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ハイビジョン伝送システム IP-9500のグローバル展開

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ハイビジョン伝送システム IP-9500のグローバル展開
ハイビジョン伝送システム
IP-9500のグローバル展開
Global Development of IP-9500 High-Definition Transmission System
あらまし
近年,全世界で地上波デジタル放送開始やIPネットワークの高速化などのインフラ整備が
進行し,放送・通信サービスの融合による映像サービスベンダ間の競合状況もあり,映像コ
ンテンツのHD(High Definition)化が進行している。
一方で,従来のMPEG-2方式を中心とする映像符号化技術で膨大なHD映像コンテンツを取
り扱うことは,多大な伝送システムの追加投資や伝送コスト増加が必要となるため,従来方
式の2倍以上のデータ圧縮を実現する最新映像符号化技術H.264|MPEG-4 AVCの早期実用化
に対する需要が高まりつつある。
本稿では,富士通が世界に先駆けてH.264|MPEG-4 AVC新方式を製品化し,世界市場の
フィールドで新映像符号化技術の有効性を実証することに成功したハイビジョン伝送システ
ム“IP-9500”のグローバル展開状況について紹介する。
Abstract
Video content has recently been shifting to the high definition (HD) format, with the
development of terrestrial digital television broadcasting around the world, the proliferation
of the high-speed Internet protocol (IP) network infrastructure, and the increasing
competition among video-content service providers to integrate broadcast and
communications services. Since a large amount of additional investment in transmission
systems and increased transmission costs would be required to handle the large increases in
HD video content using conventional MPEG-2 formats, there is rapidly increasing demand
to implement H.264/AVC, the latest video encoding technology, which supports data
compression rates twice as high as earlier technologies. Fujitsu has taken the lead in
demonstrating the effectiveness of this new encoding technology with the IP-9500 Hi-Vision
transmission system, the first H.264/AVC-format product on the market. In this paper, we
introduce this product and the state of its development in the global market.
三隅健司(みすみ けんじ)
天本 保(あまもと たもつ)
坂本昭彦(さかもと あきひこ)
映像システムソリューション統括部
グローバルシステム部 所属
現在,IP-9500シリーズのビジネス
企画および海外展開業務に従事。
映像システムソリューション統括部
グローバルシステム部 所属
現在,IP-9500シリーズのビジネス
企画および海外展開業務に従事。
映像システムソリューション統括部
グローバルシステム部 所属
現在,IP-9500シリーズのビジネス
企画および海外展開業務に従事。
FUJITSU. 60, 1, p. 69-75 (01, 2009)
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ハイビジョン伝送システムIP-9500のグローバル展開
IP-9500の概要と特長
ま え が き
富士通は,1960年代のアナログ伝送の時代から
本章では,まえがきで述べたグローバル市場への
映像符号化技術の研究と製品開発を進めており,開
展開を図るH.264/AVCを採用したハイビジョン伝
発技術が国際標準規格に採用されるなど,映像符号
送システムIP-9500の概要と特長について説明する。
化技術の国際的な推進と普及に寄与している。グ
● IP-9500の概要
IP-9500は,高効率映像符号化技術H.264/AVCを
ローバル市場においては,アメリカ,ヨーロッパ,
。
採用した映像伝送システムである(図-1)
韓国などの一部アジア地域を中心に地上デジタル放
送やIPTVなどの新サービスが開始され,既存の
独自の符号化制御技術を搭載したLSIを採用する
ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送サービスを含
ことで,フルHD用H.264/AVCに対応した映像伝送
めて多様なサービスベンダが競合する状況下で,映
システムとしては,業界トップレベルの低レート
像コンテンツのHD(High Definition)化のニーズ
(6 Mbps),低消費電力(60 W以下),省スペース
が高まっている。一方で従来に比較して膨大な映像
(19インチラック1Uサイズ,容積6 ℓ)を実現して
いる。
データ量を処理する必要性があるため,世界の放送
業界や映像サービスに新規参入する通信キャリア業
主な用途としては,HDライブ中継(報道・ス
界などにとってHD化対応は技術面および経済面で
ポーツ・お天気カメラなど)や,HD放送素材の拠
大きな課題となっている。富士通は,長年にわたり
点間伝送(支局から本局への取材素材伝送,本局か
培った映像符号化技術ノウハウをベースに,次世代
ら支局への番組素材伝送など)などの映像伝送シス
の 映 像 符 号 化 方 式 で あ る H.264 | MPEG-4 AVC
。
テムである(図-2)
● IP-9500の特長
(以下,H.264/AVC)を使用したハイビジョン伝送
(1) フルHD映像対応
システム“IP-9500”を早期に製品化し,2007年よ
(1)
りグローバル市場に提供している。
映像制作の現場では,可能な限り映像素材の品質
その結果,世界のフィールドで,重要イベントの
リアルタイム放送中継などのプロフェッショナル
ユースに耐え得る実用性と新技術の有効性を世界に
先駆けて実証し,新映像符号化技術の普及と経済的
な映像コンテンツHD化の道筋を示すことができた。
本稿では,H.264/AVCハイビジョン伝送システ
ムIP-9500の特長とグローバル市場への展開状況を
紹介する。
図-1 IP-9500
Fig.1-IP-9500.
