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エ学を志す人の 線形代数

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エ学を志す人の 線形代数
を志 す人の
阿部吉弘・ 伊 藤 博・ 酒 井政美
長 宗雄・ 永野典彦・ 堀 口正 之
矢島幸信・ 山崎丈明
東 京 教 学 社
この本で取 り上 げる話題 のひ とつ の最 も素朴 な形 は
_:IIて
;:_:
の ような ,連 立方程式であ る .こ の ような連立方程式は ,す でに 中学校以来お な じみの
ように ,1つ の未知数 を消去す ることによって解 を求めるこ とがで きる。すなわ ち
,第 1
の式 を 4倍 したものか ら,第 2の 式 を √ 倍 した もの を引けば πだけの が
式 残 り,解 を求
め ることがで きる。この とき,"の 係数 と して現れ るもの ,す なわち 2× 4-(―
:)× √
か ら行 列式の発見 につ なが った ,と い うのであれば話はわか りやすいので あ るが
,歴 史
は必 ず しもこの ようには展開 しなか った .た だ ,和 算
(西 洋数学の 影響 を受 ける以前の
日本で独 自の発展 を とげた数芸 をこうよぶ )の 歴史 の 中で ,関 孝和
(1642?-1708)が 行
列式 を見 出 した経緯は ,連 立方程式 の取 り扱 いの 中か らだ った らしい .関 孝和 の行列式
の発見は ,そ の 西洋数 学 の 中で の発見者 とされ るライプニ ッッ
(1646-1716)に 先んず
るとして ,和 算史 の 中でのひ とつ の誇 らしい挿話 とな っている。 しか し
,ラ イ プニ ッッ
を行列 式 の第 一発見者 とす ることは ,例 えその端緒 が著書 の 中 にほの めか されている と
はいえ ,疑 間視 されてい る (ブ ル バ キ (村 田全訳
),数 学史 77頁 ).実 際 には ,解 析幾何
を研究す る 中で座標 変換 の ようなこ とか ら,ク ラメール
ベ ズー
(1704-1752)や
1783)な
(1739-
どによって 導入 され ,コ ー シー (1789-1857),ヤ コ ビ
(1804-1851)に よ っ
て ,少 な くとも ,こ の本で解説する程度 にまでは発展 させ られた。
また数学的なあ る対象の集 ま りが線 形的か どうか とい う問いかけの仕方 も
,歴 史的 に
は連立 1次 方程式 系 の解 の空 間 につ いてでは な く,む ろあ る種 の 微分方程式の
し
解 の空
間 の あ り方か ら導入 された とい う方が事実 に近 い だろ う。
いわば ,連 立 1次 方程 式 自体 は順次 未知数 を消去 してい きさえ すれば
,解 ける (あ る
い は解 けない ことの判 定 が つ く)と い うこ とで ,こ れ 自体 を目的 に
研究 す るとい うこ と
はほ とん どなか ったように見 える。
しか し,現 在では多少状況は異な ってい る.工 学 な どの実用上では大
きなサ イズの連
立 1次 方程式 を ,可 能 な らば ,具 体的 に解 けることが望 ま しい し
,近 年 の計算機 の発達
によ り,実 際 に望み もでて きた。この場合はいかに効率的に解 くか
ということも時間 ,費
用 の 面 か ら重 要 に な り,こ の方向の研究 もい まや数多 くあ る .ま た情 報通信の分
野では
スカラー の 区域 を有限体 とよばれ るものに取 り替 えるのでは
あ るが ,行 列や行列 式 の理
論的側 面 を駆使 してい る。
この ような時代 にふ さわ しぃ教科書 と して本書が読者の役 に立つ
こ とを願 つてい る。
,
200o年
9月
著
者
目 次
行列
1
2
3
3
行列 とそ の 和 ・ ス カ ラー 倍
行 列 の積 。… … … …
種 々 の 行 列 .… … …
3
.
5
.
8
1次 方程 式
行列 の 基本 変形 .:.… .… .… ..
階段行 列 へ の 変形 .… … … .… 00
行列 の 階数 ,標 準形 .… … … … 00
連 立 1次 方 程 式 の 解 法 。… … … ..
