...

軽油識別剤の検出方法を利用した石油類の判別

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軽油識別剤の検出方法を利用した石油類の判別
消防科学研究所報 35号(平成10年)
軽油識別剤の検出方法を利用した石油類の判別
I
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gAgent
直宏篤
川尻藤
小森佐
概 要
従来、危険物判定におけるガソリン、灯油等の石油類の判別は、ガスクロマトクラフを用いて成分分析を行っていた
が、ガスクロマトクラフを用いても軽油と 重油の判別は非常に難しいものがあった。
ところが、灯油と A重油に添加されている軽油識別剤を分光蛍光光度計で検出し、ガスクロマトクラフの分析結果と
併せて判断することによって、軽油と 重 油の判別が容易になったので、その方法と応用例について紹介する。
Petroleumswered
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b
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d
.
o
i
はじめに
判断することによって、軽油と重油の判別が容易になっ
たので、その方法と応用例について紹介する。
危険物施設等における流出・漏洩事故は、東京消防庁
表 1 危険物施設の流出・漏洩事故件数
管内でも毎年数多く発生している O
過 去 5年間における流出・漏洩事故件数は表 1のとお
区分
りである O
製
貯
取
漏洩事故が発生すると、油の流出防止及び回収作業を
無
許
行うことはもちろんであるが、同時に漏洩場所の発見と
、
1
k
K
E
蔵
扱
油種の特定を行う必要がある O
年別
川や井戸に浮いている油の成分を至急調べてほしい。」
という石油類の判別に関する分析依頼がくる。
丹 P
P
1
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1
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設
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f
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-
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定
危
可
険
燃
両
物
物
3
5
1
9
3
7
2
4
搬
可
施
このような場合、事故現場から消防科学研究所に「河
運
車
計
4
5
6
5
5
8
6
4
6
5
6
2
1
7
3
7
2
4
1
6
8
8
7
4 1
0 1
3
1
9
2 1
0
3
2
4
一般に、ガソリン、灯油、軽油等が地下貯蔵タンクや
埋設配管から漏洩し河川等に流出した場合、タンク等の
1
塗覆装や地中の様々な物質を溶かしながら流れて行くの
で採取した油は黒褐色に変色しているものが多く、臭気、
色等から、油類を判別することは非常に困難である O
従来、石油類の分析は、ガスクロマトグラフ(以下
iGcJ という)を用いて成分分析を行っていたが、 G
Cを用いてもその組成が同一であったり、類似している
1
ことから軽油と重油の判別は難しいものがあった。
ところが、 A重油及び灯油に添加されている軽油識別
剤を分光蛍光光度計ーで検出し、
9
GCの分析結果と併せて
※出典東京消防庁発行「危険物行政の現況」平成 1
0年
事中野消防署
H
第二研究室
4
8
2 重油の製法
したが って、試料注入口で気化しない物質は、カラム
に入ることができないので、 G Cでは分析することはで
きない。
漏洩した軽油と重油が判別しにくい理由の一つに重油
の製法の違いが挙げられる 。
一般に石油類を分析する場合は、試料注入口の温度を
5
0
'
C前後に設定している。
カラムの分析条件から 3
重油は、ガソリン、灯油、軽油のように原油の常圧蒸
留(図1)で作られるのではな く、原油の常圧蒸留で底
弗点の高
このことから、重油を G Cで分析した場合、 i
部に残った残油に軽油留分を混合して作られる。この混
3
4
0t:以上)は気化しないで試料注入口に残り、
い残油 (
合割合によ って
、 A重油、 B重油、 C重油に分類される 。
カラムには気化する軽油留分しか入っていかない。 よっ
表 2に重油の種類と残油の混合割合を示すが、 A重油
て、分析チャートは軽油の分析チャートと同じになる c
9.5%が軽油と同じ成分ということになる 。
の場合、 9
(
図 3、 4)
なお、分析チャートの縦割│は検出器の相対的な応答強
このことが、成分分析で軽油と重油の判別がしに くい
度、横軸は検出時間を示す。
理由である 。
LPG
「一
九
百
ナフサ留分 (
30-200'C)
Lー ガ ソリン
常
庄
原油ー│蓄
C)
灯油留分(170-280'
装
置
軽油留分 (
250-350'C)
残油留分 (
3
4
0'
C以上)
( )内の数字は沸点
図 2 G Cの構成
図 1 原油の常圧蒸留
3
1
2
表 2 重油の種類と残油の混合割合
種類
軽油留分
2
3
4
〆
向
、
残油留分
A重油
9
9
.
5
0
.
