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当社全部門とグループの総合力で 販売力を強化

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当社全部門とグループの総合力で 販売力を強化
FI S C AL 2 01 5 B U S I N E S S ST RAT E GIE S
2015 年度の事業方針
当社全部門とグループの総合力で
販売力を強化
セ メント事 業
安定収益の確保を柱に組織的に展開
「 17中計」の初年度である2015年度のセメントの需要予測
は4,600万トンで、2016年度は4,800万トン、2017年度は4,700
万トンとしています。
セメント事業は当社グループのコア中のコア事業であり、何
よりも安定した収益を確保することが我々の使命です。そのた
めの販売政策や生コン政策、
物流政策をはじめ、
大型プロジェ
クトの獲得、震災の復興工事などを通して、安定収益の確保に
努めていきます。
販売政策では、
まず適正価格の確保が重要になります。
2011年度に適正価格を打ち出し、
これまで一定の成果を上げ
てきましたが、
まだ十分とは言えず、満足のいく成果を上げるこ
とを目標にしています。
また、
販売政策の要である販売店の営業力強化を図ります。
そのために当社の全部門と密接に連携すると共にグループの
総合力を発揮することで販売力を強化していきます。
たとえば、資源事業部門は汚染土壌や建設残土の処理を
取り扱っていますが、建設現場ではそれらの処理に困っていま
す。そこで、
その解決策を我々や販売店が提案していけば、汚
染土壌等のビジネスだけではなく、生コン販売にもつながる可
能性が生まれます。
さらに、
これからの時代は新たに構築物を造るだけではなく、
社会資本整備として、
特に補修・補強の比重が高まってくるで
しょう。当社グループは、
それらのニーズに応える多様な商材
を保有しており、
それらを販売店に展開し、販売力の強化につ
なげていきます。
結果的に当社の製品会社、生コン会社の力が強くなる、
そう
いう販売政策をとっていきたいと考えています。
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大型プロジェクトの情報収集に努め、
ビジネスチャンスを逃さない
生コン政策には、直系生コン、専業生コン、生コン協組、
そし
て当社の営業体制が関わってきます。
直系生コンは、
自立経営が基本なので、財務体質の強化、
健全化が大切です。
また、技術面や生コン協組の運営面など、
直系生コンが地域の中心的な役割を果たす存在であってほ
しいと思っています。
専業生コン社に対しては、当社から技術・営業面のサービ
ス、品質に対する信頼の獲得、安定供給の提供がテーマです。
また、骨材対策のソリューションの提供や後継者問題の相談
など、多方面にわたってサービスを提供することで、お客様に
「太平洋セメントグループと取引きしてよかった」
と感じていた
だけるようにしたいと思います。
生コン協組は、業界の安定化が重要になります。生コン業
界の自助努力に期待するとともに、我々も直系生コンなどを通
して生コン業界の安定化に貢献していきたいと考えています。
物流面においては、需要の変化に応じた柔軟な供給体制
を構築したいと考えます。2016年度、2017年度は相当な需
要が見込まれます。こうした状況に対し、
どうバランスをとって
いくかが課題となります。また、安定供給の面では、2016年
度から本格化すると予想される東京オリンピック・パラリンピッ
クの需要に間に合わせるべく、東京SSに2万トンのサイロの増
設と固化材の製造設備の新設工事を行っています。
大型プロジェクトも全国的に目白押しですが、特に福島県、
首都圏、沖縄県に案件が多く、情報収集に努め、
ビジネスチャ
ンスを逃さないように取り組んでいきます。なかでも、震災復
興の需要は今後宮城県、岩手県から徐々に福島県にプロジェ
クトが移動してくると思われます。当社はセメント、骨材など資
ではほとんど見受けられなくなってきました。ハード面におい
ては、
バラセメント積み込み口に、
昇降階段、
エスコートレール、
