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データブック2000年 - 東京都健康安全研究センター

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データブック2000年 - 東京都健康安全研究センター
東京都食品環境指導センター
特集号
食品衛生データブック2000
古紙配合率100%、白色度80%
再生紙を使用しています。
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
低脂肪乳による大規模食中毒事件、おびただしい数に上る食品への異物混入事件、O157検
査ミスに伴う食肉製品の回収と莫大な損害の発生、日本で承認されていない遺伝子組換えトウ
モロコシの輸入事件等、20世紀最後の年は食品衛生にかかわる重大な事件・事故で塗りつぶ
されたような感がありました。
これらの事件・事故の要因、背景にはいろいろなことがありますが、突きつめて考えますと
「万全と考えていた衛生管理に大きな落とし穴があり」「油断と安易な衛生管理が企業や行政の
存亡にもかかわる重大な事件・事故につながった」と見ることができます。
ミレニアムが騒がれた年に起こったこれら数々の事件・事故から、私たち食の安全に携わる
者は、何を学び、何をどう改善していくのか、いま深刻に問われています。
「安全対策に絶対はない」ということを、深く心に刻みつけ、それぞれが足下の問題を一つ
ひとつ解決しながら、食の安全に対する都民の認識を深め、それらを全体としてシステム化し
て行くことが、今求められています。
食品環境指導センターは、都政の最前線において食の安全を推進する機関として、残留農薬、
食品添加物、抗菌性物質、環境汚染化学物質、食中毒細菌等について収去検査・調査研究を行
い、有害食品を市場から排除するという重要な責務を担っています。
食の安全は都民一人ひとりにかかわることですが、その基盤づくりは都民、業界、行政がそ
の責任を果たしながら、またそれぞれの立場から議論し、相互の認識と理解を深めながら進め
て行く必要があります。
このデータブックは、当センターが実施してきた収去検査・調査研究結果及び東京の食品衛
生の概況を取りまとめたものです。皆様の食生活の参考にしていただくとともに、これからの
食の安全を都民、業界、専門家等の多くの方々で考えていくための資料としてご活用いただけ
れば、と思っております。
衛生局及び当センターでは、平成12年7月、都庁第一本庁舎北側2階に「都庁展示ホール
健康情報館」を開設し、健康、食の安全、住まいの衛生、薬事衛生などに関する展示を行い、
皆様からの相談にも応じております。また、個人でも小グループでも皆様の要望に応じた各種
講習会も実施しております。
本情報誌「くらしの衛生」とともに「都庁展示ホール健康情報館」を皆様の健康づくりや食
と住まいの安全確保のためにご活用いただきますようご案内申し上げます。
平成13年1月
東京都食品環境指導センター
所 長 大 屋 喜 重
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
目 次
はじめに
第1章 食品の検査状況
1 残留農薬の検査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1)食品の残留農薬検査状況
(2)検査結果の概要
2 食品中に残留する動物用医薬品の検査結果 ・・・・・・・・・・・12
3 食品添加物検査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(1)合成着色料検査結果
(2)合成保存料検査結果
(3)防ばい剤(防かび剤)検査結果
4 環境化学物質による食品汚染調査結果 ・・・・・・・・・・・・・17
(1)魚介類の水銀汚染調査結果
(2)食品等のPCB汚染調査結果
(3)魚介類中のTBTOの汚染調査結果
(4)魚介類中のTPT、農薬(クロルデン類、ドリン類、その他)
汚染調査結果
(5)食品中からのダイオキシン類等摂取状況調査結果
5 野菜類の硝酸根等の含有量実態調査結果 ・・・・・・・・・・・20
6 輸入食品の放射能検査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
第2章 食品衛生を取り巻く状況
1 食中毒発生状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
2 監視指導及び違反処理状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・24
(1)監視指導状況
(2)違反処理状況
3 食品の苦情発生状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
用語解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
One
第1章 食品の検査状況
1 残留農薬検査結果
農薬は、農作物を病害虫、病害菌から守り、また農地に生える雑草の除去や植物の成長を促進・抑制す
るなど、様々な効果を期待しながら使用されています。農薬は、農作物の増産に寄与してきましたが、そ
の一方では、農薬の人体影響や、土壌や河川などの環境汚染が問題となっています。食料の60%を輸入に
頼っている日本では、外国産食品の残留農薬についても留意しなくてはなりません。
東京都衛生局では、毎年、農産物や食品に残留する農薬の検査を行っています。平成11年度に実施した
残留農薬検査の結果をまとめました。
(1)食品の残留農薬検査状況
平成11年度は、124種類の農薬を対象に、日本
及び輸出国の農薬残留基準、過去の検出実績や生産
地別、農産物別などに応じて検査項目を設定し、検
査を行いました。
延検査項目数は、38,358件(国産19,528件、
輸入18,830件)です。
食品別の残留農薬検査結果は、表1のとおりです。
生鮮野菜、生鮮果物を中心に916検体について検査
を行いました。
農薬別にまとめた検査結果は、表2のとおりです。
★検査のポイント
《 臭 素 》
臭素は農薬(くん蒸剤)として使用された臭化メチル、
二臭化エチレン(EDB)などが食品成分中に残留した結
果、検出されたものです。天然の臭素化合物等に由来す
るものも含みます。
《「全果」と「果肉」について》
食品衛生法に基づく規格基準では、食品のどの部分を
検査するかを規定しています。果実については農薬が果
肉にまで浸透しているかどうかも懸念されるところで
す。そこで、例えば、オレンジやレモンなどは果皮を含
めた果実全体を検査するよう規定されているのですが、
農薬の残留実態を把握するために、この規定どおりの検
査と並行して他の部位の検査も行っています。
果実全部を検査した場合は「全果」、果肉の部分だけ
を検査した場合を「果肉」と表記しました。また、バナ
ナのように全果と果肉の両方が示されている場合、規格
どおりの検査を行ったデータを表しています。
2
(2)検査結果の概要
916検体中、166検体(検出率18.3%)の食品か
ら農薬を検出しました。
食品中に残留する農薬については、食品衛生法に
食品・添加物等の規格基準が定められており、平成
13年2月現在、農産物を中心に約130種類の食品
について199農薬の基準が設定されています。
平成11年度は、食品衛生法に違反する食品はあ
りませんでした。
ベビーフード2検体からカルバリル等の農薬を検
出しました。いずれも果物の「もも」と「プルーン」
を主原料とした粉末飲料なので果物由来だと考えら
れます。この粉末飲料の検出値を主原料の果物の残
留基準値と比べると30分の1以下となり、衛生上
の問題はないと考えられます。
残留農薬基準には、食品衛生法の他に、農薬取締
法に基づく「農薬登録保留基準」があります。日
本国内で販売する全ての農薬は、製造業者・輸入
業者が農薬の種類ごとに、農林水産大臣に申請し
て登録を受けなくてはなりません。登録にあた
っては、農薬の効果などとともに安全性試験、土
壌残留性などの基準を満たす必要があります。こ
の農作物等への農薬の残留性の基準を「農薬登録
保留基準」といい、環境庁が定めています。
今回、この登録保留基準を超えて検出された食品
はありませんでした。もし、野菜など市販の食品か
らこの基準を上回る農薬が検出されても法的には販
売等を規制することはできませんが、東京都では、
「農薬登録保留基準」に合致しない食品については、
生産地を所轄する自治体に、その旨を情報提供し、
安全な食品が流通するように努めています。
また、牛肉や加工食品については、食品衛生法に
残留基準値の規定はありませんが、食品安全の基礎
資料とするため先行的に調査を実施しています。
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
表1
食品別の残留農薬検査結果
検査数
分
類
種
類
アスパラガス
その他あぶらな科野菜
アボガド
アルペンミューズリー
アンディーブ(キク科)
いんげん
生
鮮
エシャロット
えだまめ
大葉
おくら
かぶの根
国産 輸入
国別
検出数
農薬名
検出値(ppm)
12
1
1
5
1
5
1
7
菜
カリフラワー
きぬさや
キャベツ
1
トマト
原産国名
9
かぼちゃ
くわい
ごぼう
こまつな
サツマイモ
サトイモ
サンチェ
ししとう
じゃがいも
シャンツァイ
春菊
しょうが
しろうり
ズッキーニ
セロリ
セロリアック
だいこん(根又は葉)
たけのこ類
たまねぎ
チエッシャーナチュラルミューズリー
チンゲンサイ
農薬を検出した食品の原産国名と農薬名
3
野
きゅうり
検
出
数
16
30
1
4
日本
1
1
1
2
キャプタン
ジコホール
フェニトロチオン(MEP)
プロシミドン
0.44
0.02
0.18
0.09 ∼0.14
2
日本
1
1
EPN
ディルドリン
4
日本
1
1
1
3
キャプタン
クロロタロニル(TPN)
ジクロルボス
(DDVP)
プロシミドン
1
日本
1
プロチオホス
3
日本
2
2
クロロタロニル(TPN)
プロシミドン
0.05
0.03 ∼0.05
3
日本
1
3
プロシミドン
メソミル
0.08
0.01 ∼0.21
1
1
2
7
9
0.02
0.01
6
1
1
0.06
0.02
0.08
0.02 ∼0.36
1
3
6
1
3
1
2
3
2.16
1
1
2
6
1
1
3
8
1
1
1
1
1
2
4
1
2
21
トレビス
2
2
なす
18
しいたけ
にがうり
ニラ
にんじん
にんにく
にんにくの芽
ねぎ
はくさい
1
3
2
4
1
6
5
4
4
5
1
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
3
検査数
分
類
種
類
国産 輸入
パプリカ
生
鮮
野
菜
ピーマン
12
2
ブロッコリー
ほうれんそう
マッシュルーム
まつたけ
未成熟えんどう
モロヘイヤ
山うど
リーキ
1
4
1
5
レタス
7
いちご
農薬を検出した食品の原産国名と農薬名
原産国名
2
日本
2
1
1
イプロジオン
ジメトエート
トルクロホスメチル
0.06 ∼0.51
0.08
0.51
2
アメリカ
2
クロルプロファム(CIPC)
0.39 ∼0.45
3
アメリカ
ニュージーランド
日本
1
1
1
5
1
1
2
2
1
2
1
1
3
1
1
2
臭素
臭素
プロシミドン
イマザリル
臭素
2,4 - D
イマザリル
クロルピリホス
2,4 - D
イマザリル
クロルピリホス
臭素
イマザリル
2,4 - D
イマザリル
イマザリル
9
11
0.02
0.01 ∼1.1
4
0.19
1.3∼1.7
0.07 ∼0.07
0.31
0.28 ∼0.37
0.08
10
0.02
0.05
0.01
0.08∼0.08
1
4
5
1
1
2
1
1
1
臭素
臭素
イマザリル
臭素
臭素
イマザリル
臭素
イマザリル
イマザリル
23
1∼16
0.16∼1.4
4
2
0.44∼0.91
1
0.03
0.02
9
2
1
4
2
2
2
2
1
1
1
1
1
7
4
スペイン
14
9
オーストラリア
アメリカ
オレンジ(果肉)
8
6
オーストラリア
スペイン
3
5
1
9
6
5
チリ
ニュージーランド
アメリカ
22
9
イスラエル
南アフリカ
グレープフルーツ(果肉)
4
0.02
0.01
0.01
0.01 ∼0.18
0.09
0.09
2
1
1
オレンジ( 全果)
グレープフルーツ(全果)
EPN
クロロタロニル(TPN)
フェニトロチオン(MEP)
プロシミドン
プロチオホス
メソミル
日本
果
キウイフルーツ(果肉)
検出値(ppm)
5
アメリカ
かき
カクテルフルーツ
