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グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響

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グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
Received:Jun. 25, 2011
Accepted:Aug. 24, 2011
Published online:Sep. 9, 2011
Original Article
Effect of Grapefruit Intake on Postprandial Plasma Glucose
Ogura Mari 1,2), Masayuki Yagi 1), Keitaro Nomoto 1), Ryo Miyazaki 1), Masaya Kongoji 3), Show Watanabe
Umenoi Hamada 1), Yoshikazu Yonei 1)
1,4)
,
1) Anti-Aging Medical Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences, Doshisha University
2) Faculty of Human Life and Science, Doshisha Women’s College of Liberal Arts
3) Kikunodai Clinic
4) Life Science Promotion Foundation
Anti-Aging Medicine 8 (5) : 60-68, 2011
(日本語翻訳版)
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
小椋真理 1,2)、 八木雅之 1)、 埜本慶太郎 1)、 宮崎 亮 1)、 金剛寺正也 3)、 渡邊 昌 1,4)、 濱田梅之井 1)、 米井嘉一 1)
1)
2)
3)
4)
同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター
同志社女子大学生活科学部
医療法人社団 医検会 菊野台クリニック
社団法人 生命科学振興会
抄録
【緒言】 栄養と生活習慣病について多くの疫学調査がなされ、 果物の摂取と様々な生活習慣病発症との因果関係について
より詳細な解析が進んでいる。 近年、 グレープフルーツ (GF) に含まれる栄養成分がメタボリックシンドロームや糖質代謝
に好影響を及ぼす可能性が指摘されている。 本研究はヒトにおける GF 摂取時の血糖、 中性脂肪ならびにインスリンの推移
を測定し、 他の食材摂取との関連について検討した。
【方法】 対象は肥満および喫煙習慣のない健常女性ボランティア 12 例 (年齢 40.5 ± 4.2 歳、 BMI 22.0 ± 0.9) とし、 5
日で 5 種の異なる朝食を提供した。 食事は GF 単独、 食パン単独、 GF +食パン、 GF +かき揚、 かき揚げ単独とした。
GF は食パン、 かき揚げより先行摂取した。 採血項目は血糖、 インスリン (immuno reactive insulin: IRI)、 中性脂肪、 ビタ
ミン C (Vit. C) とした。
【結果】 血糖値推移は食パンあるいはかき揚げ単独摂取と GF 併食時を比較しても有意差はなかった。 GF 摂取後のイン
スリン分泌は食パン摂取時に比べ緩徐であり (p < 0.001)、 食パンあるいはかき揚げ単独摂取に比べて GF を併食した方
が、 血糖上昇曲線 (AUC) /糖質摂取量が緩徐であった (p < 0.001)。 かき揚げ単独に比べ GF 併用時の方が中性脂
肪 AUC は緩徐であった (p < 0.05)。 また GF 摂取により血中 Vit.C は有意に上昇した (p < 0.001)。
【結語】 GF には糖類以外に食物繊維、 ビタミン、 クエン酸、 ナリンゲニンやベルガモチンなどの機能性成分が含まれ、 そ
れらが総合的に糖脂質代謝に好影響を及ぼした可能性が考えられる。
KEY WORDS: グレープフルーツ、 糖代謝、 脂質代謝、 インスリン、 中性脂肪
Anti-Aging Medicine 8 (5) : 60-68, 2011
本論文を引用する際はこちらを引用してください。
(c) Japanese Society of Anti-Aging Medicine
( 1 )
