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Accelerate21 販売士3級
小売業の類型
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アクセルレイト21
著作権法に基づき、本テキストの全て、または一部の
コピー・転用を禁止いたします。
①「小売業の類型」
第1章
流通における小売業の基本的役割
第4節 小売業と国際化
4-1
グローバル化する小売業
(1) 海外に新たな市場を求めて店舗展開する小売業
1. 日本の小売業は地域社会に密着して、地域の顧客ニーズを満たすために活動する産業
であり、その意味ではドメスティック(自国内を活動領域とする)な産業である。
2. 近年、日本国内では少子高齢化による人口減少や長期にわたる経済停滞など、将来に
向けての消費の大きな伸びを期待しにくい状況となっており、アジアをはじめとする
海外に新たな市場を求めて店舗展開する小売業が大手企業を中心にみられる。
(2) 海外からの商品輸入と海外への商品輸出
1. 小売業のグローバル化は海外への出店といった形態だけでなく、海外からの商品調達
(輸入)や海外への商品供給(輸出)といった形態でも進展している。
2. たとえば、生産コストの低い国で自社企画商品を製造して、自国内で自社ブランド(PB)
として販売する小売業や世界中のサプライヤーの中から、最も低価格で商品供給して
くれる業者を選定し、そこから商品調達する小売業などもみられる
(3) 日本の小売業の海外店舗展開と外国資本流通業の日本進出
1. 日本の有力な百貨店やスーパーマーケットは、かつてアジアを中心に、海外進出を
果たしてきた。しかしバブル経済崩壊後の 1990 年代以降においては、日本国内での
業績停滞などを背景として、海外市場に経営資源を投入するゆとりがなくなると同時
に、海外市場でも欧米企業や現地企業との競争が激化するなどして、撤退せざるを
得ない例が多々みられた。
2. 2000 年代に入って以降は、停滞する日本市場に対して、経済発展の著しい中国を
はじめとするアジア地域の市場に、改めて目を向ける小売業が現れている(総合品
ぞろえスーパー、専門チェーン、コンビニエンスチェーンなど)
。
(4)
外国資本流通業の日本進出
1. 1990 年代以降の外国資本流通業の日本進出の例は、以下のとおりである(近年の
外国資本流通業の日本進出は欧米の有力企業が中心となっている)。
① トイザラス(米国)・・・玩具・子供用品量販店チェーン
② コストコ(米国)・・・ホールセールクラブという倉庫型店舗で価格訴求型販売を行う
③ メトロ(ドイツ)・・・倉庫型店舗で食料品を中心にキャッシュ&キャリーと呼ばれる
卸売形態
1
④ ウォルマート・ストアーズ(米国)・・・小売業世界最大規模の売上高
⑤ イケア(スウェーデン)・・・家具・インテリアチェーン
2. 最近では、SPA(Specialty Store Retailer of Private Label Apparel)と呼ばれ、
アパレル製品を中心としたファッション商品を自社で企画・製造し、自社店舗で自社
ブランドとして販売する小売業のグローバル展開が国内外で注目されている。
3. 主な外国資本のSPAとしては、GAP(米国)、H&M(スウェーデン)
、ZARA
(スペイン)などのブランドが日本市場のほか世界各地で多店舗展開を進めている。
(5) 商品調達・供給のグローバル化
1. 海外からの商品調達が盛んになっている。
従来から、欧米を中心とした海外の高級ブランド品などは、日本の有力商社や百貨
店等が中心となって、日本市場への導入をはかってきたが、今日ではそうした高級
ブランド品や有名ブランド品ばかりでなく、カジュアル衣料、家庭用品、日用雑貨
といった日常的に消費されているコモディティ商品分野でも、海外からの商品調達
が盛んになっている。
2. 小売業による開発輸入
有力な総合品ぞろえスーパーでは「開発輸入」といってプライベートブランド(PB)
商品を海外のメーカーに製造委託して自社店舗で販売する方式を採用したり、海外
の農場や牧場と提携して農畜産加工品を調達したりしている。SPAを始めとする
