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2014年1月号

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2014年1月号
新・参考業務月報
ICHIKAWA LIBRARY
発行:市川市中央図書館
INF
REF
編集:レファレンスカウンター
こども
〒272-0015
電話 メール 中央計
行徳
市川市鬼高1-1-4
BM
南行
信篤
平田
2014年
1 月号
℡.047-320-3333
駅南
全館計
1月 1,012
708 756 546 2 3,024 738 22 183 194 169
549 4,879
累計 11,041 9,020 9,130 2,911 13 32,115 8,234 384 2,340 2,078 1,964 10,364 57,479
INF:インフォメーション・カウンタ REF:レファレンス・カウンタ BM:自動車図書館
今月のレファレンス記録票から
分類
291.9
質
問
と
内
容
鎌倉時代の大隅国の荘園について書かれた本はあるか。また、大隅国の中の郡な
どが分かる地図があれば見たい。
大隅国は、かつての令制国のひとつで現在の鹿児島県大隅半島周辺にあった。
『講座日本荘園史 10 四国・九州地方の荘園』
(吉川弘文館 2005)p.406-452 に、鎌倉時代
の大隅国の荘園についての記述と荘園分布図が掲載されている。
『角川日本地名大辞典 別巻 1』
(角川書店 1990) p.233「荘園一覧表」には 12 世紀末までに見える大隅国の荘園名と主要な領
主が記載されている。また、インターネット上のいつくかのサイトでも古地図を確認することが
できる。
→TOPICS 1
468
子どもの頃、行徳には「ドイツネズミ」がいるときいていた。ドイツネズミは戦
争中に皮を使うためにドイツから輸入したネコくらいの大きさのネズミだときいた
が、どんな動物なのか? 20 年くらい前に新聞にも載っていた記憶もある。
『房総の生物』(河出書房新社 1985)p.161 に水生の大型ネズミであるマスクラットの記述と
して 1978(昭和 53)年に行徳で撮影された写真とともに「地元ではドイツネズミと呼んで、発
見しだい撲殺している。
」とある。『日本の外来生物 決定版』(平凡社 2008)p.42-43 でも、マ
スクラットにはニオイネズミやドイツネズミという別名があることと、その特徴や生態および写
真が確認できる。また、『市川市自然環境実態調査報告書 2003』
(市川市 2004)p.304 では「太
平洋戦争中江戸川区の養鶏業者が養殖・飼育していたものが戦後野外に放たれ、江戸川を中心に
野生化した移入種」であり、妙典や行徳周辺がハス田や湿地であった頃はかなり広がったようで
あるが、2002(平成 14)年頃には恒常的に生息が確認されるのは、行徳近郊緑地特別保全地区(行
徳の野鳥観察舎周辺)だけとある。
マスクラットは、ハス等の農作物、マコモ・ヨシなどの従来種の水生植物などへ悪影響を与え
る懸念から 2006(平成 18)年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」
に指定された特定外来生物であり、環境庁HP内の特定外来生物一覧でも詳しい解説を確認する
ことができる。(https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/L-ho-11.html)
行徳のマスクラットに関する新聞記事としては、「マスクラットくん、君の身の上は・・・生
息地市川の湿原埋め立て」.朝日新聞.1987-02-22,朝刊,p.22.聞蔵Ⅱビジュアル, https://datab
ase.asahi.com/library2/,(参照 2014.01.04)がある。記事中には「太平洋戦争中に東京都江戸
川区の養鶏業者が飼育していた記録がある。皮がパイロットの飛行服の内張りに使われていたら
しい。」とある。また、
「TOKYO・小動物たちの夏(2)
」.読売新聞.1990-08-08,朝刊, p.17.
