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「私的所有制度と労働関係の
「
私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」
153
序
目
次
私 的 所 有 の成 立 と 共 同 所 有 及 び 共 同 労 働 関 係 の解 体
資 本 主 義 の前 期 的 段 階 に お け る私 的 所 有 と労 働 関 係
高
史 的 沿 革 及 び そ の 法 理 ﹂◎
私 的 所 有 制 度 と 労 働 関 係 の史 的 沿 革
労 働 関 係 の史 的 沿 革 を め ぐ る方 法 論 に つ い てー
説
﹁
私 的所 有 制 度 と 労 働 関係 の
第 一部
第 一節
私的 所有化 と奴隷 労働 関係
前 資 本 主 義 社 会 の私 的 所 有 と 労 働 関 係
第 二節
私 的 所 有 の封 建 的 支 配 と身 分 的 労 働 関 係
第 ︼章
第 三節
第 一節
資 本 制 私 的 所 有 の確 立 と 自 由 労 働 関 係
資 本 主 義 社 会 の私 的 所 有 と 労 働 関 係
第 二節
資 本 制 私 的 所 有 の独 占 化 と階 級 的 労 働 関 係
第 二章
第 三節
私 的 所 有 制 度 と労 働 関 係 の法 理
結 語 に か え て (以 上 前 稿 )
第 二部
橋
保
154
所 有 権 制 度 及 び 労 働 関 係 に お け る 二大 法 思 潮
古 代 ロ ー マ法 に お け る 個 人 主 義 的 所 有 権 制 度 と 賃 貸 借 (
Hへ
OO拶梓
凶
O OO︼
P山口O梓一
〇)
第 一章
第 一節
中 世 ゲ ル マ ン法 に お け る 団 体 主 義 的 所 有 権 制 度 と 主 従 契 約 (
目お 巳 凶
o霧 貯 o冨冠 σq) (以 上 本 稿 )
所 有 権 制 度 及 び 労 働 関 係 に お け る 二大 法 思 潮
古 代 ロー マ法 に お け る個 人 主 義 的 所 有 権 制 度 と 賃 貸 借
(
一
〇〇簿鉱o oo巳 ⊆o鉱o)
﹁自 由 の 原 理 ﹂ 基 盤 に お け る 私 的 所 有 権 制 度 と 雇 傭 契 約 (次 稿 )
第 二節
第 二章
第 一章
第 一節
一 労 働 関 係 を 経 済 状 態 に お い て把 握 す る な ら ば 、 労 働 力 と 生 産 関 係 (生産 手段 ) と の結 合 関 係 で あ る と い え る 。
そ し て 、 こ の結 合 関 係 に お いて は 、 生 産 手 段 に 対 す る 私 的 所 有 の社 会 的 機 能 と し て の経 済 活 動 が 中 心 的 な 地 位 を 占 め
て い る の であ る 。 つま り 、 生 産 手 段 に 対 す る私 的 所 有 が 、 単 に 観 念 的 な 静 止 状 態 に 止 ま る こ と な く 、 そ れ が 動 態 と し
て の経 済 活 動 を す る 揚 合 に 、 は じ め て そ こ に 労 働 関 係 が 形 成 さ れ る の で あ る 。 従 って 、 中 心 的 な 地 位 を 占 め る 私 的 所
有 が 、 い か な る経 済 的 活 動 と し て の社 会 的 機 能 を 発 揮 す る か に よ って、 そ こ に形 成 さ れ る 労 働 関 係 の形 態 が 異 ってく
る の で あ る。 こ の点 に つ い て は 、 既 に第 一部 (﹁
創価法 学﹂第 二巻第 一号掲載 ) に お い て 歴 史 的 に 粗 描 し た と お り で あ る。
の言 葉 を
そ こ で の主 た る 目 的 は 、 経 済 状 態 に お け る 私 的 所 有 と労 働 関 係 の形 態 を 沿 革 的 に考 察 す る こ と に あ った 。 し か し 、
﹁総 て の経 済 的 制 度 (
鼠円
房∩冨 庄 8冨 置 ω
什
巨 鉱8 ①ロ)は 、 同 時 に 法 律 制 度 で あ る 。
﹂ と いう カ ルネ ル (
内餌導9
(1 )
侯 つま でも な く 、 経 済 状 態 に お け る 私 的 所 有 及 び 労 働 関 係 は 、 す な わ ち 法 律 状 態 の そ れ と し て把 握 し 得 る。 つ ま り 、
中 心 的 な 地 位 を 占 め る 私 的 所 有 と そ れ に よ っても た ら さ れ る労 働 関 係 は、 法 律 状 態 に お け る ﹁所 有 権 ﹂、 そ れ を 根 幹
と す る 私 的 所 有 制 度 そ れ 自 体 で あ り 、 そ の発 露 の結 果 で あ る と 解 せ ら れ る の で あ る 。 も と よ り 、 そ の場 合 に お い て
も 、 私 的 所 有 制 度 、 と り わ け そ の根 幹 で あ る所 有 権 に つ い て の法 規 定 の存 在 の有 無 が 問 題 と さ れ る 。 そ し て若 し 、 所
有 権 に つ い て の法 規 定 若 し く は そ の権 利 に つ いて の法 律 実 態 が 存 在 す る 場 合 に は 、 法 律 制 度 と し て の私 的 所 有 制 度 、
私 的 所 有 制 度 に つ い て 規 定 し た 最 古 のも の は 、 古 代 ロー マ法 であ る 。 周 知 の如 く 、 学 者 に よ る 間 接 的 資 料 に よ
キ の み が 国 家 の ﹁共 有 地 ﹂ の 上 に 事 実 上 の所 有 権 を 取 得 す る に 至 った 。 か く て 、 ロ ー マ の征 服 戦 争 に よ る 国 家 の ﹁共
し 、 そ の 後 国 家 の ﹁土ハ
有 地 ﹂ は、 バ トリ キ (
℃四鍵一
〇=)
1 貴 族 1 の利 益 の た め で あ る と 観 念 せ ら れ 、 特 権 の有 す る バ ト リ
土ハ
同 用 益 と さ れ て い た 。 こ の 国 家 の ﹁共 有 地 ﹂ は 、 ゲ ル マ ン 法 の ﹁総 有 地 ﹂ に ほ ぼ 該 当 す る も の と 解 せ ら れ る 。 し か
て 行 使 さ れ た の で あ る 。 征 服 地 の 土 地 は 、 共 和 制 初 期 に お い て は 、 国 家 の ﹁土ハ
有 地﹂ (
⇔σq9 窟 霞 2 ω) と さ れ 、 人 民 の
る 。 そ し て 、 征 服 地 に お い て は 、 そ の国 民 を 従 属 化 し 、 そ の統 制 は 、 権 力 統 制 、 つま り 、 絶 対 無 制 限 の統 治 権 に よ っ
と を 理 解 し な け れ ば な ら な い。 つま り ロー マ の国 は 、 最 初 か ら 、 征 服 と 略 奪 に よ る 軍 国 と し て編 制 さ れ た も の で あ
察 し て み る こ と に す る 。 ロー マ法 の 私 的 所 有 権 の 確 立 は 、 ロー マ帝 国 が 形 成 さ れ た 歴 史 的 事 情 と 深 く 関 係 し て い る こ
る 。 以 下 、 か よ う な 個 人主 義 に 基 礎 を 置 く 私 的 所 有 権 に 重 点 を お き 、 そ れ が 確 立 さ れ た 社 会 的 経 済 的 背 景 に つ い て考
ら 理 解 さ れ る よ う に 、 ロ ー マ法 上 の 所 有 権 制 度 は ﹁自 由 な る 所 有 権 ﹂ を 根 幹 と す る 個 人 主 義 的 な 私 的 所 有 権 制 度 で あ
由 に し て無 制 限 ﹂ (
宰 。旨①搾 巷 ロ d菩 。ω。耳 似艮 9 Φ淳 締 。・国 αqΦ暮 ロヨω)な も の と し て 観 念 さ れ て い る の で あ る 。 こ の こ と か
所 有 権 ﹂ と し て 規 定 さ れ て い る 。 そ し て 、 そ の こ と に 由 来 し て 、 一般 的 に ロー マ 法 上 の 所 有 権 概 念 は 、 ﹁所 有 権 は 自
(2 )
る も の で あ る が 、 そ の最 古 の法 典 で あ る ﹁十 二表 法 ﹂ (
いo× 創ロoα8葺 ↓鋤げ三碧ロ日)に お い て は 、 所 有 権 は 、 ﹁自 由 な る
二
制 度 及 び 労 働 関 係 に つ い て論 ず る こ と は 、積 極 的 な 意 味 が な い と 思 考 す る 。
も い え る こ と は 言 を 侯 た な い。 そ の意 味 に お い て 、 原 始 社 会 の末 期 に お い て単 に経 済 的 実 態 の中 で確 立 し た 私 的 所 有
従 って 、 そ の法 理 を 展 開 す る こ と が 当 然 可 能 な の で あ る 。 こ の こ と は 、 労 働 関 係 に つ い て の法 規 定 が 存 在 す る揚 合 に
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」
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﹁共 有
有 地 ﹂ の 拡 大 は 、 必 然 的 に バ ト リ キ の土 地 に 対 す る 私 的 所 有 権 を 拡 大 強 化 す る こ と に な った 。 そ し て 、 バ ト リ キ は 、
自 か ら の土 地 に 多 数 の奴 隷 労 働 を 投 入 し な が ら 、 ま た 他 方 に お い て そ の勢 力 を 拡 大 し な が ら 、 次 第 に 国 家 の
﹁私 的 所 有
地 ﹂ 及 び そ の 生 産 関 係 を 独 占 し て い った の で あ る 。 ロー マ法 は 、 か よ う な バ ト リ キ に ょ る 、 土 地 に 対 す る 事 実 上 の所
有 権 に 対 し て 、 保 護 せ ざ る を 得 な か った の で あ る 。 こ こ に 、 ロ ー マ法 に お い て 、 バ ト リ キ を 中 心 と す る
権﹂(
OOH
ロ一
昌凶
口H
口) の 確 立 が な さ れ る の で あ る 。
以 上 の歴 史 的 事 実 か ら 理 解 さ れ る よ う に 、 ロー マ法 の 私 的 所 有 権 は 、 権 力 的 な 征 服 と 略 奪 の 所 産 で あ る 。 そ れ は ま
さ に ﹁自 利 追 求 ﹂ の 権 化 で あ り 、 ﹁我 欲 的 戦 闘 ﹂ の 収 穫 物 で あ る 。 ま た 、 そ れ 故 に こ そ ロ ー マ の ド ミ ニウ ム (
ユ08葭二目)
の 中 に は 、 ﹁ト ル ﹂ (
昌①げ日①口)
、 ﹁搾 取 す る ﹂ (
き ωぴ。葺魯 ﹀
、 ﹁侵 略 す る ﹂ (
8 需 H⑦)
、 ﹁略 奪 す る ﹂ (
円巷 9 。)等 の 意 味 合 い が 帯
(3 )
有 さ れ て い る の で あ る。 そ し て、 こ れ ら の歴 史 的 事 情 か ら く る ロー マ の私 的 所 有 権 の概 念 は 、 所 有 権 を し て、 征 服 意
識 を 中 心 と し た 法 構 造 と し て の性 格 を 与 え て い る ので あ る。 つ ま り 、 征 服 と 略 奪 の所 産 と し て の所 有 権 は、 な に よ り
も 絶 対 無 制 限 の統 治 権 を 大 前 提 と し て い る 。 従 って所 有 権 も 、 絶 対 不 可 侵 に し て排 他 的 な 権 利 性 格 を 有 す る こと に な
る 。 し か る に 、 所 有 権 が 絶 対 不 可 侵 、 排 他 的 な 権 利 と し て存 在 さ せ る た め に は 、 究 極 的 に は そ の権 利 の帰 属 主 体 、 権
利 主 体 を 明 ら か に す るも の で な け れ ば な ら な い。 蓋 し、 例 え ば 土 地 の ﹁共 有 権 ﹂ の 規 範 構 成 に お い て は 、 権 利 の絶 対
不 可 侵 性 及 び 排 他 性 は、 決 し て存 在 し な いか ら で あ る 。 か く し て 、 ロー マ法 に お け る 私 的 所 有 権 は 、 そ の権 利 の帰 属
(4 )
主 体 と し て の ﹁個 人 ﹂ を 規 範 構 成 す る こ と に な った の であ る 。 因 に 、 私 的 所 有 権 を 中 心 と す る ロー マ法 が 、 ﹁完 全 に
独 自 的 な 人 格 の法 ﹂ で あ る と い わ れ る のも 、 上 述 の如 く 、 究 極 的 な 権 利 主 体 と し て の ﹁個 人 ﹂ を 規 範 構 成 し、 そ の自
由 意 思 を 前 提 と す る と こ ろ に あ る と 解 せ ら れ る。 従 って 、 ロー マ法 上 の所 有 権 は 、 個 人 主 義 に 立 却 し た 私 的 所 有 権 で
あ り 、 そ れ を 根 幹 と す る 私 的 所 有 制 度 は 、 個 人 主 義 的 理 論 に お い て 把 握 さ れ る の で あ る。
か よ う な ロー マ法 の 私 的 所 有 権 制 度 は 、 古 代 資 本 主 義 を 教 示 す る も の で あ り 、 ゲ ル マン法 と の対 抗 相 剋 を 経 な が ら
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次 に 、 ロー マ法 上 の労 働 関 係 に つ い て考 察 す る こ と に す る 。
も 、 一九 世 紀 全 般 の経 済 制 度 、 法 律 制 度 に強 く 影 響 を 与 え た も の で あ る こと は こ こ で指 摘 す る ま で も な い。
三
既 に 、 第 ︼部 の ﹁私 的 所 有 制 度 と 労 働 関 係 の史 的 沿 革 ﹂ の と こ ろ で 、 古 代 ロー マ の経 済 状 態 の中 に は、 ﹁奴 隷 労 働
関 係 ﹂ 及 び ﹁自 由 人 相 互 の労 働 関 係 ﹂ が 存 在 し た こと を 明 ら か に し た 。 し か し 、 古 代 ロー マ法 に お い て は 、 近 代 市 民
法 の如 く 、 労 働 関 係 に つ い て の法 規 定 は 存 在 し て いな い。 し か ら ば 、
古 代 ロー マ法 に お い て は 、
労 働 関 係 に つい て い か
な る 位 置 づ け を し て い た と 解 せ ら れ る か 。 古 代 ロー マに お け る 労 働 関 係 、な か ん ず く 奴 隷 労 働 関 係 に お い て は 、
独立 し
の概 念 の 中 に 含 ま れ な か った 。そ れ
た 自 由 人 格 相 互 の対 立 関 係 と し て構 成 さ れ て いな か った 。 つま り 、 ロー マ法 に お い て は 、 私 的 所 有 権 の権 利 主 体 は 自
(5 )
由 人 と し て の ﹁個 人 ﹂ (
℃ΦHω。口)に 限 ら れ て い た 。 奴 隷 の 如 く 不 自 由 人 は 、 零 ﹁ω8
の み か 、 ロー マ法 に お い て は 、 奴 隷 を し て 権 利 の 客 体 た る ﹁物 ﹂ (
目
Φの)と さ れ た の で あ る 。 と き に 、 上 述 の 如 く 、 ロー
マ 法 上 の 私 的 所 有 権 は 、 絶 対 無 制 限 の 統 治 権 を 前 提 と し た 絶 対 的 、 完 全 統 一的 な 支 配 権 で あ る 。 従 っ て 、 奴 隷 所 有 者
