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PowerPoint プレゼンテーション - 北海道大学大学院水産科学研究院

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PowerPoint プレゼンテーション - 北海道大学大学院水産科学研究院
海洋生物安全管理論
海洋生物
安全管理論
・水産食品を中心に、一次生
産から消費までのフード
チェーンにおける安全性確
保について検討する。
一色賢司
(大学院
水産科学研究院)
北大・海洋生物安全管理研究室
・環境を汚染した有機化合物や重金属類等の魚介類
へ及ぼす影響は,消費者のみならず生産者にも深
刻な問題を投げかけている。
・食品の生産、製造から流通・消費段階における生
物的,化学的,物理的危害因子の適切な管理は重
要な問題である。
・これらの課題にどのように対処して行くべきなのか
を考察し、人間の食生活の安全性確保という切り口
から、海洋生物と人間の関係について学ぶ。
・特に、海洋生物等の食品としての取り扱い、流通・
加工、消費の過程における各種危害要因の特性解
析を含む科学的根拠に基づく安全管理システムに
ついて学ぶ。
入手して読むべき資料:
①食品産業センター:食品製造・加工業
のためのISO22000(食品安全マネジメン
トシステム)解説書(第3版)(2008)、
②北海道:生鮮水安鮮度保持マニュアル
(概要版)
☆上記の文書は、HPからダウンロード
して印刷することを薦める。しかし、読
まなければ、「猫に小判」である。
・水産食品の安全管理においては、水産生物
資源の生産現場の環境管理から消費に至る
までの安全性確保は重要な課題である。
・我々が口にしている水産物は,安全かつ、食
品としての適性を持って供給されなければな
らない。
教科書:なし
参考書:
・一色賢司編:食品衛生学、第
2版(東京化学同人)
・新宮和裕ら:食品トレーサビリ
ティシステム(日本規格協会)
・内閣府食品安全委員会:食
品の安全性に関する用語集
食生活と水産物
・わが国では,水産物は食料資源として大変
重要なものである。
・動物性タンパク質の約40%を水産物から得
ている。
・わが国で食用になっている水産物の種類は
極めて多い。
・日本人の食生活を豊かにしていると同時に,
水産物に含まれている栄養成分や微量成
分が日本人の健康維持に役立っている。
1
主な食料の自給率
(1)現代の食生活と水産物
日本人の健康状態は世界的にみて非常に良好
であり,長寿である。日本人の食生活と関係があ
ると考えられており,米と水産物を多く食べる日本
型食生活は世界各国からも注目されている。
日本型食生活の特徴
①主食の米を食べているので炭水化物の摂取量
が多いことである。
②魚介類,肉類,大豆製品,乳製品および鶏卵等
のようにタンパク質を含む多種類の食品を食べ
ていることである。
③心臓病の原因のひとつと考えられている脂質
の摂取量が尐ないことである。
ライフステージと栄養
現代の食生活の中で果たしている
水産物の主な役割
①魚介類によるタンパク質の供給量は動物
性タンパク質の約40%を占めている。
② 種類の多い海藻料理は食卓を豊かにし
ている。
③ 種類の多い魚介類が,季節に応じて供
給され,豊かな食生活を可能にしている。
(2)健康と水産物
6つの基礎食品
日本人の健康維持に水産物は役立っているが,
その主な点は次のとおりである。
①良質の動物性タンパク質を供給し,成長と健
康保持に役立っている。
②魚類に含まれている脂肪酸には,高度不飽和
脂肪酸が多く,心臓病等の生活習慣病の予防
に役立っている。
③カルシウム,鉄分などの無機質の供給源と
なっている。
④ビタミンA,ビタミンDの供給源となっている。
⑤海藻類は食物繊維やヨウ素を供給し,健康維
持に役立っている。
2
魚の味
◇魚の種類により,また同じ魚種でも雌雄・部位・季
節によって異なる。
◇魚介類の昧の最も良い時期を「旬」という。
◇一般に魚介類の旬は産卵前の魚体に脂ののった
時期をいうが,サバのように産卵期後の秋に旬の
くる魚種もある。
◇季 節 旬の魚介類
春 マダイ,トビウオ,サワラ, サヨリ,シラウオ
夏 イサキ,カツオ,キス, スズキ,ドジョウ,ハモ
秋 カマス,マイワシ,サンマ, マサバ
冬 タラ,ブリ,フグ,ヒラメ, アンコウ,ワカサギ,
フナ, コイ,カキ,シジミ
水産物と食品衛生
・毒魚と呼ばれる魚介類もいる。
・プランクトン等に由来する毒素で毒化す
ることもある。
・寄生虫がいる場合もある。
・食中毒の原因になる細菌が繁殖し,病気
の原因になることがある。
・衛生的な取扱いと適切な温度管理を徹
底することが極めて大切である。
・取り扱う全員が食品衛生の知識と技術を
十分に身につける必要がある。
食品衛生(Food Hygiene) :生育、
生産、あるいは製造時から、最終的
に人に摂取されるまでの全ての段階
において、食品の安全性、健全性
(有益性)、健常性(保存性)を確保す
るために必要なあらゆる手段(WHO)
リステリア・モノサイトゲネス
祖先からの知恵と新しい技術開発
人間
食物連鎖 (PCBの生物濃縮)
海水中の濃度
植物プランクトン
動物プランクトン
1
250倍
500倍
アミ
45,000倍
小魚
835,000倍
大型魚 2,800,000倍
人間 10,000,000倍
3
食性病害の例(栄養不良を除く)
食中毒菌も一所(生)懸命に生きている
分類
種類
代表例
有毒成分
ジャガイモ毒素、他
内因性
生理作用成分消化酵素阻害物質、他
微生物
O157、ノロウイルス、他
外因性 寄生虫
回虫、アニサキス、他
汚染物
ダイオキシン、水銀、他
酸化油、ニトロソアミン、
誘起性 物理化学的
他
注意事項:
①何でも食べ過ぎれば体に悪い。
②毒か、否かは量で決まる。
③ある人の食べ物は、他人の毒。
④空腹は最高の調味料。
腸管出血性大腸菌O157:H7食中毒
腸炎ビブリオの生態
O157:H7の血清型の大腸菌で、赤痢菌の毒素と類似の毒素を産生する菌
による食中毒です。腹痛、出血を伴う水様性の下痢などを発症します。
重症化し、死に至ることもあります。
○食中毒発生状況
1982年に、米国オレゴン州とミシガン州で
ハンバーガーによる集団食中毒事件で、患者
の糞便から原因菌として発見され、その後世
界各地で食中毒原因菌として検出されていま
す。我が国では、1990年、埼玉県の幼稚園で、
汚染された井戸水が原因となった、死者2名
を含む268名に及ぶ集団感染症が発生しま
した。1996年には、関西地区の大規模食中毒
をはじめとする全国的な食中毒発生があり、
その後、散発的に食中毒の発生が続いていま
す。
腸管出血性大腸菌
O157:H7
(撮影(独)食品総合研
究所)
人間は従属栄養生物。食べ続けるための貢献を!
我々は何を食べ、何を食べ
ないようにしてきたか?
これから何を食べるの
だろうか?
○毒性学的安全性
○微生物学的安全性
○栄養学的適格性
○嗜好性
○経済性
○食文化的妥当性
縄文人の食糧
○信頼性
雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ・・・
熊沢氏の論文より
授業計画
1)食品の安全性とは何か
2)食生活の歴史と安全管理対策のねらい
3)食品安全行政の仕組み
4)食品安全の国際標準化
5)食品をめぐる諸問題
6)HACCPとISOによる安全管理
7)食品の品質・安全管理とトレーサビリティ・
システム
8)国際化時代の食品安全
9)食品安全管理はいかにあるべきか
10)消費者に求められるもの
4
各食品は、斜線のどこかに位置する
取るに足
らない
広く受け
入れ可能
高
←
安
全
性
許容可能
対策?
許
容
丌
能
→
刻能リ
さ性ス
)とク
と、(
、起い
安きや
全たな
性時事
ののが
関被起
係害こ
のる
深可
低
何らかの対策
強い対策
小← リスク →大
保護の適正水準
ALOP
appropriate level of protection
• 食品中の危害因子による健康被害から、適切に消
費者を保護するための取り組みの目安。
• 安全な食料の安定供給にとって重要な考え方であ
る。
• 高過ぎる水準は、食料の供給に障害となり、経済
的混乱や、資源や環境に過剰の負担をもたらす。
• 低過ぎる水準では、食生活に由来する健康障害の
増加が生じる。
食品における安全とは
(WHO専門家会合、1994)
安全:意図された消費のされかたでは、危害が
起こらないだろうという合理的な確かさ。
安全は、許容できないレベルのリスクが
ないことである。
食品の安全(FAO/WHO/Codex)
予期された方法や意図され
た方法で作ったり、食べたりし
た場合に、その食品が食べた
人に害を与えないという保証
食品の安全性を確保するために、世界各国の経験か
ら、下記の考え方や手段が重視されようになった。
考え方
手段
○国民の健康保護の ○リスク分析
優先
○農場から食卓までの
○科学的根拠の重視
一貰した対策
○関係者相互の情報
交換と意思疎通
○政策決定過程等の
透明性確保
国際食品規格委員会(FAO/WHO/Codex)
食品安全へのリスク分析の導入
リスク評価
リスク管理
科学ベース
政策ベース
リスクコミュニケーション
リスクに関する情
報・意見の亣換
1)食中毒等の未然防止体制
の強化
2)科学的根拠の重視
3)政策決定過程の透明化
4)消費者への正確な情報提
供
5)食品安全規制の国際的整
合性の確保等
人の健康に及ぼす影響の大きさ(程度と発
生確率)を、客観・中立・科学的にとらえ、情
報交換し、その大きさに応じた対策をとる。
危害要因は何処にでもある
フードチェーン・アプローチ
(一次生産から最終消費までの食品安全)
汚染率?
菌数:増?
汚染率?
菌数:増?
農場
流通・保存
汚染率?菌数:増?減?
加工
調理・
消費
汚染率?
菌数:減?
腸管出血性大腸菌O157:H7
5
1
2
3
4
5
6
7
ハザードの分類例
細菌性
1)感染型
2)毒素型
ウイルス性
化学物質
自然毒
1)植物性
2)動物性
アレルギー ヒスタミン中毒を化学物質による、
or、細菌性とすることもある
様
寄生虫等
その他
異物、温度等管理不備
は不
、潔
清な
潔調
な理
料場
理や
は台
無所
理で
交差汚染:清潔な食品が、不潔な食品
由来の病原体等で汚染されること
リスクとどのように付き合うか?
