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富士通ジャーナル 2006年3月号 VOL.32 NO.3 2006 NO.288

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富士通ジャーナル 2006年3月号 VOL.32 NO.3 2006 NO.288
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:50 PM ページ1
富士通ジャーナル
GLOVIA
企業で活躍するGLOVIAを紹介
京福電気鉄道株式会社
国分株式会社
●
●
e-Japan
行政システム最適化に
向けた取り組み
ミドルウェア最前線
効果的なITIL導入を実現する
「Systemwalker」
NEWテクノロジー
ICT利活用の新たなビジョンの
確立・具現化へ
TOP STORY
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:50 PM ページ2
FMVシンクライアントによる
セキュリティ強化、
情報漏洩対策の実現
ハードディスクを持たないシンクライアントにより、
お客様のリスクと負担を軽減
ハードディスクを持たない「FMVシンクライアント」は、お客様の大切な情報
をすべてサーバに保存するため、端末の盗難や紛失などによる情報漏洩を
物理的に防ぐことが可能です。アプリケーションソフトもサーバ側で一元管
理するため、バージョンアップなどの作業も効率よく行うことができます。併
せてクライアントの管理にかかる手間・時間・コストを削減でき、
TCO削減を
実現します。
シンクライアントとは
シンクライアントとは、
クライアントに最低限の機能しか持たせ
ず、アプリケーションやファイルなどの資源をサーバ側で管理す
るシステムの総称です。クライアントとしては、機能を絞ったコン
ピュータ、特にハードディスクを持たないコンピュータを指します。
■ 図1 シンクライアント概要
シンクライアント
サーバ
機能を絞ったOS
機能を絞ったハードウェア
アプリ
ケーション
データ
シンクライアントの歴史と富士通の取り組み
シンクライアントは、
1996年にOracle社がNetworkComputer
の構想を発表した時に始まり、約10年の歴史があります。富士
通はいち早くシンクライアントに着目し、1997年よりOracle社
と共同で「BTS V1(現BT Administration Serverの前身)」
の開発を開始、1998年より「BTS V1」およびディスクレスPC
「BT-300」の販売を開始しました。一方1999年以降、
PC市場
ではクライアントの低価格化に拍車がかかり、
シンクライアントの
魅力がお客様に受け入れられない時期もありました。2004年
より個人情報保護法が施行となることが決定し、セキュリティ
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:50 PM ページ3
■ 図2 シンクライアントの歴史
2005年
1998年
大
BT-300
・BTS V1およびBT-300(ディスクレス
PC)の出荷開始
・MetaFrameなどとの組み合わせによる
ソリューションを提供
・1月:日立がディスクレスPCを発表
・4月:富士通がディスクレスPCを発表
・その他、多数社からディスクレスPCが
発表される
・第二次シンクライアントブーム
FMV-TC5210
BT-300
2001年
FMV-TC8210
・BTSの後継として、Linux Desktop
をベースとしたBT Administration
Serverを出荷
市
場
の
期
待
度
1997年
・富士通・Oracle共同で、BTS V1
(現BTASの前身)の開発開始
1999∼2003年
・PCの低下価格化に拍車がかかり、
シンクライアントの魅力が薄れる
FMV-TC8200
1996年
・Oracle社がNetworkComputer構想
を発表
・第一次シンクライアントブームの始まり
小
2004年
・個人情報保護法施行前より、セキュリティ保全の
観点から、シンクライアントへの期待が高まる
● TCO削減とどこでも見られるのためのさまざまな仕組み(余分な機能を持たせないなど)が、
情報漏洩対策としての
仕組みとして合致
● ディスクレスPCと管理ソフトの組み合わせソリューションとして進化。別にハードのみのシンクライアント製品(ブ
レードPCなど)も出てきている
強化の観点からシンクライアントへの期待が高まり、現在に
報が印刷されて持ち出される」
「機密文書が他のファイルにコ
至っています。
ピーされて持ち出される」などのリスクがあります。
シンクライアントのコンセプトは、利用者の権限に合わせて、
シンクライアントのコンセプトとメリット
〈情報漏洩における資源の一括管理〉
使えるアプリケーション、使える機能を一括して設定すること
ができることです。メリットとして、ユーザーごとに印刷可/不
情報漏洩対策の第一課題は、
「分散してしまった資源・情報
可を設定することで顧客情報を扱うコールセンター担当者に
の一元管理」が困難であるという点です。漏洩から守るべき情
は印刷権を持たせないなどの制御が可能、テキストレベルで
報が多数のPCに拡散してしまっており、情報量の全体数が見
のコピー・ペーストの機能制限などにより、さまざまな形での
えなくなってしまうケースが多く、
また、企業の従業員のPCの
情報漏洩を防ぐことが可能です。
中に、他社情報・機密情報が整理されないまま、保存されてい
るケースも見受けられます。
シンクライアントのコンセプトは、
プログラム、データなどす
FMVシンクライアント
べての資源を一元管理しやすいシステムであるということです。
富士通のシンクライアントの端末には、デスクトップとノート
メリットとして、単にファイルサーバを設置して一元化を図るよ
の2機種があり、それぞれの特長は次の通りです。 りも、
クライアント自身の仕組みが一元化を前提としているため、
分散してしまった資源・情報の集約を加速することが可能です。
省スペースの小型デスクトップ型シンクライアント
〈情報漏洩におけるディスクレスPC〉
情報漏洩対策の第ニの課題は、
「漏洩する可能性そのもの
を物理的になくすこと」です。現状の問題として、PCそのもの
の紛失・盗難により内蔵ハードディスクとともに機密情報が流
出する可能性があります。またPCから外部媒体に保存した情
報が、媒体の紛失・盗難などにより、流出する可能性もあります。
シンクライアントのコンセプトは、ハードディスクやCD-R/
DVD-Rなどの外部記憶媒体を持たないシンプルなハードウェ
アにより、
端末の故障率の低下や設置の簡易化を図ることです。
PCそのものを紛失したとしても、もともと情報を保持してい
ないため流出の心配がまったくない、ハード的に外部媒体に情
概 略 仕 様
品名
FMV-TC5210
型名
FMVTC2210
CPU
メモリ
CF
VIA Eden 1 GHz
256MB
システム用に512MB フラッシュメモリ内蔵
報を移す手段そのものがないため媒体紛失による漏洩の心配
HDD/FDD/光ファイル
がまったくない、目に見える形での情報漏洩対策を打つことが
画面解像度
640×480、800×600、1024×768、1280×1024、
1600×1200/32 bpp
インターフェース
アナログRGB×1、RS-232C×1、パラレル×1、PS/2×2、
USB×4、LAN×1、スマートカード、ヘッドフォン
各1(システム(運用)にて使用制限可能)
出来る、
というメリットがあります。
〈情報漏洩における機能制限化〉
OS
情報漏洩対策の第三課題は、
「漏洩させないよう、利用者が
外形寸法/重量
やれることを制限すること」です。現状の問題として「機密情
使用環境
非搭載
Windows XP Embedded
246 × 177 × 48(mm) 約2kg
動作時:10 ℃∼35 ℃ 非動作時:-10 ℃∼60 ℃
TOP STORY / FUJITSU JOURNAL / MAR. 2006
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:51 PM ページ4
● シンクライアントシステム構築に必要最小限のOS、
アプリケーションを搭載
9.0、Systemwalker Desktop Patrol、FMV診断RDP5.1
など、
シンクライアントシステム構築に必要最小限のOSおよ
Microsoft Windows XP Embedded with Service
びアプリケーションソフトを内蔵フラッシュメモリに格納して
Pack2、
Citrix Program Neighborhood(ICA Client)9.0、
います。
Systemwalker Desktop Patrol、FMV診断、RDP5.1な
ど、
シンクライアントシステム構築に必要最小限のOSおよびア