セーフティブロックを設置する等順次安全対策を強化しており、
事故が発生することがないよう、
今後3年をかけて取り組んでい
きます。
女性の活躍推進については、
太平洋セメント生コン会に
「女
材の供給、技術の提供などを通して復興に貢献していきます。
性活躍推進委員会」
が発足し、
生コン業界やセメント業界で女
安全指導を強化し、
人材面では女性の活躍推進を支援
す。当社としても、
積極的にサポートしていきます。
全指導を強化しています。ソフト面では、
たとえば運送会社に
は需要が減少したこともあり、大きな問題はありませんでした。
安全面に関しては、本社、支店、SSにおいて安全教育、安
ドライバーへの安全教育を実施しているかどうか実態を報告し
性が活躍するにはどうすればいいのか、活発に議論していま
2013年度に顕在化した人手不足に関しては、2014年度
2016年度は需要が一斉に出てくるものとみられているため、
ミ
てもらっています。また、各SSでは安全パトロールを実施し、
ヘ
キサー車の運転手など、
生コン関係に影響が出る可能性もあり
当初は違反も散見されましたが、
指導強化の成果が上がり、
今
旺盛な需要に対処する体制づくりを一段と強化していきます。
ルメットや安全帯、
ゴーグルなどの着用をチェックしています。 ます。建設現場のオーダーの調整や他の地域からの応援など、
取締役常務執行役員 セメント事業本部長
湊 高樹
TAIHEIYO CEMENT CORPORATION
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2015 年度の事業方針
現状にとらわれない発想で
新たな事業を展開
パラリンピックの工事が始まるため、
これに向けて骨材の安定
供給のための拠点づくりも進めていく必要があります。
ただし、現在の震災復興工事やオリンピック関連工事が一
段落して需要減少が予想される中で、全国のグループ会社の
資源事業
経営をいかに維持・強化していくかが課題と考えており、
「 17中
計」
期間中に収益力の確保を確立していきます。
今後の成長分野としては、
チッカライトや高純度炭化ケイ素な
さらなる成長に向け、海外での事業展開を加速
どの資源ケミカル事業と海外での事業展開に注力していきま
資源事業部門において
「 17中計」
で最も大切なことは、既存
す。資源事業は、石灰石を中心としたビジネスと考えがちです
事業の収益力強化を図ることと、
成長分野をいかに伸ばしてい
が、石灰石資源や鉱物資源に限定せず、当社が保有するあら
くかです。
ゆる資源に目を向け、当社としてビジネスチャンスを見極め、新
また、
当部門は、
グループ会社の売上が全体の約6割を占め
しい事業展開を生み出せないかを考えることが大切です。
ており、
グループ力の強化も重要になります。以上の点を柱に
また、海外での事業展開は、基本的に東南アジアをターゲッ
事業展開を進め、
「 17中計」
の初年度をスムーズに滑り出した
トとしています。日本でのビジネスモデルが海外でも通用する
いと考えています。
のか、
現地の状況や事情を精査し、
海外事業本部とも連携しな
既存事業においては、
震災復興需要などにより、
足元の収益
がら、
事業展開を進めていきます。
状況は安定しています。関東地区では東京2020オリンピック・
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取締役常務執行役員 資源事業部担当
環境事業部担当
不死原 正文
既存事業の更なる拡充と
新規事業の展開により
TF1000の達成を目指す
力していきます。同時に海外のグループ工場を拠点とした日
で事業ができるわけではないので、
人材の育成も加速させ、
事
本流の環境事業や、環境技術の導出の可能性についての検
業の一層の拡大・成長を目指していきます。
討を進めます。
二つ目は、
石炭灰の活用です。現在、
複数の石炭火力発電
所の建設が計画されています。発電所の完成は2017年度以
降になりますが、
すでに社内に石炭灰活用推進委員会を設け、
環境事業
発生する石炭灰の活用に関し検討を進めています。新たに
海外展開の加速と石炭灰の活用に注力
許さない当社の有効利用技術を最大限活かし、
これまでの知
