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斜面樹林化工法

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斜面樹林化工法
斜面樹林化工法
(NETIS QS -980148-V )
技 術 資 料
(第 6 版)
2015 年 6 月
斜面樹林化技術協会
Natural Remedy Association of Japan
『技術資料 第 6 版』の発刊にあたって
斜面樹林化技術協会は,わが国が生物多様性条約を締結してから 2 年後の 1995 年に発足し,
それ以来,国内産在来種を用いた播種工による樹林化技術を提供してまいりました。また,2003 年
には「斜面樹林化工法 2 層吹付システム」という独自工法を標準仕様に採用し,貴重な国内産在来
種子の有効利用と施工コストの縮減を実現してまいりました。こうした中で,2005 年 6 月に施行され
た外来生物法,および環境省による要注意外来生物リストの公表を経て,2015 年 3 月には愛知目
標達成に向けた外来種被害防止行動計画が発表され,これまで緑化工事で多用されてきた外来植
物の問題が社会的に広く認識されるようになりました。2009 年に改訂された道路土工指針-切土
工・斜面安定工指針には,既に播種工で用いられる植物として 24 種類の在来木本類が掲載されて
おり,法面緑化工の目的が「侵食防止緑化」から法面防災機能を有する「自然回復緑化」へと転換
しつつある状況が目に見える時代になりました。
私たちは,これまで一貫して国内産在来種子を用いた播種工による自然回復緑化を全国で実践
し,現時点での施工実績は約 570 件,総面積は約 819,000 m2 に達しています。この間に,困難な課
題 で あ っ た 木 本 種 子 の 発 芽 率 を 短 期 間 で 検 査 す る 技 術 ( 早 期 発 芽 力 検 定 法 NETIS :
KT-060003-V,平成 25 年度~活用促進技術)を確立し,貯蔵技術の開発や地元採取種子の品質
証明に活用しています。
その一方で,最近の緑化工事では植物材料を使用しない安価な自然侵入促進工が多用される
傾向が強まっています。この緑化手法は,外来種を人為的に持ち込まないという利点はありますが,
初期緑化目標を明確に定めることができないため自然任せの緑化にならざるを得ません。その結
果,クズなどの有害雑草やセイタカアワダチソウなどの帰化植物が法面に繁茂して植生遷移が停滞
し,規模が大きい法面では自然侵入が進まず法面浸食が発生するなど,法面保護工としての本来
の役割が果たせていない事例も数多く見受けられるようになりました。
こうした問題に対応するため,斜面樹林化技術協会では,播種工である樹林化工法と自然侵入
促進工を組み合わせた「斜面樹林化工法エコストライプ仕様」を新たに実用化し,このたび技術資
料第 6 版を公開する運びとなりました。エコストライプ仕様の追加により,法面保護工として斜面防災
機能を発揮させつつ,周辺植生の自然侵入を促進させることが容易になりました。
斜面樹林化技術協会は,今後も技術の向上と自然回復緑化技術の蓄積を図り,各地の施工現
場でご活用いただけるよう努めていく所存です。引き続き関係各位のご意見,ご指導を受け賜ります
ようお願い申し上げます。
2015 年 6 月
斜面樹林化技術協会
会長
川瀬 勝久
斜 面 樹 林 化 技 術 協 会
テ ク ニ カ ル ア ド バ イ ザ ー (五十音順)
東
北
大
学
名
誉
教
授
江 刺 洋 司
( 元 日 本 樹 木 種 子 研 究 所 所 長 )
東京農業大学地域環境科学部教授
福 永 健 司
元
山 寺 喜 成
信
州
大
学
教
授
( 元 日 本 緑 化 工 学 会 会 長 )
技
委
員
術
委
員
長
会 (五十音順)
吉 田
寛
副 委 員 長
山
崎
友
治
委
員
小
野
幸
菜
委
員
篠
田
剛
史
委
員
堀
江
直
樹
斜面樹林化技術協会 事務局
〒108-0014 東京都港区芝 4-8-2 東興ジオテック株式会社内
TEL 03-6845-1526
FAX 03-3456-8752
目
次
『技術資料第 6 版』の発刊にあたって
1. 斜面樹林化工法の考え方 ·············································································· 1
1.1 自然回復緑化の基本姿勢 ········································································· 2
1.2 斜面樹林化工法の目指す植物群落 ····························································· 4
1.3 播種工による自然回復緑化 ······································································ 4
2. 斜面樹林化工法の特長 ·················································································· 10
2.1 国内産在来種による自然回復緑化 ······························································ 11
2.2 斜面樹林化工法 2 層吹付システム ······························································ 13
2.3 斜面樹林化工法エコストライプ仕様 ··························································· 16
2.4 在来木本種子の採取・調整・貯蔵 ······························································ 22
2.5 品質保持材入り計量袋詰種子(レミディシーズ) ········································ 24
2.6 早期発芽力検定法による品質証明 ······························································ 25
2.7 豊富な施工実績に基づく種子配合設計 ························································ 26
2.8 木本植物の発芽生育に適する材料配合 ························································ 35
2.9 豊富な施工のバリエーション ···································································· 39
3. 品質基準 ···································································································· 42
3.1 生育基盤材(レミマテリアル) ································································· 42
3.2 侵食防止材(レミコントロール) ······························································ 42
4. 設計基準 ···································································································· 43
4.1 環境保全水準の設定 ················································································ 43
4.2 初期緑化目標の設定 ················································································ 46
4.3 導入植物の選定 ······················································································ 48
4.4 吹付厚さの設定 ······················································································ 56
4.5 施工時期の設定 ······················································································ 59
4.6 播種量の設定 ························································································· 60
5. 標準仕様 ···································································································· 66
5.1 吹付方法 ······························································································· 66
5.2 使用材料 ······························································································· 66
5.3 施工手順 ······························································································· 68
5.4 標準配合 ······························································································· 70
5.5 機械設備 ······························································································· 71
6. エコストライプ仕様 ····················································································· 72
6.1 吹付幅と吹付間隔 ··················································································· 72
6.2 吹付断面と ES 率 ···················································································· 73
6.3 施工手順 ······························································································· 75
7. 出来形管理基準 ··························································································· 78
7.1 標準仕様 ······························································································· 78
7.2 エコストライプ仕様 ················································································ 79
8. 生育判定基準 ······························································································ 81
8.1 標準仕様 ······························································································· 81
8.2 エコストライプ仕様 ················································································ 86
参考・引用文献 ······························································································· 87
参考資料(播種工による導入が期待できる木本植物リスト) ··································· 89
1. 斜面樹林化工法の考え方
これまで法面緑化で多用されてきた植物は,トールフェスク(TF),オーチャードグラス(OG),クリ
ーピングレッドフェスク(CRF)などの外来種(イネ科外来草本類)で,これらは初期の成長が早く,侵
食防止や表土形成能力が高い特長があります。しかし,これらの植物の多くは,環境省が 2015 年 3
月に公表した「我が国の生態系に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種
リスト)」 に記載されており,緑化工事ではできる限り使用を差し控える必要があります。近年ではヨ
モギ,イタドリ,メドハギ,ヤマハギ,コマツナギなどの在来種が多用されていますが,市場から常に
入手できる種子は外国から輸入された外国産在来種,つまり外来種なので,浸透性交雑による生態
系攪乱の問題が指摘されています。
従来の草本類による急速緑化は,植生遷移の最も初期のステージからスタートする緑化手法で
す。そのため,自然が回復するまでに長い年月を必要とするほか,景観的にも単純で平面的な植物
群落が形成されるので,周辺の森林環境と調和しないという問題があります。一方,木本類(樹木)
による早期樹林化は,多種類の木本植物が混生する植生遷移のステージからスタートするため,生
物相が質・量ともに豊かになり,自然の回復を促進する効果が大きく,周辺の森林環境と調和した景
観をつくることができます。
また,木本類の根系は側根がネット状に広がり,主根が地山に深く伸長するので表層崩壊防止機
能が高く,防災的に強い法面をつくることができます。斜面樹林化工法は,国内産在来種の木本種
子を主体に用いて,早期に法面の樹林化(木本植物群落の形成)を図る技術で,種子の採取・調
整・貯蔵から設計・施工に至る一連の流れを統合した生物多様性に配慮した自然回復緑化工法
(在来種播種工,あるいは地域性種苗利用工ともいう)です。
-1-
1.1
自然回復緑化の基本姿勢
緑化工で形成する植物群落には,斜面防災,生態系の早期回復,生物多様性の保全,周辺景
観との調和など,多種多様な保全機能が求められます。法面等の自然回復緑化にあたっては,「自
然が本来持っている再生力が最大限発揮されるよう手助けする」という視点から,次の 3 つの基本姿
勢を重視する必要があります。
① 不自然とならない緑の導入を基本とする
自然回復緑化では,強引に植物を導入するのではなく,施工地の条件に適合した植物
群落の形成を目指す。
② 自然回復の順序を尊重する
表土のない傾斜地に短時間で極相群落が成立することはなく,先駆樹種を有効利用し,
これと遷移中後期種を組み合わせることにより荒廃地の自然回復を促す。
③ 自然に近い方法で緑を再生する
播種という自然に近い方法で植物を育てることによって根系を発達させ,自然の回復力
を引き出し,樹林が有する様々な機能を持つ植物群落を形成する。
斜面樹林化工法で形成した植物群落は,施工地の気象条件や立地条件に適合するように適切
に設計・施工されたものであれば,植物の持つ各種保全機能を向上させながら発達します。一般的
に,わが国の気候下では,乾性の裸地が生じると 図-1.1 のような順序で植生が推移します。この植
物群落の移り変わりを植生遷移といい,遷移の進行には次のような変化を伴なうとされています。
① 植物群落は地力の要求度の低いものから高いものへ移り変わる。
② 土壌の厚さが徐々に厚くなる。
③ 植物群落は生育高が低いものから高いものへ移り変わる。
④ 植物群落は寿命の短いものから長いものへ移り変わる。
斜面樹林化工法は,自然がみずから治癒 (Remedy) しようとする力を手助けすることを重視し,
先駆樹種と遷移中後期種を混播することにより,植生遷移を短縮・加速させることを基本とします(緑
化目標により先駆樹種のみを使用する場合もあります)。これにより,従来の草本類やマメ科低木類
からスタートする急速緑化と比較して,環境・景観保全上有効で,CO2 固定能にも優れた多様性に
富む植物群落を早期に形成します (図-1.1)。
-2-
図-1.1 緑化開始のステージの違いと植生遷移(吉田原図)
-3-
1.2
斜面樹林化工法の目指す植物群落
法面の自然回復緑化では,外見的な緑をつくるだけではなく,次のような機能を持った植物群
落を形成させる必要があります。こうした諸機能を有する植物群落を形成させる有効な手法が,
播種工による自然回復緑化の技術です。
① 周辺環境と調和する環境保全上有効な群落
② 生態系の早期回復に有効な群落
③ 防災機能が高い群落(崩れにくい群落)
④ 多様性に富む群落
⑤ 施工後の管理作業が省略できる群落
1.3
播種工による自然回復緑化
1) 先駆樹種の活用
播種工による自然回復緑化を行う場合,使用植物の選択は非常に重要です。斜面樹林化工
法では,植物の生理・生態的特性から,使用植物を主構成種,補全種,および草本種に分けて,
これを適宜組み合わせて用います。
補全種とは,主構成種の生育環境を整え,その生育を助ける働きをするもので,環境改善力の
高い先駆樹種などが該当します。
主構成種となる植生遷移中後期種の木本類は,一般的に初期成長が極めて遅く,瘠せた土
地では生育が難しいため,これらを法面のような荒廃裸地に最初から導入しても良好に生育させ
ることは困難です。遷移中後期種は,先駆樹種の働きによって肥沃な厚い土壌が形成された場
所に生育する植物なので,生育環境が整っていない無土壌地にこれらを強引に導入して失敗し
ている例は少なくありません。
法面緑化では,防災的・経済的観点からも厚い客土を行うことは好ましくないので,導入した植
物みずからの力によって土づくりを行わせることが大切です。そのため,瘠地でも生育できる先駆
樹種を活用し,これに遷移中後期種を混播することにより植生遷移を促す手法を基本とします。
また,緑化目標や種子配合によっては,先駆樹種を主構成種にする場合や,草本種を使用しな
い場合もあります。
-4-
2) 草本類と木本類の特長
法面緑化では,これまで緑化用外来牧草類 (イネ科外来草本類) が多用されてきました。そ
の理由は在来種と比較して次のような優れた特長を持っているからです。
① 発芽および初期成長が早く初期の侵食防止効果が高い。
② 表土層を早期に生成して生態系回復の起点をつくる。
③ 種子の生産と貯蔵が容易である。
④ 市場に広く流通しており価格も非常に安価である。
しかし,草本類は根系の伸長領域が非常に浅いことから斜面防災機能が低く,生態系の回復
が遅いなどの問題が指摘されています(図-1.2,表-1.1)。
草本類の根系は,鉛直方向より谷側に伸長するため,急斜面になるほど根系層が浅くなります。
(木本類の根系は, 傾斜が急になるほど鉛直方向より山側に伸長する。)
木本類は直根が深く伸長し,急斜面でも山側に側根が伸長して安定します。
図-1.2 法面勾配別にみた草本類と木本類の根系の比較(山寺, 1990)
これに対して,木本類(樹木)は次のような特長を持っています。
① 根系が長く,太く,深く伸長するので土壌緊縛力が強く,しかも引抜強度が年々向上
するため,崩れにくい法面・斜面をつくる。
② 急斜面でも根系が山側に伸長するため,表層崩落しにくい法面・斜面をつくる(図
-1.2)。
③ 生態系の早期回復に有効で,自然の回復が早く進む。
④ 改変した周辺環境の改善に効果が大きく,周辺の森林景観とよく調和する。
⑤ 植生の維持管理が少なくてすむ。
-5-
表-1.1 草本類と木本類の機能の比較(山寺ほか,1993:一部修正)
植 物
草本類
木本類
傾斜と根の伸長
ほとんど鉛直方向より谷側
鉛直方向より山側,斜面上部
風化土層の固定
困難:根系侵入少ない
容易:根系侵入多い
大きい(霜柱・降雨)
小さい
年々弱くなる
年々強くなる
小(短い)
大(長い)
植生回復
速い→遅い
遅い→速い
環境保全
小
大
景観調和
困難:開発の痕跡が残る
容易
項 目
表層土の形成力
表面侵食防止力
引抜強度
群落の永続性
法面に草本植物群落と木本植物群落を形成した場合の植生遷移の違いを確かめるため,しま
なみ街道の伯方島の法面において施工 24 年後に植生調査を行いました(写真‐1.1)。その結
果,法面に早期に形成した木本植物群落は,鳥類等の止まり木や小動物のハビタットとして機能
することによりシードレインが供給され,植生遷移の進行に大きな役割を果たしていることがわかり
ました(図-1.3)。
°
A:外来草本群落
写真-1.1
B:木本植物群落
施工 6 年後時点の植生状況(吉田,2000)
-6-
(境界)
斜距離(法尻0m,法肩8m)
8
6
4
2
0
-12
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
12
水平距離(草本区:0~-12m、木本区:0~12m)
イタチハギ(<h1m)
イタチハギ(h1-2m)
イタチハギ(h2-3m)
イタチハギ(h3-4m)
イタチハギ(h4m<)
ネズミモチ
ウバメガシ
その他
図-1.3 施工 24 年後の木本植物の成立位置(吉田,2000)
3) 播種木と植栽木の違い
法面への木本類の導入方法には,播種工と植栽工があります。斜面樹林化工法は播種工を
主体とし,必要に応じて植栽工を併用します。その理由は,傾斜地に防災的に強い群落をつくる
ため,植栽木と播種木の根系の発達の違いを重視しているからです(表‐1.2)。
