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ガラス基板が空中に浮く理由 - New Way Air Bearings

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ガラス基板が空中に浮く理由 - New Way Air Bearings
The Physics of Glass Flotation
Drew Devitt
米 New Way Air Bearings 社
www.newwayairbearings.com
ガラス基板が空中に浮く理由:
太陽電池製造に活用される
FPD搬送技術
大型液晶 TV 用パネルは、平面ディスプレイ(FPD)市場で最も高い成長が予想されているセグメントの 1 つ
になっている。そのため、パネルメーカーはガラス基板の大型化を進め、第 8 世代のガラス基板の大きさはお
よそ 2.0㎡にもなる。現在、最先端のパネルメーカーの中には第 10 世代対応の工場をすでに稼動している。
また第 11 世代対応の工場を計画しているパネルメーカーもある。さらに、この FPD 製造用の大型基板による
製造技術は、太陽電池パネルの製造にもいかされていく。ここでは、搬送時のダメージをなくし、さらに装置の
小型化を実現する新しいエアー搬送方式の要素技術を解説する
20
第 10 世代のガラス基板は縦 3.1m 幅
うとしているため、1部の製造装置メー
2.8mと大きくなるが、厚さは 0.7mmよ
カーでは再検討が必要になっている状
前述した可動式チャック機構と同程度
り薄くなる。このように大型かつ薄い
況だ。
のクリーンルーム設置面積が必要にな
ガラス基板を搬送するのは困難だ。ロ
これまで、プロセス装置や検査装置
るが、装置重量は約 75%軽くすること
ボットアームでこの大きなガラス基板
における基板搬送はいずれかの方法で
がきる。ガントリー可動方式と比較す
を左右に動かすとまるでセールのよう
行われてきた。1)ガラス基板を保持す
ると、エアー搬送方式はやや大きくな
に広い表面に力が発生する。また、こ
る大型のバキュームチャックがガント
るが重量はかなり軽量化することがき、
のような大きなガラス基板になるとク
リー(構台)
の下を移動する。または 2)
装置上部にある巨大なガントリーの加
リーンルーム環境でダウンフローのエ
大型のバキュームチャックに保持され
速および減速に伴う問題も解決するこ
アーの影響を大きく受けてしまう。ク
たガラス基板の上をガントリーが移動
とが可能になる。そのため、特にルー
リーンルームでのエアーの速度はおよ
する。
プ構造を検討している精密切断やプロ
そ1m/sで、これは強めのそよ風の速度
ガラスだけを動かそうとすると、装
セスエリアでは、エアー搬送方式への
に相当する。精密環境では、熱要因の
置の設計は大きく変えなければならな
移行は当然の流れになっている
(図1)
。
誤差を避けるためダウンフローによる
い。つまり、これまで約 3m 可動するガ
所望の精度を達成し損傷を避けるため
対流の冷却効果が必要になる。
ントリーを備えた巨大なグラナイトの
には、ガラス基板を浮かせる力学を理
大型ガラス基板の場合、特に自動光
ベースが必要だったが、この新しい方
解することが非常に重要だ。問題点を
学検査装置の分野ではガラス基板を浮
法を用いれば、たった重さ数 kg の基板
説明するために、最も簡単な浮揚シス
かして検査エリアにエアー搬送するこ
を検査エリアに搬送することができる。
テムから始めよう。ホッケーテーブル
とが一般的だ。また、エアー搬送は太
この場合検査エリアにループ機構だけ
のような多数の穴があいた大きな板を
陽電池の製造工場でも注目を集め、レー
追加すればいい。このため第 10 世代対
思い浮かべてほしい
(図 2)
。
ザー切断や洗浄工程で導入されようと
応装置でも全長 1m 以下と小さくするこ
ここで 7kPa 程度のエアー圧がかかっ
している。FPD や太陽電池製造工場に
とができ、装置重量は第 6 世代対応装
ているとしよう。7kPa というとかな
おいて、新しい搬送方法が導入されよ
置よりも軽くすることができる。
り低い圧力だと思うかもしれないが、
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このガラス基板のエアー搬送方式は、
