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一括ダウンロード
丸善ライブラリーニュース 復刊 第 2 号(通号 154 号)2008 年 5 月 12 日
発行 / 丸善株式会社 発行人 小城武彦
復刊第 2 号
名古屋大学大学院
した。
この
年間で、学術情報処理のハード
し て い な か っ た ︶、 章 ご と に 文 章 を 保 存
伊藤義人
学術情報と大学図書館
1.はじめに
研究者として 年以上を大学で過ごし、
術情報を管理し提供する側としても長年
学術情報の利用者としてだけでなく、学
きく変化するとともに、情報探索空間を
ワーク利用が進み、学術情報空間も、大
さらにインターネットを使ったネット
も、手書きから紙テープの情報をTSS
世界に張り巡らせてきている。論文の図
関わってきている。この 年間の学術情
附属図書館長としても既に9年目になり、 は、 大 型 計 算 機 か ら パ ソ コ ン に 移 行 し、
30
ここ 年間は大きな変化があった。最初
ている。査読意見に従って参考文献を追
で先頭から何度も打ち直したことを覚え
たが、投稿の前後で電動タイプライター
の論文を、私は米国の学会論文集に書い
文のコピーやILLから電子ジャーナル
方 法 や ス ピ ー ド は、 図 書 館 で の 雑 誌 論
ことも可能となっている。文献の取得の
得られ、それをそのまま論文に利用する
御となり、そこから多くの図面を瞬時に
は、 年前まではギリシャ時代とそんな
図面を作った。学術情報処理空間として
て、その後ロットリングで墨入れをして
それを整理してグラフ用紙にプロットし
不必要な文献まで取って来て読む学生に、
て検索することが可能になってきている。
により、膨大な文献をテーマに関連づけ
プするとともに、2次データベースなど
実 験 デ ー タ は、 マ ニ ュ ア ル で 読 み と り、 の直接利用になり、極端にスピードアッ
加 す る こ と な ど は 非 常 に 大 変 で あ っ た。
かせた時代から、実験自体がパソコン制
学 術 情 報 の 創 成 と い う 点 に 関 し て も、 で大型計算機に送り、XYプロッタで書
ばかりである。
報の様変わりは、振り返ってみると驚く
30
必要が出ている程である。
価値ある文献の探し方や評価法を教える
ただし、論 文 自 体の形 式はほとんど変
に変わっていなかったとも言える。ただ
ワープロを使って、5インチ片面単密度
わらず、その利用法も印刷やコピーをして、
し、2本目の英文論文では、ドイツ製の
フロッピディスクにトラック番号を指定
紙で読 んでいることは、現 在でも 変 わら
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して︵まだディスク管理のFATは使用
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られるなど、面倒になっている面もある。
てデジタル形式のオフセット原稿を求め
なっているという実感はまだない。かえっ
個人としては、十分に満足すべき環境に
常に快適になったはずであるが、研究者
ない。研究者をサポートする環境は、非
れらを中心となって担っている図書館の
ることができる状況になりつつあり、そ
が直接、大学の創造した知的情報に触れ
当たり前の状況になりつつある。納税者
て、インターネット上で提供することが
報の提供を、学術機関リポジトリを介し
日︵ 木 ︶に、日 独 シ
役割も時代と共に変化している。
ンスデータなどが組み込まれ、知識の創
術図書館の将来展望および発展﹂が開 催
ン ポ ジ ウ ム﹁ 日 本 と ド イ ツ に お け る 学
2008 年 2 月
論文自体のメディアの高度化などにより、
造サイクルが高度化と高速化されること
され、私はベルリン日独センター︵ Japa-
デジタル形式での実験情報などのエビデ
が必要であり、学術情報や図書館にはそ
のような環境創造が求められている。
︶から
nisch - Deutsches Zentrum Berlin
招待され、講演してきたので、シンポジウ
日独シンポジウムのプログラムの前半
て、ドイツと日本の図書館長が、相談し
行われた。モデレータの最初の感想とし
︵ベルリン国立図書館東アジア部
Kaun
長︶の司会でパネルディスカッションが
一 方、 日 本 は
イ ツ が 1 2 0 機 関 で 世 界 第 2 位 で あ り、
2.学術情報と学術図書館の将来展望
は、
﹁学術図書館の将来展望および発展﹂
︶共同プロジェクトで動
Infrastructure
いており、現時点での登録機関数は、ド
学術情報を研究者や学生に提供する使命
という題目で、ドイツの場合をノルベル
ンポジムの議論を通して共通点と相違点
Mr. Matthias
はずっと変わりがない。最近は学内構成
情報をシームレスに使えるハイブリッド
が明確になった。大学の公式ホームペー
て マ テ ィ ア ス・ カ ウ ン 氏
員だけでなく、市民にも大学の社会貢献
ライブラリーの実現、⑵オープンアクセ
機 関︵ N I I の デ ー タ
の一環として、学術情報の提供範囲を広
︵ニー
ト・ロッサウ氏 Dr. Norbert Lossau
ダーザクセン州立大学図書館館長︶が行
ス お よ び 学 術 機 関 リ ポ ジ ト リ へ の 対 応、 ジの歴史と同じように、日本の全ての研
によれば
http://www.nii.ac.jp/irp/list/
現在は 機関︶で世界第4位であり、シ
い、日本の少子高齢化による 歳人口の
書館と学術図書館は同じ意味として扱
な役割を果たしているが、日本は大学図
館だけでなく国立や州立の図書館も大き
来展望を持っていることに対する驚きが
違っても多くの共通した学術図書館の将
などに関して、手法の違いや進み具合は
術情報流通の道具になりうるかどうかは、
基盤として本当に必要とする質の高い学
の導入
ようになり、ドイツの登録数を追い越す
空間と機能の提供、⑷ e-Science
と対応、および⑸図書館職員の人材教育、 ことを私は期待している。研究者が学術
⑶ラーニングコモンズなどの新しい学習
ここ数年の大学および大学図書館の努力
2006年3月に出た文科省審議会答申
﹁学術情報基盤の今後のあり方について﹂
も参考にして講演を行った。
2 人 の 講 演 の 後 で、 モ デ レ ー タ と し
structure for European Research
︵ http://www.driver-community.eu
︶
の 中 で 動 き、 日 本 で は 国 立 情 報 学 研
究 所 と 大 学 の C S I︵ Cyber Science
ケ ル・ シ ー ド ル 教 授 Prof. Dr. Michael
︵フンボルト大学図書館学研究
Seadle
書の将来性ある養成という題目で、マイ
シンポジウムの後半は、学術図書館司
3.学術図書館の図書館職員の養成
次第であろう。
究推進大学が学術機関リポジトリを持つ
減少に伴う高等教育の現状から始め、日
表明された。
学術機関リポジトリに関しては、ドイツ
本における大学図書館の歴史と現状を
た訳でもないのに、⑴デジタル情報と紙
げている。さらには、大学の情報発信や
い、私が日本の場合を講演した。ドイツ
ムの内容を紹介することによって、学 術
名古屋大学学術機関リポジトリへの
世界からのアクセス状況
においては学術図書館として、大学図書
66
話し、名古屋大学附属図書館の事例を挙
80
大学図書館が学術情報基盤を整備して、 情報と大学図書館の将来展望を考えたい。
学術機関リポジトリの登録機関数
と課題について講演した。私も参画して、 は、 DRIVER - Digital Repository Infra-
げながら、学術情報流通のあり方の展望
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説明責任として、大学で創造した知的情
ベルリン日独センター
2
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所所長︶から、ドイツにおける今後の司
おける司書資格は 単位を取得すれば得
書 館 だ け で な く、 図 書 館 学 の 研 究 者 も、
て、ワークショップ﹁欧州日本資料図書
な留学生獲得においては争奪戦の様相を
競争が始まっており、世界における優秀
大学の国際化において、グローバルな
きちんと外国研究者との交流をしている
る資格者が出るが、その資格によって図
館における日本情報検索のノウハウ﹂が
おびており、大学図書館も本当の意味で
4.日本の大学図書館の国際化対応
フンボルト大学図書館学研究所は、ドイ
書館職員になる人は極端に少なく、ライ
行われたが、欧州で活躍している日本資
ともに変わる能力を挙げられた。利用者
および⑶自律的に考える能力と時代と
ていると言われているが、日本において
もっと高度な試験によってその資質を見
は、司書資格を課しておらず、それより
く言われた、最近の日本経済の世界にお
館の事情がよく分からないと言う事が強
中で、欧州の図書職員から、日本の図書
の人達の積極性が非常に目立った。その
た人的交流が是非とも必要であろう。
めには、情報発信だけでなく、思い切っ
の国際化を模索する必要がある。そのた
とは言い難い状況のようである。
ツで唯一の図書館学の研究所である。講
ブラリアン養成のインフラが整っていな
料の司書︵日本人だけでなくドイツ人も︶
日︵木︶午後から 日︵金︶にかけ
演の中で司書養成において、今後必要な
いという日本の現状が報告された。日本
書 教 育 の 在 り 方 に つ い て 講 演 が あ っ た。 られ、学芸員と同様に年間1万人を超え
資質として、⑴文書だけでなく種々の媒
が探していないもの︵利用者が知らない
は学術図書館の職員としての資格自体が
けるプレゼンスの低下にともなって、従
体 資 料 の 駆 使、 ⑵ 利 用 者 中 心 の 考 え 方、 の国立大学の図書館職員の採用において
有効な資料︶をも見つける能力が必要で
存在しないとも言える。
日本の場合を根本彰教授︵東京大学大