アパレル業界では、もはや、自社ブランド商品を海外の縫製メーカーに製造委託する
ことが主流になっている。
① 日本の縫製技術や製造管理技術を発展途上国などに持ち込み、現地の低コストの
労働力や工場設備を活用することによって、低価格で良質な商品生産と調達を実現
している。
② 従来と異なり、商品を製造する国(供給する国)とその商品を消費する国(調達
する国)が異なるという現象が、世界的規模で広がりをみせている。
3. eマーケットプレイス活用による商品調達の可能性
小売業自らが海外商品を調達するためには、貿易を得意とする商社に取引を仲介して
もらったり、自らが海外にまで足を運んで直接商談・取引したりしているが、今後は
eマーケットプレイスを活用することによって、商社の仲介や海外まで足を運ぶこと
なく、商品調達できる可能性も広がっている。
2
【用語解説】
※ コモディティ商品
使用頻度と消耗頻度が高い低価格の商品のこと。消費者がどこのメーカーの製品なのかに
こだわらず、基本的な機能が備わっていれば購入する商品で、紙類や洗剤、食料品などを指す。
※ 開発輸入
開発輸入とは、すでにある商品を単に海外から輸入するのではなく、小売業が日本の消費者
向けに海外で委託生産し、自らの店舗で販売する方式をいう。食料品や衣料品、家庭用品、
雑貨など、多くの商品分野で大手スーパー、専門チェーン店、100 円ショップなどが積極的
に開発輸入を展開している。
※ eマーケットプレイス
eマーケットプレイスは、ネットオークションと類似した仕組みを有したインターネット
上に設けられる企業間取引所、つまりウェブサイトを通じて売り手と買い手を結びつける
電子市場である。たとえば、小売業が調達したい商品の仕様や価格をeマーケットプレイス
に掲示すると、当該商品を供給できる世界中のサプライヤーが入札してくるので、小売業
はその中から最も掲示条件に見合うサプライヤーを選んで取引することができる。
ここでの重要ポイント
1.
“日本進出の欧米の有力企業”にはどのような企業があるのか
2.
“開発輸入”とはどのような方式をいうのか
4-2
欧米で生まれた小売業態
(1) スーパーセンター
1.
小売業売上世界第 1 位の「ウォルマート・ストアーズ(米国)」が開発した店舗形態。
1988 年に食品を扱うスーパーマーケットをディスカウントストアと融合し、一つの
店舗で衣・食・住・遊のフルライン構成をセルフサービス方式で提供する店舗形態。
2.スーパーセンターの特徴
取扱商品
 衣・食・住・遊分野のフル
価
格
店舗施設
 低価格訴求は、PB商品にとど
 売場面積 1 万㎡から、最大
ライン構成で 10 万品目程度
まらず、NB商品でも行われて
2 万㎡の規模で、平屋建て
を取り扱う。
いる。
ワンフロア構造である。
 日常の生活必需品などのコモ
ディティ商品が主力であり、
高級品や高価格帯商品は扱って
いない。
 PB商品などによって顧客に
対して低価格を訴求している。
 価格政策は一般的にEDLPを
基本としている。
 NB商品についてもメーカーから
可能な限り安く仕入れ、販売に
要する経費も低く抑えることで
低価格を実現している。
3
 店内は天井の梁がむき出し
の倉庫型で、店舗正面には
大規模な平面式駐車場が
広がる。
 販売はセルフサービス方式
で集中レジ方式を採用。
【用語解説】
※ EDLP
小売業界における代表的な価格政策で、Every-Day Low Prices の略。恒常的低価格販売の
ことで、小売業のトータルコストの削減によって、大部分の商品を、毎日、継続的に、競争店
を下回る低価格で販売し続けるという低価格販売志向の価格設定の考え方である。
※ 集中レジ方式
小売店内の売場ごとではなく、1ヶ所にすべての売場のレジを集中し、効率的に精算
業務を行う方法のこと。
(2) ハイパーマーケット
1. フランスで 1960 年代に開発された店舗形態であり、フランス最大の小売業である
「カルフール」の主力店舗形態で、ハイパーマーケットはウォルマート・ストアーズ
がスーパーセンターを開発する以前に参考とした店舗形態である。
2.ハイパーマーケットの特徴
取扱商品