表-1.2 植栽木と播種木の比較(山寺ら,1993)
項目
植物
植栽木
播種木
(実生木)
根の太さ
細根量
根長
根幹長比
地上部
耐乾性
引抜強度
細い
多い
短い
小さい
高
小
小
太い
少ない
長い
大きい
低
大
大
植栽木は,法面に植栽した時点である程度の存在感があり,施工の初期段階から立体的な形
態となるため,景観的な観点からは効果的です。しかし,急勾配の斜面や硬質な切土法面では,
根系の発達が遅れたり生育が阻害される等の問題があります。
一方,播種木は施工地の立地環境に応じて生育する特性があり,岩質法面であっても根系が
節理等の割れ目に侵入して側根も長く伸長します。そのため,隣木の根系との絡み合いが多くな
り,土壌保全力や土壌緊縛力としての杭根効果やネット状効果が期待できます(写真-1.2~
1.4)。また,播種木は自然淘汰が生じやすく,自然間引きが行われるため,群落全体が健全で防
災的に強くなります(図-1.4,写真-1.5)。
-7-
播種木
植栽木
植栽木は土壌硬度 25mm 以上では根系が植穴より外に伸長しません。
(1 年後:植栽木はアカマツ 2 年生苗を植栽)
写真-1.2 播種木と植栽木の根系比較(山寺,1990)
播種木
植栽木
播種木
1 年後
2 年後
(植栽木はマルバシャリンバイ 1 年生苗を植栽)
植栽木
写真‐1.3 播種木と植栽木の根系比較(福永,1988)
平面視
側面視
傾斜地の崩壊抑制に効果的に働く根系のネット状効果がみられます。
写真‐1.4 隣木との絡み合いが多い播種木の根系(山寺,1990)
-8-
図‐1.4 播種木と植裁木の根長の比較(アカマツ:2 年後)(山寺,1990)
播種木の根系は,杭根効果とネット状効果により永続的に安定した法面をつくります。
写真‐1.5 斜面樹林化工法 7 年後の法面と根系の状況(福永,1988)
-9-
2. 斜面樹林化工法の特長
自然の山野に自生する植物は,それぞれの環境に適応した棲み分けをしており,種子の性質
も多様です。特に,木本種子は発芽能力や発芽環境の適否にバラツキがあり,しかも安定した発
芽能力を維持したまま貯蔵することが難しい樹種もあります。また,一般的に発芽後の初期成長
が遅く,生育基盤材の品質や吹付厚さの影響を受けやすく,さらに混生する植物の発芽・生育状
況によって成立の可否も大きく左右されます。
斜面樹林化工法は,国内産の在来種(木本類)を播種工で導入して自然を回復させる緑化工
法で,その技術的特長は次の 9 点にまとめられます。
① 国内産在来種による自然回復緑化
② 斜面樹林化工法 2 層吹付システム
③ 斜面樹林化工法エコストライプ仕様
④ 在来木本種子の採取・調整・貯蔵
⑤ 品質保持材入り計量袋詰種子(レミディシーズ)
⑥ 早期発芽力検定法による品質証明
⑦ 豊富な施工実績に基づく種子配合設計
⑧ 木本植物の発芽生育に適する材料配合
⑨ 豊富な施工のバリエーション
- 10 -
2.1
国内産在来種による自然回復緑化
これまでの法面緑化では,外来草本類(TF,CRF など)や外国産マメ科低木類(ヤマハギ,コ
マツナギなど)を用いた急速緑化が主流でしたが,法面からの逸出により固有種をおびやかすな
どの生物多様性保全上の問題が指摘されるようになりました。 2005 年に外来生物法が施行さ
れ,要注意外来生物リストが公表されて以降,2007 年には四省庁により外来種利用に関する報
告書がまとめられ,そして 2009 年に改訂された「道路土工-切土工・斜面安定工指針」には,播
種工に用いる主な植物として 24 種の在来木本類が掲載されました(写真-2.1)。そして,2011 年
には林野庁の「生物多様性保全に配慮した緑化工の手引き」が公表され,地域や立地条件に応
じて生物多様性に配慮した緑化工事を行う考え方が示されました。また,2015 年には外来種被
害防止行動計画が公表され,さらに近々「自然公園における法面緑化指針」が改定される予定
であり,要注意外来生物リストを経て公表された「生態系被害防止外来種リスト」にはこれまで多
用してきた外来草本類が掲載され,在来種を使用した緑化が望ましいという考え方に変わってき
ています(図-2.1)。
斜面樹林化工法は,外来種に関わる諸問題に配慮して,使用する種子は国内産在来種を用
いることを原則とし,外来種(緑化用外来牧草や外国産の緑化用樹木等)に依存しない自然回復
緑化を行います。
第4次改訂版
(樹木24種掲載)
【道路土工指針】
第3次改訂版
(樹木10種掲載)
生物多様性に配慮した
緑化工の手引き
(林野庁)
第2次改訂版
(樹木4種掲載)
第1次改訂版
(樹木掲載なし)
初版発行
(樹木掲載なし)
地域制体系の保全に
配慮した法面緑化工
の手引き
(国交省)
4省庁報告書
【斜面緑化のトレンド】
在来種主体(生物多様性に配慮した緑化)
マメ科低木主体(外来種)
草本主体(外来種)
1940
1950
1960
移行期
1970
1980
【生物多様性】
全盛期(含予想)
【法面緑化に初めて言及】
○「道路法面において生物の生息・生
育空間を創出」
○「法面緑化への地域性種苗の採用」
1990
生
物
多
様
性
条
約
締
結
2000
生
物
多
様
性
国
家
戦
略
新
生
物
多
様
性
国
家
戦
略
図‐2.1 法面緑化のトレンドの移り変わり
- 11 -
外
来
生
物
法
2010
第
3
次
生
物
多
様
性
国
家
戦
略
生
物
多
様
性
基
本
法
生
物
多
様
性
国
家
戦
略
12
-
20
2020
愛知目標
外来種被害防止行
動計画
(環境省)
国立公園における
法面緑化基準
(環境省)
写
写真‐2.1 道路土工-切
切土工・斜面 安定工指針
針に掲載された
た在来木本類
類(2009)
- 12 -
2.2
斜
斜面樹林化
化工法2層吹付システ
テム
木本植
植物の出芽可
可能覆土厚さは,大半の
の種子が 2cm
m 以下である
ることから,従
従来の施工方
方法で
は生育基
基盤の吹付厚
厚さが厚くな
なるほど出芽
芽できない無駄
駄な種子が多くなります
す。そのため,斜面
樹林化工
工法では,吹
吹付厚さが 4cm 以上の場
場合には 2 層吹付システ
層
テムの適用を
を標準とします
す。
従来の
の植生基材吹付工(厚層
層基材吹付工
工)では,安
安価な外来草
草本類や外国
国産マメ科低
低木類
を使用し
していたため
め,その全層
層に種子を混
混合しても施
施工単価には
はほとんど影
影響ありません
んでし
た。しか
かし,在来種に
による自然回
回復緑化では
は,種子の採取や貯蔵に
に手間がかか
かり,施工単価
価に占
める種子
子価格の割合
合が大きくなります。
斜面樹
樹林化工法 2 層吹付シ
システムは,種
種子を含まな
ない生育基盤
盤層の上に種
種子を含む生
生育基
盤層を 1 工程で造成
成する「2 層吹
吹付」を行うこ
ことにより,一
一般的に出芽
芽可能な基盤
盤表面から 2cm の
範囲に種
種子を混合さ
させ,かつ 2 層目が剥離
離することのな
ない安定した
た生育基盤を
を経済的に施
施工す
ることができます(図
図-2.2)。
方法は,従来
来の植生基材
材吹付工(厚 層基材吹付
付工)の施工プ
プラントにお いて,吹付機
機から
この方
吹付位置
置に至る材料
料圧送ホース
スの途中に種
種子供給機を
を接続する構
構成なので, 従来工法に
に対す
る高い汎
汎用性を有し
しています(図
図-2.3,写真--2.2)。
種子+生育基
基盤層
種子+生育基盤層
種子な
なし生育基盤層
● 従来工法
図
図-2.2
● 2層吹付システ
テム
1 層吹付と
層
2層
層吹付システ
テムの生育基
基盤の違い
図-2.3
図
2 層 吹付システム
ムの概略図
- 13 -
写真-2.2
施エプラント全景
1) 種子の混合方法
斜面樹林化工法 2 層吹付システムでは,種子は植生基材と混合せずに 「種子供給機」(写真
-2.3)に投入します。この際,種子の破損を防止する種子保護材と,種子を含む生育基盤を判別
する識別材を混合します(表-2.1)。識別材は,生育基盤層と種子層の接着効果を高める作用も
有しています。これらの材料は種子供給用ミキサ(写真-2.3)であらかじめ混合攪拌してから種子
供給機に投入し,材料圧送ホースの途中で植生基材に混合されます。
表-2.1
種子と種子保護材の配合
材 料
規 格
(50 m2当り)
数 量
レミマテリアル
40 ℓ
ゼオライト (0.8~1.9 mm)
20 kg
識 別 材
生分解性短繊維 (15~30 mm)
1 kg
配合調整種子
レミディシーズ (10バッチ仕様)
1袋
種子保護材
写真-2.3 種子供給機(左)と種子供給用ミキサ(右)
- 14 -
2) 2層吹付方法
斜面樹林化工法 2 層吹付システムは,種子を含まない 1 層目と種子を含む 2 層目の吹付作業
を,ノズルマンが一工程で行います。ノズルマンは,手元のスイッチによる遠隔操作で種子供給
機を運転することで,吹付機から圧送される植生基材の中に種子を混合させ,種子を含まない 1
層目の上に連続的に 2 層目の種子入りの植生基材を吹き付けます。生育基盤の吹き付けは,ノ
ズルマンがロープに下がった一定位置で横移動しながら 1 層目と 2 層目の施工を行い,この吹付
作業を順次繰り返すことによって,2 層からなる生育基盤を造成します。
吹付機から圧送される植生基材への種子の供給量は,吹付機 1 バッチ当りの平均吹付時間を
ベースに制御します。
3) 従来工法と2層吹付システムの発芽・成立状況の比較
従来工法(1 層吹付) と 2 層吹付システムでの木本植物成立状況を比較するため,様々な大き
さの種子を配合した比較試験を行いました。本試験では,供試植物として外来草本を含む 6 種類
の種子を使用しました。施工 14 ヵ月後の成立本数を図-2.4 に示します。
従来工法区と 2 層吹付システム区を比較すると,出芽可能覆土厚が 3cm であるアラカシの成
立本数が 1 層吹付区で多く確認され,表層 2cm よりも深い位置から発芽していることがわかりま
す。一方,出芽可能覆土厚が 1cm のネズミモチ,ヌルデ,およびコマツナギについては従来工法
区と同程度以上の成立が認められます。このように,種子を表層 2cm の範囲に混合する 2 層吹付
システムにより,従来工法よりも少ない種子で同様に植物を成立させることができ,経済的な自然
10
10
9
9
8
8
成立本数(本/m )
7
2
成立本数(本/m2)
回復緑化が実現できることが確かめられました。
6
5
4
3
7
6
5
4
3
2
2
1
1
0
0
アラカシ
ネズミモチ
ヌルデ
コマツナギ
TF
アラカシ
CRF
ネズミモチ
ヌルデ
コマツナギ
TF
CRF
植物名
植物名
2 層吹付システム区
従来工法(1 層吹付)区
図-2.4 従来工法と 2 層吹付システムの成立本数の比較(施工 14 ヵ月後)(吉田ら,2004)
- 15 -
2.3
斜面樹林化工法エコストライプ仕様
1) 工法の概要
斜面樹林化工法エコストライプ仕様(Eco-Stripe Revegetation Method,以下,エコストライプ仕
様という)は,法面緑化において機械施工法が適用されるようになった 1960 年代から現在に引き
継がれている「全面緑化」という常識を打ち破り,あえて法面や斜面に「非面的」な緑化を行うこと
により,周辺植物の自然侵入領域となる空間(ギャップ:gap)を配置し,自然の治癒力を最大限に
活用して植生の自然回復を早めるエコロジカルな緑化工法です。
この仕様は,播種工と自然侵入促進工を組み合わせた工法で,緑化領域(吹付部)に木本植
物群落を形成して鳥類をはじめとする小動物の生棲空間(ハビタット:habitat)を人為的に創りだ
し,群落内に造成された自然侵入領域(裸地部)が周辺から飛来する種子や鳥類が散布する種
子を効率よく捕捉することにより,これまでにない自然植生の早期回復を実現します(図-2.5)。
植生を導入しない自然侵入領域(裸地部)には,緑化基礎工として裸地部保護マット付き金網
(レミディネット),または裸地部保護マット(レミディマット)と金網を組み合わせて張り付けることに
より,金網の網目から小石等がこぼれ落ちるのを防止します(写真-2.4)。施工後は,緑化領域に
形成される木本植物群落と,自然侵入領域に発芽・生育した侵入植物により,全面的な自然回
復緑化が図られます(写真-2.5)。
なお,従来型の外国産在来種等による法面緑化をエコストライプ仕様で施工することも可能
で,周辺からの自然侵入を促したい場合に有効です(この場合は斜面樹林化工法エコストライプ
仕様ではなく,エコストライプ工法になります)。
図-2.5 エコストライプ仕様の施工断面略図
- 16 -
写真-2.4
レミディネット張工(左)とエコストライプ吹付工(右)
法面表層に凹凸があり,レミディネットの位置合わせが困難な場合は,裸地部保護
マット設置工+金網張工(ラス張工)を適用します。
写真-2.5 エコストライプ仕様の経年変化
- 17 -
2) 工法の特長
エコストライプ仕様は,従来の「全面緑化」と比較して次の 3 つの大きな特長があります。
①工事に伴う CO2 排出量を大幅に低減(環境負荷低減効果)
②植生遷移の停滞を回避して自然回復を促進(植生遷移促進効果)
③在来木本植物群落の形成を低コストで実現(施工コスト縮減効果)
(1) 工事に伴う CO2 排出量を大幅に低減
エコストライプ仕様は,法面に生育基盤を非面的に造成するので,吹き付け造成する生育
基盤の量を従来工法(全面緑化)の半分程度以下で済みます。そのため,工事で使用する資
材の製造と建設機械の運転に関わるエネルギー消費量が抑えられ,緑化工事で発生する
CO2 排出量を低減することができます。
(2)植生遷移の停滞を回避して自然回復を促進
エコストライプ仕様は,緑化領域(吹付部)に成立した導入植物と,風や鳥などによる飛来・
散布種子により自然侵入領域(裸地部)に成立した侵入植物が混生した植物群落を形成させ
ることにより,多様性の高い植物群落を早期に形成します。
周辺から飛来する種子が法面に定着して生育するためには,次の 5 点を満足させる必要が
あります。
①鳥類によるシードレインの供給を促進する木本群落の形成(樹林化)
②飛来種子が発芽・生育できる空間の配置(ギャップ形成)
③飛来種子が定着できる土砂移動のない空間の維持(法面保護)
④植物の発芽生育に必要な水分と肥料養分の保持(生育基盤の持続性)
⑤降雨時の法面地表流を分散して侵食を発生させない緑化構造(安全性)
エコストライプ仕様は,表層土砂移動のない安定した自然侵入領域を,緑化工事で形成す
る木本植物群落の中に人為的に配置することにより,従来の全面緑化と比較して,植生遷移
の停滞を回避し,周辺からの植物の自然侵入を促し,施工後短期間で導入種と自然侵入種
が混生した地域性の高い植物群落を形成し,効率的な自然回復を図ります(図-2.6)。
- 18 -
《従来の厚層基材吹付工による外来草本群落の形成(全面緑化)》
施工6ヵ月後
施工1~3年後
施工3~5年後
全面緑化による外来草本群落の形成では早期にカーペット状の群落が形成されます。保肥性の高い
工法を適用すると群落の持続性が高いことから植生遷移が進みにくくなります。
《従来の厚層基材吹付工によるマメ科低木林の形成(全面緑化)》
施工6ヵ月後
施工1~3年後
施工3~5年後
全面緑化によるマメ科低木林の形成では早期にブッシュ状の群落が形成されます。マメ科低木群落
は早期に林冠を鬱閉し,群落の持続性が高いことから植生遷移が停滞しやすくなります。
《エコストライプ仕様による非面的な木本植物群落の形成(非面的緑化)》
施工6ヵ月後
施工1~3年後
施工3~5年後
非面的吹付緑化により,鳥類等の棲息空間となる自然性の高い木本植物群落が形成されます。ま
た,群落内に配置された自然侵入領域により,周辺から飛来する種子(風散布や鳥散布)の定着・
侵入が促され,植生遷移が速やかに進行します。
図-2.6 全面緑化と非面的緑化の植生遷移模式図(吉田,2010)
- 19 -
(3)在
在来種木本群
群落の形成を
を低コストで
で実現
エコストライプ仕
仕様は,従来
来の全面緑化
化と比較して
て,生育基盤
盤の造成面積
積を半分程度
度以下
き,さらに造成する生育基
基盤の表層 2cm の部分のみに種子を混合する「「斜面樹林化
化工法
にでき
2 層吹付システム
ム」を組み合
合わせることに
により,国内産
産在来種子を
を用いた生物
物多様性に配
配慮し
た自然回復緑化
化(樹林化,在
在来種播種工
工)を低コスト
トで行うことが
ができます(図
図-2.7)。
た,植生基材
材吹付工の市
市場単価と相
相対比較して
ても,ほぼ同程
程度の単価
価で施工することが
また
できま
ます(図-2.8))。
図--2.7 従来工
工法で国内産
産自生種を用
用いて施工した場合のコス
ストに対する
る価格相対値
値
(斜面樹林
林化工法の価
価格を 100 とした場合の
と
の相対値)
図-2.8 外来種を用い
外
いた植生基材
材吹付工の市
市場単価に対
対する価格相
相対値
(植生基材吹
吹付工の市場
場単価を 10
00 とした場合
合の相対値)
- 20 -
3)適用範囲
エコストライプ仕様は,法面に生育基盤を非面的に造成する工法であることから,法面を全面
緑化する従来の厚層基材吹付工と比較して地山への雨水浸透量が増加する場合があります。し
たがって,少なくとも初期緑化目標群落が形成されるまでの期間は,地山への雨水浸透や部分
的な風化が生じても法面が安定していることが前提になります。
エコストライプ仕様の適用範囲の検討では,法面が安定勾配であることに加えて,次の点につ
いて検討し,地山の安定性を評価する必要があります。
(1)地すべり地内の法面でないこと
安定勾配であっても,地すべり地内の法面は地すべり変動の影響を受けて不安定化する
場合があります。したがって,事前調査や踏査により地すべり地ではないことを確認します。
①地形図判読や法肩上方の踏査により段差などの地すべり特有の地形がないこと
②法面に連続した平滑な流れ盤となる面が存在しないこと
③同じ地質条件となる斜面や法面に崩壊地形が認められないこと
(2)適用外とすべき法面に該当しないこと
表-2.2 に記載されている「適用外とすべき法面」に該当し,雨水の浸透や地山の風化に伴う
小崩落をはじめとする法面の不安定化が予想される場合は事前検討が必要です。エコストラ
イプ仕様の適用外と判断された場合には,不安定条件に応じて,自然侵入領域(裸地部)へ
の薄層の生育基盤の造成や,全面緑化の適用を検討します。
表-2.2 エコストライプ仕様の適用に検討を要する地質的要件(試験研究所 1992 を改変)
地 質 名
未固結層
細 目
適用外とすべき法面
岩屑・火山砕屑物
・ 不透水層となる粘性土がある
・ 下部に流れ盤となる岩盤が露頭
崩積土・崖錐
・ 崩積土や崖錐分布域の末端部
第三紀層の軟質岩 泥岩・頁岩・凝灰岩・石炭
・ 切土後にスレーキング現象が認め
られる
・ 堆積面が流れ盤である
中古生層の泥質岩 粘板岩・千枚岩
・ 流れ盤構造で、亀裂(節理面等)
が剥離しやすい
・ 非常に破砕され、断層粘土が確認
される
結晶片岩
黒色片岩・緑色片岩・
石墨片岩・絹雲母片岩・
滑石片岩
・ 流れ盤構造で、亀裂(片理面等)
が剥離しやすく滑らかである
・ 破砕されており、断層粘土が確認
される
蛇紋岩
・ 流れ盤となる断層面がある
・ 断層粘土が受け盤構造で分布する
・ 蛇紋岩が風化しても安定性が見込
める法面以外は全部
・ 侵入した岩脈の結晶構造が細粒で
あって、流れ盤となっている
破砕質の岩
膨張しやすい岩
岩脈および
その周辺部
※上表以外の法面であっても,不安定化する恐れがある場合には,その対策を講じた上で採用の
是非を検討する。
- 21 -
2.4
在来木本種子の採取・調整・貯蔵
国内産在来木本種子を用いた自然回復緑化を行う場合,種子の調達は非常に重要な問題で
す。国内産在来種の木本種子は一般的に流通しておらず,これまでの緑化用植物と同じように
一般市場から購入することは困難です。そのため,斜面樹林化技術協会では計画的に在来木本
種子を採取・貯蔵しています。これらの種子は,採種年による豊凶があることはもちろんのこと,採
種地や採種時期(種子の熟度)によっても大きく品質が異なり,採取した種子の品質はその後の
早期発芽力検定法による発芽率(%)
貯蔵性に大きく影響します(図-2.9)。
100
80
採種地 A
60
40
20
採種地 B
0
0
6
12
18
24
30
36
42
貯蔵月数
採取した種子の品質が悪いと品質の低下も早まります。
図-2.9 採取地の異なるアカメガシワ種子の品質推移(日本樹木種子研究所)
種子の貯蔵方法に関する文献によれば,木本種子の多くは土中埋蔵や湿潤低温貯蔵を行うと
されています。しかし,土中理蔵や冷蔵庫で貯蔵しても種子が単期間で劣化・腐敗してしまう樹
種もあり,発芽率を維持した状態で 1~2 年以上の中長期にわたり貯蔵することは非常に困難で
す(図-2.10)。
早期発芽力検定法による発芽率 (%)
100
RS センター独自の貯蔵方法
80
60
40
20
従来の湿潤低温貯蔵方法
0
0
3
6
9
12
15
18
貯蔵月数
従来の方法で木本種子の発芽率を中長期にわたり維持することは非常に困難です。
図‐2.10 貯蔵条件の違いによるシャリンバイ種子の品質推移(日本樹木種子研究所)
- 22 -
種子には,乾燥貯蔵型種子(orthodox seed)と湿潤貯蔵型種子(recalcitrant seed)があります。
在来木本種子には湿潤貯蔵型種子が含まれ,その貯蔵には高度な技術を必要とします。実際に
種子を緑化工事で使用する場合,従来の貯蔵方法では経済的にも品質的にも満足できる種子
を得ることはできません。そのため,斜面樹林化工法では専用の種子貯蔵設備(RS センター:写
真-2.6)を活用し,少なくとも 2 年間は種子の品質を保持できる独自の貯蔵を行っています。
写真-2.6 種子貯蔵施設(RS センター)
- 23 -
2.5
品質保持材入り計量袋詰種子(レミディシーズ)
種子の単位粒数(1g 当たりの粒数)や発芽・特性は,使用する植物によって大きく異なります。
例えば,草本植物のノシバは約 1,500 粒/g であるのに対し,木本類のヤブツバキは約 0.6 粒/g
で,その違いは 2,500 倍にもなります。また,種子の発芽勢は,ノシバは施工後好条件下にあれ
ば約 2 週間で発芽するのに対し,ヤブツバキは 3 ヵ月以上経過して発芽するものも少なくありませ
ん。このように性質の大きく異なる植物を混播して植物群落を形成させるためには,発芽・生育特
性に応じた種子配合の厳密な管理が特に重要となります。また,木本種子は低温湿潤状態の保
存を必要とするものもあり,出荷後に常温で放置した場合には,病菌の発生,腐敗等により発芽
率の低下が生じてしまいます。
