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核科学と医学生物学 核科学と医学生物学

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核科学と医学生物学 核科学と医学生物学
Osaka 29 Sept. 2010
RCNP における<核医学>プログラム展開の可能性
核科学と医学生物学
z
< Inc
Inc. Oncology and Therapy>
東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター
織原 彦之丞
Contents
● PIXE(Particle Induced X
X-ray
ray Emission)
による多元素同時、微量元素分析
●短寿命ポジト ン放出核種標識薬剤の開発
●短寿命ポジトロン放出核種標識薬剤の開発
●PET(Positron Emission Tomography)の
開発と、PETによる核医学研究 医療への応用
開発と、PETによる核医学研究・医療への応用
将来 の展望 加速器技術と加速器中性子
将来への展望:加速器技術と加速器中性子
多元素同時微量元素分析(PIXE)の
新しい展開
マイクロビームPIXE
マイクロビ
ムPIXE
PIXE研究のひろがり
1990年代初頭以来、日本アイソトープ協会仁科記念サイクロトロン
センター(滝沢研究所)において
センタ
(滝沢研究所)において、PIXE研究とその共同利用を岩手
PIXE研究とその共同利用を岩手
医科大学と協同で行い、今では年間7,000試料をこえる分析を行って、
環境問題に於いて世界規模の活動を続けている。
有害元素による広域的環境汚染による人体曝露評価の研究
においては、フィリピンやモ ンゴル における水銀汚染、中国に
おけるフッ素汚染、及びヒ素汚染 6)、 バングラデッシュにおけ
るヒ素汚染など、多くの問題に貢献してきた。
ヒト毛髪との主元素構成の類似性から、家畜や実験動物など
の被毛の分析にも応用され 動物 の健康状態と体内微量元
の被毛の分析にも応用され、動物
素成分との関係が調べられるなど、獣医学や基礎医学におけ
る研究にも貢献している。
10
11
12
東北大学サイクロトロン・
ラジオアイソト プセンタ
ラジオアイソトーフ
センター
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代表的なPET
代表的な
PET用放射性薬剤
用放射性薬剤
薬 剤
H215O,
O C15O2 , 15O2
目 的
…
アルツハイマー病などの診断
イ
病など 診断
脳機能の研究
11C-メチオニン
…
脳腫瘍 膵癌の診断
脳腫瘍、膵癌の診断
11C-ラクロプリド
…
パーキンソン病などの診断
18F-Fluoro
Fluoro--deoxy
deoxy--glucose
glucose(
( FDG ) …ガンの診断、スポーツ医学
ガンの診断 スポ ツ医学
アルツハイマー病などの診断
18F-DOPA
…
パーキンソン病などの診断
パ キンソン病などの診断
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膵臓がん
PETによる“分子イメージング”
PETによる
分子イメ ジング 新しい研究・教育分野の開拓
「分子イメージング(Molecular imaging)」とは、「生物が生きた状態のままで外部から
生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察する技術」のことを指します。
分子イメ ジングは、医学,薬学, 学の新しい境界 複合領域です。方法論としては、
分子イメージングは、医学,薬学,工学の新しい境界・複合領域です。方法論としては、
ポジトロン断層法(Positron Emission Tomography: PET),核磁気共鳴画像(Magnetic
Resonance Imaging: MRI),光学イメージング(Optical Imaging) などの手法が用いられ
ています。
国家プロジェクトの一つとして放射線医学総合研究所と
連携して医、工、薬、歯など連携研究科にPET 分子
イメ ジングコ スを設置してこの分野の人材育成をも
イメージングコースを設置してこの分野の人材育成をも
はかっている。
☞ PET診断用放射性薬剤開発
ーPET診断研究と生体機能イメージング
ー本邦初の新規アミロイド・イメージング製剤の臨床評価
本邦初の新規アミロイド・イメ ジング製剤の臨床評価
☞ 分子イメージング研究教育用小動物PETの新規導入
ー空間分解能1mmFWHMの半導体PETの開発
空間分解能
の半導体
の開発
☞ 80MeV陽子ビームによる粒子線がん治療の基礎研究
☞ PET診断用放射性薬剤開発
図に示すような工程を経て、がん診断用の11C-標識メチオニン、18F-FDG(F-18標識
18F-FRP-170や、脳の高次機能検査やアルツハイマー
フルオロデオキシグルコース)、
デ
グ
高次機能検査
病の診断用の種々の11C標識薬剤(ドキセピン、ラクロプライド、ドネペジル、BF-227)
及び15O-標識水が合成・調整されPETによる臨床研究に供されている。
“PET の空間分解能は 悪く、
4 5mmが限界 という常識
4~5mmが限界”という常識
に挑戦!
