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平成17年度事業 報告書(PDF形式:801KB)

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平成17年度事業 報告書(PDF形式:801KB)
平成17年度
業務効率化等調査研究(未来型店舗サービス)
に関する報告書
平成18年3月
株式会社
野村総合研究所
目次
第 1 章 事業の背景と目的 .................................................................................................... 1
1. 背景 .............................................................................................................................. 1
2. 目的 .............................................................................................................................. 1
第 2 章 事業の検討体制 ........................................................................................................ 2
1. 3つの階層による検討体制 .......................................................................................... 2
2. 本委員会の検討メンバー .............................................................................................. 4
3. 商材別ワーキング参加企業 .......................................................................................... 5
4. 情報基盤・技術検討ワーキング参加企業 ..................................................................... 6
第 3 章 未来型店舗サービスを実現する店舗業務・情報基盤の在り方 ................................ 7
1. アパレル・ファッション雑貨....................................................................................... 8
2. 飲料・加工食品 .......................................................................................................... 14
3. 日用雑貨・化粧品・医薬品 ........................................................................................ 19
4. CD・DVD/書籍 ........................................................................................................ 23
第 4 章 店頭販売業務の高度化に向けた必要となる情報基盤・技術 .................................. 26
1. 基本的な考え方 .......................................................................................................... 26
2. 本事業で対象とする情報基盤・技術 .......................................................................... 27
3. 電子タグ関連技術の現状動向..................................................................................... 28
第 5 章 未来型店舗の実現に向けた展開シナリオと実行戦略............................................. 35
1. 未来型店舗サービスのコンセプト.............................................................................. 35
2. 未来型店舗サービスの高度化の展開シナリオ............................................................ 36
第1章
事業の背景と目的
1. 背景
平成 16 年度に開催された「未来型店舗サービスのあり方を考える研究会」(事務局:経
済産業省商務情報政策局流通・物流政策室)では、未来型店舗のサービスコンセプトにつ
いて議論が進められた。6つの基本コンセプト、「効果的な来店喚起」
「効果的な購買喚起」
「適確な品揃え」
「在庫可視化と物流管理の高度化」
「精算処理のスピード化」
「CSR 1 」の
実現に向けて、小売業のほかにメーカー・卸売業を加えて、より具体的な検討を行うこと
が求められている。
その際には、取扱商材別の顧客ニーズを反映した上で、取扱商材個別の来店喚起・購買
喚起・顧客満足度の向上、また、メーカー・卸売業等の供給サイドを巻き込んだ来店喚起・
購買喚起・顧客満足度向上の可能性について検討していく必要があると考えられる。
日本各地の中心市街地に目を転ずると、ヒト・モノが集まらなくなる「中心市街地の空
洞化」が依然として進んでいる。車社会の進展によって、大型の駐車場を持つ大規模小売
店の立地が郊外部で進み、社会の変化に乗り遅れた中心市街地が取り残されたためとも言
われる。さらに、インターネット・ショッピングが浸透しつつあり、中心市街地の衰退に
拍車が掛かっている。このような状況下で、中心市街地の衰退を食い止めるべく、種々の
政策が打ち出されているものの、衰退のスピードを抑制するには至っていない。
昨今、欧米の消費財流通業界では、業務高度化に向けて電子タグ導入検討が進められて
いる。ドイツの大手小売企業・メトログループの「フューチャーストア・イニシアティブ」
が著名である。「便利さ」と「買い物の楽しさ」といった付加価値を消費者に提供すること
が、電子タグをはじめとした情報技術を活用しながら模索されている。「フューチャースト
ア」すなわち「未来型店舗」のサービスを、中心市街地の小売店舗で展開することによっ
て、中心市街地の小売店舗への来店喚起が図られ、中心市街地の衰退に歯止めがかかると
いう効果も期待されている。
2. 目的
本事業は、小売業とソリューションベンダーが目指すべき小売業業務の高度化を前提と
した情報を持ち寄り、フィードバックを得ることで自発的に相互作用を生み出すための仕
組みを構築することを目的に、先進事例の調査及び「フューチャーストア推進フォーラム」
を設け、小売業の店舗業務の高度化を推進する。
なお、この検討結果の活用により、中心市街地の活性化に資するものと考えられる。
1
Corporate Social Responsibility;企業の社会的責任。企業活動のプロセスに社会的公正性や環境への配慮などを組
み込み、ステイクホルダー(株主、従業員、顧客、環境、コミュニティなど)に対しアカウンタビリティを果たしてゆ
くこと。その結果、経済的・社会的・環境的パフォーマンスの向上を目指すこと。
1
第2章
事業の検討体制
1. 3つの階層による検討体制
これまでの新しい情報基盤の検討においては、取扱商材ごとの特異性に焦点を当て、か
つ、生産・供給サイドにおける業務効率化を中心目的とした縦割り的な検討体制を敷いて、
検討が進めてられてきたことが多い。
このため、小売業の店頭業務の視点、すなわち、顧客の来店喚起・購買喚起・顧客満足
度度向上を図るサービスの視点が十分に反映されていない。また、検討の成果が必ずしも
すべての小売業に適用できる内容とはなっておらず、特定の商材・業態・業種のみに有用
となる結果となってしまっており、検討結果が幅広く効果的に活用されるには至っていな
いのが現状である。
ただし、その検討結果の中には、あらゆる商材、業態に共通して活用できる効果的な情
報基盤や業務プロセスの考え方が存在していることも事実である。しかし、個別の商材・
業態・業種についての検討成果が色濃くでてしまい、どの部分が他の商材・業態・業種へ
の活用を検討することが可能であるかといった整理が不十分である。
そこで、今回の研究会においては、固有の取扱商材のみの検討を行う取扱商材に起因す
