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Page 1 Page 2 圧密 ・応力緩和現象を利用 した 粒子状物質の力学特性
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圧密・応力緩和現象を利用した
粒子状物質の力学特性評価技術め開発
森 隆昌
図・本館
圧密・応力緩和現象を利用した
粒子状物質の力学特性評価技術の開発
2002年
森 隆昌
名古屋大学図書
匹汗聯匹
11378193
目次
第1章 序論
1.1 はじめに‥.
1
1.2 本論文の目的と構成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8
参考
第2章 圧密・緩和試験による穎粒の力学特性評価 一圧密領域の解析 2.1 緒言‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12
第3章 圧密・緩和試験による穎粒の力学特性評価 一緩和領域の解析 3.1 緒言‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30
3.2 実験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30
3.3 結果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥31
3.4
3.5 結言‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥45
参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥46
第 4章 プレス成形のためのスラリー及び穎粒の最適化
4.1
4.2 実験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥47
4.3 結果及び考察‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥58
4.4
参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥65
第5章 圧密・応力緩和試験の実験条件の最適化
5.1
●
1
第6章 粒子状物質の硬度評価法の開発
6.1 緒言‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥81
6、2 理論‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥83
6.3 実験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥84
6.4 結果及び考察‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥91
6.5 結言‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥107
使用記号‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥108
第7章
●●
11
第1章 序論
1.1 はじめに
1.1.1 圧密・緩和試験
物体に急に外力を加えて一定のひずみを保っておくとき,応力がその後の時
間の経過とともに減っていく現象を応力緩和,あるいは単に緩和という1).圧密・
緩和試験はこの物質の応力緩和挙動を測定し,物質の粘弾性,塑性といったレオ
ロジー特性を評価する手法のひとつである.これまで圧密・緩和試験は主に食品,
薬学,高分子等の分野で適用されてきた.食品の分野では,様々な食品の構造特
性を評価するために,応力緩和試験が行われている2)・3).例えばHaltonら2)は
生パンの応力に対する緩和時間の測定を行い,緩和時間が小麦粉の品質の評価を
定めるひとつの尺度となりうることを示した.薬学の分野においては,
Kawashimaら4)が医薬品原料粉末あるいは造粒物の圧縮成形性を評価するため
に,原末及び造粒物を所定の速度で圧縮した後,上杵を一定の位置に固定して上
杵にかかる応力の減衰(応力緩和)を測定することが行われている.その結果,
造粒物の方が原末に比べ緩和量が大きく,造粒物から作製した錠剤の方が引っ張
り強度が大きいことが報告されている。高分子の分野5)においては,非晶性ポリ
マーの応力緩和を実測することで得られた緩和弾性率から,緩和時間分布関数,
緩和スペクトルを求め,非晶性ポリマーの構造,物性の予測に利用している.本
論文では粒子充填層に圧密・緩和試験を適用し,上記のような従来の研究とは異
なった視点から圧密・応力緩和現象を解析することによって,ファインセラミッ
クスのプレス成形における穎粒評価法,および粒子状物質の硬度評価法を開発す
ることを目的としている.
1.1.2 プレス成形
L1.2.1 既往の研究
1
ファインセラミックス製造プロセスのひとつであるプレス成形は,生産性に
優れ,実質的な乾燥収縮がないことから,様々な大きさや形状の製品を精密に作
ることができ,最も幅広く行われている成形プロセスである6).Fig.1-1にプレ
ス成形の概要を示す.原料粉体は微粉であることから,金型への充填が困難であ
るため,プレス成形には一般に噴霧乾燥によって作製された穎粒が使用される.
この穎粒を金型中で圧密し成形体を作製し,焼結,仕上げ加工工程を経て最終製
品となる.構造材料セラミックスでは最終製品が高強度,高信頼性といった性能
を有するためには,焼結体は気孔や粗大粒子などの欠陥が少ないことが要求され
る.しかしながら,成形体に一度賦与された不均質性は後工程の焼結操作によっ
てさらに助長されるために,欠陥の少ない焼結体を得るためには,焼結前の成形
体が十分に均質・緻密であることが必要である7)・8).成形体の均質性・緻密性と
いった特性には,穎粒の力学特性が大きく影響を及ぼすために,穎粒の力学特性
評価手法の確立及び穎粒作製条件の最適化は,プレス成形において最も重要な課
題であると言える.穎粒の評価は従来より穎粒充填層を一定速度で圧密しその相
対密度変化を測定する連続圧密試験9)`13),あるいは個々の穎粒の強度を微小圧
縮試験機により測定する14)`17)等の方法で行われている.まず、微小圧縮試験に
おいては、形状が不規則な穎粒の測定結果がばらつくこと、あるいは実際の成形
時の頼粒充填層の圧密とは条件が異なることいった測定上の問題点がある.また,
連続圧密試験においても,微小圧縮試験においても,穎粒の評価項目は強度であ
り,強度の低い頼粒は潰れやすく,密度の高い成形体は低強度の穎粒から得られ
るとされてきた12)・13)・15)・16).Briscoeら12)は,頼粒の含有水分量に着目し,結合
剤にポリビニルアルコールを使用した穎粒は,穎粒中の含有水分量が大きいほど
穎粒強度が低下し,成形体密度が増加すると報告している.Walkerら13)は,穎
粒形状に着目し,中実球形の頼粒は,陥没頼粒に比べ穎粒密度が低く,穎粒強度
が低いことから,高密度な成形体が得られたと結論づけている.Kondoら15)及
びOkumotoら16)は,分散剤添加量に着目し,分散剤添加量の少ない穎粒から
強度の低い潰れやすい穎粒が得られると報告している.しかしながらこれらの評
価方法には成形体の均質性に関連する穎粒の評価項目は含まれておらず,プレス
成形のための穎粒評価法として十分であるとは言い難い.
したがって,プレス成形において最適な頼粒の設計指針を確立するためには,
2
まず成形体の均質性に関連する評価項目を含んだ新たな穎粒評価法を開発するこ
とが必要である.
1.1.2.2 本研究のねらい
成形体が均質であるためには,プレス成形時に全ての穎粒が圧密され,頼粒
としての痕跡が残っていないことが必要である.つまり,成形体内に未潰れの類
粒が残っているのかどうかが重要である.もし穎粒が塑性体であれば,成形圧よ
り高い降伏値を持つ穎粒は潰れ残り,欠陥の原因となると考えられる.一方穎粒
が完全粘性体であれば,十分時間をかければ,自重のみで成形体が均質になるま
で変形すると考えられる.そこで本研究では,成形体の均質性に関連する頼粒の
評価項目として,穎粒の変形・破壊挙動に着目し,この変形挙動の評価に穎粒充
填層の圧密・応力緩和試験を適用することを考えた.今ある物体に圧縮圧をかけ,
あるところでピストンを停止し,歪みを一定に保った場合を考えると,ある物体
が塑性体であれば,圧力はピストン停止と同時にゼロになる。それに対してある
物体が粘性体であれば,圧力はゼロになるまで徐々に減少していく.ある物体が
弾性体であれば,圧力はピストン停止後も保持され一定値を示す.したがって,
頼粒充填層を一定速度で圧密し,あるところでピストンを停止した場合,圧力と
時間の関係はF泌.1-2に示すようになると考えられる.つまり,圧密中に穎粒
の破壊が起これば,それは塑性緩和として表れ,穎粒がゆっくり変形するのであ
れば,それは粘性緩和として表れ,未潰れの穎粒が存在すれば,それは残留応力
(弾性)として表れると考えられる.以上のことから,穎粒充填層の圧密・応力
緩和試験を行えば,穎粒の変形・破壊挙動を推定することができ,成形体の均質
性を評価することが可能になると考えられる.
3
噴霧乾燥
マ'スラリー投入
原料粉体
+
媒液
・II・・
●II・・
分散剤
高温空気
結合剤
プレス成形
顧粒
成形体 焼結 焼結体
゜(製品)
ト■1■
●I・・・
Fig. 1 - 1 Schematic illustration of press forming process.
卵○
破壊
-
〔`出
緩和 e
変形
→
性 ⇔
弾性歪み
時間
Fig. 1-2 Principle of the compression and stress relaxation test.
4
1.1.3 粒子状物質の硬度評価
1.1.3.1 硬度評価の現状
研磨は製品の仕上げ,光沢の付与等において重要な工程であり,使用される
研磨材の重要な特性として硬度があげられる.現在使用されている代表的な硬度
の定義としてはモース硬度,ブリネル硬度,ヌープ硬度,ビッカース硬度,ロッ
クウエル硬度,ショア硬度18)などがあげられる.モース硬度は試験片を標準物
質で傷を付け,試験片に傷がついたかどうかを硬度の判定基準としている.ブリ
ネル硬度は球圧子を,ヌープ硬度,ビッカース硬度は四角錐ダイアモンド圧子を
試験片表面に押しつけ,加えた荷重と生じた永久くぼみの表面積とから硬度を決
定している.ロックウェル硬度は,圧子にダイヤモンド又は鋼球を用いて,試験
片に基準加重を加えてセットし,次に試験荷重をかけ,再び基準荷重に戻したと
きの,前後2回の基準荷重におけるくぼみ深さから硬度を決定している.ショ
ア硬度は,先端にダイヤモンドを埋め込んだ一定の重さと形状を持つ鋼製ハンマ
ーを,一定の高さから試験片に向けて自由落下させ,その跳ね上がり高さから硬
度を決定している.したがって,これらの方法ではある程度の大きさを持ったバ
ルク体物質でしか硬度を測定することができない.しかしながら近年,工作物の
難削化,加工精度や加工能率の向上への要求の高まりに加え,資源の枯渇の問題
等から,天然砥粒は人工砥粒によって大幅に代替されている19)・2o).人工砥粒の
なかにはバルク体を粉砕整粒するのではなく,合成によって作製されたものがあ
る.例えば人エダイヤモンドは炭素にNiやGeを触媒として混ぜ,超高圧装置
に入れて7万気圧下で1500℃に加熱して合成される21).このような高温高圧技
術によって合成された砥粒の場合,バルク体の作製が困難で,上記のようなバル
ク体を対象とした硬度評価法を適用するのが難しい場合がある.したがって,粒
子状物質の硬度を直接測定することができる新たな硬度評価法の開発が求められ
ている.
1.1.3.2 本研究のねらい
5
硬度は材料の機械的性質の1つで古くから用いられているが,これを数量的
に表すことは困難であり,硬度自身には明確で統一的な定義を与えることが難し
い22)ために,前述のような様々な測定方法によって定義されている.これらの
測定法によって定義される硬度は,材料の引っかきや永久変形に対する抵抗を示
しおり,材料の塑性,弾性と関連した特性である.しかしながら,粒子状物質の
塑性変形をバルク体と同様に評価するのは,粒子径が小さくなれば非常に困難に
なる.
一方,F泌.1-323)及びF原.1-424)に示すように,種々のセラミックス材料及び
ガラスにおいては,ビッカース硬度とヤング率とがよい相関を示すことが報告さ
れている.ヤング率は物質の弾性変形のしにくさを表す指標であることから,物
質の弾性特性と従来の評価方法で求めた硬度と良い相関があることを示している.
そこで本研究では,粒子状物質の硬度の指標として粒子の弾性変形のしにく
さに着目し,Fig.1-5に示す粒子充填層の圧密・応力緩和試験から粒子の弾性変
形のしにくさを評価することを考えた.一般に粒子充填層を圧縮する場合,粒子
間には摩擦力が作用しているために,その摩擦力をこえる力が充填層にかかるま
では粒子は再配列することができず,粒子は接触点で弾性変形すると考えられる.
つまり,F泌.1-5に示した圧密開始直後の比例領域は,粒子の弾性変形によるも
のと考えられる.すなわち弾性変形しにくい粒子の場合,比例領域の傾きは大き
くなり,逆に弾性変形しやすい粒子では,比例領域の傾きは小さくなると考えら
れる.以上のことから,粒子充填層の圧密.緩和試験を行い,圧密比例領域の解
析を行うことで,粒子状物質の弾性変形のしにくさを評価することができ,新た
な粒子状物質の硬度評価法を確立できるものと考えられる.
6
30
即 加
(g{))S
0
E(GPa)
Fig.1-323)Relationship between vickers hardness and Young modulus on various
ceramics and glass.
恥 ㈲
卿腎KI々、'り
1 1
ぷQ`、'`'吻ーK-々かμ
加
逗2ooo
500
0
100
ヤング率£/GPa
Fig.1-424)Relationship between vickers hardness and Young modulus on ceramics
materials.
R出
時間
Fig.1-5 Schematic illustration of a compression and stress relaxation curve.
7
1.2 本論文の目的と構成
本論文では,ファインセラミックスのプレス成形において,成形体の均質性
についても言及することができる新たな類粒評価法を開発すること,さらに粒子
状物質の硬度を直接測定することができる新たな硬度評価手法を開発することの
二つを目的としている.以下に各章の内容を簡単に紹介する.
「第1章 序論」
本研究の背景,本論文の目的と構成について述べる.
「第2章 圧密・緩和法C
こよる噴霧乾燥穎粒の力学特性評価
一圧密領域の解析-」
成形体の均質性について言及することができる新たな穎粒の力学特性評価法を
開発することを目的として,穎粒の変形・破壊挙動を識別することが重要である
という観点から,穎粒充填層の圧密・緩和試験を行い,圧密領域の解析を行った.
圧密時の比例領域に着目し,分散剤添加量及び結合剤添加量による穎粒の変形・
破壊挙動の識別を行った.また,圧密・緩和試験により得られる圧密曲線と,従
来の穎粒評価法のひとつである連続圧密試験結果との比較も行った.
「第3章 圧密・緩和法による噴霧乾燥穎粒の力学特性評価
一緩和領域の解析-」
第2章に引き続き,穎粒充填層の圧密・緩和試験を行い,緩和領域の解析か
ら穎粒の変形・破壊挙動の違いの識別を行った.緩和曲線を塑性,粘性,弾性の
3つに分けて解析することによって,分散剤添加量及び結合剤添加量による穎粒
の変形・破壊挙動の違いを評価した.また,穎粒充填層の応力緩和のメカニズム
についても検討を行った.
「第4章 プレス成形のためのスラリー及び穎粒の最適化」
第2章,第3章の結果をもとに,穎粒の変形・破壊挙動が成形体の均質性に
8
及ぼす影響を考察した.圧密・緩和試験の有効性を検証するために,焼結体の曲
げ試験を行い,焼結体の平均強度と穎粒充填層の応力緩和量との対応を検討した.
さらにスラリーの遠心圧密試験を行い,プレス成形のための最適スラリー設計指
針を検討した.
「第5章 圧密・緩和試験の実験条件の最適化」
第4章で,圧密・緩和試験により測定した粘性緩和量は,焼結体強度と良い
相関があり,圧密・緩和試験による穎粒の力学特性評価は有効であることが示さ
れたが,実験時間が従来法に比べ長いこと,粘性緩和量に及ぼす実験条件の影響
を十分検討していないことが課題として残っている.そこで,圧密速度,及び充
填層厚さが粘性緩和量に及ぼす影響を検討した.さらに圧密回数及び緩和時間を
短縮することで実験時間を大幅に短縮することを試みた.
