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Untitled - 産業技術大学院大学

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Untitled - 産業技術大学院大学
大学院概要
学長あいさつ
Advanced Institite
InstituteofIndustrial
IndustrialTechnology
Technology
■大学名
産業技術大学院大学
(Advanced Institute of Industrial Technology)
■研究科等の名称
産業技術研究科情報アーキテクチャ専攻(専門職学位課程)
(Master Program of Information Systems Architecture)
産業技術研究科創造技術専攻(専門職学位課程)【平成 20 年度開設】
(Master Program of Innovation for Design and Engineering)
■開設時期
平成 18 年 4 月
■所在地
東京都品川区東大井 1 丁目 10 番 40 号
■学位の名称
産業技術大学院大学学長
情報システム学修士(専門職)
(Master of Technology in Information Systems)
石島 辰太郎
創造技術修士(専門職)
(Master of Technology in Innovation for Design and Engineering)
■入学定員
情報アーキテクチャ専攻 50 名(収容定員 100 名)
創造技術専攻 50 名(収容定員 100 名)
■設置者
公立大学法人 首都大学東京
創造技術
専攻
情報アーキテクチャ
専攻
産業技術
研究科
オープン
インスティテュート
産業技術
大学院大学
学生サポート
センター
首都大学東京
公立大学法人 首都大学東京
産学公連携
センター
Shintaro Ishijima
科学技術が主に自然や人間の作る人工物の中に隠されてい
程を準備し、最も力を入れて取り組んでいます。
るメカニズムの探求を目指す分析的方向性を持つのに対して、
このように、本学では産業社会の課題に対して適切なソリュー
人間に有用なもの、あるいは必要とするものを様々な手段を使っ
ションを提供できる人材の育成を教育の柱としており、学生の教
て作り出すという統合化を目指すものとして、産業技術は位置づ
育に当たる教授陣も高い実務能力を備えた人たちにより構成さ
けられると考えます。産業技術はしたがって、本質的に科学技
れています。実際、大部分の教員は企業の現場でソリューショ
術の設定する専門分野を横断するものであり、人々の抱える問
ンを提供する実務を長年にわたり実践してきた経験豊かな人た
題へのソリューションを提供するための技術であるということになり
ちでありますし、全ての研究課題が純粋のアカデミズムに陥らな
ます。
い実務的課題にフォーカスされています。したがって、彼らの視
産業技術大学院大学は、東京の産業を支える基盤的産業
線は常に「人、組織、社会が抱える問題」に向き合っており、
技術の分野として、情報系分野とものづくりに関わる広義のデ
そのソリューションを探求し続けています。
ザイン分野に着目し、情報アーキテクチャ専攻および創造技術
このソリューション集に掲載されている内容は、通常シーズと
専攻を設置しています。情報アーキテクチャ専攻で目標とするの
呼ばれる個々の教員が持つ科学的知見や発見といったものとは
は、顧客の意図を汲み上げてその業務を解析するだけでなく、
趣の異なるものとなっています。多くは個人や組織、あるいは
業務改善を視野に入れた情報システムのモデルを提示し、顧客
社会が現実に直面している課題へのソリューションの提供やソ
と共にその満足度を最大とする情報システムを実装するまでの
リューションへ導くための支援であります。今回は特に、それぞ
プロセスを管理可能な「情報アーキテクト」と呼ぶ人材の育成
れの教員のパーソナリティにも触れていただけるよう、自由記述
であります。また、創造技術専攻においては、市場の潜在的
のコラムも記載しております。本冊子を通じて本学教員と接して
な慾求を汲み上げ、魅力ある製品の具体的なビジョンを提示す
いただいた皆様と共同で、それぞれの専門領域での課題の分
ると共に、その機能を具体的に実現する知識・スキルを具備し
析、調査、要素技術の統合、プロジェクト管理などに取り組み、
た、感性と機能の統合デザイナーである、「ものづくりアーキテク
そうした課題の解決に資することができることを心より願っており
ト」と呼ぶ人材の育成を目標としています。さらに、こうしたアー
ます。また、そうした活動を通して、皆様と本学教員双方のソ
キテクトレベルの人材には人間力を含む高い業務遂行能力(コ
リューション能力の向上という歓迎すべき大いなる副産物も生ま
ンピテンシー)が必要となりますが、コンピテンシーの強化には
れるものと確信しております。
PBL(Project Based Learning)という特別に設計された教育課
02
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
03
こんなときに、ご相談ください
Advanced Institute Industrial Technology
Technology
より実践的なソリューションの提供が、産業技術大学院大学のミッションです。
最新システムの構築や開発、インターネットの有効な活用、さまざまなテクノロジーの運用、
ものづくりによる新しい価値の創造等。産業界では、日々多くの課題が提示され、めまぐるしい変化を遂げています。
そんな企業の現場で求められているのは、高度なスキルと業務遂行能力。
産業技術大学院大学では、産学融合による実践的なソリューションサービスを提供することを使命としています。
産学の枠組みを超えた新しい解決モデルを、本学教員と一緒に生み出していきましょう。
「こんなことに困っている」という相談等、お気軽にお問い合わせください。
創造技術ソリューションの例
情報アーキテクチャソリューションの例
■情報処理プロジェクトのPMの育成・
指導をしたいとき →P08
■ ロボットのソフトウエア、モバイル
■見るたびに代わるウェブページの広
/Webアプリケーションの製品の企画、
告は何を基にしているか →P28
技術相談、研究 →P18
■ プロジェクトマネジメント育成プロ
グラム作成したいとき →P08
■自社の製品の海外展開を考えている
→P30
■ 情報システムの開発 →P10
■ 最新ソフトウェアの開発 →P10
■ ステークホルダーのニーズの整理の仕
方がわからない時 →P12
■ アーキテクチャのデザイン方法がわか
らない時 →P12
■ 個人情報を扱うシステムの構築運用
で悩んでいるとき →P14
■ 個人認証技術の開発を考えているとき
→P14
■情報戦略を策定したいとき →P16
■企業情報管理、部品表再構築を実施
したいとき →P16
■国際業務、業界・企業の標準化の相
談、実業務 →P18
■コンベンションで地域活性化したい
とき →P20
■観光で地域活性化したいとき →P20
■発注して開発した情報システムが思
うように動かない →P22
■自社のソフトウェア技術者のスキル
が低いように思う →P22
■ 拡張現実(AR)によるサービスを
実現したい時 →P24
■情報視覚化によるシステムをデザイ
ンしたい時 →P24
■機械学習を用いた識別を行いたい時
→P26
■ 生体状態をもとに人の生理状態を推定
したい時 →P26
■Googleはどうやって私が入力した単
語を基に検索結果を返しているか
→P28
04
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
The Advanced Institute of Industrial Technology provides
AIIT Solution Service Directory
■これから海外との共同開発を実施
したい →P30
■高品質の組版出力を持つタブレット
向けアプリケーションを開発した
い場合 →P32
■リアルタイム・コミュニケーション
のためのWebアプリケーションを
開発したい場合 →P32
■ 何が問題かわからないとき →P34
■精緻な制御を行いたい →P46
■心理計測を実施したい時 →P58
■ 対象となるプロセスのモデルがほし
いとき →P34
■人の活動支援・福祉に関する機
器・ロボットを開発したい →P46
■首脳級、閣僚級でエンドースされる
国際組織を作りたいのだけれど、
どうすればよいのだろう →P48
■ 心理計測と生体計測を併用したい時
■ 中小企業などと連携したものづくり
・デザイン開発支援 →P36
■ 行政施策としてのデザイン活用プロ
グラムの開発・運営 →P36
■ 革新的なデザインを生み出すプロセス
や手法を知りたいとき →P38
■アジアでの事業展開を考えている。
投資先で、優秀な人材の確保をはじ
め、法務、労務、財務等さまざまな
課題をどう解決すればよいのだろ
うか。因みにカネはあまりない
→P48
■マイコン制御でシステムを作りたい
→P50
■委託研究をしたいとき →P40
■ ハードとソフトをつなぐ技術者を
育成したい →P50
■マイクロ波を用いた技術開発をし
たいとき →P40
■アーキテクチャ分析を用いて企業の
持つ組織的能力を理解したいとき
■ どのようなデザインが求められているの
かを知りたいとき →P38
■特許につながるアイデアを出したい
→P42
■ 品質を開発・設計段階で作り込み
たい →P42
■何か製品のデザインを頼みたいが、
どのようにしたらよいか分らない
→P44
■世の中で話題になっているユニバー
サルデザインについて知りたい
→P44
→P58
■ 海外における新しい市場のリサーチ
→P60
■ エスノグラフィー調査に基づくデザ
インリサーチ・コンサルティング
→P60
■デザイン要件を決定したい時 →P62
■デザインされた商品の印象を評価し
たい時 →P62
→P52
■ 建築産業と自分の産業を比較し、
新しい視点を見つけたいとき →P52
■社内デザイナーを育てたいが…→P54
■社外デザイナーを知らないので不安…
→P54
■ゲームでワークショップ! →P56
■学校でゲームつくり →P56
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
05
ご相談の流れ
目次
Advanced Institute Industrial Technology
Technology
CONTENTS
まず、
OPI事務室にご連絡ください。
Tel.03
(3472)
7833 Fax.03
(3472)
2790
E-mail:[email protected] http://aiit.ac.jp/
OPI事務室から折り返しお電話を差し上げます。
相談内容の概要をお聞かせください。相談は技術的な内
容のものに限ります。
ご相談の内容に応じ、対応する教員を決めます。
初回の技術相談
(1時間程度)
は無料です。複数の教員
で対応し、
ソリューションサービスを提供することもありま
す。
(教員の決定には数日間ほどお時間を頂戴します。
ご
相談内容によっては、
お客様のご希望におこたえできな
いこともございますので、予めご承知おきください)
必要に応じ、本学教員からご相談内容の詳細を
お伺いします。
面談・電話・電子メール等の方法により、
最適なソリュー
■情報アーキテクチャ専攻
02 大学院概要
08 酒森 潔【専攻長・教授】
34 川田 誠一【研究科長・教授】
03 学長あいさつ
10 小山 裕司【教授】
36 國澤 好衛【専攻長・教授】
04 ソリューションの例
12 嶋津 恵子【教授】
38 池本 浩幸【教授】
06 ご相談の流れ
14 瀬戸 洋一【教授】
40
管野 善則【教授】
交通アクセス・周辺図
16 戸沢 義夫【教授】
42
越水 重臣【教授】
18 成田 雅彦【教授】
44
小山 登【教授】
20 松尾 徳朗【教授】
46
橋本 洋志【教授】
22 中鉢 欣秀【准教授】
48
前田 充浩【教授】
24 飛田 博章【准教授】
50
村越 英樹【教授】
26 柴田 淳司【助教】
52
吉田 敏【教授】
28 慎 祥揆【助教】
54
福田 哲夫【特任教授】
30 土屋 陽介【助教】
56
網代 剛【助教】
32 長尾 雄行【助教】
58
井ノ上 寛人【助教】
60
佐々木 一晋 【助教】
ションをお客様と本学教員が共同で見いだしていきます。
内容によっては、本学との受託研究や共同研究などと
なり、
実費をご負担いただきます。
■創造技術専攻
01 発行にあたって
62 中島 瑞季【助教】
06
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
07
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
専攻長・教授
酒森 潔
日本アイ・ビー・エムの社内情報システム部門における
Kiyoshi Sakamori
広い実務経験を、社外のソリューションサービスプロジ
専門分野
並行して、IPAが推進する情報処理技術者の基本的な知
・プロジェクトマネジメント
・情報システム立案、構築
・システム運用管理
・システム監査
・情報処理技術者教育
識の醸成にも興味を持ち、実務で活用できる基礎知識を
システムの開発、保守、企画等情報処理全般にわたる幅
ェクトでさらに深めてきました。このような実務経験と
研究しています。
一方で、経験で学んできたことを整理し、実務を持ちな
がら情報処理の基礎を学ぶ人たちの教育も推進していま
す。たとえば、ベテランの実務家が情報処理技術者試験
■主な経歴等
■主な著書等
やPMP試験に取り組むことを支援しています。また実践
1976年 3 月 熊本大学 理学部 物理学科卒業
高度情報処理技術者「プロジェクトマネージャ」基本テキスト
型のPM教育にも力を入れ、産業技術大学院大学で行っ
1978年 4 月 日本アイ・ビー・エム入社
1978年∼1995年
日本アイ・ビー・エム社内情報システム部門にて
システム開発・管理に従事
1995年∼2006年3 月
社内情報システム部門が独立し社外のお客様のシ
ステム構築を開始、製造業中心にPMとして多く
のプロジェクトを経験
2006年 4 月 産業技術大学院大学 産業技術研究科 教授
「デジタル用語辞典」(日経BP社)
「情報処理技術者用語辞典」日本情報処理開発協会監修(日経BP社)
「戦略的PMO」共著(PMI日本支部)
「実務に役立つプロジェクト管理の基礎」監修(TAC出版)
ているPBL(Project Based Learning)を取り入れた、シミ
ュレータ型のプロジェクトマネジメント教育を社会人対
象に行っています。
「プロジェクトの概念」共著(近代科学社)
日本文化における
プロジェクトマネジメントを研究しています
◎酒森専攻長・教授の「こんなときに、ご相談ください」
情報処理プロジェクトのPMの
育成・指導をしたいとき
プロジェクトマネジメント育成
プログラム作成したいとき
情報処理技術者試験や
PMP試験に合格させたいとき
IT業界のプロジェクトにおいては、
このように日本のIT業界のプロジェクトマネジメントにはグロ
PMBOKなどのグローバル標準がなじ
ーバル標準に無いプロセスがいくつも存在しており、プロジェ
まないことがよくあります。これは、
クトを実施するにあたっては十分に考慮する必要があります。
プロジェクトマネジメント能力の不足が指摘
プロジェクトマネジメントの標準的な人材像
高度情報処理技術者試験やPMP試験は、高
日本のIT業界では「請負契約」で受注した会社がプロジェクト
このような日本型のプロジェクトマネジメントについて研究中
され、多くの企業がPM教育に力を入れてき
はありますが、その人材に向けた育成ロード
い実務遂行能力を試験するように工夫されて
マネジメントを行うところに理由があります。グローバル標準
を進めています。
ました。しかし、単に知識を詰め込むだけで
マップはまだ存在しません。現在すすめてい
います。しかし、十分に知識があり実務能力
は発注者側の視点でプロセスが作られているため、受注企業に
はプロジェクトマネジメント力は向上しませ
る研究成果をもとに育成ロードマップや、そ
も高いのになかなか試験に合格しない方がい
所属するプロジェクトマネージャはそのまま使おうとするとう
ん。ITプロジェクトのコンサルテーション、
のロードマップにしたがったPMの育成カリ
ます。このような能力がある技術者が正しく
まくいかないのです。
メンタリングなどが必要な場合、是非ご相談
キュラム、教育教材の作成を支援いたします。 評価されるように、それぞれの試験制度の特
たとえば、グローバル標準のPMの仕事にコスト管理は存在しま
ください。
すが収入や利益の管理は含まれていません。しかし、日本の受
徴にあった論文対策や受験のポイントを指導
します。
注企業のPMは収入や利益を管理しています。また、受注企業の
PMの提案活動や受注活動について、グローバル標準には記載が
ありません。
Master Program of
Information Systems Architecture
08
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
09
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
教授
小山 裕司
・システムソフトウェア
OS、プログラミング言語、コンパイラ、ツール等の設計と実装、
Hiroshi Koyama
Unix互 換 OS(Linux 等 )
、システムプログラミング言 語
(C、C++等)
、スクリプト言語(Perl、Python等)
、
専門分野
TCP/IP、ソーシャルメディア等の活用
・システムソフトウェア
・情報アーキテクチャ
・オープンソースソフトウェア
・オープンソースソフトウェア(OSS)
・情報アーキテクチャ
経営情報戦略、情報システムの設計と実装
・システム開発手法
■主な経歴等
■主な著書等
• 東京都立科学技術大学 大学院 工学研究科 修士課程
電子情報系システム工学専攻 修了
• 東京都立科学技術大学 大学院 工学研究科 博士課程
工学システム専攻 単位取得満期退学
• 国際大学 GLOCOM 講師(専任)
• 実践女子大学 人間社会学部 准教授
•(株)テンアートニ執行役員
• 現在、産業技術大学院大学 教授
「Linux 入門」(Addison-Wesley)
「Linux ネットワーク」(トッパン)
「新 Perl の国へようこそ」(サイエンス社)
「ビジネス・アーキテクチャ」(有斐閣)
「ソースコードの反逆(監訳)
」(アスキー)
「注解 C++ リファレンス・マニュアル(翻訳)
」(トッパン)
「C++ 言語入門(翻訳)
」(アスキー)
「C++ 言語書法(翻訳)
」(トッパン)
「インターネット構築入門(翻訳)
」(トッパン)
実業務で必要な知識とスキルが習得できる、
新しい情報教育の構築を
本来の専門はシステムソフトウェアです。
れるかは不安ではありますが。また、新興の OSS 企業等で、高
・情報教育
情報基礎から高度 ICT 専門職のカリキュラム設計
◎小山教授の「こんなときに、ご相談ください」
情報システムの開発
最新ソフトウェアの開発
情報教育
学生のころは OS・コンパイラと遊んで
度 ICT 専門職教育の必要性を感じ、情報アーキテクト等の養成
時間を使いました。現在でもプログラミン
のための仕組みを構築する仕事(複数の ICT 専門職大学院のカ
商取引、教育、行政、医療等の各種情報シ
最近の流行のクラウド、ソーシャルメディア、 情報ノウハウの格差、いわゆるディジタルデバ
リキュラム設計への参加等)を始めました。問題はいろいろあるの
ステムの企画から構築の経験を活かし、アドバ
スマートデバイス関連のソフトウェアに興味
イドが問題視されています。 情報リテラシーか
情報が社会活動に及ぼす影響と、情報社会の「説得と誘導」の
でしょうが、ICT 関連の知識とスキルが無い(偽の)ICT 技術者
イスをしたいと思います。情報システムの企画、 があればご相談ください。次世代のソフト
ら高度 ICT 専門職までの複数のレベルのカ
論理を学び、奇跡のソフトウェアである OSS の意義に関する研究
があまりに多いこと、実際の業務で必要とされる知識とスキルは従
調達、構築に興味があればご相談ください。
を行いました。 情報科学以外の分野でも OSS が興味を集めてい
来の教育の情報理工学だけでは修得できないこと、またある段階
た時期でしたが、当時の同僚たちは何故 OSS が生まれたか理解
からは経営・管理の仕事が増加すること、現在はほとんどの経営
グは得意だと自分では思っています。 国際大学 GLOCOM では、
できないし、私は何故理解できないかが理解できないという感じだっ
層が情報戦略を重視する必要があること等が新しい情報教育構築
たのが懐かしいです。実践女子大学では、情報インフラが急激に
への動機でした。 現在は、産業技術大学院大学がいかに結果を
普及する社会で情報を活用するための情報基礎教育の重要性を
出していくかということに興味があります。自分ができることはわずか
学びました。 彼女たちがこれからの ICT 環境をどれだけ活用してく
ですが、貢献していきたいと思います。
ウェアの構想、最新技術あるいはOSSを活用
リキュラム設計から教育に関わってきた経験か
したソフトウェアの開発もご相談ください。
ら、各種の情報教育案件のご相談を引き受け
ます。
Master Program of
Information Systems Architecture
10
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
11
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
教授
嶋津 恵子
Keiko Shimazu
■世界標準のエンジニアリング手法の国内産業界への展開
■グローバル対応型PBL授業の開発と実施
システムズエンジニアリング・ライフサイクル・プロセスマネジ
メント(ISO/IEC15288)の日本の産業界への展開。情報シス
テム産業界、スーパーゼネコン業界、自動車組み込みソフト
ウエア開発業界等、実績多数。
現実世界を反映し、文理融合かつ多国籍の学生4~6名で
専門分野
開始し、最終的にプロダクトやシステムとして作成させてきた。
英語を第一言語として授業を実施。米国人、オランダ人、フラ
・システムズエンジニアリング
・システム・アーキテクチャ・デザイン
・V & V (Verification and Validation)
・Vモデル型システム開発
・MBSE (Model-Based Systems Engineering)
・要求開発・要求工学
■主な経歴等
チームを編成。想定顧客が望む対象を具体的に描くことから
ンス人、韓国人、中国人、インドネシア人、日本人等が受講。
■主な著書等
博士(システムズエンジニアリング),博士(政策・メディア)
富士ゼロックス,米国Xerox社,慶應義塾大学大学院システムデザイ
ン・マネジメント研究科,JAXA(宇宙航空研究開発機構)を経て現職
・大規模災害急性期サーチ・アンド・レスキュー支援システム-主要通信アプリケーション機能の
実験-,情報処理学会,研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)
2015-ITS-60(1),1-5,2015年
・NATO開発METHANEレポートの拡張による巨大災害救命情報共有システムの構想と衛星通信
利用の可能性,測位航法学会,NEWSLETTER Vol V,No.3, 2014年,共著
・準天頂衛星を通信基盤とした災害急性期救命支援システムのデザイン構想-
NATO
開発
METHANE レポーティングの国際対応版への拡張-. 電子情報通信学会技術研究報告,
Vol. 114, No .87, pp.85-90, 2014. 単著
・Shimazu, Keiko; Ohkami, Yoshiaki. “Systems Engineering Education for Inexperienced Students by
Providing Hands-on Practices”, Science Publishing Group, Science Journal of Education (SJEDU),
pp.64-71,2013
・Shimazu, Keiko. “Synergistic Model-Based Requirement Elicitation”, IEEE 3rd International
Conference on System Engineering and Technology (ICSET 2013), Malaysia, 2013
下流作業の混乱は、ガラパゴス化手法から
卒業していないことが原因?
