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Instructions for use Title 国法体系における条約の適用(1

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Instructions for use Title 国法体系における条約の適用(1
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国法体系における条約の適用(1) −ヨーロッパ人権
条約の国内適用を素材として−
齊藤, 正彰
北大法学論集, 46(3): 201-251
1995-09-29
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/15622
Right
Type
bulletin
Additional
Information
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Information
46(3)_p201-251.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
国法体系における条約の適用
││ヨーロッパ人権条約の国内適用を素材として││
第一款本稿の概要
立
早
次
第三款裁判例の現状
北法 46(3・2
0
1
)
6
3
5
目
第二款学説の展開
章
3
研
第一章条約の国内適用と欧州人権条約
正
ト
第一款国際法学上の議論
藤
、-./
ノ
第一節条約の国内適用
斉
一
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究
序
研究ノート
第二款条約の囲内的効力
第三款国法秩序の段階構造における条約の地位
第一款歴史
第一一節欧州人権条約
第三款実施機構
第二款個人の権利保護
第一款欧州人権条約の国内適用の必要性
第三節欧州人権条約の国内適用
第二款欧州人権条約の国内適用に際しての憲法との調和化
第三一款ドイツ連邦共和国における欧州人権条約の国内適用
第二章欧州人権条約の地位問題
第三章欧州人権条約の間接的な憲法的地位
むすびにかえて
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国法体系における条約の適用(1)
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り、また、憲法と条約との関係についての議論の枠組をなして
場合、憲法との問での形式的効力の優劣関係が中心的論点であ
うに、憲法学が条約の国内適用の問題を考える際には、多くの
権条約にまで広げる説もある。しかし、いずれにせよ、このよ
(4)
在し、さらに、そのような例外的な条約優位の範囲を、国際人
いる。ただし、ニ疋の範囲で憲法優位に例外を認める見解も存
影響もあり、憲法優位説が通説的地位を獲得して今日に至って
(
3
)
て、当初は条約優位説が有力であったが、その後、国際情勢の
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本稿の概要
実効性確保に関する問題を検討するものである。
本稿は、条約、とりわけ国際人権条約の国内裁判所における
(l)(2)
款
日本国憲法における憲法と条約との形式的効力の関係につい
北法46(3・203)637
章
N∞口F耳
目
序
本稿の観点
第
研究ノート
置かれていたのは、主に、日米安保条約をはじめとする二国間
いる。しかも、このような議論の枠組が形成された際に念頭に
国際人権条約の実効性確保についても、そのような枠組を前提
であるかを最大の関心事としてきたものと考えられる。そして、
ずれも、国法秩序の段階構造において最上位に立つ法形式が何
もかかわらず、近時しばしば指摘されるように、こと国際人権
し、少なくとも法律には優位するということを承認してきたに
また、従来から、判例・学説ともに、条約が国内的効力を有
い、すなわち、必ずしも憲法と条約のいずれが形式的効力にお
約が国法秩序の段階構造において単独で最上位にある必要はな
おける国際人権条約の実効性を確保するためには、必ずしも条
とした議論が展開されてきた。しかし、本稿は、国内裁判所に
(
5
)
条約であったといえるであろう。
条約に関しては、その圏内裁判所における実効性という点を見
いて優位するかを問題とする必要はないと考える。つまり、圏
(
6
)
る限り、現状が、﹁誠実に遵守することを必要とする﹂という
内裁判所における国際人権条約の実効性確保に際しては、憲法
憲法学が、条約の囲内適用に関して、憲法と条約のいずれが
憲法に対するのと同等の尊重ないし配慮が国内裁判所によって
に優位するか否かが重要なのではなく、国際人権条約に対して、
要請に十分応えているといいうるか、疑問が残らなくもない。
形式的効力において優位するかという、国法秩序の段階構造に
なされうるか百かが問題だと解されるのである。
本稿の対象範囲
問題に検討を加えるものである。
本稿は、ヨーロッパ人権条約の園内適用を素材として、この
(7)
おける条約の地位を主要な論点としてきたことは、国際人権条
約についても基本的に変わりはない。これに対して、本稿は、
国内裁判所における国際人権条約の実効性確保を考える場合に、
国法秩序の段階構造における条約の地位という問題は、少なく
とも従来論じられてきたような形においては、必ずしも重要性
を生ずる。そこで、そのようにして圏内的効力を有する条約、
条約は日本国憲法七条一号によって公布されると圏内的効力
という、最高法規としての憲法とそれ以下の法形式との対立と
すなわち、国法の一形式となっている条約の、圏内裁判所での
を有しないと考える。従来、憲法優位説は、憲法対条約・法律
いう枠組をとり、条約優位説は、条約対憲法・法律という、国
適用が問題となるが、本稿は、条約の囲内適用を論ずるにあた
(
8
)
際法と圏内法との対立という枠組をとってきたと解される。い
北法46(3・
204)638
国法体系における条約の適用(1)
って必要なことは、条約が二疋の範囲で裁判規範としての効力
の議論は、日本国憲法の下での条約違反を理由とする最高裁判
所への上訴の問題について、何らかの一示唆を与えるのではない
違反を理由とする連邦憲法裁判所への憲法異議の可否について
なる形で、条約に裁判規範としての効力を認めうるかという問
かと考えられる。
を有することを前提にして、いかなる訴訟類型において、いか
題を究明することであると考える。本稿の考察は、個々の具体
的な訴訟類型と国際人権条約との関わりまでは論じえないが、
る慣習国際法の囲内適用の問題には立ち入らない。また、国際
本稿は、条約を検討の対象とし、いま一つの国際法法源であ
前提をなさないものも含まれるが、従来、憲法学において日本
される問題に触れる(第一章第一節)。直接には本稿の考察の
以下、本稿では、まず、条約の囲内適用を論じる際の前提と
本稿の構成
裁判所の判決ならびに国際機構の決定および勧告等の国内的効
ものであるので、ここで言及しておくこととする。また、本稿
国憲法の下での条約の国内適用の問題に関して論じられてきた
そのような検討を展開する前提について考察するものである。
を扱うが、欧州人権委員会の決定および欧州人権裁判所の判決
力の問題にも論及しない。したがって、本稿は、欧州人権条約
体系における国際人権条約に関する状況に鑑みると、その実行
ているが、後述(本章第二款)のように、これらの国々の国法
ては、アメリカ合衆国、イギリス、カナダ等の判例が注目され
ドイツ連邦共和国に範をとることとする。国際人権法学におい
本稿は、欧州人権条約の園内適用を検討の対象とし、主に、
の地位の問題に関する議論を叫瞥見する(第二章)。そして、地
邦共和国における、国法秩序の段階構造における欧州人権条約
じめに、欧州人権条約の発効当初からの締約国であるドイツ連
する問題を素材として考祭を行う(第二章および第三章)。は
次に、ドイツ連邦共和国における欧州人権条約の国内適用に関
ここで瞥見しておくこととする(第一章第二節および第三節)。
が素材とする欧州人権条約、およびその国内適用についても、
を直接的に、あるいは全面的に導入することには疑問が残るの
現在の議論を検討する(第三章)。なお、日本国憲法の新たな
位問題から離れて、欧州人権条約の憲法的尊重の実現に至った
に関する問題は扱わない。
いて欧州人権条約が援用された例も多く、また、欧州人権条約
である。ドイツ連邦共和国においては、実際に国内裁判所にお
北法4
6(
3・2
0
5
)
6
3
9
研究ノート
いて簡単に整理しておくことで、結論に代えることとしたい。
最後に、これらの考察と日本国憲法の下での問題との関連につ
解釈を提示することは、本稿の能くするところではないので、
を憲法違反に準ずるものとして扱い、上告理由に該当するもの
に対する意味での条約優位説は、法律等の人権規約違反の主張
るとしても、次のような指摘も見出される。すなわち、﹁法律
とすることによって、圏内法整備のためのインセンティヴ効果
にどのように生かしていくかは、現代憲法の重要な課題である﹂
憲法学においても、﹁国際的な憲法的規範を国内の憲法秩序
ありうるかと思われる﹂といったものである。これらの見解は、
反の具体的措置を適用違憲に準ずるものとして扱うべき場合も
考えることもできるように思われる¥また、﹁国際人権規約違
さらに、条約を国内法の解釈基準として用いることについて
(HH)
ことが指摘されている。とりわけ国際人権条約に関しては、
国際人権規約を憲法に準ずるものとして扱う可能性を示唆する
も指摘がなされている。例えば、国際人権規約は﹁それ自体
(9)
﹁日本国憲法下の人権保障は、条約も視野に入れつつ、具体的
ものである。
について、﹁わが国も、国際人権規約を批准承認しており、そ
従来からの憲法と条約との形式的効力の優劣の問題、すなわち
国際人権条約と憲法との関係に関する議論が、基本的には、
つまり、人権条約の趣旨を具体的に実現していくような方向で
条約に適合するように解釈していくことが必要だと思うのです。
違憲の主張を裏づける根拠となりうる﹂とし、﹁憲法のほうを
(日)
の意味で、それはわが国の人権保障にとって看過できない条約
││わが国の場合のように│l一定の裁判規範的意味をもち
国法秩序の段階構造における条約の地位の問題を基礎としてい
(日)
である﹂とされる。
{叩)
に捉えて行く必要があろう﹂とされ、また、特に国際人権規約
(日)
が違法の段階から憲法の領域にさかのぼり、適用違憲であると
きよう。そしてさらにすすんでは、規約に反する公権力の行使
力の行使を違憲でないとしても違法であると構成することがで
法をこえた保護を与える法令としてとらえ、規約に反する公権
へMM)
なお、本論に入る前に、その前提として、日本国憲法の下で
を期待することができるはずであるヘ﹁︹国際人権︺規約を憲
学説の展開
の学説および裁判例の状況について、若干敷約することとする。
款
解釈基準としての条約
第
北法46(3・
2
0
6
)
6
4
0
ためには、条約優位説のほうが優れているとみることもできる。
です﹂とする見解が存する。また、﹁人権条約を直接に生かす
憲法を解釈する、それが憲法解釈として必要になってくるわけ
法原則を解釈、適用する際の指針として、あるいはその解釈・
いる。国際人権文書の間接適用とは、﹁憲法その他の法規範、
を範として、国際人権文書の間接適用という手法が指摘されて
国際人権文書の囲内的実施に関して、アメリカ合衆国の判例等
(犯)
しかし﹂、﹁憲法優位説にたっても人権規約の線に沿った憲法解
判断を補強するものとして国際人権基準を援用することをい
(お)(お)
釈をとることにより規約を生かすことができよう﹂とする見解、
う﹂とされている。
国際人権丈書の間接適用は、﹁当該行為と国際人権基準との
(げ)
あるいは、﹁憲法よりも同一趣旨の条約の人権保障の内容が広
かったり具体的に詳細である場合で、この際は条約によって憲
両立性を直接判断するのではなく、あくまで国内法の解釈、適
(沼)
法の内容を豊宮同化することが可能であり、ある場合にはそれを
用に国際人権法の内容を反映させていこうとするやや迂回した
権文書の法的性格、換言すれば法的拘束力の有無が、それほど
(明日)
て国際人権基準に依拠しうるようになること、第三に、国際人
約の国内的効力が認められていない国でも、囲内裁判所におい
所にとって比較的受け入れやすいものであること、第二に、条
る。すなわち、第一に、条約の直接適用に比べれば、国内裁判
(お)
(幻)
憲法の内容として主張することもできよう﹂とする見解も存す
方法﹂である。しかし、一般に、以下のような利点が指摘され
(印)
る
。
(初)
国際人権法と国際文書の間接適用
川特色
(幻)
しかし、いわゆる﹁国際人権法﹂の領域では、従来、国際法
問題とならないこと、したがって、自国が締結していない条約、
国内適用の問題についても、これまで、
学からの議論が中心となっており、国際人権法の国内的実施、
L
F
すなわち国際人権
あるいはそもそも締約固となりえないような条約でも援用しう
国際人権文書の間接適用は、二つの効果を有するとされる。
m25︼間性といった問題を回避できること、等である。
ること、第四に、条約規定の直接適用可能性ないしは印町民4
2
国際法学からの示唆が中心となっている。
(幻)
国際法学においては、以前から、﹁合致の推定﹂という観念
の下に、圏内裁判所が囲内法を条約適合的に解釈するという原
(弘)
則の存在が指摘されていたが、特に国際人権法学においては、
北法4
6
(
3・2
0
7
)
6
4
1
一
一
国法体系における条約の適用(1)
研究ノート
第一に、﹁囲内法の規定があいまいで二通りの解釈が可能なと
(鈎)
きに、その解釈基準となり、国際人権法に合致する方の解釈を
カナダも、イギリスと同様に、条約の囲内的効力を認めてい
制カナダ
ないが、裁判所は、﹁一九八二年に制定された﹃カナダ人権憲章﹄
(お)
選択させるという効果をもっ﹂。そして、第二に、﹁国際人権法
の解釈のために、国際人権法を実に積極的に参照している﹂と
(幻)
は、国内法の一般概念の内容を示すという効果をもっ﹂のであ
される。ここで、カナダは、欧州審議会の加盟国ではなく、し
(幻)
る
。
たがって欧州人権条約の締約国にはなりえないにもかかわらず、
欧州人権条約、ならびに、欧州人権委員会および欧州人権裁判
いる。そもそも欧州人権条約の締約国とはなりえないカナダに
所の判断が、積極的に参照されているということが注目されて
おいて欧州人権条約が間接適用されている一因として、一九八
山諸外国の例
アメリカでは、一九八0年 代 に 、 い わ ゆ る 国 際 人 権 訴 訟 が 隆
二年のカナダ人権憲章の成立に際して、欧州人権条約の影響を
制アメリカ合衆国
盛を見た。当時、アメリカは、国際人権規約すら批准しておら
受けたことが指摘されている。
(お)
い状況にあった。そこで、国際人権文書を国内法の解釈基準と
ず、国内裁判所における国際人権基準の直接適用を期待しがた
して用いる方法が提唱され、国際人権法学も大いに発展したの
同日本の裁判例
(辺)
である。しかし、一九九0年 代 に 入 り 、 そ の 傾 向 に は 陰 り が 見
