年 11 月 4 日付発行)
。
・ ベルギーにおいて容器包装に関して責任を持つ企業とは;①ベルギー国内で包装されたもの
であれば、包装した者が責任をもつ(包装者、フィラー)。②ベルギー国外で包装されたもの
であれば、輸入業者が責任をもつ。③製造部品など、ベルギー国内で原材料等に使うために
輸入されたものについては、その材料包装を解いた主体(企業)、④スーパーの袋など、商品
の販売拠点で包装された場合は、その販売包装の生産者または輸入業者が責任を持つ。また、
容器包装廃棄物への責任体制には家庭系と産業系の 2 通りがある。産業系の範囲は、家庭系
以外の全てを指し、家庭系と産業系は別のシステムとなっている。
・ 容器包装の責任企業には、①リサイクル・リカバリー目標を達成する義務(なお年間 300 キ
ロ未満の企業は除外される。これにより時々しか容器包装を使わない企業を除外できる)
、②
報告義務、③発生抑制計画の策定義務(年間 300 トン以上の企業が対象)がある。上市され
る容器包装の 80%が、20%の大企業(年間 300 トン以上)から出されているという検証結果
があるため、大企業だけに計画を義務付けている。ただしベルギーの企業に関しては国内で
100 トン以上生産の企業を対象とし、自国の企業に厳しくしている。なおこの 300 トンの閾値
は新たに(2009 年改正で)定めたもの。以前はベルギー生産者に関しては 10 トンだったが、
これでは中小企業が多すぎたので、発生抑制の目的に照らして改正した。
・ 義務化しているリサイクル、リカバリー目標について。ベルギーでは「リサイクル」とは材
料リサイクルのみを指す。
「リカバリー」は家庭系容器包装廃棄物ではエネルギー回収を意味
し、産業系ではセメント工場、高炉での焼却が含まれる31。材料リサイクル目標率は、家庭系、
産業系ともに 80%32。リカバリー目標率(材料リサイクルとエネルギー回収を合わせた値)
は家庭系 90%、産業系 85%(つまり家庭系に関して言えば、材料リサイクル目標 80%に加え、
残りの 10%を材料リサイクルまたはエネルギー回収するという意味)。
いずれも家庭系は 2009
年から、産業系は 2010 年から適用している。
当方:実際の達成率はどうなっているか。
先方:実際には、現状の材料リサイクル率の実績はもっと高い数値を達成している。後ほど説明
する。
当方:具体的なリサイクル対象プラスチックはシャンプーボトルのような HDPE 等の硬質プラに
限っているのか。
先方:この目標は全素材を対象とした目標値である。ということは比較的軽量なプラスチックは
全体の成果にあまり影響を与えないということ。そのため、素材別の目標率も設定してい
る。
31従業員が木材パレット等を持ちかえって暖房用に燃やすことが、よく行われているが、データを把握すること
は難しいので、統計上は反映されない。
32 これらは、プラについてのみではなく、ガラスや紙、金属等も含む全素材の数字。
-参考資料43-
金属、ガラス、紙の目標値は、EU 指令目標をそのまま採用している(すでに達成してい
るため)
。木も同じ考え方で、EU 指令目標の 15%をそのまま採用(実際はもっと高い)。
プラスチックのみ、EU の 22.5%より、唯一高く設定しており、30%としている。このこと
は非常に重要である。ベルギーではプラスチックのリサイクル率が安定したものであるこ
とを示していきたい。
理論的には企業は個別にこれらの義務を果たす必要があるが、実際には認定組織のメン
バーになり、全体での目標達成を目指す。家庭系容器包装廃棄物については Fost Plus、産
業系については VAL-I-PAC がある。
・ 認定組織について。①民間企業のイニシアティブで設立、②連邦議会で決議された法律を執
行するものなので、連邦政府または複数州政府の認可をとっている必要がある。実際には 3
つの州があるので、IVCIE が 3 州議会を代表して認可する。IVCIE の理事会メンバーは各州政
府代表の権限を持っている。③非営利団体である、④ベルギー領土全体をカバーしなければ
ならない(部分的な運営は禁止)
、⑤団体の目的(唯一の目的)として加盟企業がリサイクル
(リカバリー)していることを立証しなければならない、⑥2 つの認定組織は公益事業のため
の組織という立場で、政府からの厳しいコントロールを受ける。ここでも 3 つの州政府が州
間委員会である IVCIE に監視業務を委託している。
・ Fost Plus の回収システムについて。広域行政体(Intermunicipalities)が Fost Plus の委託を受け
て家庭系容器包装廃棄物を回収する。
-紙、板紙: 毎月、戸別回収
-ガラス(無色・有色)
: 拠点回収
-PMD(PET/HDPE ボトル、金属缶、紙製飲料容器): 隔週、青い透明袋で回収
軽く回収しやすい。透明袋の意義は、誤ったごみが入っている場合、回収されない。
回収されない袋には、赤いシール(めくると分別区分の説明記載あり)が貼られる。
資料:IVCIE
-参考資料44-
・ Fost Plus は回収、及び PMD の選別にかかった全てのコストを支払う(フルコストシステム)
。
Fost Plus が回収され選別されたもののリサイクルを手配する。このリサイクル市場は、特に欧
州域内でリサイクルされる場合は、非常に組織だっている。これらは全て公募で決定される
ため、Fost Plus が独占していても問題にならない。公募体制によって、市場がうまく機能する
ことの保証になっている。
・ GP のロゴに意味はなく、各国で意味することがまちまちである。これについて Fost Plus の見
解がどうだったかは知らないが、ベルギーの政治家はこれをまったく評価していない。これ
がベルギーだけのロゴならとっくに禁止していたと思う。
Fost Plus の機能について。
資料:IVCIE
注:矢印について、緑…情報の流れ、黒…モノの流れ、青…お金の流れ
・ リサイクル量を Fost Plus が IVCIE(図では IRPC)に提出。IVCIE では容器包装の上市量と回
収量のデータをチェックする義務があり、認定組織のリサイクル達成率を算出する。
・ 回収条件は Fost Plus と州間委員会で取り決める(標準シナリオ)。この決められた回収方法に
従って自治体が回収すれば、自治体はそれに係る費用を請求する権利がある。原則として Fost
Plus が加盟企業の支払うフィーを以て回収費用を払う。回収方法(標準シナリオ)に従うこと
が自治体に義務づけられているわけではない(つまり自治体には標準シナリオをある程度修
正したり、採用しなかったりする裁量がある)。シナリオは単一ではなく、柔軟性を加えるこ
とができるようになっている。80%の自治体が標準シナリオに沿っているが、残りの 20%は
シナリオを変えている。例えば、標準シナリオで紙は月 1 回回収と決めたとしても、大都市
では 2 回回収する等。このようにシナリオに柔軟性をもたせてよいことになっている。
・ また、ある自治体がまったく別のシナリオ(自己流の回収方式、例えばガラスを戸別回収す
-参考資料45-
る等)を採用した場合、Fost Plus はかかった費用の全額を支払わずに、標準方式(拠点回収)
による平均単価を自治体に払うのみである。追加コストは全て市町村の負担になる。
・ Fost Plus は 5 年ごとに認定を更新しなければならない。そのために、Fost Plus が認可申請を出
す必要があるが、この申請書には全てのコストを実際コストで支払うための 1 つまたは複数
のシナリオが含まれている。これについて IVCIE は追加条件を加え、シナリオにさらなる柔
軟性を持たせることができる。IVCIE と Fost Plus は約 6 ヶ月にわたるハードな交渉を行い、
最後は IVCIE に決定する権限がある。他の環境協約(convention)のように、Fost Plus が全て
協約を守らなくてもよいという点に特徴がある。
当方:自治体は高い柔軟性を望んでいるのか。
先方:自治体はなるべく柔軟性を望んでいる。一方で Fost Plus はシナリオを一つにしたいと考え
ている。IVCIE の役割はすべての自治体、市民が差別なく扱われるようにすることである。
当方:Fost Plus は許可申請の中に、一つまたは複数のシナリオを記載し、IVCIE はそれにさらに
柔軟性を持たせるため、Fost Plus とネゴする。という理解でよいか。
先方:既に Fost Plus のシナリオには柔軟性があるが、IVCIE はそれにさらに柔軟性を追加する。
これは政治的な判断である。
当方:それは、IVCIE が州を代表するからか。
先方:これが我々の役目である。認可する義務を持っており、各州の利益を守っている。
当方:柔軟性があった方が、自治体がやりやすいからか。
先方:それぞれの市町村、行政体はそれぞれ特徴を持っている。皆、自分たちに一番あったシナ
リオを作りたい。しかし、もし自治体の要望を全部認めると、全てのシナリオが異なって
しまい、回収に関するコミュニケーション活動ができなくなってしまう。従って、各市町
村の実情に沿い、かつ全国共通のものとなる上手いシナリオを追求する。
当方:日本では、自治体任せであるためにばらばらになっている。ベルギーのシナリオを設定す
る方法を評価したい。実際にはシナリオに沿った方が、コストが下がるのでメリットがあ
ると思うが、コストがかかっても独自の方法にしたい自治体があるか。
先方:シナリオでは、回収の方法について変えることはできる(戸別か拠点か等)が、分別排出
区分については全国的な統一が重要である。これにより市民とのコミュニケーションが取
りやすくなる。そうすればより大きなリサイクル市場が作れ、回収する廃棄物の価値があ
がる。実際には、ベルギー全国で同じ分別方法になるのに 10 年かかった。
<産業系容器包装廃棄物について>
・ VAL-I-PAC は自分たちでは回収しておらず、民間回収事業者の回収・リサイクルデータを収
集する役割を担っている。最も重要なことは、リサイクル業者が本当にリサイクルしている
かの証明を手に入れることである。EU 指令の枠組みのもと、我々はリサイクルの有無だけで
なく条件をも把握する必要がある。つまり、民間事業者が中国でリサイクルをする場合、中
国でのリサイクル条件が、
EU 指令に定める条件と同レベルであることを立証する必要がある。
-参考資料46-
産業系容器包装廃棄物は、大部分が、中国、インド、インドネシアに輸出されている。特に
プラスチックフィルムが輸出される。
・ VAL-I-PAC はリサイクルを推進するため、最終的な所有者(容器を解く者、排出者)に対し
て財政的インセンティブを与えている。産業系でも、排出源である企業で分別してしまえば、
均一素材で排出されるため、効率的で、リサイクル率が上がる。
<VAL-I-PAC スキーム機能の図>
資料:IVCIE
注:矢印について、緑…情報の流れ、黒…モノの流れ、青…お金の流れ
・ どのようにスキームが機能するかの図式について。VAL-I-PAC は回収事業者と契約し、情報
提供を受け、お金を払う。これにより排出企業が自分のところで、仕分けすることを推進し
ている。
・ 容器包装を市場に出した企業は上市量データを提供する。民間の回収業者は回収した廃棄物
量に関してデータ提供する。VAL-I-PAC で情報が収集され統一され、すべての情報が IVCIE
に伝えられる。IVCIE はこのデータを管理し、チェックする義務も持っていて、IVCIE 認定組
織のリサイクル達成率も算出する。その数字は欧州委員会に提出される。
当方:緑の情報の流れについて確認したい。最初は容器包装製造会社、パッケージ会社からパッ
ケージ発生量、市場に出た量が VAL-I-PAC に流れ、廃棄物回収業者のほうからは回収量が
VAL-I-PAC に流れるという理解でいいか。
先方:そうだ。VAL-I-PAC のところで一つになる。
当方:製品(容器)の生産量、上市量と、容器包装廃棄物の回収量を、突き合わせて EU へ報告
するということは、それは Fost Plus でも同じということか。
先方:そうだ。上市した企業から上市情報が出てくる。分別回収および仕分け情報は市町村から
くる。ただし、Fost Plus がリサイクルを組織しているため、リサイクル情報は市町村から
-参考資料47-
は出てこない。Fost Plus はリサイクル業者と直接契約を結んでいる点が、VAL-I-PAC と異
なる。
(図で)民間の廃棄物回収業者が、場合によってはリサイクル業者と契約を結んでい
る。しかし場合によっては回収業者がいわゆるトレーダーに廃棄物を売る可能性がある。
例えば、ベルギーの回収業者がベルギーのトレーダーに売って、ベルギーの港から香港に
輸出され、香港のトレーダーが中国の業者に売るということもありうる。
当方:中国におけるリサイクル業者の証明も国内と同じか。どのような証明なのか具体例がほし
い。
先方:来月(三月)の初めに当機関の Ms. Caroline Auriel が中国に実際に行って、どのような条件
でリサイクルが行われているかを監督する予定。まずは、できるだけ廃棄物の流れを文書
化し、アンケートで聞き取るなどの管理をするが、やはり実際に中国へ行って現場を監査
しなければ、実態はわからない。
当方:ということは、普段は、処理量やどのような処理施設で処理されたかといったデータが書
面で報告され、それに基づいて、それぞれのリサイクラーが(国内か中国かに関わらず)
本当にその通りにやっているかどうかを、頻度は分からないが定期的に監査する役割が、
IVCIE にはあるという理解でよいか。
先方:IVCIE の役目は、すべてを紙に表すこと、客観的なサンプルを取得して決定すること、実
際に赴いて管理することである。
当方:IVCIE は監督が業務であることは間違いないだろうが、立入調査権まで法的に保障されて
いるのか。つまり企業が拒否しても立ち入れるのか、あるいは事前の告知なしに立入検査
することも法的に認められているのか。
先方:ベルギー国内ではその権利があるが、ベルギー以外ではない。とはいっても、IVCIE が丁
寧に尋ね、それでもリサイクル業者が IVCIE あるいは IVCIE が委託する監督者の調査を拒
否した場合、IVCIE は当該業者のリサイクル量を統計上の数値に計上しない。もちろん、
立入検査は前もってアポをきちんと取って行う。
一度実際にあった例として、Fost Plus がアポを取ったが、二日前にキャンセルされたこ
とがある。そういう場合もやはり統計にその数字を入れない。現場に行って監督、監査を
するのは IVCIE だけではない。VAL-I-PAC もその責任を持っている。また Fost Plus も、尐
量だがアジアへの輸出もあるため、その場合に彼らはそこに行って監査をする義務を持っ
ている。
非常に細かい話だが、この「アジアに輸出する尐量」というのは、実はわれわれが、回
収方法に柔軟性を持たせたために発生するものである(柔軟性はわれわれが望んだもので
あるのだが)
。つまり、Fost Plus はボトルとフラスコしか回収しないのだが、広域行政体は
ときどきごみ置き場で別の種類のプラスチックを回収してしまうことがある。IVCIE は Fost
Plus との契約の中で、自治体が本来目的としていない廃棄物を回収して費用がかかっても、
その分も広域行政体にその費用払うことを義務付けている。もちろん、自治体にとっては、
支払われてもうれしくないものである。この流れは、監査義務があるために、非常に高く
ついてしまう。しかし、Fost Plus の(リサイクル)成果から言うと、非常に小さな、取る
に足らない量である。
-参考資料48-
<スライド:ベルギーのリサイクル数値>
・ これが成果である。計算方法が違うため、Fost Plus が示した数値とは若干異なる結果かもしれ
ない。こちらは公式な計算方法で算出した結果。
・ カッコ内の Fost Plus が計算した数字と、乖離があるが、両方とも正しい数字でもある。公式
にはある素材に対して 100%以上のリサイクルをするということを認めないが、Fost Plus によ
れば紙、ダンボールを 122%リサイクルしている。この理由は、本来産業廃棄物に入るべきも
のが、家庭廃棄物の中に入っていることがあるためである。例として、お店でお客様がたく
さんの買い物をした際に、商品を持ち帰るためにお店が手元にあるダンボールを提供する
ケース、零細企業からの排出が家庭廃棄物の回収に振り分けられてしまうケースがある。他
に、一般家庭や市民や小さなレストランがワインをフランスへ自ら買いに行き、国内で排出
するガラスびんのケースもあり得る。金属は 102%になっているが、これは金属がほとんどベ
ルギー国内でリサイクルできないためである。
・ 公式数字は:プラスチック 39.1%、金属 100%、紙製飲料容器(テトラパック)77%、リサイ
クル合計率 83.5%。これに尐しリカバリー量が入ってくるわけだが、ご覧の通り Fost Plus は
リサイクルだけでほとんど目標値を達成している。
<次のスライド:VAL-I-PAC のリサイクル率(2009 年)>
・ トータルリサイクル率は 79.4%である。2009 年当時、VAL-I-PAC の目標値は 80%ではなく、
75%だったので、課された目標値は達成している。
・
<次のスライド:VAL-I-PAC のリサイクル率(2008 年)>
・ これがベルギー国土全土の結果であり(2008 年リサイクル実績 78.9%)、この数字を IVICIE
から欧州委員会に提出している。計算方法は尐し違い、フリーライダー、及び、新しく上市
された再利用可能容器包装の量が入っている。だいたい 79%という成果をあげている。2009
年も、概ね同じくらいの成果だと思う。
5.7.2.質疑応答
当方:2008 年のリサイクル達成率が 78.9%で、そこに「新しい再利用可能な容器」が含まれると
いうことだが、この点がよく分からなかった。
先方:リサイクル数値、リサイクル目標値に再利用可能な容器包装量はカウントしない。再利用
可能な容器包装に対するボーナスとして、ベルギーにはこれをリサイクルする義務はない。
しかしヨーロッパの数字として出すときには、再利用可能な容器包装の数字も収集し、こ
れが最初に上市されたときの数字を統計の中に入れる。その後、再使用の頻度や回数は統
計の中に入らない。このビンが捨てられてリサイクルされたときにはじめて現れてくる。
これあくまでもヨーロッパ委員会に対して報告する数値である。ベルギーの国内統計上、
これは入らない。
当方:フリーライダーはどれぐらいいるのか。
-参考資料49-
先方:家庭系容器包装廃棄物については、Fost Plus のカバー率が 90%で、独自回収処理の割合が
1~2%だろう。従って約 8%がフリーライダー率となる。特に、零細企業の場合が多い。
このため、新たに販売包装に対する義務を定めた。4 点目、斜体で記載の部分は以前の協
定にはなかったもの。以前の規定では、肉屋等も全部「生産者(包装者)
」としての責任が
あったが、現在は販売包装(サービスパッケージ)の製造業者が責任を持つということに
なっている。この新しいシステムは 2009 年 1 月 1 日施行であり、これのおかげでフリーラ
イダーの量を大きく減らせると期待している。
当方:つまり、本来は悪意あるフリーライダーではなかった中小零細企業を、この新しい定義に
よって義務から除外するという理解でいいか。
先方:肉屋やパン屋のような個人商店の零細企業に対し、そもそも Fost Plus のメンバーになりな
さいと義務付けることが現実的ではなかったということ。以前のシステムでも、このよう
な販売包装の生産者がこういった零細企業の代わりに Fost Plus のメンバーになることがで
きるシステムがあったものの、それはあくまでも自主的な対応であり義務ではなかったた
め、完璧ではなかった。自主システムでは、参加したくないというところがあったので、
この義務を付け加えた。
当方:そうすると、ベルギーではある程度の規模以上の企業・輸入者のフリーライダーはほとん
どないと考えてよいか。
先方:家庭系容器包装廃棄物に関して、本当のフリーライダーは非常に尐ない。家庭系容器包装
廃棄物に関してはいろいろなコントロールシステムがあり、付加価値税を通していろいろ
な手が打てるため、本当の意味でのフリーライダーは非常に尐ない。
しかし、産業系容器包装廃棄物に関しては事情が違う。VAL-I-PAC のカバー率は 83%、
自己処理が 5%、従って約 10%がフリーライダーと考えられる。時々、かなり大きな企業
でもフリーライダーになっている例がある。
当方:それは、普及啓発活動が十分ではないからか。つまり周知されない、自分に当該義務があ