斜面樹林化工法では,このような種子配合の厳密な管理と種子の品質維持を重視して,種別
に最適な貯蔵方法で保存されている種子を 1 施工単位で計量・袋詰めし,さらに出荷後の種子
の劣化を防止する品質保持材を混合した配合調整種子「レミディシーズ」を使用します。レミディ
シーズは,工場生産するので計量精度が高く,また出荷後の種子の品質を維持する品質保持資
材を混合してRSセンターでパック化しているので,現場での一時的な貯蔵における種子の品質
低下を抑制し,目標とする植物群落を確実に形成させることができます(写真-2.7)。
写真-2.7
RS センターの種子計量袋詰設備と種子配合量の制御盤
- 24 -
2.6 早期発芽力検定法による品質証明
播種工を適用する場合,種子の発芽率は播種量を算出する上で重要なパラメータです。これ
まで法面緑化で使われていた緑化用植物は乾燥貯蔵型種子で,種子の劣化は非常に緩慢なた
め,採種後に行われる品質検定結果を基に年間を通じて播種量の算出を行っても,形成される
植物群落に大きな影響を与えませんでした。しかし,在来種の木本種子を用いて自然回復緑化
を行う場合には,貯蔵方法によって発芽率が大きく変動するため,事前に使用する種子の品質
検定を行わないと,緑化目標を達成する上で必要となる正確な播種量を算出することができませ
ん。
斜面樹林化工法では,木本種子の発芽率を 1 週間内外で検定できる「早期発芽力検定法」
(NETIS:KT-060003-V,H25~活用促進技術)により品質検定を行っています(写真-2.8)。木本
種子は休眠している場合が多く,従来の発芽試験では発芽率が得られるまでに 1~3 ヵ月,樹種
によっては数年間かかっていました。この早期発芽力検定法は,発芽試験やテトラゾリウム試験と
比較して発芽能力を有している種子の割合を早期に検定することができ,検定結果は発芽率と
高い相関を持っています(表-2.3,図-2.11)。早期発芽力検定法により貯蔵種子の品質管理が飛
躍的に簡易化できるので,例えば,住民参加で採取された種子の品質を速やかに検定して設計
に反映することも可能です。
写真-2.8 樹木種子の早期発芽力検定作業(日本樹木種子研究所)
表-2.3 発芽試験方法の比較(日本樹木種子研究所,2002:一部修正)
試験方法
発芽試験
テトラゾリウム試験
早期発芽力検定法
試験期間
最低で1~3ヵ月間
2日間
1週間前後
得られる結果
発芽率
容易
種子が休眠していた
試験の難易度 り,カビが発生した場
合には,正しい結果が
得られない。
種子の生死
(発芽できない種子も
カウントされる)
やや難
発芽能力を有してい
る種子の割合(早期
発芽力検定値)
難(技術を要する)
着色反応の判定基準
に個人差があると, 正
しい結果が得られな
い。
実際に発芽能力を有し
ている種子の割合を,
短期間で正確に測定で
きる。
- 25 -
100
ヤシャブシ
80
発芽率 (%)
シャリンバイ
ネズミモチ
60
トベラ
40
イロハモミジ
ヒメシャラ
20
イイギリ
0
0
20
40
60
80
100
早期発芽力検定値 (%)
図-2.11 発芽率と早期発芽力検定値の相関関係(小野ら,2007:一部修正)
2.7 豊富な施工実績に基づく種子配合設計
肥料木等の先駆樹種は,瘠地に耐えて成長も早いのに対し,植生遷移中後期種は成長が遅
く,瘠地ではほとんど生育しません。そのため,緑化目標の設定と種子配合の設計では,導入す
る植物の性質を良く認識することが大切です。
斜面樹林化工法は協会発足以来,約 570 件以上の施工実積を有しています。種子配合の設
計においては,こうした長年にわたる実積をもとに,地域に適した配合を提案しています。参考
に,施工後の経年変化と平均樹高の推移を 27~34 ページに示します。
これらの事例から明らかなように,斜面樹林化工法で導入した植物は,年々階層的な群落に
成長し,先駆樹種を中心とする上層植生と,中後期種を中心とする下層植生が形成され,植生
遷移がスムーズに進行するように設計されています。
- 26 -
斜面樹林化工法の施工事例 1 (熊本県水俣市激甚災害跡地の復旧)
緑化目標:常緑広葉樹と落葉広葉樹の混交林
吹付厚さ:5 cm
使用植物:コナラ,アラカシ,ヤブツバキ,ネズミモチ,ヤマハゼ,ヌルデ,アキグミ,
アカメガシワ,コマツナギ,TF,CRF
4 ヵ月後
施工直後
2 年 3 ヵ月後
6 年 5 ヵ月後
法枠工が遮蔽され,災害跡地であることがわからないまでに自然回復が進んでいます。
600
コナラ
樹高(cm)
500
アラカシ
ヤブツバキ
400
ネズミモチ
300
ヤマハゼ
ヌルデ
200
アキグミ
アカメガシワ
100
コマツナギ
0
0
1
2
3
4
経過年数
- 27 -
5
6
7
斜面樹林化工法の施工事例 2 (熊本県)
緑化目標:常緑広葉樹林の形成
吹付厚さ:5 cm
使用植物:アラカシ,ネズミモチ,シャリンバイ,センダン,ヌルデ,ヤマハギ,コマツナギ,
TF,CRF
3 ヵ月後
3 年 4 ヵ月後
6 年 8 ヵ月後
同左(林内にはセンダンやアラカシなどが生育)
法枠工が遮蔽され,周辺環境と調和した法面が形成されていることがわかります。
- 28 -
斜面樹林化工法の施工事例 3 (長崎県)
緑化目標:常緑広葉樹と落葉広葉樹の混交林
吹付厚さ:5 cm
使用植物:ネズミモチ,シャリンバイ,ヤマハゼ,イロハモミジ,アキグミ,ムクゲ,フヨウ,
ヤマハギ,コマツナギ,ノシバ
7 ヵ月後
樹林化の有効性を解説した現地案内板
6 年後の新緑風景
14 年 8 ヵ月後の紅葉風景
秋にはカエデ類やヤマハゼが紅葉し,冬季に落葉樹が葉を落とした後も常緑広葉
樹がしっかりとした緑量を保っています。
900
ネズミモチ
800
シャリンバイ
樹高(cm)
700
ヤマハゼ
600
イロハモミジ
500
アキグミ
400
ムクゲ
300
フヨウ
ヤマハギ
200
コマツナギ
100
ノシバ
0
0
2
4
6
8
10
経過年数
- 29 -
12
14
16
斜面樹林化工法の施工事例 4 (佐賀県)
緑化目標:常緑広葉樹林の形成
吹付厚さ:5 cm
使用植物:ネズミモチ,ヤマハギ,コマツナギ,ススキ,TF,CRF
6 ヵ月後
2 年 6 ヵ月後
7 年後
18 年後
施工 7 年後には常緑広葉樹が林冠を構成しています。
- 30 -
斜面樹林化工法の施工事例 5 (三重県)
緑化目標:常緑広葉樹林の形成
吹付厚さ:3~5 cm
使用植物:センダン,ヤマハゼ,トウネズミモチ,シャリンバイ,ヤブツバキ,サザンカ,
ヌルデ,コマツナギ
施工前
5 年 3 ヵ月後
15 年 8 ヵ月後
20 年 5 ヵ月後
斜面樹林化工法開発当時の試験施工現場で,岩盤法面の上にも木本群落が形成されています。
500
センダン
400
ヤマハゼ
樹高(cm)
トウネズミモチ
300
シャリンバイ
ヤブツバキ
200
サザンカ
ヌルデ
100
コマツナギ
0
0
2
4
6
8
経過年数
- 31 -
10
12
14
16
斜面樹林化工法の施工事例 6 (千葉県)
緑化目標:常緑広葉樹林の形成
吹付厚さ:7 cm
使用植物:スダジイ,ウバメガシ,シャリンバイ,ネズミモチ,アキグミ,ヌルデ,ヤマハギ,
コマツナギ,TF,CRF
1 ヵ月後
5 ヵ月後
3 年 7 ヵ月後
8 年 6 ヵ月後
先駆樹種が徐々に衰退し,常緑広葉樹林に推移しています。
400
スダジイ
ウバメガシ
樹高(cm)
300
シャリンバイ
ネズミモチ
200
アキグミ
ヌルデ
100
ヤマハギ
コマツナギ
0
0
2
4
6
経過年数
- 32 -
8
10
斜面樹林化工法の施工事例 7 (栃木県)
緑化目標:落葉広葉樹林の形成
吹付厚さ:5 cm
導入植物:アカメガシワ,ヌルデ,ネズミモチ,ヤマモミジ,ヤマハギ,コマツナギ,ノシバ
現地採取植物:アカシデ,シナノキ,カシ類,ナラ類,ナツツバキ,ムクノキ
(施工地周辺で採種し,施工適期まで RS センターで低温貯蔵)
施工地周辺で現地種子を採取
施工中
7 ヵ月後
4 年 7 ヵ月後
導入植物の林床でムクノキ,シラカシなどの現地採取植物が生育しています。
樹高(cm)
300
200
100
アカメガシワ
ヌルデ
ネズミモチ
ヤマモミジ
ヤマハギ
コマツナギ
ノシバ
アカシデ
シラカシ
ハゼ類
コナラ
ムクノキ
バッコヤナギ
0
0
1
2
3
経過年数
- 33 -
4
5
斜面樹林化工法の施工事例 8 (岩手県)
緑化目標:落葉広葉樹林の形成
吹付厚さ:5 cm
使用植物:ミズナラ,コナラ,オニグルミ,ヤマモミジ,ヤマザクラ,ガマズミ,カツラ,
ヤマブキ,シラカンバ,ダケカンバ,アキグミ,ヌルデ,ヤマハギ,コマツナギ
1 年 5 ヵ月後
施工中
7 年 2 ヵ月後
14 年後
気象条件の厳しい寒冷地においても在来種を用いた自然回復緑化が可能です。
700
600
樹高(cm)
500
400
300
200
100
0
0
2
4
6
8
10
12
経過年数
- 34 -
14
16
ミズナラ
コナラ
オニグルミ
ヤマモミジ
ヤマザクラ
ガマズミ
カツラ
ヤマブキ
シラカンバ
ダケカンバ
アキグミ
ヌルデ
ヤマハギ
コマツナギ
2.8 木本植物の発芽生育に適する材料配合
斜面樹林化工法の生育基盤の材料配合を表-2.4 に示します。
表-2.4 標準配合表
(1m3 当り)
品名
材料
数量
生育基盤材
レミマテリアル
2,000 ℓ
緩効性肥料
グリーンマップG
(MSサイズ)
4 kg
侵食防止材
60 kg
レミコントロール
配合調整種子
レミデイシーズ
(1バッチ仕様)
配合水
10 袋
用水
適量
1) 肥料成分
土壌の形成には,基盤岩,地形,気温,植生等の様々な環境因子の相互作用を受けます。有
機物が供給されると,土壌微生物によって有機物の分解が行われ,次第に養分として植物に利
用されます。植物の落葉,落枝等は有機物の供給源となるので,法面緑化においても植物の生
産量と有機物の供給量との間には密接な関係があります。
斜面樹林化工法では,木本植物の導入を確実に行うために,草本種を使用する場合は必要
最小限しか配合しません。このため,長期にわたって肥料成分を供給できる有機質資材を主材
料としています。
施工後の生育基盤の肥料成分の推移を表‐2.5 に示します。
表‐2.5 生育基盤の肥料成分(乾物)(菊地・秋田)
成分項目
単位
1ヵ月後
2年後
7年後
備 考
有 機 物
%
63.95
53.60
47.00
強熱減量法
全 窒 素
%
1.08
1.21
1.27
全 燐 酸
%
1.31
0.75
全 加 里
%
0.68
0.99
0.41
- 35 -
0.58
2) 耐降雨侵食性
発芽や初期成長の遅い木本類を成立させるためには,施工後 1~2 年は導入植物間の被圧を
防ぐために植被率を低く保つ必要があります。この間,生育基盤は直接雨滴を受けることになる
ので,耐侵食性を持続させる必要があります。
人工降雨装置による施工 1 週間後の試験結果を表‐2.6 に示します。これによると,斜面樹林化
工法の流失土量は 26.3g/㎡で,同時に行ったエア吹付方式の客土種子吹付工と比較して流失
土量は 1/16 以下であり,ポンプ吹付方式と比べると 1/29 以下と極めて少なく,従来の客土種子吹
付工に比べて,施工初期から高い耐降雨侵食性を有していることがわかります。
表‐2.6 施工 1 週間後の降雨による流失土量(東京農業大学 緑化工学研究室)
流失土量(降雨強度100mm/hr)
工 法 名
客土種子吹付工(ポンプ吹付方式)
763.1 g/㎡
客土種子吹付工(エア吹付方式)
430.9 g/㎡
植生基材吹付工(セメント系侵食防止材)
122.0 g/㎡
植生基材吹付工(樹脂系侵食防止材)
233.0 g/㎡
斜面樹林化工法
26.3 g/㎡
- 36 -
3) 樹林化用資材
斜面樹林化工法では,1 施工単位で袋詰めした樹林化用資材を使用します。これは,施工の
際に発生する計算ミスなどのリスクを回避するためで,品質を安定させ,現場配合における管理
の厳密性を重視しています。
主な樹林化用資材には,2.5 項で解説した品質保持材入り計量袋詰種子(レミディシーズ)の
ほか,以下に示す 3 つの資材があります。
(1)生育基盤材 レミマテリアル(Reme Material)
斜面樹林化工法では,将来的に群落の中心となる植物として植生遷移中後期種を使用す
ることがあります。これらの植物を良好に生育させるためには,長い植生遷移の過程で蓄積さ
れた肥沃で厚い土壌と同等の性質を有する生育基盤を造成する必要があります。このため,
肥料養分の永続性に優れ,厚い生育基盤の造成が可能な,有機質を主体とした生育基盤材
「レミマテリアル」を使用します(図-2.12)。
一方, 肥沃な生育基盤を造成しても,遷移中後期種だけを用いて周辺環境と調和する植
物群落を早期に造成できるとは限りません。自然環境と調和した植物群落を形成するために
は,多様性に富む植物が混成した階層構造を有する木本植物群落をつくる必要があります。
そのためには,遷移中後期種だけでなく,先駆植物や草本類等を同時に導入して,これらの
植物が持つ微気象の緩和,養分の固定,土壌の形成等の機能を活用していく必要がありま
す。
レミマテリアルは,これらの環境改善力の高い植物の導入にも適するように配合調整した生
育基盤材なので,草本類,先駆樹種,および遷移中後期種の木本類の発芽・生育基盤として
適しています。
図‐2.12 生育基盤の違いによるシラカシの葉緑素量の比較(吉田・山寺 1989 より作図)
- 37 -
(2)侵食防止材
レミコントロール(Reme Control)
侵食防止材は,生育基盤を固めて侵食や凍結等による損傷を防止するために使用します。
生育基盤は,植物の生育のよりどころとなるだけでなく,地山の風化抑制効果も期待できるの
で,木本植物群落が形成されて生育基盤の保持が十分できるようになるまでは,その効果を
持続させる必要があります。木本類を導入する場合には,群落が形成されるまでに通常 1~2
年,時には 3 年程度を必要とするので,長期間にわたって耐侵食性を発揮し,生育基盤を保
持できる侵食防止材の使用が必要となります。
斜面樹林化工法では,このような高い耐侵食性を持った生育基盤を造成するため侵食防
止材「レミコントロール」を使用します。レミコントロールは,中性域で接合効果が得られることか
ら植物の発芽・生育に悪影響を及ぼすことなく,施工直後から耐降雨侵食性を発揮し,しかも
その効果を長期間維持できるので木本植物の導入に最適な侵食防止材です。
(3)緩効性肥料
木本類の根系を発達させるためには,植物が必要とする肥料成分の三要素(窒素:N,燐
酸:P,加里:K)のうち,特に燐酸分が必要です。そのため,肥料は木本類の生育に最適とな
るように燐酸を多く含有する山型の緩効性肥料を配合します。緩効性肥料は,窒素,燐酸,加
里,およびマグネシウムの成分比を 6:36:6(16)の山型に調整した「グリーンマップ G(MS サイ
ズ)」を標準とします。また,木本類のみを配合する場合は 10:18:15 の山型に調整した「ハイコ
ントロール 085」を使用する場合もあります。
木本類の導入には,成分比だけでなく肥料の溶出速度も重要ですが,グリーンマップ G は,
一般的に使用されている緩効性窒素入り化学肥料や被覆複合肥料等の緩効性肥料と比較し
て,次のような特長があります。
① 成分比が山型なので,草本類の過剰な成長を抑え木本類の成長と根系を発達させま
す。
② 水分や温度の違いによる肥料成分の溶出変化が小さいので,肥効が長期間にわたり持
続します。
③ 植物の根系が分泌する物質によって肥料成分が溶出するので,植物が効率良く吸収で
きます。
④ 植物による吸収効率が高く外部に流出しにくいので,周辺環境に悪影響を与えません。
- 38 -
2.9
豊富な施工のバリエーション
斜面樹林化工法は,苗木植栽工(特に苗木設置植栽工)をはじめとする他の植生工法との併
用が容易なほか,様々な要求や施工対象法面の条件に応じた施工のバリエーションを有してい
ます。
1) 生分解性樹脂被覆金網 ナチュラス (Naturas)
ナチュラスは,鉄線を生分解性樹脂でコーティングした菱形金網です(図-2.13)。従来から用
いられている金網(亜鉛メッキ)よりも網目寸法が大きく,3~7 年程度で鉄線の強度が低下するこ
とから(図-2.14),樹木の根幹への金網の食い込みを効果的に防止することができ(写真-2.9),
倒木等のリスクを低減させることができます。
図-2.13 ナチュラス模式図
1000
【腐食が早い場合】a)
When corrosion is quick
900
y = 921.2 - 252.5x
(n=8,R2 = 0.959,p<0.01)
破断荷重(N)
Breaking load
800
700
600
【腐食が遅い場合】b)
When corrosion is slow
500
y = 921.2 exp -0.2449x
(n=8,R2 = 0.865,p<0.01)
400
300
200
100
0
0
2
4
6
8
経過年数(年) years
図-2.14 ナチュラスの破断荷重の推移(吉田,齋藤 2012)
- 39 -
a : 従来の金網(
(亜鉛メッキ)
b : ナチュラス
従来の金網 a では樹
樹木の根元付
付近への食い込
込みや巻き込みが確認され
れました
が,ナチュ
ュラス b は腐食
食の進行が速
速く,樹木への食
食い込みが抑
抑制されていま
ます。
写
写真-2.9 従来の金網と
従
ナチュラスの
の食込状況(
(7 年 2 ヵ月後
後)(吉田,齋
齋藤 2012)
2) 短繊
繊維材 レミ
ミファイバー
ー (Reme F
Fiber) ・ ビニファイバ
バー (Vinyy Fiber)
法面の
の土質や立地条件によっ
っては,レミフ
ファイバーや
やビニファイバ
バーを配合す
することにより,造
成する生
生育基盤の耐
耐久性を向上
上させ,金網
網張工を省略
略することがで
できます(写真
真-2.10)。特
特にレミ
ファイバ
バーは天然繊
繊維(ヤシ繊維
維)なので,自
自然にやさし
しい資材です
す。
レミファ
ァイバー
ビニ
ニファイバー
写真-22.10 短繊維
維材
- 40 -
3) 酸性矯正材 シェルレミディ
(Shell Remedy)
シェルレミディは,法面の土壌酸度が pH 4.0 以下の場合に生育基盤に混合したり,基盤造成
の前に酸性矯正層を造成することによって,強酸性土壌においても自然回復を行うことができま
す(写真-2.11)。シェルレミディは貝殻粉砕物で天然素材であることから,自然に優しい資材で
す。pH 2.5 の強酸性土壌における施工事例では,長年にわたり酸性矯正効果が持続しています
(図-2.15)。
写真-2.11 シェルレミディ
10.0
土壌酸度(pH)
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
0
5
10
15
20
25
経過年数
図-2.15 強酸性土壌地(長野県)に適用した生育基盤の土壌酸度の経年変化
- 41 -
3. 品質基準
3.1
生育基盤材「レミマテリアル」
レミマテリアルの基準値を表-3.1 に示します。基準値では,窒素量を規定することにより,混播
する草本植物の過剰な生育を防止するように配慮しています。
表-3.1 レミマテリアルの基準値
単 位
基準値
適 要
有機物含有量
%
70 以上
乾物当り
全炭素 (C)
%
40 以下
〃
全窒素 (N)
%
1.0~3.0
〃
炭素率 (C/N比)
-
40 以下
〃
70 以上
〃
〃
項 目
塩基置換容量 (CEC)
3.2
-1
cmolc kg
pH (H2O)
-
4.5~8.0
水分
%
55 ± 5
侵食防止材「レミコントロール」
レミコントロールの基準値を表-3.2 に示します。
表-3.2 レミコントロールの基準値
基準値
適 要
cm /g
8.000 以上
乾物当り
CaO
%
25.0 以下
〃
SiO2
%
31.0 以下
〃
Al2O3
%
20.0 以下
〃
SO3
%
31.0 以下
〃
項 目
比表面積
単 位
2
- 42 -
4. 設計基準
斜面樹林化工法の設計は,日本緑化工学会斜面緑化研究部会(2004)が公表した「切土法面
における自然回復緑化の基本的な考え方」に基づいて,図-4.1 の順序で行います。
START
↓
環境保全水準の設定
↓
初期緑化目標の設定
↓
導入植物の選定
↓
吹付厚さの設定
↓
施工時期の設定
↓
播種量の設定
↓
END
図-4.1 斜面樹林化工法の設計手順
4.1
環境保全水準の設定
設計では,まず最初に施工対象地や周辺地域の自然・社会環境(例えば,表-4.1 の植生自然
度など)に応じて環境保全水準を設定します。緑化の対象となる立地は,自然環境豊かな自然地
域から都市近郊まで様々なので,まず施工対象地に応じた環境保全水準を設定することにより,
初期緑化目標や使用植物を選定するための基本方針を定めます。
自然回復緑化のための環境区分と留意点を表-4.2 に示します。
① 環境保全水準 1 : 地域性系統のみによる自然回復を図る場所
(施工地周辺で採種した種子のみを使用する)
② 環境保全水準 2 : 地域性系統~在来種(地域区分内)による自然回復を図る場所
(主構成種は一定地域内とし,先駆樹種は国内産まで許容される)
③ 環境保全水準 3 : 地域性系続~在来種(国内)による自然回復を図る場所
(国内産種子を使用するが,場所により,補全種として外来草本類が必要な場合は許
容される)
- 43 -
④ 環境保全水準 4 : 在来種や移入種による景観の回復を図る場所
(国内産種子を使用するが,場所により,急速緑化や造園緑化が必要な場合は外来
種の利用も許容される)
表-4.1 植生自然度の区分(環境省)
植生自然度
概 要
1
市街地、造成地
2
農耕地(水田、畑地)
3
農耕地(樹園地)
備 考
植生のほとんど存在しない地区
水田、畑地等の耕作地、緑の多い住宅地
(緑被率60%以上)
果樹園、桑園、茶畑、苗圃等の樹園地
4
二次草原(背の低い草原)
シバ群落等の背丈の低い草原
5
二次草原(背の高い草原)
ササ群落、ススキ群落等の背丈の高い草原
6
造林地
常緑針葉樹、落葉針葉樹、常緑広葉樹等の
植林地
7
二次林
クリ-ミズナラ群落、クヌギ-コナラ群落、
一般には二次林と呼ばれる代償植生地区
8
二次林(自然林に近いもの)
9
自然林(極相林またはそれに
近い群落構成を示す天然林)
エゾマツ-トドマツ群集、ブナ群集等自然
植生のうち多層の植物社会を形成する地区
自然草原(白然草原、湿地)
高山ハイデ、風衝草原、自然草原等自然植
生のうち単層の植生社会を形成する地区
(9、10は自然性の高さにおいて同ランク)
10
ブナ、ミズナラ再生林シイ、カシ萌芽林等代償
植生であっても特に自然植生に近い地区
植生自然度は,第 1 回自然環境保全基礎調査(環境庁,1973)において,植物社会学的な観
点から,土地の自然性がどの程度残されているかを示すひとつの指標として導入したもの。