従来の裁判例の中で、国際人権文書を間接適用して原告に有
利な結果を導いたものとして指摘さし認のは、いわゆる在日韓
国人国民年金誤用訴訟における東京高裁昭和五八年一 O月二O
日件以である。本判決は、﹁国籍要件をあらゆる場合につき維
られるとされる。
川イギリス
(お)
﹁イギリスでは、条約は国内的効力はもたないが、それが国
持・貫徹すること﹂が﹁やむを得ない公益上の必要には当らな
内法の解釈基準となることは認められている﹂とされる。寸実
際に、貴族院を含めかなりの裁判所が、国内法の解釈にあたっ
い﹂ことの理由の一つとして、﹁昭和五四年以来我が国は国際
(山崎)(お)
てヨーロッパ人権条約に言及している﹂とされる。
北法46(3・208)642
国法体系における条約の適用(1)
を推進すべき責任を負って﹂いることを挙げている。
人 権 規 約 (A規 約 ) 九 条 に よ り 外 国 人 に 対 し て も 社 会 保 障 政 策
おける直接適用が不可能である国際文書の活用方法として間接
合衆国、イギリス、カナダ等の国々は、そもそも国内裁判所に
しては上告を棄却しているが、国際文書の間接適用の例とされ
また、最高裁大法廷昭和三九年一一月一八日判決も、結論と
認めない傾向にあるので、国内でそれを援用するには間接適用
RE5問qgq の 理 論 に よ っ て 囲 内 裁 判 所 に お け る 直 接 適 用 を
国 際 人 権 条 約 の 締 結 に 消 極 的 で あ り 、 ま た 締 結 し て も 路 氏'
Z
-
適用を行うものである。つまり、アメリカ合衆国は、そもそも
{HU)
る。本判決は、﹁法の下における平等の原則は、近代民主主義
という方法になる。さらにアメリカ合衆国は、未批准の条約と
(必)
れており、また既にわが国も加入した国際連合が一九四八年の
諸国の憲法における基礎的な政治原理の一としてひろく承認さ
ともに、そもそも法的拘束力を有しない国際文書をも同様の手
際人権文書に依拠するには、間接適用しかないと考えられる。
では、条約の国内的効力が認められておらず、囲内裁判所で国
法で間接適用しているのである。また、イギリスおよびカナダ
第三回総会において採択した世界人権宣言の七条においても、
L
﹃すべて人は法の前において平等であり、また、いかなる差別
0
・・・・・・
と定めているところに鑑みれば、わが憲法一四条の趣旨は、特
もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する
本国が締結した条約﹂、すなわち国法の一形式として国内的効
これに対して、日本国憲法の下では、国際人権規約を含む﹁日
ものと解するのが相当である﹂と判示している。
力を有している条約の適用が第一の問題であり、上で例示され
段の事情の認められない限り、外国人に対しても類推さるべき
さ ら に 、 い わ ゆ る 森 川 キ ャ サ リl ン 事 件 に お け る 東 京 地 裁 昭
和六一年三月二六日判おは、原告の主張を退けたが、﹁原告の
こで提唱されている国際人権文書の間接適用の手法によれば、
しかしながら、その際に、既に締結され、囲内的効力が認めら
難な技術的論点とされる問題を回避することも可能であろう。
照することも可能となるであろうし、印主・22EE四一性等、困
た国々とは、状況が本質的に異なると考えられる。確かに、こ
主張は、憲法を自由権規約に合致するよう解釈することを具体
法的拘束力を有しない宣-一一けや決議、さらには未批准の条約を参
(川制)
的に求めた典型的事例として注目され﹂ている。
間接適用の問題点
しかし、国際文書の間接適用の例として一不された、アメリカ
北法 4
6(
3・
2
0
9
)6
4
3
研究ノート
れている条約と、未批准の条約、およびその他の法的拘束力を
有しない国際文書とが、国法体系におけるその実際上の効果に
おいて相対化される恐れがないかという疑問が生ずる。
裁判例の現状
の統一性確保の要請からは、逆に条約の憲法適合的解釈が導き
のではないであろうか。条約優位説を採らない限り、国法秩序
ることが要請されうるのかが、必ずしも明らかにされていない
ける地位において優位する憲法に対して、条約を解釈基準とす
諸国の事例が示されるのみで、なぜ、国法秩序の段階構造にお
現の自由に関する規定であるから、憲法二一条で保障されてい
一一月二五日判決は、﹁この規定︹H自 由 権 規 約 一 九 条 ︺ は 、 表
いわゆる法廷メモ訴訟の二審判決である東京高裁昭和六二年一
るものでないこともいうまでもない﹂と判示しており、また、
に 反 す る も の で な い 以 上 、 国 際 人 権 規 約 B規 約 二 六 条 に 抵 触 す
例えば、東京地裁昭和五九年八月二九日判決が、﹁憲法一四条
(必)
出されることとなりうる。憲法適合的解釈と同様に説明されう
る、表現の自由以上の意味を持つものと解することはできない﹂
(幻)
としている。
国際的義務が尊重されることが望ましいとするだけでは、国内
考えられる。過去の事例の存在を指摘し、あるいは条約による
および特別上訴(刑事訴訟法上の特別抗告、ならびに民事訴訟
る。つまり、条約違反を理由とする場合、刑事訴訟法上の上告、
する難点の一つとして、最高裁判所への上訴の制限の問題があ
また、現行法上、国際人権条約違反を理由とする訴訟が直面
最高裁判所への上訴に関する問題
とを理由づけるに十分ではないのではないであろうか。
刑 事 訴 訟 法 四O 五 条 お よ び 四 三 三 条 に よ れ ば 、 上 告 お よ び 特 別
法上の特別上告および特別抗告)は認められないこととなる。
裁判所が常に憲法の条約適合的解釈を行う法的義務を有するこ
国法秩序の段階構造における憲法の優位性を前提としたものと
ける間接効力説を佑御させるものがあるが、間接効力説とて、
るのは、法律および命令の条約適合的解釈であると解される。
(MM)
国際人権条約に関する裁判例を見ると、典型的なものでは、
従来の裁判例
款
また、間接適用という考え方は、憲法の私人間効力の問題にお
しかも、国際人権文書の間接適用の根拠については、上述の
第
北法4
6
(
3・
2
1
0
)
6
4
4
国法体系における条約の適用(1)
抗告の理由は、憲法の違反があること、もしくは憲法の解釈に
権文書の間接適用の事例としても引用された、最高裁大法廷昭
た、民事訴訟法四O九 条 の 二 お よ び 四 一 九 条 の 二 に よ れ ば 、 特
で﹁世界人権宣言﹂が参照されているという点である。これに
﹁近代民主主義諸国の憲法における基礎的な政治原理﹂と並ん
和三一九年一一月一八日判以である。ここで注意すべき点は、
別上告および特別抗告の理由は、憲法解釈に誤りがあることそ
倣うものとしては、東京地裁の昭和五七年九月一一一一日の二件の
削除以が挙げられる。それらは、﹁憲法一四条の規定する法の下
誤りがあること、または判例に反することに限られており、ま
の他の憲法違背があることに限られるのである。最高裁第一小
刑訴法︺四O 五条各号の上告理由にあたらず﹂として退けてい
規定が自由権規約に違反し無効であるという主張を、﹁同法︹ H
易保険局事件判決において、国家公務員法および人事院規則の
たものとされる昭和五六年一 O 月一一一一日判決、いわゆる高松簡
解される﹂とし、結論的には、世界人権宣言との抵触について
の認められない限り、外国人に対しても類推されるべきものと
宣言七条の規定に鑑みると、憲法一四条の趣旨は、特段の事情
的な政治原理の一として広く承認されており、また、世界人権
における平等の原則は、近代民主主義諸国の憲法における基礎
(必)
法廷は、最高裁判所が初めて国際人権規約について判断を一不し
る
。
るためには、 B規約一四条三項川、川の規定するような権利を
1
以上のような国際人権条約に﹁きわめて冷淡﹂な裁判例と国
保障し﹂なければならないことはもとよりである、として憲法
(
ω
)
としているのである。また、東京高裁平成田年五月一一七日判決
(日)
直接判一不することなく、﹁憲法一四条に違反するものではない﹂
解釈基準としての援用
は
、
憲法三七条三項の定める弁護人依頼権を実質的に保障す
および憲法九八条二項を通じての援用
(同)
際文書の間接適用の例とされる裁判例の存在が指摘される一方、
とともに自由権規約を適用する一方、﹁所論が指摘し援用する
(日)
本稿は、以下のような裁判例の存在に注目する。それらは、三
被告人ないし被拘禁者の人権に関する各種国際規約類等に照ら
(日)
これに対して、例えば、横浜地裁昭和五九年六月一四日判決
して考祭しでも、別段異なるところはない﹂とした。
つの類型に整理される。
まず第一に、判断に際して、国際法上の拘束力を有しない国
際人権文書を参照するものである。その典型例は、先に国際人
北法4
6(
3・2
1
1
)645
研究ノート
は、﹁憲法一四条の規定する法の下における平等の原則は、近
的には自由権規約違反の有無を明示的に判断しているが、
論の部分で、﹁近代民主主義諸国の憲法﹂および国際法上の拘
第二の類型として、﹁日本国が締結した﹂国際人権条約を、
代民主主義諸国の憲法における基本原理の一つとしてひろく承
憲法の解釈基準として用いる裁判例が挙げられる。例えば、先
束力を有しない﹁世界人権宣言﹂と、﹁日本国が締結した条約﹂
限り、外国人に対しても類推されるべきものと解するのが相当
に国際人権文書の間接適用に関しても引用された、東京地裁昭
認 さ れ て お り 、 ま た 、 わ が 国 が 批 准 し た 国 際 人 権 規 約 B規約二
であるが﹂、﹁国際人権規約 B規 約 二 六 条 、 二 条 一 項 の 法 の 下 の
和六一年三月二六日判決は、﹁我が国が批准した国際人権規約
(憲法九八条ご項)として法的拘束力を有する自由権規約とを
平等原則も、ほぽ右憲法一四条と同旨のことを規定したものと
B規 約 一 二 条 四 項 の 規 定 を も っ て 、 我 が 国 の 憲 法 解 釈 上 外 国 人
並列に扱っている点について問題なしとしない。
解され、右憲法に関して説示した判断が妥当するものと解され
の再入国の自由を認めたものとすることはできない﹂とした。
ると、憲法一四条の規定の趣旨は、特段の事情の認められない
る ﹂ と し 、 ま た 、 福 問 地 裁 小 倉 支 部 昭 和 六O年 八 月 二 三 日 誌
また、大阪高裁昭和六三年四月一九日判決は、﹁法の下の平等
六条及び世界人権宣言七条にも同趣旨の規定があることに鑑み
は、﹁法の下における平等の原則は、近代民主主義諸国の憲法
を規定する憲法一四条に関しても全く同様であって、我が国も
事情の認められない限り、外国人に対しても類推されるべきも
的及び政治的権利に関する国際規約二六条等の趣旨を十分考慮
旨にかんがみ、特に慎重な配慮を要する﹂とした上で、﹁市民
(貯)
における基本的な原理の一つとしてひろく承認されており、国
批准している所論国際人権規約における内外人平等の原則の趣
のと解するのが相当であって、もし、在留外国人が、合理的理
に容れても、所論のいう憲法一四条違反の問題を生じない﹂と
(日)
定があることに鑑みると、憲法一四条の規定の趣旨は、特段の
際 人 権 規 約 B規 約 二 六 条 及 び 世 界 人 権 宣 言 七 条 に も 同 趣 旨 の 規
由なく差別的な取扱いを受けたときは憲法一四条及び国際人権
した。
昭和三九年の最高裁判決に対し、国際人権規約批准後の判断と
的及び政治的権利に関する国際規約﹄二四条一項の規定の精神
これに対して、東京高裁平成五年六月一一一一一日決定は、﹁﹃市民
(問)
規 約B規 約 二 六 条 に 違 反 す る ﹂ と し て い る 。 こ れ ら は 、 上 述 の
して、自由権規約にも言及したものである。両判決とも、最終
時
主
北法4
6
(
3・2
1
2
)
6
4
6
国法体系における条約の適用 (
1
)
及び我が国において未だ批准していないものの、近々批准する
二条二項の
はできない﹂としている。
ところが、この類型においては、未批准の条約ゃ、そもそも
国際法上の拘束力を有しない国際文書が、﹁確立された国際法
L
精神等に鑑みれば﹂、﹂思法一四条一項の規定に違反する﹂と判
る
。
規﹂であるとの主張の下に援用されることが、しばしば存在す
ことが予定されている﹃児童の権利に関する条約
示している。ここでは、拘束力を有する既批准の条約と、未批
(関)
准の条約とが、しかもその﹁精神﹂に鑑みるという形で並列に
ことには、疑問があろう。また、それらの判断の枠組は、当事
以上のような三類型を、裁判所が意識的に用いているとする
最後に、第三一の類型として、憲法九八条二項を通じて条約を
者の主張の在り方に左右されることもあると考えられる。しか
扱われている点に疑問が残る。
援用する裁判例が挙げられる。この類型に属する裁判例は数多
臼)
しながら、本稿においては、とりあえず、従来の裁判例におい
(ω)(
いが、例えば、最高裁第三小法廷平成五年三一月一一日判決は、
て、拘束力を有しない国際人権文書が参照される場合があり、
(位)
﹁国公法九八条二項が右各条約に抵触するものとはいえない。
国際人権条約が憲法規定の解釈基準として援用される場合があ
以下本稿では、以上のような裁判例の存在を背景として、憲
場合があるということが重要である。
り、また、憲法九八条二項を通じて国際人権条約が援用される
右抵触を前提とする所論憲法九八条一一項違反の主張は、失当で
ある﹂としている。東京地裁昭和一一一八年四月一九日札棋は、
﹁我が国は I L Oに加盟しており、かっ I L O第九八号条約を
法の条約適合的解釈の法的理由づけに関する問題、および現在
批准しているのであるから、若し国内法令が同条約に抵触する
場合には、その法令は憲法第九八条第一一項に違反するといわな
は制限されているところの最高裁判所への条約違反を理由とす
(臼)
ければならない﹂とした。大阪地裁昭和六一年七月一八日決{疋
る上訴の可能性に関する問題を念頭に置きつつ、検討を進める
{出山)
は、﹁これら各国際法規違反による憲法九八条二項違反の主張
こととする。
(白山)(釘)
は理由がない﹂とした。また、札幌地裁平成一一年二一月一一六日
判決は、﹁地方公務員法三七条一項が右条約に違反し、その結果、
条約遵守義務を規定した憲法九八条二項に違反するということ
北法46(3・
2
1
3
)
6
4
7
研究ノート
九九四年)七四頁。
(4) 江橋崇﹁日本の裁判所と人権条約﹂国際人権二号(一
九九一年)一一一一頁。この見解に対する批判として、例えば、
ジ斗リ一 O 二二号(一九九三年)三二頁註四、同﹁﹃国際
横田耕一﹁人権の国際的保障と国際人権の圏内的保障﹂
人権﹄と日本国憲法ーーー国際人権法学と憲法学の架橋
(3) 橋本公百一﹁条約の国内法的効力﹂ジュリ三O O号(一
国際規約(いわゆる A規約)を社会権規約と称すること
がある。
を自由権規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する
的及び政治的権利に関する国際規約(いわゆる B規約)
一一一年)二五六頁(﹁国際人権規約のような普遍性をもっ多
国間の条約は、囲内法としても憲法にほぽひとしい効力
えば、伊藤正己﹃憲法入門﹄︹第三版︺(有斐閣・一九九
約として一律に論ずるべきではなく、後者については特