るそうである。
専門性を上乗せする方向になりつつあ
近は、基礎教育は共通にして、その上に
司書資格は全く異なるものあったが、最
公共図書館の司書資格と学術図書館の
ころ、ドイツにおいては、従来は通常の
れていた。なお、夜の懇親会で聞いたと
における司書養成の現状を見ると暗澹た
企画力が要請されているといえる。日本
し、利用者中心の図書館を再設計できる
術図書館の環境に対して、考える力を有
ようである。すなわち、変化の激しい学
図書館長の認識は世界共通のものである
問題発見能力や企画力が大事であるとの
誌 や 分 類 に 関 す る 知 識 が 重 要 で は な く、
学術図書館職員の採用においては、書
動を私が参加して発表したIFLAのプ
れ、電子ジャーナルタスクフォースの活
た。2003年6月にミュンヘンで行わ
容易な取得を図りたいという要望であっ
用者が増えており、是非とも日本資料の
に、広く日本の現状を知りたいという利
に普通の研究の中において比較のため
や 研 究 者 の 数 は 減 少 し つ つ あ る が、 逆
来の日本語や日本文化研究を目指す学生
と言える。学術機関リポジトリが、ある閾
学図書館の研究開発能力が問われている
や利用 形態の研 究 開 発が必要であり、大
く、そのためには新しい学術情報のあり方
リスクを取りながら改革を進めるよりな
く、試行錯誤で動態観測をしながら、かつ
るための安易な処方箋があるわけではな
後の課 題は多 くあるが、それらを 解 決す
学術情報と図書館に関連した重要な今
術情報流通に大きな影響を与える可能性
学院教育学研究科︶が講演した。日本に
人から言われた。
うとするときに、個人的な努力だけに頼
う。図書館職員が新しい資質を獲得しよ
程悲観することもないのではないかと思
ことが分かり、大学図書館の将来はそれ
も、十分考える力や企画力を涵養できる
をみると、オンザジョブトレーニングで
きのものであり、日本における図書館の
報を収集し、日本で活用するための内向
われている。しかし、これらは外国の情
の海外派遣も図書館協会や大学派遣で行
行っており、わずかではあるが図書職員
など︶の利用マニュアルの充実などは
サインや外国語︵英語、中国語、韓国語
発言し、種々の提言を行う必要もあると
ぐためには、図書館界は、もっと活発に
な形で提供し、次世代にそれらを引き継
人類の共通資産の学術情報を持続可能
商業出版者が考える必要があるであろう。
戦略的に大学、大学図書館、学協会および
を 得て、かつ学 術 基 盤にな り 得るよ うに、
く の 大 学 で 留 学 生 が 増 え た こ と に よ り、 然と整備するのではなく、研究者の賛同
もある。しかし、学術機関リポジトリも漫
ることなく、制度やシステムとして保証
思われる。
日本の大学図書館の国際化対応は、多
する必要があると思うが、現職の図書館
状況や種々の試みや動向をきちんと諸外
国立情報学研究所客員教授︶
︵附属図書館長、工学研究科教授、
の責任者として、この意識は十分持って
やすい状況を作るものとは言い難い。図
国に情報発信して、外国からアクセスし
トリや電子ジャーナルに関する取り組み
最近の大学図書館職員の学術機関リポジ
値を超えて発展して、学術情報基盤や学
5.おわりに
あるというような示唆的な内容も含ま
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いるが、定員や予算の削減が続く中、悩
みはつきない。
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る 気 持 ち に な ら ざ る を 得 な い。 し か し、 レコンファレンスでも同様の事を各国の
日独シンポジウム風景
デジタル時代の
図書館が目指すもの
スが利用できるようになっている。
・ウェブ上の案内窓口から効率的にサービ
慶應義塾大学 平尾 行藏
デジタル時代の大学図書 館は、学生に
とって、知の宝庫となる契機に溢れていま
す。知の宝庫となるには、使 命の認 識と、 ・資料入手や調査依頼への人的支援の体
・対面またはヴァーチャルで、様々な水準
制が整っている。
となる将来像を描く構想力と、将来像を
の情報リテラシー教育を受けることがで
何を目指して仕事をするのかの拠りどころ
現実のものとする中期計画と行動計画を
現在では社会的に広く認知されていますが、
の一翼を担い、人材育成に関与することは
考えなければなりません。視点は つです。
第四に、図書館の経営面における改革を
係る能力は大学卒業後も自ら磨くことがで
たん身に付けた情報の収集・評価・発信に
ログラムを整備するのが今後の課題です。
一
級から上級まで分野別に体系付けられたプ
カリキュラムと連携して浸透度を高め、初
姿勢を示します。
して、出来る範囲で収支構造を改善する
ます。外部資金を導入し、新規事業を起
り方を改善すべきであるとの批判があり
セントを占める程度ですが、支出一方のあ
図書館資料費は大学支出予算の1パー
運用等の他機関との共同事業化を検討し
例えば目録データ作成や図書館システム
利 用 者 サ ー ビス を 背 景 で 支 え る 業 務、
きるという意味で、生涯教育の観点からも
評価に値する図書館の新たな活動です。
第二に、図書館職員の育成と組織の再
て構造変革を目指します。
国内外の諸機関との連携を推進します。
編です。 つの視点があります。
外部委託化の流れには抗えませんがし
書館専門職員を人事制度の中に位置づけ、 ければなりません。
き、学習活動の進め方を身に付けられる。
このような つの計画の実現に向けて日
このような図書館になっていてほしいと
採用段階から新しい人材を確保して長期
適切な選書と質の高いレファレンスサー
ビスを提供できる体制を作ります。
教育の高度化、大学院化の流れに対応
行動 計 画の策 定に着手するに当たって、
図書館利用者が何を図書館に望んでいる
か、要望と現実の間にどのようなギャップ
があるかの調査が必要です。調査手法は1
つではありません。
られる︵非来館型︶サービスの双方を切り
第三に、施設の整備です。
館を利用しない学生の双方を対象に少人
けて、図書館をよく利用する学生と図書
学生等を図書館利用者のタイプ別に分
活動支援を使命の一として明示的に掲げな
非来館型サービスの比重が高まるにつれ、
大学図書館の存在根拠である大学自体の
わってなければそれを完了させて蔵書検索
所 蔵 資 料の目 録 デ ータ 遡 及 入 力 が 終
ていますので、図書館が場として果す役割
来館型サービスのあり方が変化を来たし
ヴューの手法による調査があります。
数で 行 うフォーカス・グルー プ・インタ
ま た、大 規 模 な 調 査 手 法 と して は、ア
&M大 学が共 同 開 発 し、北 米 を 中 心に既
メ リ カの 研 究 図 書 館 協 会 と テ キ サ ス A
電子化による書 庫の使い方の変化に対
に900以上の図 書 館で使用 実 績のある
の良さを高めます。
を再認識し、施設設備を改善して居心地
学 内 生 産 学 術 情 報 や 所 蔵 資 料のメ タ
システムの一元化を図ります。
応して書庫︵群︶を再定義して有効利用を
があります。最近この日本語版
LibQUAL+
が出来ましたので、利用者調査の必要性を
データと全文データをデジタル形態で作
向にあるとはいうものの、蔵書が増大を続
図ります。紙媒体資料の増加率は逓減傾
現在の大学図書館がどう変わっていかなけ
これらと並んで、学生に直接かかわる学
成蓄積し学内外に発信します。
習支援活動として、学習研究活動の基礎的
ます。例えば次のような姿が実現されてい
てほしい、と思います。
検討してよいのではないでしょうか。複数
感じているところではこれを使った調査を
的展望の下に書庫の増設を検討します。
態度を養う情報リテラシー教育があります。 けることに変わりはありませんので、長期
かつ迅速に手に入るようになっている。
図書館が情報リテラシーを通じて教育活動
・検索手段が整備され、求めるものが正確
ればならないかの具体的なイメージが伴い
の将 来 像が産み出されます。将来像には、
中期計画・将来像から、近未来の図書館
変わってはならない使命と時代の変化と、
分けた複合型サービス基盤を作ります。
した人事配置を行います。
程を伴った行動計画を立てて取り組まな
昔から大学図書館の使命は、学術情報
いう将来像を描いたとして、それを実現す
的育成計画を立てます。
第一に、図書館サービスを環境変化にあ
り高度な資格要件の定義づけを行って図
を収集・組織・提供して学習・教育・研究・
す。その観点として つ挙げられます。
るには具体的な中期計画が必要になりま
りません、というか、変わってはならない
情報技術を活用して、来館して受ける
わせて変えることです。視点は4つです。
3
かし一部では流れに棹差すことも考え、よ
医療活動を支援することと、学術情報資
することの つでした。それはいまも変わ
源を保存して後世に伝え学術活動に貢献
4
立案し組織の力によって実現する実行力の
つが必要です。
3
ければならないと思います。
に加えて、いまや学生の主体的な﹁学習﹂ ︵来館型︶サービスと来館しなくても受け
医 療と書きましたが、教 育・研 究・医 療
4
ものです。なにげなく学習・教育・研究・
2
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3
4
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から脱皮して学問的により高度なサービ
第四の、経 営 面の改 革として、新規財
人類の知的資産を世界的規模でデジタル
ジタル化して機関リポジトリに載せ、また
けを与え、異なる職 能の持ち主による図
員とし、図書館管理者層とは別の位置付
図書館・情報学を学ばせて図書館専門職
り上げます。例えば、貴 重資料デジタル
ランスを保 持できる案 件を対 象として取
義が説明でき、学内の他のサービスとのバ
する者︵修士号所持者等︶を一部で雇用し、 に影 響を及 ぼさない範囲で、有料 化の意
基本的役割を逸脱せず、既存のサービス
源の創出を考えるに当たっては、図書館の