教 授 が 述 べ て い る よ う に 、 魚 の 餌 食 と し て 、 そ の生 命 を 剥 奪 す る こ と も 可 能 で あ った 。
は 、 こ の 物 た る 奴 隷 に 対 し て は 絶 対 的 な 支 配 権 を 有 す る の で あ る 。 奴 隷 酷 使 に よ る 強 制 労 働 は も と り 、 ユ ル ゲ ン ・ク
チ ン スキ (
冒 Hσq窪 囚二6N醤 ω5
こ の こと か ら 理 解 さ れ る よ う に 、 奴 隷 所 有 者 と 奴 隷 と の問 に は 、 絶 対 服 従 命 令 の労 働 関 係 が 経 済 状 態 の中 に 事 実 上 実
在 し た け れ ど も 、 法 律 状 態 と し て の労 働 関 係 と し て は 存 在 す る 余 地 が な か った の で あ る 。
さ て 、 奴 隷 は 物 で あ る か ら 、 奴 隷 所 有 者 は自 由 に そ の物 を 権 利 の客 体 と し て利 用 す る こ と が で き た 。 例 え ば 、 奴
(6 )
隷 所 有 者 が 、 第 三 者 の需 要 の た め に 、 奴 隷 を 貸 与 す る こ と も 自 由 に 行 わ れ た の で あ る 。 そ の場 合 、 奴 隷 は 、 物 で あ る
の制 度 に は 、 三 つの 法 形 態 が 存 在
した 。
つま り 、
﹁請 負 ﹂ (
一
8讐δ
o℃臼 騨≡ ヨ )、 ﹁委 任 ﹂ (
日碧 量 ε 目 ) で あ る 。 § 豊 。 8 巳 暮 け
ご の制 度 は 、 上 述
8 巳 9 什δ
か ら 、 ﹁賃 貸 借 ﹂ (
一
〇〇⇔け一
〇 60口
P創¢O叶一
〇 H①凶
) の 形 態 を と っ た 。 し か る に 、 こ の § 註 。 8 巳 琴 戯。 は 、 自 由 人 相 互 の 契 約 で あ
った 。 そ し て 、 こ の ロ ー マ 法 の 一
8 ・。ぎ
2 巳 砦 什一
。 。速 蕃 )
、 ﹁雇 傭 ﹂ (
δ。慧 o 。8 a 。ぎ
の 三 つ の 形 態 を 総 括 す る も の で あ っ た 。 第 一の ﹁請 負 ﹂ 形 態 は 、 モ ム ゼ ン (
竃 。ヨ ヨω。p) に よ れ ば 、 請 負 契 約 と 同 じ く
す る も の で は な く 、 ロー マ の官 史 が 、 自 己 の身 分 に 相 応 し な い 下 級 労 働 (
鯛翫訟勤)を 奴 隷 に さ せ る と き に 、 第 三 者 か ら
﹁委 任 ﹂ は 、 ﹁上 級 民 の 労 働 ﹂ (
名 ①鎚 o ぎ 醇 巴oω)
奴 隷 を 賃 貸 す る 場 合 で あ る 。 第 二 の ﹁雇 傭 ﹂ は 、 ロー マ の 国 家 が 、 経 済 的 施 設 の た め に 必 要 な 労 働 を 調 達 す る た め
に 、 奴 隷 を 伴 った 私 企 業 と 契 約 し て 労 働 さ せ る 場 合 で あ る 。 第 三 の
(
美
例術
え家
ば 建
法築
律家等医者) に 限 定 さ れ て 締 結 さ れ る 契 約 で あ る 。 以 上 の 三 形 態 は 、 上 述 の 如 く す べ て 賃 貸 借 の 制 度 の 中 に 総 括
﹁委 任 ﹂ に お い て は 、 原 則 と し て 好 意 的 労 働 、 従 っ て 無 報 酬 と さ れ な が ら も 、 国×#8 径 富 層冨
さ れ る も の で あ り 、 実 際 に は そ の 区 別 は 明 確 で は な い 。 例 え ば 、 ﹁請 負 ﹂ と コ雇 傭 ﹂ に お け る 労 働 給 付 に 対 し て は 、
有 償 と さ れ、 後 者 の
﹁謝 金 ﹂ (
げO捧O同餌円一
口旨P) と いう 報 酬 が 支 払 わ れ た 。
(7 )
﹁委 任 ﹂ に お い て は 、 労 働 の 給 付 に 対 す る 報 酬 を 法 律 的 に 請 求 す る 権 利 が 認 め ら れ て い な か った と い え る 。
O。ぴqp三 。 の 形 式 に よ る 特 別 訴 訟 手 続 に よ って 許 容 さ れ た 場 合 の み 、
従 って 、
にお いて は、物 の 一
。8 梓帥
。8巳 琴 ぎ
つま り 奴 隷 人格 を 非 人 格 的 な も の と し
以 上 の ロ ー マ法 上 の § 拶鉱。8 巳 9 鉱。 は 、 今 目 の も の と 比 較 し て 二 点 に お い て 重 要 な 相 違 を 見 せ て い る 。 第 一は 、
自 由 人 相 互 の契 約 で あ る 一
。。
蝕 。8巳 琴 9
て 取 扱 わ れ て い る 点 で あ る 。 第 二 は 、 ﹁上 級 民 の 労 働 ﹂ は 無 償 と さ れ た 点 で あ る 。 後 者 は 、 古 代 ロー マ に お い て 、 自
由 人 が 一定 の 報 酬 を 得 て 労 働 を 給 付 す る こ と は 、 最 も 恥 づ べ き も の 卑 下 す べ き も の と い う 支 配 観 念 が あ っ た こ と に 基
(8 )
因 し て い る 。 も っと も 、 か よう な 上 級 民 に よ る無 報 酬 の労 働 給 付 も 、 後 代 に 至 って 、 ﹁謝 金 ﹂ に つ い て の法 律 上 の保
所 有 権 ) を 拡 大 し 、 そ の私 的 所 有 化 で 、 特 質 形 態 と し て 奴 隷 労 働 関 係 を 形 成 し た 。 そ し て 、 か よ う な 経 済 状 態 に基 礎
四 、 征 服 と 略 奪 の国 、 古 代 ロー マは 、 そ の経 済 状 態 に お い て、 主 と し て土 地 に 対 す る 自 由 人 の私 的 所 有 (私 的 土 地
形 成 せ し め た こと に あ る。
労 働 関 係 に 対 す る 特 質 と し て は 、 奴 隷 を し て 物 同 様 に 取 扱 う こ と に よ って 、 物 の 一
8蝕 。8巳 9 二。 と し て 労 働 関 係 を
護 を 求 め る意 識 が 高 ま り 、 次 第 に 下 級 民 の労 働 と 同 様 に 報 酬 請 求 権 が 認 め ら れ る よ う に な った 。 従 って、 ロー マ法 の
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私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」
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を お く ロー マ法 は 、 国 益 の た め に な に よ り も 自 由 人 の私 的 所 有 権 を 確 立 す る こと に な った 。 し か し 、 確 立 さ れ た 私 的
所 有 権 の概 念 は 、 今 日 の 如 き 相 対 的 な も の で は な く 、 支 配 意 識 を 含 む絶 対 的 な 権 利 で あ った 。 そ し て 、 こ の絶 対 権
が 、 労 働 関 係 に作 用 し た 所 産 は 、一
。8ユ。8昌身 a 。 の形 式 に よ る 奴 隷 の側 の不 自 由 労 働 関 係 で あ った わ け で あ る 。し か
る に 、 そ の根 本 的 背 景 は 、 単 に 、 私 的 所 有 権 が 自 由 人 のみ に 法 認 さ れ た こと 、従 って奴 隷 は 不 自 由 人 で あ り 、 物 であ
った こ と 等 に 求 め る べ き で は な い。 む し ろ 、 絶 対 不 可 侵 、 排 他 的 な 所 有 権 、 奴 隷 の 一
。
。
9言 。
。
巳 ロ。鉱。 と いう 法 律 的 規
範 構 成 を さ せ る 社 会 的 経 済 的 政 治 的 背 景 、 つま り 、 征 服 と 略 奪 に よ る勝 利 国 と し て の権 力 的 絶 対 無 制 限 の統 治 に求 め
る べ き と 解 す る 。 ロー マ法 の私 的 所 有 権 は 、 こ の背 景 に 由 来 し て ﹁自 由 な る所 有 権 ﹂ と し て 概 念 構 成 さ れ て い る の で
あ る。 し か し 、 そ の権 利 は 平 和 時 に お け る自 由 を 指 標 し て いる と 同 時 に 、 征 服 、 略 奪 か ら く る支 配 意 識 を 帯 有 さ せ て
い る の で あ る 。 そ れ 故 、 か よ う な 所 有 権 の社 会 的 機 能 と し て形 成 さ れ る 労 働 関 係 に お い て は 、 奴 隷 所 有 者 に奴 隷 の 人
格 意 識 を 潜 在 さ せ な が ら も 、 法 的 権 力 的 に は 、 非 人 格 化 し た 単 な る物 の財 産 的 価 値 と し て把 握 す る こ と に な り 、 そ の
こ と に基 因 し て物 の § 蝕 。 8旨自 亀 。 と さ れ る の で あ る 。
最 後 に 、 か よ う な ロー マ法 の私 的 所 有 権 は ゲ ル マ ン法 と の対 抗 相 剋 を 経 な が ら も 、 近 代 法 の根 幹 と な って い った こ
と 、 ま た そ の 下 で の § 銭 。8 巳 ロ銭 。 も 近 代 法 の ﹁雇 傭 ﹂ の起 源 に な り 得 た こ と に つ い て 触 れ て お き た い。 ま ず 前 者
の私 的 所 有 権 が ロー マ法 に よ って 承 認 さ れ る こと に な った の は 、 上 述 の よ う に、 ロー マ の国 益 に結 び つ いた か ら で あ
る 。 つま り 、 国 家 の生 産 力 を 増 大 し 且 つ経 済 的 能 率 を 増 進 し て経 済 活 動 を 繁 栄 さ せ る た め に は 、 ﹁自 利 心 ﹂ を 基 調 と
(9 )
す る 私 的 所 有 権 を 法 認 す る こ と が 必 要 で あ る と 思 慮 さ れ た の で あ る 。 従 って ロー マ法 上 の私 的 所 有 権 の中 に は 、 資 本
主 義 的 法 理 を 底 流 さ せ て い る の で あ り 、 そ れ を 古 代 資 本 主 義 と し て体 現 さ せ た も の と解 せ ら れ る 。 こ の古 代 ロー マ法
の所 有 権 に お け る 資 本 主 義 的 法 理 は 、 中 世 ゲ ル マ ン法 の台 頭 に よ り 、 あ る い は挫 折 的 徴 候 を 見 た か のよ う に 思 わ れ た
が 、 中 世 ゲ ル マ ン法 の 胎 内 で脈 々 と 生 き の び 、 や が て資 本 主 義 組 織 の確 立 と 共 に近 代 法 の中 に 復 活 し て い つた の であ
160
る 。 次 に 、 ロ ー マ法 上 の § 巴 。 8 邑 暮 ぎ
は 、 現 実 的 な 奴 隷 労 働 関 係 の擬 制 の上 に 形 成 さ れ た自 由 人 の契 約 に よ る 労
働 関 係 で あ る 。 そ こ で は 奴 隷 と い う 主 体 的 側 面 を 除 外 す る と 、 自 由 人 相 互 の労 務 の給 付 と 報 酬 と い う 債 務 契 約 で あ
り 、 債 務 関 係 を 形 成 し て い る 。 こ の 点 は 、 後 述 す る 如 く 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 上 の ﹁主 従 契 約 ﹂ ↓同2 血δ口の什
くΦ葺 。σq と は 原
理 的 に 異 る の で あ る 。 周 知 の如 く 、 ロー マ法 の § 銭 。 8 巳 口& 。 と 中 世 ゲ ル マ ン 法 の ↓δ ロoδ霧 曾 9#国αq と を 比 較 し 、
(10 )
い ず れ が 近 代 法 の ﹁雇 傭⋮
﹂ の 起 源 を な し た か に つ い て学 説 上 の 対 立 が あ る 。 後 者 を そ の 起 源 な り と す る こ と は 、 ギ ー
ルケ (
虫 臼閃) に よ って 代 表 さ れ る 。 し か し 、私 見 に よ る と 、近 代 法 た る も の は 、古 代 ロー マ法 、中 世 ゲ ル マ ン 法 に 比 較
し て 、 よ り ﹁近 代 性 ﹂ を 有 し な け れ ば な ら な い こ と は 必 然 的 な 命 題 で あ る 。 し か る に 、 近 代 法 の 指 導 原 理 が 示 す よ う
に 、 且 て の身 分 的 拘 束 か ら 人 間 を 解 放 し 、 自 由 、 平 等 の原 理 を 貫 徹 す る と こ ろ に ﹁近 代 性 ﹂ が あ る 。 し か る に 、 中 世
ゲ ル マ ン 法 の ↓お巳 冨口ω才 Φ村
9 αq に お い て は 、 ま さ に 身 分 契 約 で あ る 点 に お い て 特 徴 づ け ら れ る 。 も と よ り 、 近 代 法
(
とく
の
︼般
に民
わが
法国)に お い て も 、 身 分 契 約 的 な 色 彩 は 多 分 に 残 存 さ せ て い る 。 従 っ て 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 の ↓.。⊆&。昌、ひ
く。.什
.餌σq
を 全 然 踏 襲 し て い な い と は 断 言 で き な い で あ ろ う 。 こ れ に 対 し て 、 ロ ー マ法 の ざ。讐δ 8 巳 口。けδ は 、 奴 隷 を し て 物 と
し て 且 つ 奴 隷 労 働 関 係 の 擬 制 上 に 形 成 さ れ る 自 由 契 約 で あ る と いう 、 非 近 代 性 は 有 す る が 、 そ の自 由 人 の 契 約 に お い
て は 、 独 立 人 格 を 前 提 と し て 、 一定 の労 務 と そ れ に 対 す る 報 酬 と い う 債 務 関 係 を 形 成 す る も の で あ る 。 こ れ は 、 近 代
市 民 法 に お け る雇 傭 契 約 と概 念 的 に 同 じ く す る も の であ り 近 代 性 が あ る 。 以 上 の こ と か ら 、 近代 法 の雇 傭 は 、 ロー マ
法 大 系 に 至 る 歴 史 的 過 渡 期 と し て 、 ゲ ル マ ン 法 の ↓お巳 冨pω
貯 。答鎚 αq を 踏 襲 し て き た も の と 解 せ ら れ る 。 従 っ て 、 そ
我妻
(﹁近 代 法
9 ●い 囚 餌ヨ Φさ Uδ ω。N芭 。 岡ロ巳ハ
巳 昌 α興 寄 。巨 ω鉱ε 8 σo。。o包 臼 の 9 ω 田 αqo口ε 目 こ。.竃 碧 ×虫 巳 δP bd血] ℃ 一8 癖。
こ で は 依 然 と し て 、 ロー マ法 の 一
。8 9 8 巳 ぎ 怠。 に お け る 近 代 性 が 主 た る 起 源 と な っ て い た と 解 す る の で あ る 。
ω
栄 著 、 ﹁資 本 主 義 生 産 組 織 に お け る 所 有 権 の 作 用 ﹂ ー 資 本 主 義 と 私 法 の 研 究 へ の 一寄 与 と し て の カ ル ネ ル の 所 論 ー
に お け る 債 権 の 優 越 的 地 位 ﹂ 所 収 )。 カ ル ネ ル は 、 前 記 ﹁法 律 制 度 特 に 所 有 権 の社 会 的 作 用 ﹂ に お い て 、 当 時 社 会 科 学 者 間 の
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」
1.61.