る縦割りの検討体制を構築するのではなく、多数の商材を扱う小売業の立場に立ったタ
テ・ヨコ隈無く検討できる体制を構築する。
ここで「ヨコ方向での検討」とは、個別商材・業種・業態の枠にとどまらない小売業と
しての顧客の来店喚起・購買喚起・顧客満足度向上を図るサービス実現に向けた検討を行
うことを指す。一方、「タテ方向での検討」とは、顧客の来店喚起・購買喚起・顧客満足度
向上を図るサービスについての取扱商材の特性を考慮した検討を行うことを指す。具体的
には、次に述べる3階層の検討体制を設け、顧客の来店喚起・購買喚起・顧客満足度向上
を図るサービスの将来ビジョンについて、議論を深めることとする。
図
フューチャーストア推進フォーラムの検討体制
2
①フォーラム本委員会(小売企業により構成)
:ヨコ方向の検討
顧客の来店喚起・購買喚起・顧客向上を図るサービスの将来ビジョンをとりまとめる。
小売共通の課題としては、
・
実店舗で採用可能な未来型サービス仕様の絞込み
・
未来型店舗アプリケーションと店舗の既存システムとの接合
等が挙げられる。
②商材別ワーキング:タテ方向の検討
個別の取扱商材や小売業態の特性を考慮した店舗業務・情報基盤のあり方、サプライチ
ェーン全体の効率化の方向性の検討を進める。
どの商材にも共通する課題として、
・
サプライチェーンの各段階での電子タグ利活用
・
商流によって異なる電子タグの運用方式に対する標準化要求
等が挙げられる。
③情報基盤・技術検討サブワーキング
ソリューションベンダー(SIベンダー、タグベンダー等)のワーキングを設置し、小売
業のビジネス高度化を支える情報技術について検討を進める。新しい技術動向とユーザー
のニーズの方向を見据え、技術マップとロードマップを構築することで、ソリューション
ベンダーの投資効率の向上へ資することを目的とした検討を行う。
ソリューションベンダーが関与する課題としては、
・
低廉なタグの提供
・
普及型タグリーダー、ライターの提供(標準仕様の検討)
・
業種毎のコード標準化検討
等が挙げられる。
3
2. 本委員会の検討メンバー
フューチャーストア推進フォーラム本委員会は、3名の学識経験者、14の小売企業の委
員で構成される。
平成16年度に開催された「未来型店舗サービスのあり方を考える研究会」に引き続き、
座長を慶応義塾大学・國領教授にお願いした。
座
長
國領
二郎
副座長
荒木
勉
上智大学
経済学部
渡辺
達朗
専修大学
商学部
縣
厚伸
イオン株式会社
常務執行役
イズミヤ株式会社
ロジスティックス統括部
委
員
和田
実
實川
芳昭
小出
勝
横田
知伸
慶応義塾大学
環境情報学部
教授
教授
教授
IT担当
取締役統括部長
株式会社イトーヨーカ堂
執行役員
株式会社クイーンズ伊勢丹
情報システム物流部
株式会社三省堂書店
MD販促室次長
開発本部長
部長
総括・企画リーダー
ビリー・コール
株式会社西友 企業コミュニケーション部 バイス・プレジデント
西谷
株式会社阪急百貨店
正弘
ネット販売事業推進室長
高田 基生
株式会社ファミリーマート 執行役員 総合企画部 経営企画室長
隼田登志夫
株式会社マツモトキヨシ
佐藤
元彦
株式会社丸井
グループ経営企画部
部長
山本多加志
株式会社三越
取締役上席執行役員
商品本部長
藤沢
和則
株式会社ヨドバシカメラ
井原
實
株式会社与野フードセンター
井原
一
株式会社ローソン
取締役
常務取締役
営業本部長
営業統括本部長
代表取締役社長
イノベーション推進委員会
担当マネジャー
オブザーバ
濱野
径雄
財団法人流通システム開発センター
加藤
弘貴
財団法人流通経済研究所
常務理事
常務理事
注1) 所属での 50 音順に記載している。
注2) 上記は平成 18 年 3 月 20 日現在の構成を示す。
注3) 株式会社ヨドバシカメラの藤沢委員は、第3回本委員会から参加。
4
3. 商材別ワーキング参加企業
3.1. アパレル・ファッション雑貨流通サプライチェーンワーキング
株式会社丸井
株式会社三越
株式会社フランドル
リーバイ・ストラウス
ジャパン株式会社
株式会社アオキインターナショナル
住金物産株式会社
3.2. 飲料・加工食品流通サプライチェーンワーキング
イオン株式会社
株式会社クイーンズ伊勢丹
株式会社ファミリーマート
明治屋商事株式会社
東洋製罐株式会社
3.3. 日用雑貨・化粧品・医薬品流通サプライチェーンワーキング
株式会社資生堂
プロクター・アンド・ギャンブル
花王化粧品販売株式会社
株式会社三越
イオン株式会社
マツモトキヨシ
株式会社西友
東洋製罐株式会社
大日本印刷株式会社
5
3.4. CD・DVD/書籍流通サプライチェーンワーキング
カルチュア・コンビニエンス・クラブ
新星堂
有隣堂
ブックファースト
ジュンク堂書店
メトロ書店
フタバ図書
株式会社三省堂書店
セブンアンドワイ株式会社
紀伊國屋書店
ブックサービス
4. 情報基盤・技術検討ワーキング参加企業
日本ベリサイン(株)
サンデン(株)
(株) 日立製作所
シスコシステムズ(株)
富士通(株)
(株) NTTドコモ
日本ユニシス(株)
トーヨーカネツソリューションズ(株)
NTTコミュニケーションズ(株)
住友商事(株)
(株) 先端情報工学研究所
日本アールエフソリューション(株)
日本アイ・ビー・エム(株) 等
6
第3章
未来型店舗サービスを実現する店舗業務・情報基盤の在り方
顧客の来店喚起・購買喚起・顧客満足度向上を図るサービスについて、取扱商材の特性
を考慮した検討を、小売から生産・供給企業を含めた体制(タテ方向)で実施し、サービ
ス実現のための展開シナリオを検討した。
これまでの業務プロセスの前提となっているビジネス慣習(業界・業態内における制度、
暗黙掟、取引形態等)についても、従来の商慣習の枠を取り払った立場で検討を行い、顧
客サービスの充実を第一の目的とした新たなビジネスを展開するための商慣習改革の方向
性について、必要に応じて整理を行った。
ここでは、取扱商材の特性(たとえば、買い回り品 2 、最寄り品 3 といた区分)と、店頭で
の販売形態(接客販売、セルフ販売)の相違を考慮し、下記の4つで商材を区分した。
・
アパレル・ファッション雑貨
・
飲料・加工食品
・
日用雑貨・化粧品・医薬品
・ CD・DVD/書籍
上記の4つの商材について、
・
個別商材-店舗業態別の店頭販売業務の現状と問題認識
・
未来型店舗における顧客サービスについての生産・供給サイド側の期待と課題
・
個別商材の特性を考慮した店頭販売業務におけるサービスの方向性
を整理した。
2
3
主として、消費者が何軒かの店舗で選択する商品で、比較的高価格で販売される専門品・奢侈品を含む商品
主に日用品・雑貨品など比較的消費者の住居の近くにある店舗において、低価格で販売される商品
7
アパレル・ファッション雑貨
1.1. 商材別にみた店頭販売業務の現状と問題認識
1.1.1. アパレル・ファッション雑貨商材の特徴
まず第一に、ファッション性が高く、商品のライフサイクルが短いことがこの商材の特
徴として挙げられる。このため、店頭での新鮮さ(感度の高さ)の提案、販売を通じて「良
い購買体験を提供する」ことが求められている。
したがって、店頭での商品購入が、
「驚き、発見、楽しさ、安全」を提供するものである
ことを来店客に理解していただくことが重要となる。このような購買体験を通して、消費
者に店舗・ブランドからの提案に共感してもらい、再来店・購入してもらうことが期待さ
れている。
1.1.2. アパレル・ファッション雑貨の販売形態の特徴と課題
ここでは、アパレル・ファッション雑貨の店頭での販売形態の相違に着目し、「百貨店チ
ャネル・専門店チャネル」と「総合スーパーチャネル」の2つに分けて整理する。
(1) 百貨店チャネル・専門店チャネル
これらのチャネルは、接客を中心とする販売形態が展開されている。販売の主役は販売
員であり、情報技術はあくまでも支援という位置づけにある。
店頭は、ブランド別の店舗が構成されており、ブランド別・売場別に販売員が接客する
のが一般的である。必ずしも小売企業の販売員だけではなく、アパレルメーカーからの派
遣販売員が接客業務を行っている場合がある。
ただし、このように接客が中心となる販売形態が展開されているであっても、「販売員に
話しかけられることなく、基本的には、陳列されている商品を自由に自分で見たい」と思
う来店客がかなりの割合で存在しており、接客サービスは必要な時に提供されればよいも
のと考えられる。来店客が自分で自由に絞りこんだ後で、販売員に手間を掛けずに相談で
きる仕組みができると効果的と考えられる。
なお、店舗の営業時間の拡大が進んでおり、週末と中心とした休日の販売だけではなく、
会社帰り・学校帰りにおける販売についても対応が必要となってきている。
(2) 総合スーパー(GMS)チャネル
GMSチャネルは、前述の百貨店チャネル・専門店チャネルと異なり、セルフサービスが
中心となっている販売形態が展開されている。したがって、情報技術は、接客の代替手段
として活用されることが期待されているところが大きい。
ただ、セルフサービスでは、商品情報を丁寧に説明できないという問題がある。このた
め、お客様の購買行動の中で、電子タグ、店頭キオスクなどの情報技術を連携させ、 商品