るということを認識してないということか。
先方:産業界において、中規模企業は自分がフリーライダーだと認識していると思う。小規模・
零細の場合は知らないということもあり得るが、大企業、中企業レベルであれば認識して
いる。例として、パッケージング企業の内部で、ある産業廃棄物担当の責任者が自分の上
司に対して VAL-I-PAC に加盟することを説得できなかったということがある。経済的な理
由で、加盟費と、加盟した場合の利益の費用対効果から加盟しないと判断する事もある。
しかしその際に、ただ乗りは法の名の下に行政懲罰や刑法上の懲罰を受ける可能性がある
ことを企業は忘れている。IVCIE による行政懲罰は、リサイクルされなかった廃棄物 1 ト
ンにつき 1,000€の罰金である。あるパッケージ会社が 100 トン上市した場合、リサイクル
目標は 80%なので、罰金は 8 万€になる。
懲罰には二つのタイプがある。行政懲罰は、IVCIE の監督官が協定第 31 条に基づき懲罰
を与える。刑法に基づいた懲罰は、裁判官が決定するものであり、第 32 条に記載がある。
事例として、第 32 条第 1 項、発生抑制計画を導入しなかった企業がいた場合は、裁判官に
よって懲罰を与えられる。最低 8 日間から 2 ヶ月間の懲役、あるいは罰金 500~5,000€と書
-参考資料50-
かれているが、これをさらに 5.5 倍にしなければならない。懲役か、罰金かは裁判官が決
める。例えば予防計画を導入しなかったというだけでこの懲罰が与えられる。
当方:この協約、協定は法律ではないが法的効果を持つのか。法でないものに基づき懲役懲罰を
課せられるというのは日本人にはなじみがないのだが。
先方:これは法律である。
当方:では、これは「協力協定」という名前だが、法律と考えればよいか。
先方:協力協定について説明を追加すると、ベルギーならではのことだが、これは三つの州の間
の条約であり、いわば国際条約と同じだ。まさに国際条約と同じように三つの州の州議会
で採択されているもの。ということで、協定(Agreement)という名前であっても、法的執
行力を持っている。
当方:発生抑制計画のことやプラスチック容器廃棄物のごみの輸出などについてもう尐し詳しい
話を聞きたい。
三つほどお話を聞きたいテーマがある。①この制度のコスト効率性、②発生抑制計画と
EPR(拡大生産者責任者)
、③プラスチックの輸出に関すること。
1 つ目のコスト効率性について。Fost Plus が基本的に自治体と回収契約をして、その費
用を支払うというスキームになっているので、そこから算出はできると思うのだが、自治
体の回収や処理にかかっている平均コストデータはあるか?
先方:Fost Plus のレポートに表が記載されている(26 ページ参照)
。これにより、市民にとって
も、いくらコストがかかっているかが明確にわかる。情報公開の方法はいくらでもあるが、
この方法が最も安く、また数値も正しい。
当方:この表では 2 年分のコストしかしか出てないが、この 5 年間ではコスト低減が図られてい
るという理解でまちがいないか。
先方:コスト低減は我々にとって重大な関心事項ではない。コスト対収益の関係はとてもうまく
いっていると思っている。数年前にヨーロッパ各国のシステムを比較したことがあるが、
この比較によってベルギーシステムはコスト対収益がなかなかよいということがわかった。
たとえば、ドイツはベルギー同様にフルコストシステムを採用しているので、ベルギー
と比較可能である。ベルギーの GP 料金つまり企業の支払う寄与金を DSD の金額と比べる
と、ドイツシステムのほうがずっと費用が高い。にもかかわらずリサイクル率はベルギー
と比べてみてもさほどよくなってきてはいない。ただし、イギリスやフランスはフルコス
ト制ではないため、ベルギーに比較して企業の負担金は尐ない。フランスはフルコスト制
へ歩みつつある33が、フランスシステムの基礎となるのはマージナルコスト(限界費用)
システム、つまり市町村が市町村のお金として回収費用を払い、このベースコストは市町
村負担のままである。フランスの場合は、認可組織がリサイクルに関してコストアップが
出た分だけを払う。つまり、フランスではコストが二層性になっており、基本のコストは
自治体が支払い、残りを認可組織が払うことになっている。このため、Eco Emballage の加
盟料金と、Fost Plus の料金を比べることはできない。フルコスト制を採用している、比較
33 ADEME(フランス環境庁)のヒアリングによれば、企業の負担率が 60%から 80%に引き上げられる方向にある。
-参考資料51-
可能なシステムとのみ、比較することができる。
当方:ベルギーの特徴は、リサイクラーのコントロールを行政がかなり厳しくやっていること、
サンプリングで監査していることだと思うが、これには行政コストが多くかかっているの
ではないか。
先方:Fost Plus が行う監査の量はいわゆるマージナル、本当に尐ない量しか行わない。Fost Plus
のリサイクルトン数量の 1%以下である。すなわち中国に輸出されているのは 1%以下であ
り、99%がヨーロッパにおけるいわゆる通常のリサイクルシステムに乗っている。確かに、
監査費用という点だけで見るとトンあたりの監査費用は Fost Plus にとって大きいが、全体
総量としてのトン数は尐ないため、企業からの加盟金という観点で全体的に見ればそれほ
ど負担の大きいものではない。99%の流れが均一な流れであり監督しやすいものである。
VAL-I-PAC の場合、ヨーロッパ外に出て行くものは確かに多いが、それでも VAL-I-PAC
の加盟金に大きく影響を与えるほどの金額にはならないと思う。
IVCIE に関して言えば、そのコスト割合はより大きいと言える。IVICE の予算は Fost Plus
や VAL-I-PAC ほど大きくないため、2 年に 1 回ぐらい中国の監査をしなければならないと
いうのは予算的には確かに負担。しかし、これはベルギーの政治的判断である。
当方:先ほどの自治体のコストの話について。自己申告制で自治体のコストを支払う場合、その
チェックはどのような形で行うのか。普通の一般的なその他ごみと一緒に回収されたとき、
コストの按分はあるのか。
先方:市町村あるいは広域行政体には二つの選択肢がある:①自分たちのトラックや職員を使っ
て自分たちで回収するやり方と、②公募して民間業者に回収を委託するやり方。この割合
は半々程度であり、公募制であれば回収費用が把握できる。これにはいろいろなシステム
を使っており、このシステムによって、市町村あるいは行政体が自分で回収する場合のコ
ストの支払い率が、民間委託業者に委託している場合と同じ程度になるようにしている。
もっとも簡便に言えば、公募に応札して採用された先の平均値を自治体に支払う。民間業
者に委託した場合の平均値は IVCIE が算出し、それを元に必ず自治体と Fost Plus が契約に
おいて合意した上で、行われている。
当方:Fost Plus は、家庭系容器包装廃棄物の回収もリサイクルもコントロールしているが
VAL-I-PAC は、産業系容器包装廃棄物の回収のみで、リサイクルについてコントロールし
ていない。この発想の違いはどういうところにあるのか。
先方:ベルギーの法体制の歴史によるもの。最初、環境税は紙製飲料容器にのみ課税されていた。
また Fost Plus は VAL-I-PAC よりもずっと早い段階に創設されたということもある。1996
年に協力協定法案が国会を通過したとき、Fost Plus は既に存在していた。このため、Fost Plus
に対する法的義務は非常に特別なものにする必要があった。VAL-I-PAC についてはその時
点でまだ存在していなかったため、もっとオープンなもの、つまり可能性を幅広く持たせ
ることができた。その後、産業界の方から産業系容器包装廃棄物については家庭系とは別
のシステムを作りたいといってきた。2008 年の修正案の時点で3つの州がこの産業界から
の要請に OK を出した。
当方:具体的な発生抑制計画はベルギーではどういうものか。また、欧州の廃棄物枠組み指令で
-参考資料52-
は、発生抑制計画というものを作ることになっていると思うが、ベルギーでは具体的には
どのような指標を設定してやろうとしているのか。
先方:確かに枠組み指令の中で発生抑制計画がうたわれているが、IVCIE で取り扱う発生抑制計
画は EU 指令の発生抑制計画とは別物である。EU 指令では、加盟国がやりたい発生抑制に
ついては、その対策を織り込みなさいということが書いてある。指令には低減パーセンテー
ジとかの非常に一般的な概要が定められている。それに対して、ベルギーでは企業が企業
ごとに発生抑制計画を導入しなければならない。この制度の目的は、各企業に対して、発
生抑制計画を策定することを通じて自らが使用する容器包装について考え直すこと、及び
容器包装使用量を削減することを義務化しようというもの。発生抑制計画は 3 年ごとに導
入する。電子化されており、企業は IVCIE の WEB サイト経由で提出できるようになって
いる。抑制計画の内容は、企業が上市しようとする容器包装の情報(トン数だけでなく、
どういう商品か、発生抑制を阻害しうる要素「制限的ファクター」等)を含む。
当方:それは、製品の機能上どうしても減量化ができないといったような情報か。
先方:企業には発生抑制計画を提出する義務はあるが、例えばリユース容器について、盲目的に
重量を制限するようなことはしない、という意味である。リユース容器はワンウェイ容器
に比べると重いが、重いからこそ頑丈で再利用可能であるというケースがあるだろう。こ
の計画提出の目的は、企業が自分たちの行動を考え直す、見直すということ。個々の企業
に対して、あるいは企業全体に対して、何かを減らしなさいということを義務付けること
はしていない。
当方:日本では、市民団体側がもっと減らせるという情報を集めて、それを企業に送り、協力し
てもっと減らそうという動きもある。これについてどう思うか。
先方:ベルギーでもそのような過剰包装についてアクションを起こすという可能性もあるが、そ
の場合は州の製品規格のほうになる。つまりベルギー法でいうと CEN 規格に適合していな
ければならない。しかし我々は CEN 規格がいいものだとは思っていない。過剰包装であっ
ても CEN 規格さえ適合してしまえば、企業はそれでよしと言えるために、ベルギー連邦政
府では大きな問題となっている。ベルギーの発生抑制計画は、あくまでも企業自身に発生
抑制について考えさせることを目的としている。従って、原則的には、しっかり企業側が
考えて計画を出せば、ほとんどの場合その計画が認められる。たとえば企業が抑制したく
ない、抑制計画は出さないといってくるような場合には拒否されるが、それは極端なケー
スであり、結構柔軟な義務である。
当方:拡大生産者責任が DfE を進める上でインセンティブにはなるが、実際に容器包装廃棄物の
量を減らすことには効果がないと、よく言われているが、どう思うか。
先方:私の考えでは、EPR は、やはり発生抑制計画と同様に、発生抑制の観点ではほとんど効果
がないと思う。Fost Plus の料金制のほうが有効な制度だと思う。
例えば販売容器包装の中でもスーパーのレジ袋は安いので、料金的に発生抑制ができる
可能性があると考える。ただ、過去に実際に経験したこととして、(販売容器包装に関して
は Fost Plus への加盟、料金制の適用が)自主規制だったため、適用した企業と適用してい
ない企業とで競争力に差がついてしまったという事実がある。自主規制だったものを義務
-参考資料53-
化したのはこの競争力の問題も原因であった。
しかしこれはあくまでも例外的。ベルギーのシステムがフルコストシステムであっても、
どんな製品・容器包装であっても、発生抑制には効果があるとは思わない。実はこれにつ
いて調査をしたことがある(何年の調査か正確には忘れたが、2005 年頃)が、政治的に非
常にセンシティブな、微妙な問題になっている。
そこで、まさに発生抑制計画が大きな役割を果たしている。企業はセクター(業界)ご
との計画を作ることもでき、流通業界が業界全体の発生抑制計画を導入した。スーパーや
店舗でのレジ袋を自主規制する内容であり、基準年の 2003 年に比べて目標年の 2013 年に
は使い捨てショッピングバッグの量を 90%削減する計画だ。
当方:Fost Plus が集めているお金は、税方式ではなく寄与金という委託料に近い形でやっている
が、デンマークが税方式を導入していることに鑑み、ベルギーでは今後税方式を導入する
計画があるか。
当方:それに絡めてもうひとつ。ベルギーでは昔はエコタックス、税方式を採用していたのにな
ぜこちらの方式にかえたのか。
先方:税方式よりも Fost Plus の寄与金方式の方が絶対によい。ベルギーの Fost Plus 方式では、回
収・選別・リサイクルに係る全ての費用をカバーできている。また、Fost Plus の料金体系
では、リサイクル可能な素材のほうが安くなっており、リサイクル不可能なものは料金が
高くなっている。つまり別の言い方をすれば、ベルギーの現行システムは全ての回収リサ
イクルにかかわる費用に関してリサイクル政策の観点から最も正しい状況になっていると
いえる。もちろん、企業が払う料金と実際の回収リサイクルコストが見合うものであるよ
うする努力は忘れない。
また、発生抑制という意味で、ある容器包装をやめて別の容器包装を推奨したいという
ことであれば、寄与金ではなくエコタックスを導入すればよいと考えるが、これはあくま
でも Fost Plus 方式に対する追加的な制度と考える。この二つの法体制をリンクさせるつも
りはない。紙製飲料容器の生産者は Fost Plus に対して回収やリサイクルにかかわる自社の
分の料金を同じように払うのである。Fost Plus の料金を通して発生抑制をするということ
はしたくない。Fost Plus の今の事業を基本とし、プラスアルファの制度として、発生抑制
にはあくまでエコタックスを使う。ただし、ベルギーではエコタックスに二つの目的があ
る。ひとつは発生抑制だが、もう一つは国の予算の補正に使われている。ベルギーのエコ
タックスは環境目的だけに使われていると思うのは誤解である。
以上
-参考資料54-
5.8 欧州委員会環境総局
先方
Ms. Artemis HATZI-HULL Policy Officer/Sustainable production and consumption
Dr. Helmut MAURER Principal Lawyer/Sustainable production and consumption
<ヒアリングの概要>
・ 廃棄物戦略から、資源戦略にうつっている。
・ EPR では、直接的な環境汚染者のみでなく、環境負荷の発生や低減において重要な役割を担
う経済主体も含めている。容器と家電・自動車とでは、対策のポイントや強制力が異なる。
容器では、設計、製造、販売段階で取り組み、メンテナンス段階の取組はないが、自動車で
は重要だ。廃自動車指令には設計における EPR が直接盛り込まれているが、容器包装令では
盛り込んでいない。
・ 今は、EU の枠組み(指令等)をつくる以上に、各国の国内に落とし込んでもらうことに力を
いれている。各国における EU 指令の執行が不十分であるため、廃棄物執行機関を作ろうとし
ている。
5.8.1.自己紹介
・ Hatzi-Hull 女史は約 3 年前に容器包装リサイクル指令及び廃自動車指令の担当であった。また
Maurer 氏は当時、埋立指令の担当であった。現在、女史は廃自動車指令と、最近では 2010 年
12 月に研究レポートを発行したプラスチック海洋廃棄物を担当し、容器包装リサイクル指令
についてはバックアップをしている。(なお海洋廃棄物に関しては廃棄物指令と水指令の両
方のチームが共同担当しており、先の 11 月に大きなワークショップを開いたところである。)
Maurer 氏は諸指令の法的な調整、バーゼル条約の調整、廃棄物枠組み指令等のフォローアッ
プを行っている。本日は廃棄物枠組み指令と家庭系廃棄物を主担当している同僚が(身内の
不幸で)欠席のため、廃棄物枠組み指令については Maurer 氏がカバーする。
・ 日本の容器包装リサイクル法制度に関する資料はちょうどよいタイミングで非常に役立った。
Maurer 氏が目下諸指令間の調整を図っているところであり、また、今年、プラスチック袋に
関する Green Paper(パブリックコメントを経て白書となるもの)を発行予定。日本の制度の
詳細情報は参考になった。有益な資料提供に感謝する。
5.8.2.EU の EPR 政策に関するプレゼン(特記無い限り Hatzi-Hull 女史による)
・ 現在、EU 条約であるリスボン条約では第 191 条(旧第 174 条:環境保護)に PPP(汚染者負
担原則)が明確にうたわれている。問題は、法的に「汚染者」が誰かを特定する必要性があ
ること。EPR は生産者に対し、全ての製品ライフサイクルにおいて環境に配慮し、特に設計
(design)の段階で環境パフォーマンスの改善を促進し、最終廃棄まで共同責任を持つことを
求めている。全てのライフサイクルステージで、我々は環境インパクトを低減する機会があ
ると考えており、EPR の力とは、環境負荷を削減するために汚染発生源(at source)での変化
をもたらすということだと考えている。
・ ではどのように「汚染者」を特定するか?一方に PPP があり、もう一方に EPR があるが、PPP
-参考資料55-
では直接汚染を引き起こす者が汚染者である。一方、EPR では、すなわち汚染者とは直接的
な環境汚染者のみならず、環境負荷の発生や低減において重要な役割を担う経済主体をも含
めている。このことが EU における「天然資源の持続可能な利用戦略」および「廃棄物の発生
抑制とリサイクルに関するテーマ戦略」になっており、また我々の参画する UNEP の「持続
可能な資源管理」にも沿っている。
先方:補足したい。EPR は廃棄物枠組み指令第 8 条などにより明確に規定されたところである。
しかし言葉遣いとしては加盟国に対し EPR を導入する拘束力はない(may 表記)
。これま
で加盟国では EPR の実施が弱く、現行規定でも生産者に対し EPR を強制する力はないが、
尐なくとも一歩進んだ内容となり、この規定によって加盟各国とその利害関係者に対して
EU の方向性、
すなわち EPR を強化するという姿勢を示せたと考えている。
この第 8 条
(EPR)
は欧州社会が高いリサイクルを実践し資源効率性の高い社会となることを目指しており
(第 1 条に述べているとおり)
、現時点では拘束力はないが、記述内容や方針は明快であり、
数年後には拘束力を発揮しうると誰もが容易に想像できる条項となっていると考える。
廃棄物枠組み条例には多くの側面がある。すなわち、廃棄物の削減を主な目的とし、も
ちろんリサイクルを促進し、生産者はよりリサイクル可能な製品を生産する責任を追う
等々を目指して、枠組み指令の国内法化には「技術的な実施可能性、経済的な実施可能性、
環境・人の健康・社会的なインパクトを考慮」する。リサイクル目標を達成するために生
産者にはより大きな責任があるということを明示している。
・ 以上は「廃棄物」枠組み指令についてであり、廃棄物枠組み指令の下にはいろいろな個別指
令がある。これについては後でふれる。
・ 廃棄物政策には各種のテーマ戦略がある。
-廃棄物発生抑制とリサイクルに関するテーマ戦略
-天然資源の持続可能な利用に関するテーマ戦略
(なお先週、テーマ戦略の新しいレポートが発行されたばかり。)34
-持続可能な生産と消費;これは 2 つの削減目的(廃棄物の量と有害性の削減、環境負荷の削
減)を含む。
・ また、具体的なプログラムとしてはエコデザイン、公共機関のグリーン購入、2 年ほど前に設
置した小売業(大規模スーパーマーケット)などが参加し EC が議長を務める販売容器包装削
減対策に関する自主的会合がある。小売業は自らがグリーン製品を提供するだけでなく消費
者からの要求もあるため、大きな責任を有しているといえる。
・ 廃棄物政策の原則としては、
-(欧州連合における)補完性原則、
-廃棄物管理のヒエラルキー(発生抑制、リユース、リサイクル、リカバリー、処分)、
34 ウェブサイトを見る限り、廃棄物発生抑制とリサイクルに関するテーマ戦略の中間報告を指すと思われる。
http://ec.europa.eu/environment/waste/strategy.htm
-参考資料56-
-生産者責任
が挙げられる。
・ 先ほどの新規レポートとは 2025 年戦略へ向けた「進捗レポート」であった。2005 年に策定し