システムズエンジニアリングは、トラブルの
これらを正確に理解して導入することで、皆様のエンジニアリング作業を
皺寄せを後の作業に発生させないことを
成長させることができます。そして、所謂「上流のミスを下流に押し付け
目指して整備された工学的フレーム
る」スタイルのシステム開発を卒業する糸口をつかむことができるのです。
ワークです。特に、複雑なシステムや、大規模なシステムの開発プロ
ジェクトで有用とされ、欧米を中心とする産業界と学界に広く展開されて
います。
◎嶋津教授の「こんなときに、ご相談ください」
ユースケース図をポンチ絵的にしか
利用できない時
ステークホルダーのニーズの
整理の仕方がわからない時
アーキテクチャのデザイン方法が
わからない時
曖昧で大量なニーズと制約の情報が乱れ飛び、
巷では、バズワードのように“アーキテクチャ”という
かつてはUMLが、そして現在ではSysMLがモデル表
それらをどうやってVerifiableな要求に整理したらよ
用語が用いられています、一方何の情報がどのよ
現言語の世界標準となっています。特にユースケー
いかわからない時。
うに表現されていれば、システムのアーキテクチャ
ス図は、表現方法が非常に単純であることから、こ
システムズエンジニアリングでは、要求(requirement) として価値あるものになるのかが検討されないま
を開発(development)します。要求のアーキテクチ
ま、機能ブロック図のようなものが作成され溢れて
の図だけは利用しているという現場が少なくありませ
一方、日本の産業界、特にIT産業界では、SEという用語さえ、ソフトウエ
ア・エンジニアと、システムズ・エンジニアが混同されて使われているよう
ャが整合性高く完成すれば、開発途中で発生す
います。世界中の先進的にシステムズ・エンジニ
ね」というイメージの合意を取るためだけの道具に利
な状況です。ウォータフォール型開発とVモデル型開発の本質的な違
るトラブルは激減します。
アたちは、アーキテクチャに必要な情報を特定し、
用している場面が少なくありません。システムズエン
それが明確に表現できる方法を採用しています。
ジニアリングの標準では、ユースケース図は、機能
いも、未だ浸透していません。
この2つの開発方法は、エンジニアリングの側面から見たとき、決定的な
違いは何なのか。ウォータフォール型開発からVモデル型開発に移行し
た方がよいシステム開発は、どういう特徴のものか。その際、弊害は発
生しないのか。また、日本の産業界で最近注目されているMBSEとは何
ん。一方、これを「作りたいのはこういうシステムです
アーキテクチャの原型であり、この図がアーキテク
チャとして完成していることが、システム開発作業の
品質に大きく影響します。モデルを、システム開発に
有効に活用しましょう。
なのか。システムズエンジニアリングと、どういう関係なのか。
日本で流行っている「アジャイル開発」は、これらと相反する方法論なの
か。それとも互いに補完し合うものなのか。
12
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
13
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
教授
・(一財)日本情報経済社会推進協会IdM委員会座長お
■教育研究(2013年∼2014年)
瀬戸 洋一
Yoichi Seto
よびプライバシー影響評価委員会座長
・バイオメトリック認証技術の安全性および適合性の研究
・
(独行)医薬品医療機器総合機構 調達委員会 委員
・プライバシー影響評価の研究
・ Asia Biometrics Consortium 日本代表
・大田区 個人情報審議会 委員
・特定個人情報保護評価の研究
・大田区 点検委員会 委員長
・情報セキュリティe-learning教材の開発 専門分野
・(一社)電子情報通信学会 平成25年度通信ソサイ
・個人認証技術
・プライバシー影響評価技術
・リスクマネジメント技術
・情報セキュリティ教育手法開発
・情報セキュリティに関する政策
■学外委員活動(2013年∼2014年)
エ ティ学術奨励賞選定委員会
・ ISO/IEC JTC1/SC37(バイオメトリクス)国際標準
・
(一社)電子情報通信学会 ソサイエティ論文誌編集
委員会 査読委員 化専門委員会 委員
・ 国際標準化会議 ダルムシュタット会議および
パデュー会議対応
■主な経歴等
1979年
慶 應 義 塾 大 学 工 学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 修 了( 電 気 工
学専攻)
同年 (株)日立製作所 入社 システム開発研究所にて画像
処理システム、情報セキュリティの研究開発に従事。セキュ
リティ研究センター副センター長、セキュリティビジネスセン
ターセンター長、主管研究員などを歴任
2006年 公立大学法人首都大学東京産業技術大学院大学 教授
工学博士(慶大)
、技術士(情報処理)
・ SC27(セキュリティ関係)国際標準化国内委員会委員
(ぎょうせい、2015年)
・ 法務省 予算監視・効率化チーム委員、および行政事
「情報化社会の個人情報保護と影響評価」(頸草書房、2014年)
「バイオメトリクス教科書」(コロナ社、2012年)
「情報セキュリティの基礎」(共立出版、2011年)
「情報セキュリティ概論」(日本工業出版、2007年)
「生体認証技術」(共立出版、2002年)
他、情報セキュリティ、プライバシー関係の専門書20冊発行
情報セキュリティの全体を見ることによって、
日々変化するその実体をつかむ
情報セキュリティの本質を学生に理解さ
門委員会顧問
■主な著書等
「自治体における特定個人情報保護評価実践ガイドライン」
「実践的プライバシーリスク評価技術」(近代科学社、2014年)
スクマネジメント、IT ガバナンスですよ」、またある人は「法律や規
・
(一社)電子情報通信学会バイオメトリクス研究会専
・ 特許庁 特許資料の電子化検討委員会 委員
業レビュー有識者委員
(独)情報処理推進機構 情報処理技術者試験問題作成
・
委員会 委員
■共同研究実績(2013年∼2014年)
(1)経済産業省基準認証事業
(2)科研費1件
(3)民間企業などより受託研究3件および学術相談1件
(2014年実績)
・日本工業出版 月刊 自動認識 編集委員会 委員
・ 中小企業家同友会全国協議会情報化推進本部会議ITア
ドバイザー
◎瀬戸教授の「こんなときに、ご相談ください」
個人情報を扱うシステムの
構築運用で悩んでいるとき
個人認証技術の開発を
考えているとき
組織内の情報セキュリティ教育で
悩まれているとき
せるとき、次の寓話をまず話します。「群
格が重要さ」、
またある人は「一番社会的に影響の大きいコンピュー
盲、象をなでる」という話がある。目の
タウイルスですよ」、みな正しくもあるが、適切ではない。 上記の
システムのプライバシーリスクの分析評価
バイオメトリクスに関する技術開発で悩まれ
組織内で、情報セキュリティの教育を検討し
悪い子供たちが象を触ってその感想を問うというインドの寓話であ
先生の言葉を使うと、
「先生が情報セキュリティとはどんな概念か話
(プライバシー影響評価)を行い、適切なソ
ているとき、基盤技術からソリューション対
ている場合、そのカリキュラム作りのコンサ
る。 子供たちは思い思いに象を取り囲み、触れはじめた。 先生は
してあげよう。みんなが言ったことは正しくもあり、また間違ってもい
リューションを実施します。また、番号法特
応まで調査研究、コンサルテーションが可能
ルおよび教材の提供、講師として協力します。
子供たちに「象というのは、どんな動物でしたか?」とたずねた。
る。 君たちのそれぞれが思いついたのは、情報セキュリティという
定個人情報保護評価の実施を支援します。
です。
子供たちは、それぞれ感じたことを話しはじめた。「象は大きなうち
知識の一部分だ。そこから知識の全体像を描こうとしても、それは
わみたいなものです」
と最初の子供が言った。「違うよ。君はわかっ
正確なものではない。 情報セキュリティは数学のようでもあり、法
ていない。象は太い柱みたいなものだ」と二番目の子供が言った。
律のようでもあり、またリスクのようでもあり、コンピュータプログラ
<中略>子供たちの議論は白熱して、しまいには口論になっていっ
ムのようなものでもある。そして、これら全てをあわせたより以上の
た。 先生が言った。「先生が象とはどんな動物か話してあげよう。
なにかだ。それは全体を見ることによってはじめてわかるのだ」我々
みんなが言ったことは正しくもあり、また間違ってもいる。 君たちの
が相手にしている「象」は、やっかいなことに、その姿が日々変
それぞれが触れたのは、象という動物の一部分だ。そこから象の
化する。その実体をつかむことで、研究者、技術者、利用者は、
全体像を描こうとしても、それは正確なものではない。象はうちわの
果てしない追いかけっこを強いられる。私の教育・研究は、学際的、
ようでもあり、柱のようでもあり、またこん棒のようでもあり、壷のよ
多様的と対応が必要で、若き IT スペシャリストから経営者までを教
うなものでもある。そして、これら全てをあわせたより以上のなにか
育対象としている。また、研究を進める上で、法学者などとの
だ。それは全体を見ることによってはじめてわかるのだ」私は、本
協力関係は多方面にわたる。
格的に情報セキュリティの仕事に関わるようになってから 20 年過
ぎたが、情報セキュリティも同じようではないかといつも感じている。
Master Program of
Information Systems Architecture
ある人に聞くと「数学の理論に基づく暗号ですよ」、ある人は「リ
14
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
15
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
教授
戸沢 義夫
Yoshio Tozawa
専門分野
・情報戦略
・部品表
・エキスパートシステム
■主な経歴等
1976年
1979年
1979年
1992年
1992年
2000年
2006年
■主な著書等
「グローバル生産のための統合化部品表のすべて」四倉幹夫氏との共著
東京大学理学系研究科物理学専攻 修士
東京大学理学系研究科物理学専攻博士課程 単位取得
(日本能率協会マネジメントセンター、2006年11月)
日本アイ・ビー・エムに入社 東京基礎研究所でエキス
パート・システムの研究に従事し、リモートセンシング、
スケジューリング、生産計画等を手がける
人工知能学会から最優秀論文賞を受賞
情報戦略の専門コンサルタントとして活躍し、多くの部
品表システム再構築に関わる
Distinguished Engineer(技術理事)に任命され、また
IBM Academy of Technologyメンバーに選出される
IBMを退職し、産業技術大学院大学教授に就任
仕事の仕方を変えるための取り組みの方法論を図2に示
します。
図1 ビジネスとITの結びつきを
企業視点で見た体系
図2 仕事の仕方を変える方法論
◎戸沢教授の「こんなときに、ご相談ください」
「ビジネスとは何か?」に
答えられますか
情報戦略を策定したいとき
企業情報管理、部品表再構築を
実施したいとき
業務改革を実施したいとき
ビジネスとは何かと聞かれたら「儲け
ドラッカーは「企業の目的は顧客創造」と定義している。
ることだ」と答える人は案外多い。確
ビジネスとは儲けること、という思い込みは米国流資本主義を
かに、赤字は具合が悪いし、儲けは少
ナイーブに受け入れた結果であり必ずしも正しいとは言えない。
企業の将来ビジョン、ビジネス戦略、ITシステム
企業内で使わる情報はネットワーク上のどこ
企業競争力を維持するには、ビジネスプロセ
ないよりは多い方が嬉しい。しかし、本当にそうなんだろうか。
ビジネスはあくまでも社会との関係の上に成り立つものである。
の現状、現行業務の課題から情報戦略を策定し
かに存在しオンライン化されています。
しか
スをビジネス環境変化に合わせて絶えず見直
なぜ多くの人が「ビジネスとは儲けることだ」と思い込むよう
企業活動が社会に貢献できた時に、その結果として利益がもた
ます。アプリケーションシステムを開発すると
し、ある情報を知りたいと思っても、その情報
さなければなりません。ビジネスプロセスは、
になったのだろうか。
らされる。利益や儲けはあくまでもビジネスの結果であり目的
それが逆に足枷になってビジネス戦略の柔軟性
がどこにあるのか、その情報の新鮮さ・正し
一企業内に留まらず、パートナー企業にまた
米国では、どれだけ稼ぐか(make money)と、社会的成功者と
にすべきものではない。しかし、企業が存続し続けるためには
を奪っていることがあります。ビジネス環境が
さは保証されているのかがわからないため、 がって実施される場合も多くなってきました。
見なされる度合いとは強い相関がある。たくさん稼ぐ人の方が、
赤字になってはいけない。利益を得ること、儲けることが悪い
変わっているのに古いシステムを使い続けて、 意志決定に使えない場合が多いです。
製造業
ビジネスプロセスをモデル化し、記述し、自
稼ぎが少ない人より尊敬される。稼ぐ額が人を評価する物差し
のではなく、それをビジネスの目的にするのがまずいのである。
それが業務課題を誘発していることもあります。 の場合は部品表の見直しになります。
企業と
動実行することが可能になっています。その
になっている。米国流資本主義では、企業は(経営者や社員、
将来を見据えた情報システムに向けての情報戦
して正しく情報を管理することが大事で、そ
結果、ビジネスプロセスの実行実績も把握で
顧客、ステークホルダーのものではなく)株主(投資家)のも
略を必要としています。
のための業務のあり方を設計します。
仕事の
きるようになり、ビジネスプロセスのボトル
仕方を抜本的に見直します。
ネック、課題が見えるようになりました。
のと考える。投資の目的はお金を増やすことなので、株主の期
待に合うようにするには、企業の目的は儲けることだと考える
のはある意味で自然である。
しかし、企業とは何か、企業の目的とは何か、についてはいろ
いろな議論があり、必ずしも「儲けること」と考える人ばかり
ではない。米国企業のCEOの多くは経営の目標として、社会に
インパクトを与えること、社会から必要とされることを挙げる。
社会との関係を儲けることよりも重要視している。
16
図1は情報システムと経営(ビジネス)との関係を示し
ています。この観点で捉えると、情報システムは、ビジ
ネスプロセスと、企業として管理すべき情報の2つの点
が特に重要であることがわかります。企業内で、これら
を専門に扱う部門があるとすれば、それは情報システム
部門になります。
この観点で企業内の仕事の仕方を見ていくと、いろいろ
な課題が見えてきます。
ITを使うと仕事の仕方を変えることができます。ビジネ
スを上手に行ったり、競争力を強化したりするには、今
までと同じような仕事の仕方を続けていてはダメです。
仕事の仕方を変えなければなりません。仕事の仕方を変
える際にITが重要な役割を果たします。ITの進歩により、
昔は高額だった通信コストや情報蓄積コストがほとんど
ゼロになってきています。コミュニケーションにはほと
んどお金がかかりません。いつでも、どこでも、誰とで
もコミュニケーションできる社会になっています。この
特性を活かした仕事の仕方に変えていくことができるか
どうかが、ビジネスで成功するかどうかの鍵をにぎって
います。
ITはプログラミングしたり、ソリューションを導入した
りするだけとは限りません。ITシステムを入れても、仕
事の仕方が変わらなければ効果は望めません。新しい仕
事の仕方を設計すること、これが大事なのです。
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Information Systems Architecture
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
17
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
教授
■ ソフトウエアプラットフォーム技術の研究・標準化
・X windowの国際化プロジェクトのリーダを務め、GUI
技術の標準化、国際化に貢献した。
・CORBA、Webサービス技術やアプリケーションサー
バ、企業間電子取引システムの企画・製品化、OMG、
OASIS、DOPGを中心とする標準化活動に取り組んだ。
特に、従来、標準化が進んでいなかったリライアブルメ
ッセージングについて、OASISでの日本発の仕様提案や
相互接続性の検証など内外企業と協力して実施した。
現在は、ネットワークサービスプラットフォーム研究所
にてソフトウエアプラットフォームの研究を行っている。
成田 雅彦
Masahiko Narita
専門分野
ソフトウエアプラットフォーム技術と
その応用の研究・標準化
・CORBA, Webサービス、企業間電子取引システム、自治体システム
応用システムの研究
・ロボットのソフトウエアプラットフォーム
・モバイルアプリケーション
■主な経歴等
■主な著書等
1978年 早稲田大学大学院数学科卒業
1980年 早稲田大学大学院数学科博士前期課程修了
2010年 首都大学東京博士後期課程修了
学位
博士(工学)
1980年∼2008年
富士通株式会社(ソフトウエア事業本部にて、
開発企画統括部プロジェクト部長を歴任)
2008年∼ 産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻
専任教授
2010年∼ 産業技術大学院大学 OPIネットワークサービス
プラットフォーム研究所所長
【著書】
1997年 CORBAとJava 分散オブジェクト技術 SRC社
1998年 CORBAとJava 分散アプリケーション実装技術 SRC社
2002年 SOAP/WSDL/ebXML Webサービス・アプリケーション
開発技法 SRC社
2007年 ソフトウエアエンジニアリング講座4 オープンシステム技術
ITトップガン育成プロジェクト(共著) 日経BP社
2010年 ロボット情報学ハンドブック(共著) 近代科学社
【標準仕様書】
1993年 The Input Method Protocol Version 1.0 X consortium
Standard, X Windows System V11R6.1
2002年 ebXML Interoperability Test Specification Part I:ebXML
Service, eBusiness Asia Committee
2010年 RSNP (Robot Service Network Protocol) 2.3仕様書 共著
ロボットサービスイニシアチブ
「英語圏と上手く付き合う」決意が、
標準化に必要な高い英語力の源
私はソフトウエアプラットフォームの
企画や標準化を四半世紀続けてきまし
図1:開発したロボットプラットフォームを用いたモバイルアプリケーション
(rsicamerarobot). AppStoreから入手できる
■ 応用システム
・ロボットのソフトウエアプラットフォーム
インターネット経由のロボットサービスの提供について
の業際団体を発起人の一人として設立、ロボットのソフ
トウエアプラットフォームの研究・普及・応用に取り組
み、業界標準仕様の策定、モバイルアプリケーションの
公開、ロボット通信に音声通話を組み込む等の試みを行
っている。 また、ロボット白書の執筆等を通し政策提言
も行っている。
図2:ロボット通信に音声通話を組み込んだシステム。インターネット上の
サーバ経由でロボットと任意のPC等とで音声通話できる。
◎成田教授の「こんなときに、ご相談ください」
ロボットのソフトウエア、
モバイル /
Webアプリケーションの製品の企画、
技術相談、
研究
国際業務、業界・企業の標準化の
相談、実業務
技術調査、動向調査
CORBAやアプリケーションサーバの企画・
Xウインドウの国際化プロジェクト (1992年
独自の調査に基づき、ソフトウエアプラット
あります。
製品化などIT分野、ロボットサービスイニシ
∼1995年)以来、Java Community Process、
フォームに関連して、2013年科学技術白書
英語の不得意な私が英語ベースの仕事をすることになったきっ
アティブでのロボットのソフトウエアの仕様
OMGなど多くの標準化関連の国際業務に携
の1ページにコラムを掲載たり、ロボット白
かけは、入社数年後に部下と2人で2週間サンタモニカのISVを
策定、モバイルアプリケーションなどロボッ
わり、JEITA、DOPG、RSiなどの業界団体で
書(2013年、NEDO発行)へ執筆するなど、政
訪問した時です。通じない英語を話す人、いろいろな発音で話
ト・モバイル分野など広い実積があります。 活動してきました。また、産業技術大学院大
策提言活動をしております。こうした実積に
す人など、様々な英語があるとわかったのは収穫でした。その
ネットワークサービスプラットフォーム研究
学では、ベトナムとのグルーバルPBLの立ち
基づき、各種ソフトウエアプラットフォーム
後、その社長さんに連れられロッキーの中腹のレストランで1
所の活動としてご協力いたします。
上げに貢献しました。こうした経験と実積を
技術調査、動向調査をお引き受け致します。
対1の夕食に招かれたときは、これから先、英語圏とうまく付
共同研究先:富士通研究所、国立情報学研究
生かして、企業の国際業務、業界・企業の標
き合うしかないと思いました。
所、慶応大学
準化、実業務の相談をお受け致します。
たが、これは海外活動と密接な関係が
標準化の国際会議では、説得されたくないと思っている相手を
説得したり、煙に巻こうとする相手の矛盾を指摘したりストレ
スの高い英語が必要ですが、こういう会話を身に着けられたの
も、英語圏と付き合うしかないとわかった初めの体験が基にな
っているのかもしれません。
18
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Information Systems Architecture
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
19
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
教授
■コンベンションの誘致と開催の効率化
ラボでの無駄な実験を省き、要求に応える物質の組合せ
コンベンションとはいわゆる国際会議や学会のことで、
や配合プロセスを見つけることができます。実際の開発
Tokuro Matsuo
これまでに数多くのコンベンションを海外から誘致する
で、時間およびコスト面で大きな効果を得ることができ
とともに、我が国から世界に向けて発信される国際会議
ました。(関連記事:オンデマンド材料開発を目指した
専門分野
のプロデュースを行ってきました。コンベンションは通
材料設計システム, Synthesiology, Vol. 7, No. 1, 2014.)