情報を丁寧に提供することができれば効果的に購買に結びつくものと考えられる。
8
1.1.3. アパレル・ファッション雑貨の商材の特徴・販売形態の特徴に起因する課題
(1) 販売員の接客能力の担保
短いサイクルでの商品が入れ替わることに加え、新素材・デザインによる新規商品の投
入、人材の入れ替え等が激しく、販売員の商品・素材に関する知識獲得がなかなか追いつ
かないという問題がある。このほか、店舗舗の営業時間の拡大に伴って、販売員の確保が
困難な状況になってきている。
したがって、販売員の接客能力の質を一定以上に担保するための支援が望まれる。
(2) 接客機会創出の困難さ
アパレル・ファッション雑貨の購入に来店されるお客様は、必ずしも、販売員の接客を
望んでいるわけではない。また、接客を望んでいながらも、なかなか販売員に声をかけら
れないお客様もいる。
したがって、接客を通しての販売が中心であるため、お客様とのスムースな会話・接客
のきっかけ作りが必要となる。
1.2. 未来型店舗における顧客サービスについての生産・供給サイドの期待と課題
1.2.1. Pre-Marketingへの活用
次期商品開発・商品計画へと反映させる兆し情報の収集が期待されている。
シーズン前のお客様の商品に対する興味・反応は、マーケティング上極めて重要である。
店頭でのプレシーズン商品に対する状況がフィードバックされれば、いち早く仕入・生産
につなげることができ、効果的である。しかし、現状では店頭でサンプル商品を陳列し、
お客様に対してアンケート調査が実施されている例もあるが、お客様の素直な購買行動の
結果が収集できているとは言い難い状況である。
次シーズンに展開予定の商品を店頭に陳列し、お客様の反応をお客様の手を煩わせるこ
となく、情報技術を利用して取得することが効果的であると考えられる。お客様の購買行
動、具体的には「どのような商品が手に取られたのか」「購買に結びついた商品と手に取ら
れた商品の関係はどうか」をデータとしてとらえることである。
「お客様の購買行動がわかることが価値が大きい」と期待されるのは、特にファッショ
ン性の高い商品においては、当該商品の奥行き(店舗で保有すべき在庫数量)をどの程度
つけておくべきかを決める際に、そのデータが一つの有用な指標となるからである。ファ
ッション性の高い商品は、商品寿命も短く、追加補充することも困難な状況にある場合が
多い。このため、初期生産量・発注量の決定が、不良在庫・欠品に大きく影響を与えるの
である。
9
1.2.2. サプライチェーン全体を通した供給・在庫管理の共有化
店頭在庫・物流センター在庫、販売実績、販売計画、生産・供給実績、生産・供給計画
を小売企業・仕入先(サプライヤー)間で共有することにより、適切な商品の生産・供給
を実現することに期待が大きい。
(1) 小売サイドの視点
店頭に商品がない場合、
「物流センター、あるいは、店舗バックヤードに在庫があるのか」
「欠品していた場合に追加入荷はあるのか」「追加入荷があるとすれば、それはいつ入荷さ
れるのか」といった問い合わせに対して、店頭で迅速に回答が得られることが接客上重要
と考えられる。このような環境を実現するためには、単に小売業だけで閉じた供給・在庫
管理だけではなく、仕入先をも取り込んだ供給・在庫管理の実現が必要となる。
(2) 生産・供給サイドの視点
一方、生産・供給サイドから見れば、「どの小売企業・店舗で、どの商品を、いつ、どれ
だけの販売すること計画しているのか」
「販売予測と販売実績の差異はどの程度発生してい
るのか」「販売計画・仕入計画の修正はあるのか」といった情報を小売サイドと共有するこ
とで、生産・供給に対してのフレキシビリティを持った対応が可能となる可能性がある。
10
1.3. 個別商材の特性を考慮した店頭販売業務におけるサービスの方向性と課題
1.3.1. 店頭での情報技術活用の方向
販売員支援を軸とした商品情報提供、商品在庫管理や売上管理、販売員の各種支援など
マネジメントでの活用が効果的である可能性は高い。
(1) 店頭販売支援
①
②
商品情報の提供
・
商品そのものに関する情報(素材、仕様、他)
・
コーディネート情報(着合わせ、関連商品、シーン別利用方法、他)
:感性と情報
の融合による効果的な購買喚起を促す情報
店頭の新たな役割
・
新たなメディア媒体
・
Pre-Marketingの場
(2) 業務の効率化を促進することで、接客に集中できる環境作り
①
在庫情報の提供
〔機会損失の削減〕
「バックヤードに在庫があるが、店頭にはない」という状況をどのように改善するか、
という店頭在庫管理は、小売業の大きな問題である。現行の業務・システムでは、バック
ヤードの在庫数量がリアルタイムでわからないため、店頭への品出し遅れ(品切れ)や接
客での販売機会損失が発生している可能性がある。
店頭の棚在庫、バックヤード在庫が確認できることで、欠品状況が把握でき、配送依頼
への迅速な対応が実現することになる。
〔在庫確認、問い合わせ時間の短縮〕
自店で品切れが発生した際に、他店の在庫を検索し、自店への取り寄せを行う。このと
き、システム在庫が「リアルタイム在庫」でないために、在庫を持つと想定される店舗へ
の電話確認作業が必要となってしまう。この電話確認工数と出荷作業及び荷受確認等、店
舗販売員の負担が大きい。
このような在庫確認、問い合わせ時間が短縮することによって、接客に集中しやすい環
境が実現すると考えられる。
11
②
販売員の手が回らない状況における接客代替手段
お客様が試着室が空くのを待つ、接客中の販売員の接客が終わるのを待つということが
往々にして起きる。この時のお客様の待ち時間が、適切なレベル以上に長くなる場合、一
部のお客様は待つことを嫌い、店舗を去ることがある。これは、当該ブランドに興味を持
っていただいたお客様への接客機会を失うこととなる。
このため、キオスク端末等で、お客様への情報提供を実施し、店内及び商品へのアンカ
ーリング(=引き留めておく)を実現することで、販売機会損失の削減が期待できる。
③
販売員への商品・素材情報の提供による事前学習支援
一般的に、アパレル・ファッション雑貨(特に、ファッション性の高い商品)では、新素
材・デザインによる新規商品の投入、短いサイクルでの商品入れ替えを避けては通れない。
来店客が少ない時間帯を利用して、商品・素材情報を学習するなど、接客の事前学習を支
援することで、より効果的な接客業務を実現することが期待される。
1.3.2. 運用課題
(1) 電子タグの標準化
①
仕様の標準化
ネットワーク参照型 / タグメモリー型
電子タグの周波数( UHF、13.56MHz、2.45GHz 他)
電子タグ仕様(サイズ・色など)
運用の標準化
電子タグ貼付場所のルール
電子タグコストの負担ルール
②
個品管理についての取組ルール(在庫管理/トレーサビリティー)
(2) 電子タグのリサイクル
①
環境負荷を鑑みた電子タグ利用ガイドラインの必要性
タグの回収を前提とする場合には、販売員、お客様ともにストレスを感じ、コストが発
生する。その不便性を認識した上で、リサイクルに取り組む必要性がある旨のガイドライ
ンの設定が望まれる。
②
回収タグの収集・再生の静脈フローの検討
(3) プライバシー保護への配慮
①
電子タグ利用時に関するガイドラインの必要性
②
ガイドラインの普及・啓蒙
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(4) 全ての企業が利用できるまでの過渡期の運用ルール
①
過渡期における自社コードの利用
②
直近数年間の導入ロードマップについての業界内におけるコンセンサス
(5) コンテンツ作成・管理
①
コンテンツ流通の管理
②
コンテンツ著作権
③
更新・管理作業負荷負担
(6) サプライチェーン上のステイタス情報(在庫・生産・供給・販売)の共有管理
①
②
コンテナ・ケース物流と個品物流の融合
・
メーカーと小売・卸物流センター間のコンテナ・ケース物流設計
・
小売・卸物流センターと店舗間の個品物流設計
ソースタギングが国外で行われる場合のビジネスプロセスの検証
・
国際標準への活用可能性
・ 物流工程における関係企業の参画
13
2. 飲料・加工食品
2.1. 商材別にみた店頭販売業務の現状と問題認識
ここでは、「総合スーパーチャネル・食品スーパーチャネル」「コンビニエンスストアチ
ャネル」の2つの業態を対象として検討する。
2.1.1. 商材の特徴
(1) 総合スーパーチャネル・食品スーパーチャネル
・
定番品が相対的に多い。
・
調理が必要な食材の販売が相対的に多い。
(2) コンビニエンスストアチャネル
・
商品の入れ替わりが激しい(新商品のテストマーケティングの場となっている)
。
・
調理が不要な商品を販売
2.1.2. 販売形態の特徴
(1) 総合スーパーチャネル・食品スーパーチャネル
・
基本的にセルフ販売である、ただし、ワインアドバイザーが応対する等、接客が発生
するケースも一部にはある。
・
総合スーパーチャネル・食品スーパーチャネルでは、買い上げ点数が 10 点、買い上げ
金額は 2,000 円前後である。店舗内の滞留時間は 30~40 分程度と想定される。
・
顧客層は店舗立地場所に依存するが、一般的に、主な顧客は店舗近隣に居住する、家
族を持つ主婦と考えられる。(献立を考えるのに頭を悩ませている?)