た戦略の中間評価を今行う約束になっており、そのため多くの分析を行ったところである。
(ヒアリングの)現時点ではウェブ掲載されていないが、先週発行された。
・ 廃棄物法体系としては以下の通りとなっている。日本でも似たようなスキームをもっている
と理解している。
<図>EU の廃棄物関連法体系
資料:欧州委員会環境総局
先方:ただし、図で示すほどにロジカルなリンクはなく、各法の間には多尐の不整合がある。
例えば定義や、一部の指令は EU 条約の共同市場条項に基づいていたり、他は環境保護
条項に基づいていたりすることによる性質の違いが、かなりある。
例えば容器包装指令の第 18 条では共同市場条項のために加盟国に対して特定の容器を
禁止することを禁じている。条約の環境保護条項に準じている指令とは法的なインプリ
ケーションの異なる内容がこのように出てくる。このような背景から、従来これらの指令
は多尐の差異を含んでいたが、近年、条約の政治的コンセプトが変わった。
・ 容器包装指令を除き、他の指令は旧条約の第 174 条、現リスボン条約第 191 条の、環境保護
-参考資料57-
に依拠している。容器包装指令は「域内市場統一」条項に依拠している。このため、加盟国
は容器包装指令を国内法化しその旨を EC へ通告しなければならない義務を有する。今まで
我々は加盟各国が導入したいといってきた、域内市場で問題を引き起こしうる多くの法規制
を、ブロックしてきた。加盟国が EC へ通告しなくてよい唯一の事項は財政的なことであり、
技術的な内容は通告しなければならない。
・ 域内市場統一の条項に基づく指令の場合は、加盟各国は指令以上に厳しい規制を導入するこ
とはできない。これが環境保護条項に基づく場合の指令との違いである。
(環境保護条項に基
づく場合はより厳しい国内法を制定できる。
)
・ EPR に強制力を持たせる方法としては、廃棄物枠組み指令第 8 条については既に Maurer 氏よ
りコメントがあったとおり。個別の廃棄物法では廃自動車(2000 年)、廃電気・電子機器(2002
年)
、廃バッテリー(2008 年)等に既に拡大生産者責任のコンセプトを織り込んできた。
・ 容器包装指令には直接的に EPR が定められていないが、間接的に盛り込まれている。これは、
加盟各国が目標を達成しなければならないためである。誰かがこの目標を達成しなければな
らないわけで、このためには加盟国は容器及び容器廃棄物の返却、回収、リユースまたはリ
サイクルを含むリカバリーを実施するための財政的なスキームや、エコデザインのスキーム
を、関連する経済主体を巻き込んで構築する必要がある。マテリアル効率性に関する設計は、
必須要求事項(essential requirement)でカバーした。全ての素材の容器包装重量はガラスから
金属まで全て実際に減量された。また選別・リサイクル技術に関する多様なイノベーション
も生まれた。また、重金属を削減するに関するアクションもとっている。例外的にガラスに
含まれる鉛、プラスチックボトルケース・パレット等の着色剤に含まれる六価クロム(or カ
ドミウム)は非常に低い一定レベル濃度の使用が許可された(ボトルケースはメーカーによっ
て指定の色合いがあって変えられないため)が、これらはクローズドリサイクルをしなけれ
ばならないことになっている。従ってこれらの生産者はリサイクル材料を使用し、そこへバー
ジン素材を追加するため、有害物質濃度は結果的に低まっていくことになる。我々は 5 年ご
とにレビューをしてどのくらい低減したかをチェックしている。
・ 以下の図についても、日本にも似たような考え方があるはずだ。
-参考資料58-
<図>持続可能な消費と生産(SCP)政策における拡大生産者責任
資料:欧州委員会環境総局
・ この図は、我々がどのように生産者責任がどのように製品ライフサイクルの各段階に影響を
与えられると考えているかを示している。EU の法規制には全ての段階にそれぞれ介入するた
めの規定がある。
先方:補足したい。設計・製造段階は最も重要だと思う、なぜなら生産者が最も責任を果たすた
めの影響力を持つ段階だからだ。すなわち、マテリアルをインプットする際に、これをリ
ユース可能にするかどうかなど。例えば WEEE では明確。5 年前の PC は摩耗こそしてい
ないが、時代遅れになって廃棄される。これを 5 年後でも CPU やその他のコンポーネント
を入れ替えることで再使用可能にすることができる。次に、回収や使用・メンテナンスの
段階も(生産者責任として)重要だ。生産者はメンテナンスのためのネットワークを構築
できる。それに回収・リサイクルとは生産者が前(設計・製造)段階で起こした変化を他
のアクターが利用する段階にすぎない。私の考えでは EPR は製品ライフサイクルが適切に
機能するための基礎である。
・ EPR が有効な段階は法規制対象にもよる。例えば容器包装は設計、製造、販売段階で取り組
めるが、メンテナンスの段階は(特に食品容器では)あり得ない。回収段階ではグリーンドッ
トがあり、天然資源の保全にはなる。一方、自動車であれば、製造業者はメンテナンス段階
で多くのことがやれる。
先方:ただ、容器包装に関しては、立法サイドでそんなにまだやれる余地があるのかは疑問。
当方:容器包装は短命だし小さすぎるので、自動車や電気電子機器に比較すれば設計段階に対す
-参考資料59-
る影響力は生産者側にあまりないという意味か?
先方:設計をどのように定義するかによる。
先方:強制ではない。
先方:形やユーザビリティ等の「設計」もあるが、
「設計」はより広く、例えば一貫して同じ化学
的素材を使い続けるといったことも含まれる。ビスフェノール A とかノニルフェニールと
か、内分泌攪乱物質の規制、禁止などやれることはいっぱいあるが。
当方:では「設計」の定義によってはもっと幅広に法的対策が打てると。
先方:そうである。
先方:だが先に述べたとおり廃自動車指令には設計における EPR が明確に強制力を持って入れ込
まれており、生産者は再生材を使用しなければならない。電気電子機器やバッテリーに関
しても同様で、これらは直接的に EPR が盛り込まれている事例。一方で容器包装指令は間
接的である。我々は加盟各国に「素材別の特定の目標を達成しなさい」といって、廃棄物
枠組み指令では発生抑制計画の策定を促し、加盟国が法定の目標以上のものを達成するこ
とを妨げない。しかし、どのように達成するかについては、加盟国に任せている。企業が
製品を上市したいのであれば特定のリサイクルスキームに加入しなければならない、と定
めるのは加盟国であり、EC ではない。電気電子機器や自動車は直接的に EPR が EU 指令
に規定されている。
当方:では容器包装に関するエコデザインを将来的に法で定める可能性はあるのか。
先方:現時点では、Yes とはいえない。例えば冷蔵庫のような他の製品のためのエコデザインは
あるが、容器包装にはまだない。しかし、特定のマテリアル(特にプラスチック)につい
てはダメージがあると考え始めており、ある特定の素材の容器包装をなくそうという考え
もある。しかし、これはまだ考え始めたばかりのことであり、やるという意味ではない。
・ EU の廃棄物関連諸指令に関しては成功と課題があるといえる。
成功体験:
-EU のスタンダードが世界標準になったこと。WEEE はその成功事例と言える。
緻密な法制度をつくり、世界中の政策を牽引し、環境効果もあった。
-製品設計の変化とエコデザインの普及。
-経済的な成長(グリーンエコノミー)
。
昨年来の不況下においても、環境産業により実際に経済成長を目の当たりにした。
廃棄物は資源とみなされ、EU2020 年戦略でもこれを見込んでいる。
-公衆衛生への効果。
今後の課題:
-加盟国の指令適合性の向上。
実施状況が弱く、多くはないが欧州裁判所の判決が出るケースもある。
(この判決には強制力はなく、初回は加盟国に対して不遵守が示されるのみ。
2 回目からは数百万€の罰金も科されうる。)
-参考資料60-
当方:容器包装指令に関してはどの国が未実施なのか?
先方:容器包装指令は 1994 年制定で古いので、現時点で未対応の国はない。
WEEE であれば、国内法化期限はまだオープンのため、実施状況の悪い国が 10 か国程あ
る。
容器包装指令については、目標の達成度評価を受けている状況。2010 年 6 月に 2008 年
の各国実績が出、2011 年 6 月に 2009 年の実績が出る。加盟国は直接 DG Eurostat(欧州委
員会統計局)へデータを提出し、達成度の査定を受ける。目標未達の加盟国に対しては EC
がこれに対応するための手続を開始する。
(課題の続き)
-既存の回収、処理システムの改善。
これには各国の生産者責任とシステムの相違を見る必要がある。
これは、廃棄物枠組み指令でも対応していこうと思っている点。
-生産者責任と域内市場機能のバランス。これは継続的に取り組む必要がある。
-さらに、EPR が機能するために必要な条件として;
>「生産者」の特定。定義に問題があり、指令によっても異なっている。
(製造者なのか輸入者なのか、EU 市場においてか国内市場か、等)
特定できるように、より明確にしていく必要がある。
>また、
「生産者」は問題に対する影響力を持っている必要がある。
例えば卸売業では、限定的なインパクトに過ぎない。
>一方で、中小零細企業の能力や産業競争力に配慮する必要がある。
>「生産者」は個別企業なのか、業種別(共同責任体制)であるべきなのか。
>組合のようなものは必要だが競争を妨げないようにするにはどうすべきか。
(なおこれらは容器包装に限らず一般的な EPR について考察している)
・ というわけで、EPR に関する考察の結論としては、
-法的に EPR が機能するためには、生産者を特定する必要がある。
-直接的に EPR を法制度に導入するにはどうすべきか、の他に、
-廃棄物の発生や処理の主体の他に重要な主体である消費者への対策がある。
・ 現在、消費者や教育への啓発活動に力を入れており、行動変革が新たな要素としてあがって
きている。
(日本の 3R イニシアティブのように)
以下の全ての段階における発生抑制策
設 計
↓
生 産
↓
消 費
←ここも発生抑制には重要である。
-参考資料61-
5.8.3.日本の状況説明と質疑応答
当方:日本の状況を説明したい。容器包装リサイクル法制定 10 年を迎え、さまざまな問題を抱え
ている。より効率的なリサイクルシステムをどのようにして作れるか、減量を進めるため
にはどうしたらよいかなどを課題としている。
先方:EU も日本も同じような状況にあると考える。日本で法体制をどのように発展させていくべ
きか、リサイクル率をどのように向上すべきかが問題となっていると理解する。我々も同
様で、EU では、EU 指令が枠組み指令との組み合わせをうまく合致させていく中で、これ
らの個別指令の要求の整合性をどうとっていくかを考えているところである。
特に問題は、指令をどう作るかだけでなく、より広く他の指令とどのように調和させて
枠組み指令をつくっていくかが重要。EU と日本は、どちらがどこへ進むかではなく、並行
して同じように互いに学びながら進んでいくと思う。
みなさんにとって重要かつ興味深いであろうことは、
「枠組み」指令をよく分析して理解
していただくこと。新しい「枠組み」をみていただきたい。例えば第 29 条では、発生抑制
プログラムを国ごとに提出を求めている。これは容器包装に限ったことではなく他の廃棄
物関連指令にも水平展開的に適用されているものである。
また第 11 条では、新しいリサイクル目標が策定されていることが重要。2015 年までに
全ての加盟国が素材毎のリサイクルシステムを立ち上げることを要求しており(日本は 1
カ国だからもっと容易なはず)
、また、2020 年には家庭ごみのリサイクル率 50%という目
標も記載している。
リサイクル、あるいは発生抑制、あるいは再利用の率を目標値に到達させたいのであれ
ば、設計の問題から考えていく必要がある。そこが私の最も言いたいことである。やはり
産業の製造プロセスにも影響が出てくることであり、生産者が材料調達から変えていくこ
とが大事だ。
先方:2008 年廃棄物枠組み指令を多尐読んで、そういうメッセージを感じた。
しかし、容器包装指令とは既に整合性がとられているのか、それとも未だこれからなの
かが、わからなかったので、お聞きしたい。
先方:実はその通りで、2008 年には他の指令との調和を全く考えていなかった。我々は「新しく
していきたい」
、つまり近代的で、将来の需要にあった枠組み指令にしたいと考えていたの
で、実はそれで問題が起きている。特にそれぞれ国内法に移行していかなければならない
ため、個別の問題が起きてきている。他の指令との整合を考えるという作業は実はやって
いなかったので、今は指令を制改定するときには、特に国内法移行時に問題が生じないよ
うに配慮することが非常に重要だと思っている。
例えば、枠組みの指令では階級づけをしている。すなわち発生抑制を一番上におき、ご
み処理を一番下に置いた。ところが容器包装関係ではその階級づけができないということ
で、まさにそこで衝突が起きている。
当方:設計の問題に取り組めば広く製造プロセスにまで至るという点について、容器包装を考え
た場合、家電や自動車と異なり、包まれている製品政策そのものと関わってくるのではな
-参考資料62-
いか。つまり過剰包装をなくすといった場合に、製品そのものの在り方に話がシフトして
いくのではないか。
先方:これが複雑な自動車や家電製品であろうと、包装であろうと、根本は同じだと考える。基
本的な考え方は製品の構成、つまり毒性が尐ないとかできるだけ再利用可能であるとかの
構成(成立性)の問題だと考えるためである。例えばプラスチック生産者に対しては、ど
のようなプラを使うのか、リサイクル可能なプラスチックを使用することを義務づけるの
か、いわゆる「ゆりかごからゆりかごへ」か「ダウンリサイクリング」を製造者に要求す
るということになってくると考える。
先方:補足したい。より実利的な話である。
まず、日本では努力したにもかかわらず廃棄物量は減らないそうだが、残念ながら EU
でも同じである。加盟国のリサイクル率があがっているにもかかわらず、廃棄物量は増え
ている。例えば加盟国の中で最も容器包装廃棄物の量が多いのはイタリアである。中央ヨー
ロッパの国々では、あまり容器包装廃棄物が排出されていないことが分かっている。もし
かしたら統計で把握していないだけか、あるいは買い物に自分のバッグを持参しているの
かもしれないが。EEA(欧州環境庁)のサイトにはたくさんのデータが掲載されているの
で、見てほしい。
例えば 4 つの指令(廃自動車、バッテリー、家庭系一般廃棄物、生分解可能な家庭系廃
棄物)の各国リサイクル政策状況を分析した 2010 年の調査結果―Europe as a Recycling
Society‖35も出ている。これには加盟国が廃棄物を削減するためにとったアクションリスト
も出ている。例えばフィンランドでは公的機関が率先してエコプロダクトのグリーン購入
を推進した等。デンマークでは公的機関が再生紙を使用しなければならないと定めている。
このような内容は EU 指令内容と整合が取れていなければならない。EU 指令の附属書は非
常に幅広いものである。
例えば、ショッピングバッグの問題についても書かれている。2006 年フランスでは生分
解性ではないプラスチック袋を売ってはいけないという法案を作ったが、指令によれば生
分解性プラ袋のほうが科学的に環境によいということを立証しなければならない。生分解
性とは何か、それは本当に環境によいのかが焦点となっている。2011 年、イタリアは同様
の法律を EC へ通告せずに可決した。しかしこれは EU 指令からみて間違っており、イタリ
アは EC にそのような法制定を通告する義務がある。他方、日本のような太平洋側の国で
はないと思うが、海洋ごみとしてのソフトプラスチックが問題になっている。今では黒海
や地中海でもこのような海洋ごみが散見されるようになってきた。2010 年 12 月の報告書
ではこのショッピングバッグ問題を取り上げ、プラスチック素材がモノマーかポリマーか
によって処分方法を変えていくことを勧告している。
生分解プラスチックの問題にもいろいろある。例えばこの飲料ボトルには 4 つのポリ
マーが使われているが、これらを区分して別々にしないとリサイクルできない点が問題と
35 Europe as a Recycling Society - Recycling policies for selected waste streams in EEA member countries , June 2010
http://eea.eionet.europa.eu/Public/irc/eionet-circle/etc_waste/library?l=/recycling_publications/recycling_streamspdf/_EN_1.
0_&a=d
-参考資料63-
なっている。
当方:よくわかった。ありがとう。
先方:今まさにこの対策をとろうとしているところだ。
当方:―新しい廃棄物戦略案‖のポイントは?
先方:さきほど話したように、廃棄物の新しい「戦略」そのものがあるわけではない。レポート
では、大きな進捗があったことがわかる。キーポイントは、政策としては枠組み指令と同
じライン上にあるものといえる。例えばリサイクル可能性をあげるとか、廃棄物による公
害をなるべく起こさないようにするなど。
この進捗レポートでは、現状の到達点、成功例、課題等が古い戦略に則って書かれてい
るが、新しい戦略の方向性までは書いていない。言えることは、古い戦略に対しては、非
常に大きく前進するだろうということ。これは思いつきにすぎない発言だが、たとえば、
普通のごみ捨て場に捨ててはいけない可燃性・危険廃棄物(タイヤ、爆発物等)のリスト
の範囲を、例えばプラスチック製品などへ広げる等は考えられる。
先方:別の言い方をすれば EU レベルの法律はいいものになっているが、問題は、加盟国がそれ
をうまく適用できていないこと。どうしたら改善できるかの検討もしている。テーマ戦略
レポートでは、加盟国にどのように実施させることができるか、また資源戦略や地球温暖
化政策と廃棄物政策とのリンクについて述べている。
当方:そこを詳しく伺いたい。廃棄物の定義に資源が入ってきて、温暖化政策とのリンクもある
とのこと。EU としてはどのように考えているのか。どう展開するつもりか。
先方:―Resource Efficiency in Europe‖「ヨーロッパの資源効率」については、1 月 26 日に委員会に
提出したばかりである(下図の 26/1 参照)
。ヨーロッパの全体戦略のうちの 1 つと位置づ
けられており、またそれらは全て製品として低炭素経済に寄与するものと考えられている
ため、エネルギーや気候変動政策とリンクさせている。次の図が、我々の戦略をよく語っ
ている。
-参考資料64-
<図>資源効率化へ向けたロードマップ
次のステップ
9 / 1- 廃棄物テーマ別戦略報告書
・実施に焦点
・製品政策
・持続可能なマテリアル管理
・資源問題とのリンク
・気候変動問題とのリンク
2011/2012
アクション
・経済的手法の利用
・EU法規の一貫性
・8つの廃棄物計画の評価
・気候変動と廃棄物
・発生抑制に関する
ガイダンス
・モデリング?
26 / 1- 資源効率的なヨーロッパ
-2020年戦略における最重要イニシアティブ
・低炭素経済ロードマップ2050
・2020エネルギー効率化計画
・将来の輸送に関する白書
・エネルギーロードマップ2050
・資源効率的なヨーロッパロードマップ
・CAP(共通農業政策)、漁業、結束政策(地域政策)改革
・新EU生物多様性戦略2020
・農産物/原料市場
2 / 2- 原料イニシアティブ
3つの柱が含まれる:
・EUの貿易政策
・持続可能な抽出
・資源効率化とリサイクル
2011年7月-資源効率化
ロードマップ
2012?-廃棄物
テーマ別戦略の
レビュー
・廃棄物枠組み指令第XX条
・付加価値の
特定
小売業
フォーラム
2013:各国の
発生抑制計画
・2050年目標に関するビジョン
・マテリアルアプローチ
・経済的手法の利用
2012(?)-エコイノベーション
パートナーシップ
・危機的なマテリアルに焦点
・リサイクルを増やすための
イノベーション、鉱業の改善
・LCAアプローチ
・10つのパイロットプロジェクト
2014:リサイクル
目標の見直し
・廃棄物枠組み指令第XX条
2012:SCP(持続可能
な消費と製品)アクション
プランの見直し
・製品政策における
資源効率化を含む
・エコデザイン指令の
見直し