● 軽量約1.22kgながら確かな信頼性と扱いやすさを実現
プリケーションソフトを内蔵フラッシュメモリに格納しています。
シンクライアント専用端末としてハードディスクを持っておらず、
また軽量化されたメインボードの採用などにより約1.22kgの
● スマートカード、
指紋認証に対応
軽量を実現しながら、耐衝撃性といった富士通独自の厳しい社
スマートカード専用スロットを標準装備。またオプションの指紋
内基準をクリアしています。液晶カバーや本体裏面など筐体
認証付OADGキーボードに対応しており、Windowsログオン
表面は段差のない「フルフラット・サーフェス」とし、鞄などへ
やCitrix Presentation Serverへのログオン認証が行えます。
の出し入れの際もスムーズに取り扱えるようにしています。
● 各種I/O、
インターフェースの利用抑止が可能
● 内蔵指紋センサーなど、
充実のセキュリティ機能
操作上必要となるマウスやキーボードを除き、情報漏洩の原
別売りのバイオ認証装置との連携により、内蔵指紋センサー
因となるUSBメモリなどのI/Oは、ハードディスクレスのためド
によるWindowsログオンやCitrix Presentation Server
ライバ/ユーティリティのインストールが制限されます。また各
へのログオン認証が行えます。同じく内蔵FeliCa対応リーダ
種インターフェース自体を「Portshutter」などによって利用
/ライタやスマートカードホルダーをカスタムメイドで選択す
抑止することで高セキュリティ環境を構築できます。
ることにより、カードによるW i n d o w sログオンや C i t r i x
Presentation Serverへのログオン認証が行えます。
● シンクライアント専用端末として省スペース・静音性を実現
その他、起動時に認証を行うセキュリティボタンなど、多彩なセ
シンクライアント専用端末としてハードディスク、
フロッピィディ
キュリティ機能を装備しハードディスクレスによるセキュアな環
スクドライブ、光ディスクドライブを持っておらず、
また消費電力
境を強化することができます。
の少ないCPUを搭載することによりファンレス設計となって
おり、省スペース・静音性を実現しています。
● ワイヤレスLAN・無線通信カード双方に対応
カスタムメイドでIEEE802.11a/gワイヤレスLANに対応。
軽さ1.22kg、セキュアなモバイル運用を実現する
12.1型B5ファイルモバイルシンクライアント
また各種無線通信カードによるモバイル通信に対応しています。
● 各種I/O、
インターフェースの利用抑止が可能
操作上必要となるマウスやキーボードを除き、情報漏洩の原
因となるUSBメモリなどのI/Oは、ハードディスクレスのためド
ライバ/ユーティリティのインストールが制限されます。また各
種インターフェース自体を「Portshutter」などによって利用
抑止することで高セキュリティ環境を構築できます。
概 略 仕 様
システムへの不正アクセスを防ぐ
品名
FMV-TC8210
型名
FMVNTC2F
クライアント・セキュリティ機能について
インテル Celeron Mプロセッサ 383(1GHz)
次に富士通のこだわりであるセキュリティ機能についてご紹
CPU
メモリ
CF
HDD/FDD/光ファイル
画面解像度
インターフェース
OS
外形寸法/重量
使用環境
256MB / 512MB / 1GB
システム用に512MB フラッシュメモリ内蔵
介します。
非搭載
クライアントにデータを持たないシンクライアントシステム
1024×768/32 bpp
であっても、ネットワークサーバへの不正アクセスやデータ改
アナログRGB×1、USB×2、LAN×1、
PCカードスロット×1 / CFカードスロット×1、ヘッドフォン
各1(システム(運用)にて使用制限可能)
Windows XP Embedded
268 × 229 × 31.2(mm) 約1.2kg
動作時:5 ℃∼35 ℃ 非動作時:-10 ℃∼60 ℃
● シンクライアントシステム構築に必要最小限のOS、
アプリケーションを搭載
ざんなどの脅威への対策が必要不可欠です。
FMVシンクライアントは、
これらの脅威を排除するための多
彩なセキュリティ機能に対応しています。
①FeliCa対応リーダ/ライタ
非接触ICカード技術方式「FeliCa」に対応したリーダ/ライタ
Microsoft Windows XP Embedded with Service
を本体に内蔵。カード本体をタッチするだけで手軽に確実な認
Pack2、Citrix Program Neighborhood(ICA Client)
証を行うことが可能です。
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:51 PM ページ5
同カードは多用途に流用可能なため、社員証、入退室管理
可能なため、業務上必要な機器を接続しつつ、セキュリティを
システム、食堂清算システム、そしてPCセキュリティ管理な
低下させる恐れのある機器は無効にすることができます。
ど、企業における包括的なマネジメントシステムを構築でき
ます。
②指紋センサー
⑥BIOSパスワード
指紋認証は、
なりすましが難しいため個人の特定に適し、
また「盗
正しいパスワードを入力したときのみ、
OSの起動およびBIOS
難」や「置き忘れ」が発生しないため利便性に優れたセキュリ
の設定変更が可能。利用者用のユーザーパスワード、管理者
ティです。富士通独自の「適応型特徴相関法」で指紋を特殊
用のスーパーバイザーパスワードを用意しています。
データ化するため、指紋の画像自体は保存されず、データから
の指紋再現も不可能です。
⑦盗難防止用ロック取り付け穴
本人受理率99%以上、他人受理率0.002%以下の精度で本
ワイヤーロック(別売)の鍵取り付け穴を装備。本体の盗難を
人を認証します。
防ぎます。
※本機能の利用にあたっては、別売の「バイオ認証装置」が必要になります。
高信頼性への取り組みについて
次に富士通の高信頼性への取り組みについてご紹介します。
③スマートカード
ICチップ内蔵の接触型スマートカード(ISO/IEC7816準
〈厳選した部品の採用〉
拠)内にセキュリティ情報を格納。カードとPIN(Personal
安全、高信頼性の実現に向け、部品の採用段階から厳しい評
Identification Number)入力で利用者の認証をします。
価を行い、最良の部品を採用しています。
〈使用環境への配慮〉
FMVシンクライアントは電磁妨害波規格VCCI(情報処理
装置等電波障害自主規制協議会)に適合し、米国安全規格
UL1950に準拠しています。また、オフィスへの設置に配慮
した静音設計を行い、さらに非梱包状態での振動試験を行う
④セキュリティボタン
など使用環境にも配慮しています。
本体に装備された4つのボタンの組み合わせにより認証を行
うセキュリティ。設定した認証番号通りボタンを押すまで、電源
を入れることができません。認証番号は80万通りを超える組
み合わせが設定できます。
〈安定稼働への配慮〉
装置の安定稼働のために熱流体解析を行い、装置内部の高
発熱ユニットの放熱について設計段階から配慮しています。さ
らに、接合部品(メモリなど)には接触提供や異種金属接合の
影響を最小限に抑えるコネクター(金メッキ/同質素材)を採
用し、抜け防止や誤挿入防止機能も取り入れ、安定稼働を実現
しています。
〈システム試験〉
⑤Portshutter
高電圧/低電圧のIDC電圧変動やカタログ仕様での保証温
USB、PCカード、
シリアル、パラレルなどの各ポートの使用を
度を超えた温度環境下といった高負荷環境下でのシステム試
制限するツールです。USBは機器ごとに有効/無効の設定が
験を行っています。
TOP STORY / FUJITSU JOURNAL / MAR. 2006
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:51 PM ページ6
富士通が提供する
2つのシンクライアント・ソリュ−ション
バからシンクライアントのメモリ上にダウンロードして実行す
る方式です。
富士通では、
シンクライアント向けに2つのソリューションを
● 情報漏洩対策
ご提供しています。
クライアントが使用する資源はすべてBTサーバで一括管理。
Citrix Presentation Server4.0
(旧:MetaFrame)
これらの資源がクライアントのメモリ上にダウンロードされる
のはクライアント稼働時のみであるため、
クライアントには一
サーバ・ベース・コンピューティング・ソフトウェアで、サーバ
切データが残りません。
上でクライアントアプリケーションを動作させ、
クライアントに
は画面情報のみを転送表示させる方式のため、
クライアント側
● クライアント管理コスト削減
には実データを持たない方式です。
およびサーバリソースの縮小が可能
クライアントごとに管理していたアプリケーションをサーバに
