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基本技術 番外編(体力トレーニング)2011年8月作成

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基本技術 番外編(体力トレーニング)2011年8月作成
オリエンテーリングの基本
オリエンテーリングの基本技術
基本技術
(番外編:
番外編:オリエンテーリングのための体力
オリエンテーリングのための体力トレーニング
体力トレーニング)
トレーニング)
2011年8月 文責 田濃
0、イントロダクション
オリエンテーリングは誰でも楽しめる生涯スポーツであり、またインカレ、日本選手権あるいは世界
選手権などが開催される競技スポーツでもある 2 面性を持っています。
しかしどんなスポーツでもそうですが、スポーツを楽しむためには最低限必要な体力、走力というも
のが必要となります。
本原稿では静大生向けに、オリエンテーリングの体力トレーニングの指針について解説します。
なお、この原稿はあくまで筆者の知識と経験を元に記載しています。トレーニングについて執筆して
いるどのような出版物でも同じことが記載されますが、実際
実際に
実際に自分に
自分に最適なトレーニング
最適なトレーニング方法
なトレーニング方法というも
方法というも
のは最終的
のは最終的には
最終的には自己
には自己で
自己で導き出す必要があります
必要があります。
があります。本原稿はあくまで参考としてください。
また、細かい用語の説明は省きますので不明な用語があれば、これらはランニング雑誌や web などを
見てください。
・有酸素運動
・超回復
・トレイルランニング
など。
1、量をこなすことが基本
オリエンテーリングは 10 分程度のスプリントからウイニング 90 分のロング種目などいくつか幅があ
りますが、数時間競技であるロゲイニングを除けば陸上的には中長距離の部類に入ります。
・スプリント(ウイニング 10~15 分):陸上の 3000~5000m 種目に相当
・ミドル(ウイニング 30~35 分):陸上の 10000m 種目に相当
・ロング(ウイニング 60~90 分):陸上のハーフマラソンに相当
大雑把ですが上記のように思えば良いでしょう。これらはすべて有酸素運動にあたるため、トレーニ
ングも当然陸上のトレと同様に数 km 以上のランニングがまずは基本となります。陸上の中長距離におい
ては量(距離)をこなすことが前提ですがこれはオリエンテーリングにも当てはまります。
また、ロング種目など長い距離、時間のレースに耐えられるようにするためには LSD(ロングスローディ
スタンス)などによってレース距離・時間の 1.5~2 倍程度のランニングをトレーニングメニューに組み
込む必要があります。(距離と時間に対する耐性をつける。)
2、急にトレーニング量を増やしてはいけない
さて、トレーニングをやる気になった人がいたとして、今までトレーニングをあまりしていなかった
人が急にたくさん走ってはいけません。高い確率で故障をします。加えてオリエンテーリングの場合は
急斜面の登り降り等があるため、腰や膝、足首にかなりの衝撃がかかり急にたくさん走るとさらに故障
しやすくなります。あくまで目安ですがトレ経験の少ない人は前の月の 1.5 倍以上の距離を急に走らな
いようにしましょう。走行距離は少しずつ増やすのが理想です。
3、水平方向のトレと垂直方向のトレ
通常、ランニングをしている場合の多くは平らな道路のランニングをしている人が多いかと思います。
オリエンテーリングにおいてはテライン・コースによっては急斜面における登坂力が必要となるため、
1
水平方向だけでなく、垂直方向の筋力も必要となります。登りのあるランニングコースをトレーニング
に加える、あるいはスクワット、階段登りなどが有効となります。水平方向を重点的に鍛えたいのであ
れば平地のランニングが基本となります。大腿(太もも)あるいはふくらはぎに継続的にランニングの
負荷を与え続けることにより長時間のランに対する耐性をつけましょう。また、現在では学生でも多く
のオリエンティアが当たり前のようにトレーニングの一環として行っているトレイルランニング(山岳
走)ではオリエンテーリングのレース以上の登りをこなすことによりオリエンテーリングレ―ス中の登
りが(それなりに)苦でなくなります。また、数 kg の荷物を背負っての長時間運動となるため、基礎持
久力、筋力の向上が期待でき、単純な走行距離では比較できない効果が得られます。心肺機能も鍛えや
すいです。(ただし足の筋肉や腰、膝、足首等かなりの負荷がかかるため、経験のない人が目標レース
の直前に急に走る等はしないようにしましょう。特に下りが多いトレーニングは注意しましょう。一般
的に登りの際の大腿四頭筋の使い方(短縮性収縮)に比べて下りの際の大腿四頭筋の使い方(伸縮性収
縮)のほうが筋細胞破壊後の回復が遅くなります。下りのほうが筋肉にかかる体重等の衝撃が大きいた
めでもあります。)
(逆に言えば、登り一辺倒のトレーニングであれば割合、回復は速いとも言えます。そのことを考慮した
トレーニングプランを立てるのも一つの手です。)
なお、オリエンテーリングそのものも斜面を走り回るため、心肺機能的にも筋力的にも最も適したトレ