松尾 徳朗
・応用情報学
・観光情報学
・材料情報学
・情報経済学
・MICE観光学
・MICE経営学
・コンベンション経営学
常のビジネスとは、その特徴や手法が異なり、超短期ビ
ジネスであり、かなり多くのステークホルダー(利害関
■その他の取り組み
係者)に対するサービスビジネスです。観光産業や自治
持続的な観光産業育成、サービス価値の向上、新しい市
体等での講演など多く承っております。(実施した講演
場の構築、電子商取引の効率化、観光業や自治体におけ
の一例:日本コングレスコンベンションビューロー「実
る危機管理やリスク管理および事業継続計画など、多方
■主な経歴等
■主な著書等
務担当職員研修会」、国際会議観光都市連絡協議会総会、
面にわたる支援を行っております。不便を便利に変え、
2001年 佐賀大学文化教育学部学校教育課程卒業 学士
(学校教育)
2003年 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科
博士前期課程修了 修士(知識科学)
2006年 名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程 修了
博士(工学)
2006年∼2012年 山形大学大学院理工学研究科 准教授
2012年より産業技術大学院大学 教授
2010年∼2011年 カリフォルニア大学アーバイン校 客員研究員
(兼任)
2011年∼2014年 名古屋工業大学 プロジェクト教授(兼任)
2011年∼2013年 上海大学 客員研究員(兼任)
2011年∼セントラルミシガン大学SEITI リサーチフェロー(兼任)
2011年∼米国国際計算機情報科学会理事(兼任)
・Advanced Applied Informatics, IEEE Computer Society, 2013.
・Electronic Business and Marketing: New Trends on Its Process and
Applications, Springer-Verlag, 2013.
・Advanced Applied Informatics, IEEE Computer Society, 2012.
・New Trends in Agent-based Complex Automated Negotiations,
Springer-Verlag, 2011.
・E-Activity and Intelligent Web Construction: Effects of Social Design,
IGI-Global, 2010.
・Computer and Information Science, IEEE Computer Society, 2010.
・Innovations in Agent-based Complex Automated Negotiations,
Springer-Verlag, 2010.
・Advances in Agent-based Complex Automated Negotiations, Springer Verlag, 2009.
・Electronic Commerce : Theory and Practice, Springer-Verlag, 2008.
日本政府観光局(JNTO)コンベンションセミナー、ほ
顧客の満足度を向上させ、安心安全な社会や組織構築に
か多数)
かかわる活動を行っています。(実施した講演や取り組
観光産業とコンベンションビジネス
イノベーションをおこすには、社会の
みの一例:観光庁「次世代旅館・ホテル経営者育成プロ
グラム」、総務省地域情報化アドバイザ、ほか多数)
■材料設計の効率化
半導体用材料など超短期での材料設計において、職人の
経験と勘を計算モデルで表現し、新素材開発の高速化を
行ってきました。コンピュータシミュレーションにより、
◎松尾教授の「こんなときに、ご相談ください」
コンベンションで
地域活性化したいとき
観光で地域活性化したいとき
サービスを改善して
お客様の笑顔を見たいとき
知、自然の知、組織の知、個人の知を
理解するとともに整理する必要があり
コンベンション開催のプロフェッショナルと
地域に元気がない、地域をブランディングし
業務とサービスは表裏一体ですが、業務の手
ます。これらを軸にして、社会の最適化、組織の最適化、生産の
して、責任をもってご相談に対応致します。
ていこうという自治体、または観光分野で成
順や実施方法が変われば、それにより提供さ
最適化などが実現します。資源の乏しい日本において、今後さら
貴社であらたにコンベンションビジネスを始
功しようと考えている企業等へアドバイスや
れるサービスも変化して、時として顧客の満
なる訪日外国人旅行者の獲得による観光産業のイノベーションと
めたい、自治体として地域に多くのコンベン
コンサルを承ります。また、観光関連の事業
足度は大きく下がります。現場に培われた
観光ビジネスモデルイノベーションが求められています。成長ギ
ションを誘致したいなど、社員/職員の研修
や取り組みを情報化したいときも、情報技術
サービスマネジメントとサービス価値評価に
ャップと言われるビジネスの頭打ち現象を克服したり、回避した
や事業計画などを含む各種コンサルや講演を
の研究者として的確な対応が可能です。これ
より、お客様の笑顔を増やします。これまで
りするためには、イノベーションが必要です。とくに、MICE(
提供致します。これまでに対応した事例で複
までに、日本を代表する学会での観光情報技
に、複数のイベントビジネスにおいて、業務
ミーティング、報奨旅行、コンベンション、展示会)とよばれる
数の国際会議の誘致に成功しています。
術調査の委員長等も歴任しました。
とサービス改善により参加者満足度アップに
分野は、その経済波及効果は一般観光の約7∼8倍と言われてお
成功しています。
り、安定した観光産業の発展に寄与できるため注目を集めていま
す。我が国でMICE産業を成功させるには、海外で開催されてい
るイベントや報奨旅行を我が国に誘致し、MICEで日本を訪れる
訪日外国人旅行者に対して、質の高いサービスと日本滞在の体験
を提供することです。これにより、MICE活動での訪日外国人旅
行者は、プライベートでも再訪してくれるようになり、我が国の
観光産業はポジティブスパイラルへと向かっていきます。
20
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Information Systems Architecture
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
21
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
准教授
中鉢 欣秀
ソフトウェア開発においては、ユーザの業務ニーズを深く理解
現状、開発するシステムの規模が大きくなるにつれ、分析作
するために、全てのステークホルダーと充分にコミュニケーショ
業が繁雑になることが分かっています。そこで、方法論のブラッ
Yoshihide Chubachi
ンをとる必要があります。その上で、実際の開発工程に入る
シュアップや、適切なツールを開発するなどして本手法を現実
前に、求められる情報システムの機能と品質の両面から、お
の問題に適用できるようにするための研究を行っています。
専門分野
互いに充分な合意を形成しておく必要があります。近年、その
・ソフトウェアアーキテクチャとモデリング
・ソフトウェア開発プロセスのコンサルテーション
・ソフトウェア技術者教育法の研究開発
・オブジェクト指向技術のコンサルテーション
・論理思考とコミュニケーション
ために行うモデリングの重要性が指摘されるようになりました。
私は、自然言語によるシナリオで業務モデルを記述することで、
本当に必要となるシステムの機能を分析するための手法である
SBVA(Scenario-Based Visual Analysis)法を提案してい
■主な経歴等
■主な著書等
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程卒
ソフトウェア開発における上流工程やアーキテクチャ設計に関する研究
を行い、シナリオ図解化分析(SBVA)法、フレームワークマークアッ
プランゲージ(FwML)等を提案
1997 年 合資会社ニューメリックを設立、インターネットアプリケーショ
ンの開発や、社会経済シミュレーターの研究開発などを行う
オブジェクト指向型ソフトウェア開発プロセスに関するコンサ
ルテーションや、ソフトウェア技術者教育などに従事した
中鉢欣秀、小林孝弘、松澤芳昭、大岩元「シナリオの図解化によ
るユースケースモデリング」(電子情報通信学会論文誌 Vol.J88D-I、No.4、pp. 813-828、Apr 2005)
中鉢欣秀、岡田健、大岩元「状態機械を用いるフレームワーク記
述言語 FwML の設計と MVC アプリケーションへの適用」(情報処
理学会論文誌:プログラミング、Vol.44、No. SIG16 pp. 1-14、
Dec 2004)
海中を自在に移動できるダイビングのような
発想で、制約のないシステム構築を
私の趣味はダイビングで、美しい海で綺
を併用してシステムの機能(ユースケース)を分析できます。
UML 等の難しい技術知識がないと理解できない表現を用いな
いので、非技術者であるステークホルダーとのコミュニケーショ
ンを円滑に行うことができます。
◎中鉢准教授の「こんなときに、
ご相談ください」
発注して開発した情報システムが
思うように動かない
情報システムのアーキテクチャとは、本質的には人間の頭の中で
自社のソフトウェア技術者の
スキルが低いように思う
オブジェクト指向型のソフトウェア
開発プロセスを現場で活用したい
麗な魚たちを見に行くのが大好きです。
構築する概念的なモデルです。 概念上の存在ですから、物理的
ダイビングの魅力は様々ありますが、そ
な構造物と異なり、本来は重力の制約を受けることはないはずです
情報システムの利用者と開発者との間で、大
ソフトウェア開発のスキルは、現場の開発経験
RUP(Rational Unified Process)に代表さ
の一つには三次元移動が可能なことがあるように思います。(ある
ね。イテレーション型開発や、アジャイル型の開発に馴染めない
きなディスコミュニケーションが発生している可
だけで向上するものではありません。ソフトウェ
れる、反復型の開発プロセスのマネジメントや、
程度制約はありますが)海の中では自由に上に行ったり、下に行っ
方は、物は必ず上から下に落ちるのだという既成概念を取り除いて
能性があります。そのような状況に対処する方
ア技術者の質を高めるためのトレーニング方法
オブジェクト指向モデリングの実施方法、自社
たりと、陸上では不可能な動きをすることができます。
みるとよいのかもしれません(!
?)
。
法についてのコンサルテーションを提供できま
についてご相談ください。
への導入等をご支援いたします。
さて、陸の上では人は重力の制約を受けます。 物は必ず上から下
す。
に落ちます。高い建物は下から順番に積み上げて構築しないとなり
ません。 東京タワーの土台を作る前に、先端のアンテナを据え付
けることはできないのです。
従来、情報システム開発でも上流工程から下流工程に向かって
流れる、いわゆるウォーターフォール型プロセスを利用していました。
これは、私たちが何か物を作るときには、無意識に重力の制約を
受けていることの証のように思います。
22
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Information Systems Architecture
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
23
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
准教授
飛田 博章
人とコンピュータの関係をデザインするヒューマンコン
Hiroaki Tobita
なシステムや対話手法を実現してきました。研究プロト
ピュータインタラクションに興味を持ち、これまで様々
タイプに限らず、メディアアートとしての展示や、Web
専門分野
サービスの運用など幅広く活動しています。
・ヒューマンコンピュータインタラクション全般
・ユーザインタフェース
・コンピュータグラフィックス
・情報視覚化
・コンピュータビジョン
・拡張現実
・仮想現実
など
■主な経歴等
■主な著書等
1999年 4 月 電気通信大学情報システム研究科前期課程 修了
2004年 9 月 電気通信大学情報システム研究科後期課程 修了
Hiroaki Tobita, Aero-Marker: Blimp-based Augmented Reality Marker for
1999年 4 月 ソニー
2003年 2 月 ソニーコンピュータサイエンス研究所 東京
2011年 8 月 ソニーコンピュータサイエンス研究所 パリ
2014年 4 月 現職
Objects with Virtual and Tangible Feature, ACM VRCAI 13, 2013.
Hiroaki Tobita, Floating Surface: Blimp-based Ubiquitous Screen for Novel
Digital Signage and Information Visualization, ACM SAC 14, 2014.
気球型テレプレゼンスシステム:
ビデオミーティングの拡張で、遠隔地のユーザの顔が気球の表面
に直接投影されます。
『子供発想・玄人実行』
もう10年前になるが上司に薦められた
カツラ型ウエアラブルデバイス:
センサー群はカツラの裏に配置されるので、見た目は自然なまま
ユーザの能力がコンピュータに強化されます。
◎飛田准教授の「こんなときに、ご相談ください」
拡張現実
(AR)
によるサービスを
実現したい時
情報視覚化によるシステムを
デザインしたい時
規格外の何かを作りたい時
本に、「素人のように考え、玄人とし
て実行する」(カーネギーメロン大学・
マーカーにCGがオーバーレイされるような簡単
情報視覚化は大量情報を効果的に配置するこ
気球やウィッグをはじめ、魅力的な(時とし
金出武雄著)がある。タイトルの通り”素人発想・玄人実行”に
なアプリのみではなく、Tabletop,Wearable
とや、多面的に提示するために有効な手法で
て怪しい)システムをデザインしています。
関する内容だが、著者の経験を踏まえ非常に読みやすく実践的
Computing,Ubiquitous Computingでの応用な
す。
Focus & Context 技術をはじめとする各種
既存の枠にとらわれないもの作りに関して
に書かれている。自分の研究や活動に大きな影響を与えた1冊と
ど、最新の動向を含めて提案できます。
手法についてノウハウを有しています。
様々なアドバイスが可能です。
いえるが、当時自分は単純な素人発想ではないように思えてい
た。その上司は 先日のTEDの講演で10歳の時の自由な視点や想
像力でアイデアを考え、現在のテクノロジーで実現する話をし
ていた。金出先生の著書に似ているが、10歳と今の自分とを切
りかえるスイッチを意識的にコントロールすることで、イノベ
ーションが生まれるというものだ。それを聞いてようやく納得
した。自分が子供発想だということに。
24
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Information Systems Architecture
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
25
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
助教
私は人が持つ知能に興味があり、感性工学、人工知能、
柴田 淳司
機械学習と幅広い分野に関わってきました。
さらに、こうした機械学習の研究で培った知識を用い
て、企業との連携研究にも携わることができました。
まず、感性工学の分野では、鼻皮膚温の変化から人の
Atsushi Shibata
快-不快の計測をする研究をしてきました。それ以外に
も、脳波計、脳血流計などの機器を用いて生体情報の計測
専門分野
を行ってきました。
・機械学習
・人工知能
・ニューラルネットワーク
その後、計測データを解析する手法として機械学習や、
人工知能に興味を持ち、特にニューラルネットワークを用
いた研究を行ってきました。研究では、分類やロボットの
動作学習といったタスクを学習時に、ニューラルネット
■主な経歴等
■主な著書等
2012 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 修士課程 修了
2015 同専攻 博士課程修了
2015/04~2015/08 岐阜大学 工学部 電気電子情報工学科
産官学連携研究員
2015/10 産業技術大学院大学 産業技術研究科
情報アーキテクチャ 助教
Atsushi Shibata, Fangyan Dong, and Kaoru Hirota, “Neural Network Structure
Analysis based-on Hierarchical Force-Directed Graph Drawing for Multi-task
Learning”, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent
Informatics, Volume 19 Issue 2, 2015.
Jesus Adrian Garcia Sanchez, Kazuhiro Ohnishi, Atsushi Shibata, Fangyan Dong,
Kaoru Hirota “Deep Level Emotion Understanding Using Customized Knowledge
for Human-Robot Communication”, Journal of Advanced Computational
Intelligence and Intelligent Informatics, Volume 19 Issue 1, 2015.
勉強を楽しむために
好きこそ物の上手なれと言います。勉強に苦手意識がある方は、
勉強とは、知識・技術を獲得するた
嫌いなことを頑張るとか、好きになるよう努力するではなく、
こうした機械学習の研究を通して得た技術を応用した例
として、教育システム利用者の感情計測をする研究にも携
わりました。提案では、利用者の感情変化より、科目の難
易度の他、利用者毎の科目に対する得手不得手とその傾向
を見ることができました。
好きなことからやってみてはいかがでしょうか。
機械学習を用いた識別を行いたい時
生体情報をもとに人の生理状態を
推定したい時
近年では、機械学習を取り入れたシステムを用
人の生体情報は、製品のインターフェース作り
ためには、覚える、体感する、持続することが必要になります。
いるのは一般的になってきており、企業での研
だけでなく、その生理学的な評価にも用いるこ
研究には常に新しい知識・技術が求められます。そのためには
究も盛んに行われています。こうした機械学習
とができます。例えば、鼻部皮膚温を計測する
の流行は、技術の移り変わりも激しいことを示し
ことで、人の快-不快状態の推定を行うことが
ています。もし「機械学習を取り入れたシステム
できます。ですが、人の生体情報は脳波、脳
を作りたい」とお考えでしたら、どういった技術が
血流、筋電など、さまざまな種類があり、その
あるのか、何が向くのかなどのご相談ください。
計測できるデータも多様なものがあります。こう
常に勉強を続ける必要があります。しかし、私は持続して何かを
するのがどうしても苦手です。そこで、私が普段行っている勉強
法は、勉強を楽しむことです。
私の英語の勉強を例にとります。私は最近、海外の某MOBA
ゲームをやっています。そのゲームを選んだ理由は、前からゲー
ム内容に興味があり、かつ日本語サーバーがないからです。ゲー
ム内で強くなるためには、英語の攻略サイトを読み、英語の実況
動画を見る必要があります。また、ゲーム中、チャットで英語を
実際に使い会話をする機会があります。さらに、ゲーム自体が楽
しいので持続して勉強することができます(かれこれ3年ほど
やっています)。
26
化する手法を提案しました。
◎柴田助教の「こんなときに、ご相談ください」
皆さんは勉強がお好きでしょうか?