● 情報漏洩対策
集約。バージョンアップやパッチの適用などはサーバ側のみ
クライアントには一切データが残らず、同時に情報リソースは
の対応で済むため、管理コストの削減ができます。また、アプ
万全なセキュリティを施したサーバに集約できるため、極めて
リケーションはクライアント上で実行されるため、パフォーマ
安全な情報システムを実現。
ンスはクライアントのスペックに左右されます。従ってサーバ
側は必要最小限のリソースで運用可能です。
● クライアントPCの管理コストの大幅削減
■ 図4 BT Administration Server システム概略図
クライアントごとに管理していたアプリケーションをサーバに
集約。バージョンアップやパッチの適用などはサーバ側のみの
対応ですむため、管理コストが大幅に削減できます。
Solaris/Linuxサーバ
サーバ機能
・クライアント監視機能
・リモート電源ON/OFF
・リモートメッセージ送信
● 既存のWindows資産を有効活用
既存システムのWindows資産は有効に活用できます。
サーバ機能
クライアント機能
※アプリケーションによっては動作しない場合もあります。
クライアント機能
・シンクライアントOSはLinux
・ブラウザ、Windows(ICA)、
Xnest、Java機能標準搭載
ダウンロード実行
実行
● 狭帯域ネットワークでも利用可能
C
i
t
r
i
x社独自のICA
(Independent Computing Architecture)
プロトコルにより、モバイルやWANなどの狭帯域ネットワーク
環境でも利用可能です。
さまざまなPCをシンクライアントに
■ 図3 Citrix Presentation Server4.0 システム概略図
導入事例
データセンター側
株式会社オーエムシーカード様
(株)オーエムシーカード様は、2005年11月より、指紋認
ファイル
サーバ
オフィス側
Client
APL
Client
APL
IAサーバ +
Presentation Server
証装置を搭載しハードディスクを搭載しないモバイルシンク
ライアント「FMV-TC8210」を、全社営業社員など約300
System
Data
ICA
W
A
N
名が業務に携行するクライアントとして使用していただいて
シンクライアント
おります。なお、指紋認証装置を搭載しハードディスクを搭載
しないモバイルシンクライアントの導入は、国内で初めての
ICA
事例です。
仮想クライアント
Windows PC
業務サーバ
サーバ集約
〈システム導入の背景〉
2005年4月より個人情報保護法が全面施行され、個人情
BT Administration Server(BTAS)
報保護に関する消費者意識は、急速に高まっています。しかし、
そのような中でも個人情報の流出や漏洩事件が相変わらず世
ネットワークブート型の基本ソフトウェアで、
クライアント側
間を賑わしており、大量のお客様の情報を管理する企業にとっ
で動作させるOSやアプリケーションなどの資源をサーバ(BT
ては、
こうしたリスクからお客様の個人情報をいかに安全で適
サーバ)に持たせ、
クライアント起動(ブート)時に資源をサー
切に保護するかということが重要な課題となっています。さら
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:51 PM ページ7
これらの取り組みにより、
(株)オーエムシーカード様では、
■ 図5(株)オーエムシーカード様セキュリティ概要
個人情報の漏洩への対策を強化しております。
生体認証+ワンタイムパスワードにより、 シンクライアントPCの為
認証基盤強化
HDDレス
データはコンピュータセンターの
サーバに保管
HDDが無いので万が一の
際も情報漏洩しません
富士通社内での活用
データは
サーバ保管
P
H
S
回
線
網
富士通では現在、セキュリティ強化の観点から各部門でシ
ンクライアントの導入を検討中です。
なかでも役員システム(スケジュール管理、メール、各種決
裁業務など)においては機密情報を取り扱うことが多いこと
もあり、2006年2月より黒川社長自らが率先しモバイルシン
クライアントの活用を開始しました。黒川社長は従来、セキュ
情報漏洩対策内容
● 生体認証+ワンタイムパスワード
指紋による生体認証(なりすまし防止)+ワンタイムパスワード(所持による認証)
リティのためにノートPCを持ち歩かないようにしていました
が、モバイルシンクライアントでは外出先などで利用すると
同時に、セキュリティ面と使いやすさの改善について、実際の
● シンクライアントPCによる情報漏洩対策
利用者の視点で率直な意見を出してもらいます。役員シス
究極のセキュリティ対策「データを持たない!」を実現させたシンクライアントPCによる
情報漏洩対策
テムについては今後、モバイルシンクライアントの2006年
● 指紋データのセンター管理
センター側で認証データを管理する事により、指紋データの改竄を不可能とする
4月から他役員への本格展開を予定しています。
また、富士通自身がお客様情報を確実に守るためには、社
員一人ひとりがプロフェッショナルとしての意識を高めるこ
に、個人情報流出の多くは、書類やモバイルPCの紛失や盗難
とは勿論ですが、セキュリティレベルをさらに高めるよう自分
を原因とすることが多く、
モバイルPCにどのようなセキュリティ
たちの仕事のやり方そのものも、それぞれの現場で進化さ
対策を施すかが、
大きな課題となっています。
せていかなければならないと考えます。そのひとつの手段と
して、フィールドSE部門、検証センター部門などでは2006
〈システム導入の効果〉
年度よりシンクライアントシステムの導入を検討中です。
(株)オーエムシーカード様が導入されたモバイルシンクラ
お客様のセキュリティに対する考え方、適用の姿勢はすで
イアントは、
情報を蓄積するハードディスクが搭載されておらず、
に高いレベルへシフトしています。お客様以上に高いセキュ
営業社員などが当クライアントを携行して業務を行う際には、
リティ意識を富士通自身が持ち、それを実現する方法を自分
ネットワークを経由してサーバとの間でお客様の個人情報の
たちで実証するための取り組みを続けています。
やり取りを行います。そのため、当クライアント内には情報が蓄
積されず、
万が一、
当クライアントを紛失したり、
盗難に遭っても、
情報漏洩を防ぎます。
加えて、当クライアントには、指紋認証装置を搭載しており、
今後の取り組み
富士通は今後もセキュリティ強化、情報漏洩対策の実現を図
端末やアプリケーションを起動する際には、指紋認証による本
るため、お客様にとって使いやすいシンクライアントをご提供
人確認を行うことで、
セキュリティを強化しています。
してまいります。
(株)オーエムシーカード様では、
このシステムを活用する
現在ご提供しているハードウェア2モデルについては、最新
ことで、これまでの業務に影響を与えることなく、情報漏洩
技術をベースにモバイル型は軽量&セキュリティ機能の充実、
対策を強化します。OMCカードをお使いのお客様のみなら
デスクトップ型は省スペース・静音性の追求を図ってまいります。
ず、取引先様、加盟店様への情報漏洩に対する不安を軽減し
また現在2モデルのラインナップの拡大についても鋭意検討
ます。
してまいります。
ソフトウェアについては、セキュリティ強化の一環として、手
〈その他のセキュリティに対する取り組み〉
のひら静脈認証装置との連携や各認証基盤(指紋、スマート
(株)オーエムシーカード様は、指紋認証装置を搭載しハード
カード、FeliCa)によるアプリケーションログオン機能のサポー
ディスクを搭載しないモバイルシンクライアントの導入に合わ
ト(現状はシステムログオン対応)など、
セキュアなシステムの
せて、
これまで社員が事務所にて使用していた、持ち運びが容
実現や、利便性を実現するシングルサインオンなどの機能強
易なノートPC約1,200台を廃止し、持ち運びにくいデスクトッ
化を図ってまいります。
プPCへ切り替えます。
加えて、富士通の「非接触手のひら静脈認証装置」を導入し
ます。PCやアプリケーションを起動する際には、手のひらの静
お問い合わせ先
脈認証による本人確認を行うことで、さらなるセキュリティの
富士通(株)パーソナルマーケティング統括部
強化を行います。
TEL 03-6252-2703
TOP STORY / FUJITSU JOURNAL / MAR. 2006
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:51 PM ページ8
特 集
「GLOVIA-C」
により連結決算を効率化、
経理業務のスピードアップと
精度向上を実現
京福電気鉄道株式会社 様
京都における観光産業の一翼を担う京福電気鉄道(株)様では、競争
力強化とスピード経営を進める一環として、連結決算の早期化、
データ
の活用などを目的にシステムを刷新。さまざまな課題を解決する新シス
テムとして選ばれたのが「GLOVIA-C」でした。主なグループ会社と
