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本文・図表PDF - 日本発達障害支援システム学会

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本文・図表PDF - 日本発達障害支援システム学会
Ⅰ
問題と目的
学校現場では,学習障害など全般的な知能発達に遅れはないが,学習
困難に直面している子どもたちが多数存在している。特に,読み書きに
関して特異的な困難を示すものについては,発達性ディスレクシア(発
達 性 読 み 書 き 障 害 ) と し て 広 く 知 ら れ て い る ( e.g., Shaywitz, 2003 25) ;
特異的発達障害の臨床診断と治療方針作成に関する研究チーム,
2010 3 2) )。 発 達 性 デ ィ ス レ ク シ ア に つ い て は , ア ル フ ァ ベ ッ ト 語 圏 の 研
究では音韻意識の弱さなどの特徴から音韻処理障害仮説が有力である
( e.g., Ramus, Rosen, Dakin et al., 2003 2 1) ; Goswami, 2003 6) )。 一 方 ,
視 覚 処 理 障 害 を 指 摘 す る 研 究 も 多 数 報 告 さ れ て い る ( e.g., Livingstone,
Rosen, Drislane et al., 1991 19 ) ; Stein, 2001 3 0) ; Stein & Walsh, 1997 31 ) ;
Vidyasagar & Pammer, 2010 34) )。 わ が 国 で は , ア ル フ ァ ベ ッ ト の 字 形
に比べてより複雑な図形でかつ膨大な文字数を含む表記系である漢字を
使用していることから,読み書き困難の認知特性としての視覚処理障害
が 注 目 さ れ て い る ( e.g., 後 藤 ・ 宇 野 ・ 春 原 他 , 2007 1 6) , 2010 1 7) ; 室 橋 ・
加 藤 ・ 渡 辺 他 , 2007 20 ) )。
発達性ディスレクシアなど読み困難の症状を示す子どものなかには,
文字が滲んで見えたり,歪んで見えたり,動いて見えたりする視知覚の
異常を訴える者がいる。視知覚の異常は,文章(文字列)に対してだけ
ではなく,白黒のコントラストの強い縞模様等でも出現し,読書時の眼
精疲労や偏頭痛,光過敏性てんかんとの関連性が指摘されている
( Wilkins, 1991 35) , 1995 36) , 2003 37 ) )。 こ の よ う な 視 知 覚 特 性 は , 海 外
で は Meares-Irlen 症 候 群 あ る い は visual stress と 呼 ば れ て お り , 読 書
時に色つきの上敷き(色フィルム)や色つきの眼鏡を使用することで視
知覚の異常が低減し,読み速度が改善したという報告がなされている
( e.g., Allen, Gilchrist, & Hollis, 2008 1 ) ; Hollis & Allen, 2006 8) ; Kriss
& Evans, 2005 1 4) ; Singleton & Henderson, 2007a 26 ) ; Singleton &
Trotter, 2005 28) )。 し か し な が ら , 一 方 で こ れ に 対 す る 反 証 知 見 も 報 告
さ れ て い る ( e.g., 後 藤 ・ 宇 野 ・ 春 原 他 , 2011 18 ) ; Ritchie, Della Sala, &
McIntosh, 2011 23) )。 現 時 点 で は 科 学 的 な 検 証 が 乏 し い 状 況 に あ る に も
かかわらず,色フィルムや色つき眼鏡が読み改善に有効な補助ツールと
して流布してしまったことから,これらの介入・支援について多方面よ
り 否 定 的 な 見 解 が 表 明 さ れ て い る ( American Academy of Pediatrics,
Section on Ophthalmology, Council on Children with Disabilities,
