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品質保証と品質管理 Ver.2.0

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品質保証と品質管理 Ver.2.0
支援業務資料2015
支援業務資料2015
管理No.TSR152
品質保証と品質管理 Ver.2.0
- “この資料だけで、簡単に”ものづくり”に必要な品質が理解できる -
資料作成・改定 2015年3月27日
1
資料内容
No.
項目
No. 1
品質関連・生産技術関連ワード
No. 2
受入検査~出荷検査までの品質保証・品質管理
No. 3
TQCからTQMへ
No. 4
品質管理における統計学
No. 5
生産技術と品質管理
No. 6
設計FMEAと工程FMEA
No. 7
DR(Design Review)とAAR(After Action Review)
No. 8
信頼性評価試験実施ノウハウ
No. 9
設計品質と製造品質
No.10
製品保証と寿命算出
No.11
信頼性試験規格
No.12
イノベーション
2
Copyright © 2015 by CKS
No.1 品質関連・生産技術関連ワード
3
Copyright © 2015 by CKS
目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
Page
内容
品質保証(QA)と品質管理(QC)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
TQMとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
FMEAとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
DR(Design Review)とAAR(After Action Review)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
ワイブル分析とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
QC七つ道具とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
新QC七つ道具とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
重要安全部品とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
アレニウスの法則とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
MIL217とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
3σとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
抜取検査方法と種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
MTMとWF・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
ST・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
5W2H1RとPDCA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
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1. 品質保証(QA)と品質管理(QC)
品質保証(QA):Quality Assurance
品質保証(QA)は、顧客が要求する製品あるいはサービス、システムなどに対する
品質を満足させるために実施する“全ものづくり工程”での活動である。
開発時の評価試験や製造工程での品質改善などの、計画策定から実施・検討・承
認作業・標準化の対応がこれに該当する。
ちなみに、“Assurance”の和訳は“保証”と言う意味以外に、“保険”・“確信”・“自信”
という意味もある。
品質管理(QC):Quality Control
品質管理(QC)は、顧客が要求する製品あるいはサービス、システムなどに対する
品質を維持するために実施する手段・手法である。
“QC七つ道具”、“新QC七つ道具”※1の手法は、まさにその管理手法として、活用
されている。
※1 第6項、7項にて、詳細を説明
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2. TQMとは
TQM(Total Quality Management)とは、
従来のTQC(Total Quality Control):全体的品質管理から、
現在は、TQM(Total Quality Management):総合的品質管理が一般的。
1990年までのTQC(=ボトムアップ型)崇拝から、その時の失敗※2を反省し、
“品質管理は、経営に直結するもの”としてTQM(=トップダウン型)が、現
在の主流の考え方となっている。
品質管理は、
QC(Quality Control)から、
TQC(Total Quality Control)、そして
TQM(Total Quality Management)へ!
※2 TQCの失敗は、
“経営上の責任を置き去り”にして、
“社員にだけ品質管理をやらせた”
ことであるとも言われています。
詳細は、Vol.03の5月報告資料にて追加説明
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3. FMEAとは
FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)は、
① 設計FMEA
② 工程FMEA の二つがあり、
これは、「故障モード」を事前に予測して、問題を予防する体系的な分析方法。
➡ 工程FMEAとは
参照: EXLEデータフォーマット
製造工程上の製品の不具合や問題点の原因となるファクターを、実際に生産する
前に、QC工程表に対応した各工程での課題点・問題点を抽出し、改善を図るもの。
➡ 工程FMEA実施のポイント
① QC工程表・作業指導票の追加・変更・削除
・外部要因変化点(設計変更、顧客仕様変更など)と
・内部要因変化点(4M変更など)
② ST(各工程作業Standard Time)、工程バランス、作業者適性・習熟度、生産難
易度、時間的・人的・設備的制限などの製品あるいは工程中の定常的要因
詳細は、Vol.06の8月報告資料にて追加説明
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4. DR(Design Review)とAAR(After Action Review)
DR(Design Review)は、
開発設計段階の各試作レベルにおいて、関係者並びに関係部署が参加し、あらゆる
角度から試作物に対するチェックを行い、課題点の抽出とその解決策を協議するも
のである。
設計の良し悪しによって、製造工程上の不良率を大きくへんかさせることもあり、試
作段階で、開発側と製造側の情報交換や協議には、必須の定常業務である。
AAR(After Action Review)は、
開発が完了し、量産移行した後の言わば反省会(事後検討会)。
設計の良し悪しによって、製造工程上の不良率を大きく変化させることもあり、試
作段階で、開発側と製造側の情報交換や協議には、必須の定常業務である。
一部の業界では使用されてきているが、まだ一般的な言葉として、電機業界では、
定着していない。しかし、日々確実に成長・発展する組織であれば、本来日常化す
べき、業務工程の一つである。
詳細は、Vol.07の9月報告資料にて追加説明
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5. ワイブル分析とは
ワイブル分析は、
物の強度を統計学的に示すために提案された確立分布。※3
電機業界、特に半導体業界などは、時間経過に対する劣化や寿命算出に活用
されている。
➡ ちなみに、ワイブル分析活用の実例としては、
①半導体素子の経年変化に対する劣化・寿命算出
②過去の“ユニット“市場故障率(回収率)から導き出す、以降の回収推定台数算出
などが、挙げられる。
※3 確立分布とは、
ある確立変数の出現率あるいは実現値が、
それぞれの確率で起こる状態を言う。
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6. QC七つ道具とは
QC7つ道具とは、
品質管理において、“定量的”に問題解決をおこなうための7つの分析方法
1. パレート図
2. 特性要因図
3. グラフ
縦軸に割合、横軸に項目として、左から大きい数値の順に項目別の棒グラフ
を並べて、累積度数分布線として表したもの。
特性とそれに影響を及ぼす要因の関係を矢印で体系的に示したもの。特性
とは、原因を探る対象であり、問題や結果などがこれにあたる。
データを円や折れ線などの図形などを使って、視覚的に表現したもの。
4. チェックシート 簡単に検査できるように確認項目を一覧にして表した表のこと。
5. ヒストグラム
6. 散布図
7.管理図
データの分布状態を、棒グラフで表示したもので、データの範囲を適当な
区間に分割(横軸)、各区間に存在するデータの個数を集計した(縦軸)表。
2つの項目に対してデータをプロット(打点)したもの。
ある項目の推移を表し、その項目が管理できているかを示すもの。上方管
理限界(UCL)と下方管理限界(LCL)の間は管理下にあると判断できる。
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7. 新QC七つ道具とは
QC7つ道具とは、
品質管理において、“定性的”に問題解決をおこなうための7つの分析方法
1. 親和図法
情報・言語データについて、その内容を文章にしてカード化し、それらデ
ータの親和性によって、図形化・視覚化して整理する方法。
2. 連関図法
問題となっている現象に対して、その1次要因、さらに2次要因を周りに書
いていくようにして、問題点とその要因間の関係や結果と原因が絡み合
っている現象について、その因果関係を矢印でつないで整理する方法。
3. 連関図法
最終的に実現したい目的・目標に対して、達成するための手段・方策(1次)
を出し、さらにその手段・方策を達成するための手段・方策(2次)を出すと
いうように、目的・目標に対する手段・方策を系統的に展開する方法。
4. マトリクス図法
各要素を行と列に配列し、要素間の関連性を示し、多元的思考により問
題の所在・形態の探索や、問題解決への着想を得る方法。
5. マトリクス解析法 マトリクス図において得られた関連を数値データに変換し、統計解析する
ことにより、全体を見通しよく整理する方法。
6. アローダイヤグラム法
プロジェクトを達成するために必要な作業の相互関係・順序関係を矢印
で示し、最適な日程計画を立てたり、進度を管理する方法。
7. PDPC法
新製品開発や問題解決などの進行過程において、事前に考えられる問題
を予測し、その進行を望ましい方向に導く方法。
11
非常に判りやすい参照サイト ➡ 新QC7つ道具 - FC2
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8. 重要安全部品とは
ここで、言う重要安全部品とは、
各国あるいは、各製品分類のカテゴリーNo.での、安全規格に適合・認定もしくは
登録・管理を必要とする部品を示す。
電源ユニット製品では、ほぼ共通した重要安全部品が存在し、管理・記録などを
しっかり実施しなければならない。
電源ユニット製品での、重要安全部品 品名例
・ACコード AC入力ハーネス ・FG用ハーネス ・ACインレット
・ACスイッチ ・ヒューズ ・入力ラインフィルター ・アレスター
・バリスター ・Xキャパシタ ・Yキャパシタ ・1次側スイッチング素子
・トランス ・PWB(基板) ・FG接地用板金 ・絶縁シート類
・成型品等ケース ・銘版(ラベル) など
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9. アレニウスの法則とは
もともと、スウェーデンの科学者アレニウスが、“ある温度での化学反応の速度を
予測するための計算式として導きだされたものであるが、電機業界では、この法則
(計算式)を、“実使用上での電解コンデンサの推定寿命算出”に活用して、電気製
品あるいは電源ユニットの推定寿命算出を実施している。
電解コンデンサの寿命算出に活用する計算式
おおよその目安:
10℃温度が上昇すると、寿命は1/2!
詳細は、Vol.10の12月報告資料にて追加説明
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10. MIL217とは
半導体デバイスなどの故障率を、集計、予測したものとしてMIL-HDBK-217がある。
MIL-HDBK-217には、
① 詳細情報を必要とする「部品ストレス解析予測法」と、
② 部品数量・品質レベル・や機器の環境に関する情報が必要な「部品点数信頼度予測法」
の、2つの 信頼度予測方法が示されている。
ここで記載されているデータは、MIL規格に則って調達された多数の軍用電子機器のフィー
ルド使用に基づいて集計されたデータにより確立されたものである。
しかし、一般用に適用した場合、特に半導体デバイス(IC、LSI)に対し、その予測値が十分
には実情に合わないのが現状である。
それでも、現在でも、故障率(寿命計算)を、MIL-HDBK-217での「部品点数信頼度予測法」
を活用して、製品寿命と算出している企業が未だにある。
注; 本内容は、「東芝HP」から、一部引用しております。
本内容は、Vol.10の12月報告資料にて詳細内容紹介
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11. 3σとは
標準偏差(standard
deviation)と、分散の正の平方根として定義される。
標準偏差
品質管理では、サンプルが分布しているバラツキの目安になる。
データの分布が正規分布に十分近い場合には、平均値の両側にそれぞれ標準偏差
標準偏差
の3倍の値(±3σ)をとるとこの区間に大部分の値が入ることになる。
また正規分布に従うデータは、以下のようになる。
•平均値±1×σ(標準偏差)の範囲で、データの約70%が該当
•平均値±2×σ(標準偏差)の範囲で、データの約95%が該当
•平均値±3×σ(標準偏差)の範囲で、データの約99.7%が該当
大手電機メーカーが、“6σ”を提唱しているが、そのメーカーの、ユニットの初市場
投入品は、3σも言えない程の品質で会った時代もある。
部品としては、6σ品を市場投入しなくてはいけないが、ユニット製品での「設計品質」・
「製造品質」は、まずは、それぞれ3σをクリアすることである!
本内容は、Vol.04の6月報告資料にて詳細説明
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12. 抜取検査の方法と種類
抜取検査は、
対象となる該当ロット(母集団:ロット数N)から、予め決められた抜取検査の方式に
従い、サンプル(試料:サンプル数n)を抜き取り、測定や試験を実施し、そのサンプ
ルの結果が、ロットの合否判定基準(合否判定個数C)と比較してそのロットの合否
を判定するもの。
抜取検査には、下記の4つ方式がある。
• 標準型抜取検査:
売り手(生産者)と買い手(消費者)の両者の保護の要求を満足するように組立てられた検査で良い品質のロットが誤って不合格になる
割合(α)を一定の小さな値で決めておいて与える。また悪い品質のロットが誤って合格とされ、消費者に損失が生じる確率を消費者危
険としてβで表し、一般的には、α=0.05、β=0.10といった値を採用する。この場合に要求する品質は、LTPD(ロット許容不良率)を用いる。
• 選別型抜取検査:
抜取検査の結果、不合格になったロットは、全数検査を行うことがこの方式の特徴。要求する品質は、個々のロットの品質保証においては、
LTPDを使用し、多数のロットの場合には、AOQL(平均出検品質限界)を用いる。不合格になったロットは、選別して、全数良品のロットとする。
検査後、合格のロットと不合格のロットを合わせると、検査前に比べて検査後の平均不良率は、低くなる。したがって、検査後の品質は、
平均してAOQL(平均出検品質限界)よりも悪くないという保証を、顧客に与えることができる。
• 調整型抜取検査:
検査レベルをナミ、ユルイ、キツイとの3段階で調整して使い分ける方式の検査。それぞれの検査に対して1回抜取、2回抜取、多回抜取の
3種類がある。要求する品質は、AQL(合格品質水準)を用いる。
• 連続生産型抜取検査:
連続的に生産されるコンベアにより生産される製品の検査に用いる。初期に全数検査を実施し、良品数が一定値連続したら抜取検査に移
行し、不良品が検出されると再び全数検査に戻す検査方式。要求する品質は、AOQL(平均出検品質限界)を用いる。
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13. MTMとWF
■MTM法(Method-Time Measurement:動作時間測定法)
MTM法では、作業を下記の基本動作にわけ、その基本動作の大きさとなる移動距
離、動作の難易度などによって、時間値表を用い作業時間を設定する方法である。
MTMの時間値の単位はTMU(Time Measurement Unit)で表し、1TMUは0.00001時間
である。
■WF法(Work Factor plan)
WF法(作業因子法とも呼ばれる)では、基本的な条件として、人が仕事をする場合、
“同じ作業は誰がいつどこで行っても同じ時間でできる”という考えのもとに、動作時間
に影響を及ぼす主な要因として、次の4つを挙げている。
1. 身体の各部位 指(F)、手(H)、前腕(FS)、腕(A)、胴(T)、脚(L)、足(Ft)
2. 運動距離
3. 重量または抵抗(W)
4. 人為的な調節 一定の停止(D)、方向の調節(S)、注意(P)、方向の変更(U)
これらの4つの要因の組合せによって動作時間を決める。これらをワークファクターと呼
ぶ。 時間単位はWFU(work factor unit)を用い、1WF=0.0001分である。
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14. ST(Standard Time)
標準時間 structure of standard time
その仕事に適正を持ち、習熟した作業者が、所定の作業条件の基で必要な余裕を
持ち、正常な作業ペースによって仕事を遂行していくために必要な時間。
標準時間の構成は下記のとおり
標準時間
主体作業時間
正味時間
余裕時間
準備段取時間
正味時間
余裕時間
標準時間は、
標準の速さで作業を行う時に一単位の仕事を完成するのに必要な時間である。
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15. 5W2H1RとPDCA
WHO?
5W2H1Rとは、左図の 5つのWと、2つのH、
そして、その結果は?という1つのRを示す。
WHEN?
WHERE?
WHAT?
WHY?
HOW MANY?
HOW MUCH?