5
B重油
3
5
6
5
震15
7
8i
叫lmLJ~
o3
54
04
55
0分
(
時間)
C重油
※出典
化学工業社「知っていますか
図 3 重油の G Cチャート
9
0
1
0
f
石油の話 J
J
3
6
01
3 G Cによる重油の成分分析
G Cは、図 2に示すように、ガソリン、軽油、重油等
の混合物を 高温になっている試料注入口に シリン ジを用
いて注入すると、試料はここで気化し、キャリヤーガス
に乗ってカラム内部に入り固定相との親和力の差によっ
て成分が分離される 。 そして分離された成分を検出器で
図4
検知するシステムである。
4
9
軽油の G Cチャー卜
」
4 軽油識別斉Ij (クマリン)の添加と分光蛍光光度計の
この蛍光波長を分光計で測定することにより、クマリ
導入
ン含有の有無がわかる。クマリンの加水分解による-連
の反応は、図 6のとおりである。
このように、 重油と軽油の判別が GCの分析では困難
α。ユ
であった。ところが、デイーゼル 車の普及と軽油需要の
急増に伴い、軽油に灯油または A重 油を混入してデイー
ゼル車の燃料として使い、混入した灯油または A重油に
ついて軽油取引税を支払わない、いわゆる「脱税軽油」
クマリン
。
を使用するケースが多くなってきた。
これらの状況から、軽油に周辺油種が不法混和される
ことを未然に防止するため、平成
3年 3月2
2日資源エネ
アルカリで加水分解
;
i
c
c
o
o
t
4
ルギー庁石油部長第 8号「軽油周辺油種への識別剤の添
加の実施について」により石油 足先会社は、平成 3年 3
月から灯油と A重油に識別斉J
Iを添加するようになった。
これにより、この識別剤の有無を確認することにより
0
:
i
C
容易に重油と軽油の判別が可能になった。
これに合わせて、識別斉J
Iの判別が可能な装置として、
H
当研 究 所 に お い て は 、 平 成 7年 3月、分光蛍光光度計
(以下「分光計」という)の導入を図ったものである。
トランス
O ヒドロキシケイヒ酸
この識別剤として使われるクマリンは、次のような無
色の物質で、灯油及び A重油に 1ppm添加されている。
図 6 クマリンの反応
※
クマリン
C
9
H
6
0
,
軽油と A重油を分光計で分析した結果を図 7、 8に示
分子量 1
4
6.
15 融点 6
9C 沸点 2
9
0C
円
内
す。両者のスベクトルは明らかに異なった形状を示して
ラクトンの一種
00nm付
いる。クマリンを含有する A重油は、蛍光波長 5
(性質〕無色の結晶、薄片または粉末、バニラに
近に紫外線で異性化されたトランスーOヒドロキシケイ
似た芳香、苦く、芳香性の刺激的な味があ
ヒ酸の蛍光波長が現れる。
りアルコール、エーテル、クロロホルム、
なお、分析方法の詳細については、(社)全国石油協
ならびに揮発油に可溶、水に微溶、可燃性
会「軽油識別剤標準分析方法」に記載されている。
製ー造
〔用途〕脱臭あるいは増臭剤、薬剤l
α。ユ
構造式
5
∞
図 5 クマリンの物性
6
3
0nm
(波長)
図 7 軽油の分光計スペク卜ル
5 分光計によるクマリンの測定
1
.
α
X
J
.
o
(強度)
クマリンを含有する油に、アルカリ水溶液とアルコー
ル液を加えて振とうすると、泊中のクマリンは、アルコ
ール液に抽出されアルカリで加水分解されてシスー 0-ヒ
0
.
0
ドロキシケイヒ酸になり水溶液中に抽出される。これに
3
9
0
紫外線を照射すると、蛍光物質であるトランス O ヒド
∞
(波長〕
5
~I
図 8 重油の分光計スペク卜ル
ロキシケイヒ酸に異性化され、緑色の蛍光を発する。
5
0
6
3
0n
m
6 石油類の判別の迅速化
灯油と同じ成分組成である O よって、 G Cでの分析
では両者を判別することは困難である
o
しかし、
分光計が導入されるまでは、図 9の石油類の判別フロ
JetA-1にクマリンの添加がないので、分光計でクマリ
ーに示すように、 G Cでガソリン、灯油、軽油または重
ンの含有の有無を確認することにより、両者を判別す
油の判別を行い、軽油と重油の判別は
J1S規格に規定
ることカ tで、きる。(図 1
2、 1
3
)
する引火点試験、動粘度試験等を行い判別していた。
この場合、
∞
1
.