めの手段です。その内容を獲得する
ワークがどういったパラメータの変化をしているかを可視
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
した生体情報を製品につなげたいという方のお
手伝いをさせていただきます。
Master Program of
Information Systems Architecture
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
27
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
助教
慎 祥揆
私は大学の講座のような組織内で小規模で行うコンテン
の観点)に比べて、実データ、すなわち情報を利用する
ツの作成、特に授業の内容の一貫性(全クラスが基本的
ユーザ側の観点から考えた効率で有効な情報獲得手法を
Sanggyu Shin
に同じ授業内容を基に学習)を維持しながら学修者それ
重心に議論しています。
ぞれの実力に合わせたコンテンツの作成を支援するeラー
その上、伝統的なデータ抽出と分析、データの再加工手
ニングシステムを提案しています。
法による提供するデータの獲得に加え、スマートフォン
コンテンツの個人化を可能にするために、まず各学習者
のような制約の厳しい限定された資源(画面サイズやPC
の学習データを分析する必要があります。私の研究では、
に比べての操作性が不便)の授業内での柔軟な利用手法、
従来のeラーニングシステムがコンテンツの管理、提供、
情報の直観的な表示のために認知科学的なアプローチを
ユーザ分析の観点から情報を扱ったこと(データベース
用いた研究を行っています。
専門分野
・データマイニング
・eラーニング
・情報システム
■主な経歴等
■主な著書等
2000年 2 月 東義大学工学部コンピュータ工学科卒業(韓国)
2003年 3 月 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専
攻博士前期課程修了
2009年 3 月 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専
攻博士後期課程単位取得後退学
2010年 4 月∼2011年3月 慶應義塾大学理工学部准訪問研究員
2011年 4 月∼慶應義塾大学理工学部訪問助教
2011年 4 月∼産業技術大学院大学産業技術研究科情報アーキテ
クチャ専攻助教
慎 祥揆, 瀬戸 洋一, 韓国におけるプライバシー影響評価の制度と実施
状況, The 31st Symposium on Cryptography and Information Security,
(2014.1).
Sang-Gyu Shin, Tai-Suk Kim, Automatic Structuring of Query Results,
Korean Convergence Software Society Conference, (2012.11).
Sang-Gyu Shin, Tai-Suk Kim, Foreign Language Learning System Using
Fragmentation Data, Korean Convergence Software Society Conference,
(2012.11).
慎 祥揆,前田 葉子,遠山 元道, ACTIVIEW:SuperSQLを用いた
適応型Webビューの実現, 情報処理学会論文誌:データベース,
Vol.2,
No. 3,pp.112-129 (2009.09).
Sang-Gyu Shin,Tai-Suk Kim, Creating Method for Multi-size Web View
based on Query Restructuring Rules, Journal of Korea Multimedia
Society, Vol. 11, No. 12, pp.1758-1764 (2008.12).
◎慎助教の「こんなときに、ご相談ください」
情報のパーソナライゼーション
Googleはどうやって私が入力した
単語を基に検索結果を返しているか
見るたびに代わるウェブページの
広告は何を基にしているか
ビッグデータの技術の利用方法
皆さんはスマートフォンユーザですか。
有線であっても無線であっても大事なのはデータつまり、情報だ
2013年度末にすでに日本のスマート
と私は考えています。最も重要なのはデータの氾濫の中から皆さ
フォンユーザの比率は半分近く、タブ
んが本当に役に立つ情報は何かを探し、それをうまく利用するこ
GoogleやYahooのような様々な検索エンジン
最近インターネットの利用率が上がっており、 近年ビッグデータという話が広がっていると
レット端末の利用率も16%を超えているようです。特にスマート
とです。
は皆さんが入力した情報をベースにそれに持
広告もウェブ向きの対応が発展しています。 ともに、従来の関係データベースシステムか
フォンは我々の生活に大きな変化を与えています。このような技
しかし、ユーザ自身ですべてを探し、それを分析するのはなかな
ってもふさわしいデータを提供するために様
同じページであっても見るたびに変わる広告
ら、非構造データ、NoSQLなどの新たな技
術は通信の発達と共に、SNSのような新たなアイデアを実現する
か難しいのが現実です。私は皆さんのようなユーザそれぞれが望
々なアルゴリズムを利用しています。どのよ
のような情報提供はどのような技術を基に行
術が出ています。このような最新データベー
ことで、皆さんの生活をより豊かにすることを目指しています。
む異なるリーズの情報を出来るだけ自動的に一人一人個人に合わ
うなやり方で検索結果を生成しているか知り
われているか、あるいはそのような個人向け
ス技術導入を検討しているとき。
しかし、情報を皆さんの目の前まで届けるのは通信やプログラム
せて提供する研究を進めています。情報のパーソナライゼーショ
たいとき。
のサービスを実現したいとき。
の役割ですが、それを豊かに使うのは皆さん自身です。いわゆる
ン、つまり個人化技術です。
情報の取得が上手な方が他の人より一歩先に進める世界になって
います。
Master Program of
Information Systems Architecture
28
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
29
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
助教
■海外との国際共同開発プロジェクト
のスキル・経験の獲得を目指しています。
少子高齢化が進む日本において、日本企業のさらなる成
・英語によるオンラインコミュニケーションスキル
Yosuke Tsuchiya
長には海外展開が1つの大きなポイントとなっています。
・海外拠点との共同開発の経験
近年は大企業だけでなく、中小企業による海外展開も増
・国際的なプロジェクトの経験
専門分野
加しています。しかしながら、日本企業は必ずしも海外
・海外拠点のマネージメントスキル
展開に成功しているとは言えません。
・海外の文化・特徴の理解
その原因の1つとしてあげられるのが、グローバル化を推
この取り組みは、2008年度よりスタートし、今年で7年
進する国内人材の不足です。
目になります。開発プロジェクトのテーマはそのときの
現在、国を上げてグローバル人材の育成に取り組んでいま
日本や世界の情勢に合わせたものに毎年改善していま
すが、その目的は海外で活躍できる世界レベルの人材の育
す。今年は海外の連携大学として以下の3校とプロジェ
土屋 陽介
・ネットワークロボットサービス
・グローバルPBL
・音響信号処理
■主な経歴等
■主な著書等
成になっています。そのような人材の育成も大事ではあり
クトチームを結成しています。
2006 年 3 月 拓殖大学大学院工学研究科博士後期課程修了
2006 年 7 月 産業技術大学院大学研究員
2007 年 4 月 同 助教
土屋陽介, 長尾雄行, 慎祥揆, 情報アーキテクチャ専攻における
PBL環境と学修支援, 産業技術大学院大学紀要 No.6, pp.121126 2012(12)
土屋陽介, 加藤由花, 成田雅彦, ベトナム国家大学およびブルネ
イ大学とのグローバルPBL,
産業技術大学院大学紀要, Vol.7,
pp.161-164, 2013(12)
酒瀬川泰孝, 木崎悟, 川木富美子, 須澤秀人, Truong Anh Hoang,
Thi-Minh-Chau Tran, 土屋陽介, 加藤由花, 中鉢欣秀, ロボットサ
ービスの国際開発プロジェクトモデルにおけるアジャイル型ソ
フトウェア開発プロセスScrumの適用,
産業技術大学院大学紀
要, Vol.7, pp.59-66, 2013(12)
高橋雅彦, 土屋陽介, 成田雅彦, 加藤由花, "移動ロボットを利用し
た案内サービスの構築を支援するプラットフォーム環境," 情報
処理学会論文誌, Vol.55, No.2, 2014(2).
ますが、今の日本企業に求められているグローバル人材の
・Vietnam National University, Hanoi
多くは、海外の拠点や企業と仕事ができる人材であり、前
University of Engineering and Technology(ベトナム)
述のグローバル人材とはギャップがあります。
・Universiti Brunei Darussalam(ブルネイ)
そこで我々は、日本に軸足を置いた、日本で活躍するグ
・UNITEC Institute of Technology(ニュージーランド)
ローバル人材の育成に取り組んでいます。その教育の手
本プロジェクトは学生同士の共同開発プロジェクトでは
法として、Webアプリケーションなどのソフトウェアを
ありますが、海外市場の獲得や、将来的なビジネスチャ
海外拠点(大学)と共同で開発するPBL(Project
ンスの獲得も目指しています。
◎土屋助教の「こんなときに、ご相談ください」
ダイエットアプリ
自社の製品の海外展開を
考えている
これから海外との共同開発を
実施したい
海外の連携大学に興味がある
ダイエットには多くの人が関心を持ち、
イエットアプリとは一見関係ないように思えますが、
「ダイエッ
ダイエットをサポートするためのアプ
ト」で検索するとたくさんのレシピが表示され、さらに分かりや
リも多数存在しています。私もダイ
すいレシピが多数掲載されています。
自分で献立を考えながら食
共同開発のテーマとして利用させていただく
本プロジェクトに参加することで、海外との
現在連携している3カ国の大学と直接やりと
事を作ることがとても楽しく、
結果的に長続きできました。
ことが可能です。これにより、現地の学生視
遠隔プロジェクトの運営方法を身につけるこ
りをしたい場合に、窓口になれる可能性があ
ります。
エットをするにあたり、いくつかスマートフォンアプリを試して
みたので、私が実践したダイエット方法を交えつつそのアプリを
点で様々な市場調査をした結果を開発に取り
とができます。また、一度経験しておくこと
次に、運動の面で利用したのが
「Google Map」
です。
出発地と到
込むといった、海外に売り込むための準備・
で自信にもつながります。グローバル人材育
着地を設定することで、徒歩での経路が検索でき、その総移動距
調整を本プロジェクトによって実施いただけ
成の1つの手法としてご検討ください。
最初に使ってみたのが
「カロリー管理」
(http://icalorienote.com/)で
離、推定時間が表示されます。
また GPS によって現在地が示され
ます。
す。
これは食事により摂取したカロリーと運動によって消費した
るため、これを持って歩けば知らない道でも迷わず歩けます。
こ
カロリーを逐次記録していき、目安となる一日の総摂取カロリー
うして毎週末およそ 8∼10km のコースを選定し歩くようにしま
内で抑えるように自己管理するというダイエットサポートアプ
した。
さらにスマートフォンなら音楽プレーヤーアプリで音楽を
リです。
しかしこれは長続きしませんでした。
なぜかというと、そ
聞きながら歩けるのでただ歩いているよりは断然楽しく歩けま
もそも私はめんどくさがりなので、食べた品目ごとに入力してい
す。
紹介します。
く行為にストレスを感じてしまったからです。
このダイエットの経験として役に立ったアプリはダイエット
そこで私はデータを記録することをやめ、食べる前からカロ
専用のサポートアプリではなく、どれも普段の生活に密着したア
リー管理をすることにしました。
すなわち普段の食事自体を変え
プリでした。
ダイエットのために何か特別なことをするというよ
ようと思ったのです。
そこで利用したアプリが「クックパッド」
りは普段の生活習慣を見直すことが重要なのかもしれません。
(http://cookpad.com/)です。
いわゆるレシピ投稿サイトです。
ダ
30
Based Learning)を実施しています。これにより、以下
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Information Systems Architecture
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
31
情報アーキテクチャ専攻
Master Program of Information Systems Architecture
主な取り組み
助教
長尾 雄行
Takeyuki Nagao
専門分野
・関数解析的手法による線形偏微分方程式の研究
・e-Learningシステム
・PBL(Project Based Learning)によるエンジニア教育
・各種プログラミング言語に関する教育
TeXとLaTeXは、開発から30年以上経過した現在でも、
く知り、多くのJavaプログラマが従うコード規約やド
数学・物理学・天文学等の分野の研究活動において、な
キュメンテーションの書式等の特徴を理解して活用でき
くてはならないツールとなっている。その一方で,タブ
るスキルが求められる。講義科目「Javaプログラミング
レットやスマートフォンでは利用できない等,TeXと
技法」では、言語の仕様と周辺知識を座学の講義で学ん
LaTeXの執筆環境は急速に変化するICT環境にやや遅れ
で、演習時間に教員の支援の下で活用し、個別に与えた
をとっている。そこで,執筆環境の重要な構成要素であ
課題を持ち帰って独力で解決することで、Javaの実践的
るプレビューア(原稿の出力を印刷前に確認するための
な知識と運用術を修得する機会を提供している。
アプリケーション)をタブレット対応にする活動を行っ
■主な経歴等
■主な著書等
2000年 東京大学理学部 数学科卒業
2002年 東京大学大学院 数理科学研究科 修士課程 修了
2006年 東京大学大学院 数理科学研究科 博士課程 単位取得退学
2006年 産業技術大学院大学 産業技術研究科 情報アーキテクチャ専攻 研究員
2007年 同助教
・T. Nagao, On the Flux-Across-Surfaces Theorem for ShortRange Potentials, Annales Henri Poincare, Volume 5 Issue 1,
pp. 119-133 (2004).
・T-Y. Nagao, Generalized Fourier representation of the
absolutely continuous part of a selfadjoint operator, preprint,
arXiv:1103.4682 [math.FA] (2011).
・A. Bossard and T. Nagao, ModernDvi: a high quality rendering
and modern DVI viewer, TUGboat: The Communications of the
TeX Users Group, Vol. 35, No. 1, pp. 61-68, 2014.
ている。活動の成果として、Windows Storeにおいてオー
プログラマに取ってC言語のポインタは慣れていても利用
プンソースのプレビューア「ModernDvi」を公開してい
上の間違いを起こしやすいため、C言語でセキュリティ上
る。
の問題がないアプリケーションを開発するには十分な訓
練が必要である。講義科目「セキュアプログラミング特
業務でプログラミングを行うエンジニアにとって、Java
論」では、脆弱性がどのようなコードで引き起こされる
言語は最もシェアの高いプログラミング言語の一つであ
のかをシンプルなコード例で多数例示し、ポインタを利
り、機会があれば学んで現場で活用したい言語の一つで
用する際に引き起こしがちな間違いとその対抗策につい
あるが、独学で修得することは難しい。その理由は,
て講義している。脆弱性に関する情報は自分自身で調べ
Java言語の活用には、言語の仕様やオブジェクト指向の
て活用できることが重要であるため、CVE(共通脆弱性
概念の修得以外に、高度に発展したJavaのプログラミン
識別子、Common Vulnerabilities and Exposures)等に
グ文化を良く知りその運用術を身に付ける必要があるか
関する情報源を紹介し、グループワークにおいてその活
らである。例えば、Java仮想マシンやApache
用方法を身に付ける機会を提供している。
Maven等
のビルドツール、統合開発環境Eclipse等の周辺技術を良
個人の発案によるデータの新用途開拓
◎長尾助教の「こんなときに、ご相談ください」
高品質の組版出力を持つタブレット向け
アプリケーションを開発したい場合
リアルタイム・コミュニケーション
のためのWebアプリケーションを
開発したい場合
蓄積されたビデオの検索・閲覧
システムを開発したい場合
私たちの生活が電気・ガス・水道なし
インターネットを流れるデータについて特に注目すべき点は、
では考えられないのと同じように、イ
個人によるデータの活用の幅がこれまでになく広がっているこ
ンターネットは生活に取ってなくては
とにある。例えば,過去には大規模なプロジェクトでなければ
タブレットベースのe-Learning教材の開発や
Java、JavaScript、Haskell、Perl、Python、
教育機関等において撮影された講義のビデオ
ならないユーティリティとなった。インターネットをあえて自
収集できなかったWeb サイトのクロールデータや学術論文のプ
教室向け教材提示システム等で高品位の組版
PHP等の言語や各種フレームワークを活用し
録画データや講義資料等のデータを解析し、
然に例えるならば、それは沢山の支流から成る大河と言える。
レプリントデータ等も、インターネット上でいつでも利用でき
出力が必要な場合に支援が可能である。例え
て複数のユーザがリアルタイムに情報を共有
ユーザの希望に応じたコンテンツを提示する
水源であるユーザがデータを流して小川を作り、それが多数流
る形で公開されている。クロールデータについてはCommon
ば、ModernDviのレンダリング・エンジンの
するアプリケーションの開発について支援が
システムを開発したい場合に支援が可能であ
れ集まって大河となる訳である。小さな川であれば、人の力で
Crawlプロジェクトによる541TBのデータが利用可能であり、プ
技術を用いれば、高解像度のスマートデバイ
可能である。
る。過去の研究成果に,蓄積されたビデオの
その流れの道筋を修正することが可能であるが、多くの支流を
レプリントについては arXiv.org の公開データ(過去20年以上に
ス上でも少ないアプリケーション容量で高品
例えば、数百人規模のユーザの位置情報をリ
録画データからスライド部分を抽出して要約
集めて巨大な流れとなった大河は一人の人間や小さな集団では
渡る350GB以上のプレプリントデータ)が利用可能である。安
位の描画が可能であり、タッチ操作に対応し
アルタイムにWeb画面上で可視化するシステ
表示し、ユーザが選択したスライドを電子
制御ができない対象である。同じことがインターネットとそこ
価で高速な回線が整備され、ハードディスク等の記憶装置が安
たタブレットベースのオンライン試験システ
ムを開発したい場合には、過去の研究成果を
ブックや音声データとして抜粋出力するWeb
を流れるデータにも当てはまる。今後は、タブレットやスマー
価かつ大容量になり、クラウド等の計算機資源が整備された昨
ム等の応用例が考えられる。
発展させて専用のプロトコルを開発すること
ベースのアプリケーション VideoPacker があ