この5W2H1Rを、
P(plan) :計画
D(do)
:実行
C(check) :確認
A(action) :処置・対応
での、PDCAサイクルの各項目ごと、
実施すれば、
スマートなJOBとWORKができる。
RESULT
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No.2
受入検査~出荷検査までの
品質保証・品質管理
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
Page
題目
製品の工程フロー(電子機器類完成品・ユニット品)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
部材受入検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
電気調整検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
重要安全試験(絶縁耐圧・絶縁抵抗試験・漏洩電流試験)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
材料品名・製造ロットの記録と保管・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
工程内抜取検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
出荷前抜取検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
安全規格試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
工程内エージング試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
電気検査工程落ち不良品の取り扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
部材受入検査不合格品の取り扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
部材管理と保証寿命・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
再現実験と再発防止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
開発設計段階からの情報交換とQC活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
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1. 製品の工程フロー(電子機器類完成品・ユニット品)
製品工程フロー (参考例: 電源ユニット片面実装製品の場合)
前加工
工程①
実装工程
半田ディッ
プ工程
修正・外観
検査工程
Ra・Ax
自装工程
フロー面SMT
自装工程
※工程内
抜取検査
ICT工程
前加工
工程②
組立工程
絶縁耐圧
試験工程
出荷検査
成績表添付
投入
出荷
部品
受入検査
梱包
※ 抜取検査を実施するポイントは、
『最大限に製品品質を高く維持管理できる工程での抜取』 である。
出荷前
抜取検査
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2. 部材受入検査
部品受入検査にて確認すべき項目
2.1 汎用部品での検査項目
① 製品型番
② 寸法・形状
③ (製造ロット番号)
2.2 重要安全部品・指定部品での検査項目
①
②
③
④
⑤
※
製品型番
寸法・形状
(製造ロット番号)
安全規格認定マーク・記号
指定電気特性 ※
例えばトランスの場合は、インダクタンス
値やリーケージインダクタンス値、
重要安全部品に認定されているキャパシタンスであれば、
その静電容量値やインピーダンス値など。
2.3 金型品での検査項目
基板や板金、成型品などの金型品やNC品については、別紙専用チェックシート
などの使用により、もれなく必要事項をチェックすること。
上記検査内容での、「抜取試験」か「全数試験」かの決定は、製品仕様あるいは、
顧客指示(あるいは社内指示=検査基準書)等に従う。
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3. 電気調整検査
➡ ここでは、一般的なスイッチング電源ユニットにおける電気検査内容に
基づいて説明。
例: 《電気特性確認項目》
①
②
③
④
⑤
効率
力率
出力電圧
出力リップル電圧
漏洩電流
ここで、重要なのは、
“測定条件”!!
測定条件:
① 入力電圧(100V? 200V?)
② 出力(負荷)設定電流
③ 周囲温度(常温設定)
④ 測定器類の指定
⑤ 測定設置環境(治具を含)の指定
ポイントは、
『製品検査仕様書』に基づき、製造工程フローに落とし込み、
指定環境設定・指定設備設定・指定電気的測定値設定を実施し、
適確に、正常品のなかから異常品をピックアップすることにある。
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4. 重要安全試験(絶縁耐圧・絶縁抵抗試験・漏洩電流試験)
重要安全試験とは、
各製品分類カテゴリーNo.での、安全規格で指定される規定値に、
製造された製品が適合するかどうかの確認試験である。
絶縁耐圧試験と、絶縁抵抗試験は全数試験
例えば、電気用品安全法(PSE)では、
1次-2次間絶縁耐圧値は、1KVを1分間印加して、問題ないことを規定している。
製造工程では、生産台数UPのため、印過電圧を20%UPして、印加時間を短く
する対応(1.2KV 3秒間印加)でのジャッジを実施(認可)している。
漏洩電流試験は安全規格カテゴリーによって、全数試験
電気用品安全法(PSE)では、全数試験、抜取試験の指定はないが、
EN60950(EU、OA情報機器類カテゴリーNo.)の場合、全数試験を指定される場合が
ある。
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5. 材料品名・製造ロットの記録と保管
1) 重要安全部品(安全規格にて定められる部品)については、
部品メーカーに材料証明書を発行してもらうこと。
2) UL認定製品で使用する重要安全部品については、
その製品に使用した概要部品の梱包箱または袋に張られている製品ラベル
(製品名・ロット番号が記載されているもの)を、生産を実施している期間中は、
保管することが義務付けられている。
UL認定品ではなくても、同じように管理・保管することが望ましい。
➡ 保管場所は、生産現場で、すぐに確認・提示できる場所であることを推奨する。
①
②
③
④
⑤
製品納入仕様書
安全規格認証ファイル
実機サンプル
各部品材料証明書
量産使用部材製品ラベル
本5項目、一括管理が望ましい。
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6. 工程内抜取検査
電気調整検査を実施する製品に関しては、『製品品質の維持』のために、
必ず、実施すべき、「工程抜取検査」
「工程抜取検査」では、
製造工程内で確認検査を実施する同じ項目を第三者確認として実施することと、
本来、製造工程は実施しないが、設計保証規格値の確認として、“指定された”
項目を確認検査することが含まれる。
よって、製品品質をしっかり守ることは、もちろんであるが、むやみに抜取検査項目を
増やすと原価に跳ね返るため、設計(試作段階)での設計者との議論や、エンドユーザ
ーとの初期の段階での取り決めが必要となる。
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7. 出荷前抜取検査
出荷前抜取検査は、必須である。
検査項目に関しては、「製品検査仕様書」に従う。
顧客から、製品の「出荷成績書」を求められることがある。
《電源製品では、生産ロットごとに必ず求められる。》
そのとき求められる「出荷成績書」での検査データを抜取検査データに併用することは
特に問題はないが、
製品の特質・傾向や、製造現場・環境の面から、独自に「製品品質の維持」のための、
独自の社内検査システム・検査項目の指定確立をすることが望まれる。
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8. 安全規格試験
製造工程内で、絶縁耐圧・絶縁抵抗試験ならびに漏洩電流試験を除く各安全規格試験
項目を実施する必要はない。
しかし、各安全規格カテゴリ-No.を理解して、部品受入検査・管理ならびに製品の検査・
管理等を確実に実施する必要がある。
安全規格カテゴリーの違いによって、規格値や管理ポイントは若干異なる。
各製品類に対する国際規格カテゴリーNo.
(一部例)
IEC60335 : 家電製品
IEC60065 : 映像音声機器類
IEC60950 : OA・情報機器類
IEC61010 : 測定機器類
IEC60601 : 医療機器類
IEC62471 : LED照明機器類
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9. 工程内エージング試験
電源ユニット製品など、発熱部を有する電子機器類において、
温度依存により発生する、初期故障(不良)の抽出のため、
生産された全製品に対して、エージングを実施する場合がある。
エージングする製品の該当・非該当の明確なセパレート定義はないが、
① 高品質レベル製品(高信頼性製品)
② 多出力に伴う実装部品点数多、多機能(シーケンス等)複雑製品
③ 強制空冷(FAN)付製品
などが、製造内エージングを実施する可能性がある。
エージング前と、エージング後は、温度ドリフトによる測定値変化があるため
設計段階あるいは量産試作段階で相関を取り、製造内検査に活用できるように
しておくことが必須である。
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10. 電気検査工程落ち不良品の取り扱い
電気検査工程落ち不良品は、大きく分けて下記の3つに分類される。
① 製造要因に伴う不良
・実装不良(部品欠品・実装部品違)
・半田付不良(未半田・半田ショート・半田クラック等)
・製品取扱不良(落下などによる製品・部品欠損)
・作業指導ミス(指示ミス・指導票ミス)等
② 実装部品要因に伴う不良
・実装部品のそのものの部材不良
③ 設計要因に伴う不良
・発行仕様書類(部品表・実装指示書・検査仕様書)の指示誤記
・潜在的・傾向的設計不良
上記、朱記項目は、重欠点である。即製造ラインを停止しなければならない。
しかし、②項や③項の項目は、製造現場でのジャッジが厳しい場合が多々ある。
傾向的あるいは、同じ不良が2件以上続き、現場で即解決できないものは、
時間をおかないで、関係部署に特急の対応処置を依頼し、行動しなければならない。
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11. 部材受入検査不合格品の取り扱い
部材の検査にて不良が発生した場合は、大きくふたつの行動に分類される。
① 汎用品であって、安全規格等の指定部品となっていないもの
この場合は、
・OR指定部品がある場合は、その部品への変更
・OR指定部品とはしていないが同特性品への置換、“特別採用変更承認”
なども合わせて、早急に部材確保に動くと同時に、
・不良を発生させた部材メーカーへの「不具合解析依頼書」と「再発防止報告書」
の提出を早急に要求する。
② 安全規格等の指定部品となっているもの
この場合は、
“致命的重欠点”であるため、ラインを停止し、部品メーカーを呼び早急な
解決のための、具体的な5W2Hの処置を決定する。
上記①、②ともに費用が発生するため、費用処理に関して部品メーカーと
真摯な態度で協議することが、必要である。
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12. 部材管理と保証寿命
部材管理では、“先入先出”を実施するのは当然であるが、
不動・微動部材の保管期間の管理がセットメーカーとして必須となる。
各部材に対する保管期間を
下記に示す。 (一部の例です。)
①生基板・・・・・・・・・・・・・・
②静電袋・・・・・・・・・・・・・・
③半導体類・・・・・・・・・・・・
④インダクタ類・・・・・・・・・
⑤電解コンデンサ類・・・・・
⑥抵抗類(CHIP含)・・・・・・・
3ヶ月
6ヶ月
1年
1年
1年
1年
先の部品メーカー保証期限に対して、
セットメーカーは、保存状態
(湿度管理・場合によっては真空パック)
の管理によって、延命処置を実施。
セットメーカーとしての部材保証寿命
の設定は必須。
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13. 再現実験と再発防止
設計要因ではない不具合で、製造に起因する要因で、再現が困難な現象は、
それほど多くはない。
しかし、“ウィスカ”、“マイグレーション”など、半田・フラックスなどが起因して
時間の経過とともに発生する製造不具合も報告されている。
工程の変更、フラックスの変更により発生し始めたケースもある。
これらの場合は、“技術”、“製造”、“品質保証”の3部門が連携しなければ、
解決にはたどり着かない。よって、日常からの連携・情報交換は必須である。
現場不具合での “再発防止”策は、単に、報告書で済ますのではなく、
かつ犯人(特定の部署、個人)を叩くのではなく、
処理後に、関係部署が集まって
AAR(After Action Review)を実施することが望まれる。
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14. 開発設計段階からの情報交換とQC活動
設計の要因で、製造がしにくい、製造不良が頻発しやすいという現象は、
いつの時代でも報告されている。
設計も、開発後半になると、変更したくとも、“安全規格上の問題”や
“部材確定済”・“原価確定済”などで、変更の障害となって、対応を
困難にしてしまう。
“ものづくり”の上流である 設計段階で、
「製造側からみた意見を製品設計に取り込む」ことが、
製造不良を低くする最も有効な一つである。
そのために、設計段階の1次試作から、
製造現場と設計現場合同の
“DR(Design Review)”
の実施が必須となる。
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No.3
TQCからTQMへ
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
Page
内容
TQC(Total Quality Control)とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
TQM(Total Quality Management) とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
TQM(Total Quality Management) の活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
TQM(Total Quality Management) での実施項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
CFT(Cross Functional Team) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
5W2H1R-PDCAチェックリストの活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
再発防止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
イッシュー・ツリーの活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
KJ法の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
PCM手法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
不具合解析報告書の要求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
出荷停止・解除指示書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
工程等改善提案の実践とマンネリ化防止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
協業(連携)企業とのQC工程図の整合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
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1. TQC(Total Quality Control)とは
TQC(Total Quality Control) = 全社的品質管理
「JIS」での“品質管理”の定義:
品質保証行為の一部をなすもので、部品やシステムが決められた要求を満たしてい
ることを、前もって確認するための行為
JISZ801:
「買い手の要求に合った品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段
の体系」
TQC(Total Quality Control)は、
社員全員で『品質管理』を実施することである。
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2. TQM(Total Quality Management)とは
TQM(Total Quality Management)=総合的品質管理(経営)
「企業の現場だけに、製品の品質向上を任せるのではなく、経営トップが先導
して、組織的、経営的に実施する一連の活動」
ISO9000(品質マネジメント)やISO14000(環境マネジメント)を組織的、経営
的に実施することが連結する。
現場の責任に添加するのではなく、経営者が全責任を担うと同時に、環境・市
場が求める品質の指針、指導、教育を実施する!
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3. TQM(Total Quality Management) の活動
経営トップが、総合的に品質マネジメントの総合的方針を立て、企業全体で活
動する。
TQC(Total Quality Control)が、各部門(現場)の最適化(部分最適)を目指す
のに対して、TQM(Total Quality Management)は、企業経営全体の最適化を目
指している。
活動内容:
■経営からみる品質重視の管理・徹底
■開発~販売・物流・サービスの一貫した品質保証活動
■経営主導の会社全員参加によるQC活動
■経営品質方針の展開とその管理
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4. TQM(Total Quality Management) での実施項目
1.経営的指導
① 品質経営方針の明確化
② 教育・訓練
③ CFT(Cross Functional Team)の結成
2.実践内容
① 5W2H1RとPDCAサイクル (事項で参考手法例)
② プロセスの明確化(フロー作成等)
③ 再発防止対応 (シックスシグマ解析・なぜなぜ解析・・・)
④ データ解析対応(ワイブル分析他、QC七つ道具・新QC七つ道具の活用他)
⑤ 5Sの実践・指導
3.改善手法
① 標準化
② QC七つ道具(定量的分析)
③ 新QC七つ道具(定性的分析)
④ イッシュー・ツリー
⑤ KJ法
⑥ PCM(手法)
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5. CFT(Cross Functional Team)
CFT(Cross Functional Team)とは、
部門横断的に様々な経験・知識を持ったメンバーを集め、全体的な「経営テーマ」につ
いて検討、解決策を提案・実践する組織。
改善的TQMを実践する場合にも有効的
社長
開発技術
部
品質保証
部
生産管理
部
生産技術
部
製造部
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6. 5W2H1R-PDCAチェックリストの活用
5W2H1Rと実践すべきPDCAをマトリックスにすることにより、モレのない、対
応が容易になる。
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7. 再発防止
1.基準書・ルールの標準化・作成
↓
① 順守・徹底管理
② 対応変化による標準化改定・追加
火事理論:
◎ 火事の未然防止をする
○ 再発防止をする
△ 火事を消す
× 火事を消せない
2.改善報告書等の作成・要求
① 不具合解析報告書
② 改善報告書
③ 特別採用申請書
④ 出荷停止・解除連絡書
業務はすべて、 物事をスタートさせ
るとき、事前にいろいろな検討をして
おき、対策を当初から講じておくこと
が一番大事なことである。
万が一、クレーム等が発生した場合
は、二度と同じようなことを起こさな
いようにすること、発生したクレーム
に対しては迅速に処置・対応すること
が必要である。
問題を処置できないことは、論外で
あることは言うまでもない。
3.各種指示書・報告書の管理記録と活用
① 不具合事例集の作成と活用・教育
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8. イッシュー・ツリーの活用
イッシュー・ツリー :
問題解決思考方法のひとつで、原因と結果は樹形図状に展開することができるという前提
に基づいて眼前の問題を階層化し、取り組むべき根本の原因を見出そうとする手法。
特定製品の不良率が高い
製造工程に
問題はない
製造工程に
問題がある
作業員の
問題がある
習熟度に問題
がある
・作業方法の
再訓練
・作業者の入
れ替え
作業員の
問題はない
習熟度に問題
がある
←解決策
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9. KJ法の活用
KJ法:
あるテーマに対する想いや事実を単位化し、グループ化と抽象化を繰り返して統合し、
最終的に構造化して、状況をはっきりさせ、解決策を見出す方法(問題解決の技法)
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10. PCM手法の現場活用
PCM手法: Project Cycle Management
PCM手法では、下図を明確にする。
計画
■ 一貫性
■ 説明責任
■ 参加型
■ 透明性
PDM
評価
実施
■ 論理性
Project Design Matrix
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11. 不具合解析報告書の要求
社内で、不具合が発生した時はもちろんのこと、仕入先(部品メーカーなど)などの協力外
部機関の責任で発生したときには、必ず、『不具合報告書』の発行・提出を要求する。
記載内容必須項目:
① 発生場所
② 発生日時
③ 発生件数(発生率)
④ 原因
⑤ 解析方法・内容
⑥ 対応暫定処置・恒久処置
⑦ 費用処理
⑧ 再発防止策
⑨ 対応日程
不具合報告書は、迅速に対応する。提出期限の提示は、必須!
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12. 出荷停止・解除指示書
致命的な不具合あるいは、改善・修理が必要な場合の、迅速な出荷停止命令と対処後の
挿入なる出荷停止解除宣言指揮系統の明解化が必須!