- 44 -
表-4.2 自然回復緑化のための環境区分と留意点(斜面緑化研究部会,2004)
環境区分
【環境保全水準 1】
・ 提言の遺伝子保存地域ある
いは系統保全地域に相当
する地域
・ 自然公園の特別保護地区,
第1 種特別地域,あるい
はそれに相当する地域
環境区分
・ 極相植物群落,あるいはそ
設定のめ れに近い植物群落の地域
・ 植生自然度が9.10 相当の
やす
地域
・ 貴重種・重要度の生育地
域・学術上の観点から重要
と認められる地域
【環境保全水準 2】
・提言の系統保全地域,ある
【環境保全水準 3】
・提言の種保全地域,ある
いは種保全地域に相当する
いは移入種保全地域に相
地域
当する地域
・自然公園の第2 種,第3 種
・自然公園の普通地域,ある
特別地域,あるいはそれに
相当する地域
・自然体あるいはそれに近
い二次林地域,二次草原
地域
・植生自然度が8 相当の地域
・環境保全水準1 と近接して
いる地域
るいはそれに相当する地域
【環境保全水準 4】
・ 提言の移入種管理地域に
相当する地域
・市街地,農耕地,牧草地
・人工的景観造成が求めら
・二次林,二次草原,人工
れる地域
・植生自然度が1 ~5 相当
造林地域
・植生自然度が6.7 相当の地
・侵食防止を目的とする場合
の地域
域
・人為的攪乱を大きく受けて
いる自然林地域
・早急な復旧が求められる
・早急な復旧が求められる
自然公園以外の大規模災
自然公国内の大規模災害
害被災地
被災地
初期緑化
目標
「地域性系統のみによる自然
回復」
「地域性系統~在来種(地域区
分内)を主体とする自然回複」
「地域性系統~在来種(国内)
を主体とする自然回復」
「在来種や移入種による景観
の回複」
・ 5 ~20 年で地域性系統のみ
・ 5 ~10 年で地域性系統~
・ 3 ~5 年で地域性系統~自
・ 1 ~3 年で良好な景観造成
在来種(地域区分内)が
生種(国内)が主体の植物
が可能な植物群落を造成・
主体の植物群落を造成・
群落を造成・回復する。
回復する。
・当該地域の地域性系統の
・当該地域の地域性系統~
・在来種(国内)までの範囲
植物材料を用いることが
在来種(地域区分内)の
植物材料を用いることが
望ましいが,特別な制約
植物材料を用いることが
望ましいが,特別な制約が
がない場合は在来種(地
望ましいが,特別な制約が
ない場合は在来種(国外)
域区分内)の植物材料を
ない場合は在来種(国内)
移入種の植物材料を用い
用いてもよい。
の植物材料までの範囲で
てもよい。
の植物群落を造成・回復
する。
・ 自然回復に時間を要して
回復する。
も許容する。
・ 当該地域の地域性系統の植
物材料のみを用いる。
・ 採取地は,施工対象地の
町村レベルの自治体区分,
もしくは森林帯を同じくする
同一河川の流域区分内と
する。
・先駆樹種や短命な植物の
植物材料は在来種(国内)
導入植物
用いてもよい。
・場所により,在来種(国外),
の範囲までであれば用い
移入種(外来草本)を用い
てもよいが,環境保全水
準1 地域への逸脱の危険
てもよいが,環境保全
水準1 ~2 地域への逸脱の
性等がないことを確認す
危険性等がないことを
る。
確認する。
・ 種子・さし穂・苗木(山引き苗・育成苗)など,植物材料の採取地・生産地(育成地)が明確なものを用いる。
・ 植物材料の生産計画を立
案する。
・ 植物材料の生産が困難な
・河川やダム湖周辺等では,
・植物材料の入手計画を立
案する。
当該地域の地域性系統~
・植物材料の入手が困難な
在来種(国内)以外が
場合は植生誘導工や埋土
場合は植生誘導工や埋土
下流域へ逸脱しないよう
種子混在表土の利用を検
種子混在表土の利用を検
討する。
・ 使用材料については,周
・河川やダム湖周辺等では,
当該地域の地域性系
・ ある程度施工や管理のコ
ストがかかっても質を重
視する。
在来種(国内)以外が
下流域へ逸脱しないよう
留意する。
討する。
辺環境や生態系等に与え
施工方法 る影響を事前に評価・検
討する。
留意する。
・河川やダム湖周辺等では,
当該地域の地域性系統~
統~在来種(地域区分内)
以外が下流域へ逸脱しな
いよう留意する。
・使用材料については,周辺
や生態系等に与える影
響を考慮する。
・検査後も初期緑化目標を達成させるまで定期的にモニタリングを実施・記録する。
・施工後2 年間程度モニタリ
・モニタリングをもとに,評価・予測を行う。
ングを実施し,初期緑化目
植生管理 ・計画・予測にもとづき,誘導管理手法を検討し実施する。
・緑化目標と相違する植物群落に推移した場合は,早急に誘導管理手法を検討し実施する。
・上記の場合は,その後に行う周辺の緑化対策について再検討する。
- 45 -
標の達成状況を確認する。
4.2
初期緑化目標の設定
緑化目標には,最終緑化目標と初期緑化目標があります。斜面樹林化工法で成立させる対象
となるのは,施工対象地の気象条件,立地条件,周辺環境等の調査結果をもとに設定された初
期緑化日標群落で,最終緑化目標へ早期に導くことが可能な初期状態の植物群落を設定しま
す (図-4.2)。
初期緑化目標群落は,発注者の要望や施工対象地に求められる緑化の機能,効果等を十分
検討した上で決定します。初期緑化目標は,初期目標群落の主構成種,および,初期目標群落
の外観によるタイプの 2 点から設定します(表-4.3)。
図-4.2 植生遷移と緑化目標との関係(斜面緑化研究部会,2004)
表-4.3 自然回復のための初期緑化目標(案)(斜面線化研究部会,2004)
目標群落の主構成種
目標群落の外観によるタイプ
草本種
草原タイプ
先駆樹種
低木林タイプ
中高木林タイプ
遷移中後期種
低木林タイプ
初期緑化目標となる植物群落の主構成種は,次のように区分されます。
① 草本種 : 草本植物主体の群落 (斜面樹林化工法の対象外)
② 先駆樹種 : 先駆樹種主体の群落
③ 先駆樹種+遷移中後期種 : 先駆樹種とさらに後期に出現する樹種が混交した群落
- 46 -
初期緑化目標は,さらに目標群落の外観によるタイプに応じて次のような形態に細分されま
す。
① 草原タイプ:草原状の群落 (斜面樹林化工法の対象外)
② 低木林タイプ:法面で樹高 2~3 m 程度に成長する木本群落
③ 中高木林タイプ:法面で樹高 4~5 m 程度以上に成長する木本群落
なお,ここでいう遷移中後期種とは,先駆樹種以外の植物のことで,遷移中後期種~極相種の
植物の総称です。遷移中後期種は法面緑化で多用されてきた,ヤマハギ,コマツナギ,ヤシャブ
シなどの群落の次のステップに自然侵入する,主に重力・自動散布,動物散布の木本類が該当
します。
初期緑化目標に応じた切土計画がなされている場合は,法面全面を同一な初期緑化目標と
することができますが,急勾配で計画された切土法面に対し自然回復緑化を計画する場合に
は,法面勾配や部位により法面をゾーニングして,初期緑化目標を組み合わせることによって自
然回復を図ります。
例えば,地山が硬質なため急勾配となる法面下段部には 「草本類を主構成種とする草原タイ
プ」 を,風化が進み比較的軟質となる法面上部,および表土が形成されやすい法肩部には 「遷
移中後期種を主構成種とする中高木林タイプ」を,法面中央部には 「先駆樹種を主構成種とす
る低木林タイプ」を組み合わせてゾーニングすることにより,法尻より法面上部に向かうにつれて
樹高が連続的に変化して周辺植生である森林と連続性のある植物群落を形成することができま
す(図-4.3)。
図-4.3 緑化目標の外観によるタイプの組み合わせの例(斜面緑化研究部会,2004)
- 47 -
4.3
導入植物の選定
導入植物は,初期緑化目標の達成に重点をおいて選定します。植物を良好に生育させるため
には,地域の気象条件に適したものを使用することが前提となります。導入植物は,法面周辺の
森林や既施工法面に侵入して生育している植物や潜在自然植生の構成種の中から主構成種,
補全種,および必要に応じて草本種を選定します。
それぞれの役割は次のとおりです。
(1)主構成種
将来の群落の中心となる植物で,周辺の植生に近い性質を持ち,緑化目標である植物群
落の景観の主体となる植物です。施工地域の遷移中後期種~極相種や二次林の構成種が
使用されることが多く,通常 2~4 種類を選定します。
(2)補全種
草本類とともに土壌の理化学性を改善して肥沃化し,さらに地上部が生育することにより微
気象を緩和して主構成種の生育を助ける植物です。補全種には,先駆樹種が使用されること
が多く,通常 2~6 種類を選定します。
(3)草本種
初期段階の表土層を形成して生態系回復の起点をつくるものであり,初期の緑量の確保や
生育基盤の侵食防止効果等が期待できます。生態系に配慮して,草本種を使用する場合に
はノシバやススキを使用します。
斜面樹林化工法では,調査結果をもとに,施工地に適した主構成種と補全種を配合し,これに
必要に応じて草本種を加え,さらに種子の劣化を防止するための品質保持材を混合したレミディ
シーズ(フィットタイプ)を使用します。
また,使用頻度の高い木本類を用いて施工地の温量指数と立地条件などをもとに設計したレミ
ディシーズ(標準タイプ)を用意しており,この中から施工地に適したものを選定することもできま
す。
なお,使用植物に選定した主構成種のうち良質な種子の確保が難しい植物や播種工での導
入が難しい植物などを使用する場合は植栽工を併用します。植栽工に使用する木本類は,植栽
後の活着率や成長が良好となるように極力小さい苗木を使用します。
- 48 -
なお,斜面樹林化工法で使用するコマツナギは国内で採種した日本産コマツナギです。日本
産コマツナギと中国産コマツナギとは成長が大きく異なるので取り扱いには注意が必要です (図
-4.4)。
図-4.4 法面における日本産コマツナギと中国産コマツナギの生育比較(吉田)
レミディシーズ標準タイプの種類を表-4.4 に示します。また,レミディシーズを選定する上で参
考となる温量指数による日本地図区分を図-4.5 に示します。
レミディシーズ標準タイプで使用している植物は,種子の採取や貯蔵技術が確立して安定的
に入手できるもので,生育の特性が明らかで相応の施工実績があるものを主体にしています。レ
ミディシーズの選定は,緑化目標や導入が期待される植物との整合性を検討して行います。
レミディシーズの選定にあたっては,導入する植物が気候条件に合致していることが重要なの
で,施工地の温量指数の区分を図‐4.5 から求め,適用可能なタイプを選定します。また,施工地
に近い場所の気象データを入手して温量指数を算出し,使用するレミディシーズが表‐4.4 の温
量指数の範囲にあることを確認します。
なお,図‐4.5 で温量指数が 85~100 の地域は,数値だけからみれば,常緑広葉樹の生育が可
能な地域ですが,場所によっては冬の寒さが原因で常緑広葉樹が生育できないことがあります。
そのため,この地域区分で常緑広葉樹を選定する場合には,気象データから寒さの指数を算出
し,この値が-10 よりも高いことを確認する必要があります。寒さの指数が-10 以下の場合には
常緑広葉樹の適用は避ける必要があります。
レミディシーズ標準タイプで使用する,主な植物の性状を表‐4.5(1)~(2)に示します。また,
参考資料として,播種工による導入が期待できる木本植物リストを巻末に付しました。
レミディシーズの選定フローを図‐4.6 に示します。
- 49 -
【選定フロー使用上の注意点】
1) 温量指数が 45 以下及び 180 以上の地域はフィットタイプとする。
2) 「1:0.8 より急」とは勾配 1:0.8 を含まず,これより急である法面を指す。最大 1:0.5 まで
施工実績があるが,全面的な木本群落の形成は困難となる場合が多い。
3) 土壌硬度は,粘性土 23mm,砂質土 27mm の平均値をとって 25mm とした。
4) 亀裂間隔が 50cm 以上の場合は,法面の立地・気象条件を検討の上,適用の可否の
判定を行う。
5) 落葉型‐Ⅲの施工時期は,1 月~5 月までとし 6 月以後の施工は落葉型‐Ⅱとする。
6) 主構成種の選定フローであり,状況に応じて補全種を混合する。
注 1) 温量指数 : 植物の分布を表すために用いられる指数で,暖かさの指数ともいう。
1 年を通じて各月の平均気温のうち 5℃以上の値を取上げ,その各値から 5℃を
差引いて残った値の積算値をいう。
注 2) 寒さの指数 : 植物は,一定温度以下では生育できなくなるので,その限界を示
すためなどに用いられる指数。1 年を通じて月平均気温 5℃以下の各月の値から
5℃を差引いて残った値の積算値をいう。-10 以下では常緑樹の生育は困難で
ある。
- 50 -
表-4.4 レミディシーズの種類(標準タイプ)と導入可能地域の目安
目標
温量指数
(45以下は
フィットタイプ)
45~65
(北海道55)
65~85
地域特性
立地
落葉広葉樹
生育地域
落葉広葉樹
生育地域
勾配
地山の状態
標準
タイプ
1:0.6
より緩
-
寒 冷
落葉型
主構成種: オオヤマザクラ/エゴノキ/キハダ・
カエデ類・シラカンバ・ヌルデ
補 全 種 : コマツナギ
1:0.6
~0.8
-
落葉型
Ⅰ
主構成種: エゴノキ/キハダ ・ヌルデ・ノイバラ・
アキグミ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
落葉型
Ⅱ
主構成種: ヤマザクラ/エゴノキ/キハダ・カエデ類・
ヌルデ・アキグミ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
落葉型
Ⅲ
主構成種: エノキ・ケヤキ・カエデ類・ヌルデ・
エゴノキ/キハダ・アキグミ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
常 緑
内陸型
Ⅰ
主構成種: ネズミモチ・ノイバラ・ヌルデ・
アキグミ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
常 緑
内陸型
Ⅱ
主構成種: ヤブツバキ/ヤマモモ・ネズミモチ・ヌルデ・
ヤマザクラ/ムクノキ・アキグミ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
常 緑
内陸型
Ⅲ
主構成種: カシ類/ムクノキ・
ヤブツバキ/ヤマモモ・
ヤマザクラ/エゴノキ・
ネズミモチ・ヌルデ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
常 緑
沿岸型
Ⅰ
主構成種: シャリンバイ・ネズミモチ・ヌルデ・
アキグミ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
常 緑
沿岸型
Ⅱ
主構成種: シャリンバイ・ネズミモチ・センダン・
ヌルデ・アキグミ/クサギ
補 全 種 : コマツナギ
落
葉
樹
が
主
体
亀裂間隔が
20~50cm
亀裂間隔が
20cm未満
1:0.8
より緩
土壌硬度が
25mm未満
自
然
1:0.6
~0.8
環
重
視
常緑広葉樹
生育地域
(注1)
型
85~180
常
緑
樹
が
主
体
で
内
陸
部
亀裂間隔が
20cm未満
1:0.8
より緩
常緑広葉樹
生育地域
土壌硬度が
25mm以上
土壌硬度が
25mm未満
(180以上は
フィットタイプ)
常
緑
樹
が
主
体
で
沿
岸
部
-
亀裂間隔が
20~50cm
境
修
景
・
造
景
重
視
型
土壌硬度が
25mm以上
1:0.6
~0.8
-
亀裂間隔が
20~50cm
1:0.8
より緩
亀裂間隔が
20cm未満
土砂系
樹種名
65~85未満
-
寒
冷
地
-
-
花木型
Ⅰ
主構成種: ムクゲ・サルスベリ・エゴノキ・
ヤマザクラ/イボタノキ
補 全 種 : コマツナギ
85~180
-
温
暖
地
-
-
花木型
Ⅱ
主構成種: フヨウ・サルスベリ・ヤブツバキ・
フジウツギ/ウラジロフジウツギ
補 全 種 : コマツナギ
【寒さの指数】
【補足説明】
1年を通じて月平均気温5℃以下の各月の値から5℃を差引いて残った値を加算したものである。
暖地性植物の分布の限界を示す場合に用いられる。
周辺植生が落葉広葉樹主体の場合や寒さの指数が-10℃以下の場合は,落葉型Ⅰ~Ⅲから選定する。
施工地の周辺植生等に応じて使用植物を個別選定する場合は「フィットタイプ」を選定する。
草本種は,環境保全水準や現場の要望に応じて別途配合する(草本種を使用しない場合もある)。
樹種名欄の「/」は,「または」を示す。
- 51 -
図-4.5 温量指数による日本地図区分(林,1990:一部修正)
- 52 -
- 53 -
落葉型-Ⅰ
No
落葉型-Ⅱ
( 注釈はp.50「選定フロー使用上の注意点」を参照 )
落葉型-Ⅲ5)
No
除いたり追加したい
植物があるか
Yes
No
Yes
常緑内陸型-Ⅲ
Yes
常緑樹・沿岸型
100~180
No
播種工での
導入が可能か
常緑沿岸型-Ⅰ
土壌硬度3)
25mm以上 25mm未満
土砂系
海岸地域か
導入植物の選定
常緑内陸型-Ⅱ
No
寒さの指数注2)
は10以下か
常緑広葉樹生育地域
地質区分
No
岩質系
亀裂間隔4)
20~50cm 20cm未満
勾配は
1:0.8より急2)
常緑内陸型-Ⅰ
Yes
Yes
常緑樹・内陸型
85~100
常緑広葉樹主体
周辺の植生
落葉広葉樹主体
土壌硬度3)
25mm以上 25mm未満
地質区分
岩質系 土砂系
亀裂間隔4)
20~50cm 20cm未満
勾配は
1:0.8より急2)
図-4.6 レミディシーズの選定フロー
寒冷落葉型
Yes
落葉型
落葉広葉樹生育地域
落葉広葉樹生育地域
寒冷落葉型
65~85
45(北海道は55)~65
修景・造景重視型
温量指数1)、注1)
自然環境重視型
緑化目標
S T A R T
Yes
花木型-Ⅱ
花木・温暖地型
No
Yes
RS標準タイプ
RSフィットまたは標準+苗木設置吹付工
RSフィットタイプ
花木型-Ⅰ
土砂系
地質区分
岩質系
常緑沿岸型-Ⅱ
寒さの指数注2)
は10以下か
温量指数
85以上
花木・寒冷地型
No
亀裂間隔4)
20~50cm 20cm未満
勾配は
1:0.8より急2)
Yes
No
表-4.5(1) レミディシーズ標準タイプで使用する主な植物の性状
植 物 名
樹高・草丈
(cm)
出芽
可能
覆土厚
(cm)
導入可能地域
(温量指数)
ネズミモチ
200~
400
1.0~
2.0
暖温帯~亜熱帯
(85~200)
ヤブツバキ
200~
400
2.0~
3.0
暖温帯~亜熱帯
(85~200)
シャリンバイ
150~
250
2.0~
3.0
暖温帯~亜熱帯
(85~200)
アラカシ
200~
500
2.0~
3.0
暖温帯
(85~180)
シラカシ
200~
500
2.0~
3.0
冷温帯~暖温帯
(65~180)
常緑広葉
○
◎
○
イボタノキ
200~
300
1.0~
2.0
冷温帯~暖温帯
(65~180)
半落葉広葉
○
△
◎
コナラ
200~
500
3.0~
4.0
冷温帯~暖温帯
(65~180)
ミズナラ
200~
500
3.0~
4.0
亜寒帯~冷温帯
(45~85)
落葉広葉
○
○
○
センダン
300~
500
2.0~
3.0
暖温帯~亜熱帯
(85~200)
落葉広葉
先駆植物
△
×
ヌルデ
300~
500
1.0~2.0
冷温帯~亜熱帯
(55~200)
落葉広葉
先駆植物
○
×
アキグミ
200~
400
1.0~
2.0
冷温帯~暖温帯
(55~180)
落葉広葉
先駆植物
形態等
常緑広葉
常緑広葉
常緑広葉
常緑広葉
落葉広葉
耐
酸
性
耐
陰
性
600
0.50
(55~85)
先駆植物
- 54 -
耐
潮
性
耐
煙
性
耐
瘠
地
性
特 長
○
◎
△
◎
◎
暖地の山林に自生する。耐
陰性に優れ潮風にも耐え
○
る。果実は鳥類が好んで食
する。
○
◎
○
◎
○
△
◎
本州中部以西の海岸地域
に自生する。土地を選ば
○
ず、アルカリ土、潮風に耐え
る。成長はやや遅い。
◎
南東北以南の山地に自生
する。乾燥にも耐え、土壌の
△
浅い岩礫地でも生育する。
堅果は鳥獣が食する。
△
○
南東北以南の山地に自生
する。萌芽力が強く刈り込み
△
に耐える。堅果は鳥獣が食
する。
◎
◎
◎
△
北海道南部以南の山地に
自生する。ミズナラより低標
○
高域に分布する。堅果は鳥
獣が食する。
△
○
本州以北の山地に自生す
る。ブナより陽性で、しばし
○
ば混生する。堅果は鳥獣が
食する。
△
○
○
○
◎
○
○
全国の山野に自生する。既
○ 施工の法面や荒廃裸地にい
ち早く侵入する。
○
全国の各地に自生する。乾
燥に強く砂地でも生育する。
◎
非マメ科の肥料木。果実は
10月頃熟し鳥類が食する。
△
冷温帯のブナ林、ミズナラ
林帯でよく生育する。瘠地、
○
乾燥地でもよく生育する。幹
肌は白く美しい。
○
○
○
△
△
◎
△
△
表-4.5(2) 300~
レミディシーズ標準タイプで使用する植物の性状
冷温帯
落葉広葉
シラカンバ
耐
乾
性
○
×
○
○
◎
◎
△
◎
○
△
◎
×
暖地の林内、海岸に自生す
る。強風の海岸地域ではし
ばしば純林となる。花の蜜に
小鳥が集まる。
全国の丘陵地の林内に自生
する。土を選ばず乾燥、過
湿にも耐える。成長は早く潮
風、大気汚染にも耐える。
暖地の山地に自生する。陽
樹で成長は早い。土地を選
ばないので荒廃地の緑化に
用いられる。
表-4.5(2) レミディシーズ標準タイプで使用する主な植物の性状
植 物 名
ヤマザクラ
出芽
樹高・草丈 可能
(cm)
覆土厚
(cm)
300~
500
1.0~
2.0
形態等
耐
酸
性
耐
陰
性
耐
乾
性
耐
潮
性
耐
煙
性
耐
瘠
地
性
冷温帯~
暖温帯
(65~180)
落葉広葉
△
△
○
○
○
△ み、過湿を嫌う。4月頃紅白色の
導入可能地域
(温量指数)
特 長
全国各地に生育する。適湿かや
や乾燥した肥沃な深い土壌を好
花が美しい。
オオヤマザクラ
300~
500
1.0~
2.0
亜寒帯~
冷温帯
(45~85)
落葉広葉
△
△
○
○
○
△ 自生する。適湿かやや乾燥した
ノイバラ
150~
200
1.0~
2.0
冷温帯~
亜熱帯
(85~200)
落葉広葉
先駆植物
○
△
○
△
△
○ 頃白色の花が美しく、果実は鳥
フヨウ
200~
300
0.5~
2.0
暖温帯~
亜熱帯
(85~240)
落葉広葉
○
サルスベリ
200~
400
0.5~
2.0
冷温帯~
暖温帯
(65~180)
落葉広葉
△
×
○
ムクゲ
200~
400
0.5~
2.0
冷温帯~
暖温帯
(65~180)
落葉広葉
○
△
△
200~
400
1.0~
2.0
暖温帯
(85~180)
落葉広葉
ヤマモミジ
200~
400
1.0~
2.0
冷温帯~
暖温帯
(65~180)
落葉広葉
○
○
△
×
×
近畿以北の主として日本海側に