〒 610-0321 京都府京田辺市多々羅都谷 1-3
同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター
教授 米井嘉一
電話:0774-65-6382 FAX:0774-65-6394 メール:[email protected]
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
はじめに
野台クリニック (東京都調布市) において文書もしくは説明会
の開催によって、 すべての試験参加者に説明した。
栄養と生活習慣病について多くの疫学調査がなされ、 果物
の摂取と様々な生活習慣病発症との因果関係についてより詳
細な解析が進んでいる 1)。 果実摂取に関する観察研究では血
試験品
圧の降下 2)、 高血圧リスクの低下 3)、 脳卒中の発症率低下 4)、
試験品の GF はフロリダ産で、 アメリカ合衆国フロリダ州政
アルツハイマー病の予防 5)、 胃癌発生の予防 6,7)、 高齢者の
府 柑 橘 局 (Florida Department Of Citrus, United States of
口腔機能 (歯および歯肉) の維持
8)、
中高年女性における
America) より委託を受けた株式会社ヤマノアンドアソシエイツ
が
(東京都港区) を介して提供された。 GF 1 個当たりの重量は
示唆されている。 しかし介入研究で予防効果が確実に証明さ
412 ± 8.2g (可食量 212 ± 3.5 g) であった。 食パンは敷島
れたものはない。
製パン (株) (愛知県名古屋市) 6 枚切り、かき揚げは西友 (東
耐糖能の改善
9)、
中高年者における抑うつ状態の改善
10)
果物の過剰摂取はカロリーの過剰摂取につながり、 結果的
に肥満をきたし、 高尿酸血症の原因となる
11)
京都北区) 1つ 86.8 ± 8.4 gを調達した。
とはいえ、 実際
には果実の消費量は近年減少傾向にある。 疫学調査でも中
試験デザイン
学生 12)、 都市部在宅高齢者 13) などで果実摂取量が低下し
実験日
ており、 女子大生を中心に洋菓子、 ゼリーなどの摂取量が増
加している 14)。 むしろ菓子類や異化糖類の摂取量増大の方
【① 12/20】 GF
が問題であろう。
地域住民に対する健康増進指導を施行した介入研究では、
果実類摂取量が有意に増加した結果、 脂質摂取量は有意
に低下し、 行動変容の結果、 体重、 体格指数 (body mass
index: BMI)、 高血圧および血管老化度の改善を認めている
15)。
熱量(kcal) 糖質(g) 脂質(g) 蛋白質(g) ビタミンC(mg)
81.9
20.7
0.2
1.9
77
【② 12/21】 食パン
158.0
29.8
2.2
4.8
0
【③ 12/22】 GF +食パン
237.1
49.8
2.4
6.7
77
【④ 12/24】 GF +かき揚げ 297.4
36.0
16.0
5.1
80
【⑤ 1/ 5】 FV
14.6
14.8
2.7
3
202.5
大学女子スポーツ選手を対象とした食事指導による介入
検査前日の 21 時以降は水のみの摂取とし、 朝食は取らず
の結果、 果実摂取が増加し菓子類摂取の低下することが報告
に試験を行った。 上記のメニューを 15 分で食した後、 血液
されている 16)。
今回試験対象としたのは、 果実のなかでも比較的消費量の
の検査を施行した。 食事時間は被検者ごとに 5 分ずつずら
多いグレーフフルーツ (GF) (Citrus X paradisi ) である。 GF
し、 1 日で 12 名の検査を行った。 最初と最後の被検者間に 1
の熱量は果肉 100 gあたり 38kcal で、 水分 89g、 糖分 9.6 g
時間の時間差があった。 血糖、 インスリン (immuno reactive
に加えてクエン酸 1g、 食物繊維 0.6g、 カリウム 140mg、 ビタミ
insulin: IRI) を 直 後 (0 分 後 )、 30 分 後、 60 分 後、 120 分
ン C 36mg、 マグネシウム 9mg を含む
17)。
その他特徴的成分
後、 180 分後 (1 日目のみ) 測定した。 4 日目、 5 日目のみ、
中性脂肪を直後 (0 分後)、 30 分後、 60 分後、 120 分後に
としてリモネン、 フラノクマリン類、 フラボノイド類を含む。 18)
測定した。 血中ビタミン C (Vit.C) 濃度は 1 日目の 0 分後、
や脂質代謝 19) に好影響を及ぼす可能性が指摘され、 注目さ