記載内容必須項目:
① 出荷停止・解除理由 (致命的不具合発生・検査基準値外れ等)
② 出荷停止期間・出荷解除時期
③ 対応部門
なお、出荷停止時における、損失費用等の算出と、その処理法の明確化は、
AAR(After Action Review)とは、別に関係部門を招集して、迅速に実施する
こと。
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13. 工程等改善提案の実践とマンネリ化防止
QC活動の一環として、活発な改善提案活動とその実践は必要であるが、
本業務に悪影響をおよぼすようなマンネリ化(やらせ・やらされ)を避ける対応が、
現場でのモチベーション・マネジメントとして必要。
組織が、継続的発展・成長をするための必須条件である。
スタッフの
モチベーション UP
改善提案に対する
実績評価
積極的改善提案
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14. 協業(連携)企業とのQC工程図の整合
開発から製造・物流・サービスまで、“ものづくり”において、一社で完結しない場合は、
当然、エンドユーザーに対して、連携・連結するQC工程図の作成が必要となる。
連携企業
当社(社内だけのQC工程図)
顧客
製造部
品質保証部
営業部
設計工程
技術部
営業部
設計開発
商談受託
製品開発
仕様書
製品仕様
書作成
試作依頼
製造工程
製造
仕様書
商談受託
製造
品質確認
製造工程
(詳細省略)
発送
注:本資料は、一部分の流れを簡易説明した参考一例です。
納品
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No.4
品質管理における統計学
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目次
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12.
13.
14.
Page
内容
品質保証の4つの視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
SPC(Statistical Process Control)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
統計的品質管理(SQC)で使用するヒストグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
統計的品質管理(SQC)で使用する特性要因図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
統計的品質管理(SQC)で使用するパレート図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
統計的品質管理(SQC)で使用する散布図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
統計的品質管理(SQC)で使用する管理図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
DMAICとQCストーリー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
シックスシグマ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
標準偏差σ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
3σの活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
定常状態と異常状態の工程解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
時系列解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
統計的工程管理(SPC)の応用展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
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1. 品質保証の4つの視点
企業において、品質保証体制を確立させるためには、
一般的には、下記の4つの視点を徹底的に管理、対応しなければいけない。
■
■
■
■
インフラストラクチャー ※
業務管理・適正な工程・製品性能などの基準・記録
知識・スキル・経験などの組織的・人的コンピテンス
個人の能力や信用、モチベーション、チームワークなどの人的要素
品質保証を実行する上での「個人の能力」は、下記のファクターが重要となる。
① 要領 ② 機転 ③ 臨機応変 ④ 迅速さ ⑤ 報告能力
※ インフラストラクチャー《ISO9000での定義》:
「組織の運営のために必要な施設、設備およびサービスに関するシステム」
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2. SPC(Statistical Process Control)
SPC(Statistical Process Control)=統計的工程管理:
サンプリングの方法や平均値、工程能力を尺度として使用するところに、
統計学の考え方を取り入れている。
SPCでの手法
■
■
■
■
定常状態での工程解析
異常状態の工程解析
QC7つ道具・新QC7つ道具
DMAICとQCストーリー(次頁で説明)
SQC(Statistical Process Control)=統計的品質管理:
SPCが、管理図に重点をおいたものとして示すこともあるが、基本的には、
SQCとSPCは同じであるが、工程に対してはSPC、製品に対してはSQC
と考えると判りやすい。
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3. 統計的品質管理(SQC)で使用するヒストグラム
ヒストグラム:
データの分布状態を、棒グラフで表示したもので、データの範囲を適当な
区間に分割(横軸)、各区間に存在するデータの個数を集計した(縦軸)表。
➡ 抽出されたデータの母集団分布を考察することに適している。(図1参照)
図1 参考例《出力電圧バラつき》
台数
電源製品:
10
出力電圧バラつき確認
➡
5.3
5.2
5.1
5.0
4.9
4.8
4.7
5
出力電圧(v)
仕様書(規格値)に
対して、実機の測定
値の
・センターが適切か?
・規格値を逸脱するも
のがどれだけ発生す
るか?
などを明確にしている。
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4. 統計的品質管理(SQC)で使用する特性要因図
特性要因図:
特性とそれに影響を及ぼす要因の関係を矢印で体系的に示したもの。特性
とは、原因を探る対象であり、問題や結果などがこれにあたる。
➡ 魚の骨状にした問題項目に対する原因の整理を目的としている。
(図2参照)
図2 参考例《出力電圧規格値外れ》
検査
実装
基本設計
電源製品:
出力電圧規格値外れ検証
部品違い
検査ミス
設計不良
➡
接続ミス
部品不良
《出力電圧規格値外れ》
バラつき
仕様書(規格値)に
対して、
生産したものが、
規格値から外れるもの
が出たときなどの検証
整理に最適。
相関ミ
ス
採用部品
出力電圧(v)
設備
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5. 統計的品質管理(SQC)で使用するパレート図
パレート図:
縦軸に割合、横軸に項目として、左から大きい数値の順に項目別の棒グラフ
を並べて、累積度数分布線として表したもの。
➡ 製品の工程不良内容分析などに適している。(図3参照)
図3 参考例《モデルNo.XXXでの不良ごとの%分析》
発生率(%)
電源製品:
5.0
生産(実装工程)での不具合
発生率確認
➡ 生産時に傾向的な不具合
が発生しないかを分析して、
設計へのフィードバックや
工程改善等を実施するための
検証資料として活用。
不良内容
D4欠品
CN1コネクタ曲
D4半田ショート
R3半田ショート
C7半田ショート
R1未半田
L2部品浮き
2.5
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6. 統計的品質管理(SQC)で使用する散布図
散布図:
2つの項目に対してデータをプロット(打点)したもの。
➡ XY座標のグラフ上にデータをプロットし、データの特性を検討する(図4参照)
図4 参考例《生産品でのロット数対不良率》
製品市場
不良返品
率(ppm)
各製品で見るロット数に
対する不良率の違い:
➡
500ppm
散布図の利用にて、視点
を変えることで、意外な
真実が見えてくることが
ある。
10,000台
1,000台
100台
250ppm
散布図には、
① 正の相関散布図
② 負の相関散布図
③ 無相関散布図
があるが、
図4の参考散布図は、
負の相関散布図になっている
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生産ロット数 ➡
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7. 統計的品質管理(SQC)で使用する管理図
管理図:
ある項目の推移を表し、その項目が管理できているかを示すもの。
上方管理限界(UCL)と下方管理限界(LCL)の間は管理下にあると判断できる。
➡ ①解析用 ②管理用 ③記録用などに使用できる。(図5参照)
図5 参考例《1日の全工程不良率推移》
全不良発
生率(%)
10.0
電源製品:
日々の不具合発生率変化確認
➡
記:この表では、LCL線はなし。
7/25
7/24
7/23
7/22
7/21
7/20
7/19
7/18
7/17
7/16
7/15
7/14
5.0
SQCでのデータにて、
従業員のスキル・モチ
ベーションなどの把握
ができることもある。
これは、改善を実施する
ときの貴重な資料となる。
DATE
➡
60
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8. DMAICとQCストーリー
DMAIC:
・Define(問題の定義) ・Measurement(評価) ・Analysis(分析)
・Improvement(改善) ・Control(定着)の5段階を意味する。
QCストーリーは、ほぼ同じことを指す。
使用メリット
■ 「問題の定義」から、「評価」⇒「分析」⇒「改善」⇒「定着」の処理を迅速かつ的確
に進めることができる。
■ 報告作成者は、全体の流れを組み立てやすい。報告を聞く人は、内容を理解し
やすい。
■ 進め方を振り返った時に、足りない部分や間違っている部分のチェックや修正が
しやすい。
■ 仕事のやり直しは、少なくなる。
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9. シックスシグマ
シックス・シグマ:
品質管理手法または経営手法の一つ。
統計分析手法、品質管理手法を体系的に使用し、製品の各工程分析を行い、
原因の特定やその対策を行って、不良率の引き下げ、しいては顧客満足度の
向上につなげる。
1980年代の ボトムアップ型・暗黙知の日本のQCサークル活動を参考にして、
統計学的な手法を取り入れて、トップダウン型として米国モトローラが考案。
↓
これをGEが経営全体のプロセス改善に適用し発展させた。
↓
1990年代後半になって、東芝がGEの手法を導入、独自の改良を加えて活用
↓
その後、ソニーなどでも、導入されて、幅広く使用されるようになった。
62
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10. 標準偏差σ
標準偏差σ:
データの分布の広がり幅 バラつき) を見る尺度。
データにスペックンンする範囲
平均値(μ)±1σ : 0.6827
平均値(μ)±2σ : 0.9545
平均値(μ)±3σ : 0.9973
平均値(μ)±6σ : 0.999997
➡ 不良率は、3.4ppm (参考4σで、不良率63ppm)
ユニット設計定数設定
では、
3σを満たすことがMUST
68.27%
電子部品(半導体など)
では、
6σを目指すのが標準
95.45%
-3σ
-2σ
-σ
平均
μ
+σ
+2σ
+3σ
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図6 標準偏差グラフ
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11. 3σの活用
下記は参考算出例(別資料EXELデータ活用)
表1 標準偏差計算シート例
注記:
下記算出表では、
規格値 4.75V~5.25V
実測値 4.82V~5.03V
3σ
4.73V~5.16V
➡ 左記算出結果では、
実測値が規格値内
ではあるが、
3σでは、NGとなる
ため、回路定数等の
再設定が必要と判断
できる。
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12. 定常状態と異常状態の工程解析
統計的工程管理(SPC)にて、
定常状態、すなわち一般的な日常管理での工程解析は、
① 工程監視(温度・湿度管理、半田槽温度管理、クリーン度管理、静電対策管理など)
② 製品監視(生産歩留、部品品質管理など)
③ 生産品の製造難易度の把握、製造法注意重点工程の把握
④ 製品品質注意項目の把握
⑤ 生産品のST(Standard Time)の把握と管理
などが、挙げられる。
➡ なお、動的な工程解析は、QC工程図などの管理図によって、4Mの変化を確認し、
静的な工程解析は、分布・平均値・標準偏差などを確認して解析する。
定常状態での工程解析の中で、異常等発見されたとき、異常状態の工程解析へと移行
する。
この時、統計的工程管理(SPC)での各手法を活用することは全く同じ。
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13. 時系列解析
時間軸に沿って変化している現象の解析。
工程内では、半田槽内、半田温度データや、室内温度・湿度データなども該当する。
時系列解析の種類
① 時間解析
:
② 経時解析
:
③ 自己相関分析 :
「タイミング」や、「時間」の解析
始まりから終わりまでの変化についての解析
変移の解析。
そのものの時点の状態が、そのものの過去の状態から決まっている時
④ スペクトル解析 :
周期の解析。
周波数や波形などを数値化する時
製品の品質保証では、
① 製品の連続通電時の温度ドリフトによる特性変化確認(出力電圧変動など)
② 長期使用による部品性能の経年変化による劣化
③ 高温使用による部品、基板の変色や劣化
などが、想定される。
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14. 統計的工程管理(SPC)の応用展開
表1 企業比較
統計的工程管理(SPC)での各手法は、活用して初めて意味
がある。
しかし、単に他社からの導入したものをそのまま使用しても運
用しづらい、自社工程に見合っていないなど、当然の障害が発
生する。
あくまでも、活用・運用は、自社工程に見合った内容にモディ
ファイすることが、必須である。
ただし、競合他社との相対比較(表1)や、自社・各部署の
SWOT分析(図7)による利点欠点も理解することを忘れては
いけない)
図7 SWOT分析
S(Strength)
強み
W(Weakness)
弱み
O(Opportunity) T(Threat)
機会
脅威
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No.5
生産技術と品質管理
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内容
生産技術と製造技術の違い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
設計技術と生産技術(1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
設計技術と生産技術(2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
生産技術の重要な項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
メーカーとしての品質保証部と生産技術部の重要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
生産技術と品質管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
外注委託する場合の生産技術業務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
MTMの実践・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
生産管理と生産技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
生産技術手段の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
キヤノンの生産技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
パナソニックの生産技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
トヨタの生産技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
生産管理とPM・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
セットメーカーでの組織図例(1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
セットメーカーでの組織図例(2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
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1. 生産技術と製造技術の違い
生産技術: 設計開発された製品の量産技術の構築
製造技術: 設計開発された製品を如何にして製造するかの対応
設計技術
『生産技術』は、開発設計
された製品を、最良な方法
で生産するための構築をし、
製造部門へ引き渡
す重要な部門である。
生産技術
製造技術
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2. 設計技術と生産技術(1)
●製造しやすい設計がなされていない
●コスト性を考えていない部品が使用されている
●設計変更内容や実装法を事前に相談してくれない
●コストダウン策や改善法などを提案しても受け入れてくれない
●新規生産する都度、似たような課題を何度も経験する
➡ 生産技術や製造部門は,開発設計部門・顧客に対して少なからず
不満を抱く。
開発設計時点での動作評価や信頼性評価などの検討その他、設計
雑務に追われ、生産技術的な視点から設計変更を加えたいと思って
も,時間とコストの制限にて、十分な改善できないことが多々発生する。
製造、生産技術のことを知らない、知ろうとしない設計者も多い。
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3. 設計技術と生産技術(2)
開発設計
設計技術者
の本音
量産対応
生産技術者の
本音
●生産設備・製造工程や加工方法は知らない
●生産技術面からの提案を聞いてくれない
●生産技術面を考えるリードタイムはない
●設計変更は、相談してほしい
●製品性能・機能を優先して設計しているの
で、製造方法は、生産技術で考えてほしい
●設計情報や設計の意図を教えてもらえない
●生産工程を知らなすぎる
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4. 生産技術の重要な項目
■
量産する製品ごとに『品質・コスト・スピード』を鑑みて、
最適な生産システム/ラインを構築
■
工場・設備の新設・増設等に関わる生産体制の立案・実施
■
■
開発設計・品質保証および製造部門のパイプ役として、業務
の効率化・標準化・作業者配置
システムの自動化・省力化・導入
■
生産性向上のための生産設備設計・設備の修理
■
開発設計・品質保証と連携し、製造部門へ落とす標準類・
仕様書・指示書などの発行・指導
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5. メーカーとしての品質保証部と生産技術部の重要性
生産技術 ≒ ものづくり技術
製造は、品質
品質 (:Quality)、コスト
コスト (C:Cost)、納期
納期 (D:Delivery)
の三つの柱で成り立っている。
よって、製造業では、それぞれの責任部門として、品質保証部門・
生産技術部門・製造部門を置く。
その中で、生産技術部門は量産製品のコストの責任部門でもあり、
その活動の成果は企業業績に直結するため、生産技術部門の発言
範囲は、生産現場から経営にまでおよぶ。
ゆえに製造業においては企業の中核的な機能を担う重要な部門で
ある。
TQM(Total Quality Management)の対応においても、品質保証部と
連携・直結させて対応すべき、部門が『生産技術部』である。
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6. 生産技術と品質管理
生産技術部門では、“量産時の製品品質の維持”を考慮しながら、製品を生産する
ための“量産技術の構築”を実施しなければならない。
同時に、“量産時の製品品質の維持”を考慮しながら、“製品コストを下げるための
アイディアも積極的に採用“して、製品の最適な生産をすることが求められる。
生産方法によって、生産工程での品質レベルが、大幅に変わることがある。