策定し、2017年度に売上1,000億円の目標を掲げました。震
三つ目は新規事業の展開、特に水処理関連分野への参入
達目標としています。
年度は海外展開も視野に入れ30億円を目標としています。将
環境事業部門は東日本大震災の前年に
「 TF1000」計画を
500万トン前後の石炭灰発生が見込まれる中、他社の追随を
見、
ノウハウを駆使して収益拡大につなげていきます。
災関連需要で一時的に1,000億円に達しましたが、
「 14中計」 を目指し、3年前から始動したアクア事業に期待しています。
初年度が7億円、昨年度が14億円と順調に売上を伸ばし、今
終了時は750億円となり、
「 17中計」
で250億円の売上拡大を必
施策の一つ目は海外展開の加速です。国内のセメント生産
量は、
オリンピック後、
大きな成長は見込めません。海外にシフ
トし、石炭灰やそれを活用した新しいセメントの輸出拡大に注
来的には50億円規模にしたいと考えています。
海外展開を強化する中で、
語学はもちろん、
異文化を理解で
きる人材が必要になってきます。当然、外国語が話せるだけ
TAIHEIYO CEMENT CORPORATION
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2015 年度の事業方針
環太平洋で
存在感のある企業に
ています。
新規事業については、
既存進出地域での事業基盤の強化、
以上が既存地域の事業に関してですが、
一方で新規地域で
新たな有力市場への進出、
この両面から検討を進めていきま
の事業も検討していきます。地域としては東南アジアを有望な
す。そのためにも、
この中計期間中に一定規模の事業拡大に
ターゲットと考えていますが、当該地域には多くの企業が参入
目処をつける方針です。
を考えていますので、事業機会を逃さないように取り組んでい
トレーディング事業は、
4月に竣工したシンガポールのサイロを
きます。
活用し、新たな商品であるCEMⅡの販売を着実に推進するな
海外事業拡大には人材が不可欠な要素となります。今後も
海外事業
ど、
将来の取扱数量拡大に向けた地盤整備を進めていきます。
各事業部門と連携しながら、効果的な人材の育成に努めてい
次に地域別の状況ですが、米国は昨年ようやく黒字化しま
きます。語学研修やトレーニー制度に加え、海外でのプロジェ
将来像を描いて目標に向けて取り組む
した。今後、数年は回復基調が継続するとみており、
それに伴
クトなど、若手社員が海外の業務に触れる機会も増やしていき
い販売価格の値戻しも進められるものと考えています。期待
ます。
今回、17中期経営計画を策定するにあたり、我々は2020年
代半ばを想定した
「ありたい姿」
「長期ビジョン」
を描くことから
スタートしました。それは、“環太平洋で存在感のある会社で
ありたい”ということを基本に置いています。そのためにはある
程度の規模、今以上のセメント生産能力が必要だと認識して
います。
いたずらに規模を追求する考えはありませんが、
当社の強み
である資源や環境分野のノウハウ等を生かした、
独自性のある
海外展開を進めていくためにも、一定規模のセメント製造拠点
が必要であると判断しています。
また、
マーケットでの存在感や影響力を示すうえで、
トレーディ
ング事業も重要な要素となります。現在、当社は輸出に三国
間貿易等を加えると約500万トンの物量を取り扱っていますが、
将来はスラグやフライアッシュを含めたセメンティシャスマテリア
ルで1,000万トン規模を取り扱うようになりたいと考えています。
そして、一定の事業規模獲得やトレーディング事業の拡大を
通じて、国内需要の減少が想定される2020年代半ばぐらいま
でに、海外事業で国内と同レベルの利益を確保する、
そんな将
される利益水準の達成に向けて更なる利益向上を図っていき
ます。
中国は数量、価格とも下がり、
さらに環境規制も厳しくなりま
した。今後これに対応できない会社は淘汰され、新しい安定
秩序ができることを期待していますが、当面は足元の厳しい状
況を乗り切る努力をしていきます。
フィリピンはここ数年で需要が急激に伸長しています。現在、
生産能力増強のため粉砕ミルを増設中で、今秋には完成し、
当面の需要増加に対応できる体制が整います。