キウイフルーツ(全果)
農薬名
1
1
1
4
1
1
鮮
物
国別
検出数
11
レッドグローブ
ばれいしょ
レットカラント
冷
いんげん
にんじん
凍
ホウレン草
野
かぼちゃ
さといも
菜
ブロッコリー
にんにくの芽
乾燥野菜 干しいも
生
検
出
数
9
2
アメリカ
南アフリカ
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
検査数
分
類
生
鮮
果
実
種
類
国産 輸入
さくらんぼ
ザクロ
すいか
スウィーティー
チェリープラム
チェリモヤ
夏みかん
1
日本なし( 果肉)
6
日本なし(全果)
7
ネクタリン
4
5
2
検
出
数
1
1
アメリカ
イラン
2
日本
4
日本
3
日本
農薬を検出した食品の原産国名と農薬名
原産国名
国別
検出数
農薬名
検出値(ppm)
1
1
臭素
臭素
11
2
1
1
1
4
1
1
1
2
1
2
1
1
2
メソミル
カルバリル(NAC)
カルバリル(NAC)
キャプタン
ジコホール
チオジカルブ
デブフェンピラド
メソミル
EPN
イプロジオン
カルバリル(NAC)
クロルピリホス
シアノホス(CYAP)
0.02
0.14
0.23
0.01 ∼0.24
0.18
0.01
0.06
0.02 ∼0.05
0.05
0.15 ∼0.32
0.03
0.01
0.04 ∼0.06
2
1
1
2
1
1
イマザリル
イプロジオン
クロルピリホス
臭素
臭素
臭素
0.03 ∼0.04
0.18
0.39
2, 2
3
1
1
1
4
1
1
4
15
パイナップル
7
バナナ(全果)
19
3
バナナ(果肉)
6
3
エクアドル
パパイヤ
びわ
1
11
ぶどう
7
5
ポンカン
マンゴー(全果)
マンゴー(果肉)
マンダリン(全果)
マンダリン(果肉)
みかん
2
1
9
4
1
1
4
メロン(果肉)
7
メロン(全果)
8
もも(果肉)
もも(全果)
フィリピン
エクアドル
フィリピン
アメリカ
2
日本
1
1
イプロジオン
ジコホール
0.03
0.15
1
フィリピン
1
クロルピリホス
0.07
1
オーストラリア
1
イマザリル
0.02
3
4
日本
3
5
日本
3
2
日本
4
2
日本
1
3
2
2
1
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
ディルドリン
プロシミドン
イプロジオン
クロロタロニル(TPN)
ディルドリン
プロシミドン
イプロジオン
フェノブカルブ(BPMC)
プロシミドン
イプロジオン
クロルピリホス
クロロタロニル(TPN)
ダイアジノン
フェニトロチオン(MEP)
フェノブカルブ(BPMC)
プロシミドン
0.02
0.02
0.30∼0.55
0.10∼0.12
0.01
0.03∼0.09
0.12
0.01
0.09
0.42
0.07
0.11
0.02
0.03
0.01
0.32
5
アメリカ
2
3
2,4 - D
イマザリル
0.01∼0.07
0.05∼1.4
ライチ
ライム
りんご
2
6
2
2
レモン(全果)
1
13
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
5
検査数
分 類
生
鮮
果
物
冷
凍
果
物
乾
燥
果
物
種
類
国産 輸入
検
出
数
レモン(全果)
農薬を検出した食品の原産国名と農薬名
原産国名
チリ
アメリカ
レモン(果肉)
6
いちご
ライチ
ダークイーストチェリー
クランベリー
ラズベリー
プルーン
レーズン
アンズ
アプリコット
パイナップル
バナナ
ブルーベリー
ドライフルーツ
その他
2
2
1
1
1
4
3
2
1
1
1
1
1
6
2
チリ
1
1
1
1
1
2,4 - D
イマザリル
イマザリル
2,4 - D
イマザリル
0.07
1.9
0.16
0.03
0.08
0.16
1
カルバリル
1
ドイツ
1
臭素
4
1
1
1
ドイツ
フィリピン
エクアドル
1
1
1
臭素
臭素
臭素
2
1
2
1
エクアドル
1
臭素
6
3
1
ノルウェー
日本
中華人民共和国
日本
日本
日本
1
1
3
2
2
2
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
3
1
クロルピリホスメチル
マラチオン
臭素
臭素
臭素
臭素
臭素
臭素
ピリミホスメチル
フェニトロチオン
臭素
ピリミホスメチル
臭素
臭素
臭素
臭素
フェノブカルブ(BPMC)
臭素
1
日本
1
臭素
11
5∼9
10
1
1
2
7
9
麦芽
1
7
4
穀類加工品
1
4
4
玄そば・そば粉
3
3
3
玄米
小麦
精米類
ハトムギ粉
デンプン
ホップ
コーングリッツ
オートミール
グレイン
コーンスターチ
スコーンミックス
9
2
19
3
1
2
とうもろこし
1
オーストラリア
カナダ
日本
アメリカ
イギリス
ニュージーランド
フランス
イギリス
2
1
1
1
1
2
1
1
1
日本
アメリカ
アイルランド
ノルウェー
2
1
1
1
臭素
臭素
臭素
臭素
1
3
2
とうもろこし粉
3
3
イギリス
オーストラリア
タイ
アメリカ
カナダ
乾パン
1
1
イタリア
1
1
6
5
1
1
イタリア
カナダ
1
1
1
2
1
1
1
1
1
臭素
臭素
フェニトロチオン
臭素
臭素
ピリミホスメチル
臭素
臭素
臭素
1
検出値(ppm)
アメリカ
小麦粉
マカロニ
らい麦粉
大豆
豆 類
コーヒー豆類
6
農薬名
1
アメリカ
穀
類
及
び
そ
の
加
工
品
国別
検出数
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
0.06
0.04
3∼9
2∼3
5, 5
1∼2
3
1
0.05
0.82
2∼3
0.02
2
12
1∼2
2
0.01∼0.02
2
2
19
0.2
3∼10
2
0.01
3
1
6
検査数
分
類
種
類
国産 輸入
マロハット豆
類 小豆
豆水煮
アーモンド
種
カシューナッツ
実
ピスタチオ
ぎんなん
類
栗
1
1
2
1
1
1
1
1
1
3
1
1
2
1
2
1
臭素
ジコホール
メソミル
イプロジオン
カルバリル(NAC)
ジクロラン(CNA)
ピペロニルブトキシド
イマザリル
臭素
臭素
臭素
臭素
臭素
エチオン
ジコホール
総 DDT
45
0.46
0.13 ∼1
0.16
0.03
0.11
0.07
0.01
9
1∼12
1
2
1∼2
0.02
0.12
0.07
0.01
検出値(ppm)
11
2
日本
ジャム
7
1
菓子類
6
6
2
イギリス
アメリカ
イギリス
イタリア
デンマーク
日本
3
インド
1
日本
1
カルバリル(NAC)
1
ドイツ
1
臭素
他
豆類加工品
加
紅茶
21
4
5
酒精飲料
漬物
清涼飲料
さつまいものシロップ漬け
トマト加工品
マロンクリーム
たけのこ水煮
ディルポテト
バナナチップ
パンプキンペースト
ももシロップ漬け
乾燥マッシュポテト
牛内臓
牛肉
鶏肉
豚肉
生乳
動
物
性
食
品
農薬名
3
の
品
国別
検出数
15
ベビーフード
食
原産国名
1
1
2
ハーブ
工
農薬を検出した食品の原産国名と農薬名
1
1
1
5
4
4
1
1
豆
そ
検
出
数
合
計
3
5
5
3
2
2
2
1
1
1
1
1
1
8
2
4
27
6
20
397 519
916
中華人民共和国
エジプト
フランス
1
166
注)国別検出数は、1 品目から複数の農薬を検出する品目があるため、検出数と合わないものがあります。
表 2 農薬別検査結果
検
農
査
薬
対
名
象
農
薬
検査食品数
分類 用途 国産 輸入
他
草
3
BHC(α,β,γ,δの総和) 塩
DDT(DDD,DDE を含む) 塩
リ
EPBP
虫
虫
虫
319
346
81
2,4 - D
検
名
称
11 オレンジ(全果)
オレンジ(果肉)
レモン(全果)
レモン(果肉)
177
192 紅茶
出
食
品
参
区分 検出数
検出値
(残留基準値等 ppm)
(ppm)
輸入
輸入
輸入
輸入
2
1
3
1
輸入
1
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
考
0.19 ∼0.31 食 オレンジ 2
0.05 食 レモン 2
0.01 ∼0.07 (平成 12 年 4 月施行)
0.03
0.07 食
茶(不発酵) 0.2
7
検 査 対 象 農 薬
農 薬 名
8
検査食品数
分類 用途 国産 輸入
EPN
リ
虫
HCB(ヘキサクロロベンザン)
アジンホスメチル
アセフェート
アルジカルブ
アルドリン
イソキサチオン
イソフェンホス
イソプロカルブ
イソプロチオラン
イプロジオン
塩 菌
リ 虫
リ 虫
カ 虫
塩 虫
リ 虫
リ 虫
カ 虫
他 虫菌
塩 菌
30
29
146
158
209
163
218
35
190
イプロベンホス(IBP)
イマザリル
リ
他
108
3
菌
菌
草
虫
虫
虫
菌
虫
虫
虫
虫
草
虫
虫
虫
菌
虫
321
エスプロカルブ
エチオフェンカルブ
エチオン
エチルチオメトン
エディフェンホス
(EDDP)
エトプロホス
エトリムホス
エンドスルファンⅠ・Ⅱ
エンドリン
オキサジアゾン
オキサミル
オメトエート
カズサホス
カプタホール
カルバリル(NAC)
カ
カ
リ
リ
リ
リ
リ
塩
塩
他
カ
リ
リ
塩
カ
カルボフラン
キナルホス
キノメチオネート
キャプタン
カ 虫
リ 虫
他 虫菌
塩 菌
137
130
189
285
キントゼン(PCNB)
クロメトキシニル
塩
他
161
7
菌
草
162
171
265
191
211
130
130
190
319
169
146
29
163
285
227
検 出 食 品
名
称
区分 検出数
国産
481 ネクタリン
国産
かぼちゃ
国産
ピーマン
45
246
12
84
93
92
386
4
1
輸入
88 バナナ(全果)
国産
ネクタリン
国産
ぶどう
国産
メロン(全果)
国産
もも
国産
レタス
ベビーフード(果物加工品) 国産
1
輸入
41 オレンジ(全果)
輸入
オレンジ(果肉)
グレープフルーツ(全果) 輸入
グレープフルーツ(全果) 輸入
輸入
バナナ(全果)
輸入
マンダリン(果肉)
輸入
レモン(全果)
輸入
レモン(果肉)
オレンジマーマレード 輸入
1
82
輸入
468 紅茶
12
469
469
469
12
132
84
12
386
168
輸入
84 チェリー
ベビーフード(果物加工品) 国産
国産
ネクタリン
国産
日本なし
4
469
1
国産
168 きゅうり
国産
日本なし
国産
未成熟いんげん
1
1
1
参
考
検出値
(残留基準値等 ppm)
(ppm )
0.05
0.02
0.02 食 ピーマン 0.1
1
2
1
2
2
2
1
0.18 食
0.15∼0.32 食
0.03 食
0.30∼0.55 食
0.12∼0.42 食
0.06∼0.51 食
0.16
バナナ 10
ネクタリン 10
ぶどう 25
メロン類(果実)
10
もも 10
あぶらな科野菜5.0
9
6
8
2
2
1
4
2
1
0.01∼1.7 食
0.01∼0.08
0.06∼1.4 食
0.02∼0.02
0.03∼0.04 食
0.02
0.03∼1.9 食
0.08∼0.16
0.01
オレンジ(全果)
5
1
グレープフルーツ(全果)5
バナナ(全果)2
レモン(全果)5
0.02 F/W 紅茶 5
1
2
1
2
0.16 F/W おうとう10
0.01∼0.03
0.03 食 ネクタリン10
0.14∼0.23 食 日本なし 10
1
4
1
0.06 食 きゅうり5.0
0.01∼0.24
0.44
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
検
農
査
薬
対
象
農
名
薬
検査食品数
検
分類 用途 国産 輸入
クロルデン
クロルフェンビンホス
(CVP)
クロルニトロフェン(CNP)
クロルピリホス
塩
リ
他
リ
虫
虫
草
虫
8
321
168
321
クロルピリホスメチル
クロルフルアズロン
クロルプロファム(CIPC)
クロルベンジレート
クロロタロニル(TPN)
リ
他
カ
塩
塩
虫
虫
草
虫
菌
321
12
174
204
190
サリチオン
シアノフェンホス
(CYP)
シアノホス(CYAP)
ジエトファンカルブ
ジオキサチオン
ジクロフェンチオン(ECP)
ジクロフルアニド
ジクロラン(CNA)
ジクロルボス(DDVP)
ジコホール
リ 虫
リ 虫
リ 虫
カ 虫菌
リ 虫
リ 虫
他 菌
塩 菌
リ 虫
塩 虫
リ