化する事業に参加して成果をインターネッ
何らかの学問分野で研究活動の経験を有
スを大学院学生や研究者に提供するには、
ト上に公開し、構成員だけでなく社会に向
学内で生産される学術情報や蔵書をデ
う考え方の転換が必要です。
の調査を補完的に組み合わせることにより、 まで以上に優先順位を上げて取り組むよ
より正確に結果を把握することができます。
まず図書館のポータルサイトを持たな
書館運営体制を目指すのが一法ではないか
第一の、環境変化に対応した図書館サー
いところはそれを作ること、持っていると
けて貢献することは高 等教育 機関として
子媒体資料サービスやオンラインリクエス
一ページにするのは自明のこととして、電
当然ですが、それに加え、全文デジタル化
存在する情報源と検索システムを使うのは
利用者が図書館の外に社会的環境として
同デジタルレファレンスサービスシステム
を活用した複数のキャンパスにまたがる協
ビスを提供する基盤として、情報通信技術
組んでよいのは、
質の高いレファレンスサー
これとは別に、具体的な課題として取り
作業の比重を軽くして、データ流用が主に
を中心とした新規受け入れ資料目録作成
での活路が開けるかもしれません。新刊書
改革に真剣に取り組むことにより経営面
せて、レファレンスサービス体制の強化と
の構築です。これと第2担当制を組み合わ
度、人手の掛け方、経費を見定めるべきで
なっている共同分担目録作業に相応しい精
利用者サービスを背景で支える業務の
トのように物理的制約度の低いサービスを
開発することが必要な場合もあります。
の成果に対する全文検索システムを自前で
貴重資料利用料規定等です。
わかりやすく提供する、図書館側の独り
ビス実現の切り口はいくつかあります。
ころはその改良を検討することです。観点
果すべき役割の つです。提供に当たって、 と考えています。
画像利用ビジネス、デジタル化業務受託、
としては、ポータルというからには全学統
よがりに陥らない、わかりやすい用語で学
第二の、図書館職員の育 成と組織の再
書の検索手段あるいは全文データの作成
す。日本に固有の資料、図書館固有の蔵
部学生の利用を高めます。
また、インターネットから見 えない情
職員のモチベーション向上に役立てたいと
への提供や全文データのグーグル
OCLC
への提供等により、世界的広がりを持っ
思います。
日本の社会状況は図書館専門職員を社
たインターネット社会の一員として存在
編は図書館単独では解決できない問 題を
えているのであれば、図書館資料の媒体の
方 向とは逆に進んでいるように見えます。 の整備と書庫の整備に分けられます。
会的に認知された職業として位置付ける
インターネット接続パソコンを多数設置
価値が認められるように図書館から働き
含んでいます。
種類を問わず、またメタデータと全文デー
個々の組織の努力には限界がありますが、
したいわゆるインフォメーションコモンズの
かけ、学生が知らぬ間にインターネット
報は存在しないも同然という状況を踏ま
タとを問わず一元的に検 索する機 能を備
手を拱いているのではなく、人事制度の改
うになってから 年以上が経過しましたが、
ような施設が大学図書館に設置されるよ
え、図書館システムの更新を近い将来に控
え、インターネットから見えるように図書
編等の機会を捉えて、内実を伴った専門職
サービスが提供されている場合は、図書館
そして、大 学 としてリモートアクセス
が、異なる職能を持った複数のタイプの図
度を前提としたような提 案はできません
れています。欧米流の職 業教育と雇用制
す。非来館型の図書館利用が増大する中で、
を風靡したAVホール撤去の動きもありま
増設ではなく縮小の動きがあります。一世
的に経営面での改善に資することが考え
に行き来するという形を実現して、結果
と自大学の図書館システムをシームレス
他 機 関 と の 連 携 で は、 メ タ デ ー タ の
がこれからの重点作業対象です。
館サービスや蔵書へ誘導する経路を持った、
の提案を図書館側から行うことが求めら
第三の、施設の整備は、利用 者用 施設
選定・開発を心がけます。
インターネットとの親和性の高いシステム
においても可 能な限 り 電子 ジャーナルや
書館職員により図書館が運営されるとい
があればあるほど図書館にとって重荷にな
目録データの遡及入力は、大学に歴史
源となり、図書館学的手法の洗練により、 アは総論止まりのことが多く、これまでの
報 学 修 了 者 が 図 書 館 職 員の 主 たる 供 給
従来日本では学部課程での図書館・情
ところ結局は個々の組 織で解決せざるを
きな課 題です。共同保 存書 庫のアイディ
書庫の整備では、保存書庫の整備が大
私見も交えながら、要約して作成しました。
中 期 計 画 2 0 0 6 ∼ 2 0 1 0﹂ を 基 に、
んでいる﹁慶應義塾大学メディアセンター
本稿は、足掛け4年にわたって取り組
られます。
データベース、電子ブック等へのリモート
う形の提案があっても良いように思います。 にかかわってなされることになります。
りますが、インターネットから見えない限
人文社会自然諸科学の各分野に係る図書
来館する利用者への施設の改善は資料利用
アクセスを提供して利便性を高めます。
り未遡及資料は眠ったままの状態であるこ
得ないという状況です。
︵メディアセンター本部 事務長︶
館 業 務を遂行してきました。このあり 方
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10
とがますます鮮明になりつつあるので、今
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5
1
市古みどり
﹂と﹁資料検索法﹂
KITIE
大学図書館は学びに貢献できるか?
﹁
や
Google
慶應義塾大学理工学メディアセンター
レファレンスデスクの変化
データベースあるいは
といった検索エンジンが日常
Yahoo
化してからのレファレンスサービス利
用 者 数 は 世 界 的 に 減 少 し て い る。 一 方、
慶應義塾大学日吉メディアセンターで
は、レポートを書かなくてはならないが
何 か ら 手 を つ け て よ い の か わ か ら な い、
レポートの書き方がわからない、といっ
た学生がレファレンスデスクを訪れる
よ う に な っ た。 教 養 教 育 の 再 構 築、 初
年 次 教 育、 小 人 数 セ ミ ナ ー 形 式 の 授 業
へ の 取 り 組 み な ど、 大 学 教 育 の 変 化 の
表れであろう。
概 念 図 は 図 1 の と お り で、 創 造 支 援 系
お よ び 総 合 政 策 学 部 は 2 0 0 7 年、 未
FC︶にある2つの学部、環境情報学部
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス︵S
にもメディアセンタースタッフが担当
い る の で あ る。 こ の 半 期 の 授 業 を 幸 運
なる方法を学ぶ科目と位置付けられて
し て い る。 創 造 的 な 研 究 活 動 の 基 盤 と
こ に 取 り 上 げ る﹁ 資 料 検 索 法 ﹂ は 存 在
に あ る ナ レ ッ ジ ス キ ル 科 目 の 中 に、 こ
来 を 創 る﹁ 先 導 者 ﹂ を 育 成 す る た め に
資料検索法の担当
新 し い カ リ キ ュ ラ ム を 導 入 し た。 そ の
﹁ 先 導 者 ﹂ に 期 待 さ れ る 3 つ の 力 と し て、 し て い る。 教 材 に は ウ ェ ブ チ ュ ー ト リ
アル
を使っている︵図2︶。
KITIE
の開発
KITIE
は KITIE
の開発の前年にあたり、教材と
してのチュートリアル開発を意識し始め
た時期であった。幸い、2004年には
日吉キャンパスにある学内研究組織の一
つである教養研究センターの競争的資金
を獲得することができたほか、情報リテ
ラシー教育について真剣に熱く議論を交
わすことができる環境、さらに開発能力
を備えたスタッフに恵まれ、2005年
に公開することができた。しかし、実際
の利用状況
KITIE
発であり、試行錯誤の連続であった。
足など、数々の問題が存在する中での開
情報リテラシー教育そのものへの理解不
に は プ ロ ジ ェ ク ト 参 加 者 の 経 験 の 違 い、
図2
へ の ア ク セ ス 数 は 図3 に 示 す と
KITIE
おりである。学外からのアクセスが多く、
大学図書館ばかりではなく、高校や大学
の教員からの反響もあった。学内ではS
FCの資料検索法のほか、日吉メディア
センターが展開している各種の情報リテ
ラシー教育でも利用されている。英語の
は少ないが、比較的学内利用が多い。経
ページは日本語ページに比べアクセス数
済学部1年の英語の授業は学習の方法を
図3
英 語 で 学 ぶ 授 業︵ ス タ デ ィ・ ス キ ル ズ ︶
がいると聞いている。学内外ともに最も
であるため、そこで参照を指示する教員
利用の多いモジュールは﹁情報を収集す
る﹂で、情報リテラシー教育の現状のレ
ベルを推測することができる。
の限界
KITIE
は 米 国 大 学・ 研 究 図 書 館 協 会
KITIE
︶ の5 つ の 能 力 基 準 の 達 成 す る
︵ ACRL
ことを目標に開発を行った。5つの基準
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丸善LIBRARY_NEWS2号.indd 6
1. 未 来 を 創 造 す る 力、 2. 先 端 を 探
求 し 開 拓 す る 力、 3 . 自 ら 学 び 続 け る
は、 ま さ に 情 報 リ テ ラ シ ー 教 育 そ の も
資料検索法の担当となった2003年
力 を 挙 げ て い る。 自 ら 学 び 続 け る 力 と
の の 目 標 と も い え る。 カ リ キ ュ ラ ム の
図1
6
丸善ライブラリーニュース 復刊第 2 号
昨 年 は こ の 授 業 の 評 価、 特 に 学 習 の
ボレーションを保証する組織力を維持
た な ら ば、 連 続 性 の あ る 質 の 高 い コ ラ