「GLOVIA-C」を共有し経理業務のスピードアップと精度向上を図り、
月
次と連結決算の大幅な効率化を実現しています。
管理本部 部長
管理本部 主任
長尾 拡昭 氏
松田 康弘 氏
連結決算とデータ活用のために
システムを刷新
蓄積されたデータの活用も進んでいます。
「予算と実績を
世界遺産にも選ばれている著名な寺院を結んでいる嵐山線、
単に抽出できます。さらに、データビューアーで確認したい点
通称「嵐電(らんでん)」を経営しているのが京福電気鉄道(株)
様です。運輸開始から100年の歴史をもつ同社がIT化を開始
対比するためのレポートであれば、GLOVIA関数を使って簡
をドリルダウンでき、大変便利だと思います」と、松田氏は
「GLOVIA-C」の高度な機能を認められます。
したのは1988年のことです。富士通のオフコンKシリーズを
「GLOVIA-C」に用意されている帳票の電子化機能により紙
導入し、それまで手作業だった経理業務などを電算化されまし
「たとえば、勘定科目ごとの元帳
出力も大幅に削減できました。
た。その後、2002年頃に、競争力の強化とスピード経営を目
を毎月約500枚出力していましたが、
これらがまったく不要に
指し事業の統廃合や子会社への業務委譲を積極的に進める中、
なりました」と、松田氏は語られます。会計士による監査でも
四半期決算の公開やグループ会社との連結決算の早期化など
「GLOVIA-C」からデータを確認するだけで済むようになりまし
決算処理のスピードアップと精度の向上が課題となり、
システ
た。
「FDWH(Financial Data WareHouse)は3年蓄積で
ムの見直しに着手されることになりました。
きるようにしています。1年目でこれだけ使えるのですから、3
「データ活用の実現」と「連結決算への対応」という大きく
年先はデータ活用が充実すると思います」と、松田氏は楽しみ
2 つ の 条 件にもとづき選 定を 重ね た 結 果 、
「GLOVIA-C
にされています。
会計パッケージ」が採用されました。
「経理業務の効率化や
今後について「使える人間が限られており浸透していない
データ活用はもちろん、前機種も富士通製品でした ので、
「GLOVIA-C」ならデータ移行も問題ないだろうと判断しまし
のが現状です。できれば役員も含め欲しい情報に自在にアク
セスできるようにしたいと考えています」と、松田氏は抱負を
た」と、選定の理由を松田氏は語られます。同時に、連結決算
述べられます。
「連結の強化も課題として残っています。まだ
のために「GLOVIA-C」のファミリー製品「CA-DRIVER」も
まだ手作業に頼っているところがあり、各社のレベルが統一
採用されました。
できていません。また現在、固定資産管理などはオリジナル
月次と連結決算処理の
大幅な効率化を実現
のシステムを「GLOVIA-C」に連携させて使っていますが、
「GLOVIA-C」シリーズでこれらも統一していくことができた
らと考えています」と、長尾氏も展望を語られます。
2004年4月から新システムは稼働を開始。グループの中
で最大規模の京福電気鉄道(株)様と京福バス(株)様の2社
には共有ライセンスでそれぞれ「GLOVIA-C」を導入。さらに
京福電気鉄道(株)様側に「CA-DRIVER」を導入することで、
スムーズな連結決算処理を実現されています。
「「GLOVIA-C」
の導入で点と点を結んで線にできました。それまで連結処理
はすべてExcelによる手作業でしたが、
グループ会社の財務
データを自動取り込みできるようになりました。もちろん、経理
業務も効率化できました。月次処理は福井の事務所と京都本
社でそれぞれに入力し、さらに本社側で合算していました。い
までは一元的に処理でき、大幅に短縮されています」と、
シス
テムの効果を長尾氏は語られます。
製品紹介
GLOVIA-Cに関する詳しい情報はこちらへ
http://glovia.fujitsu.com/
GLOVIA-C導入事例
http://glovia.fujitsu.com/jpccs.htm
GLOVIA-C製品情報
http://glovia.fujitsu.com/jpcpi.htm
GLOVIA-C CyberSeminar
http://glovia.fujitsu.com/jpccy.htm
GLOVIA-C FeatureStory
http://glovia.fujitsu.com/jpcfs.htm
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「GLOVIA/SUMMIT」により
会計情報の戦略的活用、
連結決算の早期化へ
国分株式会社 様
酒類・食品卸売業最大手の国分(株)様では、基幹業務システムの全
面再構築に合わせて会計システムを刷新。旧システムでは導入初期
のカスタマイズや度重なる改修によりメンテナンス性が低下し、新たな
業務要件への対応も困難に。そこで富士通の会計統合ソリューション
「GLOVIA/SUMMIT」を導入。会計情報の戦略的活用、連結決算の
早期化、
グループ経営の最適化を図られています。
情報システム部
システム企画担当
兼 BPR推進担当 部長
経理部 課長
鈴木 公一 氏
板東 直人 氏
BPRを支える新会計システムに採用
通常の締日の後でも大量のデータを一括登録できる仕組み
約300年にわたる歴史を誇る酒類・食品卸のリーディング・
を構築することで、手間をかけることなく最新の情報を帳簿
カンパニー、国分(株)様では、業務プロセス改革を推進し市場
上に反映することができます。鈴木氏は「いままでは決算処
環境変化への即応を果たすために、2003年より基幹業務シ
理のためのデータを揃えるところで、相当の工数を要してい
ステムの再構築プロジェクトに着手。プロジェクトの実施にあ
ました。しかし「GLOVIA/SUMMIT」と他の業務システムと
たっては会計業務の刷新も大きな課題となりました。旧システ
の連携が進めば、
この分の時間は確実に短縮できる。自然と
ムは構築からすでに10年が経過し、度重なる改修でシステム
決算日程短縮につながっていくと確信しています」と、力強く
が複雑化しメンテナンスも非常に行いにくくなっており、
さらに
語られます。
経理部門における業務標準化の推進や、会計情報の分析・活
現在、同社では「GLOVIA/SUMMIT」の複数会社機能を利
用といった新たな課題も生じていました。
用し、
グループ企業33社の会計業務を同一システム上で稼働
同社では、市場環境変化 へ の 対応と経理部門 の業務改
させています。
「関連会社も当社と同じ卸売業が多いので、そ
革、会計データの戦略的活用などの要件を満たす会計パッ
れほど苦労することなく「GLOVIA/SUMMIT」への集約が可
ケージの選定を重ね、その結果、富士通の会計統合ソリュー
能でした。今後は製造業や小売業など、異業種の関連会社の
ション「 GLOVIA/SUMMIT 」を採用。
「 当社 の方向性と
会計業務も「GLOVIA/SUMMIT」へ順次統合し、連結決算・
「GLOVIA/SUMMIT」のコンセプトである「財務会計と管理
連結経営のスピード化に貢献していきたいと思っています」と、
会計の完全一致」や「高速・大容量」、
「外部システムとの連携
鈴木氏は語られます。最終的には連結子会社42社の会計業
のしやすさ」などが一致しているとの判断でした。また経理部
務がすべて「GLOVIA/SUMMIT」に集約される予定です。
「こ
長としては富士通が描く「今後の経理部門のあるべき姿」に
れからのテーマを一言で述べれば「会計データを経営に活かす」
ついても多いに共感したようですね」と、板東氏は振り返られ
ということに尽きます。そういう意味でも、
「GLOVIA/SUMMIT」
ます。
「もう一つ関心を持ったのが人手を介さず自動的に仕
のような、大量の会計情報を自在に活用できる器が加わったこ
訳を行う「完全論理仕訳」機能です。これまでは現場部門が起
とは大きいと感じています」
(板東氏)
票したデータを、経理部門でチェックしてからシステムに投入
約300年の長きにわたり業界をリードし続けてきた国分(株)
していたため、劇的に業務を改善することが困難でした。しか
様。
「GLOVIA/SUMMIT」はその新たな飛躍を支えていき
し日常的な業務活動をそのまま仕訳につなげられれば、大幅
ます。
な合理化が図れるだろうと期待しました」
(鈴木氏)
連結決算・連結経営のスピード化に貢献へ
2005年7月より本番稼働がスタート。
「GLOVIA/SUMMIT」
により会計データ活用の自由度が飛躍的に向上しました。
「GLOVIA/SUMMIT」のFDWH(Financial Data WareHouse)
にすべてのデータが集約されており、全事業所から特定の勘
定科目のデータを瞬時に抜き出すといった作業も容易です。
また経理部門の業務効率化も実現。Excel連携機能を活用し、
製品紹介
GLOVIA/SUMMITに関する詳しい情報はこちらへ
http://glovia.fujitsu.com/