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されるとすると、このたわみが場合に
よって災害を引き起こしかねない。下
向きのエアーフローが高い圧力を作り、
たわみを増加させているのだ
(図3)
。
知っての通り、FPD 製造で大きなガ
ラス基板を制御するのはたやすいこと
ではない。これまでにも、クリーンルー
ム環境下で大型のガラス基板がどのよ
図 1 エアー搬送装置(左)と可動式ガントリー(右)上に浮いているガラス基板 2 枚のガラ
ス基板の大きさはまったく同じである
うな挙動をするのか調査が行われてき
た。しかし、変動要因が数多く存在す
FPDガラス基板の単位面積あたりの重
いた穴があるため、浮いているガラス
るためそれは明日の天気を予想する程
さは数グラムにすぎないことを考えれ
基板の下に圧力ができる。バーとバー
度のもので、とても科学の領域には達
ば 7kPaという圧力が十分大きな力とい
の間に隙間があるため圧力勾配の発生
しているとは言えないものであった。
うことが分かる。外周部付近のエアー
を妨げている。しかし、ガラス基板の
大気圧がガラス基板の制御を困難
は流れ出しやすいためガラス基板の下
上面にはクリーンルームの天井からく
にしているのなら、それを変動要因か
中央部に最も高い圧力が発生している
るエアーによって生じる高い圧力がか
ら外してしまえばガラス基板の挙動が
ことに着目してほしい。このためガラ
かっている。この圧力はガラス基板の
もっとよく分かるようになるのではと考
ス中央部で膨らみが生じる。
重量の数倍に相当するため、搬送装置
えるかもしれない。大気圧でガラス重
しかし、通常クリーンルームではエ
間のたるみが容易に増加してしまう。
量に対して大きな力やクリーンルーム
アーが天井から床に向かって流れてい
この力を打ち消すエアーによりアル
でのダウンフローで発生する力が作用
る。このエアーがガラス基板と水平方
ミ製のバーの中心に高い圧力が生じる。
しているガラス基板下の低圧力の領域
向に流れると、ガラス基板上部にも圧
この高圧力のポイントがガラス基板の
では、この考えが適用できるかもしれ
力勾配が生じる。この結果、ガラス基
支点として作用する。そのため、搬送
ない。
板中央部では流速が 0 になり、外周部
装置間でガラス基板に高い圧力ポイン
1kPa 程度の圧力差があると、第 8 世
付近の流速は高くなる。
トから低い圧力ポイントにかけてたる
代のガラス基板全体にダウンフォース
1700 年 代 後 半 に、Daniel Bernoulli
みが発生する。FPD 用のガラス基板は
は100kgsにもなる。ガラス重量の10 倍
氏はエアーが高速で流れると低い圧力
それほど堅いものではないため、もし
以上のダウンフォースが、加圧した搬
が生じるということを発見した。これ
ガラスが表面に対して垂直方向に搬送
送エリアからの受ける反対の力
(10kPa)
が、飛行機が飛び、帆船が進む原理に
B1 穴の開いたテーブルの断面図
なっている。また、風で旗がパタパタ
クリーンルームの層流のダウンフロー
となびくのもこのためだ。もし、ガラス
基板外周部の上下部に高速のエアーを
ガラス基板がばたついている
様子の拡大図
かけたら、旗と同じようになびくだろう。
圧力差を最小限にする方法として、
周囲に溝付のプレートを浮いているガ
L
L
High Velocity
High Velocity
it
H
Zero Velocity
L
H
High Velocity
Moderate Velocity
L
High Velocity
L
L
High Velocity
High Velocity
H
L
ラス基板の下に配置する方法がある。
High Velocity
Zero Velocity
L
High Velocity
150 mm
あるいは、1 枚の大きなプレートでは
Air in at
1 or 2 psi
なくアルミ製のバーを隙間ができるよ
うに配置する方法もある。等間隔にあ
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150 mm
Drilled Extrusions
図 2 穴が開けられたプレートまたはテーブル
図 3 穴からエアーが出てガラス基板を浮か
せている搬送装置の中心の上にある高圧力領
域の間にたるみがある
