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ア ハ バ-ル ・ カ シ オ ン

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ア ハ バ-ル ・ カ シ オ ン
JICA シリア事務所
2010年6月1日
第235号
アハバ-ル・カシオン
★★
6 月・7 月の予定 ★★
● 活動報告
第2回「食の安全」国際学会での発表を終えて
【行事予定】
(カウンターパートの成長を見ながら)
櫻井健一:SV(獣医細菌学)バース大学ハマ
6 月 17 日(木) 所長/20-1 歓送迎会
7 月 15 日(木)V 報告会 22-1 歓迎会
今回、第2回「食の安全」国際
と提案)で構成されており、演題
【職員・専門家・ボランティアの動き】
学会が、ハマ市のアル・バース大
数は口頭発表が 77 題、紙上発表
<着任>
学獣医学部で開催され、カウンタ
が 17 題と、多くの発表がありま
6 月 20 日 松岡彩子 所員
ーパート(CP)と私が発表しまし
した。時間は、9時から 20 時 30
6 月 23 日 22-1 次隊 5JV
た。その概要を CP の成長を織り
分と長時間であり、昼食が2時間
込んで報告します。
30 分、夕食は 20 時 30 分から 22
清水一洋 水泳 ダマスカス
渡辺寛成 日本語教師 アレッポ
時であり、国際学会の熱意がひし
中川智恵 保健師 マンベジ
ひしと感じられました。前回 2007
前田那美子 卓球 ダマスカス
年もシリアで開催され国際的に
元山亜樹子 幼児教育 ハマ
シリアは獣医学の発展に貢献し
<離任>
ています。
6 月 16 日 板垣修 専門家 水資源
今回の学会では、CP の Dr.カラ
政策アドバイザー 灌漑省
ムと私が研究・調査の結果を報告
6 月 22 日 20-1 次隊 1SV, 3JV
松村文雄 固形廃棄物管理
しました。Dr.カラムは「③公衆
開会式
本学会は、2010.4.19 ~ 4.21 ま
衛生と食品生産」の分科会で、彼
ダマスカス
での3日間、アル・バース大学獣
の修士論文のテーマである「シリ
池島大志 体育 UNRWA ダラー
医学部で開催されました。中近東
ア中部地域における生乳と乳製
宮下光司 水泳 ダマスカス
及びアジアの 15 か国、135 名の
品の細菌学的研究」の一部である
佐武奈津子 音楽UNRWAアレッポ
研究者が集まり、
「食の安全」に
「クリームから分離された病原
<休暇>
関して熱心な議論が行われまし
性細菌とその薬剤感受性」の演題
5 月 28 日~6 月 17 日 井堂有子
た。参加国は、エジプト、イラク、
で発表しました。彼にとって初め
5 月 31 日~6 月 30 日 高橋早苗
イラン、リビア、ドイツ、アルジ
ての発表でありましたが、質問も
7 月 02 日~7 月 14 日 藤元直服
ェリア、トルコ、チュニジア、ヨ
なく無事に発表が終え、私も安心
7 月 25 日~8 月 25 日 田邉秀樹
ルダン、レバノン、スーダン、サ
しました。今回の発表で彼が貴重
ウジアラビア、シリア、中国、日
な経験をしたことで、今後の彼の
私の業務は、シリアで唯一の獣
本の 15 か国でした。この学会は、
医師養成機関であるアル・バース
4つの分科会(①食中毒と食物感
大学獣医学部で細菌学の実習に
染症、②食品産業の品質管理と危
よる知識、技術の伝達と学部卒業
機分析システム、③公衆衛生と食
生の研究支援です。この活動は、
品生産、④生物安全と食品安全)
、
JICA シリア事務所の協力重点分
ワークショプ(シリアの食品産業
野である「産業近代化のための人
の品質管理)と最終分科会(結論
材育成のプログラム」の一環です。
Dr.カラムの発表
-1-
発展が期待されます。この発表は
り、翌日、私の研究室に来てもら
きな喜びを感じます。是非彼らが
小論文として発表の予定であり、
い試薬の説明をしました。この試
シリアの将来を担う人材になっ
現在、彼は、
「生乳とチーズから
薬は、携行資材として JICA シリ
てもらえれば幸いです。
の病原性細菌の分離と薬剤感受
ア事務所で購入してくれたもの
今回の学会を開催するにあた
性」の検査も終わり、研究報告を
で、事務所の人たちに感謝すると
り獣医学部の職員は、夜遅くまで