別の考慮が必要であるとする見解が現れてきている。例
(5) 二国間条約と多国間条約との相違を強調し、両者を条
文(註 3)七四頁、佐藤幸治﹃憲法﹄︹第三版︺(青林書院・
一九九五年)三九五l三九六頁註一等。
││﹂国際人権五号(一九九四年)七頁、戸波・前掲論
九六四年)六七頁。また、憲法優位説の台頭について、
いわゆる日米安保条約との関連を特に指摘する見解も存
いう国際人権条約の一つである。なお、本稿では、市民
する。例えば、芦部信喜 H小嶋和司 H 田口精一﹁憲法の
年)三二五頁、一戸波江二﹁条約の修正﹂法セ四七一口す(一
代国際社会と条約の囲内法的効力﹂佐藤幸治 H中村陸男
H野中俊彦﹃ファンダメンタル憲法﹄(有斐閣・一九九四
法規の遵守﹂有倉遼吉 H小林孝輔編﹃基本法コンメンター
ル憲法﹄︹第三版︺(一九八六年)一ニ二九頁、中村睦男﹁現
基礎知識﹄(有斐閣・一九六六年)二四頁︹芦部執筆︺、上
野裕久﹁第九八条憲法の最高法規性、条約および国際
をもっ﹂とする)、芹浮斉﹁憲法と条約﹂法教一七三号(一
九九五年)七八 i七九頁等。
(6) 伊藤正己﹁国際人権法と裁判所﹂国際人権一号(一九
九O年)九!一 O頁、横田・前掲﹁人権の国際的保障と
国際人権の国内的保障﹂(註 4) 二八頁、同﹁人権の国際
的保障をめぐる理論問題﹂憲法理論研究会編﹃人権理論
の新展開﹄(敬文堂・一九九四年)一ムハ六 l 一六人頁等。
(7) 以下本稿では﹁欧州人権条約﹂と表記する。なお、名
(2) 本稿においては、国際人権条約とは、人権保護に関わ
る条約一般をいうものとする。国際人権規約も、本稿に
主たる関心の対象ではない。
(1) 本稿においては、条約とは、いわゆる広義の条約をい
うものとするが、いわゆる行政協定については、本稿の
註
北j
去46(3・214)648
国法体系における条約の適用(1)
称の問題については第一章第二節註臼(二三七頁)参照。
際人権条約の動向によって左右されるようなものではな
い、とみるべきであろう。だから、ある法令や行政措置が、
(叩)これに対して、﹁日本国憲法は、その内容や解釈が、国
国際人権条約に違反するが、憲法には違反しない、とい
(8) 本稿において﹁国法﹂の語を用いる場合、それは、﹁特
定の国家の法の総称﹂(竹内昭夫 H松尾治也 H塩野宏編集
代表﹃新法律学辞典﹄︹第三版︺(有斐閣・一九八九年)
いは﹁条約は条約であり、憲法は憲法である。だから、
うことがあっても、少しもおかしくないのである﹂、ある
条約に、すばらしいことが書いてあるからといって、憲
四八七頁)の意味である。なお、専ら圏内で制定された(国
﹁国内法﹂の語を用いることとする。
際法に起源を有しない)国法形式を総称する場合には、
法の条文を、それと同じものとして解釈していい、とい
(却)その定義は、例えば、﹁人権に関する条約や宣言、そし
てその実施を確保するための人権保障システムから成る
約に、すばらしいことが書いてあるから﹂というだけでは、
憲法の条約適合的解釈を正当化できないであろう。
年)三人、一二一一頁)とする見解も存在する。確かに、﹁条
とウラ不利な立場の人々の視点﹄(明石書庖・一九九二
うことにはならないのである﹂(内野正幸﹃人権のオモテ
(9) 伊藤・前掲書(註 5) 一
一
一
一
頁
。
(叩)佐藤(幸)・前掲書(註 4) 三九五頁。
(日)伊藤正己﹃憲法﹄︹新版︺(弘文堂・一九九O年)一八
六頁。
(日)伊藤・前掲論文(註6) 一一頁。
。
(ロ)樋口陽一﹃憲法﹄(創文社・一九九二年)一 O O頁
(H) 佐藤(幸)・前掲書(註 4) 一二六一頁。
(日)芦部信喜﹃憲法学H 人権総論﹄(有斐閣・一九九四年)
法体系﹂(阿部浩己 H今 井 直 ﹁ 入 門 国 際 人 権 法 山 国 際 人
権法の展開﹂法セ四五四号(一九九二年)六六頁)とさ
れる。
四O頁
。
(凶)芦部信喜﹁人権の普遍性と憲法﹂法セ四三七号(一九
九一年)二九頁︹同﹃憲法叢説 2人権と統治﹄(信山社・
(幻)横田・前掲﹁人権の国際的保障をめぐる理論問題﹂(註
6) 一五九頁、同・前掲﹁﹃国際人権﹄と日本国憲法││
一九九五年)一一一頁以下所収︺。
(げ)野中俊彦 H浦部法穂﹃憲法の解釈IL(三省堂・一九八
国際人権法学と憲法学の架橋│││﹂(註 4) 七頁。
(詑)本稿では、締約国を拘束する条約と、国際法上法的拘
束力を有しない宣言・決議等とを総称する場合、これを
Z
。
6)一六六 貝
九年)三O 四頁︹野中執筆︺。
(日)横田・前掲﹁人権の国際的保障をめぐる理論問題﹂(註
北法46(3・
215)649
研究ノート
﹁国際文書﹂といい、それが人権に関するものである場
合には、﹁国際人権文書﹂と称することとする。なお、そ
れらの文書の内容に特に注目する場合には、﹁国際人権基
権法が国内法の解釈基準となることを国際人権法の﹃間
国内裁判﹂法セ四五六号二九九二年)七七│七八頁。
(お)問筏適用という用語について、﹁アメリカでは、国際人
考えて筆者は、学会報告の際にはこれを﹃間接適用﹄と
すでに囲内に﹃受容﹄され園内的効力をもつものである
から、むしろ﹃間接適用﹄というべきであろう﹂。﹁そう
接受容﹄と呼ぶ人が多い。しかし、条約も慣習国際法も
(お)深津栄一﹁国際法と国内法との﹃合致の推定﹄の問題﹂
日法二四巻一号(一九五八年)四八頁以下。
準﹂という語を用いることがある。
(担)例えば、深津栄一﹃国際法総論﹄(北樹出版・一九八四
と混同されるおそれを感じたので、本稿では、多少長い
き換えてその国内的実現をはかること(﹁国内的実施﹂)
が﹃国内法の解釈基準としての効果﹄と正確に表現する
呼んだ。しかし、立法者が国際法の内容を国内立法に書
こととした﹂(岩沢・前掲論文(註M) 一一一頁註ことす
年)一二三ハ頁、高野雄一﹃全訂新版国際法概論(上)﹄
際法講義﹄[第二版︺(有斐閣・一九九五年)一一一一一頁︹杉
る見解もある。
(弘文堂・一九八五年)一 O二頁、杉原高嶺ほか﹃現代国
原執筆︺、広部和也﹁国際法の国内的適用﹂寺浮一 H山本
草二日広部和也編﹃標準国際法﹄︹新版︺(青林書院・一
(幻)阿部 H今井・前掲﹁国際人権法と圏内裁判﹂(註お)七
九九三年)七二頁、松井芳郎ほか﹃国際法﹄︹新版︺(有
斐閣・一九九三年)二三頁︹松井執筆︺、岩沢雄司﹁アメ
(却)ただし、﹁圏内法の解釈基準としての権威はおのずと異
(お)同・右論文七八頁。
八頁。
八七巻五号(一九八八年)一八頁等。しかも、単に国際
リカ裁判所における国際人権訴訟の展開(ニ・完)﹂国際
法と囲内法の矛盾・抵触を回避するにとどまらず、﹁この
結果、実際上は、かなりの程度まで、国際法を憲法に優
に履行確保されるか﹂内田久司 H広部和也編﹁国際法を
位させたに等しい取扱をしています﹂(広部和也﹁国際法
の実現││国際法規範は圏内・国際法制の上でどのよう
(訂)同・右論文一九頁。
(却)山石沢・前掲論文(註剖)一八 l 一九頁。
ならざるをえない﹂(岩沢・前掲論文(註担)二O頁)と
される。
学ぶ﹄(有斐閣・一九七七年)七一頁)とされる。
(辺)阿部浩己 H今 井 直 ﹁ 入 門 国 際 人 権 法 凶 ア メ リ カ に お
ける国際人権訴訟の展開とその背景﹂法セ四五七号(一
(お)阿部浩己 H今 井 直 ﹁ 入 門 国 際 人 権 法 則 国 際 人 権 法 と
北法46(
3・
216)650
国法体系における条約の適用(1)
九九三年)六四頁。
(お)山石沢・前掲論文(註M) 一六頁。
(斜)同・右論文一七頁。
。
(判)判時二一六二号コ一O頁
(U) これについては、﹁硬い憲法優位説の遵守﹂(江橋・前
掲論文(註 4) 二一一頁)という批判がなされている。また、
伊藤・前掲論文(註 6) 一O頁、横田・前掲﹁人権の国
際的保障をめぐる理論問題﹂(註 6) 一六六│一六八頁。
(羽)刑集三五巻七号六九六頁。
(お)なお判例について、平良﹁イギリス法におけるヨ l ロ
ツパ人権条約の影棚脊﹂法研五九巻二号二九八六年)二
三│二七頁参照。
(刊)ただし、括弧書きで、﹁なお、国家公務員法、人事院規
(訂)行集三七巻三号四五九頁。
(同)判時一一七九号一五六頁。
(日)判時一一一一五号九六一員。
めの原則とが含まれるものと解される。
らゆる形態の拘禁・収監下にあるすべての人の保護のた
一一一月九日の国連第四三回総会において決議された﹃あ
ずしも明らかではない。ただ、判示にいう﹁一九八八年
されるが、具体的に何を指すのかは、判一不を見る限り必
(日)自由権規約以外のものであることは明らかであると解
(臼)判時一四三三号二二九頁。
八四六頁。
(日)刑集一八巻九号五七九頁。
(臼)行集三コ一巻九号一八一四頁、および行集三三巻九号一
。
(印)伊藤・前掲論文(註 6) 一O頁
違反するものではない﹂としている。
則の前記罰則は、右国際規約一八条、一九条、二五条に
(部)岩沢・前掲論文(註担)一七頁。また、阿部 H今井・
D-rm﹁﹃mny豆 島 問 白 ﹃ 同 三 百 円 巾
︹︼巾﹁︿巾﹁﹃白山田巴口問的}向。
=
r
z
E
4
前掲﹁国際人権法と国内裁判﹂(註お)七八頁。
(幻)欧州審議会については、後述第一章第二節第一款一(二
三O頁以下)参照。
(詔)民主言ミ切。著書き室戸︿
ggu
冨巾口印刷円}戸市門戸門町内}︼伴内白一回忌白﹄
│!10田 市 富 吉 田 口FE﹃巾円宮出向﹁巾ロロ主円Fr2円g
己 C ﹃Eロ品。
包巾﹃口口問
出]ニーム(]{匂∞む)・ ωmvH(品。印)岡巾回市門 N巾mT﹀ DH
お)七八頁、岩沢・前掲論文(註泊)二五頁註コ一五。
(却)例えば、阿部 H今井・前掲寸国際人権法と国内裁判﹂(註
(刊)行集一二四巻一 O号一七七七頁。
(剖)刑集一八巻九号五七九頁。
(位)岩沢・前掲論文(註出)二五頁註三五。
(日)行集三七巻三号四五九頁。
人官具。
(斜)阿部 H今井・前掲﹁国際人権法と囲内裁判﹂(註お)七
(伍)判時一 一二五号九六頁。
北法4
6
(
3・
2
1
7
)
6
5
1
研究ノート
(日)判時一一一一O 一号八五頁。
(臼)世界人権宣言、自由権規約、および難民条約を指す。
(侃)労判五七八号四O頁
。
(臼)判タ六二三号八一一員。
四O年一一月一六日判決・判時四三七号六頁、東京高裁
東京地裁昭和五二年一 O月一八日判決・行集二八巻一 O
一日判決・下刑集四巻一一 H 一一一号一 O九四頁、名古屋
地裁昭和四四年五月一五日決定・訟月一五巻九三七頁、
O巻一一号一八二七頁、東京地裁昭和三七年四月一八日
判決・判時三O 四号四頁、福岡地裁昭和三七年二一月二
(同)例えば、大阪高裁昭和五四年一一月七日判決・行集三
(
訂) I L O八七号条約を指す。
(印)高民集四六巻二号四三頁。
(印)本文中に挙げたものの他に、最高裁判所では、大法廷
昭和四四年四月二日判決・刑集二三巻五号三O 五頁、第
二小法廷昭和五八年一一月二五日判決・訟月三O巻五号
八二六頁、第一小法廷平成元年三月二日判決・判時二ニ
昭和六一年八月一四日決定・労判四八一号二七頁、大阪
月二五巻一一号二八一九頁、東京地裁昭和五四年二一月
六三号六八頁、第一小法廷平成元年九月二八日判決・判
高裁昭和六二年三月二二日決定・訟月三三巻九号二三五
八頁、東京高裁昭和六三年五月二六日判決・労判五一九
三日判決・ジュリ七四三号昭和五五年度重判二九四頁、
時二二四九号一五一頁、高等裁判所では、東京高裁昭和
号 七 三 頁 、 仙 台 高 裁 平 成 二 年 三 月 三 O 日判決・労判五七
大阪地裁昭和五六年二月二七日判決・判タ四五三号一四
一頁等がある。
号一一 O 二頁、神戸地裁昭和五四年六月二八日判決・訟
九号五二頁、福岡高裁平成四年一一月二四日判決・労判
六二O号四五頁、地方裁判所では、東京地裁昭和四一年
九月一 O 日判決・労民集一七巻五号一 O 四二頁、福岡地
、
裁昭和六三年一 O月五日判決・訟月三五巻四号七O O頁
東京地裁平成二年四月一九日判決・判時二二四九号三頁
等がある。
(引)判時一四五七号一四八頁。
(臼)社会権規約、 I L O八七号条約、および I L O九八号
条約を指す。
(臼)判時三三八号八頁。
北法46(
3・218)652
国法体系における条約の適用(1)
条約の国内適用と欧州人権条約
条約の囲内適用
をめぐるものである。したがって、国際法および国内法が有す
る様々な法形式の区別は、ここでは問題とはならない。つまり、
例えば、国法形式としての愈法と条約の関係が直接に問題とさ
国際法学上は、国際法の規律事項の増大によって国内法と国
れるということではない。
際法学上の議論は、条約の囲内適用について何らかの具体的な
国際法と国内法との関係についての一元論と二元論という国
関係をめぐる諸学説は、二元論と一元論に大別され、さらに後
して指摘される。国際法学上、一般に、この国際法と圏内法の
う認識に対して、両者を一元的に捉える理解が登場する背景と
国際法学上の議論
際法の規律領成の重複あるいは交錯が生じるようになったこと
帰結を導きうるものとは考えられず、本稿においても中心的な
者は、国際法優位の三冗論と国内法優位の二冗論とに分けられ
が、従来の、国際法と囲内法は相互に独立の法秩序をなすとい
問題として取り組まれるものではない。しかし、日本国憲法の
る。このうち、二元論と国際法優位の二冗論との聞の論争には、
第一に、一口に一元論あるいは二元論といっても、その主張
(
2
)
下での憲法と条約の関係について、憲法学においては、今日な
に関して、国際法学上、以下のことが指摘されている。
未だ決着がついていないとされるわけであるが、一方、この点
おく必要があると考えられる。ただし、ここで留意されねばな
内容および恨拠は様々であり、しかも、一元論の創始とされる
(
3
)
らないのは、二冗論と二元論という議論ないしは用語法につい
ケルゼンと一三ん論の創始とされるトリ l ペルの問でも、その議
一元論も二元論も、﹁それぞれ実際の妥当範囲には
(
4
)
て、本来の国際法学上の議論と、日本国憲法の解釈における憲
第二に、
とされる。
法学による理解との聞に、相違が存するということである。
まず、国際法学上の一元論と二元論という議論は、本来、総
論が﹁互いに噛み合わず平行線を辿っていることは明白である﹂
(
1
)
れることが少なくない。したがって、ここで確認的に言及して
お決着のつかない論争として、二冗論と一一元論の対立に触れら
一元論山と一一元幹一酬
第一款
第一節
章
体としての国際法秩序と国内法秩序とがいかなる関係にあるか
北法4
6
(
3・2
1
9
)
6
5
3
第
ト
研究ノ
ルの関係と、各国の国内法レベルの関係に区別して考えなけれ
(5)
限界があり、国際・国家実行に必ずしも適合しない﹂のであっ
ば な ら な い ﹂ と さ れ る 。 つ ま り 、 ﹁ 恨 底 的 な 理 論 的 対 立 は 後 景一
(
ロ
)
て、﹁これらの理論は、必ずしも現実の国際法と国内法の関係
に退いて﹂おり、﹁結局、実際的諸問題についての解答は、ぃ
(日)
を的確に説明するものではない﹂とされる。つまり、﹁これら
こうしたことから、国際法と国内法の﹁関係を正しくみるため
ずれの立場に立ってもそれほど異ならない﹂とされるのである。
(6)
の学説は、論理的に首尾一貫させることに主眼がおかれ、議論
こと、あるいは﹁国際法と国内法の相互抵触については、法規
(
M
)
の展開が規範論理的な形でなされているため、現実の法現象や