ジスルホン
他
シペルメトリン
ジメチルビンホス(E,Z) リ
リ
ジメトエート
ジメトン(O体、S体) リ
他
臭素
虫
虫
虫
虫
虫
他
264
162
293
162
264
162
29
321
263
102
47
183
321
1
51
名
出
称
食
品
区分 検出数
参
考
検出値
(残留基準値等 ppm)
(ppm)
125
481
輸入
輸入
輸入
国産
国産
輸入
3
1
1
1
1
1
0.07 ∼0.08 食 オレンジ 0.3
0.39 食 バナナ 0.5
0.07 食 マンゴー 0.5
0.01 食 ネクタリン 1.0
0.07 食 もも 1.0
0.06 F/W 小麦粉 2
輸入
2
0.39 ∼0.45 食
92
12 きゅうり
メロン(全果)
もも
トマト
ピーマン
80
国産
国産
国産
国産
国産
1
2
1
1
1
0.02 F/W
0.10 ∼0.12 F/W
0.11 F/W
0.05 F/W
0.01
92 ネクタリン
国産
2
0.04 ∼0.06 農
国産
国産
輸入
輸入
国産
国産
国産
1
1
2
1
1
1
1
0.11
0.08 食 きゅうり 0.2
0.07 ∼0.12 食 茶(不発酵) 3.0
0.46 F/W 紅茶 5
0.02
0.15 食 ぶどう 3.0
0.18 食 日本なし 3.0
国産
1
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
国産
輸入
国産
国産
国産
国産
国産
輸入
輸入
1
2
2
5
3
1
3
1
1
5
2
7
1
1
1
1
2
2
1
526 オレンジ(全果)
バナナ(全果)
マンゴー(全果)
ネクタリン
もも
481 小麦粉
ポテト
ばれいしょ
50
きゅうり 5.0
メロン 2.0
ピーチ 25.0
トマト 5.0
果実
0.2
74
80
12 ベビーフード
481 きゅうり
119 紅茶
ハーブ
未成熟いんげん
ぶどう
日本なし
80
1
80
481 レタス
388
66 マッシュポテト
イチゴ
オレンジ(全果)
キウィ(果肉)
グレープフルーツ
(全果)
チェリー
バナナ(果肉)
パパイヤ
ザクロ(果肉)
ドライフルーツ
小麦粉
小麦粉
小麦
ハトムギ粉
そば粉
穀類加工品
ホップ
麦芽
ライ麦粉
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
0.08 農
野菜
1
1
9∼11 食 イチゴ 20
4∼10 食 オレンジ
(全果) 30
1∼23 食 キウィ(果肉) 30
1∼4 食 グレープフルーツ(全果)30
11 食 おうとう 20
2∼3 食 バナナ(全果)20
1 食 パパイヤ 20
2
1∼6
1∼2 食 小麦 50
2∼9
1∼2 食 小麦 50
11
2
12
5∼9
1∼3
6 食 ライ麦 50
9
検 査 対 象 農 薬
農 薬 名
分類 用途 国産 輸入
臭素
他
他
ダイアジノン
チオジカルブ
チオベンカルブ
チオメトン
ディルドリン
リ
カ
リ
リ
塩
ディルドリン(アルドリン含)
テトラクロルビンホス(CVMP)
デブフェンピラド
テフルトリン
デルタメトリン
テルブホス
トリアジメノール
トリアジメホン
トリクロルホン
トルクロホスメチル
パクロブトラゾール
バミドチオン
パラチオン
パラチオンメチル
ハルフェンブロックス
ヒ素
ビテルタノール
ピプロニルブトキシド
ピラクロホス
ピリダフェンチオン
ピリミカーブ
ピリミホスメチル
塩 虫
リ 虫
他 虫
他 虫
他 虫
リ 虫
他 菌
他 菌
リ 虫
リ 菌
他 成
リ 虫
リ 虫
リ 虫
リ 虫
他 虫鼠
他 菌
他 虫
リ 虫
リ 虫
カ 虫
リ 虫
107
1
81
102
27
211
81
81
57
264
ビンクロゾリン
フェナリモル
フェニトロチオン(MEP)
塩
他
リ
190
162
321
虫
虫
草
虫
虫
菌
菌
虫
321
81
196
321
239
27
288
288
8
82
36
184
162
198
321
フェノブカルブ(BPMC)カ
虫
218
リ
リ
虫
虫
1
フェンクロルホス
フェンスルホチオン
10
検査食品数
検 出 食
名
称
トウモロコシ粉
グレイン
オートミール
コーングリッツ
スコーンミックス
乾ぱん
マカロニ
穀類加工品
トウモロコシ
菓子類
玄そば
栗
豆菓子
481 もも
日本なし
1
479
132 かぼちゃ
メロン(果肉)
メロン(全果)
60
160
1 日本なし
80
1
467
1
1
401
154 レタス
1
1
481
481
80
10
19
16 ベビーフード
466
83
479 麦芽
乾ぱん
穀類加工品
31
1
481 トウモロコシ
麦芽
ピーマン
未成熟いんげん
もも
4 もも
玄米
74
388
品
参
考
(残留基準値等 ppm)
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
輸入
国産
国産
国産
2
1
1
1
1
1
1
3
2
6
2
1
3
1
1
検出値
(ppm)
2∼10
1
1
10
2
3
1
2∼3
10∼19
1∼12
1∼2
45
1∼20
0.02
0.01
国産
国産
国産
1
1
1
0.01
0.02
0.01
国産
1
0.06 食 日本なし
国産
1
0.51
国産
1
0.07
輸入
輸入
輸入
1
1
1
0.05 食 小麦 1
0.01
0.02
輸入
輸入
国産
国産
国産
国産
国産
1
1
1
1
1
2
3
区分 検出数
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
食 トウモロコシ 80
食 そば 180
食 もも 0.1
農 果物 3
0.2 食
0.82 食
0.01 食
0.18
0.03 食
0.01 食
0.01 ∼0.02 食
0.5
トウモロコシ 1.0
小麦 10
ピーマン 0.2
もも 0.2
もも 0.3
米 1.0
検
農
査
薬
対
象
農
名
フェンチオン(MPP)
フェントエート
(PAP)
ブタミホス
フルシトリネート
フルシラゾール
フルトラニル
プレチラクロール
プロシミドン
薬
検査食品数
分類 用途 国産 輸入
リ
リ
リ
他
他
他
他
塩
虫
虫
草
虫
菌
菌
草
菌
321
321
265
81
189
189
190
リ
虫
294
カ
プロポキスル(PHC)
リ
ブロモホスエチル
ヘプタクロル(エポキサイド体含) 塩
他
ペルメトリン
カ
ベンダイオカルブ
他
ペンディメタリン
リ
ホキシム
リ
ホサロン
リ
ホスチアゼート
リ
ホスメット(PMP)
リ
マラチオン
他
ミクロブタニル
リ
メカルバム
カ
メソミル
虫
虫
虫
虫
虫
草
虫
虫
虫
虫
虫
菌
虫
虫
29
165
47
227
189
27
294
82
111
321
81
リ
カ
リ
他
他
虫
虫
虫
草
菌
29
218
294
189
209
プロチオホス
メタミドホス
メチオカルブ
メチダチオン(DMPT)
メフェナセット
メプロニル
合
計
110
検
名
称
出
食
品
区分 検出数
参
考
検出値
(残留基準値等 ppm)
(ppm)
481
481
466
1
2
2
12 きゅうり
なす
ピーマン
未成熟いんげん
いちご
メロン(果肉)
メロン(全果)
もも
トマト
478 ピーマン
こまつな
1
74
84
1
84
2
1
480
386
246
481 小麦粉
1
74
3 ハーブ
なす
ピーマン
日本なし
12
4
259
2
2
国産
国産
国産
国産
国産
国産
国産
国産
国産
国産
国産
3
1
4
2
1
3
3
2
2
1
1
0.02 ∼0.36 農
0.08
0.01 ∼0.18
0.09 ∼0.14
0.02 農
0.02
0.03 ∼0.09
0.09 ∼0.32
0.03 ∼0.05
0.09
2.16
輸入
1
0.04 食
輸入
国産
国産
国産
2
3
1
3
0.13 ∼1農
0.01 ∼0.21 農
0.09
0.02 ∼0.05 農
野菜
2
果物
3
小麦粉
1.2
茶 3
野菜 0.5
果物
1
19528 18830
鼠:殺鼠剤(農作物等を食害するネズミの駆除に用い
られる農薬)
検査対象農薬分類欄の凡例
塩:有機塩素系農薬
リ:有機リン系農薬
カ:カーバメート系農薬
他:その他の農薬
参考欄の凡例
検査対象農薬用途欄の凡例
草:除草剤(雑草の防除に用いられる農薬)
虫:殺虫剤(害虫の防除に用いられる農薬)
菌:殺菌剤(植物病原糸状菌・細菌・ウイルスの防除
に用いられる農薬)
成:植物成長調整剤 (農作物等の生理機能を増進ま
たは抑制してその生育を制御するために用いられる
農薬)
食:食品衛生法に基づく残留基準
農:農薬取締法に基づく農薬登録保留基準
F/W:国連食糧農業機関・世界保健機構合同食品規格
委員会農薬部会の国際残留農薬基準(食品規格委員
会で採択された基準は、加盟各国への勧告であり、
その受諾と国内法規への反映は各国の裁量に委ねら
れています。食品衛生法に基づく残留農薬基準が設
定されていない食品の安全性を判断するための参考
にしています。)
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
11
2 食品中に残留する動物医薬品の検査結果
動物用医薬品は、家畜や養殖魚類の病気治療・予防や発育促進などの目的で使用されます。動物用医薬
品には、「抗菌性物質」「内寄生虫用駆除剤」「ホルモン剤」などがあります。
東京都衛生局では、これらの動物用医薬品の検査を畜水産食品中心に行っています。 ここでは、平成11年
度に実施した結果をまとめました。
表1は、動物用医薬品の検査項目です。検査は、
食品の種類、動物用医薬品の使用実態などに応じ
売禁止」処分等の措置を行うなど、迅速な排除に
て項目を設定しました。
努めました。
表2、表3は、それぞれ食品に残留する動物用
表5は、芝浦食肉衛生検査所において実施した
医薬品、ホルモン剤の検査結果を表したものです。
牛と豚の検査結果です。豚6頭が陽性になり、5
検出、または陽性となった検体は、16品目あり
頭からペニシリン系抗生物質、1頭からオキシテ
ました。このうち、食品衛生法違反となった検体
表1
トラサイクリンが検出されました。
動物医薬品の検査項目
抗菌性物質
ホルモン剤
○ テトラサイクリン系抗生物質
○ エストラジオール
○ マクロライド系抗生物質
○ プロゲステロン
○ ペニシリン系抗生物質
○ テストステロン
○ アミノグリコシド系抗生物質
○ ゼラノール
○ ポリエーテル系抗生物質
○α −トレンボロン
○ サルファ剤*
○β −トレンボロン
○ オキソリン酸
○ メレンゲストロールアセテート
○ チアンフェニコール
○ ヘキセストロール
○ オルメトプリム
○ ジエチルスベストロール
○ トリメトプリム
○ クレンブテロール
○ フラゾリドン
内寄生虫駆除剤
○ ジフラゾン
○イベルメクチン
○ パナゾン
○フルベンダゾール
○ ナタマイシン
○クロサンテル
○ ピリメタミン
○チアベンダゾール
○ ナイカルバジン
○5-プロピルスルホニル-1H
○ クロピドール
12
は、表4のとおりです。当該残品については、「販
-ベンズイミダゾール-2-アミン
○ カルバドックス
* サルファ剤は以下について検査しました。
○ ナリジク酸
・スルファメラジン
○ ピロミド酸
・スルファジミジン(スルファメサジン)
○ モネンシン
・スルファモノ
○ ラサロシド
・スルファジメトキシン
○ サリノマイシン
・スルファキノキサリン
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
表2
食品に残留する動物用医薬品の検査結果
(平成11年度)
品
名
抗菌性物質
国産
輸入
10
牛肉(脂肪を含む)
内寄生虫駆除剤
16
2
牛内臓
13
その他の食肉ゲームミート
9
馬肉(脂肪を含む・冷凍)
1
143
鶏肉(脂肪を含む)
27
19
鶏卵
7
22
24 [1]
4
加工乳
17
牛乳
78
生乳
20
国産
6
7
9
牛肉(脂肪を含む)
4
牛内臓
2
(総計
49
24)
合計
6
輸入
13
13
25
8
9
2
11
1
24 [2]
3 [1]
うなぎの蒲焼
カキ(生食用)
魚介類の内臓
1
冷凍魚介類
30
エビ類
134 [9]
9 [3]
切り身の海産魚類
5
1
はちみつ
7
21
生鮮魚類
表5
858)合
計
533
171
抗菌性物質
検査頭数
100
54
[ ] 内は、検出数または陽性数
動物用医薬品の違反品
原産国
動物用医薬品残留検査
(芝浦食肉衛生検査所・平成11年度)
1
ドレッシング
名
ホルモン剤
20
冷凍食品
品
名
7
部分脱脂乳
表4
品
13
2