資料:欧州委員会環境総局より三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成
先方:補足したい。やりたいことは明確である。リサイクルをさらに推進し、発生抑制も進める。
しかし発生抑制は実際の生活では容易ではない。毎年新しい PC や携帯電話はほしい。も
ちろんポテンシャル(抑制余地)があるので、そこを開拓していかねばならないが、発生
抑制だけで世界は変えられない。それよりも、たくさんの法律が出ており、戦略性もある
にも関わらず、各国で実施されていないことが問題である。
EU の中では、12~14 くらいの国で、80-90%の廃棄物を処理せずに埋立地に搬入してい
る。最終処分場に廃棄物を捨てるのにお金がかからない国ではリサイクル産業は育たない。
一方、オランダ、ドイツ36、デンマーク等ではかなり高いリサイクル率を達成しており、
そのような国では、最終処分場の役割はもはや大きくなくなってきている。
従って、このような意欲的な戦略を成功させようと思ったら、努力すべきは新しい法律
をつくることではなく、実施させることである。今でも既によい法律がたくさんある。
先方:加盟国が同じように実施するということが課題。我々は加盟国にいって監視するわけにい
かない。
36 ドイツでは州によって 50~70%を達成
-参考資料65-
当方:大変面白い話を伺えた。3 年前は EPR 等の新しい政策に意欲的だったのが、今は実施の段
階に来ていることがよくわかった。
先方:その通り。現在討議中であり採択されるかわからないが、加盟国が指令を国内法に移行す
るためのエージェンシーを新たにつくろうかという話し合いがなされている。各国が指令
を適用する際に監督や助言をすることができれば、さらに実施状況が改善するのではない
かと考えている。
先方:EU の法が素材に移行するのかという質問について。
廃棄物の成分によってマネジメントするべきかどうかについて、環境影響を調査して検
討しているところである。
他、カラーグラフの資料に基づく説明があったが、割愛する。
・ 特にプラスチックに関して興味があるようだが、EU でも今後分析調査を進めていくつもりで
ある。
先方:―Growing Resource Use‖のグラフは―Law Material Recycling Initiative‖の資料に関するもの。こ
のままだと資源が減尐していくというシナリオを示している。このままではバイオマス、
鉱物、金属等の減尐が起こるが、1980 年から 2010 年にかけて廃棄物の量が上がってきて
いるのは事実。
先方:既存の容器包装指令だけでやってみたら、グローバル資源量はどうなるかというデータで
あり、これをみて将来を心配しなければならない。
最後の指令適用状況を示すグラフ―Moving towards Sustainable Material Management(2)‖に
-参考資料66-
ついては、現行指令を加盟国がフル適用できればこうなる、ということだが、あくまで現
行指令のリサイクル対象品に限るので、将来は変わる可能性がある。
先方:先ほど、廃棄物戦略の質問があったが、GDP と廃棄物発生量のデカップリングをめざす点
が一番主要な問題であり、今、それに対する答えを出そうとしている。
「ローマテリアルリサイクルイニシアティブ」は戦略の一部ではなく、意欲を上げてい
くための追加的施策である。資源が希尐になっていくなかで、廃棄物をどの程度まで資源
とみなすことができるかを見ていく。
当方:つまり、基本的には今ある指令の実効性を上げながら、ローマテリアルリサイクルという
新しいドライビングフォースを使って、リサイクル率を上げ、廃棄物削減を進めていこう
というのか。
先方:この 2 つの環境イニシアティブはもっと非常に一般的なもの。環境イニシアティブは製造
にも、輸出入にも関わってくるからである。EU 加盟国ではない国々への依存度が高まると、
各国に対する発言力(価格も含む)が弱まってしまう問題がある。
当方:日本では、廃棄物政策は考え方として独立しており、他の政策とのリンケージに乏しい。
先方:指令を適用しようとすると他の問題に気づくことがある。2 年前まで、アイルランドは小
さな島国で、廃棄物を保管・処分する場所もなければ、リサイクルする場所もないため、
伝統的に中国への輸出が続いていた(他の国もやっているが)。あるとき中国がこれ以上廃
棄物を受け入れないと言いだしたため、アイルランドの廃棄物受け入れ先について、加盟
国が協力して解決策を探った。つまり特定の目的の指令を適用しながら、他の問題にも気
づく機会がある。
「ローマテリアルイニシアティブ」をすすめるにあたって、域内にはそのようなマテリ
アルを必要とする産業があることがわかった。世界中でその資源を産出している国が 1 つ
2 つしかないというケース37もある。買うことはできるが、価格が自由にはならない。その
とき、「グリーン廃棄物」
(リサイクル可能な廃棄物:今リサイクルされている金属やプラ
等)の存在がうかびあがる。
先方:皆さんの廃棄物に関する意見は大変興味深かった。この環境総局の中でも、廃棄物につい
て我々のやろうとしていることは革新的であるという考え方がある。しかし廃棄物は水平
的に全てにかかわってくる。資源にも産業にも自然にも、生物多様性にも関連することで
ある。
先方:また廃棄物問題は EU レベルで解決すべき問題。たとえばスウェーデンの海岸で生物が漂
流廃棄物のために死んでしまうことがあるが、この廃棄物の 80%が英国から来ている。
当方:廃棄物焼却からの熱回収はリカバリーに含まれることになったが、温暖化対策との関係を
どのように考えているか。
37 希尐資源のこと
-参考資料67-
先方:熱回収・再利用によって、熱源をガス・石油に代替させようということなので、ポジティ
ブな面があると考えている。つまり地球温暖化対策へのポジティブインパクトがある。
一方で実はリスクもある。エネルギーリカバリーがリサイクルへの脅威となってしまう。
国によっては焼却を増やしてしまう。ドイツがそのいい例で、5 つの大きな焼却場があり、
経済性の面からそちらに持っていく傾向が尐しずつ見られるようになってきた。
先方:また例えば、ウィーンでは、伝統的に、焼却熱で都市暖房・給湯をまかなっている。もち
ろんそれは包装廃棄物だけではないが。
当方:リサイクル、リカバリー目標設定の背景と算定根拠は。
先方:包装材についてでよいか。94 年に指令が採択されたが、昔なので本当の理由は不明だが、
当時は「共通市場」の時代だったので、まずそちらありきで考えられたと推察できる。当
時は目標値を最小限にしようという発想があったものと思われる。当初のミニマム目標
22.5%の数字にはきちんとした理由があった38と思うが、それはしらない。ただしそれは最
低限達成しなければならない数値である。
2008 年以降、加盟国は高い目標値を採択できるようになった。提出された目標値を見る
と、高く設定されている国もある。
先方:ヨーロッパは政治的にも産業的にも非常に複雑で、発展状況もまちまちである。言えるこ
とは、数値を決めたのは単純にこうだから、という理由ではないということ。大変な交渉
を経ての妥協点だと思う。欧州は非常に複雑なのである。
先方:例えばリカバリー率については、欧州委員会とか加盟国からではなく欧州議会が出してき
たもの。通常、欧州委員会が提案し、閣僚理事会で採択するわけだが、その途中には大量
の議論が行われる。そこで採択された内容は政治的背景・判断・妥協の産物で、どうして
採択されたかよくわからないものもあるのだが、それを実施するのはまた欧州委員会の役
割なので、そこで問題が起きてくる。
当方:ありがとうございました。
先方:資源戦略は最新のテーマであり、我々も昨年の経済危機の後に考え始めたばかり。
先方:政策の水平展開は重要で、適正な廃棄物管理は生物多様性や食糧資源(海洋資源等)の保
全も可能にすると考える必要があると思う。
以上
38 ADEME から入手した 2009 年報告書によれば、「2003 年、EU のために一連の環境・経済的調査が実施され、
ボトル以外を集めることは環境的にもよくないこと結論が出され、EU の目標値 22.5%が定まった。」
-参考資料68-
5.9 Semardel ソーティングセンター
<ヒアリングの概要>
・ 120-130 の市町村で回収した「紙類・プラボトル」年間 4 万 2 千トンを処理する。
・ 3台の光学選別機、手選別、ふるい、磁選等による分別。
・ アウトプットは、青 PET、白 PET、HDPE(乳白色)、3 レベルの紙(新聞・雑誌、厚紙、容器
紙)
、アルミ(混入物)
、鉄(混入物)。
5.9.1.施設概要
・ 120-30 の市町村で回収される、年間 42000 トンの資源を分別している。
・ 家庭(拠点)から回収したトラックが(中継点なしに)そのまま本センターに運び込まれる。
・ 各市町村での分別の仕方が異なるため、収集対象種類は同じでも、その構成が異なっている。
・ 分別収集は基本的に、紙・プラ(各家庭ごみ容器)
、有機ごみ(各家庭ごみ容器)、ガラス(持
ち込み)39、粗大ごみ。
・ ここに持ち込まれる組成は、新聞紙 12-13%(バイストリーム40の場合は 40%)、残渣 15%程
度。
・ 構成は、分析室で、サンプリングにより計量される。
フロー図
ディスクセパレーター
手選
(前処理)
段ボール
フィルム等
リサイクル不適合物
(最終処分へ)
紙パック
(ELA)
紙くず
(GDM)
リサイクル可能な
その他の紙製容
器包装(EMR)
手選(3ライン)
・新聞・雑誌
・リサイクル可能な
容器包装
・紙くず
残渣
(最終処分へ)
HDPE
ディスクセパレーター
平たい物
(雑誌等)
光学選別
立体物(ボトル、缶)
新聞・雑誌
ディスクセパレーター
(再度)
紙類
リサイクル可能な
その他容器包装
(紙類の手選ラインへ)
鉄類
磁力選別
紙パック
光学選別
光学選別
HDPE・
紙パック
光学選別
PET
残渣
(最終処分へ)
PET(透明)
アルミ缶
・その他
PET(有色)
渦電流選別
アルミ
2011/02/11
フランスSemardel社ソーティングセンター
39 通訳の佐藤さんによれば、「パリでは、ガラスはふたが白色バケツで戸別回収」とのこと。
40 「バイフロー」または「バイストリーム」との説明があった。「新聞・雑誌を、雑紙とは別の(バイ)区分(フ
ロー)で回収しているケース」を指すと考えられる。
-参考資料69-
(1)Semardel 施設外観
(選別・リサイクル施設と熱回収焼却炉)
(2)搬入車両
(3)ストックヤード
(4)搬入物
(5)ディスクセパレーターへ
(6)ディスクセパレーター(段ボール除去)
(7)前処理(手選別フィルム除去)へ
(8)前処理後(フィルム除去済)
-参考資料70-
(9)光学選別機へ流す前にばらす
(10)光学選別機へ
(11)光学選別後、3 種類に分かれる
(12)光学選別後(近影)
(13)光学選別機
(14)手選別室(紙類)
(15)手選別室(紙類)
(16)手選別室 緑の箱は手前のから
「大きい雑誌」
「屑」
「その他紙」「紙パッ
ク」
-参考資料71-
(17)監視室 モニタリング PC 画面
(18)選別後の紙(新聞雑誌)
(19)PET ボトル(色別)チェック
(20)磁力選別後、光学選別へ
(21)プラボトル等の光学選別後
(PET、HDPE・紙パック)
(22)プラボトル等の光学選別後
(最右列の HDPE・紙パック)
(23)HDPE ボトル/紙の光学選別へ
(24)PET ボトルの光学選別後
(透明・有色)
-参考資料72-
(25)圧縮済の缶
(26)圧縮済の
その他紙容器(左側)、PET ボトル(右側)
(27)圧縮済 HDPE ボトル(ほぼ白色)
(28)圧縮済の飲料用紙パック
(29)回収物分析室
(30)回収物を分析するようす
5.9.2.その他(フローに記載されていない個別情報)
・ ラインへの投入スピードは、40m3/h(12 トン/h)。
・ 2 シフト制。
・ 小さいプラスチック、シート類は、トラブルの元となるので、早い段階で取り除く。
・ HDPE はほとんどが乳白色
以上
-参考資料73-
5.10 ADEME(フランス環境庁)
先方:Elisabeth PONCELET
International Affairs Manager Sustainable Consumption and Waste Division
Sylvain PASQUIER
Extended Producer Responsibility &
Recycling
Department
<ヒアリングの概要>
・ 自治体に裁量を任せ、地域ごとの事情にあったさまざまなシステムができた。10 年間実証を
してきたが、これらを 3-4 タイプに統合して調和させようとしている。
・ 100%生産者責任とせず、自治体も 40%(20%にまで下げたいが)負担することにより、自治
体のコストダウンインセンティブとしている。
・ 現在の分別収集開始時の分析で、対象を限った回収リサイクルが経済的にも環境的にもよい
という調査結果がでたため41、ボトル系に収集範囲を限定した。2009 年に再度分析を実施し
た結果、回収するプラ容器の対象を拡大する方がよいという結果がでたため、現在、実証実
験をして準備をしている。
・ 現在、自治体が、回収と選別(ソーティング)の責任を担っているが、「選別」について自治
体の責任からはずすことを検討している。
・ 製品プラ(植木鉢のようなプラ単体の製品)を一緒に回収リサイクルすることも検討してい
る。そうなれば、製品プラメーカーにも支払い責任が加わるかもしれない。
<挨拶>
・ 交流協定により、
日本 METI とやりとりを 10 年以上している。
NEDO とも交流の関係は深い。
・ 廃棄物分野でも交流したいと思っているが、戦略も施策も違いこれまで難しかった。エネル
ギーでは、三菱のバイオマス関連熱処理施設も検証したことがある。
<METI よりミッションの趣旨の説明>
<ADEME の紹介>
・ ADEME(環境・エネルギー庁)は、国の公の機関である。廃棄物担当のほか、大気環境、エ
ネルギー、リサーチ等がある。
・ 3つの省(環境持続可能開発省、経済産業省、調査研究担当省)の管轄下にある。
・ 雇用は 1000 人。26 の州に出先機関がある。本土に4つの州、海外県が4つ。
・ 予算:国(省)と庁との間は契約関係であり、国の施策によって庁の方向性がきまる。いっ
たん国庫に入った、公害税、石油・ガス販売税、ごみ処分税等から、本庁に予算としてまわっ
41 いただいた報告書では、経済的負担は大きくなる結果となっている。
-参考資料74-
てくるしくみである。
<組織図>
・ 理事長のもと4つの部署がある。
・ プログラム執行部があり、その中に、廃棄物、持続可能消費、持続可能都市、エネルギー、
持続可能製品のそれぞれの担当部署がある。
・ アンジェの ADEME に 80 人がいるが、これも4つに分かれている。
1.エコデザインと持続可能消費。SECCD
製品オファーについて仕事している。DfE のこと。
大型スーパーとともに「徳」の高い商品を推進する取り組み。
大手企業の調達の責任ある調達の推進。など
2.廃棄物の発生抑制と管理 SPGD
発生抑制(重要テーマ)
有機的な再生。
エネルギーストックに置き換えるエネルギーリカバリー。
3.拡大生産者責任とリサイクル SFRR(PASQUIER 氏の所属部署)
14 の分野で EPR 施策を実施。
EU 指令によるものは、容器、電気・電子、自動車の 3 分野であり、適用しつつ
ある分野は、家具、中古繊維製品、危険廃棄物(家庭用ペンキ缶など)等である。
4.廃棄物監察計画課 SPOD
すべての分野の調査を担当し、コスト分析も実施する
情報システム「SINOE(シノエ)
」により、情報を一元管理している。SINOE
は一般からもアクセス可能。
<<PASQUIER 氏から>>
< 体制の説明>
・ 法律により、家庭容器廃棄物についてメーカーは、自ら回収システムをつくるか、エコ機関
(EE:エコアンバラージュ)に加盟するかのどちらかを実施しなければならないこととなっ
た。EE に加盟するということは、廃棄物量42に応じた GP のフィーを支払うことによって、
法律を守るという意味になる。
・ 公的機関(国)が規制をつくり、EE に認可(Agreement)を与え、メーカーが EE に加盟。
・ EE は、自治体に収集助成金を支払う。
・ EE は引き取り保証機関(プラスチックでは、バロプラストのみ)と合意契約を締結。バロプ
ラスト経由の引き取りについては、詳細後述。
42 実際には「上市」と思われる。
-参考資料75-
・ EE は消費者団体、環境団体43とパートナーシップを結び、市民を巻き込む。市民を体制の図
に書き込むことがポイント。
<産業廃棄物>
・ EU 指令に基づき、国内法を策定する際、家庭容器廃棄物について、EE の仕組みを作ったが、
産業系については特別なシステムはつくらなかった。最終所有者(排出者)が責任持って、
再生・処理をする責任がある。そのためのプロ組織が材料ごと(プラ、ダンボール、木など)
にあり、バロプラストもそのプロ組織の一つである(バロプラストは、20 の業者と契約し、
リサイクルを実施している)
。
<ドイツとの違い>
・ ドイツは、自治体とは別に組織を設けて自治体の回収ルートとは異なる回収ルートで容器包
装を回収し、回収・選別費用は 100%生産者が負担する(デュアルシステム)。フランスでは
地域によっては自治体が回収・選別を実施するほうがコストダウンに寄与する場合もあると
考えて自治体に任せており、生産者が 100%の費用を負担せず、自治体に一部を負担させる仕
組みとなっている。そのため(自治体に当事者意識を持たせているため)コストも安くあがっ
ている。
<自治体>
・ 容器包装リサイクルのシステムを開始した際、自治体の裁量に任せるようにした結果、地域
ごとに、それぞれの事情(人口密度、都市部か農村部かなど)に対応したさまざまな(回収)
システムをつくることができた。10 年間、実証を実施してきたことになるが、その結果、4
-5タイプのシステムがみえてきた。現在は、全体の調和を求めて、3-4タイプのやり方
を設定し、そのやり方に合わせるよう義務化しようとしている。
・ 回収・分別にかかるコストを、100%生産者責任とせず、自治体も負担することにより、自治
体のコストダウンインセンティブとしている。生産者が 100%支払うと、自治体のインセンティ
ブが一切働かないため、これは重要なポイントだ。企業負担は 80% が目標値である(これは
環境グルネル法で規定)
。リサイクル率 65%、企業負担率 60%(450 ミリオン€)である現状か
ら、3-4 年後にはリサイクル率 70%、企業負担率 80%(700 ミリオン€)にしたい。企業のコ
ストが上昇することになるが、それでもドイツより安い。
・ フランスの特徴は、パートナーシップにある。自治体の協力がとても重要であり、うまくい
くかいかないかは、この協力関係にかかっている。自治体と生産者との衝突が考えられるが、
そこで国が調整役となるのである。具体的には、国が(EE の事業を)認可する際のスペック
書を通じて調整を実施する。スペック書は、6 年ごとに作り直すが、スペック書の内容によっ
てコスト負担が決まるため、作成する際に関係者が激しくやりあうことになる。
43 NGO と考えていいとのこと。
-参考資料76-
エコアンバラージュから自治体へ
・ EE が、自治体の回収の追加コストを自治体に助成金を払う。助成金額は認可時に記載した料
金表(バレーム)にのっとって、回収重量に応じ計算するが、自治体のインセンティブとな
るよう、良質な(=住民 1 人あたりの回収量が多い=回収効率が高い)ほど高い料金(1 トン
あたりの助成金)となるよう設定されている。
リサイクル業者から自治体への流れ
・ 有価物の引き取りによる料金が、自治体へ支払われることになる。料金は市場の相場・廃棄
物レベルに左右される。
・ 自治体がリサイクル業者に直接契約する場合(裁量システム)と、バロプラスト経由とする
場合(枠組みシステム)の 2 種類がある。どちらも回収に対する責任は同じである。
・ 枠組みシステムは、自治体へ廃棄物引き取り保証をするため、制度開始当初からあった。あ
るリサイクル業者が失敗した際に、他のリサイクル業者が変わって引き取ってくれる職業団
体としての仕組みである。これにより自治体のリスクは小さくなる。しかし、より高い収入
を求め、市場に直接売却したいと考える自治体(大都市に多い)もあり、その場合は独自に
業者を選択し、直接契約できる。裁量システム(直接契約)の場合、回収する材料種類およ
び自治体に払われる引き取り価格は自由に決まる。現在、裁量システムを選ぶ自治体は 4 分
の 1(回収廃棄物量ベース)である。
