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米国環境情報

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米国環境情報
●米国環境情報
○ 下院、エネルギー法案を可決
米国連邦議会下院は、8月4日、
「エネルギー自給・国家安全保障・消費者保護の新しい方向性
を示す法案」を可決した。エネルギー分野で幅広い措置を内容に盛り込んだが、企業別平均燃費
規制(CAFE)の強化は含んでいない。下院はあわせて同日、再生エネルギーによる発電、再
生エネルギー分野への投資、石油ガス企業の国内生産による収入に関わる税制措置を含む「2007
年再生エネルギー・エネルギー節約税法案」を可決した。現在、再生エネルギー開発に与えてい
る優遇措置は延長しつつ、石油ガス企業に与えている税制優遇措置を見直し、約160億ドルを捻出
する。両法案は決議により、可決後につなぐ形で一本化された。主な内容は次のとおり。
・ 発電量の15%は2020年までに再生可能なエネルギーによるものとする。うち、4%ポイント
はエネルギー効率上昇により達成することを認める。
・ 各種器具(電気機器、ボイラーなど)、照明器具、建物(住居用、商業用、連邦政府)におけ
るエネルギー効率性指標を新たに設ける。
・ 二酸化炭素固定技術など、省エネルギー・代替燃料分野への研究開発費を今後4年度にわた
り16億8000万ドル規模で認める。
・ エタノールやバイオディーゼルといった代替燃料の使用拡大や、公共交通機関の促進に対す
る補助プログラムを設置する。
・ 商業用建物でのエネルギー効率推進プロジェクト、再生可能発電、太陽光発電や燃料電池へ
の投資といった活動において税額控除措置を拡大する。
・ 現状、石油・天然ガス企業に認めている税控除措置を縮小、廃止する。国内での採掘活動に
与えている税控除を廃止し、10年間で114億ドルの税収増を見込む。また、外国での収益計算
方法を変更することで、さらに36億ドルの税収増を見込む。
・ スポーツ用多目的車(SUV)購入に対する税控除を縮小することで、7億8600万ドルの税
収増を見込む。
○ 環境保護庁、大気保全基準地上オゾン改定案に対する潜在的効果と費用を分析
環境保護庁(EPA)は、全国大気保全基準改定案の地上オゾン値が充たされた場合の潜在的
効果と費用に関する分析結果、「規定影響分析(RIA)
」を8月2日発表した。先月提案された
0.070ppm~0.075ppm範囲が達成された場合のほか、国民の意見を同時募集した0.065ppmと
0.079ppmに対する効果と費用の分析も示されており、大気質と健康及び経済効果に関する複数の
専門家の意見を反映した、公正度の高い調査結果となっている。一部の都市部については、今後
の技術革新により2020年までに改定案基準値を達成できると推定される州もある。
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情報報告 シカゴ
○ サン・ディエゴ市、下水道システム改修とメンテナンスに10億ドル投資で合意
サン・ディエゴ市は、7月31日に環境保護庁(EPA)と司法省と結んだ包括的合意により、
今後6年間で下水道システム改善とメンテナンスに10億ドル投資することとなった。これは、南
カリフォルニア地区の連邦地方裁判所において、同市の現在の下水システムのクリーン・ウォー
ター法違反に対する3回目、最終の合意として出されたもので、同市が主要プロジェクトの遂行、
実施と点検維持を2013年まで継続することによって、将来の未処理下水漏出の防止を目指してい
る。サン・ディエゴ市の下水回収システムは、2000年には平均毎日1回の下水漏出を繰り返し、
2002年にEPAが同市に下水システムの点検維持、修理、交換に関する行政命令を発し、2003年
6月には司法省による告訴、2005、2006年には部分的な同意判決が出されている。2002年以来、
漏出の回数は75%以上減少し、今回の合意は将来の漏出防止と老朽下水設備の交換が目的である。
○ プラグ・イン式ハイブリッド車の温暖化ガス排出量削減効果
非営利研究施設である電力研究所(EPRI)と環境保護団体の天然資源防衛会議により官民
各種機関の共同出資で実施されていた、充電可能プラグ・イン式ハイブリッド電気車と環境に関
する調査結果が、7月19日に発表された。プラグ・イン式ハイブリッド電気車が自動車市場の60%
以上を占めると、2050年までに年間4億5千万トンの温暖化ガス、
現行車数の1/3の乗用車8200
万台に相当する排出量が削減できるという。また、夜間電力の使用等により需要電力増加量は穏