食肉製品
(総合計
4
(平成11年度)
19
食鳥卵の加工品(ピータン)
ナチュラルチーズ
検体数
輸入
2
16
豚肉(脂肪を含む)
国産
表3 食品に残留するホルモン剤の
駆虫薬
陽性数 検査頭数 検出数
牛
349
0
20
0
豚
7584
6
30
0
(平成11年度)
物質名
検出値
備
考
ひらめ
大韓民国
オキシテトラサイクリン
0.35ppm
食品衛生法第 7 条(魚介類の成分規格)違反、販売禁止
ひらめ
日本
オキシテトラサイクリン
1.4ppm
食品衛生法第 7 条(魚介類の成分規格)違反、販売禁止
オランダ
ナタマイシン
ナチュラル
チーズ
4.2μg/g
食品衛生法第 6 条(認められていない添加物を使用)違反、
販売禁止
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
13
3 食品添加物検査結果
食品環境指導センターでは、都内の流通業や食品製造業に立ち入りし、食品添加物が正しく使用されて
いるか否かを確認するために、監視指導及び収去検査(抜き取り検査)を行っています。
ここでは、平成11年度に当センターが実施した食品添加物検査のうち、「合成着色料」「合成保存料」及
び「防ばい剤(防かび剤)」についてまとめました。検査の結果、食品衛生法違反となった食品は、販売禁
止や改善指導などの措置を行いました。
(1)合成着色料検査結果
表1は、平成11年度に検査した食品中の「合成着色料」の検出結果です。空欄は不検出です。食品衛生
法に基づく指定外合成着色料の検出はありませんでした。違反となった食品は、いずれも着色料が検出され
たにもかかわらず、使用している旨の表示がないもので、食品衛生法第11条違反として、表示の改善等の
処置を行いました。
表1 合成着色料の検出結果(平成11年度)
分
類
名
検
体
数
魚
介
類
生鮮魚介類(冷凍品含む)
13
魚介類及び魚卵の加工品
68
魚肉ねり製品
29
肉
生鮮肉
類
食肉製品
乳
製
品
アイスクリーム類
チーズ
乳、乳製品を主原料とする食品
そうざい
そ
う
ざ
い
菓子類
191
あん類
62
製菓材料
11
10
1
1
1
6 6[1]
2
4
1
1
9
1
8[1]
24
2
1
1
14
15
4
1[1]
2
1
1[1]
28
4
19
1
2
1
1[1]
2
9
4
2
5
4
3
果実シロップ漬け
15
乾燥果実
22
穀
類
めん類
17
穀類及び豆類の加工品
13
野
菜
生鮮及び乾燥野菜
12
1
1
1[1]
1
8
43
器具・容器包装
287
おもちゃ
100
1871
1
1
3
3
1
1
2
2
1
1
8
3 15[1]
11 60[4]
1
1
*[ ]内は食品衛生法違反となった検体数の再掲
注)2種類の着色料が検出されている検体もあるため、合計は合わないものがあります。
14
2
10
20
計
2
9[1]
2
181
ジャム・マーマレード・ピューレ
その他の食品
1
8
果
実
加
工
品
野菜・キノコ等の水煮
1
1
195
植物性油脂
合
3
100
66
調味料
1
12
冷凍食品(凍結品含む)
酒精飲料
6 17[1] 20[1]
3
118
10
清涼飲料水
18[1]
6
26
ベビーフード等
飲
料
4
177
53
氷菓
2
1
つけ物
菓
子
類
(食品環境指導センター実施分)
違 赤色 赤色 赤色 赤色 赤色 赤色 赤色 黄色 黄色 緑色 青色 青色
反
品 2号 3号 40号 102号 104号 105号106号 4号 5号 3号 1号 2号
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
22 92[3] 48[1]
0
49
7[1]
(2)合成保存料検査結果
表2は、平成11年度に検査した食品中の合成保存料の検査結果です。空欄は不検出です。
違反の内訳は、食品衛生法第7条違反(対象食品以外への保存料不正使用)の酢漬(2検体)、酒精飲料
(1検体)及び食品衛生法第11条違反(使用した旨の表示なし)の魚介類加工品、食肉製品、塩漬及び清
涼飲料水の4検体です。
表2 平成11年度 合成保存料の検査結果
分
類
ソルビン酸
安息香酸
パラオキシン安息香酸エステル類* サリチル酸 デビドロ酢酸
検
体 検出数 検出範囲 g/kg 検出数 検出範囲 g/kg 検出数 検出範囲 g/kg 検出数 検出値 検出数
数 (違反数)
最小値 最大値(違反数)最小値 最大値(違反数)最小値 最大値(違反数) g/kg
魚介類(卵を含む) 21
魚
介
類
魚肉ねり製品
57
19
0.69
1.5
魚介類加工品
65
20(1)
0.01
0.77
234
90(1)
0.01
1.8
126
2
0.01
0.02
食肉製品
乳製品
チーズ
その他の乳製品
15
乳製品を主原料とする食品
3
10
0.01
0.02
5
0.01
0.02
そうざい類・半製品 115
7
0.09
0.63
4
0.04
0.09
64
25(2)
0.02
0.82
3(1)
0.03
0.06
冷凍食品(凍結品を含む) 113
1
1.3
1
0.56
2
0.01
0.05
0.05
40(1)
0.01
0.46
0.13
1
そうざい
つけ物
菓
子
類
飲
料
調
味
料
生菓子
88
あん類
102
製菓材料他
74
2
清涼飲料水
215
1
酒精飲料
38
4(1)
しょうゆ
11
みそ
17
3
0.03
0.11
0.08
0.06
0.07
0.39
2
0.45
0.48
2
13
0.02
0.23
4
8
0.01
0.05
0.04
0.88
その他の調味料 211
食用油脂
0.08
0.15
2
乾燥果実
23
ジャム・マーマレード
42
穀
めん類
32
類
穀類・豆類加工品
33
野菜加工品
27
容器包装加圧加熱殺菌食品
17
その他の加工食品
33
合
0.01
9
酢
果物類
22(1)
計
1
0.34
1
2
0.01
1
0.09
1787 179(5)
0.01
0.02
0.11
1.8
3
0.02
0.37
92(2 )
0.01
0.48
**1 0.02
28(1)
0.01
0.15
1 0.02
0
( )内は、食品衛生法違反となった検体数の再掲です。
注:違反となった清涼飲料水からは、2種類の保存料が検出されたため、違反品目数と各保存料別の違反数は合いません。
* :パラオキシ安息香酸エステル類(イソブチル、イソプロピル、エチル、ブチル及びプロピル)検出値は、パラオキシ安息香酸としての値
* *:サリチル酸は、植物に天然に含まれる成分であり、製造元でも使用していないことから検出は天然由来と判断される
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
15
(3)防ばい剤(防かび剤)検査結果
平成11年度に実施した「防ばい剤」の検査結果は、表3(加工食品等)及び表4(生鮮果実等)のとお
りです。
加工食品等で防ばい剤を検出したものはなく、また、輸入生鮮果実で防ばい剤を検出したものは、いず
れも食品衛生法の基準以下で、違反となるものはありませんでした。
表3
平成11年度
分
加工食品等の防ばい剤検査検体数
類
清涼飲料水 (原料用果汁)
清涼飲料水 (天然果汁)
清涼飲料水(果汁入り混合飲料*)
粉末清涼飲料
果実加工品(ジャム・マーマレード・ペースト)
そうざい(ベビーフード)
容器包装詰加圧加熱殺菌食品* *
野菜加工品
生鮮肉類
生乳
天然添加物その他
合
計
イマザリル
オルトフェニル チアベンダ
ジフェニル
フェノール ゾール
6
2
3
6
2
3
1
1
1
6
4
5
3
1
14
8
2
31
20
43
6
2
137
8
36
48
13
* : 天然果汁のみだけでなく、他のものがたされている飲料
**:缶詰、瓶詰を除く
表4
平成 11 年度
生鮮果実等の防ばい剤検査結果
イマザリル
分
類
原産国
検
体
数
検
検出範囲
出
数 最小値 最大値
(単位:ppm)
オルトフェニルフェノール
検
体
数
検
出
数
検
出
値
チアベンダゾール
検
体
数
検
検出範囲
出
数 最小値 最大値
オレンジ(全果) アメリカ
3
1.6
3 1 0.001
3 3 0.1
オーストラリア 2
2
2
1
1 1 3.8
南アフリカ
1
4 3 0.5
グレープフルーツ アメリカ
1.0
4
4 4 1.1
2.0
1
イスラエル
1
1
(全果)
1
スワジランド
1
1
2
南アフリカ
2 1.4
3.1
2
2 1 2.7
3 2 2.3
レモン(全果)
アメリカ
2.6
3
3 1 1.0
1 1 0.6
南アフリカ
1
1 1 0.7
1
バナナ(果皮)
エクアドル
1
フィリピン
5
バナナ(全果)
エクアドル
5
5
フィリピン
5
2
スィーティー
(全果) イスラエル
2
1 0.5 2 1 36
32 10 0.001 3.1
合
計
20
1 0.5 30 11 0.1
2.0
注)1品目で複数の防ばい剤を検出している検体があるため合計は合わないものがあります
16
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ジフェニル
検
体
数
検
出
数
3
2
1
4
1
1
2
3
1
2
20
0
4 環境化学物質による食品汚染調査結果
私たちのまわりには、数多くの化学物質が存在しています。その中には環境中に拡散し、食品や水を介し
て人の健康に影響を与えるものもあります。
東京都衛生局では、毎年、水銀・PCBなどの食品汚染調査を実施しています。ここでは、平成11年度の
調査結果をまとめました。
(1)魚介類の水銀汚染調査結果
(3)魚介類中のTBTOの汚染調査結果
水銀は、防さび塗料、電子部品、水銀電池など
TBTO(ビストリブチルスズオキシド)は有
に利用されており、我々の生活にも深くかかわっ
機スズ化合物で、船底や魚網の防汚剤(海藻や貝
ています。しかし、環境中に流出した有機水銀は、
殻の付着を防ぐ薬剤)として使用されてきました。
水俣病に象徴されるように、これを摂取すると中
しかし、その有害性と海洋汚染が問題となったこ
枢神経等に影響をおよぼします。
とから、「化学物質の審査及び製造等の規制に関す
厚生省は、昭和48年に魚介類中の水銀の暫定的
規制値として、「総水銀0.4ppm以下、かつメチル
水銀0.3ppm以下」と定めました。
こうした状況の中で、東京都は、日本人の水銀
摂取量の多くが魚介類によることから、昭和48
年以降、魚介類などの水銀汚染実態調査を続けて
います。その結果、暫定的規制値を超えた魚種に
ついては、出荷の自主規制など、汚染食品の流通
る法律」により規制され、平成元年12月に製造、
輸入及び使用が禁止になりました。
厚生省は、昭和60年4月にTBTOの暫定的許
容摂取量を一日に体重1kg当たり1.6μg以下と
定めました。
東京都では、昭和60年度から市場に流通する
魚介類の汚染実態調査を実施しています。
平成11年度の調査結果は、表3のとおりです。
防止を図っています。なお、平成12年現在、9出
暫定的許容摂取量と国民一人当たりの魚介類摂取
荷地の5魚種について出荷地での自主規制措置を
量から算出した濃度0.67ppmを指標としていま
とっています。
すが、この濃度を超えた検体はありませんでした。
表1は、平成11年度の調査結果です。規制対象
魚のうち暫定的規制値を超えたのは「カンパチ」
の1魚種2検体でした。規制値を超えた魚種につい
ては、今後、引き続き調査を継続します。
(4)魚介類中のTPT、農薬(クロルデン
類、ドリン類、その他)汚染調査結果
東京都では、環境庁が実施している「化学物質
環境汚染実態調査」を参考にして、平成2年度か
(2)食品等のPCB汚染調査結果
らTPT(トリフェニルスズ化合物で殺虫剤、防
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、昭和43年に
汚剤、ポリ塩化ビニルの安定剤等に使用)、クロル
発生した「カネミ油症事件」の原因物質の1つで、
デン類(シロアリ駆除剤)、ドリン類(殺虫剤)の
その後の調査で広く環境を汚染し、同時に食品等
3物質を調査しており、現在はこれに合わせてゴ
も汚染していることが明らかになりました。昭和
ルフ場使用農薬等も調査しています。なお、厚生
47年にPCBは、製造中止になりましたが、分解
省は、平成6年にTPTの暫定的許容摂取量を一
されにくいため、自然界での長期間の残留性が問
日体重1kg当たり0.5μg以下と定めています。
平成11年度の調査結果は表4のとおりで、特に
題になっています。
厚生省は、昭和47年に「食品中に残留するPC
Bの規制について」を定め、暫定的規制値を食品
問題はありませんでした。今後とも調査を続け、