・ 枠組みシステムと裁量システムは、補完性も競争原理もあるため、両立しており、バランス
がとれたものになっていると思っている。この 2 システム両立の結果、バロプラストも市場
価格に近い価格でオファーしている。
・ 枠組みシステムの場合、自治体は 6 年ごとにバラプロストと契約するが、期間内に 1 回だけ
変更が可能。すなわち、枠組みシステムから裁量システムへ、裁量システムから枠組みシス
テムへと 1 回だけ変更が可能なのである。この方法は今年から適用した。以前は 6 年の間、
動かせなかったのを、柔軟性を持たせるようにした。6 年は EE と自治体の契約期間と一致し
ている。なお、裁量システムの場合は、契約期間の設定も自由である。
<分別収集参加自治体の割合>
・ プラの分別はボトルとフラスコのみであるが、プラ分別をしている地域にすむ市民(人口カ
バー率)は、全人口の 99%に達する。分別未参加のほとんどは海外領土・海外県であり、本
国領土でできていない地域はすごい田舎の小さな農村で全体の 0.2%であり、全域に行き渡っ
ていると考えている。
<プラスチック容器の構成データ>
・ 表の上部にある、ボトル(飲料用)
・フラスコ(シャンプーや化粧品)の分類が、全体の 41%
を占めている。これにより、現在のシステムを設計した。
・ そのほかは、やや固いプラ容器(バケット、生クリーム容器、トレイなど)が 18%、フィル
-参考資料77-
ム類が 30% となっている。
・ なお、図で述べている「PSE」とは発泡スチロールである。
<プラスチック容器のリサイクル対象範囲について>
・ 現行制度を導入する当時の分析で、プラボトルとフラスコの限定回収が経済的にも環境的に
もよいという調査がでた。
(その結果に基づき制度を設計した)
・ 2009 年に再度、経済・環境分析を実施したところ、対象とする容器包装の範囲を拡大した方
がよいという結果がでたため、現在、回収・リサイクルの対象を拡大する実証実験中。なお、
実証実験では、製品プラを対象としていない。
→分析結果報告書(翻訳済みご参照)
。
・ 人口 500 万人(60 の自治体)で、実証実験を実施した。実験で、仕分け、再生(リジェネレー
ション=材料リサイクル)もした。あわせて、いろいろなプラスチック素材が混じらないた
めのエコ設計の実証実験もしている。実証実験は 2012 年に終了予定であり、それを踏まえ、
2013 年に政策決定する予定。
<質疑>
当方:リサイクル事業者は、フランス国内に以前からいた事業者か、この制度ができて新しくで
きた事業者か?
先方:後者だ。今回の実証実験においても、廃棄物の拡大回収実証をしながら、新しいリサイク
ル事業者が参入してくることも目指している。廃棄物の輸出促進にしたくないからである。
ただし、数%はアジアにいってしまうは仕方がないと考えている。その理由は、需給調整
要素として必要であること、国際市場とのリンクをもっている必要があることである。そ
うすれば、国際的な市場価格や市場の傾向を読み取ることができる(国内価格も国際市況
を反映することが可能)
。
当方:樹脂の構成変化はあるか?
先方:あまり変化していない。ただし PVC はなくなった。飲料用の水の容器にかなり使われてい
たが、すべて PET に入れ替わった。
< 発生抑制>
・ 廃棄物の分析を行った。93 年から 2007 年の 14 年間で家庭廃棄物は 15%減尐した。それに対
し、包装商品消費は 12%増加。この間、GDP は 35%上昇している。
・ 包装商品消費においても、家庭廃棄物排出においても、プラスチックの割合は増加している。
プラスチックの容器シェアが増えたからだ。ガラスにかわってプラスチックが増えた。
・ GDP 上昇に関わらず、家庭廃棄物が減っている理由は、主に、包装容器の減量化(軽量化)
である。:供給された包装材料(スーパーの袋、医薬品用は除外している)ごとのトン数・量
の傾向がわかる。プラは個数が増えている。
-参考資料78-
・ 軽量化の背景は、製造工程の改良、メーカーのコストダウン努力がメインである。
当方:環境グルネル法で、求められる発生抑制の自主協定はどれくらい効いているか。
先方:それよりも経済面(コストダウン目的)の方が大きい。
当方:当局等による、素材のコントロールはあるか?
先方:素材規定は一切ない。ただし、GP においてリサイクルできないものには、高いフィーが課
せられているので、
「経済的な懲罰効果」となる。
< 容器排出量>
・ 1 年間の住民 1 人あたりの kg 数分布を示す。国民の平均は 4kg/人。2004 年と 2008 年を比較
し、回収性能があがっている(一人あたりのキロ数が増えている)のがわかるが、ばらつき
が大きいこともわかる。これは消費量と回収システムの違いに依存しており、回収性能の悪
いところで上げる余地があるということだ。さきほど自治体の自由裁量度の話があったが、
自由に実施したために自治体間でのばらつきが大きいことが、フランスシステムの弱点であ
る。
・ 発生抑制施策は実施していて、
(PET ボトルの水を買わず)水道水を飲もうというキャンペー
ンも始めている。ろ過した水道水を使うのは市民の裁量であるが、まずは、水を買わずに水
道水を飲もうと言っている。
(水道局ではなく)容器発生抑制のためのキャンペーンだ。
< 回収リサイクル量>
・ 回収リサイクルされている量は、HDPE、PET がほとんどであり、わずかにあるフィルムは実
証実験に絡むリサイクルである。
・ 地元でリサイクルすることに熱心であり、4 分の 3 が国内でリサイクルされている。
当方:この資料の出典はどのように書けばよいか。
先方:出典は ADEME でかまわない。
< 用途>
・ PE の最終用途の 64%が建材(建物の下水の導管等)であり、次いでフレコンが多い。もっと
付加価値の高い製品を作りたいと考えており、フラスコ類の容器への利用が高付加価値と考
えている。また、プール用水槽にも利用できるとよいと考えている。
・ PET については、62%が繊維である。現在、食品に接触するものに利用が可能であるか、認可
基準の見直し中であり、ボトルtoボトルが可能となれば、需要が大きく拡大すると期待し
ている。ダノンなど、大手水メーカーも使いたいと考えている。
< リサイクル率のグラフ>
・ 08 年では、ガラスは 80%のリサイクル率を達成しており、20%強のプラスチックはまだまだ
-参考資料79-
努力が必要であることがわかる。ボトル・フラスコは、プラ容器の 40%を占めるため、この
ちょうど半分が回収されていることがわかる。リサイクル対象を拡大することにより、リサ
イクル率を 35%に引き上げることをめざしている。
当方:回収対象のプラスチックを拡大しリサイクルする実証研究でリサイクルコスト上昇はどの
程度と予測されているか?
先方:住民一人当たりの助成額は増える。下図をみてほしい。これは住民一人当たりの助成金の
推移であるが、例えば、ライセンスフィー全体が 700 百万€の場合、一人当たり 11€の負担
であるが、これが 1.5€増加することに相当する。これは企業にとっては大きなコスト負担
である。しかし、コストアップであっても、容器メーカーはプラの回収対象範囲を拡大さ
せてリサイクルすることに大きな期待を寄せている。軽量プラスチック容器の場合、デポ
ジットの中に入っていないのでリサイクルされていないというハンディがあったが、回収
対象を拡大することによってリサイクルできるプラになることは、市場におけるコミュニ
ケーション(イメージアップ)につながるからだ。
・ リサイクル率をあげると同時に、そのコストアップ分が納得できるかという、バランスの問
題だ。
「すべて」をリサイクルするのはよくないと考えている。
当方:最適システムは、地域によって異なることが予想されるか?
先方:ある程度の調和が必要だが、おそらく 3 つか 4 つのシナリオに集約されるだろう。大都市
はすべてこのやり方だが、過疎部はこのやり方といった具合だ。
<自治体の責任範囲の見直し>
・ もう一つ、やろうと考えていることがある。
・ 2 つのステップ(回収、選別)について、現在は両方が自治体の責任となっている。回収シス
テムは地域(住民)に密接に関わっており、地域との調和や住民の協力を得ることが必要。
それによって経済的な効率性があがる44。
・ 一方、選別については、自治体の責任からはずそうかと考えている。選別は、大規模化され
たソーティングセンターで大量に実施したほうが望ましい。現状は、小規模の施設が多すぎ
る。自治体が運営しているので、つぶすことにブレーキがかかってしまう。EE が公募し、直
接委託で仕分けする方法を検討している。
当方:小規模のソーティングセンターに競争力がない理由は?
先方:理由は 2 つある。1 つ目は、小規模で自動化されていないために、一トンあたりのコスト
44
原メモは「回収については、地域において調和がとれてないといけない。14 の系統がある
が、すべて住民と関連がある。経済の相乗効果が挙げられる。」
-参考資料80-
が高くつくことである。自動化が低い。2 つ目は、柔軟性が充分にないことである。たと
えば、(小規模であるために資金が乏しく)光学選別機を入れられない。ラインを変更しくに
い。光学選別機が導入されていれば、機械のプログラム変更だけで、対象プラスチック範
囲の拡大に対応できる。光学選別技術によって、大規模化にむかっている。
<製品プラ>
当方:製品プラについて検討されているか。
先方:2 つ答えがある。
①拡大していく際のわれわれのメッセージおいて、
「慎重な拡大」というメッセージを出
していきたいと考えている。他の国の経験でいうと、「容器すべて」とすると全く違うもの
(異物)も入ってしまう傾向があることがわかっている。我が国では、分別回収の品質が
低下しないよう徹底し、リサイクル、リカバリーが容易になるよう推進したい。
②一方で、植木鉢などの製品プラの分別回収は可能である。樹脂特性が近いので、材料
リサイクルに適している。その際には製品プラメーカーも、フィーを支払うようになるか
もしれない。
なお、EC においても、容器の定義見直しを検討しており、植木鉢もはいることになるだ
ろう45。
当方:自治体は、EE から追加コストをもらい、さらに販売収益金をもらうというのは、収集した
廃棄物は法的には自治体の所有物という考え方からか。
先方:そのとおり。
以上
45 たとえが「植木鉢」だったために、容器類似品として EC による定義拡大の話が出てきたものであり、おそら
く「おもちゃ」は EC 定義拡大の対象にならないと思われる。
-参考資料81-
Ⅱ 韓国現地調査報告
1.調査日程
2011 年 1 月 24 日(月)~28 日(金)
2.訪問先
■ヒアリング(計9件)
政府機関
環境部資源リサイクル課
生産者責任組織 ペットボトル資源循環協会、プラスチック資源循環協会
環境 NPO
資源循環社会連帯
自治体選別施設 ヤンチョン区選別場、カンブク区選別場(いずれもソウル市内)
リサイクル事業者 プラスチックフィルム類リサイクル事業者(RPF)、ペットボトルリサ
イクル事業者
集合住宅
ヤンチョン区集合住宅管理組合
■視察
飲食店、ファストフード店、ソウル駅ロッテマート、コンビニエンスストア等
3.調査者
瀬口 亮子、吉田 明子(いずれも FoE Japan)
廣瀬 稔也(東アジア環境情報発伝所)
、朴 梅花(同:通訳)
4.視察結果概要
■分別収集・リサイクル対象物
法律上、生産者責任の対象は、排出源(家庭・事業者)を限定せず、製品群によって規定
される。プラ容器包装は、飲食料品類、洗剤類、医薬品、衣服類、紙製品、ゴム手袋、農
水畜産物等の容器包装に限られる。
生産者責任の対象外の容器包装には、廃棄物負担金制度が適用される。
■リサイクル目標
上記の各容器包装について、生産者は、毎年リサイクル義務率の達成責務を負う。未達成
の場合は課徴金。リサイクル義務量の繰越制度(2年以内)がある。
■リサイクル手法
各容器包装について、具体的リサイクル手法(エネルギーリカバリーが含まれるケースも
あり)が規定されている。例えば、プラ容器はエネルギーリカバリーの合計量をリサイク
ル量の 70%以下とする規定あり。ペットボトルは、輸出量を 20%以下とする規定あり。
■リサイクルシステムの役割分担
分別収集・選別は自治体の役割であり生産者からの費用負担無し。選別後の資源は選別施
設から直接リサイクル事業者へ売却(又は処理委託)される。
尚、大規模集合住宅では、管理者に分別収集・リサイクル義務があり、自治体ルートの外。
-参考資料82-
管理者が民間の収集運搬事業者と契約し、有価物として売却。
生産者はリサイクル義務率の達成のため、生産者責任組織に分担金を納付することでも義
務履行と認められる。生産者責任組織は分担金を原資として、リサイクル事業者(会員の
み)にリサイクル支援金(リサイクルコストの補填)を支払っている。
■分別排出の方法
カンブク区の場合、生ごみ(有料)/可燃(有料)/不燃(有料)/小型家電/EPR 対象
資源に分別。EPR 対象資源は更に、古紙、発泡スチロール、びん、缶、プラスチック容器、
フィルム等に分類される。ヤンチョン区の場合、EPR 対象資源は一括回収。
(いずれも自治
体による戸別回収の場合)
。
■選別
視察対象2施設のうちヤンチョン区は手選別、カンブク区は自動選別機(PP,PS,PVC。但し
後工程で再度手選別)
。カンブク区の施設は、処理量 44 トン/日、74 名/人体制。
人件費・運営費:18 億ウォン/年、資材・消耗品費:3 億 5,000 万ウォン/年、
収入:4 億 9,800 万ウォン、17 億ウォン/年の赤字
■再商品化
ペットリサイクル事業者は全国に 23 社(ペットボトル資源循環協会非会員 1 社を含む)
。
プラスチックリサイクル事業者は、210 社(プラ資源循環協会会員。非会員数は不明)
。法
令上、大企業中小企業間協力促進法に基づいて小規模事業者の権利保障をすべきとの規定
あり。
■ベール、再商品化製品の価格(選別施設からリサイクル事業者への売却・引取り)
ペット(ベール)
:300~450 ウォン/kg(有償)(生産者責任組織より)
(リサイクル事業者からの聞き取りでは 600 ウォン/kg)
ペット(フレーク)
:無色単一 833 ウォン/kg、有色単一 618 ウォン/kg、複合素材 446 ウォ
ン/kg(生産者責任組織より)
(リサイクル事業者からの聞き取りでは平均 1,240W/kg)
フィルム(ベール RPF 用)
:80 ウォン/kg(逆有償)(リサイクル事業者より)
RPF:平均 70~120 ウォン/kg(リサイクル事業者より)
■生産者責任組織からのリサイクル支援金額
PET:140 ウォン/kg
フィルム類:110 ウォン/kg
PSP:200 ウォン/kg
PE,PP,PS:60 ウォン/kg
■中国輸出について
ペットは、国外リサイクルを 20%以下とする法規定あり、中国への流出によって義務率が
未達となる可能性がある。2011 年より中国側がペットベールは繊維原料という名目での輸
入を認めたため、生産者責任組織にとって大きな課題となっている。
ペットリサイクル事業者からの聞き取りでは、全国のペットリサイクル施設の平均稼働率
は 56%とのこと。
-参考資料83-
5.ヒアリング調査報告
5.1 韓国環境部 資源リサイクル課
5.1.1.容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要
(1)資源リサイクル施策における地球温暖化対策の位置づけ
・ 資源リサイクル施策を温暖化対策に位置づけているが、具体的な数値目標はない。CO2 削減は
国全体の目標である。
・ 「EPR 施行 5 年評価」
、
「EPR 導入 10 年評価」に温室効果ガス削減効果の評価あり。
(2)資源リサイクル手法の優先順位はおよび法律上の規定
・ 法律上は優先順位がない。
・ 法律別表 6:
プラスチックについて7種のリサイクル手法を明記、うちエネルギーリカバリーと RPF の合
計を 70%以下にすべき、との規定あり(=30%以上はマテリアルなど他手法にしなければな
らない)
・ 優先順位づけについては、韓国でも同じく議論になっている。韓国ではケミカルはほとんど
ない。
・ ペットボトル:ほぼマテリアルリサイクル。輸出量を 20%以下にすべき、との規定あり。
(3)年度別製品・包装材別リサイクル義務率の計算式
・ 法律施行令別表 5 にリサイクル義務率の算定基準詳細あり。
(材質ごとに決められる)
・ 前年度リサイクル義務率+(長期リサイクル目標率-前前年度リサイクル率)×リサイクル目
標率の反映係数+調整係数
・ 分母:出庫量(=販売量)
、分子:すべてのリサイクル手法の合計(別表 6 の7つの方法のい
ずれか)
。
・ 年度別製品・包装材別リサイクル義務率(量)
資源リサイクル基本計画(2008 年)による。
品目
金属缶
2012 リサイクル長期目標
スチール缶
78.6
アルミ缶
78.6
びん
77.8
紙パック
36.0
合成樹脂包装材
PET 単一材質
80.6
PET 複合材質
80.6
発泡スチロール
78.1
ポリスチレン・ペーパー
42.3
ポリ塩化ビニル
66.4
単一材質
80.0
複合材質
60.0
-参考資料84-
5.1.2.プラスチック容器包装の対象物の範囲
・ 容器包装の範囲は法律 16 条にあり。また施行令 18 条に詳細が書かれている。
「包装材リサイ
クル義務対象」
(施行令別表 4)すべての容器包装でなく、特定製品の容器包装が対象(ゴム
手袋の入っていた袋は含まれ、おもちゃの包装は含まれないなど)。
・ 容器包装周辺物(ストロー、スプーン等)やクリーニング袋は対象には含まれない。
・ 分別回収すべきプラスチック容器包装についての基準はないが、自治体に分別排出指針を示
している。
・ 自治体の選別センターは、材質別に分別するだけ(ペット、プラ・・・等)
。
5.1.3.分別回収~リサイクルに係るシステム
(1)システム概要
・ <韓国 EPR 体制図参照>
・ 回収主体は、自治体または民間業者。
・ 団地、マンションなど大規模集合住宅では、管理者が民間業者と契約し、有価物として売却。
住宅法 共同住宅令(ごみ処理業者との契約に関する規定)に基づく。
・ それ以外の個人住宅などは自治体が回収し、自治体選別場からリサイクル業者に売却される。
・ 生産者は義務率の達成に1)リサイクル業者と直接契約(7.1%)
、2)共済組合に加入(92.8%)、
3)自らやる(0.1%:イチゴの生産農家など)のいずれかの方法がある。
(「EPR 導入 10 年
評価」より)
(2)自治体の役割、その法的根拠と背景
・ 政府として、
「回収・選別は自治体の役割」としている(法律 13 条)が、罰金などはないた
め、自治体によってはコストに見合わない回収・選別はしていない場合もある。
・ 生活廃棄物については廃棄物処理法により自治体に回収義務がある。
5.1.4.分別回収~リサイクルに係る具体的方法・実態
(1)資源売却益の受取主体、リサイクルコスト支払主体(逆有償の場合)
・ 自治体の回収コスト以外、有価でまわることを前提としたシステムである。
・ 自治体の場合、回収・選別のコストを負担しているのではないか。
・ 民間の場合は、利益が発生している。
・ 自治体廃棄物会計はない(コストは把握していない)。
(2)制度の導入に伴うコストについての政策評価
・ EPR 施行5年評価に加え、2010 年に EPR 施行 10 年評価を発表。
・ 自治体が負担しているコスト(通常の家庭ごみ回収・処理のコストに対して追加的にかかっ
たコスト)
、と生産者が負担しているコストの割合の詳細については把握していない。
-参考資料85-
5.2 韓国ペットボトル資源循環協会
5.2.1.協会概要
(1)会員企業について
・ ペットボトル飲料・調味料など中身メーカーのうち 90%以上が加入しており、計 410 社にな
る。
・ リサイクル業者は 22 社が加入、ペットボトルリサイクル業者の 99%にあたる(他にもう 1 社
あり)
。
・ ペットボトル生産者は 38 社。うち5社で 90%のシェアを占め、すべて会員になっている。
・ 回収業者(すべての品目取扱)が全国で約 500 社、ペットボトルリサイクル事業者は 22 社あ
る。
・ 2009 年の基準でいうと、リサイクル業者が購入する際のベールの価格は 300~450 ウォン(小
規模の場合低価格)
。
・ 22 事業所でフレーク状にして販売される価格は、無色単一素材 833 ウォン/kg、有色単一素材
618 ウォン/kg 、複合素材 446 ウォン/kg の3種類。
5.2.2.各主体の役割分担
(1)協会の役割
・ 韓国は環境部が EPR 制度の基本方針を決めて、それを実現可能にする誘導策を考えるのが