。
・
来店客の情報ニーズとしては、ワイン、旬の食材など、商品の詳細情報へのニーズの
ほか、レシピ、フロアガイド(特に、大型店舗の場合)へのニーズが高い。
(2) コンビニエンスストアチャネル
・
セルフ販売である。
・
買い上げ点数は平均 2.5 点。お客様が店舗に滞留時間は平均で5分程度である。お客様
は「便利さ」
、中でもスピードに対する要望が他の小売業態より強いと考えられる。
・
20 坪程度広さの店頭に3~4台のレジが設置されており、単位店舗面積あたりのレジ
台数が突出している。
・
レジ精算速度が上がることが直接の来店動機にはならないと思われるが、レジ精算で
待たされること、および、精算時間が長くなることは、顧客満足度の低下に繋がると
考えられる。
14
2.1.3. 商材の特徴・販売形態の特徴に起因する課題
(1) 少ない要員での対応
顧客サービス向上のための、情報技術活用に対して全く取り組みがなされていないわけ
ではないが、どちらかといえば省力化、精度向上、スピードアップ等、店舗オペレーショ
ンの効率向上に重きが置かれる傾向が強い。
業務効率向上で浮いた時間を、顧客サービスに振り向けたいというニーズは確かに存在
する。ただ、顧客サービス向上のために、情報技術をどう使うか、というところまでには
至っていないのが一般的とみられる。
総合スーパーチャネル・食品スーパーチャネルでは、店舗運営費用を減らすため、店舗
人員が削減されている。人手不足により、品出し業務、発注業務等において、店員1人が
受け持つ商品カテゴリーが拡大している。そのため、店員の商品知識不足を支援する仕組
みが必要と考えられる。
店舗におけるお客様への情報提供の機会が減少している中で、情報技術を活用して、お
客様へのどう効果的な情報提供を行うかが課題である。
(2) 店頭での鮮度管理
飲料・加工食品には賞味期限があり、店頭での鮮度管理が必要となる。期限が切れた商
品を店頭の陳列させないために、1品1品の賞味期限を目で見て確認する作業には膨大な
コストがかかっている。また、人間が判断する作業であるがゆえ、チェックミスがゼロに
はならない。
煩雑な廃棄業務の負荷軽減、チェックミスを防ぐ仕組みが課題である。
2.2. 未来型店舗における顧客サービスについての生産・供給サイドの期待と課題
店頭で商品の情報提供を行う場合、どの小売企業・店舗でも共通する商品情報(特に、
商品属性に関する情報)は、小売企業に対して、卸経由でメーカーから提供されるコンテ
ンツについては、メーカーの協力が必須である。
15
2.3. 個別商材の特性を考慮した店頭販売業務におけるサービスの方向性と課題
2.3.1. 店頭でのお客様の購買支援
(1) 商品情報提供
・
来店した日の買い物を支援するという考え方である。
・
購入対象となる商品そのものに関する詳細な情報(生産地、トレーサビリティ等)へ
のニーズが存在すると考えられる。
・
食材のコーディネート情報である「レシピ情報」の提供、料理番組との連動(番組で
紹介された料理が、店頭端末に表示される等)といった工夫を凝らすことで、購買喚
起につながるものと期待される。
(2) 店頭の新たな役割
・
一方、来店した日の買い物ではなく、近い将来の買い物を支援するという考え方もあ
ると考えられる。
・
テレビコマーシャルに代わる新たな広告媒体(商品告知の場)としてのスマートカー
ト(ディスプレイ付きショッピングカート)の活用が期待される。
2.3.2. 業務効率化の促進
(1) 在庫情報の提供
〔機会損失の削減〕
・
「バックヤードに在庫があるが、店頭にはない」という状況をどのように改善するか、
という店頭在庫管理は、小売業の大きな問題である。現行の業務・システムでは、バ
ックヤードの在庫数量がリアルタイムでわからないため、店頭への品出し遅れ(品切
れ)や接客での販売機会損失が発生している可能性がある。
・
店頭の棚在庫、バックヤード在庫が確認できることで、欠品状況が把握でき、配送依
頼への迅速な対応が実現することになる。
〔在庫確認、問い合わせ時間の短縮〕
・
自店で品切れが発生した際に、他店の在庫を検索し、自店への取り寄せを行う。この
とき、システム在庫が「リアルタイム在庫」でないために、在庫を持つと想定される
店舗への電話確認作業が必要となってしまう。この電話確認工数と出荷作業及び荷受
確認等、店舗販売員の負担が大きい。
・
このような在庫確認、問い合わせ時間が短縮することによって、接客に集中しやすい
環境が実現すると考えられる。
16
〔鮮度管理業務の高度化〕
店頭での鮮度管理(賞味期限を過ぎた商品を素早く店頭の陳列棚から取り外す)は、現
在は人手に頼っており、チェック漏れをゼロにすることはなかなか難しい。しかし、あら
かじめ廃棄すべき商品数量がわかっていれば、現状に比べて、精度向上が期待できると考
えられる。
(2) レジ業務の負荷軽減
〔セルフレジ〕
レジ要員を減少に対応できる。
〔電子タグ対応レジ〕
読取方法の抜本的変化(バーコードによる逐次読取→電子タグによる一括読取)による、
読取時間短縮が期待される。
2.3.3. 運用上の課題
(1) コンテンツ作成、流通
・
コンテンツ作成負荷の軽減のために基本情報、画像データの標準化
・
メーカー、卸、小売での役割分担
・
コンテンツ利用ルール(著作権)
(2) ②電子タグの標準化
仕様の標準化
多様な商材に対応できる電子タグ(サイズ、形状、材質、温度帯、装着方法(貼付/容
器内蔵))
(3) ③コスト負担
サプライチェーンの各主体(メーカー、卸、小売)における、電子タグ運用コストの負
担ルール
(4) タグのリサイクル
ワンユースの際の、使用済み電子タグの回収ルールの確立(電子タグの回収を前提とす
る場合には、販売員、お客様ともにストレスを感じ、コストが発生する)。その不便さを
認識した上で、リサイクルに取り組む必要がある旨のガイドラインの作成・遵守が望ま
れる。
回収された電子タグの収集・再生処理プロセスの検討
17
(5) プライバシー保護への配慮
・
電子タグ利用時に関するガイドライン
・
ガイドラインの普及・啓蒙
(6) すべての企業が利用できるまでの過渡期の運用ルール
・
直近数年間の導入ロードマップについての業界内におけるコンセンサス形成
18
3. 日用雑貨・化粧品・医薬品
3.1. 商材別にみた店頭販売業務の現状と問題認識
3.1.1. 百貨店チャネル
店頭は、ブランド別にブースが区分けされており、ブース別に派遣販売員が接客するとい
う仕組みである。
美容部員の人数もかなり多い。この貴重な美容部員を接客に集中させるということで効率
化を図る余地はあると考えられる。現状では、在庫確認や補充などの付帯業務も美容部員の
担当となっており、改善の余地が大きい。
一方で、百貨店での調査によれば、お客様の7割近くは基本的には自由に商品を見たいと
思っており、
「接客サービスを提供するのはお客様が必要な時でよい」と考えられる。セルフ
で自由に絞りこんだ後で、美容部員へ相談するという仕組みができると効果的と考えられる。
3.1.2. 総合スーパーチャネル
店頭は、「セルフサービス」と対面の「接客カウンセリングサービス」の2つの販売形態
がある。
「セルフサービス」では、商品情報を丁寧に説明できないという問題がある。一方、「接
客カウンセリング」では、坪効率を考えるとなかなか人手をかけにくいという問題がある。
接客形態は、リピーターも多く、新商品の予約も多い。店頭で、商品を試してみる環境が
販売促進上重要と考えられ、接客をなくすということはない。
このため、2つの販売形態の双方ともに、電子タグや店頭キオスクなどの連携で、商品
情報を丁寧にお客様に提供することができれば効果的と考えられる。
3.1.3. ドラッグストアチャネル
ロードサイドと駅前の店舗で、坪数も異なるため販売形態も異なっている。セルフ販売
と接客販売の2つの販売形態がある。
3.2. 未来型店舗における顧客サービスについての生産・供給サイドの期待と課題
業態別の販売形態によって、単純に「セルフ型」「カウンセリング型」と区分されている
わけではない。しかし、いずれにせよこの2つの販売形態に応じて議論することが必要で
ある。
ただ、
「カウンセリング型」を議論する上では、制度品 4 の制約をふまえておく必要がある。