書いているところです。これらの
ともに、たった1つの試薬が日本
準備し無事に学会が終了したこ
ふたつの論文をまとめれば、修士
とシリアとイラクの研究者を結
とに感謝する次第です。ただ、発
論文として評価されると思いま
びつけたことに国際協力の重み
表プログラムが開催当日まで入
す。学会終了の2週間後にアルジ
を痛感しました。発表後の夕食会
手出来なかったことはとても残
ェリアの研究者が当研究室を訪
念なことでした。発表以前にプロ
れ Dr.カラムと私とで対応しまし
グラムの内容が分かっていれば、
たが、彼にとって研究者の繋がり
JICA 関係者に業務と関連のある
が持てたことでこれからの成長
内容を伝えることが出来、活動と
に貴重な体験だと思います。
結びつけられたと思います。また、
私は、
「①食中毒と食物感染症」
発表のほとんどがアラビア語で
の分科会で、担当の Dr.タッバ教
授から依頼された「ハマ市におけ
あり、英語での図、表があれば更
Dr.リーマと他国の研究者
に多くの人たちに発表内容を理
る生肉販売店の鶏肉からのカン
では、私も Dr.カラムもアルジェ
解して貰えると思いました。特に、
ピロバクターの検出」の演題で発
リア、チュニジア、リビア、エジ
最終分科会の「結論と提案」では、
表しました。国際学会での発表は
プト、サウジアラビア、イラク等
すべてアラビア語であり、図・表
初めてであり緊張しましたが、良
の研究者と交流ができ、大きな成
もなく理解できなかったことは
い経験となりました。発表後、イ
果があったと思います。
非常に残念でした。でも、全体と
ラクの研究者の方から質問があ
櫻井SVの発表
●
私の指導している修士学生の
して立派な学会であり、シリアの
Dr.リーマは、紙上発表の共同研
獣医学がさらに発展していくも
究者と「PCR によるブルセラ菌の
のと思われました。
検出」について議論し、貴重な参
最後になりましたが、発表を推
考論文をもらい、彼女の研究にと
薦してくれた Dr.タッバ教授、終
って大いに役立ったと思います。
始協力してくれたアロワナ教授、
今回の学会に Dr.カラムと Dr.リ
家畜疾病診断センター(CLDR)の
ーマが出席したことにより、更に
職員に感謝いたします。
自主性が芽生えてきたことに大
活動紹介
中東シリア;日本と中東+α圏を結ぶ知的拠点への可能性
草野泰三:SV(メカトロニクス)ティシュリーン大学ラタキア
人生 50 年の節目、これまでの
ンティアに応募した。
の底上げに協力するというボラ
一貫した日本国内での技術開発
任地は中東シリアのラタキア
ンティア活動である。これまで全
に休止符を打ち、師の言葉「仕
という地中海に面する港湾都市、
く、外国語経験なし、海外生活経
事・場所・友人を変えてみる」を
ティシュリーン大学メカトロニ
験なし、開発以外の経験なし、の
実践すべく、JICA シニアボラ
クス工学科というところで技術
無し尽くめであったが、早 1 年、
-2-
生活&活動ともに、なんとか軌道
ベクトルを合わせていくことで
きた数多くの JICA メンバーの存
に乗り始めたところである。
飛躍的な進歩をとげる可能性を
在があることを考えたとき、日本
秘めている。余談だが、最近、中
にとってはこれまでの支援国と
東&欧州の機械国際学会にて基
いう存在ではなく、これからの東
調講演を行うという栄誉を頂い
アジア、南米地域と並ぶ中東+α
た。
「技術の相転移」という題目
圏へのビジネス深耕を図ってい
で 45 分、ここへの私の思いを講
く上での貴重な提携国としての
演させて頂いた(英語学習 1 年に
位置付けも考えられる。
して英語講演という貴重な経験
草野 SV の講義風景
でもある)
。
今シリアではこれからの発展
を加速させるべく、5 カ年計画の
策定が開始されたと聞く。日本と
最初に、シリア大学生の実力に
ついて述べておきたい。私は学科
シリアは人口約 2000 万人の中
して見れば、まさに将来の提携関
の上級生と関わっているが一言
規模国家で、ダマスカスを中心と
係を描き、そこに繋がる(これま
で言うと、基本能力に長け、創造
する商業都市群、アレッポを中心
での枠を超えた)関係強化を築け
力に極めて優れている。殆どの生
とする工業都市群が有名だが、ラ
る時期とも考えられる。(シリア
徒が 3 ヶ国語以上、アラビア語+
タキア・タルツース(以上コース