「第6章 粒子状物質の硬度評価法の開発」
粒子状物質の新たな硬度評価法を開発することを目的として,粒子充填層の
圧密・緩和試験を行い,圧密時の比例領域の解析から新たな粒子状物質の硬度の
指標を決定する手法を提案した.粒子状物質の中には,様々な粒子径及び粒子形
状のものが存在することから,硬度評価に及ぼす粒子径及び粒子形状の影響を検
討した.さらに物性値が既知の数種類の物質を用いて,実験で求めた硬度と物性
値との比較を行い,提案した硬度評価法の有効性を検証した.
「第7章 結論」
本論文の結論を各章ごとに述べる.
9
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11
第2章 圧密・緩和試験による穎粒の力学特性評価
一圧密領域の解析-1)
2.1 緒言
ファインセラミックス製造プロセスにおいて,成形体に一度賦与された不均質
性は後工程の焼結操作によってさらに助長されるため,製品の高強度・高信頼性
を実現するためには,均質・緻密な成形体を作製することがキーテクノロジーと
なる.そのため汎用の金型プレス成形においては,原料となる頼粒の特性を的確
に評価することが求められている.穎粒の評価は従来より穎粒充填層を一定速度
で圧密しその相対密度変化を測定する連続圧密試験2)`4),あるいは個々の穎粒
の強度を微小圧縮試験機により測定する5)・6)等の方法で行われている.しかしな
がら,連続圧密試験においては最終充填率、あるいは線図の変曲点で定義される
顕粒強度を様々な調製条件で作製した穎粒間で比較する研究が主であり、成形体
の均質性に関する評価項目が含まれていない.また、微小圧縮試験においては、
形状が不規則な穎粒の評価が困難であること、実際の成形時の穎粒充填層の圧密
とは条件が異なるといった問題点がある.
プレス成形において、穎粒は変形・破壊を繰り返して圧密されていくため、今
まで評価の対象とされてきた穎粒の形状や強度のみならず,その変形・破壊挙動
の違いによっても最終的な成形体の密度および均質性が異なってくる,すなわち
ある特定の変形・破壊挙動と成形体の均質性は強く相関していると考えられる.
したがって,穎粒の評価においては,その変形・破壊機構の違いを識別し,成形
体の均質性との関連を明らかにすることは意義のあることと考えられる.そこで
本研究では頼粒充填層に圧密・圧密停止操作を繰り返し行い,得られた圧密・応
力緩和曲線の解析から穎粒の変形・破壊挙動を識別する新たな願粒評価法を開発
することを目的としている.
本報ではまず圧密過程に着目し,穎粒の変形・破壊挙動との対応を考察した結
果を報告する.また従来から行われている連続圧密試験を行い,圧密・緩和法と
12
の比較を行った結果についても報告する.
2.2 実験
2.2.1 穎粒の作製
実験は結合剤の有無の影響を見ること,結合剤の種類,添加量の影響を見るこ
とを目的として系I,系Hの二つの系で行った.系Iでは,原料粉体には易焼結
性アルミナ(住友化学工業製AES-11E,平均粒子径0.48μm)を使用した.分
散媒にはイオン交換水,分散剤にはポリアクリル酸アンモニウム塩(東亜合成化
学工業製,A-30SL)を,結合剤にはワックス系バインダ(中京油脂製,セルナ)
をそれぞれ使用し,分散剤,結合剤の濃度を変化させて4種類のスラリーを作
製した.スラリーの粒子濃度は体積濃度で35%で一定とした.Table2-1に系I
のスラリー調製条件の詳細を示す.スラリー調製は,イオン交換水に分散剤,結
合剤を添加した媒液455mlをアルミナポットに入れ,原料試料を所定濃度にな
るよう投入し,それを転動ボールミル(直径5mmのアルミナボール1500gを
使用,90rpm)により1h混合するという方法によった.次に調製したスラリー
をポンプにより小型スプレードライヤー(大川原化工機製,CL-8型)に送り込
み,循環加熱空気により噴霧乾燥して穎粒を作製した.
系Hでは,原料粉体には易焼結性アルミナ(昭和電工製,AL-160SG-3)を
使用した.分散媒にはイオン交換水を使用し,分散剤(ポリカルボン酸系)濃度
を重量濃度で0.5%で一定として,結合剤の種類,及び添加量を変化させて3種
類のスラリーを作製した.スラリーの粒子濃度は体積濃度で27%とした.
Table2-2に系Hのスラリー調製条件の詳細を示す.スラリー調製は,イオン交
換水に分散剤を添加した媒液2000mlをアルミナポットに入れ,原料試料を所
定濃度になるよう投入し,それを転動ボールミル(直径10mmと15mmのア
ルミナボールをそれぞれ1500gずつ使用,60rpm)により8h混合し,その後
結合剤を添加してさらに2h混合するという方法によった.次に調製したスラリ
ーをポンプにより小型スプレードライヤー(正栄工業製)に送り込み循環加熱空
気により噴霧乾燥して頼粒を作製した.作製した穎粒の浸液透光法7)による内
13
Table2- I Characteristics of prepared slurries and spray-dried granules (system l )
Dispersant conc.
Sslple[g/100gA1203]
Binder conc.
[g/100gA1203]
viscosity
[mPa・s]
Granule shape
●--一嘩皿-一皿--騨--一皿一嚇皿--蜘一軸-一陶--
G14
0.14
spherical and no dimpled
G24
0.24
irregular and dimpled
G60
0.60
G24B
0.24
3.20
Table 2-2 Characteristics of prepared slu
Dispersant conc.
SamPle
・-一一一----
[g/100gAI203]
皿-----一鯵-----------
Binder type
676
ilTegular and dimpled
69
irregular and dimpled
「es and spray-dried granules (system H )
viscosity
[mPa・s]
Granule shape
●-一慟----一軸-一軸--・-一陶-一陶皿-------一棒■
GI
0.5
polyvinyl alcohol
160
irregular and dimpled
815
irregular and dimpled
polyvinyl alcohol
G2
0.5
polyacrylates
polyethylene glyco1
G3
0.5
polyethylene glycol
3340
spherical and no dimpled
14
部構造観察結果をF泌.2-1に示す
2.2.2 圧密・緩和試験及び連続圧密試験
圧密・緩和試験及び連続圧密試験に用いた実験装置の概略をRg.2-2に示す.
作製した穎粒を45
63μmに整粒した後,内径16mmの金型に充填層厚さが
2mmとなるように充填した.これを圧密・緩和試験においては,1min圧密し
15minピストンを停止させるという操作を,圧力が90MPaとなるまで繰り返し,
連続圧密試験においては圧力が90MPaとなるまで圧密し続けた.その間の充填
層にかかる圧力とピストン変位を測定した.ピストン変位速度は0.1mm/min
で一定とした.
2.2.3 成形体内部構造観察
穎粒の変形・破壊機構を直接観察するために,任意の回数で圧密・緩和試験を
中断し,試験片を取り出して光学顕微鏡により観察した.試験片の内部構造観察
には,アルミナ(屈析率:1.77)と近い屈折率を持つ1-ブロモナフタレン(屈折
率:1.66;19.4℃)を使用し,浸液透光法7)によった.
2.3 結果及び考察
2.3.1 圧密・緩和試験及び連続圧密試験
系I,系Hの穎粒について,従来の連続圧密試験により評価した結果を
Fig.2-3(a),(b)に示す.いずれの穎粒においても,試験開始直後に一定圧力を示
しており,この領域でまず穎粒の再配列が発生し,その後充填層内に応力伝達線
が形成されると圧力が急上昇し,図の屈曲点以後は頼粒の変形・破壊が発生して
いると考えられる.図の屈曲点以後に穎粒の変形・破壊が始まることから,この
時の圧力に注目することにより穎粒の見かけ強度が評価でき2o4),系Iの頼粒
に比べ系Hの頼粒の方が見かけ強度が高いことが分かる.また,最終充填率は
15
(a)
(b)
50μm
)㈲cal micrographs of spray-dried granules (a)G14 and (b)G1
⑧
①
Standard mechanica1
testing machine
Sample
②③⑤⑦⑧⑨⑩
④ Punch
⑥Die
Spacer
Dial gauge
Data recorder
Computer system
④
⑦
Fig.2-2 Experimental apparatus used for the comPression and stress relaxation test.
17
(a)
100
10
1 1
吼
[s4}'一]Q』IS』4
0.01
0.001
0.25 0.3 0.35
0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65
Packing fraction [-]
(b)
100
10
【s4i】Q』IS』4
1
0.1
0.01
0.001
0.25 0.3
0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65
Packing fraction [-]
Fig.2-3 A series of data observed by the conventional compression test
(a)system l and(b)system H ・
18
G60が最も高くなっている.しかし,以上の評価からは穎粒の変形・破壊挙
動の違いを識別することは困難である.
次に圧密・緩和試験の結果の例として系Iの頼粒の結果をFig.2-4に示す.
この図は試験全体の概要を示すために緩和領域を省略し,圧密停止時と次の試験
回数の圧密開始時を直線で結んで表示したものである.ここで,各頼粒の圧密時
の圧力の上昇傾向及び比例領域の挙動を比較するためにF泌.2-5のような処理
を行った.まず,F泌.2-4において各試験回数の圧密開始点から応力時間曲線に
接線を引き,圧密開始点から接線が応力時間曲線から離れる点までの圧力の変化
量を玖,,また直線近似された領域を比例領域と呼ぶ.図の横軸を充填率に換算
し,試験回数1回目の緩和部分と試験回数2回目以降の各試験回数の比例領域
と緩和領域を取り除き残った部分(圧密領域とする)をつなぎ合わせる.この処
理によって,もし(n-1)回目の緩和量よりもn回目の比例領域の圧力の変化量
Pyの方が大きければ,圧密領域をつなぎ合わせた際のつなぎ目の形状はFig.2-5
のパターンAのようになり,逆の場合はパターンBのようになり,比例領域の
挙動の違いを評価できる.また,充填率の変化しない緩和部分を取り除くことに
よって,充填層にかけた圧力の充填率による変化を見ることができ,連続圧密試
験と圧力の上昇傾向を比較することができる.
連続圧密試験結果と圧密・緩和試験結果をRg.2-5にもとづいて処理した結
果との比較を,分散剤の量が最も少ないG14についてはF泌.2-6(a)に,結合剤
を含むG24BについてはFig.2-6(b)に,結合剤を多く含むG1については
F泌.2-6(c)にそれぞれ示す.G14(Fig.2-6(a))で圧力の上昇傾向を比較すると,
圧密・緩和試験結果の圧力の上昇傾向は充填率が0.45付近から連続圧密試験の
圧力の上昇傾向よりも大きくなっていることがわかる.したがってG14は緩和
過程を入れることによって充填層の構造がより圧密されにくくなっていると考え
られる.一方G24B(F泌.2-6(b)),G1(F泌.2-6(c))について見てみると,圧
密・緩和試験の圧力の上昇傾向はG24Bでは充填率が0.45付近から,G1は0.4
付近から連続圧密試験よりも小さくなっており,この傾向は結合剤の量の多い
G1の方がより顕著であると言える.したがって結合剤を添加した穎粒において
は,緩和過程を入れることによって連続で圧密するよりも圧密されやすくなり最
終充填率が大きくなると考えられる.また圧密・緩和試験のつなぎ目の形状に着
19
100
10
[s4}'一]Q』IS』4
1
0.1
0.01
0
2
4
6
8
10
Time[s]
12
(x103)
Fig.2-4 Compression and stress relaxation behavior of granules.
20
Qー{}認ls{
Time
Q㎞{″zS㎞《{
↓▼
l{″zS㎞`{
Packing fraction
Packing fraction
Fig.2‘5 Schematic illustration of compression and stress relaxation curve for analyzing
compression behavior.
21
(a)
㈱ 捕
【S{{}″'】Q』蕊S』{{
1
0.1
0.01
0.001
0.25 0.3
0.35 0.4 0.45 0.5
0.55 0.6 0.65
Packing fraction 【・1
(b)
㈱ 捕
【sa''】Q』ISぶ
1
0.1
0.01
0.001
0.25 0.3 0.35 0.4 0.45
0.5 0.55 0.6 0.65
Packing fraction 【-1
(c)
100
coφpres4ion
●
ーSーーーー
A
●
●
●
●
1
●
10
●
●●・・・・●・・・・S●●・●
●●●・・・
・●●
●●●・・・●
●
●&・
●●・S●●
鴨●●・■●
●
・■・
畢4■・●曝
●●●・●●
●
●
●
●
I
●
●
●
IIIIー
●
●
●
・・・
・・・・・・
●・■・●●●・・
:
:
;..
●●■●●●
・●・・
●・●
●■・●●●
・・・晋■・・
・・§・・
●・-・●・・
弓・
・・・■・・・・●
-・・墨・■
:
・4
:
:
・}・
;
・・・・・
ーーーーーー
:
:
―-Sーーー
--ーーー自
ー自ーーSー
ーーーゆ●―IIー
IIー1ーーーaー
}・ヽ
:
ーーーーーーーーー
・:・
-ーーーーー
自ーSIーーーーー
・㎜・・勉・・
:
:
:
:
:
●
ー●1-II一II
●
ーa--自ーー働I
・・・・・{-・・
や■4・・・・
:
●
IISIIーー自ー
0.01
`●
ーーSIIー
・4●
:
・・・㎜-・
:
●
0.1
;
;-:
ー自ーー自IIIー
-ーーー自ーーー
【S‘{}″一】Q』ヨS』{`
1
0.001
0.25 0j
0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65
Pack抽g fraction 【・]
Fig.2‘6 Comparison of the compression and stress relaxation test and conventional
comPression test (a)G14,(b)G24B and (c)G1.
22
目すると,分散剤の量の少ないG14はいずれの試験回数nにおいてもつなぎ目
の形状はパターンAで,(n-1)回目の緩和量よりもn回目の比例領域の圧力の変
化量Pyの方が大きくなっているが,結合剤を多く含むG1は試験回数が少ない
段階ではつなぎ目の形状はパターンBで,(n-1)回目の緩和量よりもn回目のR,
の方が小さくなるが,試験回数が多くなるとつなぎ目の形状がパターンAに移
行している.したがって結合剤の有無あるいは添加量によって,圧密・緩和試験
の比例領域の挙動にも違いが現れると言える.
Fig.2-7(a),(b)に系I,系Hの圧密・緩和試験結果をFig.2-5にもとづいて処
理した結果のみを示す.先に示したように緩和過程を含むことによって結合剤を
含まない穎粒は圧密されにくくなり,結合剤を含む穎粒は圧密されやすくなるこ
とから,G14,G24が圧力の上昇傾向が大きく,G1,G2,G3が圧力の上昇傾向が
低くなっており,圧密・緩和試験の圧密過程の評価と結合剤の有無が対応してい
ることがわかる.しかし連続圧密試験(F泌.2-3(a),(b))においては結合剤を含
まない穎粒G14と結合剤を含む穎粒G24B,G1とが同様の圧力の上昇傾向を示
しており,結合剤の有無に対応した評価結果にはなっていないことがわかる.