トフォン等の機器以外の、様々なモノもインターネットに接続
今では、これらのデータを個人や小規模の組織でも解析するこ
が可能である。
るため、これを発展させて、例えばブレン
され、電気が流れるモノには全てデータが流れるようになるは
とが可能になっている。このことは、インターネットという大
デッド・ラーニングのための教材配信サービ
ずである。これは新たな水源が多量に出現することを意味する。
河を流れるデータの新用途の開拓が個人でも可能となったこと
スを開発することが可能である。
私たちは発展し続ける大河としてのインターネットと、どのよ
を意味している。個人の自由な発想によるデータの新しい用途
うに共生していくのかを、国や世代や専門分野の境界を越えて
を、広く多くの人にとって有益なソフトウェアの形に具体化し
共同で考えなければならない。大河が農地を豊かにし、文明に
て、社会に貢献することが求められる。
とってなくてはならない役割を果たしてきたのと同じように、
インターネットも私たちを新しい文明へと導いているはずであ
る。
32
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
33
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
研究科長・教授
川田 誠一
制御工学、システム工学に関連する幅広い分野において研
するようになりました。このような研究と平行してインテ
究に取り組んできました。研究生活を始めた大学院時代の
リジェントシステムに興味を持ち、応用人工知能の研究を
Seiichi Kawata
研究から説明しましょう。まず、博士前期課程では、人間
実施してきました。最初に取り組んだのは、仮説推論シス
の動脈の血流解析や動脈硬化の推定について大阪大学医学
テムを用いた制御系を自動的に設計するシステムの開発で、
専門分野
部と共同研究を実施しました。流れの可視化による脈動流
Prologを用いた仮説推論システムをメタレベルに配置し、C
の血管内速度分布を水素気泡法(管内に電気分解で水素気
言語で開発したさまざまな制御アルゴリズムを駆使して、
泡を発生させパルス光で写真撮影する)による計測と、拍
古典制御設計の自動化に成功しました。IMS 国際プログラ
動流の圧計測から弾性管のヤング率を推定(動脈硬化の推
ムに参加したころから、生産システムの最適化、モデリン
定)するものでした。博士後期課程では、単管熱交換器、
グとシミュレーションの研究にも従事し、遺伝アルゴリズ
並列熱交換器、向流熱交換器など偏微分方程式で記述され
ム、ニューラルネットワークなどを用いたソフトコン
る分布定数系の制御問題について研究を実施し、ある製鉄
ピューティング手法による生産スケジューリング問題や、
メーカーの熱延プロセスの連続加熱炉の最小分散制御(鉄
ロジスティック問題を解決する新しい手法を提案してきま
鋼スラブの温度制御のばらつきを最小に抑える制御)にお
した。また、微分方程式などの連続システムと離散事象シ
いて当時の熟練オペレータの制御結果と同等以上の結果を
ステムが組み合わさった離散・連続ハイブリッドシステム
得ました。その後、非線形制御の研究に従事し、スライ
のモデリング・シミュレーション手法として場面遷移ネッ
ディング・モード制御、微分幾何学を用いた非線形システ
ト(Scene Transition Nets)を開発し、現在のサービス工学
ムの線形化制御について理論・応用の両面で成果を得まし
に関する研究にも強力なツールとして用いています。その
た。事例としては、京浜工業地帯にあるファインケミカル
後、整数階導関数を拡張した 1/2 階微分などの分数階微分
の工場のバッチプロセスの温度制御に非線形制御を適用し、
方程式で記述されるシステムの最適化や、強化学習など機
温度偏差をセンサー検出限界内に抑え、反応終了時間を6 時
械学習の研究とシミュレーションの研究を実施し、現在は
間から5 時間に短縮させました。その結果製品の品質が安定
サービス工学の研究に従事しています。
・制御工学
産業プロセス制御、非線形システム制御など
・インテリジェントシステム
遺伝アルゴリズム、N.N.、強化学習など
・システム最適化とシミュレーション
生産システムの最適化
・サービス工学
■主な経歴等
■主な著書等
1977年 大阪大学工学部産業機械工学科卒業
1979年 大阪大学大学院機械工学専攻博士前期課程修了
1982年 大阪大学大学院機械工学専攻博士後期課程単位取得退学
1983年 工学博士(大阪大学)
1982年 大阪大学工学部助手
1986年 東京都立大学工学部助手
1990年 東京都立大学工学部助教授
1992年∼1993年 シドニー大学 Visiting Scholar
2000年 東京都立大学大学院工学研究科教授
2005年 首都大学東京システムデザイン学部教授
2006年 産業技術大学院大学産業技術研究科教授・研究科長
サービス工学について
機械設計などと同様な考え方、プロセ
「計算力学〔II〕- 計算力学と AI(分担執筆)」
(養賢堂 、1991 年)
「システムのモデリングと非線形制御(共著)」
(コロナ社 、1996 年)
「機械工学事典(分担執筆)」
(日本機械学会 、1997 年) 等
◎川田研究科長・教授の「こんなときに、ご相談ください」
何が問題かわからないとき
スを用いてサービスを設計しようとい
対象となるプロセスのモデルが
ほしいとき
新しい解決法を知りたいとき
う試みに取り組んでいます。いわゆる
産業プロセスの多くの問題は、どこに問題
対象としているプロセスを表現するモデルを
多くの問題は、ありきたりの方法で十分解決
サービス工学に関する研究です。サービスはそれを提供するベ
があるか、なかなかわからない厄介なもの
構築するのは、なかなか困難なものです。
できます。それが、経験あるエンジニアの技
ンダーとレシーバーとしての顧客との間で成立する「こと」で
です。
専門家の適切なアドバイスでモデルを構築
量です。中には従来の解決法では本質的に無
す。その「こと」をどう作るかが、サービス設計の重要な課題
いろいろな企業との共同研究を実施してき
し、シミュレーションで予測できるようにな
理な場合もあります。そのときに専門家のア
です。一方通行のサービスは存在しません。ここに共創という
た経験から、エンジニアが気がつかない問
ります。
ドバイスが必要なのです。
概念が生まれてきました。ベンダーは顧客が持つ価値観などを
題点をアドバイスしてきました。しかし、
理解してサービスを設計し提供したいと考えます。顧客はベン
スーパーマンではありません。
ダーに対して自分に合ったサービス改善を求めます。ここに両
者の関係性の中で何らかの情報のやり取りがあってよりよいサ
ービスが提供されるのです。今後この分野の研究がますます発
展すると考えています。
34
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
35
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
専攻長・教授
國澤 好衛
Yoshie Kunisawa
専門分野
・プロダクトデザイン
・デザインマネージメント
・コンセプトエンジニアリング
・ソリューションデザイン
■主な経歴等
■主な著書等
千葉大学にてプロダクトデザインを学んだ後、1977 年に(株)東芝
に入社。家電機器のデザイン、新規事業のグランドデザイン、システ
ム開発のコンサルティング、市場・顧客開拓のための B2B マーケティ
ング活動などに従事。その後、首都大学東京インダストリアルアートコー
スの立ち上げに参画、同教授を経て、2008 年より現職。
デザインとエンジニアリングの融合による新しい価値の創造のプロ
デュース、グランドデザイニング手法としてのコンセプトエンジニアリング
など、経営資源としてのデザインの機能を幅広く研究している。
千葉大学大学院工学研究科、香川大学大学院地域マネージメント
研究科、長岡造形大学非常勤講師、Gマーク審査委員(2006∼12
年)、日本デザイン学会理事、日本インダストリアルデザイナー
協会正会員、板橋区産業振興公社理事、東京都地域連携型モデル
商店街事業審査会委員など。
産業デザイン分野のデザイナーに対する継続教育のあり方に
ついて 日本デザイン学会デザイン学研究特集号 2014.02
都市型中小企業のデザイン開発をテーマにしたPBLの取り組み
産業技術大学院大学紀要第7号 2013.11
赤ちゃんの駅などの子育て支援施設のための什器の開発 産
業技術大学院大学紀要第6号 2012.12
都市型中小企業のためのデザイン力を活用したモノづくりと
人材育成 第4回横幹連合総合シンポジウム 2012.11
「ファジイ化製品開発の基礎と実際」共著(1991)
「私の選んだ一品…猪の巻」共著(2007)
「私の選んだ一品…鼠の巻」共著(2008)
「The Semantic Turn」共訳(2008)
<大学での主な取り組み>
■設計、デザイン活動
■デザイナー継続教育講座
・厨房用電気機器、布団乾燥機、ホームコントロールシステム
東京都と連携し、若手デザイナーのキャリア開発プログラム
などを中心に約 70 件のプロダクトデザインを発表
「スーパーデザイナー養成講座」などを主催、デザインコン
■調査、研究活動(主な受託調査)
サルティングに必要な知識・スキル習得のためのカリキュラ
・S 地区都市基盤施設計画調査(J システム 1990 ∼ 1996)
ムの開発、指導、運営などを行う。
・K 県産業振興・交流拠点整備構想調査(K 県 1990)
■いたばし経営デザインセミナー
・新幹線新駅周辺開発構想調査(S 市 1991)
経営者を対象にしたデザイン啓発・活用支援事業として、
・N銀行物流システム調査(N銀行 1992)
(公財) 日本デザイン振興会等と連携し、板橋区主催の「いた
・地域共生型発電所としてのマルチメディア活用研究(C 電力
ばし経営デザインセミナー」をスタートさせ、同区内の中小
1996)など
企業 経営者のデザイン意識の改革に取り組む。
■新規事業開発
■港区産業デザイン活用支援プロジェクト
・次世代新事業領域開発「アドバンスドI」戦略立案(1995)
2008年度2012年度にかけ、港区と連携し、同区のデザイン資
今日のユビキタス社会の到来を予見し、次世代中核IT事業領
源を活用した産業振興策を推進。
域の検討と研究開発投資方針を策定、DVD 事業、デジタル
■ 産学公連携プロジェクト
放送事業などに結実
東京都や板橋区、港区、江東区とともに中小企業と連携した
・自動車システム事業(2002)
デザイン開発を推進、用途開発や課題解決型のアプローチに
自動車関連システム事業強化にむけた成長戦略の策定と体制
よる様々なデザイン提案を実施。
づくり
◎國澤専攻長・教授の「こんなときに、ご相談ください」
デザイン特有の問題解決手法を
あらゆる場面で活用し、新たな価値を生み出す
中小企業などと連携した
ものづくり・デザイン開発支援
行政施策としてのデザイン活用
プログラムの開発・運営
を通して獲得するユニークな能力ですが、これは、時には試行
主観的で感覚的なデザイン手法と客観的で
既に東京都、板橋区、港区などにてデザイン
これまでの大手製造業・流通業中心のデザイ
かたちの操作」という二つの異なるプロセスとして捉えると分
錯誤の末に見知らぬ世界に迷い込み、突然目の前に未知の目標
論理的な工学手法を融合し、製品化に必要
を活用した都市型の産業振興プログラムのモ
ンの需要構造は、今後質的・量的に大きく変
り易いかもしれません。「概念の操作」とは曖昧な要求を明確
と答が同時に現れるような極めて実験的なプロセスともいえま
な調査、解析、試作、評価などのプロセス
デルを創ってきましたが、さらにデザインの
化すると予測されています。そのため、デザ
に定義された概念に変換する抽象の問題を扱う目標設定のプロ
す。こうした相互依存的な2つの操作が創り出すのがデザインで
を共有しながら、用途開発型のデザイン、
持つ多様な可能性を行政施策の場で活かすた
イナーのキャリア開発が喫緊の課題となって
セスです。また「かたちの操作」とは、定義された概念を実体
す。だからこそ、その手法はデザイン固有の問題に閉じずに多
問題解決型のデザインを進めていきます。
めに、革新的なプログラムの開発に取り組ん
います。既に実施しているスーパーデザイ
に変換する具体の問題を扱い最適解を導き出すプロセスです。
くの一般的な問題解決の場面においても充分に有効な手法とな
特に、新産業革命と呼ばれる3Dプリンター
でいきます。また、ものづくり系の起業支援
ナー講座や実践型人材育成プログラム、東京
そしてこの2つのプロセスは、概念からかたちへとシステマテ
り得るのではないでしょうか。
等を活用したデジタルデザインプロセスで
プログラムの開発も進めています。
都で開発した産業デザイン分野のスキルスタ
デザインとは特有の発想法をベースに
特徴があります。さらに、この「かたちを操作する」際の、か
した問題解決手法と考えるべきでしょ
たちで考えかたちで表現する行為は、デザイナーが日頃の訓練
う。 その過程は、「概念の操作」と「
ィックにではなく、ランダムかつイレギュラーに進むところに
開発をスピードアップしています。
さぐる
ンダードなどの蓄積を基に、新たな需要に対
かたちの
調査分析
フィージビリティスタディ
かたちの操作
概念の操作
抽象の問題
具体の問題
商品コンセプト
造形コンセプト
デザインコンセプト
モデリング
つくる
外的基準に対し構造をつくる
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
デザイナーキャリア開発
プログラムの構築・運営
応できるデザイナーの養成に取り組みます。
内的構造をさぐる
36
<企業での主な取り組み>
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
37
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
教授
■その他の取り組み (最近5年以内)
■ デザイン要件を可視化する方法の構築
(和歌山大学 学位論文 乙第1号)
池本 浩幸
電気製品のデザインを対象として,デザインに対する消費者の価値観やこ
Hiroyuki Ikemoto
だわりをデザインコンセプトに反映する方法を構築した.この方法は,クラス
ター分析で消費者をセグメント化しつつ,次の3つの手法を組み合わせて
専門分野
用いることにより,製品の魅力や消費者の満足を高めるためにデザインが
・ 感性工学
・ サービスデザイン
・ デザイン人間工学
・ デザイン開発方法論
・ シックスシグマ
具備すべき仕様・特徴を定量的かつ視覚的に示すことができる.
①選好度付きポジショニング分析 (感性工学会2012論文賞受賞)
二次元ガウス分布の確率密度関数に似た選好関数を用いた選好回帰に
よって,従来手法の欠点を解消し,デザインに対する消費者の多様な選好
■主な経歴等
■主な著書等
1985年 広島大学 工学部 第一類(機械系) 卒業
1985年 (株)東芝 入社
~1997年 システム・ソフトウェア生産技術研究所
~2015年 デザインセンター
2009年 和歌山大学大学院 システム工学研究科 博士課程
単位取得退学
2013年 博士(工学)学位取得
(和歌山大学大学院 システム工学研究科)
2015年10月より現職
「ヒューマンインタフェース」(共著) オーム社 1998年
「ソフトウェア工学大事典」(共訳) 朝倉書店 1998年
「ユーザビリティハンドブック」(共著) 共立出版 2007年
・デザイン・ドリブンなサービスイノベーションを目指すデザイン開発方法
論の体系化
・プロダクトデザインの感性品質の指標化
・インハウスデザイナーのコアコンピタンス分析
・シックスシグマ・マスターブラックベルトとして企業内デザインプロジェク
トの指導(8年間122件)
・湘南工科大学 総合デザイン学科 非常勤講師 「環境デザイン」担当
(2013~2014年度)
を定量的に可視化する(右図).
・名古屋工業大学 建築・デザイン工学科 「デザイン開発のための統計
②プロファイルカードを最小枚数にするコンジョイント分析
講座」担当(2014年度)
完全プロファイル型コンジョイント分析のプロファイルカードを実験計画とし
てバランスが良い最小枚数とし,分析精度を落とすことなくデザインの属
性・水準をより多く盛り込む.
③構造方程式モデリング
消費者がデザインに感じる印象や価値を構成概念とするデザイン選好構
造モデルを用いることにより,選好や購入意向を高めるデザインの要件を
定量的に説明する.
提案方法を冷蔵庫のデザイン開発に適用したところ,冷蔵庫らしくない家
具のようなデザインが消費者の新しい価値観に合うことが分かり,新しいデ
ザインの冷蔵庫の開発・上市により提案方法の有効性を確認した.
デザインでイノベーションを起こし
人々を幸せにしよう!
商品のデザイン,組織のデザイン,社会のデ
では,モノやコトの意味は誰が決めるのでしょうか?,それはモノやコトを
ザインなど,デザインという言葉があちこちで
受けとる人間です.意味が伝わったどうかは受け手の心を調べなけれ
聞かれます.
ば分かりません.ですから,モノやコトをデザインするためには,人間の
どのようなデザインが求められて
いるのかを知りたいとき
革新的なデザインを生み出す
プロセスや手法を知りたいとき
誰にも使いやすく分かりやすい
デザインにしたいとき
「デザインってなんですか?」と聞かれたら,あなたはなんと答えます
心理や行動を深く掘り下げる研究が必要なのです.
感性工学の方法を用いて,デザインに求められ
デザイン・ドリブン・サービスイノベーションの考え
人間中心設計プロセスに従い,人間工学
か? 「美しいかたちでしょ」,「よく考えられていてやめられないもので
20世紀までの大量生産,大量消費の時代は終わり,21世紀は人間に
る要件を定量化し,見える化します.定性的,
方に基づくデザイン開発方法を立案し共に実践
やユニバーサルデザインの方法を用いて
しょ」,などの声が聞こえます.どれも正解です.デザインの定義には
注目する時代です.
定量的なリサーチによってユーザ特性を抽出
します.多様な専門性を持つプロジェクトメンバ
ユーザの有用性を高めるデザインを提案し
様々なものがありますが,私は「デザインは物事に意味を与えること」だ
様々なものがインターネットにつながって(IoT),大量の情報(ビッグデー
し,統計モデルを使ってデザインの仕様や特徴
を構成し,社会と未来を洞察してビジョンを構想
ます.ユーザの使用状況や要求を理解した
と思っています.これはクリッペンドルフが1989年にデザインの語源であ
タ)が得られるようになり,人々が何をしたいのかを賢い機械が予測でき
がユーザの選好や感性にどのような影響を与え
し,着想・可視化・検証のサイクルを回しながら
上で,タスク分析やユーザビリティ評価を
るラテン語「deとsignare」の意味に基づいて定義したものです.
るようになりました.3Dプリンタは工場がなくても世界でひとつだけのもの
るのかを推定し,最適なデザインコンセプトを決
サービスデザインの手法を用いて顧客価値を
行い,ユーザの満足度,有効性,効率性を
石を積み上げて道しるべにしたケルンは石に登山道を知らせる意味を
をその場で作ることができます.さあ,どんなデザインをしていきましょう
定します.
最大化するデザインを行います.
高めるデザインをアジャイル的に生み出し
与えました.会話をしているときによそ見ばかりしていると相手の話に興
か.人々が喜ぶような素晴らしいデザインをしたいです.
味がないという意味を与えます.このようにモノやコトに意味を与えるの
今世紀末までに地球の人口は100億人に達し,温暖化で水や食料,
がデザインですから,人間は毎日なにかをデザインしていますし,誰もが
居住地の確保が難しくなることが予想されています.100億の人間が
みなデザイナーです.
限られた資源を分け合って快適に暮らしていけるようにするためのデザ
モノやコトの意味を大胆に変えて,人々の暮らしを一変させるような優
インが求められています.それは人々を幸せにするデザインです.あな
れたデザインをすることを「デザイン・ドリブン・イノベーション」といいます.
たも一緒にやりませんか?
スウォッチは腕時計にネクタイと同じ日常ファッションであるという全く新
しい意味を与え成功しました.誰もがこれまでにはない新しいデザインで
イノベーションを起こせるのです.
38
◎池本教授の「こんなときに、ご相談ください」
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
ます.