②
㈲
烈 し い論 争 の的 であ った ﹁法 律 と経 済 と の関 係 ﹂ に つ い て、 法 律 と経 済 と の間 に相 互 的に条 件 と な る関 係 のあ る こ とを 認 め る
の み な らず 、 社 会 の経 済 関 係 は常 に法 律 によ って規 律 され る も の で あ る と さ れ て い る。
十 二表 法 (紀 元前 四 五 一∼ 四 四 八年 ) は、 ロー マ慣 習 法 の発 達 、 促 進 の上 に制 定 さ れ た ロー マ法 制 上 最 古 の法 典 で あ る。 こ
の 法 典 は 、 既 存 の慣 習 法 の 一部 を 集 録 確 立し て 、 ま た 多 少 の修 正 規 定 を 附 加 し て 編 纂 さ れ たも の であ り 、 決 し て統 一的 組 織 的
に 国 民 の法 生 活 の凡 ゆ る 方 面 を 規 制 す る規 定 で は な い (船 田 享 二著 ﹁法 律 思 想 史﹂ 一五 〇 頁 )。 し か し 、 こ の 十 二表 法 に お い
て は 、 相 続 (第 五 表 )、 家 屋 、 土 地 の権 利 (第 七表 ) と 並 ん で 、 所 有 、 占 有 、 契 約 法 (第 六 表 ) を 規 定 し 、 特 に 後 者 の第 六表
の所 有 、 占 有 、 契 約 法 は 、 国 民 の私 法 生 活 に お い て根 本 的 な も のを 規 定 し て い る と いえ る 。 因 に 、 こ の法 典 は 、 ロー マ法 典 の
精 神 とな り、長 く支 配 したも のであ ると解す る。
ロー マ法 の征 服 と 略 奪 は 、 バ ト リ キ に と って 、 ﹁私 有 地 ﹂ (
αo巨 暑 ヨ)拡 大 のた め の軍事 的 理 想 で あ った 。 そhし て そ の理 想
が す べ て 、 ロー マを 戦 場 に 馳 駆 せ し め 、 武器 と 多 数 の捕 虜 (奴 隷 ) は も と よ り 、 広 大 な 植 民 地 を 獲 得 さ せ た の であ る 。 か く し
て 成 立 し た ﹁私 的 所 有 権 ﹂ (
ユ。巳 崖 日) の中 に は 、前 記 蓉 げヨoP 碧 ωげΦ暮 窪 。碧 。H
。 鑓需 お 等 の要 素 が 包 含 さ れ て いる と す
る 見 解 (平 野 義 太 郎 著 、 ﹁法 律 に お け る 階級 闘 争 ﹂ 七 二頁 ) は 、 軍 事 国 と し て編 成 さ れ て き た 古 代 ロ; マの社 会 的 事 情 を 鑑 み
橋 本 文 雄 著 、 ﹁社 会 法 と 市 民 法 ﹂ 一四 九 頁 。
ると 、説得 性が あ り 、妥当 と解 せら れる。
圃
ロー マ法 の人 (
勺①屋o昌) の中 に は 、 三 つの種 類 が あ った 。 す な わち 、 一
ま興β陣一
P o三 母鉱ω℃貯 臼臣巴 であ る。 奴 隷 は 、 物 と
﹁賃 貸 借 ﹂(
一
〇。讐陣
0 8 巳 口。菖o)は 、 ロー マ法 に お いて は ﹁売 買 ﹂(
①日言 o <o巳 憲 o)に次 ぐ 重 要 な 法 律 行 為 であ った 。 両 者
団 体 の構 成 員 で な か った こ と に 基 因 し て い る。 石 田 文 次 郎 著 ﹁財 産 法 に 於 け る 動 的 理 論 ﹂ 六- 七 頁 。
は 、 ロー マ法 の如 く 物 で は な く 、 奴 隷 と し て の権 利 を 有 し て いた 。 し か し 、自 由 人 と し て の権 利 義 務 を 有 し な い の は 、奴 隷 が
念 で は な く 、 あ る団 体 の構 成 員 で あ る こと に お いて 、 人 と し て の権 利 義 務 の資 格 が 認 め ら れ て い た 。 ま た 、 ゲ ル マ ン法 の奴 隷
し て 、 主 人 の私 的 所 有 権 に 服 し て いた 。 こ の点 、 ゲ ル マ ン法 に お け る 人 (
弓o誘o口)は 、 ロ; マ法 に お け るが 如 く 、 抽 象 的 な 概
㈲
㈲
の契 約 の法 律 構 成 は 、 共 に 諾 成 的 の双 務 契約 であ り 、 し か も 一方 の当 事 者 の給 付 が 金 銭 の支 払 い で あ る こと に お い て近 似 し て
の場 合 は 、 金 銭 (賃 金 日 98 。・) と 財 貨 の利 用 と の交 換 が あ る のみ であ る こ と に お い て 、 一般 的 に 異 って いる 。 末
い る 。 し か し 、 両 者 に お い て は 、 o日 讐δ <⑦巳 圃
けδ の場 合 は 、 金 銭 (代 金 冒 o什冒ヨ)と 所 有 権 の交 換 が あ る のに 対 し て 、δ8 什
δ
60巳 ロ。9
川 博 著 ﹁民 法 に 於 け る特 殊 問 題 の研 究 ﹂ 所 収 コ雇傭 契 約 発 展 の史 的 考 察 ー ギ ー ル ケ ﹃雇 傭 契 約 の起 源 ﹄ に就 てー ﹂ 四 五 三 頁 。
162
ω
永 井 雄 尚 稿 ﹁(労 働 法 の原 則 ) 殊 に 労 働 契 約 に 就 て ﹂ ﹁司 法 研 究 ﹂ 第 五輯 ︼九 ∼ 二 〇 頁 。 津 曲 蔵 之 丞 著 ﹁労 働 法 原 理 ﹂ 一二 一
二
孫 田 秀 春 著 ﹁労 働 法 総 論 ﹂ 九 七頁 。
∼ 一二 四 頁 。
圖
平 野 義 太 郎 著 ﹁前 掲 書 ﹂七 八 ∼ 七九 頁 。 し か し 、 バ ト リ キ の私 的 所 有 権 を 法 認 し た 背 景 に 、 既 に バ ト リ キ が 自 己 の私 的 所 有
ギ ー ル ケ は 、 近 代 法 の コ雇傭 ﹂ の起 源 と し て 、 中 世 ゲ ル マン法 に お け る ↓≡ 。旺o霧 耳2 #9ひq、 と り わ け そ の身 分 的 な 主 従 関
地 (Oo日貯億日)を 拡 大 し 、 国 家 の生 産 関 係 を 事 実 上 独 占 し て いた 経 済 的 実 態 が 存 在 し て いた こ と を 留 意 す べき であ る 。
働
㈲
係 に 求 め て い る 。 つま り中 世 ゲ ル マン法 上 の ↓おロ島①昌ω零興 口⇔αq は 、 身 分 契 約 で は あ る け れ ど も ﹁此 の契 約 に よ って生 ず る
身 分 法 上 の関 係 か ら は 継 続 的 の債 務 関 係 が成 立 し 、 一方 は労 務 に 服 し 、 他 方 は 報 酬 を 与 う る 義 務 を 負 担 す る に 至 る ﹂。 と いう
債 務 契 約 た る特 色 を も ち 、そ れ が 次 第 に ド イ ッ法 の雇 傭 契 約 に 発 展 し た と さ れ る。 ま た 、 問 題 の身 分 的 拘 束 に つ いて は 、 ﹁労
務 者 は 労 務 に服 す べ き こ とを 約 す る に 因 って 謂 わ ば 其 人 格 の 一部 を使 用 者 に 捧 げ る も ので あ り ﹂、 今 日 の雇 傭 契 約 も ﹁人的 の
忠 順 義 務 ﹂ を 生 じ て い る ので あ ると さ れ る。 Oδ蒔 (
O暮o ︿oロ)⋮Uδ 芝 =﹃N①ぎ 鳥oωUδ霧 零 Φ答轟 αqoω肉 ⑦ω$6鐸 捧 隷 同出ΦぎN界げ
(
O魯 琶 留 嘗 。津 ロ巳 ○。ヨ。一
器 。冨 津 号 ω 国 σq魯 学
中 世ゲ ル マン法 の団 体 主 義 的 所 有 権 制 度 と 主 従 契 約 (
↓H2 aoロω宴o昏鑓 σq)
一般 的 に 、 ゲ ル マ ン 法 の 所 有 権 概 念 は 、 所 有 権 拘 束 、 所 有 権 共 同
第 二節
コ雇傭 契 約 発 展 の吏 的 考 察 ﹂ 四 五 三 頁 以 下 。
切毎 口器 さ Nロヨ h口腎 鼠σq嶽け属粛oロ 一
)o痒 oH冒 蓬 9 日 9日 .。。・b層 昌 H曾 心噂竃 口口9 ① 二6卜8 恩σq℃ 一㊤一♪ 末 川 博 ﹁前 掲 書 ﹂ 所 収
一
ロ日ω)の 思 想 を 中 核 と す る ﹁団 体 主 義 的 所 有 権 ﹂ と さ れ 、 ロ ー マ法 上 の 所 有 権 の絶 対 不 可 侵 性 、 排 他 性 の 思 想 を 中 核 と
す る 個 人 主 義 的 所 有 権 と 対 比 さ れ て い る 。 そ し て 、 宮 崎 教 授 に よ る と 、か よ う な 所 有 権 観 念 が 明 確 に な った の は 、古
(1 )
く 、 西 紀 三 、 四紀 頃 か ら 行 な わ れ た ゲ ル マ ン の民 族 移 動 (
<α涛①暑 巴 ①毎 口ぴq)が 、 農 業 、 牧 畜 を 中 心 と し て 固 定 的 に 定
住 す る よ う に な っ て か ら で あ る と い わ れ て い る 。 し か し 、 そ こ で の 所 有 権 概 念 は 、 古 代 ロ ー マ法 の 如 き 私 的 所 有 権 と
し て 把 握 さ れ る も の で は な く 、 土 地 総 有 関 係 に お け る O①蓄 お (占 有 ) の 性 格 を 有 し て い た と い え る 。 こ の点 の 歴 史 的
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」
X63
背 景 は 、 中 世 ゲ ル マ ン法 上 の封 建 体 制 を 形 成 せ し め る動 因 に な って い る の で 、 以 下 に そ の概 観 を 述 べ る こ と に す る。
古 代 ゲ ル マ ン の 民 族 移 動 は 、 血 族 を 中 心 と す る ω首勺。 (氏 族 ) に よ っ て 行 な わ れ た 。 こ の ω醤 。 は 、 次 第 に 好 適 地
に お い て 固 定 的 に 定 住 す る よ う に な り 、 部 族 を 構 成 し 、 そ れ を 単 位 と し て ﹁王 国 ﹂ (
閑欝 一
σqε ヨ) を 建 設 す る に 至 った 。
αq.p、 (氏 族 ) と 近 似 し て い る 。 さ て 、 こ の 血 族 団 体 で あ る ω首需 団 体 が 、 あ る 一定 の 土 地 に 固 定 的 に 定 住 す る よ
従 っ て 、 古 代 ゲ ル マ ン 王 国 の社 会 的 機 構 の単 位 は 、 血 族 を 中 心 と し た ω昼需 で あ った と 解 せ ら れ る 。 こ れ は 、 ロ ー マ
の
う に な る と 、農 業 、牧 畜 を 生 業 と し た 彼 等 に と っ て 、何 よ り も 土 地 が 重 要 な 位 置 を 占 め る 。 つま り 、 一定 の 土 地 で の 固
定 的 定 住 は 、 必 然 的 に 土 地 を 限 定 さ せ 、 そ れ に 対 し て は 、 事 実 上 長 期 的 な 所 有 若 し く は占 有 状 態 が 継 続 す る こ と に な
る 。 従 っ て 、 こ こ に 古 代 ゲ ル マ ン に お け る 所 有 権 観 念 が 明 確 に な った と す る 前 記 の 見 解 は 、 あ る 意 味 に お い て は 歴 史
的 事 情 に 合 致 し て い る か も 知 れ な い 。 し か し 、 古 代 ゲ ル マ ン に お い て は 、 土 地 に 対 す る 占 有 と 権 利 (所 有 ) は 明 確 に
区 別 さ れ た も の で は な く 、 む し ろ 、 こ の時 期 に お い て は 開 墾 土 地 を 生 計 の た め に 事 実 上 利 用 し て い る と いう 占 有 状 態
が 中 心 で あ った と い え る 。 私 見 に よ る と 、 こ の 部 族 時 代 に お け る 所 有 権 観 念 が 明 確 に さ れ る の は 、 部 族 と 土 地 の 対 外
的 な 関 係 若 し く は 状 態 で は な く 、 部 族 と そ の 構 成 員 で あ る ω昼窟 (
な
この揚台は個人の氏族では
く家長を中心とする家族)と の 対 内 的 関 係 若 し く は 状 態 に
お い て 、 土 地 が 分 割 占 有 さ れ る 過 程 で あ る と 解 す る 。 蓋 し 、 土 地 が 分 割 占 有 さ れ る 以 上 、 所 詮 そ の土 地 に 対 す る 帰 属
主 体 が 観 念 的 に 意 識 化 さ れ る か ら で あ る 。 ま た 土 地 が 分 割 占 有 さ れ る 過 程 に お い て 、 は じ め て 家 族 の =髪 ω ロ巳 国。h
(家 屋 敷 ) が 私 的 な Ω.≦。.。 の 状 態 に お か れ 、 そ こ に 強 い 所 有 権 観 念 を 把 握 で き る の で あ る 。 も と よ り 、 こ の こ と は
す べ て ωなo。 の 固 定 的 定 住 の 結 果 に 由 来 し て い る こ と は 言 を 倹 た な い 。 と も あ れ 、 古 代 ゲ ル マ ン 民 族 に お い て は 、 固
定 的 定 住 地 に お い て 、 事 実 上 土 地 の占 有 状 態 が 長 期 的 に 継 続 し 、 そ れ が 単 な る 土 地 の占 有 状 態 に 過 ぎ な い こ と か ら ・
上 述 の 如 ︽ 部 族 と ω首b。 の 対 内 関 係 に お い て 、 現 実 的 な 土 地 の 帰 属 主 体 が 問 題 と な った と 解 せ ら れ る 。 そ の 結 果 、 共
同 労 働 の 成 果 と し て の 土 地 は 、部 族 全 体 、 つ ま り ﹁族 産 ﹂ (
ω凶
箸 o浮 く⑦ヨ ασq魯 )と さ れ た の で あ る 。 か く し て 古 代 ゲ ル マ
164
﹁含 有 ﹂ (
田ひ
Q。ロけ
ニョ 、¢. αq。.餌巨 。β 国曽ロ位) と さ れ る
法 に 見 ら れ る如 く 、 個 人 を 本 位 と す る 私 的 所 有 権 の形 態 は存
ン に お け る 土 地 の 所 有 形 態 は 、 ﹁総 有 ﹂ (
O。ω9巨 。圃
σ
q8 ε ヨ )若 し く は
に 至 つ傭 )従 って ・ 古 代 ゲ ル マ ン法 に お い て は 、 ・←
在 し な く 、 そ れ に 代 っ て 団 体 主 義 的 所 有 権 が 一般 的 で あ った と 解 せ ら れ る 。
次 ぎ に 、 古 代 ゲ ル マ ン に お け る 土 地 総 有 関 係 の 下 で の 分 割 占 有 は 、 い か な る 形 式 を と った か を 考 察 す る 。 古 代 ゲ ル
マ ン の 部 族 時 代 に お い て は 、 ω一
窓 。 を 単 位 と す る 部 族 が 、 い わ ゆ る ﹁マ ル ク 協 同 体 ﹂ (
竃 。増
護 。口.。、、。昌、。ず餌ε を 成 立 さ
と も い わ れ て い る 。 そ し て こ の マ ル ク 団 体 に は 、 寄 毎8
の 主 体 的 側 面 か ら は 、 ﹁自 由 人 ﹂ と
﹁不 自 由 人 ﹂
せ て い た 。 因 に こ の マ ル ク 協 同 体 は 、 村 落 的 な 定 住 形 式 を と って い た こ と か ら 、 あ る い は ﹁村 落 共 同 体 ﹂ (
竃 餌.吋αq。ヨ .
