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データロガー ガイド シリーズ

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データロガー ガイド シリーズ
データロガー
ガイド
シリーズ
気象観測システムおよびデータロガー選定の重要検討5項目
気候変動はもとより農業、動物学に至るさまざまな研究分野において環境モニターの能力が極めて重要と
なっています。熱帯地域から極地に至るまで環境パラメータの変化を長期間に亘りモニターし、基礎的デ
ータを文書化する必要性が増していることから、人手を掛けず、安価に、正確なデータを取得する技術が
多くの研究者に求められています。
研究グレードの代表的な気象観測システムは温度、湿度、風向、風速、雨量、土壌水分、日射などの各種
環境パラメータをモニターできるセンサーを持ち、完全に独立して動作します。センサーは取付部品を使
って金属製の三脚に取り付けられ、計測データを保存するためのデータロガーに接続されています。シス
テムは一般的にはバッテリーや太陽電池で動き、長期間屋外で使用できるよう設計されています。
気象観測システムとしてのデータロガーは、ユーザが指定したデータ記録間隔で1回の運用で何ヶ月もの
間無人で運用できます。収集したデータはメモリーにデジタル形式で蓄積されます。ユーザは単にロガー
からデータをパソコンに回収するだけで、後はマウスをクリックするだけで詳細グラフや数表を作成でき、
チャートは書類として簡単にプリントアウトできます。一方、電子化されたデータは自動的に保存ができ
ます。
本書は気象観測システムおよびデータロガーを既に使用されている方にも、これから使用を検討される方
にもユーザの要求に適した正しい製品選定をする一助となるよう作成されました。選定のための5つの重
要な検討事項と製造者に確認すべき10の質問を記述します。
ヒント:
・センサー仕様には測定範囲、動作環境範囲、精度、分解能、ドリフト、応答速度などを含みます
・センサーはユーザでのキャリブレーションを必要とするかどうかを考慮すべきです
1.計測対象パラメータ
2.気象観測システムのセットアップ
3.データ回収オプション
4.正確で信頼性のある測定データ
1.計測対象の環境パラメータ
気象観測システムはモニターを予定している全ての環境パラメータに対してのセンサーを装備している必
要があります。
気象観測システムは製造者とシステムのモデルにより広範囲の環境パラメータのセンサーに適応していま
す。例えば:温度、湿度、風向・風速、気圧、日射、葉面濡れ等々。大部分の製造者はシステムの構成品
としてセンサーも販売しています。もし彼らが提供しない必要なセンサーがある場合には、その使用した
いと考える第三者製センサーに対応したアナログまたはデジタル入力が可能かどうかを確認したほうがよ
いでしょう。
ロガーの必要チャンネル数はセンサーの種類と数で決まります。また同じタイプのセンサーを何個必要と
するかも考慮すべきです。例えば土壌水分を深度ごとに分けて測定するのかなどです。もし測定対象が温
度、雨量、風向、風速だけであればセンサー接続口が4個のロガーを購入すればコストを抑えることがで
きます。しかし、もっと多くのセンサーを接続したいのであればもっと多くの接続口を持つロガーが必要
になります。将来の拡張性も考慮して使用するロガーを選定すべきですが、コスト節約の観点から必要以
上に大きな能力のロガーを選定する必要もありません。
2.使用条件の簡便性: 気象観測システムのセットアップ
どの気象観測システムでもシステムアップのための時間と努力が多かれ少なかれ要求されますが、中には
他に比べて非常に複雑で多くの熟練性を要求されるシステムもあります。
複雑な気象観測システムは膨大な量の配線やプログラミング知識を要求される可能性があります。各々の
センサーは結線ターミナルにネジ止めが必要な場合や、ソーラパネルや各々のセンサーに対するバッテリ
ーまでの配線が要求されることもあります。システムの確実なセットアップを行うために、ある製造者は
ユーザに電気配線技術の能力を求めることもあります。
また、これら複雑なシステムの場合、計測タイミング、電源や通信を管理するためシステムインテグレー
タとしてのプログラミング能力を要求される可能性もあります。このために複雑なソフトウェア学習に多
くの時間を割く必要もあるかもしれません。
一方、セットアップの簡単な気象観測システムの場合、電気配線やプログラミング技術は必要なく、特別
なトレーニング無しにシステムのセットアップを短時間で行えます。これらのシステムはロガーのポート
にセンサーを単に接続するだけの スマートセンサー を使用しています。スマートセンサーを接続する
と、ロガーとその専用ソフトはセンサーを自動的に認識して、データをその計測物理量単位で正しく表示
します。ユーザは単に計測記録間隔と計測記録を開始する方法を選択するだけです。第3者製センサーも
アナログまたはデジタルパルス入力アダプターを使って簡単に接続できます。
あるメーカのシステムでは既存のケーブルにプラグ接続するだけでケーブルを延長できる付属品も用意さ
れており、観測箇所を変えたい場合、簡単にシステムの修正をすることができ便利です。フィールド自体
を移動する可能性のある場合など重要な検討要素です。
アプリケーションソフトも検討要素です。Windows 対応版が一般的ですが、Macintosh 対応版を供給して
いるメーカもあります。ソフトはパラメータの設定、データロガーの運用開始、データのオフロードなど
の作業を簡単に迅速に実行できなければなりません。またデータの表示能力、更に詳細の解析を行えるよ
う MS Excel など、他のプログラムにデータを簡単・迅速にエキスポートできるかも重要です。観測場所
が違う複数グラフの結合比較機能などもあれば便利です。
ヒント:
・システムのセットアップのためにどれだけの時間と労力を割くことができますか?
・システムを構築、使用を実際に行うのは誰ですか?