American Academy of Ophthalmology, American Association for
Pediatric Ophthalmology and Strabismus and American Association
of Certified Orthoptists, 2009 2) ; Evans, 2001 4) ; Handler, Fierson et al.,
2011 7) ; Hyatt, Stephenson, & Carter, 2009 9) )。 こ の よ う な 状 況 を 解 消
するため,今後,確かな科学的根拠を蓄積することが重要である。
読書時における色フィルムや色眼鏡の効果について,我が国における
研 究 は , 熊 谷 (2006) 15) , 川 端 他 ( 川 端 ・ 村 瀬 ・ 熊 谷 , 2008 11) ; 川 端 ・ 村
瀬・熊 谷 他 , 2009 12) ; 川 端・村 瀬 (廣 嶌 )・熊 谷 他 , 2011 1 3) ),後 藤 他 (2011)
18) な ど 数 少 な い 現 状 に あ る 。熊 谷 (2006) 15) は ,健 常 者 を 対 象 と し て オ ラ
ンダ語単語を材料とした指さし課題を実施した。最も文字が見えやすい
色 フ ィ ル ム の 選 択 で は , 水 色 を 最 頻 値 と し て 青 -緑 色 系 統 の 色 が 上 位 で ,
ついで黄色の順であった。ただし,色フィルムの使用による課題遂行へ
の 有 意 な 効 果 は 認 め な か っ た 。川 端 他 (2008) 11) は ,読 み 書 き 障 害 の な い
大 学 生 を 対 象 と し て ,熊 谷 (2006) 15) と 同 様 の 結 果 ,す な わ ち 最 も 文 字 が
見えやすい色フィルムは水色であり,色フィルムの使用による読み課題
の 遂 行 に 有 意 な 効 果 を 認 め な か っ た 。一 方 ,川 端 他 (2009) 12) は ,個 人 差
に 視 点 を 置 い た 分 析 を 行 い , 対 象 と し た 読 み 書 き 障 害 の な い 大 学 生 20
名のうち 1 名で色フィルムによる音読の改善を認めた。さらに川端他
(2011) 13) は ,対 象 者 数 を 100 名 に 増 や し て 検 討 し た 。そ の 結 果 ,色 フ ィ
ル ム あ り 条 件 で の 音 読 時 間 が , 色 フ ィ ル ム な し 条 件 に 比 較 し て 5%以 上
短 縮 し た 対 象 者 が 100 名 中 11 名 存 在 し た 。 さ ら に 色 フ ィ ル ム の 効 果 が
認 め ら れ た 11 名 を 対 象 に し て , 日 常 場 面 に お い て 本 や 新 聞 な ど の 文 章
を 読 む 際 に ,1 日 1 回 ,3 分 間 以 上 ,4 週 間 に わ た り 色 フ ィ ル ム の 使 用 を
求 め た 。4 週 間 後 の 再 検 査 に お い て ,色 フ ィ ル ム に よ る 音 読 時 間 の 5%以
上 の 短 縮 が 維 持 さ れ て い た 者 は 6 名 で あ っ た 。 以 上 , 川 端 他 (2009 12 ) ,
2011 13) )の 報 告 は , 読 み 書 き 障 害 の な い 大 学 生 の な か に も 色 フ ィ ル ム に
よって読み時間が短縮する者が存在することを示唆するものであった。
一 方 ,後 藤 他 (2011) 18) は ,発 達 性 読 み 書 き 障 害 児 と 定 型 発 達 児 を 対 象 に
音読課題における色フィルムの効果について検討した。その結果,両群
ともに,音読課題において色フィルムによる改善効果を認めなかった。
以上のように,色フィルムによる読みの改善については研究の蓄積が
少なく,かつ一貫した知見が得られていない状況にある。そこで本研究
では,読み困難のない日本人大学生を対象として基礎的な知見を蓄積す
ることにした。第一の目的は,文字が見えやすい色について検証するこ