「制度品化粧品」と呼ばれる商品の販売においては、メーカーが小売店との間で結ばれて
いる販売契約で、対面販売が義務付けられている。
4
原則的に顧客への対面販売(コンサルティングなどを通じた販売)が義務づけられた化粧品を「制度品」と呼ぶ。
19
また、個人によって異なる繊細な肌の差に対して、商品を奨めるというサービスであり、
情報技術活用だけで全て対応できるわけではない。
しかしながら、対面販売業務を担う美容部員・アドバイザーが、棚卸・在庫管理業務な
ど、接客以外のバックヤード業務に時間を割く必要があり、これらの業務に負荷がかかっ
ている状況にある。
したがって、商品情報提供、商品在庫管理や売上管理、サンプル商品に対する反応、美
容部員の各種支援などマネジメントでの活用が効果的である可能性は高い。
3.2.1. 商品情報提供の課題
化粧品ならではの商品情報が存在している。使用方法や使用量、成分、アレルギー、香
料の有無などについても、きめ細かな情報提供が必要である。
3.2.2. 店頭在庫管理の問題
「バックヤードには在庫があるが、店頭にはない」という状況をどのように改善するか、
という店頭在庫管理の問題が存在している。
美容部員は、
「今、店舗内に在庫があるかどうか」を常に意識しながら、接客を行ってい
る。随時、リアルタイム在庫を確認できる仕組みができれば効果的と考えられる。化粧品
の場合、商品を指定して購入するケースがあり、当該商品が欠品していると明らかに販売
機会損失につながってしまう。
3.2.3. サンプル試供品(テスター)
テスターは、マーケティング上極めて重要である。店頭でのテスターの使用状況がタイ
ムリーに供給サイドにフィードバックされれば、いち早く生産につなげることができ、効
果的と考えられる。例えば、口紅で「どの色の試用回数が多かったか」
「反応がよかったか」
という兆し情報を取得できることがマーケティング上、効果的と考えられる。
3.2.4. 美容部員の支援
美容部員の接客業務以外の負荷として、顧客カルテ作成業務負荷が挙げられる。電子的に
顧客カルテが処理でき、カルテ作成の負荷を軽減させることができれば効果は大きいと考
えられる。(顧客カルテ例:提供サンプルの内容、肌診断の結果、次回の店頭誘客戦略等)
20
3.3. 個別商材の特性を考慮した店頭販売業務におけるサービスの方向性と課題
3.3.1. 店頭の強みの活用
インターネットショッピングが拡大する中で、
「カウンセリング型」販売によって、お客
様とコミュニケーションができるという、店頭の強みを活かしていくことが課題である。
3.3.2. 比較購買への対応
現在の百貨店店頭での課題は、店頭での比較購買ができないことである。例えば、
「CoQ10
を含む商品を紹介して欲しい」といった顧客のニーズに対して、店頭で小売として応える
ことができない。このために、販売機会損失を招いている危険性も高い。
また、いくつかのブランド別ブースで試した後、そこで購買しにくいので、隣の百貨店
に行って購入するというケースが実際にある。
3.3.3. リアルタイム在庫情報の活用
商品が店頭にない場合に、バックヤードに在庫があるのか、あるいは、商品が欠品して
いた場合に「いつ入荷されるのか」
、商品の問い合わせがあった時に「そもそも当該店で取
り扱っているのか」といった情報が、店頭で迅速に提供できることが重要と考えられる。
3.3.4. 店頭での情報端末の活用方法
比較購買に対応した情報、在庫情報など、接客サービスの高度化に寄与する情報が、キ
オスク端末で提供されるとしても、それを対面販売の中でどう取り扱うかという接客の質
も課題である。また、売り場で携帯端末を操作していると、お客様から「販売員が業務中
に店頭で私用メールを打っている」と誤解される恐れがあるため、店員が嫌がることもあ
る。
3.3.5. 技術的な課題
(1) 個品への電子タグ装着
・
アイテムに電子タグを装着するということにならないと、店頭では活用できない。
(2) 周波数帯
・
電子タグの周波数帯は、電子タグ自体の大きさ、アプリケーションの内容(スマート
シェルフかハンディターミナルか)をふまえて、最適な周波数帯を選択する必要があ
る。
(3) 個品への装着位置
・
商品の外観(パッケージ)に影響を与えないようにするために、どうすることが効果
的か。電子タグ装着場所は、容器かパッケージか、パッケージの外か中か、容器自体
に埋め込む(内蔵する)という4つの選択肢がありうる。次の4項目(パッケージの
21
外観、金属対応、キズ、コスト)を考慮しながら、選択肢を絞り込んでいく必要があ
り、これらを考慮すると、外箱のフタの裏側に貼付することが最も実現性が高いので
はないかと考えられる。
22
4. CD・DVD/書籍
4.1. 商材別にみた店頭販売業務の現状と問題認識
4.1.1. 書籍
〔書店業界の状況〕
国内での書籍販売金額(小売段階)は2兆 3,000 億円。この 10 年間で書籍売上高は 10%
減少。オンライン・ブックストアの売上が伸びている。インターネットで注文して、自宅
ではなく、コンビニエンスストアで商品を受け取る形態も伸びている。自ら店舗に出向く
ことによって、商品を確実に受け取れるところが消費者に受容されているとみられる。
国内の書店数は現在、約 18,000 軒と言われる。1年に 1,000 軒の中小書店が減る一方、
200~300 軒の大型書店が増える。トータルの書店面積は純増である。書店売り場面積はこ
の5年間で 15%増加している(それに比例して市場在庫も増加している)
。その理由として、
大型店との競合、メディア間競争(インターネット、携帯電話、電子ブック等)による読
者人口の減少、新古書店・中古書店(ブックオフなど)の登場などが挙げられる。
書店の営業利益率は低い。大型化する店舗でのオペレーションコストを抑制するため、
接客業務をアルバイトにまかせており、十分な接客サービスを提供できていない面がある。
〔商品情報、在庫情報の提供〕
店頭端末を使って、在庫情報や書誌データが提供されている。また、在庫をインターネ
ット上であらかじめ確認し、電話予約した上で、来店して購入するという購入形態が増え
ている。ただし、バッチ処理でリアルタイム性がない、万引きや客注品によってシステム
在庫と実在庫が一致しないという問題がある。また、書誌データについても、フォーマッ
トが取次によって異なっていることがある。
〔販促情報の提供〕
店舗でのお客様への情報提供手段はいろいろとあるが、店長お奨めの手書き POP による
効果が大きいことがわかった。ある大手出版社は、手書き POP を印刷して全国の書店に配
布するといった対応を組織的に行っている。このほか、「カリスマ店員」の存在が大きく、
お客様がカリスマ店員に推薦書籍を尋ねる、「カリスマ店員への指名買い」がある。
〔購買履歴データの活用〕
1人の消費者が同じ書籍を二度買うことは稀であるため、消費者の過去の購買履歴情報
そのものだけでは販売促進には有効ではない。消費者の過去の購買履歴から、「この消費者
なら、こんな本を買うだろう」という推測でできることが重要となる。したがって、マー
ケティングの観点からは、立ち読み、試読データ等の購買前情報が重要と考えられる。
顧客属性データの分析結果を店頭で活用する余地が十分にある。ただ、書籍の購買履歴
23
は個人の趣味・嗜好・思想等を強く反映しているために、その取り扱いが問題である。
〔多様化する決済手段への対応〕
クレジットカード、電子マネー(Suica、Edy)、デビットカード等、決済手段が多様化す
ることによって、店頭に設置される決済端末の種類が増えている。決済可能な手段の案内・
告知や、会計業務に携わる従業員に対する教育など、多様化する決済手段への対応が必要
となっている。
4.1.2. 音楽CD
〔音楽 CD 販売業界の状況〕
音楽 CD の市場規模は現在、約 6,000 億円である。音楽 CD 業界の売上は 1998 年の 6,800
億円をピークに下降が続いている。競合メディアである音楽配信が徐々に拡大してきてい
る。
〔複合店舗化の進展〕
音楽 CD が販売されている小売店舗数は日本国内に 5,000~6,000 店舗である。店舗が複
合化しており、音楽 CD のほかに、書籍、映像(DVD)、スポーツグッズ、衣料を取り扱う
小売店舗も出てきている。