には、国際義務の履行に関する国際判例ゃ、条約の受容に関す
範体系の問題ではなく、各国の裁判所その他の国家機関による
(日)
実定国際法にそぐわない部分もみられ、いずれも実際の法現象
る憲法規定等にそくして、これを実証的に検討する必要がある﹂
﹁これらの諸理論は、いずれも国際法と国内法との論理的な関
(
7
)
を矛盾なく全体的に説明しているとはいえない﹂、あるいは、
係を論じるものであって、それらのいずれかをとって両者の実
実行を重視すべきだ、という考えが、学説上も有力になってい
(8)
定法上の関係を正しく説明することは困難である﹂とされるの
る﹂ことが指摘されている。そして、﹁原理的対立に容易に出
一元論と二元論との論争は、﹁しばしば政治的・イ
口が見出されない以上、実際面に議論を集中する傾向は今日の
(時)
である。
第三に、
こうした点に鑑みると、条約の国内的効力あるいはその実効
(口)(児)
デオロギー的主義主張に結びつき、また法の本質、国際法の法
しれない﹂とされる。
国際法学の主流であり﹂、﹁論争の歴史的使命は終わったのかも
(
9
)
(叩)
的性質といった法哲学的諸問題にも深く関わる﹂ことがあると
される。
性確保の問題を検討する場合、憲法学において、国際法学上の
一元論と二元論のいずれを採るかを決定する必要は、少なくと
第四に、﹁今日では、国内法と国際法が内容的に抵触する場
合いずれが優先適用されるかという問題については、一元論、
のような国際法学上の議論とは内容を異にするということが指
次に、日本国憲法の解釈に際しての憲法学上の議論は、以上
も本稿の考察のためには、存在しないと考えられる。
(日)
二元論のいずれを採るかに拘らず、国際面と国内面を分けて論
ずる形で、幅広い見解の一致が存在﹂しており、﹁実定法上の
両者の効力関係を正しく理解するためには、これを国際法レベ
北法4
6
(
3・
2
2
0
)6
5
4
国法体系における条約の適用(1)
関係を考える場合、国法秩序における憲法と条約の関係に議論
摘されうる。すなわち、憲法学においては、国際法と国内法の
の有無の問題として論ずれば足り、敢えてご元的﹂あるいは
る効力が認められているか否かの問題は、寸条約の国内的効力﹂
現は適切ではないと考えられる。また、条約に国法体系におけ
(辺)
が集中しがちであり、そのため、一元論と二元論という問題も、
3
﹁二元的﹂と表現する必要があるかは疑問である。
噂的巾一﹃巾同市内巴門︼口問
国際法秩序と囲内法秩序との聞の問題ではなく、団法秩序にお
ける憲法と条約との聞の問題と理解されることがある。しかも、
その議論の在り方も、必ずしも一様ではない。
条 約 の おZHREZ性の問題も、一元論と二元論の議論と
ともに、条約の囲内適用を論ずる際に問題とされる。しかし、
第一に、一元論の一形態としての寸国際法優位説 (H国際法
優位の二冗論)﹂と、団法秩序の段階構造における地位の問題
これも、本稿の検討に関しては、必ずしも重要性を有しないと
(ゆ)
して扱われることがある。
に関する﹁国際法優位説 (Y条約優位説)﹂とが同義のものと
ョ
路
氏1225口問ョという用語は、その概念も決定基準も必ずし
考えられる。
も明らかではなく、﹁実は?田町民22EE汽:::という用語ほど、
一元論と二元論という問題が、条約に国内的効力が
認められるか否かの問題として扱われることが多い。条約に国
専門用語として不可欠だが同時にこれほど混乱を生んでいる法
第二に、
内的効力を認める国は三元論的﹂あるいは﹁一元的﹂とされ、
(お))
f
z
律 用 語 は ほ と ん ど な い ﹄ と い っ て よ い ﹂ と さ れ る o J巳
﹃
(お)(弘)
認めない国はコ一元論的﹂あるいは﹁二元的﹂とされるのであ
2 5口問 概念の発祥の地であるアメリカ合衆国では、①﹁印主
3
る。本来、国際法学上の議論は、慣習国際法をも含む国際法秩
(お)
かしながら、湾民ZR三日開という言葉の通常の(そして本来の)
(却)
序と園内法秩序との関係を扱うものであり、条約の圏内的効力
をもっ﹂条約と理解されることが少なくないとされるが、②﹁し
2255mな条約﹂とは、﹁何らの立法の必要なしに囲内で効力
条約に国内的効力を認めるか否かの決定は、一般に、国際法上
意味は、﹃それ以上の措置の必要なしに適用されうる﹄(直接適
(幻)
の問題と﹁必ずしも直接に結びつくわけではない﹂のであって、
の問題ではなく各国の憲法体系に委ねられていると解されてい
用可能)ということである﹂とされる。
(幻)
るのであるから、﹁一元論的﹂あるいはコ一元論的﹂という表
ー
北j
去46(3・221
)655
研究ノート
るような条約は、ロロロ印司氏2REC口 問 で あ り 、 国 内 的 効 力 を 有 し
を閣内で実施するために新たに具体的な法律の制定を必要とす
て扱われるべきものである。第二の問題の観点は、条約の内容
否かの問題となる。第一の問題は、各国の憲法体系の問題とし
は、特定の条約が、具体的な実施のための立法措置を要するか
要なしに条約が国法秩序に受容されることが可能な国において
ために用いられる場合があり、第二に、立法府の立法措置の必
①の用法は、第一に、条約の受容についての憲法体制を示す
強 制 す る よ う な 十 分 な ルl ル を 提 供 す る な ら ば 、 憲 法 規 定 は
する用語である。与えられた権利を享受させ、課された義務を
的な立法を必要とすることなく、直媛に効果を有する規定に関
肖
に、﹁印巾氏。2 2三 百 四 な 憲 法 規 定 ( 印 走 。2 2ロ
55EFOE江
口
問8
は国内法、とりわけ憲法についても問題になるとされる。実際
に お い て も 、 直 接 適 用 可 能 性 と い う 意 味 で の 完 ロ ・2Rzt口同性
否かという問題として現れるとされる。また、アメリカ合衆国
法においては、例えば、憲法の基本権規定がプログラム規定か
きことが何もない場合には、反対の意思が明らかに示されてい
2ES)﹂について、日町一
r
H 巾門口円宮崎な憲法規定とは、寸補助
(辺)
ないとするものである。しかし、条約は、その規定の態様に関
EZH355闘 で あ る 。 原 則 に 法 的 効 力 を 与 え る よ う な ル l ル
②の用法は、山町民1
2尽 き 口 間 性 を 直 接 適 用 可 能 性 と 同 義 に 捉
るのでない限り、印巾﹄﹃122ロ 丘 町 長 で あ る ﹂ と 説 明 さ れ る こ と が
(MA)
2EEEEZ
(お)
わりなく、その公布によって、国法の一形式として既に国内的
を規定することなく単に原則を示しているに過ぎないときには、
(お)
効力を獲得しているものと解すべきであろう。他の国法形式の
憲法規定は月一同12255四ではない﹂、あるいは、﹁憲法規定は、
えるものであるが、条約の﹁直接適用可能性
あ る 。 こ の よ う に 、 〆 主ZR55間 ョ を ② の 用 法 と 理 解 す る 限 り
(mU)
場合には、その規定の態様が法的効力を左右することはないで
その規定を実施するために何らの立法も必要としない場合、お
X
)﹂ と い う 問 題 は 、 例 え ば ド イ ツ 連 邦 共 和 国 に
﹀
ロ
ZEZZ
﹃
において、条約について〆巾=・2255k. と い う 概 念 で 説 明 さ
(初)
あろう。条約についてのみ、裁判所において直接適用できない
よびその憲法規定を実施するために立法府によってなされるべ
おいても論じられることがあり、そこでは、法規範の直接適用
られる。
れてきた内容は、必ずしも、条約に固有の問題ではないと考え
(訂)
ものは無効であると解さねばならない理由は見出しがたい。
可能性という問題は、最も広い意味においては、あらゆる法秩
(お)
序において見出される一般的な問題とされ、したがって、国内
3・222)656
北法46(
国法体系における条約の適用(1)
一的に論じることに対するのと同様の批判を受けることとなる
で二者択一的に判断がなされるのであれば、それは、例えば、
関 わ り な く 一 律 に 、 そ れ が ♂ 巾 民 22ztロ聞か否か﹂という形
る場合において、ある条約規定について、具体的事案の内容と
以上の措置の必要なしに適用されうる﹂という意味で用いられ
しかも、〆巾=12255k,の語が②の用法、すなわち、﹁それ
裁判所による自由権規約の直接適用に制約を加えたのである。
二七条は口。ロふ m
ロ
P2255聞 で あ る と い う 宣 言 を 付 し て 、 圏 内
批准が承認されたが、このとき、上院は、自由権規約一条から
にあった。そして、一九九二年に至ってようやく自由権規約の
得られず、大統領が署名はしたものの批准できないという状況
となるのである。そのため、国際人権規約すら、上院の承認を
るならば、裁判所において条約違反の州法は無効とされること
翻って日本国憲法の下では、従来の裁判例はしばしば自由権
日本国憲法二五条が﹁プログラム規定か否か﹂を、常に二者択
であろう。そこで、田市民 2255間 性 の ﹁ 相 対 的 把 握 ﹂ が 主 張
規約を直接適用しており、しかも認に・2RE百四性の問題につ
(お)
されるが、その際、まさに、日本国憲法二五条の解釈における
いては、ほとんど言及していない。
以上のようなことに鑑みると、憲法学として条約の圏内適用
(却)
憲法学の議論が引照されているのである。それならば、憲法学
およびその実効性確保を検討するに際して、少なくとも本稿の
3
2
において条約の国内適用の問題を考える場合、わざわざ 日
町
民
題に配慮する必要があるとは考え難い。圏内裁判所における条
考 察 に 関 し て は 、 路 氏'22EE聞 と い う 概 念 を 導 入 し 、 そ の 問
条約の忠之ー良市2EZ性 と い う 議 論 の 発 祥 の 地 で あ る と さ れ
約の直接適用可能性に関する問題が言及されるとしても、その
ある。
2 2巴巴口問 と い う 不 明 確 な 概 念 を 導 入 す る 必 要 が あ る か 疑 問 で
るアメリカ合衆国は、前述の通り、国際人権条約の批准に関し
実質的内容は、従来、憲法学において、例えば日本国憲法二五
(幻)
て消極的であった。その一因として、連邦と州との権限問題が
条について論じられてきたことと基本的に同様であると考えら
(お)
あるとされる。つまり、合衆国憲法六条によって、合衆国が締
れるのである。
(
ω
)
結した条約は、州憲法を含むすべての州法に優位する。そのた
め、州の側では、国際人権条約の批准は州の権限縮小につなが
るということが懸念された。国際人権条約が直接適用可能であ
北法 46(3・223)657
研究ノート
巾
条約の国内適用の前提
以上のことから、ここでは
二冗論と一一元論一および月F
Z
各国の憲法体系が決定する問題である。
そして、以上のような点が明らかになったところで、条約が、
囲内裁判所において、いかにしてその実効性を確保しうるかが
検討されることとなる。この段階の問題が、本稿の中心的課題
一-
えるに際して必要と考えられる論点を、順に検討することとす
EZ口 間 性 と い っ た 議 論 を 離 れ て 、 条 約 の 国 内 適 用 の 問 題 を 考
である。
第二款
条約の国内的効力
第一、第二の点について一瞥しておくこととする。
そこで、中心的検討に入る前に、その前提問題として、上の
る
。
まず、条約が国内的効力を有するか否か、そして、圏内的効
力を有する場合には、いかなる手続を経て囲内的効力を付与さ
れるか、が問題となる。国際法規範として成立した条約の内容
(U)
が締約国の国内において実施されるには、その条約が、国内法
に変型されるか国法秩序に受容されることを必要とする。条約
これは、条約自体には囲内的効力が認められず、条約の内容
変型方式
を国内において実施する必要が存する場合には、その必要に応
を国法秩序に受容する憲法体系の場合に、条約は国内的効力を
内容の圏内的実施の在り方は、大きく三類型に分かれることと
有することとなる。受容の手続は二つに大別されるので、条約
じて別個に囲内法が制定されるというものである。そのように
ていかなる地位を有するかが問題となる。日本国憲法の解釈に
次に、国法形式としての条約が、国法秩序の段階構造におい
法上の拘束力を有することとなっても、圏内裁判所は当該条約
独自に効力を有する。条約が批准され、当該国家に対して国際
して制定された囲内法は、条約の発効または失効に関わりなく、
(位)
なる。
おける憲法優位説と条約優位説の対立は、この段階の問題に関
イギリス、カナダ、オーストラリア、アイルランド、ノルウェー、
を直接に適用することはできない。この方式をとる固としては、
﹁国内的効力を認められるか﹂、﹁国法秩序の段階構造において、
スウェーデン等が指摘される。また、例えばイギリスの場合、
するものである。この第一、第二の問題、すなわち、条約が、
いかなる地位を与えられるか﹂は、国際法上の問題ではなく、
224)658
北法46(3・
国法体系における条約の適用 (
1
)
条約内容の実施のために制定される国内法には、 いくつかの種
(必)
類が存するとされる。
承認法による受容方式
これは、変型方式とは異なり、条約の内容を国内法として立
法し直す必要はなく、議会の承認を得ることで足りるが、次に
扱う一般的受容方式とは異なり、議会の永認は法律の形式で行
われなければならないというものである。ドイツ連邦共和国、
ンブルク等がこれに属するとされる。ここでは、二冗論と一一元
イタリア、フランス、ベルギー、オランダ、ギリシア、ルクセ
論との論争を背景として、受容理論(実施理論)と変型理論と
一般的受容方式
これは、アメリカ合衆国、オーストリア、スイス等が採用し
ているものであり、条約は議会の承認を経て公布されれば、直
による承認は、単なる議決の形式で足りる。日本国憲法の下で
(判)
ちに国内的効力を獲得するというものである。この場合、議会
もこのような取扱がなされていることは、周知の通りである。
(何日)
団法秩序の段階構造における条約の地位
対憲法優位/対憲法同位
王国内で効力のある法令規則は、その法令規
則の適用が、すべての人を拘束する条約の規定又は国際機関の
1
の対立が存在する。変型理論によれば、
決議の規定に抵触するときには、適用されない﹂とする一九八
オランダは、
に変型する作用を有し、条約の国内的効力は承認法という国内
の囲内法に優位するとされ、ここでいう囲内法には憲法も含ま
三年の憲法九四条により、すべての人を拘束する条約はすべて
とされる。
これは、フランス、ベルギー、オランダ等において有力である
関に対して条約の適用命令を発するものに過ぎないとされる。
認法は条約を国内法に変型する作用を有さず、承認法は国内機
ある。オーストリアでは、条約は対法律同位とされるが、憲法
の解釈における条約優位説の見解は、この類型に属するもので
認には、憲法改正と同じ一一一分の二の多数を要する。日本国憲法
れるとされている。なお、憲法と抵触する条約の議会による承
(日刊)
な見解であるとされる。これに対して、受容理論によれば、承
法に根拠を有するとされる。ドイツ、イタリア等において有力
7
m認 法 は 条 約 を 国 内 法
款
と抵触する条約は、憲法改正に必要な多数によって議会で承認
北1
去46(
3・
225)659
第
研究ノート