KOPRA(韓国ペットボトル資源循環協会)
。
・ 回収について、日本では自治体が行っているので安定した回収量だが、韓国では市場にゆだ
ねられている。生産者責任制度とされているが、リサイクル業者の立場からみれば、市場に
親和的な制度である。
・ 年間リサイクル量は 12 万トン。PET ボトル産業が盛んなので、まわっている。
・ メーカーがリサイクル分担金を協会に支払い、協会がペットボトルリサイクル義務を代行。
22 のリサイクル業者と契約し、年間 180 億ウォンの支援金を出している。ペットフレークの
平均単価は 840 ウォン/キロ(2010 年)だが、それに加え協会からの支援金が 140 ウォン/キロ
支払われる。
・ フレーク(リサイクル製品)を使用する企業は、協会事業とは関係がない。そこは市場原理
にゆだねている。
・ 協会としては、高付加価値の製品の研究などをして、再生品の市場参入を進めている。
・ 協会では 2011 年 2 月 22 日に今後 10 年の長期計画を発表し、ペットボトル業界を誘導しよう
とている。
(2)自治体との関わり
・ 韓国の場合、リサイクル業者の選定において、協会による入札制度はない。自治体が回収し
てリサイクル業者に販売する場合には入札するケースもある。割合としては、約2~3割に
なる。
・ 協会を通すかどうかは自治体が独自に決められる。韓国では廃棄物処理法があるが、「廃棄
-参考資料86-
物」という言葉を「資源」と置き換えるようになった。
・ 資源化可能な廃棄物は、ほぼ有価でまわるようになっている。韓国の場合、共同団地の分は
民間が回収、戸建住宅は自治体が回収している。
5.2.3.リサイクル義務の履行について
(1)リサイクル義務率の達成
・ ペットボトルの場合は、90%以上の企業が協会に加入しているため、個別事業者ごとの義務
量はなく、ほぼすべて協会全体の義務率となっており、協会全体としてリサイクル義務を果
たしている。将来的には会員毎に義務率と量を決めていければと思っている。
(2)義務の不履行について
・ これまで8年間で分担金未払いは今のところない。協会として義務量を達成できなかったこ
ともない。
・ リサイクル業者が処理しているペットボトルをすべて協会が支援しており、チェックできる
ため。
・ 日本との違いは、協会がすべてのリサイクル過程をモニタリングしていること。ベールの状
況や生産されたフレークの生産量と出荷量が同じかもチェックしている。スタッフがリサイ
クル事業者を訪問しているし、CCTV でチェックしている。22 社とコンピューターシステム
がつながっているので、データがリアルタイムで把握できている。
(3)リサイクル原料の海外流出について
・ もし海外諸国が高額でペットを買い占めたならば、義務率が達成できない可能性にある。そ
のために KOPRA は、選別所からの買取価格を高くするか、フレークの売価を高くするかの対
策が必要。
・ 2010 年まではベール状での輸出は違法だったためないが、フレーク状では 40%程度を輸出し
ていた。
・ ペットのベール輸出の可能性が生じてきており、現在のペットボトル排出量でようやく産業
が回る段階なので、何らかの対案を考えなければならない。
(4)リサイクル実績の繰越について
・ 義務率以上にリサイクルする年もあるが、翌年の義務量に繰越している。リサイクルできな
かった場合は未達成量の 130%の負担金を支払わなければならないため、義務量を 2 年間まで
繰越せる制度がある。
5.2.4.協会として取り組んでいく課題
・ 韓国の PET ボトルは材質がまちまちのため、無色単一素材に誘導するのが課題。
現在は無色が 70%、有色が 20%、複合素材が 10%。有色が混じるとフレーク価格が下がって
しまう。
-参考資料87-
・ 繊維原料以外の使途をみつけることも課題。シートやフィルムの原料やボトル to ボトルも研
究していく。
・ 三つ目の課題は様々な基準をつくっていくこと。施設の基準、リサイクル業者が購入するベー
ルの品質基準、フレークの品質基準をつくって、2011 年から試行している。年末には公表で
きる予定。
・ 協会の役割として、生産者にリサイクルしやすい材質で製品をつくってもらうように促した
り、生産者が独自にリサイクル義務を達成する支援をすすめていきたい。
・ 韓国では日本と違って、きれいに分別排出されないので、国民向けの広報もしてきたい。
・ また環境部に政策的な提言をしたい。技術開発や研究をリサイクル業者のためにしていきた
い。
5.2.5.EPR 制度への評価
・ 韓国は生産者の負担が大きく、EPR 制度ができて 10 年経つので改正を視野にいれている。協
会としても EPR 制度を支援してきたが、これからは品質を高めることを考えている。
・ 韓国も資源がない国。資源確保の意味でも継続が重要。リサイクル産業でも経済原理を無視
はできない。収益を出させるようにして産業を育成することが重要。ペットボトルの使途が
繊維関連製品のみであり、輸出量も増えているので、政策を転換していかなければならない。
・ 当初は廃棄物量を減らすことが目的だったが、産業化も進み、いい制度になってきた。しか
し、再生原料の輸出も進んでいるので、国内で高付加価値の製品をつくることが課題。
5.2.6.その他
(1)製品の環境配慮設計について
・ 韓国でも生産者はペットボトルの軽量化に努力している。コカコーラは飲料系で初めて 50%
軽量化した。軽量化には限界があるが、すべての業者が軽量化に努めれば、重量ベースでは
ペットボトルの排出量は減ると思う。
・ ただ、容器包装全体の視点では、びんや缶がペットになっているので、ここ数年、ペットボ
トルの使用量が激増している。代わりにびんや缶が半減している。環境的な視点からは、ペッ
トボトルよりびんを増やした方がいいと思う。
・ ペットボトル生産量、リサイクル量の推移については、HP にデータあり。
(2)グリーン購入制度について
・ 韓国にもグリーン購入法があるがあまり実効性はなく、義務ではない。
5.3 韓国プラスチック資源循環協会
5.3.1.協会概要について
目的:生産者のリサイクル義務代行、プラスチックリサイクル活性化のための基盤事業の推進
沿革:2002 年 韓国プラスチックリサイクリング協会設立
2003 年 リサイクル事業共済組合の設立認可
-参考資料88-
2006年
現在の名前に変更
会員数: (2010 年 12 月末現在)
区分
共済会員
(リサイクル義務生産者)
詳細区分
飲食料品製造/輸入
医薬品製造/輸入
洗剤および化粧品製造/輸入
農水畜産物販売
衣類製造/輸入
その他業種
一般会員
(収集選別およびリサイクル事業者)
収集選別事業者
リサイクル事業者
その他
事業者数
小計
小計
合計
962
229
218
495
46
51
2,001
100
210
36
336
2,337
5.3.2.関連制度について
リサイクルが難しい製品は廃棄物負担金制度(法律 12 条)で、リサイクルを促進できる製品は
EPR 制度(法律 16~19 条)で管理されている。
(1)廃棄物負担金制度
・ 廃棄物負担金制度の対象:
ゴム、プラスチック製品製造業など 14 業種の製品、EPR 対象以外の包装材、輸入製品および
その包装材
・ 単価(建築用以外のプラスチック製品および包装材):
2007 年
7.6 ウォン/kg、2010-2011 年 90 ウォン/kg→(大幅引上げ)2012 年~ 150 ウォ
ン/kg
・ 免除対象:
小規模製造者、小規模輸入業者
・ 18 種類の製品について、製造/輸入業者が環境部長官とリサイクルに関する自発的協約を結
んでいる。
・ 2011 年から 3 年間、売上高 200 億ウォン未満の中小企業の負担金を 50%削減→廃棄物負担金
の対象企業は全体の 72%に減る見通し(現在は 92%)
(2)EPR 制度
・ 施行令で規定された業種のみが EPR の対象。
・ 2009 年までは EPR 対象業種は製品、包装材のみであったが、2010 年から拡大された。
5.3.3.リサイクル義務の履行方法について
(1)義務率の履行方法
-参考資料89-
・ ①自らリサイクル(リサイクル業者への直接委託含む)、②共済組合に加入、の 2 つの方法が
ある。
・ 自らリサイクルする事業者について、例えばフィルム類包装材を生産するメーカーは、自ら
の生産量に応じて分担金を負担すればよい。そのため、リサイクル業者と直接契約を結ぶこ
とも可能。
・ 組合に入るというのは、リサイクル基盤をつくったり、広報をしたり、調査をしたりという
サービス面での付加価値の意味があるが、リサイクル義務量だけを考えれば、直接契約した
方が安い。
・ 小さい企業よりもむしろ、取扱量が多い大手企業は尐しでも経費を安くしたいということか
ら直接契約するケースが多い。
・ リサイクル分担金は、協会の中の分担金算定委員会で、リサイクル費用に基づいて算出され
る。最近は尐しずつ減っている。
(2)ただ乗り事業者の有無、賦課金の徴収方法
・ 容器類については、資源として有価で回るのでただ乗りはあまりないと思う。フィルム類に
ついては、ただ乗りもあるだろう。環境公団が調査し、そうした企業を見つけた場合は義務
不履行として賦課金を課している。
・ 賦課金は、リサイクル基準費用の 2.5~3 倍で、過去 5 年にさかのぼって請求される。
・ 協会として把握はしていないが、摘発されている企業はたくさんある。
5.3.4.各リサイクル手法(マテリアル、ケミカル、サーマル)間の優先順位について
・ 協会の立場として意見を言うと、韓国の場合、材質別に分別されて利益がでるので、容器は
マテリアルリサイクルに回っている。
・ フィルム類をどうリサイクルするかが課題。品質も素材もばらばらで、リサイクルの品質に
は限度がある。売値が低く、品質を高めることが必要だと思う。リサイクル量を確保するた
めにもマテリアルリサイクルだけではなく、RPF 化もすすむのではないか。
・ 日本では素材別に分けずに排出されるのでマテリアルリサイクルは 50%しかないが、韓国の
場合は選別段階で素材別に分けられ、さらに支援金がつくので市場で回るようになっている。
・ リサイクル手法に関わらず、支援金は同額である。
5.3.5.実際のリサイクル状況について
・ 飲食料品、医薬品、洗剤類、化粧品、農水畜産物の包装材に関する 2009 年度データ。
・ 国に報告があった出庫量(販売)は 32 万トン。うち共済組合の出庫量 22 万トン、リサイク
ル量実績 14 万トン。
5.3.6.材質別の選別方法について
・ 選別は、破砕後に機械などで分けるのではなく、あくまでも手作業の選別が基本。表示を見
て選別している。
-参考資料90-
・ 韓国ではペットボトルは様々な素材が混ざっているため、最近は自動選別機を導入している。
5.3.7.EPR 制度に関する評価と、協会としての活動について
(1)リサイクルしやすい製品設計について
・ 協会として、単一素材の利用などリサイクルしやすい製造方法について、生産者に指導をし
ていきたい。複合素材より単一素材のリサイクル分担金が低いことは尐しインセンティブに
なっている。
・ 食品など安全面で複合素材を使わない企業もあるが、環境部も単一素材の使用を指導してい
る。
(2)EPR 制度の評価
・ 法律の施行当初は、リサイクルシステムの確立が急務だった。次に EPR 制度が入ったことで、
産業化、システム化が進んだ。民間が参入して、規模が拡大してきている。
・ 例えば、紙、クズ鉄などはすでに EPR 制度から卒業している。よって市場で完全に回るよう
になれば、いずれは制度から卒業することもありうる。
・ 製品プラスチックなどについても、メーカーが自発的リサイクルを行っている。それがうま
く回れば、EPR に入ることもある。
(漁場のブイなど)
・ 課題は、同じ包装材の中でも、EPR/非 EPR の区別があること。非 EPR でもリサイクルされ
ているものはあるので、統一したい。
・ 今は資金的支援が主だが、今後はシステム運営を支援・向上させる制度になるべきと考える。
LCA 評価もしていかなければならない。
・ また、統計データが足りない。フィルム類包装材について具体的統計がない状況。
-参考資料91-
5.4 ペットボトルリサイクル事業者 SAMYANG(三養)社 SHIWHA(始華)工場
5.4.1.会社概要
・ 工場は 24 時間運転。
・ 当初は食品、繊維、ペットボトル(生産)なども扱うグループ会社だった。
・ 1993 年埋立禁止でペットボトル問題が浮上。政府からの依頼により、95 年に工場を建設、1997
年よりペットボトルリサイクルの操業開始。
・ 現在は 2 万トン/年を扱う規模。同規模の会社は3つある。
(韓国のペットボトルリサイクル
事業者は全部で 23 社)
。
・ samyang 社の特徴はリサイクルだけでなくグループ会社で原料、ペットボトル製造も行ってい
ること。国内では唯一、生産、流通、リサイクルまでを扱っている会社である。
・ また、製品の品質が優れている。1 ミクロンの細さ(髪の毛の 200 分の 1)の繊維までつくれ
る。
・ 正社員は8名、非正規(アウトソーシング)は約 50 名。
・ 年間の売上規模:130 億円ほど。フレークの売上:15,000 トン。
5.4.2.リサイクル事業の内容
・ リサイクル製品は、車部品にも使われている。現在は内装材中心、2015 年には外側にも使わ
れるようになる予定。2015 年に EU で自動車の部品の9割以上をリサイクル品にしないとい
けないという規定があり、そのための準備をしている。
・ ボトル to ボトルも研究中。FTA(米国食品安全基準認証)の取得が必要。フレークの場合は
物理的処理のみだが、それに加え化学的処理も必要であり、コスト高のため、メーカーが好
まない。現状では、この方向には進まないだろう。
・ 現在は、付加価値のつく繊維へのリサイクルがメイン。
・ リサイクル製品の使い道について、使途ごとに何トンという具体的な数字は出ていない。
5.4.3.リサイクル工程について
・ 原料ベールのうち 30%が不純物。
・ 95 年に創業したばかりの時は 80%程度が製品化できたが、最近は不純物が多くなり、工場の
コスト増につながっている。またペットが単一素材ではないことも問題。
・ 回収システムに問題がある。家庭で分別しても回収段階で混ざり、選別場でまた分別する。
不純物が混入するということで、無駄が多いシステムとなっている。
・ 入ってくるものが汚れているため、リサイクル工場は汚い。
-参考資料92-
PET リサイクル設備
PET フレーク
再生 PET 利用製品
5.4.4.リサイクルコストについて
・ 韓国ペットボトル資源循環協会からの支援金は、年間平均 141 ウォン/kg。有色、単色、複合
かによって変動。
・ 支援金があってはじめて回る仕組みとなっている。当社では、1993 年に国からの要請があっ
てリサイクル事業を始めた。
ソウル市が無償でペットを 5 年間提供するという契約も結んだ。
5 年間ずっと赤字だった。リサイクルは大手が参入する事業ではないが、当時の samyang(三
養)グループの会長が環境保全協会の会長だったため、事業化したという経緯がある。
・ インプットされる資源(圧縮ベール)の購入価格は 600 ウォン/kg。
・ 原料ベールのうち一般と事業系との割合は不明。韓国の場合、有価資源なので、レストラン
などでも個人の回収業者が入って民間の選別場に渡すということが成り立っている。リサイ
クル事業者は選別場から買っているだけ。
・ ベールは、民間選別場や自治体選別場から直接契約や入札などによって購入する。
・ アウトプットされる製品(フレーク)の価格は 1240 ウォン/キロ。
5.4.5.EPR 制度への評価
・ 95 年に会社ができた時点では、ソウル市と環境公団が5年間は無償でペットを提供する約束
をしたが、現在は原料が高くなり、選別場もソウル市外の京義道に移転して輸送コストもか
-参考資料93-
かり、収益のない事業となっている。自治体も、直接販売しているところがあるが、販売価
格が高く原料戦争という状態になっている。
・ 工場の稼働率は 95%だが、全国 23 会社の平均稼働率は 56%にとどまっており、不安定な状
態。安心して仕事をするためには、原料となるペットボトルの安定的で低コストな入手が不
可欠だが、それが難しくなっている。昔は使途が限られていたが、これからは高付加価値の
リサイクル製品が多くなるのでさらに競争が激しくなる。韓国は回収時点でのコストが高く
なっているのが、一番の問題だと思う。
・ 韓国も日本と同様で、中国への流出が課題である。650 ウォン/キロで中国の業者がベールを
購入していく。最近中国で規制が緩和された。大手リサイクル事業者を中心にこれから対策
を検討する。
・ 個人的な意見だが、現在の市場論理に任せる方針には反対である。なぜなら、中小企業は環
境基準を考えず、逆に環境を悪化させている可能性もある。例えば水を 260 トン/日と大量
に使うが、中小企業ではその処理が適切に行われているか分からない。大手は環境規制を守っ
ているからコストが高く赤字になっている。
・ 環境部において、リサイクル工場の認定制度や施設の基準などをしっかりと策定すべきだと
思う。現在では市場原理に任せるという点でみれば、韓国は世界一。80%が市場原理理で回っ
ている。しかし、残渣 30%の処理コストが入っているかなど、データがどの程度正確かどう
かは不明。
・ ペットボトル本体やラベルにもさまざまな素材が使われていることも問題。
-参考資料94-
5.5 プラスチックフィルム類リサイクル事業者
サムホ環境技術
5.5.1.工場の概要
・ 設立:2000 年 9 月
・ 従業員:31 名
・ RPF 生産事業者では最大手。
・ 年間処理量(トン)
:
(2010、2011 は長期リサイクル目標による見込量)
区分
廃資源収集量
Fluff-RDF 生産量(残渣-焼却)
RPF 生産量
2008
60,710
37,332
23,378
2009
75,060
23,030
52,030
2010
100,000
30,000
70,000
2011
130,000
35,000
95,000
5.5.2.プラスチック(フィルム類)リサイクル工程について
・ 扱っている資源プラスチック(フィルム類)は、産業廃棄物(7 割)
、家庭ごみ(3 割)
。この
工場はフィルム類のみ扱う。
・ インプットされる資源は、RPF用 8 万ウォン/トンの逆有償で引き受け。(日本の 4 分の
1程度)
・ アウトプットされる製品は、RPF 平均 8 万ウォン/トン (品質によって 7~12 万ウォン/
トン)
。
RPF ペレット 30%、セメント工場燃料 70% 残渣 1%。
・ セメント工場燃料(70%分)については、品質がよくないため無償提供または運搬費のみで
引き渡し。
・ 一定量を処理すれば、全体としては赤字にはならない。
5.5.3.EPR 制度への評価
・ 今後も制度の改善が必要である。リサイクル費用を負担するのは消費者。EPR によってリサ
イクルされる量(現状 13 万トン)を拡大する必要がある。それによって環境負荷も減らせる
と思う。
・ 韓国は、80 年代は焼却、2000 年代からからはヨーロッパに習ってリサイクルを政策の主眼に
おいている。今後再生可能エネルギーにも注目していく。
・ 最近はすべてを燃やしてエネルギー化する方向もある。今後は EPR よりも新エネルギー政策
に重きが置かれるのではないか。
・ 今の EPR によるリサイクルは、素材的に様々な区分があるため、品質が低い。エネルギー利
用がよいのではないか。環境省の政策諮問委員として参加しているが、政府のほうでもそれ
に向けた議論がある。
・ プラスチックリサイクルではマテリアルが重視されるが、できない場合はエネルギー回収へ、
プラスチック以外の資源全般についても、エネルギー回収の方向に行くのではないか。
-参考資料95-
5.6 自治体 ソウル市カンブク(江北)区 清掃行政課
5.6.1.カンブク区概要
人口 34 万人、23 平方キロメートル(ソウル全体の 3.9%、うち緑地面積 55%)。
世帯数:戸建 48%、集合:52%
5.6.2.一般ごみ、資源ごみの回収方法
(1)ごみの回収方法
・ ごみの分け方は、生ごみ、可燃、不燃、小型家電、EPR 対象資源。
・ 一般ごみと生ごみは毎日排出、夜中に回収。
・ 韓国人が 70 歳までに排出するごみは 55 トン。
(1 人 1 日排出量は、約 1kg)
・ 焼却費用:46,000 ウォン/トン、埋立:20,000 ウォン/トン←袋料金でまかなわれるのは一
部のみ。
・ 袋料金:20Lで 520 ウォン。
ごみ袋料金のみでは処理料金をまかなえず、自治体の課題となっている。価格を上げたいが、