メーカは気象観測システムの設置に必要な付属資材も一括して供給できるかどうかも検討すべきです。
ユーザ自身で取付金具、ラジエーションシールド、三脚などを手配することは時間と費用の観点で不利で
しょう。
3.データ回収オプション
どの程度の頻度でデータ回収をする必要があるでしょうか?観測場所は事務所のビルの屋上ですかあるい
は遠く離れた場所ですか?データ回収方法はデータ回収をする頻度と観測場所のアクセスにより違ってく
るでしょう。
一般的にはデータ回収方法には2つの方法があります。
オンサイトデータ回収は観測場所に行き回収する方法です。これはロガーにアプリケーションソフトが導
入されたラップトップコンピュータをケーブルで接続して回収するか、または、シャトルタイプのデバイ
スを使い実行します。このシャトルを使えば複数のロガーからのデータを1台のシャトルに蓄積すること
ができ、厳しい環境にコンピュータを持ち運びすること無しでデータを回収するのと同時に、ロガーの再
スタートを実行できます。
距離のはなれたサイトでのデータ回収には衛星を使った無線通信方式があります。この方式では回収した
データを衛星経由で安全なサーバにデータを送り、ユーザはそのサーバにインターネットでアクセスする
ことでデータを閲覧したり、自身のパソコンにデータを回収したり、ロガーのセッティング調整ができま
す。データを頻繁に回収する必要がある場合や、観測場所まで簡単にアクセスすることが難しいような場
合に最適です。
4.正確で信頼性のある計測
測定したデータが不正確であったり、不完全であったり、事務所まで持ち帰れないなら、それはデータと
して何の意味もないということです。気象観測システム選定には信頼性の高いセンサー、耐久性のあるハ
ードウェア、十分な容量のある電源を選ぶべきです。
信頼性の高い測定を行うための検討事項は、いくつかあります。まず、動作範囲と精度です。センサーは
観測場所における環境条件の中で、調査に要求される計測対象と精度を確保できるかです。仕様上の精度
を見るとき、その数値はすべての誤差要因を含んでいるかどうか、またセンサー以外の要因を含んだシス
テムとしての数値かどうかを確認しましょう。
気象観測システムのセンサーおよびハードウェアは、観測場所の特別な環境条件に耐えられなければなり
ません。システムは大雨、激しい温度変動、動物の危害に耐えられますか?センサーは正確な計測が行え
るように十分な取り付けスペースを確保できますか、日陰の影響を最小限にできますか?
気象観測システムの多くはバッテリーもしくはソーラパネルで再充電式のバッテリーを電源として使用し
ています。バッテリーは通常1年以上の寿命がありユーザで交換可能です。選定にあたりバッテリーレベ
ルインジケータ機能があるか、また万一電源が切れてもロガーはこれまで蓄積したデータを保持できるか
どうかを確認すべきです。不揮発性 EEPROM は、電源が切れてもデータ保持ができます。ソーラパネル
式システムは十分な日射量を要求することがありますので、日射量の少ない観測場所の場合はバッテリー
式気象観測システムを選んだ方が良いでしょう。AC 電源システムは建物に近い観測場所に限られます。
正確で信頼性のあるデータを取得する最善の方法は、経験があり、評判の高いメーカの製品を検討するこ
とでしょう。他の実績や事例について問い合わせするのも良いでしょう。
5.コストとサポート
リサーチグレードの気象観測システムの価格はメーカにより大きく異なります。上手な購入方法はセンサ
ーと必要最小限の容量のロガーを購入することです。必要であれば、将来の拡張性を考慮に入れて、追加
の可能性のあるセンサーを簡単に追加が出来るシステムを検討することです。システム全体のコストとし
てセンサー、ケーブル、ロガー、ソフト、データ回収器、三脚、取り付け機材のコストを検討すべきです。
納期、将来の追加要求の対応など共同研究者、経験者の意見も参考になるでしょう。
結論
リサーチグレードの気象観測システムの選定は難しい作業もありますが、このガイドに示された情報を活
用し調査目的に適した正しいシステムを選ばれることを期待します。
製造者に質問すべき10個の質問:
1.要求仕様のセンサーを供給できますか?直ぐに購入できますか?
2.そのデータロガーは、何個のセンサーを最大何チャンネル入力できますか?データロガーに接続でき
るセンサーの合計ケーブル長に制限はありますか?
3.システムのセットアップ手順はどのようにするのですか?
4.ロガーは第3者製センサーを簡単に接続できますか?
5.センサー、ロガー、付属品は検討中の観測場所の環境条件に耐えられますか?
6.ロガーのメモリー容量は予定している観測期間中、全センサーに対して十分ですか?
7.アプリケーションソフトはどの程度使い易いですか(データのダウンロード、グラフの作成)?
Excel などの他のソフトへどのようにデータをエキスポートするのですか?
8.気象観測システムからのデータダウンロードにオプションはありますか?
9.電源は?バッテリーが切れたら蓄積したデータは消えて無くなりますか?
10.販売実績、ロガーのメーカとしての年数は?
オンセット コンピュータ社
オンセット社は 1981 年以来、小型、低価格、バッテリー式データロガーおよび組み込み型コントローラを
製造し、世界各国の 50,000 を超える顧客に対し 1,000,000 台以上の販売実績を持ちます。オンセット社の
製造するデータロガーおよび気象観測システムは温度、湿度、照度、電圧、その他さまざまなデータを取
得するために研究用、商業用、工業用、教育用など広範囲の用途で使用されています。
http://www.onsetcomp.com
日本輸入総販売元:パシコ貿易株式会社 http://www.pacico.co.jp
(注記)本書はオンセット コンピュータ社発行 DATA LOGGER GUIDE SERIES の”Choosing a Water
Level Logger – 5 Things You Should Know”に基づいてパシコ貿易株式会社にて翻訳したものです。
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