ヨミダス文書館, https://database.yomiuri.co.jp/rekishikan/,(参照 2014.01.04)では、「戦
争中は、ドイツネズミと呼ばれた。飼育業者がぜいたく品を禁止する当局の目をごまかすために、
同盟国ドイツの名をつけ『軍用』をPRしたからだ。」と、ドイツネズミという別名の由来につ
いても言及している。
なお、千葉県行徳野鳥観察舎に確認をとったところ、マスクラットは、現在では埼玉県の一部
と葛飾区の水元公園で生存が確認されているのみで、行徳地区では 2000 年代後半から目撃され
ていないとのことであった。
→TOPICS 2
934
ラフカディオ・ハーンのエッセイ「street singer」の入っている洋書を探してい
る。伊集院静がこれについて書いており「門付け」という中にあるらしい。
『小泉八雲集』(小泉八雲/著,上田和夫/訳 新潮文庫 1976)の目次で、「門付け(A street
singer)」はエッセイ『心(Kokoro)』に収録された作品だと確認できた。英語の書籍『Kokoro Hints
and Echoes of Japanese Inner Life』(Hearn,Lafcadio ICG Muse 2001)を提供。
他にもこんな質問ありました(クイック・レファレンスから)
分類
E
 回答、補足事項、薀蓄など
質問
6 年生の子どもに読み聞かせするために、阪神淡路大震災をテーマとした絵本を探している
『あの日をわすれない はるかのひまわり』(指田和子/作,鈴木びんこ/絵 PHP 研究所 2005)
、
『ゆずちゃん』(肥田美代子/作,石倉欣二/絵 ポプラ社 1995)を紹介。
TOPICS 1 デジタルアーカイブでみる古地図
著作権が消滅した古典作品や古地図など所蔵する資料をデジタル化し、インターネット上で一般に公
開する博物館や美術館・大学図書館などが増えてきました。
大隅国の郡を描いた古地図であれば、国立国会図書館近代デジタルライブラリーで 1878(明治 11)年刊
『大日本国郡精図』(http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/767618)、東京国立博物館情報アーカイ
ブ(http://webarchives.tnm.jp/pages/oldmaps/)で 1783(天明 3)年刊『九州九ヶ国之絵図』、1835(天
保 5)年刊『大日本輿地便覧 坤』、1875(明治 8)年刊『大日本国郡便覧』が、また早稲田大学図書館古
典籍総合データベースで 1837(天保 8)年刊『国郡全図』(http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ru11/ru1
1_01138/ru11_01138_0002/ru11_01138_0002_p0034.jpg)が公開されるなど多数の資料を見ることができます。
TOPICS 2
外来生物法と特定外来生物
「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)は、特定外来生物に
よる生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物多様性の確保、人の生命・身体の保
護、農林水産物の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することを目的とした
法律です。この法律では、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼
養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いについて規制し、特定外来生物の防除等を行うこととして
います。
特定外来生物に指定されたマスクラットやカミツキガメ、ブルーギル、オオキンケイギク等107種類
(平成26年1月30日現在)は、「飼育、栽培、保管及び運搬すること」や「輸入すること」が原則禁止され
ています。また「野外へ放つ、植える及びまくこと」、「譲渡し、引渡しなどをすること」も禁止され
ており、許可をうけて飼育する場合は「個体識別等の措置を講じる義務」が生じます。例えば、特定外
来生物を野外に放ったり、植えたり、まいたりした個人の場合、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰
金など、違反内容によっては非常に重い罰則が課せられることもあります。
なお、平成25年6月12日には、この法律の一部を改正する法律が公布されました。改正外来生物法では、
日本の野生動物の保護と管理の一層の推進のために、(1)特定外来生物が交雑して生じた生物について
も特定外来生物に指定できる、(2)学術研究のための特定外来生物の放出については、環境大臣等が許
可できる、(3)特定外来生物の消毒方法の基準を定めるとともに、環境大臣等が輸入者に対し消毒等の
措置を命令できると改正され、公布後1年以内に施行されることになっています。
市川市でも、多様な生物の生息環境を保全再生していくために、市としての基本的な姿勢を示すとと
もに、自然環境の科学的な評価に基づいた目標と方針、市の事業における配慮事項を体系的にまとめた
「市川市自然環境保全再生指針」を作成し、保全再生を行うための指針や具体的な手法を示しています。
参考『外来生物事典』(東京書籍 2006)
『環境省自然環境局ホームページ 外来生物法』(https://www.env.go.jp/nature/intro/)
『市川市自然環境保全再生指針』(市川市 2006)
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