2.3.2 成形体内部構造観察
Figs.2-8,9,10に圧密・緩和試験を任意の回数で中断し,試験片を取り出して
浸液透光法により内部構造観察した結果の特徴的な例を示す.Rg.2-8は分散剤
の最も少ない穎粒G14,F泌.2-9は結合剤を含む穎粒G24B,F泌.2-10は結合
剤の添加量の多い穎粒G1について,各サンプルで充填率がほぼ等しくなるよう
な試験回数で観察を行ったものである.まず分散剤の量が最も少ないG14の場
合を見ると,穎粒は脆性的に破壊しており,徐々に細分化していく様子が見てと
れる.G24についてもこのG14と同様な破壊挙動が観察された.F泌.2-9で結
合剤を含むG24Bの場合を見ると,頼粒の端の部分がかけたり変形している様
子が見てとれるが,G14ほど脆性的に破壊し細分化してはいないことがわかる.
分散剤の添加量の多いG60についてもG24Bと同様の破壊挙動が観察された.
さらに結合剤を多く含むG1の場合をFig.2-10で見ると,穎粒は徐々に変形し
て圧密が進行しており破壊していないことが分かる.G2,G3についても同様の
23
(a)
100
10
I J
7Q}''】Q』器S』Q
0.01
0.001
0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65
Packing fraction [-]
(b)
100
10
[s4}'一]Q』IS』4
1
0.1
0.01
0.001
0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65
Packing fraction l-]
Fig.2-7 Compressive stress curve obtained from the compression and stress relaxation
test(a)system l and(b)system H .
24
(a)
(b)
磁鋸歯隨I`誼が顕然廓贈肖靉'`諒゛‘゜`  ̄詣脳I膨1'政皿艶゛゛鯉麗鏡“:
韻順順朧│
偕膳回諭類総言工頂言滉礁‘゛1 =日,・
::::::;.::;‘・;:・:‘`,屋:,1::、・::::::..・::::唐:
k懸諮距説 ク ⑤鸚結願………JSI`゛
逼諮鱈靉9ル謳鎧kT〕言鋲顛E賜 ・│詔……=皿===,箭………
胆言饗{}居座J''lミM魁│,馥
鸚談{諮§脂│゛゛……
漏憑頑謳11§饌{ミ瀧│,,││。│。,,.。,u謳
(c)
50μm
Fig.2-8 Structure of the compressed bed observed by the liquid immersion technique.
SamPles are G14 (a)n=4,(b)n=7 and(c)n=9.
25
(a)
(b)
(c)
50μm
Fig.2-9 Structure of the comPressed bed observed by the liquid immersion technique.
SamPles are G60 (a)n=4,(b)n=5 and(c)n=フ。
26
(a)
(b)
(c)
言謂謬説
50μm
Fig.2-10 Structure of the compressed bed observed by the liquid immersion technique
S amples are G 1 (a)n=4,(b)n=7 and(c)n=10.
27
変形挙動が観察された.したがって分散剤の量が少ない穎粒は脆性的に破壊しや
すく穎粒が細分化されるのに対して,分散剤の量を増やす,もしくは結合剤を添
加すると穎粒が破壊し細分化する度合いが少なくなり,さらに結合剤の添加量を
増加させると穎粒は破壊するのではなく,徐々に変形するようになることが分か
った.このようにFig.2-7(a),(b)に示した圧密・緩和試験の結果と同様に,結合
剤の有無により穎粒の変形・破壊挙動は異なることがわかり,圧密・緩和試験の
圧密領域の解析によって穎粒の変形・破壊挙動が識別できることが示された.
2.4 結言
高分子分散剤の添加量及び結合剤の種類,添加量を変化させたアルミナ頼粒を
使用し,穎粒充填層の圧密・緩和試験並びに連続圧密試験を行った結果,以下の
ことが明らかとなった.
1)圧密・緩和試験における圧力の上昇傾向,並びに比例領域の挙動には,従来
の連続圧密試験には見られなかった結合剤の有無に対応した変化が見られた.
2)圧密・緩和試験の圧密領域の解析に基づく頼粒の識別と試験片の内部構造観
察による穎粒の変形・破壊機構の識別とは良く対応していることが分かった.
28
参考文献
1)J.Tsubaki,T.Mori,T.Konishi,A.Tsuruta,H.Mori,T.Yokoyama and S. Matsubara,、/.
Ca回.釦・7.j叩回,107 1093-98(1999)[in Japanese].
2)P.R。Mort,R.Sabia,D.E.Niesz and R。 E.Riman,戸aw虎r 7g/z回/.,79,111-19
(1994).
3)R. L. K. Matsumoto, ヱAg.Ca回.釦c.73,465-68(1990).
4)B. J. Briscoe and N. 0zkan, 戸aw&r7'g/z回/.,90,195-203(1997).
5)N.Miyata,Y.lshida,T.Shiogai and Y.MatsuoヱG回m.&)c.、/叩回,103,1275-8(1995)
[in Japanese].
6)H. Kamiya, K. lsomura, G.Jimbo and J. Tsubaki,,/.Az77.Gm7z77.釦c。78,49-57
(1995).
7)K. Uematsu, M. Miyashita, J.-Y. Kim, Z. Kato and N. Uchida, j. Å謂.G77z謂.Sθc・, 74,
2170-74(1991).
29
第3章 圧密・緩和試験による穎粒の力学特性評価
一緩和領域の解析-1)
3.1 緒言
2章において,従来の穎粒評価法である連続圧密試験2)`4)及び微小圧縮試験
5)・6)に変わる新たな穎粒評価法として,穎粒充填層に圧密・圧密停止操作を繰り
返しその圧力変化を測定するという圧密・緩和試験を適用して,穎粒の変形・破
壊挙動を識別することを試みた.その結果,圧密・緩和試験により得られた圧密
過程の挙動を各穎粒間で比較した結果が,成形体内部構造観察から得られた穎粒
の変形・破壊挙動の違いと良く対応しており,圧密過程の解析によって穎粒の変
形・破壊挙動が的確に識別できることを報告した.そこで本章では2章で使用
したものと同様の穎粒を用いて圧密・緩和試験の緩和過程の解析を行い,成形体
内部構造観察から得られた頼粒の変形・破壊挙動との対応を検討し,緩和過程の
解析からも穎粒の変形・破壊挙動が的確に識別できるかを検証した.また,2章
における圧密・緩和法の圧密過程の解析結果7)との比較も行った.さらに穎粒の
変形・破壊挙動の違いが及ぼす成形体の均質性への影響についても考察を行った.
3.2 実験
3.2.1 穎粒の作製
実験は2章と同様に,結合剤の有無の影響を見ること,結合剤の種類,添加
量の影響を見ることを目的として系I,系Hの二つの系で行った.系I,系Hの
二つの系で行った。系Iでは,原料粉体には易焼結性アルミナ(住友化学工業製
AES-11E,平均粒子径O。48μm)を使用した.分散媒にはイオン交換水,分散
剤にはポリアクリル酸アンモニウム塩(東亜合成化学工業製,A-30SL)を,結
合剤にはワックス系バインダ(中京油脂製,セルナ)をそれぞれ使用し,分散剤,
30
結合剤の濃度を変化させて4種類のスラリーを作製した.スラリーの粒子濃度は
体積濃度で35%で一定とした.調製したスラリーを小型スプレードライヤー(大
川原化工機製,CL-8型)により噴霧乾燥して穎粒を作製した.
系Hでは,原料粉体には易焼結性アルミナ(昭和電工製,AL-160SG-3)を
使用した.分散媒にはイオン交換水を使用し,分散剤(ポリカルボン酸系)濃度
を重量濃度で0.5%で一定として,結合剤の種類,及び添加量を変化させて3種
類のスラリーを作製した.スラリーの粒子濃度は体積濃度で27%とした.調製
したスラリーを小型スプレードライヤー(正栄工業製)により噴霧乾燥して穎粒
を作製した.
3.2.2 圧密・緩和試験
作製した穎粒をふるいで45
63μmに整粒した後,内径16mmの金型に充
填層厚さが2mmとなるように充填した.これを材料試験機(今田製作所製,
SDW-2000型)を用いてピストン変位速度を0.1mm/minで一定として1min
圧密し,15minピストンを停止させるという操作を圧力が90MPaとなるまで繰
り返し,その間の充填層にかかる圧力とピストン変位を測定した.
3.2.3 成形体内部構造観察
穎粒の変形・破壊機構を直接観察するために,任意の回数で圧密・緩和試験
を中断し試験片を取り出して光学顕微鏡により観察した.試験片の内部構造観察
にはアルミナ(屈折率:1.77)と近い屈折率を持つ1-ブロモナフタレン(屈折
率:1.66;19.4℃)を使用し,浸液透光法8)によった.
3.3 結果
3.3.1圧密・緩和試験
圧密・緩和試験によって得られる試験結果の全体図については2章の結果の
31
部分に示してあるのでここでは省略した.Fig.3-1に1回の圧密,圧密停止操作
によって得られる圧力と時間の関係を模式的に示す.この圧密・応力緩和曲線の
緩和過程を,圧密停止後瞬時に低下する圧力Pn-P,(以後塑性とする),徐々に
緩和する圧力P,-P。(粘性),一定時間後にも充填層にかかっている圧力P。(弾
性)に分けてそれぞれの値が充填率とともにどのように変化していくのかを各穎
粒間で比較した.
系Iの穎粒において,圧密時にかけた圧力Pr,と塑性部分(PにP,)の比(Pド片)/PI=,
を各試験回数の圧密停止時の充填率に対してプロットしたものをFig.3-2に示
す.塑性部分の圧力の値は,各試験回数の圧密停止時に瞬時に低下した圧力の値
を読みとったものである.塑性部分の割合は最大でも0.12付近までしか上がら
ず全体的に割合が少ないが,分散剤の量の少ないG14は塑性部分の割合が大き
く,逆に分散剤の量の多いG60は塑性部分の割合が小さくなっている.また,
結合剤を含む系Hの穎粒はいずれも塑性部分が観察されなかった.
次に圧密時にかけた圧力Pnと粘性部分(P,-P。)の比(P,-P。)/PI,を各圧密時の充
填率に対してプロットしたものをFig.3-3に示す.粘性は圧密停止時の圧力P『
から,先の塑性(焉-P,)と圧密停止時から15min後に充填層にかかっている圧力
P。を引いた部分で,F泌3-1の曲線の部分に相当する.Rg3-3を見ると,先ほ
どの塑性部分とは対照的にG60が粘性部分の割合が大きくG14の方が小さくな
っている.またG1,G2,G3は粘性部分の割合が最大で0.7まで上がっており,
系Iの穎粒に比べ結合剤を多く含む系Hの穎粒は粘性部分の割合が大きいことが
分かる.また,実験した全ての穎粒において粘性部分の割合は,まず充填率とと
もに上昇してある充填率で最大値をとった後減少するという傾向があることが分
かる.
次に圧密時にかけた圧カPrと弾性部分P。の比P/Pr,を各圧密時の充填率に対
してプロットしたものをFig.3-4に示す.弾性部分の割合は全ての頼粒におい
てまず充填率とともに減少し最小値をとった後上昇している.さらに,弾性部分
の割合は系Hの穎粒の方が小さく,添加剤の量が最も少ないG14が最も大きく
なっている.弾性部分は圧密時にかけた圧力から塑性部分と粘性部分を引いたも
のであり,塑性部分が粘性部分に比べて小さいことから,粘性部分の充填率によ
る変化に応じて弾性部分の割合は変化することがわがる.
32
Com.
`t、.
-・ -
Relaxation
ヽ一 -
jk APlasticity
y
a{″認a{{
y、、 j k A
viscosity
p
rr j k j
e
j j
k
Elasticity
i
Time
Fig.3- 1 Schematic illustration of the characteristic compression and stress relaxation
CUrve.
33
0.14
0. 12
L--j
a^‘`^ジ'aら
1 8 6
. 0 0
0 ● ●
0 0
II・=11
1
0.04
0.02
0
0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6
Packing fraction [-]
Fig.3-2 Relation of the plastic relaxation (ら-ダ)/
34
0.7
0.6
7
0.5
11.=。j
虻
Q・,
・S・・
0.4
0.3
Q・,
W
0.2
0.1
0
0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65
Packing fraction [-]
Fig.3-3 Relation of the viscous relaxation (八一尽)/鳥to t
35
1
0.9
0 0
8 7
''t^^`J^
0.6
5 4
0 0
0.3
0.25
0.3
0.35
0.4
0.45
0.5 0.55
0.6 0.65
Packing fraction [-]
Fig.3-4 Relation of the elastic residue 尽/尽to the packing f
36
3.3.2 成形体内部構造観察
F泌s.3-5,6,7に圧密・緩和試験を任意の回数で中断し試験片を取り出して浸
液透光法により内部構造観察した結果の特徴的な例を示す.Fig.3-5は分散剤の
最も少ない穎粒G14,Rg。3-6は分散剤の量の多い穎粒G60,Rg.3-7は結合剤
を含む穎粒G1のついて,各サンプルで充填率がほぼ等しくなるような試験回数
で観察を行ったものである.2章でも述べたように,添加剤の量が少ないG14
は,穎粒が脆性的に破壊しており,徐々に細分化していることが分かる.添加剤
の量が多いG60は,穎粒の端の部分がかけたり変形していくことが分かる.さ
らに結合剤を多く含むG1は,穎粒が徐々に粘性的に変形して圧密が進行してお
り細分化していないことが分かる.したがって,分散剤の添加量,結合剤の有無
及び添加量によって圧密時の穎粒の変形・破壊挙動が異なることが確認された.
3.4 考察
3.4.1 緩和過程の解析と頼粒の変形・破壊挙動
F泌.3-8に系Hの穎粒の充填層の充填率と穎粒間空隙率との関係を示す.これ
は,穎粒内空隙率を水銀ポロシメータにより測定し,次式を用いて算出した結果
である.
(1-‰)(1-Ei)4-ε。
ここで,‰:頼粒間空隙率(-),Ei:穎粒内空隙率(-),ε。:穎粒充填層の空隙
率(-)である.Rg.3-8において穎粒間空隙率が26%のときが、穎粒を球と仮定
した場合の最密充填状態に相当する.また頼粒間空隙率が負の値をとるのは、穎
粒内空隙率が一定と仮定しているために、計算上は穎粒が重なっていることを表
している.Rg.3-3とRg.3-8の比較から,粘性部分の割合は穎粒が最密充填状
態となる充填率付近で最大値を取り,それ以降は充填率とともに減少しているこ
とが分かる.一方,F泌.3-4とRg.3-8の比較から,弾性部分の割合は頼粒が最
密充填状態となる充填率付近で最小値を取り,それ以降は充填率とともに増加し
ていることが分かる.まず,試験回数1,2回目の充填率が0.3付近の圧密,応力
37
(a)
(b)
………頌…………………'1E1;111t;諭剪│'忿斎朧疲‘:'I膝組:崇IIII liII`……§1°:゜・・..'::I`g'゛' ・饒
頭頂謳回,│・
惣箆鱗1鸚 言鸚座頭li゛゛.゛`│…………'・…
慾{§談偏│││゛slll
諭簸ミぬ尚尚詰llル11 = 肩ls………││…
EE翁路頭゛゛誼:肺E逞鵬E屋言ョ※丿言回:服:/:言剖
膳='jllつ爽,..'、11{胆1ルビミル聯賜鰹・………………
・,,膳‥ヽ,唐x,-・・・,・回・・・ヽj,,x・ぺ・ぺ・,・jヽ・,・│
回lm頌゜談m涼………'訟
韻語纏詣題N願§{∃kj ,,、│,,1
(c)
50μm
Fig.3-5 Structure of the compressed bed observed by the liquid immersion technique.