あ る。 そ し て、 も し も 埋 め 込 ま れ た 情
成果を把握する方法を模索しながら授
し て 行 く 必 要 が あ ろ う。 一 人 一 人 の 図
ど こ ま で を 教 育 の 目 標 と し、 ど う 取 り
の今現在の問題解決を実際に行ってい
業 を 進 め た。 半 期 の な か で、 授 業 内
に、 組 織 も ま た し な や か な﹁ 学 習 す る
書館員のモチベーションを高めるため
て も、 リ ア ル な 場︵ 実 際 あ る い は 現 実
くという授業でないことが、講師にとっ
容の改善と学生の理解の把握のため
によれば、情報リテラシーを身につけた
ても学生にとっても最大の壁であるよ
に、 ウ ェ ブ を 使 っ た 小 テ ス ト を 数 回 行
報リテラシー教育のチームに参画でき
う に 感 じ て い る。 リ ア ル な 場 で な い た
組んでゆくかは今後の課題である。
めに、授業の内容は技術や知識の伝達が
い︵ 図 4︶、 検 索 を 主 と し た レ ポ ー ト 4
に 近 い 場 ︶ で な い、 す な わ ち 学 生 た ち
基準1 必 要 な 情 報 の 性 質 と 範 囲 を 見
定める
メインとなり、学生は単に検索をやって
題 と5 0 0 0 字 の レ ポ ー ト を 提 出 し て
学生は、次の能力を具えている。
基準2 必 要 な 情 報 に 効 果 的 か つ 効 率
的にアクセスする
いる授業という感覚しか残らないので
も ら っ た。 ま た、 最 終 回 に は、 学 生 の
な い 授 業 に 陥 る 可 能 性 が 高 い の で あ る。 学 年 の 学 生 も 自 身 の 検 索 能 力 は 高 く 評
教員が最も好ましいと学生たちは感じて
学習上のアドバイスを受けるとしたら
索 結 果 の 評 価、 資 料 の 整 理 に つ い て は、 いる。当大学メディアセンター利用者調
価 し て い た。 デ ー タ ベ ー ス の 選 択、 検
おわりに
組織﹂に変化していかなくてはならない。
基準3 情 報 と 情 報 源 を 批 判 的 に 評 価
し、 選 択 し た 情 報 を 自 ら の 知
は な い だ ろ う か。 学 習 す る 意 欲 が 湧 い
自 己 評 価 を 行 っ て も ら っ た 結 果、 ど の
識基盤と価値観に組み入れる
て こ な い 授 業、学 生 に 動 機 付 け が で き
基準4 特 定 の 目 標 を 達 成 す る た め に
情報を効果的に利用する
基準5 情 報 利 用 と ア ク セ ス を 取 り 巻
く 多 く の 経 済 的、 法 的、 社 会
査ワーキンググループが実施したフォー
カスグループインタビューからわかった
ポイン
ト ほ ど 低 か っ た。 検 索 能 力 の 次 に 学 生
くれるのだろうと訝りながらもレファレ
ことである。一方、図書館員は何をして
検索能力に対する評価に比べ
たちの自己評価の高かったものは検索
的 な 問 題 を 理 解 し、 倫 理 と 法
律に反しないように情報を利
結 果 の 活 用 で あ っ た が、 こ れ に つ い て
あ る こ と を 実 感 し た。 こ の 乖 離 の 原 因
は、 講 師 と 学 生 と の 思 い に 大 分 開 き が
ている。ここに一つの図書館員の役割が
ンスデスクにヘルプを求める学生が増え
しかし、実際にはこれらの能力のうち、
は気になるところである。
育 力 が 見 え る も の に な っ て い る は ず だ。
に よ り、
リ テ ラ シ ー 教 育 の 実 績 や KITIE
徐々にではあるが教員にも図書館の教
ま た、 当 学 に お け る こ れ ま で の 情 報
見えたように思う。
基準3と4については、知識や技術だけ
ち 砕 く た め に は、 何 と い っ て も 情 報 リ
コンテンツを教員とともに増強できれ
るが、ここにさらに色々な装置、仕掛け、
ば、 情 報 リ テ ラ シ ー 教 育 を ま た 一 歩 前
は文字情報中心の教材で
現 在 の KITIE
あ る。 学 習 に と っ て 教 科 書 は 基 本 で あ
利用法やデータベースワークショップ
進させることができるのではないだろ
テラシー教育が資料検索法のような独
と い う 形 態 で は な く、 サ ブ ジ ェ ク ト の
うか。
立 し た 科 目 や、 ワ ン シ ョ ッ ト の 図 書 館
情報リテラシー教育の最大の壁を打
壁を乗り越えるために
で は な く 教 育 学 的 に は よ り 高 次 の 分 析、
統合、評価といった能力を問われるため、
の内容だけで身につ
およそ現在の
KITIE
の作
くとは考えにくく、さらなる KITIE
りこみが期待される。
資料検索法の限界
資料検索法もまた ACRL
の基準達成を
目標としている。受講者の数も2007
ある科目の中に巧みに埋め込まれる必
︵理工学メディアセンター事務長︶
ではなく、学びに貢献するのだ。
﹁大学図書館は学びに貢献できるか?﹂
要 が あ る。 そ の た め に 教 員 と の 協 働 が
実現するよう、日ごろからコミュニケー
シ ョ ン の チ ャ ン ス を 逃 さ ず、 図 書 館 が
できることをアピールし続ける必要が
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年春学期には300名を越え、大教室で
の授業となっている。東京大学の KALS
のような環境で受講者ひとりひとりの
課題解決に関わることが理想ではある
が、現実的には難しい。しかし何といっ
丸善ライブラリーニュース 復刊第 2 号
7
10
用する
図4
成蹊大学
情報図書館
︵インテリジェント・ライブラリー︶
成蹊大学図書館 近藤 茂
3.情報図書館のコンセプトについて
4.情報図書館内について
完成した情報図書館は、まるで異空間
での建築物に思える斬新なデザインであ
一つ目は、﹁明るく、美しく、温かい﹂
であり、アトリウムはガラスを最大限に
り、美しい図書館といえる。
メインエントランスは、2階に繋がっ
利用して光を取り入れ、ガラスを透して
武蔵野市天然記念物に指定された欅並木
環 境 庁︵ 現 環 境 省 ︶﹁ 残 し た い 日 本 の 音
トと呼んでいるグループ学習室が空間に
のグループ学習や授業ができるプラネッ
の緑を臨むことができる。この欅並木は、 ており、入館すると、アトリウムに学生
がる道路に接地し、学生が行き帰りに立
風景百選﹂にも選ばれている。その広が
図書館は、学園正門から近く校舎へ繋
ち寄りやすい場所に建てた。また、新し
1.はじめに
成蹊学園は、東京都武蔵野市吉祥寺に
5基︵各室
∼ 席︶ある。
りと明るさのなかでは学習や研究上の話
し合いも認められる、非常に自由で活気
い図書館建設地の前には、駐輪場があっ
たが、邪魔にならないように情報図書館
キ ャ ン パ ス を 持 ち、 大 学 は、 経 済 学 部、
理工学部、文学部、法学部、法科大学院
書架フロアは、開放的な中央アトリウ
雑 誌 と も 主 題 別 配 架︵ 和 書 N D C 9 版、
ムを挟んで南と北に5階まである。図書、
二つ目のコンセプトは、﹁インフォメー
洋書DDC 版︶になっており、例えば1
にあふれた知の空間となっている。
ション・ハブ﹂としての機能を果たすこ
つとして情報図書館︵インテリジェント・
成蹊学園創立100周年記念事業の一
2 階、 建 築 面 積 2、197 ㎡、 延 床 面 積
情報図書館の規模は、地上5階、地下
ント化された図書館で行うことと、従来
料の利用支援および発信をインテリジェ
フラと機器の整備にとどまらず、電子資
とが掲げられている。これは、情報イン
書架の周りには、ガラス壁で仕切られた
は、人感センサーによる省エネ型である。
と雑誌を配架した。書架フロアのライト
階 北のフロアは、法 学 関 係の和洋の図 書
個 室デスクであるクリスタルキャレルが
蔵可能冊数130万冊︵開架書架55万
の図書雑誌のある場所としての図書館だ
11、
955 ㎡、座席数1、
100席、収
万冊、その他3万冊︶で
ある。なお、この情報図書館以外の建物
ころには、情報コンセントがある。全個室
にPCが設置してあり、設置していないと
冊、自動書庫
ヶ所に266室ある。その内、126席
センター・メス︵フランス︶のコンペで1
させることを目指している。つまり、﹁人
﹁生身の情報﹂をもこの図書館内に融合
インテリジェント・ライブラリーである。
そのため、旧来、館内を静粛にするため
た発想を変えて、音を出すことが可能と
に小さな会話でも排除するようにしてき
LAN利用可能、
自動書庫︵出納ステーショ
なるように音のレベルごとにエリアを設
台、情報コンセント431口、無線
と情報資料﹂、
﹁人と人﹂が接するための
にも図書室や書庫があり、総収蔵可能冊
亘って資料の増加に対応できる。
台 を 含 む︶
、オンデマンドプリ
設備面では、利用者用PC170台︵貸
出用PC
15
ン3ヶ所︶
、AV 台がある。また、セキュ
ンタ
10
現 在 の 蔵 書 数 は 1 0 7 万 冊、 年 間 受
書館の内部に進むほど音が段階的に少な
飲食や談話ができるゾーンが始まり、図
階入口付近にリフレッシュエリアなどの
定し、多様な学生のニーズにあった空間
入 冊 数 は 4 5、0 0 0 冊、 雑 誌 種 類 数
リティとして館内にはICカード入館ゲー
7、
300種、電子ジャーナル5、
500
く、静かなゾーンとなる。
を設定する試みをした。情報図書館の1
種、 電 子 ブ ッ ク 1 4、0 0 0 冊、 視 聴 覚
トと安全管理カメラが設置されている。
35
資料49、
000点である。
写真2 アトリウム内のプラネット
数は、170万冊以上になり、長期間に
成蹊高等学校の卒業生で、ポンピドゥー・
けでなく、コミュニケーションを含めた
月 日にオープンした。デザイン・設計は、
2.情報図書館の規模について
が 設 置 さ れ、 学 生 は 約8、0 0 0 人 い る。 の裏手回りに再配置した。
そのほか小学校、中学校、高等学校など
26
ライブラリー︶は新設され、2006年9