 コモディティ商品を中心に
価 格
 大量仕入・大量販売によって、一般的
店舗施設
 売場面積は 1 万㎡以上の
衣・食・住・遊分野のフル
なスーパーマーケットに比べると、
平屋建てのワンフロアが
ライン構成である。
低価格である。
基本であるが、立地条件に
 取扱商品点数は、スーパー
 安く販売するために店舗施設やストア
センターよりやや絞り込まれ
オペレーションにかける費用も、低く
ている。
抑えられている。
よっては複層構造の店舗
もある。
 売場の出入口を入り口
 低価格の販売促進品目を単品
1 ヶ所、出口 1 ヶ所とする
で大量に販売することに特徴
ことによって顧客の主導線
がある。
をワンウェイ・コントロール
するセルフサービス方式で、
集中レジを採用している。
【用語解説】
※ ワンウェイ・コントロール
セルフサービス方式を採用する小売店の効率的な商品販売の仕掛けのこと。効率的な買物
手順にもとづく売場をつくり、その順番どおりに売場を回遊し、もれなく商品を購入して
もらうために、一方通行型の買物通路を設定すること。
4
(3) ホールセールクラブ
1. ウェアハウスクラブとも呼ばれ、米国で 1980 年代にウォルマート・ストアーズが
この形態で、店舗展開に乗り出してから急速に増大した。代表的なホールセール
クラブの店舗としては、ウォルマート・ストアーズが展開している「サムズクラブ」
のほか、日本にも進出しているコストコ(米国)などがある。
2. ホールセールクラブの特徴
取扱商品
 衣・食・住・遊分野のフルライン
構成である。
 取扱商品は 4,000 品目程度に
絞り込んでいる。
 ケース単位やクラブパックと
いわれる大容量包装で、単品
価 格
店舗施設
 単品大量販売を基本とするため、  店舗の天井が高く簡素な構造
仕入れも単品大量仕入れ方式を
の倉庫型店舗で、売場面積は
採用している。
1 万㎡以上の平屋建てのワン
 それによって、仕入価格を低く
抑えることができる。
フロア構造である。
 商品の陳列棚も一般的には
 店舗施設やストアオペレーション
を低価格で大量に販売する
にかける費用のほか、商品の値入
ことに特徴がある。
率 も低く抑えることによって、
低価格を実現している。
倉庫に設置される巨大ウェア
ハウスラックを利用している。
 ストアオペレーション費用
削減策として、陳列作業は
パレットに商品を載せたまま
フォークリフトで行われる。
 販売はセルフサービス方式で、
集中レジ方式を採用している。
(注意)ホールセールクラブは会費を支払った会員のみが利用できる会員制を採用しており、
会員の種類は一般消費者を対象としたもの(小売)と、中小小売業や飲食業などの
業務用事業者を対象としたもの(卸売)に分かれている。
【用語解説】
※ 値入率
仕入れた商品の原価に、いくらかの利益を上乗せして売価を決めるのが値入であり、
この売価に対する値入高(仕入原価に上乗せした額)の割合を値入率という。
値入率は、仕入売価からみた利益率である。
計算式:値入高 ÷ 売価 × 100
値入率の高いほうが値入高(利益)は大きくなる。
(4) キャッシュ&キャリー
1. ホールセールクラブと同様に会員制を採用し、ケース単位など、大容量包装で単品を
大量に低価格で販売する。主な顧客はホールセールクラブが一般消費者を対象として
いるのに対して、キャッシュ&キャリーの顧客はほとんどが業務用販売を目的とした
5
業者であるため、卸売業の一形態といえる。キャッシュ&キャリーの原型は米国で、
現在のホールセールクラブが開発される以前から存在した会員制卸売業であり、現金
取引で、購入した商品は顧客が自分で持ち帰ることが原則であったため、キャッシュ
&キャリーという呼び名がついた。これによって、一般的な卸売業が従来担ってきた
金融機能や物流機能を省略できるほか、従業員の人件費なども削減できるため、その分
低価格での商品提供が可能となった。
2.キャッシュ&キャリーの特徴
取扱商品
 食料品に加え、飲食店など
価
格
 ホールセールクラブと同様に
店舗施設
 ホールセールクラブと同様
で使う調理器具や食器、
店舗施設やストアオペレーション
の倉庫型店舗でウェアハウス
消耗雑貨などを扱う。