Samples are G14 (a)n=4,(b)n=7 and(c)n=9.
38
(a)
(b)
(c)
50μm
Fig.3-6 Structure of the compressed bed observed by the liquid immersion technique.
Samples are G60 (a)n=4,(b)n=5 and(c)n=7.
39
(a)
(b)
(c)
ブ胆願 │
50μm
Figふ6 Structure of the compressed bed observed by the liquid immersion technique.
Samples are G1 (a)n=4,(b)n=7 and(c)n=10.
40
CI osest packing °¨………………………
馨慟@e欄111-
.1……………1…………
●
ミ E
●
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●●●●●●●●●●●●●
●●幽●●●●●●●●●●●●●■■●●岫●●●●●●●
0.2
I一11111摯馨ー蓼馨馨―
:
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IIーーー1ー馨嚇ー
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●●●●●番●●●●●●
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●●●●●●●●●●●●●
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0.3
0.4
0.5
馨I鋤馨1鋤11個
-0.4
0.2
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III畠ーー11●馨働●I働-
摯1ーー1馨●ー慟ーーーーー曝-II
[‐」ao‘ts』一`3旨QiaarQ}a{
0.4
@慟@ーーーーー鋤-1慟馨噂―疆--
0.6
0.6
Packing fraction [-]
Fig.3-8 Relation of the intergranule void fraction to the packing fraction.
41
緩和のメカニズムを考える.(F泌.3-9中の(a))ここでは充填層の構成単位は穎
粒であり,粘性緩和は穎粒接触点の弾性エネルギーが穎粒の微少な再配列によっ
て解放され,圧力が徐々に低下したものと考えられる.弾性部分は穎粒接触点の
弾性エネルギーに帰因する圧力を示していると考えられる.この領域では充填率
が低く空隙が多く存在するため,頼粒は圧密時に再配列し,穎粒接触点には弾性
エネルギーが蓄えられにくい.したがってピストン停止後の穎粒の微少な再配列
は起こりにくく,試験回数1,2回目の粘性部分の割合は小さくなり,弾性部分の
割合は大きくなる.系Iの穎粒に比べ系Hの穎粒の方が粘性部分の値が大きいの
は,系Hの穎粒は結合剤を含んでいることから,結合剤が穎粒接触点での摩擦を
低減し,穎粒の微少な再配列を容易にしているためと考えられる.
次に充填率が0.3から0.5付近までの圧密,応力緩和のメカニズムを考える.
(F泌.3-9中の(b))ここでは穎粒の変形,破壊が発生しており,層内には穎粒
と一次粒子が混在しているが,応力は主に穎粒上を伝達することから,粘性緩和
は穎粒接触点の弾性エネルギーが,穎粒の微少な再配列あるいは穎粒の微少な変
形によって解放されたことを示していると考えられる.弾性部分は主には穎粒接
触点の弾性エネルギーに帰因する圧力を示していると考えられる.ゆえに頼粒が
最密充填状態となる充填率付近で,もっとも多くの穎粒接触点に弾性エネルギー
が蓄えられ,穎粒の微少な変形,再配列がもっとも多く発生し,粘性部分の割合
が最大,弾性部分の割合が最小になると考えられる.その後は圧密が進行するに
つれて,未変形の穎粒の数は減少していくため,ピストン停止時の穎粒の微少な
変形が少なくなり,粘性部分の割合は減少し,弾性部分の割合は増加する.また
この領域でも,系Iの穎粒に比べ系Hの穎粒の方が粘性部分の割合が大きい.こ
の原因の一つは,先の充填率が0.3付近の場合と同様に,系Hの穎粒に含まれる
結合剤が穎粒接触点の摩擦を低減し再配列を容易にしていることが考えられる.
さらに,穎粒接触点での微少な変形というのは,一次粒子が再配列することに相
当することから,結合剤が一次粒子間の摩擦を軽減し,穎粒の微少な変形を起こ
りやすくしていると考えられる.一方,系Iの穎粒のみに塑性部分が観察された
が,塑性部分は穎粒接触点の弾性エネルギーが,穎粒の破壊によって解放され,
圧力が瞬時に低下するという形で現れたと考えられる.従って,系Iの穎粒のみ
で穎粒の破壊が発生していることになる.塑性部分の割合は,粘性部分が最大と
42
Relaxation
Compression
(a)φ<0.3
- =-■-WW-==- -一 〃-======= ===
● ● ・ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
:::::i::::
● ● ● ● ● ● ● 畠 ● ● 畠 ●
● ● ● ● ● 働 ● ● ・ ● ● ●
一鎚一學幽----
gへ
-
41・・・
少・
/ \
Grahule
Priiary Partide
(b)0.3<φ<0.5
● ● ● 幽 ● ・ ● ● ● ● ● ● 噛
-■--------l
よ…
● ● ・ ● ● ● ● ● ● 寧 ● ●
♂ :、,' ゛.: ゆ. ::.'n
φ・
少・
゛'.' ・4
119aig9螢9gl
F
(Binder less granule)
● ● ● ● ● ● ・ ● ● 個 ● ● ●
-暉■-------
…七.
㎜一罪■働-----
41・・・・
少・
・---ヽ--・・ヽ一一一一一
‥ . ゛i-
「
● 1 ●●
J
響 冒
(Binder contained granule)
(c)φ>0.5
::::1i::::
││
φ・・
-一幽----■--
│
│
φ・・
Fig.3‘9 Schematic illustration of the compression and stress relaxation behavior of
granule bed.
43
なる充填率付近で最大となり,その後充填率とともに減少している.これは,粘
性部分の最大値は頼粒の最密充填状態付近の充填率で現れることから,もっとも
多くの穎粒接触点に弾性エネルギーが蓄えられるときに,もっとも多くの類粒が
破壊し塑性部分の割合は最大となり,その後は未破壊の穎粒の数が少なくなるた
め塑性部分の割合も減少すると考えらる.
最後に穎粒間空隙率がO以降の充填率が0.5以上の領域の圧密,応力緩和の
メカニズムを考える.(F泌.3-9中の(c))ここでは穎粒の変形,破壊はほぼ終了
し,充填層内の構成単位は一次粒子であると考えられる.したがって粘性緩和は,
一次粒子接触点の弾性エネルギーが一次粒子の微少な再配列によって解放された
ことを示していると考えられる.弾性部分は一次粒子接触点の弾性エネルギーに
帰因する圧力を示していると考えられる.この領域においても,結合剤を含む系
Hの穎粒の方が一次粒子の微少な再配列が起こりやすく,粘性部分の割合が大き
く,弾性部分の割合が小さくなっている.しかしながら,充填層内の空隙が少な
くなるために,最終的にはどのサンプルにおいても一次粒子の再配列は困難にな
り,粘性部分及び弾性部分の割合に差が見られなくる.
以上の緩和過程の解析と穎粒の変形・破壊機構との対応を見てみる.まず系I
の穎粒と系Hの穎粒とでは,系Iの頼粒のみ塑性部分が観察されることから,系
Iの穎粒では破壊が起こっているが,系Hの穎粒では破壊が起こっていないと推
定された.成形体の内部構造観察結果から,塑性部分の観察されないG1は破壊
している穎粒が見られない.また系Iの穎粒においてG14とG60を比較すると,
G14の方が塑性部分が大きく,粘性部分が小さくなっている.これはG60にお
いては,穎粒の破壊によって弾性エネルギーが解放される割合がG14に比べ減
少し,その分穎粒の変形によって応力が緩和していると考えられる.成形体の内
部構造観察からも,G14は穎粒が脆性的に破壊し細分化しているのに対して,G60
はG14ほど穎粒が細分化していないことがわかる.系Hの穎粒においては塑性
部分が観察されず,系Iの穎粒に比べ粘性部分の割合が大きくなっている.この
ことから系Hの穎粒においては,穎粒接触点の弾性エネルギーは穎粒の変形によ
って解放されたと考えられる.成形体の内部構造観察から,G1は穎粒は破壊せ
ず,穎粒の形状が変形していることがわかる.
したがって,圧密・緩和試験より評価した塑性,粘性の値の大小は,頼粒の
44
変形・破壊挙動と良く対応していると言える.また,前報7)の圧密・緩和試験の
圧密過程の解析において,結合剤を含まないG14は緩和過程をはさんで圧密す
ることにより,より圧密されにくくなり,圧力の上昇傾向が連続で圧密した場合
よりも大きくなるのに対して,結合剤を含むG1は緩和過程をはさむことでより
圧密されやすくなり,圧力の上昇傾向が小さくなるという違いが現れることを報
告しており,圧密過程,緩和過程のどちらからも結合剤の有無による穎粒の変形・
破壊挙動の違いを識別することができる.
3.5 結言
高分子分散剤の添加量及び結合剤の種類,添加量を変化させたアルミナ頼粒を
使用し,穎粒充填層の圧密・緩和試験を行い,その緩和領域の解析を行った結果
以下のことが明らかとなった.
1)高分子分散剤及び結合剤の添加量が増加すると,塑性部分の割合は減少し,
粘性部分の割合が増加する.
2)塑性部分の割合が大きく,粘性部分の割合が少ない穎粒は圧密時に脆性的に
破壊し細分化するのに対して,塑性部分が見られず粘性部分の割合が大きい穎粒
は徐々に粘性的に変形していき細分化しない.
3)圧密・緩和試験の圧密過程の解析,緩和領域の解析のどちらからも結合剤の
有無による穎粒の変形・破壊挙動の違いを的確に識別することができる.
45
参考文献
1)J.Tsubaki,T.Mori,T.Konishi,A.Tsuruta,H.Mori,T.Yokoyama and S. Matsubara, J.
Ceram. Soc. Japan, 107 1183-87(1999)[in Japanese].
2)P.R. Mort, R.Sabia,D.E.Niesz and R。 E.Riman,7)aw虎r7'Ec加a/。,79,111-19
(1994).
3)R.L.K.Matsumoto,,/.Az7z.Caαs.釦(・.73,465-68(1990).
4)B.J.Briscoe and N. 0zkan,?aw虎r7g加a/.,90,195-203(1997).
5)N. Miyata, Y. lshida, T.Shiogai and Y. Matsuo,ヱCa回.Sac. j叩a,103,1275-81
(1995)
[in Japanese].
6)H. Kamiya, K.lsomura,G. Jimbo and J. Tsubaki, J.Am.G7‘9z.Sac. 78, 49-57
(1995).
フリ.Tsubaki,T. Mori, T.Konishi,A.Tsuruta,H.Mori,T.Yokoyama and S. Matsubara,j.
Ca凹.釦c・ヽ/・印回,107 1093-98(1999)[in Japanese].
8)K. Uematsu, M.Miyashita,J.jY.Kim,Z.Kato and N. Uchida,、/.Å肖.Ca凹.釦c.,74,
2170-74(1991).
46
第4章 プレス成形のためのスラリーおよび
穎粒の最適化
4.1 緒言
セラミックスの大量生産のためには再現性のある経済的なプロセスが必要で
あり,その一つに一軸プレス成形があげられる.プレス成形において,穎粒は優
れた圧縮性を有している必要がある.すなわち出来る限り低い圧力で圧縮され高
密度の成形体になり,成形体内は欠陥がなく均質であることが求められる.穎粒
やスラリーの力学的,レオロジー的な特性を評価するために多くの研究がなされ
てきた1)`5).しかしながら,これらの研究からは,穎粒のどの特性が成形体の均
質性に影響を及ぼすかが明らかになっていない.したがって最終製品の品質向上
のためのスラリー設計においては,試行錯誤によって最適条件が決定されている.
2章及び3章6)・7)において我々は,圧密・緩和試験を用いた噴霧乾燥顕粒の新た
な評価方法を提案した.種々な条件で作製した穎粒を用いて実験を行った結果,
穎粒の圧密挙動は,塑性及び粘性変形で特微づけられることが分かった.また液
滴の収縮過程を考慮した頼粒形成モデルによって,スラリーの分散・凝集状態と
穎粒形状の関係を示すことができた8).噴霧乾燥の初期段階で,分散した粒子は
液滴内でネットワーク構造を形成し,ネットワーク構造の機械的強度が穎粒の形
状に強く影響する.穎粒形状を支配するスラリーの力学的特性は遠心圧密試験
9)・1o)を適用することによって評価できる.本章では穎粒形状および穎粒特性がプ
レス成形に及ぽす影響を明らかにし,均質で緻密な成形体を得るための穎粒およ
びスラリーの最適調製条件を求めることを目的とする。
4.2 実験
4.2.1 スラリー及び穎粒の作製
47
Rg.4-18)に粒子濃度を変化させた場合のスラリーの見かけ粘度と穎粒形状
の関係を示す.一般にスラリーの特性は見かけ粘度によって評価される場合
が多い.しかしながらF泌.4-1に示すように噴霧乾燥穎粒の形状は,必ずし
もスラリーの見かけ粘度から決定されるとは言えない.これらの頼粒は硝酸
によってpHを変化させ,粒子の分散・凝集状態を制御したアルミナスラリー
から作製したものである.この結果から,噴霧乾燥に用いるスラリーの最適
調製条件を得るためには,穎粒及び最終製品の特性に及ぼすスラリー調製条
件の影響を系統的に研究する必要があると考えられる.
本研究では,以前の研究6)`8)で用いたアルミナの中実球形の穎粒と,陥没穎
粒を実験に使用した.易焼結アルミナ(AL-160SG-3,平均粒径0.56μm,昭和
電工)を蒸留水に分散させ,アルミナポット,アルミナボールを用いて8hボ
ールミル解砕を行った後,3つのスラリーにはバインダーを添加しさらに2h
混合した.粒子濃度は27vo1%である。スラリー1は,分散剤としてポリカル
ボン酸を使用し,バインダーの種類及び添加量を変化させてスラリー特性を
変化させた.スラリー2は硝酸を用いてスラリー中の粒子の分散・凝集状態
を変化させた.調製したスラリーは10min真空脱泡し,298Kで回転粘度計
(visco-BL,トキメック)により見かけ粘度を測定した.調製したスラリー
の特性をTable4-1に示す.F泌.4-2に浸液透光法11)による穎粒の内部構造
観察の結果を示す.穎粒密度は水銀ポロシメータによる細孔径分布測定の結
果から算出した.
4.2.2 スラリー評価
スラリーの力学特性は遠心圧密試験9)によって評価した.遠心圧密試験は成
形体および噴霧乾燥穎粒に及ぼすスラリー特性の影響をスラリーの濃縮過程
をモニターすることで簡便に評価できる試験方法である.調製したスラリー
を試験管(ポリアクリル製,内径10mm)に初期高さ90mmまで投入し,卓
上遠心機で回転数を500rpmから3000rpmまで変化させて遠心圧密した.こ
れは試験管底部での遠心効果35から1260に相当する.回転軸から試験管底
部までの距離は125mmである.実験はまず500rpmで2h遠心圧密し,そ
48
105
25 vol%
が
1
30 vol%
\
0 0
1 1
3 2
7・s{{S]か78z7}回』saa昶
40 vol%
○
SOlids content
=20 vol%
101
4
4.5
5 5.5
6
6.5
7
Slurry pH [-]
Fig.4- 1 lnnuence of slurry pH on the apparent viscosity. Granule morphology, (
solid,(△)hollow,and(□)intermediate packing, was observed under optical microscope
using liquid immersion technique.