も同じキャンパス内にある。
16
22
位を獲得した坂茂︵ばん・しげる︶氏である。
写真1 情報図書館外観
10
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72
21
8
丸善ライブラリーニュース 復刊第 2 号
ごとに利用者自身で温度調整することが
可能であり、デスクの横幅は160㎝ ある
のでPCがあっても広く利用できる。滞
在型図書館を進化させた毎日長時間利用
するヘビーユーザー型図書館である。
レファレンスを兼ねるサービスカウン
ターは、全部で4ヶ所あり、経済学部系
︵2F︶
、法学部系︵1F︶
、文学部系︵4
国内や外国のTV放送を受信することも
F南︶
、 理 工 学 部 系︵ 4 F 北 ︶ と な っ て
いる。また、学部系担当ごとに職員がグ
写真4 自動書庫(ブックロボ)
﹁ブックロボ﹂ 万冊収蔵可能︶を設置し、
地 下 部 分 に 自 動 書 庫︵ 金 剛 株 式 会 社
可能である。
資料は、基本的にメディアルーム開架書
台のデジタルテレビを設置した。視聴覚
架に置き、タトルテープで無断持ち出し
をなくすようにしたが、紛失の恐れが高
現在、 万冊を納庫している。図書館情報
システム
︵日本電気株式会
E-Cats Library
1 階 の エ ン ト ラ ン ス 付 近 に は、 リ フ
ケースに貼ってあるバーコードを読み取
ヤードがある。ここは、飲食が可能な場
疫ネットワークを利用したネットワー
る。 無 線 L A N を 利 用 す る 場 合 は、 検
Nと無線LANによる接続方法があ
る。 ネ ッ ト ワ ー ク へ の 接 続 は 有 線 L A
図 書 を 検 索 す る た め の OPAC
以外の
PCは基本的に登録者のみ利用でき
5.情報機能について
なっている。
生などが多く見られる人気スポットと
生、飲食しながらレポートを作成する学
所として設置され、飲食や会話をする学
る自動書庫ステーションへ搬送される。
︵1500
き、本体を 台の CD-Library
枚 収 納 ︶ で 管 理 し て い る。 D V D 利 用
レッシュエリアと館外にサンクンコート
検索により、資料が約3分で
社︶の OPAC
1階または2階サービスカウンターにあ
者はカウンターにケースを持っていくと、
いDVDなどは、ケースを開架書架に置
72
4階北にはメディアルームがあり、
ループ化されている。
35
ることで自動に検索と出納をする。また、
写真3 クリスタルキャレル
クへ接続してインターネットができるた
め、学外者にも提供されている。
6.利用について
利 用 状 況 は、旧 図 書 館 と 比 較 し、当 初
約1・4倍、最近では1・6倍に増加してい
る。特に、大学の授業がない期間において
は、旧図書館と比較し約2倍に増加してお
り、授業のない時期においても登校し情報
図書館で長時間勉強する学生が増加した。
各種の設備なども非常に利用されている。
また、本 学 情 報図 書 館の利用 対 象 者は、
本学園の教職員、大学生・中学高校生徒と
その父母、卒業生、本学大学専任教員の紹
目録・装備からカウンター業務・レファ
情報図書館に移転するまでに図書分類
の情報を置き、
スタッフ間で共有している。
デスクで業 務をする上で、サーバに多 種
ア内で処理している。また、分 散された
多くは、4つの各学部系カウンターエリ
ラウンドで行っている。これらの業務の
を最新の版に統一し、著者記号も採用し
となるようにスタッフ全体が取り組んでい
図書館組織としては、応対の良い図書館
8.最後に
洋研究センター、中学・高等学校図書室
専任職員にはネオ・レファレンスというべ
用の質を高めることが必要であり、図書館
き調査・研究ができるまでの人材となって
それらを担当している当館のフタッフ
名、派遣スタッフと委託
︵宮脇檀 彰
ほしい。
﹃眼を養い 手を練れ﹄
くが、司書の仕事にも通じるところがある。
国 社 刊︶
、この言葉が好きな人は多いと聞
ループ化し、各グループはリーダー司書
昔はこういった努力が普通のことであった
職員は、基本的に4つの学部ごとにグ
スタッフ︵フルタイム換算 名︶である。
名、契約職員
構 成 は、 専 任 職 員 7 名、 再 雇 用 職 員 2
の目録データ作成支援などを行っている。 きたいと思う。また、サービスの充実で利
の運営と、国際教育センター、アジア太平
ほか、法科大学院図書室︵年中利用可能︶
大学図書館事務室では、情報図書館の
たことにより目録処理量がアップした。
7.業務運営について
民︵審査あり︶であり、
多種の利用者がいる。 レンス・情報リテラシー教育までオール
介がある社 会人、武 蔵 野 地域6市 区の市
写真 5 カウンターエリア(2F)後方は業務バックヤード
を 中 心 に フ ォ ー マ ン セ ル︵ 四 人一組 ︶で
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30
の ネ ッ ト ワ ー ク が あ る。 構成されている。このフォーマンセルは、 が、意識しないといけない時代である。
クと
FREESPOT
は、 無 料 で 学 外 ネ ッ ト ワ ー
︵図書館事務長︶
担 当 学 部の 予 算 管 理、資 料 選 定・ 発 注・
FREESPOT
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9
12
10
10
シリーズ ラーニングリソースの展開︵3︶
アクティブラーニングの試み
KALS
林 一雅
駒場アクティブラーニングスタジオ
の設備
トする学習活動です。
を行い、その成果を組織化しアウトプッ
どを通じて分析・統合・評価・意志決定
能動的に読解・作文・討論・問題解決な
ディアからのインプットに対し、学生が
東京大学
Komaba Active Learning
東京大学初の新しいタイプの学習空間
︵
KALS
Studio駒場アクティブラーニングスタ
ジ オ ︶ は、 東 京 大 学 教 養 学 部・ 大 学 院
情 報 学 環・ 大 学 総 合 教 育 研 究 セ ン タ ー
の コ ラ ボ レ ー シ ョ ン か ら 生 ま れ た、 東
m ︶で、定員は
クができるよう東京大学とコクヨファニ
す。
︵図2︶また、インタラクティブボー
ドの機能を備えており、指示棒を使って
ボード上に投影された教師用タブレット
PC画面を直接操作することができます。
これにより、例えばパワーポイントを用
いた発表であっても、通常の黒板と同じ
感覚で利用、書き込みができます。また、
学生が作成した課題などの電子ファイル
を即時にインタラクティブガラスボード
に提示して、公開採点することなどが容
易に行えます。もちろん、通常のホワイ
トボードマーカーを使うこともできます。
受信機とテレビのリモコンのような形状
︶
PRS︵ Personal Response System
とは、PCに接続された無線や赤外線の
の小型端末の送信機から学生らの回答を
チャー株式会社で共同開発しました。学
スカッションやグループワークを円滑に
集計するシステムです。︵図3︶
生が円形になって座ることにより、ディ
行うことができます。教室の前後左右に
では、このPRSの小型端末を
KALS
台用意しています。この小型端末には
を保障しています。それぞれのスクリー
生らが選択肢のなかから選択した番号が、
0 ∼ 9 ま で の ボ タ ン が つ い て お り、 学
有して見るだけでなく、それぞれ異なる
クタを設置していますが、同じ画面を共
ンに対応した4台のワイヤレスプロジェ
のどの場所からでもスクリーンの可読性
名となっており、 スクリーンを配置することにより、教室
りの面積は非常に余裕をもった教室空間
通常の教室と比較すると、学生一人当た
m
ます。スタジオの広さは約144 ㎡︵
は教室空間であるスタジオの他
京 大 学 初 の I C T︵ Information and
KALS
︶支援型
に、ウェイティングスペース、倉庫、ス
Communication Technology
タッフルーム、準備室から構成されてい
は、﹁ 東 京 大
協 調 学 習 教 室 で す。 KALS
学アクションプラン﹂に掲げられた︿理
年度から駒場キャンパスに設
想の教養教育﹀プロジェクトの一環とし
て、平成
置された新しい教室空間です。︵図1︶
となっています。
台 や P R S︵
では、アクティブラーニングを
KALS
円滑に行うためにICT環境として、タ
ブレットPC
12
台のタブレットPC
ンタラクティブガラスボードは、PCの
できます。前面に配置している大型のイ
ることなくPCの画面を投影することが
PCとプロジェクトをケーブルで接続す
す。ワイヤレスプロジェクタであるため、
の画面を投影し、一覧することもできま
できるため、最大
さらに、各スクリーンは4分割して投影
プ は 左 面 と い う 投 影 の 仕 方 が 可 能 で す。
Personal 画面を表示することもできます。例えば、
あるグループの資料は前面、別のグルー
︶、 イ ン タ ラ ク テ ィ ブ
Response System
ガラスボード、4面スクリーン、ワイヤ
レスプロジェクタ4台を装備し、効果的
なプレゼンテーションなどが行えるよう
にデザインされています。机 卓や椅子
移動可能なデザインがされています。床
は机や椅子の移動時に移動音がしないよ
うにカーペットがひかれています。机は
まがたま型の形状をしており、2卓から
60
40
図 2 インタラクティブガラスボード
投影に適したガラス素材でできていま
図 3 PRS
45
組み合わせることにより、グループワー
16
12
脚はキャスターが付いており、すべて
30
アクティブラーニングとは、多様なメ
図 1 KALS
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50
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丸善ライブラリーニュース 復刊第 2 号
力情報を集約してグラフなどの形でパ
教員用PCに送信されます。これらの入