と で あ る 。 熊 谷 (2006) 15) と 川 端 他 (2008 11) , 2009 12) , 2011 13 ) )の 研 究 で は ,
最も文字が見えやすい色として水色が選択される率が最も高く,青色系
以 外 で は 黄 色 が 選 択 さ れ る 率 が 高 か っ た 。後 藤 他 (2011) 18) に お け る 発 達
性読み書き障害児群では,水色あるいは黄色を選択した対象児が多かっ
た 。 上 記 の 4 つ の 研 究 は , い ず れ も Irlen Institute 製 Irlen Overlay の
9 色 あ る い は 10 色 の な か か ら 見 や す い 色 フ ィ ル ム が 選 択 さ れ る 手 続 き
であった。色の違いが選択肢となっていたが,同じ色で透過性が異なる
条件については検討されていない。そこで本研究では,選択肢となる色
を青色系と黄色系に絞り,色フィルムの透過性に段階(5 段階とした)
を設けた選択肢を用意して,最も見やすい色フィルムを選択する手続き
を と る こ と に し た 。第 2 の 目 的 は , 参 加 者 が 選 択 し た 色 フ ィ ル ム の 使 用
が読みに与える影響について検討することである。色フィルムの効果に
つ い て は ,多 く の 研 究 で 個 人 差 が 大 き い こ と が 指 摘 さ れ て い る こ と か ら ,
色フィルム使用による音読時間の短縮効果の個人差について検討するこ
とにした。最後に,課題実施後に視機能アンケートを実施し,読書時に
おける視覚的不快感に関わる自覚症状について主観的評価を求めた。
Ⅱ
方法
1.参加者
参 加 者 は , 日 本 語 を 母 国 語 と す る 19 歳 か ら 23 歳 の 大 学 生 40 名 ( 男
性 20 名 ,女 性 20 名 )で あ っ た 。参 加 者 の 矯 正 視 力 を 含 む 視 力( 自 己 報
告 に よ る ) は 左 右 と も 1.2 で あ り , 全 員 が 本 研 究 の 課 題 を 遂 行 す る た め
に充分な視力を有していた。読み困難ならびに色覚障害を報告した者は
いなかった。検査の開始に先立ち,すべての参加者に対して,文章と口
頭で研究の目的と内容について説明を行い,署名による同意を得た。
2.材料
色 フ ィ ル ム と し て ,A5 サ イ ズ の OHP シ ー ト に イ ン ク ジ ェ ッ ト・プ リ
ン タ( EPSON EP-801A)で 対 象 色 を 全 面 均 等 印 刷 し た も の を 使 用 し た 。
OHP シ ー ト へ の 色 印 刷 に つ い て は ,Microsoft Word 2010 の 描 画 機 能 を
使用し,
「 色 設 定 」と「 透 過 性 」に よ り 色 を 調 整 し た 。青 色 系( 色 設 定 :
赤 0,緑 176,青 240)で 色 の 濃 さ を 5 段 階( 透 過 性:0%,20%,40%,
60%, 80%) に 設 定 し た 5 シ ー ト , 黄 色 系 ( 色 設 定 : 赤 255, 緑 192,
青 0) で 色 の 濃 さ を 5 段 階 ( 透 過 性 : 同 上 ) に 設 定 し た 5 シ ー ト , 合 計
10 シ ー ト の 色 フ ィ ル ム を 作 成 し た 。な お 、こ こ で の 透 過 性 は ,Word 2010
の 機 能 と し て の 「 透 過 性 」 を 意 味 し て お り , 実 際 に 印 刷 さ れ た OHP シ
ー ト の 透 過 性 と は 異 な る も の で あ る 。 ゆ え に , 透 過 性 0%の 設 定 で 印 刷
さ れ た OHP シ ー ト で あ っ て も , こ れ を 上 敷 き に し て 背 後 の 文 字 列 は 視
認可能であった。
3.課題
1 )文 字 が 見 や す い 色 フ ィ ル ム の 選 出 課 題( 以 下 ,色 フ ィ ル ム 選 出 課 題 )
本課題は,それぞれの参加者にとって最も文字が見やすい色フィルム
を選出する課題である。色フィルムを上敷きした状態で見やすさを判断