された場合、憲法と同位となる。ちなみに、欧州人権条約は憲
法と同位である。
対法律優位
条約は憲法に劣位するが法律には優位する、 つまり、条約は
国法秩序の段階構造において憲法と法律との中間の地位を有す
(灯)
るとされている国がこの類型に属する。フランス、ギリシア、
スペイン等がこれに該当するとされる。日本国憲法が少なくと
(必)
も条約の対法律優位を認めているということには、ほほ異論は
ない。憲法優位説の見解は、この類型に属するものである。
対法律同位
条約は法律と同位とされる国も存在する。この場合、条約と
(品目)
法律との問に後法優越の原則が適用されることがある。ドイツ
また、アメリカ合衆国においては、条約が州法に優位すること
連邦共和国、イタリア、ベルギー、トルコ等がその例とされる。
は合衆国憲法六条二項により明らかであるが、条約と、連邦憲
法および連邦法との関係については明確な規定は存しない。し
であるとされる。
(印)
かし、判例上は、条約は連邦憲法には劣位し、連邦法とは同位
一九一頁、野村敬造﹁条約の囲内法的効力﹂
理論的基盤﹂山本草二先生還暦記念﹃国際法と国内法
(3) 田 中 忠 ﹁ 国 際 法 と 国 内 法 の 関 係 を め ぐ る 諸 学 説 と そ の
一九九五年)二五頁。
一頁、杉原高嶺ほか﹃現代国際法講義﹄︹第二版︺(有斐閣・
(2) 山本草二﹃国際法﹄︹新版︺(有斐閣・一九九四年)八
二六五頁、等。
小嶋和司編﹃憲法の争点﹄︹新版︺(有斐閣・一九八五年)
七年)一九O
時臨培﹃憲法三O年の理論と展望﹄(日本評論社・一九七
出版会・一九八一年)五一九頁以下、丸山健﹁条約﹂法
五頁以下、小林直樹﹃︹新版︺憲法講義下﹄(東京大学
理論I﹄(成文堂・一九九三年)八一頁以下、尾吹善人﹃日
本 憲 法 │ l 学 説 と 判 例 l││
﹄(木鐸社・一九九O年)九
﹁憲法﹄(創文社・一九九二年)九八頁、阪本日目成﹃憲法
法﹄(日本評論社・一九七八年)八O九頁以下、樋口陽一
四四八頁以下、宮沢俊義︹芦部信喜補訂︺﹃全訂日本国憲
以下、清宮四郎﹃憲法I﹄︹第三版︺(有斐閣・一九七九年)
概説﹄︹全訂第四版︺(学陽書一房・一九九一年)五五O 頁
林書院・一九九五年)二九頁以下、佐藤功﹃日本国憲法
九九二年)八五頁以下、佐藤幸治﹃憲法﹄︹第三版︺(青
(1) 例えば、芦部信喜﹃憲法学I 憲法総論﹄(有斐閣・一
註
北法4
6
(
3・
2
2
6
)
6
6
0
国法体系における条約の適用(1)
八頁以下。なお、二冗論について、杉原ほか・前掲書(註
││国際公益の展開││﹄(勤草書房・一九九一年)三
を等位の関係におき、相互間に生ずる﹃義務の抵触﹄に
ついては、調整による解決に委ねようとする﹂等位理論
(時)なお、このような傾向の一つとして、﹁国際法と国内法
も存する。
が挙げられることがある(山本・前掲書(註 2) 八 五 │
八六頁)。しかし、﹁その帰結は二元論である﹂(回中・前
掲論文(註 3) 四九頁、なお、四O頁も参照)との評価
2) 二五頁。
(4) 田中・前掲論文(註 3) 四五頁。ケルゼンによれば、
トリ 1 ペルは二元論ではなく国内法優位の二冗論とされ
る(同・右論文四四頁、樋口・前掲書(註1) 一O二頁)。
戸波江二﹃宜忠法﹄(ぎょうせい・一九九四年)四五 O l四
五一頁参照。
一九八五年)二二頁註五九参照。
(幻)戸波江一一 H松井茂記 H安念潤司 H長谷部恭男﹃憲法川
統治機構﹄(有斐閣・一九九一一年)二四七頁︹戸波執筆︺、
五何百円円何
ncdzqな条約に関する一考察﹄(有斐閣・
三頁、岩沢雄司﹃条約の囲内適用可能性││いわゆる
されている。なお、同﹃憲法の焦点目
u
k
r
E,ω統治機構﹄
(有斐閣・一九八五年)六三頁以下参照)、佐藤(幸)・
前掲書(註 1) 三O頁。なお、阪本・前掲書(註 1) 八
国際法学上の議論とは次元を異にすることが明確に指摘
(却)例えば、芦部・前掲書(註 l) 八五頁(ただし、憲法
学の議論は、条約の囲内的効力の問題に関するものであり、
前掲書(註 1) 四四八頁。なお、内野正幸司憲法解釈の
論点﹄(日本評論社・一九九O年)一八O l 一八一頁参照。
一 O頁以下、清宮・
(日)例えば、宮沢・前掲書(註 1) 八
(
5
) 山本・前掲書(註2) 八五頁。
(6) 杉原ほか・前掲書(註 2) 二六頁。
(7) 広部和也﹁国際法の国内的適用﹂寺浮一 H山本草二 H
広部和也編﹃標準国際法﹄︹新版︺(有斐閣・一九九三年)
六九頁。
(8) 松井芳郎ほか﹃国際法﹄︹新版︺(有斐閣・一九九三一年)
一八│一九頁︹松井執筆︺。
(9) 田中・前掲論文(註 3) 三二頁。
(叩)山本・前掲書(註2) 八三頁も、﹁しばしば規範論理な
いし世界観の相違も反映する﹂ことを指摘する。
(日)田中・前掲論文(註 3) 三七頁。
(ロ)松井ほか・前掲書(註 8) 一九頁︹松井執筆︺。
(日)田中・前掲論文(註 3) 三二頁。
(U) 田中・前掲論文(註 3) 四九頁。
(日)杉原ほか・前掲書(註 2) 二六頁。
(日)山本・前掲書(註2) 八六頁。
(口)田中・前掲論文(註3) 四九頁。
北法46(3・
2
2
7
)
6
6
1
研究ノート
(幻)これに関しては、既に、岩沢雄同﹃条約の国内適用可
能性││いわゆる s
白日向一自のcdzq な条約に関する
一考察﹄(有斐閣・一九八五年)によって、詳細な分析が
なされている。
実例について、同・右書二八一頁以下参照。
(お)山石沢・前掲書(註却)四│五頁。なお、様々な用法の
-F円﹃︼巾ロ﹀口耳巾=
ι
σ
m
w
H
h
r
g円 ︿D-宵巾﹃﹃巾円﹃[]戸内宮町﹁︿2
1円﹁ hw開 巾 ( 切 巾 ユ ヨ -
おいても、条約の直接適用可能性の問題が論じられる際に、
UE
ロ
円
}
内
内
﹃
血
町
民 Z E E - ? H M W叶O)印印印・
(お)岩沢・前掲書(註却)二八四頁。なお、その他の固に
憲法規定の直接適用可能性の問題が、類似の問題として
Fmwd
そりお片岡。ロ世間吋 H N N。(印片 F m B H m w斗 匂 )
説明されることは少なくないとされる(同・右書二八四
頁
)
。
(鈍)∞-山内}ぺ印
(
お ) H G ﹀ヨ﹄己﹃ - N門戸(。
Uロ
印ZEZD口白-F2司 朗 HAH()(同市W叶匂)・
(お)山石沢‘前掲香(註加)三二五頁以下。
(出)しかも、日本語の場合、その訳語あるいは片仮名表記
の方法も様々である。岩沢・前掲書(註却)六O頁註一
四六参照。
(お)岩沢・前掲書(註却)二四頁。
(幻)序章第二款ニ凶川および同三(二O八、二O九頁)。
(お)阿部浩己 H今 井 直 ﹁ 入 門 国 際 人 権 法 凶 ア メ リ カ に お
ける国際人権訴訟の展開とその背旦京﹂法セ四五七号(一
(出)同・右書一六│一八頁。
(幻)同・右書一六頁。
(お)いわゆる一般的受容方式をとる国。詳しくは後述(本
(却)横田耕一﹁人権の国際的保障をめぐる理論問題﹂憲法
九九三年)六一頁。
節第二款三(二二五頁こする。
(却)本稿では後述(本節第二款(二二四頁以下こする。
巾
必要もないだろう﹂。﹁しかも、ある条項が直接適用可能
かどうかは常に二者択一ではなく、憲法お条の請求権部
り、その際必ずしも﹃自動執行性﹄なる言葉を使用する
所における条約の直媛適用可能性の有無を探ることであ
日巾
r
H25間性の概念︺の定義如何ではなく、特に裁判
一六八頁、山石沢・前掲書(註却)一一一一一一│四二頁参照。
理論研究会編﹃人権理論の新展開﹄(敬文堂・一九九四年)
(却)ロ Oロ
印
町
民
・2255聞な条約規定は、具体的な実施措置の
ために必要な法律が制定されない場合には、その﹁実効性﹂
を欠くことがあるであろうが、それは条約規定の国内的
(初)﹁現実に重要なことはこの概念︹ H自動執行性すなわち
なお、この第二の問題においては、ある条約が全体と
効力の有無とは別問題ではないであろうか。
(MM)
S 言-回巾問ユロロロ且野田門巾コ巾口己
2 5 口町35白ケ
して∞丘町 22EE聞か否かという形で論じられることがあ
るが、これに対しては、一般に、強い批判が存在する。
(幻)凡だ守町三思司門ぎ
北法46(3・228)662
国法体系における条約の適用(1)
う事態も十分起こりうる﹂。﹁憲法規定について行ってい
は直接適用が可能で別の状況の下では不可能であるとい
ついては直接適用が可能であるように、ある状況の下で
分はプログラム規定であるが、不作為を要請する部分に
が存在する。行政協定は、日本国憲法の下でも認められ
ている。
場合は、国会の承認を必要としない、いわゆる行政協定
五三条一項は、ニ疋の種類の条約を、法律の形式での承
認を要するものとして列挙している。アメリカ合衆国の
共和国基本法五九条二項およびフランス第五共和制憲法
(叩)各類型に該当する国家の例については、阪本・前掲書
ると同等の検討や基準作りが必要であろう﹂(横田耕一
O、一一頁。
﹁﹃国際人権﹄と日本国憲法││国際人権法学と憲法学の
架 橋ll﹂国際人権五号(一九九四年)一
(
註 1) 八五 l八六頁、および水上・前掲論文(註位)
二八三 l二八八頁による。
(灯)現在は失効しているが、ハイチの一九一八年憲法二一
(引)変型と受容は、合わせて﹁編入﹂といわれることもあ
条約、法律という順序を明文で規定していたとされる。
ることとなる。通説的見解である憲法優位説の論拠はい
の段階構造における条約の地位は、専ら解釈に委ねられ
。
社・一九六九年)一 O頁
(組)日本国憲法には明文の規定が存しないので、国法秩序
七条は、国法秩序の段階構造における地位について、憲法、
(必)邦訳は、水上・前掲論文(註位)二八八頁による。
る(例えば、山本・前掲書(註 2) 一O O頁
)
。
(位)阪本・前掲書(註 1) 八二丁八四頁、岩沢・前掲書(註
加)一一一一│一四頁、水上千之﹁条約の圏内的編入と国内
畝村繁﹃英米における国際法と国内法の関係﹄(法律文化
一九頁。
的効力﹂広法一六巻四号(一九九三年)二六九 l二八二
頁(ただし、三類型間での分類が若干異なる)参照。た
1
だし、﹁変型﹂と﹁受容﹂の一一類型として説明されること
も少なくない。
(日)岩沢・前掲書(註却)一八
なお、この三類型とも、広義の条約すべてを対象とす
るものではない。例えば、イギリスの場合、その国内的
(MH)
実施のために議会の関与を必要とするのは、二疋の種類
る。しかし、法規範の定立手続の観点からは、条約承認
くつか存するが、条約に対する憲法の優位について、憲
法改正手続と条約承認手続との比較がなされることがあ
手続は法律制定手続よりも簡易であることが指摘されう
の条約についてである(この点について、国内における
割を有していないということとの関連が指摘される(水
る(この点に関連して懸念を表明する見解(宮崎繁樹﹁国
立法権を独占する議会が条約締結については実質的な役
上・前掲論文(註犯)二六九│二七一頁))。ドイツ連邦
北法 4
6
(
3・2
2
9
)
6
6
3
研究ノート
一ムハ頁)が存する一方、﹁条約の承認手続と法律の制定手
際 人 権 規 約 の 囲 内 的 効 力 ﹂ 自 正 三 一 巻 一 号 ( 一 九 八O年)
続とを比べると、前者の方が簡易ではあるが、そのこと
から条約の優位を否定することは、かえって条約を尊重
しようとする精神に反する﹂とする見解(橋本公百一﹁条
欧州人権条約
歴史
(日)
﹁人権及び基本的自由の保護のための条約﹂(本稿では、﹁欧
(臼)(臼)
も存する)。また、法律に対する条約の優位について、憲
州人権条約﹂と称する)を生み出し、発展させ、また、その実
(日)(防)
施機構の一翼を担ってきたのが、欧州審議会である。欧州審議
会設立の根底にあるのは第二次世界大戦前からの欧州統合運動
匂巾山田
ご
凶R告 と で あ る 。 そ こ で 採 択 さ れ た ﹁ 欧
D
であるが、直接の発端は、一九四八年五月のハ lグにおける欧
g
州 人 へ の メ ッ セ ー ジ ( 玄22湾ぢ肘巳﹃ D吉宮)﹂を受けて、一九
州会議行
連邦法の構成部分である。それらは、法律に優先し、連
四 九 年 五 月 五 日 に ﹁ 欧 州 審 議 会 規 程 ( 印ZZ広三円znERロえ
(日)
邦領域の住民に対して直接に権利・義務を生ぜしめる﹂)
フィンラン V¥ フランス、ゃブルガリア、ベルギー、ポーランド、
ンマーク、ドイツ連邦共和国、トルコ、ノルウェー、ハンガリー、
ウェーデン、スペイン、スロパキア、スロベニア、チエコ、デ
ア、オランダ、キプロス、ギリシア、サンマリノ、スイス、ス
アイスランド、イギリス、イタリア、エストニア、オーストリ
議会が誕生した。現在の欧州審議会加盟国は、アイルランド、
向山
=g胃)﹂が採択され、同年八月一一一日に発効し、ここに欧州審
(印)岩沢・前掲論文(註却) 二頁。
が看過されてはならない。
た は 協 力 を 必 要 と す る Oi---﹂)が適用されるということ
ついて権限を有する機関の、連邦法律の形式での同意ま
の立法の対象にかかわる条約は、それぞれ連邦の立法に
五九条二項(﹁連邦の政治的関係を規律し、または、連邦
が注目されることがあるが、条約についでは原則として
(却)ドイツ連邦共和国基本法二五条(﹁国際法の一般原則は
入らない。
指摘されうる。ただし、本稿ではこれらの問題には立ち
いわゆる行政協定も含まれるとする見解も存することが
八条二項にいう﹁条約﹂には、国会の承認を要しない、
一欧州審議会の成立
第一款
節
法九八条二項が根拠とされることがある。しかし憲法九
約の圏内法的効力﹂ジュリ三O O号(一九六四年)六七頁)
第
北法46(3・230)664
国法体系における条約の適用(1)
ポルトガル、マル夕、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルク
書に現れた人権保護の思想がある。一九四八年の﹁欧州人への
欧州人権条約成立の根底には、それまでのいくつかの国際文
(日)
欧州人権条約の成立
センブル夕、ルーマニアの、計三二カ国である。欧州審議会に
メッセージ﹂においては、﹁われわれは、政治的反対を形成す
(幻)
(PEE同門月え
は、各加盟国の外務大臣からなる閣僚委員会
さロ目的丹市﹃印)と、各加盟国の議会がその構成員の中から選出ま
る権利とともに、思想、集会および表現の自由を保障する人権
憲章を希望する﹂と宣言された。その後、一九四九年の北大西
(日)(印)
(
P 口出1
Z﹀目的巾BZ
口 S
が置かれ、欧州審議会事務局が阿機関に役務を提供する(欧州
洋条約(いわゆる N A T O条約)前文においては、﹁締約国は、
(回出)
可)
たは任命した代表からなる諮問会議
O条)。欧州審議会の所在地は、ストラスプール
審議会規程一
の国民の自由、共同の遺産及び文明を擁護する決意を有する﹂
(臼)
民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配の上に築かれたそ
欧州人権条約は欧州審議会の大きな成果の一つであるが、欧
とされた。そして、欧州審議会規程は、その前文第三段におい
である(欧州審議会規程一一条)。
州審議会は人権専門機関ではない。欧州審議会は、北大西洋条
することを再確認﹂し、欧州審議会の目的を定めた一条におい
て、﹁その人民の共同の世襲財産であり、かっ、すべての真正
体を生み出し、また、他の国際機構と協力して、様々な専門機