タジオの様子を見ることができます。
つで不透明のガラスが透明に変わり、ス
ワーポイント上のスライドに正解率など
を中止するなどの措置をとることができ
がよくない場合は次のトピックに進むの
のシステムを利用することにより、成績
│﹂と題する取組が、文部科学省の平成
の深化による国際標準の授業モデル構築
教養教育の実現│アクティブラーニング
東京大学の﹁ICTを活用した新たな
駒場アクティブラーニングスタジオ
での取組について
ま す。P R S の 重 要 性 は、学 生 へ の 参 加
年 度﹁ 現 代 的 教 育 ニー ズ 取 組 支 援 プ
の形でリアルタイムに表示できます。こ
意識の向上と双方向性にあり、能動的な
そのような回答になるのかをディスカッ
学生の回答が異なっている場合は、なぜ
きます。それにより、自分の回答と他の
選択肢を選んでいるのかを知ることがで
はリアルタイムに他の学生がどのような
学習のプロセスの促進にあります。学生
モデルの開発を展開します。これまでア
同で、ICTを活用した新たな教養教育
学環・大学総合教育研究センターとが共
︶
場アクティブラーニングスタジオ︵ KALS
を 拠 点 と し て、 教 養 学 部・ 大 学 院 情 報
た。今後、平成
年3月までの期間、駒
ロ グ ラ ム︵ 現 代 GP ︶
﹂に 採 択 さ れ ま し
て未来大学の事例報告がありました。
学ウォーレンバーグホール、公立はこだ
EALプロジェクト、スタンフォード大
点から位置づけを行いました。︵図6︶
CTの活用と教育内容の多様性という観
組まれている新しい教室空間についてI
ションさせることにより、学生同士の相
クティブラーニングは、諸外国等の取組
とウェイティングスペースの間は、透明
き、テストにも利用できます。スタジオ
が何を選択したのかを記録することもで
を照らし合わせることにより、どの学生
に配布して、集計したデータと学生名簿
その識別IDを持っているPRSを学生
カル・ライティング・プログラム︶のほか、
ていきます。現在のところ、
英語
︵クリティ
識を組織化する力を高めることを目指し
文系・理系を問わず、学生が能動的に知
ニングを応用した授業モデル構築を行い、
で実績のある教養教育にアクティブラー
とが多かった教育手法ですが、東京大学
4︶
このPRSは、
識別IDを持っており、 では、主に理工系の授業で導入されるこ
られました。
︵図7︶
ディベロップメントに関する質問が寄せ
ICT活用の教育方法、ファカルティ・
ら質問表に多数の質問が寄せられ、特に
パネルディスカッションでは、聴衆か
その後、マサチューセッツ工科大学T
互作用を高める役割を担っています。︵図
度を変更できる瞬間調光ガラスになって
現代社会論、科学技術史や生命科学等の
年
います。講義中に来客が来たり、学生が
現代GPの取組の一つして、平成
授業において取組を展開しています。
3月 日︵月︶に、国際シンポジウム﹁I
CTを活用したアクティブラーニング﹂
東京大学教養学部附属教養教育開発機
を開催しました。
︵図5︶
構 の 永 田 敬 教 授 が、 米 国 の マ サ チ ュ ー
セ ッ ツ 工 科 大 学、 ス タ ン フ ォ ー ド 大 学、
詳細については、平成 年度報告書を参
︶にて
東 大 T V︵ http://www.todai.tv/
配信予定です。また、現代GPの取組の
なお、本シンポジウムの講演の様子は
図 7 パネルディスカッションの様子
年夏にサマーインスティテュートを
照 く だ さ い。︵ 図8︶ 一 般 の 方 向 け に 平
成
開催して、アクティブラーニングの授業
モデルに触れて頂く機会を設ける予定で
す。 詳 細 に つ い て は 現 代 G P の ホ ー ム
ペ ー ジ︵ http://www.komed.c.u-tokyo.
︶をご覧ください。
ac.jp/gendai/
︵教養学部附属 教養教育開発機構
スタジオ 特任助教︶
開発部門 駒場アクティブラーニング
図 8 報告書
図 5 国際シンポジウム
図 6 KALS の位置づけ
08.5.2 10:31:04 AM
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公立はこだて未来大学、東京大学で取り
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11
17
20
19
入れ替わりしたりする際に、スイッチ一
図 4 ディスカッションの様子
連載 図書館のRFID
をめぐる新たな動き
RFID
この方針によって、桜図書館、片柳図
Cタグを導入するとされている。
元 東京都立中央図書館 吉田 直樹
年近
図書館にICタグが導入されるよう
書館にはすでにICタグが導入されてい
になってから早いもので、すでに
く た っ て い る。 そ の 間、 日 本 の 図 書 館
るので、中央図書館は自治体内で3館目
浦和パルコの8階にある中央図書館の
ニットを追加することで8区分も増強可
にあたる。この記事の刊行後まもなく4
入口を入るとすぐ左手に自動返却機が置
処 理 の 迅 速 化・ 省 力 化、 ゲ ー ト 設 置 に
の 3 点 に ほ ぼ 限 ら れ て い た。 ま た、 タ
かれている。本を入れる返却口は2口あ
館目の北図書館が加わる予定である。
グ に 使 用 さ れ る 周 波 数 帯 も、 1 自 治 体
能である。
返却の自動化や自動仕分けは欧米の
図書館のICタグ導入では多く見られ
る こ と で あ り、 映 像 を 目 に す る 機 会 も
多 い。 こ の 1 月 に は 長 崎 市 で も さ い た
ま市のような返却システムを導入した
し、 イ ン タ ー ネ ッ ト に 公 開 さ れ て い る
導 入 予 定 図 書 館 だ け で も 五 指 に あ ま る。
業務効率への貢献を評価するのは今後
の 課 題 で あ ろ う が、 当 面、 導 入 は 続 き
そうだ。
2
予約本コーナー
スマートシェルフ︵棚アンテナ︶は六
本木ライブラリーの導入で図書館界でも
分館資料、中央館内各エリア資料などの
そ の 後 は 1 本 の 流 れ に な り、 予 約 資 料、 ているわけではないので、仕分けはまず
ている。この2口はすぐ裏側で合流して
タグを読みに行き、読み取れない場合は
る。 連程度の書架をスマートシェルフ
しかし、コストがなんとしても壁にな
されてきた。
リアルタイムに把握する方策として期待
知られるようになり、書棚にある資料を
異なる利用法や他の周波数帯の動きがあ
バーコード読取を行なう。バーコードを
の動きがなかった。
る。いずれも一過性ではなく今後に引き
8つの区分に仕分けされる。もちろんこ
読むことでお分かりのように仕分け情報
しかし、ここ半年ほどの間に相次いで
続きそうなもので、曲がり角というほど
の仕分け内容は再設定可能であるし、ユ
にすれば1000万円くらいかかって
きるが、AV資料は受け付けない。賢く
本のほか雑誌もこの自動返却を使用で
館でもまったく話にならない。したがっ
カバーするのに
て 目 的 を 果 た せ る。 し か し 館 内 資 料 を
のくらいかかるが、こちらはそれによっ
し ま う。 自 動 貸 出 機 を 数 台 置 く に も そ
もローラーが逆回転して返却しようとし
連 で は、 小 規 模 図 書
た人に戻す仕組みになっている。返却受
はタグ内には持っていない。
ではないが、変化を感じさせる。このよ
うな動きとして、利用法に関する3点を
10
領のレシートも要求すれば発行される仕
て、 ど の よ う な 用 途 に 限 定 し て 用 い る
こ の 用 途 と し て、 請 求 記 号 順 に 並 ば
かがスマートシェルフの課題である。
な い 予 約 本 架 や 返 却 本 架、 新 着 図 書
の資料を処理できるわけではないことと、
こ れ か ら 紹 介 す る 図 書 館 の 場 合 も、 新
し も 思 い つ く こ と で す で に 事 例 も あ る。
架に使用するのが有効であろうとは誰
自動返却での処理が1冊ずつであること
いる。
着本架と返却本架にも有効活用されて
いうことであろうか。
で、カウンタにまとめて渡す方が容易と
機の使用は返却本の %である。すべて
用は貸出数の %だそうだが、自動返却
さいたま市図書館での自動貸出機の利
組みがあるが利用する人は少ないそうだ。
10
本号で、周波数帯に関する2点を次号で
紹介したい。
月 日に開館したさいたま市立
1
返却本仕分け機
昨年
中央図書館は、日本で初の返却本の自動
処理/仕分け機を導入した。
さいたま市は旧浦和市、大宮市などが
合併してできた政令指定都市であり、図
書館の業務管理は旧市時代の各々のシス
テムが2005年に統合された。この検
写真 1 表から見た自動返却機
自治体内の全館資料にICタグ装着し
り、同時に2人が返却できるようになっ
写真 2 裏から見た自動返却機
の 例 外 を 除 い て、 H F 帯 の み で そ の 他
よ る 持 ち 出 し 管 理、 蔵 書 点 検 の 効 率 化
で の 使 途 は、 自 動 貸 出 機 利 用 な ど 貸 出
10
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討の過程で今後建設される図書館にはI
35
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丸善ライブラリーニュース 復刊第 2 号
さ て、 イ ン タ ー ネ ッ ト の 活 用 で 利 用
印刷したレシートが出力される。
千代田区立中央図書館はさまざまな試
た。コーナーの新書を書見台に置くと書
その一つに新書マップコーナーがあっ
み で 図 書 館 界 に 話 題 を 提 供 し て い る が、
他の館種の図書館では問題にならない
誌情報や関連情報が表示される。新書内
3
情報呼び出し機
ことであろうが、公共図書館の場合、I
のICタグを書見台のアンテナが読み取
分類順に並べられた予約本は区画に分
T化に伴ってキーボードを使用しない利
り、データベース内の書誌情報等を表示