迅速
調理後、早く
食べてしまう。
保護柵
断崖絶壁
怪我、病気、死亡
食中毒菌は、条件
がそろえば、アット
いう間に増殖する。
微生物と温度
1-1 細菌性感染型食中毒
・赤痢菌*
*:少量感染に注意
・コレラ菌*
・チフス菌*
・パラチフスA菌*
・腸管出血性大腸菌*
・その他の下痢原性大腸菌
・カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
・サルモネラ属菌(サルモネラ・エンテリティディス * )
・腸炎ビブリオ
・ビブリオ・バルニフィカス
・その他の病原ビブリオ
・その他の細菌(ウェルシュ菌、エロモナス・ヒドロフィラ、エ
ロモナス・ソブリア、プレシオモナス・シゲロイデス、ビブリオ・
フルビアリス、リステリア・モノサイトゲネス等)
腸炎ビブリオによる食中毒について
<特徴>海(河口部、沿岸部など)に生息。真水や
酸に弱い。室温でも速やかに増殖する。
<症状>潜伏期は8~24時間。
腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐。
<過去の原因食品>魚介類(刺身、
寿司、魚介加工品)。二次汚染によ
る各種食品(漬物など)。
<対策>魚介類は新鮮なものでも
真水でよく洗う。短時間でも冷蔵庫
に保存し、増殖を抑える。60℃、10
分間の加熱で死滅。二次汚染にも
電子顕微鏡写真。卖毛性鞭毛を持った桿菌。注意。
<食品安全委員会事務局 資料>
6
腸管出血性大腸菌O157:H7食中毒について
<特徴>動物の腸管内に生息し、
糞尿を介して食品、飲料水を汚染
します。少量でも発病することが
あります。加熱や消毒処理には弱
い。
<過去の原因食品>
日本:井戸水、焼肉、牛レバー、かいわれ大
根など
欧米:ハンバーガー、ローストビーフ、
(撮影(独)食品総合研
アップルサイダーなど
究所)
<症状>感染後1~10日間の潜伏期間。初期感冒様症状のあと、
激しい腹痛と大量の新鮮血を伴う血便。発熱は少ない。重症では
溶血性尿毒性症候群を併発し、意識障害に至ることもあります。
<対策>食肉は中心部までよく加熱する(75℃、1分以上)。野菜
類はよく洗浄。と畜場の衛生管理、食肉店での二次汚染対策を十
分に行う。低温保存の徹底。
サルモネラ属菌による食中毒について
<特徴>動物の腸管、自然界(川、下水、湖など)に広く分
布。生肉、特に鶏肉と卵を汚染することが多い。乾燥に強い。
<症状>潜伏期は6~72時間。激し
い腹痛、下痢、発熱、嘔吐。長期に
わたり保菌者となることもある。
<過去の原因食品>卵、またはそ
の加工品、食肉(牛レバー刺し、鶏
肉)、うなぎ、すっぽんなど。二次汚
染による各種食品。
<対策>肉・卵は十分に加熱(75℃
電子顕微鏡写真。ほとんどが
以上、1分以上)する。卵の生食は新
周毛性鞭毛を形成する桿菌。
<食品安全委員会事務局
鮮なものに限る。低温保存は有効。
資料>
しかし過信は禁物。二次汚染にも注
意。
カンピロバクターによる食中毒について
ウェルシュ菌による食中毒について
<特徴>家畜、家禽類の腸管内に生息し、食肉(特に鶏肉)、
臓器や飲料水を汚染する。乾燥にきわめて弱く、また、通常
の加熱調理で死滅する。
<特徴>人や動物の腸管や土壌、下水に広く生息する。酸素のないと
ころで増殖する菌で芽胞を作る。芽胞は100℃、1~3時間の加熱に
耐える。食物と一緒に腸管に達したウェルシュ菌は毒素を作り、この毒
素が食中毒を起こす。事件数の割りに患者数が多く、しばしば大規模
発生がある。
<症状>潜伏期は1~7日と長い。発熱、
倦怠感、頭痛、吐き気、腹痛、下痢、
血便等。少ない菌量でも発症。
<症状>潜伏期は8~12時間。主症状は下痢と腹痛で、嘔吐や発熱はまれである。
<過去の原因食品>多種多様の煮込み料理
(カレー、煮魚、麺のつけ汁、野菜煮付け)。
<過去の原因食品>食肉(特に鶏肉)、
飲料水、生野菜、牛乳など。潜伏期間が
長いので、判明しないことも多い。
<対策>調理器具を熱湯消毒し、よく
乾燥させる。肉と他の食品との接触
を防ぐ。食肉・食鳥肉処理場での衛生
電子顕微鏡写真。細長いらせん状のらせん菌。 管理、二次汚染防止を徹底する。食肉
<食品安全委員会事務局 資料>
は十分な加熱(65℃以上、数分)を
行う。
エルシニアによる食中毒について
<特徴>家畜では特に豚、ネズミなどの野性小動物が保菌
し、糞尿を介して食肉や飲料水を汚染する。低温域(0~
5℃)でも増殖することができる。
<症状>潜伏期は2~3日。主症
状は発熱、腹痛、下痢。
<過去の原因食品>主に食肉。
サンドイッチ,野菜ジュース,井戸
水も報告されている。
<対策>食肉は十分に加熱
(75℃以上、数分)する。低温でも
増殖する。冷蔵庫を過信しない。
電子顕微鏡写真。
<食品安全委員会事務局 資料>
電子顕微鏡写真。グラム陽性の桿菌。
<食品安全委員会事務局 資料>
<対策>清潔な調理を心がけ、調理後速や
かに食べる。食品中での菌の増殖を阻止する
ため、加熱調理食品の冷却は速やかに行う。
食品を保存する場合は、10℃以下か55℃以
上を保つ。また、食品を再加熱する場合は、
十分に加熱して増殖型菌(栄養細胞)を殺菌
し早めに摂食する。ただし、加熱しても芽胞は
死滅しないこともあるため、加熱を過信しない。
リステリアによる食中毒について
<特徴>家畜、野生動物、魚類、河川、下水、飼料など自然
界に広く分布。4℃以下の低温でも増殖可能。65℃、数分
の加熱で死滅。
<過去の汚染食品>未殺菌チーズ、食肉、野菜サラダ、刺
身など
<症状>潜伏期間は24時間から数週
間と幅が広い。倦怠感、弱い発熱を伴
うインフルエンザ様症状。妊婦、乳幼児
、高齢者では重症になることがある。
<対策>生肉、未殺菌チーズなどをで リステリア・モノサイトゲネス
撮影:東京都健
きるだけ避け、冷蔵庫を過信しない。
康安全
研究センター
7
黄色ブドウ球菌による食中毒について
ボツリヌス菌による食中毒について
<特徴>人や動物に常在する。毒素エンテロトキシンを生成
する。毒素は100℃、30分の加熱でも無毒化されない。
<症状>潜伏期は1~3時間。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢。
<過去の原因食品>乳製品
( 牛乳、クリームなど) 、卵製品、
畜産製品( 肉、ハム当)。穀類と
その加工品、弁当、魚肉ねり製
品( ちくわ、かまぼこなど)、和洋
生菓子、握り飯など。
<対策>手指の洗浄、調理器
具の洗浄殺菌。手荒れや化膿
巣のある人は、食品に直接触れ
電子顕微鏡写真。ブドウの房状の球菌。
ない。防虫、防鼠対策は効果的。
<食品安全委員会事務局 資料>
低温保存は有効。
<特徴>動物の腸管や自然界に広く生息する。酸素のないところで増
殖し、熱にきわめて強い芽胞を作る。毒性の強い神経毒を作る。
毒素の無害化には、80℃で20分以上の加熱を要する。
セレウス菌による食中毒について
<特徴>土壌などの自然界に広く生息する。毒素を生成す
る。芽胞は100℃、30分の加熱でも死滅せず、家庭用消毒薬
も無効。
<症状>嘔吐型と下痢型がある。
嘔吐型:潜伏期は30分~3時間。吐き
気、嘔吐が主症状。
下痢型:潜伏期は8~16時間。下痢、腹
痛が主症状。
<症状>潜伏期は8~36時間。吐き気、 嘔吐、
筋力低下、脱力感、便秘。神経症状(複視など
の視力障害や発声困難、呼吸困難など)。致命
率は20%と高い。
<過去の原因食品>缶詰、瓶詰、真空パック食
品、レトルト食品、いずし、からしれんこん。
(乳児ボツリヌス症:蜂蜜,コーンシロップ)
電子顕微鏡写真。グラム陽性の桿菌。
<食品安全委員会事務局 資料>
<対策>発生は尐ないが、いったん発生すると
重篤になる。いずしによる発生が多いので注意
が必要。容器が膨張している缶詰や真空パック
食品は食べない。
ボツリヌス食中毒が疑われる場合、抗血清によ
る治療を早期に開始する。
ノロウイルスによる食中毒について
<特徴>カキ等貝類の生食により発症することが多い。人
から人への二次感染もある。塩素系殺菌剤やアルコールに
抵抗性がある。尐量のウイルスでも発症する。
<症状>潜伏期は24~48時間。下
痢、嘔吐、吐き気、腹痛、38度以下
の発熱。
<過去の原因食品>貝類、特に生
カキ。調理従業者からの二次汚染
によるサンドイッチ、パンなど。
<対策>二枚貝は中心部まで充分
に加熱する(85℃、1分以上)。野
菜などの生鮮食品は充分に洗浄す
る。手指をよく洗浄する。感染者の
便、嘔吐物に接触しない。
<過去の原因食品>嘔吐型:ピラフ、
スパゲティなど。
下痢型:食肉、野菜、スープ、弁当など。
<対策>米飯やめん類を作り置きしな
い。穀類の食品は室内に放置せずに
調理後は10℃以下で保存する。
電子顕微鏡写真。両端が直角で通常連鎖する桿菌。
<食品安全委員会事務局 資料>
電子顕微鏡写真。直径30nm前後の小球形の形態が
特徴。
<埼玉県衛生研究所 提供>
(参考)従前は小型球形ウイルスと呼ばれていた。
化学物質
自然毒
・メタノール、
・ヒ素・鉛・カドミウム、銅、アンチモンな
どの無機物、
・ヒ酸石灰などの無機化合物、
・有機水銀、
・ホルマリン、パラチオンなどの有機リ
ン剤、他
植物性自然毒:麦角成分(エルゴタミン)、
ばれいしょ芽毒成分(ソラニン)、生銀杏及び生梅の有毒成
分(シアン)、彼岸花毒成分(リコリン)、毒うつぎ成分(コ
リアミルチン、ツチン)、朝鮮朝顔毒成分(アトロピン、ヒヨ
スチアミン、スコポラミン)、とりかぶと及びやまとりかぶと
の毒成分(アコニチン)、やまごぼうの根毒成分(フィトラッ
カトキシン)、ヒルガオ科植物種子(ファルビチン)、その
他植物に自然に含まれる毒成分。
毒きのこの毒成分(ムスカリン、アマニチン、ファリン、ラン
プテロール等)、
動物性自然毒:ふぐ毒(テトロドトキシン)、シガテラ毒、麻痺
性貝毒(PSP)、下痢性貝毒(DSP)、テトラミン、神経性貝
毒(NSP)、ドウモイ酸、その他
8
アレルギー様食中毒
ヒスタミンなどによる,細菌の代謝産物に
よる場合もある。
原虫類等が原因の食中毒
原虫
(クリプトスポリジウム、サイクロスポラなど)
真菌
その他
原因不明なもの
海産毒 marine toxin
・水産毒ともいう.海,河川,湖にはいろいろな有毒
動植物やプランクトンが生息している。
・その毒は大別して刺毒と食中毒の二つである。
・たとえば,フグ毒(テトロドトキシン),麻痺性貝毒
(サキシトキシン,ゴニオトキシン),下痢性貝毒
(オカダ酸,ペクテノトキシン,エソトキシン,ジノフ
イストキシン), ドーモイ酸,光過敏症毒(フェオ
フォルバイド),シガテラ毒(シガトキシン,マイトト
キシン,スカリトキシン),クラゲ毒およびテトラミン
(ヒメエゾボラ,エゾボラモドキが含有している)など
がある。
〔毒物・中毒用語辞典〕
マリントキシンの特徴
① 魚種、棲息地域により毒性が異なる
② 筋肉、肝臓、卵巣等器官ごとに毒力が
異なる
③ 毒は耐熱性であるものが多い
④ 食物連鎖により毒化するものが多い
フグの種類と有毒部位
フグ毒
テトロドトキシン(Tetrodotoxin)
フグ毒の本体である。水に不溶
のグアニジン基を持つ塩基性
物質で、100℃,30分の加熱で
20%が分解する。光に安定で
あるが、強酸,アルカリに弱い。
毒素の蓄積量はフグの個体差
が大きい。養殖フグには毒がな
いか,あっても非常に弱い。細
菌(Pseudomonas, Vibrio),貝
類,かえる等でもテトロドトキシ
ンが検出されている。食物連鎖
によりフグ体内に蓄積すると考
えられている。
5センチほどのカニ,毛が
なくスベスベ。
房総半島以南の岩の多い海
岸やサンゴ礁海域で岩の割
れ目や石の下などにもぐっ
ている。たいへん危険な猛
毒をもっており、加熱調理
しても毒性はなくならない
。
症状もフグ中毒に似ており
、場合によっては死に至る
(インターネット図鑑「自
然界」魚類の世界:
http://www.knowledgelink.
co.jp/services/izukan/gyo/
M
スベスベマンジュウガニ
M
9
シガテラ毒[ciguatera]
・熱帯および亜熱帯海域のサンゴ礁域に生息する魚
による食中毒の原因毒.