データセンタ
放送局
放送局・中継現場
映像蓄積・配信サーバ
放送機材
番組素材
過去映像の表示
映像の蓄積
IP-9500
デコーダ
番組送信
イベント
中継
天カメ
中継
IP-9500
エンコーダ
スタジオサブ
ライブ映像・素材映像の表示
スポンサー様
IP-VPN
ローカル番組の視聴
IP-9500
デコーダ
モニタ
図-2 IP-9500を用いたシステム構成例
Fig.2-IP-9500 system configuration example.
70
FUJITSU. 60, 1, (01, 2009)
ハイビジョン伝送システムIP-9500のグローバル展開
(情報量)を損なわないことが重要視されるため,
1920ピクセル×1080ピクセルサイズ(フルHDサ
イズ)での符号化処理が映像伝送装置の選定条件と
・HDMI:廉価HD機器(カメラ・モニタ)との接
続用
・アナログインタフェース:既存機器との接続性確
保のため,アナログ平衡音声入出力と,
なる。
富士通は先に述べた独自の符号化処理技術を採用
NTSC/PAL出力を搭載
することで,H.264 HP@L4準拠のフルHDサイズ
・LAN(10/100/1000BASE-T)
:IP網への接続用
映像のリアルタイム符号化処理を実現している。
・DVB-ASI入出力:各種送出系機器やデジタル
(2) 低遅延モード対応
IP-9500は,従来の標準モードでの遅延時間を
FPUとの接続用
・双方向音声(Intercom):ライブ中継時など,現
1/3程度に抑えた低遅延モードをサポートしており,
場と局間のモニタや連絡などを想定したIP音声
DVB-ASIインタフェース使用時で約300 ms,IPイ
通話用インタフェース
ンタフェース使用時で約500 msという世界トップ
(5) 強固なエラー訂正機能
クラスの映像符号化処理遅延を実現している。この
富士通では安価なブロードバンドネットワークを
機能は,現場から放送局(本局)への素材収集系市
用いたライブ映像伝送に対応すべく,強固なエラー
場(コントリビューション)のようなリアルタイム
訂正方式FEC(Forward Error Correction)
,ARQ
性が重要視されるシーンで威力を発揮する。
(3) 富士通独自の符号化制御技術
従来,H.264/AVC符号化技術は,処理量が膨大
で回路規模が大きくなるという点(MPEG-2の約
10倍)がネックであり,これが製品化・実用化へ
の障壁となっていた。
富士通では,長年にわたり通信キャリアや放送局
などと連携して映像符号化技術の開発を続けてきて
おり,製品化・実用化に伴う様々な制約の中で最高
(Automatic Repeat request)を採用している。
FECは映像データとともにパリティデータを送信
する方式であり,ARQはバーストエラー時に効果
的なパケット再送を行う方式である。
IP-9500では両方式のメリットを両立させたハイ
ブリッド方式の採用により,お客様のネットワーク
要件に合わせてリアルタイム性を確保した高いエ
ラー耐性を実現した。
(6) デュアルエンコーダ対応
の画質を実現するためのノウハウを蓄積してきた。
IP-9500は,入力した映像から同時に2種類の異
その経験・ノウハウを最大限に生かすことにより,
なるモードでストリームを配信することが可能であ
処理量を1/5に削減し,MPEG-2と同等レベルの小
る。これにより,高帯域ネットワークと狭帯域ネッ
型化を実現している。
トワークでの同時配信や,使用するネットワークに
また,低レート時での高品質映像を実現する取組
応じた映像配信が実現可能である。IP-9500ではメ
みとして,画質劣化が気になる映像(顔やゆっくり
イン側はHD/SD映像の符号化伝送,サブ側ではSD
と動く物体など)を常時追跡する機能を低演算量で
映像の伝送に対応している。
実現し,該当部分に多くの情報量を割り当てること
(7) 高信頼性・耐環境性
により,全体の画質を大幅に改善した。映像のプロ
これまで映像監視の分野で培ってきたノウハウを
である放送関係者へのデモ評価においても「ここま
生かし,24時間365日稼働を実現するとともに,周
での低レートであるにもかかわらず,符号化に厳し
囲温度-10~+55℃,周囲湿度20~90%という耐環
い映像を入力してもMPEG-2のようにブロックノ
境性を実現しており,お天気カメラなど屋外に設置
たん