ただし、異なるメディアの間での、コンテンツの連携はできていない。たとえば、テレ
ビ番組化された本が販売されていても、そのテーマ曲を誰が歌っているのかがすぐにわか
らない、といったことが起きている。
「セル CD」のほか「レンタル CD」を取り扱う店舗もある。24 時間自動返却サービスを
提供するレンタル CD ショップが増え始めた。ただ、「(レンタル CD を)返した」「返して
いない」といった揉め事がよく起きている。
〔販売形態〕
昔のレコード店員は、対面で接客を行っており、店舗に来たお客様の顔を見れば、過去
の購買履歴がわかり、そのお客様に何を提案すればよいのかわかっていた。しかし、今は
そうではなくなっている。
店舗内の陳列棚はインデックスで区分されており、基本的にはセルフ販売形態である。
ただし、お客様がレジ係員や販売員に在庫問い合わせを行うこともある。店舗の中では、
商品が本来陳列されているべき場所に戻されていないことによって、販売機会損失が発生
している。レジで在庫を検索して「当該の商品の在庫はあります」と表示されても、その
商品が陳列されているはずの場所に存在しないことがある。
24
4.2. 未来型店舗における顧客サービスについての生産・供給サイドの期待と課題
メーカーによる減数出荷、減数出荷を見越した(過剰)発注が依然として残っており、
結果として返品率が約40%という水準になっている。
店頭において適確な品揃えを無駄なく実現するために、高い返品率の原因となっている
商慣行、取引条件を見直していく必要がある。一部のベストセラーについては「責任販売
制 5 」が導入されて始めた。書店、取次、出版社の3社が協働して取り組んでいく必要があ
る。
4.3. 個別商材の特性を考慮した店頭販売業務におけるサービスの方向性と課題
4.3.1. 商品情報提供
接客サービスの改善でねらうのは、
「どうやってお客様を呼び込むか」
、「どうやってお客
様に購入してもらうか」
「リピーターをどう増やすか」の3つと考えられる。
このうち、来店したお客様に購入してもらうために、どのようにして効果的に情報を提
供するかが重要である。手書き(風)POP や「カリスマ店員」等、お客様を引き付ける仕掛
けが重要と考えられる。
店舗での POP 作成負荷を軽減する仕組み、販売員の商品知識獲得の支援が望まれる。
4.3.2. 複合商材への対応
書籍、CD・DVD の双方とも、リアル店舗でのショッピングを介さない、インターネット利
用の購買形態が今後も増えるものと予想される。リアル店舗が減少する中で、店舗にどう
引き付けるかが最大の課題である。
レジについても、書籍、CD・DVD で商品コード体系が異なることから、レジ端末が別々に
なっているところが大半となっている。「メディアミックス」が功を奏して、書籍と CD あ
るいは書籍と DVD を購入したとしても、レジ端末が別々ではお客様に対して不便な思いを
させてしまうことになる。
したがって、商品情報提供と合わせて、レジ精算についても、複合商材での対応が望ま
れる。
5
出版社が注文通りに生産・出荷する代わりに、書店は仕入れた商品を必ず責任をもって売るという仕組み。
25
第4章
店頭販売業務の高度化に向けた必要となる情報基盤・技術
1. 基本的な考え方
現在、ソリューションベンダーから各ユーザー企業へのソリューション情報の提供は、
各社作成のカタログ情報の個別発信が一般的である。
「当該ソリューションがどのように業
務改革・効率化を支援してもらえるのか」といった情報提供は必ずしも十分ではないこと
から、ユーザー企業がどのソリューションが自社業務改革・効率化にふさわしいかの判断
がつかない状況にある。
このため、小売業が各社のソリューションを検討する際には、各ソリューションベンダ
ーの提供している現行ツールを小売業の業務機能とマッチングさせ、体系的な技術マップ
を作成することが効果的であると考えられる。
一方、「小売業が業務改革・効率化を進めるために欲する情報システムはどのようなもの
なのか」といった、小売企業からソリューションベンダーへ情報をフィードバックする仕
組みが実在していない。そのため、ソリューションベンダーが、ソリューション・ツール
開発において積極的に投資を行えていないのが現状である。このような状況は、各ユーザー
企業が欲するソリューションの未開発、もしくは開発の遅れを招き、小売業各社の業務の
高度化の遅れに繋がっていると考えられる。
小売業業務の高度化を推進する上で小売業とソリューションベンダーが、目指すべき小
売業業務高度化を前提とした情報を互い持ち寄り、フィードバックを得ることで自立的に
相互作用を生み出すための仕組みが実現すると考えられる。
26
2. 本事業で対象とする情報基盤・技術
小売業の業務高度化を実現するためのソリューションは多種存在している。ここ近年で
は、欧米のみならず日本の消費財流通業界においても、電子タグ導入検討の取り組みが積
極的に進められているところである。
欧米の消費財流通業界での電子タグ活用シーンをみると、物流オペレーションの効率向
上に重点が置かれている。
一方、日本の小売業の特徴、つまり、「床面積あたり売上高が大きい」「店頭欠品率が低
い」「シュリンケージ(流通過程の紛失)が低い」「バーコード導入割合が高い」といった
特徴をふまえると、単なる物流オペレーションの効率向上ではなく、高度な店頭販売業務・
接客サービスが要求されているといえる。したがって、電子タグを活用するといっても、
欧米の小売業とは異なる形態になりうる。
これまで、わが国でも電子タグに関する実証実験は多数行われてきた。これらの実験は
技術的には成功をおさめているものの、電子タグが本格的に普及している状況にはまだ至
っていない。電子タグが本格的に普及するに至っていない背景は2つある。1つは、小売
にとって経済効果をもたらす電子タグ活用シーン、電子タグを活用したビジネスプロセス
がみえにくいことである。もう1つは、技術ベンダーにとって、小売店頭の電子タグ活用
ニーズと具体的な技術仕様が必ずしも明確ではないため、思い切った投資を行うにはリス
クが大きいことである。
電子タグを活用することで最も恩恵を受けると想定されるのは小売業であり、その小売
業での電子タグ活用が、本格的な普及に向けての最後の関門であると考えられる。単なる
店舗運営の効率化という点だけではなく、むしろ、わが国の成熟した消費者に対する「顧
客満足を向上させる」という視点での、電子タグ活用の可能性を探索することが重要と考
えられるため、ここでは電子タグ関連技術に焦点をあて、その現状動向を把握することと
する。
27
3. 電子タグ関連技術の現状動向
3.1. 現状動向調査の要領
3.1.1. 目的
電子タグ関連技術である電子タグ(ICカードを除く)、電子タグリーダ・ライタ、電子
タグプリンタ(電子タグ表面への印字機)の現状動向を把握する。
3.1.2. 調査対象
電子タグ(ICカードを除く)、電子タグリーダ・ライタ、電子タグプリンタ(電子タグ
表面への印字機)を供給していると想定される 114 社を対象とする。
3.1.3. 調査方法
アンケート調査票を、電子メールに添付して送受信する。
3.1.4. 調査期間
平成 18 年 2 月 6 日(月)~平成 18 年 2 月 24 日(金)
3.2. 回答状況
48社から計211製品について解答をいただいた。内訳は、タグが36社114製品、リーダラ
イタが38社97製品であった。
28
3.3. 集計結果
3.3.1. 周波数帯
周波数帯として、125KHz、13.56MHz、UHF 帯(950MHz 前後)
、2.45GHz、その他の5つを
選択肢として設けた。電子タグ、電子タグリーダ・ライタともに、周波数帯別の分布状況
は類似している。
最も多いのが 13.56MHz に対応した製品であり、ついで、UHF 帯、2.45GHz、125KHz とな
っている。
下表を見ると、RFID を導入するうえで、13.56MHz、UHF、2.45GHz であれば、10 社 20 製
品以上の中から比較検討することができることがわかる。
29
3.3.2. 製品開発元
電子タグ、電子タグリーダ・ライタともに、自社開発が最も多い。電子タグは全体の 52%、
電子タグリーダ・ライタは全体の 75%を自社開発品が占めている。