・症状は神経,循環器,消化器など多彩で,重症にな
ると
神経症状が著しくなり回復は遅い.
・有毒魚種のおもなものにドクカマス,バラフユダイ,ヒ
ラマサなどがある.
・毒は底着性渦べん毛藻Gambieradiscus toxicus が産
生し、食物連鎖を介して魚に移行,蓄積される.
・毒成分はシガトキシン,マイトトキシンなど構造の複
雑なポリエーテル化合物で,毒性は最強の部類でマ
ウスMLDは前者で0.35μg/kg,後者では0.05μg/
kg体重である.
シガトキシン (ciguatoxin)
(分子式C59H84O19)
代表的なポリエーテル系の海産毒。
近年,palytoxinという水溶性の毒素
も発見された。
プランクトン Gambierdiscus toxicus
からも検出されており、らん藻→サ
ザナミハギ→大型肉食魚と食物連
鎖により蓄積すると思われる。
サザナミハギ(ニザダイ科)
单日本、インド・太平洋に
分布し、サンゴ礁の内、外
縁や礁湖、水路に棲む
〔毒物・中毒用語辞典〕
シガトキシン[ciguatoxin]
○亜熱帯や熱帯海域の主としてサンゴ礁に生息する魚類を食べること
による食中毒,シガテラの原因毒の一つ.
○ドクウツボから卖離された.ポリエーテル化合物で,その毒力は非タ
ンパク質性の毒では最強のものの一つで,MLD(マウス)0.35ug/kgで
ある.
○その毒作用は末梢神経や筋細胞のNa+チャネルに結合し,イオン
流入を著しく増加させることにより,この作用はテトロドトキシンに括抗
する.
○起原は渦べん毛藻のGambierdiscus toxicusで,食物連鎖により小型
草食魚から大型の肉食魚に移行,
蓄積され,食中毒を発生する.
M
マイトトキシン maitotoxin
・シガテラの原因毒の一つで,有毒の渦べん毛藻
Gambierdiscus toxicusから分離された。
・分子量3442のポリエーテル化合物。LD50(マウス)
0.05μg/kgと魚貝毒のなかで最強である。
・膜のCa2+イオン透過性を増加させ,平滑筋を持続的に
収縮させる.
〔毒物・中毒用語辞典
パリトキシン palytoxin
○腔腸動物イワスナ
ギンチャクの毒で,の
ちにアオブダイなどの
食中毒原因物質であ
る
ことが判明した.
○中毒症状は筋肉
痛・呼吸困難,血尿な
どで,重症の場合は
死に至る・毒性は非常
に高く,LD50(マウス,
静脈)0・6ug/kgを示
す。
〔毒物・中毒用語辞典〕
〔毒物・中毒用語辞典
貝毒 shell fish venom
・麻痺性貝毒,下痢性貝毒,ツブ貝毒,他。
・麻痺性貝毒の症状と重症度がわりあい明確で,1)
口唇・舌のしびれ,2)四肢の知覚障害と軽い運動麻
痺,3)全身運動障害,深部腱反射消失,発声不能,
嘔吐,呼吸困難,4)呼吸筋麻痺,意識障害がみられ
る。
・下痢性貝毒中毒では水様下痢,腹痛,悪心,嘔吐,
悪寒・水分や電解質バランスを考慮して輸液療法を
行う.
・ツブ貝毒では頭痛,めまい,口や手足のしびれ感,
軽度の言語障害,四肢麻痺,視力低下,発汗,倦怠
感がみられる。
〔毒物・中毒用語辞典
10
麻痺性貝毒[paralytic shell toxin]
サキシトキシン[saxitoxin]
○北米大陸で古くから知られたホタテ貝などの二枚貝による
食中毒とその毒成分で,現在全世界に広がっている。
○毒は有毒渦べん毛藻のAlexandrium属などが産生する・
サキシトキシン(太平洋)やゴニオトキシン(大西洋)など,毒
性の異なる30種類近くの毒が知られている。
○これらの毒を含む藻やプランクトンを摂食した二枚貝など
のプランクトン捕食者が毒化し,それを食べると食中毒を起
こす。
○中毒症状は食後30分で唇,舌・手足のしびれが現れ,頭
痛,嘔吐,言語障害,運動障害が起こり,呼吸麻痺により死
亡する。
○毒作用機構はフグ毒の毒成分であるテトロドトキシンと同
じでNa+チャネルを阻害する.
・麻痺性貝毒の代表的毒性成分.
・吸湿性が強い無定型固形物とし
て得られ,有機溶媒不溶.
・分子内に二つの置換グアニジン
構造,カルバモイル基をもつ特
異な塩基性物質で,加熱には中
性,微酸性で安定,アルカリ性で
は不安定である.
・フグ毒と同様,神経と筋細胞膜のNaチャネルの入口を選択的に阻害
する.
・渦べん毛藻が産生し,これを摂食した二枚貝に蓄積され,食中毒の
原因となる.
・毒性5500MU/mgと低分子量の自然毒では最強の部類に属する.
〔毒物・中毒用語辞典〕
ゴニオトキシン gonyautoxin
・麻痺性貝毒の毒成分で,高毒性と低毒性のものがあり,約
10種類が知られている
・高毒性成分(ゴニオトキシン1,2,3・4)は、サキトキシンあ
るいはネオサキシトキシンの11位(αまたはβ)に硫酸エステ
ルが導入された構造で,マウス比毒性は1600~5000MU/
mgと高い。
・低毒性成分は、カルバモイル
基にSO3が結合した構造をも
ち,比毒性は30~600MU/mg
と低い。
・ゴニオトキシンは最初大西洋岸の
赤潮の毒として発見されたもの
でサキシトキシンやテトロドトキ
シンと同様にNa+チャネルを阻害する。
〔毒物・中毒用語辞典
イエッソトキシン yessotoxin
・下痢性貝毒の原因毒の一種で,毒化したホタテガイから分
離された。
・ポリエーテル化合物で,数種類の誘導体が知られている。
・下痢原性は弱いが,マウスに対する致死毒性はLDL(マウ
ス、腹腔)100μ g/kgと高い。
〔毒物・中毒用語辞典〕
〔毒物・中毒用語辞典
オカダ酸 okadaic acid
・クロイソカイメンから分離されたポリエーテル化合物で,の
ちに下痢性貝毒の有毒成分の一つとして二枚貝から検出さ
れた。
・タンパク質脱リン酸化酵素を特異的に阻害し,強力な発が
ん作用をもつ.毒性はMLD(マウス,腹腔)200μg/kg。
〔毒物・中毒用語辞典
コノトキシン conotoxins
单太平洋やカリブ海,インド洋などに生息する有毒イモ貝(Conus)
が産生するペプチド毒素群の総称.神経筋接合部のニコチン
性アセチルコリン受容体を阻害する13残基のα-コノトキシン,筋肉
の電位依存性Na+チャネルを阻害する22残基のμ-コノトキシン,
電位依存性Ca2+チャネルを阻害する25~29残基のω一コノトキシ
ンなどが代表的なものである.ω一コノトキシンのうち・GVIAおよび
MVIIAはN型Ca2+チャネルを,MVIICはN型とP/Q型を・SVIBはN型
とその他の型を阻害する・コノトキシンはいずれも塩基性でジスル
フィド結合を多くもち,C末端はほとんどの場合アミド化されている.μ
-およびω一コノトキシンにはヒドロキシプロリンを含むものがある。
〔毒物・中毒用語辞典
11
ドーモイ酸[domoicacid]
・紅藻ハナヤナギの駆虫有効成分として知られてい
たが,カナダで発生したムラサキイガイによる記憶喪
失性食中毒の原因毒と同定された.
・起源は有毒珪藻である.脳神経系における興奮伝
達作用があり,症状は胃腸障害と記憶喪失など神経
障害である.
〔毒物・中毒用語辞典〕
イシナギのキモ
神経性貝毒
neurotoxic shellfish poison
・アメリカやニュージーランドで発生した口内のしびれ,運動失調,温度
感覚の異常などの神経症状を主徴とする食中毒の原因毒。
・毒成分はブレベトキシンとよばれるポリエーテル化合物で,これまで
に10成分のものが知られている.
・毒は渦べん毛藻Karenia brevisが産生し,貝類に移行する。
・ブレベトキシンは脂溶性の神経毒で,神経や筋肉細胞のNa・チャネ
ルに特異的に結合し,Na+イオンの細胞内への流入を増大させ,活
性化を持続,亢進させる。
・この毒は強い魚毒性を示し,アメリカでは原因藻の赤潮発生時,魚の
大量へい死を起こし、漁業に被害を与える。
・エーロゾルとなって飛散し,沿岸住民に目の刺激や咳などの呼吸障
害を起こす.
〔毒物・中毒用語辞典
海藻食中毒 seaweed poisoning
・褐藻のモズクや紅藻のオゴノリ,カタオゴノリを食べることで
起こる食中毒がまれではあるが発生し,いずれも死者がで
ている。
・オゴノリの場合は藻体中の酵素により,食べ合わせた食品
中のアラキドン酸から多量に生成されたプロスタグランジン
E2が原因となり,急激な血圧降下などによるショックを起こ
したと推定された。
・カタオゴノリ中毒はグァム島で発生し,原因毒としてポリカ
バノシドAが同定された.モズクについては原因不明である。
〔毒物・中毒用語辞典〕
食餌性光過敏症
dietary photosensitization
・春先のアワビの内臓を食べることで
起こる顔面や手指の発赤,はれなど
を主徴とする食中毒。
・原因物質はアワビの内臓に蓄積され
たクロロフィルαの分解物ピロフェオ
フオルビドaで,摂食後,直射日光に
照射されると発症する。
・光過敏症による皮膚炎はピロフェオ
フオルビドdが、光増感剤として光に
より励起され,体内で各種アミン類を
生成することによる。
・類似の食中毒は、漬物やクロレラ錠
剤により発生した.
〔毒物・中毒用語辞典〕
藍藻毒[blue-green algal toxin]
・淡水域で発生する水の華を形成するプランクトンの多くは
藍藻であり,それらが産生する毒をいう.Microcystis属など
が産生するミクロシステンなどがある.
・ミクロシスチンは多数の分子種よりなる分子量2000~3000
の環状オリゴペプチドで,肝臓障害の原因となる。
・このほか,Aphanzomenon flosaquaeやAnabaera
circinalisなどの陸水産の藍藻は麻痺性貝毒を産生する.
〔毒物・中毒用語辞典
12
危害要因(ハザード)とは?
リスクとは?