イズを見せて破綻 することが全くない」という驚
きのコメントを多数いただき,業界最高品質である
という評価を得ている。
(4) 多様なインタフェース
IP-9500は放送現場からの声を反映し,多様なイ
ンタフェースをサポートしている。
・HD/SD-SDI:業務用放送機器との接続用
FUJITSU. 60, 1, (01, 2009)
されたカメラ映像の伝送用途にも対応している。
以上,説明した技術を盛り込んだIP-9500の主要
(1)
緒元を表-1に示す。
グローバル市場への展開
IP-9500の用途としては,
(1) 現場から放送局(本局)へ放送素材を集約さ
71
ハイビジョン伝送システムIP-9500のグローバル展開
表-1 IP-9500主要諸元
入力
映像
出力
同期
音声
入出力
LAN
オプション
データポート
映像符号化
ネット
ワーク
音声符号化
遅延
時間
LAN
DVB-ASI
外形寸法
(幅×奥行×高さ)
質量
電源/消費電力
動作温度
HD/SD-SDI,HDMI
HD/SD-SDI,HDMI,NTSC/PAL
(モニタ用ダウンコンバート出力)
BB,Bi-Sync,Tri-Sync
HD/SD-SDIエンベデッド,
アナログ音声キャノン平衡,
HDMI,双方向音声用端子
10/100/1000BASE-T
DVB-ASI
RS-232C
HP@L4,MP@L4,MP@L3
MPEG-1 Layer 2,
MPEG-2 AAC,
Dolby-E path thru,
Uncompressed
約1.56 s(標準モード時)
約500 ms(低遅延モード時)
約1.38 s(標準モード時)
約300 ms(低遅延モード時)
430×393×45 mm
(突起物を除く)
約6 kg
100~240 VAC,最大90 W
-10~+55℃
(低温起動を除く)
だ新規サービス競争が激化しており,生残りのため
の映像サービスへの取組みが最重要課題となってい
る。しかし,限られた設備投資予算および回線容量
などの制約の中で加入者にアピールする安価かつ多
くのHD映像コンテンツを配信するには,従来の圧
縮方式であるMPEG-2ではその性能に限界があっ
た。このような背景の中で,新圧縮技術である
H.264/AVCの需要が世界の放送・通信業界を中心
に高まってきているが,MPEG-2導入時に経験し
た新設備導入過渡期の技術的課題や対処費用の発生
を懸念する現場からの声もあり,積極的に導入が進
んでいるとは言えない状況である。
以上の世界的な新技術への需要と技術的課題の解
決を図るべく,2007年以降,コントリビューショ
ンおよびディストリビューションをターゲットとし
て本格的にグローバル市場へビジネス展開を開始し
た 。 ラ ス ベ ガ ス で の NAB2007 , ロ ン ド ン で の
IBC2007,ニューヨークでのHD-Worldと主要な展
示会をきっかけに全世界規模で多くのお客様に評価
せるための素材収集系市場(コントリビュー
を実施していただき,IP-9500の卓越した性能はい
ション)
,
ずれのお客様においても高い評価を得ている。ドイ
(2) 収集された放送素材を本局から地方系列局へ
ツの評価機関による画質および遅延評価においては,
配信する放送局間素材伝送市場(ディストリ
いずれも他社を凌駕する最高性能であることを実証
ビューション)
,
した。
(3) 放送局から放送番組として編集された後に各
IP-9500のグローバル市場への展開の中で重要な
家庭へ送出される部分である送出系市場(エ
ポイントとして,スピーディな市場への適応力,お
ミッション)の大きく3市場に分けられる。
よびお客様が直面する技術的課題への対応力が挙げ
富士通は,2006年にIP-9500を国内放送市場へ投
られる。グローバル市場の多様な要求に対し,開発
入した。MPEG-2/4を用いたSD画像伝送システム
から製造まで集約された組織の強みを生かして製品
“IP-700”を採用いただいた既存のお客様を中心に
仕様へのフィードバックを柔軟に推進中である。
コントリビューション,ディストリビューション用
また,お客様先での評価時に発生する周辺機器と
次世代映像伝送システムとして紹介し,各地のイベ
の接続性にかかわる諸課題をお客様先で迅速に解決
ントで多く試用されるようになった。その結果,高
した。さらに,既存設備の多くをそのまま流用し最