。一
ロω。冨 ε
が 存 在 し た 。 ﹁自 由 人 ﹂ に は 、 ﹁国 王 ﹂ (
丙α巳ぴq)、 ﹁貴 族 ﹂ (
守 巳 .一
。戦
)、 そ の他 の 自 由 人 が 含 ま れ て い た 。 そ れ に 対 し て
(3 )
﹁不 自 由 人 ﹂ は ﹁奴 隷 ﹂、 ﹁農 奴 ﹂ (
国9 ぴq)等 で あ った 。 こ の う ち ﹁不 自 由 人 ﹂ は 、 マ ル ク 協 同 体 の中 に 存 在 し 、 不 自 由
人 と し て の権 利 を 有 し て い た け れ ど も 、 マ ル ク 協 同 体 の 構 成 員 た る も の で は な か った 。 し か る に 、 マ ル ク 協 同 体 に お
け る 土 地 の 分 割 占 有 は 、 そ の 構 成 員 た る ﹁自 由 人 ﹂ の み に 対 し て 行 な わ れ た 。 し か し 、 す べ て の 総 有 土 地 が 分 割 さ れ
た わ け で は な い 。 元 来 、 マ ル ク 協 同 体 の土 地 に は 、 三 種 類 あ った 。 つ ま り 、 ω 、 森 林 、 原 野 、 河 川 、 牧 地 、 ② 、 耕 地
㈲ 、 宅 地 、 園 地 で あ る 。 そ のう ち ω の 森 林 、 原 野 、 河 川 、 牧 地 は 、 分 割 さ れ ず に 総 有 と し て 保 有 さ れ た 。 し か し 、 構
成 員 は 自 己 の た め に 自 由 に 利 用 、 用 益 す る こ と が で き る 土 地 で 、 ≧ 巨 。巳 。 (共 同 地 ) と 称 さ れ て い る 。 総 有 土 地 が 分
割 占 有 さ れ た の は 、 ② の 耕 地 と ㈹ の宅 地 及 び 園 地 の み で あ る 。 前 者 の ﹁耕 地 ﹂ は 、 フ ー フ ェ制 (
}
幽二hO旨O﹁創P口昌四)ー 土
る家 長 (
雪
ω<量
で あ つ(
妃 ・ し か し 、 そ の ﹁耕 区 (
Ω・≦量
﹂ の分 配 方 法 は、 身 分 的 格 式
地 分 割 制 度 1 に よ り 長 方 形 の ﹁耕 区 ﹂ (
O。惹 目 ) に 分 割 さ れ 各 家 族 に 分 配 さ れ た 。 そ の 揚 合 、 各 家 族 を 代 表 し た の は 、
蒙 長 権 ﹂(
H
≦ロ艮 )を 享
(5 )
に よ って差 異 が あ り 、例 え ぼ 貴 族 に は 、
他 の自 由 人 に 比 し て 数 倍 の ﹁
耕 区﹂ が分 配 さ れ た のであ る。 これ は、総有 土 地
の 分 割 形 式 が 当 初 か ら 不 平 等単 位 と し て構 成 さ れ て い た こと を 物 語 る も の であ る 。 ま た 、 そ の事 実 に出 発 し て 、 中 世
「私的所有制度 と労働 関係の史的沿革及びその法理」⇔
165
の 封 建 的 ゲ ル マ ン 社 会 に お け る ﹁大 土 地 所 有 ﹂ (
O把 巳 げ霞 ω9 鋒 )を 発 生 せ し め た も の と い え る 。 そ の点 は 後 述 す る こ
と に し て 、 こ こ で は次 の点 のみ を 指 摘 し て お き た い。 土 地 総 有 制 度 を 支 柱 と す る マ ルク 協 同 体 に お いて は 、 前 記 フ ー
フ ェ制 に よ り 、 そ の 構 成 員 た る 自 由 人 (家 族 ) に 、 総 有 土 地 の 分 割 が な さ れ た 。 し か し 、 家 族 に 分 割 さ れ た 耕 地 の所
有 権 の 帰 属 は 、 依 然 と し て 協 同 体 の 総 有 に 属 し 、 自 由 人 に 土 地 の 私 的 な O。≦o器 を 認 め て い る に 過 ぎ な い 。 換 言 す れ
ば 、 土 地 の 分 割 占 有 で あ って 、 自 由 人 の 私 的 所 有 権 を 確 立 さ せ る も の で は な か った 。 し か し 、 個 の 宅 地 、 園 地 は 、 こ
の 総 有 の例 外 を な し 、 限 定 的 で は あ る が 、 そ れ に 対 す る 私 的 所 有 権 を 認 め て い た と 解 せ ら れ る 。 以 上 のよ う に 、 古 代
ゲ ル マ ン 法 に お い て は 、 総 有 形 態 と し て の団 体 主 義 的 所 有 権 が 全 般 的 な傾 向 で あ り 、 そ れ 故 に こそ 、 如 上 の所 有 権 拘
束 、 所有 権 共 同 (
Oo9 巳 ①口冨 騨 二巳 ○Φ日oぎω6ゴΩ。津 α①ω 田 αq自 ヨ 日ω)を 中 心 的 な 思 想 と し て い る と 解 せ ら れ る 。
二 、 古 代 ゲ ル マ ン に お け る マ ル ク 協 同 体 の 土 地 総 有 関 係 、 ま た そ の 下 で の フ ー フ ェ制 に よ る 分 割 占 有 ー O.≦。.
.1 は
中 世 ゲ ル マ ン 法 の 経 済 的 基 盤 と し て の ﹁封 建 制 ﹂ を 確 立 さ せ る 原 動 力 と な った 。 か く し て 確 立 さ れ た 封 建 制 を 基 礎 と
す る 中 世 ゲ ル マ ン法 は 、 古 代 ロー マ法 に か わ って 、 中 世 時 代 、 中 世 社 会 を 色 彩 る 歴 史 的 な 法 と し て 登 場 し た の で あ
る 。 既 に 、 中 世 の 経 済 状 態 に お け る 私 的 所 有 及 び 労 働 関 係 に つ い て は 、 第 一部 に お い て 一般 的 な 粗 描 を 試 み た 。 こ こ
で は 、 中 世 社 会 に お け る 具 体 的 な 法 理 を 考 察 す る 法 的 題 材 と し て 、 中 世 ゲ ル マ ン法 を 取 り挙 げ る こ と に す る。 蓋 し 、
中 世 封 建 法 は お し な べ て こ の中 世 ゲ ル マ ン法 に よ って 特 徴 づ け ら れ る か ら で あ る 。 こ の こと は、 特 に 中 世 ゲ ル マ ン法
の土 地 所 有 権 に お い て 明 ら か に 基 因 し て い る と 解 せ ら れ る 。
さ て 、 一般 的 に 中 世 封 建 社 会 は 、 既 に (
第 一部 )粗 描 し た 如 く 、 土 地 への集 中 と 、 大 土 地 所 有 (
○.
二喜 。.
H
の。
げ四ε の
発 生 を 物 質 的 基 礎 と す る 土 地 の封 建 的 所 有 関 係 に お い て規 定 さ れ る 。 従 って、 法 的 基 礎 を な す も の は、 大 土 地 に 対 す
る封 建 的 所 有 権 で あ り 、 封 建 体 制 は 、 こ の封 建 的 土 地 所 有 権 の社 会 的 機 能 を 柱 と し て成 立 し て い る 。 こ こ で は、 大 土
地 に 対 す る 封 建 的 所 有 権 を 、 一般 に い わ れ て い る こと に 従 い、 ﹁
大 土 地 所 有 ﹂ と いう 経 済 的 意 味 の用 語 を 使 用 す る こ
166
と に す る 。 古 代 ゲ ル マ ン の マ ルク 協 同 体 に お け る 土 地 総 有 関 係 と フ ー フ ェ制 が 、 中 世 ゲ ル マン の封 建 社 会 を 成 立 さ せ
る た め に は 、 何 よ り も 上 述 の ﹁大 土 地 所 有 ﹂ の出 現 を ま た な け れ ば な ら な か った 。 し か る に 、 こ の大 土 地 所 有 の発 生
(7 )
に 対 す る歴 史 的 背 景 に つ い て は、 学 説 上 の対 立 を 見 せ て い る の で あ る が 、 私 見 に よ る と 、 通 説 の如 く 、 ロー マの歴 史
的 事 情 と ゲ ル マ ン の歴 史 的 事 情 と の錯 綜 し た 外 部 的 内 部 的 諸 関 係 の結 果 であ る と 解 す る。 蓋 し 、 外 部 的 に は 、 帝 政 ロ
土 地 所有 の
ー マ の 末 期 に お い て 、 旧 ロー マ領 土 を 占 領 し た ゲ ル マ ン 民 族 (フ ラ ンク 部 族 ) は 、 そ の領 土 内 で 、 8 一
。⋮ ω (
趾賭)に 基 礎
(8 )
を お く 、 ロー マの ラ チ ィ フ ンデ ィウ ム (
[蝉ユh窪昌創一
二昌P)に 接 し て お り 、 こ の こ と は 中 世 ゲ ル マ ン に お け る
発 生 に と って 、 あ な が ち 無 縁 で あ る と 解 せ ら れ な い か ら で あ る 。 そ こ で ま ず 、 大 土 地 所 有 を 発 生 せ し め た ゲ ル マ ン 内
部 の 原 因 と は 何 か に つ い て 述 べ る こ と に す る 。 上 述 の如 く 、 ゲ ル マ ン に お い て は 、 古 代 か ら 中 世 初 期 に か け て 、 マ ル
ク 協 同 体 を 成 立 さ せ て い る 。 そ し て 、 こ の マ ル ク 協 同 体 は 、 そ の総 有 土 地 を 自 由 人 に 分 割 占 有 さ せ る と い う い わ ゆ る
フ ー フ ェ制 を と って い た 。 こ の制 度 の 下 で の 耕 地 に 対 す る 私 的 O・≦。お は 、 専 ら 土 地 を 利 用 、 用 益 す る こ と が 目 的 で
あ った 。 当 初 そ の 耕 地 に 対 す る O.≦。.