• 危害要因は、健康に悪影響をもたらす食
品中の物質又は食品の状態のこと。
• 食中毒菌、有害な化学物質などの生物
学的、化学的、または魚の骨などの物理
的な要因がある。
• リスクは、食品を食べた人の健康に悪い
影響を及ぼす可能性をさす。
• 正確には、悪影響の起こる可能性(頻度
)と、その被害の深刻さの両者を含む。
ジャガイモ
・発芽部および緑色部にソラニンや
チャコニンが蓄積する。
・この部分の除去が不十分である
と食中毒を起こす。
・熱に比較的安定で、貯蔵中に増
加し、食中毒発症の目安の0.2 〜
0.4グラム/kgをこえる事がある。
・摂取後数時間で、腹痛、胃腸障
害、虚脱、めまい、軽度の意識障
害を起こす。
・学校等の集団給食で多く発生する。
・大量のジャガイモを扱った際に新芽や、病変部分の
除去が不十分なことが原因である。
1
2
3
4
5
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7
ハザードの分類例
細菌性
1)感染型
2)毒素型
ウイルス性
化学物質
自然毒
1)植物性
2)動物性
アレルギー ヒスタミン中毒を化学物質による、
or、細菌性とすることもある
様
寄生虫等
その他
異物、温度等管理不備
アロカロイドの例
誤食されて有害作用を示す植物
有毒な植物
似ている食用植物
毒成分
症状
チョウセンア
サガオ
ごぼう(根茎)、
ゴマ(種子)
アルカロイド(スコポラ
嘔吐、しびれ、けいれん
ミン、ヒヨスチアミン、
、狂騒状態
アトロピン)
ヨウシュヤマ
ゴボウ
ヤマゴボウ(根茎)
フィットラッカトキシン
ハシリドコロ
ヤマイモ
アルカロイド(スコポラ
嘔吐、しびれ、けいれん
ミン、ヒヨスチアミン、
、狂騒状態
アトロピン)
セリ(根茎)
チクトキシン
胃痛、嘔吐、けいれん
トリカブト
山菜(若芽)
ヤマゴボウ(根茎)
アコニチン
舌、四肢の麻痺、呼吸麻
痺から死に至ることもあ
る。
ドクウツギ
クワの実(果実、種子
)
コリアミルチン
嘔吐、けいれん、呼吸麻
痺。
ジギタリス
コンフリー(葉)
ジギトニン
下痢、嘔吐、心臓障害
ドクゼリ
吐き気、嘔吐、腹痛、下
痢
13
アフラトキシン
アスペルギルスの産生する毒(トキシン)。アス
ペルギルス・フラバスやパラジチカスが産生す
る。アフラトキシンには、B1,B2、G1、G2、
M1、M2などの種類が知られている。
Aspergillus flavus
アフラトキシン
B1
デオキシニバレノール(DON)暫定規制値:
1.1mg/kg小麦
アフラトキシンB1は、天然物でもっとも強力
な発ガン物質である。経口投不によりマウスや
モルモットでは肝壊死や胆管上皮細胞の異常
などが起こり、肝臓ガンが発生する。我が国で
は食品中のアフラトキシン規制値はアフラトキ
シンB1として10ppm以下とされている。
ピーナッツやその加工品、トウモロコシ、ハト麦、
そば粉などの穀類及びその加工品、ナツメッグ、
白コショウなどの香辛料、ピスタチオナッツ、製
あん原料雑豆、ナチュラルチーズなど、多くの
食品から検出されている。
給食食中毒か…湿疹やかゆみで児童18人病院に
札幌 1月22日 毎日新聞
北海道札幌市東区の市立苗穂小学校(児童536
人)で21日、給食を食べた1~6年の児童196人と
教職員3人が体のかゆみなどを訴え、顔などに腫れ
や湿疹の症状が出た児童18人が病院に運ばれ手
当てを受けた。
この日の献立は、炊き込みいなり、豆腐のすまし汁
マグロのごまフライ、牛乳だった。
フザリウム(赤カビ)トキシン
14
クリプトスポリジウム
原虫類(胞子虫類)
日本海裂頭条虫
条虫類
サケ、マス類の生食をしない。あるいはこれらの魚は
−20℃で24時間以上冷凍してから食べる
アニサキス
食品を媒介して感染する寄生虫症
肺吸虫 吸虫類
ウェステルマン 宮崎肺吸虫
サワガニ、モクズガニからヒトに感染する
線虫類
サバ、ニシン、スルメイカ、アンコウ、タラ、イワシ 、サケ、マ
ス(加熱 した餌を与え、海産ほ乳類から隔離したイケスで養
殖されたサケからは検出されていない)
15
シュードテラノーバ
線虫類
アンコウ、タラ、オヒョウ、イカ、メヌケ、ホッ
ケ、マンボウなどの内臓や筋肉
危害要因とは?
食品安全て何だろう?
• 安全は、本来は過去の出来事が、平穏無事
に終わった事を意味し、現在や未来について
は、安全性が高いと表現されてきた。
• 食品分野では、英語foodsafetyの訳語として
食品安全が当てられ、現在や未来について
も平穏無事であることを願う意味も含められ
るようになった。
• 学術的には、「食品に由来する、受け入れら
れないリスクがないこと」を意味するようにな
った。
許容可能なリスクと安全
リスクとは?
• 危害要因は、健康に悪影響をもたらす食品中の物
質又は食品の状態のことである。
• 食中毒菌、有害な化学物質などの生物学的、化学
的、または魚の骨などの物理的な要因がある。
• リスクは、食品を食べた人の健康に悪い影響を及
ぼす可能性をさす。
• 正確には、リスクは、悪影響の起こる可能性(頻度
)と、その被害の深刻さの両者を含む。
• リスクには適切な日本訳が無いが、「確率的被害」
と訳される場合もある。
ゼロ・リスク神話!?
• 「食品に関する危険はゼロであるべきだ。ゼロにで
きるはずだ」と、いう非現実的な観念をさす。
• これが念頭にあると,食品に関する不確かな危険
情報や、小さなリスクに対しても、冷静な判断がで
きなくなる場合がある。
• 結果として、大きなリスクを見落としたり、招いてし
まったりする原因になることがある。
• 近年、分析技術の向上等もあって、食品安全にゼ
ロリスクはあり得ないことが認識されている。
許容可能
なリスク
広く受け入れ
可能なリスク
高い安全域
受け入れ不
可能なリスク
リ
ス
ク
安全域
残留リスク
安全対策
リスク(小)
リスク(大)
暴露シナリオとは?
• 食中毒菌等の危害要因は、実際に口に入る
場合もあり、入らない場合もある。
• 危害要因と健康被害を結ぶものが、摂取状
況であり、暴露と呼ばれる。
• 摂取状況(暴露)は、様々な場合が考えられ
るので、しばしばシナリオと呼ばれる予測を
考える。
• その暴露シナリオ(予測)を用いて、健康被害
を確率的に考えたものがリスク評価(曝露評
価)に用いられる。
16
リスクのトレード・オフとは?
• あるリスクを小さくしようとすると、別のリスク
が大きくなること。
• リスクを比較し、どの選択肢を選ぶかを客観
的に考察し、選択すること。
• 飲料水の場合、塩素消毒の塩素によるリスク
を恐れて、塩素の使用を止めると、病原菌汚
染のリスクが大きくなる。
• 農薬の場合、使えば環境に影響を与え、人
体にもリスクとなる可能性があるが、使わな
ければ、収穫量が減って飢餓等が増える可
能性がある。
規制影響評価とは?
• ある規制を行う場合の、規制により
得られるもの(ベネフィット、疾病の未
然防止等)と規制にかかる費用等(コ
スト)の評価。
• 「リスクの大きさに見合った規制」で
あることを判断する指標となる。
チョウセンボラ解剖
CH3
|+
CH3-N-CH3
|
CH3
テトラミン
リスク・ベネフィット
(受益)比較とは?
• リスクは必ずなんらかのベネフィット(受益)を
ともなっているものであり、リスク管理はベネ
フィットとのかね合いで決まる。
• リスクの大きさと、ベネフィットの大きさを比較
し、リスクが大きければ減尐させ、小さければ
受益と引き換えに、我慢することが望ましい。
• リスクの受忍者とベネフィットの受益者が同
一の場合には良いが、両者が完全に異なる
場合には対策が必要となる。
チヂミエゾボラ
(通称ツブ)
CH3
|+
CH3-N-CH3
|
CH3
毒成分: テトラミン(唾液腺に含まれる)
特徴: 中毒症状は、食後30分で頭痛、吐
き気、めまい、船酔い感がして足がふ
らつき、運動失調、視神経の障害、麻
疹を生じることもある。
大きさ: 中・小型の巻貝分布: 本州北部からサハリンにかけて、水深2
00メートル以上の深海に分布するものがほとんど。ヒメエゾボ
ラモドキは本州中部太平洋岸に分布する。
行政措置: 唾液腺を完全に除去してから喫食
その他: 殻付で市場に入荷してる通称「ツブ」と呼ばれているものには、
ヒメエゾボラ、エゾボラ、エゾボラモドキ、ヒメエゾボラモドキ等
がある。これらは、底引き網で漁獲されるため、市場での販売
時に数種類のツブが混在していることがある。喫食時に必ず
唾液腺を取り除くことが必要である。
東京都:いちばの衛生より
ノロウイルスについての記述である。正
しいのはどれか。
(2006年管理栄養士国試)
1.カキの体内で増殖する。
2.食酢の使用で、ノロウイルスによる
食中毒を防ぐことができる。
3.ヒトからヒトへ感染する。
4.ヒトの腸内では増殖しない。
5.食中毒の主な症状は、呼吸麻痺で
ある。
17
ノロウイルスについての記述である。正
しいのはどれか。
(2006年管理栄養士国試)
1.カキの体内で増殖する。
2.食酢の使用で、ノロウイルスによる
食中毒を防ぐことができる。
3.ヒトからヒトへ感染する。
4.ヒトの腸内では増殖しない。
5.食中毒の主な症状は、呼吸麻痺で
ある。
微生物性食中毒に関する記述である。正し
いのはどれか。 (2007年管理栄養士国試)
1.腸炎ビブリオ食中毒の感染源は、淡水
魚である。
2.ぶどう球菌食中毒の主な症状は、神経
麻痺である。
3.カンピロバクタ一食中毒の原因食品に
は、鶏肉とその加工品がある。
4.ボツリヌス菌のつくる神経毒は、耐熱性
である。
5.クリプトスポリジウムによる食中毒は、ウ
イルス性である。
微生物性食中毒に関する記述である。正し
いのはどれか。 (2007年管理栄養士国試)
1.腸炎ビブリオ食中毒の感染源は、淡水
魚である。
2.ぶどう球菌食中毒の主な症状は、神経
麻痺である。
3.カンピロバクタ一食中毒の原因食品に
は、鶏肉とその加工品がある。
4.ボツリヌス菌のつくる神経毒は、耐熱性
である。
5.クリプトスポリジウムによる食中毒は、ウ
イルス性である。
水産物の自然毒に関する記述である。正しい
ものも組み合わせはどれか。(2009年国試70)
a 麻痺性貝中毒の毒素は、プランクトン由来で
ある。
b 下痢性貝中毒の毒素は、貝の中腸腺が合
成する。
c フグ毒は、食物連鎖によりフグ体内に蓄積
する。
d シガテラ毒は、草食性魚の肝臓で合成され
る。
(1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd
水産物の自然毒に関する記述である。正しい
ものも組み合わせはどれか。(2009年国試70)
a 麻痺性貝中毒の毒素は、プランクトン由来で
ある。
b 下痢性貝中毒の毒素は、貝の中腸腺が合
成する。
c フグ毒は、食物連鎖によりフグ体内に蓄積
する。
d シガテラ毒は、草食性魚の肝臓で合成され
る。
(1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd
授業計画
1)食品の安全性とは何か
2)食生活の歴史と安全管理対策のねらい
3)食品安全行政の仕組み
4)食品安全の国際標準化
5)食品をめぐる諸問題
6)HACCPとISOによる安全管理
7)食品の品質・安全管理とトレーサビリティ・
システム
8)国際化時代の食品安全
9)食品安全管理はいかにあるべきか
10)消費者に求められるもの
18
大昔から人類は食べ物で悩み、
知恵と勇気で生き延びてきた。
貝塚
100万年前(狩猟採集)
人畜共通感染症(出血熱などウイルス病,水痘,狂犬病など),
マラリア,フィラリア,結核,単純ヘルペス 。
コレラ,チフスなど細菌性の疾患
1万年前(農耕開始・原始的な村)
腸管感染症、呼吸器系感染症 麻疹,天然痘,風疹
腹
減
っ
た
!