180 分後に測定した。 血液生化学検査は三菱化学メディエン
れている。 本研究はヒトにおける GF 摂取時の血糖、 中性脂
ス株式会社 (東京都港区) で実施した。 結果は血糖、 血中
肪ならびにインスリンの推移を測定し、 他の食材摂取との関連
インスリン、 中性脂肪に加え、 それぞれの曲線下面積 (AUC)
について検討した。
と AUC を糖質摂取量で割ったもの (AUC /糖質摂取量) を
近年、 GF に含まれる栄養成分がメタボリックシンドローム
計算した。
1 日目の試験前に、 身長、 体重、 血圧、 脈拍のほか、 既
報の如く 20) 生体電気インピーダンス法体組成計 (BC-118D、
方法
タニタ、 東京都板橋区) を用いた体組成測定を行った。
対象
20)
身体症状と心の状態については抗加齢 QOL 共通問診票
インターネットにてマーシュジャパン会員 (東京都世田谷区)
から被検者を募集、 集まった 249 名の中から、 肥満および喫
煙習慣のない健常女性ボランティア 12 例を対象とした (年齢
40.5 ± 4.2 歳、 BMI 20.0 ± 0.9)。 試験開始前に試験の趣意
にて評価した。 試験期間中に 1 例に蕁麻疹が見られ 4 日
目 GF +かき揚げ摂取の試験に参加できなかったため、 4 日
目は 11 例のみで行った。
倫理基準および利益相反
を理解し、 同意書に本人による署名を得た。 妊娠、 授乳中の
本試験はヘルシンキ宣言に基づく倫理原則および個人情報
者、 高血圧にて服薬中の者、 糖尿病、 消化管手術の既往者
保護法を遵守し、 「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する
は無かった。
省令 (GCP)」 (平成 9 年 3 月 27 日厚生省令第 28 号) を参
試験実施期間は 2010 年 12 月から 2011 年 1 月の期間とした。
考にして、 第三者機関において実施した。 第三者機関 (福
本品の摂取方法は実施医療機関 医療法人社団 医検会 菊
島健康管理センター、 大阪府大阪市) にてヒト試験倫理委員
( 2 )
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
会を開催し、試験の倫理性および妥当性について審議を行い、
考案
承認のもとに開始され、 承認された試験計画書に準じて実施
した。 これらの情報利用 ・ 解析について同志社大学倫理審査
データ解析
室にて承認を得た (承認番号 #0832)。
本研究については利益相反に該当する事項は一切生じな
かった。
今回の試験では食後血糖、 インスリン、 中性脂肪濃度が
GF 摂取により影響を受けることが示された。 特に血糖 AUC な
らびに AUC/ 炭水化物摂取量の比が、 食パンおよびかき揚げ
に先行して GF を摂取することで低下した。 AUC/ 炭水化物摂
データ解析
取量を計算した理由は Glycemic load の考え 21) に従ったため
統計解析には、 統計解析ソフト Dr.SPSSII (日本 IBM、 東
である。 Glycemic load は glycemic index を 100 で割り、 炭水
京都港区) を使用し、 試験品摂取前との比較解析 (摂取前
化物の重さのグラム数をかけて算出される。 Glycemic load は
後の比較) には paired-t 検定、 2 群間比較には Wilcoxon 順
glycemic index に比べ食品摂取後の血糖上昇の程度をよりよく
位和検定を行った。 多群比較では Dunnett 検定を行った。 結
反映する。
これらの成績は GF 含有成分がなんらかの糖脂質代謝に影
果は平均値±標準偏差として表した。 両側検定で危険率 5%
響を及ぼした可能性を示唆している。 我々はビタミン C、 ナ
以下を有意とした。
安全性の評価として、 有害事象及び副作用、 報告書の有
リンゲニン (naringenin、 フラボノイドの一種)、 ベルガモチン
害事象 (自覚症状 ・ 他覚所見) に対して有害事象有無の例
(bergamottin、 フラノクマリンの一種)、 食物繊維が糖代謝を改
数集計を行った。
善するとの仮説をたてた。 これらの物質は糖脂質代謝に好影
響をもたらすことが文献的に知られている。 GF はビタミン C を
豊富に含む。 ビタミン C が酸化ストレスを軽減し、 インスリン抵
抗性を改善し、 血糖値に対して良い影響があることが知られ
ている 22,23) 。 また GF はナリンゲニンとベルガモチンを含む。
結果
ナリンゲニンについては抗酸化作用 24)、 抗ウイスル作用 25)、
