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事業事前評価表 国際協力機構 産業開発・公共政策部 行財政・金融課 1

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事業事前評価表 国際協力機構 産業開発・公共政策部 行財政・金融課 1
技プロ用
事業事前評価表
国際協力機構 産業開発・公共政策部 行財政・金融課
1.案件名
国 名:ミャンマー連邦共和国
案件名: 資金・証券決済システム近代化プロジェクト
Project for Modernizing the Funds Payment and Securities Settlement Systems in
Myanmar
2.事業の背景と必要性
(1)当該国における金融セクター現状と課題
ミャンマー政府は、経済分野の開発目標として市場経済化や投資促進を掲げ、金融規制緩和
や証券取引市場の開設等、金融セクターの近代化に向けた準備を進めているが、金融市場の発
展を支える情報通信技術(ICT)システムの整備が非常に遅れている。中央銀行の本支店間及び
市中銀行との間での資金決済及び口座管理、国債の登録管理業務の多くが手作業での処理に
頼っており、業務効率の低さに加え、セキュリティ保護やデータ管理が適切にされていない点が
問題となっている。今後、社会経済開発の進展に伴って、国内企業の資金需要の増加、諸外国
からの投資の活発化、更に個人の銀行利用の普及拡大が見込まれており、金融機関で取り扱う
資金及びデータ量が急増すると予想される中で、経済活動の根幹をなす中央銀行の業務ソフト
ウェアおよび ICT インフラ基盤(以下、総称して「業務システム」とする。)の整備を通じた業務改
善は、金融セクターに対する信頼性を維持向上させるためにも喫緊の課題である。本システム導
入に当たっては中央銀行業務、資金・証券決済にかかる法規制や業務プロセスを見直すととも
に、新システムを適切に利用するための利用予定者への周知・研修、また、システムの適切な維
持管理のための体制整備等が同時に必要である。
(2)当該国の金融セクターにかかる開発政策と本事業の位置づけ
同国政府は 2015 年の ASEAN 経済共同体への加盟を公約しており、加盟各国と調和した金融
システムの整備を重要課題と位置付けている。IMF4 条協議(2012 年 5 月)においても、金融セク
ターの近代化の必要性が指摘され、特に中央銀行の独立性及び機能強化、電子決済等の業務
システム導入等が急務とされている。金融政策の円滑かつ着実な実施のためにも中央銀行業務
の効率化は不可欠である。以上の背景を受け、我が国政府はミャンマー側からの要請に基づき、
本業務システムの構築のための無償資金協力「中央銀行業務 ICT システム整備計画」を承認し、
2013 年 10 月 25 日の交換公文署名を持って協力を開始したところである。本事業は、右無償資
金協力により整備される業務システムの適切な稼働・維持管理に必要な人材育成や体制整備を
行うものである。
(3)金融セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績
本事業は、我が国の対ミャンマー支援方針(2012 年 4 月)の 3 本柱のうち「経済・社会を支える
人材の能力向上や制度の整備のための支援」に位置付けられる。なお、関連事業として上述の
無償資金協力「中央銀行業務 ICT システム整備計画」を実施中。
(4)他の援助機関の対応
IMF は金融制度改革・法改正、銀行監督等にかかる技術協力を実施しており、2012 年 7 月か
1
らは中央銀行に対するアドバイザーとして日本銀行出身の専門家を派遣している。また、世銀等
も金融セクターのマスタープラン作成や公共財政管理支援等を検討中。
3.事業概要
(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)
本事業は、ミャンマー中央銀行(Central Bank of Myanmar: CBM)及び同国の市中銀行を対象
として、人材育成や体制整備を通じて CBM の業務システムが円滑に稼働・維持管理されるため
の環境整備を図り、もって同国における資金・証券決済の近代化に資する。
(2)プロジェクトサイト/対象地域名
ミャンマー中央銀行本店(ネピドー)及び支店(ヤンゴン、マンダレー)
(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)
(直接受益者)ミャンマー中央銀行行員約 1,400 人及び市中銀行 23 行のうち資金・証券決済業務
に関わる行員
(間接受益者)銀行を利用する企業・個人
(4)事業スケジュール(協力期間) 2014 年 2 月~2018 年 1 月(計 48 か月)
(5)総事業費(日本側) 14.4 億円
(6)相手国側実施機関
ミャンマー中央銀行(CBM)
(7)投入(インプット)
1)日本側
【専門家】チーフ・アドバイザー、業務改善、業務調整(以上、長期専門家)、法制度・業務フロー
見直し、システム運用・維持管理、IT リテラシー等(計 227MM 程度を予定)
【供与機材】会計システム等
【研修員受入(日本/第三国)】中央銀行業務等にかかる研修員受入(計 3MM 程度を予定)
【現地活動経費】現地研修実施経費、専門家旅費等活動に必要な経費
2)ミャンマー側
【カウンターパート配置】プロジェクト・ダイレクター(副総裁を想定)、プロジェクト・マネージャー
(局長を想定)、資金・決済業務や業務システム構築に関わるカウンターパート・チーム(CBM 関
係部署の行員)