3
J1S規格に規定するすべての試験項目を
phu
nuu
7f
実施することは、設備的にも時間的にも困難てーあったた
め、数種類の試験項目から判断することになるので、す
べてのケースで必ずしも正確な判別ができるとは限らな
26501
かった 。
ところが、分光計の導入でクマリンの含有の有無を確
認すれば判別できるので、
J1S規格に規定する試験を
行う方法より、短時間でかつ確実に軽油と重油の判別が
51
01
52
02
53
03
54
04
55
0分
できるようになった 。
(
時間)
1の G Cチャー卜
図1
0 JetA・
-分光計導入前
・分光計押入後
1
.
2
0
0
ガソリン・灯油 ・軽油・重油
∞
9
震6∞
GC
日E
0分
2
02
53
03
54
04
55
(
時間)
図1
1 灯油の G Cチャー卜
2
0
(強度)
J 1Sに規定する
引火点測定試験・
;動粘度測定試験等
∞
3
ω
6
3
0
n
m
5
(波長〕
'
,,
iii
い白
、
1
日
0
1の分光計スペク卜ル
図1
2 JetA・
軽油
1
.
α
x
l
(強度
図 9 石油類の判別フロー
V
7 火災鑑定友ぴ危険物判定での応用例
6
3
0
n
m
ペ
ク
ムE-
ス
5
1
ω
図 13
一 品凶
.灯
るJetA-1は、図 1
0、1
1の G Cの分析チャートのとおり、
一の
3
ω
現在、国内の民間ジェ ッ ト機の燃料に用いられてい
氾 冊 一対
日 一分
0
(1)灯油と航空機用燃料 (
J
e
t
A
1)の判別
(
2
) 3号軽油・灯油の混合物と特 3号軽油の判別
]1S規格で規定する軽油の種類は、特 I号
、 I号
、
︿強度)
2号
、 3号、特 3号の 5種類である O
このなかで、特 3 号軽油は、寒冷地仕様ということ
で低沸点成分の比率が多くなっている O これを GCで
分析すると、図 1
4、 1
5に示すように 3号軽油に灯油を
O
3
9
0
混合したもの(混合比 4
0:6
0
) と特 3号軒油は、同じ
∞
630nm
5
(波長)
分析チャートになる O
図1
7 特 3号軽油の分光計スペク卜ル
この場合も、 ]
e
t
A
1同様、 G Cの分析では両有を判
別することができないので、分光計でクマリンの含有
(
3
) 灯油中のガソリンの定量
の有無を確認して、 3号軽油に灯油を混合したもとの
と特 3号軽油を判別することになる。(図 1
6、 1
7
)
石油ストーブへの誤給油等で、灯油とガソリンが混
合した場合、灯油に含まれるクマリンを分光計を用い
6
1
2
て定批分析する。灯油とガソリンの混合比を割り出す
ことができる。
4
5
9
ハ
hu
羽
(感度)
分光計を用いて定量分析を行うためには、 0.2ppm、
O
.
4ppm、0.8ppmのクマリン標準液を作り、検出され
る強度により検足線を分光計が作成する O 検:
此線を図
1
5
3
1
8に示す。この検量線を用い、灯油とガソリンの混合
物の強度によって混合比を分光計が算出する O
O
一般に灯油とガソリンの混合比を割り出すには、 G
分
Cを用いて行っていた。数種の灯油とガソリンの混合
図1
4 3号軽油に灯油を混合したものの G Cチャー卜
標準液を作り、特定のピークの面積又はピークの感度
により検量線を作成し、灯油とガソリンの混合比を割
り出していた。
4
0
8,
例として、ガソリンと灯油の混合物(体積混合比
5
0・5
0
) を実際に分光計と GCを用いて定量分析した
3
0
6
結果を図 1
9、 2
0に示す。
分光計で定量した灯油の含有率は 52%であり、 G C
の定量結果51%と比較して向精度の結果が得られた。
また、この方法は、 G Cを用いて定量する方法と比
べて短時間で定量ができるので、灯油とガソリンの混
ハU
υ
合物の定量には、今後さらに活用されるケースが増大
分
rhJV
h
﹁u
.川吋
h
u
﹁
ハ
U
べυ
q
A付
)
qペJV
ハ
H
u
閤
5
2時
rhJ
Uf¥
ハ
ペー
ハノム
4l
ハHU
O
O
するものと考える。
図1
5 特 3号軽油の G Cチャー卜
0
.
8
p
p
m
3
7
0
.
8
3
強
度
∞
o
1
.
0
.
9
6
5
6
0
.
0
0
0
O
.
4p
p
m
0
.
2
p
p
m
0
.