やかな伸びに留まり、電力使用量が7~%増加するものの、2050年までに一日400万バレルの石油
節約に繋がると推定される。また、同車が市場20%を占めると温暖化ガス1億8千万トンの削減
に繋がる。
○ エクイスター化学薬品会社、汚染改善に1億2500万ドル投資で和解
司法省と環境保護庁(EPA)の7月19日の発表によると、テキサス州ヒューストンに本社を
持つエクイスター化学薬品会社は、テキサス、イリノイ、アイオワ、ルイジアナ各州の7つの石
油化学工場における複数の大気、水質、有害廃棄物規制違反に対し、1億2500万ドルを支払うこ
とで合意した。同社は、大気、水質、有害廃棄物プログラムに基づき広範な環境調査を行い、EPA
と各州議会に報告と解決策提案、及び問題解決に努めなければならない。これは、法的債務を超
えた、より厳格な環境的措置を適用する石油化学産業界初のケースとなった。
○ グリーン・コンピューターの環境的利益に関する報告
「環境に優しい電子機器評議会」発行の初の年次報告、
「2006年EPEAT登録製品の購入及び
販売における環境的利益」によると、2006年にEPA認定コンピューターデスクトップ、ラップ
トップ、モニター類は3600万台購入され、温暖化ガス排出量削減に多大な貢献をしたという。省
エネ量としては、米国120万世帯の年間消費量に相当する電気量137億kWh、冷蔵庫1億8900万台に
相当する2440万トンの初期原料を節約した。EPEAT(電子機器製品環境評価手段)登録コン
ピューター製品は、カドミウム、鉛、水銀を削減し、エネルギー効率性の向上と容易なリサイク
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情報報告 シカゴ
ルを目的としている。
○ フロリダ州、再生可能エネルギーから電力生産量の20%を目指す知事令
フロリダ州のチャーリー・クリスト知事は7月13日にマイアミで開催されたカリフォルニア州
と共同の気候変化サミットにおいて、2050年までに地球温暖化ガス排気量を1990年の80%レベル
に削減することを目指す知事令に調印し、電力の20%を再生可能エネルギーから発電するという
目標を掲げた。フロリダ州は別名サンシャイン・ステートと呼ばれながら、その降水量の多さと
高額な地価によって大規模な太陽エネルギー発電所には適さないため、カリフォルニア州のミリ
オンソーラールーフ計画に倣い、初期設置費用を州が援助し一般家庭や事務所の屋根に小規模発
電パネルを取り付けるという構想が有力である。
○ エナジー・スター住宅、15州で新規住宅の12%以上を占める
2006年に政府発行のエナジー・スターを獲得した新規一戸建て住宅は全国で20万戸、累計総戸数
は75万戸に及び、新規住宅のうち12%以上を占める州は15州であった。エナジー・スター住宅は、
10億kWhの電力と1億サームの天然ガスを節約し、金額にして年間1億8千万ドルの節約に繋がる。
エナジー・スターの認定には、住宅それぞれがEPAの厳しいエネルギー効率性基準に合致しなけ
ればならず、2004年国際居住規約に則った住宅よりも15%以上高いエネルギー効率性に加えて、標
準的な住宅より総じて20~30%高いエネルギー効率性を持つ特徴を備えていなければならない。
○ 環境保護庁、6州で環境向上のための技術支援
環境保護庁(EPA)は、効率性と実現性が高く、かつ環境に配慮した開発を支援するために、
全国30州67市町村の応募の中から6州の市町村を選出し、4万5千ドルを助成し、EPAが組織
する全国専門家チームによる個々の必要に応じた直接の技術的支援を提供することを発表した。
選出された市町村は次の通り。高齢者が車を使わず徒歩で生活できる町作りを目指すアトランタ、
各種交通手段の実態調査「スマート・モービリティ・スコアカード」の開発を目指すカリフォル
ニア州運輸省、汚水流出を繰り返す老朽下水施設対策を模索するケンタッキー州北部の第1衛生区、
そのほかコロラド州デンバー、ノース・カロライナ州のグリーンズボロ、フェニックスとメサの
バレー・メトロ・トランジット。
○ 環境保護庁と米州開発銀行、ラテンアメリカ諸国支援における緊密な協力体制
ラテンアメリカ諸国の経済発展と環境的向上のため、環境保護庁スティーブン長官と米州開発
銀行(IDB)モレノ総裁は、7月9日、両機関の協力体制を強化する意向表明書に調印した。
IDBは1959年にラテンアメリカ開発のための多国間金融機関として設立されている。両機関の
協力分野には、IDB参加国を重点対象とした燃料とエネルギー使用に対する品質管理規制、I
DB職員と参加国に対する環境トレーニングプログラムの支援などが挙げられている。
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