① 製品工程の上流である開発技術部門との連携
② 製品保証するための品質保証部門との連携
③ 最適な生産をおこなうための製造部門との連携
により、生産技術部門は、間接・直接的に、製品の品質管理に対処することになる。
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7. 外注委託する場合の生産技術業務
外注する場合のおもな理由は、
① 自社でその製品を製造することができない場合あるいは、一部の生産
工程が対応できない場合(例えば、特殊な設備が必要な場合)
② 自社で製造するより外注先に製造させたほうが安価な場合
の二つに分類できる。
外注する場合、
必要な部材を自社で調達する場合と、外注先に調達させる場合がある。
(混在もあり)することもあります。部材の有償か無償かの支給法によって
も、状況が変わってくるが、効率のよい生産管理
生産管理を行うには、外注をいか
生産管理
にうまく利用するかが重要となる。
一般的に外注委託をする場合の窓口は、『生産管理部門』となるが、『生産技術
部門』は、外注委託先に“どこまで自社管理下におくか?”によって、その業務量は、
変化する。ただし、どの場合であっても、最低限 現場情報の共有化のため、“指示
連絡書”や“各種報告書”は、自社のフォーマットを外注先に指定すべきである。
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8. MTMの実践
「MTM法(Method-Time Measurement )」では、
「WF法の4作業※」を次の「10の基本動作」
に分類している。
① 手をのばす(R)
② 運ぶ(M)
③ まわす(T)
④ 押す(AP)
⑤ つかむ(G)
⑥ 定置する(P)
⑦ 放す(PL)
⑧ 引き離す(D)
⑨ 目の移動(ET)
⑩ 目の焦点合わせ(EF)
これらの動作の種類と距離で時間を決めている。
「時間単位は」、
「TMU(time measurmenet unit)」です。
1
1TMU = -----------時間 = 0.036秒
100,000
適切なMTMの実践によって、
作業効率を考察し、作業工数
の検討を実施することは、生
産性の向上のために、重要な
ファクターとなる。
※
WF法の4作業
①
使用される身体部位
(指、手、腕、胴、脚、足など)ごとに
動作距離
重量または抵抗
人為的調節
②
③
④
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9. 生産管理と生産技術
生産管理では、生産計画を策定し、それを統制する総合的な管理業務を
指す。
外注先に生産を委託する場合であっても、生産計画を策定し、それを管理
・指導することでは、ルーチンは同じである。
生産技術は、生産管理で策定された生産計画に基づき、製品立上時に
必要な設備・治具の準備対応などを実施することとなる。
外注先に生産技術関連業務を委託する場合は、『対応項目一覧表』を
提示して、項目が漏れないように指導する必要がある。
この場合、生産技術部門は、生産管理部門と連携して、外注指導に
対応しなければいけない。
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10. 生産技術手段の変化
近年の開発技術は、
① 新しいビジネスモデルを創出する「多様性」
② 素早く製品やシステムを提供する「スピード」
③ビジネス継続を保障する「高品質」などの能力
が求められるようになった。
こうした能力を分解することで、開発手法や技術は
「変化する要求への対応」と、
「開発速度と品質の両立」の
二つのベクトルの進化が見える。
新しいしシステムやサービスのソフトのビジネス市場でなくても、
“モノづくり“の手段は、加速して変化している。
生産用治具や装置・設備なども2D-CADから、3D-CADでの作成へ、
簡易工具・治具は、外部発注から、3Dプリンターでの作成へと、
生産技術周辺のサプライチェーンも大きく変革しようとしている。
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11. キヤノンの生産技術
スピードやコスト面での最適生産を追求する生産技術:
開発・製造・品質という一連のエンジニアリングフィールドを同時に進める「コ
ンカレントエンジニアリング」という手法で、製品の高品質・高生産性・タイム
リーな市場投入を実行するための生産技術や生産ノウハウを生み出そうと
している。
(大分キヤノン)
キヤノンが広めたという『セル生産方式』など、生産技術での『革新』を
常に意識しているところは、参考とすべきパワーである。
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12. パナソニックの生産技術
以前は、生産技術の代名詞であった、パナソニック(松下)製品。
電子機器を設計・生産すると、必ず“松下の生産技術関連特許”に抵触する
とも言われていた。
現在は、インクジェット型3D-PRINTERを生産技術として投入することに
力をいれているようであるが、
トヨタの「かいぜん」「かんばん方式」やキヤノンの「セル生産方式」のような、
独自の手法を大々的に開示しているようには、見えない。
ただし、品質面では、他社大手と比較しても、劣ってはいないが、
「コスト」+「品質」とした場合の、トータル「生産技術力」を鑑みたとき、
果たして、トップかどうかは、現時点疑わしい。
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13. トヨタの生産技術
トヨタは、生産技術の革新は、
『競争力を確保し、成長するための生命線になる』と考えている。
グローバルにおける競争力を強化するために、
世界のどの国でも誰でも容易に扱える
シンプル・スリム、低コストの設備開発を進めている。
生産技術のスローガン
① 非常識への挑戦
② ケタ違いへの挑戦
いろいろな面で,生産技術革新を実践、
大きな方向性としては、
(1)生産ラインそのもののフレキシビリティをより高めること
(2)シンプル&スリムな生産手法や生産設備を開発すること
(3)生産工程で高い品質を確保すること
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14. 生産管理とPM
PM= 生産保全 ( Productive Maintenance)
予防保全から発展したもので、今では改良保全や保全予防をも含み、
トータルな意味での生産の経済性を高めるための保全をいう。
設備管理コストの低減と生産性向上を比較するだけでなく、両者
を総合的に実施しようとするやり方である。
現在、この生産保全はさらに進展し、全員参加による生産保全(TPM:
Total Productive Maintenance)という小集団活動をベースにした自主
保全へと移ってきている。
生産管理業務、さらには生産技術業務を実施とき、この『PM』も合わせて
検討・管理することが、広まっている。
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15. セットメーカーでの組織図例(1)
各部署の独立性・権限等を鑑みて、自組織に最適な部門体制を鑑みる。
“部署の壁“を大きくしないことが、重要な課題。 (取締役会・財務経理省略)
社長
営業部
開発技術部
技術管理課
資材購買部
設計技術課
生産管理部
生産管理課
生産技術部
外注管理課
製造部
製造課
品質保証部
製造技術課
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16. セットメーカーでの組織図例(2)
本組織図では、“部署の壁“を最小限に抑えている。(取締役会・財務経理省略)
TQMの観点から、品質保証部は、独立させて、トップ直轄が望ましい。
社長
商品事業統括部
営業部
開発技術部
技術管理課
営業管理課
生産管理統括部
営業課
生産管理部
生産技術部
製造部
製造技術課
設計技術課
生産管理課
品質保証統括部
資材購買課
外注管理課
製造課
品質保証課
品質管理課
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No.6
設計FMEAと工程FMEA
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
Page
内容
FMEAとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
工程FMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
設計FMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
FMEAの活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
設計FMEAの応用と検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
工程FMEAとQCの相関・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
FMEAとTQM・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
ISOの管理とFMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
現場管理とFMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
管理工数を削減するためのFMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
大手メーカーのFMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
中小企業のFMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
連携企業とのFMEA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
独自のFMEA構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
セットメーカーとEMSメーカーの違いは?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
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1. FMEAとは
FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)は、
① 設計FMEA
② 工程FMEA の二つがある。
➡ 「故障モード」を事前に予測して、問題を予防する体系的な分析方法。
➡ 工程FMEA ⇔ 設計FMEA
・外部要因変化点(設計変更、顧客仕様変更など)と内部要因変化点
(4M変更など)の明確な記録と分析により、課題が『工程』なのか、
『設計』なのかを、“判断”することが、メーカー機能の重要なポイントの
一つである。
設計
工程
NG
設計FMEA
設計FMEA
対策・改善
NG
図1
NG
対策・改善
工程FMEA
工程FMEA
OK
OK
製造へ
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2. 工程FMEA
➡ 工程FMEAとは
製造工程上の製品の不具合や問題点の原因となるファクターを、実際に生産する
前に、QC工程表に対応した各工程での課題点・問題点を抽出し、改善を図るもの。
➡ 工程FMEA実施のポイント
① QC工程表・作業指導票の追加・変更・削除
・外部要因変化点(設計変更、顧客仕様変更など)と
・内部要因変化点(4M変更など)
② ST(各工程作業Standard Time)、工程バランス、作業者適性・習熟度、生産難
易度、時間的・人的・設備的制限などの製品あるいは工程中の定常的要因
注: 工程FMEAの実施で、
製造上の不具合ではないと判明、もしくは不明な課題は、
『設計』へのフィードバックが必須(前項、図1参照)
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3. 設計FMEA
➡ 設計FMEAとは
設計品質を向上・保証するために、設計段階で、潜在的な不具合や故障を予測、
摘出するもの。
➡ 設計FMEA実施のポイント
① 故障モードの列挙
(実際に発生するかどうかの可能性を考慮せず、想定できる故障モードをすべて列挙。)
② 故障モードの影響考察と原因の抽出
(故障モードの影響を考察し、故障モードごとに考えられる原因を記述。)
③ 影響の厳しさ・頻度・検出可能性の評価と危険度優先指数RPNの計算
(影響の厳しさ・頻度・検出可能性の3つの指標で点数をつけて評価。この3つの指標を掛け合わせたもの
がRPN。任意に決定した評価点の大きいもの=影響の大きいものを抽出し、対策を講じる。)
注: FTA(Fault Tree Analysis)との違い
FMEAは、部品などが故障した時に回路などにどのような影響を与えるか、さらに製品機能
にどのような影響を与えるかを解析していく、順方向(bottom up)の解析に対して、
FTAは、最初に好ましくない事象を最初に取り上げて、原因を細かく分けて追及していく、
逆方向(top down)の解析法である。
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4. FMEAの活用
設計FMEA
工程FMEA
DR(Design Review)=
デザインレビューとの併用・同時進行
SPC(Statistical Process Control)=
統計的工程管理との併用・同時進行
➡
➡ QC活動を含むSQCやSPCの活動と
セパレートせずに、併用・同時進行できる
ように、フォーマットの共有化、簡素化を
考慮することによって、対応工数を増大させ
負担となるようなことにならないように実施
することが、実施標準化のコツである。
設計評価工数を増やし、フローを複雑化
させることが目的ではなく、
設計評価での“ヌケ”、“モレ”を無く
して、その後の設計リードタイム
の短縮、ならびに“生産しやすい”
(=生産時の製造不良が起きにくい)
製品をつくりだすための行動である。
●製品仕様書との照合
●製品仕様書との照合
●設計基準書・品質基準書などの照合
●実装作業書・検査仕様書などの照合
●不具合事例集などからのピックアップ
●不具合事例集などからのピックアップ
●AAR(After Action Review)からのピックアップ
●AAR(After Action Review)からのピックアップ
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5. 設計FMEAの応用と検討
表1は、設計FMEA運用フォーマットの一例。自社・自組織・製品に見合ったフォー
マットに修正・改善、応用して活用することが、必須である。
➡ 工程FMEAも同様の視点で独自のフォーマット作成。
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6. 工程FMEAとQCの相関
工程FMEAが、設計FMEAと違うところは、
まず、最初に準備するものが、
製品仕様書・QC工程図・作業手順書・検査仕様書などの、生産工程で
必要な書類であることである。
その次に、故障モードの抽出の視点が製品そのものでなく、製品を製造
するための4M(人、材料、設備、方法)や環境)に向くことにある。
さらに異なる点は、潜在性の判断期間にある。
製品FMEAでは設計管理下で欠陥を見つけることへの困難性があるが、
工程FMEAでは工程を実施している間の検知期間も含まれる。
すなわち、工程FMEAは、QC活動そのものと言える。
QC活動で実施する項目をさらに掘り下げて、明確にフォーマット化し、
故障モードを未然にぼうしすることにほかならない。
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7. FMEAとTQM
TQM(Total Quality Management) の活動は、Vol.3の『TQCからTQMへ』で、
《経営トップが、総合的に品質マネジメントの総合的方針を立て、
企業全体で活動する。》
と説明し、その活動は、
■経営からみる品質重視の管理・徹底
■開発~販売・物流・サービスの一貫した品質保証活動
■経営主導の会社全員参加によるQC活動
■経営品質方針の展開とその管理
と記載している。
すなわち、FMEAは、TQMの実践の一つに他ならない。
しかし、ODMやEMSメーカーでは、トップダウンではなく、顧客からのやらされ感が、
目立ち、独自のアレンジには程遠く、別作業になっている企業も多く見受けられる。
この『FMEAの実践』が、自立化(メーカー化)の一つのキーワードになるであろう。
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8. ISOの管理とFMEA
ISO/TS16949(車載規格)では、FMEAを完全運用しており、厳しく量産前の製
造プロセスに適用し、故障を引き起こす恐れのある工程を分析・摘出している。
車載規格のような厳しくかつ精細な設計管理や工程管理を、他の機器でも全く同じ
ように準じる必要はない。
しかし、その手法を学んだうえで、工数がムラ・ダブらないように、独自の基準化で、
改善・応用して活用することには、意義がある。
ISO9001やISO14001の管理・運用でのやらされ感とFMEAのやらされ感は、
メーカーでは払拭すべき事項である。
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9. 現場管理とFMEA
FMEAを製造現場の実装工程や組立工程において有効活用する!
《例』
実装工程:
Pbフリー化や、実装部品の高密度・高精度・高機能化に伴い、
高度なシステム・設備・実装技術が求められるようになってきた。
組立工程:
高機能化・多品種少量化・短納期化と同時に、顧客要求品質の更なる要求と、
新製品の立上げ、中堅管理者や専門技術者の不足などによる、環境の変化に
追従するために、想定される不具合モードを事前予測し、その環境に見合った
管理基準を導入することが重要になってきた。
すなわち、FMEAの導入は、作業・業務を増やすのではなく、全くその逆、
《現場管理を明確・簡易ルーチン化することによって、工数管理を容易にする
ことにある。
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10. 管理工数を削減するためのFMEA
FMEA導入のメリット:
新製品での、基板実装高密度化や製品の高精度・高機能化に対して、
■ 新製品立上スケジュールが遅れる・手間取る
■ 製品量産時にも設計変更がある
■ 製造歩留まりが上がらない
などと、いった問題に対応できる、
“真に有効活用できるFMEAを構築・展開・運用する”
ことにある。
それが、FMEA導入・ルーチン化の真の目的である。
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11. 大手メーカーのFMEA
前項8の『ISOの管理とFMEA』で、説明しているように、車載機器製品に
携わっているメーカー、もしくは車載機器の影響を受けているメーカーで
は、徹底して、FMEA運用を展開・運用している。
しかし、まったく車載機器に関与していないメーカーでは、大手であろうと
も、積極的にFMEAを活用していないところも、事実存在する。
100%断定はできないが、導入していないところの理由は、
① FMEAに類似するまたはそれに代わる対応手法が確立している。
② FMEA導入のメリットが把握されていない。
③ FMEA導入のための工数・人が確保できない。
などが挙げられる。
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12. 中小企業のFMEA
中小企業であっても、車載機器製品に携わっているメーカー、もしくは車載
機器の影響を受けているメーカーでは、独自の、FMEA運用を展開・運用し
ているところは、少なくない。
また、大手メーカーからODMやEMSを受託していて、“MUST”の対応業
務として、運用を指示されているところも、多く存在する。
ただし、その場合、やはり、“やらされ感”は、にじみ出る。
その場合、真の管理工数削減に寄与しているとは、言い難い。
顧客仕様FMEA運用フォーマット粥用において、下記のような提案が、
顧客にできれば戦術的・発展的な互恵関係が構築されると推測される。
① 自社の工程に見合ったFMEA運用に修正改善をお願いする。
② 自社独自の事例対応の盛り込みをお願いする。
③ 実施が不必要と判断する項目の削除をお願いする。
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13. 連携企業とのFMEA
連携企業・協力企業間において、FMEAを実践させようとする場合、
①
②
③
④
強力な信頼関係が構築・確立していること
企業間格差がないこと
指示連絡書なども含む運用フォーマットの共有に抵抗がないこと
共同事業におけるそれぞれの企業内に、相手方が持っていない得意分野を
を保有していること
⑤ 人材交流に障壁がないこと
を土台として、
それぞれの企業内に、まとめ役としてのコーディネータが配置され、
かつ、すべてを統括するプロジェクト・プロデューサーが存在し、
そのプロデューサーに強いリーダーシップと、絶対なる人望が必要となる。
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14. 独自のFMEA構築
FMEAの構築、そして運用・展開して、
《運用による作業量の増大、複雑化、難度化、重複作業化を回避》して、
実質的にも工数削減を成功させることにある。
TQMによる統括
SPC・SQCでの管理
取込標準化
取込標準化
AAR
実施
統合的FMEAでの運用・実践
QC
活動
取込標準化
DR
運用
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15. セットメーカーとEMSメーカーの違いは?