にかける費用を削減すると共に、
ラックを利用している。
 メトロでは、店舗の規模に
金融機能や物流機能を省略する
 セルフサービス方式で大量
よって 15,000~最 50,000
ことによって卸売価格を一般的
の商品をまとめ買いして、
品目(食料品 20,000 品目、
な卸売業よりも抑えている。
車で持ち帰る顧客がほとんど
非食品 30,000 品目の品ぞろえ
で、大規模駐車場も備えて
をしている。
いる。
(注意)1964 年にドイツのメトロがアメリカの会員制卸売業を参考にしてキャッシュ&キャリー
を開設して以降、ヨーロッパではメトロが展開する店舗がキャッシュ&キャリーの代名詞
的存在となっている。
【用語解説】
※ メトロが展開するキャッシュ&キャリー
メトロのキャッシュ&キャリーには、店舗展開している国の事情や立地条件に応じて
「クラシック(売場面積 10,000 ㎡~16,000 ㎡)
」、「ジュニア(売場面積 7,000 ㎡~
9,000 ㎡)」、
「エコ(売場面積 2,500 ㎡~4,000 ㎡)
」と呼ばれる3つの店舗形態が
あり、日本においては「エコ(売場面積 2,500 ㎡~4,000 ㎡)
」を中心に展開している。
(5) ネイバーフッド・マーケット
1. ウォルマート・ストアーズが 1998 年~展開している食品スーパーマーケットと
ドラッグストアを融合した店舗形態で、同社が展開するスーパーセンターやサムズ
クラブに比べて小型な店舗になっている。将来の企業成長を視野に置き、スーパー
マーケットやサムズクラブなどの大型店舗のすき間を埋める店舗形態として、狭い
商圏の顧客をターゲットとした、小商圏のネイバーフッド(近隣型)
・マーケットを
開発した。
2.ネイバーフッド・マーケットの特徴
6
取扱商品
価 格
店舗施設
*フード&ファーマシーを品ぞ
*スーパーセンターやサムズクラブ
*売場面積は 3,000 ㎡~5,000 ㎡
ろえのコンセプトとしている。
と同様に EDLP を基本としている。
程度の平屋建て屋建てワンフロア
*標準的な品ぞろえは食品とヘ
*惣菜などデリカテッセンの品ぞろ
構成である。
ルス&ビューティケア(H&BC)
えや生鮮食品のフレッシュさを強化
*スーパーセンターやサムズクラ
商品を中心に約30,000 品目程
している。
ブに比べると、店内装飾やカラー
度になっている。
*医薬品や日用雑貨などの品ぞろえ
コーディネイトなどへの配慮がな
もきめ細かくし、カスタマーサービス
され、陳列棚は一般スーパーマー
も高めるなど、価格の安さだけでなく
ケットで利用されている大きさ
地域の顧客に対する便利性を高めて
(
(高さ)と同等である。
いる。
*販売はセルフサービス方式で、
集中レジ方式を採用している。
(6) ハード・ディスカウンター
1. 1952 年にドイツのアルディが開設した店舗形態で、品ぞろえを極端に絞り込んで、
陳列の仕方も簡素化し、低コストのストアオペレーションを可能にしている。その
分、価格は超低価格に抑えられており、ドイツでは主に低所得層向けの店舗形態と
して顧客の支持を得ている。
2. ハード・ディスカウンターの特徴
取扱商品
価 格
店舗施設
 主要取扱商品は食品と日用雑貨
 超低価格で販売することを目的
 店舗面積 500 ㎡~1,000 ㎡
で、PB 商品を中心に基本的には
として、店舗施設やストアオペ
と小型であり、販売はセルフ
1 品目 1 アイテムの品ぞろえで、
レーションにかける費用を極限
サービス方式で、集中レジ
品目数は 500~1,000 品目程度
までに押さえ込んだ店舗形態で
方式を採用している。
にすぎない。
あり、顧客は多種の商品の中から
 品ぞろえを極端に絞り込むこと
によって、仕入れや陳列、値札
 店内の装飾や設備、備品への
自分の好きな商品を選ぶことは
投資を抑えた倉庫型店舗で
できない。
ある。
付けなどにかかる作業も省力化
 しかし、特定のブランドにこだわ
 陳列の仕方は、商品が入った
され、少ない人員で店舗運営が
らなければ、価格の安さという点
箱の上蓋部分を切り取った
可能になる。
で大きな顧客満足を提供できる。
カットケース陳列を多用して
いるので、ボックスストア
