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科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 第4期ナノ

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科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 第4期ナノ
「元素戦略」 ~「革新的技術戦略」対応施策~
資料5-4
○先端産業で使用されている新素材には希少資源が使用されているが、これらは地域偏在性からの
需給の逼迫による価格の高騰や、環境への負荷の大きさから、希少金属を使用しない安価で高機能な
材料の開発が求められる。
○元素戦略は、物質・材料の特性・機能を決める元素の役割を解明し利用する観点から「材料研究の
パラダイム」を変革し、新しい材料の創製を目指す。
○多様な基礎研究を結集し、希少元素・有害元素の代替技術等の開発による社会貢献を目指す。
○総合科学技術会議が取りまとめた「革新的技術戦略」において、「レアメタル代替・回収」が「革新的技術」
として選定されたことから、この「元素戦略」を拡充して対応する。
基礎研究を結集して、様々な具体的材料創製成果を目指す
“元素戦略”
元素戦略の背景
ニッケル・フリー
ステンレス鋼
ディ
ス
プレ
イ材
料
産業界と連携
し多様な応用
の可能性
社会貢献
元素戦略
・採掘による環境破壊
・鉛など有害物質の使用
基礎学問領域
化学
金属学
電磁気学
ナノテクノロジーと材料分野の研究の蓄積を活用して
希少元素や有害元素を使わずに済む技術を開発
用触媒
環境負荷
白金の数10倍
インジウムを使わない
活性な触媒
液晶ディスプレー
自動車
有害物フリー
・液晶ディスプレイ用透明電極
=インジウム
・モーター用磁性材料
=ディスプロシウム
タングステ
ンを使わな
い高信頼性
工具
鉛や水銀を
使わない材料
希土類磁石
資源の供給不安や偏在
価格の急騰
先端産業で求められる
新素材
具
工
硬
超
需給リスク
希少元素の
使用量の増加
板
用鋼
構造
高機能材料の追求
・希少元素を添加した合金
・白金を使った触媒
希土類に
頼らない
磁性材料
結晶学
様々な学問領域
の研究力を糾合
力学
物理
1
レアメタル代替材料・回収技術
技術の概要
革新的技術戦略概要の抜粋
日本の技術の優位性
・構成元素が材料の特性発揮に果たしている役割とメカニ
ズムを科学的に解明し、レアメタルを豊富でありふれた元
素で置き換える代替材料の開発。
・使用済製品に含有されるレアメタルを、環境負荷を最小化
しつつ再生可能な資源として効率よく回収する技術・シス
テムを確立。
・インジウムを使わない透明電極技術候補の一つである酸化
亜 鉛研究では、基本特許出願もあり日本が世界のトップ。
・Nd-Fe-B系磁石の性能(高温保持力)等に関するジスプロシ
ウムの研究開発で、日本は世界のトップ。
・複数回使用でも失活しない触媒の開発で、日本は世界の
トップ。
・重金属等の要管理元素を不溶性の大型の結晶として安定
化し、 レアメタルを回収する技術で、日本が世界のトップ。
社会へのインパクト
エレクトロニクス、情報通信、自動車、ロボット、医療等の先端産業において使用されるレアメ タル等
の希少資源に関し、世界的な経済成長と先端産業の拡大に伴う消費量の急増や資源 国の資源政
策を背景として、価格高騰、需給リスクが発生。
・資源小国である我が国を資源制約から解放するだけでなく、世界に先駆けて代替材料・回収 技術を
開発することで、資源外交を有利に進め、我が国産業の競争力の維持・強化が可能。
・液晶パネルディスプレイに必須なインジウムは安定供給が課題とされているが、 代替・回収 技術の
開発により、50%以上の使用量削減が可能。
・ハイブリッド車等の高性能磁石に必須なジスプロシウムは、中国の生産独占で需給リスクが 懸念さ
れているが、代替・回収技術の開発により、30%以上の使用量削減が可能。
・世界的な管理の重要性が指摘されつつある使用済製品中の重金属等の適正管理が可能。
レアメタルの使用例
・
開発のための必要とされる組織・体制
・代替技術については、元素の機能発現機構解明が不可欠なので、大学・研究機関と関連 企業
の産学連携を整備して推進。
・回収技術については、使用済製品の効率的な収集やレアメタル含有部品の取出、非鉄製 錬技
術を活用したレアメタル回収等を通じた回収効率及び環境負荷の程度の実証レベル での研究
が必要なため、大学・非鉄金属製錬企業、リサイクル関連企業及び自治体等に よる産学官連
携の共同研究を実施。
・我が国における資源供給リスクに対する中長期的な戦略に基づく推進体制。
ハイブリッド自動車
液晶テレビ
(インジウム) (ディスプロシウム、白金)
携帯電話
(コバルト)
超硬工具
(タングステン、チタン)
必要とされる
システム改革事項
・回収技術が確立したレアメタ
ルを用いた部品について、含
有されるレアメタルのデータ
を 整備することが必要。
2
平成21年度に新たに加える研究開発の要素
革新的技術戦略である「レアメタル代替材料・回収技術」には、文部科学省「元素戦略」、経済産業省
「希少金属代替材料開発プロジェクト」、環境省「回収技術」が対応している。
現在、経済産業省の希少金属代替開発プロジェクトとは合同で戦略会議を開催しており、省庁連携の
成功事例としての評価が高い。
「元素戦略」については、希少資源の代替・使用量大幅削減の観点とともに、資源のリサイクルを推進