自生する。陽樹であるが比較的
△
耐陰性は高い。適湿の肥沃地を
好む。秋の紅葉が美しい。
オオモミジ
200~
400
1.0~
2.0
冷温帯~
暖温帯
(65~180)
落葉広葉
○
○
△
×
×
△ 生する。適湿の肥沃地を好む。
ヤマハギ
150~
250
1.0~
2.0
亜寒帯~
暖温帯
(45~180)
在来低木
肥料木
コマツナギ
(日本産)
100~
150
1.0~
2.0
冷温帯~
暖温帯
(65~180)
在来低木
肥料木
○
△
○
ノシバ
10~
30
0.5~
1.0
冷温帯~
亜熱帯
(65~200)
在来草本
○
△
○
100~
200
0.5~
1.0
亜寒帯~
暖温帯
(45~180)
イロハモミジ
ススキ
北海道、本州中部以北の山地に
土壌を好む。5月頃花が美しい。
全国の河原などに自生す。7月
類が食する。
×
△
○
中国原産の低木で、日本南部の
暖地の海岸近くでは野生化して
いる。庭園樹として用いられ、夏
期の花が美しい。
○
△
○
△
中国原産の高木で、肥沃な乾燥
地を好む。庭園樹などとして用い
△
られ、花期が長く、漢名は百日
紅という。
○
○
△ 地を好む。庭園樹として用いら
中国原産の低木で、適潤の好陽
れ、夏期に咲く花が美しい。
福島県以南の山地の沢部に自
○
○
△
×
×
△ 生する。適湿の肥沃地を好む。
秋の紅葉が美しい。
北海道、本州の山地の谷間に自
秋の紅葉が美しい。
○
△
◎
△
全国の山野に自生する低木。瘠
地、乾燥地、硬質土壌地でもよく
生育し主構成種の成長を助け
る。
△
◎
○
△
本州以南の山野に広く自生する
低木。瘠地、乾燥地、硬質土壌
◎
地でもよく生育し主構成種の成
長を助ける。
○
○
○ 乾燥に強く、道路法面、山腹緑
全国で広く使われている芝草。
化工など広く用いられている。
在来草本
○
○
◎
○
○
山野に普通に生育する多年草。
耐酸性、耐乾性、耐瘠地性を好
◎ み、古くから治山緑化に使用さ
れている。種子の発芽にバラツ
キが多い。
注)サルスベリとムクゲは外来種であり,環境保全水準 4 の地域で造園的な景観形成を行う場合に用いられます。
- 55 -
4.4
吹付厚さの設定
斜面樹林化工法の施工対象となる硬質土や岩盤・崖錐等からなる法面は,土壌化が未熟である
ことから,植物の発芽・生育床となる生育基盤を造成する必要があります。一般的に植物は生育基
盤が厚いほど早く,大きく成長することができます。生育基盤の厚さが不十分であると成長が遅くな
るだけでなく,旱魃等の異常気象の影響を受けやすくなり,結果的に維持管理の手間が必要となっ
たり植物が枯死するなど,法面防災上の問題につながることもあります。
斜面樹林化工法は,まず補全種を良好に生育させた上で主構成種の発達を期待するので,吹付
厚さの設定にあたっては,主構成種と補全種が順調に発芽・生育することができる最小限の吹付厚
さを設定します。
植物の成長は生育基盤の容量に大きく影響されますが,その限界値は植物の種類によって異な
ります。たとえば,植生遷移中後期種は生育基盤の容量が小さいと成長が緩慢となり大きくならない
のに対し,先駆植物や肥料木は生育基盤の容量が小さくても極相の構成種に比べて大きく成長し
ます。
参考として,生育基盤の容量を変えて,樹木を播種(実生)により生育させ,灌水・施肥等の充分
な管理を行い,それぞれの限界樹高を測定した結果を図-4.7 に示します。
図-4.7 生育基盤の容量と限界樹高との関係(山寺,1990)
これによると,同じ生育基盤の容量であってもマテバシイ,スギ等の遷移中後期種は,ヤシャブ
シ,ヤマハンノキ等の先駆樹種に比べて限界樹高が低くなることがわかります。これは,遷移中後期
種は先駆樹種よりも厚い生育基盤を要求することを示しており,こうした植物を導入する場合には,
吹付厚さを厚くした方が良好に生育することを示しています。
斜面樹林化工法は,先駆樹種が持つ環境改善力を活用することにより,遷移中後期種の生育環
- 56 -
境を整える工法であることから,先駆樹種が良好に生育できる吹付厚さを設定すれば遷移の進行が
期待できます。しかし,主構成種として使用する植物は遷移中後期種であることが多く,これらの植
物を良好に成長させて優占種となるまでの時間を短縮するためには,これよりも厚い生育基盤を造
成する必要があります。
吹付厚さの設定にあたっては,以上を参考に,①地山の状態 (図-4.8),②法面勾配 (図-4.9),
③年降水量(図-4.10),④導入植物の性質を考慮して総合的に検討します。
草本類を主体とする緑化は,図-4.8~図-4.10 の中央値ないし最小値が採用されるケースが多い
ですが,斜面樹林化工法の主構成種の多くは厚い生育基盤を要求する植物なので,主構成種の
優占する植物群落の実現を早めるためには,中央値から最大値を選定する必要があります。
S TA R T
※1
勾配は1:0.6より急
勾配の修正
Yes
または、緑化
基礎工の検討
No
地質区分
土砂系
※2
岩質系
※3
No
土壌硬度
亀裂間隔が50cm以上
Yes
25mm以上
25mm未満
亀裂間隔
20cm未満
※4
20~50cm
※4
※4
斜面樹林化工法
斜面樹林化工法
斜面樹林化工法
t = 3cm
t = 3,5cm
t = 5,7cm
法面立地・気象条件
を検討の上,適用の
可否を判定する
図-4.8 地山の状態による吹付厚さの選定フロー
※1 「1:0.6 より急」とは勾配 1:0.6 を含まず,これより急である法面・斜面を指す。
※2 土壌硬度は,粘性土 23mm,砂質土 27mm の平均値をとり 25mm とした。
※3 亀裂間隔が 50cm 以上の場合は,法面の立地・気象条件を検討のうえ,適用の可否を判定する。
※4 吹付厚さは,法面勾配と年降水量,使用植物を考慮して設定する。主構成種として先駆植物以外の植
物を主体に使用する場合は,吹付厚さが厚いほど成長は良好となる。
- 57 -
図-4.9 勾配と平均吹付厚さの目安(参考)(日本法面緑化技術協会編,2005)
図-4.10 年降水量と平均吹付厚さの目安(参考)(日本法面緑化技術協会編,2005)
- 58 -
4.5
施工時期の設定
施工時期は,目標とする植物群落造成の成否を左右する重要な要素であることから,施工は使
用する植物の発芽・生育に適した時期に行います。施工適期は春期であり,秋期や積雪のない冬
期の一部も施工可能ですが,気象条件により確実性が左右されるため,できるだけ適期施工を心が
けます。
植物が発芽・生育するためには,適度な水分と温度が必要です。好ましい温度条件は植物の種
類によって異なりますが,施工時期を設定する場合は月平均温度が 10℃以上であることが目安とな
ります。また,夏の高温乾燥期や冬の低温期等の生育不適期を迎えるまでに必要な生育期間は 2
~3 ヵ月です。施工時期はこれらのことを踏まえて,施工地周辺の気象データ等を参考に,温度,水
分条件を確認のうえ設定します。
地域別にみた施工時期の目安を図-4.11 に示します。
地域 月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
北海道(札幌)
東 北(盛岡)
関 東(前橋)
中 国(広島)
九 州(熊本)
沖 縄(那覇)
施工適期
リスクを伴う施工可能期
図-4.11 地域別施工時期の目安
- 59 -
10
11
12
4.6
播種量の設定
播種量は,発生期待本数を基準として次式(日本道路協会,1999)により算出します。なお,緑化
工の設計時と施工時において,各補正値に大きな変更がある場合は,施工前に播種量の確認をす
る必要があります。
W=
A
B×C×D×E×F×G
W : 導入種ごとの播種量(g/m2)
A : 発生期待本数(本/m2)
B : 吹付厚に対する出芽可能覆土厚による補正値
C : 立地条件に対する各工法の補正値
D : 施工時期の補正値
E : 使用種子の発芽率,または早期発芽力検定値による補正値
F : 使用種子の単位粒数(粒/g)
G : 使用種子の純度による補正値
- 60 -
1 ) 発生期待本数
発生期待本数とは,目標群落を成立させるのに必要と思われる発生本数で,播種後 1 年位の間
に発生する個体の総数をいいます。被圧などにより途中で枯損する数も含む値です。発生期待本
数は,施工事例などを参考に設定します。
なお,発芽後の密度変化は植生遷移中後期種と先駆樹種とでは大きく違うことが知られており,こ
の特性(密度減少曲線)を利用して発生期待本数を設定する設計法が提案されています。この推定
方法の概念は図-4.12 のとおりで,次の手順で行ないます。
G :
Drn :
Dn :
Dep :
(Gd ):
(Dop) :
Kp :
発生期待本数(本/m2)
施工 n 年後の密度相対値(% )
施工 n 年後に期待する密度(本/m2 )
ピーク時密度の推定値(本/m2 )
施工事例の設計時の発生期待本数(本/m2 )
施工事例の追跡調査から得られたピーク時密度(本/m2 )
実務的補正係数
図-4.12 発生期待本数の推定方法の概念図(吉田ら,2007)
- 61 -
(1) ステップ1
使用植物が該当する密度減少曲線(図-4.13) を用いて,初期緑化目標の達成までに要する
経過年数 n を説明変数 x に代入し,「施工 n 年後の密度相対値(Drn)」 を求めます。
密度相対値(理論値)
100
80
60
40
(Ⅰ)
20
(Ⅱ)
(Ⅲ)
0
0
5
10
15
経過年数(year)
区分(Ⅰ):重力散布型の大型少産種子の遷移中後期種
Drn = 64.79 x -0.27
Drn = 60.23 x -0.53
区分(Ⅱ):区分(Ⅰ)以外の遷移中後期種
区分(Ⅲ):乾性一次遷移系列上の先駆樹種
Drn = 33.83 x -0.89
図-4.13 密度減少曲線(ピーク時密度を 100 とした相対値の変化)(吉田ら,2007)
(2) ステップ2
得られた「施工 n 年後の密度相対値(Drn)」をもとに,「初期緑化目標達成時(n 年後)に期待
する使用植物の密度 Dn(本/m2)」を満足する「ピーク時密度の推定値 Dep(本/m2)」を求めます。
Dep =
Dn
Drn / 100
(3) ステップ3
実際に発芽直後の枯れてしまうような個体を考慮するため,ピーク時密度(Dop)と発生期待
本数(Gd)の比で表される「実務的補正係数(Kp)」(表-4.6)を用いてピーク時密度の推定値
(Dep)を補正して発生期待本数の推定値(G)を求めます。
G =
Dep
Kp
- 62 -
表-4.6 実務的補正係数(Kp)(吉田ら,2007)
区分
実務的補正係数( Kp )
種名
トウネズミモチ
ヤブツバキ
アベマキ
シラカシ
ヤマブキ
ヤマモモ
イボタノキ
シャリンバイ
チャノキ
アラカシ
サルスベリ
ヤマモミジ
* ノイバラ
* コマツナギ(中国産)
ネグンドカエデ
イロハモミジ
* ヤマハギ
ムクゲ
サザンカ
* フヨウ
* ヤマザクラ
* ヌルデ
ガマズミ
* ヤマハンノキ
* ヤマハゼ
* ヤシャブシ
* コマツナギ(日本産)
* センダン
(Ⅰ)
(Ⅱ)
(Ⅲ)
0.26 ± 0.19
0.47 ± 0.49
0.25
0.44 ± 0.79
0.19
0.25
0.70
0.84
0.48
0.15
0.01
0.33
0.14
± 0.22
± 0.49
± 0.05
± 0.29
0.15 ± 0.08
0.43
0.16 ± 0.03
0.09 ± 0.00
0.37 ± 0.61
025 ± 0.17
0.50 ± 0.16
0.43 ± 0.38
0.07 ± 0.06
0.02
0.01
0.16 ± 0.09
0.02
0.26 ± 0.10
0.62 ± 0.05
* 印は法面等の無土壌地に成立しやすい乾性一次遷移系列上の先駆樹種
2 ) 吹付厚さに対する出芽可能覆土厚による補正値
植物の発芽・成立は,植生基材吹付工の基材の質の違いによって大きく異なります。また,吹付
厚さによっても発芽・成立は大きく左右されます。斜面樹林化工法では,植物の出芽可能覆土厚を
基に補正値を設定します。吹付厚さに対する出芽可能覆土厚による補正値を表-4.7 に示します。
表-4.7 吹付厚さに対する出芽可能覆土厚による補正値
出芽可能
覆土厚
0.5 cm
1.0 cm
2.0 cm
3.0 cm
3 cm
0.17
0.33
0.67
1.00
生育基盤の吹付厚さ
5 cm
7 cm
0.07
0.10
0.14
0.20
0.29
0.40
0.60
0.43
- 63 -
10 cm
0.05
0.10
0.20
0.30
3 ) 立地条件に対する各工法の補正値
法面の土質,傾斜,方位などの条件の違いにより,発芽,発生本数は影響を受けます。参考とし
て,補正値の目安を表-4.8 に示します。
表-4.8 立地条件補正の目安(参考)(日本道路協会,1999)
項目
法面勾配
土質
法面方位
降水量
立地条件
≧50 °
<50 °
補正値
硬岩
その他
南向き
その他
<1,000
≧1,000
0.9
1.0
0.9
1.0
0.8
1.0
0.7
1.0
4 ) 施工時期の補正値
不適期の施工は避けるべきですが,やむを得ず不適期に施工する場合は施工時期の補正を行
ないます。参考として,補正値の目安を表-4.9 に示します。
表-4.9 施工時期の補正の目安(参考)(農業土木事業・協会,1990)
施工時期
3 ~ 6月
7 ~ 8月
9月
10 ~ 11月
12 ~ 2月
草本植物
1.0
0.8
1.0
0.7
0.9
木本植物
1.0
0.7
0.5
0.5
0.8
5 ) 使用種子の発芽率,または早期発芽力検定値による補正値
木本植物種子の発芽率は,採種年による変動が大きく,貯蔵状態によっても発芽率は大きく変わ
ります。そのため,設計においてはあらかじめ早期発芽力検定法で調査した検定値を用います。補
正値は 90%の発芽率の場合 0.9 とします。
- 64 -
6 ) 使用種子の単位粒数
発芽率と同様に,単位粒数も採種年による変動が大きいため,設計においてはあらかじめ検定し
た単位粒数を用います。なお,斜面樹林化工法では山取採取した種子を使用するため,種類によ
っては夾雑物が混ざった状態での単位粒数を用います。
7 ) 使用種子の純度による補正値
斜面樹林化工法では,山野から採取した在来木本種子を使用する関係で,純度は単位粒数に
加味されていることから 1.0 として算出します。なお,純度が明らかな種子を用いる場合はその値を
使用します。補正値は,95%の純度の場合 0.95 とします。
- 65 -
5. 標準仕様
5.1
吹付方法
1) 生育基盤の吹付厚さが 3 cm の場合は,従来工法の「1 層吹付」を標準とします。
2) 生育基盤の吹付厚が 4 cm 以上の場合は,「2 層吹付システム」を標準とします。
3) 非面的吹付緑化工を適用する場合は,「6.エコストライプ仕様」を参照願います。
5.2
使用材料
1) 共通資材
(1) 種子
種子は,種子品質証明書により品質が保証され,工場内で品質保持資材と合わせて配合調
整し,製造,袋詰めした「レミディシーズ」を使用します。レミディシーズは,1 層吹付の場合は 1 バ
ッチ/袋仕様,2 層吹付システムの場合は 10 バッチ/袋仕様のものを使用します。
(2) 生育基盤材
生育基盤材は,有機質資材を主材料としたもので,工場内で品質管理の上,製造・袋詰めし
た「レミマテリアル」を使用します。
(3) 侵食防止材
侵食防止材は,強い耐侵食性を有し,植物の発芽・生育に悪影響を与えない「レミコントロ
ール」を使用します。
(4) 緩効性肥料
肥料は,緩効性肥料を使用します。窒素,燐酸,加里(マグネシウム) の成分比が 6:36:6(16)
の「グリーンマップ G(MS サイズ)」を標準とします。また,設計に応じて異なる成分比の製品(ハイ
コントロール 085,N:P:K=10:18:15 など)を使用する場合もあります。
(5) 短繊維材
緑化基礎工の金網張工(ラス張工) を省略した施工方法を適用する場合には,基盤の連続
性を高めて耐久性を向上させるために短繊維材を配合します。短繊維材は,天然繊維の「レミフ
ァイバー」8 kg/m3(80L/ m3),または化学繊維の「ビニファイバー」 2 kg/m3 を使用します。
(6) 酸性矯正材
土壌酸度が pH 4.0 以下の場合には,植物に悪影響を与える酸性土壌を矯正する必要がある
ことから,酸性矯正材「シェルレミディ」 を混合します。なお,地山から滲出水がない場合はシェ
- 66 -
ルレミディを生育基盤に配合し,地山から滲出水がある場合にはシェルレミディを用いた酸性矯
正層 (3~5 cm 厚)を造成した上で斜面樹林化工法を施工します。シェルレミディの配合量は,
pH 3~4 は 10 kg/m3,pH 2~3 は 20 kg/m3,pH 2 以下は 30 kg/m3 を標準とします。
(7) 用水
水は,酸,アルカリ,塩分,油等の植物の生育に障害となる成分を有害量含まないものを使用
します。
(8) 金網
金網は,亜鉛メッキの菱形金網で,φ2.0 mm,網目 50×50 mm を標準とします。また,樹木の
根幹への金網の食い込みを防止したい場合にはφ2.0 mm,網目 75×75 mm の生分解性樹脂
被覆金網「ナチュラス」を使用します。
(9) アンカーピン
アンカーピンは,金網の種類を問わずφ16 mm,L=400 mm を 0.3 本/m2,補助アンカーピンは
φ9 mm,L=200 mm を 1.5 本/m2 使用を標準とします。
2) 2層吹付システム(種子供給機に投入する材料)
(1) 種子
共通の項で解説したレミディシーズ(10 バッチ/袋仕様) を使用します。
(2)種子保護材
種子供給機内における種子の攪拌効率の向上,および攪拌中の種子の保護を図るため,種
子保護材として「レミマテリアル」と「ゼオライト(またはイズカライト)」を使用します。
(3) 識別材
吹付施工時に,ノズルマンが 1 層目と 2 層目の材料の切り替わりを容易に確認できるとともに,
1 層日と 2 層目の基盤の接着を向上させるために,生分解する「再生セルロース繊維」を使用しま
す。
(4) 配合水
配合水は,酸,アルカリ,塩分,油等の植物の発芽生育に障害となる成分を有害量含まないも
のを使用します。
- 67 -
(5)2 層用検測ピン
ノズルマンが吹き付け作業時に 1 層目と 2 層目の基盤の吹付厚さを確認するために,「2 層用
検測ピン」を使用します。
5.3
施工手順
1) 共通手順
① 法面・斜面の浮き石,浮き土砂,ごみ等を除去する法面清掃工を行い,地山と生育基盤の
付着を良好にします。地山に植物が生えている場合は,生育基盤の付着に支障がない範
囲で刈り払いを行ないます。
② 湧水がある場合は,水抜きパイプや地下排水工を施工して法面・斜面外に排水します。
③ 金網張工は,法面・斜面の凹凸に合わせてなじみよく張り,金網は 10cm 以上重ね合わせま
す。
④ アンカーピンの使用本数は 30 本/100m2(0.3 本/m2),補助アンカーピンは,150 本/100m2
(1.5 本/m2)を標準とします。
⑤ 材料の配合や計量方法は,事前に監督員の承認を得ます。
⑥ 材料は,ミキサ内で充分に攪拌し,混合したものを吹付機に投入します。吹き付けは,エア
ー圧送して所定の厚さになるようにします。
2) 2層吹付システム
① 1 層目と 2 層目の剥離防止のため,ノズルマンが一定位置で稼動可能な範囲内において 1
層目を吹付けた後,ノズルマンが種子供給スイッチにより種子供給機を運転して連続的に 2
層目を吹付けます。
② 2 層吹付システムの標準的な施工手順は図-5.1 のとおりです。施工方法の詳細については
『斜面樹林化工法 2 層吹付システム施工マニュアル』 を参照します。
- 68 -
START
始業前点検
① 種子供給機のロードセルをリセットする。
② 種子保護材,識別材,種子の順序で種子供給用ミキサ
に投入してミキシングする。
③ ミキシングされた材料を種子供給機に投入し,所定量
の配合水を入れてミキシングする。
④ 吹付機からエアのみを送り,ノズルマンが種子供給ス
種子供給機に
材料投入
1層目吹付
イッチを入れて種子供給機を運転し,ノズルから種子
保護材が吐出するのを確認した上でスイッチを切る
(初回のみ)。
※ 施工時には種子供給機内の材料の残量を常時確認し、
材料を切らさぬように、 タイムリーに材料投入を行う。
・ 1層目の吹き付けを行なう1リフトの吹付範囲は親綱
の1振りの範囲とし、概ね7.5mx1.0m程度とする。
繰返しの
連続作業
2層目吹付
種子供給機運転
・ 所定の1層目が吹付完了したらノズルマン自らスイッチ
を入れ、2層目の識別材の吐出を確認した後、1層目の
上に2層目を吹き付ける。
・ ノズルマンは、 種子供給機運転時にはパトライトが点灯
するので必ず確認する。
END
図-5.1 施工手順のフロー
- 69 -
5.4
標準配合
1) 共通配合
1 m3 当りの材料の標準配合を表-5.1 に示します。
種子は,1 層吹付の場合のみ生育基盤材等と一緒に混合します。
表-5.1 標準配合表
材 料
品 名
生育基盤材
レミマテリアル
2,000 L
緩効性肥料
グリーンマップG
(MSサイズ)
4 kg
侵食防止材
レミコントロール
60 kg
配合調整種子
レミディシーズ
(1バッチ仕様)
10 袋
配合水
用水
適量
(1m3 当り)
数 量
備 考
吹付により1/2に圧密される
N : P : K = 6 : 36 : 6
品質保持材入り計量袋詰品
(1層吹付の場合のみ配合する)
基材を強く握って水が滲む程度
2) 2層吹付システム
2 層吹付システムでは,種子の攪拌効率の向上と攪拌中の種子の保護を図るため,表-5.2 に示し
た材料を使用します。1 回に配合する材料の総重量は,現場における種子供給量の設定を簡素化
するため 40~50 kg を標準とします。
表-5.2 種子と種子保護材の標準配合表(吹付材料 10 バッチ当り)
2
材 料
規 格
種子保護材
レミマテリアル
1袋
(12~18 kg/袋)
種子保護材
ゼオライト(0.8~1.9 mm)
1袋
(20 kg/袋)
識 別 材
再生セルロース繊維(RI7×15 mm)
1 kg
1 kg
配 合 水
用 水
6~12 L
6~12 kg
配合調整種子
レミデイシーズ(10バッチ仕様)
1袋
現場配合(50 m 相当)
(3~7 kg/袋)
40~50 kg
総重量(標準)
※総重量は,種子保護材や配合調整種子の重量等により変動する場合があるので,配合水の現場配合量
の範囲内において 40 kg,45 kg,50 kg のいずれかに調整して設定する。
- 70 -
5.5
機械設備
1) 共通設備
共通する機械設備を表-5.3 に示します。
表-5.3 機械設備(共通)
規 格
機械名
備 考
台数
3
空気圧縮機
モルタル吹付機
揚水ポンプ
ベルトコンベヤ
発動発電機
ミ キ サ
電動ハンマードリル