GLOVIA/SUMMIT導入事例
http://glovia.fujitsu.com/jpscs.htm
GLOVIA/SUMMIT製品情報
http://glovia.fujitsu.com/jpspi.htm
お問い合わせ先 富士通(株)
GLOVIA事業本部 事業企画部 TEL 03-6424-6238
特集 GLOVIA / FUJITSU JOURNAL / MAR. 2006
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行政システム最適化に向けた取り組み
我が国では、中央府省において「業務・システム最適化計画」の策定が進ん
でいます。
これは府省の業務を標準化し、
最適化された業務に見合った情報
システムを構築することで無駄な投資を排除し、
コスト削減を実現する取り組
みです。自治体においても、
国と組織形態は異なるものの、
多くの部局課室や
出先機関を持っていることから、
組織間で類似する業務やシステムの重複が
少なからず発生している可能性があります。富士通では、
行政分野のお客様
向けに「行政システム最適化コンサルティングサービス」をご提供し、
多くのお
客様にご活用いただいております。
ここでは、
富士通が考える行政システム最
適化の取り組みについてご紹介します。
いま、地方自治体は厳しい財政状況の中、住民サービスの
検討手順
向上と同時にコスト(業務コストおよびITコスト)削減が求め
られています。その実現のためには、現行の業務・システムを
行政システム最適化に向けた検討手順の例を以下に示し
評価し、業務の合理化や情報システムの規模・機能の適性化、
ます。
アウトソーシングの活用などにより、
コストを最小限に抑えて
サービスの効果を最大限に引き出していくための戦略および
①現行業務の調査、分析
計画の策定が重要です。
現行の業務について、業務フローを作成し、業務プロセス分
富士通では、2004年7月よりEA(Enterprise
Architecture)※1
析を行います。業務プロセス分析では、業務コストに加えて、
手法を用いて中央府省や地方自治体など行政分野のお客様の
業務の正確性や継続性、
セキュリティなどの観点から問題点を
業務改革やシステム刷新を支援する「行政システム最適化コ
抽出し、評価を行います。
ンサルティングサービス」※2をご提供し、多くのお客様にご活
用いただいています。ここでは、
これまで携わった行政システ
②情報システム調査
ム最適化の豊富な経験・実績にもとづき、富士通が考える自治
情報システムの概要、構成、費用、セキュリティ対策の実施
体における行政システム最適化に向けた検討手順および取り
状況などについて調査します。主な調査項目を以下に示しま
組み内容についてご紹介します。
す(図1)。
■ 図1 情報システム調査項目
行政システム最適化の課題
我が国では、中央府省において「業務・システム最適化計画」
調査項目
情報システムの概要
概 要
運用主体、導入時期、導入目的、処理する業務内容など
情報システムの構成
機器構成、ネットワーク構成、
データ体系など
利用技術・製品
現在、各システムで利用している技術、製品名(パッケージ)
情報システムに係る
運用費用
人的コスト、委託コスト、その他保守管理費用など
コスト削減を実現する取り組みです。EA手法を導入することで、
業務処理内容
処理件数、処理頻度、対象範囲、業務フロー、連携するシステムなど
これまで府省ごとに別々の手法により個別にシステムを調達し
情報セキュリティ対策
データ管理方法、
セキュリティ対策など
てきた実態を見直し、全体最適を指向したシステム調達を推
情報システムの評価
信頼性、柔軟性、使用性など
進することになっています。
技術および運用における 拡張性、データ連携、障害対応、費用対効果、外部委託経費の
妥当性など
課題
の策定が進んでいます。これは府省の72分野の業務(共通業
務21業務、個別業務51業務)を標準化し、最適化された業務
に見合った情報システムを構築することで無駄な投資を排除し、
自治体においても、国と組織形態は異なるものの、多くの部
局課室や出先機関を持っていることから、組織間で類似する業
③先進事例調査
務やシステムの重複が少なからず発生している可能性があり
他自治体における事務改革事例を調査するとともに、国
ます。特に、財務会計業務や庶務事務、文書管理業務、住民か
内外におけるシステム化の動向および事例について調査し
らの相談対応業務といった庁内各部局の共通業務を標準化し、
ます。
組織全体でのデータの戦略的活用の観点から、関連する情報
システム間のデータ連携やデータ共通化を図っていく必要が
④データモデリング
あります。また、行政システム最適化の継続性を担保するため
関連する業務・システム間でやりとりされているデータにつ
に、
こうした業務・システムの最適化にあわせて、今後、庁内各
いて調査し、
データ項目の正規化・標準化を行うとともに、
デー
部局が情報システムを導入・運用する際に準拠すべき手順や
タ項目間の関連性をER図を使って可視化します。また、業務・
技術標準、運用基準などを定めた「標準」
(システム設計・開発
システムをデータ管理の観点から最適化するために、情報の
標準、
プロジェクト管理標準、適用技術標準など)を策定するこ
一元化や、関連システム間でのデータ連携処理のあり方につ
とも喫急な課題です。
いて検討します。
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⑤業務・システムの将来像策定
可能となり、事務の効率化が期待できます。また、部局課ごと
現行の業務を「簡素化」、
「集約化」などの観点から見直し、
に保有していた手当の認定権限などを制度所管課(総務事務
新業務フローを作成します。また、業務改革に伴う規則・規程
センターなど)に集約させることで、部局の業務プロセスの削
などの制度改正の考え方や将来像にもとづく業務コスト低減
減が期待できます。一方で、職員情報などのデータベースの一
効果の積算を行います。
元化によって、
データの多重管理をなくすことにより、
データ領
⑥「標準」の策定
ため、庶務事務の集約化を後方から支援し、効率化効果をさら
情報システムの開発・運用、付随する管理項目や手順の標準
に高めることが期待できます。
域の効率的利用の実現やデータ最新化の容易性が確保できる
化を行うため、
システム設計・開発標準、
プロジェクト管理標準、
●「標準」の策定
(適用技術標準(TRM))
適用技術標準などの「標準」を策定します。
TRMは、組織内の情報システムで利用する技術を定義した
行政システム最適化に
向けた提案
モデルであり、利用技術の統一による運用管理コストの低減や、
標準技術の採用による調達の公平性などの効果が期待されます。
以下に、行政システム最適化に求められる取り組みをご紹介
TRMは、TRM本文と技術一覧表から構成されます。TRM
します。庁内共通業務の最適化について、庶務事務を例にご説
本文には、技術分類と解説を記述し、技術一覧表には、技術分
明します。また、
「標準」の策定について、そのひとつである適
類ごとの採用すべき標準技術の一覧を記述します。技術分類は、
用技術標準(TRM)を例にご説明します。
業務プログラムやオフィス業務で利用するプログラムが含まれ
る「アプリケーション」と、アプリケーションが動作するために
● 庁内共通業務の最適化
(庶務事務の将来像)
必要な「システム基盤」の2つに大きく分類できます。
「システ
庶務事務の将来像のイメージを図2に示します。
ム基盤」は、
アプリケーションを開発する際の基盤となるソフト
■ 図2 庶務事務の将来像
ウェアや開発環境を含む「アプリケーション開発基盤」、ユー
ザーや他システムへのサービスを提供する「サービス基盤」、
・服務関連申請
職員
職
員
ポ
ー
タ
ル
・給与関連申請
・旅費関連申請
・福利厚生関連申請
所属長
各種プログラム、サービスが動作するための「ハードウェア」に
既存システム
庶務システム
連
携
イ
ン
タ
ー
フ
ェ
ー
ス
分類し、合計で約250の技術分類について定義します(図3)。
給与システム
総
務
事
務
セ
ン
タ
ー
︵
仮
︶
財務会計
システム
※1:EA(Enterprise Architecture)
業務・システムの体系的な整理(最適化)を行う手法。
※2:富士通の「行政システム最適化コンサルティングサービス」については、以下のURLをご
参照ください。
http://segroup.fujitsu.com/consulting/social-infrastructure/
児童手当管理
システム
電子決裁
お問い合わせ先
発生源システムの導入
職員認証基盤
職員情報DB
データベースの
一元化
富士通(株)コンサルティング事業本部
TEL 03-6424-6226
発生源システムの導入により、従来紙で起票していた際に必
URL http://segroup.fujitsu.com/consulting/