【執務環境】プロジェクトの専門家及びスタッフに必要な執務スペース、機器
【プロジェクト活動経費】カウンターパートの人件費(国内旅費含む)等必要経費
(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発
1) 環境に対する影響/用地取得・住民移転
①カテゴリ分類 C
②カテゴリ分類の根拠 本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010 年公布)に
掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず、環境への
望ましくない影響は最小限であると判断されるため。
2)ジェンダー平等推進・平和構築・貧困削減
特になし
(9)関連する援助活動
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1)我が国の援助活動
本事業は JICA が同国で実施中の無償資金協力「中央銀行業務 ICT システム整備計画」にお
いて構築される業務システムの適切な稼働・維持管理に必要な体制整備や能力向上を行う。ま
た、JICA は経済構造改革を担う人材を育成する観点から、「経済改革支援プログラム」(2011 年
度)において金融政策、中央銀行業務、資本市場整備等についての研修を実施中であることに
加え、CBM を主対象とした課題別研修「ミャンマー銀行業務改善」を 2012 年度から 3 年間にわた
り実施中。さらに証券監督能力強化にかかる長期専門家を派遣するとともにインターバンク市場
育成のための個別専門家派遣も検討しており、同国金融セクター近代化に向けた相乗効果が期
待される。
2)他ドナー等の援助活動
IMF は金融制度改革・法改正、銀行監督等にかかる技術協力を実施・検討しており、また、世銀
等も金融セクターのマスタープラン作成や公共財政管理支援等を検討中であるが、現地におけ
るドナー会合等の場を活用した情報交換を行い、双方の支援での重複実施の回避や連携強化
を図っている。
4.協力の枠組み
(1)協力概要
1)上位目標と指標:
ミャンマーにおける金融市場が近代化される。
【指標】
・資金・国債にかかる金融商品取引の多様性や回転率が向上する。
・CBM により資金・国債市場を通じた金融政策が実施される。
・業務システム導入に伴う金融取引のスピードが向上する。
2)プロジェクト目標と指標:
中央銀行業務 ICT システムが円滑に稼働・維持管理されるための環境が整備される。
【指標】
・銀行間資金取引のうち X%が業務システムを通じて実施される。
・国債取引のうち X%が業務システムを通じて実施される。
・業務システムが継続的かつ適切に維持管理される。
・システムエラーの発生に対する対応数及び迅速性が向上する。
3)成果
成果 1:業務システム導入に沿った資金・証券決済に必要な法規制・マニュアルが整備される。
成果 2:業務システムに沿って資金・証券決済を行うための市中銀行の能力が強化される。
成果 3:業務システムを適切に企画・運用・維持管理する能力が強化される。
成果 4:業務システム利用者が、IT を適切に活用できるよう必要な知識やスキルを身につける。
成果 5:CBM の会計システムが国際標準に沿って近代化される。
5.前提条件・外部条件 (リスク・コントロール)
(1)前提条件
業務システムの開発が計画通り開始される。業務システムの構築を含むミャンマー側の金融
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セクター近代化に向けた政策が変更されない。
(2)外部条件
①成果(アウトプット)達成のための外部条件:プロジェクト関係者が頻繁に異動しない。業務シス
テムの導入に必要な法規制の改正に関し、ミャンマー側関係者が適切に意思決定する。市中銀
行を含む関係者が、業務システム導入に伴う業務・制度の変更に反対しない。
②プロジェクト目標達成のための外部条件:業務システムが計画通りに開発完了する。業務シス
テムの運用・維持管理にかかる予算と人員が十分に確保される。
③上位目標達成のための外部条件:業務システムの運用・維持管理にかかる予算と人員が十分
に確保される。
6.評価結果
本事業は、ミャンマー国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、ま
た計画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。
7.過去の類似案件の教訓と本事業への活用
(1)類似案件の評価結果
ベトナムの税関分野において、現在無償資金協力による IT システム構築と技術協力プロジェク
トによる人材育成や体制整備支援を一体的に実施している。特にシステム開発にあたっては、シ
ステムにおいて求められる要件と照らし合わせつつ、想定される業務フローや法規程の見直しを
一体的に検討・実施していく必要があるほか、設計から開発、テストまでのシステム構築の工程や
進捗に応じた環境整備が必要となる。
(2)本事業への教訓
本事業においても、無償資金協力によるシステム構築の進捗状況を見極めつつ、タイムリーに
必要な人材育成や体制整備が図れるように、関係者間での定期的な会合等情報共有を密に行う
とともに、柔軟な活動・投入を展開することとする。
8.今後の評価計画
(1)今後の評価に用いる主な指標
4.(1)のとおり。
(2)今後の評価計画
事業開始 3 ヶ月
ベースライン調査
事業終了 3 年後
事後評価
以 上
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