連 立 1次 方 程 式 の 解 と係 数行 列 の 階数
逆行列 .… .… … … … … … ・
行列の基本 変形 と連 立
1
2
3
4
5
6
0
行列式
1
2
3
4
5
6
7
8
.…
行 列式 の 性 質
行 列式 の 性 質
…
(1)…
(2)…
行 列式 の 乗 法性 .…
展 開公 式 .… … …
展 開公 式 の応 用 .…
.…
… ・…
0
19
22
26
28
36
… … … … …
44
… … … … ・
46
1次 独 立 と 1次 従 属 .…
:
38
49
53
57
… 。… ・
0
。… … … … … … … … ・・
行列 の 階数 ,正 則 性 との 関係 .… …
固有値 と固有 ベ ク トル (1)… … … 。
固有値 と固有 ベ ク トル (2)… … …
階数
.
.
.…
33
41
.
… … … … ・・
小行列 式 と行 列 の 階数 .… … … ..
行列 の 対 角化
16
… … … ,…
… … … … ..
固有値 と固有 ベ ク トル
1
2
3
4
5
6
13
33
)原 夕J 。。...・ ・・・・・・・・・・ 00・
行列 式 の 定義
13
… .… … … ・
0
57
60
62
65
68
69
目次
線形写像
1 ベ ク トル ...。 。e・ 00000000
2 ベ ク トル 空 間 。… .… .… ・ …
3 ベ ク トル 空 間 の 基底 と次元 。… …
75
線 形 写像 と 1次 変換 .… .… …
線形 写像 の 表 現行 列 .… .… …
複 素 ベ ク トル 空 間 と正 規 直交基底
83
4
5
6
7
8
75
78
80
.
86
92
96
.
直交変換 と直交行 列
.…
実対称行 列 と 2次 形 式
… … 。
.…
._.
100
正 規行列 と Jordanの 標 準 形
109
1
2
109
3
4
.… … … … ・ … ・ …
巾零行 列 。… .… .… ・ … …
Jordanの 標 準形 .....0。 ・・・
行 列 の 絶 対値 と不等式 。… .…
正 規行 列
112
115
123
G
`
工 学 へ の応 用
133
1 線形 システ ム と状態 方程 式 .… …
2 システ ムの 安 定性 .… … … …
3 線形計画 法 .… … … .… … `
4 2次 形 式 と固有値 .… … … ..
5 そ の他 の応 用 .… … … … …
133
付録
145
136
`
1
2
3
解答
138
142
144
付録 1: 階段行 列 の一 意性 .… … …
付録 2: 2次 03次 の 行 列式 と面 積 ・ 体積
付録 3: 多項 式 .… … … … … ・ …
.
145
146
149
151
土
早
弟
静
1
行列
1
行列 とその和 ・ スカ ラー 倍
数 を下 の よ うに長 方形 上 に並 べ て 括弧 で くくっ た もの を行 列 とい う
:
ヽ
、 ︲ ︲ ︲ ︲ ︲ ′ ノ
\
鴫%⋮ 嚇
′ ︲ ︲ ︲ ︲ ︲ l
=
22
2
・
α⋮ 晩
α
2.⋮ 喘
如α
/
ス
行列 にお い て ,横 の並び を行 といい ,縦 の並び を列 とい う.上 の行列 ス は ,行 が 鶴 個 ,列 が
η個あるので ,m tt η 列の行列 ,ま たは (鶴 ,η )行 列 とい う.行 列 ス の第 づ行 と第 J列 の交
わ りの位置 にある数 を ス の ,J)成 分 とい う。 ,プ )成 分 が αづ
Jで ある行列 を (atJ)と 書 く
(づ
例
.
(づ
α可=づ 2_プ でぁる とき,(4,5)行 列 ス =(α jJ)の 成分 を並 べ て 書 き表す と
1。 1。
3
1
5 2
1
l ︲ ︲ ︲ ︲ ′ ノ
3
・ 0
6
4
1
ヽ
2
・ ︲
7
4 1 4 H
・ ・
2
一
︲
5
3
8
0
1
\
/ 1
︲ ︲ ︲ ︲ l
〓
ス
となる
.
η 次元行 ベ ク トル ,(n,1)行 列 を 鶴 次元列 ベ ク トル といい ,こ れ らを総称
ベ
して数 ク トル とい う.特 に ,す べ ての成分 が 0の 数 ベ ク トル を零 ベ ク トル といい ,0と
か く・ (鶴 ,2)行 列 ス =(atJ)の 第 づ行 の成分 か らできる行 ベ ク トル を ス の第 づ行 ベ ク トル
といい,ス の第 ブ列 の成分 か らできる列 ベ ク トル を ス の第 ブ列 ベ ク トル とい う.た とえば
例 1の ス につい て ,第 3行 ベ ク トル は
(1,η )行 列 を
,
1。
(87654),
3
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