す る た め の 文 字 列 と し て ,A4 サ イ ズ の 白 い 紙 に 縦 17.2cm×横 9.6cm の
範 囲 で 左 右 2 か 所 に 英 語 の 文 章 が 黒 字 で 印 刷 さ れ た も の ( 以 下 ,英 文 シ
ート)を使用した。左右の英文は全く同じものとした。英文の総単語数
は 287 語 で あ り ,フ ォ ン ト に は AR P 丸 ゴ シ ッ ク 体 M を 使 用 し ,文 字 サ
イ ズ を 10 point, 行 間 を 20 point に 設 定 し た 。
色フィルム選出手順は,以下のとおりである。参加者前面の机上に英
文シートを提示し,左右の英文それぞれの上に同じ色系で透過率の異な
る色フィルムを置き,左右どちらの英文が読みやすいか二者択一の強制
選択による判断を求めた。強制選択の後,色フィルムの左右を入れ替え
て,見やすい色フィルムが変わらないかどうかについて確認した。その
後,選択した色フィルムと,これと同じ色系の別の色フィルムを対比し
て,同様の強制選択を行った。この選択手続きを繰り返し,青色系色フ
ィ ル ム 5 枚 の な か か ら 1 枚 ,黄 色 系 色 フ ィ ル ム 5 枚 の な か か ら 1 枚 を 選
出 し た 。 さ ら に こ の 2 枚 の 色 フ ィ ル ム を 対 比 し て 強 制 選 択 を 行 い ,最 終
的に最も文字が見やすい色フィルムを選出した。最後に,選出された色
フィルムを用いて英文シートの半分を覆い,色フィルムがある場合とな
い場合ではどちらが見やすいかについて評価を求めた。
2)説明文の音読課題(以下,音読課題)
高 等 学 校『 国 語 』教 科 書( 筑 摩 書 房 )に 掲 載 さ れ て い た 評 論( 説 明 文 )
「 イ ー ス タ ー 島 に な ぜ 森 が な い の か 」と 児 童 文 学「 車 の い ろ は 空 の い ろ 」
( ポ プ ラ 社 ) か ら , 450 字 程 度 の 文 章 の 一 部 抜 粋 を そ れ ぞ れ 2 か 所 , あ
わ せ て 4 つ の 音 読 用 テ キ ス ト を 作 成 し た 。 い ず れ の テ キ ス ト も 縦 書 10
行 で , フ ォ ン ト は MS P ゴ シ ッ ク 体 で 文 字 サ イ ズ を 10 point, 行 間 を
20 point に 設 定 し , A5 の 白 色 用 紙 に 黒 字 で 印 字 し た 。 漢 字 が 読 め な い
こ と で 音 読 が 妨 げ ら れ な い よ う ,全 て の 漢 字 に 対 し て ふ り 仮 名 を 付 け た 。
4 つの音読テキストを用いて,それぞれの参加者が最も見やすい色と
して選出した色フィルムを上敷きとして使用した色フィルムあり条件,
色フィルムを使用しない色フィルムなし条件のそれぞれで音読課題を実
施した。それぞれの参加者は,各条件4試行,合計 8 試行の音読を行っ
た。2つの条件の実施順序と使用する音読テキストについては,参加者
間でランダムになるよう設定した。
テキストの音読時間は,検査者がストップウォッチを用いて秒単位で
測定した。本研究では,テキストの読み始めから読み終わりまでに要し
た全体時間を音読時間とした。
3)読書時における視機能アンケート(以下,視機能アンケート)
それぞれの参加者に対して,上記の 2 つの課 題を実施した後,読書時
における視知覚に関わる自覚症状について調べるために視機能アンケー
ト を 実 施 し た 。 ア ン ケ ー ト の 質 問 項 目 に つ い て は , Singleton and
Henderson(2007a 26) , 2007b 27 ) )を 参 考 に し た 。 質 問 は , 日 常 生 活 に お け
る読書時に感じられる症状に関する 9 項目であり,
「 は い 」か「 い い え 」
の二択選択で回答する問いとした。具体的な質問事項を表 1 に示す。
表 1. 視 機 能 ア ン ケ ー ト に お け る 質 問 事 項
質 問 事 項
問 1: 本 の 文 字 が 動 い た よ う に 感 じ る こ と は あ り ま す か ?