ベトナムも景気が回復基調にあり、昨年のセメント内需は過
去最高だった2010年の水準を超えました。当社のベトナム事
業の拠点であるギソンセメントは輸出にも対応できるバースを
保有しており、内需の増加への対応と輸出のバランスをとりな
がら、
最大生産を維持し、
利益の最大化を図ります。
パプアニューギニアでは、
天然ガスの輸出も始まり、
需要は堅
調に推移しています。当社は同国内で唯一の粉砕工場を持つ
優位性を生かし、
今後も確固たる地位を維持していきます。
来像を描いています。
17中計の目標と地域別の状況
「 17中計」
では、①既存事業の収益力強化、②新規事業の
開拓と推進、
③トレーディング事業の拡大と深化の3点が柱とな
ります。またCSR経営の観点からガバナンス体制の強化にも
注力していきます。
既存事業の収益力強化では、2017年度までに海外連結子
会社の営業利益を180億円近くまで引き上げることを目標にし
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つく諸施策を検討する中で、
事業の拡大を模索していきます。
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海外での成長機会を探求
中長期的に米国はポテンシャルのある国であり、
既存事業の
価値を高める投資機会があれば積極的に検討していきます。
中国は、
いまは市場環境が厳しい状況なので大きな投資は
考えていませんが、
ビジネスチャンスの探索は続けていきます。
成長が期待されるフィリピンでは、
クリンカの生産能力増強な
ど、
事業基盤の拡大の余地を探っていくことになります。
ベトナムでは、
混合セメントなどセメント販売数量増加に結び
取締役常務執行役員 海外事業本部長
菊池 謙
収益の柱となる事業基盤の
確立・強化を目指す
建材・建築土木事業
に並ぶ柱として、強化を進めているところです。また、
17中計
更に、
その殆どが日本国内における事業展開であるため、
では、
その基本方針として、
「収益の柱となる事業基盤の確立・
海外進出を加速していくためのロードマップを策定することとし
強化」
を掲げています。
ています。また、海外の成長市場に精通した人材の育成も急
具体的な取り組みとして、
今後ますますニーズが高まるコンク
務であり、併せてグループとして取り組んでいきたいと考えて
リートの高付加価値化・プレキャスト化や老朽化するインフラ
います。
対策の分野における技術・製品の拡充等が挙げられます。
これら諸施策実行により、建材・建築土木事業を成長軌道
更に、事業構造の補完・補強に繋がるような投資や、注力
に乗せ、
持続的な事業価値向上を目指してまいります。
多岐に亘る事業領域
分野におけるアライアンス・再編等も視野に入れながら、効果
建材・建築土木事業は、
すべて関係会社の事業で構成さ
的且つ戦略的な対策を講じていきます。
れています。地盤改良工事・ALC(軽量気泡コンクリート)・
これらの取り組みを進めることにより、
17中計目標値である売
混和材等のプレミックス製品・コンクリート二次製品・シールド
上高920億円、
営業利益60億円を達成したいと考えています。
トンネル工事における裏込材等、
その事業領域は多岐に亘っ
また、震災復興工事、東京オリンピック・パラリンピック関連
ており、
グループとして、
お客様からの様々なニーズにお応えで
工事終了後は、需要は減少するものと想定しており、
この17中
きる体制を整えています。
計期間中で、
中長期の事業環境を見据えた収益構造を確立す
17中計達成に向け、取り組みを強化していく
りつつ、選択と集中を継続実施し、事業・商材の新陳代謝を
建材・建築土木事業は、
成長戦略を策定すべき事業として、
図っていくことで、
より強靭な体制を構築していかなければなり
その位置付けを明確にし、
セメント事業、資源事業、環境事業
ません。
る必要があります。そのためには、
今後の成長性と採算性を量
取締役常務執行役員 建材事業部担当
西村 俊英
TAIHEIYO CEMENT CORPORATION
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