。 は 、 特 定 さ れ た 期 間 の み で 許 さ れ て い た が 、 ﹁抽 籔 ﹂ に よ って 期 間 の 更 新 も
(9 )
可 能 で あ った 。 次 第 に こ の フ ー フ ェ制 に お け る 更 新 は 、 耕 地 に 対 す る長 期 的 な O雪 9⑦を 可 能 に し 、 そ の結 果 、 フ ー
フ ェ制 そ のも の を 固 定 化 す る に 至 った 。 か よ う な フ ー フ ェ制 の固 定 化 と 耕 地 の長 期 的 な O薯 ①お は 、 自 由 人 に 耕 地 に
対 す る 私 的 所 有 権 を 確 立 さ せ る の と 同 じ 意 味 を 有 し た の で あ る。 か く し て、 土 地 の総 有 所 有 権 は 、 次 第 に 私 的 所 有 権
へと 変 遷 し 、 そ のあ る者 は 、 土 地 の 開 墾 あ る い は収 奪 に よ って ま す ま す 私 的 所 有 権 を 拡 大 し て い った も の と解 せ ら れ
る 。 も と よ り 、 こ れ は総 有 制 を 支 柱 と す る マル ク協 同 体 の崩 壊 過 程 を 示唆 す る も ので あ る。 従 って、 大 土 地 所 有 の発
生 を 促 し た 内 部 的 要 因 を 、 こ の マル ク 協 同 体 の崩 壊 に 求 め る こ と が でき る と 解 せ る の で あ る 。 ゲ ル マ ン民 族 の中 で最
も 優 勢 であ る と さ れ た フ ラ ン ク 部 族 に お い て は 、 既 に メ ロヴ ィ ンガ 朝 時 代 に お い て 、 土 地 の私 的 所 有 が 確 立 さ れ て い
た と 一般 に い わ れ て い る 。 因 に 、 こ の期 に お け る大 土 地 所 有 者 は 、 国 王 、 貴 族 、 教 会 、 豪 族 で あ り 、 そ の他 の自 由 入
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理 」
167
は 、 小 土 地 所 有 者 と し て 散 在 し て いた に 過 ぎ な か った 。 彼 等 は、 や が て大 土 地 所 有 者 に統 合 さ れ て いく 運 命 に あ った
の で あ る 。 し か し 、こ の メ ロヴ ィ ン ガ 朝 時 代 に お け る 私 的 土 地 所 有 権 も 、
今 日 の意 味 で の性 質 を 有 す る も ので は な く 、
国 王 を 大 地 主 と す る耕 地 の分 割 占 有 に 出 発 す る事 実 上 の私 的 所 有 権 た る に過 ぎ な い。 つま り 、 こ の分 割 占 有 の上 に 、
依 然 と し て マ ル ク協 同 体 の土 地 総 有 制 が 存 在 し た の で あ る 。
し か る に 、 上 述 に み た マ ル ク協 同 体 の外 部 的 内 部 的 崩 壊 は 、 土 地 総 有 制 そ れ自 体 を 破 壊 す る も の で は な か った 。 そ
れ のみ か 、 次 の カ ロリ ンガ 朝 時 代 に成 立 す る 封 建 社 会 に お い ても 、 そ の社 会 の中 心 的 な社 会 的 機 能 を 果 し た 土 地 所 有
は 、 決 し て 独 自 的 な 存 在 で は な く 上 述 の土 地 総 有 制 の内 包 で 存 在 し、 保 持 せ ら れ て い た の で あ る 。 換 言 す れ ば 大 土 地
所 有 は 、 封 建 社 会 に お い て は 、総 有 制 下 の土 地 に お け る分 割 占 有 形 態 と し て存 在 し た に 過 ぎ な い の で あ る 。 し か し 、か
か る 土 地 の分 割 占 有 形 態 は 、 ﹁占 有 ﹂ と ﹁権 利 ﹂(所有 )を 明 確 と し な いゲ ル マ ン的 特 殊 事 情 も あ る が 、 そ の実 態 に 鑑
(10 )
み て 、 法 理 的 に は 、 土 地 所 有 権 の ﹁私 的 な ﹂ (
σq。ω
亀 ω。冨 h二凶
9 )分 割 形 態 と し て 把 握 し 得 る も の で あ る 。従 っ て 、法 律 状
態 に お け る ゲ ル マ ン 的 封 建 的 機 構 は 、 こ の 非 独 立 性 の分 割 土 地 所 有 権 の社 会 的 機 能 に よ っ て 形 成 さ れ た も の で あ る と
解 せ ら れ る の で あ る 。 し か ら ば 、 い か な る社 会 的 機 能 で あ った か と い え ば 、 極 め て概 括 的 で は あ る が 、 分 割 土 地 所 有
権 の 客 体 で あ る ピ。ぎ (封 地 ) を 中 心 と す る 封 建 的 身 分 的 支 配 機 能 で あ る 。 こ れ は 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 に お け る 農 業 組 織
に お い て 明 確 に 把 握 さ れ る の で あ る 。 つ ま り 、 カ ロ リ ン ガ 朝 時 代 に な る と 、ゲ ル マ ン 諸 王 は 、軍 功 の あ った 臣 下 (
駐旋し熱
(11 )
繊脚献社)に 、 領 有 土 地 を ﹁封 地 ﹂ (
切O]POゆN一
二日) と し て 貸 与 し た 。 し か し 、 そ の 封 地 は 無 償 の貸 与 で は な し 、 そ れ に 対 し
て は 臣 下 に 種 々 の封 建 的 義 務 が 課 せ ら れ た の で あ る 。 と こ ろ で 、 こ の封 地 の貸 与 者 、 つ ま り ﹁封 主 ﹂ (
b魯 塁 冨 ﹁ぴ 9 ,
白 ぎロω) と そ の 被 貸 与 者 で あ る ﹁封 臣 ﹂ (
い①冨 ω日き 戸 く器 ω巴崖ω)と の関 係 に お い て は 、封 地 を 連 鎖 と し た 封 建 的 ヴ ァ ツ サ
リ テー ト (
ノN
拶のω⇔一
一
叶似θ
)1 ﹁臣 属 制 ﹂ (
轄備牌躰榔押 飯 独)を 形 成 す る も の で あ った 。 か よ う な く餌ωω㊤葎 馨 及 び 切①昌①諭.一
二日 の
制 度 は 、 中 世 封 建 社 会 を 支 え る 中 心 的 な 制 度 で あ り 、 中 世 社 会 の 一般 的 な 傾 向 で あ った と い え る で あ ろ う 。 し か し 、
168
中 世 ゲ ル マ ン に お い て は 、上 述 の指 摘 の と お り 、土 地 総 有 制 の内 包 を 保 持 し た も と で の 、 ﹁私 的 な ﹂ 分 割 土 地 所 有 権 で
あ り 、 封 地 を 貸 与 さ れ た 大 土 地 所 有 者 、 つま り ﹁領 主 ﹂ (
O毎 巳 冨 菖 に 、 そ の封 地 に 対 す る私 的 所 有 権 を 認 め た も の
で は な い と いう 特 殊 性 が 存 在 す る の で あ る 。 加 う る に 、 ゲ ル マ ン民 族 に お い て は 、 古 代 ・中 世 法 を 通 じ て、 土 地 に 対
(12 )
す る直 接 、 排 他 的 な 支 配 権 (私的所 有権 ) で は な く 、 土 地 の ﹁利 用 権 ﹂、 ﹁用 益 権 ﹂ が中 心 的 な命 題 と し て 提 起 さ れ て
き た も の で あ る 。 従 っ て 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 に お い て も 、 土 地 所 有 権 を 団 体 の総 有 制 に 帰 属 せ し め な が ら 、 現 実 の 土 地
利 用 権 、 用 益 権 の み を 土 地 占 有 者 に 認 め る と い う 、 団 体 優 先 主 義 を と っ た の で あ る 。 こ の点 は 、 更 に 分 析 す る 必 要 が
﹁農
﹁賦 役 ﹂、 ﹁貢 納 ﹂ と ひ き か え に 、 更 に 下 級 民 に 貸 与 し て い た こ と で あ る 。 も と よ り 、 そ こ に お い て
あ る 。 つ ま り 、 共 同 体 (国 王) か ら 貸 与 さ れ 封 地 の占 有 者 た る 封 建 領 主 は 、 封 地 の 直 接 的 な 利 用 権 者 、 用 益 権 者 で は
な く 、 そ の封 地 を
も 、 上 述 の く霧 ω餌寮 警 が 必 然 的 に 形 成 さ れ る も の で あ った 。 そ の 下 級 民 を 構 成 す る も の は 、 耕 作 農 民 、 つま り
(13 )
奴﹂(
国α﹁一
伽q)が 大 半 で あ っ た 。 封 建 的 領 主 の 利 用 権 、用 益 権 の 主 た る 目 的 で あ る 剰 余 生 産 物 の獲 得 は 、 こ の 農 奴 生 産 に
依 存 し た の で あ る 。 従 って、 封 地 の 現 実 的 な保 有 者 は 、 農 奴 階 級 で あ った と解 せ ら れ る。 し か し、 こ の封 地 の保 有 関
係 は 、 分 割 土 地 所 有 権 が 非 独 立 性 のも の で あ る と 同 様 に 、 独 立 し た 法 律 構 成 を な す も の で は な く 、 中 世 ゲ ル マン法 に
お け る O雪 ⑦お 構 成 を 組 成 す る 内 部 的 核 的 要 素 に 過 ぎ な い。 か よ う な 、 封 地 を 中 心 と す る 封 建 的 土 地 所 有 (
Ω2 臼①)
関 係 は 、 一〇 世 紀 か ら 十 二世 紀 に か け て の中 世 ゲ ル マ ン法 に お け る中 核 的 法 律 関 係 であ った 。
三 、 中 世 未 期 のゲ ル マン社 会 は 、 いわ ゆ る中 世 都 市 と し て の商 業 都 市 を 興隆 さ せ 、 手 工 業 者 の中 に中 世 的 組 織 (
O学
一
9 (
Nロ]B津)も 形 成 さ れ た こと は 周 知 のと お り で あ る 。 も と よ り 、 手 工 業 経 営 の物 的 基 礎 を な し た も の は 、 土 地 で あ
で 構 成 さ れ た 。 農 村 か ら 都 市 に流 入 し た 手 工業 者 は 、 土 地 所 有 者 か ら 設 置 さ れ た 土 地 を 、 地 代 そ の
る。 中 世都 市 に お け る土 地所有 者階 級 は、 国 王 か ら特権 を 認 め ら れた領 主 、 僧 正、 都市 貴 族 (
一
)
⇔梓
﹃
一
N凶
O﹁
)等 の ﹁
市
民 ﹂ <α一
一
ぴ口お9
他 の給 付 と ひき か え に 、 借 地 す る こ と が で き た 。 し か し 、 中 世 ゲ ル マ ン都 市 に お け る借 地 は 、 一時 的 な も の で は な
(14 )
く 、 永 代 に お い て 、 自 由 収 益 す る こ と が 可 能 で あ った 。 か よ う な 制 度 は 、
﹁自 由 永 貸 借 ﹂ {。.。一
。 甲 露.筐。) と い わ れ 、
中 世 ゲ ル マン都 市 の発 展 のた め に 重 要 な 役 割 を 果 し た の で あ る 。 市 民 権 の な い手 工 業 者 自 身 も 、 か よ う な ﹁
自 由永 貸
借 ﹂ を 基 礎 に し て や が て市 民 と な り 、 ギ ルド ・ツ ン フト を 組 織 し、 都 市 の自 治 権 を 獲 得 す る よ う に な った の であ る 。
し か る に 、 こ の ﹁自 由 永 貸 借 ﹂ の制 度 に お け る土 地 所 有 者 と 借 地 者 と の法 律 関 係 は、 いか な る も ので あ った か 。 両 者
は 、 共 に 中 世 的 O薯 。8 に よ って 規 範 構 成 さ れ て いた こと は 、 言 を 侯 た な い。 ま た 中 世 都 市 に お け る 両 者 の関 係 は 、
的 所 有 権 制 度 で あ り 、 ロー マ法 上 の個 人主 義 的 所 有 権 制 度 と 原 理 的 に 相 違 し て い る の で あ る 。 か ン る 団 体 主 義 的 所
有 制 に 深 く 基 因 し て い るも の と 思 わ れ る 。次 に 、 か よ う な中 世 ゲ ル マ ン法 の所 有 権 か ら 構 成 さ れ る 制 度 は、 団 体 主 義
う な 所 有 権 が 団 体 主 義 的 所 有 権 と いわ れ る べ き も の は 、 古 代 、 中 世 のゲ ル マン法 の中 で 積 極 的 、 消 極 的 に 存 在 し た 総
風 土 の中 で没 却 さ れ て いる の であ る (
宅 地、園地 にお いては、私的 所有 権が確 立 して いた ことは、既 に述 べた )
。 ま た、 か よ
そ こ に お け る 所 有 権 は 、 ロー マ法 上 の私 的 所 有 権 と は異 り 、 所 有 権 本 来 の ﹁私 的 性 質 ﹂ が 、 ゲ ル マ ン の団 体 的 社 会 的
的 所 有 権 と し て存 在 し た 。 仮 り に 、 土 地 の分 割 的 占 有 と し て の O薯 。お の性 格 を 有 す る 所 有 権 と し て 敷 衛 さ せ ても 、
有 と の融 合 性 の中 で 、 O窒 。お の支 配 的 な 規 範 構 成 を 受 け 、 そ れ に か く れ た 利 用 権 、 用 益 権 を 内 容 と す る消 極 的 間 接
法 の所 有 権 は 、 客 体 に 対 す る積 極 的 直 接 的 な 支 配 権 を 内 容 と す る の に 対 比 し て 、 ゲ ル マ ン法 に お い て は 、 所 有 権 と 占
中 世 ゲ ル マ ン法 上 の中 心 的 な 所 有 権 は 、 ロー マ法 と 共 通 し て 、 土 地 所 有 権 で あ った と 解 せ ら れ る。 し か し 、 ロー マ
る。
以 上 、 中 世 ゲ ル マン法 上 の所 有 権 制 度 に つ い て の要 約 を 、 ロー マ法 と の対 比 に お い て述 べ る な ら ば 、 次 の如 く で あ
さ れ る の であ る 。
中 で営 ま れ て いた こと を 鑑 み る と 、 少 な く とも 土 地 所 有 者 と の間 に 封 建 的 な 身 分 拘 束 が 存 在 し た こと は 、 容 易 に想 像
農 村 地 方 に お け る 封 地 を 中 心 と し た 封 建 的 土 地 利 用 関 係 と 異 って い た 。 し か し 、 手 工 業 が 、完 全 に 防 備 さ れ た障 壁 の
「
私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」⇔
1.69
有 権 利 度 に お い て は 、 所 有 権 権 能 の充 分 な 発 揮 を 封 鎖 的 な も の に す る。 か く て成 立 し た も のが 、 土 地 総 有 所 有 権 と
O.≦。.