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The Physics of Glass Flotation
引ホールそのものは大きいものではな
いることだ。これにより座面全体にエ
く、圧力がかかる領域から離れている。
アー圧がより均等にさせることができ
FPDガラス基板は長さ10mにもなるた
る。多孔質のメディアを用いると、吸
め容易に曲がってしまう。そのためコ
引ホールの外周部付近で圧力が発生す
ンタクトは以下の構成のようになる。ま
る。そのため大幅にコンタクトが改善
た、ガラス基板が吸引ホールの上を移
することができる。この方法は吸引ホー
動するとポンという音が聞こえる。こ
ルと供給ホールの間で生じるガラス基
れはプロセスにも影響してくる。
板のたるみに起因した問題を最小限に
全く新しい方法は吸引ホールと供給
抑えることができ、圧力面の全体にわ
と釣り合うならば、ガラス基板を制御
ホールを変える方法だ。穴を開けたり
たってサポートすることが可能になる。
することができる。エアーの影響を受
閉じたりして穴の中で乱気流を発生さ
ガラス基板のどこを押しても、接触に
けているとクリーンルーム内を自由自
せるのだ。つまり、ガラス基板が穴の
反発し押し戻すような高い圧力が表面
在に浮くことはできない。それどころ
上を移動するときに開け、ガラス基板
に常にかかっている
(図 5)
。
か、大気圧によって均等に下方向に力
が穴の上を通過して外れたときに閉じ
多孔質の表面には分離した圧力ホー
が作用してしまう。
るのだ
(この時穴の中で乱気流は発生
ルに対して別の利点もある。多孔質の
数学や物理的にはよく分かる。しか
しない)
。これらの穴はばねのように作
メディアは、無数の微小
(1μm 以下の)
し、まだその効果はいくぶん直観的に
動する。基板との距離が近くなるとエ
ホールから高い供給圧を座面全体に分
分かりにくいようだ。搬送面から離れ
アーの供給は増加し、基板との距離が
散させることができる。このため表面
たガラス基板を想定するのなら分かり
遠くなるとエアーの供給が小さくなる。
には 20 倍高い抵抗が生じる。多孔質材
やすいのかもしれないが、それはここ
これによりガラス基板が吸引ホールま
料の非常に複雑な経路を通ってくる気
での議論とは異なる。座面上数百μm
たは供給ホールの上を移動することに
流に対して高い抵抗力があるため、少
のところに浮いているガラス基板を制
よって生じる乱気流を減少させること
ない流量でも10kPa という高い圧力を
御することはできない。それはクリー
が可能になり、垂直方向の気流の発生
得ることができる。この方法の利点は、
ンルーム内で受ける力が、支える力と
を防ぐことができる。
エアーを圧縮しエネルギー消費を低減
同等になってきているためだ。剛性、
もう1 つの方法は、穴を開けたアル
できるだけでなく、負荷容量もしくは
減衰およびフローはエアーギャップに
ミ製バーではなく、セラミック製また
ガラス基板への接触抵抗を
(近い距離
伴って変わる。つまり、吸引システム
はカーボン製の多孔質のメディアを用
で浮いているとき)20 倍高くすること
を使ってギャップを小さくすると、劇
的に剛性、減衰性能を向上することが
できフローを少なくすることができる。
4 sq meters
of area
吸引システムを使う
25 mm
50 mm
吸引システムはガラス基板を制御す
る上で重要であるため、ガラス基板の
3.5 KPA Vacuum
下で用いられるいくつかの手法につい
Pressure force = 2,900 kg
Vacuum force = 1,450 kg
7 KPA Pressure
(1 psi)
て、圧力が高くなっているエリアと合
わせて考えてみよう。吸引ホールはエ
アーベアリング膜へ低い圧力を導入す
る方法としてよく用いられる
(図 4)
。吸
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3.5 kpa Vacuum
7 kpa Air Pressure
図 4 エアー供給ホールと吸引ホールを切り替えられるプレートの構成供給を青矢印で吸引を赤
矢印で示した
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どうして吸引が必要なのか?