一方で、電子タグの方が電子タグリーダ・ライタと比べて、他社開発、共同開発が多い
傾向にある。
3.3.3. 対応標準
電子タグ、電子タグリーダ・ライタともに対応標準別の製品・企業分布は類似している。
中でも、最も多いのは、ISO15693 に対応したものである。
電子タグ、電子タグリーダ・ライタで、異なる分布を示したのが、ISO18000 である。提
供する企業数は電子タグ、電子タグリーダ・ライタともに 10 社程度だが、提供されている
製品数は、電子タグリーダ・ライタの方が多くなっている。電子タグ、電子タグリーダ・
ライタともに、自社開発が最も多い。電子タグは全体の 52%、電子タグリーダ・ライタは
全体の 75%を自社開発品が占めている。
30
3.3.4. 対象とする商材・荷姿
周波数帯別で見ると、全体的に 13.56MHz 帯の製品が最も多く提供されており、次いで、
UHF 帯と 2.45GHz 帯の製品が同程度提供されている。
UHF 帯と 2.45GHz 帯の利用シーンを比べると、物流用および書籍雑誌には UHF 帯電子タグ
が若干多く利用される傾向にある。その他においては、2.45GHz 帯電子タグが多く利用され
ている。
2.45GHz 帯の製品が利用される「その他」用途では、「金属製品への対応」と回答されて
いる製品が5つあった。
3.3.5. 主な用途(リーダライタ)
店舗検品・店頭在庫管理が圧倒的に多い。40 弱の製品が提供されている。
店頭での「その他」用途としては、9社からスマートシェルフ計 15 製品が提供されてい
る。
店頭業務の中でも、バックヤード業務における製品は多く提供されているが、接客に近
い業務を支援するための製品の提供はまだ少ない。
「その他」の用途としては、生産や物流工程での使用を想定した製品が多い。
31
3.3.6. アンテナ形状
パネル型、ハンディ型は 10 以上の製品が提供されているが、その他の製品は5以下しか
提供されていない。
板ガラス、レジ一体型、マット型は、現在は製品化に至っていない。
3.3.7. 機能(リーダ・ライタ)
電子タグリーダ・ライタの大半は、リーダ機能とライタ機能の両機能をもつ(71 製品)。
また、多くの電子タグリーダ・ライタは、アンテナ内蔵タイプである。
プリンタ機能をもつリーダライタは全体から見ると少なく、19 製品であり、そのうち6
製品はプリンタ機能のみでの提供である。
32
3.3.8. 周波数帯別、対応する店頭業務別にみた製品数および企業数(電子タグリーダ・ライタ)
周波数帯別で見ると、全業務において、13.56MHz 帯の製品が多いものの、UHF 帯や 2.45GHz
帯の製品は少ないながらも各業務に対応しているものがある。
店頭業務のうち、最も対応する製品が多いのが、入荷検品業務である。次いで、バック
ヤード在庫、トレーサビリティ、棚在庫、商品情報となっている。一方で、個品へのタギ
ングが必須である、会計・精算、盗難、売行調査に対応している製品は少ない。
3.3.9. 周波数帯別×対応する物流業務別にみた製品数および企業数(電子タグリーダ・ライタ)
店頭業務と比べると、全体的に提供されている製品が多く、各業務ともに 20 以上の製品
が提供されている。中でも最も多いのが、入荷検品である。次いで、在庫管理、トレーサ
ビリティと続いている。
周波数帯別で見ると、13.56MHz 帯が最も多い。
33
3.3.10. 主な外部接続(リーダライタ)
リーダライタにおける外部接続を見ると、主に3タイプである。最も多いのが RS-232C
による接続で、次いで、USB、Ethernet となっている。
3.3.11. フィルタリング等機能の有無(電子タグリーダ・ライタ)
リーダライタにおいて、フィルタリング等の機能が有る製品と無い製品が、それぞれ 30
製品程度、提供されている。
34
第5章
未来型店舗の実現に向けた展開シナリオと実行戦略
1. 未来型店舗サービスのコンセプト
未来型店舗サービスの高度化の展開シナリオ、実現に向けての課題を整理する上で、
「(6
+α)のサービスコンセプト」を、下図のとおり構造化した。
ねらうべきは「顧客満足度、ロイヤリティの向上」である。そのためには、「効果的な購
買喚起」「適確な品揃え」
「在庫可視化と物流管理の高度化」
「精算処理のスピード化」を通
じて、効果的に来店を喚起させることが重要である。また、経済的パフォーマンス向上に
直 接 的 に 結 び つ く 来 店 喚 起 の 各 施 策 を 実 施 す る ほ か に 、 CSR ( Corporate Social
Responsibility;企業の社会的責任 6 )の考え方も重要である。
本章では、未来型店舗サービスを実現する上で、情報技術を活用して来店喚起を実現す
る4つの施策(「効果的な購買喚起」
「適確な品揃え」
「在庫可視化と物流管理の高度化」
「精
算処理のスピード化」)について、未来型店舗サービスを支えるプロセス・業務の内容の展
開シナリオ(=ロードマップ)、その実現に向けて必要となる情報技術・基盤、および、そ
の実現に向けた課題を整理する。
6 企業活動のプロセスに社会的公正性や環境への配慮などを組み込み、ステイクホルダー(株主、従業員、顧客、環境、
コミュニティなど)に対しアカウンタビリティを果たしてゆくこと。その結果、経済的・社会的・環境的パフォーマン
スの向上を目指すこと。
35
2. 未来型店舗サービスの高度化の展開シナリオ
2.1. 基本的考え方
未来型店舗サービスの高度化の展開シナリオを描く時間軸を3つに区分し、現状に近い
ものを「ステップ1」、次に来るものを「ステップ2」、その次に来るものを「ステップ3」
と称する。それぞれ「短期」「中期」「長期」と読み替えることも不可能ではない。それぞ
れの具体的な時間スパンはここでは明示していない。また、4つの施策ごとのステップは
同期を取っていないことに留意されたい。
まず、情報技術を活用して来店喚起を実現する4つの施策(「効果的な購買喚起」「適確
な品揃え」「在庫可視化と物流管理の高度化」「精算処理のスピード化」
)について、各ステ
ップで実現されるべきプロセス・業務の内容を整理している。
次に、それらのプロセス・業務の実現に向けて、必要となる情報技術・基盤を整理して
いる。
最後に、各施策・各ステップで、実現に向けた課題を協調分野、競争分野の2つに区分
して整理している。
ここで、協調分野とは、オペレーションコスト削減に向けて業界を挙げて(=協調して)
標準化を進めることが望まれる分野という意味である。バックヤード業務のコスト削減に
寄与する技術・ソリューション等が代表的なものである。一方、競争分野とは、企業が自
らのパフォーマンス向上をねらうべく、独自に取り組むべき分野という意味である。お客
様に提供する商品情報、および、その提供の仕方が競争分野の一例ととらえることができ
る。
36
2.2. フューチャーストアの実現に向けた展開シナリオと実行戦略
2.2.1. 効果的な購買喚起
プロセス・業務の内容
ステップ1
ステップ2
ステップ3
お客様の購買行動に即した
商品情報に加えて、当該商品
顧客属性別のレコメンデーシ
的確な情報提供
の在庫情報やコーディネーシ
ョン
・お客様への直接提供型(食
ョン情報の提供 (コンテンツ
・商品関連情報だけではな
品等)
の高度化)
・販売員支援型(アパレル、化粧
く、対象となる顧客属性を判
別し、その属性分類に即し
品等)
た情報を選択して提供する
実現に向けて必要となる
◆商品情報に関する DB 整備
◆商品情報の収集プロセスと
◆お客様 DB 整備と属性体系
情報技術・基盤
◆お客様のニーズ・購買行動
更新プロセスの定義と設計
の管理・更新プロセスの設計
に応じた情報提供システムの
◆商品情報提供システムと単
◆レコメンデーション機能の
整備
品在庫管理システムとの連動
設計
・ 購買行動時に対応した無
・ シス テム 在庫 と 実在 庫の
整合性担保
意識下での情報提供手段
(スマートシェルフ、スマー
トカート等)
・ ・販売員の接客支援
実 現 に
協調分野
・ (メーカーが提供する)商
向けた課
品の基本情報、画像情報
題
のフォーマット統一(標準
商品情報収集・加工・蓄積プ
個人情報保護への対応
ロセス
化)
・ コンテンツ利用ルール(著
作権管理等)
競争分野
・ 販促情報(何を見せる
か?)