1990年代から、発展・拡大してきたEMS(electronics manufacturing service )
企業は、電子機器の受託生産を請け負い、本来、製品の製造のみではなく、
設計・開発までも請け負う意味でのEMSではあったが、実際に開発まで受託し
ているEMSメーカーは、少なかった。
しかし、2010年頃から様変わりしてきた。
大企業化したEMS企業は、真の技術部隊を保有し、反対に顧客であったセット
メーカーと立場が逆転してきた。
FOXCONNなどは、著明であるが、日系企業でも、加速度的にそれが起き始め
ている。
過去の下請け企業が、元の顧客メーカーを凌駕してきた。
大手顧客から指導を受けて身につけた、シックス・シグマやFMEAなどの手法を
自社化して、スタッフを増員しているEMSメーカーに対して、“アウトソーシング”
と言う方針のもとに、社内での管理を外部に任し、人員を削減していった大手
メーカーの現況を鑑みると、当然のようなことが見えてくる。
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No.7
DR(Design Review)と
AAR(After Action Review)
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
Page
内容
DR(Design Review)とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
AAR(After Action Review)とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
設計と製造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
DR(Design Review) の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
製品納入仕様書(Specification)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
製品品質(Quality)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
納期(Delivery)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
コスト(Cost)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
課題と改善・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
段階的DR・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
製造面のフィードバック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
改善・不具合事例集の作成と活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
設計による製造不良率の削減・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
DRと量産移行承認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
AAR(After Action Review)の実践・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
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1. DR(Design Review)とは
DR(Design Review):デザイン・レビューは、
各開発段階における試作品を、関係部門・関係者が集まり、チェックする
機会を示す。
➡ JIS(日本工業規格)やISO9000(品質マニュアル)において定義されている
設計審査
DR(Design Review)では、各設計試作段階における各種仕様書や設計図面
(回路図・機構 図など)、あるいはプログラムなどの成果物を関係者(営業部門、
資材購買部門、生産管理部門、生産技術部門、品質保証部門、開発設計部門
など)が集まりレビューすることにより、開発製品の課題点・問題点の抽出とその
改善・処置法などをあらゆる視点から、漏らさずに精査・対応することを目的とし
ている。
進捗状況などの情報を共有することにも有効である。
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2. AAR(After Action Review)とは
AAR(After Action Review):アフター・アクション・レビューは、
もともと、米国陸軍で生まれたシステムで、一部の民間組織・企業で使われ始めて
おり、言わば、“プロジェクト・行事の後の反省会”のようなもの。
➡日本で従来から実施されている“PDCA(Plan Do Check Action)サイクルを回す
こととは、ニュアンスが全く違うので、誤解のないようにしなければいけない。
AAR(After Action Review)では、プロジェクト完了(たとえば、開発が終了して、量産移行し生産ラ
インが稼働した後などを指す)後に、
・なぜ、設計に手間取ったか? ・なぜ量産立ち上げにトラブルが多発したか?・なぜ原価が予定より、
高くなったか?などなどの問題点に対して、それを発生させた部署や関係者の犯人捜しではなく、次
回どのように実施したら改善できるであろうかと言う前向きなレビューである。
量産移行会議
製品仕様を満足し、
開発設計の全工程
が完了し、生産でき
る製品となったこと
の最終確認・承認会
議
初回量産開始
量産移行承
認による生
産投入
図71 AAR実施の流れ(参考一例)
AARの実施
初回投入後の、設
計的・製造的面で
の反省点等抽出
次ロット・次
機種へ、本
反省点・改
善点の活
用・応用
次ロット量産開始改善対応
or 他機種への展開展開始
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3. 設計と製造
生産性の良い、すなわち実装・組立がしやすく、工程内不良率が低い、ヒューマンエラーが
しにくい製品は、90%は、製品工程の上流の“設計”で決定されると言っても過言ではない。
設計審査(DR)時での、製造側から見た課題点のフィードバックは、製品品質の向上面か
らも重要なポイントになる。
上流
社内設計基準に準拠した設計、過去の不具合
事例に対応などの初期設計での精度アップの
心がけ
基本設計
開発設計
組立やすい・実装間違いが起こりにくい、製
造不具合が起こりにくい、
レイアウトや設計形状を検討対応
試作評価
安定した信頼性のある製品の生産がで
きるための裏付け確認と治具を含むッ
最適な設備対応処置
信頼性試験
評価
生産設備等
対応
製造工程
下流
製品を量産するための最適な生産
工程検討対応
図72 AAR実施の流れ(参考一例)
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4. DR(Design Review) の内容
DR(Design Review)は、発生日、事象の簡単な説明、発見者、対策部署、対策者、対策確
認者、対策終了予定日、対策終了日、対策の簡単な説明、問題点のランクを明確にする
ことにある。(下記は、“DRでの検討内容一覧表。別紙『設計審査(DR)規定の参照のこと)
図73 DR検討内容一覧表
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5. 製品納入仕様書(Specification)
別紙:製品に宇入仕様書例参照
DR(Design Review):デザイン・レビューでは、
① 製品企画書への要求品質の反映状況
② 製品企画書と設計仕様の比較
③ 製品企画書と製造仕様の比較
の検討・精査が上流の精査として開始される。
最終的には、上記3点を背景として、新規に開発された製品の
『製品納入仕様書(Specification)』を発行する。
すべての、製品は、この『製品納入仕様書(Specification)』をベースに生産され、
その内容が製品特性・性能を保証する内訳になる。
製品納入仕様書に記載される全項目の確認
DR(Design Review)の実施
POINT 1
図74 DRの実施背景1
・電気特性
・構造(寸法・仕上がり等)
・環境仕様・信頼性仕様
・適用規格・安全性
・製品表示
・製品梱包形態等
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6. 製品品質(Quality)
DR(Design Review):デザイン・レビューでは、
製品品質(Quality)を満足させるために、
① 前5章の『製品納入仕様書』で、規定された各スペックとの照合
のみならず、
② 法的規制事項; 国家および国際標準との整合性
③ 社内規格、 社内標準との整合性
④ 類似設計との比較、過去の問題の解析とフィードバック
などなど、あらゆる角度から、検討・精査を実施する。
製品品質の確認
DR(Design Review)の実施
POINT 2
図75 DRの実施背景2
・環境特性
・社内基準
・国際標準
・安全規格基準
・過去事例からのF/B
・類似品との比較検証
等
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7. 納期(Delivery)
DR(Design Review):デザイン・レビューでは、
製品の特性・品質面のみならず、
① 開発計画・日程の進捗把握
② 試作投入時期の確認と調整
③ 生産治具・量産移行イニシャル品の対応時期と調整
④ 試作部材・量産部材の確保
⑤ 量産投入対応の調整と決定
などの各種、日程・納期について、状況確認と調整などの対応を実施する。
納期対応確認
DR(Design Review)の実施
POINT 3
図76 DRの実施背景3
・開発日程 進捗
・試作投入確認と調整
・生産設備類の確認と調整
・量産移行イニシャル
(金型類・生産治具等)の確認と調整
・試作・量産部材の確保と調整
・量産投入対応の調整
111
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8. コスト(Cost)
DR(Design Review):デザイン・レビューでは、
製品品質(Quality)・納期(Delivery)と同時にコスト(Cost)、すなわち、
① 想定原価と実質製品直材費との照合・調整・処置・対応
② 想定原価と実質製品加工費・管理費との照合・調整・処置・対応
③ 製品見積コストと実質製品コストとの照合・調整・処置・対応
④ 開発イニシャル費関連の照合・調整・処置・対応
⑤ 生産治具・生産設備・発注金型類などの照合・調整・処置・対応
など、あらゆるコストを精査する。
コスト確認
DR(Design Review)の実施
POINT 4
図77 DRの実施背景4
・製品直材費
・製品加工費
・製品管理費
・見積コスト⇔実質コスト
・開発イニシャル費
・量産移行イニシャル費
等
112
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9. 課題と改善
DR(Design Review):デザイン・レビューでは、
実施確認検討された、製品性能確認・製品品質(Quality)・納期(Delivery)・コスト(Cost)
などに対して、改善検討課題となった項目に対して、
① その改善法の明確化
② 改善対応時期
③ 改善部署あるいは担当者の明確化
④ 改善対応による原価等(直材費・加工費)の変化の確認と結果承認作業
⑤ 暫定処置・恒久処置・対応実施時期指定などの明確化
などを検討・実施して、実用性のある作業とすることが最終ポイントである。
課題と改善確認
DR(Design Review)の実施
POINT 5
図78 DRの実施背景5
・課題の改善法の明確化
・改善対応時期
・改善部署・担当者の明確化
・改善対応による原価変化検証
・暫定処置と恒久処置の検証
・実施指定・特別採用等の検証
等
113
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10. 段階的DR
DR(Design Review)は、製品の完成度レベルに応じた『各開発段階』で実施することが、
必要である。その『各開発段階』に応じた検証レベル内容とフローの一例を図79に示す。
各開発段階のDR(Design Review)を経て、完成度を上げて、
性能評価・実装評価・原価検討・その他
『量産移行承認』に、フローを進める。
設計仕様などの確認
DR0の実施
DR1の実施
1次試作 (ES1:Engineering Sample1)
DR0に基づく開発設計
DR1に基づく課題点の改善・処置
設計構想(設定コス
ト・回路方式・デザイ
ンなど)の検討・確定
2次試作 (ES1:Engineering Sample2)
DR2に基づく課題点の改善・処置
OK
信頼性評価・安全規格対応・生産性
その他製品仕様などの細部確認
NG
注:
設計FMEA
との併用
NG
DR2
の実施
3次試作 (TS:Technical Sample)
DR3
の実施
OK
量産対応のための
設計審査最終確認
DR3に基づく課題点の改善・処置
量産移行承認会議へ
図79 DR実施の流れ(参考一例)
114
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11. 製造面のフィードバック
DR(Design Review)において、
① 組立て性、 作り易さ
② SMT,自動挿入等の自動化の適合性
を確認するとともに、
試作での、仕上がり(ディップ上がり=半田付性、実装部品・組立嵌合・・・・)を
チェックして、設計で改善できるものは、修正依頼を早めに提案することが、
重要なポイントになる。
設計
工程
工程・治具改善
設計審査
(DR)
対策・改善
設計変更
改善依頼
NG
試作品での
工程FMEA
工程FMEA
実施
対策・改善
NG
OK
OK
NEX STAGEへ
図80 製造フィードバックの流れ(参考一例)
115
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12. 改善・不具合事例集の作成と活用
各製品の立上げで実施するDR(Design Review)での課題の処置方法や、
不具合発生に対する処置・改善法は、莫大なノウハウとなる。
NEXT機種の設計時や立上げ(工程)での、参考資料としての価値は、大きい。
改善・不具合事例集作成のポイント
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
発生日・発生機種の明記
発生場所の明記
発生時期(or 発生した設計段階もしくは、量産時期・ロット)の明記
発生内容の詳細説明
処置・改善方法の詳細説明(暫定処置や特採があった場合はそれも明記)
対応部署の明記
処置・改善の対応時期の明記
図72 AAR実施の流れ(参考一例)
116
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13. 設計による製造不良率の削減
DR(Design Review)において、
『組立て性、 作り易さ』を追求し、設計変更・改善することにより、
製品製造の仕上がり(ディップ上がり=半田付性、実装部品・組立嵌合・・・・)を
“良くする”ことは、必然的に、「製造不良率」下げることは、言うまでもない。
下記に、設計対応による「製造不良率の削減対応項目の一例を示す。
実装電解コンデンサや、ダイオード
極性の一方向への統一
実装時や修理時のヒューマンエラー
率を削減する。
ランドが並ぶ部品のディップ方向の指定・統一/
捨てランドによるディップショート防止対応等
ディップ後の未半田・半田ショートなど
を減ら修正工数を削減する。
実装部品の削減や、実装工程の削減、
組立工数削減設計対応
製造工程の削減により、製品・部品破
損などの可能性を軽減する。
117
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14. DRと量産移行承認
DR(Design Review)において、
実施すべき「設計審査」をすべて
終えて、
製品として、生産に値する“品質”
をクリアーするであろうと
認められた場合、
「量産移行承認」 作業に入る。
暫定承認などが、発生する場合は、
「DR○○報告書」や
「DR/量産移行準備確認リスト」
と合わせて(添付して)報告する。
別紙『設計審査(DR)規定の参照。
図80 新製品量産移行承認書
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15. AAR(After Action Review)の実践
AAR(After Action Review)は、
汗水流して、設計しDRを実践し、量産移行承認を経て、
実際に「量産」した後の、作業である。
量産した後は、
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではないが、苦労した「大切なノウハウ」を整理せずに、
次ロットへの展開はともかく、他機種や次機開発機種への活用・応用展開を怠って
しまう場合がある。
設計担当者や、製造関係者が変わった時に、“依然と同じミス”をするということを
何度も経験している企業のお話しも、それほど珍しくはない。
新製品に於いて、1ロットの量産が終了した時点で、関係部門が集合して、
ポジティブに反省と活用を議論するAAR(After Action Review)の実施を
定着させて、真の“魂の入ったものづくり”を日本は実践していただきたい。
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No.8
信頼性評価試験実施ノウハウ
120
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
Page
内容
信頼性評価試験実施の意図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
信頼性評価試験結果の取扱い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
信頼性評価試験例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
信頼性評価試験と環境試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
信頼性評価試験実施と製品品質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
信頼性試験規格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
電気用品安全法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
各国安全規格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
製品別の安全規格カテゴリー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
独自社内規格による信頼性評価基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
基本設計と信頼性評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
ユニット評価試験と完成品評価試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
各メーカーでの信頼性評価試験実施の違い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
初期故障とエージング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
ウィスカ・マイグレーション現象の設計・製造因果関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
121
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1. 信頼性評価試験実施の意図
製品品質の信頼性を高めて、質の高い・安全な製品を市場に提供するために、
決められた評価基準(製品の性能・安全性など)をクリアーしているどうかを
確認することが、「信頼性評価試験」である。
よって、評価試験結果の合否判定が目的ではなく、
《質の高い・安全な製品を市場に提供すること》が、真の目的である。
基本設計
製品性能特性
基準値
合否
図81
環境仕様特性
基準値
合否
基準値
合否
「特性要因図」で表した、信頼性評価試験ですべき内容
122
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2. 信頼性評価試験結果の取扱い
「信頼性評価試験」は、DR(Design Review)や設計FMEAとリンクする。
そのときNGになった評価項目に対しては、設計改善・対策を施し、Gとな
った、「信頼性評価試験項目」を再実施する。
なお、設計改善・対策を施した場合は、一度合格している
「信頼性評価試験項目」であっても、基本的には、前試験項
目を再実施しなければならない。
製品性能評価・環境仕様評価などの確認
再試験が不要だと明確に説明できるもの
信頼性評価試験の実施
もしくは、その裏付けができるものである
場合は、承認作業を経て未実施とする。
OK
NG
試験結果
追加試験・エージング試験などの実施
NG
試験結果
量産対応のための設計審査
最終確認とリンク
OK
量産移行準備
DR・設計FMEA
とのリンク
図82 信頼性評価試験の流れ
123
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3. 信頼性評価試験例
別紙EXELデータ活用
右図は、LED照明用電源
ユニットの全評価試験一覧
注記:
一つの評価項目のNGを設計
改善したことにより、OKだった
評価試験項目がNGになること
は、希なことではない。
ゆえにNG一つの改善は、基本
的に全試験再評価へリンクする
ことを忘れてはいけない。
表81 信頼性評価試験項目一覧
124
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4. 信頼性評価試験と環境試験
環境試験は、国際規格のIEC60068を元に、基準化された日本工業規格JIS C 60068
に、その試験項目と試験方法が明記されている。
環境試験は、信頼性試験の一つ。
設計面で潜む不具合を見いだす手段として、環境試験を実施する。
以下、IEC60068-1で記載されている項目
A 低温試験(耐寒性)
M 気圧試験(加圧・減圧)
B 高温試験(耐熱性)
N 温度変化試験(温度サイクル)
C 湿度(定常状態)試験
P<空> 有煙燃焼性試験
D 湿度(サイクル)試験
Q 封止試験(気密性など)
E インパクト試験(耐衝撃性)
R 耐水試験(雨、水滴)
F 振動試験
S 放射試験(日射)
G 定加速度試験
T はんだ付け試験
H<空> 旧貯蔵試験
U 端子強度試験
J かび試験
V<空> 旧音響雑音
K 腐食雰囲気試験
W<空>
L 砂じん試験
Y<空>
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5. 信頼性評価試験実施と製品品質
『信頼性評価試験』を実施しただけでは、当然《製品品質》は高くはならない。
『信頼性評価試験』をクリアーした製品、
あるいは評価試験結果NGを改善対応した製品を、
製品に求める品質・性能を維持するものづくり(製造)を実施して、
かつ、製品品質のための管理まで実施することが必要である。
もう一つ、《製品品質》向上のための、粉薬は・・・・・
➡ 『魂を込めたものづくり』
126
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6. 信頼性試験規格
信頼性試験規格は、
① 日本工業規格(JIS)
② 電子情報技術産業協会規格(JEITA)
③ 米軍規格(MIL)
④ 国際電気標準会議規格(IEC)
等で各種試験方法が標準化されている。
ただし、自社で製品の信頼性を保証するには、上記規格だけでは、完結しない。
a) 以前に経験した規格化されていない内容(あるいは想定外)での不具合事例対応
b) 新製品が故に市場での使用方法が特殊で判例がないものへの評価法設定
c) 製品独自の仕様上、規格値を新たに設定あるいは規格を厳しくしなくてはいけ
ないものの社内規定値設定
など、《製品品質》維持のために、
メーカーが独自に施すべき、社内独自評価の標準化はMUST!