可搬式10.5~19.0 m /min,78~140 kW
(2層吹付システムの場合には140 kW(190PS))
1
湿式0.8~1.2m /h,18kW
3
1
口径50 mm,揚程10 m,1.5 kW
1
7 m,1.1 kW
2
10 kVA,13 kw
ミキサ内蔵
金網張工用
1
45 kVA,42 kw
3
吹付用
0.2 m ,7.5 kW
1
シャフトレス
φ38 mm
1
金網張工用
2) 2層吹付システム
共通設備に増設する機械設備を表-5.4 に示します。
なお,2 層吹付システムを適用する場合は,共通設備である空気圧縮機の規格は 17.0m3/min と
します。
表-5.4 機械設備(2 層吹付システム)
機械名
規 格
台数
備 考
種子供給機
3.7 kW
1
水量計一体型
種子供給用ミキサ
1.0 kW
1
種子・保護材攪拌用
ベルトコンベヤ
5 m,1.1 kW
1
- 71 -
6. エコストライプ仕様
エコストライプ仕様の自然侵入領域(裸地部)に,早期に周辺に生育する植物を自然侵入させて
自然回復を促すには,緑化領域(吹付部)にできるだけ多様性の高い木本植物群落を形成する必
要があります。こうした自然回復緑化を行なうことにより,法面植生を短期間で鳥類等の生棲空間
(ハビタット)として機能させることができ,鳥類をはじめとする小動物により散布される種子を自然侵
入領域が効率的に捕捉することができます。
そのためには,緑化領域に木本群落を形成し,自然侵入領域に表層土砂が移動しない安定した
種子の定着環境と,定着した種子が発芽・生育できる光環境と水分・養分環境を整える必要がありま
す。エコストライプ仕様は,緑化領域と自然侵入領域が帯状(横縞状)になる形状を基本形とすること
により,これらの課題をクリアしました。
6.1
吹付幅と吹付間隔
エコストライプ仕様は,緑化領域の吹付幅を 1 m,自然侵入領域となる裸地幅を 1 m とし,帯状に
生育基盤を造成するタイプを標準仕様とします(図-6.1)。
1m
1m
吹付部
裸地部
図-6.1 エコストライプの標準仕様
- 72 -
6.2 吹付断面とES率
エコストライプ吹付工は,吹き付けた生育基盤の端部がテーパー状になることから,エコストライプ
仕様では,横断面において緑化領域となる吹付部の幅を S,自然侵入領域となる裸地部の幅を N,
吹付断面の下底 S1,上底 S2(=S1-2t),高さ(吹付厚)t の二等辺台形として考えます(図-6.2)。
S2
N2
S2
t
S1
N1
S1
図-6.2 エコストライプ仕様の吹付断面
エコストライプ仕様は,生育基盤の吹付を非面的に行うことから,生育基盤を造成する必要がある
面積(吹付面積)は従来の全面緑化と比較して減少します。この吹付削減比率を示したものが ES 率
(E:eco-stripe rate)です。ES 率は,従来の全面緑化を行った場合の吹付面積に対するエコストライ
プ仕様の吹付面積を比で表したもので,次式のように表されます。
E = SS/SA
ここに,SS:吹付面積(m2)
SA:全施工面積(m2)
吹付面積は,生育基盤の造成に必要な植生基材(生育基盤材,侵食防止材,肥料,種子など)
の経費と比例するので,「ES 率=植生基材の経費節減率」と考えることができます。
ES 率は,吹付幅(緑化領域の幅)を S,裸地幅(自然侵入領域の幅)を N と考えて,裸地幅 N と吹
付幅 S を一辺とする等形枠内の吹付部の割合を考えます(図-6.3)。
等形枠内の面積 SA は,縦横が(S+N)の正方形となることから次式で表されます。
SA = (N+S) 2
次に,等形枠内の吹付部の面積 SS は,縦が S,横が(S+N)の長方形となることから次式で表さ
れます。
SS = S (N+S)
したがって,ES 率 E は次式で表されます。
E = SS/SA
= S/(N+S)
- 73 -
以上をとりまとめ,1 m 間隔と参考までに 2 m 間隔の ES 率を表-6.1 に示します。各仕様の ES
率は,吹付厚 3,5,7,10cm の平均値を小数点第二位で四捨五入した値とします。
吹付幅:S
裸地幅:N
図-6.3 エコストライプ仕様の標準形状
表-6.1 エコストライプ仕様の断面と ES 率
吹付厚
仕様
S-12
自然侵入領域(裸地部)の幅
(N )
ES率
下底
上底
下底
上底
S 1 (m)
S 2 (m)
N 1 (m)
N 2 (m)
3
1.00
0.94
1.00
1.06
0.485
5
1.00
0.90
1.00
1.10
0.475
7
1.00
0.86
1.00
1.14
0.465
10
1.00
0.80
1.00
1.20
0.450
3
1.00
0.94
2.00
2.06
0.323
5
1.00
0.90
2.00
2.10
0.317
7
1.00
0.86
2.00
2.14
0.310
10
1.00
0.80
2.00
2.20
0.300
t (cm)
S-11
(標準)
緑化領域(吹付部)の幅
(S )
※ES率の算出には下底と上底の中央値を用いた。
- 74 -
E
0.5
0.3
6.3 施工手順
1) 事前処置
法面の浮石や浮き土砂等を除去し,地山と生育基盤の付着を良好にします。なお,地山に郷土
種が既に自生している場合は軽度の刈り払いにとどめ,根系は生育基盤の付着に支障がない限り
残存させ,自然回復を促すようにします。
また,湧水がある場合は,水抜きパイプ,地下排水工,排水シート等を設置して法面・斜面外に排
出します。
2) 緑化基礎工
(1)地山に凹凸がなく標準仕様を適用する場合
緑化基礎工として,裸地部保護マット付き金網張工(商品名:レミディネット,金網線経 2 mm,
50×50 mm 網目,写真-6.1)を適用します。
レミディネットは,緑化領域と自然侵入領域の位置出しを兼ね備えるので,裸地部保護マットが
地山側になるように地山の凹凸に合わせてなじみよく張り,継ぎ目は 100 mm を標準とします(写
真-6.2)。
アンカーピンの使用本数はラス張工と同様で,地山との密着性を図るために,主アンカーピン
(φ16 mm,L = 400 mm)を 30 本/100 m2(0.3 本/m2),補助アンカーピン(φ9 mm,L = 200 mm)
を 150 本/100 m2(1.5 本/m2)を標準とし,レミディネットの裸地部保護マット部の重ね合わせの端
部が浮き上がらないように,必要に応じて補助アンカーピンを増打ちします。
(2)地山に凹凸があり標準仕様のレミディネットの適用が困難な場合,および標準仕様以外
の仕様を適用する場合
緑化基礎工として,裸地部保護マット(商品名:レミディマット)設置工+金網張工(線経 2 mm,
50×50 mm 網目)を適用します。
レミディマットは,所定の間隔で法面に設置し,補助アンカーピン(φ9 mm,L = 200 mm,1 本
/m2)で仮固定します。レミディマットの設置完了後,その上から金網張工(ラス張工)を施工して
固定します。
- 75 -
(展開状況:幅 2m ,長さ 8m)
(梱包荷姿)
写真-6.1 裸地部保護マット付き金網(レミディネット)
写真-6.2 レミディネットの展開状況と編込みによる接続状況
- 76 -
(3)エコストライプ吹付工
エコストライプ吹付工は,レミディネットの裸地部保護マットの端部が吹付部とラップするように
設計厚さの生育基盤を吹き付けます(図-6.4,写真-6.3)。
なお,斜面樹林化工法 2 層吹付システムを適用する場合の施工方法等については,5 項およ
び『斜面樹林化工法 2 層吹付システム施工マニュアル』を参照願います。
図-6.4 エコストライプ吹付工の吹付方法
写真-6.3 エコストライプ吹付状況と施工後の裸地部のネット接続面
- 77 -
7. 出来形管理基準
7.1
標準仕様
1) 吹付厚さの検測
① 吹付時には,検測ピンを 2.5m2 に 1 箇所程度設置し,厚みを確認しながら吹付作業を行い
ます。2 層吹付システムの時は 2 層用検測ピンを使用します。
② 吹付厚さの検査は,穿孔した検査孔の測定値により行います。検査孔は原則として 200m2
に 1 箇所以上,200m2 未満は 2 箇所設置します。
③ 平均吹付厚さは設計吹付厚さ以上とし,最小吹付厚さは設計吹付厚さの 50%以上としま
す。ただし,凸部や施工の端部等には適用しません。
2) 金網の露出度合
法面の凹凸の程度によっては,吹き付け後に金網が露出する場合があります。また,吹付厚さに
よってもその程度は異なります。
参考として,金網の露出度合の目安を表-7.1 に示します。
表-7.1 斜面樹林化工法の金網の露出度合(日本法面緑化技術協会,2005)
法面(斜面)の凸凹
(cm)
吹付厚さ(cm)
凹凸<5
5≦凹凸<15
15≦凹凸<30
30≦凹凸
3≦t <5
30%
50%
―
―
5≦t <8
0
20%
50%
―
8≦t
0
0
10%
20%
3) 施工面積
施工の前に現地を測量し,設計図書と照合,確認のうえ作業を行います。設計図書と異なる部分
が生じた場合は,監督員と協議します。
- 78 -
7.2
エコストライプ仕様
1) 吹付幅と吹付間隔
吹付幅(吹付部)と吹付間隔(裸地部)の検査は,緑化基礎工のレミディネット張工,またはレミデ
ィマット設置工+金網張工が完了した時点で,吹付部と裸地部の長さを計測して行います。
原則として同一地点において 400m2 に 1 箇所以上,400m2 未満は 2 箇所の割合で行います。法
面に凹凸があると,吹付幅と吹付間隔を揃えることが困難なケースがあることから,吹付部の平均値
が設計値の-10%以上を基準値とします。
また,実際に所定の吹付幅を吹き付けているかどうかの確認は,吹付完了後に裸地部保護マット
が吹付した生育基盤がラップするように吹き付けられているかを目視で確認します。
ラップ部
吹付部
裸地部保護マット
吹付部
図-7.1 吹付幅と吹付間隔の計測図
表-7.2 吹付幅と吹付間隔の基準値
仕 様
S-11
S-12
設計値
(mm)
基準値
(mm)
緑化領域(吹付部)
1,000
≧900
自然侵入領域(裸地部)
1,000
≦1,100
緑化領域(吹付部)
1,000
≧900
自然侵入領域(裸地部)
2,000
≦2,200
検査位置
- 79 -
2) 吹付
付厚さ
吹付厚
厚さの検査は
は,穿孔した検査孔の測
測定値によりま
ます。検査孔
孔は原則として
て 400m2 に 1 箇所以
上,400m
m2 未満は 2 箇所設置し
します(図-7.22)。
平均吹
吹付厚さ(t)は,植生基材
材吹付工の出
出来形管理基準,および
び規格値を準
準用します(表
表-7.3)。
ただし,凸部や裸地
地部との境界等
等には適用 しないものと
とします。
検査
査孔
t
吹付厚さの計
計測図
図-7.2 吹
表-7.3 出来形管理
理基準および
び規格値(全国特定法面保護協会編
編 2006)
- 80 -
8. 生育判定基準
8.1
標準仕様
法面緑化工は一般的な土木工事と異なり,工事の完了によって直ちに成果物が得られるわけで
はなく,時間の経過とともに期待する成果物 (目標とする植物群落) に近づいていくところに特徴
があります。
緑化目標とする植物群落が形成されるまでの時間は,緑化目標,使用植物,施工地域,施工時
期等によって大きく異なります。草本類は発芽・成長が早いのに対し,木本類は発芽が不揃いで成
長も遅いというそれぞれの特性があるので,この点を考慮した生育判定を行う必要があります。
斜面樹林化工法では,当初は主構成種と補全種が混生し,最終的に主構成種が優占する植物
群落の形成を目標とします。主構成種は一般的に発芽・成長が遅く,施工後 1~3 年間は補全種
(特に草本種) との競合が生じます。このため,斜面樹林化工法では,初期の補全種の植被率を低
くして,過剰な競合を抑制するように配合を設定しています。
これらを踏まえた上で,斜面樹林化技術協会では,木本類の成立に関する判定項目として重要
な要素である成立本数を用いて,施工時期別に生育判定基準を設定しています。
- 81 -
1)生育判定時期
斜面樹林化工法の主構成種として使用する木本類の多くは,山野に自生する植物です。在来種
は,農業や園芸用の材料として品質改良された植物とは異なり,温度・水分等の発芽条件が整って
も一斉に発芽することは稀です。実際の現場での発芽は,種子の休眠などの影響により植物によっ
て異なりますが,参考として,発生期待本数に対して実際どのくらいの成立本数があるのかを調査し
た事例を表-8.1~8.2 に示します。
なお,ここでは成立本数を設計した発生期待本数で除した値を「発芽効率」とし,以下の式で算
出しました。
2
発芽効率 (%) =
成立本数 (本/ m )
×100
2
発生期待本数 (本/ m )
表-8.1 発芽効率の経過(春施工,山口県内,3 月施工)(菊地・石田)
発芽効率(%)
項目
植物名
主構成種
4ヵ月
ヤブツバキ
サザンカ
ネズミモチ
シャリンバイ
補全種
コマツナギ
(草本類)
トールフェスク
クリーピンクレッドフェスク
6ヵ月
8ヵ月
最大値(時期)
14ヵ月
7.5
1.5
25.8
57.5
26.5
2.5
32.8
106.0
45.0
1.0
32.5
148.5
42.5
1.0
34.3
154.0
45 (8ヵ月)
2.5 (6ヵ月)
34.3 (14ヵ月)
154 (14ヵ月)
4.2
4.7
4.1
5
5.2 (14ヵ月)
52.4
33.8
45.0
33.0
37.4
26.2
38.0
18.0
52.4
33.8
(4ヵ月)
(4ヵ月)
表-8.2 発芽効率の経過(秋施工,熊本県内,9 月施工)(菊地・石田)
発芽効率(%)
項目
植物名
主構成種
1ヵ月
3ヵ月
ネズミモチ
シャリンバイ
補全種
13.0
6.0
44.3
8.0
ヤマハギ
コマツナギ
(草本類)
10.8
8.8
5.1
19.0
104.4
104.4
トールフェスク
6ヵ月
50.7
10.0
落葉
落葉
901.0
- 82 -
9ヵ月
33.3
30.0
4.5
19.2
67.6
17ヵ月
24.7
34.0
落葉
落葉
63.8
最大値(時期)
50.7 (6ヵ月)
34.0 (17ヵ月)
10.8 (1ヵ月)
19.2 (9ヵ月)
104.4 (1ヵ月)
発芽効率の経過から,植物の種類によって発芽する時期が異なっていることがわかります。補全
種は,施工後 3~4 ヵ月でほぼ発芽を終了していますが,主構成種(ここでは常緑広葉樹)は発芽の
最大値が 6 ヵ月後以降にあり,特にシャリンバイは 2 年目以降に発芽する個体もみられます。本施工
例は,主構成種は概ね 6 ヵ月後には生育の判定に耐える発芽効率を示していることから考えて,生
育判定時期はこの時期を目安にすることが適当といえます。
なお,本施工例は温暖地の例ですが,秋施工の場合は 6 ヵ月後が落葉期にあたるため,葉が展
開する時期まで待って生育の判定を行う必要があります。以上の点を考慮して,施工時期ごとの生
育判定の時期を表-8.3 に示します。ただし,旱魃等の異常気象の影響があった場合の判定時期
は,そのつど協議して定めます。
表-8.3 施工地域と施工時期による生育判定時期の目安
施工地域
北海道~東北
関東以西
九州~沖縄
施工時期
生育判定の時期
3~6月
10~11月
7月
翌年の5月
10月(下旬)~12月(上旬)
翌年の8月
1~2月
7~9月
3~6月
10~12月
11~12月
翌年の7月
1~6月
7~12月
10~12月
翌年の7月
2)生育判定方法
斜面樹林化工法は,自然回復緑化を行うことを目的とすることから,従来の緑化工の検査で行わ
れてきた植被率による判定ではなく,成立本数で評価します。生育判定は,主構成種と補全種がそ
れぞれの機能を発揮できるような生育状態にあるかどうかを評価するということなので,それぞれの
成立本数を確認し表-8.4 の判定基準値と対比します。基準値に満たない場合は,生育基盤が侵食
等による損傷がないことや弱体化していないことを,目視による観察や土壌硬度の測定を行って確
認した上で,翌年春期まで待って同様の調査を行ないます。その時に改善されていなければ追播を
実施します。
成立本数の疎密は必ずあるので,判定の方法は 1m×1m~5m×5m(標準 2m×2m)のコドラート
を設け,枠内の成立本数を数えて 1m2 に換算して判定します。
コドラートが標準の大きさより小さくても平均的な値がとれる場合は,1m×1m 程度のコドラートで
代替することもできます。
- 83 -
表-8.4 成立本数による斜面樹林化工法の生育判定基準
項目
成立本数
植物区分
2
主構成種
3本/m 以上
補 全 種
5本/m 以上
(草本類) 注)
(5~100本/m )
2
2
また,別の評価方法として導入植物の生育状況を植被率で判定することもできます。この判定方
法は,技術資料第 3 版(2001 年)まで採用していましたが,植被率で評価すると密度過剰の群落が
形成されやすく,個々の植物の植被率を測定することが難しいなどの問題もあり,成立本数による判
定に一本化した経緯があります。その後の調査・検討により,植生調査時にブラウン・ブランケの全
推定法による被度(表-8.5,図-8.1)をベースに算出した各植物の平均植被率で妥当な評価ができる
ことが確かめられたので,本技術資料より再掲することにしました。
表-8.5 被度階級
被 覆 状 態
階 級
5
被度が調査面積の 3/4 以上を占めているもの(75~100%)
4
被度が調査面積の 1/2 ~3/4 を占めているもの(50~75%)
3
被度が調査面積の 1/4 ~1/2 を占めているもの(25~50%)
2
個体数が極めて多いか,または,少なくとも被度が 1/10 ~
1/4 を占めているもの(10~25%)
1
個体数は多いが被度が 1/20 以下,または,被度が 1/10
以下で個体数が少ないもの(1~10%)
+
個体数も少なく被度も少ないもの1%
被度5(3/4以上) 4(1/2~3/4)
3(1/4~1/2)
2(1/10~1/4)
図-8.1 被度階級の模式図
- 84 -
1(1/10以下)
一般的に,主構成種は初期の成長が緩やかなので,補全種・草本種が過度の植被率になると被
圧されて枯死することもあるため,生育判定の基準値として,植被率の下限値とともに,補全種・草
本種の上限値を設定しています(表-8.6)。
混生している植物の植被率を個々に測定することは困難なため,植被率の平均値は調査区の被
度階級の中央値をもとに,以下の式(ここでは植物 A の場合を例示)で算出します。その結果が,表
-8.6 の基準値以内であれば,植物 A は初期緑化目標の達成へ向けて順調に推移していると判断し
ます。
植物Aの平均植被率 =
植物Aの被度階級中央値平均
各植物の被度階級中央値平均の総和
表-8.6 植被率の判定基準
項目
植物区分
植被率の平均値
主構成種
1 %以上
補 全 種
1 ~ 50 %
草 本 種
5 ~ 70 %
補全種+草本種
10 ~ 70 %
- 85 -
× 法面の植被率平均
8.2
エコストライプ仕様
エコストライプ仕様は,施工後初期には導入した植物が緑化領域に成立しますが,最終的には自
然侵入領域への郷土種の自然侵入により,導入種と自然侵入種が混生する自然性の高い植物群
落の形成を最終緑化目標としています。自然侵入領域に順調な自然侵入を図るためには,緑化領
域に対して初期緑化目標に定めた植物群落が形成されることが重要なポイントになります。そのた
め,エコストライプ仕様の成績判定は,緑化領域に対してのみ実施し,自然侵入領域への自然侵入
や植生遷移の状況については施工後のモニタリングの中で自主的に実施します。
1)
生育判定時期
エコストライプ仕様の生育判定時期は,非面的に木本植物が発芽生育して初期緑化目標が達成
できるかどうかが判断できる 6 ヵ月後の実施を標準とし,施工地域と施工時期に応じて,斜面樹林化
工法と同じ表-8.3 に示した目安に従って行ないます。
2)
生育判定方法
エコストライプ仕様は,非面的に造成する緑化領域に木本植物群落を形成することから,従来の
急速緑化(全面緑化)の検査で行われてきた植被率による判定は行わずに成立本数で評価します。
斜面樹林化工法と同様,導入種の成立本数を測定して表-8.4 に示した判定基準値と対比します。
なお,エコストライプ仕様の成績判定は,平均的な生育状況である箇所に対して 1m×1m,あるい
は 1m×2m のコドラートを設置して行なうものとします。コドラートは,500m2 に 1 箇所程度,最低 3
箇所の設置を標準とします。参考として,吹付幅が 1m の場合のコドラートの設置方法を図-8.2 に示
します。
1m
裸地部
1m
2m
図-8.2 緑化領域のコドラート設置方法
- 86 -
吹付部
参考・引用文献
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―,日本緑化工学会誌33(3):454-458.
46) 吉田 寛(2010)生物多様性とCO2排出量の削減に配慮した非面的吹付緑化工法,日本緑化工学会誌36(2):316-321.
47) 吉田 寛(2013)法面緑化の目的・目標・評価はどうあるべきか,日本緑化工学会誌38(3):348-352.
48) 吉田 寛・古田智昭・福永健司(2003)貝殻廃棄物を利用した酸性雨・強酸性土壌地の緑化,日本緑化工学会誌,28
(4):512-519.
49) 吉田 寛・古田智昭(2004)切土法面における厚層基材吹付工(斜面樹林化工法)による木本植物群落の造成事例,日本緑
化工学会誌,29(4):482-494.
50) 吉田 寛・古田智昭・伊藤健一・高柳浩樹(2004)国内産在来種種子の有効利用とコストダウンを図る厚層基材吹付工2層吹
付システム, 日本緑化工学会誌,29(3):438-445.
51) 吉田 寛・古田智昭・桜井光希・松山眞三・高田元夫(2004)根幹への食込みを防止する生分解性樹脂被覆金網,日本緑化
工学会誌, 30(1):243-246.
52) 吉田 寛・池田昌義・梅村一城・堀江直樹・井上 謙(2013)常緑広葉樹群落の形成を緑化目標に設定した播種工による自
然回復緑化,日本緑化工学会誌38(3):361-366.
53) 吉田 寛・今西純一・柴田昌三・森本幸裕(2007)播種工における発生期待本数の推定方法に関する研究,日本緑化工学
会誌33(2):369-379.
54) 吉田 寛・森本幸裕(2005)法面緑化における中国産コマツナギと常緑広葉樹の混播効果に関する研究,日本緑化工学会
誌,31(2):269-277.
55) 吉田 寛・齋藤 茂(2012)生分解性樹脂被覆金網の木本植物根元への食込み防止効果,日本緑化工学会誌,37
(4):470-477.
56) 吉田 寛・山寺喜成(1989)ON吹付緑化工法の応用技術発展に関する研究
57) 吉川勝英編(2006)生態学的な斜面・のり面工法―これからの緑化技術―,山海堂,208pp.