各試験食摂取後の血糖値の推移を Fig 1a に示した。 血糖
ジメチルニトロソア起因性肝障害に対する保護作用 26)、 抗腫
値 AUC については GF、 食パン、 GF +食パン、 かき揚げ、
瘍効果 27)、 骨格筋へのグルコース取り込み促進 28)、 脂質代
GF +かき揚げの 5 群間で有意差はなかった (Fig. 1b)。 血
謝の改善作用 19) が知られている。
糖値 AUC /糖質摂取量については GF を先行摂取した方が
最近ではナリンゲニンにエストロゲン受容体β結合能があ
有意に低かった (食パン : p < 0.001、 かき揚げ : p = 0.003)
り、 エストロゲン様作用が示すことが報告されている 29)。 精巣
(Fig. 1c)。
摘出ラットを用いた実験系では、 精巣摘出により増加した尿中
血清 Vit.C 濃度は GF 摂取前 9.67 ± 2.01 μ g/ml から 180
deoxypridinoline がグレープフルーツ摂取により低下、 すなわ
分後 12.66 ± 2.35 μ g/ml (+ 30.9%、 p < 0.001) に有意に
ち亢進した骨代謝回転が抑制され、 その結果骨密度が改善し
増加した (Fig. 2)。
た 30)。 本現象にはナリンゲニンのエストロゲン様作用が関与し
30 分後インスリンは GF 単独に比べ食パン摂取、 かき揚げ
ていると思われる。
摂取のいずれも有意に高かった (それぞれ p = 0.001、 p =
様々な果実を対象に抗酸化活性を測定した研究では、 GF
0.017)(Fig. 3a)。 GF のインスリン AUC は、他の 4 群(食パン、
の抗酸化活性がもっとも強かった 31)。 抗酸化活性の強さと総
GF +食パン、 かき揚げ、 GF +かき揚げ) に比べて有意に
ポリフェノール量 (代表的抗酸化物質) の間には相関がなく、
低かった (p < 0.05) (Fig. 3b)。 インスリン AUC /糖質摂取
ナリンゲニンなど様々な成分による総合的活性といえる。
量は、 かき揚げ単独に比べ GF を先行摂取した方が有意に低
かった (p < 0.001) (Fig. 3c)。
GF ジュース中のフラノクマリン含量はベルガモチン (BG)
7.7 μ g/g、 6',7'- ジヒドロキシベルガモチン (DHB) 3.7 μ
かき揚げ摂取時の中性脂肪の推移を Fig. 4a に示した。 かき
g/g、 ベルガプトール (BT) 8.8 μ g/g であり、 GFJ 200 ml を
揚げ摂取後の中性脂肪は摂取 30、 60、 120 分で徐々に上昇
飲用すると、 BG 1.5mg、 DHB 0.75 mg、 BT 1.8 mg が摂取さ
した。 中性脂肪 AUC は、 かき揚げ単独に比べ GF +かき揚
れる 32)。 ベルガモチンには CYP3A4 などチトクロム P450 に対
げ摂取の方が有意に低かった (p = 0.049) (Fig. 4b)。 中性
し阻害作用を有し 33-38)、 抗発癌物質効果 (anticarcinogenic
脂肪 AUC /摂取炭水化物量はかき揚げ単独に比べて GF +
activity)
かき揚げ摂取の方が有意に低かった (p < 0.001) (Fig. 4c)。
42)
用
39,40)
腫瘍細胞の浸潤抑制作用 41)、 抗 H. pylori 作
の報告がある。 ベルガモチンは peroxisome proliferator-
activated receptor α (PPAR α ) および PPAR γの活性化
作用、 脂肪細胞におけるアディポネクチンの分泌促進作用、
肝臓細胞における VLDL の生成抑制作用を有するため、 イン
スリン抵抗性、 高インスリン血症、 2 型糖尿病、 肥満、 内臓脂
肪型肥満、 高血圧、 高脂血症および動脈硬化などの疾病
予防は治療に応用できる可能性がある 43)。 糖脂質代謝障害
( 3 )
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
Fig. 1a
Fig. 1b
Fig. 1c
Fig. 1
Change of plasma glucose
a. plasma glucose [mg/dl]; b. area under curve (AUC) of plasma glucose[mg/dl・min];
c. glucose AUC/carbohydrate intake [mg/dl・min/g]. Means ± standard deviation (SD), n = 12.