人から要望が高い)日本語センタ
英語+第二外国語(仏、独、露、
タル地域)&ホムス(交通拠点)
ーを各拠点に設置し、親密度をさ
他、たまに日本語)をこなし、異
を合せた第 3 の新興都市群に、知
らに向上させる取組み等も想定
常とも思える記憶力を武器に基
的付加価値をベースにした中東
できる。企業から見れば、中東+
礎学問を修得し、独創性を盛り込
+α圏への展開拠点としての大
α圏深耕への拠点作り、そのため
んだ実学の研鑽に必死に取り組
きな可能性を感じている。ちょう
の人材確保&育成に取り組む絶
んでいる。ちなみに、昨年は国内
ど 500 万人ずつくらいの人的規
好の機会にもなり得る。日本では
を超え、中東全体の産業機械コン
模で、各都市群が競い合いながら
国内志向が強まっている今日、現
テストでも最優秀賞を獲得して
独自の強みを武器に海外から繁
地に深く根づきたいとの思いが
いる。二人の学生が企画&設計し
栄を呼び込んでいく産業のリー
強い協力隊経験者の存在も大き
た危険なガス充満エリアでの稼
ジョンステート(道州制)的な単
い。シリア&日本によるシステマ
働を想定した吸引力を利用した
位とも言える。
ティックな将来ビジョンを描い
シリアは発展途上国に位置づ
てみるのも面白い。残り 1 年、私
独自のアイデアに加え、劣悪な環
けられ、1 人当り GNP も周辺国
の力は微力だが、仮想知的拠点構
境で安定に動作する機構+電気
に比べて著しく低いことで安い
築に向けた大学の進化、産業界と
+制御系技術を獲得した二人の
労働力との端的な見方があるか
の技術&人材育成の連携に少し
厳しいプロセスを垣間見させて
もしれないが、若い世代が多く非
でも助力することができれば幸
もらった。
常に優秀であること、欧州・中
いである。
産業用アームロボットだったが、
東・アジア・北アフリカを結ぶ中
私は現在、制御系&製品設計技
間地点に位置し、いずれの地域と
術の学生指導に携わる一方で、産
も意思疎通できるという地理的
業界と大学の連携の在り方を模
&言語的優位性があること、これ
索し始めている。国としての産業
までの(米国規制措置の中)JICA
推進は緒に就いたところ、産業界、 が唯一支援を継続してきたこと
教育界ともに独自の取組みを開
による多大な親日感があること、
始したというところだが、今後、
そして、シリア民族に溶け込んで
-3-
ローマ時代の遺跡にて
●離任のご挨拶
シュクラン! お疲れさまでした!
内田謙一
フィールド調整員
UNRWA
日本人に感謝。イラク人に感謝。シリ
ア人に感謝。そして何よりパレスチナ
人に感謝。
多くの皆様に支えられた 8 ヶ月、感謝
の気持ちでいっぱいです。
シリアだけのご縁ではなく、『これか
らのご縁』。これからもどうぞ宜しく
お願い致します。
隊次:20-8
氏名:三国加代
任地:アレッポ
職種:日本語教師
日本フェア、スピーチコンテスト等、
皆様には大変お世話になりました。お
かげさまで無事帰国できます。
本当にありがとうございました。
隊次:20-1
氏名:宮下光司
任地:ダマスカス
職種:水泳
隊員活動は辛抱の日々であった。任期
終了がひときわ嬉しかった。
●着任のご挨拶
アハラン・ワサハラン!
大村晴子
ボランティア調整員
京都
海外旅行
WEB=www.jica.
go.jp/syria/index.
html
E-MAIL=sr_oso_
[email protected]
5 月 26 日に着任いたしました大村と申します。
シリアは 2005 年に旅行で来て以来 2 回目とな
ります。
ボランティア調整員としての勤務はジャマイ
カ、イエメンに引き続き、3 カ国目となります
が、シリア事務所の様な大所帯は初めてで少々
戸惑っているところです。当初はご迷惑をおか
けすることもあるかと思いますが、皆さんどう
ぞよろしくお願いします。
お知らせ:本ニュースレター配信ご希望の方は左記まで氏名・メールアドレス・JICA との関係を連絡願います。
編集後記
先日読んだ本によると、アラブ人は古代から砂漠に生きるだけでなく、海にも乗り出していた。バスコダガマが喜望峰
を廻るインド航路を発見したときの水先案内をしたアラブ人にはなじみの航路だったと。 (C.F.)
-4-
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