データの蓄積等を行っていきます。
別に設定しました。(表2右欄参照)
肉等について検査を行っています。また、食用油
(5)食品中からのダイオキシン類等摂取
状況調査結果
脂、ベビーフード等PCB汚染が懸念される食品
調査は、トータルダイエット方式で行い、試料
についても一部検査を行い、汚染食品の流通防止に
は、約180品目の食品を「東京都民の栄養状況
東京都では、昭和48年から魚介類、乳製品、食
努めています。
(平成9年度国民栄養調査成績)」による「食品群
表2の平成11年度の調査結果では、暫定的規制
別にみた食品摂取量」に基づき行ないました。
値を超えた検体はありませんでした。
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
17
具体的には、都内の小売店で食品を購入し、実
た「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づく耐
際の食事形態に従い各食品を調理し、これらを第
容一日摂取量4pgTEQ/kgbwを下回っています。
1群から第13群に大別し、食品群ごとに均一に混
また、平成11年度、厚生省が全国7地区(16ケ
合したものを分析試料としました。なお、第14群
所)において調査した結果の平均112.62pgTEQ/
は、飲料水です。
day(59.5∼350.7pgTEQ/day)及び2.25pgTEQ/
各食品群別の1日摂取量を表5に示しました。
表は、各異性体の毒性を2,3,7,8-TCDDの毒性に
kgbw/day(1.19∼7.01pgTEQ/kgbw/day)よりも
若干下回っていました。
換算した値(TEQ)による毒性等価係数(TE
F)で集計しました。
各食品群別のダイオキシン類の1日摂取量は、
多い順に第10群(魚介類)が84.31pgTEQ/dayで
ダイオキシン類の1日の平均摂取量は、
総摂取量の77.2%であり、次いで、第11群(肉・
109.2pgTEQ/dayであり、体重1kg当たりに換算
卵)が9.32pgTEQ/dayで全体の8.5%、第12群
(kg body weight)すると2.182pgTEQ/kgbw/
(乳・乳製品)が、8.81pgTEQ/dayで、全体の
dayでした。この値は、平成12年1月に施行され
表1
8.1%と、これらの三群全体で約94%を占めました。
食品中の水銀汚染調査結果(平成 11 年度)
分
類
魚介類
総
水
銀
メ
チ
〔単位:ppm〕
ル 水 銀
検体数
最大値
最小値
平均値
検体数
最大値
最小値
平均値
海洋*1
349
1.35
ND
0.12
112
1.07
ND
0.19
淡水*2
40
0.11
0.02
0.04
−
−
−
−
*3
57
0.03
ND
0.01
−
−
−
−
魚介類加工品*4
20
0.25
ND
0.05
−
−
−
−
466
1.35
ND
0.10
112
1.07
ND
0.19
貝類
合
注)
計
NDは、検出限界値未満(0.01ppm未満)のもの
*1:61 種類(スズキ、クロムツ、ユメカサゴ、ブリ、アイナメ、マアジ、マサバ、カンパチ等)
*2:5 種類(ウナギ、アユ、イワナ、ヤマメ、ワカサギ)
*3:8 種類(アサリ、ホタテガイ、ハマグリ、マガキ、アカガイ、イワガキ、サザエ、トリガイ)
*4:魚肉練り製品、魚介乾製品、ウナギ蒲焼等
表 2 食品中の PCB 汚染実態調査(平成 11 年度)
分
〔単位:ppm〕
平均値
暫定規制値
検体数
最大値
最小値
魚介類(遠洋沖合)*1
91
0.06
ND
0.01
魚介類(内海内湾)*2
240
0.36
ND
0.03
3
牛乳
17
ND
ND
−
0.1
乳製品
15
ND
ND
−
1
育児用粉乳
6
ND
ND
−
0.2
肉類 *3
24
0.01
ND
−
0.5
鶏卵
16
ND
ND
−
0.2
容器包装
16
ND
ND
−
5
魚介類加工品
32
0.02
ND
−
−
食用油脂
16
ND
ND
−
−
ベビーフード
18
ND
ND
−
−
491
0.36
ND
−
−
合
注)
類
計
NDは、検出限界値未満(0.01ppm未満)のもの
*1:34 種(マサバ、キンメダイ、マイワシ、クロマグロ、カツオ等)
*2:58 種(スズキ、アサリ、アイナメ、ホタテガイ、ブリ、マダイ等)
*3:牛肉、牛肝臓、豚肉、豚肝臓、鶏肉、鶏肝臓
18
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
0.5
表3
食品中の TBTO汚染調査結果(平成11年度)
類
検体数
最大値
最小値
〔単位:ppm〕
平均値
魚網、いけす*1
分
養殖魚介類
その他魚介類
54
0.09
ND
0.02
内湾養殖*2
21
0.05
ND
0.02
内湾漁獲*3
133
0.11
ND
0.01
市場流通*4
79
0.17
ND
0.01
287
0.17
ND
0.01
合
注)
計
ND は、検出限界値未満(0.01ppm未満)のもの
*1:11 種(ブリ、マダイ、ヒラメ、シマアジ、カンパチ等)
*2:2 種(ホタテガイ、マガキ)
*3:43 種(スズキ、アサリ、アイナメ、マアジ、ブリ、イサキ等)
*4:35 種(マサバ、マイワシ、カサゴ、キチジ、カツオ等)
表4
魚介類のTPT、ドリン類、クロルデン類及び農薬汚染調査結果(平成 11 年度)
物
質
名
検体数
TPT *1
アルドリン
ドリン類*2 ディルドリン
エンドリン
trans −クロルデン
cis −クロルデン
クロルデン
オキシクロルデン
類*2
trans −ノナクロル
cis −ノナクロル
その他の農薬 ※
*
231
40
40
40
40
40
40
40
40
16
結果(単位:ppm )
最大値
最小値
0.13
ND
ND
ND
0.004
ND
0.001
ND
0.001
ND
0.002
ND
ND
ND
0.002
ND
0.001
ND
ND
ND
平均値
0.01
−
ND
ND
ND
ND
−
ND
ND
−
ND
(検出限界値):TPT 0.01ppm未満、農薬 0.001ppm未満
*1:82 種(スズキ、マダイ、ホタテガイ、ブリ、アイナメ等)
*2:29 種(スズキ、マダイ、アイナメ、カンパチ、シマアジ等)
※ その他の農薬(12種)クロロタロニル、プロピザミド、フェニトロチオン、トルクロホス
メチル、シマジン、ダイアジノン、クロルピリホス、イソプチオラン、イソフェンホス、ペ
ンディメタリン、ナプロパミド、ブタミホス
表5
ダイオキシン類1日摂取量
食
品
群
第1群(米・米加工品)
(単位:pgTEQ/day)
平成10年度
摂取量
1.10
平成11年度
比率( %)
0.7
摂取量
0.56
比率( %)
0.5
第2群(雑穀・いも)
第3群(砂糖・菓子)
6.08
0.95
3.8
0.6
0.91
0.57
0.8
0.5
第4群(油脂)
第5群(豆・豆加工品)
0.98
0.17
0.6
0.1
0.51
0.01
0.5
0.0
0.05
15.04
0.0
9.5
0.15
3.03
0.1
2.8
0.88
0.08
0.6
0.0
0.68
0.02
0.6
0.0
120.34
11.69
76.2
7.4
84.31
9.32
77.2
8.5
0.43
0.21
0.3
0.1
8.81
0.32
8.1
0.3
0.00
158.0
0.0
0.00
109.2
0.0
第6群(果実)
第7群(緑黄色野菜)
第8群(野菜・海草)
第9群(調味・嗜好品)
第10群(魚介類)
第11群(肉・卵)
第12群(乳・乳製品)
第13群(その他の食品)
第14群(飲料水)
総摂取量(pgTEQ/day)
摂取量(pgTEQ/kgbw/day)
3.16
2.18
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
19
5 野菜類の硝酸根等の含有量実態調査結果
野菜類に含まれる硝酸根及び亜硝酸根は、発ガン性物質であるニトロソ化合物の生成に関係があるとい
われています。特に、硝酸根が野菜類に多く含まれている理由として、化学肥料や有機質肥料等の過剰な
施用に大きな原因があるのではないかと一部でみられています。
そのため、東京都では、野菜類の硝酸根等の含有量を把握するため、昭和51年度から実態調査を行って
います。
平成11年度の調査結果を下表に示しました。中央卸売市場に入荷する野菜類25種類48検体について、そ
れぞれ年4回に分けて、可食部の「硝酸根」及び「亜硝酸根」の検査をしました。
「硝酸根」は、平均値で果菜類「ズッキーニ」(1,150ppm)、「シシトウガラシ」「シロウリ」 (各420ppm)
の順に多く検出しました。「亜硝酸根」(検出限界1ppm)はすべての検体から検出されませんでした。
表
野菜類等の硝酸根調査結果(平成11年度) [単位:ppm]
種
根菜類
検体数
検出件数
最大値
最小値
平均値
タケノコ
2
2
67
48
57.5
ニンジン
2
2
300
130
215.0
ウド
1
1
55
55
55.0
類
1
1
260
260
260
ワケギ
モヤシ
2
2
230
150
190.0
2
0
ー
ー
ー
デコポン
2
0
ー
ー
ー
ハッサク
2
0
ー
ー
ー
レモン
2
0
ー
ー
ー
オクラ
2
2
81
43
62.0
シシトウガラシ
2
2
500
340
420.0
1
0
420
420
420.0
ズッキーニ
トマト
2
2
1300
1000
1150.0
3
2
180
54
117.0
ニガウリ
2
2
370
360
365.0
ピーマン
2
2
87
69
78.0
きのこ類
シイタケ
マッシュルーム
2
1
6
6
6.0
2
2
18
13
15.5
ビワ
2
0
ー
ー
ー
仁果類
ナシ
2
1
10
10
10.0
モモ
2
0
ー
ー
ー
しょう果類
ブドウ
2
0
ー
ー
ー
イチゴ
2
2
65
52
58.5
スイカ
2
1
11
11
11
メロン
計
2
2
320
77
198.5
48
30
1300
ー
123
葉茎菜類
まめ類
かんきつ類
果菜類
果実的野菜
合
20
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
6 輸入食品の放射能検査結果
昭和61年4月に発生した旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所の事故により、ヨーロッパ地域を中心に自
然環境や食品等が放射性物質に汚染されました。このため厚生省は、これらの地域から輸入される食品中
のセシウム134及び137の放射能暫定限度を、370ベクレル/kgと定めました。
東京都衛生局では、昭和61年度から、暫定限度を超えた輸入食品の迅速な排除を行うとともに、輸入
食品の放射能汚染の実態を調査するために、食品の放射能検査を実施しています。
平成11年度の検査結果は、表1のとおりです。輸入食品696品目について放射能検査を行いました。その
結果、国の定めた暫定限度を超えるものはなく、1kg当たり100ベクレルを超えた検体もありませんでした。
表2は、50ベクレル以上放射能を検出した検体の詳細です。ここ数年、傾向は変わりません。
表1
輸入食品の放射能検査結果(平成11年度)
検出濃度区分別検体数
(ベクレル/kg)
品
食
品
の
分
目
類
主
な
輸
出
国
0
数
∼50
香辛料
33
インドネシア、中国、インド、マレーシア等
31
ジャム
10
イギリス、フランス
10
チーズ及び乳製品
22
フランス、イタリア、オランダ、デンマーク等
22
食肉及び食肉製品
91
フランス、デンマーク、アメリカ、カナダ等
91
はちみつ
9
中国、イタリア、フランス、ハンガリー等
9
51
∼100
2
魚介類及びその加工品
139
アメリカ、中国、ノルウェー、ロシア等
139
菓子
13
イギリス、イタリア、ドイツ等
13
ワイン
10
フランス、ドイツ、イタリア等
10
穀類及びその加工品
30
イギリス、フランス、ベルギー、アメリカ等
30
野菜及びその加工品
187
イタリア、ドイツ、オランダ、フランス等
177
10
果実及びその加工品
66
ドイツ、スペイン、アメリカ等
65
1
その他
86
ドイツ、イタリア、フランス、アメリカ等
84
2
681
15
合
計
表2
696
101
370を超
∼370 えるもの
0
0
50ベクレル以上放射能が検出された検体(平成11年度)
品
香辛料
野菜及びその加工品
果物及びその加工品
その他
名
生産国
検出検体数
検出値(ベクレル)
とうがらし
中国
1
56
クミン
インド
1
51
キノコ
イタリア
2
78∼88
キノコ
フランス
2
53∼57
紅茶
トルコ
6
57∼100
ジャム
フランス
1