49
Table 4`I Characteristics of prepar
[Slu
・slu
「es and spray'dried granules.
「es-1]
Dispersant conc.
S皿lple[gふ)OgA1203]
● ●
Vlscoslty
Binder type
[mPa・s]
●-・--・-・・一陶一轡・・--・・---S軸--・一陶-・1
G1
0.5
polyvinyl alcoho1
160
polyvinyl alcohol
G2
0.5
815
polyacrylates
polyethylene glycol
G3
0.5
polyethylene glyco1
HN03conc. [mol/1]
Slurry pH [-]
l-■・----・・幽-・一馨・・-・--・・---・-一啼畠凰-l
響-----一陶幽-・----・-■■嘘
0.0706
G-P6
3340
0.0158
4.0
6.6
50
(a)
(b)
50μm
Fig.4-2 Typical granules prepared in the spray dryer : (a)27 vo1%solids,pH4;(b)27
vo1%solids,pH6.7.
51
の後回転数を500rpmずつ3000rpmまで増加させた.運転時間はそれぞれの
回転数で30minとした.遠心圧密終了後,遠心機から試験管を取り出し,ケ
ークの平均充填率を算出するためにケーク高さを測定した.形成されたネッ
トワーク構造の強度は,圧密応力と充填率の関係から求めた.Fig.4-3にスラ
リーt,2の遠心圧密応力と充填率の関係を示す.
4.2.3 穎粒評価
Fig.4-4に圧密・緩和試験の実験装置の概要を示す.作製した穎粒をふるい
で45-63μmに整粒し,内径16mmの金型に充填層厚さが2mmとなるよう
充填した.これを材料試験機でピストン変位速度を0.1mm/minとして,1min
圧密し,その後15minピストンを停止させた.この行程を圧力が90MPaと
なるまで繰り返した.TFig.4-5に圧密・緩和試験より得られた圧密応力と充填
率の関係を示す.圧密開始時の応力と初期充填率は穎粒の流動性を示してい
る.この圧密曲線は穎粒の変形挙動に関する多くの情報を得ることができる.
4.2.4 プレス成形と焼結
作製した穎粒を一軸プレス成形した後,100MPaで等方圧成形し,1873K
で3h焼結を行った.成形体の密度は水銀ポロしメータで測定した細孔径分布
測定から算出し,焼結体の密度はアルキメデス法で測定した.
4.2.5 焼結体強度の測定
得られた焼結体の4点曲げ試験を行った.曲げ試験はひとつのサンプルに
つき15個のテストピースを作製して行った.TI?ig.4-6七焼結体の平均曲げ強
度と焼結体密度の関係を示す.Table4-2に穎粒,成形体,焼結体密度と応力
緩和曲線から求めた粘性緩和率の最大値を示す.
52
0.6
0.55
[‐】か1凛}如丿七″'{{
0.5
0.45
0.4
0.35
0.3
0.25
0
0.1 0.2 0.3
0.4
Centrifugal consolidation stress [MPa]
Fig.4-3 Transient behavior of centrifugal consolidation process・ representing a relation
of centrifugal consolidation stress to packing fraction, which leads to the optimal
conditions for preparing slurries applied for spray‘dried granules.
53
士
Standard mechanical
testing machine
Sample
②③⑤⑦⑧⑨⑩
④Punch
⑥Die
Spacer
Dialgauge
Data recorder
Computer system
Fig.4-4 Experimental appぼatus used for observing comPressive behavior of granules by
applying the conventional comPression and stress relaxation method.
54
100
10
[s4タ一]Q』IS』Q
1
0.1
0.01
0.001
0.25
0.3 0.35 0.4
0.45
0.5 0.55 0.6 0.65
Packing fraction [-]
Fig.4゛5 A series of data observed for sample granules prepared from slurry'1,
representing time changes in compressive stress plotted as a function of the corresponding
packing fraction of the compact.
55
450
[sa、'一]ea回』}'aaiajaaiベ
(solid)
400
(solid)
350
● GI
▲ G2
◆ G3
300
(hollow)
0 G-P4
△ G-P6
250
3.85
3.9
3.95
Density of sintered bodies [g/cm3]
Fig.4-6 Four-point bending strength as a function of density of sintered body
56
Table 4-2 Characteristics of granules, compacts, and sintered bodies.
Sample Maximum value of Relative density Packing density Density of Bending
visco-elastic delormation of granule of compact sintered body strength
目 目 目 [g/cm3] [MPal
GI
0.647
0.518
0.533
3.87
276
G2
0.693
0.501
0.567
3.89
395
G3
0.647
0.503
0.596
3.92
418
G-P4
0.515
0.563
0.565
3.90
297
G-P6
0.424
0.508
0.558
3.91
378
57
4.3 結果及び考察
4.3.1 穎粒の特性
穎粒の圧密メカニズムを考察するために,それぞれの試験回数で応力緩和挙
動を解析した.Rg.4-7に典型的な圧密・応力緩和曲線の模式図を示す.圧密停
止直後の応力の急激な低下は塑性変形によるものと考えられる(塑性は(鳥-
P。)/鳥で表される).その後徐々に圧力が低下していくのは粘性変形によるもの
と考えられ(粘性は(P,-P。)/Pnで表される),緩和時間と残留した弾性応力
(P。/焉)で評価できる.圧密の初期段階においては,穎粒の再配列によって空
隙が埋められていく.さらに圧密が進行すると,残留応力が増加し穎粒の変形,
破壊が発生する.一般に穎粒の圧密は穎粒の塑性変形あるいは粘弾性変形によっ
て進行する.Fig.4-8に圧密が進行する様子を模式的に示す.塑性変形する穎粒
は穎粒強度に分布があり,成形圧よりも高い強度を持つ穎粒は潰れ残り,成形体
に破壊源として残ることが予想される.一方完全粘性願粒は成形圧が作用してい
なくても自重で最終状態まで圧密が進行すると考えられる.このことは穎粒の圧
密過程において,穎粒の粘性変形が重要な役割を果たしていることを示しており,
応力緩和挙動を観察することで評価できることがわかる6).そこで本報では穎粒
の圧密過程を支配する主要因である粘性変形による応力緩和に着目した.F泌.49に粘性緩和率の充填率による変化を示す.バインダを含まない穎粒はバインダ
を含む穎粒に比べ粘性変形の割合が低く,圧縮性に対するバインダの影響が強い
ことを示している.G3の粘性緩和率はG1,G2よりも大きく,その結果成形体
が高充填率に達していると考えられる.塑性変形,弾性変形による応力緩和過程
の詳細な評価方法は前報8)に示した.
4.3.2 曲げ強度と穎粒形状
T`able4-2の結果から,焼結体の密度はFig.4-9に示した粘性変形の割合にと
もなって増加し,高い平均曲げ強度を示した.ここでG-P4,G-P6は焼結体密
度の差がわずかにもかかわらず,両者の平均曲げ強度にははっきりと違いが見ら
58
Com.
Relaxation
`●,,,
-
'Sづl'
-I-ヽ s' ̄ ̄
゛W-- 畠
今I″lastlc
j ↓R,=,19v9tinn
----------ヽ---
Qー{″zSー{{
y j
viscous
Relaxation
。、.、
P 量″r j
、
k j k
e
j
Elastic
Residue
Time
Fig.4-7 Characteristics of the observed compression and stress relaxation curve.
59
Plastic 9ranules
Compression
GREEN BODY
ご一β』S)沙Ξ召£oと
GRANULES i
pressure
hetero9eneous
@ Pressi叫し-●
Fra9ile Compressed
@ご竺包‰-@
Stron9 Not
compressed
Stren9th of sin9le 9ranule
Complelelg uiscous 9ranules
GREEN BODY
dense
homo9eneous
t=cx)
Underthegravity
Fig.4-8 Comparison of plastic 皿d viscous granules, and their in!ages in products.
60
0.7
''‘a^^`^ジ'』ら芭‘“同゜゛゜』S8゛ぷ
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0.25 0.3
0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6
Packing fraction [-]
Fig.4-9 Transient behavior of relaxation stress stemming from viscous deformation
observed at each compaction level.
61
れる.この結果から,穎粒形状が中実球形であることが,焼結体の曲げ強度を増
加させることが分かった.F泌.4-10に穎粒密度と成形体密度の関係を示す.焼
結体強度が低かったG-P4は,成形体密度と穎粒密度がほぼ等しいことが分か
る.バインダを含む穎粒においても,穎粒密度と成形体密度の差が大きくなるの
にともなって,焼結体曲げ強度は増加している.Fig.4-10とTable4-2から,
成形体密度と頼粒密度がほぼ等しかったG1とG-P4は,圧密時に穎粒が完全に
は変形・破壊していないと考えられる.G-P6はG3と同じ穎粒形状であるにも
かかわらず成形体密度が低いのは,粘性変形による応力緩和量の違いの結果であ
ると考えられる.密度の高い穎粒(G-P4,G1)は,圧縮性を低下させ,焼結体
の曲げ強度が低下することが分かった.噴霧乾燥穎粒は密度分布が存在するため,
穎粒密度と成形体密度がほぼ等しくなるということは,成形体内に潰れ残った穎
粒が存在することを示している.このような成形体は不均質で,焼結体の曲げ強
度の減少を引き起こす.一方,低密度の穎粒は十分に圧密され,均質な成形体が
得られると考えられる.低密度の穎粒が,中実球形であることについては前報8)
で報告した.以上のことから,高強度の焼結体を得るためには,中実球形で粘性
変形による応力緩和量の大きい頼粒から成形体を作製すること,低密度で,穎粒
と成形体の密度差が大きくなるような穎粒から成形体を作製することが必要であ
ると言える.
4.3.3 穎粒形状の制御
中実球形の均質な穎粒を得るためのスラリー設計指針を確立することは重要
である.前報8)・12)において,穎粒形状はスラリー中の粒子の凝集・分散状態と密
接な関係があることを報告した.よく分散したスラリーから作製した穎粒は不規
則な形状でその多くが陥没しているが,凝集したスラリーから作製した穎粒は,
中実球形であった.一般にスラリーの凝集状態を表す指標として見かけ粘度が使
用されるが,X線によるスラリー中の凝集体径の測定結果と穎粒形状がよく対応
していた8)・12).この測定方法ではサンプルスラリーをおよそ10倍程度に希釈し
て使用するが,剪断による影響がなく,凝集体径は凝集の度合いを表す指標とし
て用いることができる.スラリー中の凝集構造の強度は遠心圧密試験によって評
62
0.6
j 吼 j
[‐]}Sa白oごoか‘S名uj七s4
0.45
0.5 0.55
0.6
Relative density of granule [-]
Fig.4'10 Relationship between packing density of compacts and relative density of
granules.
63
価することができる.F泌.4-3はスラリーの凝集状態は,遠心圧密後の堆積層の
最終充填率とよく対応していることを示している.これらの結果から中実球形の
穎粒が得られるスラリーは,遠心圧密後の充填率が低いことが分かる.これらの
スラリーは強く凝集しており,これが最適なスラリー調製条件であることを示し
ている.一方,最終充填率の高いスラリーからは高密度の陥没した頼粒が得られ
る.ゆえにスラリー調製においては,粘度が高く,圧縮性が低くなるように分散
剤添加量を調節する必要があると言える.噴霧乾燥穎粒のプレス成形プロセスは,
スラリーの濃縮,脱水,乾燥過程であると解釈することができる9).前報8)にお
いて液滴の収縮を考慮した穎粒形成過程を提案した.乾燥初期段階において,水
の蒸発にともない液滴径は減少し,穎粒のシェル構造が形成され,シェル表面で
蒸発が起こる.シェル内部に含まれる水が蒸発し,それにともなって粒子がシェ
ルの方へと移動する.このとき粒子の凝集が弱く粒子が液滴内を自由に動ける場
合は,粒子はシェル付近で高密度に充填される.その後シェル内部の圧力と外部
の圧力の差によってシェルの片側が内側に向かって崩れる.一方,粒子が強く凝
集していて水の移動が起こっても粒子が動きにくい場合は,凝集体が穎粒形成過
程において重要な役割を果たす.この結果凝集体が大きく動くことはなく,穎粒
表面は高い空隙率を持つ.したがってスラリー中の粒子の凝集が強ければ,液滴
の収縮による影響がなく,中実で高い空隙率を持った穎粒が得られると言える.
4.4 結言
プレス成形の最適条件を得るために,焼結体強度に及ぼす穎粒およびスラリ
ーの力学的な特性の影響を検討した.低密度の中実球形の穎粒は高い圧縮性を示
し,高強度の焼結体が得られることが分かった.穎粒形状はスラリー中の粒子の
凝集状態によって決定されることが分かった.遠心圧密試験はスラリーの凝集状
態を的確に評価することができ,その結果スラリー調製は,見かけ粘度が高く,
最終充填率が低くなるよう分散剤添加量を調整する必要があることが分かった.
成形体の均質性は穎粒の粘性特性と密接な関係があることが分かった.粘性変形
を促進させるためにバインダを添加した穎粒から均質な成形体が得られることが
分かった.穎粒の圧密特性は圧密・緩和試験から的確に評価することができ,最
64
適な穎粒の設計条件を確立することができる.
参考文献
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9)J. Tsubaki, H. Mori, M. Kato, K. 0kuda, Y. Yoshida and T. Yokoyama,“New Slurry
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65
10)M. Naito, Y. Fukuda, N. Yoshikawa, H. Kamiya and J. Tsubaki,“Optimization of
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66
第5章 圧密・応力緩和試験の実験条件の最適化1)
5.1 緒言
2,3,4章において,従来の穎粒評価法である連続圧密試験2)`4),及び微小圧縮
試験5)・6)に代わる新たな顕粒評価法として,圧密・緩和試験を提案し,その有効
性を検証してきた.その結果,結合剤を添加した穎粒と添加していない穎粒を作
製し,圧密・応力緩和試験を行ってきた.その結果,充填層にかけた圧縮応力と
ピストン停止後の粘性緩和量との比を各穎粒間で比較すると,結合剤を添加した
穎粒の方が,結合剤を添加していない穎粒よりも粘性緩和の割合が大きい傾向が
あることが分かった.この結果から,結合剤を添加した穎粒の方が粘性的に変形
していると考えられ,顕微鏡観察から得られた穎粒の変形挙動とよく一致してい
る.さらに圧密・応力緩和試験に用いた穎粒を同一条件で成形,焼成し,得られ
た焼結体の曲げ試験を行った結果,粘性緩和の割合の大きい穎粒から作製した焼
結体の方が,平均曲げ強度が大きいことが分かった.したがって,圧密・応力緩
和試験から穎粒の変形・破壊挙動の違いが識別できること,成形体の均質性が評
価できることが示されている.圧密・応力緩和試験は,従来高分子,薬学,食品
等の分野で用いられてきた.例えば薬学の分野においては,医薬品原料粉末ある
いは造粒物の圧縮成形性を評価するために,原末及び造粒物を所定の速度で圧縮
した後,上杵を一定の位置に固定して上杵にかかる応力の減衰(応力緩和)を測
定することが行われている7).その結果,造粒物の方が原末に比べ緩和圧力が大
きく,造粒物から作製した錠剤の方が引っ張り強度が大きいことが報告されてい
る.しかしながら,圧密・応力緩和試験を行うときの実験条件の影響については
十分検討されてはいない.