かれて置かれ、各区画には多くても 冊
用者への対応が大きな課題となった。音
するだけの仕組みであるが、入口の問題
する側には非常に便利になった予約で
声 処 理 な ど も 研 究 さ れ て い る よ う だ が、
を解決する一法だ。︵残念ながら新書マッ
あ る が、 図 書 館 の カ ウ ン タ で は 予 約 本
コーナーの中には自動貸出機が設置さ
実用にはまだ遠そうだ。現段階では、多
プシステムは、国立情報学研究所からの
本コーナーである。
月
に開館した府中市立中央図書館の予約
化 と う ま く 結 び つ け た の が、 昨 年
程度しか並んでいないため、目的の本は
れていて、ここで貸出処理を済ませれば、
くの図書館がタッチパネル式の端末で対
架の中での探索と引渡しは手間のかか
コーナーから出ることができる。という
応している。しかしこの方式には、IT
容易に探せる。
に な り や す い。 ス マ ー ト シ ェ ル フ を 書
のはコーナー入口にゲートが設置されて
る 仕 事 で、 処 理 の 流 れ を 阻 害 す る 要 因
架 内 で の 探 索 の み な ら ず、 予 約 の 自 動
いるからである。予約していない本を持
機器の提供期間が終了したため、この4
千代田区の試みは新書に限定したもの
に習熟した利用者にとって逆デバイドで
だったが、東京都北区は新中央図書館
︵本
ち出すとか、間違えた本を借りようとす
限定される、反応が遅いといった問題点
月に撤去された。︶
があり、肝心の入力方式もわかりやすく
Cタグによるものは操作を伴わない点で
末を用意しても同じことではあるが、I
バーコードで書誌情報等を呼び出す端
スサービスと呼称︶を配備する。
た情報呼び出し端末︵セルフレファレン
年6月末開館予定︶で全蔵書を対象にし
最初の入口が問題である。
キーボードを使わないユーザにとっては
を追うことなので負担が少ない。しかし、
利用する側にとっては表示された選択肢
んでいるといった関連情報が提供される。
その本を選択した読者はこうした本も選
定すると、同一著者の他作品であるとか、
今日、インターネットではある本を指
はあるが煩瑣である。
あるという主張もあるくらいで、機能が
れない。
このようなコーナーを設置すれば予約
自然さがある。
北区にこの端末を提供するベンダによ
提 供 していくとのことである。今 後 タッ
ると、図書館システムの機能の一部として
チパネル端 末は、ICタ グ 読み 取 り 機 能
を付加し、これに即したデザインのものと
なっていくのではないか。 ︵次号に続く︶
図 2 セルフレファレンス端末
ると処理されないため、ゲートを抜けら
図書館に入ると正面に貸出カウンタが
みになる。今後、他図書館でも普及する
が打ち出されているので回収も容易︶の
れリストには書名等の情報と現在の区画
予約期限の切れた本の回収︵予約期限切
約のかかった本をコーナーに置くことと
あ り、 そ の 隣 に 予 約 本 コ ー ナ ー が あ る。 本の処理についての図書館側の負担は予
コーナーの前面はガラス張りで中がその
連の書架の段数は6段で、
まま見えている。正面以外の三面は書架
である。都合
各段は2区分されていた。
予約者がコーナーの中にある予約処理
だろう。
写真 4 新書マップ
10
図 1 予約本コーナー
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写真 3 予約本コーナー写真
12
機に利用カードを差し込むと区画番号を
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11
The British Library世紀に貢献する図書館
ます。その中には、ガンジーやフローレ
も
源のポータル Archival Sound Online
含まれます。また2007年には、録音
ンス・ナイチンゲールといった近現代の
さらに
などのサー
YouTube
重要人物の演説などから成る教育的な音
や
Facebook
革 命 を 加 速 さ せ、 い ま
ビ ス は Web 2.0
やウェブに新たに加えられていくコンテ
ンツの大半はエンドユーザー自身が生み
出すという形で、その生成の方法を急激
に 変 化 さ せ て い ま す。 こ れ ら の 展 開 は、 記録その他の資料により英国における方
︵以下BL︶は世界でも有数の
Library
ドキュメント・サプライヤーとして、国
そして、この検索エンジンの登場により、 が発表される︵そして消えていく︶環境
ルに適合しているということがあります。 異なる経路で、しかも非常に素早く研究
検索エンジンの方が彼らのライフスタイ
背景には、物理的な図書館の存在よりも
ていることが明らかになりました。この
トワーキングのサイトのように従来とは
ログやウィキあるいはソーシャル・ネッ
来とは異なる形態のものが求められ、ブ
ユーザーが膨大なコンテンツにアクセス
︶ で は、 さ ら に 多 く の 事 例 を 参 照
bl.uk
することができます。インターネットの
きるようにしました。
国紙や地方紙を初めてウェブ上で閲覧で
British Library
Barry Smith
際的な大図書館も含む2万以上の顧客に
の中で、我々はいかにそれに適合してい
B L は 世 界 が 誇 る 図 書 館 の 一つ で あ
世代﹂に適応し続けること
Google
提供元として活動していくにあたっては、
だけではありません。BLが研究資料の
もたらしました。しかし、検索エンジン
の戦略に対し非常に大きなインパクトを
検 索 エ ン ジ ン は、 将 来 に 向 け た B L
理解し応えていこうとすることに尽きる
止め、必死になってユーザーのニーズを
の道、それはこれらの変化を真剣に受け
デジタル時代にあって適応し続ける唯一
いいのでしょうか。激しく推移するこの
これらの課題にどのように応えていけば
おいてとりわけ顕著なものです。我々は
ていることはBLのような国立図書館に
のです。
ことです。これこそが 世紀の図書館な
もが必要なときに利用できるようにする
れまでアクセスできなかった資料類を誰
もののない蔵書を持つBLの目標は、こ
ます。規模と多様性において比肩しうる
Lはその過程の中で重要な役割を果たし
ツの量がさらに増え続けている今日、B
B L の ウ ェ ブ サ イ ト︵
り、英国のみならず世界の研究活動を支
さらに2つの最近の発展、すなわちブロー
http://www.
世紀の英国における重要な全
サービスを展開してきました。世界最大
けばいいのか、という課題です。
言の発展を研究するウェブサイトを開設
かつ最も多様な研究資料のコレクション
す ぐ に 要 望 に 応 え、﹁ ク リ ッ ク 一 つ で ﹂
や Microsoft
といった企
で き、 Google
業が進めている大規模なデジタル化のプ
したり、
︵ 現 在 は 1 億5 千 万 点 以 上 ︶ を 所 蔵 す る
いつでもどこでもアクセスできて答えを
世紀に貢献する図書館の定義
ロジェクトを通じて、こうしたコンテン
ユーザーの要求を満たすという点におい
我々は、一般的なものから入手困難なも
得られることが図書館のサービスにおい
これまで以上に厳しい課題を前にし
て、図書館に課題をもたらしました。従
のまで幅広く資料を提供できます。しか
ても標準であるべきだという期待が、世
を 利 用 し て お り、 さ ら に そ の
British に Google
経験を﹁ほとんど申し分なし﹂と表現し
し、いま我々にとって極めて重要な課題
界中で高まったのです。
援する上で非常に重要な役割を果たし
﹁
に適応し続けるかということです。
ています。あらゆるレベルの研究を支援
の で す。 そ の 一 例 と し て、 最 近 B L は
することが我々のミッションなのですが、
わずか数年前まで、インターネットの
さらに我々は、BLに所蔵されていな
テキストを発注できるようにしました。
の検索結果から直接BLのド
Scholar
キュメント・サプライ・サービスにフル
Google
利用は受動的なものであり、ウェブ上の
がら、インターネット上ではこれまでほ
と連携し、顧客が
Google Scholar
ページや文書を眺めるに過ぎませんでし
今までとは違うインターネット
速 な 変 化 を も た ら し た の で す。B L な
た。ところがブロードバンドが広く導入
を全て受け入れることが、BL自体の急
︵情報システム合同委員会︶
らびに
JISC
の 委 託 に よ り、
﹁未来の研究者の情報行
とんど提供されていなかった資料の多く
これを実現するにあたって先述の諸変化
動﹂に関する研究が最近行われましたが
されるに及び、現在では音や動画といっ
た豊かなコンテンツが要求されています。 を初めてウェブ上で公開するに至ってい
︵注︶
、これを通じて、大学生の %は研
究を始めるにあたって検索エンジン、特
注
究
︵訳 大熊高明︶
と の 共 同 作 業 を 通 じ て 行 わ れ た。 研
CIBER
結 果 は
http://www.bl.uk/news/2008/
でアクセス可能。
pressrelease20080116.html
グを統括。
のドキュ
界 全 域 に 対 す る British Library
メント提供サービス全般のマーケティン
シニ
Mr. Barry Smith : British Library
ア・マーケティング・マネージャー。世
21
しなおされる時代にあって、いかにそれ
19
型技術の普及が同様
ドバンドと Web 2.0
に大きなインパクトを及ぼしたのです。
照される方法が技術の進歩を通じて規定
は、研究情報が生み出され、流通し、参
年 以 上 の 長 き に わ た り、
21
21
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丸善ライブラリーニュース 復刊第 2 号
書評
ライティングによる学ぶ力の育成︵2︶
探索法・情報利用法の理論を深めてくれ
ひまわり﹂とも呼ばれている。多彩な視
たこの手法は、学校図書館界では﹁発想
点の情報をえるためには、非常に有効で
ることを期待したい。
