食品に接触する素材および製品の紹介とそれに関する枠組み規制

FOOD Contact Materials(FCM)
食品に接触する素材および製品の解説①
EU における FCM 要求事項について、5 回のシリーズでご紹介します。今回 は第 1 回目とし
て、食品に接触する素材および製品の紹介とそれに関する枠組み規制について、概要を解
説します。次回以降は、以下の内容をお届けする予定です。
第2回
第3回
第4回
第5回
プラスチック施行規則
プラスチック以外の規則
物質のための具体的要求
国別規則
概要
食品に接触する素材および製品(Food Contact Materials=FCM, 以下 FCM と表記)とは、包
装、容器、調理器具など、食品との接触が意図されるすべての素材および製品を意味しま
す。これらは、プラスチック、ゴム、紙、金属類など、さまざまな素材から作られます。
FCM は、コーヒーメーカーなど加工機や生産機に使用されるもの、運搬に使用される容器、
人の消費が意図される水と接触する素材(例：ボトル)を含みます。EU 圏内で上市*される
FCM は、以下の規則により規制されています。
―食品に接触する素材および製品に関する規則 (EC) No 1935/2004
―適正製造規範(GMP)に関する規則(EC)No 2023/2006
―規則(EC) No 1935/2004 Annex 1 にリストされた素材および製品に関する規則
―食品に接触が意図される素材および製品の製造に使用される物質に関する規則
―EU 規則がまだ確立されていない素材および製品群(例：紙、インク、コーティングなど)を包
括した国別規則
*上市とは、素材や製品を 無償有償に関わらない譲渡、販売、流通などの目的のために保持することを
意味します。
原文：[Put on the market means the holding of materials and articles for the purpose of sale,
including offering for sale or any other form of transfer, whether free of charge or not, and
the sale, distribution and other forms of transfer themselves, article 2(b)]
■食品に接触する素材および製品に関する規則(EC) No 1935/2004■
規則(EC) No 1935/2004 は、完成した状態において(i) 食品との接触が意図される、または
(ii) すでに食品と接触しており、その目的が意図されていた、または(iii)通常の予見可能
な使用条件の下で、食品に接触する、または成分が食品に移行することが当然のこととして
予期される、すべての素材および製品に関する枠組み規則です。本規則は、観賞用などの骨
董品として販売される FCM、食品の一部を形成し、食品と一緒に消費される可能性のあるカ
バーまたはコーティング材(例：チーズの皮や調理済み肉製品・果物のカバー材)には適用さ
れません。
本規則 Annex I には、以下のように、FCM 製造に使われる素材および製品がリスト化され、
具体的要求が適用されます。
原文：ANNEX I List of groups of materials and articles which may be covered by specific measures
1. アクティブ/インテリジェント素材
および製品
2. 接着剤
3. セラミック
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4.
5.
6.
7.
コルク
ゴム
グラス
イオン交換樹脂
2013 年 第 10 号掲載
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8. 金属類・合金
9. 紙・ダンボール紙
10 プラスチック
11. 印刷用インク
12. 再生セルロース
13. シリコン
14.
15.
16.
17.
18.
シリコン
繊維
ニス・塗料繊維
ワックス
木材
FCM の製造においては、製造に関わる規制および品質管理規制を満たしていることが要求さ
れます。また、通常または予見可能な使用において、食品に次のような FCM の成分移行が
あってはなりません。
―人の健康を危険にさらす、または
―食品構成に許容範囲以上の変化をもたらす、または
―官能特性(味、匂いなど)に変質を引き起こす。
具体的要求により規定される素材およ
び製品が、規則に準拠していることを
示すため、適用規則に適合している旨
を明記した宣言書を、素材および製品
に添える必要があります。また、所轄
官庁から要求された場合、提供出来る
ように、テストレポートなど適切な書
類を作成する必要があります。
本規則における具体的要求が存在しな
い場合、加盟国は素材および製品の適
合宣言に対し、各国条項を採用するこ
とができます。販売時、まだ食品に接触していない FCM には、以下の表示をする必要があ
ります。
―｢for food contact｣という言葉、または｢コーヒーマシン｣、｢ワインボトル｣、｢スー
プスプーン｣など、使用に対する具体的表示、または右の記号を表示。
注： その特徴により、食品との接触がより明らかに意図される
製品については義務付けられていません。
―必要に応じて、安全かつ適切な使用のために遵守するべき特別な指示。
―製品を販売することに責任を有する EU 圏内の製造業者、販売業者または輸入業者の
登録事務所の名称または屋号、住所。
―アクティブ素材および製品の場合、どのような使用方法や用途が認められるのかにつ
いての情報およびその他関連情報(例：アクティブ材により放出される物質の名称お
よび分量)。
詳しくは、以下参考資料をご参照下さい。
1. Regulation (EC) No 1935/2004 of the European Parliament and the council of 27
october 2004 on materials and articles intended to come into contact with food
and repealing Directives 80/590/EEC and 89/109/EEC.
2. http://ec.europa.eu/food/food/chemicalsafety/foodcontact/eu_legisl_en.htm
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