。 に お け る 分 割 所 有 権 を 基 礎 と し た 中 世 封 建 的 身 分 社 会 で あ る。 こ の結 果 は 、 中 世 ゲ ル マ ン法 を し て 、 封 建 法
と 称 せ ら れ る こ と に な る 。 そ し て 、 中 世 封 建 法 は 、 分 割 所 有 権 を し て、 封 建 的 な 種 々 の義 務 を 伴 う 社 会 的 機 能 を 発 揮
す る こ と で 終 始 し た と い え る。 こ れ は 、 資 本 主 義 経 済 の進 行 過 程 か ら み る な ら ば 、 古 代 ロー マ法 に お い て開 花 し た 。
私 的 所 有 権 制 度 を 中 心 と す る 古 代 資 本 主 義 を 発 展 さ せ る こ と な く 、 む し ろ そ の近 代 的 傾 向 に 対 し て、 時 代 的 に 逆 行 し
た も の で あ る と 解 せ ら れ る。 従 って 、 か }る中 世 ゲ ル マ ン法 の所 有 権 制 度 の法 理 が 、 資 本 主 義 法 と し て の近 代 法 の起
源 に な り 得 た か に つ い て は、 基 本 的 に は 否 定 さ れ る も の で あ る こ と は 言 を 侯 た な い こ と で あ る 。 蓋 し 、 近 代 法 は 、 ロ
ー マ法 上 の自 由 主 義 、 個 人主 義 的 所 有 権 制 度 を 法 理 と し て い る か ら に 他 な ら な い。 し か し、 近 代 法 は 、 中 世 ゲ ル マ ン
法 を 完 全 に 否 定 し た も の と し て思 考 さ れ る べ き で は な い。 む し ろ 近 代 法 の所 有 権 制 度 は 、 ロー マ法 の個 人 主 義 的 所 有
け れ ば な ら な い こ と に な って い る 。 蓋 し 、 直 接 的 な 労 働 力 の収 奪 は 、 人 格 権 を 尊 重 す る 近 代 法 の原 理的 精 神 に 反 す る
る な ら ば 、 元 来 静 的 観 念 的 存 在 で あ る 所 有 権 が 、 動 的 な社 会 的 機 能 を 発 揮 す る 場 合 に は 、 必 然 的 に 契 約 を 媒 介 と し な
は 、 原 理 的 に は 別 個 独 立 の存 在 と し て 、 夫 々独 自 の法 構 構 成 を な す も の で は な い。 例 え ば 、 これ を 近 代 法 に お い て み
有 権 制 度 に お け る 二 大 法 思 潮 と さ れ た こと は 、労 働 関 係 に お い て も 該 当 す る の で あ る 。 つま り 、 所 有 権 と 労 働 関 係 と
四 、 中 世 ゲ ル マ ン法 の団 体 主 義 的 所 有 権 が 、 古 代 ロー マ法 に お け る個 人 主 義 的 所 有 権 と 対 比 さ れ 、 共 に 近 代 法 の所
ん で 、 二大 法 思 潮 を 呈 し たも ので あ る と 解 せ ら れ る 。
れ 、 古 代 ロー マ法 と 原 理 的 に相 違 す る 中 世 ゲ ル マ ン法 の所 有 権 制 度 の法 理 は 、 近 代 法 に 対 し て、 ロー マ法 のそ れ と 並
継 承 し て い る の で あ る 。 そ の他 、 諸 制 度 に お け るゲ ル マン 法 の部 分 的 な 影 響 は こ Σで 立 証 す る ま で も な い。 と も あ
(15 )
る 。 因 に 、 占 有 制 度 に お い て は、 ロー マ法 の ℃。ω
ω
。ω
ω
δ (占有 )と 並 ん で 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 の O薯 臼。 を よ り 近 代 的 に
権 制 度 を 勝 利 せ し め た 過 渡 的 過 程 に お い て 、 ゲ ル マン法 の法 理 を 種 々 の立 場 に お い て援 用 し て き た と 解 す べ き で あ
170
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」
171
か ら で あ る 。 所 有 権 の社 会 的 意 義 は 、 そ れが 社 会 的 機 能 を 発 揮 す る こ と に あ り 、 そ れ を 契 約 に よ ら し め る こ と は 、 契
約 を 以 て 、所 有 権 の社 会 的 機 能 の 法 形 態 で あ る と解 せ ら れ る 。と こ ろ で 、近 代 法 は 、労 働 関 係 の形 成 を 契 約 形 態 (雇傭 )
(16 )
に 位 置 づ け て い る 。 こ れ は 、 形 式 的 に は 、労 働 関 係 を し て雇 傭 と いう 独 自 的 な 法 律 構 成 を 形 成 せ し め る も の で あ る と
解 せ ら れ る が 、 原 理 的 に は 、 雇 傭 に よ って所 有 権 の社 会 的 機 能 に 、 労 働 関 係 を 位 置 づ け て い る こ と の証 左 で あ る 。 し
か る に 、 か よ う な 近 代 法 の所 有 権 構 造 を 倹 つま でも な く 、 近 代 法 成 立 以 前 の歴 史 社 会 に お い て も 、 労 働 関 係 が 所 有 権
の社 会 的 機 能 と し て 、 必 然 的 に 形 成 さ れ 、
そ の所 有 権 構 造 の中 に位 置 づ け ら れ てき た の で あ る。 こ の点 に つい て は 、
既
に そ の 一部 を ロー マ法 上 の所 有 権 の社 会 的 機 能 で あ る ざ8け
δ 8口α9 け
δ の法 構 造 の中 で も 見 てき た と お り で あ る 。 か
よ う な ロー マ法 の 一
。8け
δ 8巳 9 け
δ は 、 労 働 関 係 が 当 事 者 の自 由 意 思 の合 致 (契約 ) を 基 礎 と し て 形 成 さ れ る も の と
す る 近 代 法 原 理 に 反 し て 、 現 実 的 な 労 働 力 の提 供 者 を 無 視 し 、 そ の擬 制 の上 に 形 成 さ れ る と いう 変 則 的 側 面 を み せ て
い る 。 し か し 、 そ の場 合 で も な お ロー マ法 上 の所 有 権 が 、 § 慧 。8口含 6
ぎ と いう 所 有 権 の動 態 的 な 社 会 的 ⋮
機能 に よ
っ て、 労 働 関 係 を 形 成 せ し め て い る の で あ り 、 ま た そ の法 構 造 の中 に 位 置 づ け ら れ て い る の で あ る 。 か よ う に 、 労 働
関 係 は 、 所 有 権 の必 然 的 な 社 会 的 機 能 の中 に お い て 形 成 さ れ る の であ り 、 従 って 、 原 理 的 に は 独 自 の法 構 造 を 有 す る
も の で く 、 所 有 権 構 造 の中 に 位 置 づ け ら れ る の で あ る。 以 上 の こと は 、 中 世 ゲ ル マ ン法 の団 体 主 義 的 所 有 権 が 、 古 代
ロー マ法 の そ れ と 並 ん で、 近 代 法 の所 有 権 制 度 に お け る 二大 法 思 潮 と な った こ と ン同 じ く し て 、
労 働 関係 に お いても 、
そ の法 思 潮 に な り 得 た の で は な いか 、 と いう モ メ ン ト を 提 供 す る も の で あ る。 も と よ り 、 そ の旦ハ
体 的 な 解 明 は、 後 述
の 法 理 に 侯 た な け れ ば な ら な い。
さ て、 中 世 社 会 の労 働 関 係 の特 質 形 態 は、 ﹁農 奴 労 働 関 係 ﹂ で あ る と し て、 古 代 社 会 の ﹁奴 隷 労 働 関 係 ﹂ と 対 比 し
(17 )
の
一
。。豊 。 8巳 9 9
と 原 理 的 に相 違 す る
た 。 こ の ﹁農 奴 労 働 関 係 ﹂ の 法 形 態 を 、 中 世 ゲ ル マ ン法 に 求 め る な ら ば 、 ﹁主 従 契 約 ﹂ (
↓お 巳 δ器 什
くΦ葺 四σq)(
拓綴雅襲 鵠 繊
摘騨臨柱縦旗酌﹂)が こ れ に 該 当 す る 。 こ の ↓3琶 一
曾 ω薯。葺 餌。q は 、 古 代 ロ ー マ
172
(18 )
も の で あ る 。 蓋 し 、 後 者 は 奴 隷 人 格 の 物 体 化 、 つま り 物 (
税
Oω) に お い て 構 成 さ れ る も の で あ り 、 前 者 は 、 当 初 か ら 人
格 法 上 の 関 係 と し て 構 成 さ れ て い る か ら で あ る 。 つ ま り 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 の ↓お巳 δロω什
く①.什
円鋤σq は 臣 下 (
O臥。一
σq。。げ①..
)
の 人 格 的 要 素 が 喪 失 さ れ る こと な く 、 し か も 主 君 (
Oo8茜ω白碧 昌) の た め に 労 務 を 提 供 す る こ と を 約 す る 契 約 で あ る と
い え る 。 ま た 、 そ の労 務 の 提 供 に 対 し て は 、 報 酬 が 支 払 わ れ た 。 従 って 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 の ↓属⑦二〇δ口磐く①.
什
.餌ひq は 、
﹁双 務 契 約 ﹂ (
8 口葺讐 ω春 農 餌σq已暮 首器 ︾σq①αq。口ω。三 σq臼 く。答轟σq) た る 性 質 を 有 す る と 解 せ ら れ る の で あ る 。 し か し 、 こ の
契 約 は 、 今 日 の如 き 、 債 権 法 の 双 務 契 約 と 異 り 、 む し ろ 、 そ の基 礎 に は 身 分 法 的 な 関 係 が 形 成 さ れ る こ と を 前 提 と し
て お り 、 身 分 契 約 と し て の性 質 を 有 し て い る の であ る 。 こ れ は 、 中 世 ゲ ル マン法 に お け る 所 有 権 性 質 が 、 封 建 的 所 有
権 で あ っ た こ と に 基 因 し て い る が 、 こ の契 約 自 体 の 締 結 方 式 を み て も 理 解 さ れ る の で あ る 。 ギ ー ル ケ (
9 ①蒔 ①) に よ
れ ば 、 ﹁臣 た る べ き 者 が 主 君 の 権 力 に 自 己 を 委 ね る 証 と し て 脆 い て 其 手 を 差 し 出 せ ば 、 主 た る べ き も の も 亦 自 己 の 保
と い わ れ て い る 。 こ れ は 口 と 手 に よ って締 結 さ れ る誓 約 で あ
(19 )
護 圏 内 に採 用 す る 証 と し て共 手 を 差 し伸 べ て 之 に 応 じ 、 更 に 継 続 し て報 酬 を 与 ふ る の証 と し て贈 物 を 為 せ ば 、 臣 た る
べ き 者 は 一定 の 礼 儀 に 従 っ て之 を 受 領 す る の で あ る 。﹂
っ た が 、 か よ う な 方 式 は 、 身 分 契 約 で あ った こ と を 示 唆 し て い る の で あ る 。 ま た 、中 世 封 建 法 に お け る こ の 目お& δ目,
。。2 巽窺餌αq の 本 質 は 、 従 者 た る 労 働 者 の 全 生 涯 を 拘 束 す る こ と に あ った の で あ り 、 そ の意 味 に お い て も 身 分 法 上 の 契 約
で あ っ て 、 債 権 法 上 の 債 務 契 約 で は な い と 解 せ ら れ る 。 し か し 、↓お & δ霧 貯⑦同辞
居鋤ひq の締 結 後 の 労 務 の提 供 と 報 酬 の 関
(20 )
係 は、 継 続 的 な 債 権 関 係 と し て の態 様 を 帯 び る の で あ る 。 こ の時 代 に お け る 労 務 に 対 す る 報 酬 は 、 従 者 に対 す る衣 食
住 の物 資 で あ った が 、 後 に 使 用 収 益 す る を 許 さ れ た ﹁恩 貸 地 ﹂ (
切⑦器 訪.言日 ) が 与 え ら れ る よ う に な った 。 も と よ り 、
こ れ に 対 し て は 、 貢 納 、 賦 役 の封 建 的 義 務 が 課 せ ら れ た こ と は 言 を 侯 た な い 。 し か る に 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 に お け る
↓お巳 冨霧 け
く①旨窮 σq の実 質 的 側 面 、 つま り 、上 述 の労 務 の 提 供 と 報 酬 の 関 係 は 、↓お 巳 δ霧 零①同け国
餌αq を し て 、 有 償 の労 務
契 約 た る 性 質 を 帯 有 さ せ る も の であ り 、 上 述 の双 務 契 約 た る性 質 も 加 味 す る と 、 そ の本 質 は債 権 関 係 な り と す る見 解
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革 及びその法理」
173
等 は 、 こ の 見 解 を と る の で あ る 。 も っと も こ の 見 解 は 、 ↓おロ亀窪 馨くΦ﹃什
噌鋤αq の 一形 態 で あ り 、 特 に
も 成 り 立 つわ け で あ る 。 ギ ー ル ケ を は じ め と す る カ ス ケ ル (
閑餌ω
断。一
)、 ヒ ユ ッ ク (
出。二。。評)、 ニ ッパ ダ イ (
乞喜 。.血Φ︽)
、モ
リトー ル (
言 o洋 9
債 権 法 的 色 彩 の 強 い ﹁僕 碑 契 約 ﹂ (
O①ω一
巳 ①<。疑 謎 ) に 対 し て い わ れ た も の で あ る 。 こ の 僕 碑 契 約 が 債 権 契 約 で あ る と い
わ れ る の は 、労 務 の 提 供 者 が 、賃 金 を 請 求 し 得 る 債 権 関 係 を 発 生 せ し め る こ と 、ま た こ の契 約 の 締 結 方 式 が 、 ↓.2 9。,
口ω零 9 鑓 αq の 如 き 、 誓 約 形 式 が な く 、 単 に 約 束 に よ っ て 成 立 す る こ と 等 に あ る 。 し か し 、 か よ う な 僕 碑 契 約 は 、 ↓機ρ
& 冨塗 2 ①旨 ①αq の 有 す る 身 分 法 上 の契 約 か ら 債 権 法 上 の 契 約 、 更 に 近 代 法 の 雇 傭 へと 発 展 し て き た 過 程 を 窺 知 し う る
の で あ る が 、 中 世 的 封 建 的 範 疇 の中 で は、 身 分 法 の内 包 を 打 破 し た も の と は い え な い。 換 言 す れ ば 、 か よ う な 僕 碑
契 約 は 、 ↓お & 冨霧 貯 窪 錘 σq と 同 じ よ う に 、 所 詮 身 分 契 約 を そ の 出 発 点 と し て い る と 解 せ ら れ る の で あ る 。 因 に 、 中
世 ゲ ル マ ン 法 に お け る ↓お巳 δ霧 宴 臼 爲謎 は 、 封 建 的 支 配 力 の 強 い 農 村 地 方 の 小 作 関 係 に お い て 主 と し て 行 わ れ た も
(21 )
の で あ り 、 こ の こ と は 、 上 述 の契 約 を し て よ り 身 分 契 約 的 な も の に し た と 解 せ ら れ る の で あ る 。 そ の 結 果 、 ↓同
.ロ亭
の 精 神 は 、 中 世 末 期 の 都 市 法 時 代 に も 継 承 さ れ て い った 。 都 市 に お い て
凶
⑦ロω零 ①嵩轟 mq を し て ﹁封 建 契 約 ﹂ (
い9 0霧 くo答鑓 σq)と さ え い わ し め た と い え る 。
中 世 ゲ ル マ ン 法 に お け る ↓δロ同
Φ霧 宴 。旨 諾
は 、 僕 碑 契 約 と 並 ん で個 々 の職 業 的 地 位 (
bdΦ﹁口{
のω梓⇔]
Pα) に 応 じ た 手 工 業 者 の ﹁労 働 契 約 ﹂ (
σq。≦①円藍 。ゴ b告 ①津。。<。.叶
同①ひq)
が 発 達 し た 。 こ れ は 、 同 業 組 合 規 約 に よ る 親 方 と 職 人 及 び 徒 弟 の 契 約 で あ る 。 か よ う な 中 世 末 期 の都 市 に お け る 労 働
関 係 を 純 然 た る 債 権 関 係 上 の契 約 と す べ き か 、 と いう こ と に つ い て は、 む し ろ そ れ を 否 定 す べき と解 す る 。 既 に 述 べ
て き た よ う に 、 中 世 末 期 に お け る ゲ ル マン の手 工 業 は 、 封 建 的 支 配 下 で防 備 さ れ た障 壁 の中 で営 ま れ た こ と、 ま た そ
の障 壁 の 中 で 、 親 方 と 職 人 及 び 徒 弟 が 土ハ同 生 活 を し て い た こ と 、 さ ら に そ こ で 形 成 さ れ る 封 建 的 意 識 構 造 等 か ら 、 決
し て純 然 た る 債 権 契 約 は存 在 し な か った と解 せ ら れ る。 そ れ の み か 、 都 市 労 働 関 係 に お い て も 、 中 世 ゲ ル マ ン法 に お
け る 封 建 的 身 分 的 内 包 が 保 持 せ ら れ て い た と 解 す る の で あ る 。 ま た 、 目.