68
冷凍食品(キノコ)
イタリア
1
100
クコの実
中国
1
53
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
21
Two
第2章 食品衛生を取り巻く状況
1 食中毒発生状況
従前、食中毒は、発生原因施設を中心とした地
オ中毒が主に6∼10月に集中することから、生食
域的発生がほとんどでした。しかし、平成8年、
用魚食介類加工品による腸炎ビブリオ食中毒予防
関西地方を中心に腸管出血性大腸菌O157が猛威を
対策として、次のような予防の提言を行いました。
振るい、O157の広域性、強病性が国民に大きな不
・ 刺身など加熱工程を経ない製品は、出荷時にお
安を与えました。
いて腸炎ビブリオの最確数100個/g以下、煮カニ
など加熱工程を経る製品は陰性とする。
これ以降、食中毒事件の広域化、大規模化が注
・ 消費にあたっては、冷蔵保存下を出てから可能
目されてきました。
厚生省は、このような新たな食中毒発生対策と
な限り速やか(最大2時間以内)に消費すること。
して、平成9年に「大規模食中毒対策等について」
一方、サルモネラ食中毒に関しても、鶏卵が主
を自治体や関係営業団体等に通知するとともに、
たる原因といわれていることから、平成12年6月、
その発生実態を正確に把握するため、平成10年か
東京都食品衛生調査会は、「鶏卵に起因するサルモ
ら全国食中毒統計を、患者1名(散発事例)と2名
ネラ食中毒の防止対策について」の答申をまとめ
以上の事例を区分して集計し、散発事例について
ました。
も解析を行うこととしました。
答申は、卵選別包装施設、液卵製造施設等に対
平成2年から平成11年の10年間に発生した食
する規制の導入、消費者への普及啓発など、鶏卵
の生産から消費に至る各段階におけるサルモネラ
中毒の発生状況を下図に示しました。
図1は「全国」、図2は「東京都」の食中毒発生
食中毒を防止するための考え方を示しています。
図5は、全国の平成5年から平成11年までの食
件数及び患者数の推移の状況です。
図3及び図4は、国と都の主要原因物質別の食
全国、東京都ともに「サルモネラ」による食中
京都では死者はありませんでした。
毒発生が第1位になっています。続いて「腸炎ビ
図6及び図7は、平成11年の食中毒発生状況を
ブリオ」で、両者の合計では、全体の50%を超え
原因施設別に表したグラフです。全国、東京都と
るなど、主要な原因物質となっています。
も一般飲食店が第1位となっております。
腸炎ビブリオ中毒は、近年、発生件数が増加し
東京都では大規模食中毒発生時に迅速かつ円滑
ていることから、平成12年5月、夏期の当面の対
に対応するため、「東京都食中毒対策要綱」を改定
策として、厚生省食品衛生調査会乳肉水産食品部
し、都・区が協力して大規模食中毒を処理できる
会が「腸炎ビブリオによる食中毒防止対策に関す
よう関係規定の整備、医療機関などとの連携強化
る報告」をまとめました。その中で、腸炎ビブリ
など、様々な防止対策を講じています。
◆
患者数(人)
▲
患者数
食中毒発生件数
患者2人以上の件数
50,000
46,327
39,745
36,735
35,214
◆
3,010
2,697
26,325
◆
20,000
10,000
1,217
926 782
◆
◆
557 550
◆
◆
3,000
◆
29,790
25,702
30,000
830 698
◆
◆
◆
件数(件) 患者数(人)
3,000
4,000
46,179
2,500 2,339
39,989
40,000 37,561
1,960
▲
◆
▲ 1,398 ▲
▲ 1,124
1,281
2,000
2,000
◆
1,000
0
年 年 年 年 年 年 年 年 年
3 4 5 6 7 8 9 0 1
2
成 成 成 成 成 成 成 成1 成1
成
平 平 平 平 平 平 平 平 平
平
年
図1 食中毒発生件数と患者数の推移(全国)
件数(件)
120
1,934
1,937
60
◆
80
1,343 ◆
65
◆
◆
2,444 110
◆
1,500
患者数
件数
2,747
85
◆
80
◆
103
1,992
112 2,367 100
◆
1,884
94
80
1,597
◆
53
1,000
939
0
22
中毒による死者数とその病因物質の推移を示した
ものです。平成11年の死者数は、全国で7名、東
中毒発生状況です。
500
60
40
20
0
0
年
年 年 年
年
年
年
年 年
1
8 9 0
7
6
5
3 4
2
成 成 成1 成1
成
成
成
成 成
成
平 平 平
平
平
平
平 平
平
平
年
図2 食中毒発生件数と患者数の推移(東京都)
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
腸炎ビブリオ
サルモネラ属菌
黄色ブドウ球菌
下痢原性大腸菌
カンピロバクター
ウィルス(SRSV)
◆
■
件数(件)
◆
900
■
●
800
●
腸炎ビブリオ
サルモネラ属菌
黄色ブドウ球菌
下痢原性大腸菌
カンピロバクター
ウィルス(SRSV)
◆
■
件数(件)
◆
45
839
■
825
◆
■
●
40
●
■
757
700
35
◆
667
600
568 ◆
553
25
●
22 ◆
■
22
493
20
350
■
300
224
200
■
37 ■
●
14
平
成
5
179
72
◆
33
■
●
31
年
平
成
6
年
平
成
65●
◆
■
● 20
7
■
44
年
平
成
8
平
成
9
平
成
10
◆9
5
年
平
成
11
22
5
◆ 24
25
23
■ 21
2
5
年
平
成
5
図3 食中毒主要原因別発生件数(全国)
年
平
成
6
年
平
成
7
6
6●
◆
●
■
4
●
■1
2
0
●
◆
■4
◆
年
平
成
8
平
成
9
● 11
◆4
■
●3
3
年
● 14
■9
◆7
7
6
5
●
■
■
●
67
■
■
◆9
6◆
5
◆
85
年
10
●
■ 27
■
◆
13 ●
116
●
◆
51
年
■
123
◆
◆
26
■17
15
237
285
176
60
20
■
● 257
179 ■
■
205
100 61◆ 110
◆
0
◆
◆
■
143
◆ 292
245
31
◆
29
521
400
◆
30
●
■
500
◆ 41
年
平
成
10
4
年
平
成
11
年
図4 食中毒主要原因別発生件数(東京都)
細菌
植物性自然毒
動物性自然毒
不明
死者数(人)
16
12
11
8
5
2
4
2
4
1
0
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
6
平
成
8
年
平
成
9
1
2
4
2
年
4
1
1
1
2
1
1
4
年
平
成
10
年
平
成
11
年
図5 食中毒による死者数とその病因物質(全国)
学校
21件2%
販売店
23件2%
製造業
17件1%
販売業
1件2%
病院
23件2%
その他
27件2%
事業所
67件5%
家庭
392件31%
家庭
6件10%
その他
許可製造業
2件3%
その他
2件3%
一般飲食店
28件45%
集団給食
5件8%
飲食店
(その他)
4件6%
仕出し屋
99件8%
旅館
121件10%
飲食店456件37%
図6 原因施設別発生状況内訳(全国)
仕出し屋
8件13%
すし屋
6件10%
図7 原因施設別発生状況内訳(東京都)
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
23
2 監視指導及び違反処理状況
輸入食品の増大、製造・流通・保存技術の進展、これに伴う食生活の多様化など、都民の食を取り巻く
状況は大きく変化してきました。東京都と特別区では、これらの状況に適切に対応するような監視指導や
検査を計画的に実施し、都民が安心して食卓を囲めるよう、さまざまな食品保健対策を講じています。
(1)監視指導状況
表1は、平成11年度における営業施設数と
監視指導件数です。
東京都と特別区の食品衛生監視員は、食品関
係施設に立ち入りし、食品等の衛生的な取扱い、
食品添加物の使用状況、表示等について、監視
指導を行っています。
特に、保健所では、学校給食、社会福祉施設等
の集団給食施設を対象に「大量調理施設衛生管
理マニュアル」に基づく点検を行い、食中毒予
防対策を図っています。
図1は、保健所で実施した食品の収去検査結
果です。6月∼8月の夏季対策期間中、細菌検
査で「アイスクリーム類」30件、
「生菓子」9件、
「すし種・刺身」6件が不良となりました。また、
歳末一斉では、細菌検査において「生食用かき」
7件など、化学検査においては、
「魚介類加工品」
2件、「生食用かき」2件が不良となりました。
表2は、都・区保健所で行った学校給食用食
品及び災害救助用食品の検査結果です。いずれ
も判定による否のものはなく、問題はありませ
んでした。
また、当センターでは、食品危害の未然防止と食
品の規格基準設定のための基礎的な情報を収集する
ため、先行調査を行っています。平成11年度の先行
調査は、危害度の高い食中毒菌の実態調査、抗菌性
物質や農薬、ビスフェノールAなどの化学物質の食
品等への残留調査などを継続的に行いました。
表1 食品衛生関係施設数及び監視指導(平成11年度)
業
種
施設数* 監視指導件数
総
総数
数
506,629
864,808
305,288
516,907
飲食店営業
192,204
228,089
菓子製造業
11,049
25,290
1,974
4,118
116
459
乳類販売業
36,970
38,778
食肉販売業
14,451
39,845
魚介類販売業
14,692
137,809
食品衛生法
アイスクリーム類製造業
第21条に
乳製品製造業
規定する営業
魚介類せり売り業
26
2,817
豆腐製造業
1,754
4,143
他25業種
32,052
35,559
総数
33,701
104,658
食品製造業等
行商
507
3,537
取締役条例に
つけ物製造業
430
1,094
341
550
食品環境指導センターでは、近年の輸入食品
規定する営業 調味料等製造業
食料品等販売業
31,309
96,482
の増加や食品製造技術の高度化等に適切に対応
他4業種
1,114
2,995
するため、食品機動監視班(10個班)及び輸
東京都ふぐの取扱い規制条例に規定する営業
3,722
11,270
入食品監視班を配置し、食品の輸入業及び大規
総数
163,918 231,973
模製造業を対象に都内全域の食品の安全確保を
食品衛生法
集団給食
6,397
14,643
図っています。また、ハサップ指導係では、
施行細則
食品販売業
134,305 192,121
乳・乳製品の製造工場に対するHACCPシス
第16条に
食器具容器・おもちゃ
7,949
12,592
テム導入とその定着化のため専門的監視指導、
規定する営業
他3業種
15,267
12,617
輸入品及び都外で製造される乳・乳製品の監視
*:施設数は、平成12年3月末現在
指導を行っています。
これらの監視班は、緊急に有害食品等の排除
1201
908
512
1201
445
検体数 3352件 286
が必要な場合に「緊急監視」の出動態勢をとり
ます。平成11年度は、①ボツリヌス食中毒を
5411
5028
1920 2391
5411
1920
検査件数 16110件 1360
防止することから、
「レトルト類似食品」を、ま
た、②茨城県の東海村核燃料施設事故に際して
15
14 3
6262
14
不良件数 100件 6
は、
「農産物等」を対象に緊急監視を行い、違反
0%
20%
40%
60%
80%
100%
品の迅速な排除に努めました。
6∼ 8月
4∼ 5月
平成11年度、食品環境指導センターが行っ
12月(歳末一斉)
9∼11月
た広域監視指導結果は、表3のとおりです。
1∼ 3月
図1 都・区保健所における食品の収去検査結果
24
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
(2)違反処理状況
シアン化合物を検出)した食品「同法第4条違反」
平成10年度に東京都が違反処理した違反品の総
数は258品目です。その内訳は、図2及び図3のと
が違反としてあげられました。
表4は、平成11年度、都・区が発見した主な違
おりです。また、違反品の違反理由については、
反食品です。また、表5は平成11年度に当センター
図4のとおりです。国産品では「食品衛生法第7
で発見した主な違反食品です。
条:食品・添加物の規格及び基準に違反」と「食
違反食品の措置については、製造者の営業停止
品衛生法第11条:表示の基準違反」が、約半数ず