問 2: 本 の 文 字 が 薄 れ て い っ た り , あ た か も 消 え て い く か の よ う に
感じたりすることはありますか?
問 3: 本 の 文 字 が 小 さ く な る よ う に 感 じ た り , 大 き く な る よ う に 感
じたりすることはありますか?
問 4: 本 の 文 字 の 周 り に 色 が つ い た よ う に 感 じ る こ と は あ り ま す か ?
問 5: 本 の 文 字 が 二 重 に 見 え る よ う に 感 じ る こ と は あ り ま す か ?
問 6: 本 を 読 ん で い る 時 に , 目 の 疲 れ を 感 じ る こ と は あ り ま す か ?
問 7: 本 を 読 ん で い る 時 に , 頭 が 痛 く な る こ と は あ り ま す か ?
問 8: 本 を 読 む 時 , 指 や ペ ン な ど で 文 字 や 行 を 追 い な が ら 読 む こ と
はありますか?
問 9: 本 を 読 ん で い る 時 に , 思 わ ず 目 を 細 め る こ と は あ り ま す か ?
4.手続き
検査は,静かな部屋(大学内の検査診断室)で個別に実施した。参加
者は,机に面した椅子に着席した。課題の実施順は,色フィルム選択課
題,音読課題,視機能アンケートの固定順とした。
Ⅲ
結
果
1.色フィルム選出課題
色 フ ィ ル ム 選 出 課 題 で は ,ま ず 青 色 系 と 黄 色 系 の 各 5 枚 の フ ィ ル ム の
なかで,最も文字が見やすい色をそれぞれ 1 枚選出させた。選出された
色 フ ィ ル ム と 人 数 に つ い て 図 1 に 示 す 。青 色 系 フ ィ ル ム の な か で 最 も 多
く 選 出 さ れ た の は「 透 過 性 60%」で あ り ,参 加 者 40 名 中 18 名 で あ っ た 。
つ い で 「 透 過 性 80%」 を 選 択 し た 者 が 12 名 で あ っ た 。 黄 色 系 フ ィ ル ム
の な か で 最 も 多 く 選 出 さ れ た の は「 透 過 性 60%」で あ り ,40 名 中 15 名
で あ っ た 。 つ い で 「 透 過 性 80%」 を 選 択 し た 者 が 12 名 で あ っ た 。
青色系
黄色系
20
(
人 15
数
10
人
5
)
0
0
20
40
60
80
色フィルムの透過性(%)
図 1
青色系と黄色系において文字が見やすいと判断された透過性別の
人数
最終的に最も文字が見やすいと判断された色フィルムとその人数を図
2 に 示 す 。最 も 多 く 選 出 さ れ た の は「 黄 色 系 透 過 性 60% 」で あ り ,参 加
者 40 名 中 10 名 で あ っ た 。 つ い で 「 黄 色 系 透 過 性 80% 」 を 選 択 し た 者
が 9 名であ った。また,最終的に選出された色フィルムがある場合とな
い 場 合 で は ど ち ら が 見 や す い か と い う 質 問 に 対 し て は ,35 名 が「 あ っ た
ほうが見やすい」と回答し,残りの 5 名は「ないほうが見やすい」と回
答した。色フィルムの有無による見やすさの判断について,両者の比率
を同等とすることを帰無仮説とした二項検定を実施したところ,両者の
比 率 に 有 意 差 が 認 め ら れ た ( p < 0.01)。
(
12
人 10
数 8
6
人 4
2
0
)
0 20 40 60 80 0 20 40 60 80
青色系
黄色系
色フィルムの透過性(%)
図 2
最も文字が見やすいと判断された色フィルムの回答者数
2.音読課題
色 フ ィ ル ム あ り 条 件 と 色 フ ィ ル ム な し 条 件 に つ い て ,各 条 件 4 試 行 の
テ キ ス ト 音 読 を 実 施 し た 。条 件 ご と に 4 試 行 の 合 計 音 読 時 間 を 算 出 し た
と こ ろ ,色 フ ィ ル ム あ り 条 件 に お け る 全 参 加 者 の 平 均 音 読 時 間 は 250 sec