市民の反発が予想される。
・ 生ごみは、一般家庭の場合は有料袋(一般ごみとほぼ同じ値段、色違い)を購入して排出。
集合住宅はバケツで排出。2012 年から従量制に代わる予定。2014 年から海洋投棄全面禁止と
なるため、それに向けた準備。資源化方法は飼料化が多い。
(2)資源ごみの回収方法
・ カンブク区の特徴は、資源をネットに入れて収集していること。ネットは 50 リットルサイズ
で、中に入れるものと排出曜日が書かれている。無料で各家庭に配布。
・ 古紙と発泡スチロールは紐でしばる。
・ フィルム類は区が無料配布する専用の袋に入れる。再生方法は RPF 化。
・ カンブク区には 13 の洞(地区)がある。2つの地域に分け、それぞれ曜日を決めて週 2 回回
収している。
・ ソウルでは廃棄物処理が広域化されており、区毎に担当する処理が決まっており(カンブク
区はリサイクル資源の選別、ノウホン区は焼却、トボン区は生ごみ等)、複数の区の回収物が
各区の施設に運ばれる。当施設はカンブク区および近郊のノウホン区、トボン区の分の資源
を選別する施設として建設された。
(3)カンブク区の廃棄物政策
・ ごみの減量にも取り組んでいるが、リサイクル率向上政策に取り組んでいる。ごみ排出量は
毎年 1~2%減尐している。
・ 自治体が関与しない集合住宅の排出量は、自治体ではデータは持っておらず推計をしている。
共同住宅が 52% 商店街と戸建住宅が 48% あわせて 13 万世帯。
・ 住民への分別排出指導は、1)区報で排出関連の情報提供、2)清掃課の機動隊チームが、
排出状況のチェック作業。摘発されればペナルティ。3)各地区住民センターの清掃担当(公
-参考資料96-
務員)が、住民会議などで普及啓発。
(4)廃棄物処理の広域化について
・ ソウル市は、かなり前から人口 1 千万人の廃棄物問題に悩んでいた。埋立も限界にきて、焼
却をはじめたが、住民の反対で焼却処理だけでは処理しきれず、すでに焼却処理場がある区
の人々にもメリットがあるように、廃棄物の処理を分担することになった。10 年前からの議
論が行われ、研究をした上で、自治体同士で契約をして適正な価格で受入をしている。
5.6.3.選別場施設について
・ 当施設の 1 日の選別処理能力は 60 トン。
・ 実際の処理量は 44 トン/日。うち 29 トンがカンブク区の分、16~17 トンがノウォン区から。
・ 15 種類のリサイクル資源を選別。
・ 処理量の推移は、2008 年 31.7 トン、2009 年 29.4 トン、2010 年 60 トン。残渣 30%。
・ 当施設の処理対象は、2つの区(将来は3つの区)の戸建住宅と商店街等事業者から排出さ
れたものを扱う。発泡スチロールなども戸建住宅から排出されたもの。
・ 韓国は宅配サービスが普及しており、水産物をネット等で購入すると発泡スチロールなどで
送られてくるため、個人宅からもそれらが排出される。最近は贈り物として果物より水産物
が選ばれるため発泡スチロールが増加していると感じている。旧正月とチュソクには、贈り
物が盛んなので、その時は一気に増加する。
・ 運営体制は、74 名/日。カンブク区は貧しい人が多い地区で、公共勤労事業労働者として認
められている。
(IMF以降、失業者が増えたため、国の予算による対策事業)。
・ 地下にある構造で臭いの問題はなく、水処理もしている。
・ 選別品の売却先は主に国内リサイクル事業者。今のところまだ、リサイクルに海外業者が入っ
てくることはないのではないか。売却先は毎年公開入札により選定する。
施設外観
収集物
-参考資料97-
手選別
自動選別
自動選別後の手選別
自動選別後の手選別
ベール(フィルム類)
ベール(フィルム類)
発泡スチロール
発砲スチロールインゴット
-参考資料98-
5.6.4.分別収集~選別場運営のコストについて
・ 廃棄物処理広域化に伴い、国とソウル市とカンブク区がお金を出し合って建設。トータル 242
億W。
・ 他の区の資源は 42,000 ウォン/トンの処理費をもらって受け入れる。
・ 資源売却益については、収入は区に入り運営費、人件費、消耗品費となる。
・ 施設の収入:4 億 9,800 万ウォン、人件費・運営費:18 億ウォン、資材・消耗品費:3 億 5,000
万ウォン。
トータル 17 億ウォンの赤字(カンブク区のみの数字。広域化は 2010 年の 10 月から開始し
たもので他 2 区の数字はまだ入っていない。
)
5.6.5.自治体の役割について
・ 資源を分別収集しないという選択はできない。法律(廃棄物管理法と資源リサイクル促進法)
により、自治体はリサイクルできるものはリサイクルすべきであり、焼却や埋立てはできな
いと規定されている。
・ 会計的には赤字になるが、リサイクルには意義があると考える。
・ 収集・運搬収集については、一部委託、一部自ら。13 洞(地区)といったが、5つは委託で
8 つは直営。
5.6.6.EPR 制度への評価
・ 生産者に負担金をかける制度だが、生産者が 100%費用を負担しているわけではない。自治体
が負担している。EPR 制度による支援金は自治体には全く入らず、自治体の会計にメリット
がないのが問題。
・ リサイクル義務率に応じた負担金のため、支援金の分しかリサイクルされない点が問題であ
る。例えば、義務量が 100 トンの場合、リサイクルセンターが 120 トン処理できたとしても、
支援金をもらえる分しかリサイクルしない。
5.7 ヤンチョン(陽川)区選別場/ヤンチョン区清掃行政課
5.7.1.ヤンチョン区概要
・ 共同住宅 51%、戸建住宅 49%の構成となっている。
・ ヤンチョン区全体の世帯数:184,378 世帯、人口 501,478 人。
・ 韓国の廃棄物法によると、世帯が 300 以上になると集合住宅として、民間業者と直接契約が
できることになっている。
この選別場は、戸建住宅と商店街からの資源を選別。
5.7.2.一般ごみ、資源ごみの回収方法
(1)ごみの回収方法
・ 戸建住宅の場合は、戸別排出なので、リサイクル品目は定められた曜日で週に3回。一般ご
み、生ごみは毎日回収される。ただし生ごみは数戸まとめた回収拠点に排出する。
-参考資料99-
(2)資源ごみの回収方法
・ 戸建住宅専用の選別場なので、すべての品目が混じっている。かつては分別排出をしてもら
おうとしたが、住民の反対で混在スタイルとなった。
・ 59%の残さには、主に①非常に汚れているリサイクル品、②一般ごみも混じっている。韓国
でも違法な排出者には罰金制度がある。ただ、紙、PET が入っているので、紙が濡れてしま
うと残さになってしまう。一緒に回収することが問題ではある。
・ 分別表は作成して各家庭に配布している。新住民には説明会や、電話での問い合わせには回
答している。
5.7.3.選別場概要
・ 創業開始は 1999 年。
・ 以前は曜日別に、品目別に回収をしていたが、2006 年から一括回収に変更した。
・ 選別施設、事務所、環境美化員休憩室がある。広さ 1,500 平方メートル。
・ 処理量は 50 トン/日。
・ 機材内容:機械、ベルトコンベア、発泡スチロールを溶かす機械、圧縮機 3 台、リフト 3 台。
・ 運営は民間委託。
・ スタッフ 36 名。
・ 去年の処理量:10,270 トン。うちリサイクル品目 4,182 トン、残渣 6,088 トン(59%)
・ 品目ごとにリサイクル業者に事業者(自治体としては関与せず、任せている)
、売上の一部(品
目に関係なく、10 ウォン/kg)を区が受け取り、「リサイクル用品販売代金管理基金」(助成金)
や広報などに活用。
・ 去年の基金収入は 4,000 万ウォン。基金総額 13 億 8,000 万ウォン。
・ 1999 年より、基金で廃家電リサイクルセンターの支援(ヤンチョン区には 4 箇所あり)、教育
資源循環広報教育館運営、環境教育などを行っている。
収集物
収集物
5.7.4.選別作業の流れ
・ ヤンチョン区は大型回収業者 5 社(入札で決まった、1社ですべての品目を扱える業者)が
回収実施。選別後、品目別に販売。
-参考資料100-
・ 搬入されたごみはベルトコンベアに乗せられて手作業で選別。リサイクル品がコンベアに乗
せられて上にあがると、そこで待っている人が、担当の品目を選別して抜き出す。
5.7.5.自治体の役割について
・ EPR 制度が入っても、生産者からのお金の支払いなどは一切ない。ただ、リサイクル品目が
増えたことで、廃棄物として回収・処理費を払っていたものが、10 ウォン/kg で売却できるよ
うになったのでメリットはある。
・ 回収業者との契約では、1世帯 1,200 ウォン/月という計算で委託費を支払っている。
・ 残渣(60%)のうち 40%分の処理費を自治体として負担、20%分は業者負担。
・ フィルム・ビニール類は、集合住宅では一般ごみとして処理されていたが、自治体としても
集合住宅への指導はしている。フィルム類はあまりお金にならず引き取らない業者もあるの
で、集合住宅から処理を区に依頼されることもある。
5.7.6.EPR 制度への評価
・ EPR 制度でフィルム類が含まれたので、一般ごみだったフィルム類が、リサイクル品として
排出されることになったが、フィルム類は素材が複雑なので、選別残さが増加することになっ
た。ただ、一般ごみの量は減ったといえる。
・ 制度導入前は、廃プラスチックの焼却で環境汚染を引き起こすため埋立せざるを得なかった。
家庭ごみの3分の2がプラスチック類だが、導入後はラーメンの袋などもリサイクル品目と
なったので自治体としてはありがたい。
5.7.7.その他
・ 都市鉱山事業について:ソウル市全体の事業(2010 年~)で、携帯などの小型家電を無償(以
前はコストをはらって)で回収(週 2 回)して、貴金属を取出している。去年から始まって
いるが、無償で引き取ることで、回収がうまくいっている。回収されたものは SR センター(ソ
ウル市が運営)で解体される。
5.8 ヤンチョン(陽川)区集合住宅自治会(管理組合、婦人会)
5.8.1.モクトンアパートの概要
・ 規模:1512 世帯。
・ 1993 年に入居開始。
5.8.2.ごみの排出方法(全般)について
・ 韓国では廃棄物は一般ごみ、資源ごみ、生ごみの 3 種類にわけられる。2000 年から段階的に
分別を開始した。
・ 一般ごみは、燃えるごみ(製品プラはこちら)
、燃えないごみ、粗大ごみ、小型家電、フィル
ム類・ビニール類。これらは回収会社に委託。
・ 一般ごみは有料ごみ袋に入れて排出し、自治体が回収。ごみ袋の大きさは5~100 リットルあ
-参考資料101-
る。
毎日いつでも出せる、毎日早朝に回収。
・ 有料ごみ袋の価格。
5L 10 枚
900 ウォン
10L 10 枚
1,700 ウォン
20L 10 枚
3,500 ウォン
50L 1枚
880 ウォン
100L 1 枚
1,760 ウォン
・ 生ごみは専用バケツに出す。費用は自治体によって異なる。ヤンチョン区の場合、1,500 ウォ
ン/月・世帯。→民間委託。毎日早朝に回収。
・ 世帯人数、排出量に関係なく均一額だが、電気使用量 50KW 以下の家庭には料金賦課なし。
一人暮らし世帯に配慮している。
・ インチョン市では、生ごみも有料袋に入れて回収、削減に取り組んでいる。
・ 粗大ごみの場合、ごみ毎に業者が決まっており、処理業者に電話して費用を払って回収して
もらう。
・ 衣類も別にリサイクル用品として有価で売却。別途契約で 1,000 ウォン/月・世帯を受け取る。
・ 韓国ではほとんどのアパートでは一般ごみと衣類を一つの企業と契約するが、ここではそれ
ぞれ違う会社と契約をしている。
・ ごみ出しの頻度は、何日かためて出す家庭もあれば、家族が多ければ毎日出す家庭もあるだ
ろう。
・ ソウル市内の大型マーケットでは、共用袋(レジ袋兼ごみ袋)を販売しており、ソウル市内
のどこでも利用できる。
5.8.3.資源ごみの排出方法について
・ リサイクル品は 3,000 ウォン/月・世帯を受け取る。実際の排出量に関係なく、年間契約。
リサイクル品の分別は、紙、ガラス、金属、プラスチック(ペットボトル、ヨーグルト容器、
水タンク、調味料、洗剤容器)
、発泡スチロール。
・ この住宅地では、フィルム類は一般ごみとして排出。
・ プラスチック容器包装には、ごみの捨て方が表示してある。
・ リサイクル用品は日曜日に出し、月曜朝に回収。衣料品は箱で回収、業者が定期回収。
・ リサイクル品売却契約でもらえるお金の配分について、会計は管理事務所で一括管理。それ
を原資に、婦人会に有料ごみ袋(年に1~2回、20 リットル数枚程度の尐量)を配布する。
-参考資料102-
分別排出場所
資源容器
5.8.4.ごみを減らすインセンティブは
・ 制度的にはないが、ソウル市が補助金を出し環境団体が参加して、アパートと一緒にごみ削
減のキャンペーンをやっており、平均の排出量より削減できれば、インセンティブが与えら
れる。
5.9 資源循環社会連帯(Korea Zero Waste Movement Network)
5.9.1.団体概要
(1)沿革、概要
・ 1997 年に国内約 240 の環境・消費者・女性・市民団体が共同して発足。
・ ごみ問題解決のための政策提案、廃棄物管理、リサイクル体系の構築など、廃棄物に関係す
る全般的問題解決のためのネットワーク活動を行っている。
・ 廃棄物政策に関する専門団体として環境部との関わりも深く、様々な調査事業の受託なども
行う。
・ 現在常勤スタッフ 6 名、ボランティアスタッフ約 30 名。
(2)主な活動内容
・ 焼却・埋立代案提示
・ 包装廃棄物削減
・ 生ごみ削減
・ 有害産業廃棄物適正管理システム構築
・ 廃棄物政策全般に関する政策提言
・ EPR 制度促進を通じた使い捨て用品削減
5.9.2.EPR の実施体制について
・ 自治体と生産者の役割分担について、韓国では、法律では分別回収は自治体の役割だが、そ
れが有価で取引されることもあり、はっきり分かれていない。
・ 韓国の EPR 制度は、ドイツの制度に倣おうとしたが、生産者負担の増加に懸念の声が大きかっ
-参考資料103-
た。一方日本のシステムを倣おうとしたら、自治体の反対が強かった。そこで、今のあいま
いな役割分担になった。以前から有価でのリサイクル制度が回っていた。
・ 1995 年ごみ従量制導入により、リサイクル率が高まったが、ある時点からごみが減らなくなっ
た。その原因の一つはプラスチック(特に包装材)であり、ごみ問題解決の突破口を探るう
ち EPR 制度ができた。
・ 市場でのリサイクルには限界がある。EPR 制度によってリサイクル市場の拡大も期待した。
・ ペットボトルの場合預置金制度(1998 年)が先にでき、これに EPR 制度で他のプラスチック
が加わった。
・ 回収費用は、韓国でも約 80%が自治体負担。
5.9.3.リサイクル義務率の決め方
・ 2003 年に「義務量」が決められた。各年のリサイクル義務量は、前々年度の出庫量(販売量)
と前年度の出庫量、リサイクル実績を勘案して算定する公式がある。前々年度の実績による
数値だと、当年の状況とはずれが生じるため、義務「率」に変更になった。新しい品目につ
いては、新たに法律で定める。
・ 当初、長期目標はなく、前年度に決められるリサイクル率のみであったが、見通しが立てに
くいとの生産者の声により、2007 年に長期目標(5 年)が定められた。2012 年に、次の 5 年
目標を立てる予定。
・ 義務率を達成できない場合は、ペナルティが課される。
・ 義務率の分母と分子は、日本とは異なる。例えば、PSP(ポリスチレンペーパー)は、リサイ
クルしづらいため義務率は低い。
・ 紙パックも、古紙に混じることが多い。
・ リサイクル義務率の分母となる出荷量は、家庭から出されるものだけでなく、事業所(商店
街、オフィス、デパートなど個人~会社規模)から出されるものも対象となる。
5.9.4.資源の回収~選別システムについて
・ 戸建住宅と集合住宅とによって違う。
1)戸建住宅の場合
・ 自治体が自治体の負担で収集・運搬。
・ リサイクルできるものは無料、できないもの(一般ごみ)は有料(生ごみ、焼却ごみなど)
で収集。
・ コスト:20 万ウォン/トン
プラスチックは 45 万ウォン/トン
・ 自治体の選別センターで PET、PE、PP、PS、EPS インゴットに選別。
・ それぞれの値段で販売されており、選別費用と相殺して、プラスマイナスゼロまたは赤字。
2)集合住宅の場合(韓国で 50%以上、100~1万世帯の団地)
・ 資源回収ボックスを設置。PET、ヨーグルト、発泡スチロールなど。
・ 民間回収業者と直接契約。そこから民間選別施設へ。
-参考資料104-
・ 共同住宅には、自治会と婦人会がある。リサイクル事務を実施しているのは、ほとんどが婦
人会。
・ 資源の売上は、月に 1 家庭あたり 2,000~3,000 ウォンほど。修繕積立金などとして還元され
る。
・ 最近改正された住宅法、共同住宅令に、ごみ処理業者との契約に関する規定あり。
・ まれに、自治体の資源も民間選別施設で併せて扱っている場合もある。
・ 韓国の場合、どこまでが生産者の義務かというのが不明瞭。民間との直接契約も可能である
し、非申告回収業者(細分化された民間収集業者)がある。
3)選別場からリサイクル事業者への引渡し
・ リサイクル業者が選別場から資源を買い取る価格が高くなっている。EPR のリサイクル義務
に基づく支援金の影響と思われる。
・ リサイクル業者は、量を確保するほど利益が上がる。
・ 生産者からのお金を各セクターに再配分するというのが EPR のメカニズム。
5.9.5.リサイクル手法の順位づけについて
・ タイヤはサーマルリサイクルに回されている。これをもっとマテリアルにすべきという議論
はある。
・ 包装材(容器)はほとんどマテリアルリサイクルされている。
・ 日本ではケミカルが多いが、韓国ではマテリアルの方が経済的であり、ケミカルはほとんど
ない。リサイクルはほぼ中小企業がやっており、大手企業がケミカルリサイクルに参入する
ことが懸念されている。←施行令 19 条+別表 4、施行令 21 条に規定あり。
・ 日本の場合 PET のみ有価、ほかは逆有償だが、韓国はほかのマテリアルリサイクルもまだ有
価で回る。フィルム包装材は市場でまわらないので、RPF 化される。
5.9.6.EPR 制度の評価
・ 韓国の EPR 制度は、もともと大手事業者に責任を負わせることを意図しており、大手事業者
の製造するものが対象品目として定められた。しかし実際は、中小事業者の容器包装も一緒
に回収されてリサイクルされており、大手事業者の製品でも対象外の品目があるので、資源
循環連帯としてはすべての容器包装を対象としたほうがよいと考えている。
・ ペットボトルの輸出規制については、韓国でも課題である。
・ 韓国では EPR がメーカーによる自主改善(リデュース)につながる効果が弱い。改善案とし
て、包装の材質等を改善する方向に議論されている。
・ 有価でまわっていることは、それだけコストを抑えてリサイクルされているということで、
環境を汚染している可能性が高い。義務率さえ達成すればよいという消極的な状況をつくっ
ている。
・ リサイクル業界はもともと支援金がなくても回せたのに、EPR 制度が入ったため、虚偽報告
などもでてきている。
-参考資料105-
・ 基本的に有価で回るものは EPR 制度にいれる必要はないと考える。鉄クズなどのように、有
価で回るものは EPR 制度から卒業させていく必要がある。現状は、過渡期であるといえる。
5.9.7.容器包装の発生抑制施策について
・ 法律第 9 条:包装材質・方法の取り締まりについて中央政府から自治体に委任している。
「実
務一覧」に簡易測定方法がある。自治体管理区域で、市民団体などが調査し、過剰包装だと
思うものは、測定命令が出され、簡易測定検査の結果が公表される。
・ 法律 15 条の 2 の空容器保証金制度は、リユースびん使用促進のためのもの。
-参考資料106-
参考資料2
国内外の容器包装リサイクル制度の比較・分析に係る研究会
委員名簿
(敬称略、五十音順)
小野田弘士
早稲田大学
織
関東学院大学
朱實
環境総合研究センター
法学部
喜多川 進
山梨大学大学院
小寺 洋一
(独)産業技術総合研究所
斉藤
崇
杏林大学
山川
肇
京都府立大学
教授
(座長)
医学工学総合研究部
総合政策学部
准教授
持続社会形成専攻講師
環境管理技術研究部門
主任研究員
准教授
生命環境科学研究科
-参考資料107-
環境科学専攻
准教授
参考資料3
海外調査の参考文献リスト
【法令等】
■欧州委員会
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Directive 2004/12/EC amending Directive