ある。森羅万象を分類している﹁図書館
分類法﹂を、探索の技術に取り入れると
の分野には実に多様なオリジナル情報が
における統計・白書・経済情報など、こ
における法令・議会資料・判例、経済学
資料、考古学における調査報告書、法学
紙面を費やしている。文学における古典
﹃ 図 書 館 が 教 え て く れ た 発 想 法 ﹄ は、
で、レポートは重層的な内容となる。
い。複数の視点の情報を素材とすること
な視点の情報を集める技術を身につけた
次に、一つのことがらに関して、多彩
同様のレファレンスサービスの思考法を
いる点なのである。
レンスサービスの基本的思考法を示して
この書籍の優れているところは、レファ
めの資料の紹介にとどまっている。一方
図書館が教えてくれた発想法、
高田高史著、柏書房、2007
レポートの体裁や文章をある程度整え
ある。そのことを知るのに、格好の教材
女性が、図書館資料の使い方を日々習得
示 し て お り 有 益 で あ る が、 ど ち ら か と
誠
米澤
る実力がついたところで、次に内容の充
となっている。
するという体裁をとった小説である。﹁本
なっている。学生もしくは図書館の初任
いうとレファレンスの事例紹介が中心と
NPO大学図書館支援機構
実を図りたい。そのためには、レポート
情報ではなく、できるだけオリジナルの
の並び方にはクセがあります﹂
、﹁背表紙
mylibrary/tutorial/
スの教科書の多くは、レファレンスのた
同じ著者が中心となって執筆した﹃図
書 館 の プロが 教 え る︿ 調 べるコツ ﹀
﹄ も、
ことで学術性が高まる。このような学術
あった。そこでは、特定のことがらに関
象ぐるっと一回りします﹂という章で
私 が 一 番 興 味 を も っ た の は、﹁ 森 羅 万
慮のいきとどいた作品であり、小説とし
ラストや装丁など、細かいところまで配
が終わった主人公の後日談、本文中のイ
図書館の短期アルバイトとなった
図書館のレファレンス︵調査︶サービ
の素材、すなわち書くテーマに関する有
ものを利用することにより、内容面が充
から本の内容を考えます﹂、
﹁わかりやす
者が、図書館資料の活用法を習得するた
いう発想法が素晴らしい。
用な情報を探してくることが重要となる。
実する。それは、利用した情報の信頼性
いのが児童書です﹂などの図書館と資料
最後に、主人公をかこむ図書館職員た
めの教材としては、
本書を第一に薦めたい。
多彩な視点の情報で内容を高める
今回は、有用な情報を探すための指針を
が高く、学術的な典拠性が高まるからな
の使い方のコツを、日記風の語りで示し
才の
示す書籍を紹介することとしたい。
のである。
ており、まさに図書館入門者にとって有
オリジナルを求めて内容を高める
的態度をいったん身につければ、信頼度
ちの楽しいエピソード、短期アルバイト
できるだけオリジナルを求めることの重
が低いたぐいのウェブ情報を、安易に利
ても楽しめることをつけ加えておきたい。
レポートや論文では、孫引きの文章や
東北大学生のための情報探索の基礎
知識・人文社会科学編、
東北大学附属図書館編、2007
例えば哲学を論じるときには、可能な
︵ウェブサイト︶
限り原典の原文もしくは翻訳文を読解し、
益な書籍となっている。
http://www.library.tohoku.ac.jp/
またその原典に関する研究書を参照する
要性について注目したい。前回紹介した
する情報を探すときに、日本十進分類の
ま ず、 人 文 社 会 科 学 の 学 習 に お け る、
﹃ ア カ デ ミ ッ ク・ ス キ ル ズ ﹄ も 主 張 し て
用するようなことはなくなるであろう。
以上、ライティングによる学ぶ力を育
いる通り、できるだけオリジナルな情報
と一回りしてみる﹂という発想法を提示
﹁[0]から[9]までぐるっ
約 3 5 0 頁 に も 達 す る こ の 労 作 は、 大分類表で、
ウェブ公開していることも含めて、東北
にあたるのが学術的姿勢なのである。﹃東
O大学図書館支援機構では、現在このよ
北大学生のための情報探索の基礎知識・
うな課題意識で学生のための講習教材を
成するための書籍を紹介してきた。NP
例えば﹁蹴鞠﹂というテーマに関する
開発している。完成した暁には、また何
している。
情報を探すのであれば、
[1]なら思想、
大学の情報リテラシー教育活動の一つの
[2]なら日本史、
[3]なら民俗学、
[7]
人文社会科学編﹄は、このオリジナル情
一方、オリジナル情報についての理論
らかの形で紹介させていただきたい。
到達点であろう。
的 分 析 と 考 察 が 足 ら な い、﹁ 著 作 ﹂ と い
な ら ス ポ ー ツ、
[ 9]な ら 古 典 文 学 と い
報を求めることに重点をおいた意欲作と
同書では、レポートや論文を書く際の
う概念を使っての書誌事項の説明がない
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なっている。
もととなる資料を﹁原資料﹂とよび、主
な ど、 改 善 の 余 地 も あ る。 今 後 さ ら に、 う切り口で考えることができる。
山形大学附属図書館︶
︵NPO理事、八洲学園大学 非常勤講師、
に文学・教育学・法学・経済学分野の原
オリジナル情報という切り口での、情報
私自身、いままで無意識的に使ってい
資料に関する解説に、全体の4割以上の
丸善ライブラリーニュース 復刊第 2 号
15
21
おはようございます
編集後記
働く場所は違っても
学 生 に は、 建 物 の 図 書 館 と 図 書 館
ホームページを両方ともほぼ毎日使う
﹁ヘビーユーザー﹂がいるとともに、少
数ですが、卒業までほとんど図書館を
利用しなかった、という学生がいるこ
とが、昨年から行っている利用調査で
わかりました。聖路加看護大学は、単
科大学なので、同一の教育プログラム
を受けているはずの学生の情報利用行
動に、これだけ差が出たことに興味を
惹かれます。
た ま た ま 目 に と ま っ た、 あ る 4 年
生のコメント欄に、
〝マイライブラリ〟
︵
﹁るかこデスク﹂と言います︶の使い
方がわからないと書かれていて、はっ
とさせられました。コメントとして学
生が書いてくれたから、図書館員まで
伝わりましたが、図書館が提供してい
るサービスの使い方がわからないまま
卒業していった学生がいるのではない
か。 ま だ、
﹁ 使 い 方 が わ か ら な い ﹂ と、
書いてくれるだけ、この4年生は図書
館に期待してくれているのであろうと、
ポジティブ︵?︶に捉え、今後、どの
ように対応するか検討中です。
図書館をほとんど利用しない事の理
由には、
色々あるのだと思いますが、せ
︵聖路加看護大学図書館︶
めて、
﹁利用方法がわからなかったから
利用しなかった﹂という学生がいない
ように、図書 館員と学生の間のコミュ
ニケーションがうまく取れるような姿
勢を心がけたいものだと考えています。
図 書 館 司 書 が 働 く 場 が も う 1 ヶ 所、
聖路加看護大学にはあります。聖路加
健康ナビスポット
﹁るかなび﹂
です。
﹁る
かなび﹂では、コーディネーター、専
門 職 ボ ラ ン テ ィ ア、 市 民 ボ ラ ン テ ィ
ア、図書館司書が協力して、通りすが
りの市民を対象に、あえて名前を聞か
ず、一期一会の関係を大切にして、健
康情報・健康相談の場を提供していま
す。大学図書館と違い、通りすがりの
方が利用者です。そのような利用者に
﹁ る か な び ﹂の 場 で どの よ う に 健 康 情
報を伝えたらよいのか、闘病記文庫な
ど、用意した情報を利用してもらうに
はどうしたらよいのか等々、図書館と
﹁ る か な び ﹂ を 行った り き た り し な が
ら、図書館司書としてどんな仕事がで
きるのか模索中です。
http://quilt.slcn.ac.jp/
︵るかなび︶
http://www.kango-net.jp/project/15/index.html
復刊1号から、早や3か月が過ぎ、2号目の発行となった。今回も多くの執筆者の協力のもと、
予定どおり進行し無事発行できたこと編集スタッフ一同、感謝しております。今回は学術情
報と図書館の係わり、学びとの係わりなど、皆さんに役立つ情報と最新の大学動向・図書館
動向を提供させていただきました。今後は図書館に関わる各方面に活躍されている方々から
の投稿を募ってまいります。編集室までお問合せください。
︵水︶
図書館で仕事をする人たちの現場からのレポートを連続掲載します。
様々な経歴・経験から、図書館に係るアイデア・ヒントと日々の積み重ねを紹介します。
くにこ
佐藤 晋巨
本誌掲載記事の無断転載を禁じます。
丸善ソリューションセミナー
「大学経営手法の新潮流 知的資本経営と大学改革 ∼強い大学づくりを目指して∼」開催のご案内
6月04日
(水)札幌、6月05日
(木)仙台、6月06日
(金)東京
6月11日(水)岡山、6月12日(木)広島、6月13日(金)福岡
6月18日(水)金沢
6月25日(水)名古屋、6月26日(木)京都、6月27日(金)大阪
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TEL:(03)3273-3250
TEL:(043)275-9011
TEL:(042)642-3711
TEL:(048)641-7221
TEL:(045)827-2571
TEL:(029)851-6000
TEL:(011)884-8222
TEL:(022)222-1133
TEL:(052)261-2262
TEL:(076)231-3155
TEL:(06)6251-2622
TEL:(075)671-3104
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FAX:(075)671-3506
FAX:(078)221-3509
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FAX:(082)247-1576
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