提供する情報内容のレベル
・組み合わせ情報(着合わ
・ 商品表示アプリケーション
(どう見せるか?)
せ、レシピ等)
・単品在庫情報
・実 店 舗 に お け る
One-to-One マーケティン
グ
・ 購買行動を加味した顧客
セグメンテーション
37
2.2.2. 適確な品揃え
プロセス・業務の内容
ステップ1
ステップ2
ステップ3
プレマーケティングによるパイ
限定商品におけるお客様の
全商品におけるお客様の購
ロット情報収集(限定したアイ
購買行動、商品・カテゴリに対
買行動、商品・カテゴリに対
テム、限定した場所で実施。
する興味度の検出(当該シー
する興味度の検出(当該シー
次シーズンへ反映)による次
ズンの販売計画へ反映)
ズンの販売計画へ反映)
期投入商品の販売計画の高
・ お客様の購買行動を反映
・ お客様の購買行動を反映
した商品品揃えの実現
した商品品揃えの実現
・ 商品在庫・発注量の見直
・ 商品在庫・発注量の見直
度化。
・ 新商品発注数量の見込み
し
・ 商品ごとの展開バラエテ
し
ィ・奥行き(在庫所有量等)
・ 価格戦略への反映
・ 価格戦略への反映
の見直し
・ サプライチェーンの整流化
・ サプライチェーンの整流化
・ 生産計画の適正化
実現に向けて必要となる
◆お客様の購買行動に対応
◆サプライチェーン上のステ
◆サプライチェーン上のステ
情報技術・基盤
した情報収集システム
イタス情報(在庫・生産・供給・
イタス情報(在庫・生産・供
・ 購買行動時に対応した無
販売)の共有管理
給・販売)の共有管理
◆マーケット情報の判断を、
◆マーケット情報の判断を、
基幹システムに取り込み、サ
基幹システムに取り込み、サ
プライヤーと共有する仕組み
プライヤーと共有する仕組み
標準化された EDI の活用
標準化された EDI の活用
向けた課
〔電子タグを使用する場合〕
〔電子タグを使用する場合〕
題
・ 電子タグの標準化
・ 電子タグの標準化
・ 仕様(メモリーサイズ、利用
・ 仕様(メモリーサイズ、利用
意識下での情報収集
実 現 に
協調分野
周波数、形状等)
競争分野
収集データの活用
周波数、形状等)
・ 運用(タグ情報の書き込み
・ 運用(タグ情報の書き込み
場所、装着場所、コスト負
場所、装着場所、コスト負
担、個品管理についての
担、個品管理についての
取組ルール)
取組ルール)
対象品の選択
関連企業との業務条件
38
関連企業との業務条件
2.2.3. 在庫可視化と物流管理の高度化
プロセス・業務の内容
ステップ1
ステップ2
ステップ3
パレット、ケース・オリコンへの
店舗のバックヤードでの個品
店頭・バックヤードの双方で
電子タグ装着による物流管理
レベルの在庫管理
の、個品レベルのリアルタイム
の高度化
・ 入荷・出荷、店頭への品出
在庫管理の実現
・ 出荷・入荷検品負荷軽減
しの検品・検数 作業の効
・ 賞味期限管理
率向上
・ 店舗内ですべての単品在
庫をロケーション別(店
・ 棚卸作業の効率向上
頭、バックヤード)に把握
トレーサビリティの実現
でき 、発注 管理 、入荷 管
理が高度に自動化される
トレーサビリティの実現
実現に向けて必要となる
◆受注管理システム、販売物
◆個品に対応した在庫管理
◆個品に対応したリアルタイ
情報技術・基盤
流システム、庫内管理システ
システム
ム在庫管理システム
ム等の企業内システムの連携
◆小型の個品にも装着可能
◆店頭・バックヤードでの個
な電子タグ(あるいは、容器内
品貼付電子タグの検出システ
蔵型電子タグ)
ム(スマートシェルフ等)
◆小型の個品にも装着可能
な、安価な電子タグ(あるい
は、容器内蔵型電子タグ)
商品管理に関連するコード類
商品管理に関連するコード類
向けた課
の標準化
の標準化
題
検出機器(バーコードリーダ、
検出機器(バーコードリーダ、
アンテナ等)・検出ルール
アンテナ等)・検出ルール
ソースタギングの実現
ソースタギングの実現
・ 電子タグ装着・回収方法の
・ 電子タグ装着・回収方法
確立、電子タグ運用コスト
の確立、電子タグ運用コス
負担、電子タグ回収・リサ
ト負担、電子タグ回収・リサ
イクルにあたっての消費者
イクルにあたっての消費者
への啓蒙活動
への啓蒙活動
実 現 に
協調分野
標準化された EDI の活用
医用機器への対応
競争分野
収集された在庫情報の活用
収集された在庫情報の活用
収集された在庫情報の活用
方法
方法
方法
39
2.2.4. 精算処理のスピード化
プロセス・業務の内容
ステップ1
ステップ2
ステップ3
セルフ型固定レジによる精算
移動型レジによる精算処理の
電子タグの一括読み取りによ
処理のスピード化
スピード化
る精算処理のスピード化
・ レジ業務負荷の削減
・ 待ち時間の短縮(百貨店
の平場等)
・ レジ業務負荷の削減(セル
フレジ機能付きのショッピ
ングカート等)
実現に向けて必要となる
◆無線 LAN 環境等の利用に
◆電子タグ一括読取に対応
情報技術・基盤
よる移動型レジ
したレジ
◆電子マネー、クレジット、デ
◆電子マネー、クレジット、デ
ビットカード等の非現金決済
ビットカード等の非現金決済
手段の活用
手段の活用
移動型レジにおける無線イン
全品タギングの実現
向けた課
フラの標準化
・ 電子タグ装着・回収方法
題
電子マネーの標準化
実 現 に
協調分野
の確立
・ 電子タグ運用コスト負担
・ 電子タグ回収・リサイクル
にあたっての消費者への
啓蒙活動
電子マネーの標準化
医用機器への対応
競争分野
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