( S.D.= 30 ), 色 フ ィ ル ム な し 条 件 に お け る 平 均 音 読 時 間 は 254 sec
( S.D.= 34) で あ っ た 。 平 均 値 上 , 色 フ ィ ル ム の 有 無 に よ る 音 読 時 間 の
差はほとんどなかった。
本研究の関心は,参加者の全体的な傾向ではなく,個人差にある。そ
れぞれの参加者について,色フィルムなし条件の音読時間に対する色フ
ィルムあり条件の音読時間の短縮の割合を算出し,音読時間の短縮率と
し た 。計 算 式 は ,川 端 他 (2011) 13) の 方 法 に 則 り ,「 短 縮 率 =( 1 - 色 フ ィ
ル ム あ り 条 件 に お け る 合 計 音 読 時 間 ÷色 フ ィ ル ム な し 条 件 に お け る 合 計
音 読 時 間 ) ×100」 と し た 。 短 縮 率 は , 正 の 数 値 の 場 合 に は 色 フ ィ ル ム
の使用により音読時間が短縮したことを意味し,逆に負の数値の場合に
は色フィルムの使用により音読時間が延長したことを意味する。
参 加 者 そ れ ぞ れ の 短 縮 率 ( X と す る ) に つ い て , -8%< X≦ -6%, -6%
< X≦ -4%, -4%< X≦ -2%, -2%< X≦ 0%, 0%< X≦ 2%, 2%< X≦ 4%,
4%< X≦ 6%, 6%< X≦ 8%, 8%< X≦ 10%, 10%< X≦ 12%の 10 群 に 分
け て 集 計 し た 人 数 分 布 を 図 3 に 示 す 。0%< X≦ 2%が 最 頻 値 で あ っ た 。平
均 短 縮 率 は ,1.6%( S.D.= 3.0)で あ っ た 。平 均 ±2 倍 の 標 準 偏 差 の 範 囲
を こ え た 短 縮 率 を 示 し た 参 加 者 は 2 名 で あ り ,両 者 と も に 正 の 短 縮 率 を
示していた。以上より,色フィルムを使用することで音読時間が有意に
短縮する者が存在することが確認された。
(
14
12
人 10
数 8
6
人
4
2
0
)
-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 0 12 14
短縮率(%)
図 3
色フィルムあり条件と色フィルムなし条件における音読時間の短
縮率による人数分布
3.視機能アンケート
視 機 能 ア ン ケ ー ト の 質 問 内 容 の う ち ,問 1 か ら 問 9 の 各 項 目 に つ い て
「 は い 」の 回 答 に 対 し て 1 点 を 与 え て 集 計 し た 。結 果 は ,図 4 に 示 し た
とおりであり,4 点と 5 点が最も多い人数となった。参加者全員の平均
は 4.1( S.D.= 1.99)で あ っ た 。ア ン ケ ー ト の 得 点 と 音 読 課 題 に お け る 短
縮 率 の 関 連 性 を 検 討 す る た め Pearson の 積 率 相 関 係 数 を 求 め た と こ ろ ,
相 関 は 弱 く 有 意 で は な か っ た ( r = 0.13)。
10
8
(
人 6
数
4
人 2
)
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
得点(点)
図 4
視機能アンケートにおける得点別人数
Ⅳ
考察
本研究では,青色系と黄色系の色フィルムを用いて透過性に段階を設
け,最も見やすい色フィルムについて検討した。さらに,対象者が選択
した色フィルムの使用が読みの流暢性(音読時間の短縮率)に与える影
響について検討するとともに,読書時の視覚的不快を主観的に評価する
視機能アンケートを行い,両者の関連性について検討した。以下,それ
ぞれについて得られた結果について考察する。
1.最も文字の見やすい色フィルムの選出
色 フ ィ ル ム 10 種 類 の 中 で 最 も 文 字 が 見 や す い 色 を 選 出 す る 課 題 に 対
し ,参 加 者 40 名 の う ち 約 半 数 の 19 名 が「 黄 色 系 60%」か「 黄 色 系 80%」
を 選 択 し た 。 熊 谷 (2006)
1 5) や 川 端 他 (2008 11) ,