Low Exit Velocity
No vertical Air Streams
High Exit Velocity
Vertical Air Streams
meet the down flow
in the clean room
above glass
Simple Holes
Porous Media
High Restriction
Low Restriction
C-Series Conveyor Air Bearing
Drilled Extrusion
20 psi
50 cft/ min
1 psi
1000 cft/ min
図 6 多孔質メディアのエアー搬送装置のエ
アーフローと穴からのエアーフローの比較
図 5 多孔質メディアのエアー搬送装置では、座面全体にエアー圧を吸引ホールぎりぎりのところ
まで均等に分散することができる
わない理由はどこにもない。
ではガラス基板はどのくらい Z 軸方
ができることだ。さらに、原則的にガ
期で波ができてしまう。この波の効果
向に安定して保持することができるの
ラス基板近傍付近ではエアーの速度が
でガラス基板の長さが短くなってしま
だろうか?光学式表面プロファイル測
0 であるため、ほとんど気流を感じるこ
う。それは、ガラスは同一面では堅い
定で有名な Zygo 社の知見を調べてみ
とはない。したがって、ガラス基板の
ため、慣性力を受けると軸方向にガラ
る。ディスプレイ市場向けに開発され
上方にあるコンタミネーションを搬送
ス基板がずれる。そのため位置やイメー
た 3D プロファイル測定機で計測され
するような気流を避けることができる
ジの安定性の問題が発生する。
た結果によると、フォトの高さを干渉
精密切断加工エリアではガラス基板
計測することで 1nm オーダーでガラス
もう1 つ考慮しなければいけないこ
は完全に Z 軸方向に安定しているが、
基板の垂直方向を計測できることが分
とは、FPDプロセスの非常に多くは垂
搬送エリアではガラス基板はまるで
かった。そのときガラス基板は高さ25
直方向でも水平方向でもなく斜め方向
デッキの上にいる魚のように跳ねてし
μm のところで浮いている。この大半
で起こることだ。これはたるみの問題
まう。しかし、搬送エリアで真空シス
は先に述べたショートループ構造の利
を最小限にするためだ。ガラス基板が
テムを使わないとX 軸や Y 軸で安定性
点によるものだ。接触させながらガラ
大きくなるほどこの処理法はうまくいく
を確保するのはいっそう難しい。この
ス基板を保持するために使われてき
が、ガラスの底付近ではガラス重量に
2 つのエリアで真空システムを適用す
た大型の真空チャックが搭載されてい
より縦方向に負荷がかかる。このため、
るのは簡単でしかもお金もかからない。
た。ダイアフラム効果でサポートしな
ガラス基板が内側もしくは外側にそっ
このことを考えれば真空システムを使
いチャックの多くは置き去りにされて
(図6)
。
てしまい搬送装置やプロセス装置に接
Floating Glass Inspection System
触するようになる。繰り返して述べる
が、吸引システムを使用すると高圧の
エアー膜に対して安全にガラス基板を
真空プリロード
エアーチャック
保持し搬送することができるという利
点がある。
穴からエアー供給圧のみ
搬送エリアのみの場合であるが、図
7 に真空システムを使う別の理由を示
吸引がないため 400 ミクロン以上の
ところでは制御できない
吸引力がないため
ガラス基板上で上下の力が
働き検査エリアでリニアモーションを
生じる説明のため誇張して書いている
す。真空システムを使わないで
(すなわ
真空プリロードチャックだと
40 ミクロンのギャップを
制御することができる
ち空気圧だけの場合)
ガラス基板を浮か
せると、湖や海の表面のように低い周
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図 7 穴の上にある波が検査エリアでの動作を生じる
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ガラス基板は部分的に堅いので、狭く
うであるが基板がさらに厚くなり堅く
て小さなエリアの全体に吸引が使用さ
なると、4 倍以上の溝のついた搬送装置
れる。多孔質メディアを通過するエアー