する観点(材料をあらかじめリサイクルしやすい成分で作る等)を新たに加え、関係省庁と連携して推進。
関係省庁での推進に当たっては、内閣府、経産省、環境省とともに合同会議を設置予定。
ユビキタス元素による
組織・成分設計
文科省担当
製品
分解・分離が容易な
構造・成分設計
希少元素・有害元素に
頼らない
循環型社会の構築
スクラップ
材料
文科省担当
リサイクル・再利用が
容易な成分設計
経産省、環境省と連携した
元素戦略の推進イメージ
3
具体的な研究開発の例
6億円から12億円に拡充
現状
1.リサイクルしやすい元素による材料設計
全量溶解して
親銅元素だけ個別分離
-合金元素フリー、ユビキタス元素利用による組織・成分設計で希少
5千万円×4課題
元素を使わない-
将来
・リサイクルしやすい元素、材料からの分離・濃縮が容易な元素を活用した材料・
構造設計
・希少元素・有害元素をリサイクルの容易な化合物・ユビキタス元素・ナノスケー
ル制御構造組織などで代替する技術の開発
・触媒、光、エレクトロニクス、電池、強度靱性など、目的とする材料機能/性能を
設定し、これに必要な元素機能や組織を開発
再生・分離しやすい組成をベース
にした高機能素材の創出
人工物組成を活用した素材技術
2.スクラップから希少元素を回収再利用する技術開発
分離・回収技術
-効率的高選択性リサイクル技術開発により希少元素を回収・再利用
5千万円×4課題
する-
・スクラップから希少元素を回収してリサイクルするための単純な精錬プロセスの
開発
・高選択性溶液中イオン分離技術の開発
・希少元素含有スクラップを迅速に分別する物理化学分析方法の開発
資源として再利用
希少元素の高選択性分離回収技術
拡散ブロック層導入
3.スクラップ・低品位原料使用を前提にした新たな機能 ゲート
開発
ソース
-不純物に鈍感でリサイクルを前提とした材料設計で希少元素を
5千万円×4課題
回収・再利用する-
・不純物を含んだ成分を前提にした新たな機能/性能開発
・低品位原料から不純物を積極的に利用する技術の開発
SiO2絶縁膜
ドレイン
Si基盤
不純物拡散に敏感
不純物傾斜構造
チャンネル部の高純度を確保しつつ
全体の不純物許容度を増す超構造
不純物に寛容な素材技術
4
1.リサイクルしやすい元素による材料設計の研究例
ユニバーサル構造材料の開発
【従来技術の問題点】
• 従来の材料は強度、靱性、耐食性、耐摩耗性など、機能により作り分けされて
おり、それぞれの材料機能は、おもに添加元素により実現されていた。
• この結果、一つの製品に多種多様な材料が用いられ、リサイクル時に分離する
必要があった。
• 廃棄時の分離が不要となり、リサイクル・再生が容易となることから、一種類の
材料に多様な機能を持たせることが求められている。
【技術開発の要点】
• 同一の成分系で異なる特性を実現する、塑性加工、熱処理と表面処理をベー
スとしたナノ構造制御技術を開発する。
高強度材料
ナノ構造
制御技術
塑性加工
熱処理
表面処理
結晶粒径
制御
表面構造
制御
ナノ析出
制御
耐摩耗材料
高靱性材料
高耐食材料
高延性材料
種々の機能を
求められる
一つの部材を
単一材料で構成
高強度材料
粒界構造
制御
高加工性材料
5
2.スクラップから希少元素を回収再利用する技術開発の研究例
革新的希少元素分離技術の開発
【従来技術の問題点】
• 従来の分離技術は溶融による液相分離・蒸気圧分離・蒸留分離が主であって、大量の
熱エネルギーを消費する。
• 一方、水溶液に溶解して希少金属をイオン化して分離する湿式製錬技術は、低い生産
性と選択性に問題がある。
【技術開発の要点】
• 高い選択性・生産性で所望のイオンを分離濃縮できる膜技術・イオン交換技術を開発す
る。
• 特定元素を選択的にイオン化できる触媒技術を開発する。
• 特定元素・イオンをとりこむ微生物のメカニズムを解明模倣し、希少元素・イオン分離技
術を開発する。
イオンとして単独で分離濃縮が可能
加熱不要
湿式精錬
水溶液
Aイオン
触媒分離
Bイオン
吸着分離
Cイオン
交換分離
Dイオン
分離膜
Eイオン
分離膜
高効率・高選択性イオン分離技術の開発が必要
溶融精錬
溶融
A元素
蒸気圧分離
加熱が必要
B元素
溶融分離
C元素
スラグ化分離
合金からの純物質の
分離が必要
D元素
スラグ化分離
スラグ(酸化物など)
からの純物質の分離が必要
E元素
凝固分離
合金からの純物質の
分離が必要
6
3.スクラップ・低品位原料使用を前提にした新たな機能開発の研究例
【従来技術の問題点】
• 従来の材料ではリサイクルの際に一旦不純物元素を除去し極限まで清浄化して改めて
元素を添加なければナノ構造制御ができず、バージン材並の特性を得ることができな
かった。
• の開発が求められている。
【技術開発の要点】
• 不純物が材料中に残留しても特性に影響しないようなナノ組織構造を探索する。
• 特段のコントロールなしにナノ構造制御に有用な効果をもたらすような、不純物の活用技
術とナノ構造制御技術を開発する。
スクラップ・従来材料
材料中に不純物が
析出・偏析して
材料特性を害する
従来の
リサイクル
一旦不純物を
すべて除去して
清浄化してから
改めて添加元素
を加える
結晶粒微細材料のマトリクスに
不純物が微細に析出して
材料強度を向上する
結晶粒微細材料の粒界に
不純物が均一に偏析して
影響を及ぼさない
7
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