2009 12) , 2011 1 3) )の 報 告 で
は,最も見やすい色としていずれも水色が最も多く選出されており,こ
れまでの日本人を対象とした研究とは異なる結果となった。海外では,
黄 色 系 な ど 青 系 以 外 の 色 が 高 い 選 択 率 を 示 し た 報 告 が あ る( e.g., Evans
& Joseph, 2002 5) ; Scott, McWhinnie, Taylor et al., 2002 24) )。 Ray,
Fowler and Stein (2005) 22) は ,読 み 困 難 児 を 対 象 と し て ,黄 色 フ ィ ル タ
ーの使用により読みが改善することを認めた。黄色系フィルター(カラ
ーレンズ)は,散乱などにより羞明(まぶしさ)を引き起こす短波長光
(青色光)をカットする機能を有する。以上のことから,黄色系フィル
ムは,短波長光を遮断することで視覚的不快を低減し,多くの参加者が
見やすい色として選出したのではないかと考えられる。
また,日本人を対象とした先行研究と選出色が異なる理由の一つとし
て,本研究では色フィルムの透過性を操作した点が考えられる。本研究
で最終的に選択された色フィルムの上位 4 位は,
「 黄 色 系 60%」
「黄色系
80%」「 青 色 系 60%」「 青 色 系 80%」で あ っ た 。黄 色 系 だ け で は な く 青 色
系においても透過性の高いものが選出されていたことから,色に関わら
ず透過性が高いフィルムについて文字が見やすいと判断される傾向があ
る と い え る 。し か し な が ら ,透 過 性 の 低 い 色 フ ィ ル ム( 透 過 性 0%と 20%)
を 選 出 し た 参 加 者 が 9 名 お り ,こ れ は 参 加 者 全 体 の 2 割 を 超 え る 人 数 で
あった。以上のことから,透過性については参加者の判断に影響を及ぼ
していることが推察されるが,個人差が大きいことがうかがわれた。
2.色フィルムの使用が読みの流暢性に及ぼす効果:音読時間の短縮率
本研究では,各参加者について,色フィルムなし条件の音読時間に対
する色フィルムあり条件の音読時間の短縮の割合を示す短縮率を算出し
た 。全 参 加 者 の 平 均 音 読 時 間 よ り も 標 準 偏 差 の 2 倍 の 範 囲 を こ え た 短 縮
率 ( 7.6%以 上 の 短 縮 率 ) を 示 し た 参 加 者 は , 40 名 中 2 名 で あ っ た 。 読
み 速 度 に つ い て は , 数 %か ら 10%超 の 改 善 効 果 を 認 め た 先 行 研 究 が 報 告
さ れ て い る( Bouldoukian, Wilkins, & Evans, 2002 3) ; Smith & Wilkins,
2007 2 9) ; Wilkins, Lewis, Smith et al., 2001 3 8) )。 Singleton and
Henderson(2007b)
27 ) は , 初 等 教 育 の 児 童 の う ち 読 み 速 度 で
10%以 上 の
改 善 を 示 し た 者 が 14%,中 等 教 育 の 生 徒 で は 22.4%で あ っ た と 報 告 し て
い る 。Evans and Joseph(2002) 5 ) は ,対 象 と し た 大 学 生 の う ち ,5%を 上
回 る 読 み 速 度 の 改 善 効 果 を 認 め た 者 が 全 体 の 38%ほ ど 存 在 し た と 報 告
し て い る 。 本 研 究 で 有 意 な 改 善 を 示 し た 者 の 割 合 は 5%で あ り , 以 上 の
先行研究に比べると低い数値ではあったが,色フィルムの使用により読
み速度が向上する者が確かに存在することを支持するである。
先行研究に比べて本研究で有意な改善を示した割合が低かった理由は,
分析指標の相違など多くの要因が考えられるが,主たるものとして音読
課題に要する時間の短さが考えられる。本研究では,参加者の負担をで
き る だ け 軽 減 す る た め に ,音 読 課 題 1 試 行 に 要 す る 音 読 時 間 が 1 分 間 程