が基板を平らにするために必要になっ
フローに合わせて吸引ホールは設計さ
てくる。ガラス基板をさらに強く押し
れている。この方法では、ガラス基板
浮揚させなければいけないことは容易
が上にあってもなくても吸引ホールを
に分かるだろう。しかし、強力なダウ
通ってくるエアーフローは変わらない。
ンフォースでリフトエリアが広くない
そのため、圧力やガラス基板の浮遊高
ため、搬送装置は比較的に低い高度で
度も変わることがない。
ガラス基板を浮かせなければならない。
溝チャックはガラス基板の下の吸
同じ浮揚高度を達成するためにはより
引を分散させるもう1 つの方法だ。溝
高い圧力が必要になる。実際に太陽電
チャックがまだ使用されるは吸引ホー
池のガラス基板の品質はそれほど悪い
いた。吸引システムが備えたカーボン
ルを合わせた機能があるためであるが、
ものではない。多孔質メディアの搬送
製の多孔質チャックを計測装置に固定
ガラス基板が上を通過するときに直接
装置の中心にある1つの吸引溝によりガ
することで、Zygo はシステムのバック
閉じることはできない。そのため、吸
ラス基板の最外周部に継続的に低い圧
グランドの振動を低減させていた。
引ホールを通過するときに生じる急激
力をかけることが可能あるため、FPD
さらに、レンガとほぼ同じ大きさのも
なエアーフローが変動する問題を解消
ガラスが高速で飛び跳ねるのを防ぐこ
のが多数並べられた新しいチャックの
することができない。
とができる。4 つではなくたった1 つの
登場で、大型の真空チャックシステム
溝チャックはガラス基板がアレイを
溝しかないため、吸引力も4 倍小さい。
の必要性はなくなった。このチャック
通過するときに継続的に低い圧力を外
したがって低い圧力でガラス基板の浮
には 2 つの特徴が備えられている。表
周部に供給することができる。このた
揚高度を上げることができる。言い換
と裏の両面を使用することができ、表
め、外周部を飛び跳ねさせることなく
えると、ガラス基板にしっかりと保持
面は平らで平行に精密チャックが並べ
安全にかつ高速で搬送することが可能
している間のエアー供給量を削減する
られているのだ。それぞれがまったく
になる。反り返ったガラス基板、もし
ことができる。
同じ厚さで製造されているため、アライ
くはコーティングでストレスのかかっ
この機能はプロセスや検査において
ンメントや調整を行う必要がなく、平
たガラス基板を吸引システムで平らに
別の利点をもたらしている。ガラス基板
らな表面にボルト固定することが可能
する必要がある場合には、溝チャック
をアレイの搬送装置への移動と平行し
になる。これは真空チャックと比較し
の継続的なダウンフォースは効果的だ。
て、中心の溝がガラス基板を真ん中に
て非常に便利で安価な方法だ。さらに
ほとんどの太陽電池パネルの場合がそ
押し下げ、もう片方の面で押し上げるこ
クリーンルームの層流のダウンフロー
H
Zero Velocity
L
L
High Velocity
High Velocity
L
High Velocity
H
Zero Velocity
L
High Velocity
150 mm
New Way ®
C-Series Conveyor
Air Bearings
150 mm
Vacuum at
2 inches of water
Air in at
15 psi
図 9 1 つの中心の溝がガラス基板を真ん中
に押し下げ、もう片方の面で押し上げる。こ
れによりガラス基板を平坦にし、搬送装置間
のたるみを低減させる
カンチレバーのようなものがないため、
測定精度が非常に高く安定してガラス
Lower down force
at leading edge of glass
基板を測定することができる。それは
直接測定機のフレームに固定されてい
るためだ。
Zygo が採用している精密チャック
GLASS
Atmosphere rushing in
to relieve vacuum groove
H
L
Zero Velocity
High Velocity
は、若干高い吸引圧を使用している
(同
等の搬送装置で使用されている吸引圧
が−0.25 から−1.00kPa であるのに対し
−2.50 から−10.00kPa を使用している)
。