8
p
p
m
(強度)
(濃度)
置姻晶軍司摘彊卓司自彊冒阻
O
3
9
0
∞
5
K
=8
.
2
1
6
B
=8
.
2
8
9
630nm
盟
R
=1
.
8
8
8
(波長)
図1
6 3号軽油に灯油を混合したもの
図1
8 分光計の検量線
の分光計スペク卜ル
5
2
3
4
5
.
6
%
∞
0
.
0
3
9
0
ω
5
(クマリンの含有率)
(強度 )
1
6
3
0nm
(
5
皮長)
混入率
添加物ピーク
蛍光強度
5
2
.
8x
4
9
9n 正常
2
4
¥
.
9
7
・
8
0
60
40
2
0
o
o
0
0 1
5
0 2
0
0 250h
5
0 1
(時間)
1 水との混合によるクマリンの減少
図2
図 19 分光計の定量分析結果
(
2
) 分光計によるクマリン検出における最低試料量
y
=
2
3
2
.
9
3
x+3
9
8
8.
1
3
0
0
0
0
軽油織別剤標準分析方法作業マニュアルに定める定
〆/・
(
面積)
nt
n
u
n
u
n
u
n
u
ノ 80
1
0
0
0m
.
e必要である 。 しか
量分析法では、試料サンプルは 2
0
0
n
m付近にクマリンのスペクトルが現
し、蛍光波長 5
れるか否かの確認をするだけなら、『クマリン含有油
KZT
.
1m.eがあれば、また、アルカリ抽出液を希釈せず
が0
1
0
0
0
0
にそのまま分析すれば、 0.Q3m.eあればクマリンのスベ
。
。
クトルが現れることが確認できたので、クマリン含有
別は可能である j と言える 。 クマリン含
油か否かのやl
5
0
l
m
.
e
と0
.Q3m.eの分析結果を図 2
2、2
3に示 す。
有油 O.
100%
よって、『火災鑑定等でごく少量の試料しか採取で
(
濃度 )
きない場合でも、この判別方法が有効に活用できる 1
図20 GCの定量分析結果
ものと考える O
-ー・1
2
2
.
9
8 判別上の留意事項
強度 )
(
(1)水との混合による含有クマリンの減少
水中に灯油を入れ撹枠しながら長時間放置すると、
灯油に含有されているクマリンは、徐々に水に抽出さ
0
.
0
3
9
0
れていくことが試験により確認された。灯油の水中で
5
0
8
6
3
0
n
m
0皮長)
1に示す。
の放置時間とクマリンの含有率の関係を図 2
.
1m
.
e (希釈あり)
図22 クマリン含有油 0
4時間で急、
激に減少するが、そ
クマリンは、最初の 2
の分光計スペク卜ル
の後の減少は緩やかで、
ある 。
240時間の経時変化の試験を実施したが、今回の結
果からクマリン含有油は、河川や井戸等 に漏洩して長
1
0
0
.
8
(
強度)
時間経過した場合、クマリンの含有率はかなりの割合
で低下すると推測できる 。 しかし、時間経過に伴う減
少率が小さくなっているので、クマリンが完全に無く
なることはないと考える。
0
.
0
3
9
0
今後さらに海水との接触、日光による影響、土中で
の影特等の各種条件で試験を重ねることにより、時間
5
0
8
6
3
0
n
m
(波長)
経過に伴いクマリンがどのように減少していくのか、
.
e (希釈なし)
図23 クマリン含有油 0.03m
また、クマリンの減少状況から逆に漏洩後の時間的経
の分光計スペクトル
過を推測することも可能になると考える 。
5
3
9 おわりに
石油類の判別は、
参考文献
1 (社)全国石油協会「軽油識別斉J
I標準分析方法 J
仁述のように分光計の導入により、
2 化学工業日報社「知っていますか『石油の話J1J
判別が従来より容易、確実にできるようになった。
3 大日本図書「新版燃料と燃焼化学」
このため、所属からの要望にも迅速にかつ信頼性の高
い回答を行うことができるようになった。
4 産業団書(楠「機器分析」
5 岩波書活「科学の辞典」
しかし、解決しなくてはならない問題もまだ数多く残
っている。例えば、消防科学研究所に持ち込まれる試料
の中には、石油類と他の化学物質が混合したもの、最低
試料援が掠れないもの、熱をうけて成分の一部が蒸発又
は焼失してしまったものなど色々な形態のものがある。
この様なケースでも、分光計を用いて正確に判別ができ
るかどうかなど、経験を重ねデータを蓄積していかなけ
ればならない。
また、分光討を用いた他の正、用についても今後の課題
として検討を重ねていく必要があると考える。
5
4
Fly UP