とも呼ばれる。
【用語解説】
※ カットケース陳列
陳列器具の形状によるディスプレイの基本的パターンの一つで、商品の入っている、
段ボール箱を利用してディスプレイする方法。カッターを使って段ボール箱の上部
7
を切り込み、その中に商品を入れたまま積み上げるディスプレイである、一般的には
スーパーマーケットやディスカウントストアなどの量販店が多く活用している。
※ ボックスストア
納入先から荷受したケースから商品を取り出さずに、ケースのまま売場にディス
プレイ(陳列)するなど、徹底した合理化によって低価格販売を行う業態のこと。
(7) アウトレットストア
1. アウトレットストアとは、放出口、捌け口といった意味で、ブランド品を扱う
メーカーや卸売業が、過剰在庫品や、サイズ構成が不ぞろいの半端もの、返品
商品、展示商品、軽微な傷ものなどを正規の商品よりも低価格で販売して在庫
処分するために開設する店舗形態である。
2. アウトレットストアの特徴
取扱商品
 あくまでも在庫処分のための
価 格
 もともと在庫処分品を低価格
店舗施設
 アウトレットストアを集積
商品が中心であり、当該ブランド
販売するために開発された
してショッピングセンター化
で現在取り扱い中の正規商品は
店舗形態であるだけに低価格
したアウトレットモール内に
品ぞろえされていない。
である。
設置されるのが主流である。
 ただし、在庫処分品だけでは
 中には正規商品の 50%オフや、  アウトレットモールの立地
十分な品ぞろえできないことも
70%以上オフといった商品も
条件としては当該ブランド
あり、その場合アウトレット
ある。
の正規商品を扱う店舗と競合
専用の商品が製造され、品ぞろえ
しない郊外のエリアが選ばれ
の補完として加えられる。
ることが多い。
(注意)アウトレットストアの店舗を運営するのはメーカーや卸売業である。
(8) オフプライスストア
オフプライスストアは、アウトレットストアと同様に、在庫処分品を低価格で販売する
ための店舗形態。
(注意)店舗を運営するのがメーカーや卸売業ではなく小売業であるという点が異なる。
したがって、取扱商品には小売業の自社ブランド商品のほかに、メーカーや
卸売業から仕入れた商品なども含まれ、リテールアウトレットとも呼ばれる。
ここでの重要ポイント
1.欧米で生まれたそれぞれの小売形態の“特徴、取扱商品、価格、店舗施設”の違いは
8
第3章
※
第一節
形態別小売業の基本的役割
総論
1-4
フランチャイズチェーンから抜粋
第1―4 フランチャイズチェーン(FC)
(1) フランチャイズチェーン(FC)とは
1.
フランチャイズは、英語で、
「特別許可」
「販売特権」など、権利を意味する。
2.
ビジネス上のフランチャイズとは、ある企業が資本関係のない他の事業者に対し、
店舗ブランド名や経営ノウハウなどを提供する見返りに対価(ロイヤルティ)を
受け取る契約関係を指す。
(注意)フランチャイズの意味するところは、店舗の業種や業態ではなく、あくまで契約
形態にある。フランチャイズチェーンはコンビニエンスストアやファーストフード
チェーン業界に多いが、それ以外にも、学習塾、不動産業、駐車場など、さまざまな
ビジネス領域でもみられる。
【 フランチャイズチェーンの本部と加盟店の関係】
《 異なる資本との契約 》
加盟店
A
加盟店
B
加盟店
C
加盟店
D
ロイヤルティ の支払い
FC本部
個別契約
(フランチャイズチェーン)
経営ノウハウの提供
商品供給システムの提供
(2) フランチャイズチェーン(FC)のメリット
☞ FC 加盟店とFC本部、それぞれのメリットを確認しておく。
1.
加盟店(フランチャイジー)のメリット
① 消費者に信頼される看板(商標)が使える。
② 販売する品目やサービス内容についてのFC本部企業のノウハウを活用
できる。
③ 経営上のリスクが少ない。
9
2.
FC本部(フランチャイザー)のメリット
① 少ない投資で急速な規模拡大が可能になる。
② 確実な収入(契約によるロイヤルティ収入)が得られる。
③ 情報収集(加盟店情報がFC本部に集約でき、的確な商品投入や売場づくり
が可能)ができる。
(3) 組織構成
1.