127
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7. 電気用品安全法
電気用品安全法(PSE)とは、電気用品の製造、販売等を規制するとともに、
電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、
電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とした、国内安全規格である。
電気用品の製造又は輸入の事業を行う者は、経済産業省令で定める電気用品の区分
に従い、事業開始の日から三十日以内に、経済産業大臣に届け出なければならない。
届出の事項は下記内容必須
1.氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
2.経済産業省令で定める電気用品の型式の区分
3.当該電気用品を製造する工場又は事業場の名称及び所在地
(電気用品の輸入の事業を行う者にあっては、当該電気用品の製造事業者
の氏名又は名称及び住所)
特定電気用品
PS
E
PS
E
特定電気用品以外
の電気用品
図83 PSEマーク
128
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8. 各国安全規格
それぞれの国に存在する安全規格 商用電源電圧の違いに注意!
図84 PSEマーク
※ OMRON様資料より流用
EN規格、JIS規格、DIN規格、BS規格、ANSI規格、CAN 規格、GB規格、AS規格、ISO規格、IEC規格、
SEMI規格、CEマーキング、UL規格、c-UL規格、CSA規格、CCC強制認証制度、電気用品安全法・・・
129
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9. 製品別の安全規格カテゴリー
各製品類に対する国際規格カテゴリーと具体的な製品例
記:IEC・・・・とは国際規格。このNo.が安全規格基準となっている。
例えば、OA情報機器製品での国際規格カテゴリーは、IEC60950
米国では、UL60950
独国では、EN60950
日本では、 J60950
となる。
IEC60335
IEC60065
IEC60950
:
:
:
IEC61010
IEC60601
IEC62471
:
:
:
家電製品
映像音声機器類
OA・情報機器類
➡ 冷蔵庫、ミシン、加湿器、電子レンジなど
➡ TV、ビデオ、オーディオプレーヤーなど
➡ キャッシュレジスタ、複写機、
データ回線終端機器. PCなど
測定機器類
➡ 電気計測器全般
医療機器類
➡ 電子医療機器全般
LED照明機器類
➡ LED電球、シーリングライト、LED蛍光灯など
(参考: LED照明用電源装置のカテゴリーは、IEC61347)
130
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10. 独自社内規格による信頼性評価基準
“メーカーが独自に施すべき、社内独自評価の標準化はMUST! ”
信頼性評価社内基準の策定ポイント(一例)
① 規格値マージンの設定
② 過去の不具合事例回避のための評価基準設定
③ 既成製品との比較試験評価基準設定
④ データ管理フォーマットの設定
⑤ 製品管理・部材管理期限の設定
など
131
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11. 基本設計と信頼性評価
基本設計の精度でも、製品の品質レベルは大きく異なってくる。
よって、基本設計設定時のDR(Design Review)0=デザインレビュー・ゼロでの基本設計
協議は重要な出発点となる。
信頼性評価試験は、設計で仕上がった試作サンプルにて、
実施することがスタンダードであるが、
従来機種のAARや不具合事例集を活用した基本設計をそれとは別に習慣づける
ことが、設計リードタイムの短縮と製品品質の向上につながる。
記: 製造に移行して、量産中であっても、予期できなかった不具合等が発生した場合は、
必要と判断される信頼性評価試験を実施することは、特別な事象ではない。
132
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12. ユニット評価試験と完成品評価試験
ユニットもしくは、モジュール製品での信頼性評価試験項目と、
それを組み込んだ完成電子機器製品での信頼性評価試験項目は、
ほとんど同等と言ってよい。
ただし、設置・組込で違った状況下となるため、
評価測定値あるいは製品特性値が変わることを十分理解する必要がある。
図85は、電源ユニットの場合とそれを組み込んだ完成品で、明らかにデータ
が変化することが予想される項目(参考)をピックアップしている。
厳しくなる
雑音端子電圧
厳しくなる
不要輻射
電源
ユニット
LED灯具
楽になる
静電気試験
温度上昇試験
電源
ユニット
厳しくなる
図85 電源ユニットとLED照明灯具完成品にて、データに差が出る項目例
133
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13. 各メーカーでの信頼性評価試験実施の違い
第6章 信頼性試験規格 と 第10章 独自社内規格による信頼性評価基準 で、
“メーカーが独自に施すべき、社内独自評価の標準化はMUST! ”
であることを説明したが、各メーカーでの同等製品の開発~製造での
『信頼性社内評価実施基準』 は、かなり大きな差がある。
例
S1社 : 規格値マージン設定、特殊使用の元での規格値設定などが充実している
が、発売期限が近づくと“特採申請”により、規格が緩められる。
そのためか、初回ロットは、○○タイマーと言われるくらい不良が多い。
S2社 :
N社 :
JEITAで取り決められた標準値で、規格はそれほどシビアではない。
S1社と違い、規格に入らない限り、発売は延期。“特採申請”はほとんど無効。
不具合事例が出るたびに評価項目が加算される。現在は必要がないと思われる
過去からの凡例試験も実施しており、莫大なエントロピー増大に繋がっている。
➡ 社内独自標準を設定することは必要であるが、
必要以上にむだな設定は避けなくてはいけない。
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14. 初期故障とエージング
エージング試験や生産時に設置するエージング工程は、
初期不良を吸い上げるために非常に有効的である。
信頼性試験規格の日本工業規格(JIS)・電子情報技術産業協会規格(JEITA)・
米軍規格(MIL)・国際電気標準会議規格(IEC)などで、72時間エージングや
500時間エージングなどの規定がある。
ただし、エージングの時間設定やエージング台(工程)作成は、
自社独自の経験・ノウハウに依存するところが大きい。
製品によっては、長時間エージング後に不具合が発生するものも、実際に存在するので、
試作評価試験時のエージング試験はMUST!
量産時の製品エージング実施は、要協議項目である。
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15. ウィスカ・マイグレーション現象の設計・製造因果関係
ウィスカ(
ウィスカ(Whisker) :
結晶表面からその外側に向けて髭状に成長した結晶。
鉛フリー半田の普及により、電子機器の絶縁不具合が再浮上した。
マイグレーション(Migration):
電界の影響で金属成分が非金属媒体の上や中を横切って移動する現象。
この現象では、移動の前後で金属成分は金属状態であり導電性を示す。
マイグレーションも、移動現象の違いにより、さらに2つに分けることができる。
一つは電子運動によって運ばれるエレクトロマイグレーション(Electro Migration)。
もう一つは電解現象によるイオンマイグレーション(Ionic Migration)。
【特徴】
温度
電流密度
湿度
イオンマイグレーション
低温(<100℃) 小(<1mA/cm2)
高いほど顕著
エレクトロマイグレーション 高温(>150℃) 大(>104mA/cm2) ほとんど乾燥
記: マイグレーションは、設計的要因(パターン間距離など)と製造要因(フラックス・ボン
ドなどの副材変更など)の両方の複合で発生する場合がある厄介な現象である。
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No.9
設計品質と製造品質
137
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
Page
内容
設計品質とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
製造品質とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
設計品質と製造品質の関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
設計品質の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
製造品質の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
設計品質と改善・イノベーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
4M(5M)変動管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
設計仕様書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
製造仕様書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
各部門共有フォーマット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
計測器管理基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
生産治具と製品仕様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
各種設計基準書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
部材承認作業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
金型類承認作業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
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1. 設計品質とは
設計品質とは、
『ある部品を設計する段階で、図面化されたその部品の寸法、材質、性能などを
設計品質という。
あるいは、製造の目標として狙った品質という意味では、狙いの品質、ということ
もある。』《大車林》
資料Vol.8『信頼性評価試験ノウハウ』の第5章「信頼性評価試験と製品品質」では、
“『信頼性評価試験』を実施しただけでは、当然《製品品質》は高くはならない。”
と記載しているが、“設計する段階で・・・!”ある程度が決定づけられるとも言い換えられる。
製品構造
製品形状・
寸法
図91
設計品質
安全対策
設計品質を決定させるファクター
採用部品
等の材質
製品性能
採用部品
等の特性
139
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2. 製造品質とは
製造品質とは、
『設計品質の達成を目指して製造した製品の、実際の品質をいう。自動車の性能、耐久性
などは設計品質と製造品質両面で決定される。これは設計が製造の加工能力以上のもの
を要求しても不良品の山になる。投資なしに今利用できる製造技術を使って、しかもむだの
ないロバストな設計が求められる。一方、製造品質の向上も終わりがない挑戦であり、不
良率を下げて(品質を上げて)コストを下げ、同じコストでさらに見栄え品質を上げるなどとい
う毎日毎日の取り組みが必要である。製造品質は4M(人、機械設備、材料、技術方法)の
管理、新技術の開発、すなわち生産プロセス全体の総合的な管理が結果を左右するとい
われる。』《大車林》
簡単に言うと、
出来上がった製品の品質を製造品質(適合品質)といい、設計品質との適合度を意味する。
設計品質
製造品質
品質管理
図92
製造品質を決定させるファクター
製造技術
生産技術
4M(5M)
変動管理
生産管理
140
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3. 設計品質と製造品質の関係
①設計品質:ねらいの品質
②製造品質:できばえの品質
③使用品質:要求品質
(消費者に製品が渡って、実際に消費者が
その商品を使用したときの品質)
製品品質
設計品質
設計段階では、製造時のバラつきを考慮して、
特性や構造・寸法などの設定する。
製造品質
設定された規格値に基づき、製造を実施して、
抜取検査のデータは、標準偏差などで
「ねらいの品質」の妥当性も管理する。
使用品質
141
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4. 設計品質の向上
“ものづくりの上流”である『設計』は、「製品品質」を決定する重要な工程である。
図93は、『設計品質』を向上するための相関図。
関係部門との情報を
共有化すること
出来る限り、シンプル
を心がけること
設計基準に正確に従
うこと
仕様書類を判りやすく
作成すること
設 計
品 質
必要な評価試験項目
をクリアーすること
採用する素材・部材の
選定ルールを守ること
過去の事例を有効活
用すること
DRやFMEAを有効的
に実施すること
図93
設計品質向上相関図
142
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5. 製造品質の向上
製造にて品質を向上させるためには、各種管理・作業をしっかり理解することから始まる。
図93は、『設計品質』を向上するための相関図。
関係部門との情報を
共有化すること
QC程図や作業手順書を
判りやすく作成すること
4M(5M)※変動管理を
しっかり実施すること
製造基準に正確に従
うこと
製 造
品 質
教育・訓練を怠らない
こと
適切な設備・治具を用意
すること
過去の事例を有効活用す
ること
QC活動やFMEAを有
効的に実施すること
図93
設計品質向上相関図
※
4M(5M)については、第7章にて説明
143
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6. 設計品質と改善・イノベーション
『製品』の機能・性能と同じく、「設計品質」そのものの改善とイノベーションは、
常に挑戦していかなくてはいけない重要なテーマである。
《設計品質の改善・イノベーションの
ための検討項目》
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
設計工程手順
設計手法
評価試験・測定方法
採用素材・部品の変更
使用道具(CAD・測定器)
各種管理フォーマット
連携部署・協力企業
※設計品質の改善・イノベーションを
行うには、当然それを達成させる
ための情報を集めると同時に、
そのなかの情報から必要な情報を
ピックアップし、かつその有効的活用
と応用ができなくてはいけない。
➡ 製造品質も同じ考え方ができる。
144
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7. 4M(5M)変動管理
“ものづくり”での4Mとは、
・
・
・
・
Man(人=作業者)
Machine(設備・治工具)
Material(材料・部品)
Method(作業方法)
5M変動管理を適確・明確に対応するた
めには、
5W2H1R
(Vol.1品質関連・生産技術関連ワード参照)
5W Who (だれが?)
を示し、それにもう一つ
・ Measurement(検査・測定)
を加えて5Mと称している。
この5Mの変動管理を
いかに適確・明確に対応するかが
『製造品質』での、重要な管理である。
When (いつ?)
Where(どこで?)
What (何を?)
Why (なぜ?)
2H How many(どのようにして?)
How much(いくら?)