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
39
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
教授
管野 善則
一般的な大学の研究室とは異なり、非常に多岐に亘った研究
内容に取り組んでいる。この広範な知識をベースに、現場の
Yoshinori Kanno
ニーズを汲み取った上で、常に製品化を意識した研究開発を
行っている。具体的な研究成果として、ごみ焼却施設から排
専門分野
出される焼却灰を超高温で連続処理可能な超高温電気炉、
・セラミックス(特殊耐熱材料を含む)
・航空宇宙材料、複合材料
・医工学、センサ工学(特に水晶振動子センサ)
・マイクロ波滅菌
・マイクロ波加熱技術
・表面処理、超磁歪材料
超微量の水分・ガス成分を検知可能な高感度誘電率測定装
置、マイクロ波を利用して高含水率廃棄物を加熱処理する融
雪装置向け燃料製造装置、マイクロ波を用いた滅菌システム、
マイクロ波照射環境下において使用可能な熱伝対温度計測シ
■主な経歴等
■主な著書等
東工大大学院博士課程修了
通商産業省工業技術院名古屋工業技術試験所主任研究官を経て、
フランス・ナント大学助教授(併任)
、東工大非常勤講師、都立科
学技術大非常勤講師、スウェーデン・ストックホルム大客員研究員、
アイルランド・ダブリン大客員研究員、アメリカ・ノースウェスタン大客
員研究員等を歴任
2008 年4月より現職 工学博士(東京工業大学)
基礎科学通論(共著)
、物質科学・工学へのアプローチ(単著)等
の著書多数
査読付原著論文 150 報以上
拡張ヒュッケル法によるチタン及びマグネシウム合金の評価、同
法による非鉛系超磁歪材料の探求、高分子複合材料に関す
る研究(FRPなど)等が挙げられる。特に、超高温電気炉
は温度を直接熱伝対で測定できる点、高感度誘電率測定装
置は周波数によって出力でき広範囲のモニタリングに最適であ
る点、マイクロ波を用いた各技術は既存の加熱技術に比べ、
短時間に完全な乾燥・滅菌が可能な点で既存技術に対して
優位である。
特定の分野にこだわらない研究姿勢が、
さまざまな分野からの研究開発依頼につながる
私の専門分野の内容を初めて見たとき、
◎管野教授の「こんなときに、ご相談ください」
委託研究をしたいとき
多くの方が思い浮かべるであろう言葉は
マイクロ波を用いた技術開発を
したいとき
センシング技術の開発を
行いたいとき
想像に難しくない。「一体どれが専門な
優秀な技術力を持ちながら、新製品・新技術
石油価格の高騰で、化石燃料から直接エネル
人の安全・安心に関わる技術として、センシン
の?」と異口同音に思う方がほとんどなのではないだろうか。 特定
の開発で躓いている中小企業様からの委託研
ギーを得る方法では採算コストが合わない事例
グ技術の需要は益々増大していく傾向にありま
の分野にこだわることなく、数珠繋ぎのように関連するテーマを繋
究の依頼をお待ちしております。分野は問いま
が急増しております。マイクロ波を用いた加熱、 す。 水晶振動子センサや高感度誘電率測定
げて研究に打ち込んだ結果が、この研究分野の広さに帰着してい
せん。安価で受託いたします。
る。逆に言えば、どんな分野からの研究開発に関わる依頼・相談
滅菌等、マイクロ波に関する技術について、 装置等、センシングに関わる相談・開発依頼
お気軽にご相談ください。
にもお応えいたします。
が舞い込んでも、大概のことは対応できることが最大の強みである。
しかも受注価格を極めて安価に抑え、かつ有用な知見を提供でき
ると自負している。 私の研究室にお越しいただければ、なぜ安価
に研究開発ができるのかお分かりいただけるだろう。無駄を徹底し
て省き必要経費を抑える代わりに、開発が成功した暁にはお互い
が甘い蜜を吸う(大きな利益を得る)関係を築くことのできる研究
パートナーを広く募集中である。
40
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
41
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
教授
越水 重臣
Shigeomi Koshimizu
専門分野
・品質工学
・TRIZ/USIT による技術問題の解決
・精密工学、精密加工
■主な経歴等
■主な著書等
1987 年 慶応義塾大学 理工学部 機械工学科 卒業
1988 年 慶応義塾大学大学院 理工学研究科 修士課程 修了
1989 年 イーストマン・コダック(ジャパン)株式会社
1994 年 静岡理工科大学 機械工学科 助手
2003 年 静岡理工科大学 機械工学科 助教授
2008 年 産業技術大学院大学創造技術専攻 准教授
2014 年 産業技術大学院大学創造技術専攻 教授
越水重臣、
鈴木真人「実践・品質工学」
(日刊工業新聞社、2007 年)
固有技術と汎用技術。技術者は、固有技術(専門技術)と
・工作機械テーブルの超精密位置決めに関する研究
汎用技術(管理技術)の両方を兼ね備えるべきだというのが
・脆性材料の超音波援用加工
私の持論です。私の場合、固有技術に相当するのが、精密
・ATR 法によるシリコンウエハのポリッシング状態監視
機械や精密加工であり、汎用技術に相当するのが、品質工
・マイクロブラスティングによるガラスの微細加工
学(タグチメソッド)や TRIZ/USIT による技術問題の創造的
・難削材(チタン合金、超耐熱合金)の切削加工
解決です。特に、品質工学に関しては静岡県の浜松地区に
・環境にやさしいドライ・セミドライ切削に関する研究
研究会を組織し、会員企業の技術者を対象に指導を行ってき
・液架橋力を用いたマイクロパーツのハンドリングに関する研究
ました。また、いままでに行ってきた精密機械や精密加工に関
・品質工学のパラメーター設計による技術の最適化
する主な研究テーマを、以下に列記します。もし興味あるテー
・品質工学のMTシステムを使った判別や診断
マがありましたら、お気軽にご相談ください。
◎越水教授の
「こんなときに、
ご相談ください」
創造的技術者を目指して
技術者なら誰でもが、発想力が豊かで
字をとると TRIZ となり、トゥリーズと呼ばれています。その TRIZ は
特許につながるアイデアを
出したい
品質を開発・設計段階で
作り込みたい
次々と発明をしながら問題を解決してい
膨大な体系を持っているのですが、それがイスラエルに渡り、改良・
く、そんな姿を理想とするのではないで
簡略化されて使いやすくなっていきます。それが USIT(Unified
TRIZ/USIT と呼ばれる創造的問題解決の理
品質工学(タグチメソッド)は、市場での品質
しょうか。そして、発明のコツがあれば、誰でも知りたいのではな
Structured Inventive Thinking : 総合的構造化発明思考法)で
論を使うことで、特許出願につながる発明のア
トラブルを未然防止することを目的としており、
いでしょうか。 実は、そのような発明の理論が、旧ソ連で既に研
す。USIT では、技術問題を構造的に捉え、様々な角度から問題
イデアを創出できます。あなたの組織でも活用
ロバスト設計とか予防設計等とも呼ばれていま
究されていたのです。 第 2 次大戦前のソ連でアルトシュラーとい
解決案を立案します。グループで作業を行うことから、企業におけ
してみませんか。
う人が、20 万件以上の特許を調べ上げ、人間が発明するとき
る問題解決や特許発案に好適です。TRIZ/USIT をあなたの企業
には思考のパターンがあることを見出しました。そのような発明の
にも導入し、創造的な技術者を育成してみませんか。私が技術問
理論を体系化したものが、創造的問題解決の理論(Theory of
題解決のファシリテーターとしてお手伝いします。
す。品質工学の手法を使って、開発・設計な
どの上流工程で品質の作り込みをしませんか。
Inventive Problem Solving)です。同じ言葉のロシア語の頭文
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
42
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
43
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
教授
小山 登
Noboru Koyama
専門分野
・デザインマネジメント論
・製品デザイン論
・トランスポーテーションデザイン
・自動車におけるユニバーサルデザイン
・自動車のHMIデザイン
・デザイン評価分析方法
■主な経歴等
■主な著書等
千葉大学工学部工業意匠学科卒
Pratt Institute大学院 工業デザイン修士課程卒 (米国ニューヨーク州)
1973年4月∼2006年12月 トヨタ自動車(株)デザイン部門
1980年8月∼1982年8月 海外業務留学(米国NY州Pratt Institute大学院)
1994年1月∼1999年3月 米国現地法人 Calty Design Research Inc. 財務役
2007年1月∼2008年3月 トヨタ自動車(株)社会貢献推進部
(トヨタテクノミュージアム産業技術記念館副館長)
2008年4月∼ 現職
・「人間工学とユニバーサルデザイン新潮流」
∼実践ヒューマンセンタードデザインのものづくりマニュアル∼
(日本工業出版 共著)2013年3月
・第2回国際ユニヴァーサルデザイン会議における「海外有識
者に聞く」
インタビュー記録(国際ユニヴァーサルデザイン協議会)
カーデザイナーの修業時代の想い出
中学生の頃未知の星(彗星)を求めて
カに行きたいと強く思うようになった。それが良い悪いと言うことより
トヨタ自動車のデザイン部門で、セリカ・スープラ・ノア
等の車両デザイン開発を担当、
その他にも、
デザイン企画・
戦略、社内デザイナー教育・育成、人事・総括等、さまざま
な業務を経験し、米国留学や米国現地法人のデザイン会社
の経営など海外駐在も約 8 年とグローバルに活動してき
ました。特に 2003 年にはグッドデザイン賞にプリウスと
ラウムをプロモーションし、グッドデザイン大賞及びユニ
バーサルデザイン賞を受賞することが出来ました。
また、トヨタに在籍中から、国内外の各種講演会やセミ
ナー等で幅広くデザインの啓蒙活動を実施しており、近年
では、国立大学法人千葉大学や京都工芸繊維大学にて授業
を受け持っており、2006 年からはデザインマネジメント
の研究のために京都工芸繊維大学の国際デザインマネジ
メントセンター特任教授として、より専門的な研究活動も
続けていました。
その他、2008 年に韓国の KAIST
(韓国科学技術院)
で開催
された Korean Society for Emotion & Sensibility(韓国感
性工学会)主催の International Symposium for Emotion
and Sensibility 2008 において発表した論文「Differences
of Design Decision on Product Design Development
through Comparative Research on Japanese, Eropean
and American Automobile Industries(プ ロ ダ ク ト デ ザ
イン開発における意思決定の違いに関する日欧米比較)が
認められ、同学会より Excellent Paper Award(最優秀論
文賞)
を受賞し、同時に、同シンポジウムのパネリストとし
て「デザイン開発における意思決定研究」の記念講演も実
施し好評を得ました。
最近の活動としては、2008 年
と 2013 年にドイツの iF 主催
の Universal Design Award
の国際審査委員を担当する機
会を得ました。
(写真1)
また、2013 年には、スマート
コミュニティ社会を意識した
都市空間におけるトランス
ポーテーションとしてのパー
ソナルモビリティを開発。
全 方 位 自 由 自 在 (Super
Movement) に 動 く こ と が で
きるという新しい時代の乗り
物「Super Cell」を作製しまし
た。
(写真2)
このモデルは、同年の東京モー
ターショーにてプレゼンテー
ションする機会を得て好評価
を得ることができた。
(写真3)
iF 主催のUniversal Design Award
審査風景(写真1)
全方位自由自在に動くことが出来る
モビリティ
「 Super Cell 」
(写真 2)
東京モーターショーにおける講演・展示(2013 年11月 於:東京ビッグサイト)
(写真 3)
◎小山教授の「こんなときに、ご相談ください」
何か製品のデザインを頼みたいが、
どのようにしたらよいか分らない
世の中で話題になっているユニバー
サルデザインについて知りたい
デザインを海外のデザイナーに委託
したいがその方法がよく分らない
夜明け前の空を探索しながら、いつか大
何でも自由につくりだすパワーの大国をこの目で見てみたいと思うよ
人になったら天文学者になる事を夢見て
うになった。…3 年計画での留学が実現し、
たどり着いたアメリカは、
デザイン業務の流れ(プロセス)を分り易く解
ユニバーサルデザインとは何かを、具体的な例
製品の内容により、具体的に対応可能な海
いた。高校生になってからも授業が終わって暗くなると、当時県下
確かに広大で豊かで自由に見えたが、一方でオイルショックの影響
説し各段階で必要なこと、決めるべきことなど
を示しながら解説致します。ユニバーサルデザ
外のデザイン事務所や研究所などを紹介致しま
随一を誇っていた学校の天体ドームから望遠鏡のアイピースを覗き
でクルマのサイズや使われ方など変化が起きている時代だった。今
具体的に実例を示しながら説明します。特にク
インに配慮した製品とそうでないものを比較しな
す。また、それぞれのどのジャンルのデザイン
込んでいたが…いつしか地上を走る車にも目を奪われるようになりス
と違ってNYは犯罪が多くアパートの周辺では毎夜殺人事件が起き
ライアントとして何に注意すべきか、そのポイン
がらその手法を解説致します。そして具体的な
が得意かなど、仕事を発注する上でのいろいろ
ピードへの興味と未知のカタチを求めてカーデザイナーに憧れるよう
ていた。…だが、それ以上の何と説明してよいか分らないような興
トをステップ毎にお教えいたします。
7原則について学べるものといたします。
なアドバイスをいたします。
になった。…気がつくと工学系のデザイン学校でデザインの勉強を
奮と魅力のある楽しい毎日で、今の自分の多くに影響を与えてくれ
する傍ら、暇さえあれば生活費のほとんどをガソリン代につぎこみ、
たのはこのNY生活の 2 年間だった。その後 2 回目のアメリカLA
友人のラリー仕様車で必死に指示速度を計算し、まるで夜明けの
での生活。5 年半の仕事を通じて、本当のアメリカを知ったのもこ
彗星探索のように暗い車内で地図を読み、山道や林道、道なき
の時期。…やがて自分が学生時代にもっとこういう勉強をしていた
道を走りまわっていた。…やがて将来の生活の事を考えたのだろう
ら今以上に力を発揮できたデザイナーになれたのではと考えるよう
か。自動車会社のデザイン部門で働き始めていた。 学生時代に
になり、未知の教育を求める気持ちが湧いてきた。今、この大学
は楽しくて華やかなカーデザイナーのイメージが強かったがなかなか
院で新しい創造を求めて走り出している。
オリジナリティーのあるアイデアが出ず苦しい日々が続いた。 …何
とか自分のアイデアの車を世の中に出したい。そんな時自分にマッ
チした仕事が廻ってきた。ぜったい決めてやる…やっとの思いで世
に出た車を見て嬉しさいっぱい…反面もっとこうしておけばよかった
と気になるところも多くあった。やがて、子どもの頃雑誌で見たリヤ
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
に大きなテールフィンの付いた大きくて雄大な車を創り出したアメリ
44
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
45
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
教授
橋本 洋志
Hiroshi Hashimoto
専門分野
・しなやかで精緻なシステム計測制御
・インテリジェントマニファクチャリング
・人間協調ロボット
・福祉制御工学
・自律分散協調システム
・匠の技の解析と技術者養成技法
■主な経歴等
工学博士(早稲田大学)、電気学会次世代産業システム技術委員会
委員長、日本シミュレーション学会理事、日本 e-Learning 学会理事、
(公財)国際研修交流協会評議委員、IEEE IES Human Factors
Robotics and Human Welfare Chair、他に国内外学会の委員多数。
■ 2002 年∼ 福祉・行動支援技術、生体運動モデリング、
複雑システムに対するシステム計測制御の理論解析を主な研
サイバネティックインタフェースの開発
究とした。これとは別に実際の溶鉱炉のモデリングとファジー制
文科省認定ハイテクリサーチセンターのプロジェクトリーダとし
御による燃料費節約制御、画像処理に基づく河川ダムへの侵
て開発したものとして、視覚障害者のためのハプティックインタ
入監視システム、半導体ステージの超精密位置制御の開発を
フェースを用いた安全歩行器、筋電位信号制御によるロボッ
行ってきた。
ト義手と電動車、匠の手の技のアーカイブとインストラクション、
■ 1992 年∼ 人間の錯視メカニズムの解析、電動車の開
視線やジェスチャを用いたロボットとのコミュニケーションなどが
発と画像ナビゲーション
ある。
人間の錯視メカニズムと運動視に関する研究を認知科学と神
■主な著書等
1988 年 3 月 早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学
1988 年 4 月 早稲田大学理工学部助手
1990 年 4 月 東京工科大学 専任講師、この後助教授、教授
1990 年 6 月 早稲田大学理工学部特別研究員兼任
2005 年 4 月 (独行)理化学研究所客員研究員兼任
2008 年 4 月 産業技術大学院大学 教授
■ 1985 年∼ システム計測制御の理論と応用に関する研究
「Bullet Physicsではじめよう 3Dモーションシミュレーション」
(オーム社)
「組込みユーザのためのアセンブリ /C言語読本」
(オーム社)
「ロボット工学
(センシング)
(オーム社)
」
「Scilab で学ぶシステム制御の基礎」
(オーム社)
Jorunal
(国内外)
、
Proceedings
(国際学会)合わせて190本以上
経回路網の観点から行うと共に、室内用電動車を企業と共同
開発し、画像射影に基づくナビゲーション法を提案し、実機で
の自走運転で成果を示す。
■ 2001 年∼ 群ロボットの自律分散協調システムの開発と
応用
理化学研究所分散適応ロボティクス研究ユニットと連携して、
群ロボット、人間との協調作業ロボット、レスキューロボット等の
自律分散協調に関する研究を開始する。
徹底してモノと向き合い、人とコミュニケーションすることから、
日本ならではのものづくりを
◎橋本教授の「こんなときに、ご相談ください」
人の活動支援・福祉に関する
機器・ロボットを開発したい
画像計測システムを構築したい
電気・電子・機械系の精緻な制御を行いたい
機器のマニュアルの必要個所を瞬時に提示し
製品の質の高速モニタリングを行いたい、人
協調系、デジタルハンド、デジタルモノづくり、人間の満足度
場合には、教科書に倣うだけでは、うまく動き
たい、ストレスなしの創造活動を補助したい、 の動きを計測したい、人の認識を行いたい、
小企業がイノベーションを起こすには、新技術と資金の導入が
推定、技能伝承などを手掛けており、いずれも、産業界、教育
ません。そこには、幾つもの知見を融合したノ
ハンディキャップの人のバリアフリー活動を支援
広い場所での防犯システムを作りたい、そのよ
必須ですが、企業単独でこのことを果たすのは困難です。その
界および一般社会に貢献できる成果を上げています。もちろん、
ウハウが必要です。私には理論知識と共に産
したい、そのようなことを実現する機器・ロボッ
うなことを実現できる画像計測システムの技術
ため、本学は大学を挙げての支援に取り組み、その船頭役を務
公立大学教員として、これらを一般普及する活動を行っていま
学共同での実機制御を実施したノウハウと経
トの開発に携わっています。
ノウハウを有しています。
めてきました。そして、成功結果を見るたびに、大学人として
すので、興味のある方は、遠慮なくご連絡を頂ければ幸甚です。
験があります。
社会貢献の一環として、ものづくり系
研究活動では、次世代産業の技術動向調査、サービス科学理論
中小企業支援活動を行っています。内
の確立(現場適合型で多くの大学と研究機関、企業とのコン
容は、特許相談、補助金申請(サポイ
ソーシアム)、福祉介護機器、サービスロボット、人間・機械
ンで実績あり)などで、新製品開発で成果を上げています。中
少し嬉しくもあり誇らしくも感じています。
精緻な制御を行いたい
熟練者の技術の継承を図りたい
感性的・直観的な成型・加工を
したい
従来型(紙ベース、ビデオ記録)の他に、技
モックアップの成型・加工をバーチャル空間内
の動きそのものを計測して、その情報から意味
で、しかも、手を使って行えるシステムを構築
あるものだけを抽出し、この情報から 3 次元の
中です。バーチャル空間の特徴として、スケー
動きそのものを再現して、技術の継承を従来
ルをナノメートルからメートルオーダーまで、自由
型より飛躍的にスムーズに行えることを研究し
自在に変えられることがあります。これより、精
ています。これを通して、技のエッセンスの抽
密で即時的かつ感性的・直感的な整形・加
出と表現の仕方に関する知見を有しています。
工の可能性を広げ、良質な成果物製作に貢
献できると考えています。
46
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
47
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
教授
前田 充浩
Mitsuhiro Maeda
専門分野
・国際金融(特に開発金融、クロス・ボーダーの
中小企業ファイナンス)
・金融地政学を中心とする国際関係論
・情報社会学
・アジアにおける ICBM(産業コミュニティ
構築措置)研究
■主な経歴等
東京大学法学部卒
【研究職】
1998年∼1999年
1999年∼2002年
2002年∼2005年
2005年∼2006年
2008年∼2009年
2009年∼2010年
【行政官】
1988年∼1991年
1993年∼1996年
2002年∼2007年
2007年∼2008年
内閣官房内閣安全保障室主査
在タイ王国日本国大使館一等書記官
経済産業省大臣官房企画官
(国際・通商金融担当)
経済産業省資金協力課長
■国際組織APEN(Asia Professional Education Network)
今日多くの発展途上国では急速な経済成長が続いている