5500年前(灌漑農耕開始・尐数の10万都市成立)
都市ではヒトからヒトに感染する各種疾病の流行
ペストで人口の1/3は死亡
我々の祖先はアフリカから日本へ?
岡田功:世界の歴史より
有毒?食用植物
260年前(産業革命)
↑縄文
土器
人類は、動植物の可食部
を選抜し、そのままでは
食べられない部位も、調
理・加工して食べてきた。
感染症の流行。都市では麻疹,風疹,天然痘
現在(衛生・公衆衛生対策)
腸管出血性大腸菌157:H7
いくつかの感染症を根絶。新興・再興感染症の発生。
外来料理・食物(~平安時代)
縄文時代: 大豆
弥生時代: ねぎ、にんにく、にら、
飯(強飯)、粥
古墳時代:麩、醤の原型
大和朝時代:茶、茄子、胡麻、醤、
納豆、酢、うどん、酥、酪、醍醐
平安時代:菜種油、小豆粥、嘗味噌
鎌倉・室町時代:精進料理、点心、豆腐、かぼ
ちゃ、パン 、湯葉、麩、油揚、カステラ、ボーロ 、
饅頭、経山寺味噌、コンペイ糖、西瓜
外来料理・食物(鎌倉時代~)
安土桃山時代 :卓袱料理、とうもろこし、さつま
いも、たまねぎ、天ぷら
江戸時代: いちじく、いんげん豆、じゃがいも、
アスパラガス、 普茶料理、レモン、トマト
明治・大正時代:白菜、しゃくし菜 、キャベツ、
水密桃、すき焼き、牛鍋、ライスカレー、カツレ
ツ、コロッケ 、ウスターソース、ラムネ、ウィス
キー 、アイスクリーム
す
し
の
系
譜
篠田
19
水俣病
水産食品に対するヒスタミン規制
米国
(FDA・HACCPガ
イド)
対象:マグロ,マヒ
マヒ,その他ヒス
タミン生成魚
規制レベル
500ppm
注意喚起レベル
50ppm
(ヒスタミンは通
常鮮度低下した
魚体内に丌均一
に分布)
EU
(EC指令91/493/EEC)
対象:サバ科およびニシン科
ただし,これらの科の魚で塩
水中で発酵させたものは,高
濃度 のヒスタミンを含有する
ことがあるので、下記の値の
2倍を超えないこと。
各バッチの9サンプルが,
次の基準に適合すること。
・平均値が100ppmを越え
ないこと。
・2サンプルは100ppm以
上~200ppm以下でも可。
・200ppmを超えるものが
ないこと。
Codex
(魚類水産製品
取り扱い規範
案)
対象:魚類・水産
製品のうち,ヒス
タ ミンを生成す
るもの
品質指標として
100ppm以下
安全性指標とし
て 200ppm以下
イタイイタイ病
・1968 年に公害認定された。
・カドミウムの慢性中毒により、腎臓障害、骨軟
化症を生じ,肩、腰等に神経痛様のいたみを生
じ、その後、体全体に痛みが広がり、歩行困難
となり、僅かな衝撃でも骨折するようになる。
・富山県神通川流域の飲料水および農作物中の
カドミウムが原因と判明し、汚染源は、上流の
金属精錬所の廃液であった。
・のべ181名の患者が認定された。カドミウムな
どの重金属は、人体に蓄積され、有害な症状を
示すことが多い。
化学物質の審査及び製造等の
規制に関する法律(化審法)
3条件を持たす物質を、特定化学物質
として、製造、輸入、使用を禁止
①分解しにくい
②人体に蓄積する
③ヒトの健康を損なうおそれがある
例:PCB、 DDT、BHC
1953年頃、熊本県の水俣湾の化学工場からアセトア
ルデヒド合成工程中に生成したメチル水銀が工場の排
水中に流出した。メチル水銀が近海を汚染し、魚介類の
体内に蓄積し、これを摂取することにより四肢のしびれ、
歩行障害、言語障害などの症状を呈し、6 カ月位で死亡
する患者が発生した。
1968 年厚生省は公害病と認定した。水俣湾周辺で,
のべ 2,204人が患者として認定された。
また、1964年頃から、新潟県阿賀野川流域で水俣病
と同じ症状を示す中毒が発生した。これも魚体内に蓄積
したメチル水銀が原因で新潟水俣病と呼ばれる。阿賀野
川上流の工場の排水中のメチル水銀が原因で阿賀野川
流域で,のべ 685人の患者が認定された。
カネミ油症
1968 年 に 、 西 日 本 各 地 で 発 生 し た 奇 病 。
カネミ倉庫(北九州市)で製造した食用米ぬか油に
よる中毒で、患者は顔や首などに黒い発疹ができ、
頭痛や手足のしびれなど様々な症状に襲われた。
認定患者は1871人とされるが、届け出患者数は
1万人以上であった。事件のあった年、被害者から
生まれた13人の子どものうち2人が死産、10人は
全身が褐色だったと報告された。
原因は、製造工程で脱臭のために、油を加熱する
ための熱媒体として使用されたPCB製品がステン
レスパイプにできた小さな穴から漏れだして米ぬか
油に混入したためである。
PCB:ポリ塩化ビ
フェニールの化学構
造
患者の健康被害が通常のPCB被害と比べ長期間
にわたったことから、その後の調査・研究でPCBに
含まれていたジベンゾフランとコプラナーPCBとい
う「ダイオキシン類」が主要な原因物質であることが
分かった。
イクラ醤油漬けO157食中毒
・1998年
・患者49名
・二次感染者
13名
・北海道の加
工場の製品
が原因。
20
イカ乾燥菓子サルモネラ食中毒
授業計画
1)食品の安全性とは何か
2)食生活の歴史と安全管理対策のねらい
3)食品安全行政の仕組み
4)食品安全の国際標準化
5)食品をめぐる諸問題
6)HACCPとISOによる安全管理
7)食品の品質・安全管理とトレーサビリティ・
システム
8)国際化時代の食品安全
9)食品安全管理はいかにあるべきか
10)消費者に求められるもの
・1998~9年
・全国的に被害が発生。
・患者総数 1505人。
・青森県の加工場の製品
であったが、詰め替えら
れて、複雑な流通経路
を経て、色々な商品名
で売られていた。
食品の安全性確保
世界各国の経験から、下記の考え方
や手段が重視されようになった。
手段
考え方
○国民の健康保護の優 ○リスク分析
先
○農場から食卓までの一貫
した対策
○科学的根拠の重視
○関係者相互の情報亣
換と意思疎通
○政策決定過程等の透
明性確保
国際食品規格委員会(FAO/WHO/Codex)
食品安全行政の再出発
○平成15年5月23日
消費者の保護を基本とした包括的な
食品の安全を確保するための法律と
して食品安全基本法を制定
○平成15年7月1日
消費者の健康保護を最優先に、食品
安全行政にリスク分析手法を導入し、
食品の安全に関するリスク評価を行
う食品安全委員会を新たに設置
「過ちて改めざるを・・・」
「汝の欲せざるところ・・・」孔子
「BSE問題に関する調査検討委員会報告」
平成14年4月2日
1)危機意識の欠如と危機管理体制の欠落
2)生産者優先・消費者保護軽視の行政
3)政策決定過程の不透明な行政機構
4)農林水産省と厚生労働省の連携不足
5)専門家の意見を適切に反映し
ゼ
ない行政
ロ
リ
ス
6)情報公開の不徹底と消費者の
ク
?
理解不足
?
○食品安全基本法
食品の安全性の確保に関し、
基本理念及び施策の策定に係る基本方
針等を定め、
並びに国、地方公共団体及び食品関連
事業者の責務並びに消費者の役割を明ら
かにすることにより、
食品の安全性の確保を総合的に推進す
る。
<所管:内閣府食品案全員会>
21
関係者の責務・役割(食品安全基本法)
①国の責務
・安全性の確保に関する施策を総合的に策定し、実施
②地方公共団体の責務
・国との適切な役割分担を踏まえて、その地方の自然
的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、実施
③食品関連事業者の責務
・食品の安全性を確保するための第一義的な責任
・正確かつ適切な情報の提供に努めること
・国又は地方公共団体が実施する施策に協力すること
④消費者の役割
・食品の安全性に関する知識及び理解を深める
・意見の表明の機会等を活用
食品の安全性確保体制(2009年9月より)
国
・消費者
リ
ス
ク
管
理
民
・食品関連事業者
地方自治体
・都道府県(47) ・保健所設置市(57)
・特別区(23)
・保健所(576)
厚生労働省
農林水産省
内閣府
・食品安全部他
・消費・安全局他
消費者庁
・検疫所(31)
・地方農政局(7)
消費者委員会
・地方厚生局(7)
・地方農政事務所等(40)
内閣府 食品安全委員会
リ
ス
ク
コ
ミ
ュ
ニ
ケ
ー
シ
ョ
ン
リスク評価
内
閣
総
理
大
臣
食品のリスク分析
内閣府
勧告
(FAO/WHO専門家会合、2002年)
諮問 消費者庁
消費者委員会
表示等に関す
るリスク管理
表示等に関す
新たな問題
建議 るリスク管理
措置要求等
評価通知 評価要請 評価通知
勧告
食品安全委員会
食品のリスク
分析担当機関
リスク評価
評価通知、勧
告、意見
評価要請
厚生労働省
・リスクコミュ
ニケーション
・緊急時対応
食品衛生に関
するリスク管理
評価通知、勧
告、意見
評価要請
輸
入
時
国
内
輸
入
食
品
監
視
指
導
計
画
に
基
づ
き
実
施
・農薬等の使用管理
・証明書の発給
・輸出前検査等
検疫所における届出審査
輸入時の検査
検査命令
リスクコミュニケーション
都道府県等監視指導計画に基づく
都道府県等の収去検査
消費者
過去の違反事例
輸出国の情報
原料・製造方法等
自主検査の指導
不合格
回収・廃棄
又は
積み戻し
違反発見時の通報
海外における食品安全情報の収集
輸入相談等の事前指導
輸入者の自主管理の推進
経費効
率分析
食品安全基本法第21条に規定する基本的事項
食品の安全性確保に関する方針を閣議決定
二国間協議
わが国の食品衛生規制を
遵守するよう要請
必要に応じ現地調査
モニタリング検査
合格
対策の選択
対策の実施
農林水産物等に
関するリスク管理
輸入食品の監視体制等の概要
輸出国における衛生対策
対策効果
の再評価
農林水産省
食品安全担当機関と消費者庁および消費者委員会の関係
輸
出
国
リスク評価
管理者の
初期対応
違
反
情
報
(平成16年1月16日)
第1 食品健康影響評価の実施
・科学的知見に基づき、客観的かつ中立公正に
・食品供給行程の各段階に留意
・緊急を要する事項は、優先
・評価対象を、定期的に点検
・除外措置
(1)明らかに必要でない場合、
(2)健康影響が明らかな場合、
(3)いとまがないときは事後評価
食中毒菌の遺伝子構成比較
・手順等を明らかに
・委員会は、必要に応じ、意見具申、勧告
22
第2 評価の結果に基づいた施策の策定
・リスク評価に基づいて、リスク
管理実施
・食品等の必要な規栺及び基準を
整備
・監視、指導及び調査を実施
・人材の専門性の充実
第3 情報及び
意見の交換の促進
・リスクコミニケーショ
ンを推進
アマメシバ
○アマメシバを大量長期に摂取させることが可能な粉
末・錠剤等の加工食品
○委員会は、当該食品の長期摂取と閉塞性細気管支炎と
の因果関係は否定できないと判断
→この評価結果を受けて、厚生労働省はアマメシバの粉
末等の販売・流通を禁止(食品衛生法第4条2第2項)
第4 緊急の事態への対処等に
関する体制の整備等
・被害発生情報の収集及
び状況の把握
・緊急事態発生時は、適
切かつ迅速に情報提供
・緊急時情報連絡体制、
緊急対策本部設置等準
備
・緊急時対応マニュアル
を作成公表
第6 試験研究の体制の整備等
・委員会及びリスク管理
機関は、相互に連携
・危害認知から安全性確
保施策の策定に至る過
程
・適切な情報の提供
読売新聞2005.1.9
第5 関係行政機関の相互の密接な連携
・食品健康影響評価は、委員
会で実施
・リスク管理措置の連携
・相互連携リスクコミュニケ
ーション促進
・全体として整合
・委員会は、必要なときに意
・関係府省や地方公共団体と
の連絡会議を開催
・委員会はリスク管理機関と
取極めを締結、公表
第7 国の内外の情報の収集、整理
及び活用等
・試験研究の体制の整備
・重点課題を明確にし、研
究開発を推進・強化
・地方公共団体、民間等の
能力も活用
・委員会と試験研究機関の
意思疎通
・研究開発の成果を広く国
民に普及
平成17年度より、委員会は、
・研究者の養成及び確保
食品のリスク評価に資する
研究を公募・実施
・個人情報、知的財産等の保護に十分配慮
・情報の収集、整理、公開
・危害要因等の情報を国民への適切に提供
・広く国の内外における情報の収集、整理、
活用
・委員会は、情報の整理、データベース化
・迅速な検索法を整備
・データベースの相互連携を促進
・情報を分かり易く国民に提供
平成16年度より委員会は、
食品安全総合情報システムを構築
23
第8 表示制度の適切な運用の確保等
カルシウ
ム、葉酸
・理解を得られ
るようにする
・一元的な相
談窓口の充実
、連携の強化
・正しく理解
できるよう、
普及及び啓発
・監視、指導
及び取締りの
強化
(+条件付き?)