1R Result (結果)
を徹底管理すること。
《P》もう一つの4M : 4M5Eの分析手法
➡ 横軸に4M、縦軸に5Eを置いた
マトリックス表で管理する。
4M = Man(人)、Machine(設備、機器)、Media(環境)、Management(管理)
5E = Education(教育・訓練)、Engineering(技術・工学)、Enforcement(強化・徹底)、
Example(模範・事例)、Environment(環境)
145
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8. 設計仕様書
ここで言う設計仕様書とは、『設計品質』を決定する、
① 製品性能 ② 製品構造 ③ 製品形状・寸法 ④ 安全対策
⑤ 採用部品の特性 ⑥ 採用部品の材質
などを決定する各種仕様書を示す。
各種仕様書例
設 計 仕 様 書
■ 製品納入仕様書 (Specification)
■ 回路図 (Schematic diagram/Circuit diagram)
■ 部品表 (Parts list/Bill of materials)
■ 基板実装部品配置図
■ カスタム部材関連仕様書
■ 各種機構部品図
■ ハーネス図
■ 組立図
■ 梱包仕様図
■ 採用部品納入仕様書
などなど
146
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9. 製造仕様書
ここで言う製造仕様書とは、『製造品質』を決定する、
・4M(5M)変動管理に必要な各種仕様書
並びに
「品質管理」・「製造(技術)」・「生産技術」・「生産管理」の
各部門で発行・管理される各種仕様書を示す。
各種仕様書例
製 造 仕 様 書
■
■
■
■
■
■
■
■
■
製造管理基準書 ※
QC工程図
実装・組立作業手順書
設備利用仕様書
治工具取扱説明書
治工具作成仕様書
受入検査仕様書
抜取検査仕様書
出荷検査仕様書
■ 部品在庫管理仕様書
■ 環境有害物質管理仕様書
■ 重要安全部品管理仕様書
■ 仕掛品・完成品管理仕様書
■ システム作成仕様書
など
※ ISO900Oや1SO14000などに、
規定される管理基準に従う。
147
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10. 各部門共有フォーマット(書類)
市場に送り出す“製品”は、
設計部門・品質保証部門・資材購買(調達)部門・製造部門・生産管理部門・
生産技術部門など、 各部門が連携して、『情報を共有』しなければいけない。
その中での、情報伝達に共通して活用するフォーマットは必要不可欠なもので、
特定部門から一方向に発行される書類ではなく、
双方向的に活用する書類フォーマットが、メーカー機能では必須となる。
《各部門共有フォーマット書類》例
1) 指示連絡書
① 設計変更に対する対応・連絡の場合
設計部門 ➡ 関係各部門に発行
② 製造設備・工程変更に対する対応・連絡の場合
生産技術部門 ➡ 製造部門・設計部門・生産管理部門などへ発行
③ 検査方法の変更に対する対応・連絡の場合
品質保証(品質管理)部門 ➡ 製造部門・設計部門などへ発行
2) 特別採用(特採)申請書
① 使用部品暫定承認対応の場合
資材購買部門(発行承認願元)
➡ 設計・品証部門(承認先) ➡ 関連全各部門へ発行
148
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11. 計測器管理基準
『製造品質』を維持・向上させるための
「5M変動管理」における、Measurement(検査・測定)に対して、
使用・活用する設備機器の中で、測定装置類に関しては、
《計測器管理基準》を明確に設定することが必要となる。
《計測器管理基準に記載すべき項目》
① 計測器管理基準書の発行者・承認者
② 計測器類管理担当・管理責任者・管理部門
③ 目的・適用範囲
④ 計測器管理方法・内容
⑤ 各計測器ごとの校正※期間
⑥ 情報・記録の保管方法
⑦ 教育・訓練
など
※校正について
■校正する機器⇔校正しない機器
■社内校正する機器⇔外部構成する機器
の明確化と
■校正記録管理
を明確に定義。
149
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12. 生産治具と製品仕様
『製品品質』(=設計品質+製造品質+使用品質)を決定する“製品仕様”に基づき、
各製造製品ごとに、適切な“生産治具”を作成する。
図94は、 生産治具作成までのフロー。
設計仕様
書類作成
検査仕様
書作成
検査仕様
変更・改善依頼
設計審査
(DR)
修正・改善
設計審査
(DR)
修正・改善
NG
NG
OK
OK
検査治具
製作仕様書の作成
検査治具の
製作
修正・改善
NG
OK
工程投入
検証・確認へ
図94
生産治具製作フロー
150
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13. 各種設計基準書
開発設計では、設計実務・各仕様書類作成・各評価試験などの幅広い工程に対して、
各種各様の基準書が準備されている。
《各種設計基準書》
① 設計管理基準書:
設計工程フロー全体のルール(設計管理ルール)を明記
② 評価管理基準書:
開発製品にて実施する各種評価試験の方法と規定値を明記
③ 基板設計基準書:
基板アートワークでの作業ルールを明記
④ 搭載部品ランド設定基準書:
アキシャル・ラジアル自挿部品・チップ(フロー・リフロー)部品
⑤ 設計審査基準書:
DR実施等に対するルールを明記
151
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14. 部材承認作業
『設計品質』を決定する
① 製品性能 ② 製品構造 ③ 製品形状・寸法 ④ 安全対策
⑤ 採用部品の特性 ⑥ 採用部品の材質
の中の⑤、⑥の項目を精査・管理するために、各採用部材の承認作業を実施する
ことが必須となる。
承認した、部品・材料に関しては、《部品納入仕様書》にて、承認内容を取り交わす。
《部品納入仕様書》を取り交わす部材の区分(例)
■ 汎用電子部品(半導体・コンデンサ・抵抗・インダクタ他)類
■ カスタム電子部品(スイッチングトランス他)類
■ 汎用機構部品(SW・コネクタ・ヒートシンク他)類
■ 生基板
■ カスタム板金類
■ カスタム機構部品(ハーネス・樹脂設計部品他)
記: 特にカスタム部品であって金型作成が必要なものに関しては、独自のフォーマット(次章)を
用意することがベスト
152
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15. 金型類承認作業
採用部品であって、金型を作成する
部材については、 金型を作成し、
できた製品ならびに金型そのものを
承認する作業が必要である。
下記項目は、その承認作業に必要な
項目を列挙している。
① 金型預書
(委託先での保管証明となる)
② 承認(見本)サンプル 確認・保管
(限度見本等:依頼元・作成元両方が保有)
③ 金型類作成仕様確認書
(金型で作成された承認検証サンプルの確認結果)
④ 製品合格書
(出荷合否結果 寸法検査等含む)
図94は、基板の場合の「作成仕様確認書」
図94 生産治具製作フロー
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No.10
製品保証と寿命算出
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
Page
内容
製品保証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
製品の寿命を決定するファクター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
部品寿命・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
長期市場投入品の不良要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
高温使用による製品寿命劣化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
製品の保証寿命(期間)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
部材の保証保管期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
設計保証寿命・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
MTBF・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
MTTF ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
疲労寿命・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
加速劣化試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
電解コンデンサの寿命算出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
フォトカプラの寿命・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
長期エージング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
155
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1. 製品保証
製品保証は、
製品構造、素材保証期間、部品品質・寿命、環境条件、使用方法、製造方法、保管方法
などを考慮した、『設計保証』により、決定される。
設計により、製造品質も影響される。
設計保証マージンは、製品保証期間をはるかに超えていることが、製品の前提に
ある。
製品構造
素材保証期間
部品品質・寿命
設計保証マージン
製品保証
環境条件 使用条件 製造条件 保管方法
図X1
製品保証決定図
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2. 製品の寿命を決定するファクター
製品の寿命を決定するファクターは、
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
回路設計
機構設計
環境使用条件
ユーザー使用条件
使用される素材・部品の品質
使用される素材・部品の寿命
製造
使用副材
人(作業者)
設備・治具
修理
物流(輸送)
サービス・保守
保管
注記:
環境使用条件は、製品によって違うのは
もちろんのこと、
市場環境の変化・多様性あるいは、他製品
との干渉・弊害なども考慮しなければならない。
例:
■使用環境(寒冷地・海・高地・温泉地)
での対応
■スマホ・携帯電話による他製品の
電波障害・誤動作防止対応
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3. 部品寿命
電子部品・メカ部品(可動部品:スイッチ・リレー・モーターなど)・機構部品そして製造での
副材(半田・フラックス・接着剤・静電袋など)には、
当然ながら、すべてに想定寿命(保証期間)がある。
すべて、ただし理解して、設計・製造を実施することは、
Japanese Qualityの基本ベースである。
電子部品寿命を決定する各部品要因例
1)半導体の寿命
➡ワイヤ部劣化・回路部/素子劣化・ボンディング部劣化
2)メカニカルリレー
➡可動部端子劣化
3)スイッチ
➡可動部接点劣化
4)電解コンデンサ
➡容量ヌケ
すべでは、使用条件・設計対応・環境条件によって、大きく左右される。
158
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4. 長期市場投入品の不良要因
長期にわたり、使用された製品において、動作不良・損傷・破壊を起こす理由は、
大きく分類して、下記の5つが想定される。(電池などの消耗品は除く)
① 半導体劣化・破壊による動作不良・故障
➡ IC、フォトカプラ、発光ダイオード、画像媒体、撮像媒体
② 稼働メカ部品
➡ リレー、スイッチ、モーター、その他メカ部品劣化・摩耗・故障
③ 機構部品
➡ 変形、酸化、衝撃などによる破損、経年劣化(JACK、INLETなども含む)
④ 半田・接着剤材などの副材
➡ 経年劣化などによるクラック・インピーダンス変化
⑤ 想定外での環境使用
➡ 高温・多湿、低気圧環境、硫化ガス、設計保証外サージの流入、複合障害・・・
電源の不良で電解コンデンサの寿命(容量ヌケ:『第13章 電解コンデンサの寿命算出』
参照)をそのユニットの寿命として想定していることが、一般的であるが、昨今の電子製
品で、この“容量ヌケ”で返品されることは、ほどんどないのが現状である。
159
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5. 高温使用による製品寿命劣化
高温使用状態では、いろいろな部品、材料の寿命が加速劣化し、製品寿命が決定される。
そのため、環境・使用条件を考慮した、設計マージンが重要なファクターとなる。
下記は、部品・材料の劣化を送らせるための設計マージン目安の部品・部材例である。
《使用環境での保証最高使用温度にて》
1)パワーMOS-FET/TRANSISTOR
素子温度(℃)=Tj(ジャンクション温度℃)×0.8(℃)以下
注:本温度は、内部素子温度で、半導体のボディー外部素子表面と~10℃ある
ことを考慮する必要あり。
(例:部品の定格Tjが、150℃の場合=Max120℃ 製品が使用される環境温度が
50℃の場合、⊿Tは、Max70℃ある。ただし、⊿T=55℃以下が最適設計目安)
2)電解コンデンサ
高温使用に大きく左右される部品。『第13章 電解コンデンサの寿命算出』に基づき
その算出結果が、製品が保証する期間(時間)をクリアーさせなければいけない。
3)半田部
半田は、高温だと当然溶解まで行かなくても、劣化・剥離・クラックを発生させる。
絶対的安全な温度は、製品が使用される環境温度化で、90℃以下。
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6. 製品の保証寿命(期間)
製品の保証期間は、
その用途・使用条件によって、異なる。
例えば、
① 家電・OA機器(TV・パソコン) = 20,000hr~
② 室内LED照明機器
= 40,000hr~
③ 屋外LED照明機器
= 60,000hr~(トンネル照明などは、100,000hr~)
④ FA機器
= 100,000hr~
⑤ 防災機器
= 80,000hr~
(注記:これは一部の参考紹介例である。さらに個別製品ごとに保証寿命は違う)
これら、製品の保証寿命は、
1日24時間で、カウントせずに連続稼働何時間稼働するかの加算で、
保証年数( )年と定義する製品もある。
なお、製品によっては、
保証期間に何回ON/OFFするか、あるいはできるかで定義している製品
も少なくはない。
161
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7. 部材の保証保管期間
当然ながら、部品の保証寿命は、その部品を搭載した製品保証寿命と同等もしくは、
それ以上でなくてはならない。
しかし、未実装状態での単品保管
に関しては、
・金属部の酸化
・容量ヌケ
・保管状態のおける各種経年劣化
・特性変化
などを防止するために、
その保管期限は短い。
長期保存する場合は、
真空パックするなどの
処置を講じなければい
けない。
No.
部材項目
1. 半導体
抵抗器
コンデンサ
保管期限
理由
1年
端子部酸化による
半田付時の不具合
対応
2. 基板
3ヶ月
基板フラックス飛び
銅箔部酸化による
半田付不具合対応
3. 静電袋
静電スティック
6ヶ月
静電コーティング材
飛び(効果低減)
による県年劣化対応
表X1
各部品・部材ごとの保証保管期間とその理由
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8. 設計保証寿命
『設計保証』は、製品構造、素材保証期間、部品品質・寿命、環境条件、使用方法、
製造方法、保管方法などを考慮されが、
設計での保証寿命を評価・裏付けるためには、
一連の信頼性試験評価を満足しなければいけない。
その中で、
① MTBF算出
② MTTF算出
③ 加速劣化試験
④ 電解コンデンサの寿命算出
⑤ 長期エ-ジング
:
:
:
:
:
第9章参照
第10章参照
第12章参照
第13章参照
第15章参照
は、設計保証寿命を決定させる重要な確認評価項目である。
図91
設計品質を決定させるファクター
163
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9. MTBF
MTBF( Mean Time Between Failure)とは、
JIS Z 8115で規定される、平均故障間隔を意味し、信頼性を表わす指標。
故障から次の故障までの平均的な間隔を表す。(連続稼働できる時間の平均値)
➡ MTBF算出値が大きいほど信頼性の高いシステムであるといえる。
《故障率はこの値の逆数:故障率 = 1 / MTBF》
➡ 別紙「MTBF算出表」参照
注意すべきこと!
“MTBFで算出された数値”は製品・部品の耐用寿命を保証する数値として
取り扱ってはいけない。
図91
設計品質を決定させるファクター
164
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10. MTTF
MTTF(Mean Time To Failure)とは、ある機械やシステムが故障して使用できなくなるまで
の寿命を表わす指標で、平均故障時間を意味する。
MTBF:
故障しても修理することで再使用できる修理系システムに
用いられる。
MTTF:
修理できない非修理系システムの故障寿命を表わす。
MTTF(Mean Time To Failure)は、電子部品(半導体など)の故障寿命算出に多く
用いられている。
図91
設計品質を決定させるファクター
165
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11. 疲労寿命
疲労は、モノに力学的応力が継続的、あるいは繰り返し受けた場合において、
疲労は、モノに力
材料の強度が低下する現象を示すが、
電気機器における疲労で不具合(疲労寿命)を起す部品としては、
金属製品での金属疲労による破断・クラックは当然ながら、
① コード
➡ 屈曲を繰り返すことによる。線材断線
② ジャック ➡ ジャック部抜差しにより、実装側端子半田部のクラック・基板損傷
③ 開閉あるいは可動メカ部 ➡ 接点・接触部位の劣化・損傷
などに加えて
ヒートショック(低温-高温-低温-・・・)での急激な温度変化での半田クラックなど
も、これに該当すると考える。
図91
設計品質を決定させるファクター
166
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12. 加速劣化試験
加速劣化試験とは、
加速劣化試験
製品を製品仕様に規定した条件より、さらに過酷な条件下に置き(温度条件や負荷条件
など)、通常使用より加速して劣化を進めて製品寿命の検証試験評価である。
素材・部品は必ず経年変化・経年劣化する。
このため、たとえ、完璧な設計・製造を実施したとしても製品を永遠に保証することは、
不可能である。よって、ユーザーが満足すべき使用期間の保証決定する。
使用時の寿命・劣化を確認するためには、一定期間(年月)、使用素材、部品や製品
を連続使用(動作)あるいは放置することが、確実な確認評価となる。
しかし、長期間(たとえば10年)の保証を確認するためにその期間を費やすことは現
実的に不可能である。
そこで、製品を製品仕様に規定した条件より、さらに過酷な条件下に置き、劣化を加速
させて、長期間に起こるであろう劣化を短期間に進むとシミュレーションし、現実的評価
可能時間での試験とする。
ただし加速試験にて、現実長期間に起こりうるすべての劣化要因をすべて取込ことは、
非常に困難な場合(製品)もある。
図91
設計品質を決定させるファクター
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13. 電解コンデンサの寿命算出
電源ユニットの寿命は、そのユニットに採用実装された“電解コンデンサの寿命”で
一般的に定義づけられている。
その、電解コンデンサの寿命は、『アレニウスの法則』で、導かれ下記のように算出される。
電解コンデンサの寿命は温度依存性が高く、この依存性はアレニウス則に従い、
10℃使用温度が上がる毎にその寿命は1/2倍となる。
電解コンデンサ寿命算出フォーマット参照
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14. フォトカプラの寿命
《フォトカプラのCTRは、主に次の要因によって決まる。
発光ダイオード(LED)の発光効率
発光-受光間の光結合効率
トランジスタの受光感度および電流増幅率(hFE)
CTRは、これらのうち、主にLEDの発光効率の低下のために経時変化する。
一般には、順電流(IF)が大きいほど、また次図のように、周囲温度が高いほど
早く低下する。
図X2 フォトカプラのCTR(相対値)対寿命
ルネサス・データより
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15. 長期エージング
製造工程でのエージングは、
① 初期故障の抽出
② 安定動作後(製品温度上昇安定後)の諸特性データ確認
③ 連続動作確認
などを目的に実施する。
量産を数ロット回、リピートして、製造工程でのエージングを途中削除する製品も
少なくはない。
これが、《長期エージング》 500hr、 1,000Hr以上となると、寿命試験を見込んだ、
経年劣化や特性変化を抽出する手段となる。
一般的に、長期エージングを行うのは、設計段階ではあるが、このときの取得プロット
データと、『加速劣化試験』と合わせて、製品・部品の推定寿命と耐用年数を算出する
ための手段になると言えよう。
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No.11
信頼性試験規格
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
Page
内容
各種信頼性試験規格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
日本工業規格(JIS) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
電子情報技術産業協会規格(JEITA)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
米軍規格(MIL)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
国際電気標準会議規格(IEC) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
IECとJISの整合化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
IEC61000-4-2とJIS C 61000-4-2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
EMC規格について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
CISPRとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
ノイズ規制比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
ISOとIECの違い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
PPMとPPB・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
172
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1. 信頼性試験規格
Vol.08『信頼性評価試験実施ノウハウ』第6章“信頼性試験規格”説明した、
4つの規格、
① 日本工業規格(JIS)
② 電子情報技術産業協会規格(JEITA)
③ 米軍規格(MIL)
④ 国際電気標準会議規格(IEC)
についてその内容と目的とする意図を説明する。
ただし、先に説明したように、自社で製品の信頼性を保証するには、
a) 以前に経験した規格化されていない内容(あるいは想定外)での不具合事例対応
b) 新製品が故に市場での使用方法が特殊で判例がないものへの評価法設定
c) 製品独自の仕様上、規格値を新たに設定あるいは規格を厳しくしなくてはいけ
ないものの社内規定値設定
を日々更新しなければいけない。
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2.日本工業規格(JIS)
日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)とは、
鉱工業品の品質の改善、性能・安全性の向上、生産効率の増進等のため、
工業標準化法に基づき制定される我が国の国家規格。
JIS 規格は、製品の種類・寸法や品質・性能、安全性、それらを確認する試験方法や、
要求される規格値などを定めており、生産者、使用者・消費者が安心して品質が良い
製品を入手できるようにするために用いられている。
これらの規格は、日本工業標準調査会(JISC:Japanese Industrial Standards Committee)の
審議を経て制定される。
現在のJISの基になったのは、1949年制定の工業標準化法によってである。欧米の国家
規格が公共的民間機関で制定されるものが多いなかで、JISは国が制定している。
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3. 電子情報技術産業協会規格(JEITA)
JEITA規格類の様式は、
一般社団法人 電子情報技術産業協会の「規格類に関する規定」に
基づき作成されている。
また、JEITA規格類の様式は、JIS Z 8301(規格表の様式)に準拠し、
TSC-16(電子情報技術産業協会規格類の作成基準)に基づき作成
されている。
規格カテゴリとして、
■AV電子機器
■電子デバイス ■情報通信機器
■電子応用機器
■電子材料
■一般電子部品
■三次元CAD情報 ■プリンテッドエレクトロニクス
■実装システム
■情報処理
などがある。
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4. 米軍規格(MIL)
Vol.01 『品質関連・生産技術関連ワード』 第10章“MIL217とは”で説明している
MIL-HDBK-217は、米軍が開発した電子機器の信頼度予想方法として、日本の半導体
メーカーでは現在でも活用されている。
しかし、米軍では、1994年版の「MIL-HDBK-217F Notice2(1995)」を最後として、
1995年以降更新・改定はされていない。
RAC(Reliability Analysis Center)がこの「MIL-HDBK-217F Notice2(1995)」 に
変わるものとして、
《PRISM》 と称する新しい電子機器の信頼度予測方法を発表し、そのソフトも
販売している。
それでも今なお、 古くなった「MIL-HDBK-217F Notice2(1995)」 を日本の半導体メーカー
が、《特に半導体デバイス(IC、LSI)に対し、その予測値が十分 には実情に合わない》
と言いながら使い続ける意味があるのか?