要になっていた簿冊管理や集計、転記作業などをなくすことが
E-mail [email protected]
■ 図3 TRMの技術分類
アプリケーション
OAソフトウェア
e-ラーニング
業務ソリューション
アプリケーション開発基盤
アプリケーション基盤ソフトウェア
・Web基盤ソフト(Webアプリサーバ)・ワークフロー
・EAI
・ビジネスフロー
・帳票出力基盤ソフト
・グループウェア
開発標準(基盤フレームワーク)
開発環境(開発支援環境)
・統合フレームワーク
・個別フレームワーク
(制御、
システム共通フレームワーク)
・開発標準
・テストツール
・資産保守ツール
・プログラミング言語 ・構成管理ツール ・開発品質管理
・統合開発ツール
・モデリングツール
サービス基盤
シ
ス
テ
ム
基
盤
プレゼンテーション
&チャネルサービス
・プレゼンテーション(GUIなど)
・サービスチャネル
(モバイル/ワイヤレス、
WWWサーバなど)
・ネットワークチャネル
・コミュニケーションチャネル
・ロケール(国際化)
・帳票出力
・媒体出力
・マルチメディア処理
共通システムサービス
セキュリティサービス
・認証(認証基盤、PKI、
認証局など)
・ネットワークセキュリティ
(セキュリティホール検出、
ファイアーウォールなど)
・暗号化
・アクセス制御
・ウイルス制御
・コンテンツセキュリティ
・セキュリティ監視
・セキュリティ管理・監査
・データ交換
・メッセージング
・Webサービス
・電子メール
・帳票配信
・FAX配信
情報管理サービス
・DBMS
・レプリケーション
・ディレクトリ
・XML検索
・テキスト/イメージ検索
・BI
ネットワークサービス
・DNS
・ルーティング
・ロードバランス
・キャッシュ
・ネットワーク品質(QoS) ・プロキシー
プラットフォームサービス
・サーバOS
・クライアントOS
・コマンド/ユーティリティ
運用管理サービス
●監視系 ・稼働監視
・メッセージ監視
・障害監視
・性能監視
●運用系 ・資源構成管理
・ネットワーク管理
・自動運転
・バックアップ/リカバリ
・ライブラリ/媒体管理
・ログ管理
・アウトプット管理
ハードウェア
プラットフォーム、
ネットワーク機器
・クライアント機器
・モバイル端末
・WWWサーバ
・アプリケーションサーバ
・DBサーバ
・ストレージ
・周辺機器
・ネットワーク機器
・伝送路(LAN/WAN)
特集 e-Japan / FUJITSU JOURNAL / MAR. 2006
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∼「3つの“P”」をバランスよく提供∼
ミド ル ウェ ア
最前線
効果的なITIL導入を実現する
「Systemwalker」
ITサービスマネジメントのベストプラクティスとして、
運用管理の課
題解決に期待が集まるITIL※。企業内のコンプライアンス管理に
おいても重要性が認識されており、
日本版SOX法の施行を前に
して、
その重要性はますます高まっています。富士通は「People:
人/組織」、
「Process:プロセス」、
「Products:製品/ツール」
という、
「3つの“P”
」
をバランスよく備えたトータルなITILソリュー
ションにより、
その総合力の高さから効率的・効果的なITサービ
スマネジメントをお客様にご提供いたします。
■「3つの“P”
」をバランスよく備え
ITILソリューションを提供
■ 図1 富士通が提供するITSMソリューション
ITサービスマネジメント(以下、ITSM)の必要性を生み出す
即効性のあるITサービスマネジメント(ITSM)の導入を効率的・効果的に
実践するためのITILにもとづいたソリューションを提供。
要因には、IT投資に対する経営者の厳しい目、IT内部統制への
People:人・組織
要求などがあげられます。また、それらに加え、縦割りの組織、
属人的な仕事のやり方、マネジメントの不足といった日本特有
のIT運用の課題があります。
実践的なITSM研修サ ービス、な
らびに、ITサービスに精通したプロ
フェッショナル集団によるサービス
マネジメントノウハウ
研修サービス
サービス
マネージャー
お客様のニーズに合わせた
ITサービスマネジメント導入・
構築・運用サービス
これらの問題を解決するためには、
「3つの“P”
」にバランス
よく取り組むことが重要となります。
ITSM
ソリューション
富士通は即効性のあるITSMの導入を効率的・効果的に実
ITILにもとづく運用管
理システムを短期間で
導入できるツール群
ITSMツール
(Systemwalker)
践するため、ITILにもとづいた各種のソリューションをご提供
しています(図1)。
Process:プロセス
Products:製品・ツール
「Process」としてITSMの導入・構築・運用を実現するサー
験が反映され、企業内のコンプライアンス管理への対応も可
ビス群である「ITSMソリューション」、
「People」として「ITSM
能です。インフラからアプリケーションまでカバーし、
コンサル
研修サービス」や、サービスマネージャーによるお客様への人
ティングから開発・運用までを一貫してご提供いたします。
的支援、
そして「Products」としてITILにもとづく運用管理シス
「People」については、ITサービスに精通したプロフェッショ
テムを短期間で導入できるツール群である「Systemwalker」
ナルによるサービスマネジメントノウハウを、豊富に備えてい
をご提供しています。この「3つの“P”
」をバランスよく備えた
ます。また、それらのノウハウを反映した実践研修をご用意。こ
トータルソリューションで、
お客様のご要望にお応えします。
れは日本で初めてとなる、実践的なITIL教育コースとしてご提
「Process」にあたる「ITSMソリューション」は、富士通グ
供をしています。
ループの持つ広範囲なノウハウの集大成である「富士通ITSM
「ITSMソリューション」は、富士通が長年培ってきたノウハウ
■ 統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」
実践的な“How To”を実装
をITILに沿ってより実践的に体系化したものです。富士通の豊
「Products」にあたる「Systemwalker」は、ロングセラー
富なアウトソーシングビジネスでの実績、英国でのITIL適用経
の統合運用管理ソフトウェアです。現在のバージョンは、
アプリ
テンプレート」をベースに、
サービスを構成しています。
■ 図2「Systemwalker」のコンセプト
PSM(Policy-based Systems Management)アーキテクチャー
ポリシーベースで企業のITシステムを管理することで、
ビジネス環境の変化に即応し、
ビジネス継続を支えるシステム運用を実現
業務と運用の
サービス品質の
可視化/分析/改善
ビジネスの視点で
ITシステム全体を
把握/制御
サービスを止めずに
自律的にシステム構成を変更
※企業ごとの業務運用方針・方法
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■ 図3「Systemwalker」によるソリューション
ITサービス管理のベストプラクティス=ITIL(IT Infrastructure Library)にもとづき、
日々のITサービス管理作業をトータルでサポート
サービスレベルレポート
Systemwa
l
kerIT Serv
i
ce Management
サービス
デスク
インシデント
管理
問題管理
変更管理
リリース
管理
構成管理
ITILにもとづく作業プロセス
ITサービス管理
Systemwalker IT Service Management
IT資産管理
Systemwalker IT Asset Manager
リリース制御/構成把握
Systemwalker Centric Manager
Systemwalker Desktop Patrol
統合監視/復旧支援
Systemwalker Centric Manager
ICT※インフラ
※ICT:Information and Communication Technology=情報通信技術
ケーション運用の自律化に加え、ITILに沿った運用を可能にし
そこで富士通は、
まず、
「ITSMソリューション」の簡易診断サー
ています。
「Systemwalker」は、以下の3つの要素からコン
ビスをご提供しました。ITILベストプラクティクスとの「フィッ
セプトを形成しています(図2)。
ト&ギャップ分析」により、現行運用管理プロセスを可視化し、
また、プロセスごとに成熟度をポイント化しました。さらに、即
①業務と運用のサービス品質の可視化/分析/改善を
図る「サービス管理」
効性と効果を考慮した優先度づけを行い、改善の円滑な遂行
と短期間での効果が得られるよう、問題解決のための提言を
②サービスを止めず自律的にシステム構成を変更して