度の文章を使用することにした。読書時間が長くなるにつれて,読書に
及ぼす文字の見えづらさの影響が強まることは容易に想像される。
Tyrrell, Holland, Dennis et al. (1995) 33 ) は ,子 ど も を 対 象 と し て ,全 体
で 15 分 間 の 読 書 時 間 の う ち 最 初 の 5 分 間 で は 読 み 速 度 に お け る 色 フ ィ
ル ム の 効 果 は な か っ た が ,最 後 の 5 分 間 で は 色 フ ィ ル ム に よ る 改 善 効 果
が認められたと報告している。このことから,本研究では音読課題の文
章量が少なかったことから,改善効果が出現しづらい課題条件になって
いたと推察される。文章量が多い条件において改善効果が向上するかど
うかが今後の検討課題として残された。
3.読書時の視覚的不快に関する主観的評価と読み速度との関連
本研究の参加者に対して,日常の読書時における文字の見え方など視
覚に関連する不快感の自覚症状についてアンケートを実施した。質問事
項への主観的評価を得点化し,音読時間の短縮率との関連性について分
析 し た 結 果 ,両 者 の 間 に 有 意 な 相 関 は 認 め ら れ な か っ た 。Wilkins, Lewis,
Smith et al.(2001)
38) で は , 視 覚 的 不 快 に 関 す る 主 観 的 評 価 と 読 み 速 度
について有意な相関を認めたが,相関係数は低く,弱い相関にとどまっ
て い た 。 ま た , Hollis and Allen(2006)
10 ) で は , 主 観 的 評 価 と 読 み 速 度
の関連は有意ではなかった。これらのことから,質問紙による主観的評
価から色フィルムによる読みの改善効果を予測することは困難であると
いえる。今後,色フィルムの効果を検証する際には,本人による主観的
評価と読み速度などの客観的評価の二つの次元が必要であると考える。
4.色フィルムの作成
最後に,色フィルムの作成について考察する。我が国における先行研
究 ( 後 藤 他 , 2011 18 ) ; 川 端 他 , 2008 11) , 2009 12) , 2011 13 ) ; 熊 谷 , 2006 15) )
で は Irlen Institute 製 の Irlen Overlay が 使 用 さ れ て い た が , 本 研 究 で
は OHP シ ー ト に カ ラ ー プ リ ン タ で 着 色 し た も の を 使 用 し た 。OHP シ ー
トは,使用するソフトやプリンタの種類によって色調の違いがあるとい
う難点はあるものの,使用者の好みに合わせて色や透過性を自由に調整
することができるという利点がある。また,使用しやすい形状に切りと
る こ と も 容 易 に で き る と い う 利 点 も あ る 。以 上 よ り ,OHP シ ー ト は ,好
みに合わせて簡単に色フィルムが作成できる素材であるといえる。
Ⅴ
おわりに
最近,読み困難の子どもを支援するツールとして,色フィルムを紹介
する文章をみることがある。本論文の冒頭でも述べたように,色フィル
ム に よ る 読 み の 改 善 効 果 に つ い て は ,現 時 点 で は 科 学 的 な 検 証 に 乏 し く ,
確定された知見には至っていない。それにもかかわらず,一部の国では
色フィルムや色つき眼鏡が読みを改善する効果的な補助ツールとして流
布してしまった。このような状況に対して,多方面より否定的な見解が
表 明 さ れ て い る が ( American Academy of Pediatrics et al., 2009 2) ;
Evans, 2001 4) ; Handler et a., 2011 7) ; Hyatt et al., 2009 9) ), そ の こ と が
わが国で紹介されたことはほとんどないように見受けられる。このよう
な状況を解消するため,今後,さらに科学的根拠を蓄積し,確かな知見
を公表していくことが必要である。
〈文
献〉
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