。億臼o員、什く①.叶
困餌oq に 見 ら れ る 身 分 契 約 的 労 働 関
174
係 は 、 近 代 市 民 法 に お け る雇 傭 の債 権 契 約 の中 に 、 そ の身 分 的 色 彩 を 喪 失 し て い ったも の と思 わ れ る が 、 そ れ でも な
お そ の残 浮 を 止 揚 す る こ と が でき な か った の であ る 。
最 後 に 、 冒 頭 で述 べ た こ と、 つま り 、 中 世 ゲ ル マン法 の団 体 主 義 的 所 有 権 制 度 は 、 古 代 ロー マ法 の個 人 主 義 的 所 有
権 制 度 と 並 ん で 、 近 代 市 民 法 の所 有 権 制 度 に お け る 二大 思 潮 と な った こと に よ り 、 労 働 関 係 に お い て も 近 代 法 の雇 傭
を 成 立 さ せ る モ メ ン ト に な り得 た か 、 に つ い て言 及 し た い。
既 に 述 べ た よ う に 、 労 働 関 係 は 、 所 有 権 と 分 離 と し て 独 自 的 法 律 構 成 を 形 成 し得 る も の で は な い。 そ れ は、 所 有 権
の 動 態 で あ る 必 然 的 な 社 会 機 能 を 発 揮 さ れ る こと に お い て は じ め て法 律 構 成 さ れ るも の で あ る 。 そ の こ と は 法 律 構 成
さ れ た 後 の労 働 関 係 が 、 いか な るも のに 発 展 す る か と いう こ と に 関 係 な く 、 そ れ が 形 成 さ れ る に 至 る 発 端 的 な モ メ ン
(22 )
σqな る
ト を い っ て い る の で あ る 。 し か る に 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 の所 有 権 と 土ハに 、 つ ま り そ の 所 有 権 の社 会 的 機 能 の 発 揮 に よ っ
て 形 成 さ れ る 労 働 関 係 は 、 い か な る 法 律 構 成 を な し た の か 。 し か し 、 こ れ に つ い て は 、 上 述 の ↓歪 ①o冨ロω言 。﹁冨
労 働 関 係 を 以 て 早 急 に 結 論 す べ き で は な い。 む し ろ そ れ が い か な る 背 景 の基 に 封 建 契 約 、 身 分 契 約 と さ れ た か を 解 明
さ れ な け れ ば な ら な い の で あ る 。 こ れ は 、 中 世 ゲ ル マ ン法 上 の所 有 権 と 深 く 関 係 し て い る の で あ る。 蓋 し 、 す べ て
の労 働 関 係 は 、 所 有 権 の必 然 的 な 社 会 的 機 能 に よ って形 成 さ れ る か ら で あ る 。 さ て上 述 の如 く 、 中 世 ゲ ル マ ン法 の所
ー フ ェ制 を 介 し て 分 割 さ れ る こ
有 権 は 、 総 有 制 を 軌 軸 と し て 、 分 割 所 有 権 の 形 態 と し て 存 在 し た 。 も と よ り 、 そ の分 割 所 有 権 の 法 律 構 成 は 、 か の
O。≦。.。 を 中 心 と し て 構 成 さ れ て い た 。 そ し て 、中 世 ゲ ル マ ン 法 の 所 有 権 は 、 そ れ が フ
と に よ り 、 封 地 を 連 鎖 と し て 封 建 的 ヴ ァ ッサ リ テ ー ト (
ノN
Qω6◎鋤一
一
似け
) ﹁臣 属 制 ﹂ を 形 成 す る に 至 った 。 こ の ヴ ァ ッサ リ テ
ー ト は 、 単 に 国 王 と 大 土 地 所 有 者 と の 間 の み で は な く 、 封 地 を 中 心 と し て ﹁領 主 ﹂ と 下 級 民 た る ﹁農 奴 ﹂ と の 間 に お
い ても 形 成 さ れ 、 こ こ に中 世 ゲ ル マ ン の封 建 体 制 の外 皮 が 確 立 さ れ た の で あ る 。 も と よ り 、 こ の封 建 体 制 の基 礎 を な
し た の は 、 分 割 さ れ た 土 地 所 有 権 で あ った 。 こ れ は 中 世 中 期 の 農 村 地 方 の み な ら ず 、 末 期 の都 市 に お い て 該 当 す る の
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」⇔
175
で あ る 。.そ こ で 、 こ の土 地 所 有 権 が 、 本 来 の社 会 的 機 能 を 発 揮 す る た め に は 、 封 建 的 な仕 組 の中 で 発 揮 し な け れ ば な
ら な い の で あ る 。 か く し て 発 揮 さ れ た のが 、 封 建 的 身 分 的 体 制 を 社 会 的 基 盤 と す る 封 地 に お け る 賦 役 、 貢 納 の徴 収 、
都 市 の永 貸 借 に よ る地 代 の徴 収 で あ った 。 これ 等 は 、 いず れ も 中 世 社 会 に お け る封 建 的 な 土 地 所 有 権 の社 会 的 機 能 と
し て共 通 のも の で あ る が 、 特 に中 世 ゲ ル マン法 の封 建 的 土 地 所 有 権 に お い て は 、 古 代 ゲ ル マン か ら の総 有 制 の内 包 を
保 持 さ れ て い る中 で存 在 す る も の で あ り 、 上 述 の ﹁所 有 権 拘 束 ﹂、 ﹁所 有 権 共 同 ﹂ の性 格 を 帯 有 し て い る の で あ る 、 そ
し て 、 封 建 法 た る中 世 ゲ ル マ ン法 の中 で上 述 の所 有 権 機 能 を 発 揮 す る た め に は 、 必 然 的 そ の生 産 組 織 で あ る労 働 関 係
の形 成 が 必 要 と な る 。 も と よ り 、 か よ う な労 働 関 係 は、 今 日 の如 く 対 抗 関 係 と し て構 成 さ れ る も の で は な く 、 ヴ ァ ツ
サ リ テ ー ト の支 配 下 で は 、 封 建 的 身 分 的 関 係 、 つま り 身 分 契 約 と し て の ↓N
器 口δ ω
貯Φ葺 鋤σq を 締 結 す る こ と に な る 。
こ れ は 、 中 世 ゲ ル マ ン法 のヴ ァ ッサ リ テ ー ト は、 す な わ ち 封 建 社 会 の ヒ エラ ル シ ー (
三〇轟8ξ 嚇田 Φ冨8臣o)1 身 分 的
階 層 制 i を 意 味 し て い る こ と に 基 因 し て いる 。 以 上 の よ う に 、 中 世 ゲ ル マ ン法 の土 地 の分 割 所 有 権 が 、 そ の必 然 的 な
(23 )
と 共 に近 代 市 民 法 の雇 傭 に対 し て 、
社 会 的 機 能 と し て 形 成 さ れ た も の は 、 身 分 契 約 を 以 て 特 徴 づ け ら れ る ↓歪 巴 冨口ωけ
く①旨 9。σq で あ った 。
さ て か よ う な 身 分 契 約 た る ↓≡ 。山δ霧 冥①旨 9σq は 、 ロ ー マ法 の 一
8 ⇔け
δ 8巳 琴 ぎ
一つ の法 思 潮 を な し た も の で あ る か に つ いて結 論 す る 。 す で に述 べ た よ う に 、 近 代 法 は、 中 世 ゲ ル マン 法 の如 き 身 分
的 拘束 を 断絶 す ると ころ に、近 代 性 が 見 ら れ、 それ が根 本 的 な精 神 であ る。 しか し、市 民 法 た る実 定 法 に お いては、
ヘ
ヘ
へ
(
六な
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四条
らも
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し支
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し、
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の時
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支を
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請確
求が
にし
労務
てい
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提供
い後
。と)、
そ の報
中 世 ゲ ル マ ン 的 労 働 関 係 の残 津 を み つ け る こ と が で き る 。 例 え ば 、 わ が 国 の 民 法 上 の 雇 傭 に お い て は 、 労 務 の 対 価
ヘ
た る 報 酬 に つ い て、 そ の支 払 時 期 に つ い てあ る程 度 明 確 に し て い るが
(24 )
酬 に つ い て は 抽 象 的 一般 的 な も の と し て 特 定 さ れ て い な い 。 ま た 使 用 者 と 労 務 者 と の関 係 を 、 一身 専 属 的 な も の と し
て構 成 さ れ て いる (
民
二五
法条
六)。 中 世 ゲ ル マ ン 法 の 早 器 ユ一
9 ω守。葺 潜σq に お い て は 、 既 に み て き た よ う に 、 労 務 の報 酬 と し
て の 衣 食 住 が 、 報 酬 の 特 定 観 念 か ら 出 発 し た も の で は な い 。 そ れ の み か 、 ↓霊 ①ユδコ馨く⑦旨 ⇔σq に お け る 使 用 者 は 、 労 務
粥
の報 酬 と し て 、 労 務 者 の身 分 的 生 涯 の扶 養 義 務 が存 し た の で あ る 。 そ れ 故 に こ そ 、 労 務 者 の身 分 は 、 封 地 を 連 鎖 と し
て領主 に蔑
し て い た の であ る ・ 因 に ・ そ の場 合 で も 古 代 。← 法 の 奴 隷 と違 って労 務 者 の人 格 的 要 黍 認 め ら れ て
い た こ と は 上 述 の と お り で あ る 。 従 っ て 、 か よ う な 中 世 ゲ ル マ ン 法 に お け る 身 分 契 約 た る ↓毎 巴 冨口ω言興 鐸曽σq の観 念
は 、 上 述 の例 の如 く 近 代 市 民 法 の中 に 残 澤 さ れ て い る も の と解 せ ら れ る の で あ る。 こ こ に 、 中 世 ゲ ル マン法 の労 働 関
係 は 、 古 代 ロ ー マ法 の労 働 関 係 と 共 に 、 近 代 法 の 雇 傭 に 対 し て 、 二 大 法 思 潮 と し て 存 在 す る と と も に 、 雇 傭 そ の も の
を 成 立 せ し め る 歴 史 的 な モ メ ン ト で あ った こ と は 自 明 で あ る 。
宮 崎 孝 治 郎 著 ﹁民 法 の対 象 ﹂ (第 三 章 、 所 有 権 ) 四 八 頁 。 著 者 は、 本 章 に お い て、 主 と し て 古 代 、 中 世 のゲ ル マン法 上 の所
体 や 、 村 落 団 体 の如 き
ド ル フ のゲ ヌイ ン ド
﹁総 有 ﹂ (
Ooω四巨 9σq9 ε 目)と ﹁含 有 ﹂ (
田 σQ。暮 コ日 N霞 ひq。ω9巨 9 =拶口α)の 区 別 は 必 ず しも 明 確 で は な い。宮 崎 ﹁前 掲 書 ﹂
言 を さ れ て い る 。 因 に 、 ロー マ法 の所 有 権 成 立 に つ い て は、 平 野義 太 郎 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 七 二頁 を 参 照 さ れ た し 。
有 権 に つ い て 、 そ の成 立 の社 会 的 、 経 済 的 背 景 及 び 存 在 形 態 に つ い て、 簡 潔 に書 か れ て お り 、 特 に 前 者 に お い て は 、 貴 重 な 提
ω
②
同
ゲ ノツ セ ソシ ヤ フテ ソ
に よ る と 、 ﹁﹁総 有 ﹂ と は、 多 数 人 が 結 合 し て 一の綜 合 人 (
Oo昌oωω。ω
。訂 ε 例 え ば 、 マ ルク 協
も の) を 組 成 し 、 物 の管 理 ・処 分 は 専 ら 、 此 綜 合 人 (実 在 的 協 同 体 ) の権 限 に 属 し 、 之 を 構 成 す る 各 人 は 、 た だ 之 れ を 使 用 ・
収 益 す る権 能 を 有 す る ので あ るが 、 も と よ り団 体 の 一員 と し て有 す る 権 能 に す ぎ ぬ か ら 、 之 を 独 立 し て 譲 渡 し 又物 の分 割 を 請
求 し 得 な いと す る 共 同 所 有 の 一形 態 であ る ﹂ と す る 。 ま た、 ﹁﹁含 有 ﹂ (
田 αqo暮 ロ日 Nξ σqo器 旨冨昌 =㊤口α)は 、 一定 の目 的 物 に
対 し て 共 同 所 有 関 係 に 立 つ各 人 は 、 其 の目 的 物 の上 に 持 分 権 を 有 す る のであ るが 、 或 る程 度 に 於 て、 共 同 目 的 のた め に す る統
特 に ﹁奴 隷 ﹂ は 、 古 代 ロー マ法 に お い て は 、 δω (物 ) と さ れ 、 人 格 を 認 め ら れ て いな か った が 、 ゲ ル マン法 に お い て は 、
いと す る 共 同 所 有 刑 態 であ る ﹂ と さ れ て いる 。 五 六 ∼ 五 七 頁 。
制 に 服 す る こ と を 要 し 、 各 目 的 物 も 亦 共 同 目 的 のた め に結 合 せ ら れ る 結 果 、 各 人 は 個 々 の物 に 対 す る持 分 を 自 由 に 処 分 し 得 な
㈲