- 88 -
【参考資料】
播種工による導入が期待できる木本植物
テクニカルアドバイザー 東京農業大学 福永健司教授(2005,未発表)を改変※
※マバリーの分類体系により,科名変更した樹種(大場編,2010)
樹種名
ムクノキ
エノキ
サカキ
ハマヒサカキ
ヒサカキ
ノリウツギ
ウツギ
イロハモミジ
オオモミジ
ヤマモミジ
コハウチワカエデ
ハウチワカエデ
ウリハダカエデ
旧科名
新科名
ニレ科
アサ科
ツバキ科
サカキ科
ユキノシタ科
アジサイ科
カエデ科
ムクロジ科
樹種名
ミネカエデ
コミネカエデ
テツカエデ
ヒトツバカエデ
チドリノキ
イタヤカエデ
イイギリ
ヤブムラサキ
ムラサキシキブ
クサギ
ニワトコ
オオカメノキ
ガマズミ
旧科名
新科名
カエデ科
ムクロジ科
イイギリ科
ヤナギ科
クマツヅラ科
シソ科
スイカズラ科
レンプクソウ科
※単位粒数は,母樹,採種年等により大きく異なるので注意が必要。
発芽率は,種子の差(母樹,採種年等)の他に貯蔵方法や貯蔵期間,発芽促進処理等により
大きく異なるので使用の際には事前にチェックが必要。
- 89 -
播種工による導入が期待できる主な木本植物(1)
樹種名
果実の
形状
ヤマモモ
(ヤマモモ科)
核果
サワグルミ
(クルミ科)
堅果
オニグルミ
(クルミ科)
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
本州(房総半島南部
常緑高木
15~20 及び福井県以西)~
雌雄別株
沖縄
3~5
6~7
精選種子1ℓ当たり2,300
~4,000粒、1kg当たり
5,380~8,800粒
落葉高木 10~30 北海道~九州
4~6
9~10
5~6
形態
核果状の
落葉高木
堅果
樹高
(m)
分布
7~30 北海道~九州
発芽率
(%)
発芽時期 発芽型
30~97
4月下旬~
2年型
5月下旬
樹皮にはタンニンが含まれ
漁網の染める染料や薬用
にされる。食用できる
精選種子1ℓ当たり10,390
取りまき、2
~10,700粒、1kg当たり
~3月
20,000粒
2~70
3月上旬~
1年型
6月上旬
乾燥を嫌う。家具の中貼り
のほか、桶、下駄、経木、
マッチの軸木などにも使わ
れる
9~11
精選種子1ℓ当たり140~
取りまき、3
368粒、1kg当たり66~
~4月下旬
131粒
68~80
-
単位粒数
播種時期
9~10月
備考
1年型 豊凶がある。変種としてヒメ
地下子 グルミがある。乾燥しすぎる
葉型
と発芽は2年目となる
ミヤマハンノキ
(カバノキ科)
堅果
落葉低木
~高木
5~10
北海道・本州(中部以
北)
5~7
10~11
精選種子1kg当たり
909,000~1,630,000粒
-
-
-
-
ヒメヤシャブシ
(カバノキ科)
堅果
落葉小高
木
2~7
北海道・本州(主とし
て日本海側)~四国
3~5
10~11
精選種子1ℓ当たり
250,000~255,000粒、
1kg当たり1,050,000~
1,850,000粒
-
2~11
-
-
光発芽の性質をもつ。毎年
結実する
オオバヤシャブシ
(カバノキ科)
堅果
落葉小高
木
本州(福島県南部~
5~10 和歌山県の太平洋
側)・伊豆諸島
3~5
10~11 -
-
-
-
-
光発芽の性質をもつ
ヤシャブシ
(カバノキ科)
堅果
落葉小高
木~高木
本州(福島県~紀伊
半島の太平洋側)~
九州(屋久島)
3~4
10~11 -
3~4月
11~50
-
ハンノキ
(カバノキ科)
堅果
落葉高木 10~20 北海道~沖縄
3~5
9~10
精選種子1ℓ当たり90,000
10~11月、3
粒、1kg当たり200,000~
月
1,600,000粒
3~40
ウダイカンバ
(カバノキ科)
堅果
落葉高木 15~35
北海道・本州(福井・
岐阜県以北)
5~6
9~10
精選種子1kg当たり
1,175,000~2,400,000粒
4中旬~5月
上旬
15~21
-
シラカンバ
(カバノキ科)
堅果
落葉高木 10~25
北海道・本州(岐阜県
以北)
4~5
8~10
精選種子1ℓ当たり
197,000~1,200,000粒、
1kg当たり2,297,000~
5,780,000粒
取りまき、3
~4月
0.5~31
-
ダケカンバ
(カバノキ科)
堅果
北海道・本州(中部地
落葉高木 10~30
方以北)~四国
4~6
9~10
精選種子1kg当たり
900,000~1,500,000粒
4月中旬~
5月上旬
0~33
ハシバミ
(カバノキ科)
堅果
落葉低木
1~4
北海道(南部)~九州
3~4
9~10
-
11月、3月
25~50
5月上旬
ツノハシバミ
(カバノキ科)
堅果
落葉低木
2~5
北海道~九州
3~5
9~10
精選種子1ℓ当たり720~
1,790粒、1kg当たり560
~3,290粒
-
30~80
1年型 食用できる。変種としてトッ
4月下旬~
地下子 クリハシバミやオオツノハシ
5月中旬
葉型
バミ
サワシバ
(カバノキ科)
堅果
落葉小高
12~15 北海道~九州
木~高木
4~6
8~10
精選種子1kg当たり
83,300~114,000粒
10~11月、3
月
-
クマシデ
(カバノキ科)
堅果
落葉中高
木~高木
15
本州(岩手県以南)~
九州
4~5
9~10
精選種子1ℓ当たり55,000
10~11月、3
~119,000粒、1kg当たり
月
160,000~530,000粒
アカシデ
(カバノキ科)
堅果
落葉中高
木~高木
15
北海道(十勝以南)~
九州
4~6
8~10
イヌシデ
(カバノキ科)
堅果
落葉小高
木~高木
15
本州(岩手県新潟県
以南)~九州
4~5
9~10
10
1年型
3月下旬~
1年型
5月上旬
-
-
光発芽の性質をもつ
変種としてケハンノキ、エゾ
ハンノキがある
低温乾燥貯蔵ならば5~6
年貯蔵できる。マカバとも呼
ばれる
1年型
光発芽の性質をもつ
1年型
標高の高いところに生える
ことから岳樺の名が付い
た。低温乾燥貯蔵ならば6
~7年貯蔵できる。変種とし
てナガバノダケカンバ、アカ
カンバなどがある
1年型
食用できる。ツノハシバミよ
地下子
り個体数が少ない
葉型
1年型
乾燥しすぎると発芽が翌春
になる。変種としてビロード
サワシバがある
7~53
4月下旬~
1年型
6月中旬
乾燥しすぎると発芽が翌春
になる。材の中心部に穴が
あきアリの巣になっているこ
とが多い
精選種子1ℓ当たり63,000
10~11月、3
~110,000粒、1kg当たり
月
220,000~530,000粒
2~44
5月上旬~
1年型
下旬
乾燥しすぎると発芽が翌春
になる
精選種子1ℓ当たり31,000
10~11月、3
~41,000粒、1kg当たり
月
62,000~97,000粒
1~30
5月上旬~
1年型
下旬
乾燥すると発芽率が低下す
る
- 90 -
-
播種工による導入が期待できる主な木本植物(2)
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
北海道(北限は渡島
半島黒松内)~九州
(南限は鹿児島県高
隈山)
4~5
9~10
3~15
本州(神奈川県以西
の太平洋側)~沖縄
4~5
精選種子1ℓ当たり300~
短期型 ほぼ毎年結実する。材は堅
翌年の10
10~11月、2
4月中旬~
667粒、1kg当たり340~
47~100
地下子 くガラスに傷が付くほど。備
~11月
~3月
5月中旬
926粒
葉型
長炭の原料
落葉中高
木~高木
5~15
本州(岩手・秋田両県
以南)~沖縄
4~5
精選種子1ℓ当たり100~
翌年の9
取りまき、2
200粒、1kg当たり140~
~10
~3月
240粒
55~100
隔年結実性がやや強い。
短期型
4月下旬~
60%の発芽率を保持するた
地下子
5月中旬
めの最低限界含水率は
葉型
48%であった
堅果
落葉高木
15
本州(山形県以南)~
九州
4~5
10
精選種子1ℓ当たり120~
取りまき、2
167粒、1kg当たり160~
~3月
270粒
50~100
短期型
5月上旬~
地下子
下旬
葉型
ミズナラ
(ブナ科)
堅果
落葉高木 20~30 北海道~九州
4~6
9~10
精選種子1ℓ当たり145~
取りまき、2
460粒、1kg当たり245~
~3月
625粒
25~90
豊凶は年により豊凶があ
1年型
5月上旬~
る。岐阜県では4月上旬に
地下子
中旬
は播種を終了させる。変種
葉型
としてミヤマナラがある
コナラ
(ブナ科)
堅果
落葉高木 10~20 北海道(南部)~九州
4~6
9~11
精選種子1ℓ当たり350~
取りまき、2
680粒、1kg当たり560~
~3月
1,580粒
30~90
最低限界含水率は27%で
短期型
5月中旬~
ある。変種としてアオナラ、
地下子
テリハコナラ、マルバコナラ
下旬
葉型
がある
アカガシ
(ブナ科)
堅果
常緑高木
本州(宮城県・新潟県
以西)~九州
5~6
10
精選種子1ℓ当たり410~
取りまき、2
760粒、1kg当たり384~
~4月
888粒
65~95
5月上旬
アラカシ
(ブナ科)
堅果
常緑高木 15~20
本州(宮城県・石川県
以西)~沖縄
4~5
10~11
精選種子1ℓ当たり500~
取りまき、2
660粒、1kg当たり660~
~4月
1,210粒
65~80
1年型
4月下旬~
低温湿層処理を行うことに
地下子
5月中旬
より発芽速度は増加する
葉型
ウラジロガシ
(ブナ科)
堅果
常緑高木
本州(宮城県・新潟県
以西)~沖縄
5
精選種子1ℓ当たり450~
翌年の10
10月、2~4
500粒、1kg当たり650~
月
月
700粒
80~90
1年型
4月中旬~
地下子
6月上旬
葉型
シラカシ
(ブナ科)
堅果
常緑高木 10~25
本州(福島県以南・新
潟県以西)~九州
4~5
10~11
精選種子1ℓ当たり540~
取りまき、3
810粒、1kg当たり763~
~4月
1,190粒
50~90
1年型
4月下旬~
地下子 10℃の恒温では発芽しない
5月中旬
葉型
スダジイ
(ブナ科)
堅果
常緑高木 20~30
本州(福島県・新潟
県・佐渡以南)~沖縄
5~6
精選種子1ℓ当たり550~ 取りまき、3
翌年の9
1,000粒、1kg当たり888 月上旬~4
~10
~1,300粒
月中旬
70~90
短期型 ほぼ隔年に結実する傾向
5月上旬~
地下子 がある。発芽の最適温度は
下旬
葉型
25℃であった
マテバシイ
(ブナ科)
堅果
本州(関東南部から
常緑高木 10~20 西の太平洋側)~九
州
5~6
精選種子1ℓ当たり180~
翌年の10
取りまき、2
290粒、1kg当たり277~
~11
~4月
527粒
24~100
1年型
5月上旬~
覆土は原則通り種子の厚
地下子
中旬
みの3倍くらいかやや厚め
葉型
ムクノキ
(アサ科)
核果
落葉高木 15~20
エノキ
(アサ科)
核果
ケヤキ
(ニレ科)
樹種名
果実の
形状
ブナ
(ブナ科)
堅果
落葉高木 20~30
ウバメガシ
(ブナ科)
堅果
常緑高木
クヌギ
(ブナ科)
堅果
アベマキ
(ブナ科)
形態
樹高
(m)
20
20
分布
単位粒数
精選種子1ℓ当たり2,070
~3,000粒、1kg当たり
3,756~6,000粒
播種時期
発芽率
(%)
発芽時期 発芽型
9~10月、2
~3月
33~93
5月上旬~
1年型
下旬
10
精選種子1ℓ当たり2,650
~5,100粒、1kg当たり
4,750~7,620粒
10月下旬~
4月上旬~
11月上旬、3 50~100
1年型
6月上旬
~4月
落葉高木 10~20 本州~沖縄
4~5
9~11
精選種子1ℓ当たり5,000
~11,000粒、1kg当たり
12,000~22,000粒
11月、3~4
月
そう果
落葉高木 10~25 本州~九州
4~5
10
ハルニレ
(ニレ科)
翼果
落葉高木 10~30 北海道~九州
3~5
5~6
アキニレ
(ニレ科)
翼果
落葉高木 10~15
8~9
10~11
本州(中部地方以西)
~沖縄
30~75
4月下旬
精選種子1ℓ当たり28,000 11月、2月中
~34,000粒、1kg当たり 旬~4月上
61,000~71,000粒
旬
20~95
5月上旬~
2年型
下旬
精選種子1kg当たり
32,600~196,000粒
取りまき
20~60
(25)
6月下旬~
2年型
7月上旬
精選種子1ℓ当たり6,700
~11,000粒、1kg当たり
81,000~170,000粒
11月、3~4
月
20~70
4月下旬~
2年型
5月上旬
- 91 -
長期貯蔵のためには種子
の含水率を6~10%にする
ことが望ましい
材は非常に堅く、緻密で粘
1年型 りが強いため木刀に利用さ
地下子 れる。また60%の発芽率を
葉型
保持するための最低限界
含水率は34%であった
4~5
本州(関東地方以西)
~九州
備考
多年型
飢餓のときには種子を食べ
た。乾燥しすぎると発芽が1
年遅れる
播種工による導入が期待できる主な木本植物(3)
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
落葉中高
15~30 北海道~九州
木~高木
4~6
9~11
袋果
落葉高木 10~25 北海道~九州
3~4
タムシバ
(モクレン科)
袋果
落葉小高
木~高木
本州~九州
タブノキ
(クスノキ科)
液果
常緑高木 10~20
クスノキ
(クスノキ科)
液果
クロモジ
(クスノキ科)
樹種名
果実の
形状
ホウノキ
(モクレン科)
袋果
コブシ
(モクレン科)
播種時期
発芽率
(%)
発芽時期 発芽型
精選種子1ℓ当たり2,620
~5,750粒、1kg当たり
4,620~12,000粒
取りまき、3
~4月
20~50
5月上旬~
2年型
6月上旬
9~10
精選種子1ℓ当たり4,100
~4,400粒、1kg当たり
7,500~9,800粒
取りまき、3
~5月
10~80
4月下旬~
1年型
5月下旬
4~6
9~11
精選種子1ℓ当たり2,700
~5,800粒、1kg当たり
5,750~12,000粒
取りまき、3
~4月
7~80
5月中旬~
1年型
下旬
本州(青森県・岩手県
以南)~九州
3~6
7~9
精選種子1ℓ当たり930~ 9月下旬~
1,800粒、1kg当たり1,400 10月下旬、3
~3,100粒
~4月
50~90
4~5月
常緑高木 15~40
本州(茨城県・栃木
県・佐渡以南)~沖縄
5~6
精選種子1ℓ当たり1,300
10~12 ~6,200粒、1kg当たり
7,400~12,000粒
取りまき、2
~4月
34~90
1年型
4月下旬~
地下子 毎年結実する
6月下旬
葉型
液果
落葉低木
雌雄別株
2~5
北海道・本州(東北地
方の南部の太平洋
側、瀬戸内海側)~九
州
3~5
9~10
精選種子1ℓ当たり6,860
~7,500粒、1kg当たり
13,000~15,500粒
10月、3~4
月
0~87
1年型
4月下旬~
地下子 豊凶あり
6月上旬
葉型
オオバクロモジ
(クスノキ科)
液果
落葉低木
雌雄別株
5
北海道(渡島半島)・
本州(東北地方以南
の日本海側)~九州
4~6
10
精選種子1ℓ当たり4,200
~7,500粒、1kg当たり
8,750~13,000粒
取りまき、3
月
16~70
1年型
4月下旬~
地下子 クロモジの変種である
6月上旬
葉型
アブラチャン
(クスノキ科)
液果
落葉低木
雌雄別株
5~6
本州~九州
3~4
9~10
精選種子1ℓ当たり322~
10月、3~4
850粒、1kg当たり914~
月
1,400粒
10~97
2年型
やや隔年結果。変種として
4月下旬~
地下子
ケアブラチャンがある
5月
葉型
シロモジ
(クスノキ科)
液果
落葉低木
雌雄別株
5~6
本州(中部地方以西)
~九州
4~5
9~10
精選種子1ℓ当たり750~
取りまき、3
1,080粒、1kg当たり1,600
~4月
~1,850粒
5~80
2年型
6月上旬~
豊凶あり。葉が風変わりな
地下子
9月下旬
ので、茶庭に植えられる
葉型
ダンコウバイ
(クスノキ科)
液果
落葉低木
雌雄別株
7
北海道(西部)~九州
-
-
精選種子1ℓ当たり3,600
~4,550粒、1kg当たり
4,000~8,000粒
取りまき、3
月
6~35
1年型
4月下旬~
地下子
5月中旬
葉型
シロダモ
(クスノキ科)
液果
常緑高木
本州(宮城県・山形県
10~15
雌雄別株
以南)~沖縄
9~11
精選種子1ℓ当たり1,000
翌年の10
~3,300粒、1kg当たり
~11
1,450~4,000粒
取りまき、3
~4月
60~100
アオモジ
(クスノキ科)
液果
落葉低木
~小高木
雌雄別株
3~4
9~10
精選種子1ℓ当たり6,500
~11,300粒、1kg当たり
13,000粒
ヤブツバキ
(ツバキ科)
蒴果
常緑高木
本州(東北・北陸・中
5~15 部地方では沿海地の
み)~沖縄
2~4
9~11
精選種子1ℓ当たり420~
10~11月、3
4月下旬~
乾燥を嫌う。種子から椿油
20~100
短期型
750粒、1kg当たり830~
~4月
6月上旬
がとれる
1,400粒
ナツツバキ
(ツバキ科)
蒴果
落葉小高
木~高木
雌雄別株
8~15
本州(福島・新潟県以
西)~九州
6~7
9~11
精選種子1ℓ当たり31,000
取りまき、2
~31,700粒、1kg当たり
~4月
65,000~84,200粒
サカキ
(サカキ科)
液果
常緑高木
5~15
本州(関東地方以西)
~沖縄
5~7
精選種子1ℓ当たり
10~12 130,000~150,000粒、
1kg当たり258,000粒
ハマヒサカキ
(サカキ科)
液果
常緑小高
木 雌雄
別株
1.5~6
本州(千葉県以西)~
沖縄
3~6
10~12
ヒサカキ
(サカキ科)
液果
常緑低木
~小高木
雌雄別株
3~10
本州(青森県を除く)
~沖縄
3~4
マンサク
(マンサク科)
蒴果
落葉低木
~小高木
2~10
北海道(南部)・本州
(太平洋側)~九州
2~4
形態
樹高
(m)
10
5
分布
本州(岡山県・山口
県)~九州
単位粒数
-
85~95
備考
毎年結実する
短期型
地下子 毎年結実する
葉型
1年型
変種としてダイトウシロダモ
4月下旬~
地下子
がある
6月下旬
葉型
-
1年型 材は白く、楊枝をつくる。果
地下子 実や材にはレモンの様な芳
葉型
香と辛味がある
0~53
4月中旬~
2年型
5月上旬
隔年に豊凶がある
10~11月、3
~4月
30~70
4月下旬~
1年型
6月下旬
毎年結実する
精選種子1ℓ当たり
405,000~710,000粒、
1kg当たり622,080~
760,000粒
11月、3~4
月
10~82
4月下旬~
1年型
6月中旬
毎年結実する
10~11
精選種子1ℓ当たり
630,000~710,000粒、
1kg当たり1,210,000~
1,300,000粒
10~11月、3
~4月
1~45
4月下旬~
1年型
6月下旬
毎年多量に結実する
9~10
精選種子1ℓ当たり13,000
取りまき、3
~16,000粒、1kg当たり
~4月
23,000~30,000粒
- 92 -
隔年に豊凶がある。変種と
してオオバマンサク、マルバ
0~5(18 4月下旬~
多年型
マンサク、アテツマンサクが
~70) 5月中旬
ある
播種工による導入が期待できる主な木本植物(4)
樹種名
果実の
形状
形態
樹高
(m)
分布
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
単位粒数
播種時期
発芽率
(%)
マルバマンサク
(マンサク科)
蒴果
落葉低木
~小高木
5
北海道・本州(日本海
側)
3
9~10
精選種子1ℓ当たり12,000
粒、1kg当たり20,000粒
-
0(8~12)
イスノキ
(マンサク科)
蒴果
常緑高木
20
本州(関東以西)~沖
縄
4~5
10
ノリウツギ
(アジサイ科)
蒴果
落葉低木
~小高木
2~5
北海道~九州
6~9
9~11
ウツギ
(アジサイ科)
蒴果
落葉低木
1~5
北海道~九州
5~7
精選種子1ℓ当たり
10~11 1,200,000粒、1kg当たり
5,200,000粒
イヌザクラ
(バラ科)
核果
落葉高木 10~15 本州~九州
ウワミズザクラ
(バラ科)
核果
落葉高木 10~20
シウリザクラ
(バラ科)
核果
オオシマザクラ
(バラ科)
発芽時期 発芽型
-
多年型 マンサクの変種である
精選種子1ℓ当たり19,000
取りまき、2
~21,000粒、1kg当たり
~4月
34,000~35,100粒
15~65
4月中旬
精選種子1ℓ当たり
2,600,000~2,700,000粒、 3~4月
1kg当たり17,000,000粒
1~54
5月上旬~
1年型
中旬
変種としてビロードノリウツ
ギである
14~37
4月中旬~
1年型
下旬
毎年多量に結実する。変種
としてコウツギがある
3~4月
-
2年型
4~5
7~9
-
-
~
北海道(南西部)~九
州
4~6
7~9
精選種子1ℓ当たり11,400
~12,000粒、1kg当たり
10,600~25,400粒
-
20~100
落葉高木 10~25
北海道・本州(中部地
方以北・隠岐島)
5~6
8~9
精選種子1kg当たり7,520 8月下旬~9
~12,000粒
月中旬
39~63
-
2年型
核果
落葉高木 10~15
房総半島・伊豆半島・
伊豆七島
3~4
5~6
精選種子1ℓ当たり4,500
粒、1kg当たり6,900粒
取りまき、2
~3月
30~62
-
2年型
ヤマザクラ
(バラ科)
核果
落葉高木 10~25
本州(関東地方以西)
~九州
4~5
5~6
精選種子1ℓ当たり5,440
~7,380粒、1kg当たり
13,000粒
9~10月、2
~3月
50~80
3~4月
ヤマブキ
(バラ科)
そう果
落葉低木
北海道(南部)~九州
4~5
9~10
精選種子1ℓ当たり31,000 11月、2~3
粒、1kg当たり75,000粒 月
14~40
4月上旬~
2年型
中旬
精選種子1ℓ当たり
105,000~400,000粒、
1kg当たり129,000~
510,000粒
1~2
備考
孤立木からの採取はさける
2年型
4月中旬~
2年型
5月上旬
-
根は染料として使われる
他のサクラに比べて潮風や
大気汚染に強い
母樹に着果した果実のうち
約30%が成熟色(黒紫色又
は暗赤色)を示せば、緑色
や赤色の種子でも成熟色と
同じ様な発芽率を示す
乾燥を嫌う。品種としてシロ
バナヤマブキがある
隔年結果の傾向がある。材
が燃えにくく7度かまどに入
10~11月、2 0~17(1 4月中旬~
れても燃え残ることから名
多年型
~3月
~90) 5月上旬
付けられた。変種としてサビ