て、その川項が、﹁この目的は、共通に関心をもっ問題の討議と、
約機構 (NATO) が管轄する国防に関する問題を除き(欧州
構や会議を創設している。ただし、﹁その管轄権内にあるすべ
経済的、社会的、文化的、科学的、法律的及び行政的の事項に
の民主主義の基礎を成す原別である個人の自由、政治的自由及
ての者が人権及び基本的自由を享有するという原則﹂を受諾す
つき並びに人権及び基本的自由の維持及び一層の実現について
び法の支配の真の根源である精神及び道徳の価値のために献身
るという欧州審議会規程﹁第三条の規定を履行する能力及び意
の合意及び共同の行動とによって、審議会の機関を通じて追及
な事項に関与し、これらの領域において、数多くの条約や会議
思を有すると認められる﹂ことが、欧州審議会加盟国たる要件
される﹂としている。そして、上述のように、欧州審議会規程
審議会規程一条川)、経済、社会、文化、科学、法律、行政等様々
とされており(欧州審議会規程四条)、人権保護が欧州審議会
三条および四条もまた、人権および基本的自由に関する定めを
(
ω
)
の大きな目的であることは明らかである。
北法4
6
(
3・
2
3
1
)
6
6
5
研究ノート
置く。
の小委員会が廃止された。続いて、同年九月には第四議定書が
月の第一回諮問会議で人権条約の作成が決定され、二三名の委
および四O条 を 改 正 し 、 欧 州 人 権 委 員 会 の 委 員 の 半 数 、 お よ び
一九六六年に署名された第五議定書は、欧州人権条約二二条
署名され、再び保護される権利が追加された。
員からなる法律行政問題委員会が条約起草の任にあたり、その
欧州人権裁判所の裁判官の三分の一の、一二年毎の選挙をできる
こうしたことを背景として、欧州審議会では、一九四九年八
草案をもとに検討を重ね、ついに欧州人権条約の署名に至った
だけ確保することを目的とするものである。
名された第七議定書は、ともに保護される権利を追加するもの
一九八三年に署名された第六議定書、および一九八四年に署
のである。欧州人権条約の成立に際しては、ファシズムやナチ
の対抗という時代的背景が存在し、欧州人権条約が市民的およ
である。
ズムといった全体主義、および東欧社会主義諸国の共産主義へ
び政治的権利に重点を置く一因となった。
一九八五年に署名された第八議定書は、欧州人権委員会に関
を 行 い 、 友 好 的 解 決 に 関 す る 欧 州 人 権 条 約 二 八 条 お よ び 三O条
する欧州人権条約一一O 条 、 二 一 条 、 お よ び 二 三 条 に つ い て 追 加
そのようにして成立した欧州人権条約に対して、その成立直
を修正し、その他、申立についての手続および裁判所の構成等
議定書による追加
後から今日に至るまで、保護される権利の追加、および機構・
に関する欧州人権条約一一九条、三O条 、 三 一 条 、 三 四 条 、 四O
(似)(侃)
一九六三年に署名された第二議定書は、欧州人権裁判所に勧
って、従来も欧州人権委員会および欧州人権裁判所の内部規則
二項、四四条、および四五条を改正するものであり、これによ
一九九O年 に 署 名 さ れ た 第 九 議 定 書 は 、 欧 州 人 権 条 約 三 一 条
条、四一条、四三条について修正および追加を行うものである。
手続の改革を目的として、計一一の議定書が作られている。
(侃)
一九五二年に署名された第一議定書は、保護される権利を追
(釘)
告的意見を表明する権限を認めている。第二議定書と同時に署
および判例によって一部は事実上認められていた、個人申立の
加するものである。
名 さ れ た 第 三 議 定 書 は 、 欧 州 人 権 条 約 二 九 条 、 三O条、および
申立人の欧州人権裁判所における当事者資格が、明文で認めら
(侃)
三四条を改正するものであり、これによって、欧州人権委員会
北法46(3・
2
3
2
)
6
6
6
国法体系における条約の適用(1)
一九九二年に署名された第一 O議定書は、閣僚委員会の決定
に関する欧州人権条約三二条一項を改正し、﹁三分の一ごの要
件を削除している。
よぴ七条、ならびに後述の第六議定書については、他とは異な
(一五条)であっても、締約国は条約上の義務を免れることは
り、﹁戦争その他の国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合﹂
できない(一五条および第六議定書三条)。
これらの権利に加えて、第一議定書が、財産権(一条)、教
育についての権利(二条)、自由選挙の保障(三条)を、第四
第一一議定書は、一九九四年五月に署名されたものであり、
詳しくは後述(本節第三款三)するが、大規模な機構改革を目
条)、一事不再理(四条)、配偶者の平等(五条)を規定してい
外国人の追放の禁止(一条)、上訴の権利(二条)、刑事補償(三
廃止二条)、戦時における死刑(二条)を、第七議定書が、
外国人の集団的追放の禁止(四条)を、第六議定書が、死刑の
および出国の自由(二条)、追放の禁止および帰国の権利(一一一条)、
議定書が、契約不履行による抑留の禁止(一条)、移動、居住、
個人の権利保護
的とするものである。
実体的権利
隷属状態、および強制労働の禁止(四条)、身体の自由と逮捕
拷問または非人道的な取扱若しくは刑罰の禁止(二一条)、奴隷、
欧州人権条約は、第一節において、生命に対する権利(一一条)、
款
の尊重(八条)、思想、良心、および宗教の自由(九条)、表現
遡及的適用の禁止(七条)、プライバシー、住居、および通信
害されたと主張する自然人、非政府団体又は個人の集団﹂によ
条において、﹁この条約に定める権利が締約国の一によって侵
欧州人権条約は、締約国による申立(一一四条)の他に、二五
個人の申立権
の自由(一 O条)、集会および結社の自由(一一条)、婚姻の権
る申立についての欧州人権委員会の管轄権を規定する。この二
(mN)
利(一二条)、効果的救済を受ける権利二三条)、差別の禁止
五条は、欧州人権裁判所の管轄権に関する四六条とともに選択
抑留の条件(五条)、公正な裁判を受ける権利(六条)、刑法の
。
る
第
(一四条)を規定する。このうち、二条、三条、四条一項、お
北法 4
6(
3・2
3
3
)
6
6
7
f
e
。
研究ノート
しかし、
ることが正式に認められる。締約国には欧州人権裁判所判決の
申立においては、申立人も欧州人権裁判所における当事者とな
)0
遵守が求められ(五三条)、閣僚委員会が﹁その執行を監視する﹂
(
η
)
(五四条)。
条項である。また、申立は、本条について受諾宣言をしている
現在は、四六条とともに、すべての締約国によって受諾宣言が
締約国に関してのみ行うことができる(二五条一項
なされている。この宣言は、﹁特定の期間を付して行うことが
でき﹂(二五条二項)、実際に、多くの締約国が、二年、三年、
施行を監視する(一二二条)。欧州人権裁判所に付託された場合
たと認める場合には、関係締約国がとるべき措置を定め、その
閣僚委員会が条約違反の有無について決定を下し、違反があっ
によって欧州人権裁判所に対する付託がなされない場合には、
告する(一一二条)。その後、欧州人権委員会または関係締約国
会の閣僚委員会に対して、条約違反の有無についての意見を報
友好的解決(二八条、一二O条 ) に 失 敗 し た 場 合 に は 、 欧 州 審 議
六条)。欧州人権委員会は、申立について、関係国との聞での
救済指置が尽くされた後で﹂なければ行うことができない(二
判所は、上述のように個人に実質的に当事者資格を認める方向
て直接に法的効力を有するわけではない。そこで、欧州人権裁
反の存在を認定するにとどまり、関係締約国の国法体系におい
事者資格を有しておらず、また、その判決は、欧州人権条約違
裁判所においては、もともと第九議定書成立までは、個人は当
なければならない﹂と規定している。上述のように、欧州人権
の決定は、必要な場合、被害当事者に対して正当な満足を与え
部分的賠償がなされることしか認めていない場合には、裁判所
た場合、﹁締約国の国内法がこの決定又は措置の結果に対して
欧州人権条約五O条 は 、 欧 州 人 権 裁 判 所 が 条 約 違 反 を 認 定 し
(
η
)
﹁正当な満足﹂
には、裁判所における当事者は欧州人権委員会と関係締約国で
に進むとともに、正当な満足の付与によって、被害当事者たる
あるいは五年の期間を付して行っている。申立は、﹁囲内的な
あって、申立人は含まれない(四八条)。しかし、申立人に対
個人の救済への道を開いてきたのである。
(刀)
しては、書面による意見提出や口頭手続における意見聴取が事
実上認められてきている。さらに、第九議定書が一九九四年一
O 月に発効したことによって、これを批准した締約国に関する
234)668
北法 46(3・
国法体系における条約の適用(1)
実施機構
(打)
自由を保持し、欧州人権裁判所は締約国のそれぞれの囲内法の
(花)
特質を忘却することはできず、欧州人権条約は、共通の最小限
スプール機構﹂とも呼ばれる。欧州人権条約は、その第二節一
欧州人権条約の実施機構は、その所在地に因んで、﹁ストラ
監視し、囲内では十分な保障がなされない場合にはじめて、自
されるべきものとされ、欧州人権条約機構は各国による実施を
条約上の権利は、まず第一に各締約国の圏内機関によって保障
の基準を定めるものと理解されている。したがって、欧州人権
九条において欧州人権委員会と欧州人権裁判所の創設を定め、
らその機能を果たすこととなる。
機構を構成する(一二三条、五四条)。欧州人権条約は、人権保
る。さらに、欧州審議会の閣僚委員会も、欧州人権条約の実施
る見解も示されてきた。なかでも、欧州人権裁判所に、欧州裁
こととの比較において、欧州人権条約機構の権限強化を主張す
しかし、欧州共同体が、国内法の調和化に大きな力を有する
似の制度、つまり国内裁判所が欧州人権条約の解釈について欧
(乃)(初)
護の﹁集団的実施﹂を重視しており、欧州人権条約の条文中、
判所が欧州経済共同体を設立する条約一七七条に基づいて有す
(祁)
実体規定が一節一七カ条であるのに対して、実施機構には計一一一
る、囲内裁判所における訴訟に関して先行判決を行う権限に類
O、 お よ び 第 一 一 議 定 書 が 実 施 機 構 に 関 す る も の で
(創)へ位)
州人権裁判所に照会するような制度を導入すべきであるという
見解が注目される。
欧州人権条約機構は、締約国の増加と個人申立制度の周知度
機構改革││第二議定書││
することにあるが、それは、絶対的な一致が要求されるという
係において締約国によって守られるべき一定の国際基準を規定
つつあり、抜本的な機構改革が求められていた。現行の欧州人
の向上による申立件数の増加によって、その能力の限界に達し
欧州人権条約の目的は、締約国の管轄権内にある人々との関
圏内機関との関係
ある。
第九、第一
節三八カ条が充てられ、議定書も、第二、第一二、第五、第八、
(九)(花)
以下、第三節および第四節において各々について詳細に規定す
﹁ストラスプール機構﹂
款
ことを意味せず、締約国は適切であると考える措置を選択する
北法46(3・235)669
第
研究ノート
権委員会と欧州人権裁判所による重層的な手続ゃ、裁判官が専
判決の履行の監視のみとなる。
委員会の欧州人権条約実施機構としての権限は、締約固による
閣僚委員会による決定(現行三二条)の制度は廃止され、閣僚
よる批准が必要である。
なお、この改革議定書の発効には、全欧州人権条約締約国に
の増加も問題となっていたのである。
一九九四年五月に第一一議定書が署名され、個人申
任ではないこと等から、申立処理の長期化を生じ、未処理件数
そこで、
立および国家申立に関して、常設かつ単一の実施機構として、
新たな欧州人権裁判所の創設が定められた。それは、手続の簡
(邸)
素化を狙って従来の機構を根底から変更するものであり、﹁完
全に新しい制度が創設された﹂と評されている。
新たな欧州人権裁判所には、三名の裁判官からなる委員会、
七名からなる小法廷、一七名からなる大法廷が設けられる。委
員会は、従来の欧州人権委員会に代わって、申立の受理可能性
について判断することができる。受理が認められ、明らかに理
由のない申立ではないと判断された場合には、当該申立は小法
廷に送付され、ここで友好的解決がはかられる。友好的解決に
成功しなかった場合には、通常は小法廷によって判決が下され
る。なお、小法廷は、手続のいかなる段階においても、本案と
は別個に、受理可能性についての決定を行うことができる。判
例を変更する場合、および非常に重要な事案の場合には、大法
廷に送付される。また、小法廷の判決の後でも、重要な事案の
場合には、例外的に大法廷への送付が認められることがある。
ばしば見られる。
ロ
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F条等)、国内裁判所判決、および論文等によって、﹁欧州﹂
-czE﹃﹁2Z2ZPただし、他の条約(例えば、欧州社
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ロ
門
会憲章前文、欧州連合条約(いわゆるマ l ストリヒト条約)
己申呂町ロSZM¥ 宍Cロ︿巾口tc口Nロヨ ω円FE円N巾己内﹁室内ロ印円Fmロ﹃巾円FZ
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一九五二年
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(日)外務省条約集一二O集四四巻(一 O O三)(外務省条約局・
註
北法46(3・236)670
国法体系における条約の適用(1)
これに続く先駆的業績として、芹田健太郎﹁ヨーロッパ
するかは別として、﹁欧州人権条約﹂の他にも、﹁欧州人
権保護条約﹂、寸欧州人権規約﹂、﹁欧州人権擁護協定 L、
円
∞に冨自由n
(何冨宮内)、あるいは単
F
E﹃
巾
円 ESro
口︿
ロ
(冨宮内)と呼ばれる。﹁欧州﹂とするか﹁ヨーロッパ﹂と
本的人権の地域的・集団的保障﹄(有信堂・一九七五年)
ある。専ら欧州人権条約を扱う著書としては、野村敬造﹃基
要第一類文科論集一五号(一九六七年)三七頁以下、が
頁以下、同﹁ヨーロッパ人権条約と囲内的救済原則││
人権委員会の活動とその性格││人権の国際的保障と国
社-一九六三年)四一頁以下所収︺であるとされる。また、
(臼)せ央一諸では、 -w
口出己ヨ白口百回FZ
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円
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ロ
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巾
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ロ O
(何(リ同月)と呼ばれる。フランス語では、の25E5=
家主権の問題をめぐって││(上)(下)﹂論叢七九巻一
﹁欧州審議会人権規約﹂等の邦訳例が見られるところで
また、欧州人権条約の概要については、高野雄一﹃国
ヨl ロ yパ人権委員会決定の分析ll﹂神戸商船大学紀
号(一九六六年)八 O頁以下・二号(一九六六年)六二