*** = p < 0.001. GF: grape fruits, FV: fried vegetables.
AUC of each diet compared by Dunnett’s test.
( 4 )
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
Fig. 2
Vitamin C concentration [µg/ml]
*** = p < 0.001 by paired t-test.
( 5 )
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
Fig. 3a
Fig. 3b
Fig. 3c
Fig. 3
Change of insulin
a. insulin [μU/ml] ; b. area under curve (AUC) of insulin [μU/ml・min] ;
c. insulin AUC/carbohydrate intake [μU/ml・min/g] . Means ± standard deviation (SD), n = 12.
* p < 0.05, ** p < 0.01, *** p < 0.001,
AUC of each diet compared by Dunnett’s test.
GF. grapefruit, FV. fried vegetable.
( 6 )
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
Fig. 4a
Fig. 4b
Fig. 4c
Fig. 4
Change of triglyceride
a: triglyceride [mg/dl], b: area under curve (AUC) of triglyceride [mg/dl・min],
c: triglyceride AUC/carbohydrate intake [mg/dl・min/g].
Means ± standard deviation (SD), n = 12. ** p < 0.01, *** p < 0.001,
AUC of each diet compared by Wilcoxon test.
GF: grapefruit, FV: fried vegetable.
( 7 )
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
やメタボリックシンドロームを予防または治療できる食品成分と
して特許申請がなされている
43)。
が想定されている。 1 個の GF にクエン酸が約 4g 含まれ、 糖
化ストレスの軽減に貢献する可能性がある。
食物繊維のインスリンへの作用
血管系への作用
今回の成績では血糖上昇が緩徐であった理由として、 食物
GF 摂取には冠動脈拡張作用および血圧降下作用がある
繊維が何らかの影響を与えたと考えた。 一般に食物繊維は
53)。
二糖類分解酵素へ食物が接触しにくくすることにより急激な血
群は高血圧リスクが有意に低かった 3)。 高血圧診療ガイドライ
糖上昇を抑制し、 結果として急激なインスリン分泌も抑制する
ン (JSH2009) においても塩分制限、 適正体重の維持、 適度
44)。
の有酸素運動、 禁煙にならんで野菜 ・ 果物 ・ 魚 (魚油) の
健康管理の上で。 中高年者における耐糖能については、
男性において果物摂取量とインスリン抵抗性との間に有意な正
果物、 野菜、 カリウム及びビタミン C 摂取が最も多かった
積極的摂取が推奨されている 54)。
相関が認めら、 女性で 1 日の果物摂取量が 200g 以上の群は
アポ E ノックアウトマウスを用い、GF ジュース投与群 (GF 群、
200g 未満群に比べて空腹時血糖および HbA1c が有意に低
n = 10) とフルクトース溶解液投与群 (F 群、 n = 10) の 2 群
値であり、 男女差もみられる 10)。
に分け、 高コレステロール食を負荷し 21 週齢まで観察した結
インスリン分泌能が保たれている NIDDM や強化インスリン療
果、 GF 群において大動脈弁輪部の動脈硬化性プラーク病変
法中の IDDM では、 果物は食後の血糖上昇に影響しないが、
の進展抑制が認められた 55)。 ApoE ノックアウトマウスにおいて
通常量のインスリン治療中の IDDM やインスリン分泌能が低下
GF ジュースは、 動脈硬化の進展を抑制することが示唆された。
した NIDDM では蔗糖が多く果糖の少ない果物は食後血糖値
今回の成績ならびに先行研究より GF 含有成分が総合的に
が上昇する
45)。
このため血糖管理不良時には果物摂取過剰