・地方公共団体及び関係団体
との協力促進
第10 環境に及ぼす影響の配慮
・施策が環境に及ぼす
影響を配慮
・食品供給行程の各段
階においての取組
・各段階において、
生活環境を保全
・各段階において、
公衆衛生を向上
・農薬の管理施策の
充実等の取組推進
○JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の
適正化に関する法律)
適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し、
これを普及させることによって、
農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の卖純公正
化及び使用又は消費の合理化を図るとともに、
農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることに
よって、
一般消費者の選択に資し、
もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
通称「JAS 法」と呼ばれ、JAS 規格による格付検査に合格
した飲食料品等にJAS マークを付けることを認めるJAS 規
格制度と、品質表示基準に従った表示を飲食料品の製造業
者または販売業者に義務付ける品質表示基準制度の二つ
の制度からなる。
第9 食品の安全性の確保に関する
教育、学習等
・消費者の教育及び学習
の振興、普及、啓発
・消費者団体、関係団体
等の協力も得て、推進
・広報活動、意見交換等
の取組を推進
・事業所にも一般家庭に
も、理解及び認識促進
・学校教育等の場におい
て、知識と理解促進
・体験学習、普及啓発資
材の作成等の取組推
○食品衛生法
食品の安全性の確保のために
公衆衛生の見地から必要な規制、
その他の措置を講ずることにより、
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、
もって国民の健康の保護を図ることを目的とす
る。
<所管:厚生労働省、消費者庁>
食品、添加物、器具及び容器包装の規格
基準、表示及び広告等、営業施設の基準、
またその検査などについて規定している。
○健康増進法(栄養改善法)
この法律は、
我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変
化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大してい
ることにかんがみ、
国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を
定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の
増進を図るための措置を講じ、
もって国民保健の向上を図ることを目的とする。
食品関係の内容としては、特別用途表示について規定す
る他、健康保持増進の効果などについての虚偽または誇
大な広告等の表示の禁止などについて規定している。
24
○牛海綿状脳症対策特別措置法
○薬事法
この法律は、
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効
性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、
医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療用具の研
究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、
保健衛生の向上を図ることを目的とする。
<所管府省:厚生労働省、農林水産省>
動物用医薬品等については、品質、動物に対する有効性
及び安全性の確保に加え、食用動物用の医薬品について
は畜水産食品への残留を防止するため、品目毎に製造(輸
入)承認や再審査等を実施し、製造や輸入販売の許可など
の必要な規制を行うとともに、食用動物に対しては基準を
定めて使用を規制している。
○牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に
BSE のまん延防止措置関する特別措置法
<所管府省:農林水産省>
BSE のまん延防止措置の的確な実施や牛肉の安全
性に対する信頼確保を図るため、牛を個体識別番号に
より一元管理するとともに、生産から流通・消費の各段
階において当該個体識別番号を正確に伝達するための
制度を構築することを目的として平成15 年6 月に制定さ
れ、同年12 月に施行された。
また、牛肉の流通・消費の段階については平成16 年12
月に施行された。
牛海綿状脳症の発生を予防し、及びまん延を防止するた
めの特別の措置を定めること等により、
安全な牛肉を安定的に供給する体制を確立し、
もって国民の健康の保護並びに肉用牛生産及び酪農、牛
肉に係る製造、加工、流通及び販売の事業、飲食店営業
等の健全な発展を図ることを目的とする。
<所管府省:厚生労働省、農林水産省>牛海綿状脳症の発
生が確認された場合またはその疑いがあると認められた場
合において国及び都道府県が講ずべき措置に関する基本
計画を定めることとされている。また、牛の肉骨粉を原料等
とする飼料の使用禁止の規定、また死亡牛の届出及び検査、
と畜場におけるBSE 検査及び特定部位の除去・焼却、牛に
関する情報の記録等の規定、さらには牛の生産者等の経営
の安定のための措置等について規定している。
○飼料安全法(飼料の安全性の確保及び品質の改
善に関する法律)
飼料及び飼料添加物の製造等に関する規制、飼料の公定
規格の設定及びこれによる検定等を行うことにより、
飼料の安全性の確保及び品質の改善を図り、
もつて公共の安全の確保と畜産物等の生産の安定に寄与
することを目的とする
<所管府省:農林水産省>
飼料または飼料添加物についての製造、保存、使用、
表示等の基準・規格の制定や基準・規格に適合しない飼
料の製造等の禁止などを規定している。
食品安全へのリスク分析の導入
○水質汚濁防止法
<所管府省:環境省>
工場等から公共用水域に排出される水の排出を規
制すること法律第138 号などによって公共用水域の水
質汚濁の防止を図り、国民の健康を保護し、生活環境
を保全することを目的に、昭和45 年に制定された。
工場等からの排水規制(排水基準の設定、特定施設
の届出・改善命令、総量規制等)、有害物質の地下浸
透規制、生活排水対策、水質の汚濁状況の監視、損
害賠償における事業者の無過失責任等について規定
している。
リスク評価
科学ベース
リスク管理
政策ベース
リスクコミュニケーション
リスクに関する情
報・意見の亣換
1)食中毒等の未然防止体制
の強化
2)科学的根拠の重視
3)政策決定過程の透明化
4)消費者への正確な情報提
供
5)食品安全規制の国際的整
合性の確保等
人の健康に及ぼす影響の大きさ(程度と発
生確率)を、客観・中立・科学的にとらえ、情
報亣換し、その大きさに応じた対策をとる。
25
リスク評価は、
リスク分析のための「科学的事実」を整理
リスク管理では、どのリスクが、
最も解決すべき重みを持つか等を判断し、
担当:厚労省、農水省他
担当:食品安全委員会
Risk
Risk
Risk
Risk
Risk
Risk
Risk
リスク評価
Risk
リスクの大きさ
Risk
リスクの大きさ
Risk
Risk
Risk
Risk
Risk
Risk
Risk
Risk
費用
Risk
Risk
Risk
管理措置を選択
①何もしない、②観察、
③試験・検査、④基準設定、⑤指導、⑥規制、
⑦法制化、⑧教育・訓練・啓蒙、⑨研究
食品のリスク管理
リスクコミュニケーションの取組
・原則公開による委員
会会合、議事録等を
ホームページに掲載
新たな問題
対策効果
の再評価
リスク評価
対策の選択
対策の実施
リスクコミュニケーション
経費効
率分析
食品のリスク分析と危機管理
事故等を予防
する努力
→リスク分析
の利用
平常時
Risk
Risk
(FAO/WHO専門家会合、2002年)
管理者の
初期対応
Risk
リスク管理
Risk
Risk
Risk
Risk
管理着手の順序
混沌状態
諸般の
事情
Risk
発生した、または発
生するであろう危
機の対策
→リスク分析を再
利用できれば早い
異常時
科学的根拠を持った対応
危機管理への応用・連携は大切。
・食品健康影響評価等
への国民一般からの
意見・情報の募集
・食の安全に関する意見交換会等の開催
・「食の安全ダイヤル」の設置
(03-5251-9220)
・ホームページ、パンフレット、季報等
による情報提供
・その他
あなたと私、二人だけでもリスクコミュニケーション
我が国の食中毒等における緊急時対応
「食品安全関係
府省緊急時対
応基本要綱」等
消費者庁
設立?
食
中
毒
等
発
生
【食品安全担当大臣】
【
初
動
対
応
】
食品安全担当大臣
による判断
→ 緊急協議
報
告
通
【リスク管理】
保
探 健
知 所
等
協
議
要
請
【食品安全委員会】
情
報
連 委員及び事務局幹部
へ情報連絡
絡
窓
口
都
道
府
県
等
報
情
報
連 省内へ
絡 情報連絡
窓
口
交情
換報
①
委員会会合
(臨時に開催する場合
を含む)
緊
急
報
告
助
言
【厚生労働省】
食品衛生に関するリスク管理
【農林水産省】
農林水産物等に関するリスク管理
②
緊
急
対
策
本
部
関
係
府
省
連
絡
会
議
平
時
(
通
常
対
応
)
26
リコールに役立たないトレーサビリティでは?
フ
ー
ド
チ
1)食品のリスク低減化の
ェ
ための一手段。
イ
ン
2)食品の選択の目安。
を
汚
リコール(製品回収)
さ
1)食中毒被害等の未然防
な
止。
い
トレーサビリティ(追跡可能
性)
2)被害拡大防止の手段。
GAP
適正農
業規範
フードチェーン対策
整
理
整
頓
し
て
対
応
!
食糧
安全
保障
食品
安全
食料
攻撃
防衛
善意
悪意
食品
衛生
労務
管理
GMP
適正製
造規範
2000年6月の
食中毒例
停電事故による黄
色ブドウ球菌の増
殖
×
脱脂粉乳
BSEのまん延
防止には、
飼料管理等
のGAPが必要
低脂肪乳
13,420名食中毒
ノロウイルスの感染経路
食品安全におけるフードチェーンアプローチ
食性病害の未然防止
(HACCP? )+ HACCP + (HACCP?) +(HACCP?)
?
?
?
流
通
消
費
GHP
食品
漁農
場場
工
場
GAP
GMP
GHP
原材料
食料品
原材料
嘘をつかずに、正直に生きる
(「別冊ニュートン」より)
問題点
27
フードチェーン:生物間の捕食・被食のつながり
海洋生物安全管理論
1.食品の安全性とは何か
2.食生活の歴史と安全管理対策のねらい
3.食品安全行政の仕組み
4.食品安全の国際標準化
5.食品をめぐる諸問題
6.HACCPとISOによる安全管理
7.食品の品質・安全管理とトレーサビリティ・シ
ステム
8.国際化時代の食品安全
9.食品安全管理はいかにあるべきか
10.消費者に求められるもの
(黒矢印は被食を示す)
藻類・
植物
一次
生産者
捕
食
草食
捕食 動物
一次
消費者
肉食
捕食
捕食 動物
二次
消費者
三次
消費者
捕
食
捕
食
肉食
動物
微生物
代謝産物、死骸等を栄養源とする増殖
捕
食
函館・湯の川温泉
有毒?食用植物
海外の生産者
生産者
ジャガイモ
輸入業者
生産地
市場
生産者
消
費
地
市
場
卸売
業者
OO
食
品
イネ
小売業
消費者
豆類
生産者
食品が消費者に届くまで
摂取される物質の量と健康リスク
(毒か否かは量で決まる)
←
→
→
小
無
毒
性
量
多
尐
摂取量
何でも食べ過ぎれば身体に悪い!