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GAP between conveyors
図10 溝に流入するエアーフローにより吸引圧が緩和され、若干最外周部が持ち上がり搬送装置
のアレイをとび越える
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吸着させると、ガラスの平らな面は光学
GLASS MOVEMENT
Light source /
Camera/ Process
スリットコーターや他のプロセスに現れ
る
(図12)
。
GLASS
Gravity
このアプローチにより焦点深度の要
求値を少なくし、光学系とガラス基板の
間にあるループ構造を大幅に小さくさせ
つつ高解像度のリソグラフィが可能にな
る。ガラス基板の厚さのばらつき誤差が
100 mm
FPD 製造での問題を引き起こしていた
わけではないが、高密度ディスプレイ製
図 11 直角に配置した多孔質メディアの搬送装置
は 100mm 強のギャップを乗り越えることが可能
である。そのため検査装置やプロセス装置の大き
なアレイを利用することが可能(特許申請中)
Light source /
Camera/ Process
造に必要不可欠な高解像度のリソグラ
フィでは問題になりつつある。
まとめると、FPDガラスを浮かせるに
は環境と浮揚システムに起因する基本
とができる。これはガラス基板を平坦に
ス装置の大きなアレイを利用することが
的なエアロダイナミクスの問題がある。
し、搬送装置間のたるみを低減させるの
できる
(図11)
。
浮揚システムを用いるとガラス基板をナ
に都合がいい。これが1つの吸引溝のも
接触式チャックを使用して平坦化の
ノメートルのレベルで安定した制御する
たらす利点である
(図 9)
。
エアーの発生要因には主に 2 つある。1
ことができる。
プロセスまたは検査を行っている間、
つはガラス基板を支持しているチャック
搬送装置間をガラス基板が移動すると
の平坦度に起因するものだ。これには
きに別の利点が見られる。ガラス基板の
チャックとガラス基板の間に存在するコ
最外周部では、吸引溝が強い力でガラ
ンタミネーションもこれに含まれる。も
ス基板を保持しているわけではない。外
う1つはガラス基板そのものの厚みに起
周部から溝にエアーが流入してきて、外
因するものだ。エアー膜にあるガラス基
周部での吸引圧が小さくなっているため
板を搬送し、精密プロセスに隣接した
だ。実際、この効果によりガラス基板が
精密エリアを利用することで、コストや
いわばウィリーするように反ってしまう。
基板と同サイズのチャックに関連した多
ガラス基板の外周部が少し持ち上がる
くの問題を解決することができる。
ことで、次の搬送装置のエアー膜を少し
追加的な利点は、先端リソグラフィや他
下げなくても段差を取り除き、あるいは
の精密プロセス向けに可能なかぎり平坦
大きなギャップを乗り越えて移動するこ
な表面ができるように精密ゾーンを設計
とが可能になる
(図10)
。
できることだ。
さらに、搬送装置が直角に配置され
FPD ガラスには製造時にできた 5μ
ている
(ガラス基板の動きに垂直)
場合に
m 程度厚さにばらつきがある。FPDガ
は、この効果を利用すれば大きなギャッ
ラスを平坦な真空チャックに吸着させる
プがあってもガラス基板を飛び越えさせ
と、厚さ5 ~ 7μmのばらつきは表面平
ることができる。このテクニックを使え
坦度エラーとして現れる。光学アパー
ば 100mm 強のギャップを乗り越えるこ
チャの周辺に配置された非接触式のエ
とが可能であるため、検査装置やプロセ
アーベアリングチャックにガラス基板を
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Drew Devitt 氏は、米国ペンシルベニア州に
拠 点 を 置く New Way Air Bearings 社 の 創 設
者で、会長兼最高技術責任者を務める。同氏は
American Society for Precision Engineering
(ASPE)の 元 社 長 で、 Bearing Specialists
Association(BSA)の教育委員会のメンバーで
もある。
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