加盟店同士の横のつながりはない。→ VCとの違い
FCは、本部と加盟店は全く別個の存在である。契約は1対1で独立して行われて
いるために、加盟店同士のつながりはない。
2.
FC本部利益と加盟店利益は基本的に独立
フランチャイズでは、本部と店舗の結びつきは契約によるのみで、お互いの利益に
対して契約書以上の干渉はできない。
3.
FC本部企業は大規模
FCは多くの場合、広く消費者に認知されることが存立基盤の条件であるために、
多店舗店展開や積極的宣伝活動が必要である。資金力と知名度に富む大規模企業が
競争上の優位に立ち、勝ち残る傾向がある。
(4) 運営
1.
フランチャイズビジネスでは特権を与えるものを「franchisor(フランチャイザー)
」
といい、フランチャイズビジネスを運営する企業を指し、「本部」「本部企業」といわれる。
2.
一方、特権を与えられるものを「franchisee(フランチャイジー)といい、
「加盟店」
「加盟者」などといわれる。
3.
与えられる特権とは、フランチャイザーがフランチャイズビジネスを運営するために
開発した商品や仕組みのことである。
① 通常、これらの特権はパッケージで加盟店に提供されるため、「フランチャイズ
パッケージ」といわれる。
② フランチャイジーは、このパッケージを利用した見返りに、本部に対し、経営
指導料(ロイヤルティ)を支払う。ロイヤルティは売上の何%という契約が多く、
一般的には、このほかに加盟時には加盟金が必要になる。
4.
特権(フランチャイズ・パッケージ)
① フランチャイザーの商標、サービスマーク、チェーン名を使用する。
② フランチャイザーが開発した商品やサービス、情報など、経営上のノウハウを
利用する。
③ フランチャイザーがフランチャイジーに対し、継続的に指導や援助を行う。
10
(5) フランチャイズビジネスの規模
(2010 年、社団法人日本フランチャイズチェーン協会データ)
1.
フランチャイズビジネス全体の規模は、チェーン企業数 1,230 チェーン以上、
店舗数約 23 万 1,000 店、売上高合計約 21 兆 3,800 億円である。
2.
その中での小売業だけの規模は、チェーン企業数 333 チェーン、店舗数約9万店舗、
売上高合計 15 兆億円である。
3.
その中でのコンビニエンスストアだけの規模はチェーン企業数 27 チェーン、店舗数
約4万 5,000 店舗、売上高合計8兆億円以上である。
【 フランチャイズチェーンの特徴】
 予め、FC本部が存在し、異なる資本のもとにある小売店などと加盟店契約
目的とメリット
することで、スピーディに多店舗展開をはかり、規模のメリットを実現する。
 加盟店は、店舗運営ノウハウや商品および、商品情報などを受けることができる。
 本部と小売店個々がそれぞれ契約を結ぶことで組織化される。
組織構成
 小売店同士の横のつながりはない。
 本部を「フランチャイザー」
、加盟店を「フランチャイジー」という。
運 営
 本部は、店舗運営に関わる商品やすべてのノウハウをパッケージ
(フランチャイズパッケージ)にして加盟店に提供する。
 加盟店はその見返りとして、ロイヤルティ(経営指導料)を本部に支払う。
ここでの重要ポイント
1.
“フランチャイズチェーン(FC)とはどのような組織”なのか
2.
“フランチャイズチェーン(FC)加盟店と本部のメリット”は
3.
“日本FC協会データによる 2010 年コンビニエンスストアの店舗数と年売上高合計”は
(参考)立地別にみるコンビニエンスストア
1.
平成 19 年商業統計調査では、コンビニエンスストア(CVS)の商店数を立地別に
みると、住宅地区が最も多く(36.4%)を占めており、次いで商業集積地区、ロード
サイド型・その他地区、オフィス街地区の順になっている。
2.
平成 14 年と比べると、立地割合の高い住宅地区と商業集積地区は、商店数、年間商品
販売額ともに減少しているが、ロードサイド型・その他地区、オフィス街地区、工業
地区は商店数、年間商品販売額ともに大幅に増加し、その割合が高まっており、商業
集積地区以外のより広範な地区へと立地環境の広がりをみせている。
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