APENは、アジアにおける産業コミュニティ構築等を目
ため、インフラを急速に整備することが必要です。これ
的としてアジアの主要大学が結集して造り上げた国際組
には多額のカネが必要なので、新しい仕組みを考えなく
織であり、AIITがその事務局を担っております(前田は
てはなりません。この問題を解決するため、経済産業省
事務局長)。APENの活動は、すでに首脳級、閣僚級で
において、プロジェクト・ファイナンス、証券化、クラ
高い評価を得ており、高級事務レベル級で多くのプロ
ウド・ファイナンス等の新しい技術を取り入れたPPP
ジェクトが進められております。
(Public Private Partnership)の仕組みの構築に取り組
み、各国、各国際機関と調整を行いました。
■主な著書等
埼玉大学大学院政策科学研究科助教授
政策研究大学院大学助教授
政策研究大学院大学客員教授
英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)
客員研究員
ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究
大学院(SAIS)客員研究員
ケンブリッジ大学客員研究員
■国際金融/新たなPPPファイナンス
(書籍・単著)
『金融植民地を奪取せよ』、プレジデント社、2010年。
『国益奪還』、アスキー新書、2007年。
(書籍・共著)
『地域機構ASEAN+3の構築における日本「政策官庁」のイニシ
アティブ』(『東アジア市場統合への道』、けい草書房、
2004年に収録。
『情報文化論からみたバリ島コミュニティ・モデルの可能性』
(『アジア新世紀Ⅰ空間』、岩波書店、2003年に収録。
『日本の経済と長波』(『2005年日本浮上』、NTT出版、
1998年に収録。
アジア発の新しいグローバリゼーションが
進んでいます
■金融地政学
開発金融(援助)について、国際関係論、国際政治学の
カンボジア、フンセン首相との会談
(2013年1月15日、カンボジア首相府)
枠組みに則り、ドナー側の外交上の手段として捉え、ド
ナー間の競争のあり方を分析するのが金融地政学です。
英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)、ジョン
ベトナム、チュオン・タン・サン大統領
との会談
(2011年7月20日、ベトナム共産党
本部)
ズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)及
びケンブリッジ大学に客員研究員として招かれ、この分
野の研究を積み重ねました。
ラオス、トンシン首相との会談
(2014年3月4日、ラオス首相府)
◎前田教授の「こんなときに、ご相談ください」
首脳級、閣僚級でエンドースされる
国際組織を作りたいのだけれど、
どうすればよいのだろう
アジアでの事業展開を考えている。投資先で、優秀な
人材の確保をはじめ、法務、労務、財務等さまざまな
課題をどう解決すればよいのだろうか。
因みにカネはあまりない
アジアでの事業展開を考えている。投資先で
現地通貨建てで安い金利のファイナンスを
どうやれば得られるのだろうか
みなさんは、最近アジアを旅していま
21世紀のアジアにおいて、「産業コミュニティ」構築は、大義
すか?是非、額に汗してアジアを歩き
です。この大義を自分のものとして受け止めることができるか
回ってください。できればディープタ
どうか。みなさんが人生を「アジア人」として全うすることが
国際組織(国際機関等)は、国民国家と並
中小企業が、「親企業にくっついて」ではな
中小企業ファイナンスは、情報コストが高い
できるかどうか、それはこの点にかかっています。
んで国際社会のグローバル・ガバナンスの
く、自発的にクロス・ボーダーの事業展開を
一方でビジネスの規模が小さいため、市場の
倒的な経済成長のダイナミズムです。もちろん、先進国企業の
基本的な主体をなす、重要な存在です。会
進めることが、アジアにおける「産業コミュ
失敗が発生する上に、クロス・ボーダーの事
直接投資が重要な役割を果たしています。しかしながらそこで、
社の造り方はいろんな所で教えている一方、 ニティ」構築の中核的な役割を果たします。
業展開ではさらに国境の壁にぶつかります。
先進国と発展途上国の峻別、とか、アジアは先進国に搾取され
国際組織の造り方を体系的に教える教育機
問題は、国内においては、各国とも、中小企
日本国内で政策的な安い金利のファイナンス
ている、とかの、昔習った「古い」発想を思い出してしまうと、
関は殆ど目にしません。その大きな理由は、 業に対するビジネス・コンサルティング・サ
をもらって「親子ローン」を組んでも、為替
みなさんは大魚を逃します。20世紀末以降のアジアは、人類史
政府関係者ではなく、民間人が、本気で、 ービスに大変に力を入れている一方、クロ
リスクが大変ですし、では現地で、というと、
上例を見ない、全く新しいメカニズムに則った成長の軌道を邁
ゼロから国際組織を造ろうとすることがあ
ス・ボーダーな対応が後手に回っていること
金利が高くてこれまた大変ですよね。実は、
進しており、先進国企業の力を鵜飼のように操っているのです。
まりないからだと言えます。一方今日の私
です。これは、各国政府の政策はそれぞれの
現地通貨建てで安い金利のクロス・ボーダー
アジアが世界全体のグローバリゼーションの姿を設計している
達は、20世紀以降の多くの実例を踏まえれ
国民を対象としていることから仕方のないこ
中小企業ファイナンスというのは、国際金融
のです。
ば、国際組織の造り方については、相当程
とです。そこで期待されるのが、国際組織、
の研究において、最先端の難関問題なのです。
その新たな姿の鍵は、「産業コミュニティ」です。アジアの各
度のノウハウを手にすることができます。 言わばアジア全体を対象とするグローバルな
地は、それぞれがある面では競争しながら、またある面では密
AIITは、実際にそのノウハウに則り、APEN
中小企業庁的存在です。AIITが事務局を務め
接に協調しながら、「産業コミュニティ」構築に勤しんでいる
(Asia Professional Education Network)を
るAPENは、自らはそのような存在にならな
のです。
大きく育てているところです。
ければならないと自覚し、日々奮戦しており
ウンを、地方の農村を。そこで目にするのは、目くるめく、圧
ます。
48
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
49
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
教授
村越 英樹
ペトリネットを動作モデルとする並列計算機
FA用高速コントローラ
Hideki Murakoshi
ニューラルネットを利用したProlog実行系
遠隔論理回路実験システム
専門分野
運動学習支援システム
・情報工学
・並列処理アーキテクチャ
・e-Learningシステム
・シーケンス制御
・組込みシステム等
アプリケーションベース組込みシステム開発手法
速聴トレーニングによる速読速度の向上の試み
ペン回しトレーニングシステム
高齢者の見守りを目的とするセンサネットワークのバッ
テリレス化(スリッパ型センサ、腕時計型センサ)
■主な経歴等
■主な著書等
1985年 3 月
1987年 3 月
1990年 9 月
社団法人日本システムハウス協会エンベデッド技術者育成委員
会編・著、組込みシステム開発のためのエンベデッド技術、電
波新聞社、第4章通信サービスとネットワーク技術および第5章
マルチメディア技術担当 (2003-11)
東京農工大学工学部数理情報工学科卒業
同大学大学院修士課程修了
横浜国立大学大学院工学研究科博士後期課程修了
工学博士
1991年4月 東京都立科学技術大学講師
2003年7月 同大学工学部電子システム工学科助教授
2005年4月 首都大学東京システムデザイン学部准教授
2006年4月 産業技術大学院大学産業技術研究科情報アーキテ
クチャ専攻教授
2008年4月∼ 産業技術大学院大学産業技術研究科創造技教授
スリッパ型センサ
教材:扇風機のモデル
最近、教材として、扇風機のモデルを
腕時計型センサ
◎村越教授の「こんなときに、ご相談ください」
マイコン制御でシステムを
作りたい
ハードとソフトをつなぐ技術者を
育成したい
e-Learningを活用したい
作ってみました。コントローラにmbed
を利用して、DCモータ、サーボモー
マイクロプロセッサを応用した機器を多く
現在、多くの機器は、ハードウェアとソフト
e-Learningシステムに関する研究をしてきま
タ、スイッチなどのハードウェアを接続して、ソフトウェアで
設計してきました。マイコン制御で何か作
ウェアが協調して、その機能を果たすように
した。また、日本e-Learning学会の理事を務
制御する。風量の調整、クビ振り、お休みタイマなどの処理を
りたいけど、どうすればいいの? というよ
なっています。ハードとソフトの知識を持
めています。e-Learningを利用したいとき、
実装した。また、温度センサを接続して、温度によって風量を
うなとき、ご相談ください。
ち、この部分をつなぐことができる技術者を
ご相談ください。
自動制御する機構も組み込んだ。少々見た目は怪しいが、マイ
育成したいとき、ご相談ください。
コン制御の基本は学修できるでしょう。
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
50
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
51
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
教授
吉田 敏
Satoshi Yoshida
専門分野
・人工物設計論
・ユーザー分析
・アーキテクチャ分析
・建築設計・生産
主な取り組み
■ものづくり理論・生産システム論
■イノベーションマネジメント理論
モノをつくる生産行為は、その理論化の重要性が認識されて
シュンペーター以降、多くの研究者が様々な角度から技術革
から多くの時間が経過したが、対象の持続的な変化により、
新に関する分析を進めてきた。しかし、それらの分析は対象
未だに明確な手法論がほとんど存在しない。そのために、モ
の複雑化から体系化されること無く、ますます視点の分散化を
ノが生産される過程を記述し、分析を可能にすることができる
呈している。現在必要とされていることは、一つの視点から全
ような手法論を確立することを目的としている。また、確立され
ての理論を体系化していくことであると考えられる。
た手法によりモノづくりに関する理論展開を進めていくことにな
るが、対象をいかに継時的に、立体的に分析していくことを目
標としている。
■人工物創造理論
■主な経歴等
株式会社大林組入社 東京本社、東北支店、ロン
ドン支店在籍
建築意匠設計、プロジェクト・マネージメント等担当
2001 年 4 月 同社退社
2002 年 10 月 米国コロンビア大学建築学部修士課程修了
2005 年 9 月 東京大学大学院博士課程修了 博士(工学)
2005 年 11 月 東京大学大学院工学系研究科特任助教授
2007 年 3 月 東京大学生産技術研究所助教授
2008 年 4 月 産業技術大学院大学教授
1990 年 4 月
学術的な視点から「当たり前」を考える
自然物に対し、人工物の特性を論理的に解析し、情報技術
理論研究を展開していく。自然科学の持つ手法は確立されて
いるものが多く存在するが、人工物を対象とした分析方法は
皆無に等しい。ここでは、人工物の分析を進め、実社会で使
用される人工物を具体的に取り上げながら、情報技術の具体
的な活用を試行するものである。
◎吉田教授の「こんなときに、ご相談ください」
アーキテクチャ分析を用いて企業
の持つ組織的能力を理解したい
とき
建築産業と自分の産業を比較し、
新しい視点を見つけたいとき
当たり前のことを当たり前に考えることができる手法を作ろうとして
アーキテクチャ概念(構成要素の相互依存性
建築は極めて多く産業が混在したものとなって
います。 に着目した考え方)を用いて、企業などの設計・
います。そのために、建築プロジェクトごとに
・
「日本の技術力って、具体的に何のことなのか?」 生産を中心とした特性を分析していきます。
独自の特性が現れてきます。ある一つの産業
・
「なぜ、技術力のある企業の業績が上がらないことがあるのか?」
と、このような建築産業を比較していくと、そ
・
「本当に使い手が欲しがる製品ってどんなものなのか?」 の産業の持つ特性が明確に浮き彫りになる場
・
「つくり手はどのようなプロセスでものを創るのか?」 合があります。
等を、学術の視点から議論しています。
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
52
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
53
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
特任教授
福田 哲夫
自動車で培った有機的三次曲面の立体形状の生成は得意分
移動態のデザインとしては、リニアエキスプレス、新幹線、寝
野のひとつで、取組みは多くの産業領域にわたります。
台車等の鉄道車両や新交通システム/乗用車、観光用路線
Tetsuo Fukuda
1980 年代半ばからは統合的なプロジェクトとして、リニアエキス
バス、ボンネット型トラック、電気自動車、アドバンスカーから車
プレスや新幹線等の鉄道車両デザインに取組み成果を出すこ
載用機器モジュール/二輪・三輪自転車、子供用三輪車/
とができたのも、それらを背景に多分野のプロジェクトを通じた
クルーザー、大型客船、船舶用レー
水上バス、
プレジャーボート、
ネットワークがあったからです。企画書の提案段階よりトータル
ダー機器/航空機内装/小型運搬機、建設用機器、エレベー
デザインを目指し、作業は広範囲に及びますが、客室やトイレ
ター、搬送用ロボット等がありました。
の内装、運転室の小さな機器一つひとつに至るまで、乗客の
小型機器のデザインとしては、携帯電話、目覚し時計から家
安全と安心のデザインを心がけています。
電製品/電気・電子テスター、配電盤・分電盤/ OA 用事
一般的に材料と加工法とを問わず、小さな部品から大型装置
務機器/医療用機器/監視用機器/エンジンポンプ、ダイヤ
まで、直線とコンパスによる「カタチ生成」の方法では時とし
フラムポンプから家庭用ポンプ/知育玩具、ゲーム機器、科
て成型時に歪みが生じやすくなります。このような場合には緩
学メカキット、天体望遠鏡/化粧品容器等々…先行開発型の
和曲線等の使用により問題を解決することもできるようになり、
プロジェクトを中心に開発のお手伝いを続けてまいりました。
ニュアンスのあるカタチへの想いやこだわりは、魅力的な価値
現在は、美しいモノづくりを通じて豊かな暮らし実現のため、
ある製品としてお客様へ伝わります。
“デザイン”は付加価値
本学学生の他首都近郊にあるデザイン系大学の学生たちと
ではなく、本来的に基本価値を創造することから始まります。
共に環境問題への取り組み、小学生向けのデザインワーク
これまでの作業範囲も、企画、デザイン・設計、色彩計画、
ショップなどを通じて次世代のために明るく夢のある未来
プロトタイプ製作等、多岐にわたります。
を描いています。
専門分野
・インダストリアルデザイン領域で移動態の
システムデザインから各種機器のデザイン開発まで
・スケッチやデザインドローイングによる
コミュニケーション手法開発等
■主な経歴等
■主な受賞歴等
1967 年
■グッドデザイン賞(通産省 / 経産省)
:1989・1991・1994・1995・
1996・1997・1998・1999・2000・2006〈 金賞 〉
・2007〈 金賞 〉
■ブルネル賞:1989・1994・1998 ■日本デザイン大賞:1992 ■ブルー
リボン賞:1990・1999・2000 ■ローレル賞:1991・1993・1996・
2000 ■日経優秀製品サービス賞:1998・1999・2007■ SDA 賞:
1981 ■ CS デザイン賞:2000 ■日本鉄道賞(国交省)
:2007 ■新日
本様式 100 選
(経産省)
:2007 ■地球温暖化防止活動環境大臣表彰
(環
境省)
:2007・2013■地球環境大賞日本経団連会長賞:2007 ■日本
機械学会賞(技術)
:2007 など鉄道車両を中心に受賞多数
都立工芸高等学校デザイン科卒業、日産自動車へ入社
乗用車デザイン他アドバンス・スタジオ立上げに参画
1970 年代 独立後、商用大型トラックから産業用機器・生活用品
等、多領域にわたる製品開発や研究活動を続ける
1987 年∼ 新幹線等の公共交通機関の開発に参加、現在に至る
1990 年代 工学系・芸術系大学他、企業デザイン部門への講師
1997 年∼ かわさき産業デザインコンペ審査委員
2005 年∼ 首都大学東京教授インダストリアルアート・コース長
2008 年∼ 産業技術大学院大学教授 創造技術専攻長
2013 年∼ 同産業技術研究科 特任教授・名誉教授
グッドデザイン・フェロー/ JIDA 会員/日本デザイン学会会員
◎福田教授の「こんなときに、ご相談ください」
アイデアは…突然、スケッチに!
社内デザイナーを育てたいが…
社外デザイナーを知らないので
不安…
新鮮なアイデアを
学生とコラボ…
ある命題に対して、一所懸命に最適解
新幹線の先頭形状デザインでは、設計要件である騒音の低減を
を求めようといたしますがそう簡単にアイ
風洞試験で審美的に磨き上げました。また同時に動揺抑制という
デアは浮かぶものでもありません。
難題に対しても楔と翼の 複合形態 として解決いたしました。
一般的に専門領域の仕事の繰り返しの中で、 自社製品を開発したいが方法が解らなかった
本学院生との連携によるものづくりで、新しい
一般的にはまず始めに、よく 観察 をいたします。ここでは対象
このような発想の源は、
ジャンボジェット機墜落、流線型展望車、
ヨッ
技術は精緻を極め詳細設計にまで通じるように
り、専門領域では経験豊富でも、いざデザイ
可能性ある道筋が開けるかもしれません。ワー
なります。しかしその反面発想の幅や柔軟性
ナーとのコミュニケーションとなると難しい、いき
クショップなどグループ作業を通じて違う価値観
がなくなりがちになります。そのような悩みには
なりの相談では段取りが間に合わずに開発チャ
や情報を共有し、融合するプロセスから、イノ
と向き合い、炙り出される問題やコトへの 気付き を大切にいた
トの内装といった一見脈絡のないコトの組立てでありました。また
します。この時に発見があればもう問題の約半分は解決していま
空力への興味は、書籍も勿論ですが自動車における定性的な話を
す。 残り半分は、それらを 構造化 し整理する過程で、解決の
スカイライン GT の設計技師 S 氏から、航空機の木製ソリッドモデ
壁を越えるための ヒント のようなものが見つかるかどうかです。
ルを削りながらカタチを理解し、エリアルールにより音速の壁を超え
カタチの操作を通じて審美眼を養うと共に発想
モノづくりに関わることであれば、是非一度ご
次に、果報は寝て待て…ではないですが、命題から離れ、何も考
たことやダッチロール特性等について知るのも、好奇心の塊であっ
力を高めるお手伝いをいたします。
相談ください。
えてはいけません。退屈ならば別の仕事で気をまぎらせるのもよいで
た中学生の頃の趣味の世界でありました。
“スケッチ訓練プログラム”を用意しています。 ンスを逃すこともあります。
ベーションは生まれます。
しょう。しかし実際には常に気に掛かっているものですが…。
漬け物が旨味を増すように、あるいは卵が孵化するまで温めて待つ
ひらめき が一枚のスケッチとして描かれる時、蓄積されていた記
ように、じっとその時を待ちます。…とどなたでもここで アイデア
憶は時間軸を一気に駆け巡り、まるで連想ゲームのように蘇ります。
や ひらめき は突然やってくる、あとは試してみること…と異口同
やがてアイディアは自ら増殖を繰り返し統合されていく、真白い紙
音におっしゃいます。
の可能性は無限大…で、夢を叶えてくれるはずです。
わたしも過去に同じ体験を何度となくいたしましたが、はじめの 観
察 から 気付き に必要なことは、幅広い領域への好奇心から
生まれる学びであることには間違いないでしょう。また過去の体験
や経験は感動と共に心に記憶されますので、それらが 気付き と
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
同時に蘇り、それらに反応している自分にも気付くのです。
54
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
55
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
助教
網代 剛
∼ゲームの知見:表象を置き換える∼
Tsuyoshi Aziro
専門分野
・教育工学(教材設計・教授法)
・ゲーミングシミュレーション
(ゲームデザイン・ファシリテーション)
■主な経歴等
■主な著書等
1998 年 慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了
(修士(経営学)
)
1998 年 ゲームデザイナー
(教育用ゲームの開発/ゲームの教育利用の実践)
2008 年 産業技術大学院大学助教
吉川肇子、矢守克也、網代剛「防災ゲームで学ぶリスクコミュニケー
ション」(ナカニシヤ出版、2005 年)
そして創造的な世界へ─
ゲームの命は 楽しい こと。プレーヤー
■実務家とのチームティーチング
ゲームの教育利用を研究/実践しています。
■実務家の異分野挑戦支援
商品撮影、デジタルファブリケーションなどの領域で、当該
∼ゲームの知見:比べるから始まる探究∼
領域の実務家とのチームティーチングによる教授法の開発に
教材開発に取り組んでいます。実務家が異分野を学ぶとき、
取り組んでいます。学習者となる実務家は、相応の経験を
異分野に転身する場合でなく、自分の専門領域と異分野との
持っており、表象の認知や思考も多様です。このとき必要な
相互作用を期する場合の支援を考えています。このとき必要
のは多様な学習者に対応できる多様な伝達の経路です。とこ
なのは(自分の立場や関心を定めた上での)異分野の適切な
ろで、ゲームは現実を抽象したメタファーでなりたっていま
評価です。ところで、ゲームは選択の連続でなりたっていま
す。たとえば、面積の効率をパズルのピースで表現したり、
す。選択肢どうしを比べることで、結果を予測したり、メ
領地の所有を色で表現したりします。この仕組みを、教育に
リット/デメリットやリスクを評価したりします。このふる
転用し、ただひとつの伝達方法ではなく、伝達方法を多様に
まいを、教育に転用し、表象の単純な記憶ではなく、それら
変換できる教授法の開発に取り組んでいます。
を評価できる能力を育成できる教材の開発に取り組んでいま
す。
◎網代助教の
「こんなときに、
ご相談ください」
ゲームでワークショップ!
