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豊かな実体験を育む

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豊かな実体験を育む
板一小・板八小・板九小・中根橋小・板三中《あい・i
学びのエリア》 板 橋 区 立 中 根 橋 小 学 校
学 校 だ よ り 7 月 号
平 成 2 6年 6 月 3 0 日
校 長
倉 島 民 雄
《教育目標》○健康な子ども ◎深く考える子ども ○最後までがんばる子ども ○心豊かで助け合う子ども
《生活指導重点》 基本的な生活習慣の確立
― 目を見てあいさつ中根の子 ― 〈全児童数配付〉
豊かな実体験を育む
校長
倉島
民雄
移動教室から
先月、5年生の榛名移動教室と6年生の日光移動教室がありました。いずれも子どもたちの活躍と保護
者の皆様のご支援により、有意義な生活を送ることができました。子どもたちは、友達と一緒に寝泊まりす
ることで、友達を思いやり、共に力を合わせることの大切さを、また、美しい自然や文化遺産にふれること
で、それらを守っていくことの大切さを改めて学んだことと思います。
移動教室をはじめ、子どもたちが学校の外に出かけて学習する大きなねらいは、「実体験」です。今回
の5年生の移動教室でいえば、「霧でかすんだ山道を歩く」「牛や羊の体に直に触れる」「キャンプファイ
ヤーの炎を肌で感じる」などがそれに当たります。初めての子どもにとっては、とても印象深い「実体験」で
あったことでしょう。また、日頃からベッドで寝起きしている子どもにとっては、布団を敷いてシーツをかけ
たり、押し入れを使ったりすることは、きわめて新奇な「実体験」であったに違いありません。
耳で聞いたことは時間とともに忘れられていきがちです。しかし、目で見たことは比較的長く記憶に残り
ます。ましてや、頭を働かせ、手足を使って取り組んだことは、深く心に刻み込まれ、実感を伴った厚みの
ある知識・理解となって、いつまでもその人の中で生き続けます。これが即ち「実体験」です。
実体験の大切さ
中根橋小では、日頃の学習の中でも、具体的なものを見たり、触れたり、作ったり、育てたりする「実体
験」を大切にしています。大人でさえそうであるように、子どもにとっては尚更、ものごとを文字や言葉だけ
で理解することは難しいものです。文字や言葉は、ものやことを表す記号ですから、その実体のイメージ
が思い浮かばなければ理解は進みません。
例えば、ある見知らぬ果物があったとしましょう。そして、それに関する情報収集・理解の仕方に「文字
や言葉だけで…」「写真を見ながら…」「手にとって食べながら…」の三つがあるとします。当然、この順に
多くの情報が集まり、理解が深まっていきます。さらに「実際に育ててみながら…」となれば、得られる情報
は圧倒的に多くなり、その理解は体に染みついたものになることでしょう。文字や言葉だけに頼らず、でき
る限り「実体験」を学習の中に取り入れていこうとする理由はここにあります。
不足している「実体験」
一方で、学校で「実体験」を大切にした学習をするということは、子どもたちの「実体験」が以前よりも絶
対的に不足してきているということも意味しています。惜しいことに、その不足を学校だけで補うことは、時
間的にも環境的にも限りがあります。牛や馬を飼うわけにはいきませんし、田んぼで米作りをすることもで
きません。本校のような都会の学校では、とくにこうした「自然体験」が乏しくなりがちです。
ある学者は、自然体験の対象を「火」「石」「土」「水」「草」「木」「動物」などに分けて、それらに対して触
れたり、においを嗅いだりする感覚体験がとくに不足しているのではないかと指摘しています。これは、幼
児教育の視点からの指摘ですが、こうしたことを十分に体験してきた子どもとそうでない子どもとでは、小
学生の高学年あたりからのものの見方、考え方に多少なりとも違いが出てくるのではないかと思います。
5年生 の農業の学習で、農薬の使用の是非を議論した時のことです。ある子どもは「農薬は体によくな
いから使うのはやめるべきだ。」と言いました。これに反論してある子は、「農薬を使わないと虫がついた
り、病気になりやすくなるから、絶対だめとはいえない。」と発言しました。その子は、自分がかつて野菜作
りをして、虫がついたり、病気になったりした苦い経験のある子でした。
「実体験」豊富な夏休みに
「実体験」は、学校での学習をふくらませ、豊かなものにする働きがあります。学校だけで補うことができ
ない部分は、家庭や地域にお願いする他ありません。あと3週間もすると、夏休みが始まります。どうかこ
の休みを上手に利用して、普段できない「実体験」を少しでも広げていただければと願っています。ことに
当たって安全第一は外せません。ただ、その気遣いが過大すぎると、「実体験」の内容が萎縮して、中途
半端なものになる恐れもあります。その辺りは、上手に導いてあげたいものです。
終わりになりましたが、1学期間の保護者や地域の皆様のご支援、ご協力に心からお礼申し上げます。
夏季休業中も様々な行事を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
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