糖脂質代謝に好影響を及ぼしたと考えられる。 食物繊維は糖
や脂質の吸収を抑制する 44)。 ナリンゲニンやベルガモチンは
に留意する必要がある。
米 飯 を 基 準 食 と し て 果 物 の Glycemic Index (GI) を 求 め
インスリン作用を補佐し、 骨格筋細胞へのグルコース取り込み
た結果、 ぶどう 76 ± 25%、 パイナップル 70 ± 47%、 かき 66
を促す 19,28,43)。 TCA 回路に対するグルコース負荷に対し、 ク
± 37%、 みかん 59 ± 24%、 バナナ 58 ± 20%、 すいか 57 ±
エン酸が好影響を及ぼす 50)。 GF 中の他の成分には中枢神
45%、 メロン 55 ± 28%、 いちご 46 ± 18%、 GF 44 ± 17%、 り
経および交感神経に作用して熱産生を促す作用がある 56)。
んご 41 ± 15% であった 46)。 ぶどう ・ パイナップル ・ カキ以外
ナリンゲニンやベルガモチンは細胞内シグナルを刺激し糖代
の GI は米飯 (GI = 72) に比べ有意に低かった。
謝を亢進させる。 ナリンゲニン ・ ベルガモチンの影響の持続
時間は不明である。 もしも持続時間がある程度長い場合、 2
日連続 GF 摂取により、 4 日目の成績 (GF +かき揚げ) が
糖脂質代謝
コレステロール給餌ラットを用いた実験動物では、 GF 投与
により血漿の抗酸化能が増強し脂質代謝の改善することが報
告されている 47)。 皮下脂肪培養細胞において、 Grapefruit oil
は glycerol-3-phosphate dehydrogenase (GPDH) の発現を抑
制、 GPDH 酵素活性を最大 70% 抑制し、 また PPAR γ遺伝
子発現を抑制、 結果として細胞内の中性脂肪蓄積量を減少さ
せる 48)。
過大評価される恐れがある。 この点は本試験の限界であり、
効能の持続時間については今後の課題である。
血糖制御機構においては、 血糖低下にはインスリンが働く
が、 血糖上昇にはインスリン拮抗性ホルモン (グルカゴン、 ア
ドレナリン、 adorenocorticotropic hormone (ACTH)、 cortisol、
成長ホルモン) が関与している 57)。 今回はこれらのホルモン
については検討しえなかった。 これらが本試験の限界であり、
今後の課題となる。
クエン酸の細胞内グルコースへの影響
安全性
糖化ストレスの亢進時には高血糖により細胞内グルコース濃
度が上昇し、 ミトコンドリア内での TCA 回路にも支障をきたす
49)。
脂肪細胞ではグルコース過剰状態では TCA 回路中間体
であるフマル酸が増加、 フマル酸がシステインと反応して S(2-succinyl) cysteine (2SC) が生成すること 50)、 さらに脂肪
細胞内で細胞骨格蛋白、 サイトカイン、 ヒートショック蛋白、 ア
ディポネクチンなど様々な蛋白が 2SC 化を受けること 51) が明
らかとなっている。 ストレプトゾトシンで糖尿病を誘発したラット
にクエン酸を経口投与した結果、 クエン酸投与によりケトン体
GF の皮に関する残留農薬検査ではジフェニール (DP) は
検出されず、 オルトフェニルフェノール (orthophenylphenol:
OPP) は ご く 微 量 で、 チ ア ベ ン ダ ゾ ー ル (thiabendazole:
TBZ) 平 均 濃 度 も 1.4 ~ 2.0 mg/kg、 イ マ ザ リ ル (imazalil:
IMZ) 平 均 濃 度 は 0.77 ~ 1.4 mg/kg で、 日 本 人 の GF の
OPP、 TBZ、 IMZ 一日摂取量を厚生労働省による1日摂取許
容量 (acceptable daily intake: ADI) と比較したところ問題な
い値であった 58)。
生成が減少し、 白内障および腎機能の進展が抑制、 さらに水
晶体における Nε- (carboxyethyl) lysine (CEL) の蓄積が低
下することが示された 53)。 TCA 回路の入り口に位置するクエ
ン酸はグルコース過剰時の TCA 回路に好影響をもたらす機構
( 8 )
グレープフルーツ摂取の食後血糖推移への影響
謝辞
本 研 究 は ア メ リ カ 合 衆 国 フ ロ リ ダ 州 政 府 柑 橘 局 (Florida
Department Of Citrus, USA) より研究助成を受けた。 本研究
の一部は第 11 回日本抗加齢医学会総会 (2011 年 5 月京都)
にて発表した。
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