ーニングと言えます。特に柔らかい地面で走ることはオリエンテーリングに必要な筋力を鍛えることに
なります。
4、時にはトレーニングにバリエーションを持たせる
オリエンテーリングは山の中を走るため、走るスピードや強度がその時々で変化します。
スピード、持久力、筋力等多くの要素が必要となるため、時にはトレーニングにもバリエーションが
必要となります。同じようなトレーニングばかりに偏らないようにするとよいでしょう。(同じトレー
ニングばかりしていると、ある箇所は鍛えられても他にオリエンテーリングに必要な個所が弱いままと
なり、その箇所が故障しやすくなります。)また、ある日は水平方向を鍛え、ある日は垂直方向を鍛え
るなどすると、疲労のかかる箇所を分散させて効率よく筋力の向上ができるメリットもあります。
とはいえ原則は目的とする筋肉に負荷をかけ続けることがトレーニングの原則ですのでそのバランスの
とり方は試行錯誤が必要です。
(具体例は7項参照)
5、トレーニング記録をつけ、自己を分析する
トレーニングの原則は超回復です。(筋肉や心肺機能を疲労させ元の状態に戻る過程で以前の状態よ
りも強くする。)トレーニング記録(日誌)をつけ、どの程度、種類のトレーニングを行った場合にど
の程度効果があったかあるいは疲労がどの日まで溜まり続けたかなどその時の自分に最適なトレーニン
グ状態を把握しよりよい効果を得るための指標にしましょう。
これはレースにおいても同様です。「それなりにトレーニングしたはずなのに全然走れなかった。」
というようなことがあった場合、本当にそれまで行ってきたトレーニングは効果があったのか(たとえば
登坂力が必要なテラインだったのに水平方向のトレしかしていなかった、あるいは逆にスピード重視の
公園テラインなのに水平方向のトレやスピードトレをしていなかった)、あるいは他の要因はないか(疲
労を溜め過ぎていて走れなかった、食生活が悪く貧血気味だった)など振りかえるのに役立てましょう。
6、鍛練期と調整期、試合期
トレーニングは年中、同じ調子で行うことはなかなかできません。
目指すべきレース(目標レース)を決め、それに向かうまでの間に鍛練期(結果を気にせずトレーニング
を多めに行い体力向上を目指す時期。この時期は疲労をそれなりに溜めても構わない)、その後のレー
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ス前の調整期(鍛練期よりも量を減らし、疲労を取り除いていく時期。代わりに質を高める。)、試合
期(目指すレースの時期。トレーニング量は鍛練期より減っているがベストコンディションでレースに
臨む。)というように期を分けるのが理想です。学生であればインカレセレやインカレ本番、社会人で
あれば全日本リレーや全日本大会が大きな目標レースとなるでしょう。(それ以外の大きな大会を組み
込むのも可です。)
7、トレーニングプランの一例
1、トレーニング経験の少ない人(0~50kmくらい)の 1 週間の例
月:jog 4km、筋トレ
火:火トレ人文棟 2 周 6.6km あるいは和地山公園 7 周 6.3km
水:休み
木:部内レース 3km、筋トレ
金:休み
土:部内レース 3km
日:大会参加 5km 大会がなければ jog
2、トレーニング量を増やそうと考えている人(80~150kmくらい)の 1 週間の例
月:jog 8km、筋トレ
火:火トレ人文棟 3 周 10km(最後 1 周トライアル)、または和地山 10 周 9km(ビルドアップ走)
水:スピードトレ 3km
木:部内レース 4km 他 jog3km、筋トレ
金:休み
土:部内レース 4km
日:大会参加 8km 大会がなければ jog10km
説明:あくまで例です。
1はまず走ることに体を慣らす、走る習慣をつける。
2ではスピードトレも取り入れ。
1、2共に休みの間隔を空けないよう(2 日以上休みを入れない)にして効率よく超回復を図る。
同様に筋トレも超回復を見越して1~2日おきに行う。
筋トレは腕立て、腹筋、スクワット。(スクワットは膝を痛めないよう注意)
8、レースにおいてトレーニングの成果を発揮する、心拍数的に追い込む
1 項にてスプリントは 3000~5000m、ミドルなら 10000mに相当するという説明をしましたが、実際時間
が短いレースであればあるほど、追い込むスピードは高くなります。逆に言えば、(ナビゲーションを
行える範囲で)しっかり追い込んで走れなければ、(当たり前ですが)トレーニングの成果を 100%発揮
することはできません。ラスポ~ゴールだけを全力で走ってゴール後も余力が残っている人は、レース
全体において自己の持つ体力を使い切れていないことになります。(もちろん、余力を使いきったうえ
でラスポから素晴らしいスパートが出来る人もいますが。。)あくまで目安ですが、ラスポまでのレー
ス中は(有酸素運動の範囲内での)全力疾走の 90~95%程度の追い込みで頭が真っ白にならない(ナビ
ゲーションを行えることが前提)状態で走るのが理想です。オリエンテーリングはレース中、登り下り
によってスピードが激しく変化するため、スピードによる運動強度の評価というのは行えません。代わ
りに多くの選手は心拍数付きの時計(HR monitor:Heart Rate monitor)を使って自己の運動強度を客
観的に評価しています。自分の場合(この原稿記載時の年齢で)最大心拍数が 195 程度で、レース中の