また,これまでの研究8)・9)・1o)においては,1つの穎粒を圧密・緩和試験で評価
するために数時間を必要としていた.これに対して,従来法である連続圧密試験
は高々20分程度で評価が可能で,実験時間だけを考えるならば,連続圧密試験
の方がよりよい評価法であるといえる.従って,圧密緩和試験を新たな穎粒評価
法として実用化するためには,応力緩和挙動に及ぼす実験条件の影響を検討する
67
こと,実験時間を短縮することが課題となる.そこで本報告では,まず圧密速度
に着目し,圧密速度を変化させて圧密・応力緩和試験を行い,緩和量がどのよう
に変化するかを検討した.また実験時間を短縮するために圧密回数を1回にして
圧密・応力緩和試験を行い,繰り返しの圧密・応力緩和試験との比較を行った.
さらに初期充填層の厚さが緩和率に及ぼす影響を検討した.
5.2 実験
5.2.1 穎粒の作製
原料粉体には易焼結性アルミナ(昭和電工製,AL-160SG-3)を使用した.
分散媒にはイオン交換水を使用し,分散剤(ポリカルボン酸系)濃度,結合剤の
種類,及び添加量を変化させて2種類のスラリーを作製した.スラリーの粒子
濃度は体積濃度で27%とした.次に調製したスラリーをスプレードライヤーに
送り込み噴霧乾燥して穎粒を作製した.噴霧乾燥条件はすべてのスラリーで同一
とした.スラリー調製条件の詳細及び得られた頼粒の形状をTable5-1に示す.
5.2.2 圧密・応力緩和試験
5.2.2.1 繰り返しの圧密・応力緩和試験
作製した穎粒をふるいで45
63μmに整粒した後,内径16mmの金型に充
填層厚さが2mmとなるように充填した.これを材料試験機(今田製作所製,
SDW-2000型)を用いて0.15mm圧密し,その後15minピストンを停止させ
るという操作を圧力が90MPaとなるまで繰り返し,その間の充填層にかかる圧
力とピストン変位を測定した.ここで圧密速度の影響を検討するために,ピスト
ン変位速度をO。04,0.14,1.2mm/minと3種類変化させて実験を行った.
68
Table 5-1 Characteristics of prepared slulTies and spray-dried granules.
Sample Dispersant conc.
Binder type
Granule shape
(g/100gA1203)
G16 0.40
spherical
polyetylene glycol
G3
0.50
polyacrylates
spherical
69
5.2.2.2 1回の圧密・応力緩和試験
実験時間を短縮するために,圧密回数を1回にすることを試みた.ピストン
変位速度を1.2mm/minとして,圧力が1MPaとなるまで圧密し,その後の緩
和率の経時変化を測定した.実験に使用した穎粒と穎粒の充填方法は繰り返し試
験(5.2.2.1)と同様である.
さらに緩和率に及ぼす充填層厚さの影響を検討するために,充填層厚さを2,4,
7mmと変化させて圧密・応力緩和試験を行った.ピストン変位速度を
1.2mm/minとして圧力が1MPaとなるまで圧密し,その後の緩和率の経時変
化を測定した.
5.3 結果及び考察
5.3.1 緩和率の圧密速度依存性
F泌.5-1に1回の圧密,圧密停止操作によって得られる圧力と時間の関係を模
式的に示す.この圧密・応力緩和曲線の緩和過程は,圧密停止後瞬時に低下する
圧力(以後塑性とする),徐々に緩和する圧力(粘性),一定時間後にも充填層に
かかっている圧力(弾性)に分けることができる9).塑性は穎粒接触点の弾性工
ネルギーが,穎粒の破壊によって解放されたことを,粘性は穎粒接触点の弾性エ
ネルギーが,穎粒の微少な再配列あるいは穎粒の微少な変形によって解放された
ことを,弾性は主には穎粒接触点の弾性エネルギーに帰因する圧力を示している
と考えられる9).ここで塑性の割合は他の粘性,弾性の値に比べ非常に小さく識
別しにくいため,塑性と粘性を合わせて緩和量とした.この緩和量をかけた圧力
で割った値を緩和率として評価に用いた.
F泌.5-2(a)に圧密速度を変化させた場合の緩和率の充填率による変化を示す.
Fig.5-2(b)は充填率が0.38付近で緩和率を比較した図である.いずれの穎粒に
おいても,圧密速度が速くなるにつれて緩和率も増加していることがわかる.そ
こで穎粒接触点の弾性変形をバネで,穎粒の再配列,変形をダッシュポットで模
擬したレオロジーモデルで,緩和率の圧密速度依存性を定性的に考えることにす
70
Com.
戸
p
→7T→
Relaxation
→
j
:Plastic Relaxation
k
k
y
Relaxation Ratio
9{'sa({
iscous Relaxation
作一焉
作
一
!
/)
/
jk
Elastic Residue
Time
Fig.5-1 Schematic illustration of the characteristic compression and stress relaxation
CUrve.
71
心G16 0.04mm/min
心G16 0.1mm/min
-ローG16 1.2mm/min
→-G3 0.04mm/min
一金-G3 0.1mm/min
-●-G31.2mm/min
0.8
匹
''‘‘`'`^
4 j
。^{'a^{‘゜1』g'}aj°″'
0
0.3
0.4
0.5
0.6
Packing fraction [-]
Fig.5-2(a)Dependency of the compression rate on the change of the relaxation ratio.
0.7
''‘。`'`^C'aら゜‘1』芭‘“a゛゛゜″'
0.6
0.5
0.4
0.01
0.1 1
10
Compression rate [mm/min]
Fig.5-2(b)Comparison of the relaxation ratios on the same packing fraction (φ=0.38).
72
る.今回の実験では残留応力が存在することを考慮してF泌.5-3に示す三要素
モデルを適用した.圧密速度が大きい場合は,圧密速度が小さい場合に比ベダッ
シュポットの抵抗が大きくなり,ダッシュポットの変位は小さくなり,その分バ
ネk2の変位が大きくなる.したがって圧密速度を大きくするほど,圧密過程で
バネk2に蓄えられる弾性エネルギーは増加し,変位を止めた後の応力緩和が大
きくなると考えられる.
したがって,圧密・応力緩和試験においては圧密速度が大きい方が,着目して
いる緩和率の値が大きくなり,穎粒の変形・破壊挙動の違いをより明確に評価で
きることが分かった.
5.3.2 圧密回数1回の圧密・緩和試験
圧密回数を1回にするに当たり,試験中は充填率の算出が困難であるために,
ピストン停止時の圧力を一定として圧密・応力緩和試験を行うことにした.圧力
の設定値は次のように決定した.Rg.5-2に示したように,いずれの頼粒も充填
率が0.35
0.40付近で緩和率は最大値を示している.また充填率と穎粒間空隙
率の関係をFig.5-4に示す.これは,穎粒内空隙率を水銀ポロシメータにより
測定し,次式を用いて算出した結果である.
(1-‰)(1-0付-ε。
ここで,‰:穎粒間空隙率(-),Ei:穎粒内空隙率(-),ε。:穎粒充填層の空隙
率(-)である.F汝.5-4を見ると,充填率が0.35
0.40付近で穎粒が最密充填状
態に達していることが分かる.つまり充填率が0.35
0.40付近で穎粒接触点に
もっとも多くの弾性エネルギーが蓄えられ,緩和率が最大になっていると考えら
れる.そこで願粒充填層を一定速度(1.2mm/min)で連続で圧密し,そのとき
の圧力と充填率の関係(Fig.5-5)から,充填率が0.35
0.40に達したときの
圧力を読みとり,設定圧力を1MPaとした.Rg.5-6に連続で1MPaまで圧密
した後の,緩和率の経時変化を示す.横軸の時間は,ピストン停止後の時間を示
している.繰り返しの圧密・緩和試験の結果(Fig.5-2)と同様に,圧密回数を
1回にしても緩和率の違いを的確に評価することができ,穎粒の変形・破壊挙動
の識別が可能であることが示された.また緩和時間を1分程度にまで短縮して
73
Fig.5-3 The three elements model used for explanation of the stress relaxation.
74
● ● ● ● I ● ● ● ● ● I ● ● I I ● ● ● ● I ● ● ● ● I ● 馨 ● ● I ● ● ● ●
■
● │ │ │ │ │
j j O j
0 0 J
[・】ao.}Qs』`11Q{Sas』s』Q}a{
ルG16
●-G3
レ几
喝
ヨー 憑夙●、 Closest Packing 一 一
一
一
-
羞 I ● ● │● ● 置 ● │.● ● ● │● ● ● ● │● I ● ● │● I I ● │● I ● 0.3
0.4 0.5
0.6
Packing fraction [-]
Fig.5-4 Relation of the intergranule void fraction to packing fraction.
75
100
[s4}'一]Q』IS』4
0.01
0.2
0.3 0.4
0.5
0.6
Packing fraction [-]
Fig.5-5 A series of data observed by the conventional compression test
76
1
Ils“s¬
・
L__』
{‘ヽ(4‐
一 Q {`
0.8
0.6
{{)o‘1』目‘}as{Q″{
0.4
0.2
0
1
10
100
Time[min]
Fig.5-6 The experimental results for the single compression and stress relaxation test.
77
も,緩和率の差は明確に現れることが分かった.
5.3.3 緩和率に及ぼす充填層厚さの影響
初期充填層厚さを2,4,7mmと変化させて圧力が1MPaとなるまで圧密し,
その後の緩和率を測定した結果をFig.5-7(a)に示す.Fig.5-7(b)はピストン停
止後8分の時の緩和率を比較した図である.G3,G16ともに緩和率は初期充填
層厚さの影響をほとんど受けておらず,ほぼ一定の値であることが分かる.一般
に充填層の厚さが増加すると,壁摩擦の影響が大きくなり,圧力が層底部まで伝
わりにくくなる.しかし緩和中は粒子が変位していないため壁摩擦の影響は現れ
ず,緩和率はほとんど変化しないものと考えられる.したがって,圧密・応力緩
和試験においては,任意の充填層厚さで実験を行えばよいことがわかった.
5.4 結言
結合剤の種類,添加量を変化させたアルミナ穎粒を使用し,圧密速度,圧密回
数,緩和時間,初期充填層厚さを変化させて穎粒充填層の圧密・応力緩和試験を
行った結果以下のことが明らかとなった.
1)圧密速度の増加にともなって穎粒充填層の緩和率は増加することが分かった.
したがって,圧密・応力緩和試験においては圧密速度が大きい方が頼粒の変形・
破壊挙動の違いをより明確に評価することができることが分かった.
2)圧密回数を1回にしても繰り返し試験と同等の評価が可能であり,実験時間
を大幅に短縮できることが示された.
3)緩和率は初期充填層厚さの影響を受けず,圧密・緩和試験の充填層厚さは任
意の値でよいことが分かった.
78
-o-G162mm
¬Q,- G16 4mm
-{コーG167mm
→-G32mm
-●-G34mm
-●-G37mm
0.8
r・爽¬
■
L__.j
j j j o
^'`^ジ'aら゜‘“認a°‘“a°'゜″'
100
10
1
Time[min]
Fig. 7(a)Dependency of the initial height of granule bed on the change of the relaxation
ratio.
L__.』
a.
6 5
0 0
r・--¬
●
3 2
0 0
`'`^ジ'aら゜‘“a自'“a°'゜″'
0.4
0.1
0
1
2
3 4 5 6
7
8
lnitial height [mm]
Fig.7(b)Comparison of the relaxation ratios on the same relaxation time (t=8 min)
79
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3)R. L. K. Matsumoto, ヱAg.Ca回.Sg・ , 73,465-68(1990).
4)B. J. Briscoe and N. 0zkan, /)りw虎r7ε油回/・,90,195-203(1997).
5)N. Miyata, Y. lshida, T. Shiogai and Y. Matsuo, j.CEra肖.5'g‥/卯回,103,1275-81
(1995)
[in Japanese].
6)H. Kamiya, K. lsomura, G. Jimbo and J. Tsubaki, ,/.Am.CEr回z.釦c. 78, 49-57
(1995).
7)Y. Kawashima, F. Cui, H. Takeuchi, T. Niwa, T. Hino and K. Kiuchi, ?旭n.
刄a・,12,1040-44(1995).
8)M. Peleg and J. F. Calza, 、/.Fa
欖d・,41,1325-29(1976).
9)J.Tsubaki,T.Mori,T.Konishi,A.Tsuruta and H. Mori,j.G四謂.Sθc‥/叩皿,107,
1093-98(1999)[in Japanese]
10)J. Tsubaki, T. Mori, T. Konishi, A. Tsuruta and H. Mori, ヱGπ回.釦c・ ,/αμa,107,
1183-87(1999)[in Japanese]
11)J.Tsubaki,H.Yamakawa,T.Mori and H. Mori,"Optimization of Granules and
Slurries for press forming,¨ヽ/θMmα/げ治どÅ琲どrjc皿C如7面cSθd哨',submitted.
80
第6章 粒子状物質の硬度評価法の開発1)
6.1 緒言
研磨は製品の仕上げ,光沢の付与等において重要な工程であり,使用される
研磨材の重要な特性として硬度があげられる.現在使用されている代表的な硬度
の定義としてはブリネル硬度やヌープ硬度,ビッカース硬度2)などがあげられる.
ブリネル硬度は球圧子を,ヌープ硬度,ビッカース硬度は四角錐ダイアモンド圧
子を試験片表面に押しつけ,加えた荷重と生じた永久くぼみの表面積とから硬度
を決定している.これらの方法ではある程度の大きさを持ったバルク体物質でし
か硬度を測定することができない.しかしながら近年,工作物の難削化,加工精
度や加工能率の向上への要求の高まりに加え,資源の枯渇の問題等から,天然砥
粒は人工砥粒によって大幅に代替されている3)・4).人工砥粒のなかにはバルク体
を粉砕整粒するのではなく,合成によって作製されたものがあり,バルク体の作
製が困難で,上記のような硬度評価が困難な場合がある.したがって,粒子状物
質の硬度を測定する新たな評価方法の開発が求められている.
そこで我々は,粒子状物質の硬度の指標として粒子の弾性変形のしにくさに
着目した.我々はこれまでにセラミック製造プロセスの一つである,プレス成形
法における穎粒の変形破壊機構を圧密応力緩和試験を行い解析してきた5)-8).
F泌.6-1に穎粒充填層に圧密,圧密停止操作を繰り返し行ったときの代表的な応
力と時間の関係を模式的に示す.圧密過程にはF聡.6-1に示すように,直線的
に圧力が増加する領域(比例領域とする)があり,その後応力ー時間曲線が折れ
曲がるという傾向が見られた.またN回目の圧密における比例領域の応力の増
加量は,N-j回目の緩和量とほぼ等しい値となった.応力緩和現象は圧密時に
粒子接触点に蓄えられた弾性歪みが粒子の微小な再配列によって解放されたこと
を示していると考えられる6).したがって,応力緩和後の充填層を圧縮すると,
充填層が降伏するまで粒子接触点に弾性エネルギーが蓄えられることになる.つ
まり比例領域は充填層内の各粒子の弾性変形によるものと考えられる.