ゲ ル マ ン の家 族 形 態 は、 ロー マと 同 じ く 、 ﹁父 権 制 的 組 織 ﹂ であ った (船 田 享 二著 ﹁法 律 思 想 史 ﹂ 二 一五 頁 ) が 、 ゲ ル マ ン
権 利 義 務 を 有 し な か った 。 石 田 文 次 郎 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 六 ∼ 七頁 。
奴 隷 と し て の 人格 を 認 めら れ て いた 。 単 に 、 奴 隷 は 、 マ ルク協 同 体 の構 成 員 で は な か った が 故 に 、自 由 人 であ る構 成 員 と 同 じ
㈲
の家 長 (
一
山僧⊆ω︿9Ω什
O村)は 、家 族 の構 成 員 と 平 等 の立 場 に 立 つ相 対 的 地 位 に あ り 、 ﹁族 の総 有 財 産 の 一部 を 構 成 す る あ る 種 の財 産
「私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理 」
177
㈲
の利 用 者 であ り 、 管 理 者 た る に 過 ぎ な い。﹂ (宮 崎 孝 次 郎 ﹁前 掲 書 ﹂ 五 入 頁 )。 こ れ に 対 し て 、 ロー マに お け る家 長 は、 家 族 の
構 成 員 に 対 し て 、 絶 対 的 な 地 位 に あ り 、 家 族 の財 産 は 、 ﹁家 長 の人 格 の属 性 とさ れ ﹂、 家 長 の権 利 と し て家 長 に 帰 属 した 。﹂ (石
田 ﹁前 掲 書 ﹂ 三 二頁 。
ゲ ル マ ン共 同 体 が 所 有 す る ﹁共 同 耕 地 ﹂(
>o閃①﹃冨口9 8 ヨ日 o口 ゆo建)は 、 三 〇 から 六 〇 個 の ﹁耕 区 ﹂ (
Φ①≦帥言 ) に 区 分 さ れ
て いた 。 こ の ﹁耕 区 ﹂ は 、 三 〇 モ ルゲ ンあ る いは 三 〇 エイ ヵ i ず つ均 等 に標 準 化 さ れ て いた 。 ま た そ の ﹁耕 区 ﹂ は 、 共 同体 の
構 成 員 た る ﹁家 族 ﹂ に 均 等 に 配 分 さ れ た の で あ るが 、 そ の配 分 方 法 は 、 家 族 の必 要 と 能 力 に 応 じ た実 質 的 配 分 で は な く 、 構 成
員 た る こと に お いて 、 家 族 (家 長 ) に 形 式 的 に配 分 さ れ た 。 か よ う な 配 分 方 法 は 、 ゲ ル マ ン共 同 体 の ﹁耕 区 制 ﹂(
○⑦≦p。暮 望 ω-
・ 団二。。梓
9 留 Oo三き σq①。。 に よ って 主 張 さ れ るも の で、 ロー マ末 期 か ら 存 在 し て いた く一
一
冨
中 世 ゲ ル マ ン の大 土 地 所 有 に つ いて の歴 史 的 発 生 原 因 に つ いて は 、 ﹁≦ 一
冨 発 展 説 ﹂ と ﹁マル ク協 同 体 崩 壊 説 ﹂ が 対 立 し て
が あ り 、 こ の時 代 的 態 様 に従 い 、 具 体 的 に 称 さ れ る のが 適 当 で あ る 、 と す る 見 解 も あ る。 橋 本 文 雄著 ﹁前 掲 書 ﹂ 一五 一頁 。
ゲ ル マン法 は 、 部 族 法 時 代 (五 ∼ 九 世 紀 )、 封 建 法 時 代 (一〇 ∼ 十 二世 紀 )、 都 市 法 時 代 (十 三 ∼ 十 五 世 紀 ) と いう よ う な 態 様
中 世 の法 律 状 態 は 、 ロー マ法 に 対 し て 、 ゲ ル マン法 時 代 と いわ れ る が 、中 世 社 会 全 般 を 色 彩 る も の で は な い。 つま り 、 中 世
﹁世 界 経 済 史 ﹂ (経 済 学 全 集 第 二十 八 巻 ) 一七 四頁 。) と 一致 す る 。
﹁各 家 族 に 均 等 に 行 わ れ た も の で は な く 、例 え ば 、 貴 族 は 、 普 通 自 由 民 の数 倍 も 与 え ら れ た 。﹂ と す る 見 解 (田 崎 仁 義 、 他 著
久 雄 著 ﹁大 塚 久 雄 著 作 集 ﹂ 1 共 同 体 の基 礎 理 論 - 第 七巻 、 八 九 i 九 三 頁 )。 ま た 、 上 記 の指 摘 は 、﹁耕 区 ﹂ の分 配 は 、 現 実 に は
冨 日 "貯 二8 ひq 賃 ω8ヨ)を し て 、 ﹁形 式 的 平 等 ﹂ (
胤霞ヨ 巴0 9 08菖 鼠脅
) の原 理 に基 づ い たも の であ る と 指 摘 さ れ て いる (大 塚
㈲
ω
い る 。 前 者 の学 説 は 、 Uo甥 9
(直 轄 地 又 は 私 有 地 ) が 発 展 ・拡 大 さ れ て 、 中 世 の大 土 地 所 有 が 出 現 した も のと す る 。後 者 の学 説 は 、 マル ク協 同 体 の内 部 的
ゲ ル マ ン民 族 のう ち 、典 型 的 な マル ク協 同 体 を 形 成 し た の は、 最 も 優 勢 と さ れ た ﹁フラ ンク 民 族 ﹂ で あ る 。 こ の フラ ン王 国
の ピ馨 崖ロp島ロ導 の影 響 ー 崩 壊 に 求 め ん と す るも の であ る 。 宮 崎 孝 治 郎 著 ﹁前 掲 書 ﹂、 六 〇 ∼ 六 五 頁 。
ー つま り 、 主 と し て フ ー フ ェ制 の固 定 化 に よ る 耕 地 の長 期 占 有 (私 的 所 有 権 化 の現 象 )ー 、 外 部 的1 つま り 、 主 と し て ロー マ
国
の中 心 部 を な し た のは 、 ラ イ ン 河 下 流 地 方 (現 在 の北 フ ラ ン ス) で あ り 、 そ の地 域 は 、 ロー マ末 期 の手 工 業 が 凝 集 さ れ て い っ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
た と こ ろ であ り 、 他 方 に お い て ロー マ の ﹁都 市 ﹂ と 並 ん で、 ラ チ ィ フ ンデ ム (奴 隷 制 所 領 一 犬 塚 訳 ) が 支 配 し て いた 。 フ ラ ン
ク 共 同 体 は 、 こ の支 配 下 で 、 抵 抗 の組 織 と し て形 成 さ れ た も ので あ る と い わ れ て いる (大 塚 久 雄 ﹁前 掲 書 ﹂ 入 ○ 頁 )。 こ の説
に 従 う と 、 ゲ ル マ ン民 族 (フ ラ ン ク 民 族 ) は 、 比 較 的 早 い時 期 に お い て 、 ロー マの ラ チ ィフ ンデ ムを 体 験 し た こ と に な る と 解
X78
な お 、 こ の ﹁抽 籔 ﹂ に よ って更 新 さ れ た土 地 を ﹁籔 地 ﹂ (
ω8 簿霧 )と 称 せ ら れ る。 宮 崎 孝 治 郎 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 六 二頁 。
せら れる。
働
総 有 土 地 か ら 分 割 さ れ た土 地 は 、 構 成 員 た る 家 族 の 一時 的 な 占 有 と さ れ た ので は な く 、 ﹁相 続 さ れ る ﹂ も の であ った 。 大 塚
拙 稿 ﹁私 的 所 有 制 度 及 び労 働 関 係 の史 的 沿 革 及 び そ の法 理 ﹂ 6 (第 一部 、 私 的 所 有 制 度 と 労 働 関 係 の史 的 沿 革 ) ﹁創 価 法 学 ﹂
れ たし。
所 有 権 を 中 心 と す る 物 権法 の ロー マ法 及 びゲ ル マン法 の差 異 に つい て は 、 我 妻 栄 著 ﹁物 権 法 ﹂ (民 法 講 義 皿 ) 二頁 を 参 照 さ
つが あ った と さ れ る 。 田 崎 仁 義 他 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 二 二 二頁 。
中 世 封 建 社 会 に お け る 臣 下 の封 建 的 義 務 は 、 ω 、 忠 誠 お よ び 尊 敬 の義 務 、 ② 、 軍 役 お よ び 出 仕 の義 務 、 ㈹ 、 裁 判 の義 務 の三
久 雄 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 入 七 頁 。
働
⑳
㈱
⑯
第 二巻 第 ︼号 = 六 頁 以 下 。
中 世 ゲ ル マ ン法 (と く に都 市 法 時 代 ﹂ の ﹁自 由 永 貸 借 ﹂ (
8バ⑦δ ㌍ 色。津。) 制 度 に お け る 土 地 所 有 者 と 借 地 者 と の法 律 構 成
我 妻 栄 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 三 〇 七頁 以 下 。
個
岡
近 代 法 に お け る 所 有 権 の社 会 的 機 能 は 、 資 本 主 義 組 織 の基 礎 を な し、 そ の権 利 の客 体 た る物 (商 品 ) を 直 接 支 配 し、 利 用 す
に つ い て は 、 吉 岡 正稿 ﹁統 一的 所 有 権 概 念 と利 用 権 の独 立 ﹂ (﹁法 学 論 叢 ﹂ 第 五 十 巻 、 三 九 〇 頁以 下 参 照 さ れ た し 。
岡
る も の で は な く 、 資 本 と し て利 得 活 動 を す る こと にあ る。 従 って 、 そ こ に お け る所 有 権 は 、 資 本 的 機 能 を 果 し て いる と い え
る 。 ま た 、近 代 法 の労 働 関係 は 、 資 本 の利 得 活 動 つま り 、 所 有 権 の資 本 的 機 能 と し て 形 成 さ れ て い る 。 従 って 、 労 働 関 係 は 、
拙 稿 ﹁前 掲 論 文 ﹂ ﹁創 価 法 学 ﹂第 二巻 第 一号 一 一七 頁 以 下 。
所 有 権 の動 的 側 面 で あ る と解 せ ら れ る。
㈲
ゲ ル マン法 に お い ても 、古 代 に お い て は 、 ロー マ法 と 同 じ よ う に δ8叶δ 8 p身 。什ご は 存 在 し た 。 そ の こと は 、 西 ゴ ー ト の
蜜 δけ
ρ =o¢oH
P U冒ひq①昌 口巳 いoげ昌 と い って、 物 の賃 貸 借
姻
法 律 及 び ラ ンゴ バ ル ト の法 律 に あ ったば か り で な く 、 雇 傭 を
ω8 げ巳 oけρ 団¢ロoび ∪言σqo口 と 同 語 又 は 同 じ表 現 を 用 いた こと か ら も 明 ら か であ る。 津 田 蔵 之 丞 著 ﹁前 掲 書 ﹂ }二 七 頁 。
Oδ蒔 o (
○洋o <8 )。 末 川 博 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 四 六 六 頁 。
Ω一
。穿 ⑦ (
O寓o <8 )。末 川博 著 ﹁前 掲 書 ﹂ 四 六 三 頁 。
剛
永 井 雄 尚 稿 ﹁前 掲 論 文 ﹂ ﹁司 法 研 究 ﹂第 五輯 二 二頁 。
㈲
⑳
「
私的所有制度 と労働関係の史的沿革及びその法理」
179
働
囲
図
松 岡 教 授 は 、 そ の点 を ﹁労 資 関 係 の開 始 の時 代 に お け る従 属 関 係 ﹂ の態 様 と し て 把 握 さ れ 、 そ の従 属 関 係 の根 拠 を 所 有 権 の
ヘ
ヘ
ヘ
へ
社 会 的 機 能 に 求 め ら れ て い る こと (﹁労 働 法 概 論 ﹂ 三 ∼ 四 頁 ) は 、 既 に 第 一部 の論 稿 で 指 摘 し た と お り であ る 。 こ こで は、 松
岡 教 授 の所 説 を 受 け て、 そ の従 属 関 係 の形 成 が 、 所 有 権 の必然 的 な社 会 的 機 能 に よ る も の であ る こと を 指 摘 し て い る の で あ
る。
ロー マ法 の継 受 時 代 に お け る ゲ ル マ ン 法 の ↓ 歪 o集①ロ馨 く⑦暮冨 α
q に つ い て は 、 故 意 に 省 略 し た 。 蓋 し 、 古 代 ロー マ法 の ざ ?
(
園。N。冥 亨
蝉怠0 8 p山口。叶帥
o が 、 ゲ ル マ ン 法 に 導 入 さ れ は し た が 、 そ れ に よ って ゲ ル マ ン 法 の 目Hoロ島 o拐 言 ①誹轟 αq は 、 根 低 か ら 破 壊 さ れ
な か った と 解 せ ら れ る か ら で あ る 。 そ れ に 対 し て は 、 十 四 ∼ 十 六 世 紀 に お け る ゲ ル マ ン 法 に お け る ロー マ法 の継 受
δ ロ)は 、 中 世 ゲ ル マ ン 法 の ↓お ロ& Φ湯 零 。答 鎚 σ
q を 根 低 か ら 破 壊 し た と い う 見 解 も あ る (平 野 義 太 郎 著 ﹁民 法 に 於 け る ロー マ思
想 と ゲ ル マ ン 思 想 ﹂ 二 四 八 頁 )。 確 か に 、 ロー マ法 継 受 に よ って 、 普 通 法 の 学 説 は 、 ロー マ法 の ざ 8 什
ざ 8 銭 9 鉱o を 導 入 し
た け れ ど も 、 そ れ は 表 面 だ け で あ っ て 、 そ れ に よ っ て 中 世 ゲ ル マ ン 民 族 の 生 活 関 係 に 根 強 い 基 礎 と な って い た ↓ お ロ象 ①昌。。
貯 o-
答錘 ぴ
q を 完 全 に 破 壊 し た も の で は な か った 。 そ れ は 、 特 別 法 の 形 態 を と り な が ら 、 依 然 と し て 継 承 さ れ て い た か ら で あ る 。
労 働 基 準 法 は 、 労 働 の 対 償 (報 酬 ) を 賃 金 と し (第 十 一条 )、 現 物 給 与 (ト ラ ッ ク ・シ ス テ ム ) を 禁 止 し て い る (第 二 四 条 )
(一九 七 二 、 九 、 四 )
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