生
体
影
響
→
生
体
影
響
(栄養素の場合)
過剰摂取
大
(不足) ←強ー 毒性 ー弱→
←
大
青梅
人類は、生物の可食部を選抜し、そのままでは
食べられない部位も、調理加工して食べてきた。
小
食性病害の例(栄養不良を除く)
分類
種類
代表例
有毒成分
ジャガイモ毒素、他
内因性
生理作用成分消化酵素阻害物質、他
微生物
O157、ノロウイルス、他
外因性 寄生虫
回虫、アニサキス、他
汚染物
ダイオキシン、水銀、他
酸化油、ニトロソアミン、
誘起性 物理化学的
アクリルアミド他
注意事項:
①何でも食べ過ぎれば体に悪い ②毒か否かは量で決まる
③ある人の食べ物は他人の毒
④空腹は最高の調味料
28
高
安
全
性
• リスク評価と管理は、政治家、商業関係者、産業
界や各種圧力団体の潜在的な影響を受けていた。
2003年7月~
許容可能
対策?
低
食品安全基本法発効
許
容
丌
能
何らかの対策
強い対策
小← リスク →大
2009年9月~
・消費者庁と消費者委
員会発足。
・科学を尊重すべき。
・リスク分析を撹乱し
てはいけない。
内閣府
勧告
消費者委員会
表示等に関す
るリスク管理
表示等に関す
建議 るリスク管理
措置要求等
評価通知 評価要請 評価通知
勧告
食品のリスク
分析担当機関
リスク評価
評価通知、勧
告、意見
厚生労働省
食品衛生に関
するリスク管理
評価要請
評価要請
・リスクコミュ
ニケーション
・緊急時対応
評価通知、勧
告、意見
農林水産省
農林水産物等に
関するリスク管理
食品安全担当機関と消費者庁および消費者委員会の関係
途上国vs先進国、環境対策…
リスク評価
リスク管理
科学的根拠
政策的判断
リスクコミュニケーション
意見や情報等の
双方向の亣換
保護の適正水準
ALOP
appropriate level of protection
諮問 消費者庁
食品安全委員会
食料不足?
←(2006年)
65億人
産
業 分業化の進行
革
命
←第二次世界
大戦終結
→
世
界
の
人
口
推
移
食品安全基本法制定前
• リスク評価と管理は、同じ部署で行われていた。
取るに足
らない
広く受け
入れ可能
→
内
閣
総
理
大
臣
各食品は、斜線のどこかに位置する
←
刻能リ
さ性ス
)とク
と、(
、起い
安きや
全たな
性時事
ののが
関被起
係害こ
のる
深可
• 食品中の危害因子による健康被害から、適切に消
費者を保護するための取り組みの目安。
• 安全な食料の安定供給にとって重要な考え方であ
る。
• 高過ぎる水準は、食料の供給に障害となり、経済
的混乱や、資源や環境に過剰の負担をもたらす。
• 低過ぎる水準では、食生活に由来する健康障害の
増加が生じる。
農
産
物
の
輸
出
規
制
国
(
鈴
木
・
笈
川
ら
)
界の人口推移
29
人類は地球生態系Global ecosystemの一員である。
生態学的な健康
とは?
→個人あるいは
人間集団の生命
や生活活動が、
環境の構成因子
と動的な平衡状
態を保っている
状態である。
サステナビリティ
Sustainability
経済成長は持続可
能な範囲内で
●ハーマン・デイリーの3原則
① 再生可能な資源の消費 < 再生能力
② 再生丌可能な資源の消費
< 持続可能・再生可能な代替資源の開発
③ 汚染物の排出量 < 環境の吸収処理能力
Codex(FAO/WHO合同食品規格委員会)
我が国の食中毒発生状況
(医師届出速報値、2008年)
細菌
618件 7,002人(死者1名)
ウイルス 207件 7,556人
化学物質 20件*
374人*
自然毒
215人(死者2名)
セレウス菌
91件
*ヒスタミン食中毒
・一般には国際食品規格委
員会、またはCAC (Codex
Alimentarius Commission)
と呼ばれる。
・日本は、1966年に加盟。
・目的:
①消費者の健康を守り、
②公正な食品貿易を確保し、
③食品貿易の促進を図る。
・任務:
貿易されている食品の国際
規格・製造規範などを作成
(人口 125,988,000人 、2008年) フグ
どの検査法においても、食品安全上の問題点が存在する
ファイナル・チェック方式
プロセス・チェック方式へ
サンプリングは大丈夫?
できあがった食品を抜きり検査し
て、その結果でロットの合否を判
定する。
最終製品の合否を判定するので
はなく、製造工程の各段階で合
否の判定をする。
・検査したものは、破壊され商
品とはならない。
・管理基準を設定して、重点的に
管理する。
・抜き取りの方法によっては検査
の信頼性が大きく影響を受ける。
・CCPを常に監視して、合否判定
を行い合格したものだけを次の
工程に送る。
均一な分布
vs
不均一な分布
経時変化、変異・増殖・死滅・死んだふり・その他
食品自身の多様性?(成分・pHの変動・妨害物質の有無・・・)
標的物質・菌の多様性?
感度、正確さ、再現性、・・・・・
病原性・感染性の判定
有効な指標の決定(特異性)
コスト・時間・分析機器
標的物質の抽出・精製法
ppb, ppt
%, ppm,
・検査に時間がかかる。
・丌都合が判明した場合、原因
の解明が困難である
検査による製品管理から、フードチェーンのプロセス管理へ
→微量分析の追及 + リスク管理への資源投入へ
Check
各自、一隅
を照らす
・最終工程には、全ての工程で検
査を合格した製品だけが到達
・各工程の担当者は、責任を持っ
て合否を判定し、記録を残す。
明るいフードチェーン
30
食品安全に関連する懸念事項
第1:サイエンス・リテラシー(科学的眼力、
理解力)が弱いこと
第2:コンプライアンス(順法精神・倫理)の
問題
第3:政治や行政への不信感の問題
第4:人間関係の問題
「ものを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎるのは
やさしいが、正当に怖がるのは難しい」寺田寅彦
人とその共同体への損傷、ならび 個人の主観的
に人、組織、公共の所有物に損害 な判断に大きく
がないと客観的に判断されること 依存する
安全+信頼➔安心
安全確保の努力がされていないのに、
安心を強張する行為は?
(写真:香川漁連)
文部科学省:「安全・安心な社会の構築に資する科学技術
政策に関する懇談会」報告書(2004年)より一部変更
海洋生物安全管理論
6.HACCPとISOによる安全管理
7.食品の品質・安全管理とトレーサビ
リティ・システム
8.国際化時代の食品安全
9.食品安全管理はいかにあるべきか
10.消費者に求められるもの
Codex General Principal for Food Hygiene
HACCP(危害分析重要管理点)
○食品の安全性を確保するための
衛生管理システムである。
○原料の調達から最終製品
までの各段階で消費者に健
HACCPシステム
康被害をもたらすことが予想さ
調理加工環境 れる要因を分析する。
一般的衛生管理プログラム
○その防止措置を明
らかにし、特に重要な
原材料
制御点を特定して、
厳重な管理を行い、
食品衛生管理の概念図 記録を残す衛生管理
方式。
取り扱い
Codex委員会による
食品衛生に関する基本テキスト
 食品衛生の一般的原則の規範
(CAC/RCP 1-1969, Rev.4 2003)
 HACCPシステムおよびその適用のためのガイドライン
(Annex to CAC/RCP 1-1969:2003)
 食品の微生物学的基準の設定及び適用の原則
(CAC/GL 21-1997)
 微生物学的リスク評価を実施するための原則および指針
( CAC/GL 30 - 1999)
31
衛生管理前提条件(Pre-requisites) + HACCP
安全性
の高い
食品
HACCP
HACCPシステムを適用した
食品安全管理の考え方
1.「食品衛生の一般的原則」の規範により、
安全な原材料、作業環境の食品衛生管理の基礎条件を確保。
HACCPシステム適用の前提条件
前提条件
原材料
Codex委員会による
□ヒトの衛生、□食
品取扱、 □施設、
□保守管理、 □運送、
2. 上記規範の付属文書「HACCPシステムおよび
その適用のためのガイドライン」により、
原材料から最終製品に至る工程でCCPを決定し、CCPに
おけるHACCPプランを作成して、プランにより食品から
危害要因を確実に減少/排除。
□製品情報、 □消費者意
識、□教育・訓練、他
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)
システム<1/2>
1.危害分析重要管理点方式、あるいは危害要
因分析・必須管理点監視方式とも訳される食
品の安全性確保手段の一つである。
2.危害分析において、工程毎に食品の安全性
に害を与える可能性のある微生物、化学物質、
異物を分析し、対処方法を検討。
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)システム
4.それをどのように監視するのか、基準を外れたとき
の対処方法等を決めおき、各工程の作業は文書化
し、監視等の結果も記録して計画通りに製造されて
いる証拠として残す方式。
5.機能を発揮するためには、良好な原材料、適切な
環境、人材等の前提条件が整う必要があり、食品
の原材料の一次生産から消費に至る全ての過程を
通して適応されることが理想。
3.危害の発生防止上極めて重要な管理点につ
いて管理基準を設定。
6.現実には、多くの課題があり、リスク低減を当面の
目標として工場の入り口から出口までのように、部
分的に採用されている。
食品安全におけるフードチェーンアプローチ
ISO(国際標準化機構)について
食性病害の未然防止
(HACCP? )+ HACCP + (HACCP?) +(HACCP?)
?
?
?
流
通
消
費
GHP
食品
漁農
場場
工
場
GAP
GMP
GHP
原材料
食料品
原材料
嘘をつかずに、正直に生きる
◇組織:スイスに法人格を有する非政府組織
◇発足:1947年
◇日本の加入:1952年
◇加盟国:156カ国
◇目的:世界的な標準化及びその関連活動の発展促
進
◇ISO規格とは
→ISOが発行する任意の規格。強制力はない。
→規格の活用は規格の受け手に任されている。
→我が国ではISO9001(品質マネジメント)、ISO
14001(環境マネジメント)を始め、多くのISO規
格がJIS化されている。
問題点
32
ISO 22000 とは
ISO22000の特徴
◇国際標準化機構ISOの発行した、食品の安全性確保
を目的とした規格
◇表題は、「食品安全マネジメントシステム:フードチェー
ンのあらゆる組織に対する要求事項」( Food Safety
Management Systems (FSMS) – Requirements for any
organization in the food chain)
◇Codexの食品衛生の一般的原則及びHACCP適用の7
原則・12 手順を基礎
◇フードチェーン全ての業種での食品の安全性を確保す
ることを目的
◇次の四つの要素を含む要求事項を持つ
① 相互コミュニケーション、② システムマネジメント、
③ 前提条件プログラム(PRPs)、④ HACCP 原則
• ISO22000は、安全な食品を供給することを目的としたマ
ネジメントシステム
マネジメントシステムの関係
ISO22000
(FSMS)
組織の目的
安全な食品
HACCP
• 業務を組織全体の中で整合性をとりながら達成していく
手段を提供している
1.組織はPRP,OPRP及びHACCPプランの組合せによって
ハザード管理を確実にするために用いる戦略を決定する。
2.HACCPプラン、PRPを組み合わせている。
3.フードチェーン内で発生することが当然予測されるすべて
のハザードが明確にされ、評価されることを要求している。
「ISO9001」と「ISO22000」との違い
ISO22000
ISO9001
食品安全マネジメントシステム
ISO9001(QMS)
ISO14001
(EMS)
OHSAS
労働衛生
品質マネジメントシステム
食品の安全性
製品・品質の差別化
顧客
リスクをなくす
顧客満足
人の消費にとって
危害がない
ISO22000のPDCAサイクル
Plan
ISO22000のイメージ
Plan
安全な製
品実現の
計画
Act
HACCP
PRPs
(PRPとOPRP)
Chack
次の工程はお客さま
の考え方
ハザー ハザ
ド分析 ード
の為
分析
の準備
・管理手段
・妥当性
確認
・HACCPプラ
ン作成
・OPRP確立
Do
改
善
モニタ
リング
是正
処置
検
証
Action
実 施
Do
Check
33
海洋生物安全管理論
7.食品の品質・安全管理とトレーサ
ビリティ・システム
8.国際化時代の食品安全
9.食品安全管理はいかにあるべきか
10.消費者に求められるもの
食品における品質の構成要素
基本的特性 安全性
消費期限、賞味期限、貯蔵
栄養性
マクロ、ミクロ栄養素
信頼性
心理的要因
機能的特性 嗜好性
機能性
二次特性
内因性、外因性、誘起性要因
保存性
色、味、香り、力学的特性
生体調節性
流通特性 変質速度
加工特性 できばえ
付加特性 価値観
1.目的
Codex食品衛生の一般原則
(1997年)
2.範囲、使用および定義
3.一次生産
4.施設:設計と設備
5.作業管理
6.施設:維持と衛生管理
7.施設:個人衛生
8.輸送
9.製品情報と消費者意
識
10.教育訓練
リコールに役立たないトレーサビリティでは?