継続性を保つ「リソース管理」
行いました。
③ビジネスの視点でITシステム全体を把握/制御する
「エンタープライズ管理」
セスの自動化を実施しました。
次に、提言にもとづき、
「Systemwalker」による運用プロ
システム監視ツール、エンドユーザーからのコール、さらに
Webブラウザを用いたエンドユーザー自身による直接登録に
「Systemwalker」は、お客様のポリシーに沿って3つの要
より、全社のインシデント情報を「Systemwalker」に集約し
素を連動させることで、
ビジネス環境の変化に即応し、
ビジネ
ました。これにより部署ごとに点在していたインシデント情報、
ス継続を支えるシステム運用を実現します。
対応ノウハウ情報が一元化され、部署を跨ったノウハウの有効
今回は「サービス管理」にフォーカスして、
「Systemwalker」
活用が可能となりました。また、
システム監視ツールとの連携や、
によるソリューションをご紹介します(図3)。
担当者への自動エスカレーションなどにより、ITILに沿った運
ITILの「サービスサポート」では、
インシデント管理から問題管
用プロセスの効率化も可能となり、ITサービスのサービスレベ
理、
変更管理を、
サービス管理の中核となる製品「Systemwalker
ル向上と、ITシステムの運用コスト削減に成功しています。
IT Service Management」がシームレスに管理します。ま
た、
リリース管理は「Systemwalker Centric Manager」と
「Systemwalker Desktop Patrol」が担います。そして、
両製
■ 富士通は豊富なノウハウとプロダクトで
お客様のITIL適用を強力にバックアップ
品が収集したインベントリ情報は「Systemwalker IT Asset
一般的に、
ITILには具体的な“How To”が多いとは必ずしも
Manager」に集約することができ、最新のインベントリ情報に
言えません。また、英国生まれのITILを日本の企業にそのまま
もとづく構成管理を実現します。さらに、各製品を連携・連動さ
適用することは難しいとも言われています。このようなお客様
せることができ、
ITILに沿った効率の良い運用を実現します。
の悩みに対して、富士通は「3つの“P”
」でお応えし、お客様の
また、
「Systemwalker」とサービス群である「ITSMソリュー
ITIL適用を強力にバックアップいたします。
ション」を組み合わせることで、
「富士通ITSMテンプレート」に
もとづいた、
より実践的な“How To”を製品機能として実装す
ることができます。これにより即効性のあるソリューションを短
期間で導入することが可能となります。
※ITIL(IT Infrastructure Library)
1980年代後半に英国政府機関が作成した、IT運用管理の業務プロセスと手法を体系的
に整理したガイドライン。ITILは、運用管理のベストプラクティスとして現在注目されてお
り、次の3つを目的にしています。
・日々変わるビジネスニーズに、ITサービスを対応させる
・ITサービスを向上させる
・サービスを実行するための費用を削減する
■ 簡易診断から重要課題を抽出
「Systemwalker」でシステム化
ある製造業のお客様の事例をご紹介します。このお客様は、
お問い合わせ先
従来、組織ごとに縦割り型の運用管理を行っていました。この
富士通(株)プラットフォームソリューションセンター
ため、
「ヘルプデスク部門が組織ごとに設置されている」、
「同
プロダクトマーケティング統括部 ミドルウェア部
じトラブルが異なるシステムで繰り返し発生する」などの問題
TEL 03-6252-2661 FAX 03-6252-2952
がありました。
URL http://systemwalker.fujitsu.com/jp/itsm/
ミドルウェア最前線 / FUJITSU JOURNAL / MAR. 2006
EGD0462_060220[1-16] 06.2.20 6:51 PM ページ14
先端技術の紹介
ユビキタス時代の情報サービスの可能性を拓く
∼ICT利活用の新たなビジョンの確立・具現化へ∼
いつでもどこでも誰もがネットワークを通じてサービスを利用で
きるユビキタス社会がいよいよ現実になりつつあります。ユビキ
タス・コンピューティングを現実社会に適用していくためには、
新
たなICT利活用のビジョンの確立・具現化が不可欠です。富士
通では、
コンピューティングのビジョン形成で先進的な役割を果
たしているPARCとの共同研究を進めています。現在の大きな
テーマは、
ユビキタス社会において最も重要な課題であるセキュ
リティやプライバシーを確保した上で、
いかに使いやすく簡単化
していくか。すでに実用化に向けた成果も生まれています。
富士通の総合力とPARCの
ビジョン形成力の融合
タ産業に影響を与える多くの研究を成しとげ、1988年
にはユビキタス・コンピューティングを初めて提唱。こう
インターネットの普及、ブロードバンドの拡大、無線
したPARCのビジョン形成力や卓越した研究成果と、富
ネットワークの進展といったインフラ整備が進み、ICT
士通の総合的なソリューション提供力の融合によりユビ
(Information and Communication Technology)
キタス時代の可能性を拓いていきます。
が暮らしやビジネスの隅々まで行きわたり簡単に利用で
きる、ユビキタス社会が現実味を帯びてきました。人と人、
人とモノ、モノとモノなどあらゆるものがつながる本格的
現在の共同研究テーマは3つ
なユビキタス社会の到来にあたり、富士通ではICTをより
PARCとの共同研究において特にクローズアップして
意識することなく活用し、現実社会へ適用していくために、
いる課題が、ICTの適用範囲の拡大に伴い、複雑化するシ
ICT利活用の新たなビジョンの確立・具現化を推進して
ステムとユーザー能力、運用能力とのギャップです。この
います。
ギャップを埋め、人に優しいシステムの実現に焦点をあて
その一環として、
2004年12月、
富士通はPARC(Palo
3つの共同研究テーマを進めています。
Alto Research Center Inc.)とユビキタス・コンピュー
■ 図2 ユビキタス・コンピューティングを使いこなす上で
ユーザーから見た課題の例
ティング領域の共同研究に合意し、現在、富士通研究所
のナレッジ研究センターが中心となり共同研究を進めて
います。
セキュリティ技術があっても一般のユーザーが使いこなすことは困難
個人ごとのプライバシーを考慮したサービス提供がこれからの課題
現 状
PARCの特筆すべき点は、長期的展望に立ち、社会科
学者の視点を取り入れた先進的なビジョン形成を行い、
コンピューティングの方向性を示し技術開発を行ってい
くところにあります。1970年に開設されたPARCは、
GUI、
マウス、イーサネット、
レーザープリンタ、オブジェクト指
向言語(SmallTalk)など、現在のパーソナルコンピュー
■ 図1 富士通とPARCとの協業の意味合い
PARC社の強み
・人を中心とした方法論の適用
・社会科学者の視点を取り込んだ
ビジョン策定
・米国内IT分野への影響力
富士通の強み
・国内最大級のカスタマーベースの保有
電子政府/自治体実現の国内最大のパートナー
・巨大なアプリケーション資産
・業務知識/ノウハウ/技術の蓄積
融合
・一歩先を見越した視点で戦略、ビジョンを策定し続ける企業文化を確立
・ユビキタス時代のリーディングカンパニーとしての市場競争力の強化
・
ICTの新たな価値をあらゆる顧客へ提供することによるビジネス領域の拡大
・ユビキタス社会形成への貢献
企業ネットワーク接続設定
・アプリケーションをインストール
・
IDやパスワードなど各種設定
・接続先(IPアドレス)の入力
・NATの設定選択
PKI対応
・証明書の取得、設定
・サービスごとの証明書の取得
利用開始
・アプリケーションの起動
・IDパスワードの入力
NZAの適用
利用開始
・
ICカードなどを挿入する
・
ID、パスワード入力あるいは
指紋認証など
利用PCやネットワーク環境が
変わっても簡単・安全接続
PCや環境を変えたときは、
同上の手続きが再度必要
第1は、
「簡単・安全にさまざまな無線ネットワークを利
用でき、
プライバシーに配慮したサービスが受けられる」
をコンセプトにした「NZA(Near Zero Administration)
技術」です。
第2は、モバイルエージェント技術を使って異なるシ
ステム の 機 器 を 柔 軟 に 接 続 する「 R e c o m b i n a n t
Computing技術」です。
第3は、協調動作やプライバシー制御機能を持った「セ
ンサーネットワーク技術」です。
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■ 図3「NZA技術」による簡単・安全ネットワーク利用とサービス享受
サーバ
PC
エッジルータ