画質,低遅延伝送能力,およびIP伝送における強
小設備投資コストでHD映像サービスへの移行を可
じん
靭 な耐久能力が評価され国内の主要な放送局へ加
能にした。
速的に導入されてきた。IP-9500は前述の特長を生
以上のようなビジネス展開により,世界各地域の
かし,野球・マラソン・ラグビーのようなスポーツ
大手放送局より採用の決定をいただいている。米国
ライブ中継などのリアルタイム性を要求される伝送
内では,2008年1月に行われた米国大統領一般教書
システムにおいて特にその実力を発揮している。
演説や8~9月の大統領選挙党大会などのライブ中
一方,世界の主要地域では,アナログ地上波放送
継に採用していただき,8月に開催された北京オリ
の停波が予定されており,完全デジタル化へ移行の
ンピックでは,日本をはじめとする米国・欧州・ア
ための設備投資が活性化している。また,通信キャ
ジアの主要放送局でコントリビューション用機器と
リアにおいても既存のCATVや衛星業者を巻き込ん
して採用していただくようになるなど,世界の重要
72
FUJITSU. 60, 1, (01, 2009)
ハイビジョン伝送システムIP-9500のグローバル展開
イベントでの採用が相次いでいる。現在,世界の映
ン ピ ッ ク 6会 場 か ら パ リ 本 局 ま で の 映 像 伝 送 に
像サービス業界から富士通に対する期待が高まりつ
IP-9500を採用していただいた。日欧間でのHD伝
つあり,グローバル市場においてビジネスを拡大中
送事例としては後述のラグビーワールドカップに続
である。
き2度目であるが,欧州市場においても今後のHD
化に向けてインパクトの大きい事例とみられる。
IP-9500適用事例
そのほか,台湾や韓国の放送局においても北京オ
本章では,これまでIP-9500がどのような市場で
どのように活躍し貢献しているのか,グローバル市
場におけるIP-9500を用いたいくつかの適用事例を
リンピックでIP-9500を用いたHDライブ中継に採
用していただいた。
(3) 日本:NFLスーパーボウルXLI中継(図-3)
2007年2月に米国マイアミで行われたNFLスー
紹介する。
(1) 米国:報道素材のライブ中継
パーボウルXLIという人気コンテンツの本放送(録
米国大手放送局において1月の大統領一般教書演
画 中 継 ) に IP-9500 が 採 用 さ れ , 世 界 で 初 め て
説,8月~9月に行われた民主党・共和党の党大会
H.264/AVCを使用した日米間の映像伝送を実現し
中継でIP-9500を採用していただいた。H.264/AVC
た。従来のMPEG-2に比べ,半分以下の20 Mbpsと
方式の採用により回線コストの削減だけでなく,低
いう低帯域回線で伝送することができたとともに,
遅延や低レートでの高画質映像を実現しており高い
アメリカンフットボールという動きの激しいスポー
評価を受けている。
ツ素材においても,独自のH.264/AVC制御アルゴ
海外でHDと言えばスポーツというイメージがあ
リズムにより実放送に適した映像品質で伝送可能な
るが,米国の放送業界を牽引する同社が報道の分野
ことが実証された。この中継は,2008年2月のNFL
にもHDを導入したというインパクトは大きく,今
スーパーボウルXLIIにおいて,再度IP-9500を用い
後の放送業界に大きな影響を与えるものとみられる。
て実施された。
(2) 仏,台湾,韓国ほか:北京オリンピックでの
中継
(4) 仏:ラグビーワールドカップでのライブ中継
(図-4)
フランスの大手放送局においては,北京オリ
2007年9月7日に国内スポーツ専門テレビ局で放
世界初!H.264/AVCによる日米間のHD映像伝送を実現
New York
東京へのリアルタイム映像伝送
東京
Los Angeles
[XLII]
Arizona
[XLI]
Miami
放送時間
[XLI] 2007年2月5日
IP-9500 デコーダ
NFL Super Bowl XLI on
Feb. 4 th 2007
NFL Super Bowl XLII on
Feb. 3 rd 2008
24時26分~26時26分
[XLII] 2008年2月4日
IP-9500 エンコーダ
24時29分~26時29分
図-3 NFLスーパーボウル中継
Fig.3-NFL Super Bowl XLI/XLII delayed broadcast.