や残品の販売禁止などの行政措置を行いました。
つになっています。輸入品では、日本では使用が
また、都外製造食品については、関係する自治体
認められていない添加物を使用した食品「同法第
に通報・調査等を依頼し、違反品の迅速な排除に
6条違反」、及び有毒、有害物質の混入(カビ毒や
努めました。
表3 広域監視指導
表2 学校給食用食品及び災害救助用食品の検査
実施対象
総
検体数
数
判定
検査
件数
収去検査
適
否
247
909
247
−
90
360
90
−
学校給食用牛乳
学校給食用食品
災害救助用食品
検査内容
立入検査 収去検 違反 立入検査
軒数
体数
化学検査
及び
90
360
90
−
細菌検査
輸入食品監視班
13
38
13
−
化学検査
ハサップ指導係
10
22
10
−
細菌検査
20
81
20
−
化学検査
24
48
24
−
細菌検査
1,837 48,146 34
347
その他の食品
46件17. 8%
6,209
添加物1件
0.4%
飲料・氷雪・水
10件3. 9%
検査品目数
20,707
件数
軒数
検査件数
違反
件数
食品機動監視班
国産品
輸入品
表示検査
0
4,086
516
320,400 604
16,507
0
魚介類及び
その加工品
67件26.0%
76,937
肉・卵類及び
その加工品
10件3.9%
違反品目数
100
158
菓子類30件
11.6%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
図2 検査品目数と違反品目数(平成10年度)
4条(有害・ 有毒物質混入)
7条(食品・添加物規格基準違反)
11条( 表示基準違反)
14
輸入品
図3 食品分類別違反品目内訳(平成10年度)
39
76
80
国産品
乳・乳製品
27件10.5%
6条(指定外添加物使用)
10条(器具・容器包装規格基準違反)
3 1
16
農産物及び
その加工品
67件26.0%
2
総数 16 16
0%
111
20%
40%
115
60%
80%
100%
(数字は品目数)
食品機動監視班の現場監視風景
図4 違反理由内訳(平成10年度)
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
25
表4
都・区で発見した主な違反品(平成10年度)
違反品名
原産国
内
容
1
魚介類(冷凍アラフィレ)
インドネシア 魚種鑑別
アブラソコムツ
2
ナチュラルチーズ
フランス
ナタマイシン(保存の目的、添加物として使用)検出
3
オイスターソース
タイ
パラオキシ安息香酸メチル(保存料)検出
4
魚肉ねり製品(つみれ)
日本
大腸菌群陽性(成分規格不適合)
5
アイスクリーム類(ソフト)
日本
大腸菌群陽性(成分規格不適合)
6
しらす干し
日本
過酸化水素(漂白剤、殺菌料)検出
7
乾燥果実(干しぶどう)
アメリカ
二酸化硫黄(漂白剤)過量残存
8
牛佃煮
日本
ソルビン酸(保存料)過量使用
9
数の子
日本
ソルビン酸(保存料)検出
10 魚介類加工品
日本
着色料使用の旨表示無し
11 レモン
アメリカ
イマザリル(防ばい剤)使用の表示なし
12 果実酒
イタリア
ソルビン酸(保存料)使用の旨表示無し
13 そうざい(ぎょうざ)
日本
プロピレングリコール(品質保持剤)使用の旨表示無し
14 缶詰(ガチョウの肝臓)
フランス
亜硝酸根、硝酸根(発色剤)使用の旨表示無し
15 添加物(品質改良剤)
16 菓子(ケーキ)
日本
スペイン
酒石酸水素カリウム5%と表示されていたが、検出されず
着色料使用の旨表示無し
*
1:食品衛生法第4条違反(有毒、有害な物質が含まれ、附着、疑いのあるもの)
2∼3:食品衛生法第6条違反(認められていない添加物を使用)
4∼9:食品衛生法第7条違反(定められた規格、基準に合わないもの
10∼16:食品衛生法第11条違反(定められた基準の表示がないもの)
表5
食品環境指導センターで発見した主な違反品(平成11年度)
違反品名
原産国
内
ピスタチオナッツ
イラン
アフラトキシンB1(カビ毒)検出
2
ナチュラルチーズ
オランダ
ナタマイシン(保存の目的、添加物として使用)検出
3
たまり醤油
中国
サイクラミン酸(甘味料)検出
4
魚肉ねり製品(蒲鉾)
日本
大腸菌群検出(成分規格不適合)
5
食肉製品
日本
亜硝酸根(発色剤)過量残存
6
漬物(酢漬け)
日本
ソルビン酸(保存料)過量検出
7
ヒラメ
日本
オキシテトラサイクリン(抗菌性物質)過量検出
8
漬物(酢漬け)
9
漬物(酢漬け)
ドイツ
二酸化硫黄(漂白剤)過量残存
オーストリア 安息香酸(保存料)検出
10 食肉製品
日本
ソルビン酸(保存料)使用の旨表示無し
11 清涼飲料水
日本
安息香酸(保存料)使用の旨表示無し
12 魚介乾製品
日本
ソルビン酸(保存料)使用の旨表示無し
13 調味料
日本
サッカリン(甘味料)使用の旨表示無し
14 野菜加工品
日本
アスコルビン酸(酸化防止剤)使用の旨表示無し
15 魚介類加工品
日本
着色料使用の旨表示無し
16 乾燥果実
中国
着色料使用の旨表示無し
17 製菓材料
フランス
着色料名の誤記
*
1:食品衛生法第4条違反(有毒、有害な物質が含まれ附着、疑いのあるもの)
2∼3:食品衛生法第6条違反(認められていない添加物を使用)
4∼9:食品衛生法第7条違反(定められた規格、基準に合わないもの)
10∼17:食品衛生法第11条項違反(定められた基準の表示がないもの)
26
容
1
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
3 食品の苦情発生状況
都・区の保健所等に消費者から寄せられる苦情は、平成5年度は年間約2,000件でしたが、平成10年度
には、2,800件前後にのぼりました。近年、都民の食に対する安全性への不安や関心が高いことが考えられ
ます。
ここでは、平成10年度、都・区の保健所等に届出のあった苦情について、東京都衛生局生活環境部食品
保健課がまとめた「平成10年度食品衛生関係苦情処理集計集」の概略について報告します。
平成10年度の苦情発生状況
平成10年度、届出のあった苦情の総件数は2,871件です。(1件で複数の苦情要因を含む)
図1は、苦情を要因別にまとめたものです。要因としては、届出の多い順に「有症(下痢や腹痛など食
中毒様症状を呈した)」「食品中に異物が入っていた」「異味・異臭がある」の順でした。
図2は、「異物混入」の内訳です。異物混入の原因物質は、「虫」が最も多く、その中でも「ゴキブリ」
が約半分を占めます。次に、「毛髪」などの動物性異物、「金属」などの「鉱物性異物」の順でした。食品
別の苦情総件数は2,704件で、その内訳は図3のとおりです。
施設別苦情総件数は2,704件で、その内訳を図4に示しました。苦情の約半数が「飲食店営業」で発生し
ています。次いで、「デパート・スーパー」「その他の販売業」の順でした。
その他
473件 16.5%
異物混入
567件19.7%
施設・設備
215件7.5%
木・紙
16件2.8%
腐敗・変敗
129件4.5%
虫
214件
37.7%
物
異
性 9%
物 5.
動 件1
90
その他23件
ハエ23件
幼虫17件
総件数
567件
その他
食品害虫
12件
異味・異臭 ネズミの糞4件
寄生虫
338件11.8%
41件
鉱物性異物 7.2%
その他158件
爪・歯4件
変色・変質
77件13.6%
92件3.2%
人毛59件
食品の取扱
アニサキス17件
その他10件
127件4.4%
ガラス8件
石・砂11件 金属48件 その他24件
有症
733件25.5%
表示88件3.1%
図1 要因別苦情件数(平成10年度)
図2 異物混入原因内訳(平成10年度)
不明
水産食品
水産加工食品
140件 5.2% 183件 4.2% 113件 4.2%
食品類以外
426件 15.8%
食品添加物・
器具容器包装
17件 0.7%
その他の食料品
31件 1.1%
その他
92件16.2%
合成樹脂
29件5.1%
カビの発生
109件3.8%
総件数
2,871件
ゴキブリ
104件
繊維8件1.4%
総件数
2,704件
複合調理食品
725件 26.8%
不明
その他
216件 8.0%
114件 4.2%
畜産食品
89件 3.1%
畜産加工食品
109件 4.1%
農産食品
113件 4.2%
その他販売業
273件 10.1%
行商・自動車販売
53件 1.9%
パン・菓子類
259件 9.6%
図3 食品別苦情件数(平成10年度)
飲食店営業
128件
47.4%
総件数
2,704件
農産加工食品 コンビニエンスストア
159件 5.9%
74件 2.7%
そう菜類
226件 8.3%
肥料 20件 4.4%
本人又は家族
83件 3.1%
デパート・スーパー
354件 13.1%
その他許可製造業等 56件 2.1%
そう菜製造業 18件 0.7%
豆腐製造業 15件 0.5%
菓子製造業
157件 5.8%
清涼飲料水製造業 10件 0.4%
図1 要因別苦情件数(平成10年度)
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
27
用語解説
用
語
残留農薬
動物用医薬品
抗菌性物質
ポストハーベスト
農薬
防ばい剤
キャリーオーバー
有機水銀
PCB
TBTO
TPT
ダイオキシン類
ダイオキシン類の
毒性
トータルダイエッ
トスタディ
毒性等量(TEQ)
(TEQ:Toxic
Equivalents)
28
解
説
穀類、野菜・果実などは、栽培時あるいは収穫後に、殺虫、殺菌、保存などの目的で農薬を使用すること
があり、収穫後の農産物に残留した農薬をいう。この農薬が食品を介して人体に取り入れられることから、
厚生省、環境庁、農林水産省などが、食品中の農薬残留量の基準、農薬の使用上の規制、農薬の安全性の
規定等を決めている。食品衛生法では、食品・食品添加物等の規格基準で約130農産物、199農薬(1
3年2月)について、それぞれ残留農薬基準を定めている。
家畜、家禽などの病気の治療、予防や発育促進などの目的で、牛、豚、ニワトリ、養殖魚等に使用される
動物用の医薬品をいう。動物用医薬品には、「抗菌性物質」「内寄生虫用駆除剤」「ホルモン剤」などがあ
る。生産現場でこれらの動物用医薬品を過剰に使用したり、休薬期間を守らなかった場合は、薬剤耐性菌
の発現、食肉中に残留すると人の疾病時に抗生物質が効かなくなるなどの報告があり、問題となっている。
抗生物質および合成抗菌剤を含めた総称。抗生物質は、生物によってつくられ、微生物の発育を阻止する
物質をいう。また、合成抗菌剤は、微生物の助けをかりず、化学的に合成された抗菌性物質をいう。用途
は、家畜の疾病予防や治療薬として使用される。
収穫後(ポストハーベスト)の農産物に対して、貯蔵・輸送中の保存性を高めるために使用する農薬のこ
とをいい、一般に収穫前に使用された農薬より農産物に残留しやすいとされている。米国など諸外国では、
収穫後に農薬を使用することがあるが、我が国では一部のくん蒸剤を除いて収穫後の農薬使用は認められ
ない。
防かび剤ともいう。輸入のオレンジやグレープフルーツなどのかんきつ類、バナナのカビ発生防止のため
に使用される食品添加物。ジフェニール(DP)、チアベンタゾール(TBZ)、オルトフェニルフェノー
ル(OPP)、イマザリルの4種がある。このうちイマザリルを除き3種は、食品衛生法では食品添加物
扱いとなっている。
食品の製造工程では使用しないが、原材料に添加物が含まれていることによって最終製品に添加物が含ま
れることがある。しかし、その添加物が効果を発揮することができる量より明らかに少ない場合は、検出
(持ち越し)しても表示義務は免除される。
水銀を含む有機化合物を有機水銀といい、一般に脂溶性で脳・肝臓・腎臓等に蓄積されやすい。水銀は医
薬品や農薬等の原料に広く使われていたが、工場近隣の住民が水銀を含む工場廃水に汚染された魚介類を
継続的に摂取したことが原因となって「水俣病」が発生し、社会問題をなった。昭和49年には、水銀系
農薬の製造及び使用が禁止され、化学工場等における製造技術の改善等、各種の汚染防止対策が講じられ
た。
ポリ塩化ビフェニルの略。熱に対する安定性、電気絶縁性に優れ、コンデンサー、熱媒体、ノーカーボン
紙等に広く用いられた化学物質である。PCBを含む製品の製造工程や電気機器等の廃棄が原因で、PC
Bが環境中に放出された。PCBは、分解せず自然界に長期間残留するため、食品では、魚介類、乳製品、
食肉からも検出されるなど環境汚染物質となっている。特に、魚介類では生体内で濃縮し、これを人が摂
取すると蓄積し、皮膚、神経、内臓障害などの中毒症状を引き起こす。カネミ油症事件は、油の脱臭工程
中にPCBが混入して起こった。コプラーナPCBは、209種類あるPCBのうち、平面構造をもつも