バナナカマドやツシマナナカ
マドがある
ナナカマド
(バラ科)
ナシ状果 落葉高木
5~10 北海道~九州
5~7
9~10
アズキナシ
(バラ科)
ナシ状果 落葉高木 10~15 北海道~九州
5~6
精選種子1ℓ当たり35,000
11月、2~3
10~11 ~64,800粒、1kg当たり
月
41,700~93,100粒
14~40
ウラジロノキ
(バラ科)
ナシ状果 落葉高木 10~15 本州~九州
5~6
精選種子1ℓ当たり36,000
取りまき、3
10~11 ~42,000粒、1kg当たり
~4月
72,000~75,000粒
20~94
シャリンバイ
(バラ科)
ナシ状果
常緑低木
~小高木
1~4
本州(宮城県・山形県
以南)~沖縄
5~6
精選種子1ℓ当たり2,100
10~11 ~2,300粒、1kg当たり
2,800~3,760粒
11月、2~4
月
20~90
1年型
5月中旬~
豊凶の差がない。変種とし
地下子
下旬
てホソバシャリンバイがある
葉型
マルバシャリンバイ
(バラ科)
ナシ状果
常緑低木
~小高木
1~4
本州(山形県・宮城県
以南)~九州
4~6
精選種子1ℓ当たり1,580
10~11 ~2,300粒、1kg当たり
2,800~5,150粒
11月、2~3
月
80~100
1年型
5月中旬~
地下子 毎年かなり結実する
下旬
葉型
カマツカ
(バラ科)
ナシ状果
落葉低木
~小高木
5~7
北海道~九州
4~6
精選種子1ℓ当たり47,000
10~11月、3
10~11 ~90,000粒、1kg当たり
~4月
88,000~110,000粒
10~70
4月下旬~
2年型
6月上旬
- 93 -
4月下旬
-
2年型
変種としてフカギレアズキ
ナシやオクシモアズキナシ
がある
2年型
隔年に豊凶がある。変種と
してキミノウラジロノキがあ
る
変種としてワタゲカマツカ、
ケカマツカ、キミノワタゲカ
マツカ、ナガエカマツカがあ
る
播種工による導入が期待できる主な木本植物(5)
樹種名
果実の
形状
ヤマハギ
(マメ科)
形態
樹高
(m)
落葉低木
1~3
分布
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
単位粒数
播種時期
発芽率
(%)
発芽時期 発芽型
15~65
5月中旬
17~60
5月下旬~
2年型
6月
北海道~九州
7~9
精選種子1ℓ当たり30,000
取りまき、3
10~11 ~35,200粒、1kg当たり
~4月
89,000~142,000粒
備考
-
アカメガシワ
(トウダイグサ科)
蒴果
落葉高木
10~15 北海道~九州
雌雄別株
5~7
9~10
精選種子1ℓ当たり19,900
3月下旬~4
~39,500粒、1kg当たり
月下旬
36,000~49,000粒
コクサギ
(ミカン科)
分果
落葉低木
雌雄別株
1~5
本州~九州
4~5
7~10
精選種子1ℓ当たり8,300
粒、1kg当たり23,700粒
カラスザンショウ
(ミカン科)
分果
落葉高木
雌雄別株
15
本州~沖縄
7~8
11~1
精選種子1ℓ当たり32,200
粒、1kg当たり48,800粒
イヌザンショウ
(ミカン科)
分果
落葉低木
雌雄別株
1.5~3 本州~九州
7~8
9~10
精選種子1ℓ当たり21,000 11月、3月下
~36,800粒、1kg当たり 旬~4月上
旬
74,000~123,000粒
27~31
5月上旬~
2年型
7月下旬
変種としてシマイヌザンショ
ウがある
キハダ
(ミカン科)
核果
落葉高木
20~25 本州~九州
雌雄別株
5~7
9~11
精選種子1ℓ当たり42,000
10月、3~4
~54,000粒、1kg当たり
月
82,000~120,000粒
12~80
4月中旬~
2年型
5月下旬
ほぼ隔年に結実する。変種
としてオオバキハダがある
センダン
(センダン科)
核果
落葉低木 15~30
5~6
9~11
精選種子1ℓ当たり650~
10~11月、3
1,300粒、1kg当たり820
~4月
~2,500粒
0~100
-
ヌルデ
(ウルシ科)
-
落葉小高
木 雌雄
別株
2~10 北海道~沖縄
7~10
10~11 -
10~11月、3
~4月
0~38
-
ヤマウルシ
(ウルシ科)
核果
落葉低木
~小高木
雌雄別株
3~8
北海道~九州
5~6
9~10
10~11月、3
~4月
0~12
-
ヤマハゼ
(ウルシ科)
核果
落葉小高
木 雌雄
別株
5~8
本州(関東地方以西)
~沖縄
5~6
10
精選種子1kg当たり8,360 10~11月、3
~13,600粒
~4月
0~30
5月上旬~
2年型
中旬
イロハモミジ
(ムクロジ科)
翼果
落葉高木
15
本州(福島県以南)~
九州
4~5
7~10
精選種子1ℓ当たり10,900 10~11月、2
~25,000粒、1kg当たり 月下旬~4
月
75,000~80,300粒
2~80
4月上旬~
2年型
中旬
オオモミジ
(ムクロジ科)
翼果
北海道(中部以南)・
本州(太平洋側は青
落葉高木 10~15 森県以南、日本海側
は福井県以西)~九
州
4~5
6~10
精選種子1kg当たり
60,000粒
0~50
4月上旬~
2年型
7月上旬
変種としてヤマモミジ、ナン
ブコハモミジがある
ヤマモミジ
(ムクロジ科)
翼果
落葉高木
4~5
6~11
精選種子1ℓ当たり11,000 10~11月、2
~43,000粒、1kg当たり 月下旬~3
月中旬
32,000~140,000粒
0~45
5月上旬~
2年型
6月上旬
オオモミジの変種である
コハウチワカエデ
(ムクロジ科)
翼果
落葉高木 10~15 北海道~九州
4~6
6~10
10~11月、2
精選種子1ℓ当たり12,000
月下旬~3
粒、1kg当たり30,000粒
月中旬
0~25
4月上旬~
6月上旬
ハウチワカエデ
(ムクロジ科)
翼果
落葉高木
5~10 北海道~九州
4~5
7~11
精選種子1ℓ当たり8,500
~11,000粒、1kg当たり
10,500~40,000粒
10~11月、2
月下旬~4
月
0~30
カエデ類の中でも種皮が固
いので種子の取り扱いに注
4月上旬~
多年型
意しても発芽が2~3年にわ
5月下旬
たることがある
ウリハダカエデ
(ムクロジ科)
翼果
落葉高木
雌雄別株
8~20
本州~九州(屋久島
まで)
5
7~10
精選種子1ℓ当たり9,700
~16,000粒、1kg当たり
29,000~49,000粒
10~11月、2
~4月
10~19
4月上旬~
2年型
5月下旬
ミネカエデ
(ムクロジ科)
翼果
落葉小高
木
8~10
北海道・本州(静岡・
福井・岐阜県以北)
6~7
~
精選種子1kg当たり
23,000粒
-
0~3
-
コミネカエデ
(ムクロジ科)
翼果
落葉小高
木 雌雄
別株
6~18 本州~九州
5~7
8~10
精選種子1ℓ当たり47,600
粒、1kg当たり134,600粒
-
-
-
本州(伊豆半島以西)
~沖縄
北海道・本州(青森県
5~15 ~島根県の日本海
側)
精選種子1ℓ当たり4,200
~20,600粒、1kg当たり
8,750~44,000粒
- 94 -
取りまき、3
~4月
-
取りまき、3
~4月
80
46
-
-
1年型
2年型
2年型
豊凶があるが毎年割合よく
結実する
-
2年型
2年型
-
隔年結果の傾向がある
標高2000m付近に多い。変
種としてオオバミネカエデが
ある
播種工による導入が期待できる主な木本植物(6)
分布
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
落葉高木 10~15
本州(秋田県・岩手県
以南)~九州
6~7
8~10
精選種子1ℓ当たり4,200
粒、1kg当たり8,750粒
翼果
落葉高木
5~10
北海道(秋田・岩手県
~紀伊半島)
5~6
8~10
チドリノキ
(ムクロジ科)
翼果
落葉小高
木~高木
雌雄別株
8~20
本州(岩手県以南)~
九州
4~5
8~10
イタヤカエデ
(ムクロジ科)
翼果
落葉高木 15~25
北海道~九州の主と
して太平洋側
9~10
アワブキ
(アワブキ科)
核果
落葉小高
10~12 本州~九州
木~高木
イヌツゲ
(モチノキ科)
核果
常緑低木
~小高木
雌雄別株
1.5~9
ソヨゴ
(モチノキ科)
核果
常緑低木
~小高木
雌雄別株
3~7
クロガネモチ
(モチノキ科)
播種時期
発芽率
(%)
-
0~46
4月上旬~
5月上旬
取りまき、3
精選種子1ℓ当たり~粒、
月上旬~中
1kg当たり~粒
旬
18~40
4月上旬~
1年型
下旬
精選種子1ℓ当たり7,000
粒、1kg当たり25,000粒
10~11月、3
月上旬~中
旬
1~56
3月下旬~
4月上旬
9~10
精選種子1ℓ当たり7,500
~11,000粒、1kg当たり
10,000~54,000粒
取りまき、2
~4月
13~50
4月上旬~
1年型
下旬
6~7
9~10
精選種子1ℓ当たり18,000
~26,050粒、1kg当たり 10月下旬
39,000~44,000粒
本州(岩手県以南)~
九州
5~7
精選種子1ℓ当たり33,300
11月、3~4
10~12 ~44,100粒、1kg当たり
月
73,000~84,800粒
11~80
本州(新潟県・茨城県
以西)~九州
6~7
精選種子1ℓ当たり41,000
12月、3~4
10~11 ~55,700粒、1kg当たり
月
71,000~98,000粒
0~35(7 5月中旬~ 長期休
毎年結実する
~68) 6月上旬
眠型
核果
常緑高木
本州(関東地方・福井
10~20
雌雄別株
県以西)~沖縄
5~6
精選種子1ℓ当たり85,000
取りまき、2
10~12 ~160,000粒、1kg当たり
~4月下旬
200,000~330,000粒
0~25(15 4月下旬~ 長期休
~75) 6月上旬
眠型
モチノキ
(モチノキ科)
核果
常緑高木
雌雄別株
6~30
4
精選種子1ℓ当たり14,000
取りまき、2
11~12 ~19,000粒、1kg当たり
~3月
29,000~30,000粒
0~30(14 4月下旬~ 長期休
年により豊凶の差が大きい
~50) 5月下旬
眠型
アオハダ
(モチノキ科)
核果
落葉高木
雌雄別株
12
北海道~九州
5~6
9~10
精選種子1ℓ当たり40,000
取りまき、2
~66,400粒、1kg当たり
~4月
78,000~120,000粒
0~35
ニシキギ
(ニシキギ科)
蒴果
落葉低木
1~3
北海道~九州
5~7
精選種子1ℓ当たり18,000
取りまき、3
10~11 ~28,000粒、1kg当たり
~4月
22,700~50,000粒
0~82
(35)
コマユミ
(ニシキギ科)
蒴果
落葉低木
-
-
5~6
10
マサキ
(ニシキギ科)
蒴果
常緑低木
2~6
北海道(渡島半島)~
沖縄
6~7
11~1
精選種子1ℓ当たり14,000
11~12月、2
~14,800粒、1kg当たり
~3月
24,000~25,700粒
20~80
4月下旬~
2年型
5月上旬
マユミ
(ニシキギ科)
蒴果
落葉低木
3~7
北海道~九州
5~6
9~11
精選種子1ℓ当たり16,000
取りまき、2
~20,000粒、1kg当たり
~4月
19,000~33,000粒
0~95
4月下旬~
変種としてカントウマユミが
多年型
5月上旬
ある
ツリバナ
(ニシキギ科)
蒴果
落葉低木
1~6
北海道~九州
5~7
9~10
精選種子1ℓ当たり13,000
取りまき、2
~30,000粒、1kg当たり
~4月
20,300~33,000粒
ミツバウツギ
(ミツバウツギ科)
蒴果
落葉低木
3~5
北海道~九州
5~6
9~11
精選種子1ℓ当たり19,000
10月、3~4
粒、1kg当たり34,000~
月
40,000粒
樹種名
果実の
形状
テツカエデ
(ムクロジ科)
翼果
ヒトツバカエデ
(ムクロジ科)
形態
樹高
(m)
本州(宮城県・山形県
以南)~沖縄
単位粒数
33~70
発芽時期 発芽型
-
備考
-
-
2年型
5月中旬~
1年型
下旬
変種としてウラゲエンコウカ
エデ、オニイタヤ、エゾイタ
ヤ、ウラジロイタヤ、イトマ
キイタヤ、アカイタヤ、タイ
シャクイタヤがある
隔年に豊凶がある
隔年結果の傾向がある。変
種としてハイイヌツゲ、オオ
バイヌツゲ、ツクシイヌツゲ
がある
4月下旬~ 長期休
ほぼ隔年に結実する
5月下旬
眠型
-
多年型
精選種子1ℓ当たり14,000 10月、2月下
0~55(0 4月中旬~
~29,000粒、1kg当たり 旬~3月下
多年型
~24) 下旬
16,460~58,000粒
旬
- 95 -
0~15(25 4月下旬~ 長期休
~55) 5月下旬
眠型
0~80
4月中旬~
2年型
5月下旬
播種工による導入が期待できる主な木本植物(7)
樹種名
果実の
形状
形態
樹高
(m)
分布
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
ゴンズイ
(ミツバウツギ科)
袋果
落葉低木
~小高木
3~8
本州(関東地方以西)
~九州
5~6
9~11
精選種子1ℓ当たり8,310
~10,000粒、1kg当たり
14,000~21,000粒
アキグミ
(グミ科)
偽果
落葉低木
2~5
北海道(西部)~九州
4~6
9~11
精選種子1ℓ当たり21,000
取りまき、3
~22,800粒、1kg当たり
~4月
30,900~87,000粒
ナツグミ
(グミ科)
偽果
落葉低木
2~4
北海道~九州
4~5
5~7
-
ナワシログミ
(グミ科)
偽果
落葉低木
2~3
本州(関東以西)~九
州
10~11
5~6
-
イイギリ
(ヤナギ科)
液果
落葉高木
雌雄別株
北海道・本州(宮城
5~20 県・青森県以南)~沖
縄
4~6
精選種子1ℓ当たり21,000
10~11月、2
10~11 ~324,000粒、1kg当たり
~3月
350,000~645,000粒
キブシ
(キブシ科)
液果
落葉低木
2~5
3~4
7~10
精選種子1ℓ当たり39,000 9月下旬~
~55,000粒、1kg当たり 10月、3~5
600,000~65,200粒
月
1~96
4月上旬~
2年型
6月中旬
クマノミズキ
(ミズキ科)
核果
落葉高木
8~20 本州~九州
4~7
7~10
精選種子1ℓ当たり24,000
11月、3月
粒、1kg当たり48,000粒
1~35
4月上旬~
1年型
中旬
ミズキ
(ミズキ科)
核果
落葉高木 10~20 北海道~九州
5~6
6~11
精選種子1ℓ当たり9,520
~23,000粒、1kg当たり
20,800~31,000粒
30~80
4月上旬~
1年型
5月下旬
隔年結果の傾向がある。変
種としてタカネミズキ、イシ
ヅチミズキがある
ヤマボウシ
(ミズキ科)
集合果
落葉高木
5~15 本州~九州
5~7
8~10
精選種子1ℓ当たり12,500
~15,000粒、1kg当たり 9月、2~3月
18,400~23,000粒
7~80
4月下旬~
2年型
5月下旬
ほぼ隔年に結実する
タラノキ
(ウコギ科)
液果
落葉低木
~落葉高
木
2~10 北海道~沖縄
8~9
9~10
精選種子1ℓ当たり
180,000~673,000粒、
1kg当たり470,000~
1,600,000粒
2~21
4月中旬~
2年型
6月中旬
毎年よく結実する
コシアブラ
(ウコギ科)
液果
落葉高木
~中高木
5~10 北海道~九州
8~9
9~11
精選種子1ℓ当たり51,000
粒、1kg当たり5,000~
3~4月
88,700粒
ハリギリ
(ウコギ科)
液果
落葉小高
15~25 北海道~沖縄
木~高木
5~8
9~11
精選種子1ℓ当たり36,300
~71,600粒、1kg当たり 10月、5月
103,000~256,000粒
リョウブ
(リョウブ科)
蒴果
落葉小高
木
4~10 北海道(南部)~九州
6~9
精選種子1ℓ当たり
10~11 1,800,000粒、1kg当たり
14,000,000粒
エゴノキ
(エゴノキ科)
蒴果
落葉小低
木~高木
7~15
4~6
8~10
ハクウンボク
(エゴノキ科)
蒴果
落葉低木
~中高木
8~15 北海道~九州
5~6
タンナサワフタギ
(ハイノキ科)
核果
落葉低木
~小高木
3~5
本州(関東地方以西)
~九州
サワフタギ
(ハイノキ科)
核果
落葉低木
~小高木
2~4
北海道~九州
北海道~九州
北海道(渡島半島以
南)~沖縄
単位粒数
播種時期
10~11月、
3~4月
発芽率
(%)
発芽時期 発芽型
0~40(30 5月上旬~
2年型
~61) 下旬
50~70
-
-
-
-
-
-
60~70
-
短期型
15~90
-
2年型
取りまき、2
~3月
10~11月、3
月
1年型
備考
変種でタネガシマゴンズイ
がある
毎年多量に結実する。変種
としてマルバアキグミがある
乾燥を嫌う。変種としてトウ
グミがある
年によって多少豊凶がある
が毎年結実する
乾燥を嫌う
1
-
長期休
眠型
0~49
-
2年型
変種としてケハリギリがある
3~4月
0~23
5~6月
1年型
ほぼ毎年結実する
精選種子1ℓ当たり2,270
~2,880粒、1kg当たり
3,660~5,900粒
10月~11
月、2~3月
20~90
4月中旬~
2年型
5月上旬
9~10
精選種子1ℓ当たり1,200
~1,570粒、1kg当たり
3,660~5,900粒
取りまき、3
~4月
30~96
4月下旬~
2年型
6月中旬
5~6
9~10
精選種子1ℓ当たり9,900
粒、1kg当たり23,000粒
取りまき、3
~4月
0(20~
50)
5月上旬
長期休
眠型
5~6
10
精選種子1ℓ当たり8,330
~13,000粒、1kg当たり
17,000~32,500粒
取りまき、3
~4月
0(0~62) 5月上旬
長期休
眠型
- 96 -
乾燥しすぎると発芽が翌春
になる。変種としてオオバエ
ゴノキがある
播種工による導入が期待できる主な木本植物(8)
分布
開花
時期
(月)
結実
時期
(月)
北海道・本州(岐阜県
以北)
4~5
8~10
精選種子1ℓ当たり2,400
粒、1kg当たり13,000~
16,000粒
5~15 北海道~九州
5
9~10
精選種子1ℓ当たり14,500
粒、1kg当たり9,570~
取りまき
26,000粒
3~80
落葉高木
雌雄別株
5~15 北海道~九州
4~5
~
-
14~90
核果
常緑低木
~小高木
2~8
本州(房総半島以西)
~九州
2~8
精選種子1ℓ当たり7,000
10~12 ~13,000粒、1kg当たり
11,000~21,000粒
取りまき、2
~4月
44~97
4月下旬~
1年型
6月上旬
毎年多量に結実する。中国
産でトウネズミモチがある
イボタノキ
(モクセイ科)
核果
落葉低木
2~4
北海道~九州
5~6
精選種子1ℓ当たり5,000
10~12 ~13,950粒、1kg当たり
10,000~15,000粒
10~11月、2
~3月
10~80
4月下旬~
1年型
6月上旬
ほぼ毎年結実する
ミヤマイボタ
(モクセイ科)
核果
落葉高木
1~3
北海道~九州
6~7
10~11
10月、2~3
月
19~80
4月下旬~
1年型
6月上旬
毎年結実する。変種として
キヨズミイボタやオオミヤマ
イボタがある
ヤブムラサキ
(シソ科)
核果
落葉低木
2~5
本州(宮城県以南)~
沖縄
6~7
10~11 -
取りまき、3
~4月
20~40
5月上旬~
1年型
6月上旬
ムラサキシキブ
(シソ科)
核果
落葉低木
2~5
北海道~沖縄
6~8
10~11
取りまき、3
~4月
1~70
5月
クサギ
(シソ科)
核果
落葉小高
木
4~8
北海道(日高以南)~
沖縄
7~9
精選種子1ℓ当たり9,700
10~11 ~14,800粒、1kg当たり
19,800~30,000粒
11月、2~3
月
0~64
4月上旬~
1年型
5月上旬
ニワトコ
(レンプクソウ科)
核果
落葉低木
~小高木
3~6
本州~九州
3~5
6~8
精選種子1ℓ当たり90,000
取りまき、3
~363,000粒、
~4月
1kg当たり257,000粒
オオカメノキ
(レンプクソウ科)
核果
落葉低木
~低木
6
北海道~九州
4~6
8~10
精選種子1ℓ当たり12,000
~13,900粒、
4月上旬~ 長期休
9月、3~4月 0(6~84)
1kg当たり18,000~
5月中旬
眠型
31,000粒
ガマズミ
(レンプクソウ科)
核果
落葉低木
2~5
北海道(南部)~九州
5~6
9~11
精選種子1ℓ当たり16,000
~265,000粒、
取りまき、3
1kg当たり38,000~
~4月
43,900粒
0(0~76)
タニウツギ
(スイカズラ科)
蒴果
落葉低木
2~5
北海道(西部)~本州
(日本海側)
5~6
10~11
精選種子1ℓ当たり
1,000,000~3,150,000粒、 取りまき、3
1kg当たり3,440,000~
~4月
5,250,000粒
10~53
樹種名
果実の
形状
ヤチダモ
(モクセイ科)
翼果
落葉高木 20~30
アオダモ
(モクセイ科)
翼果
落葉高木
マルバアオダモ
(モクセイ科)
翼果
ネズミモチ
(モクセイ科)
形態
樹高
(m)
単位粒数
精選種子1ℓ当たり4,400
~7,800粒
精選種子1ℓ当たり
235,500~512,190粒、
1kg当たり532,230~
1,300,000粒
- 97 -
播種時期
取りまき、3
~5月
-
発芽率
(%)
発芽時期 発芽型
0~50
20%以下
-
備考
多年型 隔年結果の傾向がある
4月上旬~
多年型
6月上旬
-
多年型
1年型
-
3月~5月
上旬
1年型
毎年結実する。変種として
オオムラサキシキブがある
毎年結実する。変種として
シュウロウクサギがある
変種としてオオニワトコやエ
ゾニワトコがある
長期休
毎年結実する
眠型
5月上旬~
1年型
中旬
毎年結実する
斜面樹林化工法
技
術
資
料
第1版
発行
平成
8年 4月1日
第2版
発行
平成
9年5月 1日
改訂
第3版
発行
平成 14 年 6 月 1 日
改訂
第4版
発行
平成 18 年 5 月 11 日
改訂
第5版
発行
平成 21 年 4 月 1 日
改訂
第6版
発行
平成 27 年 6 月 1 日
改訂
編
集
斜面樹林化技術協会
技術委員会
発
行
斜面樹林化技術協会
事
務
局
〒108-0014 東京都港区芝 4-8-2
東興ジオテック株式会社内
TEL 03-6845-1526
http://isabou.net/nraj
FAX 03-3456-8752
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