体軸:26mm
断面:60mm
ベータ崩壊によるポジトロンの水中における
最大飛程が数mmであることから、このように
信じられてきたが、実際には陽電子の物質中
におけるエネルギ 損失と微分体積を考える
におけるエネルギー損失と微分体積を考える
と18Fから放出される場合には0.2mm 程度が
予想され、2本の消滅ガンマ線の角度揺動効
果を入れても1mm 以下になることが期待され
た。
高分解能を得るためのもう一つの課題として、
サイズが1mm以下の検出器を用意しなければ
ならなかったが、幸い東北工業大学で開発され
ていたCdTe 検出器を使い、世界で初めて1mm
以下の空間分解能を持つ実用型小動物用PET
の開発に成功した。
人用の高分解能PETも開発中で、脳の高次機能
の解明に応用されることが期待されています。
抗腫瘍遺伝子のガン細胞 の選択的送達
抗腫瘍遺伝子のガン細胞への選択的送達
ナノ粒子を用いて抗腫瘍性遺伝子を選択的にガ
ン細胞へ送達する技術が開発されたことにより、
ガンの遺伝子治療の取り組みへの足がかりがで
きた。
「ナノ粒子内の遺伝子は、細胞の中に入るとそこ
がガン環境であることを認識し、遺伝 子スイッチ
がオンになる」
遺伝子の導入された細胞がヨウ化ナトリウム共
輸送体(Na/I symporter:NIS)というタンパク質を
作り出すことが、マウスの全身スキャンによって
確 認されたという。また、導入遺伝子の発現はガ
ン細胞内でのみ見られ 健康な細胞の中で は観
ン細胞内でのみ見られ、健康な細胞の中で
測されなかったという。
CYRIC共同利用実験 第29回研究報告会
Results-1
Results-1
Results-4
124I-iomazenil(IMZ)
断面内視野:38~110mm
体軸内:最大300mm
LYSO結晶使用 空間分解能:1 5mm
LYSO結晶使用、空間分解能:1.5mm
☞ 80MeV陽子ビームによる
ビ
粒子線がん治療の基礎研究
ジストニー:中枢神経系の障害による不随意で持続的な筋収縮にかかわる運動障害の総称。
ドネペジル (donepezil) :アルツハイマー型認知症(痴呆)進行抑制剤の一種。
-18F標識RP-170([18F]FRP-170)による低酸素細胞画像化
加速器中性子によるBNCT
18Fを標識したホウ素化合物がグリオーマに
集積した
無麻酔でがんばれる我慢の限界を考慮し、
30分程度でトータル•フリェンス:1x1013n/cm2
の中性子照射を行うため、熱中性子束は
1x109n/cm2/sec が要求される
陽子と中性子が6個ずつで構成された炭素ー12ビームはBe標的を通過する間に
陽子と中性子が6個ずつで構成された炭素
12ビ ムはBe標的を通過する間に
中性子3個を奪われ、陽子6個と中性子が3個の9C核のビームとなる。 9Cは不安
定核で半減期0.1265秒で崩壊して生体内で飛程が数ミクロンメートルのアルファ
粒子 個 、 個 陽子を遅発粒子
粒子2個と、1個の陽子を遅発粒子として放出する。
放出する。
この9C核ビームは、ブラッグピーク近傍の細胞内に停
止するので、粒子線としての従来の効果と、遅発粒子
による効果が重なって強い生物効果を示す。
いろいろな分野での
基礎研究の重視
教育も含めた多分野融合
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