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the Fourth Amending Ordinance of 30 December 2005 (BGB1. I 2006 of 6 January 2006)

Ordinance of 19 June 2002 on the Management of Municipal Wastes of Commercial Origin

Ordinance of 23 August 2002 on the Management of Waste Wood
■フランス

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
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
Decree 96-1008 of 18 November 1996 on waste management plans for household and similar waste,
as amended by Decree 2005-1474 of 29 November 2005

Decree 98-638 of 20 July 1998 concerning consideration for environmental requirements in the design
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
Un-numbered notification from the Minister for Environment and Sustainable Development, setting
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■ベルギー
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State Structure, as amended by the Law of 16 July 1997

Co-operation Agreement of 4 November 2008 on the
Prevention and Management of Packaging
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
Product Standards Law of 21 December 1998

Royal Decree of 25 March 1999 setting product standards for packaging

Programme Law of 22 December 2003, Chapter 10

Royal Decree of 1 July 2006 setting product standards for packaging
-参考資料108-
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Ordinance 1985:839 on Cadmium, as amended by Ordinance 1992:1385

Ordinance 1998:944 on the prohibition, etc. in certain cases of the handling, import and export of
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
Ordinance 2005:218 on changes to the framework legislation

Ordinance 2005:219 on repeal of certain ordinances on a deposit return system

Ordinance 2005:220 on the return system for plastic bottle and metal cans

Ordinance 2005:221 on an amendment to Ordinance 1997:185 on producer responsibility for
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■イギリス
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
The Producer Responsibility Obligations (Packaging Waste) Regulations 2007 (S.I. 2007 No. 871)
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The Packaging (Essential Requirements) Regulations 2003 (S.I. 2003 No. 1941), as amended by the
Packaging (Essential Requirements) (Amendment) Regulations 2006 (S.I. 2006 No. 1492)
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The Household Waste Recycling Act 2003
■デンマーク
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Law 879 of 7 June 2010 amending the Danish Act on environmental protection (Deposit and return
systems)

Statutory Order No. 713 of 24 August 2002 on deposits and collection etc of packaging for beer and
certain soft drinks (Deposits and Fees Order), as amended by Statutory Order No. 1129 of 27
September 2010 on deposits and collection etc of packaging for beer and certain soft drinks

Statutory Order no. 477 of 28 May 2006 on certain requirements for packaging
■韓国
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
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Decree No. 20905, Jul. 3, 2008
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