FUJITSU. 60, 1, (01, 2009)
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ハイビジョン伝送システムIP-9500のグローバル展開
送されたラグビーワールドカップ2007のライブ中
(5) 米国:IP伝送(IP SNG用途)
(図-5)
継においてIP-9500を採用いただいた。H.264/AVC
IP SNG(Satellite News Gathering)事業者の
方式による日欧間のフルHD映像伝送のライブ中継
スポット型HDサービスにおいてIP-9500を採用い
を行うのは,世界初の試みであり,低帯域での伝送
ただいた。高画質・低遅延に加えて,IP伝送時の
による回線コストの削減と高画質の映像伝送の両方
強みであるFEC/ARQを用いた強固なエラー訂正機
が実現された。
能が評価されている。
世界初!H.264/AVCを用いた日欧間HD映像伝送
フランスから東京へのリアルタイム伝送 Leased Circuit
Saint-Denis
(放送センタ) HD 生中継! 全 48 ゲーム
東京
IP-9500 デコーダ
生放送
IP-9500 エンコーダ
図-4 ラグビーワールドカップ2007中継
Fig.4-Rugby World Cup 2007.
„クイックスポット型HD IP-SNGシステム
„衛星回線を用いたIP伝送において,高品質,低遅延を実現
„IP-9500の強固なエラー訂正機能(FEC/ARQ)により,パケットロスやバーストエラーを復元
ルータ
衛星モデム
100BaseT
IP over Satellite
衛星モデム
100BaseT
HD カメラ
IP-9500
デコーダ
IP-9500
エンコーダ
放送センタ
図-5 IP SNG適用事例
Fig.5-IP SNG application example.
74
FUJITSU. 60, 1, (01, 2009)
ハイビジョン伝送システムIP-9500のグローバル展開
中韓間初!パブリックインターネットを用いたHD生中継
中国
韓国
出典:http://www.mediatoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=71669
図-6 インターネットを用いたHD中継
Fig.6-HD live broadcasting via the Internet.
(6) 韓国:インターネット経由のHDライブ中継
(図-6)
視市場・モバイル市場向けに小型化・低価格化を実
現する簡易伝送システムなど広範囲なグローバル展
韓国大手放送局の北京オリンピックを直前に控え
開を推進していく予定である。
た特集番組においてIP-9500を採用いただき,イン
む
ターネット経由によるHD生中継を実施した。特集
番組は朝晩の2回,中国~韓国間をインターネット
経由で中継された。
今後の展開
す
び
本 稿 で は , 世 界 に 先 駆 け た H.264/AVC ハ イ ビ
ジョン伝送システムIP-9500の特長とグローバル市
場への展開状況を紹介した。導入済みの先進の放送
局においては,様々な映像コンテンツのライブ中継
ハイビジョン伝送システムIP-9500を世界の放送
放送に対して,常に高品質の映像伝送を維持してお
局や映像サービス業者に対し,主要な展示会でのデ
り,一部業界で時期尚早と懐疑的であった
モンストレーションやお客様先でのトライアル評価
H.264/AVC新方式に対する不安と懐疑を払拭し,
を通じて拡販するとともに,お客様先での導入時の
優れた映像品質および伝送コストなどの経済性で従
技術的課題を解決してきた。現在までに大きな反響
来技術を上回ったとする評価が定着した。
と同時に導入をいただいており,とくに映像品質に
最新映像符号化技術H.264/AVCの早期実用化を
関しては映像製作現場で鍛えられたプロフェッショ
通じ,世界規模での経済的な映像コンテンツHD化
ナルの視点から「世界トップクラスの品質」として
の普及促進に貢献できれば幸いである。
の高い評価をいただいている。
今後は,最新映像符号化技術H.264/AVCを中核
参 考 文 献
に,エミッション市場向けの足掛かりとして富士通
(1) 宮坂秀 樹ほか :IPネットワーク対応H.264/AVC
独自の低レートでもHD伝送が破綻しない技術を生
コーデッ クシ ステム. FUJITSU ,Vol.58 , No.2 ,
かしたIPTVシステム,放送市場向けに最高の映像
p.156-161(2007)
.
品質を追求したハイエンド伝送システム,および監
FUJITSU. 60, 1, (01, 2009)
75
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