学校でゲームつくり
ワークショップ支援
として 楽しさ を享受するのは良いので
すが、ひとたび 楽しさ を提供しようと
NPOやボランティアで、活動を維持してゆ
学校の授業(総合的な学習の時間)
、課外活動、 学校・NPO・市民団体のみなさん。ワーク
すると 楽しさ は、意外や手ごわく、未だに、悪戦苦闘しています。
くには、周囲の人々の活動を理解して、参加
部活などで「ゲームつくり」をしてみませんか。 ショップの開催、運営でお困りではないです
例えば、ドイツ等海外のボードゲーム等を見ますと、まだまだ私の知
してもらうことが望まれます。しかし、草の
ゲームつくりの核心は、表層にみえる音楽や
らない、様々な楽しさのカタチがあるのだなぁ…と思い知らされます。
根活動では、やはり限界があります。そこで
映像ではなく、世界観の表現です。たとえば、 かを一方的に主張したりするのでなくて、も
こうしたゲームを横目に見ながら、ゲームデザインの経験を重ねてい
楽しいゲームをつかったワークショップ。既
生徒さんの日常の経験で「楽しい」と感じた
ちろん、教科書などが整備されていない領域
くうちに、いくつかのことに気が付きました。ゲームデザインは、未
存ゲームを利用するものから、オーダーメイ
ことを、ゲームでの表現に挑戦します。その
で、同じ立ち位置で、一緒に問題を考える参
だカタチを持たぬ楽しさに、
(多くの人々に遊んでもらえるように)カ
ドまで。NPO/ボランティアの活動を支援し
過程では、
「楽しい」という価値を精密に分析し、 加型ワークショップを開催しませんか。目標
タチを与える作業です。このためには、①優れた論理性が求めら
ます!
多様な解釈の可能性を検討してゆくことにな
の設定、実施の手段、成果の評価まで、ご相
れ②様々に使用される環境を想定しなくてはなりません。
ります。こうした取り組みを通じて、科学的
談ください 。
こうしたゲームデザインが、①仮説を構築し②異なる立場に配慮し
な観察と思考の能力の育成が期待できます。
たコミュニケーションの力を高めるエクササイズになるのではないか
と思い始めています。多くの人々が手軽に、ゲームデザインを楽し
めるような社会は、きっと、創造的な社会なのだろう…と思いを馳
せてしまいます。
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か。講演会等で、受け身的に参加したり、何
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
57
創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
助教
井ノ上 寛人
人が外界の情報や刺激をどのように知覚しているのか、
■生体計測に関する研究
またその情報や刺激からどのような印象を感じているの
映像コンテンツを見ているときの眼球運動を計測し、酔
Hiroto Inoue
か、といったことを研究テーマとしています.ここで
いなどの不快感を与えるカメラワークの特徴を分析して
は、二つの研究テーマを紹介します。
います。また、目の錯覚が生じる条件を解明し、錯覚現
専門分野
象によって映像コンテンツの迫力感を高める、といった
・感性工学
・認知科学
・マルチメディア情報処理
■心理計測に関する研究
応用方法についても研究しています。
感性工学の分野では、対象を形容する言葉を用いて質問
項目や評価尺度を構成し、対象の心理的な印象を計測す
る手段がよく取られます。しかし、一般的な消費者に香
りの印象を評価してもらう場合などは、「花」という言
■主な経歴等
2008年 3 月
2010年 3 月
2012年 3 月
2012年4月
2012年9月
2013年4月
2013年10月
■主な著書等
東京電機大学 理工学部 卒業
東京電機大学大学院 理工学研究科 修了
宇都宮大学大学院 工学研究科 修了(博士(工
学)取得)
日本学術振興会 特別研究員PD
東京電機大学 工学部第二部 非常勤講師(兼任)
宇都宮大学 工学部 非常勤講師(兼任)
現職
井ノ上寛人,小野田望,佐藤美恵,奥行表現を伴う文字の特徴分
類,電子情報通信学会誌,J96-D,3,pp.753‒761,2013.
井ノ上寛人,島村寿江,佐藤美恵,郭素梅,小黒久史,春日正男,観
賞条件に適合した CG 映像の生成方法に関する基礎的検討,映
像情報メディア学会誌,65,7,pp.959‒961,2011.
井ノ上寛人,柏崎尚也,春日正男,香りの感性評価に基づく感性
パラメータの評価特徴に関する考察 : 感性情報の数値的一般化
に関する研究(4),日本感性工学会誌,10,3,pp.425‒431,
2011 などに掲載.
感性評価やデータ解析を実施する上で
大切なこと
語的な表現と、実際の花の香り(Floral調)の印象が結
び付かないことも多いと予想されます。そこで、回答の
選択肢に音や図形を用いる非言語的な評価手法を提案し
ています。提案手法を用いると、非専門家による評価で
あっても、専門家による香調分類と類似する傾向が示さ
れています。
◎井ノ上助教の「こんなときに、ご相談ください」
心理計測を実施したい時
感性評価やデータ解析の結果から得ら
心理計測と生体計測を併用したい時
れる基本情報は、(1)何かと何かの
間に、関係がある/ない、(2)何か
映像や音、香りなどを評価の対象とした研
心理計測と生体計測を併用すると、これらを
と何かの間に、差異がある/ない、といった内容になります。
究を行っています。製品やコンテンツの感
単独で用いた場合では気づきにくい知見を得
例えば、商品Aと商品Bは同時に購入されるとか、商品Cは、特
性的な印象を評価したいときなどは、これ
ることが可能です。特に眼球運動の分析に関
定の客層に繰り返し購入されるといった情報は、マーケティン
までの研究成果を応用できるかもしれませ
しては、これまでの研究成果を応用できるか
グ担当者にとって有益なものといえます。しかし、新店舗の企
ん。
もしれません。
画担当者にとって有益な情報は、自社で取り扱う商品の差異で
はなく、競合他社と比較した際の差別化要因かもしれません。
前者の例では、自社内に蓄積されたデータを分析対象とします
が、後者の例では、競合他社のデータも必要となります。感性
評価やデータ解析の担当者の頭を悩ませる状況、第1位は、「何
のために評価/分析するのか」という目的が曖昧で、「とりあ
えずこのデータを分析してくれないか」と依頼されるケースだ
と思います。反対に、「具体的にどのようなことが分かれば有
益なのか」といったことを事前に検討しておくと、感性評価や
データ解析の結果から価値のある情報を得やすくなります。こ
れらのことから、データとの対話と人との対話の両方を大切に
したいと思っています。
58
AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
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創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
助教
佐々木 一晋
私は建築を起点に、空間とコミュニティの成長過程に焦
・都市空間とコミュニティの成長過程に関する研究
点を当て研究・実践活動を進めてきました。「建築」と
・まちづくりワークショップの支援ツールの開発
Isshin Sasaki
は、単に個々の構造物を指し示すものではなく、計画か
・計画支援を意図した空間情報可視化システムの開発
ら設計、施工、管理までの一連のプロセスを組み入れた
専門分野
・建築・都市空間設計
・都市様相
・空間システム
・デザイン戦略
・デザインプロセス
■主な経歴等
「つくり方」を共有し、
使いながら保存する時代
一方、ビジネス領域において、エスノグラフィーに基づ
活空間に関わるさまざまなモノから建物までのつくり方
くデザインリサーチの技法を探求しています。デザイン
やその共有の仕方を問い直し、都市社会の文脈の中で、
リサーチの技法は、特定の企業や現場だけがもつ固有の
建築の領域を敷衍して捉えたいと考えています。
ものではなく、あらゆる現場に敷衍できる汎用的なもの
と考えられます。ワークショップを通じて、デザインの
■主な著書等
2004年 東京大学大学院工学系研究科博士前期課程修了
2006年 慶應義塾大学環境情報学部 非常勤講師(現在に至る)
2007年 東京大学大学院工学系研究科博士後期課程単位取得退学
2007年 神奈川大学工学部建築学科 特別助手
2011年 産業技術大学院大学産業技術研究科創造技術専攻 助教
(現在に至る)
“建て方”の“構築”の仕方(方法)だと考えます。生
「空間デザイン事典(分担執筆)」、日本建築学会、2006 年
「リアルタイム動画・テキスト共有サービスを活用したワーク
ショップ支援ツールの実践的考察」、佐々木一晋・脇田理人・
山家京子、日本建築学会学術講演梗概集2011,pp.1011-1012,
建築計画 都市計画、 2011年8月
「東南アジア圏における都市型住居の発展過程に関する研究-ブ
ルネイの水上集落の基礎調査報告-」、pp.143-149, 佐々木一
晋、産業技術大学院大学紀要第7号、2013年9月
近年は、都市空間とコミュニティの成長過程に関する研
対象を広範に捉え、分野を越えてさまざまな“技法”を
究を進めています。主に、東南アジア圏における伝統的
研究しています。既にデザインされたものを即物的にリ
都市住居を対象として、居住環境や生活様式ならびに開
サーチするのではなく(デザインのリサーチ)、リサーチ対
発モデルについて実態調査を進めています。トップダウ
象との関わり方を思索し、目的に応じてリサーチデザイ
ン型のデザインプロセスに依拠することなく、地域住民
ンの手法を選び取り、実験・検証を重ねることで新たな
が自らで診断を行い、住居の修復を試みる自生的なデザ
価値を発見・創出することを目指します。
インのプロセスに焦点を当て、都市空間を持続的にデザ
インしていく可能性を探求しています。
◎佐々木助教の「こんなときに、ご相談ください」
海外における新しい市場のリサーチ
エスノグラフィー調査に基づく
デザインリサーチ・コンサルティング
デザイン戦略としての
リサーチデザイン・ワークショップ
れる状況の中では、もはや新築する時
近年、グローバル化が進むことで東南アジ
ビジネス領域において、エスノグラフィー調
デザインのプロセスにおいて、各々のステー
代ではなく、建てない時代に移りつつあります。あらかじめ完
ア諸国の都市居住の様式は大きく変化して
査を採用することで、生活者の行動様式を包
ジで最適なリサーチをデザインすることが重
成した新築物件や新製品を単に消費するだけではなく、中古物
きています。新規事業を海外へ展開する際
括的に把握することを支援します。現場での
要となってきます。限られた資源の下で、質
件や既製品を再活用する際に、使いながら価値を高め、保存す
には、グローバルな組織的・人的ネットワ
フィールドワークによって潜在的な価値や欲
の高く知識を迅速に効率よく創造することが
るための技術や社会的な枠組みも整ってきました。
ークを活かして、新規市場の実態調査をお
求を掘り起こし、目的に応じて現地情報の可
求められます。生活者と市場のニーズを量的
建築の領分は、従来までのプロセスに加えて、その運用や共有
手伝いします。
視化を進めます。仮説探索・発見の手法を用
に把握するために定量調査やワークショップ
のあり方を問うところまで広がりつつあります。建てない時代
いて、調査・記録、案件ごとに最適なエスノ
を組み込むことで、新しい市場(シーズ)へ
において、先端技術が抱える諸問題と向き合い、プロジェクト
グラフィー調査をカスタマイズして提案しま
のデザイン戦略を支援します。
を動かしながら実践的な手立てを探っていきたいと思います。
す。
近年、日本は人口減少社会を向かえま
した。身の回りのモノや建物があり溢
Master Program of
Innovation for Design and Engineering
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AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
Advanced Institute of Industrial Technology AIIT
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創造技術専攻
Master Program of Innovation for Design and Engineering
主な取り組み
助教
中島 瑞季
これまで、屋内空間の照明から影響される人の感情につ
いる可能性のもと、色温度の持つ心理的な効果を正確に
いて研究してきました。
評価し把握することが必要であり、これらを活用してデ
Mizuki Nakajima
人は低色温度光から暖かさを感じ、高色温度光から冷た
ザイナーの設計意図をより確かなものにすることが効果
さを感じると考えられています。また高色温度光は人に
的な照明デザインに繋がると考えています。
専門分野
覚醒作用をもたらし、低色温度光は鎮静作用をもたらす
・インダストリアルデザイン
・感性科学
とされ、この作用を利用したサーカディアン照明と呼ば
れる照明手法の研究が大きく進められています。このよ
うに色温度は人に心理的、生理的な影響をもたらすこと
が知られ、屋内空間の雰囲気形成に大きく貢献する要因
となっています。ただし、周辺気候が変われば寒暖に対
■主な経歴等
2006年 3 月
2007年 4 月
2010年 4 月
2012年
多摩美術大学大学院 美術研究科 デザイン専攻
博士課程前期 修了
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 一貫制博士課程 入学
財団法人 労働科学研究所 研究生
産業技術大学院大学 産業技術研究科
創造技術専攻 助教
■主な著書等
する印象も異なり、時間帯が変わればそのときの覚醒度
横井聖宏, 中島瑞季 他「撮影時の照明条件と閲覧時の香りが商品
写真の印象と購買意欲に与える影響」日本感性工学会論文誌 第
14巻1号PP. 191〜196 2015
によって印象も異なることが考えられます。また光は放
中島瑞季 他「照明空間の評価における年代の違いの影響 ‒照明
空間が人の感性評価に及ぼす影響の多面的測定方法の検討-」日
本感性工学会論文誌 第13巻5号 pp.603〜612 2014
中島瑞季 他「空間の構成要素及び,評価方法と評価結果の依存
性」日本感性工学会論文誌 2012 第11巻2号 pp. 339〜348
くことによって認識することから、屋内空間の壁紙や家
射されると、壁や家具にあたりその反射光が人の眼に届
具といった内装の色彩も色温度の印象に影響を与えるこ
とが考えられ、内装の色彩が変われば色温度からうける
印象が異なる可能性があります。つまり、屋内空間の色
温度の印象は多重な要素が影響を与え合って評価されて
“ しっくりくる ”デザイン
人がデザインを違和感なく素直に受け
◎中島助教の「こんなときに、ご相談ください」
デザイン要件を決定したい時
デザインされた商品の印象を
評価したい時
入れられるとき、つまり自分にとって
“しっくりくる”とき、それはデザイ
商品開発の際に求められる、ターゲットや
デザインした商品が、ターゲットやデザイン
ナーが意図した表現に対して共感が生まれたときであると考え
デザインコンセプトに沿ったデザイン提案
コンセプトに対して効果的なものであるの
ます。しかし人はみな必ずしも同じ感覚を持っている訳ではあ
のために、求められる機能や好まれる形態
か、求められる機能や好まれる形態であった
りません。例えば色に関して言うと、人は色から寒暖を感じる
の要素抽出について明確化する支援が可能
のか、評価する支援が可能です。
と言われているため、環境の気温が変われば色の好みも変わる
です。
ことは容易に推測できます。さらに、環境の気温は1日の時間の
流れや季節の移り変わり、地域の違いといったいくつもの要因
から変化するでしょう。つまりデザイナーは、商品やデザイン
のコンセプト、使う人や場所といったターゲット、コンセプト
やターゲットに合った形状、色、素材、など複数の絡んだ要因
を把握し、横断的に思考し創造しなければなりません。これだ
け聞いていると気が遠くなる感覚になるかもしれませんが、デ
ザインでは要因が多いということはそれだけ解が多い、つまり
多様な表現の可能性があることだと言えます。いくつもの可能
性から導き出されたデザインは、多くの共感を得られることで
しょう。
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AIIT Advanced Institute of Industrial Technology
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交通アクセス・周辺図
巣鴨
都営三田線
■品川シーサイドキャンパス
東京メ
トロ南北線
北千住
国道15号
柏
青
物
横
丁
駅
西日暮里
池袋
日暮里
中央・
総務線
中野 新宿
四ッ谷
市ヶ谷
後楽園
水道橋
上野
秋葉原
新茶ノ水
東京メ
トロ千代田線
柏の葉
キャンパス
東急
田園都市線
東京メ
トロ
半蔵門線
二子玉川
京葉線
湘南新宿ライン
浜松町
大崎
東急大井町線
品川
大岡山
北品川
天王洲アイル
青物横丁
大井町
加藤製作所
鮫
州
運
動
公
園
通用門(東門)
通用門(西門)
海 産業技術大学院大学(正面玄関)
岸
通
り
⃝りんかい線/品川シーサイド駅下車 徒歩3分
■秋葉原サテライトキャンパス
至上野
東京メ
トロ銀座線
末
広
町
駅
東京モノレール
戸越公園
秋葉原
サテライト
キャンパス
(秋葉原ダイビル
12階)
品川シーサイド
鮫洲
神田●
消防署
[品91系統]
八潮パークタウン
[品93系統]
大井競馬場
昭
和
通
り
●
富士ソフト
ABC
電気街口
秋
葉
原 ヨドバシカメラ
駅
JR秋葉原駅
都立産業技術高専品川 キャンパス前下車 徒歩2分
品川駅前
AKS
BUILDING
駅前
広場
京浜急行本線
品川駅東口
つくばエクスプレス
秋葉原
UDX
大井JCT
■都営バス
楽天タワー
2号館
八潮橋
■品川シーサイドキャンパス最寄駅
りんかい線
新馬場
旗の台
レインボーブリッジ
東京テレポート
天王洲アイル
コンビニ
⃝京浜急行本線/青物横丁駅下車 徒歩10分
⃝京浜急行本線/鮫洲駅下車 徒歩9分
新橋
自由が丘
B出口
●ホテルサンルート
品川シーサイド
住友不動産
●品川ビル
至
大
井
町
首
都
高
速
一
号
線
運転免許試験場
東京
永田町
渋谷
楽天タワー
コナミスポーツクラブ
第
一
京
浜 鮫
洲
駅
神田
イオン品川シーサイド
ショッピングセンター
●品川寺
つくば
エクスプレス
秋葉原
サテライト
キャンパス
りんかい線
八潮高校
池上通り
JR常磐線
山手線
東京メ
トロ
丸の内線
京浜急行本線
大井町駅東口
[井92系統]
八潮パークタウン
至
銀
座
至
東
京
至
千
葉
町
■秋葉原サテライトキャンパス最寄駅 ⃝JR山手線、京浜東北線、総武線/秋葉原駅下車 徒歩1分 ⃝つくばエクスプレス/秋葉原駅下車 徒歩2分
2015.08 発行
問い合わせ先
公立大学 産業技術大学院大学 管理部管理課
オープンインスティテュート(OPI)担当
〒 140-0011 東京都品川区東大井 1-10-40
Tel.03-3472-7833 Fax.03-3472-2790
E-mail:[email protected]
http://aiit.ac.jp/
古紙パルプ配合率100%再生紙を
使用しています。
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