そこで本研究では,比例領域の解析から,粒子の弾性変形のしにくさを求め,新
81
町.
と{}zza`{
馬
ro
ら
Time
Fig.6- 1 Schematic illustration of the characteristic compression and
stress relaxation curve.
82
たな粒子状物質の硬度評価法を確立することを目的とした.本報では,まず同一
材料で,粒子の接触状態に影響を及ぼすと考えられる,粒子形状と粒径を変化さ
せて解析を行い,この評価法の有効性を検証した.さらに,ヤング率及びポアソ
ン比が既知の3種類の物質を用いて,圧密・緩和試験から求めた定数ん'の値と
定義式に物性値を代入して求めた定数た'の値とを比較,検討した.
6.2 理論
6.2.1 比例領域における単一粒子の歪みの変化量
Fig.6-1の中の比例領域における充填層の変位量A/7は、ピストンを一定速度
vで圧縮していることから次のようになる.
M/゜゛(り-4))(1)
試験開始時の層高を祐とするとヽ歪みAyは次式で与えられる.
△y 'yy ̄yo ̄
竺
(2)
凡
充填層内が均一で、全粒子が一様に変形すると考えると、単一粒子の歪みは充填
層の歪みと等しく次式で求められる.
Ay°
M/
-
凡
ここで,Aδは単一粒子の変形量,
Aδ
£)
(3)
Z)は粒子の直径である.
6.2.2 一接触点に作用する力
空隙率εの粉体層に作用する応力
・ま、粉体層が直径£)の球粒子によりランダ
ムに構成されているとすると、接触点に作用する力戸と次のRumpf式1o)によっ
て関係づけられる.ここでは簡単のために,接触点に作用する力は圧縮方向の力
で代表させた.
1-ε
(7・=
π
吊
(4)
83
`?゛
Q-
`「
こ
でMま配位数であり亙で近似できると仮定するとEq.(4)は次のようになる.
ε
1-ε戸
(y=
--
ε £)2
(5)
戸= c-Z)2(y (6)
1-ε
よってヽ各試験回数の圧密開始時の接触点に作用する力を尽ヽ各試験回数の比
例領域終点の接触点に作用する力をぢとすると,比例領域中の粒子接触点に作
用する力の増加量∠り)は次式で求められる.
A7)=ぢ一尽=尚が((y,-(yo)(7)
ここで(yoは圧密開始時の充填層にかかる応力・町は比例領域終点の充填層にか
かる応力である.
6.2.3 粒子状物質の硬度の指標
6.2.1及び6.2.2で求めた比例領域中の粒子の歪みと粒子接触点にかかる力を
用いて,粒子の弾性変形のしにくさを表す指標馬を以下のように定義した.
7/=竺(8)
″△y
馬は,粒子がある弾性歪みを得るために必要な力を表しており,
馬が大きい粒
子ほど弾性変形しにくいことを示している.
6.3 実験
6.3.1 試料
試料はバリウムチタネートガラスで,球形の試験用粉体ガラスビーズ
(JISZ8901)と不規則形状ガラスパウダー(ユニオン)を用いた.
球形のガラスビーズは粒径が20,30,40μmのものを用いた.試料名をそれぞれ
84
GBM20,GBM30,GBM40とした.F泌.6-2にGBM20,GBM30,GBM40の
顕微鏡写真を示す.
不規則形状のガラスパウダーは平均粒径が39.9μmであった.これを目開き
25μm, 38μm, 45μmのふるいを用い分級した.-38十25μmの粒子は平均粒径
が31.5μmであることからGPM31, -45十38μmの粒子は平均粒径が41.5μmで
あることからGPM41とした.Fig.6-3にGPM31,GPM41の顕微鏡写真を示
す.
形状の影響をさらに詳しく見るために,不規則形状ガラスパウダー100gと径
2mmのアルミナボール150gを1000m1のポットに投入し,回転数45rpmで
40時間,ボールミル解砕を行った.その後超音波浴槽内で25μmのふるい上で
洗浄し乾燥した.これを目開き25μm, 38μm, 45μmのふるいを用い分級した.
-38十25μmの粒子は平均粒径が31.5μmであることからGPM31B, -45十38μm
の粒子は平均粒径が41.5μmであることからGPM41Bとした.Fig.6-4に
GPM31B,GPM41Bの顕微鏡写真を示す.
6.3.2 充填方法
Fig.6-5に実験装置の概略を示す.試料を金型(内径16mm層高2mm)に63μ
mふるいを通し充填し,鉄製の定規ですり切りを行った.これをピストン変位速
度0.045mm/minとし20s圧密したところ,圧密中にF泌.6-6(a)のような応力
が突然低下する現象が見られた.これは充填層内の粒子が不均質に充填されてお
り/層内の一部で急激な粒子の滑りが発生したためと考えられる.このような滑
りをなくすため次の操作を行った.まず層高の半分の約1mmまで粒子を充填し,
0.4MPaの圧力を充填層に加えた状態でピストンをひねり層に剪断応力をかけた.
次に金型を試験機からはずしピストンをゆっくり引き抜き,層高2mmまで粒子
を充填し,先ほどと同様に充填層に剪断応力をかけた.これを30min放置し応
力を十分に緩和させた後,ピストン変位速度0.045mm/minで20s圧密した.
その結果応力ー時間線図はFig.6-6(b)のようになり,滑りは無く,層がより均
質に充填されたものと考えられる.以上の考察から本試験では全てこのような充
填操作を行った.
85
(a)
(b)
(c)
50μm
Fig.6-2 Photographs of(a)GBM20,(b)GBM30 and (c)GBM40
86
(a)
(b)
50μm
Fig.6-3 PhotograPhs of(a)GPM31 and (b)GPM41
87
(a)
│…………
1j〕j゛〕jjyjLア
(b)
ン1..ダ3i
11 ……││
ヽy……slU言HU白11宍,
50μm
Fig.6-4 Photographs of(a)GPM31B and (b)GPM41B.
88
①
Standard mechanica1
hine
②③⑤⑦⑧⑨⑩
Spacer
Dial gauge
Data recorder
Computer system
Fig.6-5 Experimental apparatus used for the compression and stress
relaxation test.
89
I
に..)
?4芝)E回Sぷ
1
0.5
0
'TΓime(s)
(a)Sample powder was packed without twisting the piston.
1.5
に..)
0
?叫Σ)巴SSぷ
1
0
Time(s)
(b)Sample powder was packed with twisting the piston.
Fig.6-6 Relationship between time and pressure of a compression and
stress relaxation test.
90
6.3.3 圧密・応力緩和試験
6.3.2で述べた通りに金型にそれぞれ試料を充填した後,ピストン変位速度
0.045mm/minとし20s圧密し,その後ピストンを14min40s停止させた.こ
の圧密,圧密停止操作を繰り返し行い,充填層にかかる圧力を測定した.また,
各圧密回数における圧密開始時のピストン変位をダイアルゲージにより測定を行
った.測定終了後金型から粒子を取り出し電子天秤により重量を測定した.充填
率はダイアルゲージで測定したピストン変位と,試験終了後に取り出した粒子の
重量から算出した.
6.4 結果及び考察
6.4.1 馬の値に及ぼす充填率の影響
Rg.6-7に各圧密回数における充填層の充填率φと馬の関係を示す.いずれ
の粒子径及び粒子形状のサンプルにおいても馬の値は,充填率とともに増加す
る傾向がある.これは本実験においては,応力緩和後も残留応力が存在し,圧密
開始時にすでに粒子が面接触していることに帰因していると考えられる.応力緩
和後の残留応力は圧密回数すなわち充填層の充填率とともに増加する傾向がある.
したがって充填率とともに圧密開始時の粒子の接触面積は増加するために,粒子
が弾性変形しにくくなり,馬の値が増加したと考えられる.そこで馬を粒子状
物質の硬度の指標として用いるために,以下の手順で代表値を決定した.
N回の圧密・緩和試験によって得られたN個の馬を値の小さい順に並べ替え,
値の小さい方から馬に順位をつけた.この順位nを要素の総数Nで割った値を
積算頻度とし,馬の積算頻度分布を求めた.Fig.6-8にすぢてのサンプルの馬
の積算頻度分布を示す.Fig.6-8において積算頻度がO.5となるところの馬の
値を読みとって馬の代表値馬,oとした.Table6-1にこの方法で決定した馬,oの
値を示す.
91
●
▲
■
GBM20
GBM30
GBM40
△
□
▽
GPM31
GPM41
GPM31B
◇ GPM41B
0.4
Q.) (/‥}
0 0
● ●
(Z)ビ
j
o
0.5 0.55 0.6 0.65
0.45
0.7
Packing fraction φ○
Fig.6-7
Relationship between 馬and packing fraction φ
92
△□▽
●▲■
GBM20
GBM30
GBM40
◇ GPM41B
GPM31
GPM41
GPM31B
I
(5 ハ'o 4 (/‘
0 0 0 0
j
o
(‐)yQ回コF''}Qぶ応ち日月)
0
0 3
0.2
H
p
0.4
(N)
Fig.6-8 Cumulative馬distribution of sample powder.
93
Table 6'1 7ち50
GBM20
0.086
GBM30
0.19
GBM40
0.33
GPM31
0.24
GPM41
0.35
GPM31B
0.20
GPM41B
0.37
94
6.4.2 馬の値に及ぼす粒子径の影響
Fig.6-8及びTable6-1からわかるように・馬の値は粒子径とともに増加して
いる.粒子径が大きくなると,粒子径が小さい場合と比べて,同じ歪みを与えた
ときの接触面積が増加する.したがって同じ歪みを得るためには,粒子径が大き
い場合の方がより大きな力が必要となり・馬の値が増加したと考えられる.そ
こでこの馬の値に及ぼす粒子径の影響を補正するために,以下に示すHertz式
11)に基づいて解析を行った.
Hertz式は相接触する2個の弾性球(半径尽と鳥,ヤング率£1と鳥,ポアソ
ン比vlとv2)が静的に圧縮しあい,2球が接触面で局部変形したときの,圧縮力
7)と圧縮変位δ(2重心の接近)の関係を表したものである.
?゜馬δ3/2 (9)
16 尽鳥 (10)
7ZZ=
こ ̄7z. .ゝ2/.、 。、x
9π2(£1十£2)
(尽+凡)
1 - V12
£1°
た2=プ(11)
-
嗚
Hertz式(Eq.(9))は2個の球の直径がf)で同材質とすると,以下のようになる.
(12)
E
じ
£馬
δ=
J
ZZZ ̄
一
3が
1-y2
`y゛
Q-
こでた
-
(13)
である.定数£'はヤング率Eとポアソン比ソで決定され,E
£
が大きいほど,同じ力をかけたときの歪みが小さくなることを示している.また
ソが大きいと粒子の横方向への歪みが大きくなり,接触面積が増加するので,同
じ力をかけても応力は減少し,歪みが小さくなることを示している.したがって
定数がの値は粒子の弾性変形のしやすさを表していると言える.
Eq.(12),Eq.(13)から次の関係式が成り立つ.
95
'、θ
j j
G G
y
こでy
7)2/3(14)
7)
1/3
9が2
=
こ
=
`y゛
1/3
9が2
j)2/3(15)
Z)4
=1である.よってヽ各試験回数の圧密開
験回数の比例領域終点の粒子の歪みをyyとすると
一一
I/3
ゲ(16)
か
j j
G G
y
9が2
I/3
9が2
yy°
£)4
ぢ/3(17)
したがってEqs.(16),(17)から次の関係が成り立つ.
Ay
〔答〕I゛(ゲーぞ)(18)
゜yy ̄yo ̄
Ay・z)4/3=(9ど)1/3(ぢ/3-だ/3)(19)
ゆえにAy・Z)4/3とぢ/3-だ/3をプロットすると原点を通る直線になる.その
傾きをαとするとHertz式の定数がは以下の式の形で与えられる.
た
一
ぶ
-
3
(20)
F縦.6-9に,球形ガラスビーズのAy・が3と巧/3-だ/3との関係を各粒径ごと
に示す.Table6-2には,F泌.6-9のグラフの直線の傾きαと,その傾きの値か
ら計算した定数た'の値を示す.いずれの粒径でもほぼ同一の傾きが得られてお
り,本試験方における粒径の違いはHertzの理論で説明できることが分かった.
F泌.6-10に,不規則形状ガラスパウダーとボールミル解砕後のガラスパウダー
のAy・が3とぢ/3-だ/3との関係を示す.比較のため球形ガラスビーズの結果
わせて示してある.Table6-2には直線の傾きと定数た'の値を示してある.形状
の影響は小さいが,ボールミル解砕後ガラスパウダー,不規則形状ガラスパウダ
ーの順に,試料の形状が球形から離れるほど傾きが小さくなり,球形ガラスビー
ズの傾きからはずれていっている.Eq.(20)から傾きが減少するとがの値が小さ
くなり,同じ力が作用しても変形量が少なくなることを示している.この原因と
96
しては,粒子形状が変化することによって充填率と配位数の関係が変化したこと,
あるいは粒子形状が球からはなれるにつれて,粒子の平らな部分が接触し,接触
0.5
cr`
沿
0.4
Q、) り乙 I
0
1
0 0 0
E頁)回(】・ト司
0
2
P 2/3Po2/3(N2/3)
3
(x10 ̄3)
y
Fig.6-9 RelationshiP between Ayx7〕)4/3 and ぢ/3-だ/3. Samples w
sphere glass beads.
97
Table 6-2 The gradient αand the constant がin Hertz equation.
α
A; ″ x1010
(μm4/3・N'2/3)
(m2/N)
GBM20
109
3.79
GBM30
107
3.69
GBM40
121
4.44
GPM31B
98
3.23
GPM31
GPM41
四恥銘m町四
GPM41B
3.48
2.66
2.75
Average(GBM)
4.16
Average(GPM)
3.18
Average(aII)
3.48
98
0.3
C'Eミ)S(】
0.2
・ト司
0.1
0
P 2/3_P 2/3(N2/3)
y o
Fig.6-10
(x10 ̄3)
Relationship between Ayx7)4/3 and ぢ/3-だ/3
99
面積が増加したことなどが考えられる.
以上の考察から,Hertz式の定数た'は粒子径によらずほぼ一定の値となり,
粒子状物質の硬度の指標としては,馬ではなくがを用いた方が良いと言える.