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5. 国際電気標準会議規格(IEC)
IEC:国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)
各国の代表的標準化機関から成る国際標準化機関であり、
電気及び電子技術分野の国際規格の作成を行っている。
IECでの、技術分野毎に規格を開発するための専門技術委員会:TC(Technical Committee)
TCは TC 1からTC 114まであり(いくつかは欠番)、TCはさらに、いくつかの副委員会SCを持つ場合がある。
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6. IECとJISの整合化
ISO(国際標準化機構)や
IEC(国際電気標準会議)
といった国際機関が制定
した国際規格は全世界で
適用される。
また、近年は国家規格など
を制定・改訂する際に、国
際規格と整合性を持つこと
が義務付けられており、
日本においてもIEC規格と
JISとの整合化がはかられ
ている。
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7. IEC61000-4-2とJIS C 61000-4-2
『IEC61000-4-2をベースとしてJIS C 61000-4-2:1999 は、改正された。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。この規格の一部が,特許権,出願公開後の
特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意を喚起する。
経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実用新案権に
関わる確認について,責任はもたない。』と日本工業標準調査会は前置きしている。
JIS C 61000-4の規格群
JIS C 61000-4-2 :静電気放電イミュニティ試験
JIS C 61000-4-3 :放射無線周波電磁界イミュニティ試験
JIS C 61000-4-4 :電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験
JIS C 61000-4-5 :サージイミュニティ試験
JIS C 61000-4-6 :無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害に対するイミュニティ
JIS C 61000-4-7 :電力供給システム及びこれに接続する機器のための高調波及び
次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針
JIS C 61000-4-8 :電源周波数磁界イミュニティ試験
JIS C 61000-4-11:電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験
JIS C 61000-4-14:電圧変動イミュニティ試験
JIS C 61000-4-16:直流から 150 kHz までの、伝導コモンモード妨害に対するイミュニティ試験
JIS C 61000-4-17:直流入力電源端子におけるリプルに対するイミュニティ試験
JIS C 61000-4-20:TEM(横方向電磁界)導波管のエミッション及びイミュニティ試験
JIS C 61000-4-34:1 相当たりの入力電流が 16 A を超える電気機器の電圧ディップ,
短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験
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8. EMC規格について
EMC ( Electro-Magnetic Compatibility )とは、
電気機器などが備える、電磁的な不干渉性および耐性をいう。
電磁的な不干渉性とは、ある機器が動作することによって他の機器の動作を阻害したり、
人体に影響を与える一定レベル以上の干渉源となる電磁妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)
を生じないこと。
また、電磁的な耐性とは、付近にある電気機器などから発生する電磁波などによって、自
身の動作が阻害されない電磁感受性(EMS:Electro Magnetic Susceptibility)を持つことである。
「電磁環境適合性」「電磁環境両立性」などともいう。(IT用語辞典より)
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9. CISPRとは
CISPR
(Comite International Special
des Perturbations RadioRadio-electriques)
electriques)
国際無線障害特別委員会
1934年に設立された、
国際電気標準会議(IEC)の特別委員会。
製品区分によって、
規格番号(規格値)が違う。
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10. ノイズ規制比較
情報技術機器(OA・情報機器)での各規格、測定項目と検波方法
製品カテゴリ-によって、測定周波数値が違う。
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11. ISOとIECの違い
ISO:正式名称を国際標準化機構(International Organization for Standardization)
各国の代表的標準化機関から成る国際標準化機関で、電気・通信及び電子技術
分野を除く全産業分野(鉱工業、農業、医薬品等)に関する国際規格の作成を行
っている。
IEC:正式名称を国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)
各国の代表的標準化機関から成る国際標準化機関であり、電気及び電子技術分
野の国際規格の作成を行っている。
著名なISO規格例
□ ISO9001 (品質マネジメントシステム)
□ ISO14001(環境マネジメントシステム)
□ ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)
□ ISO30001(リスクマネジメントシステム)
□ ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)
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12. PPMとPPB
PPM=Parts
PPB=Parts
Par
Par
Million
Billion
超高品質時代への挑戦!
《100万分の1から10億分の1へ》
Debagging
Derating
AQL(Acceptable Quality Level)
シックス・シグマ(3.4ppm)
さらに顧客仕様限界の±6σと
した場合(0.002ppm)
10億分の2の不良率!
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No.12
イノベーション
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目次
Page
内容
1. 経営戦略事業方針の明確化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2. コア・コンピタンスとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
3. イノベーションとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
4. イノベーションの創出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
5. コンセプト・創造(Concept-Creation)とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
6. 連携事業システム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
7. 戦略の策定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
8.シミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
9. 商品・開発製品ロードマップの必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
10. 商品・開発製品ロードマップの作成例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
11. 事業計画ロードマップの必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
12. 事業計画ロードマップの作成例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
13. ムービングターゲット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
14. ビジネスエントロピー増大への対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
15. イノベーションは難しくない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
16. INNOVATION関連WORD・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
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1.経営戦略事業方針の明確化
当社の事業は、現在の《
》を核として、
コアコンピタンス戦略事業を遂行する。
スローガンは?
スローガンを明確にし、目指す
先のイノベーションを生み出す
ベースを創る。
スローガン参考一例
■ 新5S
(スムーズ・スマート・シンプル・スピーディ・スマイル)
■ 新しい創造品を湯水のように創出する
セールスポイントは?
他社との差別化できるポイント
を明確に提示する。
セールスポイント参考一例
■ DESIGND BY JAPAN
■ OPEN DESIGN
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2.コア・コンピタンスとは
コアコンピタンス(Core competence)とは、
•“競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力”
•“競合他社に真似できない核となる能力”
を示す。
事業を継続している中には、
“必ず他社にはないノウハウと知恵を保有している”
それを明確に整理し、理解することにより、
新たなるコンセプト創造を生み出し、
確かなイノベーションに繋がる。
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3.イノベーションとは
英
Innovation
⇒(新しい事・物の)導入,革新、刷新
イノベーションは、
① 【ラジカル・イノベーション】(Radical-Innovation)
② 【インクリメンタル・イノベーション】(Incremental-Innovation)
に、大きく区分される。
ラディカル・イノベーション※とは、
従来の価値基準を覆すほどの急進的で根源的な革新のことを言う。
それに対し、
インクリメンタル・イノベーションとは、
既存製品の部分的な改良または改善を行うこと。
ラディカル・イノベーションは、初期の段階では理解されないのが一般的です。まあ、その
くらい現状からの乖離の程度が激しいってことです。
※ ラディカル・イノベーションは、初期の段階では理解されないことが多い。
そのくらい現状からの乖離の程度が激しいものであること!
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4.イノベーションの創出
図121 イノベーション創出モデル
イノベーションは、
「目標連鎖」「創造連鎖」「価値連鎖」の相乗効果により、
ラジカルイノベーションとインクリメンタルイノベーションが、
①システム・②プロセス・③プロダクト・④サービスで 創出される
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5.コンセプト・創造(Concept-Creation)とは
MOT(Management of Technology)で使うコンセプト創造とは、
差別的優位性、独自性、競争性をもったものを創り出すことである。
製品のコンセプト創造だけでなく、
プロセス・サービス・システムなどのコンセプト創造も挙げられる。
常に新しいイノベーションを創出していくためには、コンセプト創造は不可欠であるが、
このコンセプト創造は、
①AにBなどを足すものあるいは、AからBなどを引くもの(連結・切離コンセプト創造)
②Aを改善したもの(改善コンセプト創造)
③Aを大きくしたり小さくしたり、あるいは 違う形に変えるもの(変形コンセプト創造)
④Aを全く違うもの(性質)に変えるあるいは置き換えるもの(置換コンセプト創造)
の4つに分類される。
トヨタのハイブリッドカー(バッテリーとガソリンエンジンを複合したもの)
やソニーの初代ウオークマン(録再カセットテープレコーダーから録音機能を引いたもの)
などのように連結・切離コンセプト創造や、トヨタのかんばん方式あるいはセル生産方式
などの改善コンセプト創造は欧米に比べて日本が強いといえる。
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6.連携事業システム
Innovation・
・System
CKS = Collective Knowledge Stations
官・学
E社
CKS運用による、コア・アライアンス企業との
連携を促進・深めて、
共有ビジネスの成功率を大幅に引き上げる!
【暗黙知】
暗黙知】と【形式知】
形式知】の共有
D社
社
図122 連携事業システムモデル
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7.戦略の策定
「戦略」とは、“目的:Goal”である。題目では『戦略の策定』となっているが、策定
すべきは、「戦術」であり、「戦略」そのものは、策定すべきものではない。言い
換えれば、「戦略」を成功させるために、「後方支援」を十分検討・準備して、『戦
術を策定』することにある。
表121 経営・事業に必要な11原則
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8.シミュレーション
情報収集・マーケティングを実践的に活用できるために、ここに一つの戦術として
の手法を紹介する。
図123は、
現量産製品と
開発製品の利
益性と将来性
を把握し、
今後どこを攻め
なくてはいけない
かを明確化する。
図123 ターゲット市場PPM(Product Portfolio Management)
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9.商品・開発製品ロードマップの必要性
「製品開発計画」や「事業計画」に関しては、“戦術ロードマップ”として、
将来を明確に描くための『商品・開発製品ロードマップ』が、
必要となってくる。
図124に
製品ローマップを
作成するときの
ベースを示す。
ここでは、
X軸を時間軸として、
Y軸に次世代製品の
バージョンアップ等
をおく、フォーマット
となっている。
図124 製品ロードマップ作成上のベース
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10.商品・開発製品ロードマップの作成例
『商品・開発製品ロードマップ』では、中長期に将来完成させたい
“現時点では、技術的・製造的に実現性するためのハードルの高い
モノをも、
“描くこと”が、
重要である。
図125に、その
製品ローマップの
一例を示す。
現時点、
“見えない技術”でも
描くことにより、
新技術に近づく。
図125 製品ロードマップ例
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11.事業計画ロードマップの必要性
「製品開発計画」や「事業計画」に関しては、“戦術ロードマップ”として、
『商品・開発製品ロードマップ』と同時に、『事業計画ロードマップ』の作成が、
必要である。
このロードマップでは、
ムービング・ターゲットでの
『やめる・継続・チェンジ
の見極め』にも繋がる。
現在の事業の位置づけ・
将来展望・構想などを
シミュレーションする上で
も、経営的に最重要な項
目と言えよう。
図126に事業計画ロード
マップ作成上のベースを示す。
図126 事業計画ロードマップ作成上のベース
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12. 事業計画ロードマップの作成例
『事業計画ロードマップ』は、市場の移り変わりなどの環境の変化に対応する
能力を磨き上げる意味でも、最重要な構想図でもある。
図127に、その
事業計画ローマップの
一例を示す。
現時点、
“見えない事業展開”
でも描くことにより、
目標にたどりつく。
図127 事業計画ロードマップ作成例
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13.ムービング・ターゲット
ムービング・ターゲット
全ての製品には、市場に受け入れられる“寿命”がある。
改善やデザインの一新、あるいは機能の高性能化・簡素化、または投入市場の変更・追加
により、さらなる需要の拡大が見込まれるものもあれば、市場・環境の変化に伴い余命が
なくなる可能性があるものもある。
また新たなる技術が新製品を受け入れる市場が生まれることも、我々はいくつも経験して
いる。
図128 「やめる・継続・チェンジ」ジャッジタイミング例
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14.ビジネスエントロピー増大への対策
人類文明が存続する中で、『エントロピーの増大』は避けては通れない以上
、この現象を上手く処理しなくてはいけない。だからこそ、人々に『ゆとり』を
提供する、即ち『遊びを創出する時間』を取り戻させるための産業に新しい
ビジネスチャンスが隠れており、これを適確に対応できれは強い日本の再
構築にもなる 。
『事業の集中と分散』の検討と合わせて、常に『経営・業務の選択と統合』
を行い、『エントロピーの増大』による適正判断経営阻害状態にならないよ
うにする必要がある。
この対応が出来なければ、イノベーションの創出を阻害してしまうどころか、
企業存続も危うい。
この対策・回避法をどうやるか?この中でもイノベーションは発生する。
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15.イノベーションは難しくない
《難しいからやめたほうがいいんじゃない?》 と言うアドバイスに、
① 『同調する人』 と 『同調しない人』がいる
1/2
その『同調しない人』の中に
② 『実行計画をする人』 と 『実行計画はしない人』がいる
1/2
その『実行計画した人』の中に
③ 『行動に移す人』と『行動に移さない人』がいる
1/2
その『行動に移した人』の中に
④ 『最後まで実行する人』と『途中でやめる人』がいる
1/2
その『最後まで実行した人』の中に
⑤ 『成果を出す人』と『成果を出さない人』がいる
1/2
その『成果をだした人』の中に
⑥ 『十分満足する人』と『満足しない人』がいる
1/2
この6段階を掛け合わせると、
1/2×1/2×1/2×1/2×1/2×1/2 ≒ 0.0156
すなわち、この1.56%の『満足しない人』が永遠の真のイノベーターである。
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16.INNOVATION関連WORD
参考;“イノベーション“図書
■破壊的イノベーション
■イノベーションのジレンマ
■技術進歩のS字カーブ
■魔の川
ピーター・ドラッカー
『イノベーションと企業家精神』
伊丹敬之
『イノベーションを興す』
亀岡秋男・古川公成
『イノベーション経営』
■死の谷
■ダーヴィンの海
■ブルー・オーシャン/レッド・オーシャン
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