あるが、その中でも比較的使用される頻度が高いと考え
がある。
gg
22125 母印今2Z母 -doE出市(打開口出)と呼ばれる。
ド イ ツ 語 で は 、 開ROE- F巾ζ22ZRRZ∞
rSSE-oロ
られること、および上記の欧州における略称に鑑みて、
際社会における人権﹄(岩波書庖・一九七九年)一九六頁
本稿では﹁欧州人権条約﹂としている。
(臼)欧州人権条約の最近の概説書としては、﹀国-EZ﹁寸
八七頁以下、田畑茂二郎守国際化時代の人権問題﹄(岩波
際人権法入門﹄(三省堂・一九八三年)一七一頁以下/一
以下、山下泰子﹁欧州川﹂/クルト・ヘレンドル(久保
田洋・訳)﹁欧州凶﹂高野雄一 H宮崎繁樹 H斎藤恵彦編﹃国
科
凶
印。ロ印口同日﹄の・冨巾﹃コ-一日・同芯苦言 Ehp S 町
三
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a芯礼町 H
門国際人権法同人権の地域的集団的保障①││,ョ 1 ロ
﹃国際法講義H
O六頁以下、
人権・平和﹄(東京大学出版会・一九九
yパ人権条約﹂法セ四七六号(一九九四年)一
書庖・一九八八年)一四二頁以下、阿部浩己日今井直﹁入
FZ
昨巾巳巾目2
白
骨 3 h白円日記
z- 同H
主、ロマ白苦町三苫ミ HhHhphh- 吋
5
5
z
H
m
w
m
v仏)位一寸がある。
はじめて欧州人権条約を体系的に紹介したのは、宮崎
特に欧州人権条約機構における手続について、藤田久一
ロのとして、
58)、欧州人権条約機構における手続を扱うも∞
繁樹﹁ストラスプール機構とヨ l ロソパにおける人権の
四年)一四三頁以下がある。
吉
弘
同 WHphn
させき同 HS(ω老町内門貯富山
H
間際的保障について﹂法論三五巻四 H五H六号(一九六
二年)一一六一頁︹同﹃図際法における図家と個人﹄(未来
北法4
6(3・2
3
7
)
6
7
1
研究ノート
その他、欧州人権条約に関しては、判例紹介等も含め
多数の論稿が存在するが、紙数の関係上、他の筒所で引
用したものの他、ごく一部のみを挙げるにとどめざるを
得ない。小畑都﹁ヨーロッパ人権条約における国家の義
務の性質変化1 │ ﹁積極的義務﹂をめぐる人権裁判所判
l
l
l
(
五頁以下、北村泰三﹁ヨ l ロソパ人権条約と国家の裁量
一)(二・完)﹂論叢二九巻二号(一
決を中心に
九八六年)二六頁以下・=二巻三号(一九八七年)七
ロ yパ人権条約の園内的実施について﹂神戸四一巻三号
二九九一年)八六三頁以下がある。また、野村二郎﹁ヨ l
ロ yパ人権裁判所﹂判タ五回二号(一九八五年)九頁以下、
および村上和夫﹁ますます拡充・強化される二つの国際
司法機関 E C裁判所と欧州人権裁判所を訪ねて﹂法セ四
三三号(一九九一年)八ニ頁以下は、欧州人権裁判所の
O
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印
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訪問記としても興味深い。
(
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ロ
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℃
こで問題なのは、巾
欧州連合 (EU) の機関である、開E2・
ozロ門ニ¥わ C 2-2﹁。恒常口¥日山口﹃ C古川 宮内﹁河川広との
B
司 ロn
ロ
問の訳語の使い分凹
けの問題である。この両者は、別個の
ロッパ人権条約における効力停止条項に関する一考察﹂
(北樹出版・一九八一年)一三七頁以下、朴洪土口﹁ヨー
五年)による ))EUの最高意思決定機関ともいうべきも
のであり、﹁ E U首脳会議﹂あるいは﹁ E Uサミット﹂等
訳は、山本草二編集代表﹃国際条約集﹄(有斐閣・一九九
員会の委員長により構成される﹂(欧州連合条約 D条(邦
z
n
機関であり、後者は、﹁構成田の元首又は政府の長及ぴ委
i
l
l
-評 価 の 余 地 に 関 す る 人 権 裁 判 所 判 例 を 契 機 と し て
佐藤文夫﹁ヨーロッパ人権裁判所の管轄権に関する一考
同法四O巻二号(一九八八年)四三真以下、薬師寺公夫
﹁ヨーロッパ人権条約に於ける国家の申立権と国内的救
と呼ばれることもある。はじめは国家元首・政府首脳の
意見交換のための非公式の会議であったが、その後、定
││‘﹂新報八八巻七刊八号(一九八三年)三五頁以下、
察﹂皆川沈先生還暦記念﹃紛争の平和的解決と国際法﹄
済原則の適用可能性﹂神戸商船大学紀要第一類文科論集
三O号 二 九 八 一 年 ) 二 九 頁 以 下 、 同 ﹁ ヨ l ロ yパ人権
て公式の機関として明文化され、欧州連合条約によって
例化され、一九八七年に発効した単一欧州議定書によっ
さらにその重要性を増したものである。欧州連合の
条約準備作業の検討(上)(中)(下)﹂神戸商船大学紀要
号(一九八四年)一五頁以下・三四号(一九八五年)一
O 2-m O
何
巴
﹃ OH) Dnozロ巳]¥ハ U口開
・
刃
包
昨
万
九
町
内
ロ
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何
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﹃ Oち跡︼明円E2
﹁
巴
田
町
につい
ては、﹁閣僚理事会(わ
052-え Z52gg 条 約 条
第一類文科論集三二号(一九八三年)三五頁以下・一二三
頁以下、等。なお、各締約国における欧州人権条約の国
内的実施の状況を概観したものとして、井上知子﹁ヨ l
北法46(
3・238)672
国法体系における条約の適用(1)
又は刑罰の防止のための欧州条約(拷問等防止欧州条約)、
その議定書も含むものとして用いることとするが、本款
(日)本稿においては、原則として、﹁欧州人権条約﹂の語は、
ならびに非嫡出子の法的地位に関する欧州条約等も欧州
定書、拷問及び非人道的な若しくは品位を傷つける取扱
審議会によるものである。
(印)欧州人権条約の他に、欧州社会憲章およびその追加議
効 以 降 は 、 自 ら を ﹁ 欧 州 連 合 理 事 会 ﹂ ( の2 ロ色。ご F巾
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口Z胃ECECロ)と称することとしている)という訳語
が定着していることとの関係もあって、﹁欧州理事会﹂と
文上は、単にわD
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することにほぼ固まっていると考えられ、また、駐日欧
こととする。
州委員会代表部も欧州理事会と呼称しているが、 (
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られている。本稿は、欧州連合の﹁欧州理事会﹂との区
(位)邦訳は、田畑・前掲書(註臼)一四三頁による。
ニおよび三においては、議定書を含まない意味で用いる
議会﹂、﹁欧州会議﹂、﹁欧州議会﹂等、様々な訳語が用い
(臼)邦訳は、山本編集代表・前掲書(註日)四七五頁による。
(臼)英語では司﹃♀c
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- フランス一誌では同USES-mだが、ド
たことはない。
(回)ただし、未だ欧州人権裁判所の勧告的意見が要請され
も同じ。
三三頁)参照。第四、第六、および第七議定書について
(肝)保護される権利の内容については、本節第二款一(二
ついての第一議定書﹂。以下、各議定書とも同じ。
については、 E の
河NEE-22 参照。
(印)正式には、﹁人権及び基本的自由の保護のための条約に
(閃)各議定書の署名・発効の日付、および各国の批准状況
イツでは NEZR
胃ogro--(N司)(追加議定書)と呼ばれる
ことが多い。
別の観点を重視して、﹁欧州理事会﹂を除くもののうち、
最も使用される頻度が高いと考えられる﹁欧州審議会﹂
を選択している。
(日)欧州審議会について詳しくは、高野雄一﹃国際組織法﹄
︹新版︺(有斐閣・一九七五年)四七七頁以下参照。
(日)香西茂 H安藤仁介編集代表﹃国際機構条約・資料集﹄
(東信堂・一九八六年)二三二頁以下参照。
(訂)なお、このうち、エストニア、リトアニアを除くコ一O
カ国が欧州人権条約締約国である。
(臼)﹁協議総会﹂と訳されることも多い。
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(印)一九七四年以降、審議会規程の改正は行わないまま、
﹁議員会議 (
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となった。香西 H安藤編集代表・前掲書(註日)一一一一一四頁。
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研究ノート
(印)この問題に関しては、薬師寺公夫﹁人権裁判所に対す
一七号(一九九一年)一一四頁以下参照。
る個人の訴権(ヨ l ロ yパ人権条約第九議定書)﹂立命二
(叩)本稿においては、欧州人権条約規定の邦訳は、田畑茂
所一九七八年一月一八日判決
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(河)アイルランド対イギリス事件における、欧州人権裁判
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(打)サンデー・タイムズ事件における、欧州人権裁判所一
九七九年四月二六日判決
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するものと﹁公正な満足﹂とするものとがあるが、本稿
人権裁判所がその所在地に因んでストラスプール裁判所
別個の機関であり、組織的なつながりも存しない。欧州
多い。一言うまでもなく、欧州人権裁判所と欧州裁判所は
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は、藤田・前掲書(註臼)一四四頁以下参照。
(引)欧州人権条約における申立手続の進行の詳細について
約・宣言集﹄︹第二版︺(東信堂・一九九四年)による。
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では、前掲条約集(註刊)の訳語に従うこととする。なお、
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外務省仮訳(外務省条約集三O集四四巻(一 O O三))で
と呼ばれることがあるのに対して、欧州裁判所も同様に
いわゆる E E C条 約 / E C条約であり、﹁ E Cの憲法﹂と
されるものである。なお、ローマ条約と呼ばれることも
コ
こちらもロ l マ条約と呼ばれることがある。
あるが、欧州人権条約も署名が行われたのはロ l マであり、
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により、﹁欧州共同体を設立する条約﹂と改称されている。
(別)現在は、欧州連合条約(いわゆるマ l ストリヒト条約)
ルクセンブルク裁判所と呼ばれることがある。
は﹁公正な満足﹂である。
(
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) 詳しくは、佐藤文夫﹁ヨーロッパ人権裁判所と個人
││﹁公正な満足﹂付与の問題を中心に││﹂成城七号
二 九 八O年)一 O七頁以下参照。
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研究ノート
け国際人権条約が園内適用される必要があるのかに関して、欧
あるということを意味せず、欧州人権条約の保護は、まず第一
欧州人権条約の適用が専らXトラスプール機構における問題で
ある。このような欧州人権条約をはじめとする国際人権条約に
るところの、国家に対する個人の権利保護に関わる国際文窪田で
欧州人権条約は、伝統的に憲法に委ねられてきた法領域であ
ような主張が真実か否かを判断するには、締約国の実行の詳細
審査されうるのでない限り、何ら法的意義はない。国家のその
しているという旨の国家の主張は、それが圏内裁判所において
る。圏内法が欧州人権条約と同等またはそれ以上の保護を規定
条約の権利保護機構における第一段階の機能を有する、とされ
(
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∞
)
州人権条約の国内適用の必要性についての議論を瞥見すること
に囲内裁判所の責務である、あるいは、圏内裁判所は欧州人権
ついて、国際的実施を確保する機構が重要性を有することは、
な審査が必要であり、欧州人権条約規定を援用して司法的に決
(別)
とする。
一般に承認されている。なぜなら、国際的な司法制度が存しな
定されねばならないが、欧州人権条約が圏内的効力を有してお
(制)
いならば、締約国はその条約の解釈に際して広範な裁量を有し
(幻)
(引)
一
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)
うることとなり、当該条約と問題となっている園内法とは矛盾
らず、そのような司法的決定をストラスプール機構の判断まで
(お)
しないという解釈の下で、実際には条約に適合しない圏内法を
待たねばならないならば、欧州人権条約の意義は著しく低下す
の意義について、以下のような説明もなされている。第一に、
(似)
このような規範的理由づけの他に、欧州人権条約の園内適用
(mm)
維持しうることとなる。また、歴史的に見て、あらゆる国際人
るのである。
(鉛)
権条約の有効性は、政府の権限行使に対する、何らかの形での
外的な監視に依存している。そして、実際に、欧州人権条約は
法上のみならず圏内的にもまた欧州人権条約に拘束されている
に取り組む前にそれについて結論を下す立場に立つことができ
条約違反が申立てられた場合、当事国は、国際機構が当該問題
主権的観点、すなわち関係当事国自身の保護である。つまり、
場合にのみ完全に達成されるのであり、囲内法の欧州人権条約
るのである。第二に、訴訟経済的観点、すなわち欧州人権条約
それにもかかわらず、欧州人権条約の目的は、締約国が国際
優れた国際的実施機構を有しているのである。
との適合性が囲内裁判所において審査されえないことは、大き
機構の負担軽減である。第三に、事案に対する近接性の観点、
(釘)
な問題であるとされる。また、国際法上の権利保護の存在は、
242)676
北法46(3・
国法体系における条約の適用(1)
合、事実および法的文脈についての囲内裁判所から欧州人権条
すなわち当該事案が、後に欧州人権条約機構に申立てられた場
た条約もしくは協定は、他方当事国による各条約もしくは各協
認しつつ、五五条において、﹁適法に批准されまたは承認され
国際公法の諸規則を遵守する﹂とする第四共和制憲法前文を確
定の施行を留保条件として、公示後直ちに、法律の権威に優越
約機構への情報提供が期待されることである。第四に、権利保