のをいい、PCDD及びPCDFと類似の生理作用を示すが、特に人体への毒性が強い特徴がある。
TBTO(ビストリブチルスズオキシド)及びTPT(トリフェニルスズ)は、どちらも有機スズ化合物
の一種で、細菌、藻類等の生物に対して発育阻止効果が強いため、船底塗料、魚網の防汚剤等に使用され
てきた。難分解性で、体内に蓄積されやすく、汚染された魚介類を人が継続的に摂取した場合、歩行困難、
呼吸困難、免疫機能低下など健康を損なう恐れがあるとして海洋汚染化学物質となっている。現在、「化
学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に規定する第一種及び第二種特定化学物質にそれぞれ指定
され、製造、輸入等が禁止及び規制されれている。
一般に、ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)とその類似物質であるポ
リ塩化ジベンソフラン(PCDF)及びコプラーナPCBの総称をいう。塩素原子の付く位置と数とによ
り210 種に分類され、そのうち最も毒性の強いものは、2,3,7,8-TCDD(2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ
-ジオキシン)といわれている。化学物質の合成過程やプラスチックなどの廃棄物の燃焼により生成され、
主に大気中に放出されて、野菜、穀類、魚介類、肉類など広く環境から検出されている。
最も毒性の強い 2,3,7,8-TCDDを使って毒性試験を行い、ダイオキシン類の毒性が判明している主なも
のは次のとおり。
【発がん性】ラットやマウスを使った動物実験で発がん性が認められている。また、遺伝子に直接障害を
与える物質(イニシエーター) で はなく、発がん促進物質(プロモーター)と考えられている。
【免疫毒性】動物実験で、胸腺の萎縮や免疫機能の障害が起こることが報告されている。
【生殖毒性】動物実験で、生殖機能、甲状腺機能への影響が報告されている。
【急性毒性】人に対しては、事故などの高濃度の暴露により発がん性が認められている。
通常の食生活において、食品を介して、例えば、どの程度の量のダイオキシン類が実際に摂取されるかを
把握するための調査方法である。モデル献立は、国民栄養調査による食品摂取量を用い、全食品群を飲料
水を含めた14の食品群に分類する。それぞれの1人1日摂取量を基に食品構成と数量を定め、小売業等
から購入した各食品について、通常行われている調理方法に準じて調理を行う。調理後、各食品群につい
てダイオキシン類の分析定量を行い、各食品群ごとにダイオキシン類の1日摂取量を算出し、これを総和
することにより、ダイオキシン類の1人1日摂取量を求める。
ダイオキシン類のそれぞれの異性体の毒性を 2,3,7,8-TCDDに換算して合計したもの。ダイオキシン類
の中で 2,3,7,8-TCDDが最も毒性が強いことから、多くの毒性試験が、この化合物単体について行われ
ている。従って、ダイオキシンの定量値については、各異性体ごとに設定されたITEF(International
Toxicity Equivalency Factor;国際毒性等価係数)を用いて 2,3,7,8-TCDDの毒性を1としたときの相対
的な量として換算する。
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
耐容一日摂取量
(TDI)
最小作用量
(LOAEL)
最大無作用量
(NOAEL)
放射能
食中毒
耐熱性溶血毒
(TDH)
腸管出血性大腸菌
小型球形ウイルス
(SRSV)
容器包装詰加圧加
熱殺菌食品
HACCP
複合調理食品
収去検査
食品機動監視班
TDI(Tolerable Daily Intake)は、健康影響の観点から、人が一生涯にわたって連日摂取しても、一日
あたりこの量まで摂取が耐容できると判断される量をいう。本来、混入することが望ましくないダイオキ
シン類などの環境汚染物質の場合に用い、摂取する利益がないことから、一般に、暴露は最小限に抑えら
れることが望ましいとされている。
LOAEL(Lower Observed Adversed Effect Level)は、化学物質等の健康影響が現れる最低の摂取量。
安全性評価の一つの手法。この値をもとに様々な要因係数を加味して許容 1 日摂取量ADI(Acceptable
Daily Intake)が決められる。
NOAEL(No Observed Adversed Effect Level)は、ある期間にわたって不可避的に摂取し体内に蓄積
される場合に、化学物質等(例:食品添加物)の健康影響が現れない最大の摂取量。実験動物の毒性試験
結果に基づいて算出される。
放射能とは、ベーター線やアルファー粒子、ガンマー線を放出させる性質をいう。放射能が出す放射線を
有効に利用し、ばれいしょの発芽防止や器具類の殺菌、未開封容器の内容量検査などに利用している。し
かし、食品中に過剰に照射された場合は、放射能を生成するなど、有害な性質を惹起する可能性もあり危
惧されている。昭和61年、チェルノブイリ原発の事故により、自然環境や食品等が汚染された。現在、
放射能暫定限度は、食品中のセシウム 134及び 137について 370ベクレル/Kg 以下と定めている。
人体に病原性を示す微生物や有害な物質を飲食物を介して摂取することにより生じる健康障害をいう。食
中毒の90%以上は、食中毒起因菌により起こり、急性胃腸炎症状(おう吐、腹痛、下痢)、発熱等を呈
する。まれにボツリヌス菌が産生する毒素、ふぐのテトロドトキシン、ドクツルタケのアマトシキン類な
どにより死亡する例もある。また、感染症予防・医療法(略称)の施行により、赤痢やコレラ、腸管出血
性大腸菌O157 も食中毒起因菌に組み入れられた他、カキを汚染するウイルス(SRSV)も食中毒起因
菌として含まれる。
神奈川現象陽性菌が産生する毒素で、腸炎ビブリオ食中毒の病原因子と考えられている。この毒素が腸管
毒性や溶血作用などを呈する。一方、神奈川現象が陰性の菌であっても毒素(耐熱性溶血毒類似物質TR
H)を産生する菌の存在も報告されている。
ベロ毒素(Verotoxin)を産出し、急性胃腸炎や出血性大腸炎等の症状を引き起こす病原大腸菌の一種で、
ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)とも呼ばれる。腸管出血性大腸菌O157もこの仲間である。O157は、
牛をはじめとする家畜の腸管内に確認されている。他の食中毒菌と異なり、少量の菌で人に感染し、4∼
9日と長い潜伏期間を経て発症する。乳幼児や高齢者は、一旦、罹患すると重篤になることがあり、溶血
性尿毒症症候群(HUS)を併発し、死に至ることがある。
Small Round Structurd Virus の略。小型球形ウイルスは、形状の類似するウイルスの総称で、このウイル
スが原因と考えられる急性胃腸炎は、冬季から春季にかけて多く発生する。主な症状は、吐き気、おう吐、
下痢、腹痛、発熱など。感染してから発病までの時間はおおむね24∼48時間であり、通常3日間以内
に回復する。冬季、二枚貝やカキの生食による食中毒が増加している。また、人から人への感染事例も報
告されている。
いわゆるレトルト食品のこと。気密性のある容器包装に入れ密封した後、中心部の温度を 120℃で 4 分間
加熱、もしくはこれと同等以上の効力を有する方法を用いて殺菌した食品。食品中で発育しうる微生物が
陰性でなければならない。常温保存が可能であるが、類似の包装形態で「要冷蔵食品」があり、誤認した
人がボツリヌス食中毒をおこした事例がある。
危害分析重要管理点(Hazard Analysis Critical Contorol Point)の略。米国アポロ計画で宇宙食の衛生確
保のために考案された食品の衛生管理手法。従来の食品衛生管理が最終製品の監視と各工程のランダム検
査に重点を置いていたのに対して、本システムは、原材料から消費までのすべての段階での潜在的危険を
抽出・分析(HA)し、個々の危害の重要度に応じて管理すべき点(CCP)を製造工程中に設定する。
また、予め危害に対する改善策を講じておき、管理点で危害発生時には、速やかに製品を排除できるよう
にシステム化しておく。このことにより、継続的に食品の安全性の確保を図ることが可能となるとともに、
有害食品の流通を未然に防止できる。この考え方を取り入れた、総合衛生管理製造過程の対象となっている
食品は、牛乳、乳製品、食肉製品、レトルト食品、清涼飲料水がある。
食中毒や苦情が発生した場合、調査時に原因食品を特定するが、原因食が飲食店などで提供される複数の
食品が組み合わされたランチや幕の内弁当などの場合、そのメニュー中の食品を特定できないことがあ
る。その場合、メニュー全体を原因食として「複合調理食品」として処理している。
飲食に起因する公衆衛生上の危害発生を防止する必要がある場合に、食品衛生法第 17 条の規定により、
試験検査を行なうのに必要な限度内で、食品、添加物、器具又は容器包装の引渡しを無償で行うことをいう。
収去は、食品衛生監視員が行ない、その際、検査のために受け取りした旨の「収去証」を、被収去者に交
付しなければならない。また、収去を拒んだり、妨げたり、忌避した場合には罰則の適用がある。
昭和45年、チクロなどの指定外食品添加物、うそつき食品の排除を行うために設置された食品衛生監視
員の専門チーム。現在、食品環境指導センターに所属し、食品機動監視班10班の他、輸入食品を専門に
監視する輸入食品監視班、乳・乳製品を中心にHACCPに基づく監視指導を行うハサップ指導係で構成
される。食品機動監視班の主な業務は、①広域流通食品の安全確保②有害食品の緊急監視③夏季及び歳末
時の一斉監視指導④食品衛生上の問題を先見・先行的に予測し、安全基準設定等に資するための先行調査
などである。
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
29
東京都食品環境指導センター案内図
TOKYO METROPOLITAN FOOD AND ENVIRONMENT
GUIDANCE CENTER CONDUCT MAP
食品環境指導センター(本所)
〒163−8001
東京都新宿区西新宿2-8-1都庁第一本庁舎北塔36階
TEL 03-5320-5982
FAX 03-5388-1507
(Aエレベーターを使用)
≪交通≫
○JR山手線、中央線、埼京線、営団地下鉄丸の内線、
都営地下鉄新宿線、小田急線、京王線「新宿駅」
(西口)から徒歩10分
○都営地下鉄大江戸線「都庁前駅」すぐ
食品環境指導センタ−(多摩支所)
〒190−0023
東京都立川市柴崎町3-16-25
都立衛生研究所多摩支所内4階 TEL 042-529-8899
FAX 042-529-0522
≪交通≫
○JR中央線、青梅線、南武線「立川駅」(南口)から
徒歩7分
○多摩都市モノレール「立川南駅」から徒歩6分
★ 表紙絵画は、タイトル「かがやき」
河津 英彦様の作品です。
☆ 本誌の内容等を転載する場合は、当センターまでご連絡ください。
☆ 本誌は、当センター以外に、都庁展示ホール健康情報館(都庁第一本庁舎北側2階)、都民情報ルーム(都庁
第一本庁舎3階)、都・区保健所、消費者センター等で配布しています。
☆ 本誌の郵送を希望される方は、A4判の入る封筒に210円の切手(1冊の場合)を貼り、あて先を明記の上、
当センター業務課普及啓発係宛お送りください。また、年4回発行の通常号「くらしの衛生」を希望の方は、
140円(1冊の場合)の切手を貼った封筒(A4判)に、あて先、希望の号を明記の上お送りください。
☆ 本誌に関するご意見、お問合わせ等については、当センター業務課普及啓発係までお願いいたします。
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都庁展示ホール健康情報館からのお知らせ!
健康情報館は、健康、食と住まいの衛生に関する都民のさまざまな不安や疑問にお応えするために、平成12年7月に
都庁第一本庁舎北側2階展示ホールに開設しました。専門相談員を配置している他、各種模型の展示、ITを活用した
情報提供、希望に応じてミニミニ講習会も行っています。相談電話 03−5320−5995
mmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmm
発行/東京都食品環境指導センター 03−5320−5982
印刷物規格表第1類
印刷番号(12)15
印刷/株式会社セピア印刷
平成13年2月発行
くらしの衛生 特集号 食品衛生データブック2000
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