フ
ー
ド
チ
1)食品のリスク低減化の
ェ
ための一手段。
ー
ン
2)食品の選択の目安。
を
汚
リコール(製品回収)
さ
1)食中毒被害等の未然
な
防止。
い
トレーサビリティ(追跡可
能性)
2)被害拡大防止の手段。
Codex General Principal for Food Hygiene
食品のトレーサビリティTrace+abilityとは
生産、加工および流通の特定の一つ、また
は複数の段階を通じて食品の移動を把握で
きること。
→(安全を保障することではない)
・Codex委員会総会で合意された英文の訳(2004年)
Traceability/product tracing :the ability to follow
the movement of a food through specified stage(s)
of production, processing and distribution.
・Codex:最低限、一歩川上への遡及と一歩川下
への追跡が可能であることが求められている。
食品トレーサビリティの問題点
・トレーサビリティは、どのようなシステムなのかを消
費者を含めた共通理解が必要。
・トレーサビリティを導入さえすれば、食品の安全は
確保されると思う人や、誤解を悪用する人もいる。
・履歴が分かることと食品の安全性が確保されること
とは、次元の違う問題。
・記録の正確さに疑念があれば、フードチェーンに悪
影響
・コスト負担を消費者を含む関係者は合意
・経済力の弱い関係者や開発途上国のコスト負担
・費用対効果についての検証、他
34
食品トレーサビリティの問題点
・羊頭苦肉、同床異夢では?
・安全性確保とは、別次元の問題。
・リコール(製品回収)に貢献できるのか。
・記録に疑念があれば、信用を失い、新た
な被害者を増やす場合もある。
・コスト負担を全関係者は合意しているか。
・開発途上国にコスト負担を強いるのか。
・費用対効果について検証されているのか。
・食中毒患者は減るのか。
海洋生物安全管理論
7.食品の品質・安全管理とトレーサ
ビリティ・システム
8.国際化時代の食品安全
9.食品安全管理はいかにあるべきか
10.消費者に求められるもの
→まず、衛生管理→記憶よりも記録
→記録を繋ぐ→食物連鎖の記録連鎖
食品安全の高度化を求める国際的な変化
食品の国際貿
健康保護への
易の多様化と
より強い要求
量の増加
人間の生活
様式や生態
系の変化
食料生産
方式や気
候の変化
ハザードの検知技術や
管理手法の高度化
世界貿易機関(WTO)
衛生と植物防疫措置に関する協定(SPS)
・国際食品規格委員会Codexの勧告を、食品の安
全性についての参考規格と規定
・WTO加盟国の食品の安全性に関する措置は、充
分な科学的根拠に立脚すべき(第2.2項)
・Codexの規格が存在するならば、それに基づ
くべき(第3.1項)
・Codexによって確立されたリスク評価の手法を
使った、人へのリスクの評価に基づいていなけれ
ばならない(第5.1項)
FAO/WHO
食品安全に関する国際機関
海洋生物安全管理論
FAO:国際連合食糧農業機関
WHO:世界保健機関
CAC;コーデックス委員会、国際食品規格委員会
WTO;世界貿易機関
OIE;国際獣疫事務局
ISO;国際標準化機構
I ARC;国際がん癌研究機関
ICFA;国際漁業連合
ICMSF;国際食品微生物規格委員会
IDF;国際酪農連盟
OECD;経済協力開発機構
EFSA;欧州食品安全機関
7.食品の品質・安全管理とトレーサ
ビリティ・システム
8.国際化時代の食品安全
9.食品安全管理はいかにあるべきか
10.消費者に求められるもの
35
Codex食品衛生の一般原則<緒言、その1>
・人々は、食べて安全で消費に適する食品を
得る権利を有している。
・食性病害や食品による怪我は、最も不快な
ものである。
・最悪の事態では、命を落とすこともありえる。
他の結果もありうる。
・食中毒の発生は、貿易と旅行に悪影響を与
え、経済的損失、失業、および訴訟による
損失も引き起こす。
・食品の务化・損耗は無駄であり、もったいな
く、貿易と消費マインドに悪影響を及ぼす。
Codex食品衛生の一般原則<緒言、その3>
Codex食品衛生の一般原則<緒言、その2>
・国際的な食品貿易と海外旅行は、重要な社
会的で、経済の恩恵をもたらし、増大している。
これは世界中への病気の広がりをより容易に
している。
・最近の20年の間に多くの国では、食習慣に大
きな変化がおきている。
・新しい食料生産、加工および流通技術は、発
展を続けている。
・食中毒、食品由来の怪我、食品による健康へ
の悪影響や経済的損失を避けるために、効果
的な衛生コントロールが実施されている。
・農家、飼育者、製造加工者、食品流通業者は、
消費者を含む全ての人に食品が消費に安全
で、妥当であることを保証する責任を有する。
・この一般原則は、食品衛生を確かなものとす
るための、堅実な基礎を与えるものであるが、
必要に応じて、個別の衛生規範や微生物学
的な規格等のガイドラインと一緒に使用する
べきである。
・一次生産から最終的な消費までのフード
チェーンに順に文書は、各段階の衛生関して、
重要な制御すべき事柄を強調している。
Codex食品衛生の一般原則<緒言、その4>
・危害分析重要管理点方式(HACCP)とその適
用のガイドラインは、巻末付録に書かれている
ように、食品安全をどの段階でも強化できるの
で、HACCPベースの取り組みを推奨する。
・この文書で説明された管理手法は、消費され
る食品の安全性と妥当性を保証するために必
要であると、国際的に認められたものである。
・一般原則は、政府、産業(個々の一次生産者、
製造加工者、食品サービス業者、および小売
店を含む)、および消費者に、同様の取り組み
を求めている。
食品安全へのリスク分析の導入
丌安煽動情報の特徴
リスク評価
科学ベース
リスク管理
政策ベース
リスクコミュニケーション
リスクに関する
情報・意見の交換
1)食中毒等の未然防止体制
の強化
2)科学的根拠の重視
3)政策決定過程の透明化
4)消費者への正確な情報提
供
5)食品安全規制の国際的整
合性の確保等
人の健康に及ぼす影響の大きさ(程度と発
生確率)を、客観・中立・科学的にとらえ、情
報交換し、その大きさに応じた対策をとる。
・毒性発現の量的考察無視
・摂取量・摂取経路の無視
・正義の味方ぶる
・事業者はウソをつく悪人
・行政は事業者の味方
・消費者は危険にさらされていると脅す
不安便乗商法とマーケッティングとの関係を
整理しないと、消費者の不信感はさらに増幅?
36
海洋生物安全管理論
人類は地球生態系Global ecosystemの一員である。
生態学的な健康
とは?
7.食品の品質・安全管理とトレーサ
ビリティ・システム
8.国際化時代の食品安全
9.食品安全管理はいかにあるべきか
10.消費者に求められるもの
→個人あるいは
人間集団の生命
や生活活動が、
環境の構成因子
と動的な平衡状
態を保っている
状態である。
生態学的な健康の概念
我が国の微生物性食中毒発生件数推移
腸炎ビブリオ
サルモネラ属菌
発
生
件
数
カンピロバクター
ノロウイルス
黄色ブドウ球菌
O157
食品安全関連懸念事項
第1:サイエンス・リテラシー(科学的眼力、理解力)
が弱いこと
・フード・ファディズムに、多くの
人々に感染してしまうことがある。
・特にマスコミの人たちは感染しや
すい。
・テレビ番組や出版物等が、問題 納豆ダイエット→やっぱり?
を起こしている。
・科学的な根拠を持っているように
見せかける場合もある。
・特に、マスコミは嘘をつくべきで
はないし、娯楽とニュース(事実)
を峻別すべきである。
根拠なき批判ー面白ければ良いのか?
第2:コンプライアンス(順法精神)の問題
偽装表示が、しばしば発覚し、多くの国民が、純正で安全な食品
までも、不正な食品ではと疑がっている。
■有名なお菓子メー
カーは、日付を付け替
え、不適切な衛生管理
を適切であるとしていた。
■ある食肉加工業者は、牛
肉ではないものを牛肉と表
示し、輸入鶏肉を国産鶏肉
として販売していた。
不正の影には、商品の納入先である大型小売業者
等の値引き要求等の圧力があると思われる。
第3:政治や行政への不信感の問題
■民間でも起こることであるが、科学を尊重しているふり
をする場合もあり、注意が必要である。サイエンス・リテラ
シーの尊重を心がける必要がある。
■食品企業への監視や指導にお
いて、中央政府と地方自治体の連
絡・調整が悪いままになっているこ
とがある。
■牛肉偽装事件では、長年に
わたり各種の肉類が牛肉と表
示され、衛生管理も杜撰であっ
たことが明らかになった。
37
第4:人間関係の問題点
WHO 食品取り扱い
ゴールデンルール
■人間関係が良い職場であ
れば、不正や不行き届きの芽
は、早めに対策が取られ、大
きくはならない。
■苦しい心持ちを誰にも話せない職場であれば、切
磋琢磨ではなく、長いものに巻かれざるを得なくなり
不満が残ることになる。
■内部告発制度等の自主的な
検討と、その背景としての人間
関係について考えることが必要
である。
WHO
世界保
健機関
国立保
健医療
科学院
安
全
に
食
べ
る
た
め
の
5
つ
の
鍵
1.安全性向上処理済食品を選ぶ
2.加熱は十分に(>70℃)
3.調理後は早く食べる
4.適切に保存する(>60℃、<10℃)
5.再加熱も十分に(>70℃)
6.交叉汚染をさせない
7.たびたび手を洗う
8.食品との接触面を清潔に
9.昆虫、動物を近づけない
10.水に注意
食品の安全性確保と安定調達
○人間は従属栄養動物であることを自覚し、他
人に迷惑をかけないよう自律する。
○食料を調達する努力が、一人一人に求めら
れる。
○発信される食品の情報は過多であり、賢く選
択し、吟味する力を持つことが必要である。
○個人の理解力向上と、社会としての食品を
確保し続ける仕組みの両者が必要である。
○苦しくても嘘をつかないことが、助け合える
国民性を持つ次世代を育てことになる。
フードチェーンへの貢献を意識して!
38
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