護の強化についての実質的観点、すなわち欧州人権条約上の権
する権威をもっ﹂と規定している。
このような憲法規定が存在するにもかかわらず、近年まで、
利の徹底的な日常的効果の追求である。つまり、欧州人権条約
は、一般によりよく認識されている国内機関によって適用され
なぜなら、法律の条約適合性審査と法律の違憲審査とが同視さ
法律に対する条約の優位は、完全には実現されていなかった。
本稿が第三章で扱うのも、この点に関するドイツ連邦共和国の
約国の憲法と欧州人権条約とを調和させるということである。
されるわけではない。今日、次に問題とされているのは、各締
しかし、欧州人権条約は、その国内適用の承認をもって満足
デタも、ついに一九八九年に法律に対する条約優位の原則の実
段院は、直ちに法律の条約適合性審査を開始し、コンセイユ・
の条約適合性審査は憲法院の権限ではないと判断したため、破
と考えられたからである。しかし、一九七五年に憲法院が法律
れ、それらは第五共和制憲法においては憲法院の権限に属する
(MN)
の際、市民には、迅速かつ実効的な解決という利点も存する。
ることによって、最もよく明確化されるということである。そ
議論であるが、ここで、そのような憲法と欧州人権条約との調
施に踏み切った。一方、一九七五年の憲法院判決以前の段階に
(幻)
和化に関する、他の欧州諸国の例を瞥見しておくこととする。
北法 4
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3・2
4
3
)
6
7
7
おいて、主に、憲法五五条を通じて条約違反を憲法違反と同視
するという構成によって、憲法院による法律の条約適合性審査
(mm)
欧州人権条約の国内適用に際しての
を理由づける見解が展開されていた。少なからぬ見解が、フラ
一条によれば憲法院によって評価されることとなる憲法適合性
院が、法律の条約適合性審査を行うべきであるとしていた。六
(削)
ンスが締結した条約に違反する法律は、違憲であるとし、憲法
(mm)
憲法との調和化
第五共和制憲法は、﹁自らの伝統に忠実なフランス共和国は、
フランス
款
(%)
第
研究ノート
(肌)
は、五五条の適用によって、﹁法律の権威に優越する権威をもっ﹂
条文への適合性を含むということが肯定されるべきであるとさ
(
問)
(
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)
ポルトガルおよびスペイン
ポルトガルは、国際人権文書を憲法および法律の解釈基準と
する見解が存在し、そしてそれらの見解は、特に国際人権条約
今日も、憲法院は法律の条約適合性審査を行うべきであると
改正以降も同様に、﹁基本的権利に関する憲法及び法律の規定は、
る。一九七六年のポルトガル憲法一六条二項は、一九八二年の
その対象となる国際人権文書は、世界人権宣言に限定されてい
することについて、憲法に明文の規定を有している。ただし、
に対する法律の適合性確保を重視している。例えば、六一条に
世界人権宣言と調和するように解釈し、且つ統合しなければな
れたのである。
おける審査に際して、五五条が条約の対法律優位の原則を明言
らない﹂と規定している。
ポルトガルに続いてスペインも、国際人権文書を憲法の解釈
(間山)
しているにもかかわらず、憲法院が法律の条約適合性審査を行
わないことは、二国間条約については理解でき、また、多国間
八 年 の ス ペ イ ン 憲 法 一 O条 二 項 は 、 ﹁ 憲 法 が 保 障 す る 基 本 的 権
基準とすることについて、憲法に明文の規定を設けた。一九七
利および自由に関する規定は、世界人権宣言ならびにスペイン
(刷)
は全く認められないとされ、あるいは、欧州人権条約をいわゆ
条約についても辛うじて承認しうるが、国際人権条約について
る憲法ブロックに含めるべきであるとされる。このように、国
が批准した人権に関する国際条約および国際協定に従って、こ
(附)
際人権条約に関しては、第一に、国際人権条約には一九七五年
れを解釈する﹂と規定している。
権条約違反の法律を憲法五五条違反として六一条の手続の下に
的内容が間接的に憲法化されたものとみられる。
この規定によって、ポルトガルとともに、国際人権文書の実質
スペインの場合、もともと、条約は対法律優位を享受するが、
(山間)
の憲法院判例は適用されるべきではなく、したがって、国際人
おくことによって、国際人権条約の憲法的価値を承認すべきで
(川)
て 、 世 界 人 権 宣 言 、 自 由 権 規 約 、 I L O条 約 、 欧 州 人 権 条 約 等
スペインの裁判所は、一九七九年以来、この解釈規則によっ
(瑚)
あり、第二に、特に欧州人権条約については、憲法前文と同様
(胤)
に、また近年では欧州連合に関する議論を背景として、これを
憲法ブロックに統合すべきであるとする見解が存在する。
を援用してきたとされる。特に、一九八五年二一月一ムハ日の最
244)678
北法46(3・
国法体系における条約の適用(1)
高裁判所判決は、自由権規約と欧州人権条約に、準憲法的地位
(川)
(山)(出)
を認めているといわれる。憲法裁判所もまた、一九八一年の判
決以来、この解釈規則を適用している。
締約状況
ドイツ連邦共和国における
欧州人権条約の囲内適用
ドイツ連邦共和国は、欧州人権条約発効時の原加盟国一 0 カ
国の一つである。一九五二年八月七日に、基本法五九条二項に
個人の申立権に関する欧州人権条約二五条、および欧州人権
審議会事務総長に批准書が寄託された。
(山)
ポルトガルやスペインのように、国際人権文書を憲法の解釈
従って法律の形式での同意がなされ、同年二一月五日に、欧州
O条一項において、﹁イタ
(川川)
イタリアにおいては、条約は、一般に、法律と同位とされる
新の宣言は、一九九四年七月一日に、五年の期限をもってなさ
日に最初の受諾宣言がなされた。その後も宣言は更新され、最
裁判所の管轄権に関する四六条については、一九五五年七月五
のに対し、この規定を根拠として、欧州人権条約の憲法的地位
権を握り、自ら同意法律案を提出した。
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条約の起草後、連邦政府の法案提出を待たずに、全会派が主導
容について、承認法による受容方式をとっているが、欧州人権
(問)(別)
ドイツ連邦共和国は、前述のように、条約の国法秩序への受
(川)
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(川)
O条二項は、﹁外国人の法的地位は、国際法規
憲法裁判所は、欧州人権条約の憲法的地位を否定しているとさ
れる。
また、憲法一
および条約にしたがい、法律により規律される﹂としている。
欧州人権条約の受容
ないしは準憲法的地位を承認する判例および学説があるものの、
している。
(出)
リアの法制度は一般に承認された国際法規にしたがう﹂と規定
八年のイタリア憲法もまた、その一
基準とすることを明確に規定しているわけではないが、一九四
イタリア
款
同意法律が果たす機能としては、連邦大統領への当該条約に
北法46(3・245)679
第
研究ノート
されてはいないが、判例および通説によれば、連邦法律と同位
優位を規定するのに対して、条約については、そのように明示
(印)
ついての批准権限付与と、当該条約のドイツ法秩序への受容と
条約と連邦法律が同位である、すなわち条約と連邦法律の形
凶後法優越の原則
とされる。
がある。ただし、先に同意法律が成立していても、受容の効力
(凶)
は、ドイツ連邦共和国に対する国際法上の拘束力の発生後に生
じるということが留意されねばならない。したがって、ドイツ
連邦共和国における欧州人権条約の圏内的効力の発生は、欧州
(肌)
式的効力が同一であるとされるため、一般には、両者の聞に矛
盾・抵触が生じた場合には、後法優越の原則が適用されること
人権条約が国際法上発効した一九五三年九月三日である。
三問題点
となり、条約は後法たる連邦法律によって破られることとなる
が問題となる。
が、はたして欧州人権条約についても同様に解されてよいのか
川基本法規定
国際法の国法秩序への受容に関する基本法規定としては、
川憲法異議
(郎)
﹁国際法の一般原則は連邦法の構成部分である。それらは、法
律に優先し、連邦領域の住民に対して直接に権利・義務を生ぜ
(邸)
欧州人権条約違反を理由として、基本法の基本権が侵害され
しめる﹂とするこ五条と、﹁連邦の政治的関係を規律し、または、
連邦の立法の対象にかかわる条約は、それぞれ連邦の立法につ
た場合と同様に、連邦憲法裁判所に憲法異議を提起することが
(凶)
いて権限を有する機関の、連邦法律の形式での同意または協力
認められるか否かが問題となる。
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を必要とする。行政協定については、連邦行政に関する規定が
準用される﹂とする五九条二項が存する。一般に、慣習国際法
については前者が、条約については後者が適用される。
受容された国際法規範の国法秩序の段階構造における地位に
ついては、二五条が連邦法律に対する寸国際法の一般原則﹂の
註
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(何)以下、フランス第五共和制憲法の邦訳は、樋口陽一 H
釈に対しても重要な意義を有するものと考えられるが、
内裁判所における実施に関する問題は、日本国憲法の解
九九四年)二三九頁以下︹辻村みよ子訳︺による。
吉田善明編﹃解説世界憲法集﹄︹第三版︺(三省堂・一
(引)条約の対法律優位を認める憲法規定の成立と、その囲
ている)が、欧州人権条約機構および通説の採用すると
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五五条は、憲法と国際法との調和化を目指すものとの評
(路)ドイツ連邦共和国の学説においては、第五共和制憲法
二九頁以下がある。
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判的保障││フランス一九五八年憲法第五五条の提起す
として、建石真公子﹁﹃法律に対する条約優位原則﹄の裁
本稿では扱わない。なお、近時この問題に取り組むもの
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していないと解されるのである。
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(伺)この点に関連して、欧州人権条約上の権利の実現のた
めには欧州人権条約の一般意識への浸透が重要であると
して、欧州人権条約とともに囲内法にも根拠を求めうる
場合であっても、裁判所は欧州人権条約の援用を安易に
放棄ないしは断念すべきではないとされる(同宣君主ロ呂
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おいて、﹁構成田が作成に関与し、その署名固となってい
款ニ註叩(二四O頁)参照)が、一九七四年の ZD-ι 判決
の保護に関する条約﹂は﹁人権および基本的自由の保護
九O年)三二六頁以下参照。ただし、﹁人権と基本的自由
を決心し﹂(単一欧州議定書の邦訳については、金丸輝男
権利を共同体法の一般原則として尊重する﹂(山本編集代
合は、一九五O年一一月四日にロ l マで署名された人権
及び基本的自由の保護のための欧州条約により保障され、
かつ各構成固に共通する憲法上の伝統に由来する基本的
のための条約﹂とした)と述べ、さらに、欧州連合条約、
いわゆるマ lストリヒト条約の共通規定F条二項は、﹁連
編 著 ﹃E C 欧州統合の現在﹄︹第二版︺(創元社・一九
るところの、人権保護のための国際条約は、 E C法 の 枠
(﹁署名﹂であって﹁批准﹂でないのは、判決の一一目前
内において従われるべきガイドラインを提供しうる﹂
に批准したばかりのフランスの存在を考慮したためとい
われる。なお、いわゆるガイドライン方式について、第
二章第三節倒註臼の文献参照)とし、一九七五年の河己主
らの規定は、ポルトガルおよびスペインの憲法規定に類
いて法的根拠を与えるものと考えられることから、これ
一四三頁︹井
(山)邦訳は、樋口 H吉田編・前掲書(註
口文男訳︺による。
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ランス第五共和制憲法五五条と同様、後述(第三章)す
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欧州諸共同体(欧州石炭鉄鋼共同体、欧州原子力共同体、
(出)ドイツ連邦共和国の学説においては、この規定を、フ
れらの規定が、欧州裁判所に、欧州人権条約の援用につ
則は、 E C機関の行為の適法性を審査する際にばかりで
はなく、 E Cの権限内に入る事項についての構成田の行
表・前掲書(註日)三五三 l三五四頁)と規定した。こ
為と E C法との適合性を評価する際にもまた、依拠され
似する面があるとも考えられる。
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判決 (
[呂吋印]宍umHNE) が、﹁欧州人権条約が基礎を置く原
うる﹂として以来、﹁法の一般原則﹂の解釈基準として、
および欧州経済共同体。これらの総称が欧州共同体
る団法秩序の国際法調和性を示すものとする見解
欧州人権条約が援用されてきた。一方、一九八六年には、
(何日ロ宮gpsgE庄司乙である)の設立条約を改正す
るための単一欧州議定書が、その前文において、﹁人権お
よび基本的自由の保護のための条約および欧州社会憲章
で認められている基本的権利、とりわけ自由、平等、社
会正義に基づく民主主義を促進するために協力すること
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(凹)回。巴-一呂町 N回。∞印・
(旧)第一章第一節第二款ニ(二二五頁)。
(凹)ドイツ連邦共和国においては、﹁同意法律
とがあるが、本稿では立ち入らない。
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(印)なお、同意法律の規定の文言の変化が問題とされるこ
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(国)以下、ドイツ連邦共和国基本法の邦訳は、原則として、
樋口 H吉田編・前掲書(註何)一七六頁以下︹初宿正典訳︺
による。ただし、二五条の﹁国際法の一般的諸原則 L
Z=腎ヨ 2ロ巾河内問己ロ己g ︿D-r巾﹃﹃巾円﹃片的)については、他の
多くの邦訳例に従い、﹁国際法の一般原則﹂とする。
(凶)実際に、裁判所費用法(のqE呂田rggロ同32Nの問。)
に関して、欧州人権条約との問にこのような問題が生じた
(未完)
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(凹)ラントにおいても同様の問題を生ずるが、本稿では連
邦憲法裁判所についてのみ検討する。
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