平均心拍数は 180~190 弱程度です。(2 年ほど前の全日本リレーにおいては最後の数分間は 200 前後で
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したが。)自分の場合、平均心拍数(HRa :Heart Rate average)が 180~185 くらいで普通、180 を切っ
ているとそれは追い込むのをさぼっているかまたは足に疲労がたまっている状態など体調不良の状態と
判断しています。呼吸が苦しいのに HR が低い場合は大抵疲労が多いときです。それを元にトレーニング
の調整度合いの参考にもしています。 (普段の jog 時は 140~高くても 170 弱。170 以上になるのはペ
ース走以上のペースの場合など。)
心拍計を持っていなくても、呼吸の苦しさ具合から自分がどれくらい追い込んでいるのかあるいは追い
込めていないのかは把握できます。「トレーニングしているのにレース結果に結び付かない(?)」と
いう人がいれば、きちんとレース中追い込んで走れているかチェックしながら走ってみましょう。
なお、心拍数は人により異なります。一般的には“220-年齢=最大心拍数”となりますが追い込んでい
ても心拍数が低い人もいます。
9、トレーニングは継続が必要
書くまでもないことかもしれませんがトレーニングは継続が重要です。ある月だけ急にたくさん走って
もそれがすぐ体力向上に結びつくことはなかなかありません。数か月、1 年、2 年と継続することによっ
て効果が出ます。
10、体のケアを行う
トレーニングの前後(始める前だけでなく、終わった後も)(もちろんレースの出走前も。)には必ずス
トレッチを行いましょう。また、ウォームアップせずに急に高強度で走りだすと呼吸が苦しいだけでな
く、筋肉が走る準備に適応せずに故障に原因になります。トレーニング後、レース後は筋肉をほぐすた
めにもクールダウン、マッサージも行いましょう。
また、入浴もシャワーですませずにできる限り湯船につかって血液中の老廃物がスムーズに排出される
ようにしましょう。
11、食事、貧血の管理
(男子学生は特に)食事にも留意しましょう。貧しい食生活で必要な栄養が不足しているとしっかり走
ることはできません。また特に夏場は発汗により鉄分が失われやすくなります。貧血症状になった場合
はいくらトレーニングをしていても、体が動かなくなります。あるいはそもそもトレーニング自体がで
きなくなります。必要な鉄分やビタミン、また発汗対策として水分やミネラル、ナトリウムの補給には
注意しましょう。(なお、鉄分はランニング中の着地時の衝撃によっても破壊されていきます。)
夏場のトレーニングにおいては、自宅を拠点としてこまめに水分補給に戻るあるいはウエストポーチに
飲料を携帯するなどしましょう。
また、(特にレースにおいて)食事のタイミングは3時間前がベストです。(人によっては 1.5~2 時間
くらいかもしれません。自分の場合は消化器系当が弱く消化に時間がかかるため最低 3 時間置いていま
す。)食べた直後は血糖値が上がり、体がそれを下げようとするため低血糖状態になり体が動かなくな
ります。
12、体重の管理
学生にはあまり関係ないかもしれませんが、(特にお腹回りなど)脂肪のある人は減量の余地があると
いえます。体重が軽ければ、登りも軽快に登れますし、下りの衝撃も減ります。
自分(執筆時体重 63kg)の場合、20 歳の時点で基礎代謝は 1500kcal 程度、35 歳で 1400kcal 程度と年齢
とともに基礎代謝は減っていきます。日常的あるいは運動でカロリーを消費しない限り、学生のころと
同じような感覚で食事を取っていてはすぐ太ります。暴飲暴食は避け節度ある食生活を送りましょう。
(長時間のトレーニングを行ったならそれに見合うだけの栄養の補給は必要です。)
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13、故障
故障はしないに越したことはありませんがどうしても故障してしまった場合は医師の指示等に従って対
処を行いましょう。自分の場合、数年前に腰や膝を故障して数カ月走れなかったときはしばらく自転車
(バイク)をこぎ続けました。自転車は自体重の衝撃がないため、膝や腰への負担が少なく、また、
大腿四頭筋を中心に鍛えることにより膝回りの筋力アップ(=ひざ故障の再予防)もできます。
もちろん普段のトレーニングでバイクを取り入れるのも大変有効です。
14、最後に
以上思いつくままにいろいろなことを記載しましたが、どれも一面的な内容であり、
必ずしもみなさんに 100%当てはまる内容ではないかもしれません。
最初にも書きましたが、実際
実際に
実際に自分に
自分に最適なトレーニング
最適なトレーニング方法
なトレーニング方法というものは
方法というものは最終的
というものは最終的には
最終的には自己
には自己で
自己で導き出す
必要があります
必要があります。
があります。
(それらの答えは自分を
自分を分析し
分析し、そこから考え抜いた先に見つかるものだと思います。)
トレーニングは量
トレーニングは量、質、そして分析
そして分析と
分析と工夫で
工夫です。
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