6.4.3 実験値と推算値の比較
本試験の有効性を検証するために,ヤング率及びポアソン比が既知の3種類
の物質を用いて,圧密・緩和試験から求めた定数がの値とEq.(13)に示した定義
式に物性値を代入して求めた定数た'の値とを比較した.試料はアルミニウム,
銅,鉛(フルウチ化学)の3種類の粉末を用いた.これらの粉末を目開き25μ
m,38μm,45μmのふるいを用い分級した.-38十25μmの粒子は平均粒径が31.5μ
mであることからA131, Cu31, Pb31, -45十38μmの粒子は平均粒径が41.5μm
であることからA141 , Cu41,Pb41とした.F泌.6-11に試料の顕微鏡写真を示
す.Fig.6-12に試料のAy・が3とぢ/3-だ/3との関係を各粒径ごとに示す.参考
として不規則形状ガラスパウダー(ユニオン)の平均粒子径31,41μm(それぞ
れG31,G41)の結果もあわせてプロットした.Table6-3には,F泌.6-12の直
線の傾きから6.2理論に基づいて計算したた'の値を示す.いずれの試料において
も,実験結果はほぼ一直線上に分布しており,がの値を比較することによって,
試料の硬度の違いを評価できることが示された.そこで実験で求めたた'の値を
検証するために,物性値から推算したん'の値との比較を行った.Fig.6-13に£'
の値の実験値と推算値の関係を示す.Table6-4にはん'の推算値と,各試料ごと
の実験結果の平均値とをあわせて示す.F泌.6-13の横軸の推算値は,Eq.(13)の
た'の定義式に,それぞれの物質のヤング率Eとポアソン比ソを代入して求めた
値である.不規則形状ガラスパウダーに関しては,バリウムチタネートガラスの
文献値が無いため,参考としてソーダ・ガラスの文献値をもとに推算値を計算し
た.Fig.6-13から実験で求めたÅ;'の値は,推算値よりも一桁大きい値となって
いるが,両者の間には良い相関があることがわかる.実験で求めたがの値の方
が一桁大きくなることについては,粉体層中の応力伝達経路の問題が考えられる.
6.2理論のところで用いたRumpf式では,層内は均質で,力の伝達は層全体で
行われていると考えている.しかし層内での応力伝達が層全体ではなく,層の一
100
(a)
(b)
言語・│呂
(c)
50μm
Fig.6-11 Photographsof(a)A141、(b)Cu41 and(c)Pb41
101
0.4
(回E頁)回(】・ト司
0.3
0,2
0.1
0
P 2/3Po2/3(N2/3)
(×泣3)
y
Fig.6-12 Relationship between AyxZ)4/3 and 巧/3-巧/3 on metal
powders.
102
Table 6-3 The gradient αand the constant がof metal powders.
α
A;″ x1010
(μm4/3・N'2/3) (m2/N)
CU 31
AI31
AI 41
G31
一仙印卯㈲☆恥銘mm
CU 41
1.79
1.91
2.85
2.39
2.66
G41
2.75
Pb 31
3.95
Pb 41
4.33
103
(×1 0-1o)
10
▲■
I
a尨G陥
● ▲ ■ ◆
り
1 4
0
1
ぐ
I
O
O
I
k'(Estimation)(m2/N)
×
10
0
(Zご日)(}回Et乱ぶ)咄
◆
Fig.6- 1 3 Comparison of the experimental がand the estimated が
104
Table 6-4 The experimental がand the estimated が
α
A; ″ x1010
(μm4/3・N東2/3) (m2/N)
Cu(Estimation)
AI(Average)
AI(Estimation)
G(Average)
G(Estimation)
Pb(Average)
Pb(Estimation)
9 2 2 7 3 5 0
6 8 8 1 8 1 H 1・‘
Cu(Average)
1.91
0.07
2.48
0.13
2.70
0.15
4.11
0.54
105
部分のみで起こっているとすると,一接触点にかかる力はRumpf式で求めた力
よりも大きくなると考えられる.したがって本報の計算では,一接触点にかかる
力を小さく見積もっているために,Fig.6-12の直線の傾きが大きくなり,£'の
値が推算値よりも大きくなっている可能性がある.以上の考察から,本方法で求
めたん'の値は,推算値に比ベ一桁大きくなっているものの,実験値と推算値の
間には良い相関があることから,本方法で求めたがは粒子状物質の新たな硬度
の指標になると考えられる.
6.5 結言
粒子状物質の新たな硬度評価法を確立するために,モデル粒子として種々の形
状,粒径のガラスパウダーを用いて,圧密・応力緩和試験を行った結果,以下の
ことが明らかとなった.
1)馬の値は,充填率φ及び粒子径Dとともに増加する傾向があることがわか
った.
2)圧密比例領城にRumpf式,Hertz式を適用し,Hertz式の定数がを算出し
た結果,定数がの値に及ぼす粒子形状の影響はわずかに見られたが,いずれの
粒径のガラスビーズにおいても定数£'の値はほぼ一定の値をとることがわかっ
た.
3)本方法で求めたがの値は,推算値に比ベ一桁大きくなっているものの,実験
値と推算値の間には良い相関があることから,本方法で求めたがは粒子状物質
の新たな硬度の指標になると考えられる.
106
参考文献
1)J. Tsubaki, T. Mori, H.Yamakawa,H. Mori and H. Hirose submitted to 戸りw虎r
7ε油。/.、/卯a
2)Abe H.: “Kikai Kogaku Benran", A4, pp. 147-150 Maruzen (1987)
3)Shimada,S.and N. lkawa : “Diamond as a lndustrial Materia1", 工Soc.
Ma£erjajs Scj凹ceゴ卵an,34,1003-1011(1985)
4)Abe K.: “Kikai Kogaku Benran", B4, p. 168 Maruzen (1987)
5)Tsubaki, J・, T. Mori, T. Konishi, A. Tsuruta, H. Mori, T. Yokoyama and
S. Matsubara : “MechanicaI Characterization of Spray-Dried Granules by
Compression and Stress-Relaxation Technique-Analysis of Compression
Behavior",ヱCeram.Soc.ブ叩an,107,1093-1098(1999)
6)Tsubaki,J.,T.Mori,T.Konishi,A.Tsuruta,H.Mori,T.Yokoyama and
S. Matsubara : “MechanicaI Characterization of Spray-Dried Granules by
Compression and Stress-Relaxation Technique-Analysis of Relaxation
Behavior",工Ceram.Soc.ブapan,107,1183-1187(1999)
7)Tsubaki,J.,H.Yamakawa,T.Mori and H. Mori : “Optimization of
Granules and Slurries for Press Forming", submitted to工Am.Ceram.Soc.
8)Takamasa,M・,J.Tsubaki and H. Mori : “Optimization of Experimenta1
Conditions for the Compression and Stress Relaxation Test of Spray-Dried
Granules", submitted to 工Ceram.Soc.ブ卯a月
9)Arakawa T.: “Huntai Kogaku Benran", p.223 Nikkan Kogyo (1998)
10)Aida S.: “Kikai Kogaku Benran", A3, p. 37 Maruzen (1987)
107
使用記号
α:gradient of the line in Figs.9, 1 0 (m4/3°N'2/3)
1,:coordination number o
7):particle diameter (m)
£:Young's modulus (Pa)
私):initial height of powder bed (m)
M7:displacement of powder bed (m)
馬:hardness index denned by Eq.(8)(N)
馬5o: rePresentative hardness index (N)
ん:constant in Eq.(10)(m2/N)
ん':constant in Eq.(13)(m2/N)
○
,z: rank of 馬
馬:constant in Eq.(9) (N/m'3/2)
y: compression number o
7):forceat partides' contacting point (N)
乃): force at particles' contacting point at the start of the
proportiona1 region (N)
ぢ: force at particles' contacting point at the end of the
proportiona1 region (N)
Aj):change of the applied pressure (N)
刄:particle radius (m)
4):time at the start of the proportiona1 region (s)
ら:time at the end of the Proportiona1 region (s)
△δ:displacement of a single particle (m)
ε:porosity of particle bed o
φ:packing fraction of particle bed o
yy
●轡 曝―
yo
Particle strain at the start of the proportiona1 region o
partide strain at the end of the proportiona1 region o
108
△y:change of particle strain o
v:Poisson's ratio o
(y: applied pressure (Pa)
(yo:applied pressure at the start of the proportiona1 region (Pa)
(yy:applied pressure at the end of the proportional region (Pa)
109
第7章 結論
本論文では,ファインセラミックスのプレス成形における,新たな頼粒の力
学特性評価法を開発することを目的として,穎粒充填層の圧密・応力緩和現象を
利用して,穎粒の変形・破壊挙動を評価してきた.さらに,穎粒の変形・破壊挙
動と成形体の均質性の関係を明らかにし,プレス成形のための穎粒の設計指針を
確立することを試みた.次いで粒子状物質の新たな硬度評価法を開発することを
目的として,粒子充填層の圧密・応力緩和試験を行い,その圧密比例領域の解析
から,粒子状物質の新たな硬度の指標を決定することを試みた.
以下に,各章で得られた結論を要約する.
第2章では,ファインセラミックスのプレス成形における,新たな穎粒の力
学特性評価法を開発することを目的として,高分子分散剤の添加量及び結合剤の
種類,添加量を変化させたアルミナ穎粒を使用し,穎粒充填層の圧密・緩和試験
を行い,圧密領域の解析並びに従来の穎粒評価法である連続圧密試験との比較を
行った.その結果,圧密・緩和試験における圧力の上昇傾向,並びに比例領域の
挙動には,従来の連続圧密試験には見られなかった結合剤の有無に対応した変化
が見られた.さらに,圧密・緩和試験の圧密領域の解析に基づく穎粒の識別と試
験片の内部構造観察による穎粒の変形・破壊機構の識別とは良く対応しているこ
とが分かった.
第3章では,第2章に引き続き高分子分散剤の添加量及び結合剤の種類,添
加量を変化させたアルミナ穎粒を使用し,穎粒充填層の圧密・緩和試験を行い,
その緩和領域の解析を行った.その結果,高分子分散剤及び結合剤の添加量が増
加すると,塑性部分の割合は減少し,粘性部分の割合が増加する傾向があること
がわかった.また,塑性部分の割合が大きく,粘性部分の割合が少ない穎粒は圧
密時に脆性的に破壊し細分化するのに対して,塑性部分が見られず粘性部分の割
合が大きい穎粒は徐々に粘性的に変形していき細分化しないことがわかった.し
たがって,第2章及び第3章から,圧密・緩和試験の圧密領域の解析,緩和領
110
域の解析のどちらからも,結合剤の有無による穎粒の変形・破壊挙動の違いを的
確に識別できることが示された.
第4章では,プレス成形における穎粒の最適な設計指針を得るために,焼結
体強度に及ぼす穎粒およびスラリーの力学的な特性の影響を検討した.その結果,
低密度の中実球形の穎粒は高い圧縮性を示し,高強度の焼結体が得られることが
分かった.さらに,穎粒形状はスラリー中の粒子の凝集状態によって決定される
ことが分かった.スラリーの凝集状態は遠心圧密試験によって的確に評価するこ
とができ,その結果スラリー調製は,見かけ粘度が高く,最終充填率が低くなる
よう分散剤添加量を調整する必要があることが分かった.成形体の均質性は穎粒
の粘性特性と密接な関係があることが分かった.したがって,粘性変形を促進さ
せるためにバインダを添加した穎粒から均質な成形体が得られることが分かった
頼粒の圧密特性は圧密・緩和試験から的確に評価することができ,最適な穎粒の
設計条件を確立できることが示された。
第5章では,圧密緩和試験を新たな穎粒評価法として実用化するために,応
力緩和挙動に及ぼす実験条件の影響を検討すること,及び実験時間を短縮するこ
とを目的として,結合剤の種類,添加量を変化させたアルミナ穎粒を使用し,圧
密速度,圧密回数,緩和時間,初期充填層厚さを変化させて穎粒充填層の圧密・
応力緩和試験を行った.その結果,圧密速度の増加にともなって穎粒充填層の緩
和率は増加することが分かった.したがって,圧密・応力緩和試験においては圧
密速度が大きい方が頼粒の変形・破壊挙動の違いをより明確に評価することがで
きることが分かった。また,圧密回数を1回にしても繰り返し試験と同等の評価
が可能であり,実験時間を大幅に短縮できることが示された.さらに,緩和率は
初期充填層厚さの影響を受けず,圧密・緩和試験の充填層厚さは任意の値でよい
ことが分かった.
第6章では,粒子状物質の新たな硬度評価法を確立するために,モデル粒子
として種々の形状,粒径のガラスパウダーを用いて,圧密・応力緩和試験を行っ
た。さらに,圧密比例領域の解析から,Hertz式の定数£'を求め,粒子状物質の
111
新たな硬度の指標とすることを提案した.さらに,圧密・応力緩和試験から求め
たた'の値と物性値から推算したた'の値を比較,検討した.その結果,馬の値は,
充填率φ及び粒子径Dとともに増加する傾向があることがわかった.さらに,
圧密比例領域にRumpf式,Hertz式を適用し,Hertz式の定数た'を算出した結
果,定数がの値に及ぼす粒子形状の影響はわずかに見られたが,いずれの粒径
のガラスビーズにおいても定数た'の値はほぼ一定の値をとることがわかった.
本方法で求めたがの値は,推算値に比ベ一桁大きくなっているものの,実験値
と推算値の間には良い相関があることから,本方法で求めたがは粒子状物質の
新たな硬度の指標になると考えられる.
112
謝辞
本研究の遂行にあたり,終始適切なご指導,ご教示を賜りました名古屋大学
大学院工学研究科物質制御工学専攻椿淳一郎教授に心から感謝の意を表します.
先生には,学部時代から博士課程修了までの6年にわたりご指導いただき,学
問的な内容,研究の進め方はもちろん,「いい研究とは何か?」,「わかるとはど
ういうことか」といった,今後私が研究生活を続ける上で最も重要なことをお教
えいただいたと感じております.今後の研究生活においても「現場に役立つ基礎
研究」という椿研究室のモットーを心がけていきたいと考えております.
また本研究に貴重なご助言を賜りました名古屋大学大学院工学研究科物質制御
工学専攻正畠宏祐教授,香田忍教授に深く感謝いたします.
研究室においては,終始有益なご助言,ご指導を賜りました名古屋大学大学
院工学研究科物質制御工学専攻森英利助手に厚く御礼申し上げます.また名古屋
大学大学院工学研究科物質制御工学専攻博士課程在籍中より終了後にわたって,
有益なご助言を頂きました早川修氏,吉田宜史氏,内海良治氏,杉本理充氏に厚
く御礼申し上げます.
本研究を進めるにあたり実験と解析にご協力いただきました,小西利幸氏,
鶴田明久氏,山川博雄氏,廣瀬仁嗣氏に深く感謝いたします.また,貴重なご意
見をいただいた金孝政氏ならびに椿研究室の学生諸氏に心から感謝いたします.
また,本研究に貴重なご意見,ご助言を賜りましたホソカワミクロン株式会
社の横山豊和氏に厚くお礼申し上げます.
スプレードライヤーの使用にあたっては,株式会社カンヨーの松原定信氏,
三好勝氏,保坂竜郎氏ならびに株式会社カンヨーFCプラントの皆様に多大なる
ご支援をいただきました.ここに記して感謝の意を表します.
本研究の遂行に際して,財団法人ホソカワ粉体工学振興財団(理事長細川益
男氏)より,「第9回(平成11年度)研究者育成のための助成」を受けました.
ここに記して感謝の意を表します.
本研究の成果をRrst Asian Partide Technology Symposium (アジア粉体
工学シンポジウム)にて発表する際に,財団法人中部電力基礎技術研究所(理事
長太田宏次氏)より,「平成11年度国際交流援助」を受けました.ここに記し
113
て感謝の意を表します.
最後に本論文をまとめるにあたり,協力と支援を階しまなかった家族に,ここ
に記して感謝の意を表します.
114
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