ICカードなどの
耐タンパデバイス
インターネット
プライバシー処理
プライバシー情報
PKI
Enrollment
証明書
企業ネットワーク
PKIプラグ&プレイ機能
耐
タ
ン
パ
エ
リ
ア
Enrollment証明書を
使って企業ネットワークと
PC間のVPNを形成
Enrollment
証明書
サービス
証明書
暗号処理
耐
タ
ン
パ
エ
リ
ア
Agent
TCG
Agent
Agent
サービス
証明書
エージェントが個人ごとの
サービス証明書発行
PCにサービス証明書を保存
VPNベースのサービス
共同研究成果の実用化
発行された証明書を
使ってサービス享受
技術」は、安全性と簡単化という相反する要素の両立を
可能とし、その適用分野は多岐にわたります。
PARCとの共同研究では実用化に向けた取り組みも
積極的に行われており、
「NZA技術」ではすでに成果も
今後はプライバシーも重要な技術テーマに
生まれています。
「NZA技術」はユビキタス社会が抱え
る最も重要な課題の一つ「セキュリティを実現しながら
「NZA技術」のシンクライアントへの適用、ユビキタス
いかに簡単化していくか」に応えるものです。高度なセ
ホームソリューションへの適用はすでにプロトタイプを作
キュリティを確保しようとすれば、複雑なネットワーク接
成し検証が進められています。今後は「Recombinant
続設定やPKI対応などの手間、さらに環境が変わるごと
Computing技術」の概念を採り入れ、自律的にさまざま
に同様の手続きが再度必要になるなど運用面での問題
なセンサー間が協調し合い最適なセンサー機能の提供
が生じてきます。こうした問題を解決し、企業内の情報活
を実現する、
「センサーネットワーク技術」が共同研究の
用においてユビキタス・コンピューティングを最大限に活
大きなテーマとなります。
「センサーネットワーク技術」
用していくための解決策の一つとして、
「NZA技術」の
の応用分野として最も期待されるのが医療分野です。た
シンクライアントへの適用が進められています。ICカード
とえば、センサーネットワークを活用した入院・退院患者
などのセキュアなデバイスに格納したエージェントソフト
への最適な医療サービスの実現や、ホームネットワーク
によるPKIプラグ&プレイ技術を活用し、導入・設定の自
とセンサーネットワークを融合し、日々の尿検査、血圧、
動化、IDやパスワードの強化はもとよりVPNでのアプリ
脈拍などの個人情報を収集/活用することで、健康管理
ケーションのメンテナンスなどの付加価値を加えて使い
に役立てていくことも可能になります。またユビキタス社
やすさを追求。一つのビルの中で運用されているシンク
会の本格化に伴い、医療分野はもとよりさまざまな分野
ライアントのソリューションをサテライトオフィスやホー
において、高度な個人情報であるプライバシーがこれか
ムオフィスも含めて提供できるシステムの実現を目指し
らは大きな技術テーマとなってきます。プライバシーを
ています。
扱う際は、技術者の観点だけでなく社会科学的な観点も
企業と個人をつなぐために、
「NZA技術」のユビキタ
含 めた 多 角 的な 視 点が求 められます。そ の 意 味でも
スホームソリューションへの適用も進められています。
PARCとの共同研究の意義は今後ますます重要になり
ICカードを自宅のパソコンに挿入することで企業が提供
ます。人々が「安心・安全・快適・簡単・便利」に暮らせる
するサービスの安全・簡単利用を可能とし、
またICカード
社会づくりへ、富士通では、つねにコンピューティングの
を店頭端末に挿入することで自宅のホームサーバに蓄積
先の世界を描き、
大きな研究開発テーマの流れの中で個々
された情報とサービスの連携を実現。ユビキタスホーム
の技術の実用化を進めています。
ソリューションは金融分野やオンラインショッピング分野
はもとより、近い将来、
センサーネットワークと融合するこ
とでヘルスケアサービス分野での活用も期待できます。
ユーザーの行動とセキュリティ技術をマッチングする「NZA
お問い合わせ先
(株)富士通研究所 ナレッジ研究センター
NEWテクノロジー / FUJITSU JOURNAL / MAR. 2006
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富士通は、ITソリューションのご提供や
お客様の環境経営支援などを通して、
持続可能な社会の実現を目指しています。
地球環境問題に対しては、
総合的・複合的な視点からのアプローチが不可欠であり、
社会全体でIT活用を推進することは、
21世紀の循環型社会の構築を支える要の一つです。富士通グループでは、
こうした観点から、
ITソリューションのご提供などを通じてあらゆる分野の効率化により社会の環境負荷低減に貢献するとともに、
お客様の環境関連業務を支援し、
持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
これらの効果と電力消費など環境負荷増大要因とを総合的に
ITを活用した地球環境問題へのアプローチ
ITと環境との関わり
評価することで、ITソリューション導入に伴う環境影響を評価す
ることができます。
国境を越えた空間的広がりと、将来世代にわたる時間的広がり
富士通は、一定の条件を満たすソリューション商品を「環境貢
をもち、
多くの要素が絡み合って表面化する今日の地球環境問題。
献ソリューション」として認定し、
お客様の事業活動に伴う環境負
これに対し総合的・複合的視点からのアプローチとしてIT活用を
荷低減への貢献効果を明確にする取り組みを進めています。
進めることは、それ自体が省資源・省エネ効果をはじめとする環
■ ITによる環境効果
導入後
導入前
境負荷低減効果をもち、今後の持続可能な社会の実現を目指す
業務の効率化
上でも、ITは社会基盤技術として重要不可欠です。
スピードアップ
ITソリューションの導入
富士通グループは、ハードウェア製品、
ソフトウェア製品および
コストダウン
ソフトウェア・サービスのご提供を通して、IT活用の推進、
またお
環境改善
客様における環境経営支援なども含め、社会の環境負荷低減に
IT活用による環境行政・環境経営の支援
貢献します。
富士通は、
これまで培った環境活動のノウハウと最新のITを
富士通グループの目指す姿
富士通グループは、自らの環境負荷を低減させる活動を継続
活用し、環境マネジメントシステム、環境配慮設計支援/LCA、
するとともに、IT企業としての本業を通じてお客様や社会全体の
グリーン調達、廃棄物管理、
リサイクル管理、情報開示など、幅広
環境効率を高める活動にも重点的に取り組むことで、地球環境へ
い業務にわたってお客様の「環境経営」
「環境行政」を支える「環
の貢献、そして持続可能な社会の実現を目指していきます。
境業務ソリューション」をご提供しています。
■ ソフトウェア・サービスによる環境貢献
■ ソフト・サービスの提供と環境負荷低減の関わり
地球環境への
貢献
地球
グリーン調達
サプライヤー
社会全体の
環境効率を向上
社会
本業を通じてお客様の
環境負荷を改善
お客様
富士通
自らの環境負荷を
改善
素材
部品
IT企業の本業(ITソリューションの
提供)を通じたお客様/社会の環
境負荷改善
省エネルギー
廃棄物発生抑制
化学物質管理
情報開示
製造メーカー
設計
製造
エコデザイン
アウトソーシング
流通・販売
利用者
輸送
使用
廃棄
温暖化対策
モーダルシフト
エコ包装
自治体/リサイクル業者
ペーパーレス、省エネ、省資源など、ワーク
スタイルの変革による自らの環境負荷改善 リサイクル
資源有効利用
適正処理
回収
静脈物流
トレーサビリティ
ITソリューション導入による環境負荷低減
企業や社会におけるITソリューションの導入は、人や物の移動、
紙などの資源消費の削減、保管や執務スペースといった効率化
を通じて、環境負荷低減にも効果があります。
お問い合わせ先
富士通(株)環境本部 SD企画統括部
TEL 044-754-3413
URL http://jp.fujitsu.com/about/eco/
富士通グループはチーム・マイナス6%に参加しています。
次 号 予 告
2006年4月発行
富士通ジャーナル
TopStory
「Topjax」
発 行
発行責任者
富士通株式会社
カスタマーリレーション部 E-mail : [email protected]
〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2
(汐留シティセンター) TEL 03-6252-2253(直通)
デザイン・編集・印刷
富士通アプリコ株式会社
※本誌記事中のプログラム名、CPU名、システム名などは各メーカーの商標、または登録商標です。
※本誌は、100%再生紙を使用しています。また、印刷インキは大豆インキを使用しています。
平成18年3月発行
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